03/10/03 薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会 平成15年10月3日議事録        薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録 1.日時及び場所   平成15年10月3日(金) 10:30〜   医薬品医療機器審査センター第2会議室 2.出席委員(15名)五十音順  ◎池 田 康 夫、 上 原 至 雅、 岡 田 義 昭、 折 笠 秀 樹、   守 殿 貞 夫、 神 谷   齊、 木 村   哲、 後 藤   元、   櫻 井 秀 也、 早 川 堯 夫、 藤 上 雅 子、○堀 内 龍 也、   三 瀬 勝 利、 溝 口 昌 子、 吉 田 茂 昭 (注) ◎部会長 ○部会長代理   他 参考人2名   欠席委員(1名)   川 嵜 敏 祐 3.行政機関出席者   鶴 田 康 則(大臣官房審議官)、 岸 田 修 一(審査管理課長)、    平 山 佳 伸(安全対策課長)、   豊 島   聰(審査センター長)    青 木 重 仁(審査センター企画主幹)、    赤 川 治 郎(審査センター審査第一部長)、   森   和 彦(審査センター審査第二部長)、   辻 村 信 正(審査センター審査第三部長)  他 4.備  考   本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長 定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会を開催 させていただきます。本日はお忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございま す。当部会の委員数16名のうち、本日は川嵜委員が御欠席でございますが、15名の委 員に御出席いただいておりますので、定足数に達しております。  本日の議題1及び議題2における専門委員として、国立感染症研究所ウイルス第一部 長の倉根一郎先生とウイルス第二部長の宮村達男先生にお越しいただいております。そ れでは池田部会長、よろしくお願いいたします。 ○池田部会長 本日はお忙しいところ、どうもありがとうございました。それでは本日 の審議に入りたいと思います。審議に入る前に事務局から恒例のごとく、配付資料の確 認と資料作成に関与された委員の報告をお願いいたします。 ○事務局 それでは配付資料の確認をさせていただきます。資料1〜5までがあらかじ めお送りした資料でございます。当日配付資料としまして、本日の議事次第、座席表、 当部会の委員名簿、資料1-4の差し替えとして資料1-4'、これは字句の訂正をさせてい ただきました。それから資料1-5のバイオアッセイ単位等の改正案、資料1-6の「生物 学的製剤基準医薬品各条使用動物規格対照表」、資料1-7の緩衝液及び培地等の通則関 係のもの、資料6-1として「薬事分科会規程の一部改正について」、資料6-2として「薬 事分科会における確認事項の一部改正について(抜粋)」をお配りしております。以上で ございます。 ○池田部会長 ありがとうございました。委員の先生方、資料はございますでしょうか。 よろしいですか。お手元の議事次第にありますように、本日は審議事項が2議題、報告 事項が3議題、そして「その他」ということになっております。「その他」に関しては 当部会の運営に係る点がありますので、まずそれから事務局に説明をお願いしまして、 その後審議に入りたいと思います。よろしくお願いします。 ○事務局 それでは事務局から御説明させていただきます。本日配付させていただいた 資料6-1の「薬事分科会規程の一部改正について」を御覧ください。当部会の所掌に関 して簡単に御説明させていただきます。  本年7月に施行された改正薬事法において、生物由来製品関係の規定がございます。 まず「1.生物由来製品の指定(薬事法第2条第5項及び第6項)」でございます。生物由 来製品の指定については、新有効成分など個別製品の承認時に関係する部会において生 物由来製品の指定の要否を御審議いただくということでございます。したがいまして、 当部会においては当部会に関連する、例えば抗悪性腫瘍剤、抗菌薬等について新有効成 分などが出てきましたときに、生物由来製品の指定の要否について御審議いただくこと になりました。続きまして「2.生物由来原料基準(薬事法第68条の5(第42条を準用))」 の規定でございます。生物由来原料基準については、当部会においては従来から御審議 をお願いしております血液製剤に関する部分(通則、血液製剤総則)について御審議いた だくことにいたしました。  続きまして資料6-2、「薬事分科会における確認事項の一部改正について(抜粋)」を 御覧ください。この確認事項の一部改正についても生物由来製品の指定の関係でござい ます。指定に関する審議等をどのように行うかということでございますが、個別品目の 追加、新有効成分の審議等にかかりまして、医薬品の審議区分に応じて審議を進めてい くと。つまり有効成分の承認の可否が部会審議、分科会報告の場合は、生物由来製品の 指定についても部会審議、分科会報告と。有効成分の新規性が高く部会審議、分科会審 議となった場合は、生物由来製品の指定についても同様に部会審議、分科会報告という 扱いにさせていただきたいと。それから全面改正の場合は部会審議、分科会審議という 扱い、基準の一部変更については部会審議、分科会報告という扱いにさせていただきた いということでございます。以上が当部会に係る事項でございます。 ○池田部会長 ありがとうございました。当部会に係る事項の変更について、何か御質 問、御疑問の点はございますか、よろしいですか。もしないようでしたら、審議事項に 入らせていただきたいと思います。  それでは本日の審議事項の議題1の「生物学的製剤基準の改正について」、資料1で ございますが、これについて事務局の方から説明をお願いいたします。 ○事務局 「生物学的製剤基準の改正について」ということで、資料1-1〜1-7になりま す。当日配付資料の資料1-4'に基準の改正の概要をまとめておりますので、それに沿っ て御説明させていただきます。生物学的製剤基準の大改正を行うということで、今年4 月に当部会において検討のための小委員会の設置について御了解いただき、その後この 小委員会において検討を重ねてまいりました。4ページに「III.改正作業の経過」という ことで、これまでの審議経過をまとめております。ワーキンググループとして、生物学 的製剤検討ワーキンググループと血液製剤検討ワーキンググループの二つを設けまし て、それぞれ4回と3回開催して検討を行ってまいりました。また、生物学的製剤基準 には全般的に関係する通則や一般試験法などの事項がございますので、そちらについて は合同のワーキンググループを3回ほど開催しまして、これまで計10回ほど審議をして 準備をしてまいりました。その結果、取りまとめられた案が事前にお送りしております 資料1-2、その新旧対照表が資料1-3になっております。このワーキンググループは5、 6ページに書かれているメンバーで審議を行っておりまして、本日専門委員として御出 席いただいております宮村先生と倉根先生には、それぞれのワーキンググループの座長 として御審議していただいたということでございます。  それでは中身について御説明させていただきます。資料1-4'の1ページの「II.今回 の改正の概要について」から御説明させていただきます。生物学的製剤基準は前回は平 成5年に全面的な改正が行われたということで、既に約10年が経過しておりますので、 最新の知見に沿った基準の改正が求められているということ。また、今年7月に生物由 来原料基準が新しく定められたということで、これまで生物基に血液製剤総則というも のがありましたが、これが生物基から削除されて生物由来原料基準の方に移っておりま す。その関係で生物基についても細かい点をいろいろ整備しなければいけないというこ とになっております。また、日本薬局方やWHO基準、あるいは欧米諸外国の基準との 整合性を図るといった観点から、今回の見直しを行っております。  主な事項についてのみ御説明させていただきます。まず「1.通則」でございます。こ れについては基本的には日局との整合性を図るということで、単位については日局に記 載されているものを準用する、あるいは容器の記載も日局に合わせるといった整備を行 っております。今回大きく変わった点としましては、(2)のロットの定義の明確化を図 るということでございます。具体的には、資料1-2に行きますと2ページの通則の19〜 21に該当いたします。この部分の新旧対照表としましては、資料1-3の1ページの一番 下の部分が改正になります。今回改正したのはまずロットの定義についてですが、これ まで「『ロット』とは、通常、一つの最終バルクに由来する小分製品の一群をいう」と、 単にこれだけの記載であったわけですが、これを今回の改正案では、「一つの最終バル クから、一製造期間内に一連の製造工程により均質性を有するように製造された小分製 品の一群をいう」という記載に改めました。この記載はWHO基準や諸外国の基準との 整合性を図るとともに、日本の医薬品に関するGMPで定められているロットの定義に 合わせたものでございます。  これでロットの定義が定められたところですが、その次の新しい通則の20のところ で、「一つのロットに対しては、通常、一つの製造番号を付ける。ただし、同一ロット において、同一の条件とみなし得ない操作によって作られた小分製品群にあっては、同 一の製造番号に分注区分ごとの記号を付記する」ということでございます。ここは生物 製剤特有の事項ですが、一つのロットではあるけれども、同一の条件とみなし得ないよ うな操作、例えば複数の凍結乾燥機を用いて処理をしたとか、充填容量を変えたといっ た場合がこれに当たりますが、こういったものについての取扱いをここに決めておりま す。  その下の21になりますが、ここで「21項に該当する小分製品群」となっております けれども、今御説明しました「20項」の間違いでございます。申し訳ございません。20 項に該当する小分製品群に関してどういう試験をするかについて、これまでは必ず含湿 度試験、無菌試験を行わなくてはいけないということで、行う試験を限定しておりまし た。しかし、今回のワーキンググループの審議においては、限定するよりもバリデーシ ョン等でしっかりデータがあって問題がないものに限って省略するといった規定に直す べきだということで、今回この部分についての改正を行っております。  それから通則についてはもう一点、資料1-5を御覧いただきたいのですが、こちらは 単位についての記載でございます。「通則8 主なバイオアッセイ単位については、次の 記号を用いる」ということで、これまで生物学的製剤基準の中で使われていたバイオア ッセイ単位を整理して通則に規定したということで、今回これを付け加えております。 申し訳ございませんが、このバイオアッセイ単位については資料1-2、資料1-3を事前 にお送りしたときには間に合わなかったもので、今回当日配付とさせていただきました。 したがいまして、恐縮ですが、通則9以降のものは順次番号が繰下げになります。以上 が通則でございます。  もう一度資料1-4'に戻っていただきたいのですが、次に「2.医薬品各条」について 御説明させていただきます。今回の一番大きな改正としましては、(1)にあるチメロサ ールに関する記載の整備を行ったという点でございます。これまでは各条の最終バルク のところに、保存剤として何か使用する場合はチメロサールを使うということが限定さ れて書かれておりました。それを今回の改正によって「適当な保存剤を用いることがで きる」ということで、チメロサール以外の保存剤も用いることができるような規定に改 めるという改正案をワーキンググループの方では作っております。この件については、 既に本年1月に日本脳炎ワクチンなど5品目について同様の改正を行っておりまして、 当部会でも御審議いただいたことと思います。こういった製剤については日本脳炎ワク チン以外にも幾つかございますので、今回の大改正においてすべてこういった適当な保 存剤を用いるという記載に改めたということでございます。  次に「(3)試験に使用する動物の条件の記載整備」というところですが、これまで動 物の使用条件は記載の仕方が非常にばらばらでございました。今回ワーキンググループ で審議をしたところ、原則として「約」は用いないということで、これまで「約何週齢」 とか「体重約何kg」というような記載があったところですが、そこをきちんと幅記載で 幾つ〜幾つというような規定に改めたということでございます。その際に、マウスにつ いてはこれまで体重で記載されていたものを週齢又は日齢での記載に統一すると。モル モットは体重の記載に統一する、ウサギについても体重の記載に統一するということで 統一を図っております。本件についてまとめたものが資料1-6の動物規格対照表という もので、新旧の対照表を付けております。今御説明させていただいた原則に基づき、生 物基に記載されていた動物の使用条件についてこういった形で改正案を取りまとめてお ります。  資料が前後して申し訳ございませんが、もう一度資料1-4'に戻っていただきまして、 次に「(4)輸血用製剤」について御説明させていただきます。まず(1)ですが、赤血球製 剤の貯蔵温度はこれまで4〜6℃ということで定められておりましたけれども、それを 2〜6℃に変更しております。根拠としては、欧米の基準との整合性を図るということ でございまして、アメリカでは1〜6℃、欧州では2〜6℃という規定になっておりま すので、今回生物基の方でも2〜6℃に変更したいということでございます。  それから次の(2)ですが、試験用血液に関しての整備を行ったということでございます。 これまで生物基には、「試験用血液」と言っておきながら二つの意味のものが使われて おりました。一つは血液センターでの試験ということで、原料血のチェックをするため に使うものについて、もう一つは医療機関で輸血時に交差適合試験を行うためのものに ついて「試験用血液」という表現を使ってまいりました。冒頭で申し上げましたとおり、 今般原料に関しては生物由来原料基準の方に移行したということですので、最初に申し 上げた血液センターでの原料血のチェックのために使う「試験用血液」に関しての記載 は生物基から全部削除し、生物由来原料基準の方で担保されることになります。それで 改めて、医療機関で使う部分の「試験用血液」という用語を整備したものでございます。  それから(3)ですが、血液保存液としてCPD液を使用した場合、ヒト血液から血漿成 分が分離するまでの時間は現行6時間以内であったところを8時間以内に変更しており ます。この根拠としましては、やはり欧米の基準との整合性ということになりますが、 アメリカでは現在でも8時間以内ということでやられております。欧州では、6時間以 内が望ましいが、18時間までも可とするという規定になっております。また、本件に関 しては、凝固因子の活性データなど公表されている文献がありましたので、そちらのデ ータも検討した上で8時間以内に変更するということでいいのではないかとワーキング グループの方で審議しております。  次に(5)の表示事項の変更ですが、これは直接容器に表示すべき事項と添付文書に表示 すべき事項をもう一度整理したということでございます。現在直接容器に表示すべき事 項はかなり多く、実際の製剤のラベルの面積から考えると、非常に小さな字になって見 づらくなってしまうということもありますので、本当に直接容器に表示しておかなくて はいけない事項は何かという観点で審議をしたところ、「解凍人赤血球濃厚液」、「洗 浄人赤血球浮遊液」という二つに関して、一部のものについて削除してもいいのではな いかということでございます。  (6)、(7)に関してはもう既に使われていないということで、承認整理が行われているこ とから削除しております。  それから「(5)血液製剤」でございますけれども、(1)の異種蛋白質否定試験、(2)の熱 安定性試験については、現行のGMPレベル、品質保証のレベルからいって削除して問 題ないということで、今般削除することといたしました。  「(6)ワクチン等」に関してですが、文言の整備を行ったほか、(2)の生ワクチンにつ いてここに挙げている五点ほどの変更を行っております。aのマイコプラズマ否定試験、 bの結核菌否定試験は今までやっていた試験をする場所を適切な場所に変更するという ことでございます。cのニワトリ卵接種試験においては、判定基準の明確化などを行っ ております。  それからワクチン関係は、(5)のウマ抗毒素のところで幾つか変更を行っております。 ウマ抗毒素関係の製剤は、括弧で示しておりますとおり幾つかございます。免疫グロブ リン含量はこれまで90%になっておりましたが、今般95%に変更することに伴い、その 下の免疫化学試験を削除しております。また、原液の蛋白質含量試験の削除ということ ですが、これは純度試験に該当するものでございまして、力価何単位当たり蛋白質が何 mg以下でなくてはならないといった純度試験の意味を持つものでございます。これは今 まで原液の段階で設定されておりましたけれども、原液から小分製品に移行するまでの 期間、特に精製工程は入らないということでございますので、原液で行うよりは小分製 品として行った方がいいのではないかということで、原液の試験として蛋白質含量試験 を削除して、小分製品の方に移すという改正を行っております。  それから「(7)削除する品目」としてここに2品目を挙げておりますが、これはもう 承認整理されたということで現在使われておりませんので、今般生物基から削除したい というものでございます。  続きまして「3.一般試験法」でございます。全般的に日局との整合性で記載整備を行 ったということでございますが、「(4)エンドトキシン試験」については日局のエンド トキシン試験をそのまま準用するということでございます。「(5)チメロサール定量法」 に関しましては、チメロサールの低減化に対応すること、又は四塩化炭素など有害な化 学物質を使用しない測定系を導入するといった観点から、ここに挙げられている二つの 試験法を新たに加えております。最後の「(11)培地」に関しては、通則の改正や日局と の整合性を図る、あるいはpHの記載にこれまで「約」を用いていたところを幅記載に するといった変更を行っております。これについては、本日配付させていただいた資料 1-7に改正案を取りまとめております。資料1-7についての詳しい説明は本日は省略さ せていただきます。  以上が改正の概要でございます。今後の予定でございますが、本日御審議いただき御 了解いただけたということであれば、パブリックコメントあるいはWTO通報の手続を とっていきたいと考えております。また、10月24日に血液事業部会がございますので、 血液製剤関連の事項についてはこちらの部会の方に御報告する予定でおります。その後 12月に薬事分科会が開催される予定ですので、そちらで審議をした後、来年の1〜2月 をめどに告示をするといった予定を考えております。以上でございます。 ○池田部会長 ありがとうございました。改正薬事法の施行に伴って新しい生物由来原 料基準が設けられたということもありまして、生物学的製剤基準の改正について通則と 医薬品各条、あるいは一般試験法と非常に広範にわたって説明していただいたわけでご ざいます。冒頭で事務局からも申しましたように、生物学的製剤検討ワーキンググルー プ、あるいは血液製剤検討ワーキンググループでは合計10回にわたって御議論いただい たということで、本日も座長であります倉根先生と宮村先生においでいただいておりま す。まず倉根先生、何かコメントはございますでしょうか。 ○倉根専門委員 特にございません。今説明いただいたとおりでございます。ロットの 定義のところでいろいろな意見が出まして、特に時間を費やして文言が何度も変わり、 これが最終的なものであります。 ○池田部会長 ありがとうございました。宮村先生、何かございますか。 ○宮村専門委員 同じですが、今回10年間を洗い直してみると、それぞれのところでち ょっと記載が違っているところが多くありました。それをインターナショナルにも整合 性がとれるように修正したのがこの集大成です。特にロットの定義にちょっと不明瞭な ところがありましたので、これで非常に明快になったと思います。 ○池田部会長 ありがとうございました。それでは委員の先生方から御意見を伺いたい と思います。何か御質問あるいはコメントがございましたら、お願いしたいと思います が、いかがでしょうか。どうぞ、堀内委員。 ○堀内部会長代理 防腐剤について、チメロサールだけではなくていろいろ適当に加え ることができるという表現に変わったわけですが、チメロサールの場合には含有量が 0.012%以下でなければならないと規定されておりますけれども、それ以外の場合には余 り規定されておりません。防腐剤はできれば少ない方がいいだろうと思いますが、その 辺の濃度の担保はどのように考えていらっしゃいますか。 ○事務局 事務局の方からお答えさせていただきます。今回「適当な保存剤」という言 い方にしておりますので、ここの部分は承認書の方で担保することになります。例えば 今年1月に日本脳炎ワクチンで承認された2-フェノキシエタノールなどを用いるので あれば、当然それが承認書で担保されると。その濃度についても承認書で規定すること になっております。その濃度でいいかどうかということについては、医薬品としての承 認審査の中で個別に判断されることになるかと思います。 ○池田部会長 この場で議論するということですね。先生、何か御追加はございますか。 ○倉根専門委員 チメロサールの濃度については、事務局の方で各製剤ごとに全部チェ ックしていただきまして、入れていないものも結構あるのですが、一つの製剤について はまだ入れているものもあるということで、このチメロサール自身は残さざるを得ない ということがありました。現実にはもう入れていないものがかなりありますが、入れて いるものもあるので、こういう文言は残さざるを得ないと。 ○池田部会長 基本的には入れないで、その場で審査をするという考え方でございます ね。よろしいですか。そのほか何かございますか。どうぞ。 ○神谷委員 細かいところをきちんとチェックしていないので全体的なことでお聞きし たいのですが、先ほどの御説明の中では生物学的製剤基準は国際基準に合わせたという お話が何回かありました。国際基準に合わせたということは、この基準の改正によって、 今日本で造っているワクチンではなく外国製剤を入れやすくなったとか、あるいは外国 の薬でもこちらにアプライできる可能性が増えたと理解してもいいのでしょうか。 ○池田部会長 事務局の方、どうぞ。 ○事務局 その点は個別の製剤によると思いますが、アメリカあるいは欧州の基準、W HO基準と整合性を図ったということになりますので、当然それに基づいて造られてい る製剤については、日本も同じ基準に合った生物学的製剤基準を定めておりますので、 個別に判断することにはなりますけれども、全体的な方向としてはアプローチしやすく なったと思います。 ○池田部会長 よろしいですか、神谷委員。そのほかにございますか。早川委員、お願 いします。 ○早川委員 先ほどロットの定義でいろいろ御議論があったということですが、定めら れたロットの定義によりますと、「一つの最終バルクから、一製造期間内に一連の製造 工程により均質性を有するように」と。ちょっとこの定義の解釈として教えていただき たいのは、「一製造期間内に」という文言は製造するための期間を指しているのか、そ れとも例えば同じ最終バルクから一連の製造工程により別の機会に精製したものは別の ロットナンバーが付くという意味なのか…。つまり「一製造期間内に」というのは、二 つの解釈があると思うのです。例えばこれについては何か月以内に一つの最終バルクか ら造れという解釈もできるし、同じものなのだけれども、今回は一つの最終バルクから ある1部分造り、また別の機会に造った場合は別のロットになるという意味なのか、ち ょっとそこのところの解釈をお願いします。 ○池田部会長 どうぞ。 ○事務局 生物製剤特有の条件がいろいろあると思うのですが、まず「一製造期間内」 ということであれば、最終バルクが一つできまして、その一部をとってきて…、欧米な どでは24時間が目安と言われておりますので、それを24時間以内を目安に一つの連続 工程で最終的に充填したところを1ロットと。また、残っている最終バルクから何か月 後、あるいは何年後かにとってきたところは別ロット扱いと考えております。 ○池田部会長 早川委員が言われた後者の方は、別ロットを形成するということですか。 ○事務局 このロットの定義に関しては「一製造期間」、「一連の製造工程」といった 漠然とした表現がございます。ここの部分についてはワーキンググループでかなり審議 をいたしまして、実際にこの基準を出すときには解釈の通知を出して、その中でどのよ うに判断すべきかということをワーキンググループの審議結果に基づいて具体的に定め ていきたいと考えております。 ○池田部会長 倉根先生、それでよろしいですか。 ○倉根専門委員 後者の方は、例えば一つのバルクができて、それを半年間置いてやっ た場合には別ロットであると。 ○池田部会長 早川委員、よろしいでしょうか。 ○早川委員 ちょっと細かいことなのですが、もう一点よろしゅうございますか。「約 何日間」ということを明確に規定したということですが、例えば発育鶏卵を使うとき、 材料で使う場合と試験に使う場合があるのですが、インフルエンザワクチンなどの場合 は従来「約11日間」とされていたのを「10〜12日間」と。乾燥弱毒生おたふくかぜワ クチンの試験のときには、従来の「約11日齢」が「10〜11日齢」となっているのです が、ここはもともとのベースをそれぞれ国際的に違うベースで言っていたのかどうか。 「約11日間」というのは、普通に考えると前後1日を取っているのかなと。これは「10 〜12日間」となり、試験の場合は「10〜11日齢」ともう少し絞った感じになっているの ですが、原材料と試験の違いではあると思いますが、同じ約11が異なる範囲になってい る理由は何でしょうか。 ○池田部会長 事務局の方、どうぞ。 ○事務局 これらについては、すべて現在どういうものを使っているか調査をかけまし て、実際に使っているものの範囲で規定しようということで今回こういった案を取りま とめております。また取りまとめる際には、変更するということであればそれによって 試験の精度、感度が変わらないことを一つ一つ確認した上で、こういった改正案を作っ たということでございます。 ○早川委員 発育鶏卵の場合ですと、ヨーロッパとアメリカでは「9〜10日間」、「10 〜11日間」とかそれぞれちょっとバックグラウンドが違うので、もともとの「約11日 間」というのは調和的に考えるとなかなか融通の利くものだったと思っていたのです。 要するに、それぞれの項目について不都合がないようになっていると理解してよろしい ですね。 ○池田部会長 そのほかいかがでしょうか。岡田委員、輸血用製剤、血液製剤の方につ いて何かコメントはございますか。よろしいですか。 ○岡田委員 特に問題はないと思います。 ○池田部会長 そのほかに先生方から何か御意見ございますでしょうか。どうぞ、溝口 委員。 ○溝口委員 基準の改正と直接関係なくて申し訳ないのですが、保存剤としてチメロサ ールを使用しているものがまだあるということで、今後ほかの適当な保存剤を用いるこ とになるそうですけれども、それはワクチンの製品に明示されるのでしょうか。と申し ますのは、ワクチンの注射を受けてチメロサールで感作された人が、ピロキシカムなど のオキシカム系の鎮痛消炎剤を飲んで光線過敏を起こします。これがチメロサールの交 差感作だと究明されるまでかなりの年月が掛かったのです。ワクチン接種時にそういう ことが起こり得ますので、何を使っているかというのが製品には明示されているものな のでしょうか、ちょっとその点をお聞きしたいのですが。 ○池田部会長 事務局の方から…。 ○事務局 原則として全成分表示となっておりますので、表示をしていると思っており ます。再度確認いたしまして、先生の方に御連絡いたします。 ○溝口委員 ありがとうございました。 ○池田部会長 そのほかいかがですか。よろしいでしょうか。特に先生方から御意見が ないようでしたら、改正を可とさせていただいて、薬事分科会審議とさせていただきた いと思います。ありがとうございました。  それでは議題2の「生物由来原料基準の一部改正について」ということで、事務局か ら御説明ください。 ○事務局 資料2を御覧いただければと思います。この資料の一番最後のページに今回 の一部改正の概要について書いておりますので、そちらを御覧いただきたいと思います。 今回の改正内容は形式的な変更をしたいというものでございまして、血液製剤総則の輸 血用血液製剤総則の中に「ABO式血液型」という表記がなされておりますが、現在血 液型については「ABO血液型」ということで、間に「式」を入れないでやられており ますので、今回生物由来原料基準に関してここの部分の記載を変更させていただきたい というものでございます。なお、議題1の方で御審議いただいた生物学的製剤基準の方 にも、同様に「ABO式血液型」となっているものがございましたので、これについて も併せて「ABO血液型」に改めさせていただくということで考えております。この件 については生物基の改正と同時期に告示する予定でございます。以上です。 ○池田部会長 「ABO式血液型」の「式」を取るということでございますが、よろし いですか。どうぞ。 ○堀内部会長代理 私はどちらかというと原料の基準が大変重要であろうと思うのです が、二点お聞きしたいと思います。一つは2ページの一番上、「(4)輸血用血液製剤の 原材料を保存する場合は、1〜10℃の温度で保存しなければならない」となっているわ けですが、先ほどの生物学的製剤基準のところでは2〜6℃となっています。これも以 前よりはある程度厳しくなったということですが、どのくらいの期間かということが書 いていないのですけれども、10℃で本当に原料の性質がきちんと担保されるのかどうか 疑問です。余りにも幅が広過ぎると思いますので、やはり同じような温度設定にすべき ではないかと思いますが、いかがでしょうか。 ○池田部会長 これは先ほどの一部改正ということではなくて、生物由来原料基準その ものについてのことですね。今内容について御質問があったのですが、2ページに「(4) 輸血用血液製剤の原材料を保存する場合は、1〜10℃の温度で保存しなければならない」 とありますけれども、ここの温度の幅はどうでしょうかということですが。 ○事務局 生物由来原料基準については今年の5月に告示、7月からこの状態で施行さ れているということですが、この「1〜10℃」という基準を定める時点での審議の中で は品質を担保できると、安全性上も問題ないということで、こういった規定にさせてい ただいているところでございます。 ○堀内部会長代理 それでは製剤の方も「1〜10℃」でいいのではないですか。同じこ とが言えませんか。 ○事務局 これはあくまでも原料の方が「1〜10℃」、先ほど製剤の方はそれより少し 幅を狭めた規定になっておりますので、製造する過程、現場での対応に合わせた範囲で、 当然品質上問題がないということを担保の上で決められた数値となっております。 ○堀内部会長代理 原料のコンタミネーション及び性質をどう担保するかが一番重要な ところだと思いますけれども、そこでおかしなことが起こると、幾ら精製の段階できち んと温度を管理しても意味がないのではないかと思います。10℃での原材料の保存期間 も書いてありませんけれども、長く保存しても大丈夫だと言えますか。 ○池田部会長 岡田委員、どうぞ。 ○岡田委員 資料1-4の「(4)輸血用製剤」のところで、一応CPD液を使用した場合 は分離するまで8時間ということになっています。要するに、これはあくまでも採血し た段階であって、分離してしまえばもう製剤になりまして、それは2〜6℃と幅が狭く なっております。 ○堀内部会長代理 そうすると、採血してから分離するまでが8時間ということですね。 分かりました。 ○池田部会長 2〜6℃というのは赤血球製剤となったもの、そのまま患者さんに輸注 するものですね。どうぞ。 ○堀内部会長代理 原材料については、献血者から採血された血液ごとに血清学的にウ イルスのチェックをすると(5)で規定されていると思いますが、その後の(6)の核酸増 幅検査はそういう表現にはなっていないのですけれども、これはプールされたものであ ればいいということなのでしょうか。そうすると、この前のような感染の問題が生じる 可能性が出てくるのではないかと危惧いたしますけれども、いかがでしょうか。 ○事務局 先生のおっしゃるとおり、後段の部分についてはプールされたものでも可能 という解釈になります。 ○池田部会長 岡田委員、今話題になっているところですが、どうですか。 ○岡田委員 厳しい御指摘ですけれども、今日本赤十字社では50人プールでやっていま すが、どうしてもすり抜けてしまう例があるということで、その数は多少減ってきます し、最終的にそれが個々にできるかどうかというのはまだ時間の問題などがあります。 また、個々にしても恐らく何人かはすり抜ける例もありますので、その辺はまだ検討と いいますか、今後試薬等、短縮できるようなシステムができることを待つ、若しくは不 活化が成分製剤にも導入されることが可能であれば、またその辺も変わってくると思い ますので、現状では個々というのが難しいところです。 ○堀内部会長代理 方向性としてはあるのですか。 ○岡田委員 今50人プールですけれども、その数を小さくするという検討はもう始まっ ていると思います。 ○池田部会長 宮村委員、何かコメントは…、よろしいですか。これは時間の問題、費 用の問題、すべてリスクアンドベネフィットでどこで折り合いを付けるかということだ と思いますけれども、現時点ではそういうふうに決まっていると理解してよろしいでし ょうか。特にございませんでしょうか。この生物由来原料基準の一部改正の「ABO式」 の「式」を取ることについては、特に御異存はございませんね。ありがとうございまし た。それではこの改正は可ということで、薬事分科会報告とさせていただきたいと思い ます。一応本日の審議事項は以上の2議題ですけれども、次に報告事項に移りたいと思 います。審査センターから説明をお願いします。 ○事務局 それでは報告事項については三つ続けて御説明申し上げます。まずは議題1、 「医薬品メイアクト小児用細粒の製造承認事項一部変更承認について」を御報告いたし ます。資料3を御覧ください。本剤は明治製菓株式会社から一部変更承認申請がござい ました、セフェム系抗生物質であるセフジトレン ピボキシルを有効成分とするものでご ざいます。本剤は呼吸器感染症、皮膚感染症などを適応とした広域抗生物質として1998 年に承認された小児用製剤です。成人用製剤であるメイアクト錠100が現在有している 歯科領域感染症の歯周組織炎、顎炎の効能・効果を、今般小児用製剤にも追加しようと するものでございます。審査センターにおける審査の結果、承認して差し支えないと判 断いたしました。  続きまして議題2、「医薬品エピビル錠150、同300の製造承認について」を御報告 申し上げます。資料4を御覧ください。本剤はグラクソ・スミスクライン株式会社より 製造承認申請のありました、HIV逆転写酵素阻害作用を有するラミブジンを有効成分 とし、HIV感染症を効能とする医薬品でございます。ラミブジンを150mg含有する製 剤については本剤のほかに、既にエピビル錠として1997年2月に1回150mg1日2回投 与の用法・用量で承認されたものがございます。今般アドヒアランス向上のため、300mg 1日1回投与の用法・用量が新たに申請されたものでございます。すなわち、エピビル 錠150については1日2回投与と1回投与、エピビル錠300については1日1回投与が 用法・用量となるものでございます。審査センターにおける審査の結果、既存の150mg を1日2回投与と今回の300mgを1日1回投与との間で有効性、安全性に変わりなく、 承認して差し支えないと判断いたしました。なお、再審査期間についてはエピビル錠の 再審査期間の残期間を適用し、2007年2月までといたしたものでございます。  続きまして議題3、「医療用医薬品の再審査結果について」を御報告いたします。資 料5-1のセロトーン「ヨシトミ」、セロトーン注から資料5-3の塩酸グラニセトロン、 カイトリル注射液までの合計3成分の再審査報告書でございます。これらの品目につい ては、市販後の使用成績調査、特別調査の成績等に基づいて再審査申請が行われ、それ ぞれ審査の結果、いずれの品目についても薬事法第14条第2項各号の承認拒否事由のい ずれにも該当しないこと、すなわち効能・効果、用法・用量等の承認事項については変 更の必要はないカテゴリー1と判定したものでございます。これらの結果については近 く各々通知する予定といたしております。以上でございます。 ○池田部会長 ありがとうございました。医薬品メイアクト小児用細粒とエピビル、そ して3種類の制吐剤の再審査結果について報告いただきましたけれども、何か御質問ご ざいますでしょうか。特にございませんか。よろしいですか。それではどうもありがと うございました。本日予定いたしました議題は以上ですけれども、事務局の方から何か 報告はございますか。 ○審査管理課長 特にありませんが、次回の日程は11月21日10時30分からを予定し ておりますけれども、よろしいでしょうか。 ○池田部会長 それでは次回は11月21日ということでございますので、御出席の方よ ろしくお願いいたします。それでは本日はこれで終了させていただきたいと思います。 先生方にはお忙しいところお集まりいただき、ありがとうございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 佐藤(内線2734) - 1 -