03/08/28 社会保障審議会児童部会社会的養護のあり方に関する専門委員会議事録               社会保障審議会 児童部会            社会的養護のあり方に関する専門委員会                 平成15年8月28日              厚生労働省雇用均等・児童家庭局 【時間】  平成15年8月28日(木) 14: 00〜17:06 【場所】  厚生労働省 第7共用会議室(5階) 【出席者】 松原委員長 庄司委員長代理 安達委員 奥山委員 加賀美委員       兜森委員 高橋委員 武田委員 徳地委員 中田委員 西澤委員       野田委員 四方委員   事務局 渡辺審議官 唐沢課長 中村課長 古川室長 【次第】    1. 開会    2. 議題        (1) 意見交換        (2) その他    3. その他 ○事務局  第4回社会保障審議会児童部会「社会的養護のあり方に関する専門委員会」を開催い たします。  本日は大変お忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。本日の会合 は、才村委員、坂本委員がご欠席という連絡を受けております。  それでは、議事に入りたいと思います。松原委員長、よろしくお願いいたします。 ○松原委員長  それでは、きょういろいろ配付されております資料の確認をして、その説明を事務局 の方からお願いしたいと思います。 ○事務局  それでは、資料の確認をさせていただきます。  まず、議事次第です。資料1『主な検討課題』、資料2『社会的養護のあり方に関す る専門委員会 検討課題及び各委員発言状況』、資料3『現在の要保護児童に対するケ ア機関』、資料4『これからの社会的養護システム案』、参考資料1『平成16年度厚生 労働省予算概算要求の主要事項』、参考資料2といたしまして『平成16年度 雇用均等 ・児童家庭局予算概算要求の概要』でございます。お手元に以上の資料がございません 場合は、お知らせいただきたいと思います。事務局よりお渡しいたします。 ○事務局  それでは、引き続きまして、資料の説明をさせていただきたいと思います。  資料1は、検討課題ということで、資料2でございますが、「社会的養護のあり方に 関する専門委員会 検討課題及び各委員発言状況』ということでございまして、第3回 目の委員の方々の発言状況について追加させていただいております。追加項目につきま しては、それぞれの白丸の下に黒ポチの点で意見が書かれておりますけれども、黒ポチ が2つついているのが、第3回のときにご議論いただいた委員の方の意見をまとめてそ こに追加したということでございます。各項目について見ていただければと思っており ます。  それから、資料3でございますが、現在の要保護児童に対する主なケア機関というこ とでございますけれども、これは前回、奥山委員の方から縦軸に年齢、横軸に問題性と いうようなものを設けて、それに該当することを位置づけといったようなものをつくっ たらどうかというようなご発言がございまして、そのご意見に応えているかどうかわか りませんけれども、事務局でつくってみました。  横軸に、児童の年齢ということで、乳児、幼児、少年7〜13歳、少年14歳以上という ことで、これは刑事責任年齢ということで、少年を2つに分けておりまして、それから 20歳以上の青年ということでございます。  それから、児童(ニーズ)ということで、適切な養育、心理的ケア、その下が適切な 養育、心理治療、行動に関する治療、一番下の段が適切な養育、心理治療、行動に関す る治療、要医療(精神科)となっておりますけれども、下にいくに従って、より専門的 な治療ニーズがあるというようなことでございます。  ただ、ここに線で区切っておりますが、この線のとおり区別されるものではありませ んけれども、一応、こういう形で区切らせていただいて、施設が中心になって担ってく ださっている領域に、その該当する施設名を書き込んであるということでございまし て、実態的にはその線を越えた対象の領域にまでケアをしているような場合も多かろう と思いますけれども、一応、中心的に担ってくださっている領域に、該当する施設名を 書き込んであるということでございます。  続きまして、資料4の『これからの社会養護システム案』について簡単に説明いたし ます。この資料は、今般、制度見直しの検討をするに当たっても、その延長上に位置す る、将来的に目指すべき姿を明確にしておくことが必要ではないかとの考えに立ちまし て、松原委員長とご相談しながら、事務局において議論の参考として策定したものでご ざいます。  まず、参考1でございますが、これは主に第1回専門委員会の配付資料の全国児童養 護施設協議会の「子どもを未来とするために」とか全国乳児福祉協議会の「21世紀の乳 児院のあり方を考える特別委員会 最終報告」、全国里親会、「里親制度の拡充整備に 関する研究会報告書」などを参考に作成いたしました。里親につきましては、グループ ホーム、自立支援里親の創設などの里親機能の拡充、相談研修の充実などによる里親支 援の強化、福祉専門職としての里親としての位置づけなどが述べられておりまして、そ のような内容を参考に多機能化、支援強化などを盛り込みました。  児童福祉施設ですが、乳児院や児童養護施設など、各施設が本体施設をセンター、基 幹として位置づけ、その支援や補完を受けながら、家庭的なケアをする小規模ホームを 地域に設置し、子どもの養育やケアを行うというものでございます。本体施設につきま しては、心理療法担当職員などの専門職員を配置いたしまして、小規模ホームの援助機 能のみならず、地域支援機能、一時保護機能、心理治療的な援助、家庭調整などを行う 専門的支援機能、アセスメント機能などを用いまして、困難ケースのケア、保護者の援 助、通所を含めた在宅支援などを行うものでございます。  なお、里親と施設の関係でございますけれども、施設が里親支援をするとともに、里 親と施設とのパートナーシップのもとに協働して子どもの自立支援を行うというような 関係を構築していくものでございます。  里親、施設からの措置解除後は、必要に応じて自立援助ホームも活用し、子どもの自 立を支援していくというシステムによって、子どもの自立支援を図っていくというもの がこれからの社会養護システム案(参考1)でございます。  次に、参考2でございますが、この案につきましては、参考1の児童福祉施設の部分 についてのみ、平成9年の児童福祉法改正時における関係団体などの意見を参考にして 作成した案と差し替えたものでございます。  児童福祉施設については、家庭的代替機能を中心とする養護系施設と心理治療や行動 に関する治療などのトリートメント系施設に分化し、該当する施設を集約するという案 でございます。里親などにつきましては、参考1と同じような内容になっているわけで ございます。  最初に申し上げましたとおり、これはあくまでもご議論をしていただくために事務局 が委員長とご相談の上、作成したものですので、この2案のいずれかでとりまとめをい ただくといった性格なものではございません。あくまでも一つの参考ということでご理 解いただければ考えております。  なお、どのような資料を参考にしたかにつきましては、次のページを見ていただきま すと、主なものについて書いてございます。また、参考資料の中の一部を抜粋したもの をその後に取り上げてありますので、参考にしていただければと考えております。 ○事務局  続きまして、予算の関係の資料でございます。参考資料1でございますが、これは厚 生労働省の平成16年度の全体の要求の主要事項でございます。  1ページ目をごらんいただきたいと思います。  これは総括表でございますが、一般会計で15年度19兆3,787 億円が、16年度要望で 20兆2,154 億円ということで、8,367 億円ほど増額要求でございます。内訳として、 公共投資、これは水道とか施設整備、それから義務的経費、これは人件費とか生活保護 措置費関係でございます。それ以外の裁量的経費ということで載せております。  我が児童家庭局分の予算でございますが、参考資料2を見ていただきたいと思いま す。「次世代支援育成対策の推進と多様な働き方を可能とする労働環境の整備」という ことで、その下の方になお書きがございますが、平成15年度税制改正に関連した少子化 対策の施策をする経費2,500 億円の枠内については、児童手当の対象年齢の見直しのほ か、地域における子育て支援事業、児童虐待防止対策等々、事項要求ということでして おります。  この15年度の税制改正というのは、配偶者特別控除の廃止ということで、枠がこちら に振り分けられるということでございます。  2,500 億円の内訳でございますが、14ページを見ていただきたいのですが、まず児童 手当の充実ということで、年齢の見直しを行います。その他の少子化対策ということ で、地域における子育て支援事業の充実ということで、(1)から(6)までございます。 (2)で児童虐待防止対策の充実ということで、施設の小規模化の推進。これは地域小規 模養護施設の拡充及び児童養護施設のユニット化の推進ということで、事項を要求して おります。  次に(2)でケア担当職員の質的・量的充実ということで、家庭支援専門相談員の配置、 個別対応職員の配置の拡充ということで、ファミリーソーシャルワーカーや虐待児の個 別対応職員の配置の拡充を図る。  それから、3番目といたしまして、里親支援の拡充ということで、里親への生活援助 や里親相互間の援助を行いたい。それから、4番目で、年長児童に対する支援というこ とで、自立援助ホームの拡充を行う。あと、不妊治療とか小児慢性疾患対策の確立とい うことで、(2) で虐待防止対策の充実ということで、これは全体に予算編成過程、これ から12月までの間に決まるということで、実際の予算額とかはこれから決めていくこと ということになります。簡単でございますが、資料の説明は以上でございます。委員 長、よろしくお願いいたします。 ○松原委員長  ありがとうございました。  資料の4などをつくっておりまして、なかなか難しいなと思って、本当にご議論の参 考程度にということで押さえさせていただきたいのですが、多分、このことに関しても いろいろおっしゃりたいこともおありになると思いますし、前回、こういうシステム全 体の見直しを議論をすべきではないかというご意見もあったので、きょうはそのことを しようと思うのですが、ただ3回までの流れがございまして、この資料1にあります主 な検討課題、前々回に1のところを議論しまして、前回、2から5、おおよそのところ は議論ができたと思いますが、まだ6、7と少し議論が残っていると思います。  最初に、ここの主な検討課題の6、7等について議論をいたしまして、その後、この 目指すべき社会的養護の構想ということで、ご議論をいただきたいと思いますので、論 議の進め方のご協力方をよろしくお願いしたいと思います。  そういうことで、最初はこの資料1の主な検討課題の6「子どもの権利擁護の強化」 「施設入退所等に関するアセスメントの作成」「支援プログラムのあり方」「サービス 評価の実施」「社会養護関係者に対する養成、研修の拡充等」というのが小項目で挙が っておりますので、ここから皆様方のご意見等をいただきたいと思います。  特に名指しはいたしませんので、どうぞご自由にご発言いただけたらと思います。 ○安達委員  何せ赤ちゃんなものですから、少しずれて、小股で歩いていると大股でおいいていか れそうになるので、少し話させていただきたいのですが、お手元にメモを、勝手なこと を書いているのですけれども、ごらんいただければ、私が何を申し上げたいかというこ とがわかるかと思います。  アセスメントのところでの重要性は共通した意見であろうと思っていますが、このア セスメントができる職員といいますか、それがきちんとできることがもっともっとやら ないと、例えば乳児院でいきますと家庭支援専門相談員などがまだまだ100 %というと ころまでいっておりません。  そういうことで、その辺に力を入れていただかなければならないのかなというように 思っています。  メモの中で、本当は触れてしゃべろうと思っていましたので、ここに書いてあること と違ったことを口頭ではしゃべろうと思っていたのですけれども、メモの中で読んでい ただいて、非常にガツンとこられる先生がいらっしゃったらあれなんですが、ただ、 私、2回目だったでしょうか、兜森先生が「トントントン」というお話をされました。 非常にそれには感銘して、つい手を挙げて、食育とか乳児学級の参加というようなこと を申し上げたのですけれども、あれはやはり点ということで、つまり行事とか行事食と は違う中身ではなかろうかなというぐあいに自分では思っています。  家庭ではできるけれども、乳児院ではできないというような、そしてそれにお金をか けて実際やっている。しかも高い措置費をいただきながらやっている。もう少しのとこ ろだというところなんだと思います。  これ、やはり赤ちゃんを育てるといいますか、この辺のところはぜひやらなければな らない、それが我々の使命だと思っていますので、この辺を強く申し上げておきたいの で、それだけちょっとお話しいたします。 ○松原委員長  ありがとうございました。メモについては、また後半のところでぜひご発言をいただ きたいと思いますが、今、安達委員の方は、特にアセスメントのところにかかわって、 それを担う職員の強化というのが必要ではないかということで、このことについてはア セスメントともかかわりますし、職員に対する養成研修にかかわるご発言だったと思い ます。  ほかにいかがでしょうか。加賀美委員、お願いします。 ○加賀美委員  社会的養護の質の向上というところで、まず子どもの権利養護の強化というお話で、 少しお話しさせていただきます。  これについては、近未来像IIのところでも、議論をしてきたところでございますけれ ども、未成年後見制度をどう社会的に公的責任で立ち上げていくかというのは重要な課 題ではないかというふうに思うわけでございます。それは、新しいシステムとして構築 しなければならない部分が多分にあるのかなというのは、これは社会的養護の編成との 絡みのところで、その全体を担保していく仕組みとしての未成年後見制度というにらみ と、もう一つはたびたび児童養護関係でも課題になっております施設内の子どもへの権 利侵害が発生してしまうというような場面、あるいは全体、里親の問題あるいは小規模 化の施設をつくっていけばいくほど、より専門性の高い職員の質・量の問題が重要にな るという話を申し上げましたけれども、そこでもやはり子どもの権利というようなこと が、逆に閉鎖的になる仕組みの中で起こってしまう危険性、そういったことも含めて、 未成年後見を視野に入れた権利擁護のサービスシステムを社会的にどう構築していくか というのは、これから大変重要な流れだろうというふうに思います。 ○松原委員長  ありがとうございました。大変大切なご意見だと思います。  ほかにいかがでしょうか。庄司委員、お願いします。 ○庄司委員長代理  今の加賀美委員のお話にかかわることですけれども、権利擁護の仕組みとしては、児 童福祉施設に入所する子どもはまだ入所時点で子どもの権利ノート等を配付したり、説 明したりということが行われていますけれども、里親に委託されている子どもは、先ほ どお話がありましたように、かなりクローズドな環境になりやすい。そこで、子どもの 不満、苦情等含めて聞く仕組みというのが今のところほとんど考えられていないわけ で、これも家庭的な環境で、あたかも親子のように生活する中でということを踏まえ て、どういう形で子どもの意見を聞くようにしたらいいのかということは考えなければ いけないですけれども、そこが今ちょっと抜けているかなというふうに思います。 ○松原委員長  ありがとうございました。西澤委員、お願いします。 ○西澤委員  前回、休ませていただいたので、もしかしたらトンチンカンなことを言うかもしれま せん、それはご容赦ください。  社会的養護の質の向上という6番目の項目のところで、どうしても、私自身、力を入 れていただきたいというふうに思っているのは、施設内の職員からの暴力に対する対応 というんですか、施設内の虐待問題です。この「施設内虐待」という言葉を仮に使いま すが、非常に業界では反発があるかもしれませんが、とりあえず使いますけれども、2 つの側面があると思うんです。一つは予防だと思うんです。  多くの場合、施設内虐待の事件を見ていますと、倫理の問題というよりも、むしろケ ア技術の未熟というか、子どもたちの問題にケアする側の技術がついていかないがため に、最終的にぶん殴ってしまうみたいな構造が見え隠れしていますので、そういった予 防の側面としてケアワーカーの技術の向上をどう考えるか。つまり、ケアワーカーの専 門性のスキルアップといいますか、そういった部分が非常に大きいだろうと思っていま す。  でも、残念ながら、今の施設の状況を見ると、あれだけ難しい問題を抱えた子どもた ちに対して十分なケアができずに、その結果、暴力をふるってしまうというのは、これ は当然起こってくるだろうというふうに思うのです。  その場合の対応が、今、私はたまたま「日本子どもの虐待防止研究会」という学術団 体の事務局長をさせていただいている関係上、割と全国の施設内虐待の事例というのが 入ってきまして、それに対してどういうふうに周囲が動いているかという情報も割と細 かく入ってきます。  地方によってバラバラです。例えば、かなり第三者委員会的なものをつくって、それ が調査あるいは再建への方向性を出すというようなことをやれているところもあれば、 一方では県が調査に入りました、しかも児童福祉課長が行きました、課長さんは一般職 で、児童相談所は全然関与しませんというような県もなくはないですね。  そうしますと、その調査の内容であるとか、その後の再建へ向けた方向性の出し方と いうのは本当にバラバラです。そういう意味で何らかのガイドラインをつくらなければ いけないのではないか。あってはならないけれども、起こった場合にはこういうふうに やりますというような、「システム」とここでは書かれていますけれども、ある程度細 かなガイドラインが必要ではないかと思うんです。  例えば、調査委員会は第三者機関にすべきであるとか、そういったようなものをつく って、しかも単に調査だけではまずいので、調査から再建へという連続性、どういう点 を改善していって、建て直しのためにこういう力を投入するんだみたいなことをやって おかないと、施設ケアというのが全体に問題になってくるだろうというふうに思います ので、その点は強調させていただきたいと思いました。どうもありがとうございます。 ○松原委員長  ありがとうございました。施設職員の養成という部分では、大学も児童指導員を育て ている我々の責任でもあるのですが、ちょっとお互いに耳が痛いのですが。  その先、研修ということでスキルアップというお話をしていただきましたが、施設の 委員の方も何人かご出席なのですけれども、現状、スキルアップの課題というか、ある いは将来的な方向性とか、そういったことについて何かご意見がございますか。 ○高橋委員  今、行政側のお話が出たんですけれども、現在、社会福祉系の大学がほとんど社会福 祉士の養成ということが非常に大きな内容になってきて、実際には養護施設 と児童福 祉施設に従事する職員のスキルにかかわるような講座が非常に少ないと思います。  これは保育士の課程であれば、例えば養護原理だとか、それにかかるものもあります けれども、これもほとんどが幼児対策ですね。だから、思春期対応等にかかわるような 講座はほとんどないのではないか。前任の大学ではありましたけれども、これも単位数 に限りがあるので、どうしても希望したものは中に全部入れ込めなかった。  そういう意味では、現任訓練的なものの特別枠をそろそろつくらなければならないの てはないかと思います。そういうふうなことは、当然、施設に入ってからも、従事して からも機会はあるわけですけれども、従事してからでは間に合わないことが多いので、 4年大学を終えて、あとの1年とか2年くらいの特別講座でも設けるとか、それをしな いと今の入所型の施設、それから里親支援等にかかわる、そういうスタッフの質という ものはアップしていくというよりも、専門職として迎え入れるということが難しいので はないかというふうに私は思います。  それから、子どもの権利擁護の強化という中では、最近、東京では、施設のサーチ指 導のときに子どもたちを集めて、子どもから意見を検査官が聞くようなことを結構時間 をかけてやるのですね。それから、職員に対してもやりますから、これは経営に対して チェックをするということにもなるかもしれませんが、そういうことを強化すること は、一方では一つ方法だと思いますし、また子どもが権利ノートを持っていて、直接、 権利委員会の方へ電話ができるようにするとかいうふうな仕組みなどもとらえるように なっていきましたから、これをもっと充実させていくということでは、新たにものを考 えるよりも、既にあるもの、既存のものを充実させていくことで一つは方法が見えてい くのではないかというふうに思います。 ○野田委員  子どもの権利擁護というところで考えたときに、施設、もちろん年齢やいろいろなこ とによって違うと思いますけれども、どのレベルの権利をイメージする、あるいは権利 侵害というか、権利擁護をイメージするかでちょっと違うかなと思いながら聞かせてい ただいていたのですが、全体的には、一つは子どもの権利ノートというものの作成に私 も幾つかの県でかかわらせていただいたのですが、あれは現状、残念ながらストレート に子どもたちの権利擁護を確保するというよりは、一番大きかったのは、その作成に参 画していただいた方が、あの作業を通じて、子どもの権利というものに改めて出会い直 してもらうというか、そういう要素は大きかったなと思うんですが、実際にはそれにか かわってくださった方が数年後には退職してしまっているというような状況があって、 つくり運動のときには結構元気になるのですが、その後、それがどう動いているかとい うところで、もうちょっとほかの仕掛けが要るなというふうにいろいろ考えておりま す。  いずれにしましても、つくることには非常に意味があるし、それを広げることに今も 高橋委員もおっしゃっていただいたように、非常に意味があると思っていますが、まだ まだ全国に広まっているわけではなくて、実際にはできていないところがあるというと ころでは、これはやや象徴的な意味が強いかもしれませんけれども、広める方向でぜひ お願いしたいと思いますし、それはつくればいいということよりは、つくり、それを維 持し続けるプロセスに非常に意味があるというふうに思っていますので、その点をとい うことが1点。  それから、やはり施設内で、今、東京の例もありましたが、滋賀県の場合には措置型 の施設、児童福祉施設に措置されている子どもたちの権利擁護を審査するための県の委 員会ができておりまして、児童福祉審議会の措置部会とは重なるわけではありません、 全く別の形で、各施設を回って、特に弁護士さん等の発案で、一泊ずつ施設に泊まらな いと昼間だけいってもわからんというようなことで、そこに泊まって、子どもたちの意 見も聞き、理事側の意見も聞き、職員の意見も聞くというようなことをやっています。  そのせいか、間もなく県の正式な文書として、今週中くらいに滋賀県の場合はまとめ るてはずになっているのですが、そこでも思いますのは、やはり子どもの声というの は、周囲の方々が一生懸命聞いているつもりだと思うんです。しかし、子どもたちは場 面によってというか、特に最近の子どもはAという場面とBという場面で違う顔を出す というか、むしろそのことが特徴の一つにもなっているわけですから、そのことについ ての、それをオンブズパーソンというかどうか別としても、そういったような第三者機 関的な、そして、これは社会福祉法でいうところの施設の第三者機関とは違う、もう ちょっと外からきちんと入ってきて、そしてその権限をきちんと行使できるような機関 が必要だなというふうに感じています。  もう一点、付け足しなんですけれども、私もその担当として施設に入ったのですが、 やはり施設で日常子どもたちに語ることを教えているかどうか。大上段にいえば、子ど もの権利条約の意見表明権的なものを積極的に子どもたちに語ることとか、表明するこ とは大事なんだという姿勢で手当をしていただいているか、あるいはそうではないかと いうあたりが権利擁護の仕掛けとしては非常に大きな違いがあるなというのを、子ども たちと会って実感しているところです。  そういう意味では、単に何かがあったときに手当をするというような仕掛け以外に、 日常的に権利ノートの実施状況にも重なりますが、常にどういうふうに働きかけている かということをきちんと見ていく。そして、そこに単に一人ひとりの職員のレベルアッ プだけではなくて、そこの施設全体で行われているケアの水準をきちんと評価できるよ うな、そういったような視点での擁護システムが必要かなと。  雑駁ですけれども、以上です。 ○松原委員長  ありがとうございました。それでは、中田委員、お願いします。 ○中田委員  施設の当事者の話が出たので一言言わないといけないと思うのですが、施設で問題が 起きるときは、僕はこの会で1度か2度お話ししたかもしれませんが、やはり基盤整備 という点で、さまざまな条件が整っていないと思うんです。  施設の実情は今は、職員の個人の情熱で、何とか毎日を過ごしているところですが、 事故があれば、起きたことを弁明したり、いいというわけにはいかないわけですから、 そのためにはもう少し基盤整備に意を注いでいただく必要があります。  それよりも、きょう、冒頭から出た話で、今までの児童養護施設中心にした措置児童 だけのことではなくて、社会全体に対して要保護児童の問題を考えようというのであれ ば、今、個別に起きている問題を見ても、適正化委員会 で勧告しても動かないという法 人の事例もあるようですから、もっと公の機関で、はっきりした、明確な子どもの養育 にかかわる機構なり、権利を持った機関をつくらないと、それでときどきそれを有機的 に活用するために一定の、実際動く機関をつくらないことには、今の対象と子どもの数 より、幅広くもっと広い領域を考えようとしているわけですから、例えば権利擁護にか かわる部分でいえば、親権とか子どもの権利の競合の問題はずっと施設は抱えてきてい るわけですから、それを明確な形に、民法が変わらない限り、今進まないわけですか ら、一歩でもそれに対抗できるような部分の委員会的なものを行政からある程度独立し たような形ででもつくらないと、それは解消できないのではないかというふうに私は感 じます。  そういうことをすれば、今、野田さんがおっしゃられたようなことについても、そう いう機関がかかわれる要素がいっぱいあるのではないかと思いますので、既存のものの 枠を広げる、大きく外に役割を果たそうというのであれば、そういう機構も考えるべき ではないかというふうに思います。 ○松原委員長  全般的には、実は児童福祉領域だけに限らず、運営適正化委員会のお話もありました し、それから第三者評価をこれから各施設は受けていくという、そういう流れはあるか と思うので、その辺を視野に入れて、プラスアルファ何か必要なのか、あるいはそうい うものを充実・強化していけばいいのかというあたりのことも含めて、ご意見を伺いた いと思いますが、兜森委員、どうぞ。 ○兜森委員  非常に興味深くお伺いさせていただいておりました。実はこれは学校教育の連携の部 分にも関係してくると思うのですけれども、権利擁護の強化を考えていったときに、ど うしても人権教育が必要になってくるだろうと思うんです。今、いろいろなシステム、 例えば運営適正化委員会であるとか、あるいは第三者評価であるとか、一定程度のベー スが担保されているという前提のもとでのお話が多いのかなと思いますけれども、もっ と素朴な部分では、実際、私も現場の職員でございますけれども、現場サイドに基本的 な人権意識がまだまだ徹底していない部分があるのではないだろうかというのが率直な 考えでございます。  したがって、この部分が学校教育との連携ということになるわけでございますけれど も、一番ベースになる人権教育というものが基礎なんだと。これはケアワーカーたる職 員がそのベースの部分を押さえて、日常の仕事に当たっていくということが当然対象者 として児童とか、私の場合であると扶養者である母親、母子がいるわけでございまし て、日常生活の中でお互いの人権を尊重しあおうというような風土、文化が芽生えてく るのだろうというふうに思うわけです。  もう一点付け加えさせていただきたいことは、やはり人権教育の中に、これは今職員 に対するという意味で申し上げているのですが、一番ベースになる職員に対する人権教 育の中で、全体的な視点を取り入れていただく必要があるだろうというふうに思うわけ です。  今、学校教育の中では、例えば男女別の出席番号ではなくて、男女混合の通し番号制 度が採用されているとかということも耳にしておりますけれども、やはり社会的に性別 をもって分業されているというものがたくさんあるわけでございます。人権ということ を考えていった場合には、やはりその部分も切り込んでいただく必要があるというふう に思います。 ○松原委員長  職員研修というか、職員教育の話が出ました。  徳地委員の国立武蔵野 の方は、職員の養成もされていらっしゃいますし、その他さ まざまな研修もされていると思いますが、そこにかかわって何かご発言がいただければ と思います。 ○徳地委員  それでは、武蔵野学院で行っております職員の養成、それから研修についてちょっと 発言させていただきます。  武蔵野学院には、もちろん感化院時代からも職員養成所はあったのですが、昭和22年 に戦後国立武蔵野学院附属教護事業職員養成所というものがありまして、児童福祉法改 正とともに児童自立支援専門員養成所に改正しました。  そこには、コースが2つありまして、1つは養成部のコース、もう1つは研修部の コースです。養成部では、児童自立支援専門員の養成を行っておりまして、養成期間は 1年で定員は25名ということです。入学資格は、年齢が26歳未満、4年制大学卒業とい うことで、現在まで約800 名の卒業生がおりまして、中には弁護士さんもおりますし、 家裁 の調査官、法務教官、もちろんこういうふうな児童福祉施設の現場で働いている 者もたくさんいるわけです。  卒業しますと、当時に4つの資格が取得できます。1つは、こういうふうな児童自立 支援専門員の資格、それから児童指導員、児童福祉司、社会福祉主事の4つの資格が取 得できます。  研修部におかれましては、児童自立支援施設の職員を対象としました現任訓練を行っ ておりまして、全部で10コースを実施しております。そのうち7コースが児童自立支援 施設職員を対象としましたものです。残りの3つのコースは児童相談所の一時保護所指 導職員の職員研修、それから児童相談所等の思春期問題担当職員のコース、それから新 しく里親担当職員を対象としましたコース、3つのコースを新しく考えてやっておりま す。  近年、児童自立支援施設に入所する児童の特徴としまして、被虐待児もしくはAD/ HDとか、そういうふうな精神医学的な、もしくは心理学的なケアを必要とされる児童 がたくさん入ってきております。先般申し上げたのですけれども、全国児童自立支援施 設では約60%が何らかの被虐待児、当武蔵野学院におきましては83%という結果が出て おります。  先般、全国の児童自立支援施設で処遇困難な子どもがどの程度入っているかという統 計を出しましたら、全体の12%がそういうものに当たっていて、現場の人間はそういう 児童に対して処遇困難な状況に陥っていると、そういうふうな結果が出ております。  我々児童自立支援施設に入っている児童の中には、家庭的に非常に大きな問題を抱え ている生徒がたくさん入っております。具体的には、こういうふうな子どもに対して、 世話をするという温かい、家庭的な雰囲気のもとに指導しているのですが、子どもたち よりも高いところに立つとか、教えるとか、命令とか、指示するとか、そういうふうな ことは努めて避けまして、一緒に暮らしそのものを共有するということを基本的にやっ ているわけです。  こういうふうな処遇困難な子どもに関しては、当武蔵野学院だけではなしに、全国的 に非常にそういうふうな子どもが多くなっていく。児童養護施設、情短施設 におかれま しても、当然、こういうふうな子どもが多数入っておりまして、日夜大変な努力をして いただいていることだと思っております。そういうふうなことで、職員の専門性の向上 ということが急務となっているというところです。  そこで、武蔵野学院においては、専門委員会の検討に合わせまして、緊急に児童自立 支援専門員養成所検討委員会を設置しまして、厚生労働省の担当官、国立きぬ川学院、 外部の有識者の先生方にも検討の委員会に入っていただきまして、現在、児童福祉施設 が抱えている課題への対応を含めまして、専門性の向上と人材の育成、充実の観点か ら、職員の養成、それから職員の研修のあり方について総合的な見直しの検討に着手し たところであります。  具体的に、検討課題としましては、時代のニーズに合わせた養成所の機能強化、拡 充、組織体制のあり方等々でありまして、入所児童の特徴の変化に十分対応できる人材 の育成、研修体系の見直し、そういうものを考えておりまして、本年11月に何らかの形 で報告書として出す予定にしております。この専門委員会におかれましても、できまし たらそういうような職員、それから研修について議論していただければ幸いかと思って おります。  現在、具体的な見直しの方向としまして、養成部、研修部、研究部という、3つの大 きなことを考えております。養成部におきましては、資格の付与の問題、養成期間の延 長、先ほど申しましたとおり、1年間を2年間にしたらどういうふうな資格取得が可能 かというようことですね。それから、また現在、年齢制限、26歳未満ということで、こ れも公務員試験の年齢制限に合わせまして26歳にしたのですが、以前ですと28歳未満と いう状況があったのですが、これも同じような形で、各県の公務員試験が年齢幅が広く なってきましたので、できるだけそういうふうな社会のニーズに合わせるということを 考えております。  それから、現在、我々の施設としまして小舎夫婦制という勤務形態でやっている施設 が大分減ってきました。現在58施設のうち23施設が小舎夫婦制という勤務形態で出てい るので、ここ5、6年前から急に小舎夫婦制から交替制の施設が多くなってきました。 今でも23施設、小舎夫婦制で頑張っておりますので、小舎夫婦制に合わせる職員養成を 今後いかなる形でするかということも緊急な課題かと思っております。  研修部におきましては、心理担当職員の研修とかファミリーソーシャルワーカーの研 修を考えておりますし、それから研修内容の拡大としまして、精神医学的な対応、事例 研修、虐待事例研修、こういうような研修も積極的に導入しようかと思っております。  研究部の新設ですが、当武蔵野学院は国立の施設ということで、ナショナルセンター 的な意味合いがあるので、こういうふうな研究情報センター的な機能をいろいろ拡充す るということも考えております。  それから、公開セミナー、非行関係の研究、調査、統計、図書資料、情報管理、こう いうようなことも総合的に考えまして、11月には何らかの形で報告し、できましたら皆 様方のところに配付したいと思っております。以上、簡単ですが、説明させていただき ました。 ○松原委員長  ありがとうございました。職員の養成、研修等のご意見をいただいておりますが、四 方委員から手が挙がりました。どうぞ。 ○四方委員  研修ということなので、少し発言しなければいけないかと思いまして。  虹センター ができまして、まだ本当に日が浅うございまして、立ち上がったばかりと いうことですが、しかし、1年半ほどの中で、どこのニーズが一番高いかといいます と、やはり養護施設からの方で、応募者を少しお断りしているというのが現状でござい ます。それくらい、現場の方々が自分たちの質を向上しなくてはいけないと思っていら っしゃることは明確にわかってきております。  そこで問題は、専門性の向上とはいいますものの、現場を離れて3泊4日、最初は4 泊5日でやっていたのでございますが、4泊5日は一挙にはきついということで今年か ら3泊4日になったのですが、ニーズとして大変手を挙げてくださるのですが、実際に は現場を離れるのは困難があります。しかも私どもの虹センターというのは指導者研修 でございますので、そういった、中心になって施設を担っていらっしゃる職員が離れる こと自体が大変なやりくりの行為でございますね。  ですから、現場の職員の研修というのは大事ではあるので、これは必須のことなので すが、その場合に、基盤整備というものがあって、要するに現任訓練というものが常に 必要であるという認識のもとに基盤整備が行われないと、職員研修に出るということが 繰り返し行えるだけの職員の配置というものが必要であろうかと思うんです。  先ほど高橋先生が学生ということで、これも最も必要なことだと思いますが、しかし やはり現任訓練というのは大事です。いろいろな試行の中で発見しながら、技術を向上 していかなければいけないかと思いますので、これは最低基準といいますか、基盤整備 とともにこれは行えることであろうかと思います。  それから、もう一つは、中央研修となりますと、これはどうしても限界がございます ので、やはり地方での研修をどのようにこれからやっていけばよいかということも大き な課題だろうと思います。  もう一つは、先ごろより情短などからも「ぜひやってほしい」と言われているのです が、声が一番あがりやすいのが新任研修です。これが地方でどの程度までやっていける か。これも虹センターあるいは先ほど来お話がございました武蔵野学院、こちらは児童 自立支援施設が主な対象でしょうが、これは限界がございますので、その辺のシステム をどうつくっていくかと思っております。  それから、付け加えて、研修の中で児童養護の方々がおみえになったり、あるいは情 短、乳児院もそうですが、いろいろな中で一番感じますのは、アセスメントが一番最初 の議論に出ましたが、このつなぎ目のところが非常に貧困なのですね。だれがアセスメ ントをするかということも、これも非常に大事なことですが、それと同時に、受ける側 あるいはアセスメントを子どもとともに送る側、その両者の協議のところがポッと抜け ているというのを感じております。  ちょっとこれは付け加えますが、いわゆる専門性の向上ということばかりをそれぞれ のところでやっていたのではだめで、連携の問題というのが研修の中では取り上げてい かなければいけない課題であろうかと思っております。 ○松原委員長  ありがとうございます。アセスメントのところに話を戻していただいたこともありま すので、奥山委員、お願いします。 ○奥山委員  今、アセスメントのお話が出たのですけれども、2番目のところに「児童相談所のア セスメントを明確に行うことが必要」とだけ書かれているのですけれども、アセスメン トというのは日々のアセスメントといいますか、児童相談所で1回アセスメントをし て、児童福祉施設に入所しました、あとはアセスメント抜きですよというわけにはいか ないだろうと思います。やはり、入所のときのアセスメントが必要でしょうし、それか らしばらくして自分たちがやってきたケアがどれほど良かったのか、あるいは悪かった のかも含めてのアセスメントというのが必要でしょうし、退所のときどうするかという アセスメントが必要で、今まであまりきちんとしていないところです。さらに、家庭復 帰してどうだったかという部分も必要です。アセスメントというのは児童相談所でやり ました、施設に行きました、終わりという問題ではないと思うんです。  では、それをどういう形でやっていくのかというのが非常に大きな課題だろうと思い ます。それをどこでどういうふうに、今、先生がおっしゃったように、毎日ケアしてい る人たちにそれが役立つ形で、しかも子どもに一番役立つ形で、どういう形のアセスメ ントをし、それがどういうふうにケアに結びついていくか、そこのところが非常に重要 なポイントになるのではないかというふうに思いました。 ○松原委員長  ありがとうございます。まさに、そのことが次の支援計画をどういうふうにつくって いくかということの基礎になる部分がアセスメントだと思いますので、そこにかかわっ てのご発言でもあったというふうに思います。高橋委員、お願いします。 ○高橋委員  今の児童相談所のアセスメントの入り口のところなんですけれども、27条1項3号の 適用ということで、処遇会議が開かれて決定されていく、あそこの場面に本来受け手に なるものがいないわけですね。将来、もし施設へ行くとなれば、養育する側からの意見 というのがあそこに入っていないと思うんです。結果でつなぎがあるわけですから、評 価していく段階で、このケースは例えば児童養護施設で受け入れられるかどうかという 評価は必ずしもない中に施設措置を決めておいて、後で電話等で連絡をいれて、どうだ ろうというつなぎになるわけですね。  評価をするとすれば、受け手のその後の養育というものが果たしてどういうイメージ でそこに実現していくかという、そうした場面というものをつくっていく必要があろう と思いますし、対象についても、年齢だとか家庭の調整状況によって帰っていくという ことになりますけれども、そこに対して入れた側の評価ということも十分になされた上 でなされていかないと、せっかくの社会的養護の結果というものがそこに評価されない のではないだろうかというふうに思うんです。  ですから、そこでのシステムというものを明らかにすることと同時に、もう一度、メ ンバーというものに対する検討が必要なのではないだろうかというふうに思います。 ○松原委員長  ありがとうございました。私もいろいろ研修をお手伝いしていて思うのは、あとどう いうふうに研修の世界が活かされていくのだろうかという、そこがなかなか目に見えて こないので、フィードバックをできるようなシステムがあるといいかなと思いますし、 例えば西澤委員のように、ある個別の施設に継続的に関わっていらっしゃると職員の変 化なんかもおわかりになるのかもしれませんが、なかなかその辺の部分もできてこない ところがあって、研修全体、今まで座学だったものがワークショップ的なものも随分強 調されるようになってきてという変化がありますから、ここで細かいことは議論できま せんけれども、そういう研修システムのあり方、内容のあり方も考えたらいいかと思い ます。 ○西澤委員  もう一度、研修の話に戻ってしまうのですが、私は東京都の方の中堅現任訓練という 研修を、現在はステップアップ研修というふうに変わっているのですけれども、養護施 設の職員の現任訓練ですが、10年近くやらせていただいておりまして、今、大体、合計 で2泊3日と1泊2日というのを5日間をやるんですね。これは比較的まとまってでき るんですけれども、例えば別の地方公共団体で呼ばれますと、地元の社会福祉協議会の 関係で呼ばれますと、1日だけというところも珍しくないのですね。そうすると、都市 部ではかなり養成にお金がかかっているけれども、地方に行けば行くほどお金はかかっ ていないというよう状況になって、ばらつきがすごく大きいということが一つある。  ただ、全国の調査をしてみますと、養護施設に占める虐待の割合はそんなに変わらな いということで、そこで格差が起こってしまうという問題が1点はあると思います。  もう一つは、内容的な部分なんですが、2泊3日くらいにして組んであると、偉い先 生というと語弊がありますけれども、あまり現場をご存じのない大学の、私も大学の教 員ですが、先生を取っかえ引っかえ、日替わりメニューみたいに入れて、勉強しました と。それを先生はさっき座学とおっしゃいましたけれども、というようなものになって いて、実際にここに来ている現場の人たちは、子どもが癇癪、パニックを起こしたらど う対応したらいいんだとか、自傷行為をしているときにはどうすればいいんだ、夜、援 助交際に出るときはどうしたらいいんだみたいな、本当にインシデントに対してどう対 応するとかいうノウハウを求めている。そこの格差もあるんです。  さっき、僕はケア技術といいましたけれども、そういうようなケア技術をどうやって 教えていくかというようなプログラムはとても大事だろうというふうに思っています。 だから、そういうものを整備していくという方向でいかないとだめだろう。  ちょっと長く話してしまって恐縮なんですが、そういったクオリティコントロールの 一環として加賀美先生等が中心になって数年前に全養協の方で子どもが癇癪を起こした らどう対応しましょうかというようなビデオと教則本をつくったというのがあるのです ね。あれは僕はかなりいいものだろうと思っていて、ああいうものをもっと細かに、い ろいろな局面に応じたそういったものをつくっていくことで全国の研修のクオリティの コントロールができるのではないかというふうに思っています。 ○松原委員長  ありがとうございました。1時間ほど話をしてきましたので、7番目の方で、その他 のところに1つだけ丸が入っていまして、「学校教育との連携」ということが入ってい ますが、その他のところであげておくべき項目があればあげていただきたいのですが、 いかがでしょうか。 ○高橋委員  サービス評価のところでやはり議論しておかなければならないのは、今、評価業者が 相当登録されておりますけれども、残念ながら児童養護施設で評価を受けようとする施 設の数は本当に稀な状態です。これは、予算の問題があります。1回受けるのに60万以 上のお金がかかるわけですから、そのお金を捻出するということも大変なことなのです けれども、それと同時に評価者が果たして養護施設のことをよく知っているのかどうか という、そういう不安を相当持っているんですね。  この中にも評価員の先生方がいらっしゃいますけれども、そういう先生が率先して養 護施設のことについて、評価委員の研修などをされる必要があろうと思うんです。そう しないと、出た結果がインターネットでまた公表されていくということは、その施設を 必ずしも適正に評価したことにならないのではないか。要するに、受けた側が不満があ るということは適切ではないということになると思うので、そんなふうなことも受け方 も研修する必要がありますし、それから評価する側の方の研修も必要であろうと。  せっかくこういう制度ができて、社会福祉法で義務づけていくわけですから、これは 里親に対してもこれからやっていくということですので、公費が入っているところは当 然社会に対して知らせていく必要があるということからすれば、適正にこういう制度が 運営されるように考える必要があるのではないかと思います。 ○奥山委員  質の向上ということで、最後に一つだけ。  どうもこれまでの議論の中で悪いものをなくそうということが中心なのですが、50年 間、ほとんど変わってこなかったという問題をもう一度考え直さなければいけないだろ うと思うのです。イノベーションが起きてこないようなシステムだったということがあ るのではないかと思うんです。非常にシステムが固くて、「うちではこうやってみよう 」と思っても、そこにお金がつかないというシステム。それがあれば悪い方にいってし まうのは目に見えています。自分たちはこれだけ努力してこうやりましたということに 対して、評価がなされて、そこにお金がつくようなシステムをつくっておかない限り、 今、一番いいだろうと思うのをつくっても、また次の50年間何も変わらずにいってしま うということになりかねない問題です。社会が休息に変化していっている中で、どうい うふうにイノベーションを促進していくのか、そこの手当をどうするのかというシステ ムをきちんと考えておかないと、社会的養護の質の向上につながらないのではないだろ うかと思います。 ○松原委員長  ありがとうございました。恐らく後半部分のところにもかかわるお話だと思います。 ただ、まさに質の向上にかかわる問題、質の向上に、そういう努力に見合う何かシステ ムということが必要だというご発言だと思うので、これはまた後で議論を提起させてい ただきたいと思います。  では、6、7あわせてほかにご発言がありますか。 ○西澤委員  休暇をとった後なのでちょっと元気になってしまいまして、いっぱいしゃべって申し わけないのですが、2つありまして、1つはここにアフターケアということが出ている のですが、僕はあまりアフターケアという言葉は好きではなくて、別に言葉に対する好 みの問題ではないのですが、実際、施設で18歳として、そこからおうちに帰らずに社会 的自立をしていくというのは非常に困難です。実際、援助なしにやれる子どもというの はほとんどいない。しかし、それは施設のアフターケアとしてできるかというと、もっ とソーシャルワーク的な仕事が出てくるわけです。  施設というのは、ケアワークということでは専門性が求められているというか、ある 程度担保されているかもしれませんが、どうしてもソーシャルワークという観点はまだ 抜けている。もちろん、ファミリーソーシャルワーカー等の配置ということは文言に 入っていますので、その部分でカバーするのだと言われればそれでいいのかもしれませ んが、今のところ、例えば私などが子どもを見ていて、子どもが18、19、20で出ていっ たときに、あとどこに頼もうかというと、例えば保健所に頼んで、精神保健相談員に頼 んでいるとか、あるいは知的障害、例えばボーダー級の知能であれば、知的障害の地域 生活をサポートするNPOに頼むとか、他資源を利用しているのですね。  例えば、保健所のPSWにとっても、施設で生活してきた子どものことってよくわか らない部分があって、結果的にこぼれ落ちてしまうということが起こってしまうので、 できれば何らかの形でそういう施設から出て、その後の数年間、ソーシャルワーカーが サポートできるような、NPOでも何でもいいのですが、そういう機関があればとても 助かるなというふうに今実際に現場でやっていて思っています。  それはアフターケアというふうに考えるよりは、その後のソーシャルワーク的なサポ ートをどう保証するかということなのかなというふうに思います。  それから、その他のところで「学校との連携」というふうに言われていまして、これ はどういう意味で書かれているのかよくわかっていないのですけれども、多分、双方向 性だと思っているのですね。一つは、やはり施設の中に学校教育の、実際に学校に行け ない子どもがたくさんいるわけで、そういう子どもに対しての学校教育という部分の保 障は今のところないわけです。そういう子どもに対して、例えば施設のケアワーカーが 一生懸命学習指導をするということで実際にケアワークしている時間よりも学習時間の 方が長いかもしれないという矛盾が起こっている。その部分をどういうふうに保障して いくか。例えば情短だったら院内学級が認められているんだけれども、養護の場合だっ たらそれはどうなのかみたいな検討、僕はその辺、制度的なことは知らないのですが、 そういうこともあってもいいのかもしれないと思ったりします。  もう一方、学校側の方も、例えばある市町村の教育委員会で教職員向けの虐待研修を やったら、その市町村は800 人の教員がいるんだけれども、500 人が来たというよう な、そういうふうな事態になっているのですね。学校の現場の先生たちも虐待を受けた 子どもたにどう対応していいかわからないというような状況になっていて、そういうふ うなノウハウをこちら側が学校に提供するという、そういう部分での連携。  だから、双方向性の連携というのを考えていく必要があるのだろうというふうに思っ ています。 ○松原委員長  ありがとうございます。少し年長児の話が出まして、多分、6番とか7番にかかわっ て、武田委員、何かご発言ありますか。 ○武田委員  前回、大体出たような気がしたので、私、特に言わなかったのですけれども、今、西 澤さんがおっしゃったことも前回、施設であれ、里親であれ、やはりかかわった人が10 代から20代にかけての困った状況に対して助言ができたり、一緒に動いたりということ ができるので、ほかの機関にもし預けたり頼んだとしても、ゼロからスタートするとい うことを彼らを非常にものおじするというか、できないですね。  ですから、施設のかかわった職員の中で動けるような体制をつくるという意味では、 ずっと昔からアフターケア担当の職員をというようなことを言われ続けて、実際にはさ れていなくて、結果的にはベテランの職員の人がかかわり続けるということになってい るのだと思うのですけれども、そうすると、最初に言ったかもしれないのですが、施設 の定員という考え方で職員を配置するのではなくて、かかわった子どもの数に応じて職 員を増やすというふうな発想をしない限り、こぼしていくことになってしまうだろう。 それがソーシャルワークなのではないかというふうに思います。 ○西澤委員  それはもちろんそうなんです。だから、そちらの方の拡充はファミリーソーシャルワ ーカーとかの配置とか、おっしゃるとおり最低基準の見直しということにつながってい くと思うのですけれども、一方で、社会の方の側にもそういう機関があって連携できれ ばいいなと。  ある意味で、施設というのは閉じられた空間になってしまうというか、人間関係的に も、だから施設の職員がしゃかりきになってサポートしていくだけではなくて、社会の 方もそれを受けていく。例えば、私たちの施設の職員だったら、保健所のワーカーさん と連携しながら一人の子どもを見ていくわけですね。その場合に、保健所も使われても いいんだけれども、そういうサポート機関も一緒に連携していけるみたいな、そういう ふうな二重のかかわりのイメージというのがどうしても頭にあるので、そういうふうに 言わせていただきました。 ○松原委員長  では、中田委員、奥山委員。 ○中田委員  今の関連でお話しをしたいと思うのですけれども、今の仕組み自体は、特定の課題が あるから、その仕組みに合う人を何らか行政的に救っていこうということなのですが、 実践をやっている者の方から見れば、こういう課題にはこういうプログラムをつくりた い、これを行政的にかってほしいという考え方を出せば、かなり柔軟に今の仕組みの中 でもやれることがいっぱいあると思うのですね。  足りない部分というのは、そういう柔軟性を持った仕組みができれば、いろいろなこ とができていけるのではないか。私たち、実際、大阪市の施設でいろいろな調査をやっ て、いわゆるリービングケアの一つとして施設の中におるときにどの程度のことを子ど もたちにやったら、職員の方が安心して出せるということをある程度のものができてい るのですが、これはだれからもかってもらえませんから、今の中では職員が努力するだ けということになっていますのでね。  ですから、別の意味の措置をきちんとできるプログラムについては、そのプログラム をかってくれる仕組みができればいいのだろうというふうに思っています。  西澤さん、盛んに個人的な体験をおっしゃっているけれども、施設の職員を長くやっ ていても、一つのパターンでいける子どもというのはめったに出会わないんですね。そ れが体系的にできることというのは私は非常に少ないのではないかと。今の施設を見て いると、自分のところしかわかりませんが、波がありまして、ある時期にはこういう課 題がいっぱい出てくるし、ある時期には別に振れてくるしということで、そうなってく ると施設の中で専門性なんてということを一体どこまで、だれが言えるのかといつも思 うんです。  だから、その場面を何とかクリアできることをいろいろな社会資源も含めて、今、現 実にやっているわけですから、自分たちの領域でないことに他人の力を借りることは必 要であって、今の施設がいいとは別に言いませんけれども、そういうことも少し考えて いただきたいということと、それから全然話されていないことで、これだけ学卒の若い 人を毎年採用するという就労の採用構造というのは、社会的に見て、私はおかしいと 思っています。あるとき新聞記事を見ていたら、関西の企業で大学の新卒を100 人雇っ たのは上場企業で何社あるかみたいな記事があったのですが、よく考えたら、児童養護 施設が近畿で94カ所あるわけですね。新卒を100 人くらい毎年雇っているわけです。あ る面では貢献をしているんだけれども、社会的なそれだけの評価があるかというと、な さそうですから、今の若年の学卒の特定の年齢を限った就労しかできない構造もあわせ て考えないと、かなり経験を要するような事例なり、経験を蓄積していくのが実践だろ うと思うので、そういう就労構造も少し変えていかなければいけないのだと思っていま す。 ○松原委員長  ありがとうございました。奥山委員、どうぞ。 ○奥山委員  一言だけ。別の研究会で話題になり、ここにもちょっと右側の方に書いてあるのです が、「自立援助里親」の様な制度が欲しいと思います。言ってみれば昔の親方さんで、 住み込みで働かせていたというのは今はほとんどなくなっている状況で、そういう中で 仕事をサポートしながら見てくれるような里親というのも一つ制度としては考えてもい いというのを付け加えておこうかと思います。 ○加賀美委員  既に1〜5のところでも語られたというふうに思ってはいるのですが、ただこの自立 ということについて、出口のところの議論が中心になってきたというところを大変気に なっているので、ちょっとそこのところを押さえておきたいなと。  自立というのはインケアの中で、先ほど四方先生の方から基盤整備の問題で研修のこ ともあったわけですけれども、その基盤整備ができて、人と人との関係がきちんと取り 組まれるようなインケアがあれば、まず基本的な自立のところのベースがつくられると いうことを忘れてはいけないというふうに思いますので、社会的養護の質というところ のプログラムの話ですから、そこのところがまず大事だろうと。  もとへ戻すならば、インケアの中でのきちんとした人との関係性、そういったところ が体験できるような、人の質と量の問題、これを押さえた上でのアフターケアなり、自 立支援プログラムだろうと、そんなふうに思いますので、一応、申し上げておきます。 ○庄司委員長代理  全く賛成で、それは多分かなり早い時期から長期にわたってやっていかないと、充実 しないということだと思います。 ○松原委員長  ありがとうございました。ちょうど、今、加賀美委員がそれは1〜5にもかかわって 議論をしてきたところだというご発言もありました。後半で、目指すべき社会的養護の 構想ということでお話をする前に、1をやり、2、3、4、5やり、きょう6、7を やったのですが、それぞれの回でまだ話し残した、戻りたいというお考えもおありかと 思いますので、全体的なお話をする前に、主な検討課題の1〜7まで、もう一回私の方 でこの柱に沿ってオープンにしますので、ここで指摘し忘れたこと、あるいはこの資料 の2の箱の中にもう少しこんなことを付け加えておきたいというようなこと、コメント をいただいてから、全体的な構想のお話に移りたいと思うので、6、7という柱を外し まして、1〜7の柱までどこでも結構なのですけれども、この点で指摘をし残している ということがあったらご意見をいただきたい。奥山委員、お願いします。 ○奥山委員  7のときに6の話をして申しわけなかったのですけれども、7の方で、一番最初のと きにちょっとお話をしたのですけれども、障害を持っているお子さんであるとか、特殊 なニードを持っているお子さんのケアということをどういうふうに考えていくかという のを一つ入れていただきたいなというふうに思っています。 ○松原委員長  ほかにいかがでしょうか。四方委員、どうぞ。 ○四方委員  前回申し上げたのですが、非常に難しい処遇といいますか、ケアのお子さんがいらっ しゃる。これは全般にわたって難しいことは難しいのですけれども、しかし特別難しい お子さんがいらっしゃるわけですね。  治療機能ということが非常に重要になってくるわけなんですが、福祉体系の中で今児 童自立支援施設も一方ではあるのですが、情短の担っている役割というのがあろうかと 思います。しかし、私は、これは本当に長年やってまいりまして、やはり情短の機能そ のものも私は非常に曖昧であろうと思っております。  少なくともいろいろな点でそうなので厚生労働省の方にも要望事項が情短協 から出 ているとは思いますが、これは情短協の問題ではなくて、社会的養護全体の中における 非常に難しい子どもを担っていかなければいけない部分ということを少し考えていただ きたいと思っています。  1つは、法的な整備でもあろうと思うのですが、どうしても医療関与が直接的にも必 要なお子さんがいらっしゃるわけで、医師の配置が一応明文化されてはあるのですが、 役割が十分に果たせているかというと、そうでないように思っています。  そんなこともありますし、もう一つは質の問題で、今、17施設あったのが次々できて いまして、この4月1日までに22になって、ことしは26くらいまでいくのでしょうか。 多分、そうだろうと思いますが、この施設の質を社会的養護全体を考える中で、きちん といいものをつくっていくサポートをしていかなければいけないのではないかと考えて おりまして、虹センターの研修などは、それのほんの少しはできるかと思いますが、そ れではなかなか追いつかないですね。  まずは、法的な整備が一つと、新しくできていく施設の役割というものを、これは各 地域でうんと考えられなければいけない、各地域の行政もこのことに目を向けていただ きたいですね。その中では児童相談所でしょう。是非育てていただかなければいけない と思いますし、周りのサポートが大変必要な機関ではないかと思っています。 ○松原委員長  ありがとうございました。ほかに。兜森委員、お願いします。 ○兜森委員  今までの議論のどの部分に属するのか、私も判断つきかねていたのですが、この委員 会が社会養護のあり方に関することを議論するということでございますので、しかも既 存の枠組みとか制度とか、そういったものにとらわれることなくというただし書きもい ただいておりますので、申し述べさせていただきたいのですが、今までの議論を伺って 考えてみますと、施設養護か在宅かという、大きく分けてこの2つの選択肢の中で進ん できたのかなというふうに思うわけです。  ところが、在宅というケアシステムということになると、市町村の役割とか機能が随 分担保されると申しますか、強化されてこないと、なかなかその役割分担がきちんとさ れないと機能しないだろうという向きもありますし、あるいはNPOとか、そういった 社会資源の活用ということもあるのではないか。いずれ、そういったことを総合的に考 えてシステム化をしていかないと、難しい問題があるだろうというふうに思うわけで す。  また、施設養護については、今まで十分議論され尽くしてきたと思うわけですけれど も、ただ私が気になるのはこの中間点ということをどこかで織り込んでいただく必要は ないだろうということなんです。つまり、私は既存の体系でいうと母子生活支援施設の 職員でございますので、母子生活支援施設のことを考えてみますと、まさに中間点みた いな形の機能も持っているわけですね。中間点という意味は、その中で日常のアセスメ ントができていたり、あるいはそのアセスメントによって、親子の分離が図られていっ たり、また再構築が行われたりということがあるわけでございまして、その辺の位置づ けも全体の枠組みの中では必要なのではないだろうかと考える次第です。 ○松原委員長  ありがとうございます。二分法ではなくて、多分、通所とか宿泊とか親子入所という ような形の社会的養護のあり方もあるのではないかというご発言だったかと思います。 ○庄司委員長代理  先ほどの奥山委員、四方委員の話にもかかわりますけれども、後で議論するのでしょ うけれども、この資料3を見て、障害に対するケアは別途検討するというふうになって しまっているところがちょっと気になっていて、乳児院には実際にはかなり重篤な子ど もも含めて障害あるいは医療の必要な子どもが現実入っているということもあります し、また里親に委託される子どもも知的障害等、あるいはボーダーラインレベルの子ど もというのは決して少なくないわけで、精神科だけでなく医療機関についても視野に入 れる必要があるかなというふうに思います。  それから、先ほどの加賀美委員のお話にもありましたけれども、今回は自立というと ころにかなり重きがあるような気がしますけれども、乳幼児時期からの養護の質を向上 することが自立にもつながっていくということは忘れてはいけないと思いますし、その 一点は最初のときに言ったと思いますけれども。もう一つ今の兜森委員の話にもかかわ りますが、施設養護と家庭的養護は2と3であがっているのですけれども、これを後の 方ではきっとあわせてということになると思いますが、分断するのではなく、一緒に視 野に入れて検討してほしい。特に、研修の話がありましたけれども、研修なども施設職 員への研修と、それから里親への研修が相互乗り入れくらいにならないと、互いの不信 感みたいなものはいつまでたってもとれないのではないかというふうに思います。 ○松原委員長  兜森委員、お願いします。 ○兜森委員  さっき申し忘れたのですが、もう一つ、これは虐待の防止とか予防的なこととも関連 してきますけれども、実は周産期ケアというのが一つあるのだろうと思うのです。特 に、乳児関係の方はその辺を切実に考えておられるのではないかと思うんですが、母子 の場合も全く同じでございまして、制度的にはございませんけれども、今は単身の女性 も保護できるというシステムが母子の場合とられているわけです。  その中で、妊娠をして臨月の入所もあるわけですね。そのときに助産施設の利用だけ ではなくて、家庭的な雰囲気の中で、出産期あるいは妊娠後期だとか、それから産褥期 等に対するきちんとした、実家のようなケアができているというのが母子生活支援施設 の機能の一つだと思います。  そういった中で、どこが虐待の保護とかということに結びついていくかということに なるわけですが、若い母親の中には子どもに対する愛着だとか、なかなか難しい方がい らっしゃるわけですね。そういう中で、母子生活支援施設あるいは乳児もそうなんで しょうけれども、いわゆるマザリングの機会を持つことができるわけです。そのことに よって、正常な母子関係、親子関係が築かれることができて、子どもにとっても愛着対 象がきちんとできていく。人生のスタートの一番ベースになる基本的な部分の欲求が満 たされていくというようなことも期待できる。期待できるというよりも、実際にあるわ けでございますけれども、その辺の仕組みもできれば取り入れていただければいいので はないかと思います。 ○松原委員長  何点か出していただきたいので、ランダムでいいです。奥山委員、どうぞ。 ○奥山委員  先ほどの徳地委員や四方委員のご発言にもありましたように、医療が必要なお子さん というのは非常に増えているということがあります。さっき庄司先生がおっしゃいまし た、乳児院は医療併設型乳児院というのがまだ結構あって、医療と福祉がある程度併設 されていますが、合体はしていないという現実があります。体のことばかりが割と優先 になってきてしまっていて、いわゆるインファントメンタルヘルスといいますか、乳幼 児の精神的な問題へのケアというのはそれほど進んでいないのが現状だと思います。  乳児院以外では、かつて虚弱児施設というのがあって、医療併設型というのは結構が あったと思うんですけれども、今は虚弱児が廃止されました。また、情短というのは基 本的には福祉施設に医者がいるという形になっています。つまり、医療的ケアと福祉的 ケアが一緒になっているわけではないのです。福祉的ケアの中に医者が入って、それを 見ているという形が主だと思うんですね。外来では持っているところはありますが、病 棟のような形はとれていない。  看護のケアというのもないし、生活のケアをする福祉と、福祉保育士と医療的なケア をする看護師と、そういうケアが両方受けられている体制ではないのです。  今後、さっきおっしゃったような重篤なお子さんに関しては、医療的ケアと、福祉的 ケア、つまりm生活上のケアが同時に受けられるような場所がないと非常に難しいので はないかと思います。 ○松原委員長  ちょっと後半の話ですが、四方委員、どうぞ。 ○四方委員  奥山先生がおっしゃってくださいましたので、付け加えることもないのですが、実に そのあたりのことが法的にもっときちんとされないと、現実には非常に中途半端な状態 であろうと私は思っております。 ○松原委員長  1から7にかけてそのほかよろしいですか。 ○安達委員  メモをつけておりますが、治療機能のところで話がチラチラ出てきたのでここでお話 ししたいと思うのですけれども、24時間体制ということで、アレルギー疾患や食事治療 が個別的にできるということで、乳児の場合におきましては離乳食も含めて正しい食事 観といいますか、そういうものも身につけられるという意味で、食の重要性ということ を言っておきたいと思います。  それから、3番目のところに少し書いておりますが、先ほど権利擁護ということが話 になっておりました。子どもは社会的に擁護される権利があるだろうと思うんです。権 利があるという以上は、選択ができるという制度が必要であろうと思っております。で も、地方では子ども側から選択ができないというような、施設が少ないということもご ざいまして、そういうことになろうと思いますが、後にも関係すると思いますけれど も、やはりそうした受け皿を幅広い専門性といいますか、そういうことで地方にはより 求められるのではなかろうかというように思います。 ○松原委員長  ありがとうございます。きょうは、幾つか、今までもう出ていましたけれども、種別 の施設の話が出ていたのですが、1から7の議論をする中で、あまり児童家庭支援セン ターの話が出ていなかったように思うのですが、何かそのことについてご発言があれ ば。加賀美委員、お願いします。 ○加賀美委員  全養協 がまとめた「近未来像II」については、後でお話をさせていただこうと思っ ていたので、きょうメモは出してあるのですが、その中でも触れておりますので、今、 せっかくのお話がございましたから、児童家庭支援センターについて、全養協があげて おります児童家庭支援センターの役割についてはまた後ほどということで、いずれにし ましても、これからの社会的養護というふうなところで、前回、前々回あたりでも私申 し上げたのですが、いわゆる一般子育て等、従来の社会的養護の子どもたちとの間にあ るグレーゾーン児の増加といったところを考えていくときに、そういう子どもたちも含 めて社会的養護のシステムを展開していく必要があるという中で、重要なリソースに なっていくのは児童家庭支援センターだろうと。特に、在宅している子どもたちの中の ハイリスクの子どもたちを支援するということになりますと、やはり居住型児童福祉施 設に附置する児童家庭支援センターの役割というのはさまざまな意味で、これまで持っ ている、培ってきた養育のノウハウも含めて、それから今現状の児童家庭支援センター の機能整備等を充実していくということがあくまでも前提ではありますけれども、24時 間対応型の支援をできるという可能性を持っているのは児童家庭支援センターだろう と。  そういうふうなことでございますので、この増設の問題ともう一つは市町村レベルで の設置の問題、市町村との連携した在宅支援型サービスというふうに展開していく必要 があるだろう。もう一つは、配置の問題を考えていくときに、ある程度の福祉圏を想定 した配置といったことも、増設の中の条件として検討していく必要があるのではないか と思っております。 ○松原委員長  ありがとうございます。目指すべき社会的養護の構想ということで、そちらの議論に 入りたいのですが、5時までできょう長丁場ですので、若干休憩を挟んで再開したいと 思います。再開後はまたご自由に発言していただいて結構なのですが、枠組みにとらわ れずというお話をさせていただきました。もちろんベースはそれぞれの特に施設出身か ら現場をお持ちの先生方はそれぞれの種別が出していらっしゃる将来構想もおありにな るかと思いますが、それを踏まえた上で自由なご議論をしていただければというふうに 思います。それでは、45分まで休憩にさせていただいて、 3時45分、再開にしたいと思 います。                  〔休憩・再開〕 ○松原委員長  再開させていただきたいと思います。  児童福祉法の改正の時点でいろいろ議論がありましたものを参考にしたり、事務局の 方から説明がありましたけれども、出されたさまざまな研究等の成果を踏まえて、この 委員会も必要な回数はやるべきだと思いますけれども、そう長くいつまでもというわけ にいきませんので、目指すべき社会的養護の構想ということで、先ほど説明がありまし た参考1、参考2というものを私と事務局の方で協議しながら作成をいたしました。こ れあたりを参考にしながら、先ほど事務局からありましたように、これで何かというこ とではなくて、あくまでも議論をしていく上での参考ということで示してみましたの で、こんなものも参考にしながら議論をしていきたいというふうに思いますが、どなた からでも。 ○唐沢課長  少しだけ補足させていただきたいと思います。  今、委員長からお話をいただきましたように、この参考1、参考2というのはこれま でいろいろな研究会などで発表をした構想などを私どもの方で整理して、委員長のご指 示をいただきながら、何もないと議論になりませんのでこういうものを整理させていた だいておるということでございます。  だから、これにするということではありませんし、例えばある構想を実現していくこ とにはかなりの時間がかかりますので、あしたからすぐこうなるということではないと いうことも先生方十分ご承知だと思いますが、念のため、それを申し添えさせていただ きます。  それから、もう1点だけ、恐縮ですが、資料3の要保護児童に対する主なケア機関と いうのがありますが、これは現在のケア機関を整備したものでございますので、これが 望ましいということではなくて、今、大体こんなところで受けているのではないかとい うことで整理したものだということでご理解いただきたいと思います。以上でございま す。 ○松原委員長  という唐沢課長からご説明をいただいた上で、それは確認したということで、あとは ご自由に発言いただきたいと思います。奥山委員、それから兜森委員の順番でお願いし ます。 ○奥山委員  資料3の方は、前回、私が言ったことが発端なのでちょっとコメントを先に付け加え させていただければと思います。  基本的に、右側の大きい方が先ほど来出ている自立の後が、20歳となっていますけれ ども、養護施設とかそちらの方はほとんど18歳ということですね。  そちらから後がほとんどないという問題と、それからもう一つ、私が非常に気にして いるのは、先ほど庄司委員の方からも話がありました、非常に重要な乳幼児のメンタル ヘルスの部分が非常に欠けているのではないかという点です。情短施設の方も、たしか 一番最初の資料では幼児さんは全国で一人か二人しか入っていないという状態で、やは り大きい子どもたちの問題を予防していこうと考えたときは、3歳までに何とかしなく てはなりません。  例えば、ゼロ歳でも1歳でも、トラウマを受けた子どもがフラッシュバックしている 状態は往々にしてあるのですけれども、それをフラッシュバックとしてとらえて、対応 しているかどうかということに関しては甚だ疑問がです。小さいからパニックになって いても「よしよし」で何とかなるかということで終わっていって、その背景まで見れて いないということが結構がある。特に、愛着の問題、それから自分をうまくコントロー ルできるかできないかとか、そういった問題をどうとらえて、どう対応していくかとい うことがやはり0歳から、少なくとも乳幼児期、つまり小学校にあがるまでの間にかな りのところがなされなければならないのだろうと思うのですけれども、そこの部分を強 化していかなければならないと思います。  その2つの部分が現状ではかなり抜けているのではないかなというふうに思うのと、 先ほど四方先生がおっしゃってくださった、一番下の一番大変なゼロから20歳までの部 分というのがなかなか難しいところがあるということを指摘しておきたいと思います。 ○松原委員長  ご指摘を踏まえて、いかがですか。全体的な目指すべき社会的養護ということで何か 加えて奥山委員の方でコメントがありますか。 ○奥山委員  これ、2つ、別々と考えなくてもいいのではないかと。  誤解していたら申しわけないと思うのですが、参考2の養護系施設というところに児 童福祉施設(センター構想)というあたりが入っていって、合体したような形でもいい のかなと思います。もうちょっと見てから詳しく。 ○松原委員長  では、兜森委員が手を挙げていらっしゃったので。 ○兜森委員  私の方は簡単な、訂正の依頼と思うのですが、資料3をちょうだいして眺めさせてい ただきましたら、左側のところの「適切な養育」の行の14〜20歳のところに「母子生活 支援施設」が抜けているんです。この意図するところはちょっとよくわからないのです が、法律上も基本的には18歳、事情があれば20歳までということで入っておりますの で、母子生活支援施設はこの中にも入ってくるのかなと考えております。  それから、「適切な養育」とその下の「心理的ケア」のところも含めて、心理的なケ アというのがどういう概念かちょっとわからないのですが、仮に心理療法士の配置対象 施設であるとすれば、ここのところにもずっと入っていくのかなと思いますが。 ○松原委員長  後で事務局で調整させていただきます。 ○唐沢課長  すみません、これは議論を呼ぶようにつくってありますので。  これは14〜20歳のところ、もちろん母子生活支援施設の方、いらっしゃるのですが、 主には小さい方のお子さんが多いだろうということで、それで「主な」というふうにつ いているということでございます。  例えば、先ほどの乳幼児のメンタルのところも、情短には入ってくるお子さんに年齢 の制限はありませんので、制度的にはそこもないとは言えないんですけれども、その辺 のところをどう考えていくかということです。母子の方はもう少し人数が多いと思いま すので、また表については考えたいと思います。  それから、心理的なケアと心理治療、要医療のところをどういうふうに区別をするか というところは、むしろ奥山先生や四方先生にご指摘いただきたいと思うのですが、私 どもの方は何もないといけないので、ここの心理的ケアというのは心理士を一人配置し ている程度の対応はできると。それから、心理治療のところは、もう少し組織立って、 チームで対応できるような形というイメージでございます。  それから、要医療になるともう少し医療性が強く、医療モデル的に治療内容にコミッ トできるようなということで、とりあえずつくってみたということでございます。以上 でございます。 ○松原委員長  唐沢課長がおっしゃったように、ある主の現状認識なので、この後どうするかという ことについては、これはもう一つの素材ですので、そういう意味合いで先ほど私が奥山 委員に質問しましたように、社会的養護はどういうものを目指すべきなのかということ でまたご意見をいただきたいと思います。加賀美委員、手を挙げていらっしゃいました ので、どうぞお願いします。 ○加賀美委員  全養協でつくった「近未来像II」につきましては、既に皆さん、お手元に小冊子をお 配りして、お読みいただいているので屋上屋を重ねることになるのかもしれませんが、 きょうの全体の議論というふうなところで、とりあえずそこのところについてはお話を させていただければと思いまして、実は簡単な資料をまとめてありまして、概要という ふうなことでお手元にお配りさせていただいたところでございます。  この資料をもとに、全体を少し説明させていただければと思います。若干、お時間を いただきたいと思います。  まず、1ページの「子育て支援システムの改革の必要性」というところにつきまして は、これも先ほど申し上げたとおり、グレーゾーン児の増大というところで、社会的養 護のあり方そのものが今問われているというところの整理でございますので、このとこ ろはそういうことで改めて子育て支援システムを改革していく必要があるのだという、 そういうもとになっている部分を要約してみたものでございます。  それから、2につきましては、「子育て支援システム改革の方向」として、大きく幾 つかの丸をあげておりますので、ここにつきましては現在の次世代育成支援対策推進法 等の絡みで社会的養護サービスの計画化、特に私たちの願いである社会的養護にかかる 予算につきましても飛躍的な拡大が必要なところにきているというふうなことで、社会 資本整備をしていっていただきたい。そのためにも、社会的養護の10カ年戦略といった ものを策定して、次世代育成支援対策推進法の中に位置づけていっていただきたいとい うようなことがここに書かれておるものでございます。  そのためにも、ここでは子ども一人ひとりの社会的養護の支援をどう進めるかという 基本的なところに立つと、近未来像のところでまず第1にあげたのが最適なケアを保障 するためのアセスメントの必要性というところで、従来ある、虐待を受けた子ども等の リスクアセスメントに加えて、社会的なサービス、つまりケースマネジメントを進めて いく上のもとになるアセスメント体制といったものをどうつくるかというのは、これは 先ほどからも、あるいはこの会でずっと話し合われていることでありますけれども、そ のことを取り上げております。  そこで、先ほどの資料3と絡むところでございますが、今回の社会的養護の体系の問 題についての一つの提起として、居住型社会的養護サービスの再編ということを少し絵 に書いてございます。これは、ある意味でこの資料参考2でまとめていただいている部 分とかなりダブッている部分、それから先ほどの奥山先生の乳幼児の心理あるいは医療 のケアのところの抜け落ちの部分、それから20歳以上の子どもたちというか、青年の支 援のところを含めて、このような形で、一つは従来ある居住型社会的養護サービスを大 きく3つのイメージで括っております。もちろん、ここに至るまでのプロセスはさまざ まに総合化したり、統合化したり、いろいろなことがこれから行われながらいかなけれ ばならないとしても、最終的なところのイメージとしては、ここにある児童養護系ある いは乳児養護あるいは母子養護系の従来の家庭代替型といいますか、そういった子ども たちのプログラムと、その右側がいわゆる治療系、その中に児童養護系、乳児養護系あ るいは情緒障害児あるいは児童自立支援施設系といったような、そういう子どもたちの プログラムを持った施設系を一つまとめていく必要があるだろう。  それから、そのほかに子どもの自立支援といったことを目指した自立支援プログラム を持った児童養護系あるいは高齢児の自立支援系、自立援助ホーム等も含めたプログラ ムをここにひとまとめにしている。およそ3つのようなグループを総称して「社会的養 護施設」というふうな取り分け方でまとめたものでございます。  その下に書いております、これらはあくまでも適切なアセスメントの実施が前提であ ると。さらに、子どもが抱える課題に応じた保護単価、費用負担が設定される必要があ るといったようなこともここで提起しておるところでございます。  それから、児童養護施設につきましては、これまでもずっとあげていただいておりま すが、ケアの個別化とケア単位の小規模化の問題でございます。これは、またここであ えて申し上げるまでもなく、子どもの自立支援といったことを担保できるような、子ど も一人ひとりの発達段階あるいは発達課題に応じた援助、自立支援といったことが図ら れるためにも、ケアの個別化といったこと、それから施設の小規模化といったことをあ げております。  その中でも、特にケアを個別化し、あるいは小規模化していくというところで、自立 支援とつながるところでインケアというふうに考えたときに、先ほど来申し上げた自立 といったことを本質的なところで目指していくための人間関係の場、そういったものを 設定していく必要があるということから、職員の質・量的保障といったことが一番課題 になってくるというふうにまとめております。  それから、小規模化へのプログラムの道筋として、ここに書いてあるもの、これは一 つの例として児童養護施設約70%ほどが大舎制の施設でございます。その施設をどう小 さい形にしていくのかという一つの流れとして取り上げたものでございます。現在の大 舎の養護形態をまずユニットケア、これは老人のところでいうユニットケアというイメ ージよりも、むしろいわゆるそれぞれが独立した食・住をできるようなユニットにまず 大舎制の中で割って、そこで職員のスキルの問題もそれから生活の形態や何かもトレー ニングしながら、さらにそれを小さい形で分散化していくという流れを想定した図でご ざいます。  それから、先ほど申し上げた児童家庭支援センターについても未来像ではこれからの 社会的養護のあり方のところで一番重要な役割を担うところだというふうなことについ ては、先ほどるる申し上げたところでございます。  最後に、5ページの児童養護施設の将来構想につきましては、ここに絵に書いてある ようなもの、つまり児童家庭支援センター等の施設を附置した基幹施設を中心にして、 それが小規模型施設あるいは里親型のグループホームであるとか、いわゆる里親あるい は地域社会の中のハイリスク家庭の在宅支援をしていくというプログラムを児童養護施 設の将来構想として絵にしたものでございます。  以上、簡単な説明をさせていただいたわけでございますけれども、これらも含めてこ れから急速にこの形に持っていくというのは大変なことでございますので、ぜひ中長期 的な社会的養護の計画を立てていただきながら、戦略を立てていただいて進めていって いただきたいという思いでございます。以上です。ありがとうございました。 ○松原委員長  何人かの委員から冒頭、それから休憩を挟んで、乳幼児期のケアの大切さということ が発言されておりますが、その点に関連しながら、メモも出していただいておりますの で、安達委員からもご発言いただきたいと思います。 ○安達委員  最初まとめて話そうと思ったものですからあれですが、ほとんどこの資料2などで乳 児院としてあるところに出ているような問題を、結局、山登りすると頂上はここら辺に いくのだろうということがありまして、下手な口を挟まん方がいいのかなと思って聞い ているのですけれども、できたら登山口を別のところから探して、メモはこの5点くら いのところで話してみようかなと思って書いております。  2点ほどは先ほど申し上げましたので、小規模化というようなことなのですが、乳児 院という施設に私おりますので、やはりそこに軸があると思うのですが、115 カ所ござ います。その中で、シングルの施設が暫定も含めまして5カ所ございます。それから、 20までの施設が43ほどありまして、約40%強、50以上の施設は12施設でございまして、 10%程度という、全体的にそう大きなところでないというところですが、ただ施設の中 では担当制というものをとっておりまして、その担当制は職員一人当たり、私どものと ころでは一人が2名ということですが、大体3名くらいまでだろうというように感じて おりますし、それから昼間はグループ化をしておりますけれども、これも5、6名くら いということで、複数の職員で養育しているという状況だろうと思います。  一番、全体的に施設で多い20とか30とかいう施設につきましては、小規模化をしよ う、ユニット化をしようということになりますと、今の処遇職員の配置というものが非 常に難しいなと。それから、施設整備ということも考えていかなければいけないという ようなことで、これが望ましいではなかろうかということで全国的にいろいろな施設が やってはおられますけれども、まだ全体的なところまでいっていないという現状で、望 ましいということであれば、アセスメントにも関係しますけれども、少し年齢が高くな った子どもさんはそういうところでやっていけばいいのかなと。中田先生がいらっしゃ いますけれども、先生のところはすごくそういうことを試みていらっしゃいまして、非 常に皆さんが注目しているところでございます。ああいうことが実際、20、30の施設で できたらいいなというように思います。  それから、ケアの連続性のアセスメントのこと、これが大変重要だということを申し 上げておきたいと思います。年齢的にはいろいろな子どもがいますので、柔軟に対応し ていただくということが必要ではなかろうかというように思います。  それから、里親制度ということで、家庭的養護の範疇といいますか、柱の下なのだろ うと思うのですが、施設養護側からといいますか、乳児院の者が出しゃばって話をする 必要はないかもわかりませんが、私が考えるのは、場所を家庭ではなくて施設ではじめ るということが必要だろうと思います。  そこに専門性と愛着と書いておりますが、施設がいろいろな子どもを扱うやり方があ ります。食事の面からいろいろな面を、専門性というのはそういう意味でよく理解する といいますか、そういうことが必要でなかろうかなと。愛着を身につけるといいます か、子どもとのアタッチメントの中で家庭に帰ったといいますか、家庭に連れていった ときの段差を緩和する意味で、そこに書いております。  それから、2番目のところで、第2段階として週末里親からはじめた方がいいのでは なかろうかと思っています。これは、どうしても子どもから選べないということであり ますし、もちろん里親さんの責任といいますか、週末くらいで、例えばどこかにお出か けする、旅行に行くというような雰囲気であれば、解消しても、多少、お互いが楽では なかろうかなというように思っていますし、里親さんが普及するには、こんな楽な方法 が普及するのではなかろうかなというようなことも思います。  それから、フォローアップは、僕はちょっとあれなんですが、たしか30%くらいは家 庭から直接里親さんのところにという子どもがあるかなと思っていますけれども、そう だとすれば、もう少し施設を利用していくのも一つの方法かなと。これもアセスメント だという話になってくるのでしょうけれども、施設を有効利用して、それからレスパイ トケアというような場合にも、これだって年間7日間ということなんでしょうけれど も、これも里親さんはリフレッシュをして、そして子どもは場合によっては大きなスト レスをためるというようなこともある。これをいかに緩和していくかということで、そ の施設がその間一緒に面倒を見ていくという実情があるのかなと。これは施設だって職 員は同じなのですけれども、代替があるということが施設のいいところかなというよう に思っております。 ○松原委員長  配付された資料の後ろから2枚目に、乳幼児虐待ケアセンターというのが一つ図で提 案されているのですが、このことについて安達委員、何かコメントございますか。 ○安達委員  「21世紀の乳児院のあり方を考える特別委員会の報告」がなされておりまして、その 中に乳幼児養育センター、それから虐待ケアセンター、子育て支援センター機能を持っ てというように、方向性を示しております。それを個別個別のケアでセンターをつくる ということになりますと、これは都市型に見なければならない。先ほど申し上げました けれども、地方型という中に、こういうものをコンパクトに固めた形の中で、地方にも こういう機能が入った受け皿として、そういうかなり広い範囲になってくるかもわかり ませんけれども、必要ではなかろうかというふうに思います。 ○松原委員長  ありがとうございます。それでは、ご自由にご意見をいただきたいと思います。まず 庄司委員、手が挙がっておりますので、次に西澤委員、お願いします。 ○庄司委員長代理  今、安達委員のご説明に関して少し補足をさせていただくと、乳児院の規模、小規模 化ということが話題になっていますけれども、乳児院自体はかなり小規模なところが多 い。大きなところもあるのですけれども、そういうことが一つ。  それから、先駆的な施設では、グループホーム、ユニットケアといえる試みがありま す。ですけれども、まだそれはあまり普及していないことがあります。  乳幼児虐待ケアセンターは、先ほど奥山委員がおっしゃいましたけれども、情短に当 たる施設で、乳幼児に対応できるところがない。虐待を受けた子どもが多くなっている 中で、そういった虐待を受けた子どもの治療機能を持った乳児院というものも、すべて の乳児院がこれに変わるということではないにしろ、必要ではないかということです。 ○松原委員長  ありがとうございます。それでは、西澤委員、お願いします。 ○西澤委員  私は飛行機の関係で、少し早めに中座させていただくので、まとめて、いつマイクが 戻ってくるかわかりませんので、話をさせていただきます。  1つは、まずご提示いただいている資料4については、基本的に今までの議論を踏ま えて、こういう形で書かれていると思いますので、枠組みとしてはこういう方向だろう というふうに思います。  さっき奥山先生が言われていた、トリートメント系施設というのは恐らく本体施設の 中の困難ケースのところに入ってくるのだろうというふうに思います。私は3年ほどア メリカでこの分野で仕事をしていて、アメリカももともと大規模施設で1,200 人とか 2,000 人定員の施設が多かったのですね。それが、今、あの施設はほとんど残っていな い。残っている施設は何かというと、このトリートメント系というか、行動制限をしな ければいけない子どもで、その施設でもたなかったら州立病院の小児精神科病棟にとい うような子どもたちをみるというのが施設の役割になっています。それも小舎制で、本 キャンパスの小舎制。加賀美先生の言い方を使うとユニットケアといいますか、そうい うふうなものでやっていますので、これはどこまでいっても、そこは残ってくるだろう というふうに思います。  こういった小規模化を進めていくということの中にそういった治療規模を持ったとこ ろがあるのだろう。それを考えると、情短施設の小規模化というか、情短は大体50人定 員で、小舎制でやっているところはまだそんなに数はなかったように私は記憶していま す。基本的に大舎、中舎でやっていて、そういった治療施設は小舎制になっていくとい うことも必要なんだろうというふうに思います。  先ほど来出ている、例えば幼児が入っていないというのは、僕はそろそろ情短施設 は、これは四方先生に怒られるかもしれませんが、自分たちの認識を変えないといけな いと思うんです。あれは基本的に情短施設が不登校の子どもたちの実質上の専門施設 だったころ、6歳以上でないと義務教育だから不登校というのは問題にならないので、 だから幼児は入れなかったという経過があるんです。それがいまだにずっと尾を引いて いると。  だから、幼児のケアの重要性を考えると、やはり情短がその分野をきちんと自分たち の自分たちの仕事として認識していくということが必要になるのではないかというふう に思っています。  それから、さっきの話の中で、これはもしかしたら安達先生の方から「いや、それは 違う」とおっしゃられるかもしれませんけれども、小規模化は進めていかなければいけ ないという認識で一致していて、今も小さな単位でやっているところはあるんだとおっ しゃるのですけれども、乳児さんにとって小さな単位というのはどれくらいなのかとい うのは、もうちょっと考えなければいけないのかもというふうに思っています。  つい先だって、あるドキュメンタリー番組で、ネグレクトの子どもで夜中に頭打ち行 動を乳児院でやる子どもの番組があって、その中で宿直者が一人二人しかいないので、 頭打ち行動をしている子どもを抱き上げたらいいのはわかっているんだけれども、その 子を抱き上げるとほかの子がみんな寄ってくると。だから、抱き上げられないという状 況になっているということを某乳児院の、公立ですが、主任の人は言っていらしたんで すね。  そういうふうな実態があるときに、小規模化というのは一体どの程度だということの 算定であるとか、どれくらいの配置が必要かということは出していかないといけないだ ろうと。  もう一つは、里親制度も、僕は乳児からの里親の利用というのは促進する方向にいく べきではないかというふうには思っています。これはもしかしたら庄司先生の方から意 見があるかもしれませんが、制度的にどうなんですか、今、児童相談所は親に聞くじゃ ないですか。親御さんに「里親がだめだったら施設はどうですか」みたいな、あれはイ ンフォームド・コンセントというか、親御さんの選択権を保障しているけれども、親御 さんの選択が必ずしも子どもの福祉にとってベストであるとは限らないわけで、そうな ってくるとアセスメントがきちんとあって、子どもにとっては里親がいいんだというこ とになれば、親との関係の調整の仕方というのはあってもいいような気がする。  つまり、現状を見ていると、里親制度−−もちろん、里親の数は少ないということも あるんだけれども、乳児の場合に利用されないのは、親御さんが「里親はどうも抵抗が あるから施設に」というような、それを児童相談所が「そうですか」という形で受けて いるというパターンもあると思うので、その辺をどうするかという見直しが必要なん じゃないかというふうには思っています。  すみません、時間をとっていますが、もう1点だけ。  今までかなりいろいろなことを見てきていて、大きなところでいえば、今までの福祉 の体系の全般的な見直し−−これはいくら話しても意味がないのかもしれませんが、全 般的な見直しというのが必要になるのではないかと思うんです。今までは、みんな平等 に、措置費も同じだけ出していってというような形で進んできた。だから、ある意味、 モデル的に先駆的なことをやろうとするところにインセンティブがいかない。例えば、 小舎制をやろうとすると、これは出ていますけれども、実際に今の状況で6人、7人の 小舎制をオンキャンパスで50人程度の児童福祉施設がやろうとしたら、前も言ったかも しれませんが、一人のケアワーカーが月に16日か17日、宿直しなければいけない。実 際、それをやっている施設も、労基法違反覚悟でやっている施設も幾つかある。  そういうふうな状況なので、小舎制というときに必ず措置費というか、お金の問題が 関係してくるのですね。ただ、これは一気にやろうとすると絶対できないので、そうい うものをモデル的にやってみるとか、何かそういうふうなビジョンを変えていかない と、この問題は机上の空論に終わる可能性があるのではないかと思うんです。  そういう大きな絵を書くとしても、来年度、再来年度どうするのかというときに、小 さな話だけれども、例えば今の施設だったら、これは高橋先生や加賀美先生、中田先生 がいらっしゃる中で言うのもなんですけれども、もう業界で生きていけないかもしれま せんが、例えば今定員払いなわけですから、ある意味、八十数%の子どもの定員で満た しておいて、そこで自分の身銭を切ってサービスしないのが一番効率がいいわけです、 簡単な話をすれば。  ある意味、措置費というのが今の定員でバンとまとめて出すというのではなくて、将 来的には例えば高齢者のケアみたいなアセスメントがあって、ケアプランがつくられ て、月々のお金というのが出てくるように、個別の子どもに応じたものになっていくの だろうと思うんです、将来的には。だけれども、その一歩をどうやって踏み出すかとい うあたりで、そういった定員払いという形でいいのかどうかみたいな検討とか、あるい は本当に現場にいて思うのですが、今、一時保護所がもう満杯機能で、パンパンになっ ていて、一時保護委託の形で施設にやってくるわけです。そういう子どもたちでもやっ ぱり難しい子どもたち、アセスメントもされていない子どもが多い。そういうのを積極 的に受けていく施設に対してインセンティブはない。汚い話かもしれないですけれど も、例えば措置費も出ないというような、危険承知でやっているようなところに対し て、それを伸ばしていくというか、みんなが次にこれをやっていこうとか、元気になろ うというような福祉体系にはなっていないというのが正直なところだと思うんです。  その辺の大きなビジョンを出すのもいいですけれども、それにつながるような小刻み なものというのは、これは多分厚生労働省に最後に聞いた方がいいと思うんですけれど も、そういうことを考えていただかなければいけないのではないかと。すみません、時 間をいっぱいとりまして、申しわけないです。 ○松原委員長  ありがとうございました。最後の部分のご発言については、先ほど奥山委員もイノベ ーションをきちんとできるような、そういうシステムを考えていくべきではないかとい うご発言もありましたので、決して、孤立したご意見ではないと思いますし、十分、業 界で大丈夫だと思います。 ○唐沢課長  私どもの方も、今の施設は定員払いの方式でやっているのですが、かなり充足率が上 がってきている。ただ、子どもの施設なので、全く空きがない状態ではこれも困ると。 非常に差し迫った状態というのがありますのでね。だから、そういうことも考えて、一 番大変な仕事をしていただいているところ、それから一時保護も、子どもはとっかえひ っかえで代わりますから、やっぱりそれは大変なんですね。だけど、これは定員に今カ ウントしませんので、全体として大変なところにきちんと支援をしてやる、財政的に支 援をしてやれるという仕組みを全体的に考えていく必要があるというふうに思っており ます。これは、私どもの方でもよく検討したいと思っております。 ○松原委員長  ありがとうございます。ほかに、今のことと関連してもいいですし、ご自由に他の観 点からのお話でも結構です。高橋委員、お願いします。 ○高橋委員  課長さんから大変心温まるというか、激励をいただいたので、これからは汗をかいた ら、その汗に対して何らかの報酬があると。それがまたこういう業界をまた活性化して いくことにもなるのだろうと思いますし、西澤さんも仕事が続けられることにもなるの だろうと思います。  今のお話にちょっと続くのかもしれませんが、入り口のところと同時に、やはり自立 を支援していくという上では出口のところが非常に重要なことであって、今、施設を退 所していく子どもたちに対する保証というものはだれがしているのかというと、ほとん どが施設の施設長なり、またその施設の職員がされている。しかし、その保証は結局は 個人的立場でやることになりますから、それに対するリスクというのは非常に高いわけ ですね。  東京では独自に自立支援促進事業というのを東京都が100 %の支援、といっても資金 的にはそう多い額ではありませんけれども、それを東京都社会福祉協議会に委員会をつ くって、そこに委託しているということであるわけですけれども、全国の調査を最近さ れたのを見ると、非常に多くの施設で施設長なり、職員がその役をされている。これに 対しての担保はほとんど個人的にされることになるわけで、こういうふうなことを考え ると、やはり社会に正常に、それぞれの自己実現を前提に子どもたちが出ていくとすれ ば、身元保証だとか就職、それからアパートの借り上げ、ローンの組み等、こういう仕 組みを何らかの公の仕組みの中に組み込んで保証していくということも、子どもたちが 安心して社会に出ていくということにもなるのではないかと思うんです。  これは、より具体的な話であるわけですけれども、そういうふうなことを一つひとつ 積み上げていく中に、この自立ということもまた考えられるのではないかというふうに 思います。  東京では、ちなみに里親養育家庭さんや自立援助ホームを退所する子どもたちも対象 になっているわけですけれども、そしてさらに公的な制度で該当しない子どもたちをさ らに民間の資金を使った、また別の制度を設けて、そこを補っているというふうな状況 でもあります。 ○松原委員長  庄司委員、お願いします。 ○庄司委員長代理  西澤先生のお話は、ほとんどそのとおりだなというふうに思ったのですが、乳児の場 合のグループはどれくらいかということはちょっと抜け落ちていて、麻布乳児院はユニ ットケアと言えるようなものだと思いますけれども、4人だったと思います。  それから、乳幼児は里親にというのも、もちろん原則的に大賛成ですけれども、まず 里親を増やさなければいけないということと、それから実親に聞いてどうのこうのとい うのは、あれは児童相談所のソーシャルワークだけの問題で、児童相談所がもう少し ちゃんとしてくれれば済む話ではないかというふうに思います。  ただ、里親については、認定から研修、その問題がとても大きいかなというように思 います。それから、里親を充実させるという、これは今回の委員会でも重要な柱だと思 いますけれども、ここでは議論が出ないのですが、児童相談所−−児童相談所だけでは ないと思いますけれども、児童相談所をもっともっと機能を充実させてもらわないと、 単に子どもを施設から里親に移せば済むということでは決してないというように思いま す。  もう一つ、絵に描いた餅にならないように、最近はやりですけれども、マニフェスト といいますか、ある程度、目標みたいなことを明確にすることも必要かなというように 思います。 ○松原委員長  では、野田委員、奥山委員、兜森委員という順番で、時計に向かって最後、中田委員 になります。野田委員からお願いします。 ○野田委員  先にすみません。  何点もあるので、箇条書き的に、一つは今の児童相談所に関連して、これはむしろ検 討項目の中にも跳ね返る話なんですけれども、児童相談所がアセスメントをして、それ を引き受けて施設側がやっていくという、この構図、入り口のところではそれでいいん でしょうけれども、あとのところをどういうふうにしていくのかという、これは奥山委 員のご指摘もあったと思いますが、やりながらしていくアセスメントをもしそこの精度 を上げるとなれば、施設の中にそういう例えば機能やスタッフを入れるのか、あるいは 児相 が手厚くやる話なのか、そこの点の絵というか、それはもう人の張り付け方も含 めて、あるいはさっきから出ています専門性というところでも、非常に大きな仕事だろ うというふうに思っていまして、整理をしておく必要が、児相機能だけではなく、施設 機能として必要なのかなと。  それから、見せていただいています図というのは、たたき台ということですが、そう はいっても非常によく、それなりに考えられているなと思いながら、特に私は平成9年 のときに全社協 の方でのあり方検討委員会にかかわっていましたので、このあたり、 議論しているところに今回の小規模化であるとか、いろいろなことが乗っかってきて、 ですから、ぜひこれを2つ重ねる方向でのいいものにしていただきたいなというところ があります。  ただ、そのときに、今は例えば乳児院における数の問題がありましたが、情短や児童 自立支援施設のようなところにおいて、問題別に相当ユニットを考えるとか、あるいは 個別性を考えるというところでも相当動くだろうと思うので、このあたりについては本 当にさっきからあるインセンティブをそこに働かせるかどうかは別としても、丁寧な検 証とそれから工夫というか、それによって相当柔軟に本当に効果が上がるような方向性 を考えていく必要があるのだろうなと。  ただ、一方で、これは基本的にこの流れあるいは近未来像IIを承認した上での話なの ですが、逆に施設として一定規模の形で残していかなければいけない施設というのが、 特にトリートメントスタイルの場合にはあり得るかなと。  そうしたときには、今度はケア規模は大きくなるんだけれども、中のプログラムとし ては非常に個別に、あるいは専門職も相当手厚く配置してと。ですから、中は個別プロ グラムを目指すが、ケア単位としては割合大舎が残ってしまうというような、だけれど も、そこはそこで一定の予算というか、人の張り付け等々も要るのだろうというところ では、基本的に分散していく。それはそれで手当がすごく必要なわけですが、一方、残 されたところの充実も、そういうところにのらないケースが多くなるかと思うので、考 える必要があるだろうということ。  それから、小規模な施設になったときに、今回の長崎の事件ではありませんけれど も、非行とか虐待のケースのようなものになったときに、例えば親からの攻撃であると か、あるいはマスメディアからどう守るかというような、もうちょっと重層的な、社会 から守る仕組み・仕掛けということを非常に強く意識する必要があって、実際に中でケ アできるにもかかわらず、システムとしてハードウエアとしてそれが守れないので、児 童福祉のチャンネルで処遇できないというような子どもたちが出てくるのは、それはま た違う話だろうというふうに思うので、例えば警察との連携であるとかいうような、 ちょっと今まで議論されていたのと違う意味での社会のネットワークの中にどう位置づ けるか、あるいはそのネットワークを使いやすい形でどう規定していただくかという問 題があると思います。  あわせて、法的な手続というか、入所の手続あるいは退所の手続に関しても、虐待防 止法の方で非常にご努力いただいているというふうに聞いておりますけれども、そうい った手続に見合ったような箱ものとして考えておくという軸も必要だろうと。  最後の1点ですが、今、保証のことも言われましたが、高齢者や障害者領域では、最 近、成年後見だとか、あるいは地域福祉権利擁護事業のような、もともとその家族だと か何とかだけでは支え切れないことを前提にしたようないろいろな仕組みがあるわけで すが、これも加賀美委員、未成年後見のところで言っていただきましたけれども、本当 に自立の最後の最後まで、社会的な自立を、責任を持てるような仕組み・仕掛けという のをケアレベルだけではなくて、保証であるとか、あるいは権利擁護であるとかいう視 点できちんと持たないといけない。  今日の児童相談所のチャンネルではちょっと不十分ではないかというふうに思ってい まして、そういったようなアドボケイトセンター的な視点というのは要るのかなと。た くさんですみません。 ○松原委員長  ありがとうございます。それでは、奥山委員にマイクをお渡しします。 ○奥山委員  幾つかあるんですけれども、先ほど庄司先生が説明してくださいました乳幼児の虐待 ケアセンターの必要性の問題なんですけれども、まだ児童相談所でも、乳幼児のアセス メント、乳幼児のケアのあり方というのはほとんど開発がなされていない部分があっ て、要するに一時保護が、既に乳児院ですからその間のアセスメントはないわけです。 そういうことを考えると、やはり乳幼児のセンター的なものがどうしても必要になるの ではないかと思います。  同時に、今の児童相談所が、ここは児童相談所のことを語る会ではないのですけれど も、児童相談所がソーシャルワークとケアの問題があって、両方大変だろうと思いま す。どちらかというと、大きい子も児童相談所がある程度ケアできる場所、ケアセンタ ーみたいなものを持ってもいいのではないかなと思います。そこが、さっきの本体施設 のいろいろな問題にも絡んでいろいろ話ができるようなところというのも必要だろうと 思います。  もう一つは、西澤先生は情短の小規模化ということをおっしゃって、野田先生はトリ ートメントセンターとして大きいのを残しておいた方がいいのではないかということを おっしゃっていました。その辺のところをもう少しうまく整理できないかなと思うんで すけれども、生活の場というのはきちんと確保されなければならないですし、子どもに とってあまりしょっちゅう変えるものではないのです。そういう意味で、生活の場が あって、かつちょっと大変な子どもの生活の場として情短の小規模化というのはあって いいのだろうと思いますけれども、同時にある程度入院のような形で、そこに入所して いて、半年なら半年いてまた戻れるという短期入所の場所というのも必要ではないかと 思うんですね。  例えば、医療機の入院をモデルとして考えると、医療機関に入院したときに、多くの 県では、入院したらもう籍がなくなるところが結構あるのですね。だから、施設の所属 ではなくなってしまう。でも、何とか施設の方が「私があなたの保護者よ」ということ で、医療機関の方にお見舞いに行ったり、「ケアは私たちが考えるわよ」ということで 一緒にやってくれる場合とそうではない場合ではかなり違うのです、当然なのですが。  やはりこの子の生活の場所はここで、トリートメントのために少し行くような場所、 しかもそれがある程度の生活の機能も持ったところという場所とそれから生活中心の施 設なんだけれども、ちょっとケアの厚いところとそうではないところというところが必 要になってくるのではないかというふうに思います。 ○兜森委員  3点ほどになるかと思いますが、少し意見を申し述べさせていただきます。  先ほど唐沢課長さんにお話しいただきました資料3の件でございますが、私どもの実 態調査の数字を見てみましたところ、主な相談援助の内容は子どもの進学、就労課題 52.2%を占めております。それから、子どもの行動課題、これは年齢を軸にはとってお りませんけれども、これも51.6%というふうに、決して少ない数字ではございませんの で、やはり14から20のところでも母子生活支援施設の役割というものはあるのだろうと いうふうに思いますので、よろしくお願いいたします。  それから、2つ目でございますけれども、私は子どもの育ちということを考えたとき に、子ども同士の学びあいだとか育ちあい、あるいは育てあいというパワーも大変大き いものがあるのだろうと思うんです。それを考えながら、生活の場におけるケアの連続 性というものを考えたときに、やはり対象年齢の設定を考える視点の一つにしなければ いけないのではないだろうかというふうに思います。  それから、3点目でございますが、これは中長期的というよりも、非常に遠大な、い つできるかわからないという構想になるのかもしれませんけれども、実は児童相談所を 語る会ではないというお話も先ほどありましたが、児童相談所の機能とそれから家庭福 祉という基本に立った場合に、私は母子の方の仕事ということだけではなくて、婦人相 談所というのがございます。つまり、先ほどの児童養護の近未来像のところに「発生す るハイリスク家庭への対応」というふうにうたわれてあるのですが、これはまさにその とおりだと思うわけです。  やはり、ファミリーを対象にした施策にならなければ、児童だったら児童、あるいは 女性だったら女性とか、母子だった母子とか父子とかというような切り口だけでは、こ れからなかなか総合的に対応できないのではないかと思うわけです。  したがって、例えば資料4の参考1の絵を見た場合に、当初のアセスメント機関ある いは相談機関として児童相談所がありますけれども、実はこれはもっと機能を統合し、 それから拡充して、具体的に言うならば婦人相談所とかいろいろな機関があると思いま すが、もう一括してファミリーリスクセンターとしての機能を備えた方が有効に活用で きるのではないかというふうに思うわけです。つまり、それは新たな施設体系に対応で きる幅広いものになるのではないかと思います。  大変、これは唐突な考えかもしれませんけれども、そういう意味でいつできるかわか らないというふうに申し上げましたけれども、ひとつご検討いただければと思います。 ○唐沢課長  1点目だけ、兜森委員がデータまで調べていただきましたので、謹んで訂正させてい ただきます。最初からここに字が書いてあると思って、この資料を直させていただきま す。失礼いたしました。  それから、すみません、途中で私がお話しするのは変なのですが、1点だけ。システ ム案の参考1のところに、本体施設の中に小舎制ホーム(ユニット)というベージュの 色の部分があります。こういうところにどのくらい残すということも、今、奥山先生か らお話がありましたけれども、ぜひご議論いただきたいと思います。とても難しいお子 さんですとか、あるいは対人関係群の距離を適正にとれないというお子さんもいますの で、そういうご議論もぜひお願いできればと思います。 ○中村課長  児童相談所の件についていろいろご意見が出ておりますので、ちょっと申し上げてお きたいと思うのですが、都道府県、市町村、児童相談所のありようについては児童部会 の本体で今議論を進めておるところでございます。そこでこうした社会的養護の観点か ら、児童相談所についてこういうふうにあってほしいとか、そういうご意見がありまし たら、それも少しまとめていただいて、いずれにしてもこの専門委員会の報告も児童部 会の方にあげていただいて、その中で全体的な次年度の制度改正ということを考えたい と思いますので、そういうことでご意見がまとまるようでしたらまとめていただけれ ば、それをまた児童部会の方でご議論していただければと思いますので、よろしくお願 いいたします。 ○松原委員長  9月に児童部会も予定されておりますので。  中田委員が手を挙げていらっしゃいますので、次、四方委員にお話しいただきます。 ○中田委員  乳児院の小さなグループのことで、私は個人的には乳児3人で大人が4人くらいで、 何とか頑張ってやれないかなと思っています。  それよりも、むしろそういう実験的なことをやる、あとのバックアップするスタッフ の問題で、今、具体的に安達さんから話が出たから申し上げますけれども、私の方では 法医学をやった人、小児精神科の人、心理の実践的なケアを追求した人、それから長ら く子どものところで臨床心理士の心理治療をやっていた者が今大学に行ったので、その 人。それから、それにもと乳児院の職員で大学の先生になった人等で検証する機関をき ちんとつくって、後で報告できるスタイルにしてやりたい。頑張って、やっても、せい ぜい2年くらいかなと。3年か4年になったら費用をどうしようかと思っているような ところがありますので。  それから、こういうプログラムをやりますから、どこかでお金が出ませんかという仕 組みができると非常に実験的に進むのではないかなと思っています。  児童家庭支援センターは、前回の児童福祉法の改正のときに、10カ所くらいつくると いう話があったときに感じたことですけれども、入所施設にとって相談援助だとか、在 宅支援の仕事というのは、これからの時代の要請があって、やらなくてはいけない。た だし、社会で広く啓発をされないと進まないだろうという文章を作った記憶がありま す。  それと、家庭の懐の中に突っ込んでいかなければいけない。何の法的根拠もないまま 今やっているわけですから、法律的な根拠がないままやっていて、トラブルになる可能 性も、今のところはないようですけれども、少し法的な整備で、バックアップしてもら わないと児童家庭支援センターは、今後広く多機能化して、家族に対する総合的な援助 機関と位置づけるのなら、そういう法的整備も必要ではないかと考えます。  それから、施設そのものにとっても、在宅支援は施設の本来機能としてやはりやる仕 事かなというようなことを思います。  それから、里親さんに赤ちゃんをという話、乳児院で多少トレーニングした職員を見 ていても、ゼロ歳児、1歳児を見るというのは、病気の場合に勝負が早い。回復も早い けれども、悪くなるのも早いので、相当な覚悟が要るし、突然死症候群については相変 わらずそのケアはどこにいてもできないわけですから、それも含めて、今、事故保障だ とかという問題も未整備な状況ですね。措置における法的な関係が当事者間の争いにな るということであれば、よほどリスクを個人的に考えて里親さんをやらなければいけな い。施設も大変なのに、里親さんだったらもっと大変ではないかなというような気がし ます。  それから、私も二十何年か児童施設をやってきて、里親に子どもがたくさんいった 年、海外の養子縁組だけでも8名くらい出た年がありますけれども、経験的にはそれは あまり競合するものではない。  もっとも大阪市というバックにニードの多い地域があったせいかもしれませんけれど も、あまり語られないことは、里親さんから何%か帰ってきますから、うまくいかなっ かったらアフターケア、これはアフターケアと言っていいと思うのですが、その部分も 社会的にどうするのかということで、それの経験のある施設は非常に少ないのではない かと思いますので、その部分も何年か小さい生活単位で経験した後、帰ってきた子ども たちというのは、また別の意味のケアのやり方があるのではないか。以上のことを思い ます。 ○西澤委員  何もしゃべらないで行こうと思ったら、さっき唐沢課長の方から治療ユニットのどれ くらいのパーセンテージを残せばいいのだというのがあったので、たまたま、今、アセ スメントの研究をやらせていただいていて、その中で虐待を受けた子どもたちの中でど れくらいの子どもが施設で強力なケアワーカーの援助のもとに何とか見ていられるとい う調査のデータがありまして、大体75%なんです。逆にいえば、虐待を受けた子どもの 25%はいくら頑張っても今では無理だと。措置変更等というようなことを考えざるを得 ないという数字が出てきていまして、これは虐待を受けていない子どもの場合だと全然 違います。そういう子どもは5%しか出てきません。  そういう意味では、全体の25%、4分の1くらいが割と強力なそういったユニットで 見ていかなければいけない子どもではないか。全体というのは虐待を受けた子どものと いう意味ですが、という資料がありましたので、参考までに。 ○松原委員長  四方委員、お願いします。 ○四方委員  幾つかあるのですが、まず先ほどから情短的なケアのできる幼児さんの問題が出てい ますが、これも既に、私、たしか記憶では平成9年の末ごろに厚生労働省の方にこの問 題について文書を書いたような記憶があるのですが、非常に大事なことでして、つまり 早期に、本当に早くからきちんとしたケアをどれだけするかということはその子の一生 の問題にかかってくるわけでして、ただ、今の情短の延長線上でできるかというと、こ れはできないと思います。  ですから、これは新たに体系として考えていかなければいけない問題であろうかと思 います。情短に隣接してということもあろうかと思いますし、どんな形になりますか、 これはきちんと考えていかなければいけない。  それから、もう一つ、先ほどからの小舎制の問題でありますが、このユニットをどう するべきかということもきちんとした検証があって考えるべき問題ですが、一つだけ言 えることは、非常に重症なお子さんの場合には、小舎制ということが非常に難しいので はないでしょうか。といいますのも、いろいろな人が代われる体制の中でお互いにチー ムとしてやっとできるというのが重症な子どものケアであろうかと思います。  小舎制で非常に小さいところでやっていますと、やる方も傷つき、また一層子どもが 傷つきということの悪循環が起こる可能性を非常に含んでおります。どんな人も普通の 人間でありますから、そういうことを避けられないということが一つと、仮に小舎制の 児童養護施設で難しい子どもがどれくらいケアできるかということもあるのですが、実 に大事なのは、そこのところを少し客観的に見ていけるスーパーバイザーといいます か、この存在が欠かせないのではないでしょうか。それをなしに人数ということではな いんじゃないでしょうかと思っております。  それから、もう一つ、先ほどから出口のことが云々されておりますので少し触れたい のですが、皆さんの中でこれは当たり前のことになっているのでしょうけれども、施設 から出ていく子どもたちはそれなりに多くのハンディキャップを持っておりまして、そ れだけでも非常に難しいわけなんですが、もう一つ、頭の中にきちんと私たちが持って いなければいけない視点としては、やはりこの社会に出ていく20歳前後というのは、い わゆる精神的にいろいろな混乱を招きやすい好発年齢なんですね。このことは、児童自 立援助ホームを担っていらっしゃる方が最もよくご存じだと思うのですが、精神的な混 乱が非常に大きくなって、病的な水準まで至る子どもも中にはいるかと思います。  ですから、社会的養護として本当に基盤の中でどこまでやれるかというのは、先ほど 加賀美先生のご説明で、それはそのとおりなんですけれども、しかしできない部分とい うのはあるわけで、そのためには出ていった子どもたちを支援する施設といいますか、 機能を何とか福祉施設の延長の中で考えていただきたいと思っています。 ○松原委員長  ありがとうございました。加賀美委員、お願いします。 ○加賀美委員  四方先生のお話、そういう機能が同時に必要だということはそのとおりだと思いま す。  全然また違うわけですけれども、先ほど奥山先生のところでお話があった、小規模の 施設の基本とするというところについて、未来像のところで小規模化というふうに申し 上げているところは、子ども一人ひとりにとっての居場所、生活の場というふうなもの をまず小さい形で保障するというのが基本だというところに立った上で、それからその 治療の問題や何かの枠組みもそれを担保するものとして併設していくというふうな議論 をしてきたところです。  つまり、すべての子どもについては、生活をする自分の居場所をきちんと保障する、 それが基本だというところで、個別化と小規模化の議論をしてきたところなので、その こともあえて申し上げておきます。 ○松原委員長  武田委員、お願いします。 ○武田委員  資料3と4でちょっと考えていただきたいのは、青年という層の枠をつくっていただ いたからには、やはりここには自立援助ホームを、一番上の欄だけでも結構ですけれど も、対象としているということで、制度上は認める・認めないという問題があるかしれ ませんけれども、実情としては20歳前後の人たちを見ている自立援助ホームがあるとい うことなので、ここには入れていただきたいということです。  それから、資料4の方に、自立援助ホームが里親とか、養護施設を経由してくるとい うふうな図になっていますけれども、もちろんそういう場合もありますが、そういうと ころで育った子どもが結果として児相とか家裁から来るということなので、そういう意 味では入れていただくのは非常にいいのですけれども、どこにどういうふうに図解する かということについては、ちょっと誤解をされないようにしていただけたらなというふ うに思いました。以上です。 ○松原委員長  おっしゃっている意味は、在宅でいて、自立援助ホームに、最初の施設が自立援助ホ ームだという、そういう青年たちもいるという部分ですね。ちょっとイメージでつくり ましたので、なかなかうまく表現できていないのですが、そのことはよくわかります。 中田委員、お願いします。 ○中田委員  ちょっと小さいか、考え方とすれば大きいのだと思うんですが、技術的なことを言い ますと、今、全国の施設、いろいろ小規模化ということになると、現在も既に改築がは じまったり、鉄筋化されたものがまた建て直さなければいけない時期にあるのですが、 見ていると大体入り口が一つで中で分かれるような施設の設計はだめだと私は思うので す、外から個別に入れるようにしないと。  それで在宅支援をやれということになると、外の人が施設の子どものプライバシーを 侵して入ってくるという、対外的な交流をやろうとすればするほど、そういう形になる ので、入り口は生活単位ごとに要ると私は思っています。設計そのものの段階から、基 本的にそういうことを考えないといけないのではないかなと。  直す場合はそうはいきませんけれども、新たにつくるのに、また入り口一つで、その 中で分かれて、外の訪問者も外来者も一緒というふうなところが残念ながらまだ見受け られるので、そういうことも考えていただきたいと思っています。 ○唐沢課長  きょうでなくても構いませんけれども、ユニットの話ですね。今、中田委員からも ちょっとお話がありましたけれども、どうなっていればユニットなのかと。どういう条 件を満たしていればユニットなのか、またこれから後もご議論いただきたいと思いま す。 ○松原委員長  では、加賀美委員。 ○加賀美委員  先ほどもちょっと申し上げたのですが、入り口が一つあって、それぞれに一つあっ て、その中で衣食住の生活が一応営まれる仕組みがその中にあるというものを一つのユ ニットとして、それを幾つか併設するという形で一応のところはユニットと考えていま す。  つまり、いわゆる従来あった小舎制というようなものもそれに含まれるのかと思いま すけれども、現状では大舎のものをもし改築をしていくというか、改修していくプログ ラムをもし考えるのであれば、そういう形態を考えた改修の方法をまず一つとっていく というようなイメージもあるのかなというふうに思います。 ○松原委員長  奥山委員、どうぞ。 ○奥山委員  先ほど四方先生がこのままでは乳幼児はみれないという話がありましした。そこで、 今後の議論の流れなんですけれども、理想像を出した上で、どこをどういうふうにステ ップを踏んでいったら、これに近づけるのかという議論が最終的に必要で、そこまで私 たちは議論する責任があるのではないかというふうに思います。 ○松原委員長  冒頭、事務局から説明していただいたように、これが来年できるとか、再来年できる というようなものではないですから、ただ事務局と打ち合わせをしていて、かつての児 童福祉審議会、今の児童部会というようなところでこういう問題を話し合う機会という のは割合なかったということで、議論ができているというのはこれもすごいことだと思 いますし、やはり主な検討課題というのも議論してきたこともありますので、当面、で きること、それからどういうステップを刻んでいくべきなのか、それからまさに目指す べき方向性というような形で、やはり少し区分けをしながら議論してまとめていくこと にはなるのではないかと思いますが、それで議論したいのですが、ちょうど5時なので すね。  時間が来ましたので、きょうはこのくらいのところで閉じさせていただいて、今後の こともありますので、少し唐沢課長の方からご発言をいただきたいと思うのですが、よ ろしくお願いします。 ○唐沢課長  それでは今後のことについて、少しご相談申し上げたいと思います。  まず、きょうまでで検討項目に沿って何度かご議論いただきました。なお、ご検討し ていただく必要なところがたくさんございますけれども、とりあえず、一応、とりまと めに向けまして、論点を整理したものを次回は資料としてお出ししたいと思います。こ の検討項目だけということでなくて、いろいろご意見が出ましたので、それを少し整理 をしたものを、どう整理するか、まだ私どもも考えさせていただきますが、とりまとめ に進めていけるように資料を事務局の方でつくらせていただきたいと思います。  それから、2つ目は9月中にまとめたいというふうに申し上げましたけれども、なか なか日程的に厳しいので、少し月をまたぐことに多分なると思いますので、またよろし くお願いいたしたいと思います。大変盛り沢山の議論になっておりますので。  あと2つだけご相談させていただきます。整理をする際には、私どもの固有の問題も ございますけれども、きょうのこれまでのご議論をお伺いしていますと、例えば未成年 後見の問題というのはこれは民法との関係で法務省の関係が大変深い問題でございます ので、そういうものについては他のところにも働きかけるということも意見の中に必要 な部分がございますので、そういうものをまたご議論していただきたい。  それから、医療との関係ということで申しますと、やはり根本的には児童精神科とい いますか、そういうものを担う医師の養成ですとか、あるいは医療職の養成をどういう ふうにしていくかということもやはり働きかけていくような事柄でございますので、そ ういうものも含めてまた整理してご議論いただけたらと思っております。  ということで、少し整理した資料をもとにさらにとりまとめに向けて議論に入ってい ただきたいと思います。  もう一点、お願いしたいと思っております。きょうのご議論の中でも里親の制度、シ ステムに関するご意見をたくさんいただきましたけれども、実は私どもの方で里親会の 方の皆さんにいろいろご意見をお伺いしましたときに、ぜひ自分たちも意見を述べさせ ていただければありがたいというお話もございましたので、次回、できれば冒頭の方で 30分ほどお時間をいただきまして、里親の方に来ていただいて、意見交換をするような お時間をいただければと思っております。以上でございます。 ○松原委員長  ということで、なかなか予定どおりには終わらない、もう少しご議論にもおつきあい をいただくというか、回数を少し延長させていただいて、大切な議論ですので、十分議 論を尽くしたいと思っております。  きょうはこれで終了させていただきますが、次回第5回委員会の確認を事務局からお 願いいたします。 ○事務局  第5回の専門委員会9月19日(金)14時から本日と同じ5階の共用第7会議室にて開 催を予定しております。委員の皆様には改めて開催のご案内をさせていただきますの で、よろしくお願いいたします。  それから、冒頭、事務局からの資料の確認をお願いいたしましたが、事務局以外から 資料が提出されております。安達委員と加賀美委員の資料は先ほどご説明のあったとお りでございますが、里親会の方から養育里親からの意見書、『こんにちは!通信』が2 種類、『里親委託促進のあり方』、庄司委員から日本子ども家庭総合研究所紀要とい う、『グループホームの現状と課題(1) 』が出ております。以上でございます。 ○松原委員長  ありがとうございました。それでは、定刻5分ほど回りましたけれども、きょうの委 員会の閉じさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。 ○松原委員長  29日の件、どうしますか。一応、決定ですか。 ○事務局  場所はとれましたので、午前中10時から12時ということでお願いしたいと思います。 ○松原委員長  どうもありがとうございました。                                    −以上−  (照会先)    厚生労働省雇用均等・児童家庭局家庭福祉課    〒100-8916 東京都千代田区霞が関1−2−2          電話 03−5253−1111 (内線7889)          (担当)指導係