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II 社会生活の実態

 本章においては、「社会生活に関する調査」をもとに、生計簿、家計簿の社会生活の実態を明らかにするとともに、生活の中で行われる様々な行動にどのような関係があるかの分析を行った。

 1.社会生活に関する調査の集計結果

 以下では、「社会生活に関する調査」の集計結果のうち、特徴的なものについて紹介する。

 1-1.基礎的な生活における実態把握

 「社会生活に関する調査」では、社会生活の実態を把握する観点から、生活全般に関わる幅広い質問を行った。ここでは、そのうち、衣食住をはじめとする基礎的な生活に関わると思われる質問項目についての主な集計結果を述べる。

  (1)毎日の食生活について
(1)規則正しく食事をとっている
 自宅での食事に関して「規則正しく食事をとっている」かどうかについては、世帯類型に関わらず概ね8割から9割の世帯が「はい」と答えている。
 ただし、家計簿のその他世帯で65.5%と少し低めになっている。

図表 ⅱ-1.規則正しく食事をとっている
    (世帯類型別)
図

(2)栄養のバランスをとって食事している
 「栄養のバランスをとって食事している」かどうかについては、生計簿では約9割が「はい」と答えたのに対し、家計簿では8割程度にとどまっている。
 なお、世帯類型により大きな違いはない。

図表 ⅱ-2.栄養のバランスをとって食事している
    (世帯類型別)
図

  (2)洋服の購入について
洋服の購入頻度
 生計簿は「年1、2回」が41.5%で最も多く、「季節の変わり目」が39.2%で続く。家計簿は「年1、2回」39.7%で最も多く、「季節の変わり目」28.2%、「ほとんどなし」27.1%と続く。生計簿、家計簿ともに母子世帯の購入頻度が相対的に高い。逆に高齢者世帯は、生計簿・家計簿ともに他の世帯に比べて頻度が低くなっている。

図表 ⅱ-3.洋服の購入頻度
    (世帯類型別)
図

  (3)住居の状況について
(1)住居の種類
 生計簿では、持ち家(一戸建て)が34.5%で最も多く、次いで公団・公社・公営の賃貸住宅(集合住宅)が26.6%となっている。家計簿では、民間賃貸住宅(集合住宅)が最も多く45.9%となっており、次いで公団・公社・公営の賃貸住宅(集合住宅)が30.1%となっている。
 世帯類型別には、生計簿の高齢者世帯とその他世帯では持ち家(一戸建て)が最も多くなっており、それぞれ50.2%、33.0%となっている。母子世帯、障害・傷病世帯では公団・公社・公営の賃貸住宅(集合住宅)がそれぞれ35.6%、43.8%で最も多くなっている。家計簿では、障害世帯以外の世帯で民間賃貸住宅(集合住宅)が最も多い。

図表ⅱ-4.住居の種類
    (世帯類型別)
図

(2)洗面所が専用である
「洗面所が専用である」かどうかについては、生計簿で85.3%が「はい」と答えたのに対し、家計簿では55.8%となっており、格差がある。これを世帯類型別にみても生計簿と家計簿における格差は同様にみられる。

図表 ⅱ-5.洗面所が専用である
    (世帯類型別)
図

(3)となりの物音が聞こえる
 「となりの物音が聞こえる」かどうかについては、生計簿で44.6%が「はい」と答えたのに対し、家計簿では63.3%となっている。ただし、世帯類型別にみると、生計簿の母子世帯が75.3%で最も高くなっている。

図表 ⅱ-6.となりの物音が聞こえる
    (世帯類型別)
図

(4)風通しが悪く、湿気が多い
 「風通しが悪く、湿気が多い」かどうかについては、生計簿で16.3%が「はい」と答えたのに対し、家計簿では34.0%となっている。世帯類型別にみると、生計簿では母子世帯で31.5%が「はい」と答えており、他の世帯類型よりも多い。

図表 ⅱ-7.風通しが悪く、湿気が多い
    (世帯類型別)
図

  (4)その他基礎的な生活の状況について
(1)家族全員に十分なふとんの有無
 家族全員に十分なふとんがあるかどうかについては、生計簿では94.5%が、家計簿では85.2%が「ある」と答えた。世帯類型別には母子世帯に「ない」と答えた世帯が比較的多く、生計簿では11.0%が、家計簿では19.3%となっている。

図表 ⅱ-8.家族全員に十分なふとんの有無
    (世帯類型別)
図

(2)耐久消費財の所有状況について
 耐久消費財の所有状況についてみると、冷蔵庫、掃除機、洗濯機、食器戸棚、電話機、カラーテレビは9割またはそれ以上の保有率になっており、生計簿と家計簿に大きな違いはない。一方、電子レンジ、エアコン、ラジカセなどは生計簿と家計簿に20ポイント以上の差がついており、特にダイニングセット、携帯電話、ビデオ、ステレオ、パソコンは30ポイント以上の差がついている。

図表 ⅱ-9.耐久消費財の保有状況
  湯沸器 電子レンジ 冷蔵庫 掃除機 洗濯機
生計簿 家計簿 生計簿 家計簿 生計簿 家計簿 生計簿 家計簿 生計簿 家計簿
合計 80.8% 65.0% 89.3% 69.2% 96.7% 98.1% 96.6% 91.0% 95.3% 89.7%
高齢者世帯 79.7% 63.6% 80.2% 59.7% 95.2% 98.5% 94.7% 88.8% 92.0% 85.4%
母子世帯 83.6% 71.4% 94.5% 87.4% 98.6% 98.3% 100.0% 95.0% 94.5% 97.5%
障害・傷病世帯 68.8% 68.8% 87.5% 87.5% 81.3%
障害世帯 71.1% 73.3% 100.0% 93.3% 88.9%
傷病世帯 61.5% 68.3% 96.2% 90.4% 87.5%
その他 81.2% 58.6% 92.8% 63.8% 97.3% 98.3% 97.1% 89.7% 97.1% 93.1%
  エアコン 電気コタツ ダイニングセット 食器戸棚 自動車
生計簿 家計簿 生計簿 家計簿 生計簿 家計簿 生計簿 家計簿 生計簿 家計簿
合計 75.8% 46.8% 64.1% 57.3% 61.2% 24.8% 93.0% 86.3% 53.7%
高齢者世帯 71.7% 50.0% 70.1% 62.1% 52.9% 23.3% 92.5% 85.0% 25.1%
母子世帯 56.2% 50.4% 60.3% 46.2% 45.2% 28.6% 89.0% 86.6% 30.1%
障害・傷病世帯 56.3% 62.5% 43.8% 81.3% 25.0%
障害世帯 46.7% 53.3% 28.9% 88.9%
傷病世帯 39.4% 64.4% 20.2% 86.5%
その他 81.0% 41.4% 62.4% 53.4% 67.4% 27.6% 94.2% 87.9% 69.2%
  電話機 携帯電話 カラーテレビ ビデオ ステレオ
生計簿 家計簿 生計簿 家計簿 生計簿 家計簿 生計簿 家計簿 生計簿 家計簿
合計 93.7% 88.9% 61.4% 20.3% 96.3% 96.4% 78.6% 43.8% 48.8% 11.7%
高齢者世帯 93.6% 90.8% 14.4% 5.3% 93.6% 95.6% 50.8% 23.8% 26.7% 3.4%
母子世帯 79.5% 88.2% 75.3% 46.2% 100.0% 98.3% 82.2% 80.7% 38.4% 26.1%
障害・傷病世帯 81.3% 37.5% 87.5% 62.5% 25.0%
障害世帯 91.1% 24.4% 97.8% 48.9% 17.8%
傷病世帯 89.4% 17.3% 96.2% 37.5% 9.6%
その他 96.3% 81.0% 78.3% 22.4% 97.1% 94.8% 89.3% 46.6% 59.7% 10.3%
  ラジカセ パソコン  
生計簿 家計簿 生計簿 家計簿
合計 75.7% 51.9% 40.7% 4.5%
高齢者世帯 65.2% 42.2% 13.9% 1.0%
母子世帯 83.6% 64.7% 24.7% 8.4%
障害・傷病世帯 62.5% 18.8%
障害世帯 55.6% 15.6%
傷病世帯 53.8% 4.8%
その他 78.9% 53.4% 54.1%
 ※家計簿には自動車の保有状況についての質問項目がない。


 1-2.選択的な生活における実態把握

 ここからは、先に述べた基礎的な生活以外の生活実態(「選択的な生活」という。)に関する主な質問項目についての結果を述べる。

  (1)生活全般にわたる選択的な生活の実態
(1)外食を楽しむ機会がありますか
 外食の機会について、生計簿では「よくある」「ときどきある」と答えた世帯の合計は72.0%、「ほとんどない」「まったくない」と答えた世帯の合計は27.1%である。一方、家計簿は「よくある」「ときどきある」と答えた世帯の合計は49.3%、「ほとんどない」「まったくない」と答えた世帯の合計は49.1%となっている。世帯類型別にみると、ほとんどの類型で生計簿の方が家計簿より外食の機会が多い傾向にあるが、母子世帯ではその差はほとんどない。

図表ⅱ-10.外食を楽しむ機会がありますか
    (世帯類型別)
図

(2)電話をかける頻度
 電話をかける頻度について、生計簿では「2日~3日に1回」が37.9%で最も多く、「毎日」32.0%、「1週間に1回」17.6%と続く。家計簿では「2日~3日に1回」が31.8%で最も多く、「1週間に1回」28.9%、「ほどんどかけない」22.9%の順になっている。世帯類型別にみると、生計簿ではその他世帯、家計簿では母子世帯が他の類型に比べて電話をかける頻度が多くなっている。

図表ⅱ-11.電話をかける頻度
    (世帯類型別)
図

(3)泊まりがけの旅行の頻度
 泊まりがけの旅行の頻度については、生計簿では「年4回以上」は9.1%、「年2~3回」が29.3%、「年1回」が26.8%、「ほとんど旅行しない」のは34.9%である。家計簿は「年4回以上」は1.9%、「年2~3回」が6.8%、「年1回」が12.4%、「ほとんど旅行しない」が78.6%であり、家計簿の方が旅行の頻度が低くなっている。世帯類型別にみると、生計簿では相対的に母子世帯の頻度が低いのに対し、家計簿では母子世帯の頻度が高くなっている。

図表ⅱ-12.泊まりがけの旅行の頻度
    (世帯類型別)
図

  (2)情報入手手段の状況
 情報入手手段の状況をみるために、「新聞の購入」、「インターネット利用」などについて聞いた。
(1)新聞の購入状況
 新聞の購入状況は、「2紙以上」と「1紙」をあわせると生計簿で82.3%、家計簿で65.8%である。世帯類型別にみると、生計簿の母子世帯は「2紙以上」と「1紙」の合計で56.1%となっており、他の世帯類型と比べて低くなっている。

図表ⅱ-13.新聞の購入状況
    (世帯類型別)
図

(2)インターネットの利用状況
 インターネット利用は生計簿では「いつも利用」「ときどき利用」を合わせた率は30.7%となっている。一方、家計簿は、「いつも利用」「ときどき利用」の合計が4.2%であり、パソコンの保有率(4.5%)と同様に利用率も低い。

図表ⅱ-14.インターネットの利用状況
    (世帯類型別)
図

  (3)日常の活動や周囲とのつきあいの状況
(1)ここ1年ほどの間の活動や行動、時間の過ごし方について
 生計簿、家計簿ともに比較的高い割合で回答を得たのは、「本・雑誌を読む」、「選挙の投票に行く」、「街でショッピングをしたり見て歩いたりする」などであった。「運動場やスポーツ施設などでスポーツをする」、「趣味やスポーツのサークルで活動をする」、「講演会や学習講座などにでかける」などに対する回答については、家計簿はいずれも1割以下で生計簿の比率と比べても大幅に下回っている。

図表ⅱ-15.この1年ほどの間の活動や行動、時間の過ごし方
  本・雑誌を読む 親戚や友人などに手紙を書く 家やその近くで散歩・体操・ジョギングなどをする 運動場やスポーツ施設などでスポーツをする ドライブ、キャンプ、海水浴、スキーなどに行く
生計簿 家計簿 生計簿 家計簿 生計簿 家計簿 生計簿 家計簿 生計簿 家計簿
合計 86.2% 70.7% 48.8% 27.6% 58.3% 52.4% 29.5% 9.6% 44.7% 9.4%
高齢者世帯 71.1% 61.7% 47.1% 29.6% 62.0% 66.5% 18.7% 6.8% 12.8% 2.4%
母子世帯 95.9% 88.2% 49.3% 36.1% 41.1% 31.9% 26.0% 20.2% 43.8% 26.1%
障害・傷病世帯 81.3% 37.5% 50.0% 6.3% 12.5%
障害世帯 68.9% 22.2% 53.3% 6.7% 8.9%
傷病世帯 65.4% 22.1% 52.9% 7.7% 4.8%
その他 90.7% 77.6% 49.8% 17.2% 59.7% 43.1% 34.9% 3.4% 58.3% 8.6%
  町内会や子ども会、老人会、婦人会などの活動をする ボランティアや社会奉仕の活動をする 選挙の投票に行く 趣味やスポーツのサークルで活動をする 街でショッピングをしたり見て歩いたりする
生計簿 家計簿 生計簿 家計簿 生計簿 家計簿 生計簿 家計簿 生計簿 家計簿
合計 36.2% 17.7% 22.1% 10.3% 79.3% 75.9% 34.2% 8.3% 78.0% 55.1%
高齢者世帯 33.7% 17.5% 26.2% 11.2% 88.2% 86.4% 39.6% 11.2% 65.8% 52.9%
母子世帯 38.4% 29.4% 16.4% 10.9% 54.8% 57.1% 11.0% 9.2% 74.0% 68.1%
障害・傷病世帯 18.8% 12.5% 75.0% 31.3% 50.0%
障害世帯 6.7% 2.2% 75.6% 6.7% 46.7%
傷病世帯 12.5% 12.5% 76.0% 4.8% 46.2%
その他 37.4% 12.1% 21.7% 8.6% 79.8% 77.6% 35.7% 3.4% 84.3% 58.6%
  映画や観劇、コンサートなどにでかける 講演会や学習講座などにでかける お墓参りや神社・お寺への参拝、教会への礼拝にでかける パチンコやゲームセンターにでかける 競馬、競艇などの投票券を購入する
生計簿 家計簿 生計簿 家計簿 生計簿 家計簿 生計簿 家計簿 生計簿 家計簿
合計 52.0% 17.1% 30.5% 9.2% 78.2% 62.6% 17.1% 4.3% 6.1% 0.2%
高齢者世帯 35.8% 11.7% 31.0% 11.7% 85.0% 66.5% 2.7% 1.5% 2.1%
母子世帯 67.1% 35.3% 24.7% 8.4% 64.4% 55.5% 11.0% 8.4% 1.4%
障害・傷病世帯 37.5% 25.0% 56.3% 6.3%
障害世帯 22.2% 4.4% 66.7% 6.7%
傷病世帯 6.7% 10.6% 59.6% 3.8% 1.0%
その他 56.4% 13.8% 31.4% 3.4% 78.3% 65.5% 24.0% 5.2% 8.5%
  カラオケにでかける レンタルショップでビデオやCDを借りる  
生計簿 家計簿 生計簿 家計簿
合計 30.7% 14.3% 47.5% 18.0%
高齢者世帯 10.2% 6.8% 5.9% 2.4%
母子世帯 43.8% 27.7% 61.6% 54.6%
障害・傷病世帯 31.3% 18.8%
障害世帯 8.9% 17.8%
傷病世帯 17.3% 11.5%
その他 36.6% 12.1% 62.4% 10.3%

(2)親しい人の存在(近所)
 近所に親しくつきあう人がいるかどうかについて「いる」と答えた世帯の割合は、生計簿74.0%、家計簿は54.5%となっている。世帯類型別にみると「いる」と答えた世帯の比率は生計簿、家計簿ともに高齢者世帯が相対的に高くなっている。

図表ⅱ-16.親しい人の存在(近所)
    (世帯類型別)
図

(3)相談に乗ってくれる人の存在
 抱えている問題について何かの折に相談に乗ってくれる人がいるかどうかについて「いる」と回答した世帯の割合は、生計簿は81.0%、家計簿は61.7%である。
 なお、世帯類型による大きな違いはみられない。

図表ⅱ-17.相談に乗ってくれる人の存在
    (世帯類型別)
図

(4)お中元、お歳暮やプレゼントのやりとりの状況
 お中元、お歳暮やプレゼントなどのやりとりをしているかどうかについては、生計簿は「いつもしている」49.1%、「ときどきしている」19.9%となっており、合計で7割近くを占める。一方、家計簿は「いつもしている」と「ときどきしている」を合わせて36.9%で、「あまりしていない」、「まったくしていない」は、合計で62.6%になる。世帯類型別にみると、生計簿の高齢者世帯は66.8%が「いつもしている」と回答しており最も多くなっている。

図表ⅱ-18.お中元、お歳暮やプレゼントなどのやりとりの状況
    (世帯類型別)
図


 1-3.生活に対する意識面での実態把握

(1)現在の生活の満足状況
 現在の生活にどの程度満足しているかの質問について、生計簿は「大変満足」、「満足」、「どちらかといえば満足」と答えた世帯の割合の合計(以下「満足群」という。)は57.0%、「どちらでもない」と答えた世帯の割合(以下「中間群」という。)は21.7%、「どちらかといえば不満」、「不満」、「大変不満」と答えた世帯の割合(以下「不満群」という。)は21.3%となっている。家計簿では満足群は41.0%、中間群は32.9%、不満群は25.9%であった。世帯類型別にみると、高齢者世帯は満足群の割合は高く、母子世帯や障害・傷病世帯では低くなっている。

図表ⅱ-19.現在の生活の満足状況
    (世帯類型別)
図

(2)生活程度の認識
 生活程度を5段階に分けてそのどこに属するか認識を聞いた。生計簿では「中の中」が最大で43.4%、次いで「中の下」36.9%、「下」15.1%となっている。家計簿では「中の下」が最大で34.0%、次に「中の中」が32.5%、「下」が28.9%という結果であった。世帯類型別には、生計簿ではその他世帯において「中の中」が最大となっているものの、高齢者世帯、母子世帯、障害・傷病世帯では「中の下」が最大となっている。母子世帯について比較すると、生計簿は「中の中」27.4%、「中の下」42.5%、「下」27.4%であるのに対し、家計簿では「中の中」45.4%、「中の下」34.5%、「下」15.1%と家計簿の方が高めになっている。

図表ⅱ-20.生活程度の認識
    (世帯類型別)
図


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