03/09/08 障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する検討会(第7回)議事録         障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する検討会                   (第7回)           日時:平成15年9月8日(月)14:05〜17:05           場所:厚生労働省17階専用第18会議室  江草座長  皆様、大変お忙しい中をお集まりいただきまして御苦労さまでございます。ただいま から第7回の障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する検討会を開催をさせていた だきたいと思います。まず事務局から本日の委員の出欠状況、進め方、資料などについ ての御説明をいただきたいと思います。  高原課長  まず本日の出欠状況でございますが、本日は大谷委員、大森委員、森祐司委員、渡辺 委員が御欠席でございます。有留委員は後ほど遅れてお見えになる予定でございます。  次に傍聴でございますが、今回も前回に引き続きまして傍聴を御希望をいただいた方 全員にこの部屋にお入りいただいておりますことを御報告いたします。  次に、去る8月29日に厚生労働省の人事異動がございまして、幹部異動がございまし たので御紹介をさせていただきたいと思います。それぞれから一言御挨拶を申し上げま す。小島社会・援護局長でございます。  小島社会・援護局長  社会・援護局長の小島でございます。会議に先立ちまして一言御挨拶を申し上げま す。この検討会につきましては、委員の先生方におかれましては、大変お忙しい中を快 く委員の御就任をお引き受けいただき、またこれまで6回に及ぶ会合におきまして活発 な議論がなされてきたと聞いております。心から御礼を申し上げたいと思います。また 本日も御多忙のところを御出席を賜わりまして、厚く御礼を申し上げます。  御案内のとおり、この検討会におきましては、前回までの委員の皆様方の委員の発表 やヒアリングを踏まえまして、今回の地域におけるサービス体系の在り方を皮切りに、 個別の検討項目に沿った議論を行っていただくことといたしております。今後とも障害 者福祉の推進に向けまして幅広く更に議論を深めていっていただきたいというふうに 思っておりますのでよろしくお願いを申し上げたいと思います。  塩田障害保健福祉部長  障害保健福祉部長に就任しました塩田と申します。1981年に国際障害者年というのが ありまして、完全参加と平等という理念の下で行いましたが、その直後の83年84年だっ たと思いますが、当時の社会局の更生課で障害基礎年金を導入した障害者の所得保障の 問題とか、あるいは身体障害者福祉法の改正等を担当させていただいた経験がございま す。  あれから20年経ちましたが、外から見ておりましていろんな分野で、いろんな方の努 力でいくつもの前進が障害者福祉の上であったと思います。それでもしかし障害者の 方々が地域の方で生活をしていく、自立と参加という観点からはまだまだだと思います し、いよいよこれからだろうと思います。皆様方、いろんな方の御意見を聞きながら一 歩でも二歩でも障害者の方々の地域での生活と自立と参加に貢献できますように頑張っ ていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。  村木企画課長  企画課長でまいりました村木でございます。平成9年から11年にかけて、私は障害者 の雇用対策の方を担当をしておりました。また今回こういう形でこの問題に携われるこ とを大変嬉しく思っております。一生懸命勉強して施策を進めていきたいと思っており ますので、どうぞよろしくお願いをいたします。  高原課長  それでは今日の進め方でございますが、お手元の議事次第を御覧いただきたいと思い ます。議題の1は地域生活を支えるサービス体系の在り方についてでございます。議題 2は報告事項ということで、高橋紘士委員から6月にまとまりました高齢者介護研究会 の報告書についてお話をいただく、そのあと平成16年度の概算要求につきまして事務局 から御報告をする、こういう段取りで進めさせていただきたいと思います。  次にお手元にお配りしている資料ですが、資料1と2が事務局から提出をしている資 料でございます。資料の3から5までですが、前回の検討会におきまして、実際に事業 の運営に携わっておられる委員から事業の状況を情報提供いただくということで、今回 は中西委員、早崎委員、室崎委員から資料を御提供いただいておりまして、それぞれお 話をいただくという予定にしております。資料の6が高橋紘士委員から御発表いただく 報告書でございます。資料7が平成16年度の概算要求関係の資料、資料8が前回第6回 の議事概要でございます。資料の不足等がございましたら御指摘をいただければと思い ます。  また今回、誠に申し訳ないことに資料の準備が大変遅くなりまして、点字の作業です とか、事前に送付をさせていただくことができておりませんで、この点につきましては 重ねてお詫び申し上げますとともに、次回以降できるだけ改善をしていきたいと思って おります。  もう一点、この検討会でカメラ撮りは原則冒頭のみということでお願いをしています が、本日は竹中ナミ委員のドキュメンタリー番組の作成ということで、大阪の毎日放送 から申し出がございまして、会議全体の収録ということではなくて、特に竹中委員の取 材ということで、個別に座長とも御相談をさせていただきまして、会議の終了までいて いただくということにいたしております。この点御報告をさせていただきたいと思いま す。以上でございます。  江草座長  ありがとうございました。それでは、早速、議題1であります地域生活を支えるサー ビス体系についてに入りたいと思います。まず事務局から提出されております資料につ いて御説明をいただきたいと思います。  高原課長  それではお手元の資料の1と2でございます。1は横長の資料でございますが、在宅 生活、地域生活支援の在り方に関する、主な公的な施策の現状、いろいろな施策を網羅 をした資料でございます。資料2ですが、このうち支援費の制度に着目をいたしまし て、いくつかのケースを想定いたしまして、こういう利用の場合にはこういう支援費制 度の対応になるというのをシミュレーションをした資料でございます。具体的な資料に つきましては障害福祉課の小田島専門官の方から御説明を申し上げます。  小田島専門官  それでは資料1と2について説明をさせていただきます。まず1の方ですが、いま高 原課長の方からお話がありましたように、現在障害者、特に在宅の場合どのような施策 があるかということを我が障害保健福祉部だけではなく、雇用関係、あるいは介護保険 のメニューからも拾って出したのがこの資料です。そしてまず1枚目ですが、ここには 様々なサービスがどのような形で入っているか、これを領域別に分けまして一つの絵に させていただいたものです。  見ていただけばおわかりかと思いますが、まず領域は直接サービスの部分と相談支援 という形で,まず横に二つ分けてあります。当然、相談支援につきましては、以下のよ うなメニューが福祉事務所から障害者ケアマネジメント体制支援事業までいくつかござ いますが、こういった相談支援というのは全てのサービスとの関連があるということで 横出しにしているわけです。  想定している直接サービスの領域ですが、これは五つ用意しております。一番上が介 護系のサービス、二番目が社会参加ですとか、あるいは日中の活動、当然ここには就労 も含む、あるいはデイサービスのような活動も含んで表現させていただいております。 その下の三番目は教育、あるいは保健医療の領域です。そして四番目が住まい、そして 最後に経済的な保障という、こういった領域別に分けてサービスを整理してみたらどう なのかということで表した図です。  この図について若干説明させていただきますと、例えば介護系のサービス、最初のホ ームヘルプという楕円がありまして、その中で「身体介護」、「家事援助」、「日常生 活支援」、「移動」というのが入っておりますが、特に「移動」につきましてはそのす ぐ下にあります社会参加、日中活動、就労、就業というところとまたがっております。 つまりはこのサービスが単純な身体介護ですとか、あるいは家事の便宜を供与するとい うものではなくて、社会参加につながる一つの柱であろうということで、この「移動」 につきましてはこの楕円が介護から社会参加の方にはみ出す形で用意されているという ことです。  また社会参加、日中活動、就労・就業のところで見ていただきますと、ここにはちょ うど真ん中あたりにハローワークですとか職場適応援助者事業、こういったもの、つま りこれは雇用対策の方で用意されているものですが、これが障害保健福祉部のサービス であります授産施設等と円がだぶって表現されている、そのちょうどだぶっているとこ ろに障害者の雇用の場である福祉工場、これは両方の施策にまたがるという観点でだぶ らせております。  またその下の教育・育成、保健・医療のところを見ますと、左二つ、障害児デイ、重 心通園の楕円と障害児通園施設がだぶっております。ここは療育の専門的サービスとい う意味でだぶらせております。この中の一番右の楕円には盲・聾・養護学校、つまり教 育の関係のサービスも入れているということです。  住まい、経済的保障につきましては、御覧のとおりでありまして、住まいのところで 日常生活用具、住宅改修と入っておりますが、これは補助事業上の名称としましては居 宅生活動作補助用具という形で簡易な改修が日常生活用具のメニューとして入っている ということで御理解いただきたいと思います。  それでは1枚めくっていただきまして、1頁から4頁まで入っているかと思います が、1枚目で御覧いただいたサービスをもう少し具体的にそれぞれ事業名で表現したの がこの図です。そういった意味では主なサービスのほとんどがこの中に網羅されている とお考えいただきたいと思います。それで縦軸の方は1頁目の領域別に分けて表現させ ていただいておりまして、それを横軸のそれぞれのライフステージ、乳幼児期、学齢 期、成年期、高齢期という非常に大雑把な分け方ですが、それぞれの枠にして表現して おります。  そうしますと例えば最初の介護の日中、身体という縦軸のところに、ホームヘルプサ ービスというのが乳幼児期から高齢期まで全て入っておりますが、これはそれぞれの枠 にどういうサービスがあるかという表現をさせていただいておりますので、同じサービ ス類型であっても全てここは通して入れさせていただいております。ですので同じ事業 がだぶっているというふうに御覧いただければと思います。  それからこの身体のところの一番右側の高齢期のところ、例えばここは障害者施策の サービスが使える場合がある、ですからここはホームヘルプサービス、全身性と書いて ありますが、基本はここになりますと介護保険のサービスになりますので、介護保険の サービスという大きな括りで表現させていただいております。  次の頁では就労・就業支援のところですが、これは要するに様々な就業に必要な能力 あるいは就職活動、こういったものを含めた就労支援と、就労後いかにして就業を継続 していくか、こういう大きな二点で分けております。そしてここは当然高齢期の方の場 合も対象になる方がいらっしゃることは承知しておりますが、主に中心は成年期であっ て、高齢期特有のというものはあまり想定しておりませんので、ここは成年期だけで表 現させていただいております。  そしてちょうどこの就労支援の成年期のところを見ていただきますと、授産施設から 自閉症・発達障害支援センターまで、ここが障害保健福祉担当分のサービスになりま す。ハローワーク以下、障害者職業能力開発校、ここまでが雇用対策の関係で用意され ているサービスとなります。こういう仕組みにしておりますので、同様に左隣の学齢期 も障害者就業・生活支援センターはここは雇用と障害部局のサービスの連携をしている ところでありますが、ハローワーク以下が雇用対策の方で用意されている、以下、就業 継続の方も同様にご覧いただきたいと思います。  また1枚めくっていただきまして、教育・育成、保健・医療の、保健・医療のところ の乳幼児期のマスのところには、障害の早期発見、早期療育に関して非常に重要になり ます健康診査、これは障害保健福祉部のサービスではございませんが、まずここがとっ かかりになるということで健康診査が入っております。  またその下の就学支援につきまして、これは文科省のサービスメニューになります が、盲・聾・養護学校について入れさせていただいております。住まいの方は1枚目と ほとんど変わらないというふうにお考えいただければと思います。経済的な保障につき ましては、基本的には手当、年金、税制上の優遇措置を挙げておりまして、要するに国 の施策サービスとして用意されているもの、つまりは県単、市単というもの、あるいは インフォーマルサービスというものはここには入っていない、それは全てのサービスの ところで同じことが言えるかと思います。  4頁の相談支援につきましては、いま相談支援としてあるであろうサービスを全て 拾っております。ですからそれぞれの事業の形態ですとか、規模が違っておりますし、 当然そうすれば地域の中での利用方法が、そこには等分の意味があるわけではございま せん。とにかく拾ってみたという作業をしております。  その他のところでは補装具、日常生活用具、在宅生活を送る上では重要なポイントに なりますので、ここは全てに入れさせていただいておりまして、その他権利擁護関係に つきまして、成年期、高齢期で権利擁護事業と成年後見制度というものがこの中には表 現されているということでございます。以上が資料1についての説明です。  次に資料2でございますが、これはどういう意味で出させていただいたかといいます と、障害者施策を論じる時に、まずトップダウンでどのような施策が必要かという議 論、あるいはそのためのデータ集めというのは必要になりましょうし、また逆の意味で といいますか、地域で暮らす障害者の方々の実態に合わせてサービスを考えるという必 要性もあるだろう、つまりボトムアップになるようなデータの集め方が必要であろう。 そうすると今後議論を皆様方に進めていただく段階で、やはり共通にどのようなフォー マットのもとに在宅サービスというものを見ていくべきか、そのための参考となる資料 ということで一度提示する必要があるということに基づきまして用意させていただいた 資料であります。  それでケースを6ケースほど想定させていただいておりますが、このケースにつきま してはあらかじめお断りしておきますが、私どもがすでにデータを持っていて、そのデ ータに基づいてそれぞれのケースについての支援費サービスを中心とした1週間の想定 を作ったものではございません。あくまでも一人一人ということで見ていきますと、非 常に多様になりますし、当然地域においては支援費サービスだけで1週間を暮らすとい うことはあり得ないだろう。当然県単や市単のサービスあるいは当事者の皆さんのイン フォーマルなサービス、地域の中の様々な例えば児童関係のサービスですとか、高齢関 係のサービスも使うだろうということを考えますと、組み合わせが非常に複雑・多岐に わたりますので、今回は6ケースを支援費サービスのみについて作ってみたらどうなの かということで、サンプルとしてお出しいたしました。  ですからこれは決してこのモデルが平均的なモデルでも典型的なモデルでもないとい うことを御了解いただきたいと思います。これが平均的だ、典型的だととられてしまい ますと全く違った議論をよんでしまいますので、この辺のより詳しい、そして実態に あったデータにつきましては、現在調査の関係で厚生労働科学研究をある研究者を中心 にお願いしておりまして、この中で実際の地域の中の一人一人の障害者の方たちの生活 状況も調査していただくことになっておりますので、実際のデータに基づいたこの手の 資料につきましては、その研究の報告の時にということになるかと思います。そういっ た前提があることを御承知の上でこれを見ていただければと思います。  それで想定しました6つのケースですが、大きく分けますと障害児、全身性障害者、 それから感覚機能系の代表である視覚障害者、そして知的障害、以上のように四つに分 けております。そして全身性につきましては、家族と同居の場合、それと単身の場合と いうふうに大きく二つに分けております。知的障害の場合は一つにはグループホームに 居住されている、もう一つは単独で生活されている、この単独の場合一般就労をしてい る、グループホームの場合通所授産施設に日中通っている、こういった日中活動の違い がある状況での資料を用意させていただいております。  それでは1頁をめくっていただきまして、2頁ですが、ケース1、これは障害児の想 定であります。上の方に(ケース1)としまして、4才の脳性まひと知的障害の重複障 害ということで書いてあります。家族は御覧の通り両親と2才になる弟さんとの4人暮 らしです。お父さんも会社員であり、お母さんも日中はパートに勤務している。そして 月曜日から日曜日までの表を御覧いただくとわかりますように、週3回デイサービスに 通いまして、このデイサービスに行っている間にお母さんはパートに行っている。火曜 日につきましては、定例の受診が入り、その後はショートステイで対応している。木曜 日については、ここはお母さんはパートを休んでおりまして、夕方の買い物の時間に身 体介護を使って御本人の入浴ですとか排泄のお世話をしていただいている。日曜日も同 様にホームヘルプが入っているというようなケースであります。こういうケースで他に サービスはといいますと、その他のサービスを見ていただくとわかるような、補装具で すとか日常生活用具、その他手当等が含まれております。  この場合で支援費で算定しますといくらになるかということですが、ホームヘルプは 合わせて3時間になりまして11,680円、1.5時間分の経費で5,840円、これは丙地換算で すが、これが2回という計算になっております。デイサービスは3回、これも11,130円 という計算を表しております。ショートステイ、これは区分に1日当たりの単価7,370 円、これが泊まりの単価ですので、4時間利用ということで四分の一、基準上通りの四 分の一にしまして、1,840円、合計でこれが月あたりになりますが、128,080円かかると いうケースであります。  この場合、資料に表しておりませんが、ちなみに利用者負担がどのぐらいかかるかと いうことで、これも想定をしておかなければいけないので、どんな想定をしているかと いうと、父親が月30万収入があったとして、この父親が扶養義務者に当たるということ に基づきますと、概ねその所得税額ではD4階層になるだろう。D4といいますのは上 限額が7,200円、ですのでこの場合実際の費用負担額、利用者負担というのは7,200円と いうことになるとお考えいただきたいと思います。  (ケース2)です。ケース2は全身性障害の方で、奥さんとの2人暮らしである。奥 さんは会社に勤務をされている。基本的なパターンとしましては週3回デイに通い、奥 さんが働きに行く関係がありますので、デイの前後にはホームヘルプサービスが組み込 まれている。それでデイに行かない日はゆっくり起きて、日常生活支援としてホームヘ ルプを受けて生活をするという例であります。その他のサービスについては、年金、補 装具等のみ入っております。  それで1週間、1カ月いくらになるかという計算をいたしますと、時間の関係上細か いところは見ていただければと思いますが、概ね1カ月あたり312,320円かかるという 計算になります。この場合の利用者負担ですが、本人が障害年金の1級程度の収入があ るとして考えまして、奥さんには月30万の就労収入があると考えますと、御本人の場合 は障害年金だけの収入ですので、これは非課税ということで費用負担はゼロということ になりまして、奥さんの方がやはりこの程度の収入ですとD4階層ぐらいになるだろう ということで、ここも上限7,200円ということで、月の実際の負担額も7,200円ぐらいだ ろうという想定をしております。  (ケース3)です。これは全身性障害者の方で1人暮らしであります。イメージとし ましては、単身暮らしをして大学に通っているというケースです。そしてこの場合は単 身暮らしで障害状態も重いということで、基本的にはほぼ全ての時間、大学に行ってい る時間を除いては日常生活支援を使っているというケースです。ただし大学に行ってい る間、ここについての公的サービスのメニューがございませんので、ここは大学におけ るボランティア等、大学側が用意する、あるいは大学の学生たちが用意するインフォー マルサービスに頼って大学生活を送っているとお考えいただければと思います。  そしてこの18時から21時まで、つまり食事の時間から21時までのところが空白になっ ておりますが、ここは学生等のボランティアさんが一緒にこの間の時間を共有してくれ ている、一緒に食事などをして暮らしているということで想定した図になってございま す。ですので日常生活支援が入る時間は21時以降、つまり入浴・就寝をこの21時以降に して、そのあとヘルパーさんが24時間介護に近い状態で入っているという想定です。  この場合、ホームヘルプの計算が複雑になるのですが、といいますのは始まった時 間、最初に何時から始まるかで単価設定が変わりますので、この場合ですと月曜の0時 から、つまり深夜時間帯の料金でサービスがまずは始まっているという試算になりま す。そして月曜日のところで見ていただきますと、大学から戻って就寝が21時、ここも 夜間時間帯という形になるかと思いますが、そういった形で試算をしていきますと、月 に1,037,480円というお金がかかるということです。この場合の本人負担ですが、本人 に障害年金があるとしても、これも非課税扱いになりますので、本人の収入はゼロとい うことになりますので、これも実際の支援費サービスに対する利用者負担額は0円とい うことになります。当然プライベートサービスをお使いになるので、この分については 幾分かの手出だしがあるかもしれないということを含んでいる事例です。  (ケース4)ですが、これは視覚障害者1級の方で単身暮らし、そしてあんま、マッ サージ、はり、きゅうの施術を自宅で開業しているという例です。ですから水曜日と日 曜日の定休日を除いて毎日午前9時から20時までは開業をされているというケースで す。ここに入るサービスとしましては、平日14時から16時までの間にホームヘルプが入 りまして、掃除洗濯の他に夕食、あるいはその次の朝の食事も用意していただくという 形で毎日ホームヘルプを2時間ずつ使う。定休日であります水曜日、例えば公的な役所 等の用事を済ます必要があるかもしれないということで、午前中に2時間、そして日曜 日につきましては本人の余暇等に使うためガイドヘルプを16時から20時まで入れており ます。こういった想定です。  こういった想定で計算いたしますと、月の費用が123,080円かかる。この場合の利用 者負担については、自営ですので、どれだけ売り上げがあるかわかりませんが、例えば 月20万程度の収入があるとして考えますと、本人の所得分、D3階層ぐらい、所得税で いいますと8万から14万が年額であるということを想定して考えますと、月額上限が 4,600円になりますので、4,600円以上は月当たり御負担いただくことはないという想定 です。  次に(ケース5)の知的障害で、まず単身で一般就労をされているというケースの想 定です。月曜日から金曜日の日中は基本的には仕事に就かれている。土曜日ガイドヘル プ、日曜日は掃除洗濯等、午前中にホームヘルプを家事援助で頼み、そのあと余暇等の ためにガイドヘルプを頼む。毎日に共通しているところが夕方2時間ホームヘルプをお 願いして、食事の世話または翌日の朝食の準備等もしていただくということで2時間ず つ入れております。  こういった想定で計算しますと、月あたり156,560円かかる。この場合の利用者負担 の考え方ですが、それほど高い収入ではないだろう、20万弱ということになるでしょう か、そういった場合で考えますと、D1からD2、D3ぐらいの階層、D3であります と先程の視覚障害の方と同じように4,600円になりますが、例えばD1ということで考 えますと、上限額は2,200円、2,200円以上は月々とられないという形で想定をしており ます。  最後に(ケース6)は、グループホームに入居して通所授産施設に通っている、知的 障害の30才の方という想定であります。基本的には日中を除いてはグループホームで世 話人さんのお世話になりながら生活をしている方です。日中9時から17時までは通所授 産施設に通っておられるという方です。土曜、日曜について余暇のためにガイドヘル プ、それから日曜日につきましては洗濯や掃除など、見守りも含めてホームヘルパーさ んに支援をいただいているというケースです。  この場合ですと、利用するサービス、全ての単価は、通所授産施設、これが区分C、 30人定員で考えますと、月あたり155,100円かかる。あとはグループホームが区分2、 低い方の単価ですが66,320円、それ以外にホームヘルプ等々を足しますと月あたり 271,300円支援費としてこの方に支払われている。この場合、本人が障害年金をもって いることがあるだろうということで、通所施設分につきましては居宅と違いまして障害 年金は収入として認定されるわけですが、その収入から必要経費を引くことができまし て、この場合に特に日用品費・日常生活費として生活保護費の1類、2類等を合算した 額の年額を1.5倍した額を必要経費として引くことができる。そうすると3級でこの方 で試算しますと、135万ほどの必要経費が計上できますので、年金の1級としても105万 強かと思いますが、必要経費の方が上回ってしまいますので、施設訓練等支援費に対す る利用者負担はないということになります。それから通所授産施設の工賃などが若干あ りますけれども、かなり低いことが想定されます。また、居宅においての所得税につい ても大した額は払わない、非課税になる可能性が高いということで、これも上限ゼロ、 非課税であればB階層になるのですが、上限ゼロということで、結局利用者負担という のは0円ということになるという例で作っております。以上のようなケースで一応今回 出させていただいております。  先程も言いましたように、これはあくまでも我々の支援費でこういった6類型の人が 生活したとしたらという想定で作っておりますので、平均でも典型的モデルでもない、 今後皆さんからこういったボトムアップでサービスの議論をいただく時には、やはりこ ういったフォーマットを一つの材料として具体的なデータで示していただければ議論 が、それぞれ共通の認識のもとに行われるのではないかと思っておりますので、御理解 いただければと思います。以上でございます。  江草座長  はい、ありがとうございました。それではただいまの御発表につきまして質問、意見 がありましたら、どなたからでもどうぞ。  大濱委員  小田島専門官のこの6つのケーススタディですが、典型でも何でもないと言われたわ けです。しかし、なぜ6つのケーススタディを作られたかということ。もう一つ、この 中で全身性の障害者の例が二つ入っているわけですが、例えば奥さんとの2人暮らしと いうことで、この奥さんが働いているけど奥さんにも夜は介護をさせているというケー ススタディになっています。そこが疑問とこのケース2で感じています。  それとケース3につきまして、これは大学生で単身ということですが、食後のあと3 時間は必ずボランティアということで、ケースが想定されているわけですが、常にそう いうボランティアが確保されるという保証は何もない。これは典型とか言われました が、この6つの分類を作られた専門官の頭の中にあった、その前の前提はどういう形で 6つの分類を作られたのか、それと家族と一緒の場合に、家族が働いているにも関わら ず介護者とみなしたという、そこらへんのことについてお答えいただければと思いま す。  小田島専門官  特段今言ったようなケースをイメージする、特に最後におっしゃられた全身性でボラ ンティアが入っている、あるいは奥さんがというのは、これは別に意図はございませ ん。どこで切るかと言う問題だけであります。例えばこれで奥さんが介護をしない、あ るいはボランティアが介護をしないとすれば、その分は全部日常生活支援としてサービ ス提供するという形になりますよね。そうすると当然これ以上にサービス経費が膨らみ ますよというふうに見ていただければありがたいかと思います。  確かにどういう切り口でケースを選ぶかというのは悩みました。しかしどれを切って もおそらく今みたいに事例の細かいところでの良し悪しを問うてしまうと事例として出 せないだろう。具体的にそのデータを持っていて、こういうケースが多いですよみたい なことがあれば出せますが、申し訳ありませんが、これはまだ今後データが集まってか らの話ですので出せない。そうするとどこかで割り切りをしなければいけないというこ とで、基本的には知的、身体、それから障害児というまず三つを大きく考えまして、そ のうちで要するに架空のものを想定しただけです。ですから当然これ以上かかることが あってしかるべきですし、皆さんとしてはこれを見てもっと日常生活支援が増えればこ れ以上かかるんだなということをイメージしていただければと思っております。  江草座長  他にございませんか。  安藤委員  この具体的な例の中にも聴覚障害者関係は入っていないわけです。と言いますのは、 手話関係などは支援費対象になっていないからです。それで私はわからないんですが、 知的障害者とか全身性障害者,または視覚障害者の皆さんが実際の生活の中でどのよう な支援費制度に対する期待とかを持っているのか。または現実的にどのような例がある のか。それは事務局からの具体例ではなくて、その対象となる障害者自身からの具体的 な例というものが出せるべきではないかと思うんですが、それによって現時点の対応の 在り方が考えられるのではないかと思うんですが、どうでしょうか。  小田島専門官  ありがとうございます。おっしゃるとおりだと思っております。たしかに聴覚障害者 の場合、社会参加が中心になりますので、支援費によるサービスが、それほどニーズと して挙がるかどうかというのは確かに議論がいるところだろうと思います。  それからもう一点目の当事者の皆さんがそれぞれ自分たちから御発言をしていただく ということは確かにいただきたいものだなと思います。ですからこの検討会においても 事業を持っておられる方、あるいは当事者の方からどういう生活をしているかというこ とをお出しいただくというのは一つ議論のためには必要かと思っております。また先ほ ど触れましたように、厚生労働科学研究におきましても、その当事者の実態、特に一人 一人のどのような1週間を送っているかということをタイムスタディをさせていただい て、それは今後また御報告をさせていただけるかと思っております。よろしいでしょう か。  江草座長  いいですか。他にございますか。おそらくないことはないと思うんですが、お話がど んどん具体的に進んでいけば、振り返ってまたあの時はああいう話があったということ で御議論をいただいてもよろしいのではないかと思いますので、それでは本日は中西委 員、早崎委員、室崎委員からそれぞれ資料が提出されていますので、その資料に基づい て御説明をいただき、また御意見をいただきたいと思います。ではまず中西委員からど うぞ。  中西委員  それでは資料3を御覧ください。我々5月中旬にアンケート表を送付し、6月中旬に 回収しました。支援費制度以降の最新データです。対象は東京及び大阪で活動する自立 生活センター利用者250名と、以上の地域以外で活動する自立生活センター利用者250 名、全員が全身性の障害を持つ皆さんです。調査対象は747名で62%の回収率です。 2頁目を御覧ください。男性が51.7%、女性は48.3%、ほぼ半分ずつです。年齢層です が、自立している障害者の平均年齢40.58才、30代40代が一番多く、最高は78才までい らっしゃいます。幅広い利用者がいるということです。そして東京大阪とそれ以外の地 域の割合は東京以外が51.3%ということで、大体半々になっております。  3頁目を御覧ください。居住形態です。1人暮らしが54%、親族同居は24%、親族同 居で他人介助の場合が19%、1人暮らしは41.51%で、右側の表は同様のことを表して います。1人暮らし、そのうち同居する親族から介助を受けている人のうち、ここでは 45%が1人暮らしを希望というデータが1人暮らしへの希望のデータです。同居他人介 助希望が35%、いまは親と一緒にいるけれど自立したいという人が46%、親族介助を ずっと続けたいという人は10%ということです。平均年齢は右の表を御覧ください。  今までのところで年齢層は30、40代に傾いていたというのは、まだ自立生活センター はここ10年ぐらいの活動歴なので、そういう問題が起こってきています。  それから日常生活動作の状況ですが、意思伝達を除き、平均して7割の人が寝返り、 トイレ、食事、移乗に介助が必要だ。この棒グラフを見ていただくと、トイレのところ で50.4%、それから移乗のところで56.6%というふうに、このあたりは介助が非常に必 要な項目だということです。  それから一番下に1人暮らし歴が出ています。1人暮らしの平均年齢は7.5年、1人 暮らしを初めてから1年以内の割合が非常に多い。これは自立生活センターが全国で展 開し始めているのが近年のことだということと、サービスが全国に広がったのも近年の ことだということを意味しています。  一方で4人に1人は10年以上1人暮らしをしている。1人暮らしの平均年数は7.5年、 1人暮らしを初めてから2カ月の人から30年までの年齢の幅がある。51.6%が1人暮ら しを始めて5年以内ということです。  次に5頁の表を御覧ください。これは縦系が10、20と書いてあります。これは右下に 書いてあるように、日常生活動作の数量化をしました。介助の必要度を点数で表してい ます。自分1人でできる人は1点、助けがあった方が楽な人が2点、部分的に介助が必 要な人が3点、全体介助が4点ということで、点数が高いほど介助の必要度が高い。こ の横系のグラフは、これは横系の時間が時間数です。つまりこの山が高いところ、720 〜30のところが山が高い、これは24時間介助の人のいるところです。人数的にはそう多 くないことがわかります。山の大きさが人数を表します。230〜40時間のところも一つ 山があります。ここは1日8時間利用の方です。全体の山の下位は8時間以下のところ に傾いていることがおわかりになると思います。  では次は6頁にいきます。居住形態ですが、1人暮らしの方の平均利用時間は341時 間、親族同居他人介助で288時間、親族同居介助で112時間というデータです。東京大 阪、それから東京大阪以外での度数の違いです。これから平均時間においては東京で 318時間、大阪で253時間ということで、東京大阪以外でまだサービスが十分広がってい ないということを表していると思います。  内容別のこの介助利用時間の中でどういう時間帯を自立生活センターで使っているか が下の棒グラフです。自立生活センターで身体介助を使っている方は80%近く、全体の 82.2%の時間を自立生活センターの介助サービスを使い、家事援助では485時間、平均 40時間、全体の80.5%は家事援助でも自立生活センター、移動時間では全体の89%は自 立生活センターのサービス、それ以外のサービスを使っている方も多いということで す。  それから次に介助サービス別の依頼状況です。先程話した自立生活センター、公的介 助、民間サービスというふうなデータですが、家事援助、身体介助では他のサービス機 関を使うところも多いということですが、移動介助としては自立生活センターが多いと いうことを表しています。  では次の8頁のデータです。これは利用時間帯別のサービス利用依頼先です。早朝、 深夜、日曜、祭日、緊急時は自立生活センターのサービスを利用しています。その割合 は非常に下の表で見る如く70%の後半ということで、他にやってくれるところが公的 サービス以外、あとは民間サービス、他でも少しやりますが、非常に率は低いというこ とを表しています。  次は9頁です。利用料金の負担です。負担なしの方が77%、本人負担の方は19%、家 族負担は4%ということです。利用料を負担に感じているという人は66.3%います。6 割以上が負担感を感じているということです。  次は10頁です。支援費制度の認知度を聞いてみました。サービス量は個々人の必要に 応じて決定できるとか、市町村に不服申し立てができる、このあたりは少し低いのです が、決定された支給量の中で自由にサービスを使うことかできるとか、サービスの依頼 先と直接契約を結ぶことができるということに関しては、非常に高い率で知ってらっ しゃるということです。  次の11頁へいきます。サービス提供団体の評価です。自立生活センターとその他の サービス団体を比較しています。時間延長など対応が柔軟か、必要な時にサービスが利 用できるか、介助者が自分の意見を尊重してくれるか、計画通りに介助が進むか、苦情 相談を受け付けてくれるか、信頼できるか、必要な情報を提供してくれるか、利用者同 士で知識や情報の交換ができるかということで、最後の項目とか1、2番目については 非常に差が大きいということが言えると思います。  では次は12頁です。時間延長等の対応が柔軟か、必要な時にサービスが利用できる か、介助者の意見を尊重してくれるか、計画通りに介助が進むかということについて、 自立生活センターと他の団体との比較の数字です。  それから自立生活センターのサービス利用後の変化、これは右の13頁の表を見ていた だければいいと思います。利用後の生活変化、安心して暮らせるようになった、生活が より自由になった、支援費制度の評価ですね。食事やトイレなど、生活が楽になった、 これは他の団体とあまり変わらない評価です。外出が可能になった、ものごとを自分で 決めれるようになった、自己卑下をしなくなった、毎日がより楽しくなった、人生に対 して積極的になったというように、自立生活センターと団体との評価をやっておりま す。  では次に15頁を開いて下さい。これは自立生活センターの財政基盤のことです。板山 座長代理から御質問のあった件についてです。A市の自立生活センター、東京の人口50 万規模のところです。会費収入が143万、助成金・補助金が1億5,581万ですね。東京都 地域福祉財団から1,854万円、ホームヘルプ事業で1億1,240万、市町村障害者生活支援 事業で1,500万、その他の収入が986万、それから有償家事援助事業は2,232万、それか ら福祉工房という振興財団の項目なんですが、これが43万、それから移送サービスが 123万、サポートセンターというところが56万、その他352万ということで、総計の収入 が1億8,874万という2億近い収入で、支出の方ですが、人件費で1億4,919万、その内 訳は給与が1億3,877万、非常勤ヘルパーの分も含まれます。法定福利費は1,042万、事 務所経費で1,986万、旅費交通費で173万というような計算をしております。いまのは常 勤職員15名で非常勤職員7名、嘱託5名、ホームヘルパーは497名、有料の介助者が473 名というふうな数字で運営しているところです。かなり大規模にやっている方です。  下の表は、それでどのぐらいのサービスをやっているかということを表しています。 派遣時間数は79,592時間、身体介護が64,000時間です。それから知的・視覚移動介護が 15,000時間ぐらい、利用者数は411名で、その内訳は以下の通りです。肢体と知的が223 と多くを占めているということです。  次の16頁を見ていただくと、市町村障害者生活支援事業の方では年間に2,204件の相 談がある。200日やっているところであれば月に10件ぐらいのもある。それからピアカ ウンセリングの方は年間91日、養成講座11日、個別ピア・カウンセリングが137日とい うことで、年間に239日プログラムを実施しています。自立プログラムの方は自立生活 のプログラムとリーダー養成を入れて141日、参加人員はそのようです。それから移送 サービスの方ですが、移送サービスの延べ件数は1,376の利用時間が年間2,545人、利用 実人数が92人ということです。  次の17頁右側です。これはB市の自立生活センター、人口12万都市でやっているもの です。総予算が4,497万ということになっておりまして、収入の方は市町村障害者生活 支援事業、それからガイドヘルプ事業の収入、それから県の雇用対策基金、障害者雇用 助成金などを使っております。右側に職員体制が下の方に書いてあります。常勤職員5 名で非常勤が2名、嘱託が7で、ガイドヘルパー30名、有料介助者が20名ということで す。市町村障害者生活支援事業1,136件、ガイドヘルプの実数が3,700時間ですね。これ はガイドヘルパー、視覚と全身性を合わせた数です。利用者数は視覚障害者は150人で、 全身性140人というふうな大体の規模になります。  次に19頁を見て下さい。これは24時間介護利用者のサービス利用時間の事例です。 (1)というのは支援費の居宅介護、日常生活支援で、(2)が支援費の日常生活支援、入浴 2人体制の時間帯を(2)が表します。夜の19時から22時の間です。それから(3)は支援費 の居宅介護の移動介護の時間帯です。それから夜の時間帯で生活保護の他人介護加算分 が(4)で入っています。こういう今度の組み合わせでやっているということを御承知お きください。この人は脳性まひ1級の方です。  21頁は自立生活をしている知的障害者の例をケアプランをつけてお示しするもので す。次の頁の表を見ていってもらいます。こういうケアプラン表をつけるということに 関しては、小田島専門官もちょっと問題があるとおっしゃいましたが、これをつけるこ とによって変な風にAさんはこのぐらいの時間というふうに決めていかれるのが非常に 心配なので、あまり出したくはなかったんですが、実質的にはこういうふうに決めてお きながら支援費制度の中ではかなり自由に移動しながら月末の集計で調整されるという 形をとっているので、こういう1週間が全くこのとおりの時間帯で流れる人はほとんど いないということを御承知おきくださればいいかと思います。支援費の手帳への申請時 間という感じですね。下の方の生活費の方のことを見ていただくというのかもしれませ ん。この方の場合は障害基礎年金と福祉手当と特別障害者手当、合計12万5,000円で暮 らしているということです。表の方は小田島専門官がおっしゃったのと同じようなこと なので御覧ください。  他のケースでは生活保護をとっている方です。生活保護が86,000円、障害基礎年金 66,000の、障害福祉手当を入れて168,000いくらで暮らしている。それぞれなかなか知 的障害者は苦しい生活をしていることがわかると思います。  次の25頁の方です。この場合は障害基礎年金と福祉手当と特別障害者手当、やはり 12,000円で暮らしております。生活寮で暮らしている例です。  次の場合はやはり125,000いくらで暮らしている。このあたりが非常に知的障害者に とっては生活が困難だということをわかっていただけたと思います。あとは知的障害者 については、やはり時間数の決定が未だに少ないので、生活がなかなか難しいというこ とを各市町村から声が出ているということです。  29頁の方は、昼間の介護が必要な重度知的障害者の方の例ですが、この方の場合は身 体62時間、家事124時間、移動で30時間、デイサービス月23回というふうな形で利用し て、収入の方は扶養年金、障害基礎年金、福祉手当、重度手当60,000円というのは東京 都がやったりとかして197,000円という、重度の方が暮らしやすい状況がいま東京では できているということですね。  それから30頁の方は、子育て支援の必要な中度知的障害者の方の例です。この方の場 合は家事援助とひとり親の移動介護、それからホームヘルパーというような時間帯で 使っています。大体そのようなことで、あとは表を御覧いただきたいと思います。あま り時間を使ってもと思いまして、このぐらいにしておきます。ありがとうございまし た。  江草座長  ありがとうございました。それでは御質問などはまたあとで一括してやらせていただ きたいと思いますので、続いて早崎委員さんからどうぞ。  早崎委員  まだ分析はできておりませんが、大垣の早崎と申します。一応資料としては見出しに ありますように1〜9まで用意をさせていただきました。順次説明をいたします。3頁 ですが、利用者数ですが、4月から7月の4カ月分が数字と出ておりますが、少しずつ 減っております。これは社会福祉協議会と利用者の方との障害者ケアマネジメントの関 係で、社会福祉協議会ではやってもらえないというような言い方なんですが、我々はや らさせてもらうとか、やらないというようなことではなくて、支援費に基づく本来的な 在り方は何なのかということで議論をしておりますので、障害者の方の主張のみで我々 がなかなか妥協できない部分もありますので、もちろんそれは放りっぱなしにするとい うことではなくて、利用者の方も含めて支援をしていただける団体等がございますの で、そちらに移動をされております。  2のサービス内容別ですが、これは支援費で具体的に費用がいくら請求させていただ いたかということで、4月から7月まで、4月は257万、5月は270万、一挙に減りまし て6月は210万、7月は220万というのが数字になっております。全身性障害の方が対象 からはずれると一挙に50万近い費用がなくなるということがこういう実績でわかってま いりました。  次は5頁の3のサービス行動別に具体的にどういうサービスがあるのかということ で、身体介護に関する日中の30分からずっとあります。日中から夜間、早朝、早朝2人 体制、深夜、もちろん24時間ホームヘルプサービスを行っておりますので、深夜の2人 体制までございます。身体介護は18サービスがこの中で表示をされております。あるも のと増えたものとというので見ていただきたいと思います。  6頁は家事援助が5つの項目、日中60時間から180、5項目あります。これを見ただ けでもやはり身体障害の方は家事よりも身体介護を非常に多く希望されているというこ とがわかります。  そして次は身体の移動介護ですね、これが問題になっております身体全身性障害の方 と視覚障害の方の見比べがあるわけですが,私たちはどうしてもあとでも出てきます が、視覚障害の方は支給量は多いですが、実績は少ない。身体障害の方は支給量は多い ですが、実績も多いというのがあります。   支給量に対する費用の関係ですが、単純に言いましても1時間半で家事援助と身体を 伴うというのがありますので、1時間半で3,620円違いますし、3時間になると7,700円 違いますし、4時間になりますと10,420円も違うというふうになると、はじめ言われて 社会福祉協議会が移動介護の家事援助、身体介護を伴わない移動介護、ガイドヘルパー はやらないということが私もこういう実績から見ると非常に危惧をいたします。  それから次にめくっていただいて9頁のサービス内容のところですが、こちらの方は 利用者の方が身体介護、家事援助、身体介護を伴わない移動、身体介護を伴う移動、日 常生活支援というのでどれぐらいの利用をされたかというのが数字であがっておりま す。これも人数が減ったということでは数字がドンと落ちこんでまいりましたが、7月 は6月に比べると少しですが数字は上がっているかというふうに思っております。  その下のサービス提供延べ時間数ですが、これも同じ5分類ですが、4月は828から 900、718、708ということで上がったり下がったりいたしております。  次は11頁の方ですが、11頁の方は契約者の契約の支給量及び実績の支給量を一人一人 を一覧にしております。利用者番号に基づいて、この8番の方につきましては、4月を 横に見ますと、契約時間数は46時間、実績としましては身体介護が25時間半、日常生活 支援が8時間、計33時間30分、差し引きをずっといたしますと、支給量に対して12時間 半残っておりますということです。こういう方が私どもの4カ月契約の中で42名の方に なりますので、そういう集計をずっとやらさせていただいております。  19頁の利用者番号の29番の方、この方が支給量に対して実施の量というのが均衡して おりますが、あとほどにこの方のことは御説明をいたします。めくっていただいて20頁 にも46番の方ですが、この方は全身性障害の方ですが、今までにない支給量が非常に多 い方です。4月は125時間という時間から、その後131時間ということで、数字が上がっ ております。この方についても説明をいたします。  いまの42名の方の集計、今日は資料には出しておりませんが、人数的なことと、時間 数のことがございますが、契約をさせていただいて実績の支給量を平均いたしますと、 5つの分類ですが、身体介護については平均して利用されたのは72.10%、家事援助に つきましては73.81%、移動介護、これは身体を伴わないガイドヘルパーですが、利用 は29.11%、身体を伴うガイドヘルパーは52.25%、そして日常生活支援については 56.25%というふうになっております。平均をいたしますと契約支給量につきましては 実績62.98%というふうになっております。  次は23頁の一人一人の支援費に伴う利用者別実績というのがございます。どういう サービスをどれほど受けたかというもので、支給費の算定額、8番の方につきましては 115,460円、利用負担はございません。そして請求額が115,460円というので4月5月6 月7月というふうに上がっております。7月の29頁ですが、29頁の事例としてあがって きます29頁の下から二番目の29番の方が総額83,850円の請求額、利用料ゼロ、83,850円 を請求をしました。  次をめくっていただきまして46番、この方につきましては514,390円、利用料につき ましては0ということで、514,390円を請求したというふうになります。私もこの事例 としてアセスメント表並びに週間サービス計画表は出すことがどうかというふうに思い ましたが、こういう場に私も出席しておりますので、できれば皆さん方の御意見を直接 述べる機会がないということで、私がかわってお話をさせていただければということで 御了解を得ましたのでつけさせていただきました。  このOさんという方の、内容的には障害の重い1種1級の方で、女性32才ということ で、筋萎縮性の重度障害の方です。御両親と生活をいたしておりましたので、支援費に なるまでは非常に高額の利用料を支払わなければならなかったということがございまし たので、なかなか自分の思いのサービスが受けられなかったというのがございます。そ れがOさんの場合ということで、頁数ですと33頁のところを見ていただきますと、計画 表の1週目と2週目がございます。15年の前に社会福祉協議会としまして、支援費に切 り替わるためにいわゆる障害者ケアマネジメント支援ということでどういう部分を取り 入れればあなたのとりあえずは満たされる内容かというお話をさせていただきまして、 こちらになる前段階がございました。  本来的だとこの方ですと深夜帯等はございませんでしたし、午前になっておりました 入浴等のサービスも4回入るということはございませんでした。自分自身の支払いので きる範囲でしかサービスが受けられなかったということで、この方自身が変更をしたと いうことは、例えば月曜日にこの身体というのが入っておりますが、こちらは入浴2人 体制のサービス内容になっております。また火曜日の身体というのが7時半から入って おりますが、15年の3月まではこの身体というのがこの7時半にずっとサービスが入っ ていた。いわゆる生活をするのに必要なトイレ介助のみがこのサービスのメニューに なっておりました。そういうものが具体的な支援費並びにマネジメント事業の中で変更 が可能になったということでございます。  次は34頁を見ますと、土曜日の入浴が午後になっておりましたけれども、この方は非 常に社会参加に意欲のある方でございますので、第2週目の土曜日は外出する機会が多 い、だから外出する前に入浴をしたいというようなこともございまして、そういう意味 で1週目と2週目のプランが違うということでございます。また深夜帯につきまして も、これは1週2週同じですが、水曜日は深夜のテレビをゆっくり見たいという希望が あって、この8時台に寝なければならないというようなことではない生活がしたいとい うことで、こういうプランも入っております。  次のSさんにつきましては、この方はご主人も障害の重い方で子どもさんがお2人あ る方ですが、障害の重い方なんですが、支援費になるまでは自分でできることは自分で したいという方で、そういう御希望があったり御家族の支援があったりしておりました が、やはり自立した夫婦の生活、子育てをしたいというようなことで、ここの最後の35 頁にあります週間計画表については、御本人の希望を尊重して子どもさんが学校に行く 前、並びに帰る前の昼間帯に入浴並びに家事援助等をしてほしい。こちらに私がお邪魔 する時にもう少しサービスというのは土曜も日曜日もあるんだけれど、いいんですかと いうふうにお聞きしたんですが、子どもと一緒に買い物に行きたいとか、ご主人も日曜 日には休みがとれる場合があるので、家族で助けあってやっていきたいというような御 希望がありましたので、3月からこのプランの量というものは若干増えておりますが、 一応簡単ですが、御報告をさせていただきます。  江草座長  ありがとうございました。それでは続いて室崎委員からどうぞ。  室崎委員  私は知的障害の全日本手をつなぐ育成会の代表も兼ねてきておりますが、全国のとい うわけにもいきませんので、地元の浜田圏域中山間地域の2市4町の中で私の方がやっ ていることを中心に今日は述べさせていただきたいと思っております。最初に現行制度 上のサービスメニューということで、2頁に出しております。  まず、現行制度上のサービスメニューで見ていただきますと、知的障害者の関係です が、大体ここではホームヘルプサービス事業所が13カ所、ショートスティは児の施設も ございますので2となっておりますが実際は3事業所、それからデイサービス2、グル ープホームは6カ所、日中活動としては更生通所,授産の通所、授産の分場という形 で、この圏域の中に分散型でやっております。福祉ホーム、生活ホーム、小規模作業 所、小規模授産施設がそれぞれの中に散りばめております。  ここで私的のサービスということで出しておりますが、レスパイトサービス、これは 浜田市手をつなぐ育成会が独自でやっております。これはトレーニングハウスというこ とで、施設から出て行く人はグループホームや生活ホームを使われる人が多いのです が、在宅の方はどうしても親離れ子離れもできておりません。そこで、トレーニングハ ウスをやっております。これは登録者は22名と宿泊時間利用ということで私的にやって おります。  相談事業としては就業・生活支援センターで、1年ちょっと前にこの島根西部障害者 就業生活支援センターができ、17名の方が自立就労を実現しております。ジョブコーチ も資料にあるとおり知的2、身体2、精神2というふうに成果をあげております。  その中で見えてきたものが、現行制度上のサービスメニューの中で支援費の居宅サー ビスの予算状況ですが、ホームヘルプは支援額に見ると前年に比例して40%の減をして おります。これは浜田市の場合です。なぜホームヘルプが40%も減をしたかといいます と、支援費対象から介護保険対象へ移行した方がいたためということです。ショートス テイは、浜田市の場合前年度比7倍増の実績見込みで、他市町村も同様に増えておりま す。県内のある市では65歳以上の知的障害者、支援対象者にも通知をしたために本年度 予算額は4カ月で全部予算は消化してしまったというようなこともございます。それか らデイサービスは当初予算額より4倍増の実績見込みで、これも浜田を例としていま す。以上のデータは4月から7月の4カ月のデータから年間の実績見込みを割り出した 数字です。  次にサービスメニューの利用事例ですが、お手元の3頁から示しております。これは 知的障害の方で、事例1ですが、25年間入所施設に入っていらして、自活訓練をして、 そしてグループホームに移行し、日中は更生施設の通所部に通っているという形です。 この方が非常に体の調子が悪く、1カ月の間に相当に状態が悪くなりました。それで6 月からは、ホームヘルパー、身体介護を23時間利用して92,460円と、移動介護、病院で すが8,030円と、5月の時点は支援費が260,850円かかっていた人ですが、1カ月後の6 月では348,930円かかっております。この方は収入が障害基礎年金1級で83,000円です が、お金がかかる経費は共益費、家賃、食費も含めて40,000円という形です。  事例2は、生活ホームからご兄弟のお宅へと住まいの変化があった方ですが、この方 はホームヘルプを今まで6時間使っておられて、移動介護、身体介護4時間ということ で、1カ月に185,400円使っていらっしゃいました。その方が今度はお父さんが亡くな られたものですから、親族である御兄弟がぜひ同居しようという形になりました。今ま では生活ホームに入って更生施設の通所に通っていたのですが、同居という形になりま すので、使われるサービスも変わり、5月の分を見ますとショートステイを区分1で5 日間利用され40,650円となっております。ヘルプも身体介護、移動ですが、24,000円 で、合計が4月の185,400円のところから203,370円という形になっております。それで もまず御兄弟と一緒に生活するというのはなかなかということで、私的に育成会がやっ ておりますショートステイに月に4泊ほど泊まられておりますので、今まではなかった ところを1万円の自己負担をしておられます。  次は事例3ですが、この方は、勤めていた会社が倒産したために今まで入っておられ た寮を出た45才の療育手帳Bの方でで、年金は貰っておられません。この方がその後生 活ホームに入って職場実習をしながら、再就職しました。この方は金銭管理が非常に不 得意ですので、生活ホームに入っていながら、移動介護ということで、買い物について 行くということで5時間で7,770円ということで、この人の本人負担は家賃22,000円の みでやっておりましたけれども、7月からは町に新しく公営住宅ができましたので、本 人も弟と一緒に公営住宅に入りたいということでしたので、町にお願いして公営住宅に 入らせてもらいました。  そうすると今までは生活ホームですので、世話人さんがいらっしゃたのですが、今度 は家事援助という形でホームヘルパーの家事援助を31時間で48,510円と、そこに支援費 が加算していきました。それから移動介護、この方は買い物ということで6,110円で、 支援費額の合計は54,620円ということです。それからお金のことに関して支援が必要で したので、地域福祉権利擁護を使っておりまして、これは月に1回2時間の派遣で、本 人の費用は2,800円ということになっております。それで公営住宅の家賃が、今まで生 活ホームでは家賃食費共益費で52,000円かかっていたところが、今度は約30,000円とい う形で、本人の負担も安くなっております。  それから事例4ですが、これは介護者の仕事の変化によってということです。この方 は病気のために身体障害者手帳6級で、視覚障害ですが、年金は貰っておりません。今 までは作業所から帰ったらお母さんがいらっしゃるということで、その間の身体介護、 見守りという形で、身体介護を59時間ヘルパーさんをつけて243,820円という形で、本 人の負担はありません。日中は小規模授産施設に通っておられました。それが7月にな りますと、お母さんの勤務が週末勤務になり、それから帰宅も遅くなるというような、 非常に不規則な勤務になったためにショートステイという形が入ってきました。それで 身体介護44時間、182,500円で、ショートステイ区分1、8日と四分の一利用して 78,400円と、6月の時点では合計243,820円の支援費額の月でしたが、変化後26,900円 という形になっております。本人の負担はございません。  それから事例5ですが、介護者のお母さんが亡くなり単身となった療育手帳Bの方で す。今までお母さんの介護をしていたために、相談やサービスの利用はしておられませ んでした。4月の時点でお母さんが亡くなられましたので、どうしても自分の自宅で1 人暮らしをしたいということで、ホームヘルパーの家事援助を18時間26,640円つけてお ります。それから就労という段階でしたが、家から出て行くということに非常に抵抗を 感じていらっしゃいますので、小規模作業所に週5日間通っていただいて徐々に慣れる ためにやっております。いま1万円の本人の負担があるということです。それから金銭 管理は親戚の方がやられるということです。  それから事例6ですが、私たちはこの方については非常に心配しておりますが、私の 施設のところで20年間生活をして就労をしておられたんですが、現在66才で療育手帳は B判定で、障害者年金2級を貰っておられます。生活のホームは4人で20年前に年金を 出し合って自分の持ち家という形で家は持っておられます。身体的に足が不自由になら れましたので、就労もできないということで、小規模作業所に日中活動として週3回来 ていただいております。それから介護保険サービスを使おうということで、デイサービ スで要介護1で週二回で、1割負担ですので、利用者負担が13,000円かかっておりま す。  そしてこの方は生活費が共益費とともに4万円いります。年金が66,000円で、先程の 発表のように都の年金があるとか、余分な収入は全然ない私たちのところですので、 66,000円から40,000円を引いて、それからデイサービスの13,000円を引くと小遣いにも 不自由をするという形になっております。生活保護をかけようということでやってみた んですが、今まで働いていた時に本人が節約をして170万の定期預金があるために、そ れが無くならないと生活保護は難しいということで、本人としてもプライドがあるし、 どうしようと話し合いをしております。それで20年前に建てた家ですので、先程ありま したように県と町とでお金を出していただいて、建物はバリアフリーに改造しておりま す。  それから事例7ですが、この方は、私の方の老人総合福祉施設で援助しておる方です が、53才で、身体障害者手帳1級で脊髄損傷で年金は労災・厚生年金を貰っておられま す。それでホームヘルプは身体と複合介護で96.5時間、336,140円、本人の負担は0で す。そしてショートステイを16日間ということで141,300円、それから身体の通所施設 を利用して、日中活動を充実したいということで、週5日間出ていただいて162,579円 で、1カ月640,019円と支援費がかかっておりまして、本人の負担が45,000円です。  この方も支援費になりまして、平成15年の4月にはいろいろな相談をこの方といたし まして、家族の方がもう別居生活をしてしまわれて、本人も障害になったという精神的 な非常に動揺があるために、家で非常にきつくやられるもので、家族がみんな別居して いなくなったというような状態だったんですが、長男さんが少しは見ようということ で、やっぱり家族とも本人が住みたいとおっしゃっているということで、5月からは ホームヘルパーが身体介護22時間176,880円、ショートステイが9日間73,620円、身体 の通所ということで、施設訓練等で少しでも生き甲斐として何かできるようにというこ とで、週5日間通っていただいて118,900円で、本人の負担が48,000円かかっておりま して、長男さんがちょっと一緒に住んでくださったということで、昨年の7月よりも支 援費になって約半額近くになったというようなケースでございます。  このように事例7まで話しましたが、サービスメニュー提供の現状と課題ということ ですが、サービス内容や提供量の変動が非常にあります。やはり当初のアセスメントで 本人の希望や必要と思われるサービス提供の内容が派遣する中でより本人の能力を把握 し、できる部分は引き出すような支援の形となっていきます。その場合にコーディネー ターなどの調整役と連携が常に必要となっている。4月からはその派遣で支給量の見直 しは、生活状況の変化や本人の状態変化により1年を待たずに行われるケースが比較的 多く見られました。  また市町村によってはサービス種類、移動介護か家事援助かの判断が異なる場合があ る、また中国地区で調べたのですが、グループホームへの家事援助派遣が認められない 市町村もあり、市町村によっての判断のばらつきが非常に見られております。サービス の内容やサービス量の変動が施設のように一定していないということです。そしてやは り利用者本人のできる部分はできるだけいろいろとやっていきますと、できる部分とで きない部分が明確になっていくということで、本人にとって不必要なサービスまでは提 供すまいということで、自立に向けてのサービス量が増えるということなら、その方の 状況にもっていこうということで、いろいろと本人もできる部分が逆に見えてくると同 時に、本人の生き甲斐にも感じているということで、非常にいい状態になっておりま す。  そしてサービスをそのようにやりますと、サービスが非常に評価しやすくなってきた ということです。それからインフォーマルなサービスの利用、いろいろ市役所の方やら 調整会議の中でいろんな民生委員さんとも含めて話をする中に、やはり個々のニーズが 違いますので、公的サービスの使い勝手やインフォーマルのサービスの必要性が常に話 題となり、サービス評価がされて育つ要因に逆になるんじゃないかと感じております。 それからサービスを調整するケアマネジャー的存在が非常に必要でありまして、利用者 に関わる主な相談者の存在が必要となり、ケアマネジメントの存在は欠かすことはでき ないんじゃないかということで、重要な位置を占めております。  それから全日本育成会としてちょっとあちこちに当たってみますと、やはりケアマネ ージャーは絶対なんだよねという話と、ケアマネージャーのモラルが必要じゃないのと いうような話もボツボツ出ております。それからサービス提供事業者の状態なんです が、先程の話を聞いてますとエッというようなのですが、私のところは本当に貧乏所帯 なんです。その中で金銭的には非常に苦しうございます。時間帯が非常に集中するとい うことと、それから個々のニーズがいろいろ違っているということで、私たちは収入に ついては知的児童に関するサービス提供を行っていく場合に、サービスの提供量に示す 移動介護の割合が非常に高いんです。知的のほとんどの場合、家事援助単価での提供と なるんです。知的児童の場合は移動介護について身体介護ととれるてんかん発作があっ たり、いろんな形で身体介護ととれる支援も行っているのですが、市町村によってはそ の判断基準が非常に曖昧であるということです。  私のところでは、ホームヘルプは4月からやったもので、対象地域の状況は2市4町 で人口92,000人、療育手帳所持者680人というところですが、やはり施設の中でこうい うことをやっていてもどうにもならないんじゃないかということで、町の中でコーディ ネーターも、就労・生活支援も含めて、下駄履きで来れるところに家を借りてやってお ります。収入はざっと6月までを出しておりますが、推定で1年間600万円ぐらい、支 出の面になると690何万ですから、ざっと100万の赤字が出てくるのではないだろうかな ということを言っております。  ヘルパー提供体制は、やはり知的障害ですから、誰でもというわけにはいきませんの で、私の方の施設でベテランの中堅職員が主任ヘルパーの資格を持っておりましたの で、正規職員1名と嘱託職員、登録ヘルパーとで合計4名でこれを展開しております。 常勤職員を配置をすることによって、やはり人件費が非常にかさむということにもなり ます。打破する方法としては、サービス提供の効率性の向上とニーズの掘り起こしな ど、運営上の努力が非常に必要ではないかと思いますが、何しろ山間地ですので一つの ところへ行くのにも本当に時間がかかって、多くのケースを、ヘルパーをどんどんとい うわけにはいかず、そこの家へ行くのに1時間かかるとか、山坂を行くというような状 態の中であります。  その他ですが、ぜひケアマネージャーの配置をきちっとしてもらいたいということ で、介護保険ではケアマネの資格認定が制度化され、民間事業者等へ配置されるととも に、報酬も組み入れられているし、しかし支援費制度ではケアマネジメントを行うのは 市町村となっており、民間事業者、例えば生活支援センターなどへの配置や報酬などを 想定していらっしゃらないということ、それじゃあということになると、市町村にケア マネの機能を求めても実際上私たちの圏域では無理であります。それから支給量などは 市町村が決めて、それに見合った額を市町村が使うということになりますと、利用者の ニーズを置き去りにして、サービスが提供される危険性が非常にあるということです。  ちなみに他で調べますと、市町村が上限を撤廃されたために、上限を決められた時に は案外上限内でと言われたのが、ビビッてしまって、そういう派遣が非常に少なくなっ てしまったとか、予算を削られたとかといって私の方に連絡が来ておる場合もありま す。ちゃんとした事業として身分保障もできる制度として実施すべきで、現状では配置 することは難しいような、現状にこういう身分保障をした職員を配置するというよう な、非常に運営が難しくなっていますので、ぜひその辺は必要じゃないかなというふう に思います。  それからショートステイの位置づけですが、現在は施設においてのみ認められており ます。基準を緩和して、適切な人事配置や人材配置やら環境設定することにより地域の 中にその機能を移していくことも必要なのではないでしょうか。例えば生活支援センタ ーにその機能を持たせた場合は、居宅支援側に支援費が入ってくることになり、人材等 の確保など、地域に向かうサービスの質量などが好転することが期待される。要するに 独立採算制を持たせていけばいつも数字を見ながら適切にいいサービスをもってきて、 いろんなことができるのではないか。  そのためにはショートステイとホームヘルプの関係ですが、利用者からのショートス テイ希望についてホームヘルプで対応できるケースも非常にあると思います。例えば学 校にお母さんが迎えに行けなかった場合には、ショートステイ以外の対応方法として一 つは時間利用ショートステイ、2はホームヘルパーの派遣をして家で見て貰う、3は ホームヘルパーを派遣して公園や図書館で見て貰うなどの対応方法が考えられるのでは ないだろうか。施設、ショートステイだけでは場所の提供だけで終る可能性があり、非 常に安全だということはたしかにありますが、その方にプログラムを組んだり、1対1 でつくというのは非常に難しいのではないだろうかと思います。  それからホームヘルプは1対1の対応が可能であり、満足度が高いはずで、ヘルパー のサービス提供場所が家に限定された場合は非常に難しいので、その辺も配慮がいるの ではないかな。例えば自閉症のことも、最近自閉傾向や自閉症の方の支援が増えている ものですから、障害者特有の大集団である施設環境を使うことを拒否される方もおられ ます。そうなると1対1のヘルパーの提供を望んでいる。その場合見る場所、家庭に限 定されると非常に難しいのではないだろうか。本人のニーズが多様であり、規制の緩和 が必要であるんじゃないだろうかなというふうに思っております。以上、この4カ月の 中で見えた部分を私の方としましては今日提供いたしました。以上です。  江草座長  ありがとうございました。大変貴重なお話を3人の方からいただいたわけですが、短 い時間でお願いしまして、御無理なことをお詫びいたしたいと思います。ではただいま の3人の御発言について何かお尋ねがございますでしょうか。  谷口委員  質問とコメントです。まずコメントとして、いま室崎委員がお話になった障害者ケア マネジメントの観点の御発言ですが、私は今年ケアマネの上級者の委員をしていたこと からの観点からお話を申し上げたいと思います。  高齢者のケアマネジメントと介護保険におけるケアマネジメントと障害者のケアマネ ジメントとは考え方を一にしていない、あくまでも障害者ケアマネジメントというのは 手法であるというところから考えみて、手法でありますので、その資格云々は一応いま 論議されておりません。それでまず障害を持つ一人の方のケアマネジメントを市町村 に、市町村は支給決定をするだけで、ケアマネジメントは障害者に関わるどなたでも一 応できる。本当に市町村の支援センター、あるいは療育等の支援事業、あるいはいろん な障害者団体の方々、いろんな方々がこのこの手法を勉強していただいてやるというの が基本になっておりますので、市町村がケアマネジメントをやるという規定には一応は なっていないと私は思っています。  それと質問なんですが、3人の方に聞きたいところなのですが、この支援費のお話を しますと1人にいくらかかっているというようなお話にすぐになってしまうのですが、 その障害の程度と支給量の関係、これが適切なのかどうかというようなところ、あとは 本人のニーズと、その支給量の決定が本当に適切であるかどうかというところをもう ちょっとお調べいただいて、論議されていかないと、その日常生活動作=支給決定量と いう形ではいけないというふうに思っているんですね。  この検討会も財政論議というのも非常に大事だとは思いますが、それよりもその個人 のニーズと支給量の関係にもうちょっと言及していかないといけないと思っています。 その辺を事業者としてどなたかお回答をいただければありがたいなと思います。  江草座長  はい、ありがとうございました。では中西さん、早崎さん、そして室崎さんの順にど うぞございましたらお答えください。  中西委員  支給時間については、我々のデータでも寝返りとかトイレとか、身体介助の時間数が 多いことは多いのですが、そのあたりのニーズが多い方は多い。でも外出の社会参加の 方も介助をたくさん使ってらっしゃる方が外出の機会が多い。あまり介助時間の少ない 方は外出の機会が少ないというデータもあるようなので、社会参加との相関関係とかも 見ていかなければいけない。どれだけ社会参加して、社会還元していくかというふうな 視点も非常に重要だと思うので、特に障害程度と手帳とか、いま言ったニーズとの関係 と、もう一つは自立の経験度、それから社会参加度というふうな相関関係もこれから ちょっと調べていかなければいけないなとは思っております。  江草座長  ありがとうございました。それでは早崎さん、どうぞ。  早崎委員  障害の程度並びにニーズに対する支給量の問題ですが、一般的にサービス事業者単独 でサービスのみをやっている事業者に申し訳ないんですが、そうした内容を含んだいわ ゆるトータル的な支援という考え方があるのかどうかということが一点問題になるかと いうふうに思います。  私たちは障害者支援をするためには、先程おっしゃられました障害者ケアマネジメン ト手法というのは絶対に必須だというふうに考えておりますので、サービス提供をする だけでは終わるということでは決してありません。事実、何例かは4月の支援費の支給 量を決定する間、ずいぶん福祉事務所の担当者並びに課長さんを含めて議論をしまし た。  ただ、障害者の方自身の思いもありまして、支援費の要領というか、交渉するという ことにあまり慣れていないものですから、どうしても市が決めたことに対してやむを得 ない、しょうがないという言葉がずいぶん聞かれました。私たちはしょうがないとかや むを得ないで、あなたの生活はそれでいいんですかということを何度か申し上げなが ら、結果的には今はそれほど市と障害者の方とのトラブルというのはありません。  以前ですと、その月決定したものについては絶対にそれ以上は認めないというような 言い方をしておりましたが、特にガイヘルのようなことは緊急性ということもあります し、中途で利用が必要であれば言ってくださいということも話されるようになってきま したし、とにかく私たちはその方のニーズに基づく支給量がどうなっているかというこ とも非常に関心を持っておりますし、先程少しお話をしましたけれども、そういう障害 の重い状態で我慢する必要はないんですよ、何でも言ってくださいよという働きかけは 必ずやっておりますし、最低月一は訪問をして、再アセスメントをして、いまのサービ ス内容で本当にいいのかどうかという検討をワーカーと一緒にやっておりますので、そ ういうものを事業所にきちっと配置するかどうかということが大事だというふうに思い ます。  私たちは社会福祉協議会の立場ですので、社会福祉協議会はいろんな支援事業を行っ ておりますし、せっかく障害者生活支援事業というものも受託で行ってきましたし、マ ネジメント支援事業も行ってきたわけですから、なくなったからやめちゃうということ ではなくて、やってきたことをいかに継続をして支援をしていくかということが役割か というふうに思っておりますので、そういう意味で常に重要なことかというふうに思っ ております。  江草座長  ありがとうございました。では室崎さん、どうぞ。  室崎委員  先程お話ししましたように、私の方は本当にトータル的な支援を考えておりますの で、1カ月で変わってしまうとか、1年をというのではなくて、その都度その必要に応 じたサービスを提供しております。  それで事例7の方ですが、非常に重い方なんですが、この方も中には肢体不自由児施 設の養護施設を利用されたらどうでしょうかというようなお話もいろいろあったという ことで、本人も迷われたのですが、本人の意思を、それではなくてやはり地域で生活を したいということで、じゃあ地域で生活するにはどうしたらいいだろうかということ で、いつもお話をする中で、以前はあのヘルパーでなければ困る、このヘルパーでなけ れば困るということで、非常に精神的に落ち着いていらっしゃらなかったんですが、や はり相談相手をしっかりケアマネと福祉事務所の方々と話しておる中に、やはり家で家 族にちょっと見て貰いたいなというようなことで、本当に30万ぐらい1カ月の支援費が 減ったというふうに、その人のトータル的な支援によって広がったり大きくなったり縮 まったりというようなことをやっております。  そのためにもケアマネジメントはどこからも案外お金を貰ってないんですよね。だか らそういうふうなものをある程度位置づけて、コーディネーターとはまた違うんだとい うところできちっとしてないと、親の立場ではやはり一番相談相手の地域のキーマンは ということになると、いつもその人がドンとおるということで、精神的には非常に私た ちは安心であるというふうに思っております。  江草座長  ありがとうございました。谷口さん、どうですか。  谷口委員  いまおっしゃっられた事例7で私が一番気になるのは、たしかに30万円という減額と いうのは、財政的には非常にありがたいと思うんですが、この時に家族からどのぐらい の介護を本当は受けたかったのかなというのが非常に気になるんですね。私もケアマネ ジメントをやらせていただいた立場から、ケアマネというのは財政の削減に影響をする というのではないはずなんですね。やっぱり本人のニーズをどれぐらい達成できていく かという問題だと思っています。ですからこの事例7のこの53才の男性が、53才ですか ら家族ということになりますと、もう60近くなんです。その時の長男さんの介護を本当 にどれぐらい受けたいのかというのが非常に気になるところではあります。それと財政 とはちょっと別に考えないといけないのではないかなと思います。  江草座長  ありがとうございました。先程オブザーバーの方が手を挙げられましたね。どうぞ。  佐々木氏  室崎さんに質問です。室崎さんの言うようにホームヘルパーがいないから公園や相談 を見てもらいたいというふうに言ったけど、僕としてはまずヘルパーを使って1対1で 公園や相談をしたらどうでしょうか、僕だったらそうして欲しいと思います。  江草座長  はい、ありがとうございました。では太田さん、どうぞ。  太田委員  ケアマネージメントシステムについて、ある程度は必要だと思うのですが、障害者の 多くは今まで施設の中でも家庭の中でも受け身の生活を受けていた。更に地域社会に出 て行っても、何でもその人の生活を取り仕切るケアマネージャーがいて、結局依存する 関係となってしまったら、その受け身が直らない、中西さんの言うエンパワメントはさ れないわけで、こういうマネジメントの在り方については十分注意した議論が必要だと 思います。以上です。  江草座長  ありがとうございました。いい御指摘をいただきましたが、お答えはなくていいです ね。それではまだ他にもあると思うのですが、日程上さらに報告が二つございますの で、実はこの辺りで10分休憩となっていたのですが、休憩時間を使ってしまいましたの で、申し訳ございませんが、早速に待っておりました高齢者介護研究会の報告について 高橋委員からお願いを申し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。  高橋委員  実はいま太田さんがおっしゃったことが私どもの今度の研究会の一つの定義でござい ます。要するに今での高齢者というのは、平たく言うと大正昭和初期生れの、要するに おとなしくてパターナリズムが成立する高齢者でございます。2015年の高齢者というの は団塊の世代が高齢者になる年、65才でございます。そういう意味で言えば、これは後 ほど表に出しますが、いわばケアの問題が、これは地域展開をやっておられる「アザレ アンさなだ」の宮島さんという方が大変面白い表現をされておりまして、今までのケア というのは第三人称のケアだった、彼らのケアだった、自分には関わり合いのない世界 のケアとしてとらえられていた。これがある時期二人称のケアになった。これはあなた たち、これは自分の子どもであり、親であり、あるいは妻であり夫でありつれあいであ るという、身内の二人称のケアになってきた。  そしてそれが実は2015年、高齢者ケアの一つの大きなポイントはそれが一人称のケア になった。自分自身の問題のケアになってきたのだ。これはまさに障害者ケアの問題は まさに当事者というのはそういうことで、逆にいうと高齢者ケアがある意味では障害者 ケアの問題に追いついてきたという、そういう視点が一つあるなと思います。  ただ高齢者ケアというのは大変ボリュームが大きいシステムでございます。要するに 2,000万人の高齢者の中の約300万人の人が要介護認定を受けているという、そういう世 界で、ある意味でいえば大変ボリュームが大きい世界ということは、そこで個別の問題 と仕組みの問題、これは老健局の中村局長が大変面白い比喩を言っておられまして、実 は介護保険ということについていろんな評価がございます。介護保険というのはエンジ ンなんですね。そして高齢者介護システムというのは、そのエンジンを動かす車体でご ざいます。そういう意味では今までのエンジンは、先程の議論でいえばおとなしい高齢 者、あえて言わせていただきますと、パターナリズムが通じる高齢者がありがとうござ いますと言って受けて利用していたケアの世界でございます。2015年というのはまさに 一人称のケアというか、そしてその中で要求をする高齢者ケアというか、そういう論点 になっているという、そこらへんが問題の始まりだというふうに思いますが、資料をお 使いいただきながら、時間の関係で少し間を飛ばさせていただくということをお許しく ださい。  高齢者介護研究会についてこの3月に発足して、6月に出された報告書で、堀田力さ んが座長でございます。堀田さんに言わせると3カ月おなかにいて生れた赤ちゃんにし てはすごく育ちのいい報告書であるという、そういう表現をされましたが、今後高齢者 介護は5年後に介護保険の見直しが法律で予定されておりまして、その場合に今までの 介護というのは90年モデルだったわけです。それを21世紀型の社会に作り替えてエンジ ンを動かすという、そういうことを考えるために、介護保険というのは2000年に始まっ た制度ですが、これは今までの老人福祉の仕組みと、それから高齢者医療の仕組みのあ る部分を取り込んで作った、ある意味では寄り合い所帯の仕組みでございます。  これをこれから5年にかけて次の改正では、やっぱり高齢者介護とは何かということ をきちんと議論しながら、あの介護保険法には実は介護の定義が書いてないということ はつとに有名な話で、私は授業なんかしていると困ってしまうのですが、実はケアとは 何だろうかということを2015年、これは団塊の世代が65才になり、2025年にその人達 が、これはある意味では我々は団塊よりはひとつ前ですが、実際に介護を使い出すこと を想定してどういうシステムを作ったらいいかということを考えて、これは一方でいま ゴールドプラン、高齢者保健福祉10カ年戦略というのがございますが、これが2005年に 終りますので、2006年から新しいものを作る、そんなことを含めて僕の研究会でざっく ばらんな議論をしましょうという、そういうことです。  ここでもう一つ注目をしていただきたいのは、やはりこれから大都市型高齢化が本格 化するという、そういうことです。それからいま高齢化が非常に成熟しているところと 急激に進むところでは高齢化ケアの在り方がだいぶ変わってくる。しかしながら重要な ポイントは高齢者の尊厳を支えるケアというものをこれから追求すべきであるという、 そういう視点を出しました。  そしてそれを実現する為には、地域包括ケアである、基本的にいうと施設ケアという ものの在り方を克服しなければいけないという、そういう視点、これは先回から議論を していることです。そして高齢者の尊厳を支えるケアというのはどういう仕組みでなけ ればならないかということについて、こういうことを言っております。生活の継続性を 維持するための新しい介護サービス体系を考えるべきである。これは在宅で365日24時 間の安心を提供する。  これはいろんな議論で2000年4月の介護保険はある意味で言えば在宅居宅サービスと いうのは、やっぱり家族介護を前提として、それを補足する範囲での居宅サービスでは なかったのかということが率直に議論されまして、そして現実にこれからの人口の動き を見ていると家族介護はもはや期待できない、そういうことを前提に居宅サービスを設 計しようという、そういう議論になりました。そしてそれが365日24時間の安心を提供 するサービスという、そういう考え方で、切れ目のない在宅サービスを提供する。  それから新しい住まい方というのがある。従来は施設か在宅かという、そういう選択 で考えていたけれども、その間に様々な中間項があるはずである。それからもう一つは 施設というのは新しい機能、役割を展開して、その機能を地域に展開すべきである。従 来の施設拠点型、これは結構障害ではそういうものが多いのですが、高齢者施設も例外 ではありません。ショートステイとデイサービスをくっつけた程度のものはございます が、そうではなくて、基本的に施設のもっている365日24時間サービスをむしろ徹底的 に地域展開しようという、これは実はその実践例がいくつかもう出てきておりまして、 そういうものに依拠しながら施設の新しい在り方を考える。  これは戦略論という意味でいえば施設解体という議論がありますが、これは日本的文 脈では施設解体は非常に困難です。これはドイツでなぜ困難かということと共通の論点 があります。スウェーデン、デンマークはやはり公立施設が施設ですから、それでも抵 抗勢力が日本では現れるわけですが、日本ではやはり民間の法人が様々な形で施設を経 営しておりますが、それを新しい形でリストラクチャリングするためにはその戦略は非 常に重要だろうという、そういう議論をいたしました。  そしてここでは痴呆性高齢者ケア、今までは身体介護ということで寝たきり老人対策 として高齢者ケアを考えていたけれども、どうもそうではないのではないかということ で、推計をいたしましたら、基本的には施設で入所されている方の8割が痴呆性高齢者 だ、在宅で生活をしておられる方でも相当、例えばこの表で言いますと、常時見守りや 介護が必要な痴呆性高齢者で、常時動く高齢者、これは25万人ほどいる。  介護保険というのは大変情報公開の制度でありまして、要介護認定のデータで全国 データかきちんとしたものが取れます、それをいろいろ集計しますと、25万人というと 実は三分の二の方が在宅で生活をしている。最も過酷な介護を必要とする方が三分の二 在宅で生活をしておられるという、そんなデータがございます。  そういうことで痴呆性高齢者ケアというのが、これから高齢者介護で追求されるべき もので、次に痴呆性高齢者ケアモデルの普遍化というところを御覧ください。要するに こういうことから、これは一方でいうと相当多くの方が精神科の病棟の中で痴呆性高齢 者が入所されているという例というのは結構ございますが、そうではなくて生活そのも のをケアとして組み立てよう、それから環境の変化を避け生活の継続性を尊重する、そ れから高齢者のペースでゆったりと安心してケアを行う、それから心身の力を最大限に 発揮した充実した暮らしということで、日常生活圏域を基本としたサービス体系を基本 としてケアを組み立てようということでいえば、従来、痴呆性高齢者はある意味でいえ ば最後の行き場として老人病棟が入り、痴呆性棟があったんだけれども、そういう形で はない地域ベースの処遇の在り方を考える、それは個別ケアである、これは従来の集団 処遇的なケアでは不十分である。  それからリロケーションショックというふうに言われますが、従来の在宅から施設へ 入所した途端にボケが進行する、様々な生活能力が低下するというのはよく知られたこ とですが、そういうことを含めて、住み慣れた地域での生活の継続、そういうものを地 域単位で作りましょうという、それからもう一つはやはり予測的対応というふうによく 言いますが、予めその状態像の変化について予測しながら対応をする。  要するに今までの福祉ははっきり言って後始末の福祉でした。それを予測して適切な 介入をしながら、支援をしながら対応し、それが自分らしい生活を保障する、そういう 新しいケアモデルを作っていくということで、痴呆性ケアモデルを普遍的なモデルと考 えて、地域ベースで対応しようという、そういう考え方で論点を提起をいたしました。 その中で生活の継続性を維持し、限りなく可能な限り在宅で暮らすことを目的とする。  何枚かめくっていただきますと、従来は施設と自宅という選択しかありませんでし た。実は介護保険の中で特定施設かグループホームという給付が作られることによって 新しい選択肢が現れて、しかもそこで最も質の高い実践が、これはグループホームも実 はグループホームもどきというのがございます。虐待をしたグループホーム、これは一 方で最も良質な実践の結果を踏まえると、先ほど言ったような個別ケアなり生活を重視 したケアなり、本人の自己選択、それから潜在能力を活かしたケアというものが、従来 の管理的、あるいはパターナリズムという、親代わりで何でもしてあげるケアというそ ういうものから、そういうケアに転換をするということで、その場所として新しい住ま いとか自宅、そういう地域に多機能サービス拠点を、小学校区なり中学校区単位に設定 をしていく。そして一方で施設については施設のもっている機能を徹底して地域に出し ていく。  そういう実践をこれから一般化していこうという、普遍化していこうということで、 次の図は施設の地域展開のモデルなのですが、50人いた特養に、ユニットケアで10人に して、40人に減員して10人分を地域に出していく。そしてさらにそれをもう少し小さく して、やっぱり100人の施設を50人にし、50人の施設を20人にしていくという、そうい う戦略を、そしてそれと並行して地域の中に小規模な多機能なサービス拠点を整備し て、これを具体的に作り上げていく。  この典型的な事例は長岡市のこぶし園という高齢者総合施設が実は現実にいま始めて おりまして、その中で町内会、中学校区とか小学校区単位にサポートハウスというもの を作っていって、そしてあわせて痴呆性高齢者を対象とするグループホームと同時にバ リアフリー住宅というのを作って、これは平たく言えば住まいです。アパートですね。 これは高齢者だけはなくて、障害をお持ちの方も住めるという、そしてそこに24時間の 訪問看護サービスステーションとホームヘルパーステーションと365日、毎食食べさせ る食事の配食ステーションと,ついでに地域の寄り合い場所を作る、地域の町内会が使 える事務所を作る。  そういうことになるとそれは完全に地域の中のサービス拠点であり、24時間対応でき る小規模のステーション、大体グループホームが8人でバリアフリーハウスが4人です が、そういう形で介護機能と住宅機能を分離しながら、それを合わせて総合的に組み立 てなおす、こういうものを小学校単位、中学校単位に作るということで、いまやその施 設はこぶし園は施設収入3割、在宅のサービス支援が7割になってきておりますが、そ ういうようなモデルを地域にいろんな形で展開する。  これは大変有名な福岡の宅老所よりあいの光景ですが、ちょっと御覧をいただきま す。それから熊本のきなっせというところですが、ここはグループホームですが、もう 一つはいつでもどこでんという、いつでもどこでもという、そういう熊本弁があります が、そこでは常に障害者のレスパイトと高齢者ケアを複合的にやっていくという、そう いうやり方が始まっております。そういうことを含んでこれを地域の拠点にしていく。 そしていろいろな方たちが出入りするという、そういうものが始まっておりますが、そ ういうことを含めて地域包括ケアというような、そういうものを作っていこうではない かというのが提案でございます。  こういうようなモデルを作りながら、実は長期ケアを支えるサービスの在り方、実は あらゆる仕組みは負担を伴います。負担を伴うということは、逆にいうとそのような、 先程一人称のケアと申しましたが、ケアが必要な状態になった時に、どのようなケアが 提供しえるのか、それを目標とすべきかということをきちんと提示することが、いわば 国民の負担をいただくための前提である。  そういう意味では最新モデルの車でなければ、それに乗ろうとは言ってくださらない という、そういうことを前提にしてこういう絵を書きました。これがこれからの介護保 険の制度見直しの検討の中で具体的な政策になっていく。これは京極委員が参加してお られる介護保険部会でやっていただくべきことですが、これは今までの利害関係だけ で、延長線上では出て来ない議論をやろうという、そういう考え方でございます。  もう一つは、そういう意味では持続可能な制度をどういうふうに作っていくのかとい うようなことです。これは介護保険という仕組みについていろいろな議論があります が、非常に重要なのは介護保険というのはニーズが拡大するとサービスがそれに続いて 伸びる仕掛けが入っているという制度です。僕はよく赤字を出せる制度だと言っており ます。健康保険も赤字が出せます。介護保険も実は赤字が出せるんです。  赤字が出せるというのはどういうことかというと、サービスの必要が増大した時に、 それを制約することなく伸ばしておいて、しかしあとでその財源調整を行う。赤字はあ とで解消されなければいけませんが、その場合にそのサービスを提供したことが社会的 にどういう合意を得られるか、その一つのポイントは1号被保険者の保険料という、65 才自身の人が払う保険料とリンクしていますから、その中で、もう一つは介護保険は介 護保険事業計画というものを作って、様々な市民各層の参加を得て、合意を作りなが ら、しかしニーズに敏感に反応しながら、そのサービス供給量を調節することができる 制度である。私はそういうふうに思います。  一方で、コウシ制度ですから、それはなぜ人にこういうサービスを提供しなければい けないかという、これは一方でいえば負担者の側から言えば、そのお金がきちんと使わ れた公正な形で使われているのかということを一方でモニターするという、そういうこ とがございますから、それを様々な仕組みで調整するという、そういう制度ですが、そ れが一つです。  それから介護保険というのは情報公開の制度でして、そういう意味で介護保険がどう いうふうに運用されているかが保険者単位でわかるような仕組みであるという、そうい うことですが、そういうことを含めて、これはエンジンとしてニーズの変化に対応する という意味ではなかなか面白い仕組みです。  そしてもう一つは保険者ということで、地方分権の仕組みです。地方分権の仕組み は、都道府県と国の関与がそういう形で調整されながら独自の財源を持って、平たく言 えば介護保険で我々は2号被保険者として健康保険料から徴収をされていますが、それ は介護サービス以外に使われないんです。これは大変な制度でありまして、これは当た り前だといえば当たり前なんですが、そういう意味で言えばそういう制度です。  それからもう一つはサービス提供事業者について、多様な事業者の参入、これは必要 に応じてサービス供給量を拡大をするという、そういうメカニズムが制度の中に入って いるということで、それを一方でどういう形でサービスの質を管理するか、あるいは ニーズに対応したサービスになっているのかどうかというのをチェックするか、これは 実はこれから大きな議論になっているところでございます。  実は長期ケアということでは、先程の三人称のケア、二人称のケア、一人称のケアで 御説明したことでよろしいかと思いますが、今まで彼らのケアであった時代は行政に依 存し、ある意味では総論賛成各論反対が罷り通り、施設入所で排除を容認してきたとい う、そういう時代であったかと思いますが、それが二人称のケアになって、これはある 意味では保護の優先と家族介護の負担という、そういうものがキーワードになりながら 出てきた。  これが実は一人称のケア、自分たちのケアということになった時に、当事者、それか ら自己決定、実は一方で負担と給付の連携を重視する、自分はこのサービスを払うに足 るサービスであるかということを厳しく問う、そういうものになりつつあって、介護保 険というのはある意味でいえば二人称のケアから一人称のケアへの転換のフェーズがい ま表れてきていて、実は障害者ケアの場合は彼らのケアという三人称のケアと二人称の ケアと一人称のケアがゴチャゴチャになってきている、これをどういうふうに整理をし ていくかというのが非常に大きな課題なのではないかという、そういう感想を私は持っ ておりますが、介護保険はそういう意味でその人らしい生活を支える仕組みという形 で、新しい理念を今回の研究会で提起をいたしました。そしてそれをふまえて制度化が 進むというふうに思います。  やはりケアシステムという社会と、それを支えるエンジンという議論は地域生活支援 を考える上で、ぜひまっさらな議論をすべきであるか介護保険というのは2000年4月の 生れ落ち方の特性を持っておりまして、そういう意味では介護保険の非常に問題を抱え たまま突入している制度ですが、やはりそういう仕組みを使いながら、例えばもし障害 者ケアということではふさわしい仕組み、エンジンにどういう車体を乗せるか、そのこ とによってエンジンは1,000ccでいいのか、2,000ccがいいのかという、そういう議論が 出てくるはずでして、そういう議論の仕方が非常に重要であろう。  それから地域包括ケアという議論、これは地域生活支援というのはまさにその通りで して、これを成り立たせる為にどのような仕組みが必要なのかという、個別のニーズに サービスが応えられるかという議論と同時に、それは一定の資源を使いますから、その 資源を配分する為の仕組みがどういうものでなければならないのかという、そういうこ とを少し議論を深めていく必要があるのではないかというのが高齢者介護研究会の報告 を読んだ上での私のコメントです。以上です。  江草座長  ありがとうございました。私は司会者ですから感想を述べることはあまりふさわしく ないのですが、大変示唆に富むお話であった、刺激的であったというふうに私は思いま した。皆さん、どなたか御質問があればどうぞ。  中西委員  二点あります。一点は施設から在宅へというのが、施設も在宅へというふうな感じが しますね。財源が倍かかるというふうな感じかもしれないんですが、これをユニットケ アの方向に順次移行していくというふうな見方でいいのかというのが一つと、もう一つ は、先回りしてケアを考えるとおっしゃったんですが、高齢者の一人称のケアと、先回 りして考えるというのは齟齬しないでやれるのかという二点です。  高橋委員  先回りというよりは、標準化ということです。実は要介護認定区分の考え方の例は、 標準化モデルであって、実は上限モデルではないんです。それからもう一つは、ユニッ トケアは私の個人的見解では通過点だと思っております。やがてはあれは地域に出て行 く、これは先程紹介したこぶし園の小山さんという方がつとに主張されていることで、 実際にいま実践しているのは100人の特養を将来は50人にする、50人をやがて0にする という、これは公言をしております。しかしやっぱり施設は死守すべきだという、そう いう意見もありますが、これは政策としてはユニットケア、できるだけ小規模化してい くという、そういうことになるかと思います。  これはその中での地域での選択ですし、逆に言うと施設というものにどうしても必要 とされる機能は何だろうかという議論はやはりきちんと詰めておく。地域にきちんと資 源ができた時に施設というのはどういう機能を果たし得るのか、これは高齢者ケアの場 合は医療の問題が一方でございますので、それとの関係があろうか。そんなところで す。  江草座長  それではいまお話の中に京極委員のお名前が出ましたので、ちょっと追加してお話く ださればと思います。  京極委員  貴重な御報告をありがとうございました。高橋委員のいまの研究会の内容につきまし ては、私は外から眺めていたというか、早く報告書が出ないかなと思って待っていたの ですが、これを今回の障害者ケアにどうつなげていくのかというところが非常に難しい 問題だと思うんです。  実は介護保険の構想を立ち上げる委員会というのは、正式に審議会で諮る前に高齢者 介護生活支援システム研究会という、俗に大森委員会と言っておりましたが、大森彌先 生を座長とした会議では、将来的な課題として障害者介護を介護保険に入れる必要があ るかもしれないけれども、しかし当面の問題としては慎重に考えるということで、見切 り発車して高齢者介護をスタートさせた。  その時にいろいろありまして、具体的には例えば障害者の介護認定というのはどうす るのかというのは、これはかなり高齢者の問題は複雑多岐にわたっておりますので、難 しい問題もあるし、障害者団体の方々のご理解も得られなくちゃあいけないし、それか ら当然障害を伴う介護というのをもし介護保険に入れるとしますと、少なくとも障害者 という成人に達した人を給付の対象にするわけですから、したがって多少負担の対象に も第3号被保険者というのを、これは障害者団体がOKしてもこれは国民がOKしない とできないわけで、そういう壁があって難しい。  それでとりあえず高齢者介護からスタートしたんですが、たしかに高橋委員のおっ しゃったように、高齢者介護についても既存の、例えば施設体系、これはすでに特別養 護老人ホームとか老健施設とか、あるいは介護療養型医療施設、こういうものを引きず って介護保険に入っていったわけであります。  ただ、在宅についてはずいぶん新しい芽が出てきた。少なくとも供給主体については 多様化してきて、NPOも含めて多様な参加が見られた。少し新しい展開をしたという わけですが、障害者介護に関しては、私はいろいろ考えてまだ結論は出てないのです が、移送というか、外出介護の問題をきちっと位置づけるということがないと、介護保 険に入っても意味がないかなということで、外出介護をどうするか、ただし外出介護を 入れるのはいいんですが、全て就労支援のところまで教育施設が全部介護保険である、 これはとても無理な話なんで、従来の日常生活支援の延長に外出介護をどう位置づける かということ、それからケアマネジメントも障害者の全生活のケアマネジメントはとて も難しいと思うんですね。  だから障害者の日常生活のケアマネジメント、その中で日常生活の延長線上に、この 移動と書いてあるところはすごく大事なところなので、そういうところで、障害者介護 の外にというか、いろいろな社会参加、日常活動が出てくるということだと思います。  実は支援費制度をスタートした時も、審議会ではこれはだいぶ議論をいたしました が、あまり気に留めなかった方もいらっしゃると思いますが、障害程度区分を見た時 に、いわゆる純粋の介護的な部分の評価の部分と、それから社会参加になる部分と、一 応数字的に分けて集計していきましょう、これはいずれそれは大きな意味を持ってき て、この前者の方の介護についてはやはり介護保険につながっていく要素があるんじゃ ないかという意識がまずあったわけです。  後者の部分については非常に可能性が大きいわけで、介護というよりも本人の障害者 がやる気でいろんな仕事についていけば、いろいろ支援も必要になってきて、いくらで も広がっていく部分なので、これを評価するというのはなかなか難しいのであります が、そういうことでとりあえず分けたわけで、時期が来たら私はぜひ介護保険に障害者 の介護も入れてまいりたいな。  ただし、いつどこでということと、それからどんな条件をつけてということをきちっ と出される、特にいま高橋委員のお話の中で出てきたのは、従来の施設体系にとらわれ ず、もっと弾力的な地域でのグループホームとか、そういうものをどんどん活かしてい けば、そのきっかけにはなってくるんじゃないか、財政的にも、そんなふうなことを考 えております。  江草座長  ありがとうございました。それでは予定しておりましたのはもう一つ、実は大変大事 な平成16年度の概算要求についての説明がございます。それでは高原課長からお願いし ます。  高原課長  それでは平成16年度の概算要求の概要につきまして御報告を申し上げたいと思いま す。先月の29日に厚生労働省の概算要求をとりまとめまして、財務省に提出したわけで ございます。お手元の資料で御覧いただきますと、資料7のところでございます。国全 体の概算要求の枠組みなどについて簡単に御説明をした上で、本題に入らせていただき たいと思います。  お手元の資料7の1頁の下の辺りに書いておりますが、国全体の概算要求基準の枠組 みということですが、いくつかの経費を性格毎に分けて整理をいたしますと、一つは公 共投資の関係費については、前年度の予算額から3%を減額した範囲に収める、夏の概 算要求の段階ではマイナス3%、前年度の予算額の97%に2割増した範囲まで認めると いう、そういう整理になっております。  次に義務的経費と裁量的経費ということで、2頁目にかけて記載をしておりますが、 義務的経費と申しますのは、法制度上国は一定の経費について負担しなければならない という義務的な規定が置かれている経費でございます。  これに対して2頁目のところにございますのは、裁量的経費ですが、これは法律上の 規定のない予算補助であったり、法律上規定があっても、国は一定の場合に補助するこ とができるといった任意的な規定が設けられている経費と御理解いただければいいと思 います。  義務的経費につきましては、そこにございますように人件費とか、年金や医療等、特 定のものを除いて増加は認めないという全体的な整理になっております。年金医療等の 増につきましては、これは当然高齢化などに伴う自然増の経費がございますのでそうい う点を考慮し、極力それを抑制して6,900億円とするという概算要求基準になっており ます。  ただ、これにつきましては当然増を推計すると8,000億を超えるオーダーという見込 みでございますので、年末に向けて1,000億を超える削減、合理化を検討していかなく てはいけないという状況になっております。  裁量的経費ですが、これは前年度の予算額、15年度の予算額から2%減らす額を上限 とする。ただ、科学技術振興費は例外扱いにするということでございます。夏の段階の 概算要求の要望額としては2%減額、15年度の98%の2割増ししたものを認めるという ことで、17.6%までの要求を認めるという整理になっております。  こういう国全体の整理になっておるわけですが、厚生労働省全体として見ますと、少 し頁をめくっていただきまして5頁のところですが、厚生労働省関係の全体的な数字が ここに整理をいたしております。1枚めくっていただきますと、このうち特に裁量的経 費にかかる概算要求ということで整理をさせていただいておりますが、厚生労働省全体 の裁量的経費につきましては、15年度予算に比べて117.9%の額を概算要求で要求して いるということです。これは科学技術振興費も含まれておりますので、0.98×1.2の 117.6%ではなくて、117.9%という数字になっておるわけでございます。  これを障害保健福祉関係について申しますと、その下にございますように、12.4%の 増の要求ということになっております。この内訳としましては、支援費、特に居宅支援 費につきましては116.7%、16.7%の増の要求ということで、例えばホームヘルプにつ いて申しますと、17.6%の、先程申し上げました上限の要求ということにいたしており ます。支援費以外ということになりますと、7.4%の増ということです。  実は支援費につきましては今年度11カ月の予算しか計上いたしておりませんので、16 年度は12カ月分に増やさなくてはいけないという、平年度化増の部分でありますとか、 あるいは新しく策定された障害者プランの増に対応する分、こういう内容を全て盛り込 んだ全体的な数字として支援費関係16.7%の増という要求になっております。  ちなみに他の項目でいえば、例えば一番下のところにございますように、制度改正に 伴って医師の臨床研修が必修化することに伴って相当大きな経費が必要だとかというこ ともございます。あとは老人保健福祉関係、児童福祉等の関係、こういう部分につきま してはそこにございますようにほぼ前年同額という全体としてやりくりをした数字が厚 生労働省の裁量的経費の全体像ということになるわけでございます。  少し駆け足になりますが、障害福祉課関係の予算を見ていただきますと、資料の7頁 です。私ども16年度の概算要求、地域生活の支援ということを最も重要な課題といたし まして経費を要求しておるわけでございます。そのアからエまで四点書かせていただい ておりますが、先程申しましたような平年度化増なども含めまして、支援費制度をとに かく着実に実施していくという観点での予算確保、それから働くことを支援するという ことが非常に大切ではないかということで、雇用と福祉の連携を初めとした施策の工 夫、拡充、こういうものをいたしております。  他に、そこにございますように、地域の実情に応じたサービス展開ですとか、あるい は施設について、その施設の地域化や小規模拠点化を図っていくという内容も柱の一つ といたしております。  それでは資料の8頁をめくっていただきますと、障害者の地域生活の支援という一つ の大きな私どもの最大の柱ということで、16年度要求をいたしておるわけですが、支援 費制度の着実な実施ということで、支援費制度12%増の要求、平年度化増も含めまし て、そういう数字にいたしております。  あとは支援費制度にかかる事務の円滑化、適正化等の支援という項目ですが、これは 9頁にかけて記載をいたしております。例えば(3)のところですが、今年度から新しく始 めました障害者地域生活支援特別モデル事業、この箇所数の増を図るような予算も盛り 込んでおりますし、少し支援費の事業経営の実態を16年度、17年度をかけて調査をした いということで、必要な経費も要求をいたしております。  それから10頁のところですが、地域での生活を支援するという意味では、働くことと いうことが非常に大切になってくるわけですが、私ども雇用と福祉と一つの役所で担当 しておるわけでございまして、これまで以上に機密に連携を取りあってやっていくとい うことで、例えばその柱としては障害者就業・生活支援センターの箇所数を47から80に 大幅に増加をするような要求を盛り込ませていただいたり、あるいは新しい事業として 在宅の重度の障害者の方がITの機器などを活用して在宅で就労することを支援する事 業、バーチャル工房支援事業というふうに仮称で呼んでおりますが、これを雇用サイ ド、福祉サイド連携して要求をするということですとか、下のところにございますが、 小規模通所授産施設の拡大といったものを盛り込んでございます。  次の11頁ですが、これは新しい障害者プランの推進ということで、先程申し上げまし たようなものと少し項目がダブるところもございますが、例えばホームヘルプサービス につきましては16年度人数換算でいたしますと1,530人増の要求をいたしております。 グループホームで申しますと、1,600人増ということで、障害者プランの着実な推進を 図っていきたいと考えております。  あとは資料の12頁をご覧いただきますと、地域の実情に応じたサービスの総合的な推 進ということで、いろいろ自立支援、社会参加の推進を図っていくということで、独立 した補助事業ということではございませんが、メニュー事業として、例えば新規事業で すが、下に二つございます。障害者の方々が家族から離れて地域生活を体験する場を考 えるような、その地域生活の支援事業といったようなものもメニュー事業として追加を いたしたいと考えております。  それから13頁ですが、もう一つの大きな柱として、施設の地域化、小規模拠点化の推 進ということで、先程の高橋委員の御報告の中にも、高齢者の施設について小規模多機 能化というお話がございましたが、私ども障害施設でもできるだけ障害者の施設が持っ ているノウハウなりマンパワーを地域に開放していただくような、そういう地域化でご ざいますとか、小規模拠点化というものを進めていきたいということです。  お手元の資料の14頁ですが、例えばということで、居室の個室化を一定の施設につい て推進するとか、あるいはサテライト型の施設の整備ということで、例えばいまの50人 規模の定員の収容施設を建替えをする時に、その50人の定員の枠の中で10人分を例えば 町中にサテライト施設として切りわけていただくような、そういうこともやっていけな いかということ、あるいは高崎の国立のぞみの園の地域生活移行、これは国が関与する モデル的な事業として進めていくという内容を含めたものでございます。  正直申しまして非常に厳しい財政事情なものですから、私どもももっといろいろやり たい思いとかアイデアもあったわけですが、残念ながら、例えば一例を申し上げます と、ホームヘルプサービスの単価などにつきましては、これは基本的に介護保険の単価 に合わせていきたいという考え方をもっておるわけでございますが、私どもその事業量 の確保を優先する観点から、今年度の概算要求ではやむを得ずそういう単価の改善は盛 り込んでいないとか、そんなふうないろんなやりくりをさせていただいた中での概算要 求になっております。  いずれにしましても年末に向けてこれから財務省との間で厳しい調整作業をしていか なくてはいけないわけで、まずは私どもとしてはこの概算要求を満額年末に向けて確保 していくことに最大限の努力をしていきたいと考えております。以上でございます。  江草座長  ありがとうございました。皆さんいろいろお尋ねもあるでしょうが、竹中さん、神戸 で御活躍なので、その立場で今日のいまの御説明をどうお受け取りになりましたか。  竹中委員  私はこの会で最初からずっと一番残念だったのが、地域生活と言いながら、働くとい う問題が何か抜け落ちているな、人間は介護を受けるために生まれてきたわけじゃなく て、やはり自分のやりたいことをするために生きているんだと思うんですね。その時に 介護が必要であるということで私は議論が進んでいただきたいと思っています。  特にやはり高齢者の介護の必要な方と、そうでないチャレンジドで介護の必要な方と の大きな違いは、すでに働いて社会を支えられた経験があっていま介護になっている か、あるいはいま介護を得ながらでも働いて、支える側に回りたいと思っている側と、 この大きな違いがあるわけですね。高橋先生のお話で非常に私も介護の必要な高齢者に 対する施策は、私は本当に示唆に富んでいるなと思いました。  いま高原さんの予算のお話でも、今まで議論にはあまり出なかったんですが、在宅で でも働ける方策について一つ新たな予算の枠組みができたというようなこと、私は確実 にこういう議論の中で少しずつですが、チャレンジドの人が誇りをもって生きて働ける という状況が一歩踏み出しつつあるのかな、そういう意味で今日のお話は大変嬉しくお 聞きしました。  特に働きたいとおっしゃっている重度のチャレンジドの場合は、テーマはできるだけ 人がべったりそばにいて欲しいではなくて、どれだけ自分で科学技術を駆使して、いわ ゆるITとか、それからシーティングされた車椅子とか、自分で自分をつり上げること のできるリフトを操作するとか、人手というより自分の意思で自分が行動できる道具を やっぱり求めておられる方々が大変多いんですね。  ですからそういう意味で人でなければならない部分と、科学技術と組み合わせて、そ の人が最大限の力が発揮できて、自分の目的にいけるというお話で、やっぱりこのテー マは広く、単なる人の介護の量、どれだけ広げるかというだけではない議論にもなって いっていただければ嬉しいなというふうに思います。  江草座長  ありがとうございました。他の方でどなたかございませんか。いま高原課長の御説明 をお聞きになりまして、いろんな思いをされたと思いますが、ともかくいま精一杯頑張 っていただいておる最中でありまして、この要求が100%実現しないと困るわけであり ますから、今日はその実現しなければいけないということを受けて、次回9月30日に次 の会がありますが、その時に少し時間を取って、また皆さんの御意見を高原課長に申し 上げるというようなことで、いかがでございましょうか。  それでは大変恐縮でございますが、いただきました時間がまいりました。あとは次回 の日程などについての御説明を事務局からいただきたいと思います。  高原課長  まず次回の第8回の検討会でございますが、9月30日(火)の午前中ということで10 時からスタートをさせていただきたいと思っております。引き続きテーマとしては地域 生活を支えるサービス体系の在り方について議論を深めていただくということで、おそ らく3名ないし4名の委員の方から具体的な御発表もいただくように予定をいたしてお ります。  それから合わせまして事務局から支援費制度の施行状況につきまして、これはまだ全 数調査につきましてはもう少し時間がかかりますので、とりあえず9月30日の次回はそ の抽出調査分につきましてできるだけ早くとりまとめて御報告をさせていただくように いたしたいと思っております。  それからまだ先になるわけですが、10月につきましては二回お時間を頂戴いたしたい と思っております。10月14日の火曜日の午後1時半からスタートをしたいということ で、もう一回分は10月28日の火曜日、これも午前中10時からということで予定をいたし ております。それからまだ先でございますが、11月は、また改めて御連絡をさせていた だきますが、とりあえずその手帳にご記憶いただければと思いますが、11月も二回とい うことで、14日の金曜日の午後2時にスタート、それから11月26日水曜日の午後2時ス タートということで、10月、11月それぞれ二回ずつお忙しい中でお時間を頂戴いたした いと思います。  それから議事録につきましては、前々回5回目の議事録の案を配らせていただいてお ります。できれば2週間程度でご確認をいただきまして、必要な修正を私どもの方でさ せていただきたいと思っております。また、今日の検討会のとりあえず速報版としての 議事概要につきましては、江草座長と御相談をいたしまして、取り急ぎホームページな どで公表させていただきたいと考えております。以上でございます。  江草座長  ありがとうございました。それでは今日はこれで閉会させていただきます。御協力を 感謝いたします。 照会先           [障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する検討会事務局]                            厚生労働省社会・援護局                            障害保健福祉部障害福祉課                             川端、牧野(内線3043)                             TEL 03−5253−1111                             FAX 03−3591−8914