03/09/10 第23回労働政策審議会雇用均等分科会議事録            第23回労働政策審議会雇用均等分科会 1 日時:平成15年9月10日(水)15:00〜 2 場所:厚生労働省 省議室 3 出席者   労側委員:稲垣委員、岡本委員、片岡委員、佐藤(孝)委員、吉宮委員   使側委員:渡邊委員、山崎委員、吉川委員、川本委員   公益委員:若菜会長、今田委員、奥山委員、樋口委員、横溝委員 ○分科会長  ただいまから、第23回労働政策審議会雇用均等分科会を開催いたします。本日はお忙 しい中お集まりいただきましてありがとうございます。資料No.1として名簿を配らせて いただいておりますが、この中で委員の変更がありましたので、最初にご紹介いたしま す。労働者代表臨時委員の秋元かおる委員の辞任に伴いまして、UIゼンセン同盟常任 中央執行委員の稲垣眸さんが就任されました。一言お願いします。 ○稲垣委員  UIゼンセン同盟の稲垣と申します。よろしくお願いいたします。仕事としまして は、男女平等局ということで担当させていただいております。子育てをしながら働いて いる女性の声を法律に生かしたいと思います。ご指導のほど、よろしくお願いいたしま す。 ○分科会長  本日の出欠ですが、佐藤博樹委員と前田委員が欠席です。事務局のほうでも異動があ りましたので、ご紹介させていただきます。 ○伍藤局長  雇用均等・児童家庭局長を拝命いたしました伍藤でございます。何分、こういった分 野は不慣れですので、ご指導をよろしくお願いしたいと思います。 ○北井審議官  審議官を拝命いたしました北井でございます。旧女性局を出まして4年1カ月ぶりに こちらに戻ってまいりました。厚生労働省となってからこのビルで仕事をするのは初め てですので、またいろいろとご指導をお願いしたいと思います。 ○分科会長  それでは議事に入ります。本日の議題は2つあります。1つは「仕事と家庭の両立支 援対策について」、2つ目は「平成16年度予算概算要求の概要について」です。では最 初の議題の「仕事と家庭の両立支援対策」について、事務局から説明をお願いいたしま す。 ○事務局  それでは私のほうからご説明いたします。資料の説明に入る前に、お手元の資料の確 認をさせていただきます。資料No.1が、雇用均等分科会名簿です。稲垣委員がご就任 されましたので、それを受けました最新の名簿です。資料No.2が、育児休業について、 資料No.3が、平成16年度雇用均等・児童家庭局予算概算要求の概要です。そのほか参 考資料としまして、参考資料No.1が、短時間労働者の雇用管理の改善等のための措置 に関する指針ということで、先般この分科会でご議論いただきまして、8月25日に告示 されたものです。資料No.2が、次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画策定指針 です。これは8月22日に告示されたものです。資料No.3が、女子差別撤廃条約締結国 の報告審議、報告案です。  それでは、資料No.2に基づいて説明いたします。本日は育児休業制度についてご議 論いただくということで、その参考になるような形で資料を整理しております。表紙に ありますように、「育児休業の取得状況等について」「対象となる労働者について」 「育児休業の期間、回数について」「その他」ということで、前回7月22日に議論のテ ーマということで整理したものに基づいて、統計的なデータ等を整理しております。説 明するデータの中には、4月以降のご議論の中で説明しているものもありますが、この 資料で再整理してご説明をさせていただきます。  1頁の「育児休業の取得状況等について」ということで、(1)は「育児休業制度の 規定の有無別事業所の割合」です。ご案内のとおり、育児休業については育児休業法の 規定によりまして、育児休業制度の規定の有無にかかわらず、労働者の権利として育児 休業の取得ができることになっております。育児休業の取得をするかどうかについて は、その事業所に規定があるかどうかというのが、1つ大きなポイントになっておりま す。  そういう意味で、それぞれの企業に規定があるかどうかを、前回7月に説明した「女 性雇用管理基本調査」でも聞いております。これは平成14年度のデータですが、5人以 上の規模で育児休業制度の規定がある企業が61.4%となっております。その下に<53.5 >、これは平成11年度の調査結果ですので、約7ポイント、前回の調査に比べて規定あ りという事業所のウェイトが高まっております。その下に規模ごとの状況があります が、規模が大きくなるにしたがって「規定あり」という事業所のウェイトが増えており ます。例えば500人以上の規模でしたら99.2%ということで、ほとんどの企業が育児休 業制度の規定があります。  次に2頁ですが、これも7月に説明しております。育児休業取得者の割合です。平成 14年度の「女性雇用管理基本調査」の結果です。平成13年度の1年間に出産した者、男 性の場合には配偶者が出産した者に対し、平成14年10月1日までの間に育児休業を開始 した者の占める割合です。女性の場合ですが、育児休業を取得した女性の割合が64.0%、 男性は0.33%となっております。平成11年度では女性が56.4%だったのが、64.4%に上 昇しております。男性は0.42%から0.33%と、引き続き非常に低い水準になっておりま す。  男性については数字自体は下がっておりますが、傾向として男性の育児休業の取得率 が下がったことになるのかどうかという点については、そもそも男性の取得率自体が極 めて少ないので、この数字のみをもって上昇した、あるいは下がったということは言え ないのではないかということを申し上げております。雇用保険制度による男性の育児休 業給付の受給者で申し上げますと、平成11年度よりも14年度は数としては1.5倍ぐらい まで増えておりますので、いま申し上げた説明になろうかと思います。  規模別に見ますと、特に男性については規模別で必ずしも取得率がどうだという傾向 は見られませんが、女性については規模が大きくなるにしたがって取得率は上がるとい う傾向は見られます。1頁のデータとも関連しますが、いちばん下に「育児休業制度の 規定有り事業所」とあります。これは育児休業制度の規定がある事業所における取得率 です。女性は71.6%ということで、規定がない企業よりも取得率は高くなるという状況 です。  (3)は復職者割合です。これは育児休業を取得した方のうち、職場に復帰した方の 割合です。女性が88.7%、平成11年の調査では82.1%でしたので、これも6ポイント以 上復職者の割合が高まっております。男性については非常に数が少ないこともあります が、育児休業を取った方については、100%復職しているという状況です。  次に3頁です。これは育児休業の取得状況を別の調査で見たものです。資料出所のと ころにもありますように、平成13年度に実施した「21世紀出生児縦断調査」の結果で す。このデータも既に紹介しておりますが、再度説明いたしますと、先ほどの「女性雇 用管理基本調査」は事業所調査ですが、こちらの出生児縦断調査については個人調査で す。平成13年の1月10日から17日、7月10日から17日に生まれた赤ちゃん約4万7,000人 を対象として調査をした結果の一部です。(4)は、そのうち父母が常勤の方について 育児休業を取ったかどうかを聞いております。  まず母のほうですが、育児休業取得済み・取得中・取得予定を合わせた割合が80.2% となっております。それぞれ規模ごとで、こちらの調査は官公庁も対象にしております ので、それぞれのデータがあります。官公庁の数字が94.9%と、かなり高くなっており ます。そういった影響もありまして、「女性雇用管理基本調査」の取得率の数字よりも 高い数字になっております。  父親については0.7%ということで、「女性雇用管理基本調査」の調査結果とそれほ ど変わらない水準になっております。官公庁が1.2%ということで、若干高くなってお ります。また、この調査では育児休業を取得していなかった方について、その理由を併 せて聞いております。取得しなかった女性が19.2%です。それについて「制度はあるが 取得しない」という方が12.2%、「制度がない」あるいは「制度があるかどうかわから ない」という答えがそれぞれ4.5%、2.6%となっております。「制度はあるが取得しな い」という中でも、いちばん大きな理由としては、職場の雰囲気、仕事の状況というも のが挙げられております。  一方、下の「父」のところについては、「制度はあるが取得しない」の割合が31.4%、 「制度がない」あるいは「制度があるかどうかわからない」という部分を合わせて5割 近い数字になっております。育児休業制度そのものは職場に規定が有る無しにかかわら ず、男性も含めて取得できますが、特に男性については会社に規定が有る無しにかかわ らず、育児休業が取得できることについて認識していない方が5割近い数いらっしゃい ます。したがって、職場の雰囲気で取りづらいという以前の問題として、男性の場合に はそういう認識がまだまだということで、この辺りを私どもも周知・広報を引き続きや っていかなければならないと思っております。  次に4頁ですが、育児休業を取得しなかった方について、取得しなかった理由を聞い ております。(5)が女性労働協会が平成12年に実施した調査で、これは女性労働者を 対象にして聞いております。「職場の雰囲気」を挙げる者が43%と最も多くなっており ます。それに続いて「収入減となり、経済的に苦しくなる」と回答した割合が40.2%と なっております。その下の育児休業制度を利用できたのに取得しなかった理由ですが、 これは報告書をお配りしておりますが、私どもからニッセイ基礎研究所に委託をしまし て、男性の育児休業取得に関する研究会で調査をした結果です。これについては、男女 双方に聞いております。男女双方合わせて最も高い理由としては、「自分以外に育児を する人がいたため」という項目が挙がっております。男性が57.3%、女性は12.5%と、 大きく男女で数値が違っております。女性の場合は、「職場への迷惑がかかるため」と いうのが57.5%と極めて高くなっております。また、その下の数字は男女でほぼ見合い の数値が出ております。例えば「職場や仕事の変化に対応できなくなると思ったため」 というところでは、女性が25%に対して男性は8.9%ということで、男女での考え方が かなり違っているという結果が出ました。  次に5頁の(6)です。これは厚生労働省で実施している「雇用動向調査」から、女 性の離職者の離職理由を聞いたものです。これは昭和45年から経年的に聞いておりま す。結婚、出産・育児、途中から介護で辞められた方の割合が出ております。結婚、出 産・育児で辞められた方は時系列的にはウェイトとしてはかなり減ってきております。 平成14年の数字で言いますと、結婚退職された方が5.1%、出産・育児で辞められた方 が4.2%となっております。  次の(7)ですが、これも先ほど紹介した「21世紀出生児縦断調査」の結果です。こ ちらは母親の出産1年前の就業状況別に見た現在の就業状況です。この表は出産1年前 の時点で無職であった方、あるいは仕事に就いていた方が出産後6カ月、赤ちゃんが6 カ月の時点で現在どういう状況にあるかということを聞いた調査です。無職の方につい ては1年半後の現在も96.3%の方が無職となっておりますが、出産前に仕事に就いてい た方について見ますと、出産1年前に仕事に就いていた方のうち56.1%の方が現在無職 であるということになっております。  仕事の種類別に見ますと、常勤で勤めていた方について、現在無職である方が49.0% と、ほぼ半数の方が仕事をお辞めになっている状況です。パート・アルバイトで勤めて いた方については、78.9%と、さらに無職である割合が高くなっております。  6頁の8と9は(7)に関連するデータです。出産で辞められる方が(7)のデータ のようにたくさんいらっしゃいますが、(8)は日本労働研究機構が実施した別の調査 です。出産1年前には雇用者で現在は無職で、かつ就学前の子供がいる女性に、「なぜ 仕事をやめたのですか」と聞いております。その結果、「自発的にやめた」という方が 約50%です。一方、「仕事を続けたかったが、仕事と育児の両立の難しさでやめた」が 24.2%ということで、自発的に辞めた方がほぼ半数、「仕事を続けたかったが、仕事と 育児の両立が難しいので」という方が約4分の1というデータになっております。  (9)は(8)の「仕事を続けたかったが、仕事と育児の両立の難しさでやめた」と 回答した方に対しまして、両立が難しかった具体的な理由を聞いております。これは複 数回答です。いちばん多い回答としては、自分の体力の問題を挙げている方が約50%で す。それ以外にも、育児休業を取れそうもなかった、あるいは取れなかった、保育園の 時間と自分の勤務時間が合わなかった、子供の病気で度々休まざるを得なかった等々の 理由が回答として並んでおります。  次に7頁ですが、出産・育児をきっかけに辞める労働者の状況について、(10)と (11)も日本労働研究機構が実施した調査ですが、こちらは企業調査で企業に聞いてい るものです。企業に出産・育児をきっかけにして辞める労働者が多いと感じているか少 ないと感じているかという問いが(10)です。育児休業中あるいは育児休業復帰後に辞 める方については、「多い」「どちらかといえば多い」と回答する企業は非常に少ない ですが、産前産後休暇中、あるいはその前に辞める方については、「多い」、「どちら かといえば多い」という回答を足しますと3割を超えますので、やはり企業の認識とし ても出産・育児をきっかけとして辞める方はそれなりに多いという認識にあるというこ とであろうと思います。  次の(11)は、出産・育児をきっかけとして労働者が辞める理由として、企業の担当 者の側としてはどういうふうな認識を持っているのかを聞いたものです。企業の認識と しては、「出産・育児に専念するため、自発的にやめる方が多い」という回答が約7割 強になっておりますが、「体力の問題」「家族がやめることを希望した」というのがそ れぞれ約2割です。それ以外にも個人のところでも出ておりましたが、保育園の問題、 本人の体調の問題、お子さんの病気の問題ということが考えられるという回答が、それ ぞれ10%台となっております。  次に8頁です。先ほど育児休業の取得率について説明しましたが、前にも公益委員か ら育児休業の取得率が6割、7割というが、それは出産時に事業所に在籍した労働者を 対象にした数字で、出産をきっかけにして相当数の労働者が辞めるのだから、そういっ た労働者を対象から除外して算出するのは取得率としてはどうだろうかというご意見も いただきました。ニッセイ基礎研究所にお願いをして行った男性の育児休業取得に関す る研究会でも、同じようなご議論がありました。育児休業取得前の退職状況を育児休業 の取得率に加味してみると、どういった数字になるかを試算しております。「21世紀出 生児縦断調査」の結果に基づいて試算しております。分母に出産時に事業所に在籍して いた方に加えて、先ほど別のデータで説明したとおり、出産前には、常勤で勤めていた けれども、その後退職した労働者を分母に加えて試算をしますと、38.5%となっており ます。すなわち、分母が出産時に事業所に在籍していた方だけを対象にしますと80%で すが、妊娠後出産までに辞められた方を分母に含めますと、育児休業の取得率は約4割 弱、半分ぐらいになるというデータです。なお、男性については出産で辞める方はほと んどいませんので、数値としてはほとんど変わりません。以上が育児休業の取得状況等 についてです。  続いて、育児休業の対象となる労働者についてですが、(1)の現行の取扱いです が、これは既にご案内のとおりですので簡単に説明いたします。法律においては、第2 条の定義において、「日々雇用される者及び期間を定めて雇用される者」が労働者の定 義から外されております。さらに第6条ですが、ここでは労使協定で育児休業の対象か ら除外することができる者として、事業主に引き続き雇用された期間が1年に満たない 労働者、その他配偶者が専業主婦である方等々については、労使協定で除外することが できる形になっております。  10頁ですが、既にご案内のとおり期間を定めて雇用される労働者については、育児休 業法でいうところの育児休業の対象からは除外されておりますが、労働契約の形式上、 期間を定めて雇用されているものであっても、その契約が期間の定めのない契約と実質 的に異ならない状況になっている場合には、運用で育児休業の対象にしております。そ の判断に当たっての指針は、こちらの審議会でご議論をいただきまして出しましたが、 資料のとおり、これまでの雇止めに関する裁判例等を参考にして、判断基準をお示しし ております。  11頁以降ですが、(2)、どういった範囲の方が対象になっているかということで、 平成14年度の女性雇用管理基本調査の結果です。育児休業法の規定は最低基準ですの で、育児休業法で除外できることになっていても、それぞれの企業で対象にしている ケースもあります。労使協定で除外できても、除外していないケースももちろんあり、 そういった状況をお示ししております。期間を定めて雇用される労働者については、 「対象にしている」という企業が約15%、「一部対象にしている」という企業が6.4% ですから、20%強の企業が何らかの形で期間を定めて雇用される者についても、育児休 業の対象にしております。  労使協定で除外できる部分は、所定労働日数が週2日以下の者、勤続1年未満の者、 配偶者が専業主婦の方、1年以内に退職することが明らかな者、それぞれ対象とする割 合も8%から、1年以内に退職することが明らかな者ですと25.9%対象にしているとい う形になっております。  (3)は「有期契約労働者数の推移」ということで、現在の育児休業法では範囲から 除外している「期間を定めて雇用される労働者」の状況についてです。(3)は総務省 の労働力調査で、「臨時雇」及び「日雇労働者」の雇用者全体に占める割合です。平成 14年現在ですと13.6%という数字になっております。平成7年、8年、1990年代後半辺 りから、「臨時雇」あるいは「日雇労働者」を合わせた割合がかなり高まってきている ことが見て取れるということであろうと思います。  続いて(4)は、こうした有期契約の労働者の勤続年数あるいは契約の更新はどうな っているのかということで、こちらは労働基準局が行った調査の結果です。まず、有期 労働契約の雇止めまでの勤続年数が平均4.6年となっております。(2)は雇止めされるま で何回契約が更新されたかを聞いておりますが、1回も更新されなかったという方を含 めて平均更新回数を取りますと4.1回、1回以上更新された方で平均更新回数を取りま すと6.1回という形になります。  14頁は厚生労働省で実施した「パートタイム労働者総合実態調査」の結果で、パート タイム労働者についてどういう状況になっているのかというデータです。I)は勤続期 間別のパートタイム労働者数の割合ということで、これは契約期間が定められているか いないかにかかわらず、パートタイム労働者の平均勤続年数がどのくらいかということ ですが、平成13年のデータで平均4.9年という数字になっております。II)が、パート タイム労働者のうち雇用契約期間が定められている者、定められていない者の割合です が、定められている者が44.3%、定められていない者が55.7%です。したがって、パー トタイム労働者で雇用契約期間が定められていない方も、育児休業法の適用になります ので、現状でも5割以上の方は育児休業の対象になります。また、雇用契約期間が定め られている方についての平均契約月数が8.2月となっております。ここには示しており ませんが、契約月数でいちばん多いのは1年間、これがほぼ5割弱です。6カ月が約25 %、その平均ということで8.2カ月という数字になっております。  III)が雇用契約の更新の回数あるいは更新の有無を聞いておりますが、更新したこ とがあるという方が約85%、平均更新回数が7.8回という数字になっております。前の 頁の労働基準局の調査の結果とほぼ同じような勤続年数、あるいは更新回数になってお ります。  15頁は先般の通常国会で成立した「労働基準法の一部を改正する法律」の概要です。 これも既にご案内のこととは思いますが、簡単に説明いたします。私どもの議論にかか わる部分は、1の「概要」の(1)の「有期労働契約」の部分です。有期労働契約の期 間の上限は、現行は1年ですが、これが3年になるということです。高度で専門的な知 識等を有する者、満60歳以上の者については5年ということです。  さらに(2)にありますように、有期労働契約の締結及び更新・雇止めに関する基準を 定める根拠規定を法律上設けまして、この基準に基づき必要な助言・指導を行うことが できるという規定になっております。なお、「有期労働契約の締結及び更新・雇止めに 関する基準」については、現在労働条件分科会でご審議をいただいていると聞いており ます。労働者の範囲については以上です。  次に16頁の「育児休業の期間あるいは回数等について」ということですが、(1) 「最長育児休業期間別事業所割合」ということで、育児休業法上は1歳までという期間 になっておりますが、これもそれぞれの企業において1歳を超えた規定をしている企業 もあります。そういった状況ですが、法定どおり1歳未満としている所が86.1%です。 法定を上回る水準に設定している所が約15%弱あるということで、1歳から1歳6カ月 未満の所が6.4%となっております。  (2)は、実際に育児休業を取った方がどのぐらい取っているかということですが、 平成11年度と14年度の数字をお示しております。女性は10カ月から12カ月という方が約 4割強となっております。育児休業法の満1歳までというところでいえば、ほぼフルに 取っていらっしゃる方が4割です。一方男性については、6割以上が3カ月から6カ月 という期間になっております。これについても平成11年の調査結果と比べますと、男性 も育児休業を取った期間が長い方が増えていることがみてとれます。  17頁の(3)の「育児休業の取得可能回数別事業所割合」ですが、育児休業法上は原 則として育児休業は1回までということで、特別な場合だけ複数回の取得ができること になっております。これもそれぞれの企業で複数回の取得を認めている割合がどのくら いあるかということですが、法定どおり1回という所が91.1%、それ以外の所がこうい った数字になっております。  18頁の「その他」ということで、これは現行の育児休業制度について、労働者にどの ようなニーズがあるのかを調査した結果です。これも日本労働研究機構が行った調査結 果です。(1)は、より利用しやすい育児休業制度としてはどういうものがいいかという ことを聞いております。1人の子供について複数回できる、あるいは、配偶者が専業主 婦等であった場合についても育児休業は取得できる、1歳を超えても育児休業を取得す ることができるということで、このような数字になっております。また、(2)は複数回 について、なぜ複数回に分けて取得できればいいのかということについての回答です。 「子供の状況のため」というところが非常に多くなっております。  次に19頁ですが、これも同じく「1歳を超えて育児休業することができればよい」と 回答した人にその理由を聞いております。「1歳で保育園に預けるのは早すぎるから」 あるいは「保育園の入園時期に合わせるため」等という回答になっております。(4)は 1歳を超える場合について、具体的にどのぐらい延長できればいいかを聞いておりま す。これも男女に分けて聞いております。この調査で非常に興味深いのは、男性と女性 の答えがかなり違っているということです。男性については、2歳6カ月から3歳未満 まで、あるいは3歳以上という数字が非常に高くなっております。一方女性について は、「保育園に入園できるまで」「子供の状況に合わせて」という答えが男性に比べて 非常に高くなっております。この辺は実態として自分で育児休業を取った、あるいは取 る可能性が非常に高い女性のほうが、かなり現実的に答えているところが現れているの だと思っております。  それに関連して次の20頁の「育児の状況」ということで、(1)の「家庭内で誰が育児 を担当しているか」ということですが、これも日本労働研究機構の調査ですが、育児担 当者ということでは母親が99.5%、父親79.0%となっておりますが、主たる担当者とな りますと父親が1.2%という状況ですので、こういった状況がいま申し上げた答えにも 現れているのではないかと思います。(2)の「家族以外の育児の状況」ということで、 普段の日、日中等々、どういう形で育児をしているかということですが、共働きの方に 聞いておりますが、母親が正社員と、それ以外に分けて聞いておりますが、普段の日の 日中については保育園が7割、同居はしていなくても近くだということだと思います が、祖父母というのが約2割となっております。  次に21頁ですが、こういう資料ということでしたので、育児休業制度のみではありま せんが、私どもで実施している各種助成金制度の予算、実績についてお示ししておりま す。最後に22頁ですが、これも前回説明しておりますが、先の通常国会で育児休業制度 にかかわる附帯決議がされておりますが、それを再度参考ということで付けさせていた だいております。前回もご説明いたしましたが、子ども看護休暇の問題、あるいは期間 雇用者の育児・介護休業制度の適用の問題等々について、附帯決議で触れられておりま す。私からの説明は以上です。 ○分科会長  ありがとうございました。ただいまの事務局の説明についてご質問等がありました ら、ご発言いただきたいと思います。 ○公益委員  私のリクエストに応えていただきましてありがとうございます。14頁の資料の確認を したいと思います。II)の雇用契約期間の有無別パートタイム労働者数、ここで言う パートタイム労働者というのは疑似パートを含んだ、企業における呼称によるパートタ イムとなっているのか、それとも一般労働者と比べて労働時間の短いほうか。この調査 は両方やっていますが、どちらを取っているのでしょうか。 ○事務局  パートとしては正社員以外の労働者で、名称にかかわらず1週間の所定労働時間が正 社員よりも短い労働者という定義になっております。 ○労側委員  13頁の有期契約労働者の雇用の現状ですが、契約期間及び回数となっていますが、派 遣契約労働者はここに入るのでしょうか。派遣元で雇用されている方々は有期に含まれ ているのですか。 ○事務局  一般論で言えば、いわゆる登録型の派遣労働者の方というのは、当然有期雇用契約で すから入ると思います。この調査そのものの中にそういう方が入っているのかどうかに ついては、調査対象にはサービス業も入っているものですから、人材派遣業も入ってい る可能性はありますが、それ以上細かい分類はされていないものですから、入っている のか、また、どのくらい入っているのかについては、現時点ではわかりません。 ○分科会長  本日の議論のテーマとしては、育児休業について特に対象となる労働者の範囲、休業 期間、取得回数に絞っていろいろご意見を出していただくということもあって、その前 提として今日資料の説明をいただいたと思いますので、特にご質問がなければ今日の テーマについて、この資料を踏まえてご意見をいただきたいと思います。 ○労側委員  17頁の(3)の育児休業の取得可能回数の事業所割合で、法律に定める1回というの が多いですが、6回以上は0.9%ということですが、これらはどういう仕組みなのです か。休業期間は1歳までで複数回と理解した場合、どういう仕組みで複数回となってい るのか分かりますか、6回となると。 ○事務局  これはあくまで統計的に聞いているだけですから。先ほど別のデータで、期間につい ても満1歳までのところと長いところがありますから。例えば3回、4回、6回という ところは、期間が長いところは分割できるということもあると思いますので、そこは統 計的なデータだけでは出てこないと思いますので、個別に事例を当たってみなければと 思います。これまでも企業のヒアリング等をお願いしましたが、そういった事例につい ても必要があれば当たってみたいと思います。 ○労側委員  育児休業についての検討を進めていくということで、先ほど休業の対象者、期間の問 題についての意見がありましたが、この課題に入る前に調査結果を拝見して、なお心配 に思うところを意見として申し上げたいと思います。  仕事と家庭の両立支援対策ということで、育児、介護を中心に、その充実を図ること は大変重要だと考えています。その上で少し職場の状況、現場の実態を、このテーマに 関連して自分の所の取組み状況なりを把握する中で感じたことをお話したいと思いま す。先ほど取得率の出し方として、出産をきっかけに辞めている労働者が多いので、そ れを加味した場合の取得率の変化を、資料で出していただきました。いまは妊娠をした 時点で非常に働き続けることが困難で、その結果自発的に辞めるという場合ももちろん ありますし、大変残念なことに労働組合の活動も十分でないという反省もありますが、 上司のほうから、そんなに無理してまでも働かなくてもいいのではないかと言われて、 それを妊娠している状況と重ね合わせて悩んでいるというような声や、もっと端的に申 し上げれば、妊娠を報告したら辞めるように退職勧奨を受けた、あるいは管理職の理解 を得られず、職場の仲間同士で非常に苦慮しているという、妊娠から出産までの間で非 常に大変な思いをしているという状況が、実は職場の中には結構ありました。  産んだあとの体制が充実していることに加えて、産むまで仕事を継続しながら妊娠期 を安全に職場で過ごして出産を迎えるということも、支援対策としては重要だと改めて 思っております。この調査結果で、出産をきっかけに辞める労働者が多いというのは、 その個別事情はわかりませんが、いま申し上げた職場実態から言えば、出産までの間の 職場の無理解あるいは退職勧奨、いわゆる妊娠、出産を理由とする不利益な取扱いなど があるとすれば、それ自体をきちんと解消していくことが重要だと思っております。そ れを議論の中身に入る前に意見として申し上げたいと思いました。 ○使側委員  いくつか考え方を述べさせていただきます。1つは全体の問題になりますが、使用者 側の基本スタンスということで、考え方を4点ほど申し上げておきたいと思います。1 つは、これは従来から申し述べていると思いますが、ノーワーク・ノーペイということ だと思っております。2つ目は、企業経営、活力というものを阻害しないこと。3つ目 は職場における人間関係も含めた適合性。4つ目は、労使自治というのが基本である、 と、このように考えております。  実は私ども日本経団連は先般、「子育て環境整備に向けて」ということで報告書を取 りまとめて発表いたしました。これは企業が自主的に取り組むことを中心にまとめまし たが、その中でも「法律等による規制は必要最小限に」という考え方を示しておりま す。企業がまず自社の実情に応じて前向きな取り組みをしていくことが非常に重要です し、その実態の積み上がりというものを見て次の段階に入っていくべきと考えておりま す。  それも踏まえて、いま数字を見させていただいた上でご意見をいくつか申し上げたい と思います。いま育児休業の対象の範囲、期間、取得回数の枠組み等々ということでし たので、分けて申し上げますと、対象となる範囲ということになりますと、今回の労基 法の改正等の説明がありましたが、私どもとしては現行のままでいいと考えておりま す。つまり、期間雇用者については、その期間働いていただくという契約をしているわ けで、ここに育児休業という考え方を持ち込むことは適切ではないのではないかと考え ております。  休業期間も1歳になるまでということですが、これも現行のままでいいのではないか と思います。各企業は労使の話し合いによって必要に応じて現行法の規定以上の期間取 得ができる制度をつくっているところもあります。法律はあくまでもミニマムであって 然るべきだと考えております。このことは後ほど言います。  取得回数ですが、育児休業の制度は就業継続、つまり働き続けることを前提に一定期 間育児に専念していただくことを目的にしているかと思います。したがって、現在でも ご夫婦で1回ずつ取得できるような制度になっておりますので、この枠組みで十分では ないかと思います。育児に専念できるということと、企業側としましては仕事の管理、 労務の管理という管理上からも、あまりにも出たり入ったりすることは認めがたいとい うのが実態ではないかと思います。  育児全般についてですが、先ほどの説明の中で6頁の(8)ですが、1年前には雇用 者でしたが、現在は辞められている方の割合、その理由がありましたが、これは5頁か らの関係を見れば、出産された方を100とした場合に、退職した方が50、そのうち自発 的に退職した方が25。仕事を続けたかったけれども両立できなかった方が12.5という数 字かと思います。両立できなかった12.5が高いか低いかという判断は難しいところです が、いずれにしても専念するという考え方で辞められた方が多いことは事実です。  (9)の難しかったという方の理由ですが、この中身を見ましても、要は育児休業が 取りにくい、取れそうもなかった、育児に対する配慮や理解がない職場が多いという割 合がありますが、一方で本人の体力、大きいところは保育所の問題で、これが32.8% で、こういったことを指摘する声が大きいです。したがって、育児休業期間の延長や回 数拡大について議論する理由というのは、あまり見当たらないと思いました。制度の見 直しよりも、むしろ現行制度についての啓発、周知徹底、意識の高揚を進めることがま ず第一義ではないかと感じました。  もう1つ申し上げますと、保育園ということで、待機児童の問題です。保育所の問題 をどのように解決するのかということが非常に重要になっているのではないかと思いま す。もう1つ4頁のところ、「育児休業制度を利用しなかった理由」というのがありま す。ここでもいちばん上のところで「職場の雰囲気」というのがあります。43%です。 もちろん職場の雰囲気というところには、かなり取りにくい雰囲気から、それほどまで もないのまでで幅も実際はあるのでしょうが、1つは意識の周知、PRが重要でしょう し、本人の意識もなければいけない。権利というのは自分が主体としてやっていかなけ ればいけない部分があるので、両方、そういうものがあいまってということになると思 います。いずれにしても職場の意識の高揚、啓発が非常に重要だということが、これを 見て改めてわかった次第です。雑駁ですが、以上、意見として申し述べておきたいと思 います。 ○労側委員  経営側が包括的に言われたので、私のほうからも労側の意見を少し述べます。いま、 データを見せていただき、育児・介護休業法は93年に施行され、その後、95年にすべて の事業所で適用され、さらに99年には介護休業ということです。その法改正のときのい ろいろな議論のなかで、特に当時の普及率が、いま使側委員が言われたように必ずしも 十分でなくて、しかし、時代の要請もあって制度が作られた。その結果、法律の制定が 世の中全体の雇用の分野における制度充実を後押ししたという認識しています。  いま使側委員が言われた労使の自治というのは、いつもこの種の議論をするときに使 用者が言われるわけです。言葉としては美しいですが、実際、我が国における機能とい ったとき、労使自治を十分活用できない現状にあるときに、法律の持つ意味というのは 大きいわけです。その点から私どもとしては2年前の改正についても、私どもからする とまだ不十分な点がある。したがって今回の見直しにあたっては、その不十分な点を是 非、いま一度強力にやっていただきたいというのが第1点です。  2つ目に、今日、資料として配られている、夏に行われた国連の女子差別撤廃条約の 日本政府に対する勧告がありますね。ここで5頁の23と24で、委員会の勧告の中に我が 国に対して長年の固定的役割分担意識が、男女間の平等を達成するための大きな障害と 認識していることは評価しているけれども、もう少ししっかりせよということがあっ て、24にもその旨が書いてあります。  両立に関しては、34に委員会からの指摘があり、5行目ですが、「委員会は、家族的 責任と職業上の責任の両立を可能にする施策が強化されること、家庭内の仕事の男女間 での平等な分担が促進されること、家庭や労働市場における女性の役割についての固定 的観念に基づく期待が変わることが奨励されることを勧告する」とあります。  もう一方で、今年のILO総会における我が国の156号条約の状況について、日本政 府の報告に対しILOでもいろいろ議論になっている。この場で諸外国のこの問題の事 例等も報告されましたが、世界全体から見ても我が国は、95年当時から比べてかなり前 に進んでいるものの、まだまだ不十分だという指摘だと思います。  それに我々はどう応えるかという観点からすると、女性の雇用の分野における機会均 等、平等という意味では、仕事と家庭の両立というのは男性も含めて考えていかない と、十分に女性の能力発揮ができない。平等を進めるという観点からすると、この両立 支援というのは大きなテーマなので、そういう面でこの議論を少し発展させていただけ ればというのが総括です。  今日のテーマである育児休業の期間の問題ですが、当時、私どもは子供の育児休業は 3歳までという要求もありました。1歳という現状の姿なのですが、公務員は前回の改 正では3年になっていますよね。民間は1年、公務員は3歳までです。この辺の状況と 今日のデータにある保育園との関係で、1歳に達した後3月末まで、3歳までというの を労働協約で結んでいるところもあります。0歳児保育が少ないということもあって、 そういう要望があると思うし、1歳までの育児休業を終えても子育ての慣らしとかいう と、もう少し休みたいということをどう考えるかという意味で、その辺も十分勘案し て、この育児休業の期間延長という問題は検討すべきではないかと思います。  その際に、では育児休業給付はどうするのかということがあります。公務員の場合は 1歳までは40%、2年目以降は出ないという仕組みですが、民間レベルで期間延長した 場合に、雇用保険から出ている給付については、データでは経済的理由で取りにくいと ありますから、積極的に経済的支援はすべきだと思います。加えて国は、少子化対策で お金を使おうと現内閣は言っているのでしょうから、そういう面で、そういうお金は積 極的に使うべきだという意味で、経済的支援の強化も延長に併せてやるべきだと思いま す。  対象となる労働者ですが、前回の改正の際に、有期契約労働者についても、反復更新 する場合は行政解釈で、判例等を参考にしながら適用するようにということをはっきり させましたが、すっきりと有期であっても原則適用するべきです。いまのままだと育児 ・介護休業法というのは、正規社員のための育児・介護休業法ということになると、私 は前から言っています。そう名乗るのなら別ですけど、そう名乗らずに、これは除外で きないという法律の仕組みというのは、そういう労働者がだんだん増えているし、ます ますこれが増えていくのではないかという予測もあるなかで、どう対応するか問題で す。基準法の改正というのもありますが、育休については、労働者の権利として差別な く適用すべきです。そこは私が前から言っているように、対象として適用すべきだとい うことです。  回数問題ですが、先ほど複数回取れるという観点から、どういう仕組みかデータがあ ればということで質問しました。利用しやすい育児休業制度にしましょうという観点か らすると、おっしゃるように企業側からすれば、そんなばらばらにいつも取られたら雇 用管理が難しいという指摘もありました。その辺も配慮しつつ、家庭の事情、子供の状 況によって変化しますので、1回にまとめて、いつ取ろうかと考えることのないよう に、複数回取れる仕組みを導入したらどうか。ちなみに公務員は、公務員育休法に基づ いて複数回取れます。そういう労働者が利用しやすいしくみにするには、複数回取れる ようにすることが考えられないかということです。そんなことで是非、残された課題に ついてやっていただきたい。  男性の育児休業促進は今日のテーマですか。先ほどデータ的に説明されたのですが、 これも前回改正のときに、国会から検討しなさいということで、厚生労働省で検討委員 会を設けて研究して発表されました。あの研究会では、こんな制度を作りなさいという のは出ていませんよね。  私どもとしては、男性の意識啓発、職場の雰囲気、経済的支援など、いろいろな政策 手段、考え方をやっていってもなかなか進まないなかで、男性が取りやすいようにどう するかという話なのです。労働時間問題もありますけど、制度的に男性が取りやすいよ うな積極的措置を、当分科会でも検討していくべきではないかという感じです。 ○使側委員  1、2、意見を述べておきたいと思います。まず1点が、後ろからになってしまいま すが、いまの男性の取得の話です。そもそも現行制度でも、これは別に男女にかかわら ず同じ権利を持っているわけです。つまり夫婦でどちらが取るかという話は夫婦間の話 であって、あまり男性の取得、女性の取得という話ではないのではないか、こんなふう に私のところでは考えています。これが1点です。  もう1点ですが、先ほど、利用しやすい制度とするために取得回数を増やしたほうが いいのではないかという話がありましたが、これは職場の仕事上の管理とか、人事労務 管理の問題もあると言いました。当然、そうなると非常に管理上は不安定になって、そ の場合に代替要員をどうするのか。その短い期間に別に雇用した方に来ていただいて やっていただくのが頻繁になったりするわけです。また社内でやる場合に、誰かに頼む にしても非常に管理がしにくくなる。その辺の問題が実態としてあるのではないかと思 います。  もう1つ、いま有期雇用契約期間の話で、これは労働者の権利として全部差別なく認 めるべきだという話がありましたが、差別ということではなく、あくまでも契約期間と いうことの違いのなかにあるもので、現行法もそうなっているし、職場でもそのような 管理が行われている。これが実態であろうかと思います。  反復更新も行われているというお話でしたが、これは有期の雇用としてやっていく場 合に、更新される場合は当然あるわけですが、結果的に振り返ったときには、先ほど見 たように平均的な更新回数というのがあるわけです。そのことと、前に向かって、それ だけの1年間の休業を与え得るのかどうか。実際問題として6カ月雇用か1年雇用が多 いわけです。そういう実態も考えたなかで判断すべき問題だと思います。 ○労側委員  代替要員問題ですが、これも前々回の改正の大きなテーマだったのです。そこで何を やったかというと派遣法で育児・介護休業の代替については認めてくれという使用者側 意見があって、派遣法の中で、例外的に措置したわけです。あれが95年当時ですからも う7年です。なおかつ、同じように代替要員をどうするかとおっしゃるわけですか。派 遣法が改正されて、代替要員は今度は育児だけでなく目的に限定なく使えますけど、使 用者側は、まだ足りないからこうしろというのでしょうか、そこがわからないのです。 ○使側委員  回数があまり何度も細切れにあったときに、そのときに派遣に来た同じ人が次に来て くれるかわからないですから、常にわからない人が来る状態になります。非常に管理し にくいのです。そういうことも含めて申し上げているのです。 ○労側委員  前に改正したときに、代替要員をどうするのかというので、ここで派遣でできれば何 とか対応できるというので用意したわけです。その結果がどうなのか使用者側に言って いただかないと、代替要員をどうするのかというので、あのときもかなり労使が揉めて 労側は、派遣ではまずいだろうとなったのですが、いわば特定目的ということで派遣法 を変えたわけです。まさにそのときあった特定目的が育児・介護です。それはどう考え ているのですか。 ○使側委員  仕事の遂行は、別に誰かに来てもらえばそれで済むわけではく、その仕事をどうやっ て処理していかなければいけないかがあるので、ちょっと来てくださいで済む仕事なら いいけど、そうでないとするならば非常に管理しにくいです。 ○労側委員  育休を2週間単位とか3週間単位で取ることはなく、たぶん1カ月単位をコアにして ある程度まとまって取るはずです。そこのところがどうなっているかと思って、先ほど 質問したわけです。別に、いつでも自由に労働者が必要なときにできるのではないと思 う。ある程度取決めがあって、そのときは1カ月単位だよとかあるはずです。そこのと ころをお互いに議論し合えば、我々は労務管理の問題を無視して提案しているわけでは ない。そこも折合いを付けながら何とか取れるように、いま現在1回きりというのは、 あまりにもきついのではないかと言っているわけです。 ○労側委員  やはり労務管理の問題は、経営者側が言っていることはわかります。それは、どのく らいの期間で休業を取るのかということとのバランスの問題なのだろうと思います。そ れに関連して質問ですが、18頁で複数回のところの理由の部分で、「子供の状況のため 」というところが女性労働者に多かったわけです。この子供の状況のための具体的な中 身が、この中で調査として把握されているのかどうか、そこのところを伺いたい。育児 をしてくれた人の状況のためということは、たぶん父母の問題とかでわかるのですが。  労使自治のことで言えば、常にこの場で労使自治に委ねるべきだという話が出てきま す。これも私たちが再三申し上げていますし、私の反省も含めて申し上げるのですが、 いまの労働組合の組織率の低下の実態があったり、または労働者代表制がどれだけ機能 しているのかも含めて考えると、すべてを労使自治に委ねて、この問題を解決していく ことはとても難しいのではないかと強く思います。最低限のものを法律でと言われます が、育児・介護、少子化問題を側面から捉えて今回、議論されていると思いますが、是 非とも進めていくということで言えば、法制化ということでしていかなければ、なかな かこの問題は解決していかないことは改めて申し上げたいと思います。 ○事務局  最初の質問ですが、調査票自体がこれしか聞いていないものですから、これより細か いことはわかりません。 ○使側委員  今日の3つのテーマのほかにも、今後やる部分ですが、看護休暇について、3年ぐら い前でしたか、労使で検討したことがあります。結局、積み残しみたいな形になりまし たが、今回、この調査結果をいろいろお聞きして、11頁の企業努力で対象者以外のもの を対象にしているとか、あるいは16頁の期間とか回数についても微々たるものですが、 それなりに上向きの傾向が出てきていると思います。  ですから、こういうことを見ると、本当にどの程度の数字になれば果たして満足でき るのかはあると思いますが、この間、中小企業からも大企業の労働組合からもヒアリン グをやりましたね。企業が例えば休業期間を延長する、あるいは取得回数を増やすこと によって、対応できるものかどうかの実態を踏まえてやらなければいけないと思います が、1人ぐらいのヒアリングの結果ではわからないので、できれば調査結果を企業側か ら見て、例えば回数を2回とか分割したときに対応できるのかどうかというものがあれ ばと思います。  実際にやってみても、それが枷になってしまって、こういう経済状態のなかでよたっ ている企業が多いわけですから、そういうときにあまり負担になっても困るので、でき れば何かもう少し実態がわかるような調査を、トライしてもらえればという気がするの です。 ○分科会長  これは今後、これからということですね。 ○使側委員  何か調査結果があるのか、あるいは別に誰かにお聞きするとか。それともう1点、話 は違うのですが、8月の初めに日経か何かに、期間が2年とかいろいろなことを細かく 条件を付けて記事が出ましたよね。もう既に何かルートができたような言い方で、この とおり決まっていくのではないかという感じに取れるのです。ちょっと気になってい て、かなり細かい部分まで、こういう場合にはどうのこうのと書いてあったのを思い出 したのです。あれはどんな経緯で出たのか。あるいはスッパ抜きなのか、その辺が ちょっと、あれっと思ったのです。確か8月の初めのほうの日経に出た記憶がありま す。 ○事務局  前半については非常に難しい要望だと思います。既存のそういったデータがあるのか どうか。あるいは、これから何かトライできるのかどうかを含めて検討させていただき たいと思います。  後段の報道の問題については、どういう経緯で、ああいう記事が出たのか私どもは全 く存じ上げていません。まさに今日、ご議論いただいているとおり、具体的にこれから どうするのかというのは、今日から具体的にご議論いただく問題だと思っています。 ○分科会長  今日のテーマについて、ほかの方からご意見はありますか。 ○労側委員  最近、それぞれ職場で働いている女性、男性の声をよく聞くのですが、最近の傾向と して、共働きで夫と妻が協力しながら子育てをしているという事例を、多く聞きます。 法律で男性の育児休業を進めるということを示せば、職場の雰囲気も変わってくると思 います。若い人の声を聞くと、男性も取りたいが職場全体の雰囲気がまだまだそこまで いっていない。もう1つは経済的な理由が大きいと思います。そのあたりを是非、今回 議論して、前向きに進めていただけたらと思います。 ○労側委員  先ほど労側委員も言ったのですが、公務員のデータ等はあるのですか。いまの制度に 基づく公務員の取得状況とかのデータはお持ちですか。 ○事務局  公務員につきましては先ほどお話がありましたとおり、これも平成14年4月から3歳 になっています。取得は、公務員については分割して取得というのは、確か2回目の取 得ができる形に、その時点で同じくなったと記憶しています。これは施行後まだ1年で すが、そのあたりの状況は人事院等が調査していてデータはあると思いますから、次回 にでも提出させていただきたいと思います。 ○使側委員  いま、使側委員からお話が出ていましたが、企業側としてはあまり細かく回数を分け て取るというのは、お話のとおり、いくら派遣の人がカバーしたとしても中身は、そこ までカバーしきれないのが現実だと思います。私はそれと離れて、いま、ここで発言し ていいかどうか悩んだのですが、保育の形をもっときちんと、もっと細かな対応ができ るよう、もっと広く網羅していったら、その辺の部分も大きく改善されるのではないか と私は思っています。  その次になるのでしょうか、地域で子供を育てようという言葉はたくさん出ています が、現実問題として、それがどこまで実態になっているのでしょうか。この次のところ で発言したほうがよかったのかもしれませんが、15頁の施設の小規模化の推進の中身が 概算要求の中にあります。私は保育に対する小規模化を、むしろ家庭の延長のようなと ころで保育をやっていけるような、地域で子供を育てる保育をもっと徹底していったな らば、待機児童がもっと少なくなるでしょうし、延長保育についても緩和されていくの ではないかと思います。  たぶんフィンランドだったと思いますが、家庭で自分が子育てをしながら他の子も2 人まで預かって、だから計3人まで育てられるというものがあります。保育の資格を 持っている人や、50歳以上で子育ての経験がある方にサポートしてもらう。保育料はそ の家庭に納めるのでなく区なり都に納める。預かった方は、そちらから給付金なり給料 をいただくシステムにしていけばいいと思います。  もちろん、家庭の環境とか細かな建物や何かの規定は必要かと思いますが、最低限そ ういうものを、どこまでという規格をきちんと立てて、ある程度のところは工事に助成 金を出したりする。近所の家庭保育をもっと徹底して広げていったならば、働く女性が 本当に安心してもっと働けるのではないか。  それと、小児科の医師が非常に少なくなっています。それはなぜかというと、いま小 児科はやっていけないのだということも聞いていますし、お子さんはただ泣いているだ けでものが言えませんから、どこが悪いのかわからないことから、ある程度経験のある 人でないと、学校を出てすぐ小児科を選択しても、なかなか医師としてきちんとしたも のができないということも聞きます。厚生労働省として、何らかの形で小児科医をもっ と育ててほしい。  それと家庭での保育を、ある部分のところまで私は認めてほしいと思います。それに よって、いま、いろいろ問題になっているところの半分以上は、解決できるのではない かと思っていますので、一言発言させていただきました。 ○事務局  後ほど概算要求の状況について説明しようと思っていたのですが、いま質問がありま したので、若干、お答えを先にさせていただきます。最初の家庭における保育について は、平成12年度から家庭的保育事業、保育ママさんという形で予算化をして実施してい ます。16年度においても6億強ぐらい、対象児童は2,500人ぐらいという形で要求して います。  ただ、実はいろいろ条件を緩めたりしながら進めているわけですが、現実にはなかな か親御さんの希望と需給がマッチしない。そういうことで伸びていないというのが実情 であろうかと思います。私どもとしても「待機児童ゼロ作戦」ということを進めてい て、その中でも1つのメニューということで位置づけていますが、残念ながら現実の実 態はそういう状況になっています。  先ほど、15頁のところの施設の小規模化に触れられましたが、これは保育所というこ とではなく児童養護施設、乳児院、入所型の施設についてグループホームということで すが、そちらを進めていこうということで考えています。  小児科の医師の問題については、昨今、非常に言われていますので、概算要求の資料 の8頁にありますように、14年度から若手医師の確保のための対策に取り組んでいると ころです。この点については坂口大臣も熱心に、私どもに積極的に進めろと言っており ますので、私どもとしても小児科、さらに産婦人科の医師の確保、あるいは質の向上の ための施策を進めていきたいと思っています。 ○使側委員  保育ママというお話が出ましたが、育児休業についての21頁にある給付金とは関係が あるのでしょうか。幼稚園とか保育園にいろいろな形で助成金が出ますね。それと同じ ような助成金というのも、この保育ママのほうに出ているのでしょうか。 ○事務局  21頁にあるものとは別に、保育所に入所するのと同じような意味合いで、家庭で保育 士の資格を持った方が3人ぐらいお子さんを預かって保育しているということで、保育 所に入所するのと同等の位置づけで費用も負担しているというものです。 ○使側委員  たまたま私は東京商工会議所女性会で、こういう問題の話合いをしたときに、いまの 件があまり周知されていないのではないかと思いました。比較的知っている人が少なか ったのです。自分自身の勉強不足もあるかと思いますが、何かもう少しそういうことを 徹底できるように、もしそういうことであるならお子さんを預かってもいいというのに 対し、その辺のところはどの程度広報されているのですか。 ○事務局  待機児童の話が先ほど出ていましたが、直近の4月の状況を見ると、昨年に比べて約 1,000人くらい増加して2万6,000人くらいの数字になっています。これをなるべく早く 解消していくことは非常に重要な課題だろうと思っています。  その際、待機児童の問題は国全体のトータルの問題でもありますが、自治体ごとのミ クロの問題というか、一方でマンション開発などがされると待機児童が発生する一方、 同じ地域の中でも空いているという実態があるのも事実です。また経済環境や女性の就 労状況にも左右されることもあるので、地域差が非常にあります。  今般、児童福祉法を改正し、法律上は地域における子育て支援を市町村の役割という 形で位置づけたわけです。その際に待機児童が非常に多い市町村、具体的に言うと省令 では50人以上という形になっていて、そうした市町村が4月の時点では119ぐらいあり ますが、そうした市町村については、待機児童を解消するためのミクロの保育計画を 作ってくださいということを義務づけました。  その中では、認可保育所のみならず、幼稚園における預かり保育、東京都の認証保育 所のような地方単独事業、先ほど言われた保育ママなど、いろいろなものを活用して解 消しなさいということになっています。そういうなかで保育ママのような事業について も、もっときちんと広報して普及されれば、よろしいのではないかと思っています。い ずれにしても自治体で、ミクロのレベルできちんとミスマッチが解消されるような方向 づけができましたので、自治体のそうした計画がうまく進むように、私どももいろいろ な支援を進めていきたいと思っています。 ○使側委員  2万6,000人のうち、例えば今年度で何人まで減少させるとか、具体的にはどういう 計画ですか。 ○事務局  現在は平成13年7月に閣議決定していて、14年度については5万人、15、16年度は合 わせて10万人です。つまり毎年5万人ずつ、保育所等における受入れを増やしていくこ とが決まっています。それに沿って施設の整備、運営費の確保をしています。現実に14 年度においても5万人を超える形で、認可保育所の部分だけでも増えているのですが、 それでも待機児童を解消できていない状況にあります、受入れは増えているのですがそ ういう実態にありますので、よりミクロのレベルで解消すべく新しい手立てを講じてい るところです。 ○使側委員  大変失礼な言い方になるかもしれませんが、マクロだけで考えて問題がどこまで解決 できるか、非常に程遠いことになるのではないかと思います。いま申し上げた例えば保 育ママみたいな方々に、もっともっと幅広くやっていただければ、逆にそこに雇用も生 まれるでしょうし、最初に申し上げたように、ここの部分がもっと細かく本当に配慮し たものを実行に移していかなかったら解決できない。実際問題、この少子化問題という のは相当やっていかないと、私は解消されないのではないかという危惧を持っていま す。もっと積極的、具体的に、できたら果敢に取り組んでいただきたいという希望を 持っていますので、お願いいたします。 ○事務局  その点につきましては、先の通常国会で次世代育成支援対策推進法、それから児童福 祉法の改正、さらには議員立法で少子化社会対策基本法という一連の少子化についての 立法措置もされました、今日も資料でお配りしていますが、推進法に基づいて地方公共 団体、企業にも行動計画を作っていただくということで、相当意識の進展があるのでは ないかと期待しています。  そういうなかで、先ほど申し上げた保育の問題については特に対策を別途講じた上 で、子育て支援を充実しようという方向でいますので、後ほど予算を説明しますけれど も、さらに16年に向けては児童手当の話など、私どもとしては諸々施策を進めていく予 定にしています。 ○公益委員  いま、労使のご意見を伺っていて発言させていただきたいと思います。ご承知のよう に有期労働とかパートの拡大は確実に進んでいますし、いろいろな法制度の改革がされ ています。そういう意味から言えば、その方向で制度、法律が整備されていっていると いう前提で、有期雇用の方とかパートの方たちで、育児や介護の課題を抱えた人たち が、これから増えていくだろうと思われるわけです。  その人たちの現実の働き方というのは、今日、紹介していただいたデータで見ると、 かつてに比べて非正規というか、有期は出ていませんがパートの方たちも、あまり常勤 の人と働き方も変わらないし、抱えている課題もあまり変わらない状況になっている、 つまり企業サイドとしては、非正規の人たちも十分活用しようという姿勢の方向にいっ ている。働いているほうも有期やパートという形で、なおかつ常勤の人と変わらないよ うな働き方をしている傾向が進んでいる。  そういう実態を前提にした場合には当然、その非正規の人たちの労働条件、特に今回 の課題の保育や介護などの課題を抱えている人たちの支援を積極的に一歩進める。これ は非正規化の進行とペアで進めていかなければいけない大きな課題だろうと思います。  いま言いましたように20頁の表を見ると、かつて私が調査をやっていたころは、フル タイムで働く人とパートなど非正規で働く人と、ライフスタイルが違っていたのです が、この表で見ても、パートや非正規の人も保育園は支援の重要なものであり、同時 に、かつてフルタイムの場合の主要なサポーターであった同別居の親族に、パートの人 も現状は頼っている状況です。子供が病気のときには、そこに頼らざるを得ないのは正 規の場合とあまり変わらない状況を踏まえた場合に、ますますそうした非正規の人たち の保育支援の充実が必要だろうと改めて思います。  今日は紹介されていませんが、いろいろな介護や保育のニーズを尋ねた調査もありま す。その結果で非常に興味深かったのが、企業サイドにおいて、そういう働いている人 たちが、いろいろな介護や保育のニーズを持っていることを理解していない。そういう 傾向が調査結果から出ています。働いている人たちにとっては、いろいろな諸制度が切 実に必要だというのはデータとして出てくるわけですが、企業サイドから言えば、あま り従業員からの要望がない。それほどニーズがあるわけではないといった、働いている 人と企業の間の認識のずれみたいなものがあります。企業サイドとしては、そういうも ののニーズはないと思っているし、そういうものが企業の中に導入されたら非常に混乱 が起きるのではないかと、過剰な心配みたいなものがあります。  何で過剰かというと、制度を導入していない企業にとっては、それを導入すると大変 な混乱が起きるということがあるわけですが、一旦導入して、その中で企業にいろいろ なノウハウが蓄積され、うまく企業の中で回転していくことが現実に今まであったわけ です。企業にとっては欠勤があったり、急遽欠員が出たりしないように、きちっと従業 員の生活支援をやるということは、企業の効率性と生産性にとって良いことなわけで す。企業の中にきちっとノウハウを蓄積していけば、コストやそれによるいろいろなダ メージも最小限に防げ、企業の効率も維持しながらという戦略というか、スタンスも取 れるのではないかというのが、今回のいろいろなデータの結果を見た感想です。  言いたいことは、そうした非正規従業員に対する生活支援、特に介護や育児の支援制 度の拡大が、いま、労働市場は非正規化の拡大が起きているので、それとペアで是非、 進めないといけない課題なのではないかと思い、発言させていただきました。 ○分科会長  特に使用者側から何か意見はありますか。 ○使側委員  私どもは最初に言ったとおりです。少しいまのことを申し上げると、例えば6カ月契 約をされた方がこの育児問題が起きたときに、したがって1年間休業しますという考え 方は発生しえないと言っているわけです。例えば1年契約でも同じです。その途中でこ れが発生した場合には、結局、休んでいただく制度としても、その最中に契約期間は切 れて雇止めという発想になるということです。  したがって、言い方が難しいですが、契約概念でやって、前に向かっての期間が短い ときに、それが大半を占めたり超すような休業制度というのは、適用しようがないと申 し上げたいのが1つです。これがいちばん大きいところです。もう1つは、いろいろあ るので言い方が難しいのですが、パートタイム労働者と言ったときは先ほどもデータに ありましたように、短時間勤務者の中にも有期雇用契約の方と、期間の定めのない雇用 の方たちがいらっしゃる。先ほど見たら半々ということでしたが、その期間の定めのな い方たちについては現行法が適用になっているという説明があったとおりです。したが って、特にこの問題は、いま話し合われるべきでないだろうということです。 ○分科会長  期間の更新については、いかがですか。 ○使側委員  更新についても申し上げたとおりで、先ほど平均回数は4回でしたか、これはいろい ろな理由があろうかと思います。単純に今は非常に不景気が続き、業績の先の見通しが できないので、要するに期間の定めのない雇用という形ではなく、有期という臨時の形 が増えているのかもしれませんし、景気のせいばかりではないのかもしれませんが、い ずれにしても前に向かって1年なら1年、必要であるから来ていただきたいということ でやっているわけです。たまたま振り返ったら、それが4回、5回の更新になっていた というのが実態であろうと考えているわけです。  したがって、これが前に向かって5年、10年いていただきたいとなれば、先ほど言っ た期間の定めのない雇用で雇っておられる状況ですから、先に向かって1年というなか で1年間の休業という話は、適用しようがないというか、そもそも馴染まないという考 えです。 ○労側委員  いま使側委員が言われた、6カ月契約の方が現行は1年までの休みですから、そうい う意味で私どもは、まず原則適用にしましょうということです。公益委員が言われた労 働市場の状況を考えたときに、そういう立場に立ちましょうということです。その上で どうするかというのは、いま言われたようにまさに技術問題があるのです。6カ月契約 の方が、12カ月まで取りますというのは矛盾するわけであって、そういう意味で比例配 分的要素で考えたらどうかと、私どもは前回の改正の時に提案したのです。そういう技 術的なところの話は、これから詰めていきましょうということなのです。  物の考え方として、いわば有期という方が増えているなかで、反復更新は積極性があ るとかないと言われますが、実態としても理由明示がはっきりしないわけでしょう。有 期の理由がはっきりしないし、反復更新するという理由もはっきりしない。契約回数は 4.7回という実態が増えているなかで、そこで行政解釈として、実態として期間の定め がないものと変わらないという判断をされている。そういう現状で、いま使側委員が言 われたけど、それも駄目となると、ではどういうふうになるのか。育児・介護休業の姿 が正規労働者以外は適用しませんという発想ですよね。経営者側がそう言っているの は、ちょっとどうなのか。  加えて、負担の話を盛んにされるわけです。経営にとって負担が重くなるとか、特に 中小企業については負担を緩和してくれとか、経済事情が悪いのだから新しい法律で規 制を強制するなとか。ただし、労働者の側に立つと、育児の不安で会社に行っても仕事 が手に付かない。結果、それが企業に悪影響を及ぼしているというデータも、最近発表 されたのがあったですよね。  核家族化とかいろいろな状況のなかで、労働者が会社に行っても、そういうことで常 に不安を抱えながら仕事をすることを考えると、いまの負担の問題という短期の問題で なくて、中長期のことを企業として考えてほしい。あるいは地方公共団体として、国と して、あらゆるレベルの役割分担で総合的に、この問題に対応していくことがあって然 るべきです。あまり負担の問題だけを言うなら、ではどういう面での負担があるかを出 してもらって、それでどういう応援が必要なのかも含めて考えていただかないと、前に 進まないのではないかと思いますので、一言申し上げました。 ○使側委員  公益委員の発言のなかで、私自身が今の時点で、先ほど発言したことを言うことでは なかったなと思います。時間的にはもっと後で発言すべきだったと思いますが、お話に 対して、いま、この少子化問題については経営者も非常に真剣に考えています。要する に経営者側のほうが、これに対して危機感が薄いのではないかという発言がありました が、逆に私も全部知っているわけではありませんけれども、みんなそれなりに国家的な ことですから非常に真剣に考えていることは現実だと思います。  ただ、個々で一人ひとりが望む働く側の立場の方と、トータルで見ている経営者側の 立場と多少の意見の違いはあるかもしれませんが、実際問題として大変な問題で、国の 角度から考えなければいけないということで、それぞれの企業が真剣に取り組んでいる と思いますので、一言発言させていただきます。 ○公益委員  これは事務局にお願いで調べてほしい、あるいはデータがあれば教えてほしいのです が、休業期間の延長を希望する人たちのなかで、例えば4月入園がほとんどであって途 中入園が難しい、したがって、それまでの期間延長をしてほしいという声が大分聞こえ てくるわけです。実態として4月入園がどれぐらい一般的なのか。5月、6月、7月の それぞれの入園者数がどれくらいいるのか。それが1点です。  もう1点は、例えば1年経って、まだ4月になりませんということで4月までの間、 何かの形でつなぎをやっていることがあると思います。そのつなぎの実態です。どうい う形でつないでいるのかということ。これについては統計はないかもしれませんが、事 例等がわかったら教えていただきたいと思います。 ○分科会長  時間の関係もありますので、この続きは次回の分科会で引き続きご議論いただくとい うことで、よろしいでしょうか。もう1つの議題に入りたいと思います。平成16年度予 算の概算要求について説明をお願いします。 ○事務局  いま樋口先生からお尋ねのあった件について、わかっている限りのお話をしますと、 例えば平成14年4月の時点で保育所に入っている方が約187万人でした。それがこの3月 時点では202万人くらいで増えています。それが今年4月の時点になると192万人という ことで、先ほどお話したように、14年4月時点では187万人が15年4月時点では192万人 で、受入れ数が約5万人増えている。毎月のデータがありますので、また次回にきっち りお話させていただければと思います。  資料No.3に基づき、概算要求の状況について簡単に説明します。私どもの局の柱と しては、次世代育成支援対策の推進と、多様な働き方を可能とする労働環境の整備の2 つです。特に次世代育成支援については、厚生労働省あげての施策ということで、概算 要求の項目の中でも1丁目1番地に、去年に引き続いて載っているところです。  今年の予算については2つ特徴があります。1つは、いわゆる配偶者特別控除の廃止 に伴う少子化対策ということで、国、地方を通じて2,500億円を別途、予算編成過程の 中で検討するということで、夏の概算要求の時点では項目だけの提示になっています。  14頁をお開きください。具体的に申し上げると、ここでは児童手当の充実とその他の 少子化対策ということで、これは昨年12月の与党の合意の時点で内々では児童手当に約 2,000億円、その他の少子化対策で500億円という形になっています。  児童手当については対象年齢の引き上げということですが、去年12月の時点では、現 在、小学校入学前まで支給しているものを、そのままの内容で3年生まで引き上げたら どうかという中身になっています。具体的には予算編成の過程で決まっていくことにな ります。  その他の少子化対策については大きく4つの柱があります。1つは「地域における子 育て支援事業の充実」です。これについては先ほどもお話したように、先の通常国会で 次世代育成支援対策推進法の制定、児童福祉法の改正がありましたので、そうした観点 から子育て支援事業を充実していこうということで、預かり型の事業、訪問型の事業、 親子が交流するような事業について更に拡充する、あるいは小児救急医療の充実などが あります。特にマスコミ等で取り上げられているのは、6の子育て支援総合推進モデル 事業です。子育てについて先進的な自治体を育てていくことも考えています。  2つ目の柱は、「児童虐待防止対策の充実」です。昨今、児童相談所に寄せられてい る児童虐待の相談件数が約2万4,000件ということですし、また児童虐待防止法が平成 12年11月から施行されていますが、ちょうど施行後3年になるということで見直しの時 期にあたっています。特に虐待を受けたお子さんをケアしていく面での充実を図ろうと いうところで、施設の小規模化、ケアを担当する職員の質的、量的充実、里親さんの充 実のための予算をお願いしています。  3番目、4番目については、1つは「不妊治療の経済的支援」ということで、現在、 医療保険の適用になっていない体外受精、顕微授精があります。そういうものについて 一定の助成をしようというものです。4については、お子さんの難病で「小児慢性特定 疾患」という言い方をしていますが、約500くらいの病気があります。これについての 制度の見直しをするための経費をお願いしています。  もう1点の特徴は、20頁を見てください。平成12年度を初年度として新エンゼルプラ ンを推進してきましたが、16年度が最終年度ということで、ここにあるとおりいちばん 右側が目標値です。16年度のところが概算要求でお願いしているところです。事業に よっては既に16年度の目標を達成しているものもありますが、まだ遅れているものもあ りますので、できるだけ目標を達成できるように予算の計上と、自治体の事業の推進を 図っていくことが重要であると思っています。  2頁を開いていただくと、局全体の予算合計の数字が出ています。局全体では1兆 863億円です。このうち児童福祉関係が1兆753億円、労働関係が110億円という状況 になっています。  簡単に事項順に追ってみると、3頁は子育て家庭の支援対策の充実です。先ほど説明 したように地域における子育て支援対策の強化については、予算編成の過程でさらに現 在要求しているものに上乗せになって、額が決まっていくことになるかと思います。  地域の子育て支援センターの整備については3,000カ所、放課後児童クラブについて は13年の閣議決定で、国庫補助をしないものも含めて1万5,000カ所を整備することに なっています。5月の時点で国庫補助の対象外を含めて、1万3,700カ所が既にできて いますので、あと1,300カ所ということですが、15年度予算で800カ所、さらに16年度で 800カ所ということで、おそらく1万5,000という目標は達成できると思っています。  4頁でファミリー・サポート・センターについては、385カ所の本部になるようにと いうことでお願いしています。6の児童手当の問題については、先ほど説明したとおり です。保育サービスについては、「待機児童ゼロ作戦」ということで16年度が最終年度 になりますので、それに向けて受入れ児童数を約5万人増やすということで、運営費、 施設整備費の両方合わせて339億円をお願いしています。特に待機児童の状況を見てい ると、低年齢児が多いということもありますので、その辺を中心に事業を進めていきた いと思っています。多様な保育サービスという意味で言うと、延長保育について1万 3,500カ所、休日保育については750カ所、一時保育について5,000カ所という要求にな っています。  6頁で、「子育て生活に配慮した働き方の改革」では、育児休業制度を当審議会で議 論していただいていますが、そういう制度の見直しの問題であるとか、3月に当面の取 組方針ということで、育児休業の取得率等の目標を設定していますが、それの達成に向 けての取組であるとか、あるいは育児等のために離職された方の再就職支援の充実、さ らに次世代育成支援対策推進法に基づく、一般事業主の行動計画を作っていただくわけ ですが、そうした支援のための経費を計上しています。  児童虐待の問題については、先ほど申し上げたように予算編成過程でさらに増額が検 討されます。配偶者からの暴力の問題ですが、これについても一時保護所に乳幼児を同 伴して来られる方も多くなっていますので、そうしたケースに対応するための予算を要 求しています。  8頁は「母子保健対策」です。先ほど質問のあった若手小児科医確保の問題をはじめ とする総合的な母子保健の研究対策の経費、あるいは周産期医療体制の充実ということ で、周産期医療ネットワーク、あるいは不妊専門相談センターについて、先ほどお話し た新エンゼルプランに基づいて整備していくとなっていますが、まだ遅れている面があ ります。きっちりやっていかなければいけない点です。9頁は不妊治療、小児慢性特定 疾患対策の問題で、先ほど説明しました。  10頁は「母子家庭の自立支援対策」です。昨今、離婚が急増して母子家庭が増加して います。この問題については昨年、母子寡婦法、児童扶養手当法の改正を行っていま す。母子家庭について自立を促進するために就業支援や必要な子育て支援、さらに養育 費の確保、経済的支援を総合的に進めようという枠組みが出来上がっています。特に母 子家庭の母の就業の問題については、先の通常国会においても議員立法で特別措置法が 作られたこともあり、就業支援を中心にして施策の推進を図っているところです。  12頁は、施設整備についての問題です。これについては保育所の緊急整備をはじめ、 特に小規模施設の整備の促進ということで、児童養護施設とか母子施設の整備について も助成ができるようにしようという中身が入っています。  21頁で、「多様な働き方を可能とする労働環境の整備」ですが、先般、当審議会の議 論を経て、指針が改正になっていますが、そうしたパートタイム労働者と正社員の均衡 処遇についての浸透、定着に向けた環境整備を図るということ。在宅就業対策の推進 や、15年度から始めている多様就業型ワークシェアリングの2年目の予算を計上してい ただきたいということで、要望しています。  22頁には「男女雇用機会均等確保対策の推進」ということで、実質的な均等取扱いを 確保するための行政指導の徹底、あるいは個別紛争の解決援助のための経費、ポジティ ブ・アクションを進めるための経費、さらに男女間の賃金格差解消に向けて、必要にな るガイドラインを先般作っています。そうした普及啓発、あるいは格差の要因となって いる男女間で差が見られる配置、昇進、業務の与え方等の改善を図るために、男女の固 定的な役割分担意識を解消するためのプログラムを、開発していく経費を要求している ところです。 ○分科会長  ただいまの説明について質問がありましたら、どうぞ。 ○労側委員  21頁ですが、(1)でパートタイム労働者と正社員との均衡の確保に向けた先駆的、 モデル的な取組を行う事業者を支援すると書かれていますが、具体的には、これはどう いうところを想定されているか教えていただけたらと思います。 ○事務局  具体的には業種別使用者会議という形で、いま、各都道府県ごとにやっていただいて いるのがあります。その中で先駆的、モデル的に取り組む事業主に対し、アドバイスす るコンサルタントを派遣して、もう少し事例としてわかるような形にしていただき、そ れを私どもとしては事例として活用させていただく形で支援することを想定している事 業です。 ○労側委員  例えば、それで事例が上がってきた場合には、リーフレット等で紹介するということ ですか。 ○事務局  そうです。いろいろな形で事例を収集し、それを活用するという形で考えているとこ ろです。 ○分科会長  ほかにございますか。質問がないようでしたら時間もオーバーしましたので、本日の 議論はこれまでにさせていただきます。次回は、本日に引き続き育児休業制度について ご議論いただきたいと思います。それと関連して保育の現状についての説明もいただき たいと思っています。最後に、議事録の署名委員ですが、本日は稲垣委員、川本委員に お願いします。最後に事務局から次回以降の予定について連絡があります。 ○事務局  次回は9月26日15時から、場所は経済産業省別館1020号会議室です。次々回以降です が、10月7日、10月20日、いずれも15時からお願いしたいと思います。また本日、お手 元に11月以降の日程についての調整表をお配りしています。ご記入の上、なるべく早く 事務局までご返送ください。よろしくお願いします。 ○分科会長  本日の分科会はこれで終了します。長時間ありがとうございました。 照会先:雇用均等・児童家庭局 職業家庭両立課 法規係(内線:7856)