戻る

生活保護基準に係る原理・原則について

○最低生活保障の原理(法第3条)
この法律により保障される最低限度の生活は、健康で文化的な生活水準を維持することができるものでなければならない。

○基準及び程度の原則(法第8条)
保護は、厚生労働大臣の定める基準(生活保護基準)により測定した要保護者の需要(最低生活費)を基とし、その者の金銭又は物品で満たすことのできない不足分を補う程度において実施。
生活保護基準は、要保護者の年齢別、世帯構成別、所在地域別等に応じて必要な事情を考慮した最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであって、且つ、これをこえないものでなければならない。

(参考)
昭和39年12月16日 社会福祉審議会生活保護専門分科会中間報告−抜粋−
2 当面の生活保護水準改善の方途
 一般国民の平均消費水準に比較して低所得階層の消費水準の上昇が大きく、消費水準の階層別格差縮小の傾向が見られる現状を前提として最低生活保障水準としての生活保護水準の改善を考える限りにおいては、一般国民の平均的消費水準の動向を追うのみではその目的を達し得ないものであって、低所得階層の消費水準とくに生活保護階層に隣接する全都市勤労者世帯第I・10分位階級の消費水準の動向に着目した改善を行なうことがとくに必要である。
 すなわち、第I・10分位階級における消費水準の最近の上昇率に加えて、第I・10分位階級と生活保護階層との格差縮小を見込んだ改善を行なうべきである。

昭和55年12月中央社会福祉審議会生活保護専門分科会中間的取りまとめ−抜粋−
 被保護世帯の消費支出水準については、昭和40年度以降、低所得世帯との消費支出水準格差を縮小することを目的とした格差縮小方式によって生活扶助基準が改定されてきた結果、当時の水準に比して相当の改善が図られた点は評価されるべきである。しかし、消費支出の内容を詳細に分析すると、栄養摂取の態様については主食の比率が高いこと等未だ貧困性が強く認められ、さらに、地域社会の成員としてふさわしい生活を営むために不可欠な交通費、教養費、交際費等社会的経費は一般世帯のみならず全国勤労世帯第1・10分位階級等の世帯と比較しても著しいひらきがあることなどを勘案すると被保護世帯の消費支出の水準は今後さらに改善を要するものと認められる。

昭和58年12月23日中央社会福祉審議会意見具申−抜粋−
 1 生活扶助基準の評価
(3) …総理府家計調査を所得階層別に詳細に分析検討した結果、現在の生活扶助基準は、一般国民の消費実態との均衡上ほぼ妥当な水準に達しているとの所見を得た。
 しかしながら、国民の生活水準は今後も向上すると見込まれるので、生活保護世帯及び低所得世帯の生活実態を常時把握しておくことはもちろんのこと、生活扶助基準の妥当性についての検証を定期的に行う必要がある。
 2 生活扶助基準改定方式
(1) 生活保護において保障すべき最低生活の水準は、一般国民生活における消費水準との比較における相対的なものとして設定すべきものであり、生活扶助基準の改定に当たっては、当該年度に想定される一般国民の消費動向をふまえると同時に、前年度までの一般国民の消費水準との調整がはかられるような措置をとることが必要である。


トップへ
戻る