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健康食品に係る制度に関する検討会ヒアリング申請書

特定非営利活動法人(NPO)蜂医研究会
理事長 山口 喜久二
団体の概要

 これまで単なる滋養食品、飲料などとして捉えられてきたハチミツ、ローヤルゼリー、プロポリスなどの蜂産品について、医学的な価値を探りその応用への研究を行い、代替医療の有用な物質としての発展普及を目的として設立したNPOです。学術的研究活動の他に多くの人々に向けた学術セミナーの開催を行い、健康に関心を高めると共に蜜蜂の生息地である蜜源の開発のために植樹活動を行い、地球環境を保全し、保健、医療、福祉の増進に寄与することを目的としています。

設立  平成15年2月
住所  東京都新宿区西新宿1-26-2 新宿野村ビル17階
電話  03−3345−8278

「健康食品に係る制度のあり方に関する意見内容」

1.いわゆる健康食品の体系のあり方
 1兆円を超すと言われております健康食品について、厚労省が本格的にその制度化の道程を検討することは、業界発展のため、正しい情報を消費者に提供するため、さらに今後の医療における代替医療推進のために大変望ましいことであり、歓迎いたします。
 NPO蜂医研究会は、本物のハチミツやローヤルゼリーなどの蜂産品の医学的効用や価値を研究し、普及発展させるべく活動している団体ですが、特に「天然物質」の健康食品のあり方をベースに意見を提案させていただきます。

(1)制度化のための枠組みについて(位置付け)
 現在の制度では医薬品、保健機能食品、一般食品の3大分類の中で、一般の健康食品は保健機能食品の中で特定保健用食品や栄養機能性食品に含まれないため、栄養機能表示や保健用途を表示できず一般食品のカテゴリーに入れられ扱われています。このことが消費者に健康食品への誤解、誤用を引き起こし、ひいては不信を招いております。
 そのために、健康食品の位置付けとして安全性を証明した届出制を導入し、保健機能食品の中で3つ目の食品として位置付け、業界や消費者を指導していく方向が望ましいと考えます。

健康食品の位置付け案
分類 表示 許可
医薬品 効能表示 厚生労働省審査
保健機能食品 特定保健用食品 栄養成分含有表示
保健用途の表示
個別審査・許可
栄養機能性食品 栄養成分含有表示
栄養機能表示
注意喚起表示
規格基準設定
健康増進食品
栄養成分含有表示
注意喚起表示
疾病予防効果(リスク低減)の表示
安全性証明届出制
一般食品   食品衛生法

 健康食品を「健康増進食品」として保健機能食品の枠組みの中に位置付けし、栄養成分含有表示、消費者の誤用を回避するための注意喚起表示、さらに体の機能の改善、リスク低減、健康増進の効果を表示できることにする。そうなれば消費者も一般食品と区別でき、また医薬品的効能の標榜を謳うことを防止でき、消費者の誤認、誤解を防止しするのに役立つと考えます。また、用法、用量を明確に表示できるようにした方が誤解、誤用を防止できます。

(2)「健康増進食品」の定義
「健康増進」と「疾病のリスクの低減」を目的とする
安全性が証明できていること
それだけでは通常の食事とはならないこと

(3)成分の規定
 原則的に健康食品の原料成分は自然界に存在する植物、動物、昆虫などから生成された物質(例えばハチミツ、ローヤルゼリーなど)、もしくはそれから抽出、濃縮されたものであるべきです。人工的な合成品を主成分にしたり、配合したものとは区別すべきでしょう。
 例えば一般食品としてハチミツは広く普及し使用されていますが、わが国では人工的に合成された異性加糖が配合されたものが殆どです。天然で純粋に採取したハチミツは、人体に対し滋養強化、健胃、虚弱体質の改善など様々な効果がありますが、人造ハチミツではそれらが期待できません。仮に純粋に自然界から採取されたハチミツが、新しい制度のもとで健康食品として設定される場合、一般市場に流通している人造ハチミツと区別する必要があります。その意味で原料成分を天然物由来に求めることの必要性があると考えます。
自然界に存在する天然物質であること
人工的に合成された合成成分を含まないこと
自然界の抽出物、濃縮物、混合物は可とする
天然物質に含まれる成分については安全性が確認されていれば食品添加物(食品衛生法)の取り扱いを受けないこと
形状は錠剤、ハードカプセル、ソフトカプセル、粉末、液体であっても可とする。

(4)許可
 健康食品にとって最も大切なことは、それが安全であることです。現在、食薬区分の考え方は当該成分の存在を問題としております。それよりも自然界の物質には様々な物質が存在しており、それらの安全性が確認された場合は、どんどん緩和する方向で検討すべきと考えます。
製造、販売しようとする者は事前に厚生労働省に届け出ること
届け出の際に安全性確認のエビデンスを提出すること
新規の物質に関しては専門委員会の検討または有識者の意見書を要する

(5)表示
体の栄養成分を補う旨の表示
体の機能改善に果たす役割表示
体に一般的健康上の利点表示

(6)成分表示内容
全内容成分の表示
摂取量、摂取方法、摂取方法の注意
品質保持期限
製造者、販売者名表示

2.健康食品の安全性、有用性の確保と消費者に対する適切な情報提供のあり方

(1)健康食品の安全性の確保について
 仮に健康食品の制度化によって、その方法論が届出制を採用した場合に公平性に疑問が生じる場合があります。健康食品の製造には様々な業態があります。医薬品GMP基準に基づいて製造している業者、衛生管理が行き届いた工場で製造する業者、他方不衛生な工場、汚れた施設で作られる健康食品もあります。それらが「届出制」によってすべて同一に認定されるとすれば、そこには不都合が生じます。安全性を重視するなら製造方法も重視すべきでありましょう。前提として食品GMPを実施する。あるいは衛生管理レベルに応じたクラス分けなどの方法の検討も必要かと考えます。
届出時に安全性に関するエビデンス提出
副作用発生時に情報公開
当該製品が疾病治療目的でないことを明示
虚偽、誇大表示の禁止
食品GMP(製造、品質管理基準)を設けること

(2)消費者に対する適切な情報提供
 現状では、当該製品の真面目な学術的研究、実験結果、臨床例、学者、研究者の発表などの文献、資料の取り扱いについては出版社による出版物、書籍などに限られています。確かに、特定の企業の商品と関連付けて情報を提供すれは問題が生ずると考えますが、当該商品全体の科学的認知を向上させる目的で提供するのであれば、企業が積極的に取り組んで研究発表するものよしと考えるものであります。
確かな学術的文献では条件つきで消費者に提供できるものとする。
(条件)虚偽でないこと
特定の製品を推奨しないこと
文献公開、提供については事前に当該協会の許可を取ること

トレーサビリティの実施
 製造者または販売者は当該製品にロット番号を付し、消費者から開示の要請があれば製造プロセス、流通プロセスにおけるトレースを開示しなければならない。このことによって消費者に対し、安心して健康食品を摂取できるようにすべきです。

原産国表示
 輸入原料を使用する場合、もしくは複数の原料の原産地が異なる場合はすべて開示し、問題が生じた場合の対策、トレースができるようにすべきです。

3.行政、関係業界、消費者の果たす役割、制度はどうあるべきか

(1)行政のあり方について
 コーデックス(FAO/WHO合同食品規格委員会)の食品表示部会で合意したように、新しい健康食品の流れは「疾病発症のリスク低減」という概念定義のもとに位置付けられ、それが国際的な潮流になるものと考えます。したがって、ラベル表示だけでなく広告表示においても「リスク低減」の表現が増えてくると予想されます。
 日本においても国際的流れを無視できなく、輸入品との競争、海外輸出の方策としても国際規格に添った制度のあり方を推進していただきたく考えます。

(2)関係業界について
 新しい健康食品の制度的位置付けは、業界として永年の夢であり、健康食品の市民権獲得がまさに実現しようとしています。そこで、この期に最も重要なことは、原則自由の方針で進むが「安全性」を最優先に考え安全な健康食品を製造することに徹することです。そのための研究、開発に力を注ぐべきでありましょう。

(3)消費者について
 製造者側は安全性について徹底的に研究し、その科学的文献資料を消費者に開示する。問題が起これば即座に製造のプロセスを開示できるよう体制を組む。これらのことを業界を代表する協会が消費者に積極的にPRして、安心、安全の理解を図るべく情報、教育を実施していくべきでしょう。

以上


「健康食品」に係る制度のあり方に関する検討会(ヒアリング)

[意見・論旨](所要10分以内)

NPO蜂医研究会
理事長 山口 喜久二

はじめに
 医療費の拡大、生活習慣病の増加などで、国民は健康の自己管理への関心が高まっています。厚生労働省の平成13年国民栄養調査によりますと、平均で約20%の国民が「いわゆる健康食品」を毎日摂取しています。また、40%の国民が何らかの健康食品を使用しているとの実態があります。健康食品の市場規模はすでに1兆円を超えております。国民の健康増進に資することで、医療費の削減、産業の振興にも重要な役割を担うものと思われます。

 現在、制度的に不明瞭な存在となっている「いわゆる健康食品類」に明確な位置付けをすることは、優良な健康食品と粗悪なものを区分し、国民の健康に資するために極めて重要と考えます。この度、御省のお力により具体的に検討されますことは、健康食品に取り組んできた私ども業界人にとりまして、長年の願望であり大歓迎すべき画期的なことと考えております。

 さて、「いわゆる健康食品」の位置付けについてですが、考え方の基本、ベースというものをどこに置くかという問題です。私ども予防医学、日頃から健康に留意するというNPO蜂医研究会の立場から申しますと、安全性と有用性を備えた健康食品は積極的に認めていくべき、という考え方であります。

2つの原則
 ただし、2つの原則を絶対に守るという条件です。

 第一は食の安全性に関する視点です。

 どの健康食品も、まず安全であるべきです。摂取することによって副作用や危害があってはなりません。したがって、しかるべき第三者の機関において、どんな健康食品でも安全性が確かめられなければなりません。そのためには、安全性に関する資料、そして品質確保の資料を添えて、協会もしくは当局へ申請することが必要です。

 第二は、その健康食品の科学的根拠に関する視点です。

 健康食品というならば、人体に何らかの効能を発揮しなければならないのが当然ですから、明白な科学的根拠を示す必要があります。もし虚偽の健康食品が発見された場合は、徹底的な罰を与えるべきです。

 この2つの原則を守る限り、どんどん健康食品を認め、また有象無象(うぞうむぞう)を廃し、広く国民に選択の巾をもたせることが肝要と考えます。

具体論
 具体論としましては―――
 第一の安全性に関しては、安全性に係る毒性試験データの添付、製造における衛生管理、品質確保のための食品GMPの設定、原材料の明示、流通のフィードバック・チェックを可能とするトレーサビリティの徹底が必要であります。

 第二の科学的根拠に関しては、効能についての明確な資料、エビデンスの提出、実験データなどの届出制の確立が必要です。さらに消費者に誤解、誤認を与えないような有用性の表示、用法用量の表示を認めていくべきです。

提案
 現在、財団法人 日本健康・栄養食品協会では、JHFAマークを制定しておりますが、広く国民に健康食品を認知させていくために、この2つの原則をクリアした健康食品には「新JHFAマーク」の設定などの検討も必要かと考えます。

位置付け
 したがいまして、現行の制度では特定保健用食品と栄養機能性食品の2つが定められておりますが、さらに今申し上げました2つの原則をクリアする食品を「健康増進食品」として位置付けられますことを強く望みます。

定義
 また、これら健康増進食品の目的及び定義を健康増進と疾病のリスク低減とすれば、昔から「予防のための1オンスは治療のための1ポンドに相当する」と言われますように、医療経済の行き詰まりに歯止めをかけるようになり、健康食品の役割は大きなものになると存じます。

(以上、よろしくお願い申し上げます。)


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