05/09/22 薬事・食品衛生審議会薬事分科会 平成15年9月22日議事録          薬事・食品衛生審議会 薬事分科会 議事録 1.日時及び場所   平成15年9月22日(月) 15:00〜   厚生労働省専用第18〜20会議室 2.出席委員(18名)五十音順   石 橋 康 正、 板 倉 ゆか子、 井 部 俊 子、◎井 村 伸 正、    岩 渕 勝 好、○上 田 慶 二、 岡 本   彰、 神 山 美智子、    河 村 信 夫、 桜 井 靖 久、 杉 村 民 子、 土 屋 利 江、    長 尾   拓、 広 津 千 尋、 松 本 和 則、 溝 口 秀 昭、    溝 口 昌 子、 吉 田 仁 夫 (注) ◎分科会長 ○分科会長代理   欠席委員(6名)   青 柳   俊、 池 田 康 夫、 岩 田   誠、 南 部 鶴 彦、   早 川 堯 夫、 望 月 眞 弓 3.行政機関出席者   阿曽沼 慎 司(医薬食品局長)、 鶴 田 康 則(大臣官房審議官)、   吉 岡 荘太郎(総務課長)、 小 出 顕 生(医薬品副作用被害対策室長)、   友 藤 智 郎(医薬情報室長)、 岸 田 修 一(審査管理課長)、   北 條 泰 輔(医療機器審査管理室官)、   中 尾 貞 男(化学物質安全対策室長)、 平 山 佳 伸(安全対策課長)、   俵 木 登美子(安全使用推進室長)、 大 鶴 知 之(監視指導室長)、   金 井 雅 利(血液対策課長)、 浦 山 隆 雄(血液対策企画官)、   境   政 人(農林水産省薬事・飼料安全室長)、   豊 島   聰(医薬品医療機器審査センター長)  他 4.備  考   本分科会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○井村分科会長 それでは定刻となりましたので、ただいまから薬事・食品衛生審議会 薬事分科会を開催させていただきます。まず始めに事務局の方に大分異動があったよう でございますので、事務局より御紹介願います。 ○総務課長 医薬食品局総務課長の吉岡でございます。8月29日付けで食品安全部より 着任いたしました。どうぞよろしくお願いいたします。先般6月の薬事分科会の後、7 月に本省組織の改編がございまして、食の安全にかかわる重要問題について局を挙げて 対応する体制を構築するため、名称を「医薬局」から「医薬食品局」としたところでご ざいます。また、8月末には幹部職員の異動がございましたので、議事に先立ちまして 御紹介申し上げたいと存じます。まず始めに、小島医薬食品局長に替わりまして阿曽沼 医薬食品局長が就任しておりますので、ごあいさつを申し上げます。 ○医薬食品局長 阿曽沼でございます。8月29日付けで医薬食品局長を拝命いたしまし た。どうぞよろしくお願い申し上げます。委員の皆様方におかれましては、日ごろから 医薬行政の推進に当たり格別の御支援、御尽力を頂いておりますことに対しまして、ま ず厚くお礼を申し上げます。局の方も医薬食品局ということで、食品も含めた体制にな りました。国民の期待にこたえていく所存でございますので、よろしくお願い申し上げ ます。  私は平成8年に旧薬務局の時代の経済課長を1年半ほどやっております。今回再び医 薬行政に携わることになりましたが、当時と比べても体制の大変強化された部分もござ います。変化の大変激しいこの分野でございますけれども、課題は山積しておりますの で、一つ一つ解決していきたいと思っております。  本日の薬事分科会においては医薬品の承認の可否のほかに、本年7月に施行いたしま した改正薬事法に基づく感染症の定期報告、あるいは医薬品等の副作用及び回収報告を 当審議会に行うための薬事分科会規程の改正等について御審議いただきたいと考えてお ります。こういった改正によりまして、本審議会の権限と責務が大変増えておりまして、 国民から寄せられる期待も高まっていくことになると考えております。委員の先生方の より一層の御尽力、御協力をよろしくお願い申し上げます。以上簡単でございますが、 ごあいさつに代えさせていただきます。 ○総務課長 大変恐縮ではございますが、阿曽沼局長は所用のため退席させていただき ます。続きまして医薬食品局幹部職員の紹介を申し上げます。まず始めに医薬品関係で ございますが、岸田審査管理課長でございます。 ── 医薬食品局長退席 ── ○審査管理課長 岸田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○総務課長 続きまして平山安全対策課長でございます。 ○安全対策課長 平山でございます。よろしくお願いいたします。 ○総務課長 続きまして金井血液対策課長でございます。 ○血液対策課長 金井でございます。よろしくお願いいたします。 ○総務課長 続きまして小出医薬品副作用被害対策室長でございますが、遅れておりま すので後ほどごあいさつ申し上げます。続きまして友藤医薬情報室長でございます。 ○医薬情報室長 友藤でございます。よろしくお願いいたします。 ○総務課長 続きまして中尾化学物質安全対策室長でございます。 ○化学物質安全対策室長 中尾でございます。よろしくお願いいたします。 ○総務課長 続きまして俵木安全使用推進室長でございます。 ○安全使用推進室長 俵木でございます。よろしくお願いいたします。 ○総務課長 続きまして大鶴監視指導室長でございます。 ○監視指導室長 大鶴でございます。よろしくお願いいたします。 ○総務課長 続きまして浦山血液対策企画官でございます。 ○血液対策企画官 浦山でございます。よろしくお願いいたします。 ○総務課長 続きまして本席出席の農林水産省関係でございますが、農林水産省におい ても組織改編がございまして、生産局畜産部衛生課から消費・安全局衛生管理課となっ たところでございます。本日、境薬事・飼料安全室長が出席でございます。 ○農林水産省薬事・飼料安全室長 境でございます。よろしくお願いいたします。 ○総務課長 続きまして医薬品医療機器審査センターでございますが、青木企画主幹で ございます。 ○企画主幹 青木でございます。よろしくお願いいたします。 ○総務課長 続きまして赤川審査第一部長でございます。 ○審査第一部長 赤川でございます。よろしくお願いいたします。 ○総務課長 以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。 ○井村分科会長 ありがとうございました。続きまして議事に入る前に、いつものよう に事務局から資料の確認をお願いいたします。 ○事務局 それでは資料の確認をさせていただきます。審議事項については資料1とな っております。それから報告事項については資料2〜16となっておりますが、そのうち さきにお配りしている資料12の「生物由来原料基準の一部改正について」、及び資料 13の「化粧品基準の一部改正について」は資料に不備がございました関係で、恐縮では ございますが本日差し替えの資料を机の上に御用意させていただいております。その他 の事項といたしましては、本日お配りしている資料17となっております。そのほか議事 次第、座席表、名簿を配付させていただいております。また、さきの6月に開催された 本薬事分科会で御報告させていただいた「プロトピック軟膏0.03%小児用」の「審査報 告書(3)」も本日配付いたしておりますので、併せて御確認いただきたいと存じます。 ○井村分科会長 ありがとうございました。お手元にございますでしょうか。ただいま の説明のように、本日は審議事項が1件、報告事項が15件、その他の事項といたしまし て1件予定されておりますが、このその他の事項については分科会規程の改正でござい ます。審議事項に当たりますので、最後になり大分遅くなってしまいますが、委員の皆 様には御審議いただきたいと思っております。  それでは審議に入ります。本日はこの審議事項の議題1に関しまして、杏林大学医学 部第一内科教授の後藤先生に専門委員としてお越しいただいております。後藤先生、よ ろしくお願いいたします。それでは資料1、議題1の「医薬品ケテック、同錠300mgの 輸入承認の可否、生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、再審査期間並びに 毒薬及び劇薬の指定の要否について」でございます。この議題については医薬品第二部 会で審議されたものでございますけれども、第二部会長の池田先生が御欠席でございま すので、最初に事務局の方から御説明願います。 ○事務局 それでは議題1、資料1、医薬品ケテック、ケテック錠300mgの輸入承認の 可否等について、審査センターより御説明いたします。テリスロマイシンはケトライド 系抗生物質と称される新しいクラスの抗生物質であり、非定型微生物やペニシリン耐性 肺炎球菌、マクロライド耐性肺炎球菌などにも抗菌力を示すことを特徴としており、海 外では欧州で2001年7月に承認されております。本申請では、呼吸器感染症、耳鼻科領 域感染症及び歯科・口腔外科領域感染症の適応について承認申請が行われました。  臨床試験の成績としましては、添付資料としては国内で実施された17試験と海外で実 施された36試験、参考資料として国内外16試験の結果が提出され、申請後に6試験の 結果が追加提出されております。日本人と外国人における薬物動態の比較の結果、体格 の違いから日本人では同じ投与量で本薬の血中濃度が高くなることが示唆されたため、 国内で実施された肺炎を対象とする用量確認試験において、海外の承認用量である1日 800mgと同程度の薬物動態パラメータが日本人で得られる1日600mgとの比較が行われ ました。その結果、臨床効果では両群間に差は認めなかったものの、安全性では600mg 群と比較して800mg群において有害事象の発現率が15%以上高かったことから、600mg 1日1回が本薬の推奨用量であるとされました。第III相比較試験は市中肺炎の患者を対 象に実施され、臨床効果では対照薬であるレボフロキサシンに対する非劣性が検証され ました。菌消失率ではレボフロキサシン群100%に対して本薬群73.9%と劣る結果とな り、その要因は起炎菌とされた57株のうち31株を占めるインフルエンザ菌で菌消失率 が67.7%と低かったためであるとされています。  審査センターはこの結果を踏まえ、インフルエンザ菌については臨床効果では他の菌 種と同程度の有効性が示されていたことから適応菌種とはするものの、MICの推移等 について市販後調査でフォローアップを行う必要があると判断しております。また、投 与期間が肺炎では最大7日間までとされていることについて、専門協議においてその妥 当性が議論となりました。その議論も踏まえ、投与期間については臨床試験におけるフ ォローアップの観察においても、非定型肺炎も含めて大きな問題は見られていないこと、 また耐性菌の出現の可能性を最小限にするために、投与期間を明確にして適正使用を促 したいとの申請者の見解も考慮し、各適応症における投与期間を用法・用量として設定 しております。一方安全性については、国内臨床試験の結果からは重篤な有害事象の発 現は少ないものの、本薬の特性からQT延長などの心血管系の副作用や眼の調節障害の 発現のおそれがあること、類薬のマクロライド系抗生物質では肝機能障害や黄疸が重大 な副作用として見られること、海外で重症筋無力症の悪化が報告されていることなどを 考慮して、市販後調査における安全性のフォローアップと適正使用の推進が必要である と判断しております。  それから7月に開催された医薬品第二部会では、本薬がペニシリン耐性肺炎球菌など にも抗菌力を有し臨床効果が示されていることから、本薬が不適切に広く使用され本薬 に対する耐性菌が出現・拡大することがないよう、適正使用に十分に留意する必要があ るとの御意見を頂きました。これを踏まえ本薬の使用に当たっては、患者さんの病態か ら可能性のある原因菌を的確に想定した上で適正使用がなされるように十分留意すると ともに、市販後調査において使用状況を確認することについて申請者を指導しておりま す。  以上のような審査の結果、審査センターは、本薬は市中呼吸器感染症の主たる原因菌 に対して抗菌力を有すること、昨今問題となってきているペニシリン耐性肺炎球菌やマ クロライド耐性菌に対しても抗菌力を有し、臨床効果が示されていることから、本薬を 承認して差し支えないものと判断いたしました。本申請は新有効成分含有医薬品である ことから、再審査期間は6年とすることが適当であると判断しております。なお原体は 劇薬に該当し、製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当せず、また本剤は生物由来製品又 は特定生物由来製品に該当しないと判断しております。御審議のほどよろしくお願いい たします。 ── 説明途中、桜井委員着席 ── ○井村分科会長 ありがとうございました。後藤先生、恐れ入りますが、ただいまの説 明について何か補足の御説明はございますでしょうか。 ○後藤専門委員 今御説明がございましたように、この薬剤はマクロライドという非常 に歴史の長い抗菌薬と同じ基本的な構造を持つ薬剤ですけれども、マクロライドは長く 使われている間に随分耐性菌が増えてまいりました。例えばこの薬剤の適応症となる肺 炎に関して言いますと、一番多い起炎菌は肺炎球菌で二番目がインフルエンザ菌と考え られるわけですが、肺炎球菌に関しては大体7〜8割程度で耐性菌が見付かる、それか らまたインフルエンザ菌に関してもかなりの耐性菌があるという状況にあります。非常 に安全性が高い薬で広く使われていたのですが、今後使われることに関してはやはり問 題があるということで、その骨格の中の8位にケトン基を入れて新しくこの薬が開発さ れたわけです。そういうことで、従来の薬とは別に新規の抗菌薬としてケトライドに分 類される薬剤ということで今回申請になっております。  今お話しした欠点がかなり解消されておりまして、一番大きなポイントはペニシリン 耐性の肺炎球菌に対してこの薬は抗菌力を持つということです。二番目は従来のマクロ ライドに耐性となった肺炎球菌に対しても抗菌力を持つと。今後更に問題になるであろ うニューキノロンに対する耐性菌に関しても、恐らくこの薬剤は有効であろうというこ とで、肺炎球菌に対して大きな武器になり得るだろうということが一つ目の特徴だと思 います。二つ目の特徴は、市中肺炎というと一般細菌だけではなくて、マイコプラズマ やクラミジアといったいわゆる非定型病原体がかなりのパーセンテージを占めてくるわ けですけれども、これらの非定型病原体に対しても抗菌力が示され得るということで、 実際に臨床試験の中でも有効性があり、臨床的な意味合いとしては十分な価値のある薬 剤ではないかと考えられました。  ただ、この薬剤に関しては今説明がございましたように、インフルエンザ菌に関して 従来のマクロライドより改善はされているのですけれども、まだ完全にたたき切るだけ の力はないのではないかという問題も少し残っておりますので、この辺に関しては市販 後調査で更に検討していくということが一点。それから二点目の問題は、非定型病原体 に有効だということがございますけれども、従来非定型病原体に使われる抗菌剤の使用 期間というのは1週間以上2週間とか、その程度が臨床的な経験としてございます。そ の中でこの薬剤は5日や7日というきちんとした投薬期間を決めておりますので、それ が臨床的にどのように評価されるかということ。市販後も含めてこの辺を更に調査する 必要があろうということで、医薬品第二部会の中では議論がございました。その辺の議 論を踏まえて、この薬剤に関しては抗菌薬の中で十分なポジショニングを持つ薬剤であ ろうということで、医薬品第二部会では結論されたと理解しております。以上です。 ○井村分科会長 どうもありがとうございました。それでは事務局からの説明とただい まの後藤先生からの補足説明に関して、特に御意見、御質問がございましたらどうぞお 願いいたします。どうぞ、河村委員。 ○河村委員 二つお教えください。これは肺胞内濃度が余り上がらないということでご ざいますが、それでもこの800mgで有効であるのかどうか。それでそういうような、例 えばインフルエンザ菌に少々弱い、それから肺胞へ行かないという状態でだんだん効い てきて7日以上投与したい、投与すれば効くであろうという状態の症例が出てこないか なと素人は考えますが、この点をひとつお教えいただきたい。  それから副作用として霧視、Nebelsehenが出ています。かすんで見えるということで ございますけれども、機構は調節筋に異常を来すからだということが書いてあります。 調節筋に異常を来したら霧視を来すのかどうか私はよく知りませんが、来すのでござい ましょうね。ただ、外国で失明が1例出ておりますね。つまり不可逆性変化を起こした 眼の障害があるということになると、やはりこれは添付文書に入れるべきではないかと。 これは先生の方ではなくて、事務局の方へのお話ということになりますが、私はその二 点がちょっと気になりました。 ○井村分科会長 それではそれについて最初に後藤先生、よろしくお願いいたします。 ○後藤専門委員 この薬剤は基本的にはマクロライドと同じような薬剤で、組織移行性 は特にβラクタム系などと比べて悪いということはございません。もう一つは細胞内移 行性が高くて細胞内濃度も上がるということでございまして、これは実際に気道分泌液 の濃度として確認されていたと思います。その辺を勘案すると十分な生物学的活性が期 待できるだけの濃度が、実際の炎症局所で期待できるであろうということだと理解され ておりました。実際に臨床データを見ても、有効な菌種に関しては90%以上の有効率と いうことで、それが立証されていると理解しております。それから霧視の件に関しては 事務局の方でお願いします。 ○事務局 御指摘のありました海外の自発報告の方で霧視、あるいは失明の報告があっ た件なのですけれども、こちらの方は自発報告のためにその後のフォローアップまでき ちんと報告されていないというのが現状でございます。審査報告書の53ページに専門協 議の結果について記載しているのですけれども、眼科の先生に専門協議へお入りいただ いて、この眼に対する副作用について注意して御覧いただいたところ、まず霧視、視覚 障害があったことについては調節障害であろうと。それから海外で報告があった失明の 1例については原疾患の影響が考えられて、薬物の影響で投与1日で失明に近い状態に なるというのは恐らく通常考えにくいであろうという御意見を頂いております。  それからアメリカの方で2万4,000例、本薬群1万2,000例の大規模臨床試験が行わ れておりまして、安全性について特に注意して検討されているのですけれども、そちら の方でも眼に対する副作用の発現率としては対照薬群に比べて若干高かったものの、特 に不可逆性の副作用は出なかったと、すべて元に戻ったということで、注意喚起をした 上で使用することで構わないのではないかと考えております。添付文書については2ペ ージの「使用上の注意」の「2.重要な基本的注意」ということで、調節障害(霧視等) が報告されている旨については記載させていただいております。 ○河村委員 ただ、もとの外国の方の主治医はこの薬剤との関連が非常に深いと判定し ていると書いておられますので、それでも日本ではこの程度で、それは多分関係ないで あろうと判定してしまってもいいのかということがちょっと気になったものですから。 ○事務局 こちらは主治医の判定ですので、直接御覧いただいている方の御判断という のはある程度尊重すべきだとは思いますけれども、そのほかの海外の臨床試験、国内の 臨床試験、それから海外の市販後に報告されている副作用の状況等を考えますと、恐ら く大丈夫であろうと判断しているところでございます。 ○井村分科会長 よろしゅうございますか。 ○河村委員 それからもう一点、7日で切ってしまって8日間の投与は認められないと いうのは、比較試験などが7日間であったからということですか。 ── 医薬品副作用被害対策室長着席 ── ○事務局 国内の試験がそれで行われたということでございます。海外の方では10日間 と7日間の比較試験もございまして、それで7日間で大丈夫であろうということでこの ような設定がされているものでございます。特にこれは新しいクラスの薬として出すこ とになりますので、適正使用については十分に注意したいという申請者の意向も踏まえ まして、用法・用量としてきちんと「7日間まで」と記載させていただいたところでご ざいます。 ○河村委員 後藤先生、こうなりますともう7日間以上はやってはいけないと保険の審 査などで切られてくると思いますが、8日目、9日目に効くようなことは考えなくても よろしゅうございますか。 ○後藤専門委員 これは経口の抗菌薬ということですので、基本的に軽症ないしは中等 症の呼吸器感染症に使われるということです。中等症以上重症、更には経口で1週間使 っても有効でなかったような症例は、静注ないし更に強い経口薬に切り替えるのが今の 医療現場での常識だと思いまして、その意味では大きな問題はないと思います。ただ、 一点問題になるとしますと、先ほどお話ししたようにこの薬剤は非定型病原体にも効果 があるということで、例えばレジオネラ症のような重症の肺炎に使われた場合に1週間 で十分かどうかという辺りは、問題になる可能性はあると思います。その辺に関しては 先ほど申し上げたように、市場に出た後更に調査を継続してもらうということで考えて おります。 ○井村分科会長 河村委員、よろしゅうございますか。ほかに御意見、御質問はござい ませんか。よろしゅうございますか。それでは、本件については御承認いただいたとい うふうにさせていただいてよろしゅうございますか。ありがとうございました。  これから報告事項に入ります。では、事務局より報告事項の議題1から簡単に御説明 をお願いいたします。 ── 後藤専門委員退席 ── ○事務局 それでは報告事項議題1の副作用被害判定結果について、お手元の資料2に 基づいて御説明させていただきたいと思います。前回の薬事分科会開催以降本日までの 間、7月24日木曜日に平成15年度第2回副作用被害判定部会が開催されております。 その部会における結果を御報告させていただきたいと思います。その部会においては合 計195件、内訳としては新規案件が140件、継続案件が11件、それから現況を確認させ ていただいた案件の44件について、御審議、御報告させていただいております。判定の 結果としては、支給決定することが適当と考えられるものが169件、不支給決定するこ とが適当と考えられるものが25件、追加情報を得て再度審議することが適当と考えられ る、いわゆるペンディングのものが1件ございました。それぞれの個別の案件の状況に ついては2ページ以降でございますが、原疾患、原因医薬品名、副作用名、不支給等の 簡単な理由等についてまとめさせていただいております。以上でございます。 ○井村分科会長 ありがとうございました。少し続けて御説明をお願いしたいと思いま す。議題2〜7まで続けてやっていただけますか。 ○事務局 そうしましたら、一応議題8までが医薬品第一部会、第二部会の関係ですの で、議題2〜8について御報告させていただきます。このうち議題2〜7が新薬関係、 議題8は希少疾病用医薬品の指定関係となります。まずは新薬関係ですが、本日の報告 は議題2〜5の4件が8月8日開催の医薬品第一部会において審議され、議題6〜7の 2件が9月5日開催の医薬品第二部会において審議され、いずれも承認して差し支えな いとされた計6件についてでございます。  まず、始めに資料3をお願いいたします。議題2、塩酸プラミペキソール水和物、シ フロール錠0.125mg、同0.5mgについてでございます。一般名は塩酸プラミペキソール 水和物、申請者は日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社。本薬は非麦角系構造を有 するドパミン受容体作動作用を有し、パーキンソン病を効能・効果とする新有効成分含 有医薬品でございます。再審査期間は6年とされ、原体・製剤共に劇薬に該当し、生物 由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないとされているものでございま す。  続きまして資料4をお願いいたします。議題3、ランタス注カート300、同キット300 についてでございます。一般名はインスリン グラルギン(遺伝子組換え)、申請者はアベ ンティス ファーマ株式会社でございます。本薬はヒトインスリンのアミノ酸1残基を置 換し2残基を付加した持続性インスリンアナログで、インスリン療法が適応となる糖尿 病を効能・効果とする新有効成分含有医薬品でございます。基礎インスリン分泌の補充 に用いられるものでございます。再審査期間は6年とされ、劇薬に該当するとされてお ります。また、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないとされてお ります。  続きまして資料5をお願いいたします。議題4、ビスダイン静注用15mgについてでご ざいます。一般名はベルテポルフィン、申請者は日本チバガイギー株式会社。本薬は光 線力学的療法用光感受性物質であり、中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性症を 効能・効果とする新有効成分含有医薬品でございます。再審査期間は10年とされており、 劇薬に該当するとされております。また、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれ にも該当しないとされております。本薬は希少疾病用医薬品に指定されているものでご ざいます。  続きまして資料6をお願いいたします。議題5、ペガシス皮下注180μg、同90μgに ついてでございます。一般名はペグインターフェロン アルファ-2a(遺伝子組換え)、 申請者は中外製薬株式会社でございます。本薬はインターフェロン アルファ-2aをポ リエチレングリコールで化学修飾し、血中薬物消失時間を延長した新有効成分含有医薬 品でございます。C型慢性肝炎におけるウイルス血症の改善を効能・効果とするもので ございます。再審査期間は6年とされ、劇薬に該当するとされております。また、生物 由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないとされております。  続きまして資料7をお願いいたします。議題6、レザフィリン、注射用レザフィリン 100mgについてでございます。一般名はタラポルフィンナトリウム、申請者は原体につ いては和光純薬工業株式会社、製剤については明治製菓株式会社でございます。本薬は 光線力学的治療法用光感受性物質であり、外科的切除等の他の根治的治療が不可能な場 合、あるいは肺機能温存が必要な患者に他の治療法が使用できない場合で、かつ内視鏡 的に病巣全容が観察でき、レーザ光照射が可能な早期肺癌を効能・効果とするものでご ざいます。再審査期間は6年とされており、原体・製剤共に劇薬に該当するとされてお ります。また、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないとされてお ります。  続きまして資料8をお願いいたします。議題7、ホスフルコナゾールファイザー、プ ロジフ静注液100、同200、同400についてでございます。一般名はホスフルコナゾール、 申請者はファイザー株式会社。本薬はフルコナゾールをリン酸エステル化したプロドラ ッグであり、カンジダ属及びクリプトコッカス属による真菌感染症を効能・効果とする ものでございます。再審査期間は6年とされており、原体・製剤共に劇薬に該当しない とされております。また、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しない とされているものでございます。  続きまして資料9をお願いいたします。議題8、ブスルファンを希少疾病用医薬品と して指定することの可否についてでございます。1枚めくっていただきまして、今般希 少疾病用医薬品として新たに指定させていただく品目は、麒麟麦酒株式会社から申請の あったブスルファンであります。造血幹細胞移植時の前処置を予定効能としたものでご ざいます。我が国における対象患者は年間約6,000例と推定されております。本件は平 成15年7月30日に開催された医薬品第二部会において御審議いただき、希少疾病用医 薬品として指定して差し支えないとの御結論を頂いたものでございます。以上でござい ます。 ── 説明途中、溝口(秀)委員退室 ── ○井村分科会長 ありがとうございました。それではここで御説明をちょっとストップ させていただきまして、これまでの説明について御意見、御質問がございましたらお願 いいたします。どうぞ、河村委員。 ○河村委員 ホスフルコナゾールはフルコナゾールのプロドラッグですよね。そうしま すと、比較試験のときにプロドラッグとフルコナゾールを比較していても、大体理論的 な比較の結果しか出ないと思うので、イトラコナゾールやミコナゾールとの比較は話に 出てこなかったのかということ。あるいはミカファンギンというものが近ごろ出ていま すが、そういうものとの比較はしなくてもよかったのか。それから、なぜアスペルギル スに効かないのかということをちょっと教えていただけますか。 ── 溝口(秀)委員入室 ── ○井村分科会長 事務局、お願いいたします。 ○事務局 それではお答えさせていただきます。まず、試験のデザインについてなので すけれども、本来であればこのもとになるフルコナゾール、あるいはその類薬との比較 試験が求められるところだとは思うのですが、特にこのホスフルコナゾールでは重症の 感染症の患者さんを対象としましたので、比較試験を組むのは恐らく難しいであろうと。 特にこの真菌感染症については、昨年御承認いただいたミカファンギンについても比較 試験を実施せずに承認したところでございますので、そういう患者さんで比較試験を組 むのは困難であろうと考えております。  それからアスペルギルスについてなのですけれども、既存のフルコナゾール製剤には 効能として含まれているのですが、このフルコナゾールではMIC、感受性が余り良く ないこと、それから実際の医療現場でもアスペルギルスについては余り効果が高くない のではないかという御意見も踏まえまして、今回の申請では当初からアスペルギルスを 除いた形で申請されたものでございます。医薬品第二部会の方でも、既存のフルコナゾ ールのアスペルギルスの効能について御意見を頂きまして、現在申請者であるファイザ ーがフルコナゾールの製剤も承認を持っていることから、既存のフルコナゾール製剤の アスペルギルスの適応について再検討する必要がないかどうか、現在考えてもらってい るところでございます。 ○井村分科会長 よろしゅうございますか。ほかに御質問、御意見はございませんでし ょうか。どうぞ、桜井委員。 ○桜井委員 伺いたいことがありますが、資料5と7は共にレーザーの光工学的治療に 関するものなのですけれども、添付文書で私がちょっと奇異に感じましたのは、このレ ーザーの用法・用量のところなのです。資料5では添付文書2ページのところで、「用 法及び用量」の3行目に「治療スポットに83秒間照射する」と書いてあります。それか ら資料7の方は、同じく添付文書の1ページの左下の方に「・照射時間:11分7秒間」 と書いてあります。私は日本で初めてレーザーメスを作ったりして経験がございますが、 この「83秒間」や「11分7秒間」のようにきちんとした数が添付文書に記載されている というのがどうしても解せないのです。例えば薬を投与してから4〜6時間の間にやる とか、それは当然局所の薬物の濃度も違っているでしょうし、あるいは当て方の角度も 違っているでしょうし、いろいろなバラエティーがあると思うのですが、それにもかか わらず何秒間という決まった数値が記載されているのはなぜなのでしょうか。 ○井村分科会長 事務局からお願いします。 ○事務局 事務局からお答えします。基本的にはそのような臨床試験が組まれていると いうことが一番の大きな理由ですが、例えば資料5のビスダインについては具体的に83 秒間どうするのかというと、実際にレーザーの方で83秒間のカウントダウン形式になっ ておりまして、医師がフットペダルを踏んでいる間はずっとそのカウントが減っていく と。最終的に83がゼロになったときにレーザー照射が終わるという設定にあらかじめな っておりますので、実際にそういう83秒間当てた試験でプラセボに対する有効性、ある いは日本での臨床試験での効果が認められたということから、そういう用法・用量の設 定をしたと。この薬は光照射ということで、当然過量に当てた場合には余計な…、例え ば正常な新生血管への影響が排除できないという可能性もあることから、我々としては その辺の用法・用量についてはなるべく具体的に明記した方がより適正に使われるだろ うという観点で、今回は設定させていただいたということでございます。 ○事務局 資料7について補足的に御説明させていただきます。本剤についても、この レーザー照射時間を固定して臨床試験を実施したところでございます。そして添付文書 でございますけれども、照射パワー密度、それから照射エネルギー密度というものが設 定されておりますが、この各密度を得るために特定されている当該機器において照射時 間11分7秒間が必要であるということでございます。実際に機器においても、この時間 照射されるような設定となっております。 ○桜井委員 御説明は分かるのですけれども、こうやって時間が有効数字三けたとか二 けた、83秒とか7秒というきっちりした数で…、私はやはり幅があってしかるべきもの だと思うのです。光化学治療における照射のやり方、あるいは照射の実態といいますか、 それほど厳密性のあるものではないと思うのです。例えば角度によっても違うし、距離 によってもやはり違いが出るし、それなのにこの83秒や11分7秒ということを書くと かえって誤解を招くような気がするのです。要するに不必要な正確さの記述というのは、 それに何か根拠があればいいのですけれども、やはり幅があってしかるべきだろうと。 11〜12分の間とかそういうことなら納得できるのですが、こうきちんと書かれてしまう と、それを少しでも超えたらまずいのではないかという誤解を招くのではないかと思い ました。 ○事務局 事務局から補足で御説明させていただきますが、逆に超えた場合にこの薬の 安全性を担保できるデータを我々は持ち合わせておりませんで、具体的に資料5につい ては83秒間いかにきちんと照射するかということで、レーザー側、医療機器側の方でも 今かなり検討が行われているという状況です。先生がおっしゃるように、実際の医療現 場でこのPDT療法をどう適正に使用するかということで、資料5、資料7、どちらに おいてもきちんと講習を受けた医師のみがこの薬を使ってPDTを施行するという承認 条件を付けさせていただいております。使う前にその辺の使い方あるいは機器の使用の 仕方、83秒間の当て方、角度はどうなのかといったことについても、具体的に講習を受 けていただいた医師のみがこういう薬を使えるようにという承認条件を与えた上で、我 々はこの薬を承認していいのではないかと判断したところでございます。 ○桜井委員 その医師のトレーニングあるいは習熟の程度と今の私の質問とは、全く意 味合いが違うと思うのです。そういう教育を受けた人ほど、どうして83秒間というきち んとした値なのかという疑問を持つのだろうと思うのです。ですから幅があれば別です けれども、私はやはりこの記載はちょっと不適切ではないかという気がするのです。そ ういう意見でございます。 ○井村分科会長 ありがとうございます。実際に幅を設定する根拠がないわけですね。 ○事務局 この83秒間、いろいろな照射時間についても当然非臨床での経験に基づいて 最終的に臨床で設定されておりまして、我々はこれ以外の幅を記載する根拠はないと思 っていますので、現時点ではこの条件を設定した上で承認することが適切だと判断して おりますし、医薬品第一部会の方でもそのような御意見を頂いているかと思います。 ○井村分科会長 いかがでございましょうか。ほかに御意見…。 ○桜井委員 もし幅を設定する根拠がないならば、83秒間と決めた根拠もないと私は思 います。といいますのは、当然お分かりだと思うのですけれども、これはレーザーを当 てるわけですから、そのときそのときで角度の問題とか距離の問題とかいろいろバラエ ティーがあると思うのです。時間だけ83秒とか11分7秒というきちんとした値にする のは、いかにも一つだけものすごく正確にして、ほかはいい加減と言っては悪いけれど も、幅があるということです。やはりそれに合わせた幅を持たせるのが至当ではないか と。こういう書き方をすると、知らない人はやはりその83という数字に非常に意味があ るのかと思いますから。 ○井村分科会長 この83というのは前臨床試験をやって、それが最も適当であるという ことで臨床試験に移ったのですか。 ○事務局 実際には当然いろいろな照射条件を検討しておりまして、臨床試験の第II相 試験でいろいろな照射量、最終的な光照射エネルギーをどれぐらいの時間当てるか、あ るいは投与後照射するまでの時間をどのくらいにすればいいかといった様々な条件を使 っておりますけれども、その中で当て過ぎると視力の低下をむしろ悪化させてしまうと いう結果が出ております。ではその83秒が84秒になったらどうなのかといった辺りは、 確かに我々としてもデータを持ち合わせておりませんけれども、この検討された条件の 中では今の設定、最終的に83秒間、600mW/c平方メートル、光照射エネルギー量としては 50J/c平方メートルを当てたときに、この薬の有効性がきちんと証明されていると判断し ておりますので、今の提示された資料からそれ以外の条件を設定するのはなかなか難し いだろうと思います。 ○井村分科会長 分かりました。83秒間の照射で得られたデータで物を言っているとい うことだと思います。先生のおっしゃることは私もよく分かりますが、今ここで幅を作 るということは恐らく不可能なのではないかという気がいたしますけれども、いかがで ございましょうか。もし幅を作るとすれば新たに…。 ○桜井委員 要するに83秒間や11分7秒という非常に厳密な数字をここに書くこと自 体が、私はやはり一種非科学的だと思うのです。臨床の医療というのは相当幅のある中 でやっているわけですから…。 ○井村分科会長 ちょっと事務局の方から説明があります。どうぞ。 ○審査第二部長 一応83秒がどうして出てきたのかという説明が、ちょっとまだ不十分 な気がいたしますので…。 ○桜井委員 それはいいのですが、ここに83というきちんとした数を記載したというこ とを私は問題にしているのです。 ○審査第二部長 これは照射出力600mWで50Jを単位c平方メートル当たりに当てるため に、結局計算上83秒が必要だというのがまず83秒の意味なのです。それに伴って照射す る専用の医療用具、レーザー照射装置の方が83秒をカウントダウン式に照射するよう専 用にセットされている状況でございます。装置の方ですので秒数は非常に正確にコント ロールされるものですから、装置の照射条件はむしろ動かないように医療用具の審査の 中で規定されています。そういうことから、器械の方からは83秒プラスマイナスという 誤差がほとんどわずかなところで照射されるように設定されているというのが実情でご ざいます。その点を添付文書にどのように表現するかというところで、説明が不十分だ という御指摘と理解させていただきますが、そこを工夫することは可能かと思うのです。 実際上装置の方は83秒というタイマー設定をプラスマイナスどれだけにしていいとか、 そういう調節のアローワンスを余り持てるようになっていないということが実情なので、 そういう照射の実情からして83という数字自身はある程度意味を持っていると我々は考 えたのです。 ○審査第一部長 ちょっと補足させていただきますと、例えば資料7のレザフィリンの 装置でいいますと、医療用具の規格及び試験方法は照射時間で設定してございます。照 射時間11分07秒に設定いたしましてレーザー光を照射すると。照射時間を特定したと き照射時間の精度はプラスマイナス1%以内であるという設定はさせていただいており ますので、そういう意味であるということで御理解いただきたいと思います。 ○井村分科会長 いかがでございましょうか。ただいまの御説明で、少なくとも83秒と いうのはもう器械の方がそういう設定になっていると、そこからほとんどプラスマイナ ス…、余り変化させられないということですね。そうしますと、差し当たってはこの添 付文書の表現どおりで行かなければならないかと思いますが、いかがでございましょう。 よろしゅうございますか。どうぞ、上田委員。 ○上田分科会長代理 私は素人で余りよく分かりませんが、今の御説明ですと照射エネ ルギーというものが先にあって、そのエネルギーの必要な量を供給するにはこれだけの 時間が要るという考え方で時間が設定されているのではないかと思うのです。それなら ば説明の仕方として、光エネルギーがこれだけ必要であると。括弧して、そのためには 何秒間の照射が適切であるというふうにすれば、もう少し科学的になるのではないでし ょうか。そうしないとオートナンバーといいますか、妙な数が出てくるわけです。それ が桜井先生の言われたような理解し難い数字になってしまうと思いますけれども、いか がでしょうか。 ○井村分科会長 例えば資料7の添付文書の1ページの一番左下に注意事項が書いてあ りますが、そのとおりなのですね。今上田先生が言われたように、その装置を使ってや る場合には照射パワー密度と照射エネルギー密度がこのように決められて、そうすると 照射時間としては11分7秒間が適当であると。ここに書いてあるのはそういう意味です ね。桜井先生、いかがでございましょうか。 ○桜井委員 ですから、これは「レーザ光照射に際しての注意」というよりはむしろ器 械の説明で、その数字の出てきたゆえんを、例えば何mWなのでこの時間を掛ければ100 Jになるとか、そういう説明があれば分かると思うのです。しかし、この書き方ですと 注意で非常に厳密な時間が設定されているということで、何かそれ自体に非常に意味が あるような誤解を…。 ○井村分科会長 力点が照射時間になってしまうのですね。ですから、むしろ当たるエ ネルギーがこれだけ必要なのだと、この装置を使った場合にはこれだけの照射時間にな るという書き方ならよろしいわけですね。 ○桜井委員 そういう説明ならばいいと思うのですが。 ○井村分科会長 その辺をちょっと工夫していただくわけにはいきませんでしょうか。 よろしゅうございますか。ではその辺の書き方をちょっと改めていただいて…。 ○審査第二部長 表現上の工夫をさせていただいて、また御相談したいと思います。よ ろしくお願いいたします。 ○井村分科会長 よろしくお願いします。ほかにありますか。どうぞ、板倉委員。 ○板倉委員 どちらのものも光線過敏症になるということで、それ以外の皮膚の日やけ 防止の部分が「患者指導」とかで若干コメントしてあるのですけれども、それぞれのニ ュアンスが少し違っています。いつごろまで注意しなければいけないのかとか、例えば 一方では紫外線用日やけ止め剤は使えませんという書き方をしてあって、一方は使える ように書いてあったりしますが、照射の波長等は余り大きな違いがないように思うので す。それから紫外線防止の化粧品などの場合にも、今の商品ですと場合によっては散乱 剤で可視光線まで防止できるようなものもありますし、特に女性の場合は日やけをした くない、しみを作りたくないということがあったりしますので、その辺のところでもう 少し統一的に分かりやすい防止策を考えていただけるようになっていると有り難いと思 いました。 ○井村分科会長 確かに片方は「日やけ止めクリームの使用により日光を避けることが 望ましい」と書いてありますが…。溝口委員、御専門のお立場でどうぞ。 ○溝口(昌)委員 ここに書いてあるレーザーは600、700に近いものだと思いますので、 これは紫外線ではございません。紫外線は400以下ですので紫外線用の日やけ止めクリ ームを使っても効かないということで、その条件に関してはもう一つの方も同じだと思 います。 ○板倉委員 紫外線防止化粧品の場合に、いわゆる散乱剤のように跳ね返すタイプのも のが成分として入っているものと、紫外線吸収剤のようにそれ自体があるピークを持っ ていてそこの部分だけをカバーするものと、成分として2系統になっていると思うので す。最近のいわゆる散乱剤タイプの波長は守備範囲がどのぐらいかというのも分かりま せんし、商品によって様々だとは思うのですけれども、一方で「紫外線用日やけ止め剤 は」というふうに固定的に言い切れるものかどうかというところでも、ちょっと疑問を 感じております。 ○溝口(昌)委員 紫外線吸収剤と散乱剤と両方ともありますが、それはあくまでも紫外 線に対するものでございまして、これは紫外線でなく可視光線ですので反射も吸収も全 部違います。散乱剤は吸収剤より効果があるかもしれませんが、詳細は存じません。可 視光線はもっと深く皮膚に入ります。紫外線吸収剤も散乱剤も効かないということに関 しては両方とも同じだと思いますので、効かないと書いた方が親切であるならば両方書 くべきだと思います。それから、片方は何か室内の光で不活化されてしまうので48時間 ぐらいでよくて、片方は2週間必要だということの違いはどうしてだか分かりませんが、 皮膚のポルフィリン体がどのぐらい持続するかということで違うのではないかと。はっ きりは分かりませんが、これは想像でございます。書いてあるところから読むとそのよ うになります。 ○井村分科会長 ありがとうございます。事務局、どうぞお願いします。 ○事務局 事務局からちょっと補足させていただきますけれども、こういう光過敏症が 海外等でも市販後にかなり見られていることから、我々としてはこの薬剤、こういうP DT療法を使った後には十分気を付けていただきたいということ。それから今の日やけ 止めクリームには幾つかの種類があると我々も存じておりますけれども、今御説明があ ったとおり多分実際にこの薬をやった波長には効かないと思います。したがって、もう 一方の方はなるべく整合性のとれた記載にさせていただきたいと思います。  それから2日間あるいはどれだけ保護すればいいかというのは、基本的には薬物動態 の半減期から推定しておりまして、例えば資料5のビスダイン、ベルテポルフィンの方 では半減期自体は5〜6時間なのですけれども、実際にはもう少し安全性を見て2日間 程度は光から十分保護していただきたいと。実際に海外などでは2日目に少し安易に外 に出てしまったために、直接日光に当たって光過敏症が発生したという症例も報告され ておりますので、我々としては日本でこのPDT療法を安全に定着させるためにも、そ の辺の注意喚起は十分に行いたいという趣旨で2日と。海外でも皆2日間の暴露保護期 間を設けておりますので、それと合わせて記載させていただいたということでございま す。 ○井村分科会長 ほかに何か御意見はありますか。どうぞ、松本委員。 ○松本委員 資料6の医薬品ペガシス皮下注についてお尋ねします。 ○井村分科会長 ではちょっとお待ちいただけますか。ただいまの資料5、7について はそれでよろしゅうございますか。どうぞ、河村委員。 ○河村委員 資料7についてだけ質問させてください。これは切除不能の肺癌にも使え るので、反復して使用される可能性があるわけですね。しかも肝機能障害はあると。ビ スダインの方は3か月以内にもう1回やっても効かないというただし書があるので3か 月以上になりましょうが、レザフィリンの方は特にそういうことが書いていないのです けれども、これは毎日やってはいけないものだろうと思うし、その点の御議論はなかっ たのでしょうか。 ○事務局 御指摘の点ですけれども、実際に早期肺癌ではその治療をした場所、それか らそれ以外の部分も含めて再発がございます。この点については添付文書の2ページを 御覧ください。こちらの8)に書いておりますけれども、実際に臨床試験では繰り返し投 与の症例がございませんでした。このため繰り返し実施した場合の安全性は確認されて いないとされております。ただし、先ほど申し上げたように、実際にほかの場所で再発 したりということがございまして、その場合に本剤を投与して再度実施するということ がございます。こういった場合については休薬期間を1か月以上おきまして、光線過敏 症が起こらないことを確認して実施していただくようにということで注意喚起をさせて いただいております。 ○河村委員 その1か月以上というのは書いてありましたか。 ○事務局 添付文書の2ページを御覧いただきまして、左側の欄の「(3)相互作用」の 一つ上になりますが、8)で本剤の再投与に関する注意事項を書かせていただいておりま す。 ○河村委員 分かりました。 ○井村分科会長 よろしゅうございますか。それでは今の日やけ止めクリームといいま すか、UVをシャットアウトするものが有効か、有効でないかという記載に関してはよ ろしゅうございますか。板倉委員の方から御指摘がありました点については…。 ○板倉委員 吸収剤は駄目と。 ○井村分科会長 記載にちょっと整合性がないような感じがいたしますが…。例えば片 方の「日やけ止めクリームの使用により日光を避けることが望ましい」というところを 削除してしまうとか、そういうことをした方がいいのではないかという気はしますが、 いかがでしょうか。どうぞ。 ○事務局 この点については2剤を比べまして、日やけ止めクリームの扱いなど整合性 を持たせて適切なものに改訂させていただきます。 ○井村分科会長 そうしてください。それでよろしゅうございますか。 ○板倉委員 資料5の5ページ、「(4)患者指導」の4)なのですけれども、逆に「室内 光を浴びることにより…残存しているベルテポルフィンの不活化が促進される」という ことがまた付いていて、患者指導とされたときに一方では気を付けろ、強いハロゲンラ ンプの光は駄目だと言いながら、一方では微量は当たった方がいいというようなことが 書いてあるのです。自分が患者になったときのことを考えると、どの程度の室内光なら いいのかとか、例えば今だとハロゲンヒーターなどがありますけれども、そういったも のとハロゲンランプの区別がつかないという場合もありますし、この辺のところは説明 を受けても非常に分かりにくいという感じがいたしますが。 ○井村分科会長 事務局の方から何か説明があるようでございます。 ○事務局 おっしゃるようにphoto bleachingのところは一瞬矛盾を感じさせるような 記載ではあるのですが、逆に余り過敏になってずっと暗室に閉じこもっていますと、こ の薬のphoto bleachingがないために、例えば3日たってから急に光のところへ出て、 実はまだ残っていたということが起こり得るということでございます。では実際にどの ぐらいの光までいいのかというのは確かに板倉委員がおっしゃるとおりでございまし て、我々もその点は検討しておりますけれども、最終的な結論としてはこの薬を初期に やるときには入院管理をしていただいた方がいいだろうと。2日間の入院管理の中で医 師の方から直接患者に御指導していただいて、具体的にどういう過ごし方をすればいい のかということを十分に学んだ後に退院していただくと。2回目から例えばPDTを施 行する際には、その患者の状況に応じて再度入院していただくか、あるいは外来で十分 対応できるのかどうか、その辺も医師の判断によって具体的に患者指導を行っていただ くようにしております。また、患者向けのパンフレットも実際に用意しておりまして、 今おっしゃったようなハロゲンランプとはどういうものなのか、どの辺の光まで当たっ ていいのか、室内にいても窓側で過ごして直接日光が当たっているようなことがあって は同じことでございますので、そういう具体的な事例を記載して患者の方に分かりやす い工夫をするようには求めております。今の御意見を踏まえて、また更にその辺も申請 者の方を指導していきたいと思います。 ○上田分科会長代理 先ほどの桜井委員の御質問に対して私ちょっとコメントを申し上 げましたが、例えば資料5の「用法及び用量」に「光照射エネルギー量」も書いてある わけです。ですから、この用法・用量としては「光照射エネルギー量50J/c平方メートル。」 で文章を切って、そのためには照射出力これこれの場合に83秒必要なのだという書き方 にすれば、御理解いただけるのではないかと思うのです。それを一遍にざっと書いてし まうと、なぜ83秒かということになるのではないかと思います。 ○井村分科会長 先ほどそのように直していただくということでしたね。それではその ように直してください。それではただいまの板倉委員の御質問、御意見については、事 務局の方でその辺の文章をもう少し考えていただくということにしてよろしゅうござい ますか。ありがとうございました。松本委員、何かありましたね。資料6でしたか。 ○松本委員 資料6のペガシスについてお尋ねします。このインターフェロン アルファ -2aにメトキシポリエチレングリコールを結合させて血中消失を延長させたというこ となのですが、このインターフェロンは結構副作用が多いわけですけれども、副作用に 関してはいかがなのでしょうか。 ○井村分科会長 事務局、お願いします。 ○事務局 事務局より御説明させていただきます。既存のインターフェロン アルファ- 2aと比較しまして、出てくる有害事象の種類は同じでございます。ただ傾向が違いま すのが、本剤はインフルエンザ様症状と呼ばれるような発熱や倦怠感など、インターフ ェロン特有の副作用は少ないのですけれども、逆に血小板減少や好中球減少、赤血球減 少など血球系の減少が多いと。しかも、外国人に比べまして日本人で多いという特徴が ございます。 ○松本委員 特に副作用を下げる工夫がなされていないということなのですが、蛋白量 で比較するとインターフェロン アルファ-2aに比べて5倍量になるわけですね。そう しますと副作用の発現は大変心配されるところなのですが、治験段階においての本薬単 独投与時の死亡率が0.76%というのはかなり高い値ではないかと思うのですけれども、 この辺の評価に関してはいかがなのでしょうか。 ○事務局 ただいま先生から御指摘のありました死亡率については海外のものでござい まして、日本の治験では死亡率はゼロでございます。海外の方で多かった理由としまし ては、肝硬変の患者も含めて治験をやっているという点があるかと思います。 ○松本委員 そういうことになりますと、これは処方がかなり簡単で週1回の投与にな りますので、万が一あらゆるものに使い出すと、C型肝炎の患者さんはそう簡単に亡く なるものではないということを考えると死亡率が今のところ0.76%というのは高いので はないかと思うので、使用に関してはかなり注意する必要があるのではないかと思いま す。その点をよろしくお願いいたします。 ○井村分科会長 事務局の方はいかがでございましょうか。 ○事務局 先生のおっしゃるとおりでございまして、一応審査の段階でもそれはかなり 問題としており、具体的には添付文書の「用法・用量に関連する使用上の注意」を御覧 いただきたいと思います。まず、本剤の投与を始める前に好中球数、血小板数、ヘモグ ロビン量をチェックすると。これ以外にその患者さんが持っている背景の病気なども勘 案しまして、副作用の出そうな患者さんについては開始から2週間は原則入院とすると。 そのほか4に記載しておりますように、好中球数、血小板数、ヘモグロビン量での規定 がございまして、このときには半量に減量するとか中止するとか、一応こういうことを 事細かに検討してございます。 ○松本委員 もう一つこれと関連するもので先ほど説明があるかと思ったのですけれど も、90μgの輸入申請がなされているのですが、この添付文書には90μgに関する使用 のことについては記載がないようなのですけれども、これは…。 ○事務局 90μgについては減量専用の製剤でございます。用法は180でございますけ れども、先ほど御説明いたしましたように副作用が出てきた場合に90に減量するための 製剤でございます。 ○松本委員 そういう記載は添付文書のどこかにされているわけですか。 ○事務局 「用法・用量に関連する使用上の注意」の4の減量規定の中に、「90μgに 減量」という記載がございます。 ○松本委員 ここにありましたか。これはちょっと分かりにくいのではないかと思うの ですが。 ○井村分科会長 ただ、それだけで90μgが減量用だというのはなかなか理解できない かもしれませんね。どこかにそのことをきちんと書いた方がいいかもしれないと思いま すけれども、いかがでしょうか。 ○事務局 ではもう少し工夫させていただきたいと思います。 ○井村分科会長 それでよろしゅうございますか、先生。ありがとうございました。そ れでは先に進ませていただいてよろしゅうございますか。どうぞ、神山委員。 ○神山委員 素人でございますので詳しいことは分かりませんけれども、いろいろ伺っ ていますと適正に使用しなければならないというお話が度々出てきます。この副作用被 害なども見ていますと、不適正使用で不支給というものもあります。ですから、適正に 使用しなければならない医薬品がどうやって適正に使用されているのかというところ が、素人としては非常に不安があると。  これはヒト用の話ではありませんけれども、前回も前々回も質問いたしましたノミ取 りのフロントラインのようなものがありました。実は私の妹が犬を飼っておりまして、 お医者さんからフロントラインを処方されたけれども、触ってはいけないともケージの 中に入れておきなさいとも何の指導もされなかったと。承認の条件としては24時間触ら ないようにと付いていたわけですけれども、それを処方するお医者さんは全く御存じな いのか、とにかくそのまま出してしまうという事例がありますので、適正に使用しなけ ればいけない薬剤を適正に使用できるように、是非体制を整えていただきたいというこ とが希望でございます。 ○井村分科会長 それは難しいですね。そのつもりでここまでやってきているはずなの ですけれども、あとは実際にそれを使用する医師又は獣医師の資質の問題かなという気 はいたしますが。どうぞ。 ○審議官 新薬の場合市販後直後調査というものを行っておりまして、各企業のMRが じかに行ってまず適正使用のあれを説明するようにと指導していますので、今先生のお っしゃったようなことについて更に徹底するように、業界の方にも話してまいりたいと 考えております。 ○井村分科会長 そのようなことでよろしゅうございますか。 ○神山委員 はい。 ○井村分科会長 ありがとうございました。どうぞ。 ○井部委員 ただいまのことに関連するのですけれども、この添付文書というのは病院 では医師や看護師は目を通しますが、患者に渡すということはほとんどないのです。今 後はこれを患者にも渡すという方向はいかがなものでしょうか。これが情報の公開では ないかと私は思っているのですが。 ○井村分科会長 事務局の方でどのようにお考えになりますか。 ○安全対策課長 安全対策課でございます。基本的に患者指導が必要なものについて、 ある一部の医薬品では患者用の説明文書を作って配布するということがやられておりま すので、今回使いにくいような薬がありましたら、そういう患者用の文書を作って鋭意 配布していくと。実際に処方されるときには薬剤師が一緒に説明するとともに、その文 書を交付していくという形を考えていきたいと思っております。 ○井村分科会長 井部委員、いかがでございますか。 ○井部委員 そうしますと先ほどのペガシスなどの場合、例えば好中球が幾つになると 減量になるということをきちんと患者に伝えておきますと、自分の好中球数や血小板数、 ヘモグロビンの値などはなぜ意味があるのかということが分かるわけで、こういうこと が本当の患者さんへの教育や科学的な意味での指導につながるのではないかと前々から 思っています。やはり患者指導というと余りにも易し過ぎる書き方に換えてしまうので、 私の経験上の反省もあるのですけれども、意味がよくつかめなくなってしまうことが…。 ですから、こうした添付文書、科学的な文書を共有するということをもっと積極的に考 えてもいいのではないかと日ごろ考えておりますので、御検討願えればと思います。 ○井村分科会長 確かに、一般の患者がもう少し科学的にレベルの高い話を知ってもい いのではないかという気はしないでもございませんので、その辺ちょっと事務局の方で 今後御検討いただければと思います。 ○安全対策課長 今回の品目については安全対策課と審査センターの方で十分お話しさ せていただいて、対応を採りたいと思います。 ○井村分科会長 井部先生のお話は一般的なことですよね。 ○井部委員 はい。 ○上田分科会長代理 まず医師が添付文書を十分読む必要があるのです。そのためにい ろいろな工夫が考えられておりまして、ITの時代ですから添付文書をインターネット で読める方法なども検討されていると思うのです。ですから、将来医師も添付文書をき ちんと読むという体制作りが必要だと思います。それからもう一つ、私も余り情報がし っかりしていないのですけれども、患者さん向けにはデータ協議会といいますか、薬の 情報協議会というところが患者さん向けの情報を発信しておられるので、そういうとこ ろから患者さん向けの情報はかなり手に入ると。もっとも病院で渡すために、そういう ものを出版物にして渡しているところもあります。新たにそういう努力をしないと自動 的に渡るという方法ではないところがちょっと問題でありますが、そういう方向へ向か っていろいろな努力がなされつつあると御理解いただければと思います。 ○井村分科会長 ありがとうございました。溝口委員、どうぞ。 ○溝口(秀)委員 前にも申し上げたことがあるのですが、やはり添付文書の「使用上の 注意」などの書き方についてもう少し御検討いただきたい。まず第一に医療従事者の行 動目標、医師又は患者がどういうことをしてはいけないということを書いて、その後に 理由を書いていただきたいのですが、多くの場合理由がまず長々と書いてあって、こう いうことをしてはいけないと最後に書いてあります。今大分良くはなってきたような気 がするのですけれども、それを統一していただきたいという気がします。 ○井村分科会長 まず結論を先に書いて、理由は後に書くということですね。それも事 務局の方で工夫していただくようにお願いしたいと思います。どうぞ。 ○板倉委員 大したことではないので申し訳ないのですが、資料4の一番最後のところ の3ページなのですけれども、まずこの製剤は患者さんなり御家族が注射を使うと考え てよろしいのでしょうか。 ○事務局 先生のおっしゃるとおり、自己注射の製剤でございます。 ○板倉委員 「注射後」というところに「使用された針を安全に処分してください」と あります。では針をそのまま刺すことが問題なのかと思いましたら、キャップを付けて 外すわけですから、針自体は刺さるような状況にはならないということなのですが、そ の後の「安全に処分してください」というのがどういう意味なのか、具体的によく分か らなかったのです。病院や医療機関の場合にはこういう針の特別の処理方法がきちんと あるようですが、これは患者さんが家でやられるわけですけれども、この「安全に処分」 というのはどういう意味なのか、もう少し教えていただければ有り難いと思います。 ○井村分科会長 処分の仕方ですね。事務局、いかがでございますか。「処分してくだ さい」と書いてありますけれども、具体的にどうしろということかという御質問です。 ○事務局 本製剤についても基本的には医療廃棄物の扱いになると思うのですけれど も、多分処方された医療機関に持っていくのだろうとは思うのですが、この辺はちょっ と確認してみたいと思います。 ○上田分科会長代理 この針を入手するのは医療機関あるいは薬局なのですね。薬局に は針を回収しますという看板が出ているのです。ですから、次の針を買うときに今まで 使った針を薬局へ返していただくと。医療機関もそうなっていると思うのです。ですか ら、それを徹底すればそういうルートで回収できると思いますが、違いますか。 ○岡本委員 多分この針については、今原則医療機関の方でお渡しになって医療機関へ 返すという形が多いと思うのです。ただ、東京や神奈川の一部の薬局でもやっておりま すけれども、そういったものを含めて医療廃棄物の方の検討会で何かやっているようで す。現実には医療機関へ返すというのが一番多いようです。 ○井村分科会長 今の問題点は、要するにそのことを患者さんにどう知らせるかという ことだと思いますので…。 ○岡本委員 それは当然全部回収するということは言っていると思います。医療機関で は後でちょっとこの辺の大きなかごに、ここへ針を入れますという形でやっているとこ ろを見ました。 ○井村分科会長 薬を受け取るところでその指導があるということですね。 ○岡本委員 そうですね、一部薬局で今ちょっとテスト的にやっている部分があるよう です。 ○井村分科会長 ありがとうございました。板倉委員、よろしゅうございますか。それ では大分時間もとりましたので、先に進ませていただきたいと思います。議題9から最 後まで、また御説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは議題9、医療機器GCP案について御説明させていただきます。事 前に送付した資料といたしまして、資料10-1〜10-4という四つから構成されておりま す。資料10-1は文章ばかりなので、資料10-2を御覧ください。医療機器GCPの省令 化に向けてのポンチ絵でございます。まず、GCPの今までの経緯でございますけれど も、医薬品の方では平成2年に医薬品GCPの通知が発出されまして、その後平成9年 に省令化、そして平成15年に医師主導の治験に関する条項の導入に係りまして改正させ ていただいております。それと同様に医療機器においても、承認時の臨床試験の実施に 関する基準としては必須のものとして、平成5年に医療用具GCP通知を発出したとこ ろでございます。その後平成14年の薬事法及び採血及び供血あつせん業取締法の一部を 改正する法律により、医療機器に関する規定の充実とともに規定の見直しがなされ、医 薬品の治験と同様な規定が適用されることとなり、その省令化に向けた検討を進めてき たところでございます。この省令化に向けての検討については平成14年から進めてきた ところでございまして、現在パブリックコメントを終了し、本年8月21日に開催された 医療材料部会及び医療機器・体外診断薬部会において省令案が了解されたところでござ います。  主な中身については資料10-2に記載されているとおり、治験計画の承認から30日経 過した後の治験の実施。それから治験中の有害事象報告の省令化、義務化。GCP通知 の省令化に伴う実効性といたしまして、報告書の聴取、それから立入検査等の導入の省 令化。それから治験依頼者の守秘義務等の追加等をしております。  資料10-3を御覧ください。医療機器GCPにおいても現在の医薬品GCPと同様、企 業主導のGCPと医師主導のGCPを規定すべく検討を進めさせていただいておりま す。医療機器GCPの検討における考え方でございますが、医療機器であっても医薬品 と同じ目的で使用されるものであることから、一部の規定を除き医薬品GCP省令と同 様の規定が適用できるとしております。そうすると一部の規定とは一体何かということ になりますので、それが資料10-3にまとめている点でございます。すべてを御紹介しま すと時間が掛かりますので、どのような治験があるかを幾つかピックアップさせていた だきまして、医療機器の特質について御紹介させていただきたいと思います。  最初に書かれておりますけれども、「治験協力者等」といたしまして例えば医薬品G CPの場合この治験に関する業務に協力する薬剤師、看護師その他の医療関係者をいう ということがあるのですが、この医療機器の場合にはその特性にかんがみまして、それ 以外に「臨床工学技士」、「臨床検査技師」、「診療放射線技師」を追加させていただ いております。それから二番目に「有害事象の定義」といたしまして、まず医薬品と異 なって被験者に対し実際に機器を適用しなくとも被験者等への有害事象の発生が予想で きる場合があること。例えば、実際に試験動作中に発生した不具合などもございます。 あるいはそれ以外に、被験者のみならず医師、看護婦等に対する有害事象が発生する場 合もございますことから、医薬品とは違いまして「治験機器の使用により生じた」もの と定義としては変えさせていただいております。  あと幾つかそれ以外に特筆したところがございます。例えば1枚目の一番最後に「汚 染等防止のための包装」といたしまして、実際に組立てが必要な大型機械の場合には、 必ずしも治験機器全体を包装することができない場合もあることから、「又はその部品」 を追加したこと。あるいは治験機器の一部となる構造物など、包装をする必要がないも の若しくは不可能なものが想定されるときには、「ただし、輸送及び保存中の汚染や劣 化のおそれのない場合においてはその限りではない。」ということで、包装に対する規 定のただし書を追加していること。あるいは2枚目の上から二番目ですけれども、「治 験機器の交付」といたしまして、実際にこの治験機器の輸送における不具合の発生等を 防止するため、「瑕疵のない状態で交付しなければならない。」という形で医薬品とは 少し変えているとか、そういう幾つかの項目が医薬品GCPの省令と違う点ではござい ますが、それはあくまでも医療機器特質の話でございまして、それ以外の部分について は医薬品GCPの考え方をそのまま踏襲することとしております。  資料10-3の2枚目の下のところに「2.医療機器医師主導のGCP」とございますが、 これも医療機器の特性を反映するべき点として示したもの以外は、医薬品の医師主導の GCPと同様な規定としております。  こうしてまとめられたものが資料10-4の「医療機器の臨床試験の実施の基準に関する 省令(案)」でございます。今後この案に基づいて省令化に向けた準備等を図っていきた いと考えております。 ── 河村委員退室 ── ○井村分科会長 ありがとうございました。引き続いてお願いします。 ○事務局 続きまして議題10、「遺伝子治療用医薬品の品質及び安全性の確保に関する 指針」への適合の確認について、御報告させていただきます。資料11のA4一枚紙です。 「遺伝子治療用医薬品の品質及び安全性の確保に関する指針」と申しますのは、遺伝子 治療用医薬品でこれから薬事法において治験を行うというものについて、治験でヒトに 適用する前にその品質及び安全性の確保のために必要な基本的要件を定めたものでござ います。薬事法に基づく治験に入る前に、個々の遺伝子治療用医薬品のこの指針への適 合性の確認を行うこととされているものでございます。  今般、その下の(2)にございます確認申請者、アンジェス エムジー 株式会社から、 (1)のHGFプラスミドという遺伝子治療用医薬品の確認申請が出されてまいりまし た。今月2日に薬事・食品衛生審議会生物由来技術部会において、この指針に基づいて 下記の申請に係る遺伝子治療用医薬品、つまりHGFプラスミドの品質及び安全性の確 保について、この指針に適合していることが確認されたというものでございます。  (3)に審議経過がございますが、申請は今年の3月25日に行われまして、遺伝子治療 用医薬品調査会が5月28日、それから生物由来技術部会がただいま申し上げた9月2日 にそれぞれ開催されております。  (4)の本薬の適応症でございますけれども、閉塞性動脈硬化症及びビュルガー病(バー ジャー病)の二つの疾患でございます。  (5)に申請品目の概要を簡単に説明してございますけれども、HGF(hepatocyte growth factor)プラスミドは、ヒトHGF遺伝子を組み込んだプラスミドDNAでござ いまして、筋肉細胞内に導入されるとHGF遺伝子が発現し、HGF蛋白質が産生され ます。このHGF蛋白質というものは、もともと肝細胞の増殖・再生因子として発見さ れたものであることから、「hepatocyte growth factor」という名前が付いているので すけれども、現在では肝細胞に限らずその他の細胞でも増殖因子として作用することが 知られております。今回この遺伝子治療薬ではHGF蛋白質の血管新生作用によって血 流を増加させ、虚血症状を改善することが期待されるものでございます。  最後に(6)の今後の日本での臨床試験の予定でございますけれども、申請者において 「安静時疼痛若しくは虚血性潰瘍を有する閉塞性動脈硬化症患者」及び「虚血性潰瘍を 有するビュルガー病患者」を対象とした多施設共同試験において、HGFプラスミドの 有効性及び安全性が検討される予定でございます。ですので、この臨床試験において有 効性、安全性が確認されたということになりますと、改めてそこで承認申請が行われて 審査を行うというものでございますので、今回の指針への適合が直ちに医薬品の製造又 は輸入承認に結び付くというものではございません。以上でございます。 ○井村分科会長 次をお願いいたします。 ○事務局 続きまして議題11、生物由来原料基準の一部改正についてということで、本 日配付させていただいた資料12を御覧いただきたいと思います。生物由来原料基準とい いますのは、昨年公布された改正薬事法の第42条に基づき定められた基準でして、本年 7月30日より施行されているところでございます。本基準は医薬品等の製造に用いられ るあらゆる人・動物等に由来する原料を対象として、その原材料の適格性の要件を定め たものです。  今回改正するものは、「2 生物由来原料基準の改正の趣旨について」の「(1)原産国 の削除及び追加」ということで、BSE対策の関連としましてこの原料基準の中に反す う動物由来原料基準というものがございます。そこで原材料として原則として使用でき る反すう動物の原産国が規定されております。ただ、今年の5月にカナダにおいてBS Eの感染牛が確認されたということで、この原産国の中からカナダを削除するというも のでございます。二点目はEU委員会の科学運営委員会というところで、BSEの感染 牛が存在する可能性がほとんどないという評価結果が、ニューカレドニアとバヌアツの 2か国について出されたということに伴って、この2か国を基準の中の原産国に追加す るということでございます。  それから「3 その他」のところは化粧品についてですが、こちらの方は薬事法の第 42条に基づく化粧品基準というもので安全の規制がなされておりまして、これまでその 中でBSEに関連する事項についても規定されてきております。今般こちらの原料基準 が制定されたということで、この化粧品基準のうち生物由来原料基準に包含される内容 については化粧品基準から削除すると。それに伴いまして、こちらの原料基準において 必要な改正を行っているというこの三点でございます。以上です。 ○井村分科会長 ありがとうございました。次をお願いいたします。 ○事務局 続きまして議題12、化粧品基準の一部改正についてでございます。資料13 の3〜4ページをお願いいたします。ただいま説明のありました議題12の生物由来原料 基準の制定に伴いまして、新旧対照表の中でまず「2 防腐剤、紫外線吸収剤及びタール 色素以外の成分の配合の禁止」、「化粧品は医薬品の成分(添加剤としてのみ使用される 成分を除く。)」ということで、専ら化粧品は医薬品の成分でございます。それからアン ダーラインのところは今回追記したところでございますが、「、生物由来原料基準(平成 15年厚生労働省告示第210号)に適合しないもの及び別表第1に掲げるものを配合して はならない」ということで、化粧品基準から反すう動物に関する内容を削除し、その代 わり第2項に明示したというところでございます。具体に削除した箇所に関しましては、 3ページの右側の「現行」のところで下の方の「別表第1」の3、4に関して削除いた しまして、それに伴い項が二つずつずれまして、4ページを御覧いただきますと、「別 表第1」に関しては全体として30までと。こちらの方がネガティブリストの収載品とい うことでございます。  なお、本件に関しましては9月12日に開催された化粧品・医薬部外品部会に諮問を行 いまして、化粧品基準の一部改正については改定して差し支えない旨の答申を頂いてい るところでございます。 ○井村分科会長 ありがとうございました。それでは次は議題13をお願いします。 ○事務局 議題13についてでございますけれども、9月2日に開催された毒物劇物部会 の結果について、資料14により御報告させていただきます。表紙にございますように、 7物質についての毒物劇物の指定又は解除について審議が行われております。1)〜3) の3物質はすべて有機シアン化合物ということで、現在劇物に指定されておりますけれ ども、個別にデータを審査いたしました結果、劇物から除外することが適当であるとの 御意見を頂いております。御参考までにこれら3物質の主な用途を申し上げますと、1) の物質は化粧品の香料、2)の物質は農薬、3)の物質は電子機器の液晶となっておりま す。4)の物質の用途は農薬でございますけれども、劇物に指定することが適当であると の御意見を頂いております。5)〜7)の物質については皮膚腐食性の強い物質でござい まして、すべて毒物に指定することが適当であるとの御意見を頂いております。御参考 までにこれら3物質の主な用途を申し上げますと、5)のフルオロスルホン酸は有機化合 物の合成反応の触媒、6)の三塩化チタンはポリオレフィン重合用触媒、7)の六弗化タ ングステンは半導体配線の原料となっております。毒物劇物部会の報告については以上 でございます。 ○井村分科会長 ありがとうございました。次に動物用医薬品等部会の方からの議題で ございます。 ○事務局 農林水産省でございます。動物用医薬品等部会関係の報告事項、議題14及び 15について御説明いたします。まず議題14、資料15でございますが、動物用医薬品リ スポバルの輸入承認の可否及び再審査期間の指定についてでございます。リスポバルで ございますが、申請者はファイザー製薬株式会社でございます。本剤はマンヘミア・ヘ モリチカ1型NL1009株のロイコトキソイド及び莢膜抗原を成分とする牛用の不活化ワ クチンで、新有効成分含有動物用医薬品でございます。用法・用量は、乾燥ワクチンに 添付の溶解用液を加えて溶解し、1か月齢以上の健康な牛の頸部皮下に1回2mLを注射 するというものでございます。効能・効果は、昔パスツレラと分類されていましたので、 牛のマンヘミア(パスツレラ)・ヘモリチカ1型菌による肺炎の予防ということになって ございます。8月28日開催の動物用医薬品等部会で御審議いただき、承認を可とし薬事 分科会に報告して差し支えないとされました。なお、新有効成分含有動物用医薬品とい うことで、再審査期間は6年とされたものでございます。  続きまして議題15、資料16でございますが、動物用生物学的製剤基準の一部改正に ついてでございます。今般既に幾つか承認されているのですけれども、豚オーエスキー 病のワクチンがございまして、この製剤基準の各条も作られてございます。しかし、そ れと同等の別製剤が今般承認されることに伴いまして、その製品の製造方法における試 験方法が従来のものと比べて若干異なりますので、本基準の当該各条の一部を変更する というものでございます。2枚目に具体的な変更箇所が載せてあります。3か所ござい ますが、最終の製品である小分け製品に対する試験のうち、どれぐらいワクチン株のウ イルスが入っているかを調べるウイルス含有量試験、それから有効性を調べる力価試験 の中の中和試験用のウイルスと試験に使う材料になる培養細胞に関する規定を一部改正 するものでございます。具体的には次ページの「新旧対照表」にアンダーラインで示す ようになっているわけでございますが、今後同等な製品が承認できるように、今般具体 的な数値や名称を加えるのではなく「特に承認されたもの」や「適当と認められた」と いう文章を加えて、一部改正とさせていただいたものでございます。以上でございます。 ○井村分科会長 ありがとうございました。以上の説明がございましたけれども、ここ までの報告について御意見、御質問がございましたらお願いいたします。どうぞ、上田 委員。 ○上田分科会長代理 資料10ー3に「医療機器GCP省令案と医薬品GCP省令の相違 点のまとめ」があります。それの2枚目の上から三つ目に「・第23条第2項:監査担当 者の独立性」という項目があります。私はこれを非常に心配しているのですけれども、 書いてあることは分かるのですが、ちょっと文章を再考慮していただきたい。すなわち 監査というのは治験の質を保証するための非常に重要な役割で、社会的にも大変注目さ れる部署なのです。それが医療機器の場合には治験の実施数が極めて少ないので、監査 部門の独立を求めることは困難な状況にあると。これは社会的に理解されないですね。 治験の数が少ないから監査は独立しなくてもいいということはあり得ないのです。これ は治験の実施数が少ないから企業の規模が小さくて組織上できないのです。ですから、 その文章を入れてもらいたいのです。要するに依頼者の規模と組織の観点から見て独立 は難しいと、そういう文を入れていただかないと、治験の数が少ないから監査の独立が できないというふうにはいかないのです。 ○井村分科会長 「現時点」の前でよろしゅうございますか。 ○上田分科会長代理 「医薬品と比べ極めて少なく、依頼者の規模と組織の観点から見 て現時点で医薬品と同様の『監査部門の独立』を求めることが困難な状況にある」と。 ですから、大きな規模の会社はきちんと作らなければいけないと思うのです。治験の数 が少ないからいいとは世間は認めてくれないと私は思います。ちょっと文章を付け加え てください。 ○事務局 一番最初にこの文章を作ったときには、上田先生のおっしゃるところを念頭 に作ったのでございますけれども、やはり今もう一度読み返しますと先生のおっしゃる とおりでございますので、その点を踏まえてここのところをよりきちんと理解されるよ うな文章に換えさせていただきたいと思います。 ○上田分科会長代理 規模が小さいというふうに余り正直に言うと具合が悪ければ、依 頼者の組織上の観点からなどということでも結構だと思うのですけれども、治験の数が 少ないからではないのですよね。 ○事務局 了解いたしました。 ○井村分科会長 では御訂正をよろしくお願いいたします。ほかにございませんでしょ うか。議題15までよろしゅうございますか。それではお認めいただいたということにさ せていただきます。各部会からの報告はこれまででございますけれども、最初に申し上 げたように「その他」の事項といたしまして、薬事分科会規程及び薬事分科会における 確認事項の一部改正という項目がございます。これについて御審議いただくことになり ますが、まず事務局から御説明をお願いします。 ○事務局 安全対策課の関野でございます。お手元の資料17を御覧いただきたいと思い ます。こちらの資料に基づきまして、薬事分科会規程及び薬事分科会における確認事項 の一部改正について御説明いたしたいと思います。1ページの冒頭に書いておりますと おり、本日の薬事分科会規程あるいは確認事項の一部改正の背景にございますのは、今 年7月の改正薬事法の施行に伴うものでございます。  例えば(1)の(1)と(2)に書き分けてございますが、一つが生物由来製品に対する感染症 定期報告を新たに製品を供給する企業に求めることになっておりまして、その関係で我 々が頂いた報告を審議会の方に御報告するという規定が、(1)にございますとおり薬事法 第68条の8第2項にございます。それと併せまして(2)に書いてございますが、副作用・ 不具合あるいは回収の情報を我々が企業あるいは医療機関等々から頂いておりますけれ ども、これに関しても今般の薬事法改正における薬事法第77条の4の4第1項の規定に 基づいて、薬事・食品衛生審議会の方に御報告するという取扱いになったわけでござい ます。  したがいまして、薬事・食品衛生審議会の方に御報告する関係上薬事分科会が基本に なるわけでございますが、案件の処理等に関しまして基本的に両方の取扱いはいずれも 市販されている製品に関する安全対策ということになります。ですので、ここに書いて ございますように医薬品の場合であれば医薬品等安全対策部会、あるいは医療用具の場 合ですと医療用具安全対策部会、又は生物由来製品の中には一部血液製剤等がございま して、血液事業部会の方で原則取り扱わさせていただきたいという趣旨の規程の改定で ございます。  併せて(2)の確認事項のところでございますが、若干繰り返しになりますけれども、 基本的には今申し上げたような部会に対して我々が御報告いたしまして御意見を頂く と。その内容に関して薬事分科会の方に報告という取扱いをさせていただきたいと考え ております。  なお、2ページ以降に関しましては一応規程(案)ということで、今回の改定に伴う部 分を示してございまして、具体的には5ページの12、13でアンダーラインを引いたとこ ろが今回の改定部分でございます。もう一つ薬事分科会の確認事項の改定内容に関して は、11ページに同じようにアンダーラインを引きまして、今回の改正部分をお示しして おります。なお、本日時間の関係で感染症定期報告、あるいは副作用等の国への報告と いったそれぞれの事柄に関しての制度の御説明は省略させていただきますが、一応御参 考に供すればということで14ページ以降にその制度の概要の資料も付けておりますの で、適宜御参照いただければと思います。事務局からは以上でございます ── 河村委員入室 ── ○井村分科会長 ありがとうございました。ただいまの説明につきまして何か御質問、 御意見がございましたらどうぞ。よろしゅうございますか。特に御質問あるいは御意見 がなければ、この件については御確認いただけたとさせていただきます。それではその ほかに何か事務局の方でございますでしょうか。どうぞ。 ○事務局 事務局から1点御報告させていただきます。前回の6月26日に開催された当 部会において、プロトピック軟膏0.03%小児用について御議論いただきました。その後 の経過について御報告いたします。本日資料として「審査報告書(3)」をお配りしてご ざいますが、それに基づいて御説明いたします。当部会では4点御指摘がございました。 この4点については「審査結果」と書いてあるところのすぐ下の段落にございます。「(1) 発がんを含めたリスク・ベネフィットについて患者に対するインフォームド・コンセン トを徹底すること」、「(2)専門医への使用限定」、「(3)追跡調査が可能な体制の整備」、 「(4)塗布がん原性試験の追加試験の実施」ということでございました。  まず、(1)のインフォームド・コンセント関係でございますが、本薬がステロイド無効 の者など二次選択薬であること、それから発がんのリスク等の安全性についてを記載し たインフォームド・コンセントを取得するための説明のフォームを作成して、医療機関 等に配布するということでございます。また、添付文書の「警告」欄にリンパ腫や皮膚 がんなどがんに関する記載、それからインフォームド・コンセントを取るということに ついて記載しております。また、医師向けの使用ガイダンス、患者向けの説明文書等で 本剤のリスクについても説明するということで、それらの文書を配布することになって ございます。  続いて(2)の専門医への限定ということでございますが、小児のアトピー性皮膚炎の治 療法に精通している医師の下で行うということを、添付文書の「警告」欄に記載するこ とといたしました。さらに、医師向けのインタビューフォームや使用上の注意の解説書、 使用ガイダンス等々で適正使用の徹底を図るということにしております。  (3)の追跡調査が可能な体制ということでございますが、患者さんが投薬記録を保管で きるように会社の方で「アトピー性皮膚炎手帳」(仮称)を作り、投薬する際に医師の方 から患者さんに配布していただいて、患者さん御自身で治療歴を管理していただくとい うこと。それから、インフォームド・コンセント取得の際には、医師の方からこの手帳 に基づいて治療記録を管理するように説明していただくということにいたしておりま す。また、長期使用についての安全性調査ということで、長期の特別調査等を行うこと といたしました。  また、(4)の追加試験等でございますけれども、適切な試験計画を検討の上追加試験を 実施するということでございます。この点につきましては承認条件として、「本剤のが ん原性に関し、更なる知見を得ることを目的とした試験を実施し、その結果を報告する こと」ということにいたしました。  現在この内容について藤沢薬品工業株式会社と協議をしておりまして、ほぼ案がまと まってきておりますので、間もなく実施できるものと考えております。以上の点を踏ま えまして、7月17日付けで本剤を承認しております。以上でございます。 ○井村分科会長 ありがとうございました。この件につきましてよろしゅうございます か。それではほかに何かございますでしょうか。委員の方々はよろしゅうございますか。 事務局ももうこれでございませんでしょうか。なければ本日の議事はこれで終了いたし ます。次回の薬事分科会の日程でございますけれども、12月に予定したいということで ございまして、後ほどいつものように事務局の方から委員の先生方の御都合を伺って決 めるということになると思います。では、長時間どうもありがとうございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 総務課 課長補佐 菊池(内線2714) - 22 -