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※下線部改正部分

毒物劇物の新判定基準

1. 毒物劇物の判定基準
 毒物劇物の判定は、動物における知見又はヒトにおける知見に基づき、当該物質の物性、化学製品としての特質等をも勘案して行うものとし、その基準は、原則として次のとおりとする。

 (1) 動物における知見
(a) 急性毒性
 原則として、得られる限り多様な暴露経路の急性毒性情報を評価し、どれか一つの暴露経路でも毒物と判定される場合には毒物に、一つも毒物と判定される暴露経路がなく、どれか一つの暴露経路で劇物と判定される場合には劇物と判定する。
(a)経口 毒物:LD5050mg/kg以下のもの
劇物:LD5050mg/kgを越え300mg/kg以下のもの
(b)経皮 毒物:LD50200mg/kg以下のもの
劇物:LD50200mg/kgを越え1,000mg/kg以下のもの
(c)吸入
   (ガス)
毒物:LC50が500ppm(4hr)以下のもの
劇物:LC50が500ppm(4hr)を越え2,500ppm(4hr)以下のもの
   吸入
   (蒸気)
毒物:LC50が2.0mg/L(4hr)以下のもの
劇物:LC50が2.0mg/L(4hr)を越え10mg/L(4hr)以下のもの
   吸入
   (ダスト、ミスト)
毒物:LC50が0.5mg/L(4hr)以下のもの
劇物:LC50が0.5mg/L(4hr)を越え1.0mg/L(4hr)以下のもの
(d)その他
(b) 皮膚・粘膜に対する刺激性
劇物: 硫酸、水酸化ナトリウム、フェノールなどと同等以上の刺激性を有するもの
 なお、上記のほか次に掲げる項目に関して知見が得られている場合は、当該項目をも参考にして判定を行う。
 
中毒症状の発現時間、重篤度並びに器官、組織における障害の性質と程度
吸収・分布・代謝・排泄動態・蓄積性及び生物学的半減期
生体内代謝物の毒性と他の物質との相互作用
感作の程度
その他
 (2) ヒトにおける知見
 ヒトの事故例等を基礎として毒性の検討を行い、判定を行う。
 (3)  上記(1)又は(2)の判定に際しては次に掲げる項目に関する知見を考慮し、例えば、物性や製品形態から投与経路が限定されるものについては、想定しがたい暴露経路については判定を省略するなど現実的かつ効率的に判定するものとする。
物性(蒸気圧、溶解度等)
解毒法の有無
通常の使用頻度
製品形態
 (4)  毒物のうちで毒性が極めて強く、当該物質が広く一般に使用されるか又は使用されると考えられるものなどで、危害発生のおそれが著しいものは特定毒物とする。

2. 毒物劇物の製剤の除外に関する考え方
 毒物又は劇物に判定された物の製剤について、普通物への除外を考慮する場合には、その判断は、概ね次に定めるところによるものとする。
 ただし、毒物に判定された物の製剤は、原則として、除外は行わない。
 (1) 急性毒性が強いため劇物に判定された物の製剤を除外する場合は、原則として、次の要件を満たす必要があること。
(a) 除外する製剤の急性毒性は弱く、基準で示された劇物の最も弱い物と比較して1/10程度以下と考えられるものであること。この場合において投与量、投与濃度の限界において安全が確認されたものについては、当該経路における急性毒性は現実的な危害の恐れがないものと考えること。

(例)経口 2000mg/kgの投与量において使用した動物すべてに投与物質に起因する毒性徴候が観察されないこと。

(b) 経皮毒性、吸入毒性が特異的に強いものではないこと。
 (2)  皮膚・粘膜に対する刺激性が強いため劇物に判定された物の製剤を除外する場合は、当該製剤の刺激性は、劇物相当以下であること。
(例) 10%硫酸、5%水酸化ナトリウム、5%フェノールなどと同等以下の刺激性
 (3)  上記(1)及び(2)の規定にかかわらず、当該物の物理的・化学的性質、用途、使用量、製品形態等からみて、当該物の製剤による保健衛生上の危害発生のおそれがある場合には、製剤の除外は行わない。


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