03/09/05 薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会 平成15年9月5日議事録       薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録 1.日時及び場所   平成15年9月5日(金) 10:30〜   医薬品医療機器審査センター第2会議室 2.出席委員(13名)五十音順  ◎池 田 康 夫、 上 原 至 雅、 岡 田 義 昭、 折 笠 秀 樹、   守 殿 貞 夫、 神 谷   齊、 川 嵜 敏 祐、 後 藤   元、   藤 上 雅 子、○堀 内 龍 也、 三 瀬 勝 利、 溝 口 昌 子、   吉 田 茂 昭 (注) ◎部会長 ○部会長代理   他 参考人1名   欠席委員(3名)   木 村   哲、 櫻 井 秀 也、 早 川 堯 夫 3.行政機関出席者   鶴 田 康 則(大臣官房審議官)、 岸 田 修 一(審査管理課長)、    平 山 佳 伸(安全対策課長)、   豊 島   聰(医薬品医療機器審査センター長)    青 木 重 二(医薬品医療機器審査センター企画主幹)、    赤 川 二 郎(医薬品医療機器審査センター審査第一部長)、   森   和 彦(医薬品医療機器審査センター審査第二部長)、   辻 村 信 正(医薬品医療機器審査センター審査第三部長)  他 4.備  考   本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○事務局 それでは薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会を開催させていただきます。 本日はお忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。当部会委員員数16 名のうち現在11名の御出席を頂いておりますので、定足数に達しておりますことを御報 告申し上げます。  まず議事に入ります前に、前回7月に開催いたしました当部会の後、事務局に人事異 動がございましたので、御紹介させていただきます。8月29日付けでございます。まず 審査管理課長として着任した岸田でございます。 ○審査管理課長 岸田でございます。よろしくお願いいたします。 ○事務局 続きまして、安全対策課長の平山でございます。 ○安全対策課長 平山でございます。よろしくお願いいたします。 ○事務局 続いて審査センターでございますが、企画主幹の青木でございます。 ○企画主幹 青木でございます。よろしくお願いいたします。 ○事務局 審査第一部長の赤川でございます。 ○審査第一部長 赤川でございます。よろしくお願いいたします。 ○事務局 以上、事務局の異動でございます。また、本日議題1につきまして、参考委 員として東北大学加齢医学研究所の貫和敏博先生にお越しいただいております。それで は池田先生、以後の進行をよろしくお願いいたします。 ― 吉田委員着席 ― ○池田部会長 それでは早速本日の審議に入りたいと思いますが、審議に入る前に事務 局の方から配付資料の確認と資料作成に関与された委員の報告をお願いしたいと思いま す。 ○事務局 それでは資料の確認をさせていただきます。資料1〜5までがあらかじめお 送りした資料でございます。本日の配付資料といたしましては、議事次第、当部会の座 席表、こちらの座席表は私どもの手違いで折笠委員が御欠席になっておりますが、おわ びして訂正させていただきます。欠席委員は4名ということでございます。続きまして 当部会の名簿、資料6として「医薬品第二部会審議品目の薬事分科会における取扱い、 毒薬・劇薬の指定の要否及び生物由来製品/特定生物由来製品の指定の要否について (案)」でございます。それから資料7といたしまして、専門委員の名簿をお配りしてお ります。よろしいでしょうか。  続きまして、平成13年1月23日の薬事分科会申合せに基づく資料作成に関与された 委員の確認でございますが、本日の議題については関与委員はいらっしゃらないという ことでございます。よろしくお願いします。 ○池田部会長 ありがとうございました。本日は審議事項が2議題、報告事項が2議題、 その他が1議題となっております。よろしくお願いしたいと思います。  最初の議題1でございますけれども、これは光感受性物質のレザフィリン、一般名タ ラポルフィンナトリウムということでございますが、この審議から始めたいと思います。 審査センターの方から審査の概要をお願いしたいと思います。 ○事務局 それでは議題1、資料1、医薬品レザフィリン、注射用レザフィリン100mg の製造承認の可否について、審査センターより御説明申し上げます。  本剤の有効成分であるタラポルフィンナトリウムは、明治製菓株式会社により開発さ れた光線力学的療法(以下PDT)用光感受性物質です。悪性腫瘍に対するPDTは、光 感受性物質を投与後腫瘍組織にレーザを照射することにより、光感受性物質が光化学反 応を引き起こし腫瘍組織を変性壊死させる治療法です。本邦におけるPDT用医薬品と しては、平成6年10月にポルフィマーナトリウム(販売名:フォトフリン注、日本ワイ スレダリー株式会社)が早期肺癌、表在性早期胃癌等の効能・効果で承認されております。 タラポルフィンナトリウムは、664nmに吸収帯を有し、この波長のレーザ光を照射され ることにより一重項酸素を生じ、腫瘍細胞及び腫瘍血管に障害を与え、抗腫瘍効果を示 すと考えられています。  本剤の専門協議では専門委員として、当日配付資料7に記載のとおり、荒井委員、青 柳委員、井上委員、遠藤委員、下方委員、竹内委員、鶴尾委員、貫和委員、林委員、堀 江委員、米谷委員が指名されました。  規格、安定性、毒性、薬理、吸収・分布・代謝・排泄に関して提出された資料の内容 は、妥当であると判断しております。 臨床試験成績については、内視鏡的早期肺癌患者を対象とした第II相臨床試験において、 本薬40mg/m2投与4時間後よりレーザを照射し、奏効率は35例中33例94.3%でした。 奏効が得られなかった症例については、いずれも腫瘍部位に十分なレーザ照射が行われ なかったことが原因とされています。 審査センターは、早期肺癌については外科的切除が標準的治療法であること、本剤によ るPDT後の再発率が15.4%(観察期間中央値832日)であったこと、一方で本剤は肺機 能を温存した治療が可能であることを踏まえ、効能・効果について既承認のポルフィマ ーナトリウムと同様に「外科的切除等の他の根治的治療が不可能な場合、あるいは、肺 機能温存が必要な患者に他の治療法が使用できない場合で、かつ内視鏡的に病巣全容が 確認でき、レーザ光照射が可能な下記疾患 早期肺癌(病期0期又はI期肺癌)」とする ことが適当と判断いたしました。 また、本剤によるPDTの施行に当たっては、レーザの照射部位の適切な判断、的確な 照射等、有効性及び安全性の確保のために、内視鏡技術等に十分な知識と経験を積んだ 医師による実施が必要と考えられました。このため承認条件として、本薬による光線力 学的療法についての講習を受け、当該療法に関する十分な知識・経験のある医師のみに よって用いられるよう必要な措置を採ることを規定するとともに、添付文書の「重要な 基本的注意」に「内視鏡技術に熟達した医師が実施すること」を記載いたしました。 また臨床試験では、本剤によるPDT後の長期的な予後については必ずしも十分に検討 されていないことから、承認条件として承認から3年間は可能な限り全投与症例を市販 後調査の対象とし、再発、生存期間等、長期的な予後について検討することとしており ます。 安全性に関しては、国内第I相試験において気管部に生じた腫瘍に本剤による PDTを実施したところ、レーザ照射部位に肉芽形成を生じ、結果的に気管狭窄を来し た例が1例認められました。この症例に関して、肉芽形成の可能性は気管部に限らない こと、気管部腫瘍の患者でもPDT実施が必要な場合があることに鑑み、添付文書の「慎 重投与」に「気管癌の患者」を規定し、「重大な副作用」の項に肉芽形成に起因する気 管狭窄による呼吸困難が現れることがある旨を記載し、注意を喚起することといたしま した。また、本剤投与後の光線過敏症については、第II相試験において33例のうち投与 後2週までに28例について皮膚光感受性が消失し、残りの5例も投与後3週までに皮膚 光感受性が消失したとされています。この点について、添付文書の「重要な基本的注意」 に投与後2週間は直射日光を避け光量を調節した室内で過ごすこと、その後は皮膚光感 受性試験を実施し、異常が見られなくなるまで直射日光を避けさせること、投与後4週 間以内の外出に際しては、衣類や日やけ止めクリーム等の使用により日光を避けること が望ましいことを記載することといたしました。 以上のとおり、審査センターの審査及び専門協議における議論の結果、早期肺癌に対す る本剤によるPDTの有用性は認められ、承認して差し支えないと判断し、医薬品第二 部会で審議することが妥当と判断いたしました。なお、本申請は再審査期間6年、原薬 ・製剤共に劇薬に該当し、生物由来製品・特定生物由来製品のいずれにも該当しないと 判断しております。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。 ○池田部会長 ありがとうございました。ただいま審査センターの方から審査の概要を 御説明いただいたのですが、この医薬品に関しては専門協議がございまして、本日はお 忙しいところを貫和先生においでいただいておりますので、先生の方から最初に補足の 説明をお願いできますか。 ○貫和専門委員 肺癌の領域におきましては、どういう経過で癌が発生するのかという ところは、まだなかなか未解明なところでございます。ただ、ハイリスクグループとい いますか、重喫煙を背景とする患者におきましては、気管支鏡検査等でかなり早期の肺 癌が発見されるという経緯もございます。そうした場合に、肺癌は加齢肺といいますか、 60代、70代を中心に発生する癌でございますが、通常の肺葉切除等の外科的な処置が採 りにくい場合があります。それに対しまして、先ほどお話がございましたように、先行 する薬剤としてのフォトフリンという、やはりポルフィリン系の薬剤で腫瘍局所に集積 し励起することにより、そのエネルギーが一重項酸素等の活性酸素を出して細胞を破壊 するという機序で抗腫瘍活性を出すという、実際に臨床に使われている背景がございま す。  このタラポルフィンナトリウムは、励起のためにレーザ光線の処置をいたしますが、 薬剤を注入してから腫瘍局所に集まるまでの時間がかなり短いわけで、4時間でそうい う処置ができると。したがいまして、これに伴う光線過敏症の期間も短くなっていると いう背景もございます。そうした点から、専門協議の中ではいろいろ議論もございまし たが、それほど大きな問題はないと結論しました。ただ、この附帯条件にありますよう に、実際にこの処置をするのは呼吸器専門医になりますが、気管支鏡下の処置にかなり 習熟した人間が必要だと、技術が必要だということが一つ議論点として挙がっておりま す。それから肉芽の形成の問題も議論されましたけれども、これもいまだにはっきり背 景は分かりません。そういう炎症反応が起こりやすい遺伝子背景がある患者で起こるの ではないかと考えられまして、それがあるからといってこの早期肺癌に効果がある方法 が承認の障害になるということはないであろうという議論がございました。まとめて言 いますと、早期癌で、なおかつほかの治療法が選択できないような早期の肺癌の患者に おいて、本薬剤は適応があるのではないかという議論でございます。 ○池田部会長 ありがとうございました。ただいま貫和先生の方から補足説明を頂きま したが、光感受性物質のフォトダイナミックセラピーという、これまでにも1994年に承 認された薬剤があるわけですけれども、今回このレザフィリンについて委員の先生方に 御議論いただきたいと思います。先生方、御意見を頂きたいと思いますが、いかがでし ょうか。堀内委員、どうぞ。 ○堀内部会長代理 先ほど組織への移行性が違うというお話がありましたが、ポルフィ マーナトリウムと比べて有用性はいかがでございますか。 ○池田部会長 審査センターの方からお願いします。 ○事務局 審査センターの方からお答えさせていただきます。治験成績に関しましては、 ポルフィマーナトリウム、それから今回のものに関して特段大きな差はございません。 先ほど貫和先生から御説明があったように、体内動態の差というところが実際に本剤を ポルフィマーナトリウムと比べたメリットでございます。ポルフィマーナトリウムにつ きましては、体内動態の動きが非常に遅くなっておりますので…。ポルフィマーナトリ ウムにつきましては、この薬剤を注射後48〜72時間後にレーザを照射して治療するの で、投与後2〜3日後に治療するということになりますが、本剤については投与後4〜 6時間ということで同日中に治療が可能となっております。  それから光感受性、光過敏症につきましても、その持続期間が短くなっておりまして、 ポルフィマーナトリウムについては投与後室内でお過ごしいただく時間が約1か月と添 付文書に規定されておりますが、今回のものについては2週間ということで規定されて いるところでございます。 ○池田部会長 よろしいでしょうか。そのほかいかがでしょうか。 ○堀内部会長代理 同じような治療法であれば、置き換わるものであると考えてよろし いですか。 ○事務局 基本的には原理が同じものでございますが、それぞれ薬剤に特定されたレー ザ装置を使用する必要がございますので、それぞれの施設で納入されているレーザに合 った薬剤が用いられるということになります。 ○池田部会長 レーザ装置については、別途医療用具の製造承認が申請されているので す。特殊なレーザ装置を使うということになると思うのですが、その点については何か 議論はあったのでしょうか。今お話しされたように、このレザフィリンの有用性という のは1か月間と2週間とか幾つかメリットがあると思うのですが、レーザ装置というも のをまた新たに購入するという格好になるわけですよね。その点についてはどうですか。 ○事務局 レーザ装置につきましては、別途松下産業機器株式会社から医療用具の製造 申請が出ているところでございます。こちらの方につきましては、医療用具の担当の方 で審査をしているところでございます。実際にポルフィマーナトリウムの方で使ってい るレーザに比べて、今回小型化をした辺りがメリットというふうに説明を受けておりま す。 ○池田部会長 そのほか先生方…、守殿委員どうぞ。 ○守殿委員 貫和先生にお伺いしたいのですけれども、この治療法は肺癌の何割ぐらい カバーするといいますか、レーザの到達範囲内だとは思うのですが、その辺はどれくら いのものなのでしょうか。 ○貫和専門委員 これは先に承認されているフォトフリンに関してもほぼ同じでありま して、実際にレーザを照射して有効な深さが大体5mm前後となっております。そうしま すと、早期癌の径が大体1cmぐらいまでで、しかもそれが可視範囲にあるという必要が ございます。その照射に関して、もちろん今後また側方からの照射といった技術的な開 発もなされるとは思いますが、現在のところは直接可視範囲で、なおかつサイズも大体 1cm前後ということが適応と説明されております。 ○池田部会長 そのほかいかがでしょうか。承認条件でいわゆるフォトダイナミックセ ラピーに習熟するという、講習を受けて十分な経験のある人ということですが、以前の ポルフィマーナトリウムの経験を踏まえると、こういう講習会で本当に習熟した人がき ちんと使うことについては、余り問題なく行われると考えてよろしいですか。貫和先生、 いかがでしょう。これは肺癌の専門医ということになるわけですよね。 ○貫和専門委員 この技術については、どちらかというと外科の先生方が取り組んでお られる施設が多くて、内科はどちらかというと進行癌が中心でして、自分としての経験 もございません。先ほどお話がございましたようにレーザ光線を照射することができる 施設が限られておりますので、そういう施設で技術の集積が行われています。ですから、 一般に広がってどうこうという問題は、必ずしも大きくはないのではないかと思います。 ○池田部会長 ありがとうございます。そのほかいかがでしょうか。 守殿委員、どうぞ。 ○守殿委員 この対象の疾患というのはいろいろ条件が付いているわけですけれども、 この添付文書などを見ますと、効能・効果でいろいろ条件が付いて最終的に「早期肺癌(病 期0期又はI期肺癌)」となっておりますが、「切除不可能」とか結構進行癌的なことを 想定させるような表現があって、最終的には早期肺癌とされています。私自身としては、 本音を言うとやはり手術をしたくないという方、その辺が一番メインになるのではない かという気もするのですが、それは少し隠された状態で、私自身こういう病気になると この治療法を選ぶかもしれませんし、手術症例あるいは薬物療法の治療成績というのは 決して100%ではないということも当然言えますので、この治療法も100%であることを 期待されるべきものでもないし、そうでないと許可されないものでもないと思うのです。 そういうことから言いますと、何か変な条件が付き過ぎているような気もしまして、こ れが市販されると別に手術的に難しくないような症例でも、むしろ患者さんにとっては 使ってほしいかもしれませんし、効かなくてもいいから一度やってほしいとかですね。 その辺のことがいろいろ専門協議で議論はなかったのでしょうか。 ○貫和専門委員 それに関しましては、余り突っ込んだ議論はなかったと記憶しており ますが、先生がおっしゃいますようなケースは当然今後増えてくるとは思います。ただ、 ここで一度承認しておきますと、当然次の臨床試験が組まれて、先生のお話のようなケ ースでどうであったかという成績が出て、それから文書に入れることになるのではない かと思われます。  もう一点再発に関しても、再発率が15%で少し高いのではないかということは審査セ ンターの方から出されております。これはフォトフリンに関しても同じようなことがご ざいますが、ごく最近研究会で聴いた報告では、こういう早期の病変はフィールド・キ ャンサライゼーションという前癌病態があって、どこから腫瘍が起こってもいいという 考えがございます。その前段階でフィールド・イモータライゼーションという部分があ って、そういう段階が次の発癌に結び付くと。したがって、実際にその効果がなかった、 あるいは再発した症例を十分に解析することによって、この方法で学問的な面から肺の 発癌の機序も追求できる技術かもしれないという視点もございます。 ○池田部会長 そのほかいかがでしょうか。確かに添付文書の効能・効果とか適応のと ころを見ると、これは本当に早期の癌で根治的なものを目指すという格好で意識的に使 うということになるわけですよね。そういう理解でよろしいですか。 ○貫和専門委員 もちろんフォトフリンに関してはある程度の長期成績は出ていると思 うので、そういう成績を見ますとかなり根治ということも十分あるのだと思います。 ○池田部会長 以前承認されたものに関しては、当然のことながら根治例というのはか なり報告はあるわけですね。堀内委員、どうぞ。 ○堀内部会長代理 添付文書のところでお尋ねしたいと思いますが、一つは先ほどから 議論になっている承認条件で、「可能な限り全投与症例を市販後調査の対象とし…」と いうように、「可能な限り」というのが入っていますが、これはどういう意味でしょう か。必要ないかと思います。全投与症例を市販後調査したとしても場合によってできな いことはあり得るわけなので、マイルドにしている意味が分からないのですが。 ○池田部会長 審査センターの方からお願いします。 ○事務局 今先生から御指摘のとおりでございまして、私どもとしては当然全症例を把 握するべく指導しているところでございますが、施設側も含めたいろいろな事情により 必ずしも完全に100%調査ができないということもございますので、条件としては「可 能な限り」という文言を付けております。しかしながら、本剤については実際にレーザ が納入された施設に限って使われるということもございますし、あるいは承認条件の2 にございますように、講習を受けたドクターがいらっしゃる医療機関ということですの で、実際にはほぼ100%の調査をするように指導しております。 ○堀内部会長代理 では必要ないのではないですか。 ○池田部会長 「可能な限り」と書くと、確かに堀内委員が言われたようにやらなくて もいいということもあるので、取り除いた方が適切かなという気が個人的にはしますが、 委員の先生方はいかがでしょう。先生もそう思われますか。それは特に問題ありません か。もし問題なければ、この「可能な限り」という表現は…、付けなくてはいけないの ですか。 ○審議官 多分大変なのだと思います。要するに99.9%、あと一例やらなければ駄目だ というのがあるらしいのですが、完全にやらなければならないケースとしては…。 ○事務局 ここの承認条件の文言でございますけれども、今御指摘いただいたように気 持ちとしては当然100%全部やってくださいということですが、不可抗力的にと言うと ちょっと語弊があるかもしれません。努力をしたけれども、1例2例漏れてしまったと いう場合も考えられますので、そういった場合あえて承認条件違反だと言われないため に、一応あらかじめこのような表現にしております。ただ、実際にこちらの意図する要 件としては、100%やってくださいという意味でございます。 ○池田部会長 そうすると、この言葉は入れておいた方がいいですか。口頭ですると…、 委員の先生方、それでよろしいですか。堀内委員、口頭でよろしいですか。口頭ではと にかく100%努力すべきであると言って、文言としてはそういうことを入れておくとい うことで…。 ○堀内部会長代理 もう一つよろしいですか。添付文書1ページの左下のところに、「レ ーザ光照射に際しての注意」がございますが、これは照射時間が「11分7秒間」という ように厳密に出ているのですが、これはどういう意味なのでしょうか。人によって照射 時間は違うのではないかという気がするのですが。 ○事務局 治験に際しましては、照射時間を一定にして照射しているところでございま す。実際には、照射できる腫瘍の大きさがほぼ1cm以下に定まっておりますので、この 一定時間で行っていただくということで、むしろレーザ側の出力を一定にして効果も一 定に保つということで規定しているところでございます。 ○堀内部会長代理 照射時間まで一定にしてしまうのですか。 ○池田部会長 7秒というのは記載することが大事なのですか。11分ではいけないので すか。 ○事務局 こちらの方の記載根拠は、恐らく既存的な検討なども含めてということには なるかと思いますが、器械の方の設定が一応オートで11分7秒照射が可能という形で設 定されるようになっています。 ○池田部会長 そういう設定ができているわけですね。委員の先生方、そのほか御意見 ございませんか。貫和先生から御説明があったように、この医薬品と半導体レーザの照 射装置を組み合わせたことによって、治療の選択肢が一つ広がるということで有用だと 思います。上原委員、どうぞ。 ○上原委員 既存のこの薬剤では、肺癌以外にも表在性食道癌あるいは胃癌というもの に適用がされていますが、今回のものを肺癌に限った理由は何でしょうか。 ○池田部会長 審査センターの方で説明をお願いします。 ○事務局 原理的には特に肺癌に限らず、本剤についても表在性の悪性腫瘍に使えると いうことがございます。アメリカの方で同じ薬剤で治験をしておりますが、これについ ては乳癌なども対象としたということがございます。国内に関しましては、第I相試験 の段階で表在性の肺癌がほとんど集まったということで、結果的に表在性の肺癌を中心 に開発をするという方針で進めてきたと聞いております。 ○池田部会長 吉田委員、どうぞ。 ○吉田委員 消化管の早期癌に関しては、内視鏡治療、切除が標準的になってきてしま ったので、基本的にはレーザの対象にならないと。それで肺癌だけが残っていて、こう いうことになっているのだと思います。ただ、原理的には有効性はあるのでしょうが、 高い器械を買って治療をするというニードがなくなってしまったということが大きな原 因だと思います。 ○池田部会長 上原委員、よろしいですか。そのほか委員の先生方から御質問ございま すか。よろしいでしょうか。もし特に先生方から御質問、あるいは御異議がございませ んでしたら、このレザフィリンに関しては承認を可として、薬事分科会報告とさせてい ただきたいと思います。ありがとうございました。貫和先生、お忙しいところ本当にど うもありがとうございました。  それでは続きまして、議題2について審査センターから御説明をお願いしたいと思い ます。 ― 貫和専門委員退席 ― ○事務局 それでは議題2、資料2、医薬品ホスフルコナゾールファイザー、プロジフ 静注液の輸入承認の可否等について審査センターより御説明いたします。  ホスフルコナゾールは、アゾール系抗真菌薬であるフルコナゾールをリン酸エステル 化したプロドラッグであり、血中では速やかにフルコナゾールに変換されます。本剤で は、プロドラッグ化によって水溶性が高くなるため、特に高用量投与時の液量負荷を軽 減できること、それに伴ってボーラス投与ができることが特徴とされております。  本申請の専門委員としましては、資料7にございますように上原委員、折笠委員を始 め、伊藤委員、奥村委員、小島委員、小西委員、戸塚委員、林委員、藤田委員、渡辺委 員を指名しております。  臨床試験の成績としましては、国内外の第I相臨床試験10試験と、国内第III相臨床試 験1試験の成績が評価資料として提出されました。国内第III相試験は、カンジダ又はク リプトコッカスによる深在性真菌症の患者を対象として、非盲検非対照試験で行われ、 維持用量200mg又は400mgの投与による総合効果における判定不能を含む有効率は64.6 %でした。  安全性については、臨床試験の結果からはフルコナゾールと大きく異なることはない と思われます。  申請時の効能・効果は、投与液量負荷が軽減できるという本剤の特徴を示すために、 「重症又は難治性真菌感染症」と設定されておりましたが、真菌症はそれ自体重篤又は 難治性であると考えられること、本薬の活性本体はフルコナゾールであり、有効性・安 全性の面からは既存のフルコナゾール製剤と差別化を図る必要性はないと思われるこ と、投与液量負荷の軽減が有用とされるのは重症患者に限らないこと、また本治験で検 証された重症患者における有効性の結果から、中等症以下の症例に対しても効果がある と考えられることより、既承認のフルコナゾール製剤と異なる位置付けの適応とするこ とは適当ではないと審査センターは判断いたしました。その結果、「効能・効果」から は「重症又は難治性」の記載は削除され、「用法・用量」の設定をフルコナゾール製剤 のものと同様の設定とした上で、本剤の臨床試験で検討された負荷投与が設定されてお ります。  また、諮問書にもございますとおり、申請された製剤の販売名は「プロジフ静注液8 %」とされておりましたが、100mg、200mg、400mgの3製剤が販売される予定であるこ とから、医療過誤の防止の観点から各製剤が特定できるよう、それぞれ「プロジフ静注 液100」、「プロジフ静注液200」、「プロジフ注射液400」と販売名を変更することと しております。  以上のような審査の結果、審査センターは活性本体としては既存のフルコナゾール製 剤と同じであること、また液量負荷が軽減できるという利点があることから、本薬を承 認して差し支えないと判断いたしました。本申請は、新有効成分含有医薬品であること から、再審査期間は6年とすることが適当であると判断しております。なお、原体、製 剤共に毒薬・劇薬のいずれにも該当せず、また本剤は生物由来製品又は特定生物由来製 品に該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。よろし く御審議のほどお願いいたします。 ○池田部会長 ありがとうございました。フルコナゾールのプロドラッグとして、液量 が減少できるというところに臨床的な有用性を見いだしたということでございますが、 先生方からの御意見をお願いしたいと思います。専門協議には上原委員、折笠委員にも 加わっていただいていますが、上原委員、何か御追加ございますか。 ○上原委員 今の御説明で十分かと思いますけれども、プロドラッグにすることで有効 性と安全性が向上したわけでもないのに、それを承認条件とするのはどうかという疑問 を持つ意見も出されましたが、それよりも液量負荷を減らすという臨床上の有用性が併 用の面で勝るということですね。併用する上で非常にメリットが大きいという、そうい う臨床上の理由から有用性があるのではないかということで、承認していいのではない かという結論になったと思います。  それからもう一つ御説明があった、メーカーは最初重篤あるいは難治性の真菌症に限 定して適応を考えて治験を組んだ経緯がありますが、先ほど御説明があったような理由 あるいは基準を二つ持つのは臨床現場で混乱をもたらすこともあるかと思いますので、 審査センターの判断としてそれを削除すればよろしいのではないかということになった と思います。  それからメーカーの認識として、外国ほどフルコナゾールに対する耐性化が進んでい ないという記述がありましたが、実はそうではなくて、数はまだ少ないですけれども、 フルコナゾールに低感受性のノンアルビカンスのカンジダ属というのが臨床現場では増 えているという実態が日本でも進んでいると。クルジイとかグラブラータですが、そう いう状況があるということを指摘いたしまして、それについては市販後感受性を調査す るように御指導いただくという内容が書かれてありますので、そういうことでお願いし たいと思います。 ○池田部会長 ありがとうございました。折笠委員、特に何か御追加ございますか。 ○折笠委員 今の御説明で十分かと思いますが、一点海外のデータがあって、それとの 比較をしようとするときに、その有効率というものが海外の有効性の基準と日本の基準 でちょっと違っているようなところがあったのです。有効率に関して、フルコナゾール と同等又はちょっと低いかなというイメージを持ちましたが、海外と日本のデータを比 較しても有効性は十分あるだろうということで、このプロドラッグはフルコナゾールと 同じぐらいの効果があると、さらにその製剤のメリットがあるということだと思います。 ○池田部会長 ありがとうございました。委員の先生方、御質問ございませんか。神谷 委員、お願いいたします。 ○神谷委員 このフルコナゾールという薬は、小児ですとセカンダリーで immunocompromised hostに対しては実際にはかなり必要な薬で、今回こういう新しいプ ロドラッグという形で出されて、しかも先ほどからお話しになっているように液量負荷 も少ないということになりますと、子供には非常に使いやすい薬ということになります。  一方、36ページのところを見ますと、「本薬におけるアスペルギルス症及び小児に対 する適応追加についても、現段階では予定していない」とか、その後には「臨床現場の 要望に応じて小児等についても開発を行うことが望ましいと考える」となっていますが、 この言い方ですとメーカーが新しくそのことをやるのではなくて…。また、これもオフ ラベルのドラッグのままになってしまうのではないか非常に心配されるのですが、これ はもう少しセンターから製薬会社に対して、実際この薬は小児にも適当な薬なので、そ ういう試験をやりなさいと強く指示することはできないのでしょうか。 ○事務局 申請者とこの話をしている中で、もちろんこちらとしては小児の開発をして ほしいと伝えているのですが、そもそも今のフルコナゾール製剤、ジフルカンの方で小 児用量の設定がきちんとできていないということもありまして、こちらの方を先にとい うのはなかなか難しいという話もありましたので、当然両方合わせて今後できるだけ検 討するようにと伝えてはおります。今神谷先生から頂いた御意見も踏まえて、再度申請 者の方にその旨伝えたいと思います。 ○池田部会長 やはり小児の方の問題がいつも取り残されているような気がするので、 是非そういう指導をメーカーの方にもしていただきたいと思います。先生方、そのほか ございますか。堀内委員、どうぞ。 ○堀内部会長代理 フルコナゾールと違う投与の仕方は、2日間負荷投与、倍量投与を するということなのですが、この意味はどういうことでしょうか。逆に言うと、血中濃 度が一定に達するまで負荷投与をやらないと少しばらつくということが記載されている と思うのですが、負荷投与をした場合に血中濃度が高くなりますから、違う薬物との相 互作用等の問題も更に起こってくるのではないかと思います。CYP2C9、2C19と3A4の抑 制をするわけですから、これらとの関係はどうなのかということと、逆に言うと、急速 に代謝されてほとんどフルコナゾールに変わるわけですから、フルコナゾールの投与方 法で問題がないならば負荷投与は必要ないだろうと思いますが、その辺はいかがでしょ うか。 ○池田部会長 審査センターからどうぞ。 ○事務局 まず血中濃度のお話ですけれども、当然負荷投与で最初から立ち上がりが高 くなるということはありますが、定常状態としてはもちろん同じくらいになりますので、 投与初期段階の注意は負荷投与の場合は必要になると思われます。ただ、現行のフルコ ナゾール製剤におきましても、特に重症の患者さんに高用量を用いる場合には現行でも 負荷投与が行われていることもございますし、海外で負荷投与が既に設定されておりま して、それが国内でも用いられているという話も伺っておりますので、特に問題はない かと考えております。 ○堀内部会長代理 逆に言うと、フルコナゾールの場合も負荷投与した方がいいという ことですか。 ○事務局 フルコナゾールの方で治療薬マニュアル等にも記載があるように、現在投与 初日だけですけれども、重症なものに関しては負荷投与は既に行われている状況でござ います。  ○堀内部会長代理 それともう一つは、最大投与量がフルコナゾールの場合は800でこ れは1,000に上がっておりますが、これはどういう意味があるのでしょうか。 ○事務局 維持投与量としての最高用量は、今回のホスフルコナゾールでも400と同じ でございます。負荷投与を今回こちらの方に設定した関係上、最高投与量の場合の負荷 投与量が800まで上がることにはなりますが、血中濃度的には維持用量の400と変わり ませんので、問題ないものと思っております。 ○堀内部会長代理 800mgというのは初期投与だけですか。 ○事務局 フルコナゾールとして800というのは、初日、2日目の負荷投与のときだけ でございます。 ○池田部会長 そのほかいかがでしょうか。後藤委員、何かございますか。 ○後藤委員 直接この薬剤とは関係ないことかもしれませんが、既承認のフルコナゾー ルの方は現時点でアスペルギルスに対する適応は承認されていますか。そうすると、こ の薬剤が発売されると全く同じ成分の薬剤が、一方はアスペルギルス有効でもう一方は アスペルギルス無効だということを我々が認めた状況が生まれます。ですから、その辺 の整合性を考えておく必要があると思うのですが。 ○池田部会長 審査センター、いかがですか。 ○事務局 フルコナゾールの承認時点ではアスペルギルスが付いていたのですが、現状 としてフルコナゾールよりも有効性が高いと言われているアムホテリシンBや、イトラ コナゾールが使われているということもございまして、今回は申請当初からアスペルギ ルスは除いた形で申請がされております。後藤委員のお話のとおり、当然整合性の話は 出てくるとは思うのですが、整合性を考えた上でこちらにもアスペルギルスを付けてお いた方がよいということであれば、その旨検討させていただきたいとは思います。 ○池田部会長 後藤委員、いかがですか。要するに、むしろ除いた方が適切ですよね。 ○後藤委員 除くべきだと思うのです。 ○池田部会長 こちらの考え方に合わせるということは可能ですか。そういう御意見の 方がむしろ専門家としては正しいと思うのですが、事務局の方から何かございますか。 ○事務局 既存のフルコナゾール製剤の方から、アスペルギルス属について削除しては どうかという御意見であったかと思いますが、このものについて企業として効果がない ということであれば、自主的に一変して削除するということは可能かと思います。実際 この会社に聞いたところ、効く部分もあるのだという話も…、重症になってくるとなか なか手に負えないということを言っておりまして、御専門の先生方からその点の御意見 を頂ければと思うのですが、いかがでしょうか。 ○池田部会長 後藤委員、どうでしょうか。実際にはファーストチョイスにはならない ですね。プロントには使わないですね。 ○後藤委員 承認の過程のことはつまびらかではありませんが、恐らく承認の過程で何 らかの治験が行われて、その中で有効であった症例があったことは多分間違いないと思 うのです。ただ、現状ではアスペルギルスの患者にフルコナゾールを使うかというと、 まずあり得ないし、もしそれで患者さんが亡くなった場合には医療訴訟になっても、必 ずしも有利な状況ではないのが医療の現状だと思います。 ○池田部会長 これは実際に承認されると、ほとんど切り替わるということになります か。 ○事務局 現在のフルコナゾールの添付文書を見ますと、「真菌学的効果」というとこ ろでアスペルギルス属で52.9%と、症例数が少なくて17例中9例ということでありま すが、一応効果が出ていると。それから「薬効・薬理」のところを見ますと、一応アス ペルギルス属の範囲に入っているということではあるのですが、この点については添付 文書で情報提供するなど…。 ○審議官 会社に調査をさせて、場合によっては再評価というシステムもあるのだから、 そちらの方で対応できるか検討してみたらどうですか。 ○事務局 それでは当部会の御意見も踏まえまして、取りあえず効能・効果に関する現 状を調査した上で適切に対応したいと思います。 ○池田部会長 アスペルギルスについて、この時点で評価をもう一回きちんとするよう に指導していただけますか。後藤委員、それでよろしいですか。堀内委員、どうぞ。 ○堀内部会長代理 基本的なところですが、フェーズIIIの対象者として95人に投与を開 始して、そのうち実際に評価できたのは48症例ですね。症例数としては極めて少ないと 思うのですが。これは日本で初めて承認しようとしている薬ですが、臨床試験の対象患 者数は十分だとお考えでしょうか。 ○池田部会長 審査センターの方から何かございますか。  ○事務局 まず試験そのものですけれども、当初から有効性評価対象として50例以上を 目標にした試験が実施されておりますので、試験結果としてはこれくらいでしようがな いだろうということがございます。対象の疾患の患者さんが真菌症ということで、なか なか組入れが難しいということもありまして、こういう試験の設定になったものと思わ れます。  それから同じ抗真菌症として昨年に承認されたミカファンギンナトリウムでも、国内 で集まった症例は200〜300程度であったと思います。ホスフルコナゾールの方は、有効 成分としてはフルコナゾールと同じですので、基本的にはこれくらいで問題ないかとは 思っております。 ○池田部会長 堀内委員、いかがですか。 ○堀内部会長代理 要するに治験対象数が数十例あればいいということになりますか。 今後の問題のときもそうなりますか。私はかなり少ないのではないかと思いますが。副 作用等の評価についても数十例で起こるかどうか疑問です。それから特にこのもの自体 は相互作用が一番大きく問題にされている薬ですよね。それとの関連で投与量も変わっ てきているわけですが、数十例でそれが評価できるとは思わないのですがいかがですか。 もしそうだとすれば市販後のいろいろな状況下で使われると遺伝子多型も問題になって くると思います。できるだけフォローできるような体制にしておくことが必要かと思い ますが。 ○事務局 承認時点ということでは、プロドラッグなので既に集計件数がかなりあるの で問題ないとは思っておりますが、もちろんその市販後調査については十分な検討を行 うというふうには考えております。「審査報告書」の40ページに市販後調査について簡 単にまとめた部分がございますが、最初に生体内でプロドラッグから有効活性成分にな るところまでの過程も若干異なりますので、安全性についてはもちろんきちんと全般的 に見てもらうことも考えております。また投与期間の問題、高齢者や禁忌の障害患者の 問題、堀内委員から御指摘があった肝臓での代謝の多型等の話も踏まえ、安全性につい てはきちんと見ていただくようにとは考えております。 ○堀内部会長代理 プロドラッグには違いないのですが、投与量は変わっているわけな ので、本来きちんと評価しておくべきではないかと思います。  それから具体的にどうやって市販後でやるかということを審査段階で是非きちんとや っておいていただきたい。前にも問題になりましたが、具体的なやり方を出していただ いて、それも含めて審査をするというのが今後の方向ではないかと思います。 ○事務局 投与量につきましては、今回開発の当初として従来のフルコナゾール製剤を 高投与量にしたときの液量が多くなってしまうということで、そこをターゲットに臨床 試験が行われております。ただ、その用量というのは、既存のフルコナゾール製剤の範 囲内でございます。結果的に承認用量としましたのは、フルコナゾールと同じ投与量範 囲として設定しておりまして、違う部分は負荷投与量が設定されているということであ りますので、用量については既存のものと変わったという認識ではございません。 ○池田部会長 よろしいですか。そのほか…、守殿委員どうぞ。 ○守殿委員 この静注薬は、欧米では□□□□□□□□□□□で開発が中止されている ということなのですが、単にそれだけの理由で海外では開発が中止されたのか、その点 をちょっとお聞きしたいと思うのですが。 ○池田部会長 海外で開発が進んでいない理由ということですけれども…。 ○事務局 真相については、こちらでもなかなか把握しかねる部分があるのですが、例 えば安全性について特に何か問題があったかということをこちらも一応懸念はしまし て、海外の成績等も、特に安全性の部分については詳しく見てみたのですけれども、特 にそれが理由で止まったものではないだろうとは考えております。 ○池田部会長 よろしいでしょうか。液量負荷という、臨床的な有用性に対する考え方 の違いかなという気もしないではないのですが、よろしいでしょうか。それではこのプ ロドラッグについて、先ほど一番話題になったアスペルギルスに対する適応という点に ついて、事務局あるいはセンターの方から企業の方に指示をお願いしたいと思います。 先生方、もしこれ以上御議論がないようでしたら、この医薬品については承認を可とさ せていただいて、薬事分科会報告ということでよろしいでしょうか。ありがとうござい ました。それではこれは承認を可とさせていただきたいと思います。  続きまして審査センターからの報告事項ですけれども、よろしくお願いいたします。 ○事務局 報告事項についてはまとめて御報告いたします。それではまず報告事項の議 題1、医薬品注射用エンドキサン及びウロミテキサン注について御報告いたします。資 料3を御覧ください。注射用エンドキサンはシクロホスファミドを有効成分とする腫瘍 用薬、ウロミテキサン注はメスナを有効成分とするオキサザホスフォリン系抗腫瘍剤の 泌尿器系障害を抑制する薬剤で、いずれも塩野義製薬株式会社から承認事項の一部変更 承認申請がされているものです。今般、注射用エンドキサンについては、資料の上から 2枚目の「6 効能・効果」の「2.下記疾患における造血幹細胞移植の前治療」として、 急性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、重症再生不良性貧血、悪性リンパ 腫、遺伝性疾患の効能・効果の追加ということ。ウロミテキサン注につきましては、4 枚目の「6 効能・効果」でシクロホスファミド(造血幹細胞移植の前治療)投与に伴う泌 尿器系障害(出血性膀胱炎、排尿障害等)の発現抑制の効能・効果追加の一部変更申請が されたものです。審査センターにおける審査の結果、両剤共承認して差し支えないと判 断いたしました。  続きまして報告事項の議題2、医薬品リツキサン注10mg/mLについて御報告いたしま す。資料4を御覧ください。本剤は全薬工業株式会社から承認事項の一部変更承認申請 がありました、マウス-ヒトキメラ型抗CD20モノクローナル抗体であるリツキシマブ (遺伝子組換え)を有効成分とする腫瘍用薬でございます。平成13年6月20日に効能・ 効果を「CD20陽性の下記疾患 低悪性度又はろ胞性B細胞性非ホジキンリンパ腫、マ ントル細胞リンパ腫」、用法・用量については通常成人にはリツキシマブとして1回量 375mg/m2を1週間間隔で4回点滴静注とすることで承認されております。資料1枚目の 「5 用法・用量」を見ていただきますと、「CD20陽性のB細胞性非ホジキンリンパ 腫」、用法・用量を「通常成人には、リツキシマブ(遺伝子組換え)として1回量375mg /m2を1週間間隔で点滴静注する。最大投与回数は8回とする」に変更する一部変更承 認申請がされたものです。これにつきましても、審査センターにおける審査の結果、本 剤を承認して差し支えないと判断いたしました。以上でございます。 ○池田部会長 ありがとうございました。医薬品エンドキサンとウロミテキサンの注射 ですが、これの一部変更ということと、リツキサンの注射の一部変更と二つ御報告いた だきましたが、御質問ございますか。堀内委員、どうぞ。 ○堀内部会長代理 これはメスナを併用してかなり有効に作用しているわけですが、添 付文書には「メスナを併用することが望ましい」という表現です。ところが、メスナを 使用することによって出血性膀胱炎とか、排尿障害というのがかなり有意に抑えられて いるように思いますので、これはもう少し併用するのを原則にする表現にしたらいかが でしょうか。 ○事務局 こちらにつきましては、御指摘にありましたようにもう少しきちんと併用が されるような形で、添付文書の記載ぶりを変更させていただきたいと思います。 ○堀内部会長代理 それからもう一つ、添付文書では「出血性膀胱炎、排尿障害(頻度不 明)」となっているのですけれども、どこかに30%くらいで頻度がかなり高いという記 載があると思いますが、どこに書いてあったか分からなくなってしまいましたが、かな り頻度が高く出る可能性があるわけなので、ここも「頻度不明」という表現ではなくて、 もう少し具体的な記述ができればと思いますが。 ○事務局 こちらにつきましては、通常の抗悪性腫瘍剤としての使い方でも出血性膀胱 炎等がございますので、その辺を合わせた記載ぶりとなっておりますが、あと造血幹細 胞移植の前治療に用いられる場合と整備をして記載したいと思います。 ○池田部会長 そうですね。この用量にかなり依存しますので、当然のことながら出血 性膀胱炎の頻度が…、できたらその辺の概略が分かるような記載に改めた方がいいかも しれません。そのほかいかがですか。岡田委員、どうぞ。 ○岡田委員 リツキサンの方なのですけれども、一応反復投与でヒト抗キメラ抗体が生 じる危険性があるということは書いてあるのですが、確かに抗キメラ抗体ができること はあると思うのです。そのほかにこれはCHO由来で、しかもmgオーダーで投与されま すので、CHOに対するアレルギー反応が起こる可能性もあります。このアッセイを見 ますと抗体、リツキサンそのものに対する反応を見ているだけですので、やはりそのほ かにCHOに対する反応も検討しておいた方がいいと思います。というのは、どうして もこれだけ量が多いと、しかも恐らくこれは培養上清から精製してきますので、CHO の成分が混入しているおそれがかなりあると思いますので、その点をちょっと注意して いただきたいと思います。   ○池田部会長 ありがとうございました。その点、審査センターの方から何か追加ござ いますか。 ○事務局 既に承認されて使用されている中で、特にCHO混入に関する有害事象とい うのはなかったように記憶しておりますが、その点を確認するとともに、申請者の方に そういった部分についても調査するように指示してまいりたいと思います。 ○池田部会長 そうですね。回数が増えてくるということは、それだけ増えますので…。 そのほかこの報告事項について何か御意見ございますか。どうぞ。 ○堀内部会長代理 一つよろしいですか。これの前に出された添付文書の「承認条件」 に「使用成績調査について、提出された市販後調査に関する計画の概要を踏まえ、速や かに調査成績を取りまとめて提出すること」となっております。余り意味が明瞭ではあ りませんが、これを踏まえて最大投与量が8回ということになるのだと思いますが、中 間結果等は何か出ているのでしょうか。 ○池田部会長 8回にした理由というか…。 ○事務局 既承認の承認条件につきましては、使用成績調査が行われておりますので、 安全性定期報告ということで私どもの方に定期的に報告は…、その期間までに集計され たものは提出されているところでございます。結果の確認をしているところでございま すが、特段大きな問題はないものと考えております。 ○池田部会長 そのほかいかがですか。何か御質問ございますか。よろしいでしょうか。 それではこのエンドキサン、ウロミテキサン、リツキサンの報告事項については、先生 方に御了解いただいたということで、次に進めたいと思います。  その他の事項について事務局から説明していただけますか。 ○事務局 審査センターより御説明させていただきます。資料5のリレンザ、一般名ザ ナミビル水和物でございます。こちらはインフルエンザウイルス感染症を効能・効果と して、平成11年12月に承認されたものでございます。こちらは承認時の申請資料の中 で、国内の第III相試験でもプラセボ等で有意差が認められなかったこと、それからブリ ッジングとして申請されていたのですが、国内と海外で体内動態のパラメータが違うと いうことがあったことから、承認条件として有効性、安全性を検証するための市販後調 査を3年間実施した後、3か月以内にその結果を提出することなどの承認条件が付され たものでございます。今般、その治験結果が提出されました。  まず薬物動態試験については日本とイギリスで実施されまして、その結果薬物動態パ ラメータとしては特に差が見られなかったという結果が新たに提出されております。そ れから国内での有効性を検証する試験としまして、高齢者を対象としたプラセボとの二 重盲検比較試験が計画されましたが、1年目の投薬症例が8例、それから2年目が47例 ということで、有効性が十分に評価できる症例数は集まりませんでした。その結果、有 効性については検証できなかったということで、有効性を検証するため国内での市販後 臨床試験を含んだ市販後調査をこれから実施することを新たに承認条件として付けるこ とが適当であると判断しております。以上でございます。 ○池田部会長 ありがとうございました。御質問がございましたらお願いしたいと思う のですが…、神谷委員、よろしくお願いします。 ○神谷委員 高齢者の症例が集まらなかった理由ですけれども、ここにもいろいろ書い てはあるのですが、これはメーカーが努力をしたにもかかわらず、例えば今のような状 況になってインフルエンザの流行で、しかも薬がいろいろ出てきたという状態で患者さ んにお願いをしても、プラセボを使う治験そのものがかなり難しいという判断でよろし いのでしょうか。もしそうだとすると、6ページに市販後調査の成績があるのですが、 ここで見れば4,700例ほどあって成績としてはそれほど悪くないのです。これで見ると 有意差があるわけですが、プラセボとの有意差が出ないということであれば、今のお話 のようにあとは市販後調査できちんとそこのところの比較を見ていくと。これはプラセ ボを使うということではなくて、飲まなかった人との比較でもデータが出ると思うので すが、そういうデータの調査をきちんとやればかなりはっきりするのではないかと私は 思いました。ですから、今のようなお考えでいいのではないかと思うのです。  もう一点お聞きしたいのですが、同じような作用効果の薬で経口で飲むタミフルとい う薬がありますが、そちらの方にもこれと同じような成人における試験は済んで、きち んと有効性があるというデータが出ているのでしょうか。前に報告があったかも分かり ませんが、すっかり忘れてしまったのでちょっと教えていただけたら有り難いのですが。 ○事務局 タミフルの方につきましては、承認時の申請資料として成人におけるプラセ ボとのダブルブラインドの試験がございまして、こちらで主要評価項目として有意差が 見られたということで、一般的な有効性についての承認条件は特に付されていないとい う状況でございます。 ○池田部会長 神谷委員、よろしいですか。そのほか何か御質問ございますか。折笠委 員、どうぞ。 ○折笠委員 同じようなことなのですけれども、今現在これと同じ薬効のインフルエン ザの薬で開発中のものはありますか。 ○事務局 現在こちらで把握している情報では、少なくとも国内については開発はされ ていないと聞いております。 ○折笠委員 ちょっと分からないのですが、プラセボとの比較が妥当かどうかというこ とで、余りにもこういうものがスタンダードになってきたとすると、プラセボでやると いうのは倫理的にもちょっと問題があるかもしれないので、何かの方策を考えないとま ずいのではないかなと私もちょっと思いました。 ○池田部会長 そうですね。確かにこのインフルエンザ、ウイルス感染における治療と いうのが非常に一般化してきたことを考えると、やはり今後新しい薬の開発ということ になったときに、この辺の状況を企業とよく相談して新しい臨床試験のやり方も考えな ければいけないのではないかと思いますので、それは事務局の方にもよろしくお願いし たいと思います。機構の方にも、またよろしくお願いしたいと思います。折笠委員、そ れでよろしいですか。御指摘ありがとうございました。そのほか委員の先生方から御質 問ございますか。もしなければ、本日用意した議題は以上ですので、事務局から何か報 告がございましたらよろしくお願いします。 ○事務局 事務局から一点御報告させていただきます。審議等とは関係ございませんが、 日本とアメリカ、それからヨーロッパの三極で今医薬品関係の規制調和の会議をやって おります。その会議が今年の11月12日〜15日まで大阪で開かれることになりましたの で、その案内を御参考として委員の先生方にお配りしておきますので、また何かござい ましたら審査管理課の方に御連絡いただければ御案内等させていただきたいと思いま す。  それから次回の医薬品第二部会でございますが、10月3日10時30分ということにな っております。よろしくお願いいたします。 ○池田部会長 ありがとうございます。次回の日程ですけれども、10月3日の10時30 分からということでございますので、委員の先生方にはどうぞ御予定をお願いいたした いと思います。それでは本日の議題はすべて終わりましたので、これで終了させていた だきます。先生方、お忙しいところどうもありがとうございました。 ( 了 )   連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 佐藤(内線2734) - 2 -