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要介護認定に係る法令の概要


1 要介護状態、要介護者について

 ・「要介護状態」の定義(法第7条第1項)
 身体上または精神上の障害があるために、入浴、排せつ、食事等の日常生活における基本的な動作について、厚生労働省令で定める期間にわたり継続して、常時介護を要すると見込まれる状態で、厚生労働省令で定める区分(要介護状態区分)に該当するもの
 ※厚生労働省令で定める期間:6か月(施行規則第2条)

 ・「要介護者」の定義(法第7条第3項)
 (1)要介護状態にある65歳以上の者
 (2)要介護状態にある40歳以上65歳未満の者で、その要介護状態の原因である障害が加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病であって、政令で定めるもの(特定疾病)によって生じたもの
※政令で定めるもの(特定疾病)(施行令第2条)

2 要支援状態、要支援者について

 ・「要支援状態となるおそれがある状態(要支援状態)」の定義(法第7条第2項)
 身体上または精神上の障害があるために、厚生労働省令で定める期間にわたり継続して、日常生活を営むのに支障があると見込まれる状態であって、要介護状態以外の状態
 ※厚生労働省令で定める期間:6か月(施行規則第3条)

 ・「要支援者」の定義(法第7条第4項)
 (1)要介護状態となるおそれがある状態にある65歳以上の者
 (2)要介護状態となるおそれがある状態にある40歳以上65歳未満の者であって、その要介護状態となるおそれがある状態の原因である身体上又は精神上の障害が特定疾病によって生じたもの

3 認定調査等の位置づけ

 ・「認定調査」について
 市町村は、被保険者から要介護認定の申請があったときは、当該職員をして、当該申請に係る被保険者に面接させ、その心身の状況、その置かれている環境その他厚生労働省令で定める事項について調査をさせる(法第27条第2項)
 ※厚生労働省令で定める事項:要介護認定申請に係る被保険者の病状及び当該者が現に受けている医療の状況(施行規則第36条)
 ・「主治医意見書」について
 市町村は、被保険者から要介護認定の申請があったときは、主治医に対して、身体上又は精神上の障害の原因である疾病又は負傷の状況等について、意見を求める(法第27条第6項)

4 介護認定審査会について

 ・審査判定業務を行わせるため、各市町村に介護認定審査会を置く(法第14条)

 ・認定審査会は、委員のうちから会長が指名する者をもって構成する合議体で、審査及び判定の案件を取り扱う(施行令第9条第1項)

 ・合議体の委員の定数は、5人を標準として市町村が定める(施行令第9条第3項)

5 一次判定、二次判定の位置づけ

 ・介護認定審査会は、審査及び判定を求められたときは、厚生労働大臣が定める基準に従い、当該審査及び判定に係る被保険者について、審査及び判定を行い、その結果を市町村に通知する(法第27条第8項)
 ※厚生労働大臣が定める基準:(平成15年省令第42号)
 ・介護認定審査会は、基本調査の調査結果及び主治医意見書に基づくコンピュータ判定の結果(一次判定)を原案として、特記事項及び主治医意見書の内容を加味した上で決定(二次判定)を行う。(「介護認定審査会の運営について」平成15年3月24日老健局長通知)

6 法第7条第1項の厚生労働省令で定める区分(要介護状態区分)について

 ・「要介護認定等基準時間」により状態を区分(平成15年省令第42号)
 要支援:25〜32分
 要介護1:32〜50分、2:50〜70分、3:70〜90分、4:90〜110分、
 5:110分以上

7 要介護認定の有効期間について

 ・厚生労働省令で定める期間内において有効(法第28条第1項)
※厚生労働省令で定める期間
 (1)要介護、要支援認定の有効期間:6ヶ月(市町村が必要と認める場合にあっては、3ヶ月から5ヶ月の間で月を単位として市町村が定める期間)(施行規則第38条第1項第2号)
 (2)要介護更新認定、要支援更新認定の有効期間:6ヶ月(市町村が必要と認める場合にあっては、3ヶ月から12ヶ月の間で月を単位として市町村が定める期間)(施行規則第41条第2項)



一次判定の仕組み


1.要介護認定の申請を受けた市町村は、被保険者を面接し、心身の状況等について調査する(認定調査)。当該調査は、指定居宅介護支援事業者等に委託することができる。

2.認定調査においては、都道府県の研修を受けた認定調査員が、被保険者に79項目にわたる聞き取り調査等を行う。一次判定は、この79項目にわたる調査結果及び主治医意見書に基づき行われる。

3.(1)一次判定のコンピュータシステムは、認定調査の項目等ごとに選択肢を設け、調査結果に従い、それぞれのお年寄りを分類してゆき、「1分間タイムスタディ・データ」の中からその心身の状況が最も近いお年寄りのデータを探しだして、そのデータから要介護認定等基準時間を推計するシステムである。この方法は樹形モデルと呼ばれる。


<樹形モデルの簡単なイメージ>

樹形モデルの簡単なイメージの図

(注)中間評価項目の利用:
 中間評価項目とは、認定調査に用いられている調査項目のうち心身の状況に関する67項目について、平成13年度介護認定審査会における審査判定の実態調査で調査対象となった約3万7千人のデータを用いて、同様の傾向(例:調査項目aで「全介助」となるときには調査項目bでも高い頻度で同時に「全介助」となる場合には、この2つの調査項目を同一グループに含める)を持つ調査項目ごとに、「第1群(麻痺・拘縮に関連する項目)」、「第2群(移動等に関連する項目)」等の7つのグループにまとめたものである。
 このとき個別の調査項目の傾向と67項目全体の傾向との関係の深さに応じて、個別の調査項目の選択肢に対して統計的に得点を付し、7つの中間評価項目ごとにそれぞれのお年寄りの合計得点を算定する。
 この中間評価項目得点も、個々の調査項目とともに樹形モデルの分岐項目として一次判定に用いることにより、安定した一次判定結果が得られることとなった。

(2) 要介護度の一次判定は、どれくらいの介護サービスが必要かを示す「ものさし」となる要介護認定等基準時間の長さ及び主治医意見書によって示される。
 要介護認定等基準時間は次の5つの分野ごとに計算される。その基準は次の通り。

直接生活介助身体に直接触れて行う入浴、排せつ、食事等の介護等
間接生活介助衣服等の洗濯、日用品の整理等の日常生活上の世話等
問題行動関連行為徘徊、不潔行動等の行為に対する探索、後始末等の対応
機能訓練関連行為えん下訓練の実施、歩行訓練の補助等の身体機能の訓練及びその補助
医療関連行為呼吸管理、じょくそう処置の実施等の診療の補助等

要支援5分野を合計した要介護認定等基準時間が 25分以上 32分未満又
はこれに相当すると認められる状態
要介護15分野を合計した要介護認定等基準時間が 32分以上 50分未満
又はこれに相当すると認められる状態
要介護25分野を合計した要介護認定等基準時間が 50分以上 70分未満
又はこれに相当すると認められる状態
要介護35分野を合計した要介護認定等基準時間が 70分以上 90分未満
又はこれに相当すると認められる状態
要介護45分野を合計した要介護認定等基準時間が 90分以上110分未満
又はこれに相当すると認められる状態
要介護55分野を合計した要介護認定等基準時間が 110分以上
又はこれに相当すると認められる状態

要介護認定の一次判定は、要介護認定等基準時間に基づいて行うが、これは1分間タイムスタディという特別な方法による時間であり、実際に家庭で行われる介護時間とは異なる。
この要介護認定等基準時間は、あくまでも介護の必要性を量る「ものさし」であり、直接、訪問介護・訪問看護等の在宅で受けられる介護サービスの合計時間と連動するわけではない。

(3)さらに運動能力の低下していない痴呆性高齢者の指標の確認を行う。運動能力の低下していない痴呆性高齢者の指標は、高齢者の痴呆の状況が要介護度を重度に変更すべき状態かを判定する。

運動能力の低下していない痴呆性高齢者の指標の分類
運動能力の低下していない痴呆性高齢者の指標の分類の表

5.介護認定審査会では、一次判定結果を原案として二次判定を行う。その際、主治医意見書や認定調査の際の特記事項を検討し、変更が考慮されれば、要介護認定等基準時間の行為の区分毎の時間、日常生活自立度の組合せによる要介護度別分布、要介護度変更の指標、状態像の例を用いて一次判定変更の妥当性を検証する。



介護認定審査会資料の図



主治医意見書 主治医意見書



認定調査項目の変更

認定調査項目の変更の表

樹形図の変更

現行一次判定 改訂一次判定
1直接生活介助   1直接生活介助
 食事  食事
 排泄  排泄
 移動  移動
 整容 清潔保持
 入浴
2間接生活介助 2間接生活介助
3問題行動関連行為 3問題行動関連行為
4機能訓練関連行為 4機能訓練関連行為
5医療関連行為 5医療関連行為

 
   
:統合


1 直接生活介助
  食事、排泄、入浴等の介護

2 間接生活介助
  洗濯、掃除等の家事援助等

3 問題行動関連行為
  徘徊に対する探索、不潔な行為に対する後始末等

4 機能訓練関連行為
  歩行訓練、日常生活訓練等の機能訓練

5 医療関連行為
  輸液の管理、じょくそうの処置等の診療の補助


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