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第25回年金資金運用分科会議事要旨


1.日時平成15年10月9日(木) 10時00分〜11時50分
2.場所中央合同庁舎5号館9階 厚生労働省 省議室
3.参加者・若杉分科会長 ・大和委員 ・島上委員 ・竹内委員 ・吉冨委員
・米澤委員

4.議事要旨(○は委員、●は事務局、△は年金資金運用基金の発言)

 1.平成14年度年金積立金運用報告書について
≪資料1、2について事務局より説明。以下、質疑。≫

 平成15年度第1四半期報告から収益率の計測方法を変えたとのことであるが、少なくとも14年度の報告でパッシブのベンチマークとの乖離が大きい理由が収益率の計測方法の問題であるとすれば、来年度の報告の際にはどのような形になるのか。また、運用機関の見直しを頻繁に行うことは単にコストを上げるだけで終わることが多いという主張もあるが、どのように考えればよいのか。
 収益率の計算については、15年度以降は基本的には日時評価を行うとのことであり、したがって来年度の報告では、評価法も合わせた形で整理していくことになると考えている。
 運用機関の評価については、運用の理念などの定性的な要素の部分と、過去のパフォーマンスという定量的な要素の部分の両方を勘案している。しかし、定性部分はどうしても定量部分に引っ張られることもあり、今後は定性部分の評価の精度を高めていくことが重要であると考えている。
 年金財政の均衡というときには、どの数字を見て考えればよいのか。
 財政再計算では、将来の給付を推計し、積立金の運用利息、国庫負担、保険料収入と給付費とが、単年度ではなく長期的に見て均衡するという形で予定を立てている。
 では、実質的な運用利回りさえ確保していればすべて問題ない、ということになるのか。
 運用に限らず、すべての状況について予定通りであれば問題ない、ということになる。
 運用責任と運用実績の評価との関係はどのように考えればよいのか。
 御案内のとおり、運用の世界では、いわゆる受託者責任として、注意義務なり忠実義務が果たされているかをチェックすることとなっているので、その結果についての責任はなかなか取り難いのではないかと考えている。ただ、年金財政に影響が出ているような状況になれば、基本ポートフォリオを作る際の前提条件を再度検証し、見直すという形になるのではないか。
 個々のベンチマークとの比較について、ベンチマークを上回れば何かしらのインセンティブが与えられ、そうでない部分はディスインセンティブが与えられる、という仕組みは何かあるのか。
 その上手い仕組みはまだないと思うが、現在、アカデミックなレベルでもベンチマークだけで評価して良いのかという議論がある。いずれにせよ、予定利率というものがある以上、ベンチマークとの対比ではほとんど負けていないといったときに、最初の予定利率ないしは基本ポートフォリオを作るところを含めて少なからず責任を感じる必要があると考えている。
 それでは、これで年金積立金運用報告書を報告いただいた、ということでよろしいか。(異議なし)

 2.基本ポートフォリオの見直しについて
≪資料3について事務局より説明。以下、質疑。≫

 日本で実際に運用対象とすることができるオルタナティブというのは存在するのか。また、国債を満期保有するというとき、全額をそうするのか。全額を基金で自主運用するということは実務的に可能なのか。
 オルタナティブについては、アメリカが一番マーケットが出来上がっているが、日本のマーケットはそこまで出来上がっていないというのは事実。特にプライベート・エクイティでは、アメリカではベンチャー等が標準的であるが、日本で一番あるのは再生ファンド。したがって、オルタナティブの考え方もアメリカと日本とでは分けて考える必要がある。
 国内債券の中で満期保有部分を持つというのが一つの整理の方向ではないか。また、運用の仕方については、今でも債券のパッシブ運用は自家運用で行っており、さらに、満期保有目的で持っている財投債も自家運用で行っているので、わざわざ満期保有分を手数料を払って委託するようなことは考えられず、自家運用で行うという整理になるのではないか。
 様々な資産を取り込んでいくときに、基金や民間の運用機関のシステム上の問題は、どの程度制約となっているのか。
 かなりのことはできると思うが、一部の投資戦略を採る場合には、何らかのネックが生じることもあるだろう。ただし、それが決定的にマイナスになる、ということはないのではないか。
 より広く分散投資を行うという考え方については賛成である。


〈照会先〉年金局運用指導課 企画係
 TEL 5253-1111(内線3350)
 夜間 03-3595-2868


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