03/07/28 社会保障審議会 第3回介護保険部会議事録          社会保障審議会 第3回介護保険部会議事録           1 日時及び場所    平成15年7月28日(月) 15時から17時    虎ノ門パストラル 2 出席委員    貝塚、上田、市川、漆原、小川、喜多、木村、京極、見坊、潮谷、下村、田近、    永島、中村、西島、秦、花井、矢野、山崎、山本の各委員    大村委員は欠席 3 議題  (1)報告     「今後の社会保障改革の方向性に関する意見」     (平成15年6月16日 社会保障審議会)     「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2003」     (平成15年6月27日 閣議決定)     「2015年の高齢者介護」     (平成15年6月26日 高齢者介護研究会)  (2)介護保険制度の運営状況等の検証(その2)      保険財政の状況等について  (3)その他 ○ 松田総務課長より、資料1に沿って説明。資料2・3・4に関して報告。 ○ 貝谷介護保険課長より、資料5に沿って保険財政の状況等について説明。 (木村委員)  資料4の内容ついて青森県での情報提供をする。介護サービスの適正化、それから給 付費の適正化がいろいろ問題になっているが、資料4の「地域包括ケアシステムの確立 」の項の35ページの最初の丸に「まちかど介護相談所」が記載されている。申請手続な どの制度の普及啓発の機能として書かれているが、青森県は全国的の中で介護給付費が 高いというデータが出ているなか、薬局を活用したまちかど事業に着目し、介護サービ スの苦情を吸い上げている。吸い上げた苦情を保険者または国保連の苦情処理委員会等 にフィードバックし、その適正化を図る事業を始めている。これは、サービスの質の向 上、給付費の適正化に資するものである。 (潮谷委員)  資料5の7ページについては、第2期の保険料が軒並み上昇している。全国平均では 13.1%だが、私ども熊本県では23.6%上昇している。しかし、8ページについては、財 政安定化基金の拠出率の引下げや償還の延長によって保険料上昇の緩和がなされている 。平成14年1月の将来推計人口による厚生労働省の長期推計によると、介護給付費は平 成14年度の5兆円から、平成37年度には4倍の20兆円に増加すると見込まれているが、 これは平成14年度から平成37年度までの高齢者の伸び約1.5倍をはるかに上回っている。  介護保険制度を給付と負担のバランスが確保された持続可能な制度にするには、被保 険者の範囲の拡大、財源の負担割合も含めて抜本的な見直しも視野に入れるべき。利用 料の負担については、ホテルコストの問題がある。ホテルコストの徴収に反対するわけ ではないが、あらゆる角度から精査して設定することが重要。高齢者の負担について、 いろいろな制度において指摘されているが、高齢者がどのようにして財政負担ができる のかを総体として論じていくことが大事。給付費の抑制については、健康な老人をしっ かりと社会の中に存在せしめていくべき。これは介護保険の問題と連動していることを 忘れてはならない。介護予防対策の手法の検討や、高齢者を地域全体で支えるために地 域のあらゆる資源を利用した保健・医療・福祉・生涯学習等も含めた仕組みづくりを考 えるべき。 (矢野委員)  財政論については、今後の論点として2つのテーマがある。第1点は、負担と給付の 両面からシミュレーションして全般的に見直す必要がある。第2点は、国庫負担の中で どのようにして負担していくのかを考える必要がある。私どもとしては、ほかの社会保 障制度とも関連することだが、消費税の問題を取り上げて論議する必要があると考えて いる。  資料5の17ページから20ページの第1号被保険者の保険料については、何を原因 であるのか分析すべき。17ページについては、要介護認定者出現率の高いところが高額 保険料になっていると書かれているが、それ以外にも理由があると考えるのでさらに分 析してほしい。法定外のサービス項目については、高額保険料の保険者とそうでないと ころとの比較も必要。高額保険料の保険者にどういう取り組みがなされているのかつい ても報告してほしい。24ページの第2号被保険者の介護保険料については、医療保険者 が単なる徴収代行機関という印象を持つ。給付費の合理化をしている医療保険者と介護 納付金の関係をどうするか、1号・2号被保険者の将来の見通しの中でバランスある給 付と負担との将来像を描けないと、制度が持続しない。利用者負担の問題については、 資料5にないので、どういう状況になっているのか説明してほしい。利用者の1割負担 が将来の予測としてどういう状況になっていくのか、はたして維持できるのかといった 問題意識を持っている。39ページについては、施設の実績で特養が1.1、老健0.8、療養 型0.5と右肩下がりになっているが、予測ではだいたい全て同じ数値となっている。こ の乖離がどうして生じているのかについて質問したい。また、右側の注については、在 宅の基盤整備率が下がるにつれて在宅の費用が減っていく関係について教えてほしい。 要介護老人数については、以前の推計では平成22年度に390万人とあったが、平成14年 度で既に344万人である。この先の見通しについて聞きたい。10ページについては、軽 度介護者の増加がある一方、一人当たりの給付は減少し続けている。この原因について 説明してほしい。要介護度2以上で見ると、要介護度が上がるにつれて一人当たりの伸 びが大きくなっているが、このことについて説明してほしい。11ページについては、要 介護認定者数のうちの利用者数として、在宅の利用者数が示されている。施設について は利用者数を把握していないとあるが、何らかの方法を考えて数を調べてほしい。33ペ ージについては、財政安定化基金の問題についての背景を説明してほしい。 (貝谷介護保険課長)  高額保険料については、高い方から50の保険者の分析をしている。高額となっている 背景については幾つか考えられる。要介護認定者が見込みよりも大幅に増加している点 が大きな影響である。このほかにも、例えば、施設利用の見込み数が当初見込んだ以上 に伸びてきている。施設利用者数の給付費に与える影響は大きいため、数人であっても 小さい保険者では大きく影響している。今後さらに分析をしてまいりたい。法定外のサ ービスの関係についても合わせて分析をしてまいりたい。適正化の取り組みについては 、各保険者に聞いてみると、要介護認定者の問題やケアプランの内容の検討までにとど まっている。適正化の試みについては今年度から行っているので、高額な保険者がどの ような取り組みに力を入れるかについては、引き続き把握していきたい。医療保険者の 適正化については、各医療保険による給付は直接に行っていないところであるが、どう いう状況なのかについては調べていきたい。利用者負担については、本日の資料に用意 していなかったので、将来推計の見通しの中で委員の御指摘の議論ができるかを検討し ていきたい。39ページについては、施設において当時の見込みと実績とが3施設で大き く異なっているが、特に療養型施設は30ページにもあるように医療保険適用からの療養 型の移行が当時の見込みほどなかった。6割弱の実績にとどまったことが大きな理由で ある。10、11ページの給付の分析については、一人当たりの給付額が下がっている。こ れは認定者一人当たりの給付費で分析しており、認定者の増加が急激に伸びているため 、影響が一人当たりでは大きくなってしまうのである。また、要介護度2以上で一人当 たりの給付費が増加している。全体として要介護度が重いところについては、施設サー ビスのウエイトが相対的に高まっていることが挙げられるが、詳細については更に分析 をしていきたい。11ページについては、3施設についての具体的な要介護度別の状況が この統計データでは把握できないので、他のデータで補えるか工夫していきたい。33ペ ージについては、財政安定化基金の貸付状況を県別に示している。全体の給付実績は2 割だが、地域によって大幅に違う。全体として西の方、近畿、中・四国、九州、沖縄が 高い貸付実績になっている。これらのデータについては引き続き分析していきたい。 (西島委員)  要介護認定者が非常に増えているが、主治医意見書を書く立場としては認定に至らな いケース、事業者から言われて単にもらいにきただけという状況もある。もう少し踏み 込んで分析して、将来の要介護認定者の数を出してほしい。資料5の8ページについて は、第1号保険料の内訳で、在宅が約1,500円で、施設サービスが約1,800円とあるが、 施設サービスを受ける人の肩身が狭いと思う。施設でサービスを受ける人は要介護度が 高いので費用がかかるのは当たり前。ホテルコストの話があったが、施設サービスを受 ける人は非常に立場の弱い人なので、負担を増やすことは慎重に考えるべき。  資料4の研究会報告書については、ケアの標準化とあるが、これはある意味ではサー ビスを縮小することにもつながる。本文にも書いてあったが、むしろケアの開発であろ う。今まで経験に基づいてケアをやってきたが、これからはケアの開発をしていかなけ ればいけないと書いてあるので、この点をしっかり認識していく必要性がある。特に、 将来的には7割以上の方が痴呆を持った要介護者になるとのことなので、痴呆ケアの研 究開発は非常に重要。提案だが、痴呆の項で「問題行動」という用語が使われているが 、これは偏見を助長するので「行動障害」と訂正するのはどうか。また、確認だが、報 告書はあくまでも一つの報告書、考え方であり、部会の下敷きにはならないはず。報告 書が一人歩きして、部会の議論が事実上ここに収束されては困る。 (見坊委員)  この3年間の財政の検証をするためには、将来についての予測を念頭に置くべき。高 齢者にとっては、保険料がどうなるのかという問題は非常に切実。年金のみを収入とす る高齢者世帯は6割を超えているが、経済不況で金利がゼロのなか、本年4月から保険 料が全国で13%上がった。今の年代の高齢者は非常に少ない年金で、しかも女性が多い 。私どものアンケート調査でも、3年たったら突然の値上げはひどい、市町村によって は3割から5割の引上げに驚いているといった声が寄せられている。このままでは、市 町村ごとの格差がさらに広がるのではないかと心配している。  資料5の8ページでは、このままでは年率11%の伸び、第2期が終わるころには30% の保険料アップになることが予測されている。喜多委員は、国は費用の負担に耐えられ るのかと尋ねているが私も同じである。ただし、保険料が高いところが悪いとはいえず 、これは基盤整備されてサービスが行き届いているということでもある。財政の規模に ついてどの程度が適正であるか、伸び率はどの程度が適正であるか、中期的には年率何 %くらいが耐えられるのかを国は示していただきたい。国としてなにか考えがあるのか 、経済財政諮問会議など他の場所で議論されていればそれも教えてほしい。さらに、市 町村ごとの基盤整備の状況と保険料の状況を教えてほしい。基盤整備は大幅に進んでい るが、ばらつきがあるのではないかと考えている。年金からの保険料の徴収について、 普通徴収されている対象者がどういう方であるかについても教えてほしい。 (貝谷介護保険課長)  給付が全体として伸びるなか、事務局としてどういう考えを持っているのかについて は、直近の伸び率がこのまま続くと、おそらく第3期を迎えるに当たって大変高い水準 を迎えることになると考える。制度の維持、高齢者・現役世代の方が負担に耐えられる かということについて強い懸念を持っている。ただし、具体的にそれがどの程度がよい といった基準については、求められる介護サービスの水準との見合いのなかで負担をど の程度とするか考えていくべきものであり、一概にはいえない。基盤整備と保険料との 関係を市町村ごとに見た資料については、どこまで対応できるかの問題もあるが検討し てまいりたい。普通徴収の対象者は、遺族年金・障害年金をもらっている方は年金額の いかんにかかわらず、老齢年金・退職年金をもらっている方は月額1万5,000円以下で あれば該当する。 (永島委員)  西島委員の指摘にあった痴呆の「問題行動」の用語の見直しについては、是非考えて ほしい。  資料4の研究会報告書については、痴呆対応のケアをスタンダードしていくという方 向を出しているが、そうすると現行の要介護の認定方法を根本から変えなくてはならな いのではないか。また、痴呆ケアは報酬で加算されているが、身体介護は減額になるの か。40歳から64歳までのいわゆる若年者における痴呆に関して、12の特定疾病者の中で の数を知りたい。量ではなく介護の質の問題として関心がある。 (中村委員)  入所者の実態、特に生活保護受給者、市町村民税非課税の方が3施設の中でどのよう な割合で入所しているのかについて知りたい。また、在宅サービスについても、そうい った低所得者の利用状況について知りたい。ホテルコスト、食費の自己負担等を議論す るためにもこうした資料を出してほしい。 (喜多委員)  給付費が増大するなか、現行制度で国は負担に耐えられるのかについて尋ねたい。  資料4の報告書については、施策としては評価するが、これを実現するために裏打ち するのは財政である。P48ページの該当箇所の記述はおざなりでないか。  資料5の23ページには特養の保険料への影響、34ページには被保険者規模別貸付金の 状況とある。保険はリスク分散をするものであり、小さな市町村で分散できるのかと従 来から指摘していたが、資料を見ると、やはり小さいところはリスク分散できず負担が 非常に高くなっている。これについての見解を尋ねたい。調整交付金については、制度 創設時の国のパンフレットをみていくと、国の負担は25%という表現に対して25%の うち5%程度が調整交付金と注釈を付けていっている。法令の条項において、調整交付 金が5%以下になった保険者は1号保険料で補うという記述はないが、実際の運営上は そのようになっている。どの根拠に基づいているのか教えてほしい。第1期の保険料の 算定が国が示したワークシートどおりに各保険者が計算していたのかどうかといった検 証も資料としてほしい。 (貝谷介護保険課長)  給付費が増えていったときに国が本当に負担できるのかという御指摘については、制 度上、国としての負担がルールで決まっている。現ルールの下できちんと必要な額は確 保していきたい。リスク分散は小さな保険者では無理があるという御質問については、 確かにそういう面はあるが、やはりできるだけ身近な基礎自治体である市町村をベース としつつ、介護分野で進展している広域化を引き続き進めることによって、できるだけ リスクを実態上はより少ないものにしていく方向で取り組みを進めていきたい。調整交 付金の御質問については、国が制度設計時にいろいろな説明をしてきたなかでの話だが 、調整をする理由は、高齢者、特に後期高齢者がその地域でどれだけいるか、低所得の 方がどれだけいるかに応じて国として調整するということは法律に明記されている。こ ういう結果として、保険料負担をならすため、5%の調整の結果として保険料の計算も 変わってくる。これは法律上に定められた考え方である。  第1期の保険料の算定にあたって国でワークシートを示した。ワークシートでのコン トロールがそのとおりに行われたのかという御指摘であるが、ワークシートはこれまで にない新しい制度を創設する際、一つのツールとして示したものにすぎない。あくまで 各自治体が実態を勘案した上で活用したと理解している。急に第2期になって給付費が ふくらんできたのは、最も当時の状況と異なるのは要介護認定者の増加である。第1期 の途中から、制度設計前の段階で見込んでいた認定者の割合より大幅に増加した。この 点とワークシートとは直接の関係はないのではないか。 (松田総務課長)  資料4の研究会報告は、介護のシステムを中心とするものである。財政的な問題につ いては、行政として実現に努力するし、部会においても御議論いただきたい。   (喜多委員)  調整交付金の交付率によって1号保険料が調整をされることが法律上どこに書いてあ るのか明確に示してほしい。ワークシートの計算の結果、最後には1号保険料に関係す るのではないか。資料4の研究会報告書では、財政の裏付けがないと実現しない。これ をこのまま、市町村のゴールドプランなどに無理やり反映させるような指導はしないよ うお願いしたい。 (京極委員)  社会保障全体をみると、給付と負担の関係では、年金は悪いが介護は健全な方である というのが印象。確かに市町村による格差や保険料の上昇はあったが全体として収まり がいい方である。しかし、このままで将来もつのか。財政安定化基金は、もともとはラ ンニングコストではなくて貸付資金であり、別枠でやるのが筋だが財務当局が了解する かは別であろう。1号保険者と2号保険者の関係については、65歳以上の人口割合で配 分するのも一つの方法だが、要介護者数に基づいて配分してはどうか。在宅と施設との 関係だが、高齢者が多く介護施設が大きい保険者では住民に配慮して上昇をあえて抑え た保険者もあるだろう。既存の施設を埋めていけばいい、施設をどんどん増やしていけ ばいいということではなく、市町村は在宅を増やしていくという戦略をとって、施設と 在宅とのバランスをしっかり考える必要がある。  ホテルコストについては、全額負担するかどうかは別な問題。特に在宅と施設との間 に不公平感がある。施設に入ると相当お金が余るという現実がある。適切な負担を行う ためには、基礎年金以上に加算して年金をもらっている方が施設に入った場合は、ホテ ルコスト料を払うべきでないか。在宅の方はその分年金をより多く使って生活している から、負担のバランス・公平さの面である程度ホテルコストを負担してもらうことは必 要。ただし、低所得者には配慮すべき。介護保険創設時には、施設に入った場合の負担 は、基礎年金である程度まかなえるよう設定されていたはずである。  将来的には第3号被保険者の問題があるが、障害者の高齢者介護との関係がある。事 故等で障害の伴う介護である場合は保険料をとるなどのやり方があるだろう。障害者施 策の議論と介護保険制度の見直しの議論とをリンクして行うべき。すぐにできるとは思 わないが将来的には考えていかざるを得ない。 (田近委員)  資料5の37ページについては、焦点は18%分を負担する高齢者にどのようにして払っ てもらうかである。1期・2期ときて予想以上に認定率が上がって費用が増えている。 それをどのようにファイナンスするべきか。保険の維持を考えた際、ポイントは財政力 の弱い保険者である。33ページの財政安定化基金についての資料では、給付額に対して の財政安定化基金による貸付額は2割とあるが、問題はそこではない。市町村によって 財政のかなり弱いところが出てきている。財政安定化基金からの借入れでコストを先送 りにしている。確実に幾つかの市町村は保険を維持できなくなってくる。措置の時代と 違って、保険者に対して交付税等で措置することはすべきではないが、2期目が終わる ときには破綻する保険者も恐らく出てくるだろう。対応策としては、保険者の規模の拡 大は不可避。他に、払える高齢者と払えない高齢者とを線引きして1割以上の負担を求 めるなどがある。 (山崎委員)  保険者の適正な規模の見直しをするべき。給付の伸びを抑制するのかということにつ いては、自然増も念頭に置くべき。公費の負担の割合を増やしてもいいのではないか。 年金などの給付が制限が抑制をされていくなかで、第1号保険料に議論を集約するのか 、保険者の規模・公費負担など制度全体のことを議論するのか考える必要がある。第2 号被保険者の対象範囲の拡大については、30歳以上にするとどのくらい財政に影響する のか。20歳以上となるとどのようになるのか。シミュレーションは事務局にあるのか。 ホテルコスト関連では、保険給付について低所得者の比率を示してほしい。市町村合併 ・広域連合が進められる状況をみると、今の保険者規模が適正であるとは考えていない 。また、特別徴収については、今後の年金の行方などに関連して構造的に知りたい。 (花井委員)  被保険者の範囲の拡大については、必ず給付対象の拡大とセットで議論するべき。  資料5の7ページに関しては、高齢者の比率、低所得者・生活保護の方の割合、事業 者が要介護認定を受けるよう働きかけているのか、施設が多いからか、市町村ベースで の要因分析をお願いしたい。また保険料が低い市町村の要因分析も必要である。公平性 という観点から考えた場合、遺族年金と障害者年金が普通徴収でよいのかと考える。例 えば本人の申請、同意などを前提として特別徴収を考えてもよい。2号被保険者につい ては、2001年に健保法が改正されたときに健康保険法とセットになっていた介護保険料 の上限率が外された。見直しの際には、2号被保険者の保険料の上限の設定を検討課題 に入れていただきたい。 (下村委員)  今の段階は、問題点をこれから整理して本格的な議論を始めるものであり、いろいろ な意見が出ればよい。事務局の返事は途中でもらわなくてもよい。どこかである程度検 討をしてまとめた上で答えをいただきたい。  ここで何を議論するべきなのか。資料4の研究会報告では2015年とあるが、資料3の 社会保障審議会の報告書は2025年とある。しかし今までのデータからすると、第2期目 がそもそも赤字になるのではないか。15年、16年は大丈夫なのか。一方で、15年の予算 の説明はあったが、16年の予算編成がわからない。また、14年の決算はともかくとして 、決算の見通しは分かるはず。  保険者の規模は大きいほどいいのか分からない。要介護認定者数の多少に応じてとい った委員の指摘があったが、すでに今の計算上は高齢者数に対して一定の要介護の発生 率があるという前提で計算している。ただし、認定者数の多少が現にあるのならば、そ れは認定方法の違いなのではないか。  我々が議論することは何なのか。2期目の途中で危機が来るのか、3期目までは今の ままでもやれるのか。議論するポイントを考えて資料を出してほしい。   (中村老健局長)  御依頼の資料はできるだけお出ししたい。  資料5について一部補足する。5ページについては、各保険者にばらつきがあるよう にみえるが、3,000円台の保険者が全体の半分の49.9%、2,500円から3,000円のところが 32.8%。2,500円から4,000円までの間に82.7%が分布している。2,500円以下の保険者は 10.2%、4,000円を超えるところは6.1%である。第2期の保険料として本体の82.7%を どう評価するか。そして、両端については、特に保険料が高い保険者の理由については 、きちんと分析して御報告する。それが保険者論として大事なことなのか、あるいは例 外的なものとして対処するのかを見ていただきたい。  委員から国は財政的にもつのかという御指摘があったが、国の財政は破綻に瀕してお り、国家公務員全体の立場から言えば財政負担が軽い方がよい。しかし、国民の代表の 意思として介護保険法が決まり、法律に義務的経費として位置づけられているので、介 護給付が伸びれば国の25%の負担は行っていくべきもの。勝手に負担できないとお答え できるものではない。  議論していただきたいことは、このままでいけば負担が3割くらい増え、その3年後 にまた3割伸びるといったことについてどう考えるべきか。負担できないと考えるべき か、負担していくと考えるべきか。10ページにあるように、給付の伸びと負担との関係 をどう考えるか。  委員から指摘があったように、給付の伸びがどうなっているのかについて分析してお 出ししたい。給付の伸びが容認できないのであればどこを抑制するのか。あるいは次回 の給付の伸びくらいはのみ込むべきという意見でまとまれば、次回の伸びをのみ込んだ 上で6年後をどうするか。そういったことについて、まさに御議論していただきたい。  研究会報告については、財政負担について触れていないということだが、この介護保 険部会で、まさに当事者、関係者により制度の持続可能性や費用負担の問題を話し合っ ていただくものと整理しており、またそうするべきとの指摘もあり、研究会の委員の方 々にはあえて財政負担については抑制していただいている。 (山本委員)  人間の尊厳の限界を求めれば、介護保険は第2の国保になりかねない。 もともとゴールドプランの集計が悪かった。どこの市町村も国が作成したマニュアルに 沿ったままの数字を載せている。また、保険者は大きい方がよい。これからも広域化を 進めるべき。このままでは介護保健は第2の国保になる。 ※ 事務局より次回開催の御連絡。 ※ 貝塚部会長より閉会の宣言。   照会先  老健局総務課企画法令係  TEL03-5253-1111(3909)