03/08/04 厚生労働省独立行政法人評価委員会 調査研究部会第5回議事録          厚生労働省独立行政法人評価委員会 調査研究部会                  第5回議事録 日時   平成15年8月4日(月)15:00〜16:55 場所   厚生労働省専用第21会議室 出席委員 五十嵐委員、岩渕委員、大久保委員、黒澤委員、酒井委員、清水委員、      武見委員、田村委員、政安委員、安井委員 1.開会 〇大久保部会長  ただいまから第5回の独立行政法人評価委員会の調査研究部会を開催させていただき ます。委員の皆さま方におかれましてはご多忙の中お集まりいただきまして、大変あり がとうございました。本日もよろしくお願いいたします。  なお、本日ご欠席の岸委員におかれましては、現在、療養中のことと聞いております ので、今般の評価をお願いすることは難しいと考えております。その点をご了解いただ きたいと思います。  本日の議題は2つございます。財務内容に関する審議とが総合的評価のためのフリー トーキングです。はじめに事務局から何かございましたら、よろしくお願いします。 〇山田政策評価官  何点か申し上げたいと思います。前回までご審議をいただいてご記入をいただいた個 別評価のシートにつきましては、本日の審議を踏まえ、ご記入いただいたシートについ て修正が必要であると判断された場合には、赤鉛筆で修正をいただいた上で、本日お帰 りのときに机上に置いていただきたいと考えております、よろしくお願いいたします。  お配りをしております資料5−1「個別項目に関する評価結果(未定稿)」につきま しては、全体の委員の名前については空欄とされております。委員各自のほうに配られ ているものにつきましては、ご自分のお名前のみしかわからない形になっておりますの で、その点もご了承をいただきたいと思います。  若干、前回までの提出資料の中で修正が出されております。栄養研の財務諸表・決算 報告書、産医研の決算報告書につきまして、誤りがあったので差し替えをお願いしたい と思います。誤りの内容につきましては、法人から説明をしていただきたいと思いま す。  では栄養研から説明よろしいでしょうか。 〇国立健康・栄養研究所事務部長  ご説明をさせていただきます。私どものほうは、まず財務諸表です。1点目が、14年 度購入物品のうち、2,100万円である1つの備品を計上漏れがありました。そういうこ とで貸借対照表で固定資産と減価償却費の各増を計上しまして、損益計算書上では研究 業務費の減価償却費の増と備品費の減を計上したところであります。  2点目が、平成13年度から、国からの無償譲与物品にかかる減価償却費についてでご ざいますが、これは清水委員からのご質問で考え方を若干修正させていただきました。 私どものほうは、13年度から国から無償譲与を受けた物品につきましては、損益外の減 価償却費として処理をしていたものですが、損益内として処理をし、損益計算書に 6,700万円を計上したところでございます。  研究業務費の減価償却費として、6,667万7千円、一般管理費の減価償却費として 37万6千円の増を計上させていただきました。  3点目が、リース資産にかかる支払い利息相当分、これは額は26万2,035円でござい ますが、この利息相当分の額を研究業務費及び一般管理費のその他の欄に、私どもとし ましては26万2,000円ぐらいでしたので、その他の欄に計上をしてしまいました。そう いうことで財務諸表の支払い利息として計上させていただく、ということでご訂正をさ せていただきました。  最後に、資料2−3の決算報告書でございます。これは額的には何ら変わりはありま せんが、支出欄の中に運営費交付金という欄が最初に出てまいります。その分が他の法 人等との整合性から運営費交付金という言葉を削るということで、文言の削除をさせて いただいたところでございます。以上でございます。 〇山田政策評価官  では次に産医研からお願いします。 〇産業医学総合研究所庶務課長  産医研でございます。お手元の資料は既に配付させていただきました決算報告書、資 料ナンバーは4−3でございます。1枚めくっていただきますと下段のページでございま すが3−4のページに総括表という形でなってございます。この総括表は3−5と3− 6ということで、それぞれ一般会計、特別会計、それとその他が3−7となっておりま す。その総括表の中で、一般会計と特別会計の部分で一部集計漏れがございました。  総括表の3−4のところでございます。上段の収入というところで、一番上から運営 費交付金、施設整備費、受託収入、その他の収入のところでございます。このその他の 収入が、決算額のところでございますが、真ん中です、当初の決算額につきましては、 最初に提示させていただきましたのは、ここが939万215円でございますが、一般会計の その他の収入額4,115円、次のページの特別会計のその他の収入ということで、15万 1,479円、この2つの点を総括表の中に漏れがございまして、ご覧のとおりに合わせま すと、954万5,809円ということになってございます。  そうしますと、当初の下の段でございますが、収入合計額でございますが、当初は16 億6,356万4,215円でございますが、いま申し上げました2点を足しますと、修正します と、16億6,371万9,809円という形でございます。訂正をお願いいたします。以上でござ います。 〇山田政策評価官  事務局からは以上でございます。 2.議事 (1)財務内容に関する審議について 〇大久保部会長  ありがとうございました。ではまず財務内容に関する審議に入らせていただきます。  財務内容につきましては、去る7月31日に岩渕委員と清水委員が各法人からヒアリン グを行っておりますので、はじめに清水委員から、ヒアリングの内容を含めまして各法 人の財務内容についてご報告をいただくことといたします。その後に各法人から補足等 を受けた上で、質疑を行わせていただきたいと思いますのでよろしくお願いします。 〇清水委員  清水でございます。先々週質問票をご提出させていただきまして、それにつきまして ご回答をいただきました。ご協力ありがとうございました。私のほうで把握できた範囲 で、その結果をお話させていただきたいと思います。各法人が20分ということでござい ますので、各法人順に、以下の3点についてお話を申し上げたいと思います。  まず1点目、評価シートにほとんど沿っているわけですが、運営費交付金以外の収入 の部分の話。これに関連して利益あるいは積立金に関連するお話。2点目としまして、 運営費交付金の節減にかかる努力という部分の話。3点目にその他の事項ということで 施設、あるいは人事に関することで補足することがございましたら述べさせていただき たいと思っております。  まず栄養研です。修正版の財務諸表をいただいております。まず運営費交付金以外の 収入というところで、損益計算書をご覧ください。こちらの法人につきましては、運営 費交付金収益が8億5,700万円ということですが、これに対しまして自己収入、受託研 究収益等の自己収入の部分が3億4,700万円ということで、運営費交付金収益に対して 約4割となっており、比較的運営費交付金に対する依存度は低い状況となっておりま す。  そういう意味で、財務的な自立的な基盤は非常に大きいのではないかということが言 えるわけですが、1点ここで注意をしていただきたいのは、前回、酒井委員からご指摘 がございましたように、会計処理が受託研究収益に含まれております科研費関係の処理 がオンバランスになっておりまして、一般的に正しいとされております預り金処理では ございません。その意味で、他の法人と単純には横並びで比較はできない状況でござい ます。ただし、それを除きましても、比較的自己収入の割合が大きいということがいえ ると思います。  法人のご説明にもございましたように、競争的資金の導入も拡大している。そういう 傾向が見受けられるところでございます。  利益積立金に先立ちまして、さきに運営費交付金の節減を見込んだ運営という点につ いてはどうか、ということを申し上げたいと思います。評価シートの自己評価欄に法人 のほうでお書きいただいておりますように、確かに平成14年度は予算額の範囲におい て、年度計画以上の事業を実施したということが記載されておりまして、まさに積極経 営が伺われるような財務諸表になっているように思います。  この法人の特徴としましては、財務諸表の貸借対照表をご覧いただきますとわかりま すように、運営費交付金債務がゼロという残高になっております。この背景にあるお考 えは、年度計画によって予定した事業は100%完了しているということで、そういうこ とですべて取り崩しを行っておられるということでございます。  この考え方は、運営費交付金債務の収益化という点につきましては、会計方針として は、費用進行型となっているわけですが、どちらかというと成果進行型的な考え方に なっております。  ここで、どういうふうに会計基準上はなっているのかということを言います。成果進 行というふうに一般的に呼ばれていますのは、一定の業務等と運営費交付金との対応関 係が明らかにされている場合には、当該業務の達成度に応じて財源として予定されてい た運営費交付金債務の収益化を進行させることができる、となっております。これに対 しまして会計方針でうたっております費用進行型といいますのは、運営費交付金債務は 業務のための支出額を限度して収益化するものとする、ということになっております。  そういう意味で、どちらかというと成果進行的な考え方に基づきまして取り崩しを やっていらっしゃるととらえておりますが、そういうことで既存事業の節減が運営費交 付金債務の残高に残るというよりも、むしろ100%を使い切ることによって、研究所が 必要と判断されている追加の事業に実施に回している、そういうことがいえるのではな いかと思います。  節減予算の達成度というような細かい点でみますと、対前年の実績に対して今年はど うかということを見ますと、今年の予算・実績とも主として人員の増加というご説明が ございましたが、そちらによりまして大幅に前年を増加している、大幅に超過している ような傾向にございます。  また14年度の予算に対して実績がどうかという点につきましても、交付金で行う事業 は、700万円ほど実績のほうがオーバー、持ち出しになっているわけですが、それ以外 の事業において収入が上回ったために、結果としては200万円程度の繰越額が増加して いる、そういう状況にあるということがいえます。  損益計算書をご覧ください。当期純損失が500万円ということで記載されていると思 います。こちらにつきまして、詳しくご説明いただきましたところ、予算に折り込まれ ていない国際産学共同研究センターの事業費用が約1,100万円、これには既に計上され ている積立金のほか、他の節約額の600万円程度を充当したというご説明でございまし たが、この節約額の600万円、これは既存の事業からの節約額と推測されますが、これ については詳細がまだ分析ができていないというお話でございました。  こういう点につきましては、既存事業の節減ということで評価させていただく上で は、どの費目がどれだけ目標、あるいは前年に対して削減されたか、ということをもう 少し明示していただいたほうがよろしいのではないかと考えております。いま申しまし た積立金の充当でございます。  同じく損益計算書上の目的積立金取崩額、という下のほうに計上されているところを ご覧いただきたいと思います。これは国際産学共同研究センター事業という新たな事業 に充当されたわけですが、これの充当については、平成15年3月に大臣承認が下りてい るというご説明を受けております。  ここで留意するべきことは、この事業は次期以降も継続される予定とお聞きしており まして、年度計画には記載されているということですが、予算的には平成15年度には手 当されていないということを聞いております。つまりこの事業の継続に要する費用とい うのは、今年と同じような形で他の事業の節約分もある程度は充当する予定ということ で進んでいるようでございます。  しかしもしそれで足りなくなった場合には、最悪の場合には当期に純損失が発生する 危険性があるわけでして、その場合には1項積立金ということで補てんせざるを得なく なるわけでございます。このように相当程度の規模で新規事業を実施あるいは継続して いかれる場合には、やはり他の事業からのやり繰りで実施継続されるというよりも、む しろ改めて適切な財源措置といいますか、予算申請を行ったほうが適切ではないかと考 える次第でございます。  そういうことで前後しますが、今年の運営費交付金、既存事業の節約額ということが 数百万あったということでございますが、これについては直接は特定できていないとい うお話でございます。  今後、中期目標の期間につきまして2%の経費の削減ということにつきましては、い ま考えておられるのが、平成17年までの間に定員3名の減ということを、手段として考 えていらっしゃるというご説明を受けております。以上が栄養研に関することでござい ます。   〇大久保部会長  ありがとうございました。他の2法人につきましても、まとめてご説明いただければ と思いますが、よろしいでしょうか。 〇清水委員  では続けさせていただきます。手短にお話をさせていただきます。  産安研に移らせていただきたいと思います。まず同じ順番で、運営費交付金以外の収 入ということでお話をさせていただきます。ご説明によりますと、実験内容が汎用性に 今は乏しいものということでございますので、運営費交付金収益に対する自己収入の割 合というのは非常に低い、2%程度でございます。今期、施設貸与収入340万円程度計 上されておりますが、そういうところの増収の努力というものはうかがえるのかなと考 えております。  結果的に一般勘定のほうでは当期純利益が700万円が生じておりまして、その主なも のが施設貸与収入、あるいはその他の自己収入でございます。それと後は受託研究用器 機の未償却残高130万円程度で合計で700万円程度です。  もう一つの特別勘定でございます労働福祉事業勘定におきましては、こちらはマイナ ス200万円ということで、当期純損失が生じております。この原因につきましてもファ イナンスリース資産の会計処理にかかる損失ということで、いまの会計基準に従います とファイナンスリースを実施しましたときには、リースの支払いを行う分だけ交付金が 充当されるわけですが、その部分と若干支払い利息、減価償却費との費用と収益のズレ がございまして、その部分が原因となっているというご説明でございます。私どもは詳 細には計算チェックはしておりませんが、そのご説明で恐らく適切であろうと推測して おります。  今期は、損益計算書上をご覧いただきますと、目的積立金の充当、取崩しということ は発生してはおりません。  利益処分、いま申しました自己収入にかかる部分のうち、一般勘定の利息収入と知的 所有権収益以外の部分を658万円というところを、3項積立金として申請を利益処分の ところで案を出していらっしゃるわけでございます。先ほどの施設対応にかかる収入で すとか、自己収入については問題はないと判断しております。  問題になりますのは、最後に申し上げました受託研究器機の未償却残高137万6千円を どうするのかということでございます。通常はこのような未償却残高は必ずしも経営努 力によるものとは断定するものはできないと一般的には考えられますが、ご説明により ますと、この受託研究の場合には汎用性のある実験器機を受託研究用として購入して、 研究終了後も基盤研究用として使用するということにつきまして、あらかじめ委託者側 との合意があったというご説明を伺っております。  そういうご説明から、この未償却残高の部分は、当然、受託研究に係る利益の一部を 構成するものととらえることができるのではないかと思っております。したがいまし て、これを含めまして3項積立金というふうに申請されることは、妥当と考えておりま す。  あとは労働福祉勘定につきましては、損失が発生したわけですが、前期から繰り越さ れてきております1項積立金の70万円ほどを充当しました残り130万円が次期繰越損失 ということで次期に送られております。  2つ目の評価項目としまして、運営費交付金の節減を見込んだ運営はどうかというこ とでございます。自己評価されておりますように、年度計画に基づき予算の範囲内で事 業を行っておられたということで、年度計画に基づく経費の節減による余剰は年度計画 に記載された目標を達成するために必要な研究器機の購入等に充当した、というように 書いてございますが、また2%の中期目標期間の削減につきましても、これも確認させ ていただいたのですが、中期計画期間に定められている算定ルールに基づいて交付金が 算出される。したがいましてその範囲で事業を実施すれば、これが達成できると認識さ れているということで、その範囲で毎年毎年節減された分は、他で飛び出たところの研 究に回しておられるというところであるというご説明でございました。  決算報告書をご覧ください。これは目的別になっているわけですが、いまおっしゃっ たことを裏付けるような形で、決算報告書上では一般管理費というのが700万円程度予 算より少なくなっている。あとは業務経費の中でも海外研究機関交流費というものが予 算を下回っているということですが、これは実際には予定していた個別協議ができなか ったために、予算を下回ったというお話です。  このように一般管理費あるいは研究業務経費の中でも節減分、あるいは実施できなく て支出できなかった部分というものを、飛び出た一般研究費とか重点研究特別研究費等 で新たに購入・修理で必要となった部分に充当されている様子が伺えます。  また損益計算書をご覧ください。これは費目別でご覧いただいたほうがわかりやすい かと思います。主な節減の費目としては、光熱水料ということで、これは損益計算書上 ご覧いただきますと、トータルで460万円程度の節減、総合管理業務ということでご回 答いただいておりますが、これは費目が何に該当するのかわからなかったのですが、 1,100万円程度の節減というご説明を受けております。  この節減によって浮いた部分をその他、例えば研究業務費にまわされています。例え ば支払利息といいますのは、研究器機をファイナンスリースで借りたために利息が増加 したとか、あとは消耗品費、これが大幅に増加しているわけですが、これは実験材料費 が多額にかかったということですが、こういう部分、あとは実験用の賃借料にまわされ たということでございます。  こういうご説明でございますが、消耗品費というのが非常に膨らんでおりますので、 これも必要なものは当然必要なのでしょうが、効率化になるべく努めていただきたいと いうことで、高価な実験材料等についても、適切な管理をお願いしたいと考えておりま す。  最後に産安研の受託収入でございます。予算が受託は前期400万円ということで、実 績は1,900万円ということであったのです。14年度も予算が500万円ということで、低め に見積もられているわけですが、この500万円という数値は、当初の中期計画の期間の 予算で定められた予算額を用いられているので低く押さえられているというお話でござ います。比較的比重も小さいので、ただちに傾向がつかみづらいということかもしれま せんが、少し傾向をご覧になって予算に反映させたいということでございますが、ここ のところも、なるべく実績に合わせた形の予算を組んでいただきたいと考えておりま す。  産安研は以上でございます。  最後に産医研でございます。まず運営費交付金以外の収入ということでございます。 こちらのほうも損益計算書上ご覧いただきますと、運営費交付金収益が12億6,700万円 に対しまして、比較的、受託研究収入等の自己収入が少なくて、6%程度ということで ございます。  しかし、技術指導等の派遣に伴う謝金が随分伸びているようでございまして、今年 620万円が計上されておりますが、そういうところでの努力が評価に値するかなと考え ております。  当期純利益でございます。2,400万円のご説明としまして、2つの要素がございます。 1つは、いま申し上げました講師等の謝金でございます。こちらが600万円です。残り は1,800万円でございますが、これは国からの受託研究器機未償却残高がこの金額であ るというご説明でございます。こちらのものが契約上、国から指定されたものは返還す るという決めになっているということで、今までは13年度は1年償却という処理をされ ていたということですが、会計検査院等の指導があって、今期は税法上の耐用年数を起 用したものとご説明を受けております。これにつきましては、契約上、国からの返還請 求というものが起こり得るということを考えますと、この税法の耐用年数で償却するこ とは、ちょっと課題が残るのではないかと考えております。これについては、1項積立 金ということで申請されておりまして、特に経営努力によるものからは外されておりま すので、やむを得ないかなと考えております。  600万円のほうの3項積立金の利益処分案のほうでございますが、こちらも研究支援 対策積立金として計上されたいということでございます。こちらは同じ積立金が13年度 にも300万円計上されているわけですが、これについても平成15年度以降、職員の資質 向上のための講習会参加、あるいは出版の刊行等の費用に充当される予定と伺っており ます。  運営費交付金の節減を見込んだ運営ということでございますが、自己評価にも書かれ ておりますように、中期目標を達成するための予算に基づいて適切に執行された、全体 では先ほどらい申し上げておりますように、中期計画の枠内で2%の削減を見込んでい らっしゃるわけですが、これらの枠内の節約による余剰分は必要であると思われる研究 のほうに回すという処理がなされているようでございます。  決算報告書におきまして予算実績をご覧いただきますと、調査研究費というところで は、全体で予算を1千万円超過しているわけですが、特に一般研究費というのが当初予 定していらっしゃらなかった保守等によって増加した、2,200万円程度と伺っておりま す。これらにつきまして節減分を充当されたということでございまして、その節減分は どういうものかといいますと、水道光熱費、これはご説明にもございましたが、研究業 務費を含めて6.3%の節減、あとは一般管理費においても競争入札等によって節減した ということで、これも例をお示しいただいておりますが、そういうところで節減をし た。  そのかわり、増加した部分につきましては、外部委託等、一般管理の部分、研究業務 費の部分が両方増えておりますが、主としてアウトソーシングを促進することによっ て、研究業務に選択集中させるためと伺っておりますが、そういうことで研究費用のほ うにまわされているという傾向が伺えます。  あとは保守・修繕費というものも増加しておりまして、これは損益計算書をご覧いた だきますとおわかりいただけると思いますが、ご説明にもありましたように、建物の老 朽化等が比較的進んでいるということで、昭和51年建設で27年間を経過しているという ことでございますが、これについての保守・修繕費が増加している状況が見受けられま す。  これにつきましては、中・長期的な保守計画のようなものはまだお作りになってない ということでございますが、施設の耐用年数とか経過年数をにらんだところでの保守計 画、というものが必要になってくるのではないかと考えております。  あとはこれはどこの研究所にも共通するところではあります。決算報告書上、受託研 究費用と受託研究収入が同額となっている点でございます。特にこういうところの比重 が大きい研究所につきましては、適正な原価集計ということに今後努めていただきたい というふうに思っております。  以上、簡単でございますが、私が気がついた点を申し上げさせていただきました。 〇大久保部会長   ありがとうございました、では改めて国立・健康栄養研究所から、補足の説明をお願 いします。先ほど申し上げましたように1研究所で約10分ということでよろしくお願い 申し上げます。 〇国立健康・栄養研究所事務部長  国立健康・栄養研究所でございます。補足というよりも、ただいま清水委員からご説 明していただいたとおりでございます。これはお願いになるのかもしれません。1点、 国際産学共同研究センター経費につきまして、清水先生から新たに継続・安定的に事業 を行うのであれば予算要求をされたらどうかということにつきまして、私どもとしても そう思っているところでございますが、これは厚生労働大臣にほうに言っていただいて いるものである、とご理解をさせていただきたいと思います。以上でございます。 〇産業安全研究所総務課長  私どもは今の清水先生のご説明のとおりでございますが、ただ1点、補足説明という よりもご報告でございます。ファイナンスリースにかかります大型電子計算機システ ム、ほか2件で扱っているわけでございますが、この契約につきましては、一般競争入 札を行った結果契約をしているものでございまして、私どもとしましては、適切な対応 をさせていただいていると思っているということを1点だけご報告という形でご説明を させていただきたいと思います。 〇産業医学総合研究所庶務課長  内容的には清水委員からご報告のあった点であると思っております。1〜2点でござ いますが、原則的には清水先生のおっしゃったとおりですが、まず1点目の運営費交付 金以外の収入ということで、私のほうはご覧のとおりに予算的な額としては大分額が小 さいことに対しまして、受託収入等が増えているのですが、過去の実績等が大分少なか ったということでございまして、今後、ご覧のとおりに14年度以降も増えてございます ので、今後はより実態に即した形で、過去の単純な集計ではなく、そういう形でより実 績に合わせた形でいきたいと思っております。  2点目でございます。最後にご指摘のありました同じく受託研究の額の取扱いでござ います。ご承知のとおりに最終的には予算実行額ということで同額という形になってご ざいますが、清水先生がご指摘の点は復唱させていただきますが、より原価計算を踏ま えた上で、適正な計算ということでございます。私どももなるべくそういう形にしたい と思っているところでございますが、先般もご説明させていただいたとおりに、なかな かその辺のところになりますと、より積極的な独立採算性ということも考えないといけ ませんし、いろいろな点で実績が多ければいいのでしょうが、当初は大分と実績が少な かったということもございますので、その辺のところを含めて、こういう形でさせてい ただいております。1点、ただ単にゼロ・ゼロということで合わせていただくというこ とではなく、それぞれに必要な形として上げさせていただいておりますし、これの数 量、間接経費を含めましてさせていただいておりますので、その辺のところはご理解い ただければと思っております。  繰り返しますが、今後、原価計算の頭を含めてより的確なほうに今後とも努力をした いということでは変わりはございません。以上簡単でございますが、私からご意見を述 べさせていただきました。 〇大久保部会長  ありがとうございました。ではただいまの説明につきまして、委員の方々から何かご 質問等がございましたらよろしくお願いします。   〇五十嵐部会長代理  清水委員にお聞きします。私どもはあまりプロではないので詳しくはわからないので すが、損益計算書で最終的な剰余金の処理というのは、的確に行われたと判断してよろ しいのでしょうか。私どもは素人なのでわからないのです。  剰余金が出ますよね、それがきちんと適正に処理されているのかということです。仕 方がいろいろとあるようですが、会計法上でいろいろとあると思いますが、それが国立 研究所とは違いますので、独法化したためにそれが上手くいっているのかということで す。 〇清水委員  損益計算書上で計上されている個々の金額につきましては、私どもは会計監査をやっ ているわけではございませんので、中身を検証したわけではございませんが、既に監事 さんの監査も終わっており、その意味では適切な処置ということを前提にしてお話をさ せていただきます。その意味では、様式に従って適正な計算はされていると思います。  今回、3つの法人のうち栄養研だけにつきまして、目的積立金の取崩額というのが計 上されておりまして、それについての判断がどうかということでございますが、こちら につきましては大臣の承認は得られているということですので、その意味では適切に充 当されていると考えております。 (2)総合的評価のためのフリートーキング 〇大久保部会長  ほかにどなたかいらっしゃいますか。よろしいですか。では本日はまだ議題がありま すので、ひとまずここで財務に関する審議を終了させていただきたいと思います。ただ いまの審議を踏まえまして、個別評定を修正したい方は、最後に時間をとってございま すのでこのまま議事を進めさせていただきます。  清水委員と岩渕委員には、本審議を踏まえまして財務諸表に関する意見について、剰 余金の使途に関する意見について起草していただきまして、次回にまたこれにより審議 をさせていただきますのでよろしくお願いします。  では次の議題に移ります。前回まで長時間にわたりまして委員の皆さま方に個別項目 に関する評価をしていただきました。本日はその評価の集計結果につきましてフリート ーキングをしていただきまして、それを踏まえて起草委員に総合的評価書の(案)を作 成していただきたいと思います。  本日は、個別項目に関する評価を踏まえまして総合的評価に盛り込むべきことをご自 由にご発言をいただければと思います。また便宜上必要があれば、個別評定の修正をし ていただきたいと思います。  はじめに、個別評価の集計結果につきまして、事務局からご報告をお願いします。 〇山田政策評価官  資料5−1というのがお手元に配られていると思います。それに従って概括的なご報 告だけさせていただきます。1枚目が栄養研、2枚目が産安研、3枚目が産医研という ことで各委員の方の点数、これが項目ごとに並べられております。  見ていただきたいのは、平均というのが14年度の評価結果につきまして下にございま す。右側に13年度の評価結果ということで下に数字がございます。これが昨年度と今年 度についての評価結果、全体の数字がどのように変化しているかということでございま す。  まず栄養研のところを見ていただきますと、昨年が3.55と数字です。これが今年につ いては3.88ということで、上昇をしているということでございます。  産安研の同じところを見ていただきますと、昨年の3.75から3.51ということで若干厳 しい評価になっているということでございます。  3枚目の産医研ですが、昨年の3.60から3.59ということで、ほぼ同じ数字になってい るということでございます。  次にそれぞれの法人につきまして、昨年に比べて上がっている項目と下がっている項 目をピックアップさせていただいております。  まず栄養研でございます。基本的に上がっている項目が非常に多いということでござ いますが、特に上昇している項目をピックアップします。「8.食品についての栄養生 理学上の調査及び研究」「9.基盤的研究」「10.栄養改善法の規定に基づく業務」 「14.学会発表等の促進」「15.インターネット等による調査及び研究の成果に関する 情報の発信」というところでございます。  低下をしている項目です。「6.国民の健康の保持及び増進に関する調査及び研究」 となってございます。  評価結果の二つ横に標準偏差というのがございます。これは各委員が付けていただい た評点のバラツキの状況を示したものでございます。この数字が大きいほど各委員間の バラツキが大きいということで、本日ご議論をいただく際にバラツキが大きいところと いうことでピックアップをさせていただきます。  標準偏差が0.6以上のところです。「3.業務運営の効率化に伴う経費節減」「13. 外部評価の実施及び評価結果の公表」「20.運営費交付金以外の収入の確保」「21.予 算・収支計画及び資金計画」「23.職員の人事に関する計画」このあたりがかなり委員 間で評価が割れているという状況がございます。  産安研でございます。評価結果を見ていただき、上がっている項目をピックアップし ます。「9.国内外の基準制改定への科学技術的貢献」「12.学会発表等の促進」で す。  下がっている項目としましては、「4.効率的な研究施設・整備の利用」「10.産業 安全に関する国内外の科学技術情報・資料等の調査」「19.予算・収支及び資金計画」 というところでございます。  標準偏差のところでバラツキの多い項目を見てください。「3.業務運営の効率化に 伴う経費節減」「5.労働現場のニーズの把握と業務への積極的な反映」「8.労働災 害の原因等に関する調査・研究」「13.インターネット等による研究成果情報の発信」 というところが評価が割れているところでございます。  産医研でございます。評価結果を見ていただきますと、前年と同じ評価というものが かなり多いわけです。その中で評価の上がっているのは「12.学会発表等の促進」で す。  下がっている項目としましては「5.労働現場のニーズの把握と業務の積極的な反映 」「14. 国内の労働衛生研究の状況の把握及び労働衛生研究機関への情報の提供」でご ざいます。  バラツキでございますが「5.労働現場のニーズの把握と業務への積極的な反映」 「16. 知的財産の活用促進」「17.労働衛生分野における国内外の若手研究者等の育成 への貢献」「19.運営費交付金以外の収入の確保」こういうところが評価が割れている ところでございます。  なお、お手元にはこの集計表以外にそれぞれの評価シート項目について、評定を付け ていただいたものにつきまして、自己評定の右側に各委員からいただいたコメントを書 き加えた形で整理をしてございます。  大体上のほうには肯定的な評価のコメント、下には否定的あるいは課題についてのコ メントという形で整理をしてございます。この資料につきましては予め委員の先生方の ところにお送りをしてございますので、説明は省略をさせていただきますが、この辺り の評価あるいはコメントを参考にしていただいてご審議をいただいたらと考えておりま す。 〇大久保部会長  ありがとうございます。ではご自由にご発言をいただきたいと思います。その前にた だいま評価官からお話がございました低下をしているとか、あるいは標準偏差が大きい ところについて、各研究所から何かコメント等、補足的な説明がございますれば、お聞 きしたらと思いますがいかがでしょうか。  では国立健康・栄養研究所から、何か補足的にございましたらお願いします。 〇国立健康・栄養研究所田中理事長  国立健康栄養研究所の田中でございます。いまちょっと見ただけですので十分に把握 しきれてない面もございます。この平均点を付けていただいた中で一番低いのは、 「17.知的財産権の活用」というのが一番低い評価であります。これは先般から何回も 説明してきたところではありますが、個別法に定められている研究所の目的・業務の範 囲、というところを見ますと、技術の開発ということはないわけであります。一般の 人々が、平たくいいますと、国民が健康で長寿を全うできるようにという所掌であるわ けです。  したがいまして、偉そうな言い方ですが、憲法第25条をみると、すべての国民は健康 で文化的な最低限度の生活を営む権利を有するというのは皆さん方もよくご存じである と思います。もし特許ということであれば、一部の人々が対価を払って成果を受けると いう話と、その意味では矛盾が出てくることもあるわけです。そういうところから、従 来から論文を重視してきたというところがあります。すなわち広く一般の人々がそれを 享受できることということであります。論文の場合も、量的には数でいうなら、研究員 1人当たりというところをぜひ見ていただきたいと思います。  私のところの現状を何回もいいますが、規模が非常に小さいわけです。質的に申しま すと、私どもはインパクトファクターの高い国際雑誌の原著を重んじております。学会 も国際学会、国内学会であれば特別講演とシンポジウム演者というところに限ってきて いるということであります。さて、過去の国研時代には、特許申請がありませんでし た。この評価のコメントをちらりとみると、仕方がないというようなことを私どもが いっているというふうに評価をいただいているのですが、決してそうではないわけで す。  こういうことから高い計画を策定できない。私としてはこういう事情から考えたら全 中期計画期間中には、数件しか申請できないであろうという予測をしていたわけです。 仕方ないといっているのではなく、厳しい状況にもかかわらず、一生懸命に努力をした というところを酌んでいただきたいと思います。  また、予算がないのに設立したとも言われたのですが、これは前回の評価委員会のお 許しを得て、産学連携室を作った。今年に入ってからでありますが、研究所内での知的 財産権取得の戦略及び技術移転のあり方ということも策定しました。また国が開催して おります産学連携会議というものがありますが、それには毎回、去年と一昨年の2年間 の話ですが、ブースを出し、またビデオを使ってPRに努めました。決して仕方ないと 思っておりません。一生懸命がんばっております。  商工会議所とか民間のニューフードクリエーションというところとも意見交換会をい たしました。研究所の所掌から考えて、かなり技術開発に結びつくようなものは、現研 究部門では非常にやりずらいので、客員研究部門、つまり寄附講座も設けてそこでやろ うという努力をしているわけです。  成果が上がっていないともコメントで書かれておりますが、国研時代には1件もなか ったのに、独法になってからは毎年1件ずつ申請してきているわけです。13年度1件、 14年度1件ということで、私としては苦しい中にも努力をして着々と成果を達成してお ります。一生懸命やっております。どうかそういうことにエンカレッジしてほしいとい う気持ちがあります。  ここで非常に低い点であったということで、若干、私は意気消沈しております。どう か育てていただきたいということを切にお願いしたいと思います。決して仕方ないとか 成果が上がってないということではありません。  中期計画で出した目標は低いが、それを努力して、少しずつやってきたというところ をぜひおくみ取り願えたらと思います。あとは特にございません。 〇大久保部会長  次に産業安全研究所です。先ほどは評価官から若干厳しい評価というようなご表現が ございました。いかがでしょうか。 ○産業安全研究所本山研究企画調整部長  産業安全研究所の本山です。確かにいま委員長からお話がありましたように評価シー トを見まして説明不足を痛感しております。本日、追加的な説明をいただく機会をいた だきまして非常に感謝しております。  本日いただきました資料につきまして、幾つか補足的な説明をさせていただきたいと 思います。まず6ページ目です。プロジェクト研究でございます。これにつきまして は、時間配分の関係上、説明が不足していたということを反省しております。1点だけ ご説明をさせていただきます。  プロジェクト研究といいますのは、わが国が直面する産業安全上の課題に対応するた めに実施することになっておりまして、これが中期目標に記載されております。この中 で平成14年度は平成13年度より1課題多い5課題について実施しております。  そのうちの建設労働災害としてのヒューマン・エラー防止に関する研究の成果を補足 させていただきます。  建設労働災害と申しますのは非常に多い、なかなか減らない災害でございます。現 在、建設現場には、いろいろな方が働いております。そこでヒューマン・エラーが非常 に起こりやすい状況にありまして、それをどうしたら防げるのかということでこの研究 を実施しております。  現在はいろいろなハード的な形で、例えば囲いをするとかという方法でもいろいろな 対策が取られておりますが、そういう方法のほかに、教育的な手法も必要であろうとい うことで、ここでは教育的な手法について少しいろいろなことをやっております。特に 問題は現場の作業者が危険を感じたことが少なくなっている、という現状がございまし て、その現状を直すために、バーチャル・リアリティーという仮想現実を作りまして、 そういう危険性を感じていただき、注意していただくということがこの研究で行われて おります。  実際に14年度に実施した内容は、これまでの研究成果を通じまして、大きなコンピュ ーターでないとできないような仕事を、普通のパソコンでもできるようにプログラムを 改良しております。このようなことによりまして、例えば大きな設備がないところで も、このような仮想現実的な危険体験ができる。これが将来的には大きな災害防止に役 立つと考えております。これが1点目でございます。  次に「10.産業安全に関する国内外の科学技術情報、資料等の調査」でございます。 ここでは私どもの評価がBということでしたので、残念な結果になっているかと思いま す。私どもは通常業務としまして研究活動、学会活動委員会活動などを通じましていろ いろな資料を集めております。図書・資料室というのがございまして、毎年安全に関す る、もしくはそれに関係した書物を平均で500冊程度増加させております。また、いろ いろな安全に関する雑誌等を150の安全に関する雑誌を購入しております。こういうも のが元となりまして、行政等からの要請に応じまして、答えていけるという状況を作っ ております。  事故で、ハインリッヒの法則というものがあります。1:29:300という一つの考え 方があります。これは1件の死亡災害に対して、300のヒヤリハットという事例があると 言われていることでございます。  私どもは、この場合には3件ですが、3件しかご報告していないということではなく て、この分を報告するために多くの情報を集めているという状況にあります。  次が評価項目の「14.講演会の開催、研究所一般公開」というところです。私どもは 現場の人にわかりやすく実施したいということに14年度は力を入れまして、一部の研 究、講演では実演等を実施しております。そういうことで我々としても非常に力を入れ ていると考えております。また研究所の一般公開に関しましては、来ていただくだけで はなく理解していただきたいということで、前年のアンケートの結果を踏まえまして、 少人数でぜひきちんと見ていただこうという立場をとっております。そういうことを一 般公開において実施しております。  「15.知的財産の活用促進」の項目に関してです。これは特許等に関することです が、私どもも特許に関しては、まだまだ素人でございます。ですがこれは研究成果を表 す、研究成果を社会一般に普及させる一つの事項として考えておりますので、これまで いろいろと困難を乗り越えながら実施してきたところです。特に14年度の努力の結果、 本年度ですが2件の実用化が図られる予定でございます。15年度は収入が見込まれてお ります。  次に「19.予算、収支及び資金計画」ということでございます。これに関しましては 総務課長からも説明がありましたように、所内LANのPCですが、これは競争入札と いうことでリースという形を使っております。このようなことが補足的な説明でござい ます。この他につきましては理事長に説明を願いたいと思います。 〇産業安全研究所尾添理事長  私から補足説明です。この評価表全体を見させていただき、詳しくは見てないのです が、とにかく私どもは昨年は3機関で一番上であったのが、今年は3機関で一番下に なっているということを見て、私たち自身としては昨年の成果と13年度の成果をみて、 14年度の成果については、私としては落ちているというか落としたというか、努力をし てないというようなことは全然想定してませんでしたので、この辺は驚いております。  我々は独法になって初年度からひとつの方針がございました。とにかく独法になった らできることから前向きに取り組んでいこうということでやりました。これは今年の最 初の調査研究部会で私も強調しました。去年も最初にこのようにお話をしました。とに かく前向きになんでも取り組んでいこうということでやってまいりました。  従って13年度からはいろいろなことに取りくみました。成果を上げてきたというか、 ほかの機関で取り組んでおられないようなこともいっぱいやってきました。今年はそう いうものも引続き、さらに残りの期間も、それでずっと突っ走っていこうというのが一 つの方針でしたので、上げておいてそのままスーと走るという方針で、5年かけて逐次 やっていけばいいというようなことはさらさら考えなかったのです。  ただあるもの、例えば個人評価の問題ですとか、業務管理システムの問題とか、非常 に、極めて技術的に難しいような問題は、これは拙速でやってはいけないので、きちん と計画を立てて何年計画ということで少しずつ積み上げる。これは業務報告書に書いて あるように、例えば試行までもっていったとか、ここのシステムは立ち上げたとか、来 年はそれを更に連携させながらやっていくというように申し上げていると思いますが、 そういうのがもともとあってやってきたということです。  したがって去年ちょっと走りすぎたかなというのが反省といえば反省かもしれないと いうことにはなるかもしれませんが、そういうことは我々は独法として何が一番良いこ となのか、独立行政法人として効率的・効果的に業務を運営するために何を求められて いるのかということが大前提ということで、これは何回も申し上げております。我々の ところは国立研究所時代の最後に独法になると決まった時点から、国立研究所時代か ら、取り組めるものは取り組んでいこうということでやってまいりました。  とにかくそういう姿勢でやってきたという中で、例えば対前年の増という話という問 題になってくると、例えば特許の問題などですと、去年は5件、その前の1年目はもっ と多かったのですけれども、実施は3件です。我々のような研究所の規模とか、目的と するところで、これだけの特許を取るとか実施をするというのは非常に大変なことで、 非常に高水準にあると考えられるわけですが、数字からいくと、そのようになってしま うということがあって、その辺のところを、先ほど本山からも説明をしたところです が、それだけではなく他のたくさんの項目についても、ざっと見させていただいた限り においては、いろいろと誤解に基づくものもたくさんあるような気がします。  ただここでは時間もあまりないということなので、説明ができないのが誠に残念で す。そういうことで私どもとしては、事業報告書をよく見ていただければお分かりいた だけると思いますが、それぞれの項目について、私どもの自己評価というのは、私ども は私どもの基準で作って、もともとSは中期目標を大きく上回っているとか、Aは中期 目標を上回っているとか、Bは中期目標を概ね達成しているとか抽象的なので、これに つきましては私どもなりの判断基準を設けて、きちんと去年13年度も14年度もそういう ことで自己評価をさせていただきました。  最初に、今年、自己評価が3機関出てきたのを見たときに、我々のところの自己評価 が非常に厳しくなっているということを感じて、そこは私も反省するし、今後どうしよ うかということがあります。大変に厳しく自己評価を行ってきたという実態もあるとい うことです。そのように1年目から非常に前向きに取り組んでやっていて、それよりも 活動として衰えたとか落ちたという認識は全くないということです。前向きに非常に取 り組んできて、数字的にも基準としては中期目標をクリアできるような水準できちんと やってきています。  ただ、対前年と比較すれば、その辺は若干上下はある。これは当然ながら今後も出て くるわけでして、際限なく数字があがるということはないわけでして、例えば講演会の 開催件数が3件ですが、これは国立時代よりも回数を増やして地方でもやるようにしま した。これは際限なく増やしていくということは当然ながらできないわけです。その他 にもたくさんあります。見たばかりなのであまり上手くいえませんが、とにかく前向き に取り組んできて、国立研究所時代と比べると、非常に効率的、効果的にやってきて、 その方向に進んできているということは事実でございますので、ぜひその辺をご斟酌の うえ、よろしくお願いしたいと思います。以上です。 〇大久保部会長  最後に産業医学総合研究所よろしくお願いします。 〇産業医学総合研究所荒記理事長  産業医学総合研究所でございます。まず非常に適切な評価をいただきまして感謝を申 し上げます。今後の努力目標として反省するべきは反省して、努力をさせていただきた いと思っております。  今回、政策評価官から評価全体の要約をいただきまして、まず前年より良かったのが 1項目、これは「12.学会発表等の促進」です。昨年はBであったのが今回はSをいた だきました。この点は私どもはこの1年間、本当に研究所として労働衛生の現場の研究 を中心とした研究内容、特に英文の原著論文、しかもレベルの高い研究成果を出すよう に全所を上げて努力をしまして、その成果をご評価いただいたと思いまして感謝を申し 上げます。  一方、昨年より低下した項目が2つ指摘されました。1つは「5.労働現場のニーズ の把握と業務への積極的な反映」「14.国内の労働衛生研究の状況の把握及び労働衛生 研究機関への情報の提供」この2つの項目でした。この2つの項目は、昨年は私どもで 一番よい評価Aをいただいた項目でございまして、実際に私どもの研究所の業務として 非常に大事とする業務でございます。  これの内容につきまして、恐らく一番評価された項目は、国レベルの研究戦略を協議 会を作りまして3年間検討したわけでございます。それで日本の国として現場の労働者 のためにどのような研究をやるべきかということで、18項目の重点研究課題をまとめて いただいたわけです。それが昨年は評価されましてAという点数をいただいた。  今回は両方ともB+と確かに低下しました。ただし、これは私どもの研究戦略協議会 が二期目に入りまして、今度は実際に18の研究をどのように推進して、国中の働く方々 の健康水準を上げるようにするか、ということの努力と実践活動を始めた段階でござい ます。これは3年計画でございます。  まず手始めにやりましたことは、実際に18項目について日本の国内の研究者がどのよ うな研究論文を書いているのかということ、過去の研究実績です。どのような業績を出 しているかということです。もう1つは、現在どのような研究テーマを重点的につられ ているか、要するに18項目の研究者数を検討したわけでございます。  その結果を今回出させていただきましたが、何分、第1年目、しかも後半にやっと データが出てきた段階ですから、実際に実数が非常に少なかった項目です。これが十分 な評価をいただけなかった理由であると考えております。ただこれは、この点では来年 度はもっと多いデータが出せますから、さらにその意義をご検討いただきたいと思いま す。  ただし現場の研究者、国内の研究者の方々がどのような研究をやっておられるかとい うことでございますが、アンケートの対象が日本の主要な3つの学会、特に今回出させ ていただきましたのは、その内の一番大きな学会の研究者数のみを出したわけでござい ます。ただ労働衛生に関する学会と申しますのは、実際に研究業績を出している方は、 その中のごく一部でございます。例えば7,000人という会員がいた中で、実際に毎年の 総会で研究発表をされる方は500〜600人ということで、非常に少ないわけです。  ですから今回、アンケートに答えていただいた方は、少なかったということは、そう いう状況を反映しているわけです。実際、今回提出しましたデータが必ずしも全部の会 員数を反映していないわけではないということをご理解いただきたい。恐らく例数が来 年度増えても、アンケート者数が増えても、傾向は同じであるというように理解してお ります。ですから内容についてぜひご理解いただきたいと思っております。これが第2 点目でございます。  最後でございます。今回、評価委員の先生方が11人のはずですが、1人欠けました。 10人の評価をいただいたということです。その平均点を出されたということでございま す。その評価を出されなかった1人の委員の方は、実際に私どもの研究所の評価項目を 細部にわたってご理解いただいている委員でいらっしゃいます。そういう方の点数をい ただけなかったということが、私どもの今後の努力目標の設定、反省をするのに、多少 の心残りがある状況でございます。  私からは以上でございますが、企画調整部長から細部にわたってもう少し補足説明を させていただきます。 ○産業医学総合研究所斉藤企画調整部長  評価される側なので、じたばたはしないつもりでございます。理事長が補足説明した ことと重なりますが、私自身も5番と14番は、政策評価官からもこの2項目が前年度よ り下がっているということで、数字ですからまさにその通りです。  いろいろと委員の先生方からいただいたコメントを見させていただきますと、ニーズ の把握に欠けている。実は、このプロジェクトは国のプロジェクトとして平成10年から 開始して、12年までの3年間で日本の100名以上の方々から調査して、ニーズを把握した 後の話です。つまり平成12年度までにここにございますように、こういう報告書の形で 日本の労働衛生の21世紀の初頭の10年間のニーズはこれであるというのが固まってか ら、13年度独法で実際にそういうニーズが現実にどう実施されているか、それを現在進 行形で解析しているところでございます。  その意味では、ニーズを把握した上で現状分析を進めているということで、若干、私 の説明が不足していたという反省はございます。いずれにしてもこの5番と14番の現場 ニーズと研究の状況の把握というのは、今でも私どもは最も成果を誇るべき事項と考え てございます。  あと2点です。「2.内部進行管理の充実」ということは、これは私どもは第2回の 委員会で産医研の個別評価の際に、きょうの資料4−10で改めて出させていただきまし たが、14年度の外部評価委員会による評価結果概要についてということで、これは第2 回の調査部会の折りに、評価の仕組みはよくわかった、つまり非常に大幅に変えて、個 人評価を含めて実施をしているということをご報告した。ただ評価の結果というのは、 私どもの理解としては15年度の評価委員会に報告するべきことである。つまり業務終了 3カ月以内に公表するということを定められておりますので、今年の6月末になし得た 成果であるということで、来年度の評価委員会の成果であると理解して今回は出してい なかったわけです。ただそういうご指摘がございましたので、きょう出させていただい て、内部評価委員会ときょうの資料は外部評価委員会でございますが、こういう事前・ 事後・中間評価ということで、それぞれの達成度であるとか社会学術貢献度、さまざま な観点から数量的な評価をしているということを補足させていただきます。  あと1点です。「4.効率的な研究施設・設備の利用」です。これも昨年度末に制度 を整えてホームページ等で公表して、いろいろと問い合わせが来ていることでございま す。実は8月1日の時点で、たまたまですが、2件成立しました。つまり産医研の施設 を外部に有償で貸与して、有効に活用していただくということが、8月1日に研究所の 中の審査委員会で審議を得て、それでは行きましょうということで実施に移行したもの でございます。つまり成果が2件、きょうの段階ではございます。以上でございます。 〇大久保部会長  ありがとうございます。この最後に個別評定の修正というようなプロセスが残ってお りますので、一応、疑問点その他につきまして追加説明をしていただきました。では改 めて委員の先生方にフリーディスカッションをしていただきたいと思います。質問ある いはコメント等なのでもよろしいので、フリートーキングをよろしくお願いします。 〇黒澤委員  これは3研究所に対しての全体的なコメントになると思います。私は今年から入りま したので経過はよくわからなかったのです。3年目になっているので中間評価という形 です。単年度の評価のイメージと、継続して評価するものはかなり違うというイメージ を持ちました。それが1つあります。  もう1つ、中間で、あまり単年度で評価しても意味のないものもあります。むしろ5 年で計画的に評価して、流れを、トレンドをみたほうがいいという項目もあります。で すから無理に1年1年の評価をするとおかしなことが結果として起こっている、という こともあり得るということです。これは私の感じた点です。  もう1つは、評価のやり方にも問題がある。現状は加点評価型です。リバースエンジ ニアリングという言葉があります。これはさかのぼっていくエンジニアリングです。逆 にさかのぼる。これはどういうことかといいますと、アセスメントの方法論の中にもあ りますが、つまり、これをやらなかったらどういうマイナスが生じたのかという評価で す。つまりこのプロジェクトをやらなかったときに、どういうマイナスが起こったの か、という評価です。これが研究機関に対する評価としては非常に重要だと思います。  積極的にやるということと、結果としてやった成果がどういうことになるのかという ことがあります。つまりやらなかった場合にどういうマイナスが生じたのか、こういう ことです。この評価が私は絶対的に欠けていると思います。これをやりませんと、本当 の意味で役立っているのか役立っていないのかというのが、よく認識できないというこ とになると思います。  もう1つです。3つの研究所の実績を聞いておりまして、例えば栄養研の場合にはわ りとアップデートなニーズがある。話題になりやすい。健康食品とかですね。だから認 識が浸透しやすいというかわかりやすいと思います。ニーズに対する理解が非常にわか る。産医研の場合も、過労死の問題とか最近話題になっていることがいっぱいありま す。一般の人たちが結構身近に影響を受けている話題です。過労死とか酸欠問題とかメ ンタルヘルス、そういう問題が産医研の場合もたくさんあります。  ところが産安研の場合には、非常に地味なテーマが多い。昔から繰り返しやられてい ることですが、話題性は非常に乏しい、一般的な対外的なイメージが関心をもたれにく いというか、こういうテーマを扱っているということの評価の反映が、今年の評価が去 年に比べて下がったとか上がったということです。産医研の場合には横ばいですが、そ ういう評価につながったという感じを受けました。以上が私のコメントです。 〇酒井委員  評価はまだ終わったわけではないのですが、皆さん方は大変なご努力とご尽力で私た ちも大変に勉強になったしだいです。皆さん方はまな板の鯉ということを異口同音に おっしゃられて、それはそうだろうなと思う反面、実は評価をするほうの側も決して楽 なことではございません。これは今のところは名前が伏せられておりますが、最初にや るときには名前が公開されるのかということですら、私たちはわからない形でやってい て、そういい加減なことは当然ながらできないわけです。皆さんがまな板の鯉と同じよ うに、私たちもまな板の鯉であると思って、少なくともそういう気持ちで取り組ませて いただいたというふうに思っております。  いま皆さん方からいろいろな弁明を含めてありました。私たちがやってみて、ひとつ はどう評価するのかというときに、中期目標並びに中期計画との対比において、平成14 年度の評価をしろというふうにいわれたわけです。その時に、私か私たちかわかりませ んが、中期計画自身の具体性が非常に読んでいてわかりにくいために、それとの対比で 今年度どこまで進んだのか進んでないのかということが、多分、バラツキが特に大きい ような項目というのは、そういうところがあったのではないかと思います。  もう1つは、3研究機関それぞれ目的も違いますし、やっておられることも違う。そ れをほぼ同じ枠組みの評価で評価するというということが、それでよろしいのかどうか ということをとても感じました。特に田中先生がおっしゃっているように、知的財産権 のことです。そのことがこの中で評価の時も、今日おっしゃったことと全く同じことを おっしゃっていて、私自身はそれでそれなりの自分の評価をさせていただいたと思って おりますが、これからのそれぞれの研究機関が国の基幹研究機関として、もっと伸びて いただくためには、ここのところが同じ枠組みで評価をしないといけないのか。  私たちはある枠の中で評価をせざるを得ないわけですが、そこのところは感想として 一番感じました。 〇安井委員  比較的感想に近いことになってしまいます。我々も実をいうと評価される側に立つこ とかあります。人的資源であるとか予算であるとかで、やれることには限りがあります よね。それでその中で結局、こういう評価に対して一体何を訴えるのかということで す。  今回、多少、各研究所で少しずつ違ったような、昨年の場合、今年の場合、成果が出 ておりますが、今回非常に強く感じましたのは、かなり背伸びをしてやっておられるよ うな印象がままあって、もたないのではないかという気がするのです。  いまおっしゃったことかもしれないのですが、他の委員の方もおっしゃったことかも しれませんが、今年たまたまあまり評価されませんでした産安研のほうは、昨年はかな りがんばってその反動が出ただけではないかと私どもは思っております。むしろ栄養研 のほうは、新しい工夫をこの年度にされたのが今回のよい評価であったと思います。多 分来年は反動が出るに違いないと思うわけです。そのあたりがどうなるのか。  特に栄養研の方の1人当たりの論文の発表量などを考えさせていただくと、相当に無 理してないかという気がするのです。その辺を考えていただくと、どうも自己評価を全 部にSとAを書かないといけないという思い込みが、あまりにも各研究所が強すぎるの ではないか。  最終的にここから出ていく評価がB+ぐらいがずらりと並ぶのが中期目標というのが 適切に書かれたということの証明であって、自己評価が全部AとかSであるということ は、中期目標そのものが低すぎたということではないかという気もするのです。  ですからそのあたりです。こちら側の評価する側もあまり慣れておりませんし、もち ろんされる側も慣れていないという状況ですから、そのうちに良いところに収まると思 いますが、あまり点が上がったとか下がったと一喜一憂されることは、全然ないのでは ないかという感想を述べさせていただきたいと思います。 〇田村委員  私も感想と多少は今後のことも含めて意見を述べさせていただいてよろしいでしょう か。2点あります。1点目は先ほど安井先生がおっしゃったことと同じような意見で す。評価する際に、もちろん我々は中身について、十分にわかっているわけではないの ですが、それなりに努力して何とか理解しながら評価したいということでやっておりま す。そういう中で、自己評価が書かれておりますが、これについてはかなり尊重しなが ら評価するということを考えざるを得ないと思います。  その際に各研究機関での自己評価に対する考え方が、それぞれ異なるかもしれない。 その点では多少はその辺りのある種の了解できるガイドラインがあるといいかなという 感じがひとついたします。  もう1点は、いつも申し上げているのですが、独立行政法人の研究機関として日本の 将来の中核になるような研究展開をやってほしいという期待をもっております。その意 味では中期的な研究、これはもちろん大事ですが、さらに将来に向かっての中長期的な 研究展開をやっていくようなポテンシャルなり、あるいはそれに向かっての戦略とか、 そういうこともぜひ持ってほしいという気がするわけです。  ところが今回の中期計画の評価ですと、そのあたりがなかなか評価しにくいし、そう いうことに対する意見がなかなか聞きにくい。将来の研究を担う機関として、我々とし てはこの評価が少しそういうことも見えるような形のものであってほしいという気がす るわけです。そういう意味でこれから評価する際の工夫があっていいのかな、という感 じがいたします。以上です。 〇武見委員  ほかの先生方がおっしゃられたこととほとんど同じように、評価する立場がとても難 しかったのです。1つだけ気になったことは、効率化を図るという意味で、当然なされ ていることは人的なマンパワーの面と、コスト的な面ということで、そういう効率化を 図ることを求められていることはわかりますが、評価をする立場からすると、ではコス トがどんどん減れば高く評価しないといけないのか。人的な人員が増えないことをよく 評価する。それは本当に適切なのかというあたりについては、研究所としての本来の目 的を達成していく。あるいはより高めていくということから考えたときに、果たしてど う評価するべきなのかということは、とても迷いました。  その意味で安井先生もおっしゃったことですが、その分、いろいろな意味での無理が いっているのではないかというあたりを、逆に思い図られる点もあって評価する立場と しては、その辺を今後どうしていくのかというのは、今後の大きな検討課題ではないか と思いました。 〇岩渕委員  今までほかの委員の方がおっしゃったことにはほとんど賛成です。私が思いましたの は、1つは、評価する項目が多すぎるという感じがしました。小分けしすぎて、重箱の 隅をつつくように、あるいはその項目一つひとつをクリアするために、それぞれの研究 所が随分とそれこそ無理をしているという印象を受けました。  それとそんなにたくさん20何項目もあって、それを全部を押し並べて同じように3機 関に同じように当てはめるということも無理があるわけです。評価項目の項目数を減ら せば、その間における遊びの部分が出るというのは変ですが、評価の仕方にしても、そ れの対応にしても、若干それぞれに違いが出できても、それは認められるのではない か。  これを見てきていると、それこそマークシート方式で採点をしているみたいな感じ で、ちょっとでも飛び出したら駄目という感じになっていたり、その辺りのところが評 価の仕方自体に非常に大きな問題があるという感じを受けました。  リバースエンジニアリングというのでしょうか。やらなかったらどういうマイナスが あったのか、あるいはやらなかったらどういうプラスもあるのかもしれませんし、その ことの評価軸ということも今後必要で、入れていく必要があるという感じがしました。  あとは、独立行政法人でやっていく場合に、やっていけるのかどうかというのは変な 言い方ですが、私はその意味では全くの素人で出てきておりますので、国民の目から見 たニーズというか、国民の側からのニーズで申し上げます。  例えば栄養研について言えば、非常にいろいろなトピックがあって、その割にはこの スタッフでろくな研究ができるわけはないというのが実感でございまして、その割には やたらがんばってやっていらっしゃるのは、努力は多としますが、例えば経理とか、ロ ジステックな部分で、やや難しい部分が出てきているという感じがいたします。  ですからその意味でいいますと、そちらのほうも少し必要であればきちんと要求し て、そういう意見もどなたかおっしゃっていましたが、その意味でいいますと、今の体 制でやれる研究ではないということも、もしそうお考えであれば、ちゃんとやるべきで あると思いますし、今回見て、経理の面から見て、これはいかがなものかというような ところがあったということと、いろいろな分野に研究発表が多すぎるという意見があり ましたが、あれやこれやいろいろと掛け持ちでやっている人も、駆け足で随分大変だと いう感じがいたしますので、将来的にその辺で破綻を来さないようにするためには、も う少し中期計画ではなく、長期計画を立て直すぐらいの気持ちで見直す必要があるので はないかと思いました。  産医研と産安研では、説明の中に境界領域の研究にも踏み込むか、あるいはそれに近 いような発言が少しあったように、私の空耳かもしれませんが、ずっとお話をうかがっ ていて、両研究所の違いは説明を聞いてよくわかったのですが、一般の国民から見ると よくわからない部分が結構あります。  敢えていえば、ですから研究協力関係は現在はほとんどなさそうですが、協力関係か ら将来的には合併も視野に入れた格好での研究のあり方というものも、あるいは独立行 政法人としての展開の仕方というものもあるかなというような、このサイズではこれが 精一杯であるという話がさっきございましたが、もう少し余裕をもってやるには、規模 のスケールメリットを生かすというか、そういうことも考えられなくはないのではない か。これは全く素人考えですから、もちろん研究の質は違うのでしょうし、故事来歴い ろいろとあるでしょうから、しかも今はそれぞれが別のところで店を張っているわけで すから、どういう形が考えられるのかわかりませんが、ある程度はその辺りも視野に入 れておく必要があるのではないか。これは素人の感想です。以上です。 〇政安委員  大方の委員の先生が言い尽くされております。私は評価項目が多すぎる中で、似かよ った評価項目の部分は併せて評価できる評価方法を考えていただきたい。もう1つは、 評価というのはSが中期目標の到達点であると考えるのかということ、Bは標準であっ て、少し良ければAであるという形の評価の基本的な考え方を、もう少し私も勉強しな がら、皆さんにお教えいただきたいと思っております。 〇清水委員  いまのご意見とほとんど同じです。私も評価項目の整理が必要かなと感じておりま す。この場で申し上げるような意見かどうかわかりませんが、いまこの一覧表を見てお りますと、最初の部分の1〜4の業務の効率化に伴う経費節減という部分の周辺と、あ とは最後の財務に関する事項というのは、非常に重複している部分があると思います。  また研究所のほうで結果として書かれている項目も内容も、ほとんど同じことが書か れているわけです。そういう意味で、こちらの評価するほうとしても、どういう視点で 効率化のところなのに、なぜ外部資金の話が出ているのかというご質問が途中であった ように記憶しておりますが、非常にそこの点が評価しづらかったというのが実感でござ います。  また最後の財務のところにしましても、施設の計画ですとか人員の計画の部分につき ましても、何を評価したらいいのかということがいま一つ不明確な部分があるように思 いますので、もう少し項目の整理が必要ではないかと感じております。 〇大久保部会長  ありがとうございました。その他にございませんか。 〇酒井委員  財務に係わったことです。皆さん方は非常にがんばって、交付金以外に競争的研究基 金、受託研究を積極的におとりになって研究を進めておりますが、その辺は、私などは 自分の研究所のことを考えて、それは明らかに場合によっては加重になるということは あり得るわけです。そうしますと、計画の弾力性というか、年度計画で立てていたもの の中に、受託研究なり競争的な研究資金が獲得できた場合に、おやりになる基盤研究、 並びにプロジェクト研究との関係の調整をうまく図って、むしろ効率的に仕事を進めて いただくということを考えていただくということは非常に必要ではないか。  あらかじめ基盤研究プロジェクトはやる。それは当然であると思います。それに受託 と競争的研究というのが重なって、しかも逐一はわかりませんでしたが、かなりそうい うことを意識されて皆さんが研究計画を出して競争的研究をとっておられるはずですか ら、その辺のところは財政の問題とうまく整理をしていく。それは皆さんがおっしゃっ た頑張るということと似たようなことを言っているのかもしれませんが、そういう感想 を持ちました。 〇安井委員  追加で申し訳ございません。まだ時期尚早の話ですが、先ほど栄養研の田中理事長さ んが知的財産権の話でいろいろとおっしゃっておりました。今回の独法は、中期目標が 皆さん大体同じなのです。目標は大臣から落っこちてくるからしょうがないのかも知れ ませんが、その辺が大体もう少しバラエティーができるように、次期の5年間をお考え いただいたほうが、何か苦しまないで済むのではないかという気がします。そのあたり は、そろそろ考え初めておかないといけない気がするので、ぜひご一考いただきたいと 思います。 〇黒澤委員  先ほどの知的財産権の問題です。これは私はこういう公益型の研究所の財産権のあり 方を、単なる商業ベースで考えるべきではないと思っております。これは非常に大事な ことです。著作権もそういう時代です。ですから論文発表されることも非常に重要なこ とです。それから例えばグローバルスタンダードに対するアプローチをするということ も、知的財産活動の一環にあるというふうに評価したほうがいい。  したがいまして、民間の営利企業に売れるという視点で特許を取るのではない、とい うことが大事ではないか。むしろ国民の財産として特許、あるいは著作権、あるいは商 標などもそうです。例えばマークなども非常に重要であるわけです。安全に係わるマー クですね。そういうものを国際的な場で提案することによって、非常に大きなメリット が発生する。無償で提供するにしても、これは一種の技術協力の一環になるということ になりまして、非常に有効です。そういう視点で公益法人の知財権は考えるべきである と思います。単に商業ベースの利益を買ってもらうという視点ではなく、そういうよう に考えるべきであると思います。 3.閉会 〇大久保部会長  ありがとうございました。その他にご意見はございませんか。特にございませんで しょうか。いろいろと貴重なご意見を賜りました。いずれにしましても、修正するべき 点は修正をするということで今後の評価に有効につなげていきたいと思います。  では意見等も出たようですので、ひとまずここで総合評価に関するフリートーキング を終わらせていただきます。個別評価の修正のある方は、部会が終了したあともしばら く時間かありますので、そのままご記入の上、机上に置いて帰っていただきますように お願いいたします。   なお、起草委員の方々はお忙しい中大変に恐縮でございますが、本日の審議と個別項 目に関する評価結果を踏まえて、総合的評価書の案を作成していただくようにお願いし ます。次回はそれをもとにしまして総合評価に関する審議を行うこととします。少し時 間が早いと思いますが、以上をもちまして第5回の部会を終わらせていただきます。                                      以上 照会先:政策統括官付政策評価官室 企画係 電話 :03-5253-1111(内線7783)