03/08/06 独立行政法人評価委員会労働部会(第1回)議事録          独立行政法人評価委員会労働部会(第1回)議事録                            平成15年8月6日(水)                            14:30〜16:47                            於:厚生労働省省議室 出席者:井原委員、川端委員、篠原委員、竹内委員、寺山委員、古郡委員、保原委員、     松田委員、村山委員、本寺委員、横倉委員 1.開会 ○山田政策評価官  定刻になりましたので、ただいまから第1回独立行政法人評価委員会労働部会を開催 させていただきます。  委員の皆様方におかれましてはお忙しい中お集まりをいただきまして、まことにあり がとうございます。  部会長を選出していただくまでの間、政策評価官の私、山田が議事の進行を務めさせ ていただきます。  それでは始めに委員の先生方をご紹介をさせていただきます。50音順にご紹介をい たします。お手元の資料の中の資料1−1が委員名簿でございます。それによりまして ご紹介をさせていただきます。  (以下委員紹介)  続きまして、厚生労働省からの出席者を紹介させていただきます。  (以下事務局紹介) 2.審議 (1)部会長、部会長代理選出 ○山田政策評価官  それでは議事に移らせていただきます。  はじめに、本部会の部会長を選出していただきたいと思います。独立行政法人評価委 員会令第5条第1項に基づきまして7月4日に開催されました独立行政法人評価委員会 総会におきまして、本労働部会ほか5部会が設置されたところでございます。部会長の 選出につきましては、同条第3項におきまして、当該部会の委員の互選により選任する ことが定められております。どなたかご推薦いただけますでしょうか。 ○古郡委員  学識も経験も豊富で、この分野に通じていらっしゃる井原先生にお願いしたらどうで しょうか。 ○山田政策評価官  ありがとうございます。ただいま、井原委員を部会長に、という推薦がございました が、いかがでしょうか。  (「賛成」の声) ○山田政策評価官  ありがとうございます。それでは井原委員に本部会の部会長をお願いしたいと思いま す。それでは以後の議事進行につきましては部会長にお願いいたします。井原委員、部 会長席にお移りください。 ○井原部会長  大変荷の重い役を引き受けることになりました。この委員会はひとつの社会的な装置 だと考えております。この装置をうまく機能させるように、皆様のご協力を得ながら努 力していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  それでは、まずはじめに、部会長代理を決めさせていただきたいと思います。部会長 代理は、評価委員会令第5条第5項におきまして、部会長に事故があるとき、あらかじ め指名する委員がその職務を代行すること、となっております。部会長が指名すること とされておりますので、これまでのご経験、ご見識から保原委員に部会長代理をお願い できればと思います。よろしくお願いいたします。それでは保原委員、どうぞ席をお移 りになっていただきたいと思います。  それでは、部会長代理から一言ご挨拶をお願いします。 ○保原部会長代理  役に立てるかどうか心配しておりますが、一生懸命やりますので、よろしくお願いし ます。 (2)独立行政法人をめぐる動き及び労働部会の今後のスケジュール等について ○井原部会長  それでは本日の議事に移らせていただきたいと思います。  まず、独立行政法人制度の概要についてでございますが、新任の委員の方々も、事務 局がセットした事前説明会に参加されて説明を受けているかと存じますので、ここでは 独立行政法人をめぐる最近の動き、それから、この労働部会の今後のスケジュールとを 併せて事務局から説明をお願いします。 ○山田政策評価官  それでは、お手元の資料の中で、参考資料というのが2つ目の資料として置いてある と思いますので、それをお出しください。  お開きいただきますと、目次に、独立行政法人の中期目標等の策定指針について、と いうものがございます。全体の現状の独立行政法人を取り巻く状況等について、この資 料を中心にご説明をさせていただきたいと思います。  それでは21ページ、参考資料の4でございます。この資料を作成いたしましたの は、下の方に書いてございますように、特殊法人等改革推進本部事務局ということで、 特殊法人等改革推進本部というのは、閣僚がメンバーになっている本部でございます。 特殊法人の改革について推進をするということになっているわけでございますけれど も、ご案内のように、本年10月以降、特殊法人の独法化がめじろ押しになるという状 況の中で、独立行政法人の中期目標等の策定指針というものが出されております。  今後、この部会におきまして、新しい独法の中期目標案等につきましてご審議をいた だくわけでございますが、その際、どういう視点でチェックをしていただくかというよ うなことにも関連をいたしますので、ご紹介をさせていただきます。  通しページの25ページをお開きいただきますと、下線のところを中心にご紹介いた します。  上の方で、一つは定量的な目標設定というものが非常に重要であるというくだりでご ざいますが、その際、実現可能性を過度に考慮した安易なものとすることなく、法人の 努力を促すことが期待されるような、より高水準のものとすべきである。ということが 書かれています。  中頃の下線部分では、なかなか定量的は目標設定が難しい場合において、定性的な目 標設定というものもやむを得ないけれども、その場合においても、単に抽象的な表現に とどまらず、当該事項について法人の達成すべき水準を明確かつ具体的に示すことが必 要である。ということが書かれております。  下の(3)というところで、中期目標の中で非常に重要な項目として、一つは業務運 営の効率化という課題がございます。そしてもう一つは、国民に対して提供するサービ スその他の業務の質の向上がございます。この2つの目標というのは、往々にしてトレ ードオフ関係になりがちである、ということが下線のところで書かれておりますけれど も、そういったトレードオフの関係になる2つの事項の均衡に配慮しながら、各々の目 標のウエイトや優先順位を考慮した形で目標を設定すべきである。ということが書かれ ています。  簡単ですが、以上のような形で指針がつくられているというのが一点。  それからちょっとページを進めて46ページになります。参考資料6という資料で す。この資料は、先ほど申し上げた特殊法人等改革推進本部の下に参与会議という有識 者の会議がございます。この会議は本部長である総理に対して意見を言うという組織で すが、先ほど申し上げたように、10月から特殊法人がかなりの数、独法になるという ことで、特殊法人改革の一環といたしまして、各省所管の10月立ち上げ法人につい て、6月に事前にヒアリングをしたという状況がございます。  この参与会議からヒアリングを受けたあと、指摘事項ということでまとめられたのが この資料でございます。今後、この部会において中期目標、あるいは中期計画について ご審議いただく上で参考になると考えてご紹介をさせていただきます。  46ページの1の総論の一番目の丸ですが、中期目標等についてヒアリングをした結 果として、目標の設定が抽象的、多義的、定性的にとどまっていて、厳格な自己評価が 行い得ない法人もあった。具体的かつ意欲的な数値目標・計画の策定が切に望まれる。 という指摘がございます。  47ページに移って、真ん中へんの、経費削減というところの一番目の丸で、経費削 減の目標がかなり小さい。最近の厳しい社会情勢、社会通念を踏まえると、ほとんど誤 差の範囲である。例えば、期間中で1〜2割の削減等、より大胆で意欲的な目標とすべ きである。という指摘がなされております。この特殊法人等改革推進本部で今回ヒアリ ング、参与会議が行われました背景には、単に特殊法人の器を変えただけで、看板の掛 け替えというようなことにならないようにする必要がある、という背景があるというこ とでございます。  この参与会議の指摘事項も踏まえて形で、この資料の一番最後、90、91ページを お開きいただきますと、8月1日の閣議におきまして、石原行政改革担当大臣から 「10月1日に設立される独立行政法人の中期目標等について」ということで発言があ り、その中で「中期目標の期間や経費の内容に応じて1割から2割の削減を指示してい ただくようお願いいたします」と、各省の大臣にお願いをされたということでございま す。  この発言のあと、小泉総理大臣からも91ページにありますような指摘がされており ます。「独立行政法人の中期目標等が特殊法人改革の趣旨にふさわしいものとなるよ う、各大臣に先頭に立って作業を指揮いただきたい」ということでございます。  独立行政法人の制度といいますのは、ご案内のように、かなり法人の自主的な、ある いは弾力的な運営というものを志向している制度ではございますが、ただいまご紹介い たしましたように、いまの動きというのは、これから設立される、特に特殊法人から独 立行政法人に移るという法人についてのチェックを強く求めているという動きがあると いうことでございます。  それから、もう一つは、労働部会の今後のスケジュール等でございますが、資料1の 最後のページに資料1−6がございます。このスケジュールには10月1日立ち上げの 法人についての中期目標、あるいは中期計画についてのご審議をいただくというスケ ジュールが書いてございます。  本日、第1回におきましては、この後、この労働部会でご審議をいただく5つの新し い法人について、その法人の概要の説明を事務局からさせていただきます。  第2回以降は、これから10月に立ち上がる3つの独立行政法人の中期目標等につい てご審議をいただくということを考えております。第2回におきましては労働政策研究 ・研修機構、第3回には勤労者退職金共済機構、第4回には高齢・障害者雇用支援機構 についてご審議をいただくことを予定しております。  この審議を終えまして、第5回において、第2回から第4回でご審議をいただいた中 で積み残されたもの等も含めてご審議をいただいて、中期目標案、中期計画案に対する 部会としての意見をおまとめいただく。そして、3つの法人の業務方法書案に対する意 見をおまとめいただくというようなスケジュールで当面の部会の進行を考えているとこ ろでございます。 ○井原部会長  それでは、ただいまのご説明に対して何かご質問等ございますでしょうか。よろしゅ うございますでしょうか。それでは、今後このようなスケジュールでこの部会を進めさ せていただきたいと思います。 (3)各独立行政法人の業務概要について ○井原部会長  それでは次の議事に移らせていただきたいと思います。  いま説明にございましたように、次回からは各法人ごとに中期目標及び中期計画等の 説明を受けまして、審議を行うということになります。  本日は、各法人ごとにその業務概要等につきまして報告をいただくことになっており ます。これは原局からお願いしたいと思います。時間はあまりございませんので、次回 以降審議を行う3法人については30分以内、その他の2法人については要点を絞って 10分以内でご説明を願います。なお、ご質問等については、5法人の説明をすべて終 えてからお願いしたいと思います。  それではまず、勤労者退職金共済機構についての説明からお願いします。 ○蒲原勤労者生活課長  担当課長の蒲原でございます。お手元の資料NO. 2という袋を開けていただきます と、最初に配布資料の目次がありまして、本日私からは資料2−1に基づきまして、勤 労者退職金共済機構の法人としての概要、あるいは法人が担当しておる中小企業退職金 共済事業とは何かといったところをご説明申し上げたいと思っております。資料2− 2、2−3につきましては、また個別の審議のときに詳しく説明することで、今日の説 明の対象からは外させていただきます。  それでは最初に資料2−1「独立行政法人勤労者退職金共済機構の概要」という資料 をご覧ください。  この資料の下の方に業務概要が書いてありますが、現在の特殊法人である勤労者退職 金共済機構というのは、中小企業のための退職金の共済事業を担当している法人でござ います。業務概要のところに「一般の中小企業退職金共済制度」と「特定業種退職金共 済制度」と2つございます。  一般のほうは、一般的な中小企業とお考えいただけば結構です。各法人が現在の特殊 法人たる機構に対して一定の掛け金をかけて、一方で従業員が退職するときに退職金を 払う、というものでございます。  他方、特定業種のほうは一定の期間ごとに現場、現場を転々としていって働かれると いう方々がおられて、その場合は事業主も一つではなくて、次から次に変わります。そ のような特定の業種に属していて短期間に事業主が変わるという業態のものを厚生労働 大臣が指定するという仕組みになっていまして、その指定を受けた業種についての退職 金共済というのがここでいう特定業者退職金共済制度ということでございます。現在、 指定を受けておりますのが、建設業、清酒製造業、林業の3業種です。  詳しい業務の流れは別途ご説明いたしますが、そのような、一般の中小企業向けの分 と、特定業種としての3業種、合計4つの事業を動かしているということをまず冒頭ご 説明申し上げます。  設立経緯ですが、この制度ができましたのが、昭和34年でございます。ここで一般 の中小企業向けの退職金共済制度ができまして、これを行う特殊法人として中小企業退 職金共済事業団というのができました。  その後、昭和39年に、特定業種である建設業の指定が行われ、その建設業について の退職金共済事業を行うということで建設業退職金共済組合が、先ほどの中小企業退職 金共済事業団とは別につくられました。  その後、昭和42年に新しく清酒製造業が指定され、この清酒についても別途の組合 という形で清酒製造業退職金共済組合ができています。  その後、色々な行革の動きもある中で、昭和56年になって、特定業種として、それ までできておりました建設業と清酒製造業の2つの組合を1つにするということで、建 設業・清酒製造業退職金共済組合という形になりました。  一方で、昭和57年になりますと、特定業種の3番目の業種として林業が指定されま して、この場合は従来からございました、建設業・清酒製造業の退職金共済組合に業務 を追加するという形になっています。  平成10年の段階で、ここもいろんな行革の動きがあったときですが、その時には、 一般の中小企業退職金共済を担当する中小企業退職金共済事業団と、3種類の特定業種 をまとめてやっておりました共済組合、これが統合され、現在の勤労者退職金共済機構 となっています。こういう経緯がございます。  この法人が今回、10月1日から独立行政法人に移行するということです。  流れをご紹介いたしましたが、そういう経緯もあり、各業種ごと、あるいは一般の中 小企業退職金の部分はそれぞれが独立して事業を行っているということでありまして、 それぞれ区分経理という形で、法律上経理が区分された形でやっております。いってみ れば、建設業の加入者が出した掛け金がよそのところに行くということはないような形 で整理がされているということです。もちろん、今後、独法になりますので、これで全 体的に効率化を図るということはやっていくということでございますけども、ひとつそ ういう点が特色として挙げられると思っています。  次に1枚、横表の資料があると思います。平成13年12月に特殊法人全体について 整理合理化計画がまとめられました。各法人いろんな指摘を受けております。わが方が 担当しております退職金共済機構についても色々な指摘を受けておりますけれども、そ の指摘と対応状況のペーパーでございます。  1点目は、情報公開をちゃんとしろということが挙げられています。これにつきまし ては、機構の中で一定のファイルをきちっと整備するなり、ホームページで情報公開す るということで対応してきております。  2点目が、資産運用の関係です。明確な運用目標を設定したり、ちゃんとチェックし ろということ、あるいは情報を適切に公開しろ、ということが指摘されています。この 点については、平成14年に中小企業退職金共済法の一部を改正する法律ということで 法律改正を行っております。その中で、機構の役員が資産運用するに当たっては忠実に そういうことをやる義務を法律上の義務として明定をしておりますほか、余裕金の運 用、まさに資産運用については基本方針を作成してそれに基づいてやるように、という ことを法定しています。現に、それに基づいて基本方針をつくっているという次第でご ざいます。また、ホームページ等で情報を提供するということで対応している次第で す。  次のポイントは、(2)中小共済と書いてあって、その下に、経済・金利情勢に的確に 対応した制度設計が可能となるよう、予定運用利回りを弾力的に設定できるような仕組 みに改め、積立不足を解消する、とあります。  実は、一般の中小企業向けの退職金制度のほうは、払うべき退職金額が法律事項とし てこれまでは定められておりました。あとで詳しく申しますけども、退職金の額をどう 設定するかというのは、制度における予定運用利回りと申していますが、一定の率で計 算したものを払います、という前提で計算していますが、これは法律で定められており ますと、世の中の市場金利が下がってきて、運用もそんなに高くできないというときに すぐ退職金額を下げようにも、法律だと追いつかないということがあったため、この指 摘を受けて、同じく平成14年の法改正で、これまで退職金額を法律で決めていたもの を政令で決めるようにし、結果的には弾力的に退職金額を決めることができるという形 になったわけです。後で申しますが、従来、法律事項のときまでは、予定運用利回りが 3%ということでしたが、昨年11月、法改正が終わったあと初めて政令で決めた退職 金額、そのときには1%となっていまして、現在、予定運用利回り1%ということで設 定しております。  あと、融資関係業務、これは従来従業員向けの住宅等について融資できるというもの でしたが、これは廃止をしたということです。  最後に残った宿題が、独立行政法人とする、というところでありまして、これもほか の法人と一緒ですが、国会に法律をお出しして、今回10月1日立ち上げを目指してい ま努力しているという次第でございます。  次の資料「中小企業退職金共済制度の概要」で、そもそも共済事業がどんな仕組みな のかをもう少し詳しくご説明したいと思います。  1の制度の目的のところにございますが、大企業は自分の力で退職金制度もつくれる し、資産運用もできるし、場合によっては外部のいろんな制度も利用できるということ だと思いますが、中小企業の場合、個々の企業がそういうところまでやるというのはな かなか大変だという実態がございます。そうしたことから、中小企業が集まって共同で 退職金事業を共済制度を使って整備しようということでこの制度ができました。もちろ ん、その際には、国からもできる限りの援助をするという仕組みでつくられておりま す。  先ほど申しましたとおり、一般の中小企業退職金共済制度と、特定業種退職金共済制 度の2つに分れますが、まず、一般の退職金共済制度について、図で簡単にご説明いた します。  右の方に「中小企業事業主」がおりまして、その人がなんらかの従業員を雇った場合 に左の「勤労者退職金共済機構」と加入の契約を結ぶというところから始まります。そ のとき払う掛け金ですが、5,000円から30,000円の範囲内で事業主が従業員 ごとに決めるという形になっています。5,000円から10,000円までは 1,000円きざみで額が設定されていまして、10,000円以上は2,000円き ざみで10,000円、12,000円、14,000円とある中から選ぶという形に なっています。ただ、パート労働者の方も考慮して、パート労働者の場合は2,000 円から4,000円というところも別途設定しています。いずれにしても、中小企業事 業主が自分の会社の個々の従業員に対応する形で個別に設定しているわけですが、平均 的には月額9,000円+αぐらいの掛け金になっているということです。  この掛け金の払い込みを実際は金融機関を通じて行うわけですが、国としてはこの掛 け金に対して助成をしています。例えば、新規加入の場合については、原則として月額 掛け金の1/2を1年間助成するという形です。あと、掛け金引き上げの場合もありま す。そんな形で助成をして加入促進を図っているということです。中小企業の従業員と して働かれて、一定の年数が経つとどこかで退職という事態が起こるわけです。退職に なりますと、退職金共済機構から従業員に対して退職金が支払われるということで、基 本的には一時金払いですが、本人のご要望があれば、5年なり10年の分割支給も認め ています。  退職金の支払いについては、先ほどちょっと触れましたけども、退職金額をどういう 形で設定するかという問題があって、現在は政令という形で、1%の予定運用利回りを 前提とした額を計算して支給しているということです。なお、こうした公的な制度であ ることから、掛け金部分については、税制上、損金なり必要経費の扱いをされています し、退職金を受けとる場合、例えば、一時金で受け取られる場合は、退職所得控除の対 象としているという形です。以上が一般の中小企業退職金共済制度です。  次に特定業種退職金共済制度の仕組みです。  基本的な構造は似ていますが、違う点を申し上げます。1つは、掛け金の払い方で す。一般の場合は、事業主が金融機関に払うと申し上げましたが、特定業種の場合は雇 用者の方が短い間ある事業所にいて転々とするわけです。したがって事業主が一般の場 合と同じような形では雇用者との関係が維持できないということがありまして、実は期 間雇用者については、証紙の形をとっており、事業主が証紙を金融機関から買う。そし て、ある日、ある建設現場でその人が働いたら、期間雇用者に事前に渡してある手帳に 証紙を1枚貼り付けて、そこに消し込みをする形で1日分の掛け金を支払うという形に なっています。その払うべき額ですが、先ほどの一般の場合とは違って、これは定額で 決まっています。現在は建設業と清酒製造業については、日額300円、林業は日額 450円となっています。  他方、退職金の支払いは、例えば、建設業なら建設業という業界から出ていくという 段階で退職金の支払いを行うということです。支払金額の前提となる予定運用利回りに ついては、各業種ごとに違っていて、あとで推移は申し上げますが、いまは建設業は 4.5%、清酒製造業は2.3%、林業は2.1%という数字になっています。あとで 少し詳しくご説明いたします。  次のページは、全体の概況であります。上の3つに一般の中小企業退職金共済、下の 3つに特定業種について書いています。まず全体の姿を申しますと、対象となっている 従業員の数は、一般の中小企業退職金共済と特定業種、合わせて概ね500万人の方が 加入されています。500万人の方が加入されて、それぞれ掛け金を払われているわけ ですが、いま機構にたまっている積立金が約4兆円ということで、4兆の規模の資産を この機構が持っているということです。  以下、少し細かく見ますと、一般の中小企業退職金のほうは、加入者ベースで見ます と270万人ということです。それでは、この人に対してどのぐらいの額の退職金が支 払われているかということが2番目のところですが、ほとんどが一時金払なので一時金 払のほうを見ますと、平均的な加入期間が115月、大体10年ぐらい加入していて、 1件当たり平均では127万円の支払いということで、月額1万円弱の掛け金を115 月払って、130万円弱を退職金として貰っているという状況です。  そして、一般の中小企業退職金共済制度の財政状況ですが、平成13年度の数字で す。収益と費用となっていますが、収益、入ってくるのは掛け金と運用収入です。一 方、費用として払われるのが、実際の退職金支払いもありますが、これは財務諸表ベー スでつくっていますので、責任準備金が増える分もここに入ってくるということになっ ています。当期利益金というのが、いってみれば単年度ベースでフローでみたもので、 13年度、これが直近のものですが、約400億弱ぐらいの欠損が出ている。累積利益 金をみますとわかるとおり、現状ではその400億弱を加えまして、2400億程度の 累積欠損がいまあるということです。もちろん、先程来申しましたとおり、積立金がご ざいまして、全体で4兆円といいましたが、一般中退だけを見ますと3兆円の資金があ りますので、この3兆円で支払いに支障が生じたことは全くございません。したがっ て、今後、累積の赤字をどうやって解消していくかということが一つの課題になってい ます。先ほど申しましたとおり、運用利回りが3%だったということもあってこういう こともあるので、先般1%に下げたことで、これからはこの累積赤字がだんだん減って いくものと予測している次第でございます。  下半分に参ります。特定業種のほうです。これは建設業と清酒製造業、林業というの は規模がものすごく違いまして、建設業は約220万人の加入、一方で清酒製造業は 3.4万人、林業は4.8万人となっています。加入期間は、それぞれ、111月、 185月、149月ということで、各制度とも大体85万円から100万円+αぐらい が平均的な支給額となっています。  一般の中小企業と同じように、財政状況を各業種ごとに見ますと、建設業では、当期 利益金の欄が平成13年度でマイナス9億となっています。これも建設業の予定運用利 回りがいま高いということがあってマイナスが立っていますが、一方で累積利益金は 300億のプラスになっていて、実際に持っている資産が9,500億ぐらいあるわけ ですから、問題が生じているということではありませんが、当期利益金がいったんマイ ナスになったというのは財政的に心配な点がございます。そうしたことから、実は今年 の10月から、これまでの4.5%という高い数字を2.7%に予定運用利回りを下げ るという政令改正を先般行っております。 2番目に清酒製造業を見ますと、規模は小 さいんですが、13年度の当期利益金はプラスになっていますし、一方で累積利益金も ちゃんとプラスになっているということで、まあ健全に運営されているということで す。  3番目の林業をご覧いただきますと、フローでみた当期利益金が△立っております し、一方で累積利益金が△23億ということになっておりまして、この時点では財政的 に非常に厳しい状況になっています。林業については予定運用利回りが2.1%と申し 上げましたが、これについて財政状況勘案して今年の10月から、現在の2.1%を 0.7%に引いき下げるということを政令で決めておりますので、これからなんとかこ の累積の欠損を解消していくことでやっていきたいと思っております。  以上ですが、次の1枚紙に、いま申しました運用利回りのこれまでの推移のペーパー を用意しております。制度発足後、あるいはそれから一定後、例えば、一般の中小企業 退職金共済制度でも、世の中の金利水準が非常に高かったといったこともありまして、 それに合わせて高かったんですけども、だんだん市場金利が下がって運用もなかなかう まくいかないということも踏まえまして、次第次第に運用利回りも下げてきているとい うことで、先ほど申しましたけども、昨年11月から1%ということになっています。  一方、特定業種のほうですが、建設業も以前は高くてだんだん下がってきているんで すが、今年の10月からは建設業は2.7%に下げる予定にしています。そして、林業 は現行の2.1%を0.7%に下げることにしております。  もう1枚、実は予定運用利回りが下がってくると、もちろん労働者の方々の受け取る 退職金も下がってくるんですが、一方で掛け金の額を上げてもらえば、労働者にとって もその分、給付が増えるということです。一般の中退のほうは完全に事業主が決めるの で、そこは事業主の判断になるわけですが、特定業種のほうは定額で決まっているとい うことでして、建設、清酒、林業、それぞれ昔からすればどんどん日額掛け金は引き上 げられてきた。その限りにおいては労働者の退職金充実につながっているということで す。ちなみに、今回、今年の10月から建設業と林業の運用利回りを下げると申し上げ ましたけども、その関係で、建設業については日額300円を310円に上げる方向で 最終的に調整していますし、林業も450円を460円に上げるという方向で調整して いまして、昨今の非常に厳しい中ではありますけども、運用利回りを下げざるを得ない 状況にも配慮されて、建設業なり林業の事業主団体がそういうふうにやっているという ことでございます。  以上、退職金共済機構の概要及びその前提であります中小企業退職金共済制度の事業 概要についてご説明申し上げました。 ○井原部会長  ありがとうございました。それでは続きまして、高齢・障害者雇用支援機構について お願いします。 ○深田高障部企画課長  それでは独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構についてご説明させていただきま す。資料はNO. 3の袋に入っているものですので、お開けください。  資料3−1、3−2、3−3とありますが、3−2、3−3は中期目標案の概要でご ざいますので割愛させていただきまして、資料3−1についてご説明させていただきま す。 なるべく意味のわかるものということで、一緒に現在の法人の概要の資料もおつ けしてありますので一緒に見ていただきたいと思います。  独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構でございます。これは、目的としますところ は高齢者等を雇用する事業主に対する給付金の支給、あるいは障害者の自立促進のため の施設の設置・運営など、高齢者と障害者の雇用を支援するための業務を行うというこ とを目的としたものでございます。  ついております2つのパンフレットをみていただきますとわかりますように、日本障 害者雇用促進協会という認可法人と、財団法人でございますが高年齢者雇用開発協会の 2つからなる独立行政法人でございます。日本障害者雇用促進協会の独立行政法人化に 併せて高齢者雇用について事業主に対する支援とか給付金を支給するという類似の業務 を行っております高年齢者雇用開発協会の該当する業務についてこの独立行政法人が引 き継いで一緒にしていくという形で独立行政法人化をするということで、名称も高齢・ 障害者雇用支援機構となるという予定でございます。  業務の概要ですが、資料1ページの真ん中にありますように8種類ありまして、上の 3つが高年齢者関係の仕事です。 ・事業主に対する給付金の支給 ・高年齢者を雇用する事業主に対する相談・援助業務 ・労働者に対する職業生活の設計を行うことを容易にするために必要な助言・指導  その下が障害者関係で、・障害者職業センターの設置運営 ・障害者能力開発校の運 営業務 ・納付金業務 ・事業主に対する助成 ・アビリンピックといわれます技能に 関する競技大会の開催  といったものを主な業務としております。  役職員数は、役員が、理事長1名、理事5名以内、監事2名ということで、職員は2 つの法人一緒になった関係ございまして736名となっております。  予算規模は15年度通算でございます。10月からですので、前半部分はそれぞれの 団体の予算になっていますが、該当するこの業務関係で15年度1025億円の業務で ございます。国費が804億円、残りが納付金関係の業務ということになります。  2ページは、整理合理化計画における指摘事項でございます。  最初に【障害者職業訓練】関係ですが、○能力開発校については委託の拡大を図ると いうことで、15年度からは外部講師の活用を図っていこうということで委託時間を増 加しております。○職業リハビリについて、外部評価の実施ということで、14年度に 体制整備を行いまして、15年度独法化に合わせて外部評価を実施したいと考えており ます。  次の【障害者雇用に関する事業主への助成金支給】では、○国が明確な政策目標を定 め、当該目標が達成された場合、または一定期間経過後は助成措置を終了することを明 記する。さらに、事後評価を行って、その評価結果を踏まえて助成のあり方を適宜見直 す、ということで、現在、政策評価を行っている最中でございまして、これを踏まえて 対応していきたいと思っております。  それから、日本障害者雇用促進協会の関係ですが、【国際協力業務(途上国に対する 職業リハビリテーション分野技術協力)】、これは廃止することになっておりまして、 14年度をもって廃止いたしました。15年度からはその下にございますが、国際協力 事業団を継承する独立行政法人に業務を移管するという形になっておりまして、独法化 と併せて実施する予定でございます。  次に3ページから6ページにかけて、独立行政法人の業務の内容でございます。  1番目が、高年齢者等と雇用の機会の増大に資する措置を講ずる事業主等に対する給 付金の支給、ということで、これは高年齢者雇用開発協会のパンフレットの19ページ になります。この中で上のほうにあります、継続雇用定着促進助成金、あるいは在職者 求職活動支援助成金、高年齢者共同就業機会創出助成金という助成金制度を持っており まして、これが高年齢者の雇用確保のための定年延長なり、あるいは再就職の促進、創 業関係の助成金の制度でこれを独立行政法人は引き続き実施をするという形になりま す。  ちなみに左下にあります雇用促進を目的とした特別奨励金の関係は協会が存置されま すので、残った部分で財団法人が実施するという形になります。  2 高年齢者等の雇用に関する技術的事項に対する事業主に対する相談・援助の関係 ですが、最初に、65歳までの安定した雇用の確保、あるいは雇用改善といったような 事業主に対する指導・助言ですが、高年齢者雇用アドバイザーなどを活用して実施する ことにしておりまして、パンフレットでいいますと、3〜6ページのあたりの仕事にな ります。アドバイザーが直接事業主に援助をしていくということで、5、6ページにあ ります改善システム、企業診断システムを活用して企業の実態を把握した上でどういう ふうな改善をしていったらいいかといったようなアドバイスをしているものです。  また、各種講習会なども実施しておりまして、それがパンフレットの7ページになり ますが、高年齢者雇用推進リーダー研修、あるいは雇用管理の研修ということで、事業 主向けに、事業主団体や事業主の方々に雇用問題についてのいろいろな講習を実施して いるところです。  次の、事業主の共同研究、これはパンフレットの12ページになりますが、1つの企 業をテーマとした賃金、職務再設計などの研究を共同で行って、その成果を企業で活か していただこうということで実施しているものです。  また、啓発広報活動を行うことにしておりまして、これがパンフレットの9、10ペ ージになります。高齢者雇用フェスタ、あるいは定期刊行物の出版等を行っておりまし て、高年齢者の雇用開発コンテストなども行っているところでございます。  4ページは、3 高齢期における職業生活設計を行うために必要な助言・指導 で す。これは事業主ではなくて、労働者の関係になりますが、労働者に対して、高齢期の 職業生活設計を行うことを容易にするためのセミナーとか、あるいは個別の相談などを 行うことにしております。  次に障害者関係ですが、4 障害者職業センター設置運営業務です。これは障害者雇 用促進協会のパンフレットの5ページからになります。これは職業リハビリテーション サービスの推進ということで、多段階に分れて行っております。  最初の○障害者職業総合センター  これは現在幕張に設置しておりまして、高度な 職業リハビリテーションの技術の開発、研究を実施しているところです。  ○広域障害者職業センター  現在、所沢と吉備高原、福岡県飯塚にせき損センター の3ヵ所あります。パンフレットの7ページですが、所沢のセンターでは能力開発校と 職業センター、それと国立身体障害者リハビリテーションセンター、これは医療関係で すが、3者が一体となった、医療リハビリテーションと密接な連携を図りながら職業リ ハビリも行っていくという体制をつくっております。  吉備高原職業リハビリテーションセンター、ここは職業センターと能力開発校をセッ トにして行っていまして、これに吉備高原医療リハビリテーションセンター、これは労 働福祉事業団の所管のセンターですが、同様に医療から職業開発に至るまでの職業リハ ビリテーションを行っているものです。  せき髄損傷者職業センターが飯塚にございまして、これが労働福祉事業団所管の総合 せき損センターと連携しながら、せき髄の損傷者に対する医療から職業リハビリテー ションまでの総合的なリハビリテーションサービスを行っています。  ○地域障害者職業センター パンフレットは5ページですが、これは各都道府県に 1ヵ所、支所が5ヵ所あります。これは障害者職業カウンセラーを配置して、安定所と 連携をとりながら、職業リハビリテーションを実施している機関で、職業評価、職業指 導、準備支援といったような事業を行っているところです。併せて、ジョブコーチ、職 場適応援助者による支援事業、あるいはその養成研修なども行っているところです。  5 障害者職業能力開発校の運営業務  これは国立の職業能力開発校の運営の委託 を受けておりまして、先ほど申し上げました所沢と吉備高原の2ヵ所を受託して運営し ております。  6 納付金関係業務等  パンフレットは9ページです。障害者の雇用については、 障害者の雇用の促進等に関する法律があって、雇用率制度が導入されています。一定の 常用雇用労働者を抱える事業主の方は1.8%以上の身体障害者または知的障害者を雇 用しなければならない、ということになっておりまして、足りないところからお金をい ただき、たくさん雇っているところに報奨金あるは調整金という形でお金を支払うとい う制度です。 パンフレットの9ページでご説明させていただきます。納付金の徴収と いうことで、雇用率1.8%未達成の事業主については、1人頭1ヵ月5万円の納付金 を納入していただくという仕組みになっています。これは300人以下の事業主からは 徴収しないということで、常用労働者301人以上の企業からいただくという形にして おります。  雇用調整金は、障害者の雇用率を超えて雇用していただいている企業について、これ は301人以上の企業ですが、この企業に対しては超過する障害者1人当た月額2万5 千円、16年度からは2万7千円に引き上げる予定になっていますが、を支払うことに なっています。また、報奨金については、300人以下の小さな企業が、常用の労働者 数の4%または6人のうちいずれか多い数の身体障害者・知的障害者を雇用したところ については1人当たり月額1万7千円、16年度からは2万1千円の報奨金を支払うと いう形になっています。  これだけではなくて、納付金制度で集められたお金については、助成金を支払うとい うことにしておりまして、事業主の方々が障害者の方を雇うというときに、重度障害者 の安定した雇用を維持するために、作業環境の改善、作業施設の整備・改善、職場環境 への適応や仕事の習熟のための指導のための負担の軽減を図る目的で助成金が実施され ています。障害者の作業施設の設置については作業施設設置等助成金、また重度障害者 介助等助成金等の助成金制度があります。  パンフレットの10ページの下のところに、障害者雇用継続援助事業に基づく助成金 とありますが、これが資料3−1の6ページの7 障害者となった労働者の雇用を継続 する事業主に対する助成金の支給、ということで、中途で障害者になった方々に対する 助成金を支給するものです。中途で、いわゆる労働災害とか疾病などにより障害者に なったという方々の職場復帰とか継続雇用を図るための施設設備の設置等についての助 成金制度です。これは納付金ではなくて、国費で行っている助成金の制度です。  パンフレットの11ページ以降では、事業主に対する支援、調査研究、広報等も行っ ております。事業主に対しては雇用の相談事業を行っておりますし、各種講習会なども 開催しているところでして、あと、国民一般向けには9月を障害者雇用促進月間とし て、表彰、ワークフェアといった形で諸事業を実施して啓発活動等を行っているところ です。  8 アビリンピック(全国障害者技能競技大会)の開催  パンフレットの14ペー ジですが、障害者が技能労働者として社会に参加することに自信と誇りを持っていただ けるようにということで、職業能力の向上を図るという観点から技能競技大会を行って います。平成15年は、インドのニューデリーで国際大会が開催される予定になってい ます。それ以外に、日本で年1回開催しておりまして、これについてはこの団体で実施 をすることになっておりまして、平成16年は宮城県で開催する予定となっておりま す。  以上でございます。よろしくお願いいたします。 ○井原部会長  ありがとうございました。それでは続きまして、労働政策研究・研修機構についてお 願いいたします。 ○田中労政担当参事官室調査官  労政担当参事官室の田中でございます。よろしくお願いいたします。資料の4でござ います。4−1、4−2、4−3と分れておりますが、4−2及び4−3につきまして は、中期目標案、中期計画素案の概要でございますので、本日の説明は省略させていた だきまして、資料の4−1に基づきましてご説明をさせていただきます。  独立行政法人労働政策研究・研修機構でございますが、この機構につきましては、設 立目的を、内外の労働に関する事情及び労働政策についての総合的な調査及び研究並び にその成果の普及を行うということと、その成果を活用して厚生労働省の労働に関する 事務を担当する職員、いわゆる行政職員ですが、行政職員その他の関係者に対する研修 を行うということを通じて、わが国の労働政策の立案及びその効果的かつ効率的な推進 を図っていくことを目的としております。  10月1日に設立予定しておりますが、現在の行政機構等を引き継ぐわけですが、具 体的には、特殊法人であります日本労働研究機構と現在厚生労働省の施設等機関という ことで国の機関になっております労働研修所の両機関を整理統合して新たに独立行政法 人を設立するというものです。  新法人の業務概要は大きく6つに分れておりまして、(1)労働政策についての総合的 な調査研究 (2)労働政策についての情報及び資料の収集・整理 (3)労働政策の研修促 進のために研究者及び有識者を海外から招聘する。また海外に派遣する (4)調査研究 結果等の成果の普及及び政策の提言を行うこと (5)厚生労働省の労働を関する事務を 担当する職員等に対する研修を行うこと (6)これらに附帯する業務を行うこと でご ざいます。  この業務の内容については後ほどご説明をいたします。  役職員数は、常勤役員が、旧機構5名+労働研修所の所長の6名を、理事長1名、理 事3名、監事1名の5名としております。  職員の定員については、両方合わせて154名のところを140名でスタートするこ とにしております。  予算規模については、平成14年度予算額48億8300万円、うち国庫負担額45 億7100万円ですが、15年度途中ですので、平年度に直しますと、37億4900 円、うち国庫負担36億5300万円という、かなり縮減した形でスタートさせていた だくということになっております。  2枚目が、独立行政法人化に際しての整理合理化計画における指摘事項でございま す。大きく分けて3つの事業があるわけですが、そのうちの2つの事業、労働問題に係 る政策研究、情報収集・提供事業につきましては、民間でも可能な単純データ処理や政 策立案に直接関係のない純粋学術的な研究は廃止するなど、政策研究機能に純化すると いうことが指摘されております。  それから、国際交流事業につきましては、実務者レベルの招聘事業や先進国を対象と する事業は必要性を徹底して精査し、縮減すること。あるいは、他の財団法人に委託し ている事業については、機構の業務としては廃止して精査した上で、国から直接他の財 団に委託する方式とする、等の指摘を受けておりまして、これにつきましては、独立行 政法人化に先立ちまして、右に記載しておりますように、常設研究会の廃止等々の取り 組みを行っております。また、独立行政法人の発足に伴って整理する業務もございま す。  次のページは、それを概要という形でまとめさせていただいておりますので、ご覧い ただければと思います。  左側が現在の日本労働研究機構で行っている業務と労働研修所で行っている業務で す。右側が独立行政法人労働政策研究・研修機構において何を継続して行うかというと ころを模式的に表した図です。  1つ目の【労働政策に関する総合的な調査研究】については、政策研究に純化すると いうことです。例えば、若年者の就業実態に関する調査研究とか、あるいは、求人の年 齢制限に関する実態調査、このような形の研究につきましては、厚生労働省の施策に具 体的に反映されているような研究が並んでいますが、こういった直接的に政策に関わる ような研究に純化していく。  一方で、学術的あるいは基礎理論的には重要な研究であっても、直接政策の企画立案 に役立たない学術的な研究については、日本労働研究機構でやっていたものであっても 新法人ではやらないというふうに整理をさせていただいたところです。  また【労働に関する情報の収集・提供】につきましても、単純なデータを収集して提 供するというようなものは廃止をする。あるいは、出版事業も廃止するということで、 一定の情報収集のもとで専門的な加工をした上で提供する情報に限って新法人では取り 扱うということで、業務としては縮小するということでございます。  それから国際交流につきましても、労働政策の研究に関連する部分について精査して 残すということで、海外の研究者、研究機関との交流等については引き続き行いますけ れども、諸外国の労使団体幹部との交流とか、企業向けの対日投資セミナー等について は新法人では行わないという形にしております。  それから、労働研修所につきましては、現在国の機関でございますが、新法人に統合 すという形でございます。これによりまして新法人で行う政策研究の成果を活用した研 修内容の充実を図るということと、労働行政職員のみならず、民間の方々への成果の活 用ということで、民間人への研修も附帯的に行っていきたいと考えております。  これが新旧の法人の業務の内容ということになります。  新しい法人の業務について、先ほどの1枚目の(1)から(6)の業務分類に沿って主なも のをご説明させていただきたいと存じます。  第1番目、A3の大きな用紙にまとめておりますが、労働政策についての総合的な調 査及び研究ということです。特に新しい法人におきましては、中核的な研究として、中 長期的な労働政策の課題に対応したプロジェクト方式による研究等を実施するというこ とで、新法人の研究員と行政関係者、あるいは学識経験者、こういった外部の方も含め たプロジェクト方式による研究を進めていきたいというふうに考えております。  一番上の枠は、最近の中長期的な、構造的な変化を示しておりまして、それを踏まえ て3つのカテゴリー、枠に整理して研究の内容を立てております。  左は、最も基本的な政策課題について研究しまして、政策の基本的な方向性、政策課 題の発見・提示をしていくということで、中長期的な社会経済システムの変化に対応し た研究を行っていこうということです。  真ん中の枠は、左の中核的な研究を踏まえて、個別の政策課題に関して、それぞれ社 会経済状況の実証分析、政策の選択肢を具体的に提示する、さらにその理論的・実証的 な説明づけを行う、こういった形のより具体的な研究を行っていくということです。  右の枠は、労働研修所と一体化するということで、実際の行政の第一線機関で実施さ れる施策、事業の水準の高度化を目指して、さまざまなノウハウ、ツールを開発してい く、ということ。さらにその研修を通じた普及を行っていくことを考えております。  その中身についてご説明をさせていただければと思います。下の枠に全体で9つの研 究テーマが挙げられています。これは今回新法人になるに当たりまして、15年10月 から新法人になるわけでして、15年度予算を昨年つくったわけですが、その際、今後 新法人として、これは次回ご説明することになりますが、中期目標期間を15年10月 から3年6ヵ月としたいと考えておりますけれども、その3年6ヵ月の間に中長期的課 題、あるいは個別の政策課題等として新法人が担うべき研究のテーマとは何かというこ とを、厚生労働省、それから日本労働研究機構とが協議をいたしまして、重要な政策課 題ということで挙げた9項目であります。  1番目から4番目が中核的な研究です。 (1)は、失業の地域構造分析に関する研究です。失業率、あるいは失業の状況について  は、大都市と地方、都道府県の間でも相当の違いがありまして、その地域間格差を生  み出す要因の分析を通じて各地域の特性を踏まえた政策のあり方を提言していく。 (2)は 労働条件決定システムの再構築に関する研究です。従来と異なって、派遣、パ  ート等就業形態の多様化が進んでおります。労働組合の組織率の低下もあり、契約の  個別化といった状況もあって、そういった状況の下で個人の労働条件をいかに的確に  決定するシステムを整理していくかということを研究、提言するものです。 (3)は、わが国における雇用戦略のあり方に関する研究です。既に1980年代から高  失業を経験しておりますヨーロッパ各国においては、OECDやEUという単位でも  さまざまな雇用戦略が打ち出されており、雇用政策がさまざまな政策分野とも関連す  るということも踏まえてパッケージ化をして戦略がとられていることから、そういっ  た各国の実施状況や、それを踏まえた政策効果を分析して、今後わが国が直面する社  会、労働市場構造の変化に対応した雇用戦略を提言していくということです。 (4)は、多様な働き方を可能とする就業環境とセーフティネットに関する研究です。  SOHO、テレワークなど、従来見られなかった働き方が登場しております。こうい  った中で単純に労働基準法等によって最低条件を定めるという形だけでよいのかどう  かということ。多様な働き方をするということで労働者性自体もなかなか判定が難し  いという中で労働関係法制、労働基準法等のセーフティネットのあり方等を提言して  いくということです。  2番目の枠の応用研究は、左の基礎的、中核的な研究の上で、さらに具体的な政策課  題に対応するという意味で3つ立てております。 (5)は、労働を取り巻く環境が多様化、変化する中で、企業経営の観点から今後どのよ  うな対応が考えられるかということで、労働者の能力が最大限発揮されて、公平性が  高い雇用管理のあり方が実現されるという観点から、企業の経営戦略、人事処遇制度  等の分析、今後のあり方について取り組んで参りたいということです。 (6)は、職業能力開発に関する労働市場の基盤整備のあり方に関する研究です。技術革  新の迅速化、国際競争の激化に伴って人材ニーズが変化、多様化しております。その  中で的確な能力を持った人材を企業が確保する、あるいは労働者側から見れば、自ら  の能力を的確に発揮できるというためには新しい労働市場の基盤整備、例えば、職業  能力評価制度とか、キャリアコンサルティングに係る制度等を整備していかないとい  けないわけですけれども、それに関する諸外国の状況等含めた調査研究を行うという  ことです。 (7)は、仕事と生活の調和を可能とする社会的システムの構築に関する研究です。これ  はいわば、仕事と家庭の両立といったことで集約されることですが、労働者が仕事と  生活のバランスをとってさまざまなことに挑戦し、可能性を追求できる社会システム  を目指すことについての具体的な方向性の研究です。  3番目の枠は研修研究ということで2つ立てています。 (8)は、総合的な職業情報データベースの開発にかかる研究です。職業は多種多様、複  雑化しており、日々新しい職業が労働市場に登場しているわけでして、それについて  迅速、的確に職務分析を行い、その職業に必要な知識、資格等を分析、体系化し、そ  れを企業労働者に提供していく。現在、厚生労働省と協力してそういったデータベー  スの更新を始めておりますが、新法人においてもこれを引き継ぎ、新たな職業情報デ  ータベースの開発に関する研究を行うということです。 (9)は、ホワイトカラーを中心として中高年離職者と再就職支援等に関する研究です。  中高年離職者等、再就職困難な方々に対するカウンセリング技法については、特に一  般のカウンセリング技法と異なり、きめ細かな特別の対応が必要となっています。労  働研修所におきまして職業安定行政職員等の研修を行っておりますが、その理論的背  景あるいは実用的なノウハウ、ツールといったものを開発研究して実践に役立てると  いう観点からの研究でございます。  以上、これにつきましては、中期目標の中にも明記をし、また法人の中期計画におい ても内容を記載していく方向で検討しておりまして、政策研究、研修を目的とした法人 としての中核業務としてしっかりやっていきたいと考えておりますし、これについてき ちっと評価を受けながら、また日々出てくる新たな政策研究ニーズ、研修ニーズに対応 していきたいということで位置付けております。  2番目に、労働政策についての情報及び資料を収集、整理すること  政策研究を行うためにはその基盤となる情報、資料等の収集整理が必要となっており ます。そういう観点から、国内外の労働事情、各種データ等を機動的に収集・整理する ことにしたいと思っておりまして、 (1)国内労働事情の収集・整理 については、   (1) ビジネス・レーバー・サーベイ ということで、実際の企業現場における雇    用、人事労務管理の動向を迅速に把握・分析することで、企業や労働組合等、関    係者にモニター報告を依頼、またヒアリング等、多量なチャネルを通じて情報収    集する仕組みを新法人につくっていきたいと思っております。   (2) 有識者アンケート (1)に加えて、有識者アンケート等も行いながら、最新の    知見等の基礎的情報の収集を行いたい。 (2)海外情報の収集・整理 については、  労働政策を遂行するにあたって、従来日本労働研究機構が重要な役割を果たしてきた ところですし、今後もやっていきたいと考えておりますが、   (1) 国別情報収集 海外主要国について、雇用・労働の実態や政策を継続的、体    系的にフォローしていく。   (2) 政策課題別情報収集 政策課題という観点から、日本労働研究機構から新法    人に引き継がれていく、さまざまな海外関連機関とのネットワーク等も活用しな    がら、情報を整理・収集していくということです。 (3)そのほか、先ほど、単純なデータ集計はしないと申し上げましたが、非常に重要 な労働統計の加工、あるいはそれに関する情報提供を行ってきているわけです。これに ついでは引き続き、収集・整理をしていきたいと思いますし、重要資料についての収 集・整理も行っていきたいというふうに考えております。 (4)図書資料等の収集・整理も行っていきたいと考えております。  3番目に、労働政策の研究促進のため、研究者及び有識者を海外から招聘し、及び海 外に派遣すること  これは従来やっておりました労働組合幹部等との交流については廃止するわけです が、各国で共通する労働分野の課題についてネットワークの形成、研究成果の交換、活 用は極めて重要である。労働問題が国際化する中でこういった部分については、できる だけ効率的に行っていきたいと考えておりまして、 (1)海外の研究機関等とのネットワークの形成する (2)研究者等の招聘を行う (3)研究者等の海外派遣を行う  ということで実施して参りたいと考えております。  4番目に、調査旧結果等の成果の普及及び政策の提言でございます。  これにつきましては、調査研究成果の情報をできるだけ迅速に関係者に伝える。持っ ているだけではなくて、積極的に発信していくことが重要であります。それについて は、 (1)広報・情報提供  ・調査研究報告書等の作成・提供  ・ニュースレター、メールマガジン、ホームページ等、インターネットのチャネルを   使った積極的な情報提供をしていきたい  ・研究と情報基盤となる各種労働関係データベースを整理、公開していきたい (2)労働政策フォーラム等の開催  ・政策論議の場の提供ということで、研究者、政策担当者、労使関係者等が参加する   労働政策フォーラム  ・海外の研究者・有識者、政策担当者等が参加する国際シンポジウム等も調査研究成   果の普及という観点からも実施して参りたいと考えております。  5番目は、研修関係業務です。新法人の研究員による研究成果を活かして第一線機関 の職員に役立つ能力、ノウハウが取得できる研修の充実を図って参ります。  併せて、研修の場を通じて、労働行政の現場で何が生じているのか。何が問題なのか ということを迅速、的確に吸い上げて、それを研究に活かすということで、研究と研修 が相互作用、相乗効果を持って効果的に行われるようにしていきたいと思っておりま す。  6番目、その他事業として、調査研究等の事業成果の蓄積を基礎にして、広い範囲で 労使実務家等に対しても教育講座事業等を通じて研修、講習等を実施して参りたいとい うことです。  以上、簡単でございますが、ご説明といたします。 ○井原部会長  ありがとうございました。以上の3法人が、次回以降個々に審議をする法人でござい ます。  続きまして、労働者健康福祉機構についての説明をお願いします。 ○相浦労災補償部労災管理課課長補佐  労災管理課の相浦でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  独立行政法人労働者健康福祉機構の業務の概要についてご説明をいたします。  資料NO. 5の袋ですが、中に、独立行政法人労働者健康福祉機構の概要というペーパ ーと、整理合理化計画における指摘事項・措置状況、措置予定等のペーパー、それぞれ 1枚と、現行、労働福祉事業団のパンフレットをご用意させていただいております。パ ンフレットは適宜ご参考としていただければと思います。  1枚目に新機構の概要をまとめてございますので、それにしたがい説明申し上げま す。  1.法人の名称ですが、独立行政法人労働者健康福祉機構でございます。現行の特殊   法人、昭和32年7月にできました労働福祉事業団の業務を原則として承継するも   のでございます。  2.法人の目的ですが、新法人は、いま申し上げましたように、基本的に現行の労働   福祉事業団が果たしてきた業務を承継するものでございます。目的といたしまして   も、療養施設、健康診断施設、及び労働者の健康に関する業務を行う者に対して研   修、情報の提供、相談、その他の援助を行うための施設の設置・運営により労働者   の業務上の負傷または疾病に関する療養の向上、労働者の健康の保持増進に関する   措置の適切かつ有効な実施を図るとともに、未払賃金の立替払事業等を行い、もっ   て労働者の福祉の増進に寄与すること、としているところです。  3.職員の身分ですが、非国家公務員として位置付けられております。  4.役員の名称・数ですが、理事長、理事4名、監事2名。解散する労働福祉事業団   の役員数と同数となっています。  5.業務の範囲ですが、法人の目的を達成するため、新法人では主な業務として4つ   の業務を継承しております。   (1)療養施設の設置及び運営      療養施設、つまり全国に配置している労災病院等の設置・運営にあたる。   (2)健康診断施設の設置及び運営      全国、いま2ヵ所になっていますが、健康診断センター、また海外勤務健康     管理センター、これは全国で1ヵ所ですが、この設置・運営をするものです。   (3)労働者の健康に関する業務を行う者に対して研修、情報の提供、相談その他     の援助を行うための施設の設置及び運営     全国都道府県47ヵ所に産業保健推進センターを設置しております。その設置     ・運営ということです。   (4)未払賃金の立替払事業の実施      これは倒産により賃金未払いのまま退職した労働者に対してその一部を労働     保険特別会計の労災勘定から立替払いするものです。  以上、主要なものとして4つの業務を継承しています。  これ以外にも、労働安全衛生関係で小規模事業場産業保健活動支援促進助成金とか、 自発的健康診断受診支援事業、リハビリテーション施設の設置・運営、産業殉職者の納 骨堂の設置・運営、また保険給付に関する決定に必要な検診等を行うものとされていま す。  ただし、労働福祉事業団からの暫定的な業務として2つほど掲げてございます。  1つは、療養施設の一部、大臣が定める廃止する病院についてになりますが、併せて 休養施設、労災保険会館の移譲または廃止の業務。  2つ目は、労働安全衛生融資の債権管理及び回収の業務がございます。  なお、解散する労働福祉事業団の業務のうち、廃止した主な業務として労働安全衛生 融資、年金担保資金貸付、休養施設及び労災保険会館の設置・運営の3つを掲げていま す。  6.労働福祉事業団の現行の予算額が書いてあります。15年度の予算額は、 3604億円です。このうち政府補助金、交付金、合わせますと、578億円となって います。  最後に、法人の設立時期ですが、16年4月1日でございます。法律は他の法人の成 立時期と同様ですが、昨年暮れの国会で成立しております。現在のところ、政令、省令 についての作業を進めているところです。  2枚目のご説明に入りたいと思います。2枚目、特殊法人の整理合理化計画における 指摘事項と措置状況、措置予定等をお示ししております。今後のスケジュールと現在の 状況を織り込みながらご説明させていただきます。  まず【労災病院業務】ですが、整理合理化計画の中では、労災疾病について、研究機 能を有する中核病院を中心に再編し、業務の効率化を図る。この再編の対象外となる労 災病院については廃止することとし、地域医療機関として必要なものは民営化または民 間・地方に移管する。とされています。  ここでいう労災疾病とは、職業現場において発生する、じん肺、産業中毒、振動障 害、脊髄損傷などの労災特有の疾病なり、過労死、メンタルヘルスなど社会的問題とさ れている分野を中心としたものと考えております。  右の欄に措置状況、措置予定がありますが、15年度中に労災病院再編計画を策定、 としてございます。現在のところはこの再編計画の前段階として、再編のベースとなる ような労災病院の再編に関する基本方針なり基本的な考え方なるものをつくっていきた いと考えており、いま関係省庁等と鋭意調整をしているところでございます。いましば らく時間を要する見込みであります。この基本方針なり基本的な考え方には、労災病院 の今後の位置付けとか、機能強化を図るための再編についての視点、方向、財政措置の あり方、こういったものを盛り込めればというところで考えておりますが、内容につい ては現在検討中でございます。ただし、その際には、全国の労災病院を再編成して、勤 労者医療にかかる全国的なネットワークを構築するという基本的視点を持っておりまし て、併せて、独立行政法人としての健全な運営を図るという観点から種々の点を考慮し ていくことになるのではないかと考えております。  さらに再編計画につきましては、15年度中に策定するということとしております が、時期についてはいまのところ未定でございまして、具体的な再編の進め方等も今後 の検討によるところ、とされております。  最終的な廃止病院等の特定につきましては、新機構発足前に厚生労働大臣の告示等で 定める予定としております。 【看護婦養成等業務(看護専門学校等)】については、整理合理化計画では、労災病院 の再編に合わせて業務を縮小する、とされています。  具体的には、措置状況にありますように、労災看護専門学校(3年制)13校のうち 2校、及びリハビリテーション学院(理学療法士、作業療法士養成施設)全国1校有し ておりましたが、これを15年度末で廃止する予定にしております。 【休養施設、労災保険会館業務】ですが、休養施設、労災保険会館については、整理合 理化計画の中で全面的に廃止するとともに、最終処理の終期を明示して迅速に処理す る、ということとされています。  これは労働福祉事業団だけの話ではなく、12年5月の閣議決定「民間と競合する公 的施設の改革について」により、公的施設について既存施設の廃止がうたわれたもので す。今後、政令で最終処理の終期を明示する予定ですが、いずれも、措置状況欄にある とおり、17年度末を目途に段階的に廃止することとしております。 【年金担保資金貸付、労働安全衛生融資業務】については、年金担保資金貸付は、労災 年金受給者の250万円までの小口の貸付制度です。整理合理化計画では労働福祉事業 団から金融関係業務を廃止する、とされています。表の一番下にありますように、16 年4月1日からは、社会福祉・医療事業団の業務を承継する法人に業務を移管すること となっています。  また、安全衛生融資業務につきましても、13年度末で安全衛生融資業務関係の新規 貸付は停止しております。今後は債権回収業務のみが残る形となる予定でございます。 【小規模事業場産業保健活動支援促進助成金等】について、これは法的には産業医の選 任義務のない50人未満の事業場が共同で産業医を選任する際の助成制度です。整理合 理化計画では、これについて適切に評価を行い、評価結果を事業に反映させること。さ らに、国が明確に政策目標を定めること。また、事後評価を行うこと。というような指 摘を受けておりますが、措置状況、措置予定等にありますように、有識者等による検討 会、これは労働福祉事業団の医師をはじめとして、産業医、企業の労務担当者、労働側 等を構成員として、これまで数度にわたり検討を実施しております。この検討会の検討 結果を今後、中期目標等に反映させていくように考えているところでございます。 【産業保健推進センターにおける研修助成業務】ですが、産業保健推進センターとは、 先ほど業務の中で申し上げましたが、労働者の健康に関する業務を行う者に対して研 修、情報の提供、相談その他の援助を行うための施設です。実際には、産業保健関係 者、産業医、産業看護職、衛生管理者等に対する研修や窓口相談、実地相談を行ってい ます。整理合理化計画では、研修業務等についても目標の設定、事業評価の実施の徹底 という指摘を受けております。これらも検討会等において結論を得、今後中期目標等に 反映させていく予定としております。  以上のとおり、各種事項についてこのように検討を進めているところですが、評価委 員の先生方のご指導をいただきながら、今後とも精力的に進めて参りたいと考えており ます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○井原部会長  ありがとうございました。それでは最後になりましたが、雇用・能力開発機構につい てお願いします。 ○川口職業能力開発局総務課企画官  能開局総務課の川口でございます。よろしくお願いします。 資料NO. 6の封筒をお 開けいただきたいと思います。  概要のペーパーとパンフレットを用意してございます。事業内容等について適宜パン フレットのほうもご覧いただければと思います。  独立行政法人雇用・能力開発機構でございます。現在は特殊法人の雇用・能力開発機 構でございまして、同じ名前となっております。  概要のペーパーにしたがって簡単にご説明申し上げたいと思います。  独立行政法人の設立予定は平成16年3月1日としております。ということですの で、その直前の時期に中期目標等のご審議をお願いしたいと思っております。  独立行政法人の設立の目的は、(3)に書いてありますが、簡単に申し上げますと、 2行目にあります、雇用管理の改善の関係の援助の業務と、能力開発施設の設置運営業 務、この2つの業務が中心になるわけですが、それと併せて、3行目にあります、勤労 者の計画的な財産形成の促進ということも併せて行うこととしております。  次に組織については、2にあるとおりですが、具体的にはパンフレットの18ページ 以下をご覧いただきたいと思います。ここに具体的に施設の名称、設置個所がありま す。  この中で都道府県センター、名前のとおり、各都道府県に設置しております。これが 概要のペーパーでは従たる事務所とされているものです。  19ページ以降が職業能力開発施設、全部で74か所でありますが、総合大学校、能 開大学校、短大、ポリテクセンター等、いくつか種類がございます。それぞれの能開施 設ごとにどういうことをやっているかということは、パンフレットの9ページ以降に書 いております。詳細の説明は省略させていただきます。お読みいただければと思いま す。  続きまして、3 業務の概要でございます。先ほど、設立の目的のところで申し上げ ましたとおり、雇用開発関係、能力開発関係が主な業務で、その他、となっています。 (1)雇用開発関係に関しては、簡単に申し上げますと、雇用管理に関するいろいろな 相談業務、各種助成金支給業務となっております。各種助成金の支給について、中小企 業の関係と建設労働者の雇用管理改善の助成金の支給があるということです。 (2)能力開発関係の業務については、ただいま申し上げましたように、全国74か 所、各種の能力開発施設がございます。この設置運営が主な業務ですが、それ以外に (2)にありますように、キャリアコンサルティング関係の業務を行っております。また、 事業主が行うキャリア形成を支援していくということで助成金の支給も行っているとこ ろです。 (3)その他として整理しておりますが、(1)は勤労者の財産形成の促進ということで、 具体的には財形貯蓄の促進ということで、持ち家取得資金等々の融資の業務を行ってい るところです。また(2)として、先ほど設立の目的のところではご説明しなかった業務 ですが、暫定業務ということで位置付けられているもので、移転就職者用宿舎と福祉施 設の2つの施設について、基本的には譲渡、廃止を行っていくということにしておりま す。当然ながら、譲渡するまでの間、施設があるわけですので、その間管理運営業務を 行うということです。  4 平成15年度予算  予算規模については記載のとおりです。  2ページ目からは、事業概要をやや詳しめに記載したものですが、ただいまの説明と 大部分重複いたしますので、簡単に申し上げたいと思います。  雇用開発業務の関係では、相談、援助を行っているわけですが、それとともに大きな 業務として助成金の支給を行っております。助成金の支給額は記載のとおりでして、い ろんな種類の助成金がありますが、簡単に申し上げますと、中小企業の人材確保を支援 していく助成金、建設業の雇用管理改善のための助成金があります。実際の助成金の種 類については、パンフレットの16ページにありますので、お読みいただければと思い ます。  職業能力開発関係の業務については、先ほど申し上げましたとおり、全国に施設を配 置いたしまして、その設置運営を行っているところです。具体的な受講者数、14年度 実績と15年度計画の数値、を挙げております。ただ、この数字の中には、2行ほど下 に書いておりますが、民間機関への委託訓練分もこの数字に含まれております。内数で ございます。実際には雇用・能力開発機構が直接に訓練を実施するのではなくて、各種 の民間機関に委託して民間の力を活用して訓練を実施しているもので、これがかなり多 数に上っているということです。  以下は省略させていただきまして、2枚ほどおめくりいただきまして、整理合理化計 画の関係でございます。  特殊法人整理合理化計画の関係で何点か指摘をいただいております。  能力開発関係では、(1)在職者訓練 (2)職業能力開発大学校 (3)離職者訓練 に分 けて指摘いただいておりますが、まとめて申し上げますと、基本的には、民間機関との 役割分担をしっかりやりなさいというご指摘でございまして、民間でできるものは民間 に委ねていく。そして、直接実施するものについても、民間外部講師を積極的に活用し ていきなさい。自己負担について、とるべきものはしっかりとりなさいと、こういう指 摘でございます。 それぞれの指摘に着実に計画的に対応しているところでございまし て、それに合わせて訓練定員を減らすとか、民間外部講師の割合を増やす、あるいは受 講料を段階的に引き上げていくというような措置をとっているところです。  2点目の勤労者福祉施設、移転就職者用宿舎の関係についてですが、勤労者福祉施設 については、廃止期限を明確にし、できるだけ早期に廃止しなさいという指摘をいただ いておりまして、現在鋭意、地方公共団体等への譲渡を行っている最中でございまし て、措置状況のところに記載のとおり、かなりの部分は譲渡が済んでおります。  これについて、廃止期限を明確にしろという指摘ですので、法律上、18年3月末ま でには廃止するということを条文に明記しております。ただ、なるべく現在の組織の段 階で譲渡を完了させたいということで、できるだけ独立行政法人に引き継がない形でな んとか早期に譲渡したいということでやっているところでございます。  もう一つ、移転就職者用宿舎について、これは指摘にありますように、現に入居者が いる施設ですのでなかなか簡単ではないわけですが、現に入居者がいることを踏まえた 早期廃止のための方策を検討し、できるだけ早期に廃止する、という指摘になっていま す。  これについて、措置状況にありますように、早期廃止のための方策を検討してきたと ころでして、5月に報告書をまとめております。これに基づきまして、入居者への配慮 を行いながら譲渡を進めるということで、これも現在取り組んでいるところです。  雇用促進融資は廃止という指摘でございましたので、既に廃止したところです。  各種助成金については、しっかりと事後評価を行って、助成のあり方を適宜見直すこ と。あるいは、国が直接交付したほうが効率的な助成金については、国に移管しなさい という指摘を受けておりまして、措置状況にありますように、いくつかの助成金につい ては廃止、またいくつかの助成金については国へ移管という措置をとってきているとこ ろです。 その他、海外職業訓練業務は、機構の業務としては廃止する、ということ で、これについても対応してきているところです。以上でございます。 ○井原部会長  ありがとうございました。これで5つの法人の説明をいただきましたので、これに関 してご質問等をいただきたいと思います。どうぞご自由にお願いします。 ○篠原委員  廃止とか他の機関に移管とかいろいろとありますが、いわゆる残務業務、貸付金の回 収とか、そういう部分については、中期計画に入れられるんでしょうか。中期計画に、 どういう形で回収していくといったことも含まれるんでしょうか。 ○川口企画官  全体像はよくわかりませんけども、雇用・能力開発機構につきましても、先ほどご説 明いたしました、雇用促進融資については新規融資は既に廃止しておりますが、ご指摘 のとおり、回収業務は当然ございますので、回収業務は独立行政法人にも引き継いでい くということにしております。このようなものについて、中期目標、中期計画にどのよ うな記載にするかというのは、まだそこまで検討が至っておりません。時期が参りまし たら、ご説明申し上げたいと思います。 ○相浦補佐  労働者健康福祉機構につきましても同様で、債権管理業務は残る予定となっておりま す。 ○本寺委員  いまの質問に関連してですが、事業内容の統廃合とか、施設の統廃合を行った場合の 職員の方の雇用とかはどういうような、人員要員計画になるんですか。先ほどの説明で は、看護専門学校とかリハビリテーション施設を廃止するという話があったんですけど も。 ○相浦補佐  労働者健康福祉機構にかかる部分を申し上げますと、雇用対策については、新法人の 中で配慮してやっていくという考え方でございます。ただ、この先に出て参ります労災 病院の再編ということでは、かなり大がかりな再編、整理となりますので、そうなって 参りますと、解決しなければならないいろいろな問題がたくさん出てくるのではないか と考えておりますが、閣議決定におきましても、雇用の安定に配慮する、という規定が ございます。そのあたりを踏まえながら対処して参りたいと考えているところでござい ます。 ○田中調査官  労働政策研究・研修機構についても、施設の廃止等はありませんが、政策研究の純化 とか、研修所の統合という形で、廃止業務については、それを行っていた人員について は、新たな業務に異動させるといった形でやっておりますし、実際上、業務量が減る部 分については、先ほどご説明しましたように、定員の減という形で予算上措置しており まして、そういう形で縮減を図るということにしております。 ○横倉委員  これは質問というより、次回以降のお願いなんですが、今日伺って、いろいろと多岐 にわたって業務が重なったり、ということがわかりましたが、今後の独立行政法人とい う形でどういう仕事を受けとめてどうされるのというのは、中期目標設定の前に既に出 てきているものに対しての検討ということで、その決定をどうしろということではない んですが、もしできましたら、これから後の個々の事業の個別検討に入るときに、従来 の労働省の関連団体、例えば、財団法人とかが別途に、これは民間という形でやってい るものがあるよ、というような、そういう機関にどういうのがあるかという資料ぐらい は是非つけていただければと思います。といいますのは、民間でできるものは民間でと いうのが具体的に見えないと、ここの法人でやる業務として適正か、効果的かどうか、 目的のために必要かどうかということがちょっと判断しにくいと思いますので、詳しい 資料じゃなくても結構なんですが、それぞれの法人に関係する財団法人とか、行政に近 い形で進めている機関がどんなことをやってるかぐらいの資料があれば有難いなと、こ ういうことでございます。 ○竹内委員  冒頭にご説明のあった仕事なんですが、中期目標及び中期計画の素案をそれぞれが出 されて、それに対して参与会議が指摘されているのが横枠になっていて、指摘に対して どれだけやったかということの説明があったように思うんですけども、そのことと実際 の指摘事項の中で具体的かつ意欲的な数値目標を立てろとか、1割、2割大胆な削減を やれということとの関係なんですけど、それに沿った指摘に対して、中期目標、中期計 画が出されているかどうかという評価もここの委員会でやることなんでしょうか。いわ ゆる参与会議の指摘と、実際にやられた目標、計画の設定と、ここの評価委員会との関 係なんですけどね。そのことについての評価もここの仕事としてあるんでしょうか。 ○山田政策評価官  基本的に、この評価委員会というのは、参与会議の下請けではございませんので、こ ちらの評価委員会としてそれぞれ厚生労働省から出てきている中期目標案、中期計画案 について、皆様方のご判断でご審議いただくというのが基本だと思います。 ○竹内委員  そうすると、参与会議が基本方針を出しているわけだけれども、そのことについて も、ここ独自の意見は出し得る。計画とか目標に対して違った視点でやったほうがいい というのか、いまご説明のあった参与会議で出された基本に沿ってやるのかというの か。ちょっと参与会議で指摘されたことに沿ってやってほしいというように聞こえたも のですから。 ○山田政策評価官  すみません、説明の仕方が悪かったんだろうと思います。先ほどご説明した参考資料 4、21ページからの資料は、特殊法人等改革推進本部事務局が出したものでございま す。これは参与会議ではなくて、政府としてこういう形で各省における特殊法人から独 立行政法人になる組織について、中期目標というものを策定するときにこういうことに 気をつけてほしいと、まさにこれは政府レベルとして出されたものでございますので、 その指針については、念頭においていただいて、中期目標案、中期計画案を見ていただ ければというふうに思っています。ただ、そのあとご説明いたしました参与会議におけ る指摘事項、これはあくまでも改革推進本部の下におかれております参与会議で指摘さ れたことでございますので、これはここの審議と完全にカップリングするものではない というふうにご認識いただければと思っております。 ○竹内委員  関連で、横の表の指摘事項というのは、参与会議の指摘事項ですね。違うんですか?  これはどこの指摘事項か、ちょっとわからなかったものですから。 ○山田政策評価官  各法人ごとに説明のありました、それぞれのところの整理合理化計画における指摘事 項というのがございますけれども、これは平成13年の閣議決定で、特殊法人等整理合 理化計画というものが出されておりまして、ここの中で各特殊法人についてこれからこ ういうことに気をつけて措置をしてほしいということで出されたものでございます。し たがって、それぞれの法人については、この整理合理化計画に対応するということをし ながら、新しい独立行政法人として衣更えをして運営をしていくということになるとい うことでございます。ですから、申し訳ございません、これは参与会議の指摘事項とは 違うものでございます。 ○村山委員  今日初めてこの会に参加しまして、正直申し上げて専門でないといいますか、十分に 従来の事情を知らないものですから、かなり厄介なものなのかという気がしておりま す。それで、先ほど横倉委員がおっしゃったのと全く同じお願いなんですけれども、新 しい独立行政法人の業務の必要性、それから、競合するものにはどういうところがある か、というような資料も一緒に説明していただきたい。例えば、私は医師ですら、労災 病院の話はとてもよくわかるんですね。労災病院の将来の方向として、労災に関係する ものに特化する、ということになると他の病院との違い、特色、対象もはっきりして理 解しやすいんですね。そういう形で、ほかの法人に関しても、ほかではこういうものを やってるけれども、ここはこういうところに特色があるという資料をお示しいただける と有難いと思います。よろしくお願いします。 ○山田政策評価官  2回目以降、まずは10月立ち上げの3法人について、中期目標案、中期計画案をご 審議いただきますけれども、その際にはいまおっしゃったご趣旨を十分踏まえて対応し たいというふうに考えております。 ○篠原委員  評価委員会の質問としてはちょっと違うかもしれないんですが、いま準備作業が非常 に大変だと思うんですけど、先行の独法を見てると、独法の趣旨とか、いままでの形と は違う管理とか事務をやらなければいけないので、そのへんの教育、研修は各法人さん はそれなりに考えてやっておられるでしょうか、ということをちょっと知りたい。 ○山田政策評価官  各法人の状況だと思いますけども、それはやはり新しい組織、新しい運営のしかたに なるわけですので、財務の処理を含めて、職員の研修ということを当然やっておりま す。 ○井原部会長  いままでの経験を申し上げますと、既に中期目標と中期計画を出していただいて、具 体的な評価をしたというのは3法人ばかり、去年やったところがあるんですが、そのと きに一番苦労したのは何かといいますと、中期目標、中期計画のところはかなり抽象的 な言葉で表現がされていたために、それを達成したかしないかというところの評価が大 変に難しかったという事実があるんですね。それで、そういう計画を踏まえて推進本部 事務局が出してきた策定指針というのは、そのとき指針のようなものがあったような気 がしますけれども、それに比べてだいぶ具体的になっている。ほんとは進歩してるんだ ろうと思うんです。  ですから、各法人の中期目標、中期計画が既に先行している法人のを雛型としてつく っていただいてはちょっと困るな、という気があるんですね。かなり抽象的なところが ありましたから、そこのところをもっと具体化するという形でのご指導を是非お願いし たいということなんですね。特に具体的な業務が制度として定まっているような法人の 場合には具体化はしやすいんですけれども、研究を主とするような法人の場合にはこれ は大変に難しいんだろうと思うんですね。ややもしますと、世の中で行われているその 分野の標準問題というのがありまして、その標準問題というのは時代のニーズにかかわ っているわけで、それを解きますと、論文がいくつでも出てくるという実態がございま す。  そうではなくて、世の中では現実にこういう問題が起こっていて、この問題を解決す ることが世の中の人々の幸せにどれだけ貢献するのかという筋道をはっきりさせて、し たがってここのところがはっきりすれば、それが可能ですよ、という形でつなげてもら わないと、高齢化が起こってどうのこうの、だからこれをやります、という話では、あ とでそれがほんとに世の中のための貢献につながったの? という話になったときに、 大変評価が難しくなるという、そういう感じを先行している法人の評価の場合に強く感 じていたものですから、特にそういうい性質の法人の場合には是非、より具体的に考え ていただきたいなというふうに、いままでの経験から申し上げたいと思うんです。  あとは、今日お話いただいた中で、こういうものはこういう理由で廃止するという話 は非常にわかりやすかったんですが、おそらく具体的な審議の過程で、これもちょっと 要らないんじゃないの、という話が出てくるかもしれませんけども、そういうところも 含めて議論が闘わされるんだと思います。  ほかに何かご質問ございますでしょうか。 ○松田委員  いまの先生のお話に関連するんですが、1割、2割削減するということが先行しちゃ って、実際の政策の中身が正しいかどうかというのは今日の説明ではよくわかりません ね。1割、2割カットすることが先行して、逆算して出しているんじゃないか、そうい うふうに捉まえたのが一部ありましたし、それからもう一つは、山田政策評価官がお話 になった、3ページの、定量的な目標設定、そして、定性的な目標設定というところに ついても、それは当然消化しないといけない。どういう定性的な目標でも必ず消化する ということをしないと評価できないということになりますね。それをきちんとやるかど うかでしょうね。ですから、次の会合から、目標から計画に落とし込んだときに、消化 できるかどうかが一番のポイントになるんじゃないか。この2点ですが、特に、1割、 2割にかなり縛られて出してきているんじゃないか。それは本当の廃止なのか、どうな のかですね。また、一部、業務としておかしいな、なぜこの業務は引き継がなきゃいけ ないのかなというようなところも一部ありました。それは次回、正式なものが出てくる でしょうから、そこで具体的な検討がされるんだと思います。ちょっと感じたところで す。 ○寺山委員  質問ですが、いま伺った法人の中で、私は保健医療、リハビリテーションの関係の仕 事をしておりますので、高齢者、障害者のところと、リハビリテーション関係の労災病 院に関係するところは中身的にわかるんですけれども、他のところはよくわからないと いうか、ペーパーで伺ったということなんですけど、これは評価するに際しては、ここ で伺うだけではなくて、現場を見に行くとか、そういうようなチャンスというのはある んでしょうか。 ○山田政策評価官  これもまたご相談したいと思いますけれども、できるだけ現場を見ていただく機会を これからつくりたいというふうに思っています。 ○寺山委員  是非よろしくお願いします。 ○篠原委員  3法人は半年になりますよね。そうすると、評価が年間とちょっと違うので難しく なってくるんですが、上期のデータも出していただかないと、目標が低いところに出て きますよね。先行の3法人も過去のデータがないとかで我々評価非常に苦労しましたの で、今度の半年については、上期のデータを出していただくよう、そういうことも考え て準備していただきたいと思います。 ○山田政策評価官  それはそういう、経過がわかるような形で用意したいと思います。 ○井原部会長  ほかにいかがでしょう。よろしゅうございますか。  では、いまのようないろいろなご意見が出ておりますのでよろしくお願いします。  それでは大変長い時間ご審議いただきありがとうございました。本日はこれで終りと させていただきます。                                     (了) 照会先  政策統括官付政策評価官室 独立行政法人評価係  代)03-5253-1111(内線7790)