03/06/30 社会保障審議会児童部会第2回社会的養護のあり方に関する専門委員会議事録                社会保障審議会児童部会            社会的養護のあり方に関する専門委員会                  第2回議事録           厚生労働省雇用均等・児童家庭局家庭福祉課   第2回社会保障審議会児童部会社会的養護のあり方に関する専門委員会議事次第           日時:平成15年6月30日(月)10:00 〜12:02           場所:経済産業省別館第1111会議室 1.開会 2.議題  (1)第1回専門委員会の論点整理  (2)主な検討課題  (3)その他 3.その他 4.閉会 ○上村課長補佐  それでは、時間でございますので、ただいまから第2回「社会保障審議会児童部会」 「社会的養護のあり方に関する専門委員会」を開催いたします。  本日は、大変お忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。  本日の会議は、庄司委員が御欠席ということでございます。  では、議事に入りたいと思います。松原委員長、よろしくお願いいたします。 ○松原委員長  おはようございます。お忙しい中をどうもありがとうございます。  社会的養護のあり方に関する専門委員会の第2回を始めさせていただきたいと思いま す。  最初に、事務局の方から今日お手元にお配りをしました資料の確認と説明の方をお願 いします。 ○上村課長補佐  それでは、資料の確認をさせていただきます。  上から順番に座席表。  社会的養護のあり方に関する専門委員会、第2回議事次第。  資料1、主な検討課題(案)。  資料2、社会的養護のあり方に関する専門委員会、第1回検討課題及び各委員発言状 況。  資料3、児童虐待の防止に関する専門委員会の報告書のとりまとめについて。  資料4、社会保障審議会児童部会「児童虐待の防止等に関する専門委員会」報告書。  参考資料1、参考資料2、参考資料3、参考資料4まででございます。  お手元に以上の資料がございません場合は、お知らせいただきたいと思います。事務 局よりお渡しいたします。  続きまして、審議官よりごあいさつをお願いしたいと思います。 ○渡邊雇用均等・児童家庭局審議官  突然振られまして、前回、欠席させていただきまして大変失礼申し上げました。  虐待の専門委員会の方もおまとめいただき、そして児童部会でも報告をさせていただ きましたけれども、幾つか、この社会的養護の専門委員会に関わる施設体系、その他の 問題、もう少しこの秋までに詰めなければいけないところがあります。そこを何とか整 理していただくと、来年度に向けて全体の議論の整理ができるんではないかという大変 大きな期待を集めている専門委員会でございます。是非、自由闊達かつ生産的な御意 見、あるいは事務局に対する叱咤等をいただきたいというふうに思っております。  よろしくお願いいたします。 ○梶原児童福祉専門官  それでは、資料1の主な検討課題(案)について御説明をさせていただきたいと思い ます。  前回お配りした資料から一部修正をさせていただいておりますので御案内いたしま す。  まず、1番の項目でございますが、2番目の○が、前回は役割分担という記載がござ いましたが、これは役割分担というよりは、機能と協働というところに力点を置きまし て、役割分担のところを果たすべき機能と協働という形に変えさせていただきました。  2番目の施設養護のあり方の項目でございますが、前回は括弧書きはございませんで したが、施設サービス体系、いわゆる今の施設種別全体について御検討いただきたいと いうことで、括弧書きで「(施設サービス体系のあり方等)」というのを加えさせてい ただきました。  その中の施設の小規模化というところでございますが、誤解があるとまずいと思いま して、ケアの形態の小規模化ということで1項目加えさせていただきました。  それから、全般でございますが「児童」という表現がございますが、固有名詞以外に つきましては「子ども」という言い方に書き換えさせていただいております。  3つ目の○でございますが、ケアの連続性の確保のところに、年齢要件によるという 問題がございますので、ここを新たに「(年齢要件による措置変更等の問題の解決)」 ということで括弧書きで書き加えさせていただきました。  それから、下から2番目の○に新たに一時保護機能ということで書き加えさせていた だきました。これは、児童部会の中で、今、児童相談所のことについて検討しておりま すが、その中の一時保護機能という中で施設の活用という話題が出ておりますので、そ れの受け皿ということで、一時保護機能のあり方ということで1項目入れさせていただ きました。  3番目の部分でございますが、前回は地域ケアという表現をしておりましたが、ここ を「(里親・グループケア等)」という形で括弧書きで加えさせていただきました。  新たな項目として「○ 里親機能の拡充」という項目、里親の形態その他の議論の材 料がなかったものですので、ここに1つ拡充という形で項目を加えさせていただいてお ります。  4番として、新たに「4.家族関係調整及び地域支援について」と、これも委員の御 指摘の中で施設に入る子どもの話だけしかないということで、家族という部分と地域ケ アの部分を加えさせていただいて、新たに4番という項目を設けさせていただいており ます。  5番目の項目でございますが「年長児童」という表現をしておりましたが、年齢のこ との部分でいろいろと御議論があると思いますので、ここを年長の子どもや青年という 形で表現を変えさせていただいております。  6番目でございますが、1つは「サービス強化の実施及び」という形でアセスメント と2つ項目があった部分を2つに分けさせていただきまして「○ 施設入退所等に関す るアセスメントの策定」という項目と「○ サービス評価の実施」と2つに分けさせて いただいたと思います。  戻りますが、4番のところに地域におけるサポートシステムというものを入れさせて もらっております。  以上、項目を一部修正をさせていただいておりますので、御検討いただければと思い ます。お願いします。 ○唐澤家庭福祉課課長  西澤先生がお見えですので、一言自己紹介をお願いしたいと思います。前回お休みで したので、正式にお願いしたいと思います。 ○西澤委員  大阪大学の西澤でございます。ちょっとかけさせていただきます。  前回は、何かのほかの事情で休ませていただいて、今日はおまけに道に迷って、何回 この辺りに来ても絶対に道に慣れないもので、大変遅くなって申し訳ございませんでし た。  よろしくお願いいたします。 ○松原委員長  そうしましたら資料がずっと続きますが、このあり方に関する専門委員会の方で議論 をして、ここが重要な柱になりますので、まず資料の1を確認するということで、実 は、これに沿って議論をしていけば、またいろいろと中身は変わってくるかとも思うん ですけれども、ただ、大きく6本とその他を入れて7つの柱立てでいいのか。それから 議論をスタートするに当たって、1から6、7までの下の○印について加除、訂正する 部分がないかどうか、ここを確認をして更に細かい議論をしていくという段取りにした いと思います。  したがって、この柱立て、あるいは今日事務局の方から提示をしていただきました、 その下の小項目について、この時点で議論をスタートするに当たって、この点について 付け加えたい、削るものはないとは思うんですけれども、あるいはこの点をこういうふ うに修正をしておきたいということがありましたら、まず、そこから皆様方の御意見を 伺いたいんですが、いかがでしょうか。  加賀美委員、お願いします。 ○加賀美委員  事務局の方で、前回の議論を踏まえた上で、修正を加えていただいたということで、 大分中身が見やすくなったなというような思いがしております。  ただ一点、今のケアの連続性の確保の問題でございますけれども、ここにあえて括弧 書きが付いたということで、本来のケアの連続性の意味が少し違ってきてしまっている というふうに感じます。  と言いますのは、取りも直さず、ここでケアの連続性を年齢の問題で表現したという のは、まさに乳幼児の扱いの問題であろうということはわかりますけれども、そのこと はそれとして、それ以外にケアの連続性の意味が社会的養護のところで、実は養育の実 態との問題で、そこのシステムそのもののあり方、入口から出口までというか、そうい う質の問題としてのケアの連続性がなくなってしまいますので、是非それも含めてのケ アの連続性だというふうに解釈をするような文言にしていただきたいというふうに思い ます。 ○松原委員長  そうしましたら、例えばこの括弧の中を年齢要件による措置変更・施設内のケアの連 続性と、そういうような形で、それで等というふうに入れたらいいですかね。 ○高橋委員  今の加賀美委員のお話につながるんですけれども、ここに措置変更という言葉が入る と、今、先生がおっしゃっているような基本的に社会的養護を考えるということの中 で、ある意味では拘束されていくんではないかと思います。  ですから、いわゆる業種を超えたケアということを考えてみるとすれば、余りここに 1つの領域というものが意識されない方がいいような気がするんですけれども、つまり 乳児院から児童養護施設への措置変更ということが前提になっていくんではないかと思 うんですが、そうではなくて、今回の法改正に向けてであれば、やはり施設養護という 体系をもう一回考え直すということもここにはあるんではないかと思うので、措置変更 という言葉はいかがなものかと思うんですが。 ○松原委員長  この辺は皆さんの御意見を伺いましょうか。  資料の2を見ていただくと、前回からのいろいろな発言の中身なども出ておりますの で。  どうぞ。 ○加賀美委員  私が言い出した手前、今のお話は、確かにこれからの議論とすれば、そういう発展だ ろうと思います。  冒頭で委員長さんからお話いただいたように、今回の柱立ての中身について、○のと ころも、ここで文言を決めたから、それにフィックスして今後行くというお話ではない ということであれば、一応現状で課題になっている年齢の問題というのは、乳幼児の問 題の問題のところは一応課題にもなっていますから、一応それを議論する意味でも上げ ておいて、なお、中身のケアの連続性の問題というのはそれとして挙げておいていただ いて、また今後の議論かなというふうに思いますので、いかがでしょうか、今の時点で は。 ○松原委員長  もう1、2御意見を伺ってまとめたいと思いますので、どうぞ。 ○奥山委員  ちょっと視点を広げて考えると、子どもの側からしてみると、入所することにも、そ れから退所することにも、やはりケアの連続性が必要とされているわけです。  だから、家庭へ帰る時にもケアの連続性を保つことが重要です。社会的養護のあり方 の中でも勿論検討されるんでしょうけれども、4番のところともかなり影響してくる問 題なのかなというふうに思います。  書き方としては、サービスを提供する側の視点に立った書き方なんですけれども、子 どもの側から見れば一貫した生活ということが必要ですね。そういう子ども側の視点も 置いておかなければいけないと思います。 ○松原委員長  大切なことだろうと思います。ほかにいかがでしょうか。どうぞ。 ○野田委員  私も、ここでの書き方はともかくとして、このケアの連続性ということを社会的養護 に関心のある方々がお聞きになると、実に多様な、場合によってはこの中の1つの柱を 超えてしまうほどの、例えば通常の処遇とレスパイト・ケアの問題であるとか、実に多 様なところでこれをイメージしてしまうだろうというふうに思うんです。  そういう意味では、ここでの検討素材として、挙げ方というのは皆さん課題が共有で きていると思うので、それでいいと思いますが、むしろ、外へ持って行く、あるいはこ れが外に出たときにこういうことは、やっていないのかみたいな形のところとの調整を どうするかという、やや技術的な印象は持っていますが、いずれにしてもケアの連続性 という言葉だけで縛ろうとしたときには、相当広い範囲が含まれるだろうということを 改めて確認できれば、後の技術的なことは、私はどちらでもいいように思います。 ○松原委員長  ありがとうございました。何人かの委員の方に、では四方委員どうぞ。 ○四方委員  私も同じような意見を持っておりまして、むしろこの問題は最重要な課題でありまし て、実に子ども一人ひとりのアセスメントによってケアの連続性がいかに保たれるかと いうのが、施設体系を見直すことについても基本的な要件ではないかなと思いますの で、加賀美先生の御提案のとおりで措置変更等ということになりますと、そちらの方に 議論が傾いてしまうんではないかという感じはいたしております。 ○松原委員長  ありがとうございました。中身の議論が大切だという御意見もございましたし、それ から高橋委員の御発言もあって、これ全体に関わる問題だという認識は皆さん一緒だと 思うんですが、2番のところの、まさに事務局が修正をしていただいたところで、括弧 書きのところに1つ施設サービス体系のあり方ということが入っておりますので、これ 全体を見直すんだということを確認をし、それから奥山委員の発言も大切なことですの で、ケアの連続性の確保の中に、例えば子どもに対する連続的なサービスの提供、そし て具体例として年齢要件による措置変更等の問題というふうに、そんなような形で整理 をさせていただいて、あと幅広く議論ができるような形にしておけたらと思います。  ほかにいかがですか、では中田委員。 ○中田委員  この中でいくと、2のその他と、5のその他ぐらいになるのかもしれないんですが、 今、児童養護施設の場合は、年長児と言われる子どもはかなりいろんな課題を抱えてい るんですが、これが社会へ出るまでのトレーニングをやるということが、大きな課題な んですが、どっちに入れたらいいのかわかりませんけれども、かなり実践的にも非常に 困っている問題で、考え方を整理していただいて、行政的にも分園型自活訓練事業とい うような形で現に制度があるんですが、中身そのものについては、非常に制約があると いうようなこともあるので、養護体系の中に俗に言うリービングケアという、私はいい 言葉ではないと思うんだけれども、リービングケア的なものを1つの柱に、考え方とし ていただかないといけないんではないかなと思います。 ○松原委員長  この点は、武田委員、徳地委員御発言はありますか。 ○徳地委員  私も、年長児に対して非常に興味がありまして、現在、統計を見ますと年長児が 35%、全国の児童自立支援施設に入っております。その中で、今申しましたとおり、被 虐待を受けた子どもが大体全国で60%、当武蔵野学院では80%がそのような対象という ことなんです。  そういうふうな子どもに対しては、なかなか入口はあっても出口がないというのが現 状ですので、その辺は後で詳しく説明しようかと思っております。 ○武田委員  中田先生のおっしゃった内容は、多分5番でやった方が、2番でやるとすごく広い内 容の中の一部になってしまうので、むしろ5番で取り上げていただいた方がいいかなと 思いました。  それから、自活訓練だとか、自立支援だとか、自立援助だとか、いっぱいそういう言 葉が出てくるので、そういう意味でも5番の方に入れておいていただいた方がいいかな と思いました。 ○松原委員長  とりあえず、どの言葉を使っておきましょうか。 ○武田委員  その議論も含めてになると思いますので、ゴシックになっているので自立支援と、だ けどこのことも含まれてくるということになると、それ以外がどうなるのかということ になるので、ちょっと今、判断がつかないですね。 ○松原委員長  そうしたら、1つ○を起こすか、ここの最初の○のところの年長の子どもや青年に対 する支援の中に、住居・就労等になっていますけれども、ここに少し生活というような 言葉を入れておきましょうか、生活・住居・就労というふうにしましょう。  では、野田先生の方からお願いします。 ○野田委員  ケアの連続性ほどではないんですが、ちょっと大きなテーマとして提案させていただ きたいんですが、結論から申しますと、1つは教育あるいは学校教育の問題をどのよう にこの枠組みにかぶせるかということです。  状況としては、御承知のとおり、今、施設内では施設に入っている不登校の問題と か、あるいは児童自立支援施設に学校教育の実施が求められているけれども、なかなか 進まないとか、各パート、パートでいろんな課題があろうかと思います。そういう意味 でどの部分にどう入れ込むかというのが落ち着かないので、委員長に御苦労かけること になるかと思いますが、1つは少なくとも施設養護における教育保障の課題ということ はあるかと思います。  それから、里親の要綱でしたか、あの辺りの中にも地域と学校との連携みたいなこと は言われているんですが、一方からのラブコールだけではなかなかうまくいかなくて、 その辺りをどのように読み込んでいくか。あるいは4番の家族、地域支援の中にも当然 教育等のことがあります。  それから今、議論のありました5番目の年長の子ども・青年のところでの支援でも 「(住居・就労等)」となっているんですが、一般的にこの年齢の子どもというのは、 普通は進学がファーストチョイスで、そうでなくて自活できるために就労というような 選択肢が普通だろうと、そういう意味ではここの部分は、勿論等の中に含まれているん だと言えばそうなんでしょうけれども、メインとサブの関係はありますから、やはり教 育、あるいは進学、就労、あるいはもう少し広い意味での教育保障というようなことを 書くところでそれぞれの視点に入れておく必要があるのかなと。厚労省だけの所管では ないということは重々承知なんですが、子どもの視点から見れば、やはり大きな課題か なと思いますので、御検討いただければと思います。 ○松原委員長  大切な問題ですし、1から6まで貫く縦糸の1つだと思いますので、そういう意味 で、メインとサブというような理解ではなくて、その他、虐待の専門委員会のところで も、すごく大切な部分で全体に関するようなことで、虐待という用語を考えましょうと いうのが一番後ろの方に入っていますので、そういう意味で教育の問題その他のところ に含めさせていただいて、教育との連携というようなことを一つ挙げさせていただくの と、それから先ほど年長のところの○の1つ目を生活・住居・就労にしましたけれど も、そこに進路か進学か教育かという文言を入れさせていただいて、議論のスタート台 にするということにしたいと思います。  ほかにいかがですか、どうぞ。 ○兜森委員  修正していただきました柱立てを見せていただいて、私は母子生活支援施設の立場で 申し上げるんですが、社会的養護、それから施設養護、あるいは家庭的養護の3つの関 わりの中で、母子生活支援施設の立つ位置というのは、一体これからどこに入っていく のかなということで非常に迷っているんです。  つまり、言わば家庭に復帰する前の一時的な機能を果たすこともできるでしょうし、 あるいは親子を分離する以前の、あるいは観察的な施設としての機能を果たすことも恐 らく期待できるというような側面からしますと、母子生活支援施設の今後と申します か、その一点を加えていただければ大変ありがたいと思います。 ○松原委員長  2、3、4場合によると5も含めて、生活支援施設にすべて関わっていらっしゃる部 分だと思うので、どこに母子生活支援施設というのを、固有名詞を出すかどうかも含め て。 ○西澤委員  済みません、まだ議論についていっていないで申し訳ありません。ただ、今ちょっと 思ったのは、各それぞれの種別の施設ということを枠に置いた上でこれを検討すると、 結局何もいじれなくなるというようなことを感じてしまうんです。だから、各種別の施 設を一回頭から抜いて全体像を議論した中で当てはめていくなり、修正するなりという ような、そういう議論の進め方をしないと、余りプロダクティブではないかなという気 がしました。 ○松原委員長  おっしゃるとおりですね。どうぞ。 ○兜森委員  確かに御指摘のとおりだと思います。ただ、私の申し上げ方がとてもまずかったんだ なというふうに思いますけれども、議論を進めていく上で、実はさっきから考えている のは、2番の施設養護のあり方の地域支援機能だの、在宅支援機能強化とか、あるいは 4番の家族関係調整及び地域支援のところの家族の支援というところで母子生活支援施 設のこれからの仕事、あるいは現在している仕事というのは議論できるのかなという思 いもしていたんですが、何と申しますか、ちょっとそれだけでは弱いのかなという感じ がしたものですから、先ほど申し上げました。 ○松原委員長  西澤委員のおっしゃったことを少し整理させていただいて、ここは各種別の今までの 議論を基にしてというのは全体像を見直すということでやっていきたいと思いますの で、その中で是非兜森委員の方にも積極的にそれぞれの項目で発言をしていただきなが ら、今ある母子生活支援施設としてどんなことができているのか、何が課題かというこ とをその都度御発言をいただくということで、この専門委員会として議論に積極的に参 加をしていただきたいというふうに思います。 ○松原委員長  では、奥山委員の方からお願いします。 ○奥山委員  結局、今あるもので私たちは考えているのですが、それ以外の必要性も考えなければ ならないと思います。今の御発言なんかも、母子というもの全部に支援が必要なある一 群の人たちがいることですね。ですから、いわゆる普通の家庭があって、かつ社会的養 護があって、また家庭に戻るとか、あるいは自立するというラインだけではなくて、ほ かにもいろんな状況が有ると思います。  その1つで、私はかなり前から心配しているのは在宅医療の問題です。医学が進歩し てかなり慢性疾患のお子さんたちが増加し、在宅医療をしている子どもが増加していま す。在宅医療をしているお子さんたちが家庭で育たなくなったときに行き先がすごく困 ることがかなりあるんです。  そういう意味では、少数ではあっても今までの社会的養護の体系の中からはみ出して しまう人達にも受け入れられるような体系というのを考えていきたいと思います。 ○松原委員長  これも大切な御発言で、御発言そのものを記録にとどめて、議論の中でまたしていき たいと思います。  ほかにはいかがですか、どうぞ。 ○中田委員  多分その他になると思うんですが、発生的主義というのは生活保護からスタートした ものですから、やむを得ない点もあるのかもしれませんが、今、統計なんかを見ている と、人生3回ぐらい転居をしているという平均的な統計があると思うので、そうなって くると、保護者もやはり移動するわけです。  それから、里親なんかも他府県の里親は全部機能していないというのは、県を越えれ ば可能性があるというような場合もありそうなので、基本的に発生地主義という、行政 的には非常に難しく、長年それでやってきているので、難しいことはあるようですけれ ども、是非それも議論をしていただけたらと思います。 ○松原委員長  おっしゃったとおり、その他のところになるかもしれませんけれども、いわゆる広域 措置と言いましょうか、そんなようなこともできれば議論していきたいと思います。  だんだん少し個々細かい問題になってきたので、もしよろしいければ、今度はこれを 前提にして細かい議論に入っていきたいと思うんですけれども、柱立てあるいは○のと ころでこれという御意見がほかになければ、では才村委員、それから高橋委員どうぞ。 ○才村委員  確認ということでお聞きしたいんですけれども、もともと措置体系という形で児童相 談所とそれから施設というようなところであるかと思うんですけれども、児童相談所の 役割、これは当たり前のことなんで、すべてにかかっていると思うんですけれども、児 童相談所と施設との役割、それとほかにも地域サポートシステムであれば、児童家庭支 援センターとか、子育て支援センターとかいろいろあると思うんですけれども、そうい うふうな援助の中での施設の役割、児童相談所の措置をする側の役割というものが全般 にかかっているというふうに考えたらよろしいんでしょうか。 ○松原委員長  そのとおりです。高橋委員お願いします。 ○高橋委員  今、才村委員がおっしゃったことであるわけですけれども、結局、社会的養護を必要 とする子どもたちというか、逆に言えば、そういう子どもたちがどういうふうに自分の 権利擁護を主張していかれるのかという意味でのジャッジをどこがするのかという意味 でのアセスメントを児童相談所が明確にしていくということでの社会的養護というのが 明らかになっていくんではないかと思うので、やはり児相の問題が何か欠落しているよ うな気がするんですけれども、児相はやるのかどうするのか、もう業種を超えてという この委員会の前提であるということであれば、アセスメントの問題も検討する必要があ るんではないかと思います。 ○松原委員長  この専門委員会ができる過程の中で、虐待に関する専門委員会、そこの議論の中で随 分アセスメントの議論もしておりましたし、そういう流れの中で出てきておりますの で、その話も必要なことだろうと思います。  そういう意味では、私の方から、○に加えるのか、議論の中でしていけばいいのか少 し迷うところなんですが、虐待の方の専門委員会の方で出ていた議論で、いわゆる施設 の階層化みたいな話も出ていて、資料2には基幹施設というようなものも出ています が、例えば施設の小規模化をしていけば、それを支えるようなシステムというのが必要 になってくると思うんです。ですから、施設サービス体系のあり方、全般を見直す中で そういう施設サービス、あるいは施設サービス体系をサポートするシステムを考えると いうのも入れて議論をしたいなと思うんですが、この点はいかがでしょうか。○で起こ した方がいいのかどうかということを含めて、何人かそういう意味では同じ委員会に所 属されている委員の方もいらっしゃるので、ちょっと御発言をいただきたいんですが。  特によろしいですか、それでは施設養護のあり方のところで、施設サービス体系のサ ポートのあり方ということで、1つ○を起こして、ちょっと文言は悪いかもしれません が、後で議論の中で修正をしていただくとして、○だけ起こして後で○の文言も変わる ということも含みますので、少し柱だけ確認をさせていただきたいというふうに思いま す。  さて、それではほかになければ1から7。  どうぞ。 ○奥山委員  先ほどのことの延長になってしまうんですけれども、施設養護のあり方の中に、肢体 不自由児の方とか、障害の方で結構社会的養護を必要とされている方がおられるんで す。そういう方たちも、今の施設の肢体不自由施設などは養護という考え方が入ってき ていないので、すぐお家へ帰す方向へ流れがちです。そういう意味では特殊なケアを必 要とする子どもたちの養護に関してもできれば1つ挙げておいていただいた方がいいん ではないかなと思うんですけれども。 ○松原委員長  特殊なケアね、何て言ったらいいんでしょう、多分これは非常に行動が激化している お子さんだとか、今でいう多動のお子さんとか、いろんなものを含み込んでいて、ある 意味で集約的なサービスが必要だというふうな言い方をするんでしょうか。  あるいは、奥山先生の医療的なケアというんでしょうか、何ていうべきか、特殊なケ アというのもどうも表現としてどうかなと思うんですけれども、何というふうに表現し たらいいでしょうか。  障害という言葉を使いますか。 ○奥山委員  使いたくないですね。 ○松原委員長  そうしましたら、むしろそちらから見るんではなくて、多様なニーズに応えられる社 会的養護の検討というふうにさせていただいて、少しそういうふうに問題を大きくして おいて、1番か2番のところに入れる、どっちがいいですかね、2番の方に入れるとい うことでいかがですか。                (「はい」と声あり) ○松原委員長  ありがとうございます。そうしましたら、あとは細かい議論をしていきたいんです が、ただ今日も12時の終了を予定しておりますので、全体をカバーしても今日1日で、 あと1時間半弱で結論が出るわけではありませんので、ここから先は少し皆さん方に自 由に発言をしていただいて、またそれは事務局の方で受け止めていただいて、そこから まとめて次の議論に続けていくというようなことをしたいと思いますので、一応今日確 認すべき点は、主な検討課題は、ここの7本の柱で検討され、繰り返しませんけれど も、少し○の中身が修正されたということで確認をしまして、少し前回のことも踏まえ て、引き続きこの柱に従って御自由に発言をしていただきたいと思います。  特に1番のところというのは非常に大きな問題で、先ほど野田委員もおっしゃってい ましたが、全般に関わる問題はきちんと議論をしておかないと、なかなか議論が進まな い。それからここのメンバーの中での共通認識、あるいはどこに差異があるのかという ことの確認をしておかないと、2番以降議論をしていくときに、もう一回ここに戻らな ければいけないことにもなるかもしれないので、ここのところを今日は重点的にそれぞ れの御意見等をいただければというふうに思います。どなたからでも結構ですから御発 言をいただきたいと思います。  では、加賀美委員お願いします。 ○加賀美委員  先ほど母子生活支援施設のお話のときに、西澤委員からの御指摘があったんですが、 ここで大きく社会的養護のあり方そのものを、言ってみればどうパラダイム転換をしよ うかというふうなことが議論されていかなければならないという認識をまず共通にした いというのが1つあります。  これは、私が申し上げるまでもなく、核家族化は3分の2以上定着をして、家族の機 能の脆弱化が言われ始めてから、更にそれに加えて、女性の就労は、子育て中の家族で あればほとんどというふうな実態になって、それに対しての援助のシステムというか、 社会的子育てシステムというのは、一般子育てシステムは保育所を中心とした子育てシ ステムで、一方で社会的養護というのは、従来のものは施設養護、あるいは里親といっ たところで、特別な子どもたちの問題というところでずっと長いこと来てしまったとい うふうに思うわけです。  したがって、その間に家族の養育が極めて弱くなっていって、それが象徴的に子ども 虐待という現象として起こっているというとらえ方をすると、今、広く一般の子育て支 援と、ここでいう子育て支援の必要なニーズというのが非常にハイリスクなものだけが 社会的養護だというふうなところでとらえられていて、その間のボーダーレス化してい る群というのは抜け落ちてきてしまっている。そういうことが今日の問題だろうという ふうに考えたときに、改めて社会的養護のあり方をどう考えるかというのが、この会の 一番の課題だというふうに思うわけです。  したがって、そういう意味から言うと、ここでは各論に入る前に、そこのところを明 確にみんなで共有して、社会的養護の在り方、あるいは社会的養護の体系そのものの問 題を広く、社会的子育てシステムの中の社会的養護という位置づけの中で明らかにして いく必要があるのかなというふうに思うわけですけれども、皆さんで御議論をいただき たいなと思います。 ○松原委員長  加賀美委員から1つ大きな問題提起がありました。では、坂本委員の方からお願いし ます。 ○坂本委員  今の御発言にも関連するところですけれども、これまでは入所施設と里親と地域サー ビス、これらが別個の制度、サービスとして位置づけられてきたというふうに思うわけ です。  しかし、施設が今の入所児童のニーズに適した役割を果たしていく、そして里親制度 の活性化を図る。そして地域の子育て支援が必要になってきているというふうなことを 考えますと、これら3つをどうリンクさせていくかということが非常に重要であると思 います。  この3つは異なる機能ではあるんですけれども、相互に関連させることで、それぞれ のサービスにふくらみが出る、あるいは客観性が持たせられるということが期待できる のではないかと思います。  特に施設は、その中で子どもと家庭の支援の拠点としての位置づけがより明確になる んではないかというふうに思います。  昨年、里親制度が改正されまして広がりました。まだ、半年余りなんですけれども、 例えば養育里親で来た方が、週末里親として短期里親の登録を重ねてされる、あるいは 養子縁組を終わった里親さんが週末里親としてやっていきたいということで、短期里親 として新たにまた登録されるというふうな動きも見られるわけです。  ですから、里親制度も1つの家庭が柔軟にいろんな機能を果たすということもおそら く可能になるんではないかと感じておりますので、こういった施設と里親と、それから 地域サービスへの支援というか、地域サービスを施設が担っていくというふうなこと を、特に1の社会的養護のあり方のところで、もう少し強く打ち出してもいいんではな いかなというふうに思います。 ○松原委員長  大切な議論が始まっておりますので、少し私の方でコントロールしないで自由に御発 言をいただきたいと思うんですが、どなたからでも結構でございます。 ○高橋委員  基本的には家庭養護がまずはあって、そしてその周辺の地域養護というのがあって、 それで更に専門的な領域としての施設養護があるというふうに分けて考えるとすれば、 今日家庭養護がままならなくなってきて、その施設養護というふうなこととイコール的 な関係ができてしまっているわけですけれども、社会的養護というのは、本来施設養護 のかつての、いわゆるホスピタル問題が議論されたころの家庭的養護とはもう違うと思 うんです。だから、今、家庭的養護というのは、その地域をどのように、本来の家庭養 護が構築できるサービスとして考えていくか、その中に里親もあるし施設もあると、ま たは児童家庭支援センターもあるというふうに考えていくべきではないかなと。  そうであるとすれば、従来の児童福祉法で位置づけられているいろんな施設がもう一 度その機能を考え直すときになってきたというふうにも思いますけれども。 ○松原委員長  ありがとうございました。西澤委員お願いします。 ○西澤委員  余りこういう小難しい話は好きではないんですが、それに福祉の先生方がいらっしゃ るとこで心理の私が言うのも何ですが、基本的に日本の家庭福祉というのは、ずっと古 いパラダイムというか、親がまず子どもを育てるべきで、それができなくなったら社会 がそれを補完しましょうというような代替え的なモデルを持っていて、ところが欧米に 行くとそうではなくて、はなから育児というのは社会的なものであるという位置づけの 下で、だから親と社会、あるいは行政といった機関がパートナーシップをもって始めか ら育児を考えていく、子育てを考えるというふうなパラダイム・シフトが1980年代に起 こっていますね、ところが日本は全然それになっていないという意味で、今の問題提起 はまさにその部分だと思うので、もともと社会的養護の考え方を、どなたかさっきおっ しゃいました、パラダイム転換を図っていかなければいけないという点で、新たな社会 的養護の考え方というのを前面に押し出す、あるいは家庭福祉のあり方を前面に押し出 すということに、多分議論としては、枠組みはそうだろうと。  そうなると、児童養護施設のあり方なんかもそれによって全然変わってくる、今まで の位置づけとは変わってくるというふうに考えていいだろうし、あるいは虐待防止とい うことの観点でよく言われる保育所も、もっと違う位置づけが与えられてくるというふ うに思います。 ○松原委員長  ありがとうございます。ほかにはいかがですか。  どうぞ。 ○渡邊審議官  これはまた期待もされていないところで発言して恐縮なんでございますが、1番目の 議論を御議論いただく際に、今の社会的養護の議論の周辺の状況についてだけ一言押さ えておいていただいたらいいと思います。  今、西澤先生のお話にもありましたようなことにも関連するわけですけれども、ま ず、現時点での我々に一番関連する政治的状況というのは、来週にも、いわゆる次世代 育成支援対策推進法と、それからまさしく社会的養護の施設の地域への機能展開という ことも含めた概念を初めて盛り込んでいる児童福祉法改正案というのが、来週にも衆議 院は終わっていますので参議院で実質審議に入る、明日にも委員会審議に入ろうとして おるわけですけれども、そういう状況が1つあるわけです。  それは、この3月に少子化対策関係閣僚会議で、次世代育成支援対策の当面の取り組 み方針というものをほぼ全閣僚で決定をしているわけですが、その中には虐待の問題か ら母子家庭の支援の問題から、あるいはいわゆる小児慢性特定疾患の問題から、母子保 健の問題から、みんな大きなくくりで、あるいは教育の問題も含めてですが、大きなく くりで「次世代育成支援対策」という、政府として新しい概念で進めようとしているわ けでございます。  それの大きな道具立てが今法案として出てきて、都道府県、それから市町村、企業全 部の法定義務に基づく行動計画策定を来年度やって再来年度から実施に移したいと、こ うなっているわけですが、広く見ると次世代育成支援というのの中には、この社会的養 護の関係も入り得ないわけではない。ただし、議論がまだまだ十分整理されていないと いう状況ではないかと思っております。  一方、こういった次世代育成支援という概念で国の政策をくくって発展をさせていこ うということについては、一応国会で決定すると言っても、さまざま政治的にも社会的 にも大いなる議論があるというのも現状でございます。  そこは、加賀美先生がおっしゃったように、家庭機能というものの変容ということが 背景にあるわけですが、それを是とするもの、やむを得ないとするもの、いかぬとする もの、それは社会的に議論が起こって当然でございます。さまざまな動きが別途ござい ます。  実に、次世代育成支援の関係については、虐待の問題は、虐待専門委員会等で整理し ていただいて、児童相談所の実施体制の問題は、児童部会で今議論をいただいておりま すが、一方、市町村が中心となって、普遍的な体系に基づいてそして基盤的なサービス を提供するもの、恐らくこの3つの要件、まだ結論は出していませんが、その3つの要 件をベースとした、いわゆる次世代育成支援事業という基礎給付のような部分というも のの議論を、今、別途研究会で、これは京極学長の下で、柏女先生なんかもお入りいた だいて整理しようとしているところでございます。  この部分は、まさしく地域子育て支援の内容、それから経済的な支援の問題、それか ら保育、それからいわゆる幼児教育、こういった問題まで含めての議論の整理をしてい くということです。みんな今は同時並行で動いている中で、それら全体をくくっている のが「次世代育成支援」という新しい概念であります。そこでまた社会的養護につい て、直接関わっておられる委員の先生方から、どのような見方をすればいいのか、これ もまだ現在進行形でしか評価できないという面があろうかと思いますけれども、家庭機 能の変容、社会の変容の中で新しいとらえ方をしていこうではないかという「風呂敷」 としてこの場を用意しているわけです。そこにどういう理念、哲学がよいのか、あるい は特別な領域における新たな政策の発展の共通のツールみたいなものはあるのかを御議 論していただければと思いますし、そんなところにこの専門委員会は位置しているのか なということを、ほかのことも一緒に併せて進めていただいている立場からコメントさ せていただきます。 ○松原委員長  ありがとうございました。全般的な状況の中で、今、そういう意味では本当に全体の システムが変わっていこうとする状況の中で、この専門委員会も検討しているんだとい うことだろうと思いますが、ちょうどいろいろな状況をお話をしていただいたのと関連 して、この社会的養護のあり方に関する委員会の具体的な名称が出てきたということで 言えば、その前にも報告書が出ましたけれども、児童虐待の防止等に関する専門委員会 の報告書の中に、社会的養護の在り方に関する専門委員会という文言が何か所か出てま いりますので、ちょうどここにはそちらの委員会にも出席されていた方がいらっしゃい ますので、議論を始めるに当たって、今度は社会的養護のあり方ということを検討する に当たって、児童虐待対策というのをどういうふうに位置づけたらいいのかということ についても少し御発言をいただきたいんですが、西澤委員、奥山委員、加賀美委員と高 橋委員が、その面のメンバーとして重なっておりますので、どなたか御発言があればと 思うんですけれども、いかがでしょうか。 ○西澤委員  私は、奥山先生のパシリみたいな立場になってしまいましたが、やはり虐待の中で社 会的養護が一番問われるところというのは、やはりまずは虐待を受けた子どものケアと いう部分があるだろうと思うので、いろんな見方があると思いますけれども、今の児童 養護施設自体が、今、さっき話に出たかもしれませんが、児童養護施設がどういうふう に社会的に機能していくのかみたいな、今までのコンテクストの中では施設がどう地域 に貢献するかみたいなことがありましたが、先般、日本子どもの虐待防止研究会の方で 施設の実態調査をさせていただいたら、何かみんながたがたというか、それこそ今にも 倒れそうな状況で、子どもの問題行動で施設の職員さんたちはふり回されてどうしょう もない状態になっているという結果が出ていますが、そういう意味では、今の施設が地 域に寄与するどころか地域資源が医療だとか、教育だとか、もっとこぞって施設を支え なければいけない状況になっているというのが実態だろうというふうに思います。  そういった意味で、その背景には虐待を受けた子どもの増加というのが1つある。そ ういった子どもたちをどういうふうに従来の衣・食・住を中心としたケアではなくて、 それは勿論必要なんですが、それに加えてどれだけ子どもたちの問題行動の解決に寄与 できるようなケアを提供していくかという、それができる施設とはどんなものなのかと いうことをここでは議論をしていただきたいというか、考えていかなければいけないだ ろうというふうに思っています。  もう一つは、虐待を受けた子どもの入所が非常に増えている中で、全国平均すると大 体60%〜70%と言われていますけれども、そういった中で、その陰の部分の問題です。 その陰の部分というのは、やはりそういった子どもたちは、どうしても虐待的な人間関 係を再現する傾向があったり、あるいは施設自体の持っているキャパを超えてしまうよ うな問題行動の下で、不幸なことに施設の中でまた子どもが暴力を受けてしまうという 事態も発生しているのは事実だと思うんです。  そういったことをどういうふうに考えて、そういったことが起こらないケアづくりを していくかという辺りが、私から見ると、私の今の仕事から見ると、ここで一番御議論 いただければありがたいところだろうというふうに思います。 ○松原委員長  ありがとうございました。加賀美委員は、いわゆる裾野の広がりと言いますか、地域 支援をパラダイム転換の中で考えいかなければいけないという御発言がありました。そ のことは非常に大切だと思うんですが、一方で、虐待を受けた子どものように、あるい は奥山委員がおっしゃった、少し医療的なケア等も含み込んだような、ある種専門的な ケアというのも社会的養護の中で期待をされている部分があると思いますので、その点 についてはいかがでしょうか。 ○加賀美委員  自分自身で整理されていない部分がたくさんあって、社会的養護のシステムそのもの については、勿論全養協の未来像パートIIのところで議論はしてきたところではあるわ けですけれども、その辺りも明確に全体のコンセンサスが取れているというところまで いっていないのが現状なのかなと思っています。  いずれにしても、流れとしては社会的養護というふうにとらえたときに、まず、施設 養護ありき、あるいは里親養護ありきというところから議論をしていくと、おそらく余 り今後の先の見通しというのは見えてこないんではないかなというような思いがあるわ けです。  したがって、次世代のお話が先ほどありましたけれども、まず基本的なところで、児 童福祉法の第2条の社会的な、要するに子育ての考え方の解釈の問題でもあるのかと思 います。それは先ほど西澤委員からもお話があった点だと思うんですが、その解釈のと ころがどちらかというと、勿論奥山委員の言っていた子育ちというところの視点ではな くて、子育てする側の議論でずっときている部分をどう訂正していくのかということも 含めて、第2条の解釈、あるいはその条文の訂正も含めて議論をしておかなければいけ ないところなのかなというふうに思っています。  その中では、いわゆる家族は、家庭と協働して子育てをするというシステムの問題を まず基本的につくって、それを社会的子育て支援システムとして考えていくその大きな 枠の中に、我々のような要保護の子どもたちのシステムみたいなものも、その一部の、 言ってみればセーフティーネットとしての役割があるというような位置づけの中でもう 一度再編成をしていくという大きな枠組みなのかなというふうには思っているんです が、具体的にそれをどんなふうにシステム化するかということについて、明確な位置づ けというのは大変難しい。  ただ、そのときに少なくともすべての子どもについて言えることであるけれども、特 に重い課題を持った子どもたちについては、アセスメントのシステムというようなとこ ろと、プログラムのマネージメントができるリソースの問題も含めて準備をしていかな いと、アセスメント、このところでさっきの問題に戻ってしまうんですけれども、今、 児童相談所が担っているアセスメントの機能も含めて、そこら辺りが実は重要な鍵を 握ってくると、これまでの幾つかから見ればわかるとおりでございますけれども、そこ のところを含めての議論になってくるので、本当はどういうふうに構築していくのがい いのかというのが明確に見えているというわけではなくて、やはりベースのところの考 え方は、日本の子ども全部含めて、多分その中に一般子育てというところからハイリス クなケースまで、非常に階層化をしてきていて、ボーダーが見えにくくなっているとこ ろの部分について、どんなシステムをつくっていく必要があるのかという議論になるの で、広く社会的養護というふうにとらえるとものすごく幅が広がってしまって、果たし てここで議論しきれるのかというのがわからなくなっている部分もあるという意味で、 私はわからなくなっているというふうに申し上げているのです。  勿論、従来の社会的養護の枠の中では近未来像のところで挙げたような、さまざまな システムの提起というのはあるわけですけれども、もう少し幅を広げてここでは議論を していかなければいけないのかなというふうな思いがあって、先ほどのように提起した ということで、大変無責任な言い方をして申し訳ないんですけれども、そんなところで ございます。 ○松原委員長  意見交換ということで、ここで何か出すということではないので、迷っているという ことで、その先にまさに御議論していただければといいと思います。  ほかにいかがですか。どうぞ。 ○奥山委員  大体皆さんがおっしゃっていただいたので、原則のところだけお話したいと思いま す。実は虐待の方の委員会の方でアセスメントということをかなり重視しようというこ とが、語られてきた部分があります。アセスメントというのは何を意味するかという と、子どものニーズをいかに把握するかということだと思います。  ある固まったかたいシステムの中に子どもを押し込めていくんではなくて、一人ひと りの子どものニーズを把握して、その子どもにあった、理想的に言えば、テーラーメー ドもしくはオーダーメードのケアというところに行き着く方法が、私は一番望ましいん ではないかというふうに思うんです。  ただ、それに対してハード面とかで問題はあるんでしょうけれども、この点重視しな ければならないでしょう。こっち側のサービスが体系を決めました、システムを決めま した、だから子どもを合わせようでは、困るわけです。つまり児童福祉法ができてから 50年の間に大きく変わってきて、この先も変わっていくわけですが、変わっていくもの に対応しようとしたら、やはりニードをとらえてサービスを変化させなければなりませ ん。そういう意味で子どものアセスメントというのは、子どものニード、それから子ど もの周囲がどういう状況になっているのかというのを把握して、オーダーメードのサー ビスの提供にいかに近づけていくかということが一番大きな視点なんではないかと思い ます。  その中で虐待を受けた子どもというのは、ニードがいろいろ高いということであるの で、そういう意味で一つの大きなポイントにはなるんだろうと思います。 ○松原委員長  ありがとうございました。高橋委員お願いします。 ○高橋委員  既存の施設の中で、基準になる養護と同時にグレーゾーンの部分というのが非常に幅 広くなってきているわけです。そういうものをもう少し明確化していく必要もあるんで はないかと思うんです。まさにそこにオーダーメードの部分というのが存在しているん ではないかと。要するに子どもの社会的養護の感じでは児童相談所が分別していくべき ところに方向を示しているわけですけれども、本来は、子ども支援の人権的な立場で 我々が考えるとすれば、もう少し子どもに合ったケアというものがあるわけですから、 今の組織体系の中に改めて仕組みを変えていく、そういうメスが入る必要もあるような 気がするんですけれども、要するに今、児童養護施設にも知的障害の子どももいるし、 身体障害の子どももいるし、虐待を受けた子どももいるし、または反社会的行為を起こ した子どもたちもいるというような状況が、それぞれの施設の周辺にあるんではないか と思うんです。  だから、そこの部分が本来基準になるものを選んでいる理由というものを明らかにす る中に、もう一度整理されて、それで本当に子ども自身が求めているそうした社会的養 護が研究されるようになっていくのかと。大人が考るんではなくて、子どもの考える施 設づくりみたいなものをもう一つ視点としてはあるような気がするんですけれども。 ○松原委員長  ほかに、野田委員お願いします。 ○野田委員  社会的養護の言葉遣いはともかくとして、先ほど加賀美委員がおっしゃられたこと で、ちょうど子どもサイドから見直した言い方になるのかなというふうに思うんですけ れども、私は、児童福祉法で言えば、児童福祉法の1条の2項の子どもはすべて等しく 愛護されるという、立脚点はそこで、その中でやはり守られていない、あるいは保障さ れていない子どもたちがたくさん実際にはいて、勿論現場もシステムも一生懸命やって いるんだけれども、実際には守られていない子どもたちがいて、その子たちを何をイメ ージしていいのかわかりませんが、山のようなものでいうと、どこまでのところから上 をスペシャル・ニーズというふうに把握してどこが見るのかと。多分そこのところの整 理なんだろうなというふうにとりあえず今は思っています。  その辺で言うと、今度は現場論というか、実情の話になると、やはり各施設は、先ほ ど高橋委員がおっしゃられたみたいに、各目的でもってこの施設はあるんだよというと ころに収まり切れないようなさまざまなニーズを抱えた子どもたちが入ってきて、それ を今までの措置制度というのは、かなり柔軟に現場で運用されていたにしても、非常に その周辺のところというのは、本当に使おうと思うと非常にかたくて、ところが実際に その中には非常に難しい問題が入っているということなわけですが、ただ、これはそれ ぞれの施設が持っている中核的な機能ということまでぼやかしてしまうと、今度は非常 に周辺からは使いづらいだろうということで、それを提供する側の機能別で割っていっ ていいのか、あるいはもう少しそこを調整する、ちょうど介護保険でいうところのケア マネージャーのように、あそこのこういうところと、こういうところについて、それを 仕組みとしてどんなふうに柔軟に使っていくのか、もう少し図式的にいうと、水面に幾 つかの波紋みたいなものが広がっていて、その重なり合いの都合のいいところでどうい うふうに使っていくかというような、どのイメージがいいのかなというのが、私の中で はちょっと迷いがあるところなんですが、いずれにしても、各施設の中核機能という か、コア的なところはもっともっとレベルを上げてもらわなければいけない部分という のは間違いなくあって、ですが、その周辺の部分は非常にほかと重なり合いながら上手 に運用してもらわなければいけない。その辺りを当然法制度との関係で、勿論お金もつ いていくる話ですから、余りむちゃくちゃでもいけないわけで、そうするとそれをどう いうふうに保障していき、一方で先ほどの2条の国と地方公共団体が保護者とスクラム 組んでどうしていくのかという、それが充実できるような仕組みが要るんだろうなと。 そんなイメージです。  最初に言ったことですけれども、まさに個別ケースのアセスメントだけではなくて、 私たちがこれから国レベルでというか、日本の社会的養護全体を考えていく上でも、や はり出発点は子どものニーズであって、提供する側のニーズを一番に考えるのは、まず いんだというのは、私たちがいつも学生に児童虐待であれ、何であれ、まず子どもニー ズを把握して、それから何をすべきかを考えようといっている、まさにそれの国版だな というふうに思っています。 ○松原委員長  才村委員どうぞ。 ○才村委員  今、野田委員が言われたことと同じことであるかもしれないんですけれども、むしろ 日本では児童福祉法があって、子どもの権利条約ですね、そこではやはり児童の実の親 を第一に考え、そして代替的な監護としては、次に里親委託として養子縁組でその後に 必要な場合には児童の監護のために適当な施設ということが勿論載っているわけです し、日本では里親委託ということが、なかなか今までは十分できなかった。  ここで、先ほどから何度も出ています社会的養護のあり方で、パラダイム転換という ことを語るんであれば、まず、実の親への支援ですね、そこへの支援が今の既存の施設 や里親の方でどれだけの実の親への支援をできるかという、その辺のメニュー、先ほど オーダーメードという言葉が出ていましたけれども、そのオーダーメードの選択をする ときの順番が、やはりまず家で、モニターでは施設化という、そのオーダーメードの順 番が、やはり在宅でできるだけ実の親子を離さずに支援するということにシフトをすべ きだと思いますけれども、その中で、既存の施設がどれだけのメニューをこれから開拓 していけるか、それを今回のテーマ、そして里親が本当に増えないのか、そして里親さ ん自身も在宅の親への支援をどんなものができるだろうかということが、選択の順番と してもオーダーメードの順番をこれからは価値として、子どもの最善の利益として考え ていかなければならないと思います。 ○松原委員長  四方委員お願いします。 ○四方委員  前回、一番最初のパラダイムのところで、子どもとは社会の中で育つという視点は絶 対に必要であるというふうに申し上げたと思いますが、それを今日は非常に理論的に西 澤先生はおっしゃってくださったんですが、実は、現場から見ておりますと、そういっ た理念が隅々ケアしている職員の心の底に本当に染み込んでいないことには、私は本当 の援助はできないんだろうと思っています。  と申しますのも、虐待という、これは非常に悲しい言葉なんですが、虐待がおこって しまった親子ということに対して援助するものということは、何と言いますか、トライ アングルに陥りやすい。虐待者と援助者と、そしてやられてしまった子どもというよう なところに陥ってしまいやすくて、そうなると殊のほか家族への支援が非常に難しくな ってくる。  そして、子どもたちに対してそういう子どもたちであるということで、どこかでうま くやっている、本当の意味で子どもの側に立たないで、勝手な思い入れでこちらがやっ てあげているというようなところに実際陥っているということがおこります。実は現場 ではこうした落とし穴があろうかと思っております。  更に、世の中に対しても、老人の場合はやむを得ず家で見れなかったら、当然特養で あるとか、そういうのが行き渡ってはいるんですが、子どもの場合は、社会的養護とい うこと自身が、そういった意味あいからはまだまだ認知されていないというふうに思い ますので、まずは、先ほどの西澤先生、あるいは審議官がおっしゃった辺りの子育ての 中で、子どもは社会の中で育つということを基礎として持っていることから始めないと と思います。もう一度ですが、申し上げたくなりました。 ○松原委員長  ありがとうございます。随分ここの1のところで大切な理念を何人かの委員の方から 出していただきましたし、子どもの視点からスタートするということ、それから親と社 会のパートナーシップというようなことも皆さんの共通点で出てきた事柄だろうと思い ますが、残りの時間との兼ね合いもありますので、まさに2以降の話をすれば、才村委 員の御発言にもありましたように、もう一回社会的養護の目的というところに戻ってく るというふうに思いますので、あとは2、3、4、5、6と1つずつ順番を付けていき ますと時間的な余裕もございませんので、飛んでいただいて結構ですので、やはりそれ ぞれの項目、柱立てについて御意見があれば出していただきたいと思いますし、まだ、 御発言のない何人かの方たちにもいろいろ御発言をいただきたいと思うので、どうぞ御 自由に、少し議論を深めていくということで、議論のスタートを切っていただきたいと 思います。  いかがでしょうか。 ○中田委員  施設の小規模化ということなんですけれども、小規模化は何をもって小規模化という のかということだと思うんです。基本的に、私自身は、子どもの生活単位が小さいこと がいいということを思っています。  あと、今、さまざまに社会的な子育て支援のために施設を活用しようというお考えが あちこちにありますから、その場合、施設の小規模化というのを、ある程度の施設の力 量がないと、職員の研修にも人が出せない、在宅支援をするのにも人が出せない、そう いうような現実的な問題もあるものですから、その辺をはっきり認識をしておいていた だかないと、平均的には児童養護施設は定員60人ぐらいですからそうなってくると、ど の施設規模なら在宅支援ができるのか、先ほどから少し出た、グレーゾーンの子どもた ちのためには、生活の場所を動かさない方がいいと思うので、ある程度の規模の施設に は多機能化して、ケアの部分については、ちゃんと保障するというようなことでやれ ば、多機能することであまり子どもを動かさなくても済むというようなことは、大人の 施設でも、私は何十年か前に特養ができたときに、特養に施設変更したら何人かのお年 寄りが亡くなったことが経験的にあるものですから、施設を動かさないことが入ってい る人にはどうもいい、生活の基盤をあまり動かすことはよろしくないんではないかなと 思いますので、そういう点を少し考えたいと思います。  それから、ネットワークの議論が盛んで、結局最後になると、生活レベルになると、 私も市のレベルの会議にも出なければいけない、区のレベルの会議にも出なければいけ ないというようなこともありますので、現実的にはもう少しきちんとした形で小規模化 やネットワークという概念をある程度決めていただかないといけないと思っておりま す。 ○松原委員長  ほかにいかがでしょうか。加賀美委員どうぞ。 ○加賀美委員  委員長さんからそういう振りがあったんで今、小規模化の話に入ったんですけれど も、オーダーメードのケアというような視点からいれば、当然個別化の問題とか、小規 模化の問題というふうに入ってくる流れはあると思うんですけれども、その前にもう少 し議論をしていただきたいというのは、今の広く社会的子育てシステムを議論していく という必要性の中で、子どもたちの持っている課題がボーダーレス化したというところ で、今の社会的養護の体系そのものを、まず前提にして議論をしていっていいかという こと。そこのところの議論をしないでいってしまうと、何か先行きが全然見えてこない ような気がする。大変しつこく提起をして言い放しのようなことで申し訳ないんです が、社会的養護のあり方と同時に体系の問題への皆さんの御意見を聞いて議論していた だければと思います。 ○松原委員長  ありがとうございます。そういう意味では、先ほど野田委員の方から波紋と言いま しょうか、そういうようなところをどうケースマネージメントしていくかと、その機能 をどこに求めるかというような御発言が出ておりましたし、ここもさまざまなんです が、まさに議論をすべき点だろうと思います。  このことに関わることでも結構ですし、少し視点を変えていただいても結構ですが、 いかがでしょうか。 ○兜森委員  若干最初の方に戻るかもしれませんけれども、社会的養護の関連でいきますと、いろ いろ背景があるんです。社会的養護が必要になってきたという部分は大きいなというこ とがわかるわけです。  ただ、やはり根底には、子どもの権利擁護とか、権利保障の1つであると思うし、そ れを進めていくためには、子どもの最善の利益を保障していかなければいけないという 視点が間違いなく要ると思います。  そういった意味で、子どもの立場で考えていくならば、やはり親によって家族が分離 がされないで育っていく、育てられるという、いわゆる家庭養護が基本であるだろう し、あとは児童養護の近未来に書かれてあったのは非常に参考になると思ったんです が、いわゆるリスクに応じて地域で支援できる、あるいは専門的なノウハウを有する施 設で支援していくというような切り方ができるのかなというふうに考えます。  ただ、この地域という中身は、里親さんとかということでは必ずしもなくて、地域の いわゆる福祉力としてのものであるとか、そういったネットを開発していく必要がある んだろうなと思うわけです。  それから、リスク別にサービス支援の方向を分けていった場合に、結果的にはローリ スク家庭にも、あるいはハイリスク家庭ともに家族関係再構築という最終目的をもって 進めていかなければいけないんだろうということを考えたりします。  それから、施設の小規模化ということに関連してでございますけれども、これは本当 に素朴なんですが、朝に布団の中でうつらうつらしているときに、母親なり祖母なりが 台所でまな板をとんとんたたいている音、それからおみそ汁の煮えていく音、あるいは 御飯がたき上がってくる香ばしい香、そういったものに包まれて子どもというのは心を 育ててきたという面があるんです。  今、そういう状況ではなかなかないわけでして、それだけ子どもというのは、そうい ったことに満たされていない部分というのは大きいだろうと思います。したがって、小 規模化ということは、単に生活スタイルを小さくしていくということではなくて、ごく 一般の家庭で行っているような日常生活と申しますか、プログラムと言うのかもしれま せんけれども、それのやり直しなどがあると思います。  さっきの言葉としては、みそ汁のにおいだとか、あるいは朝、布団の中にいるときに まな板をとんとんたたく音がするとか、そういったものではないかなというふうに思い ます。  つまり、食育は、こういう言葉があるかどうかわかりませんけれども、情を育ててい く、情育ということにもつながっていくんではないかというふうに思いました。 ○松原委員長  ありがとうございました。家庭での養護を支えるということで、ただ家庭で養護する ということではだめで、そこを支えるいろんなサポートが要ると思うんですけれども、 そういう意味では、母子生活支援施設はそれをされているかと思うんですが。  そういった中で、最初のところ、あるいは2番目のところなんですけれども、まさに 施設養護と家庭的養護の協働というようなところもありますし、そういう場にいらっ しゃると思うんですが、今、家庭での養護を支えるために何が必要なのかというのもよ く母子生活支援施設の方はおわかりだと思いますが、その辺はいかがですか。 ○兜森委員  家庭での養護を支えていく、今、申し上げた親子が一緒に心を通わせていく、親の姿 を子どもが見ていく、それから昔の家庭であれば、どこのうちでもあったような姿、そ れはさっき私が申し上げたいろんな香であるとか、あるいは音であるとか、そういうこ とを見つけるんですが、それは母子生活支援施設の場合は、1つの家族として生活の中 で体験していくということになる、子どもにとって体験していくということが実際に行 われているわけです。  ただ、例えばDV被害を受けてきた母親であるとか、あるいはDVを目の当たりに見 てきた、つまり虐待を受けてきたお子さんであるとか、そういった傷を持っている方が 多いわけでございまして、施設職員のカバー、ケアであるとか、あるいは支えになると か、それから専門的な施設とか、あるいは専門的な医療機関との連携等々によって回復 を図るということが実際に行われているということです。 ○松原委員長  ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか、この議論の続きでも結構です し、安達委員お願いします。 ○安達委員  乳児院の方では、いろんなやり方で、いろんなメニューをつくって支援をやっている ということだと思うんですが、先ほど、食育という話がありましたので、私のところで やっております食育と称しまして、例えば地域の子どもさんと、お母さんが来てくれる サークルというものと、施設の子どもと一緒に、乳児院の子どもと一緒にお米が御飯に なるところまでとか、においをかぐとか、とぐとか、順番が違いましたけれども、そう いうことをやります。  それから、先般、お魚を焼くということや、まず施設の子どもがマーケットのお魚屋 さんに行ってお魚を見てくる、それで実際に触ってみるとか、それから施設の中で焼い てにおいをかぐとか、それで食べるという、そういうことでいろんな形を食育と称して やっておりますけれども、子どもが生き生きとしてくるんです。  あるいは、今、年長児と言っていいのかわかりませんが、乳児院ではそういうことに なると思うんですが、地域の乳幼児教室に参加させていただいているんです。1か月に 1回しか行けないんですけれども、やはりそういうところに行って帰ると生き生きす る。やはりそういうときに、いろんな形でいろんな経験をさせるということが非常に大 切ではないかなというふうに思います。 ○松原委員長  ありがとうございます。かなり施設養護の具体的な中身のお話まで及んでいるんです が、どうぞ。 ○加賀美委員  今のお二人の話は、大変大事な視点を含んでいたと思うんです。広く子育て支援、何 を支援するのかという中身の問題になると、養育に関わるところは非常に大事だと。  先ほどの四方先生のお話の中にもあったんですけれども、それは確かに1つの一方の 議論として必要だと思います。ただ、私は投げかけた責任もありますので、もう少し議 論を発展させていただきたいというのは、まず、体系の問題で、一般子育て、グレーゾ ーン、それからハイリスクというふうな流れの中で、常に家族の支援というのが、家族 とともに支援をするという子育て支援の社会化というのが重要だということは明らかで あることは確かなんです。  では、その中で、社会的養護の問題にぶつけていくときに、社会的養護の体系の問 題、施設体系そのものの問題というようなことをどう考えていくのかと、いわゆるハイ リスクというふうにあえて言うならば、ハイリスクというところに属する子どもたちの 施設体系を考えるときに、まず、今日の家族の中の不適切な養育、ネグレクト、いわゆ る日本語で言うと虐待というふうにくくっているんですけれども、その不適切な養育実 態が広く一般化して、子育てを危うくしているという中でのハイリスクという流れの中 で、施設の今の現状を見ていくと、言ってみれば、児童養護施設を含め、児童自立支援 施設、情緒障害児短期治療施設等々、乳児院もそうでありますけれども、そこにいる子 どもたちの課題は、グレーゾーンというところで、ボーダーレス化しているという実 態、そういうボーダーレス化しているという実態で、それぞれの施設の従来の児童福祉 法上に定められている定義づけというのが崩れてきたということではないかという解釈 の下に施設体系を議論していく必要がないのかと、こういう話だということでございま す。 ○松原委員長  今日は、いろんな意見を伺いたいと思いますので、どうぞ。 ○西澤委員  私も頭がぐちゃぐちゃになって、今、何考えていいのかわからないんですけれども、 それは今の体系あきりで考えたらまずいだろうというふうに思うし、だから理想を言え ば、例えば子どもが小規模の単位で生活する居住施設というか、そこに生活拠点があっ て、その子がさまざまな自分のニーズに応じて、それこそ医療を利用するだとか、ある いはソーシャルワークを利用するだとか、そういうふうな形で、それこそ奥山先生が言 われたみたいなオーダーメードのサービス体系がつくられていくと。それがある程度お 金のことを考えなければ、それは完全に個別だということになるんでしょうけれども、 結局、最終的には妥協の産物になっていくんだろうと思うんですが、ただ、少なくとも 今の体系ありきで考えていては、まず問題は前に進まないだろうというふうには思いま す。  ちょっとまとめて言わせていただければ、さっき中田先生が言われていた、結局、小 規模にするのは、何を小規模にと、やはり生活単位だし、要するにそれが1つの完結し た、言わば疑似家族生活的なそういうふうなユニットというのがあるんだろうと、すべ てがそこで、勿論社会との関係を持ちますけれども、施設の生活としては、そこで完結 した1つの単位が小規模だという意味だと思います。  それで、普通にざっと計算すると、例えば50人定員の施設で10の単位で小舎制を持っ たとして、5つ小舎があるとすれば、そうすると大体そこの宿直をちゃんと運営してい こうとしたら、今の配置基準では、一人の職員が2日に一遍宿直しなければいけない、 月に15日間宿直という状況になるわけです。実際にそれをやっている施設も労働基準法 違反ですが日本にはありますね。  そういうような状況を打破していくためには、やはりさっき中田先生が言われたよう に、実際にこれはお金の問題ですけれども、職員の配置基準というのを大幅に変えてい かざるを得ない、そこのところは抱き合わせの議論だろうと思います。多分、あちらに 座っていらっしゃる方々は、まだ先の話だから、あまりこういう話が出てもいろいろ言 われないですけれども、秋口になってくると、それは現実的にとか、いろいろ出てくる と思うんですけれども、今の段階では、大幅な職員増を考えていかなければいけない問 題だろうというふうには思いますけれども、というのが今のお話を聞いて思ったことで す。  それから、今、我々のそれぞれの施設とか、そういうのが背景にあると思うんですけ れども、そこで何がうまくいっていないかをどんどん出していかないと、こううまくい っていますよでは、この会議は必要がないわけでございますので、だから何が一番問題 になっているかという部分を焦点化していかないとまずいんではないかなと思います。 ○武田委員  外国の研修なんかに行かれた報告は、皆さんよくごらんになっていると思いますし、 私も一度だけ昔にオーストラリアに行ったことがあって、厚生労働省の方も研修だとか に行かれていることが多いかと思うんですけれども、想像がつかないというか、諸外国 の場合には施設がなくなってきているんです。乳児院はほとんどないというふうに聞き ますし、それから施設も大規模なところはなく、グループホームもなくなって、里親も なくなって、家族福祉というふうにオーストラリアではケア・フォースという言い方を しておりましたけれども、要するに家族をどうやって崩れないように支えていくかとい うことにお金と人的資源を費やしています。今、私たちが社会的養護というふうに呼ば れているこういうテーマは多分海の向こうではあまり論じられていないんではないかな と感じました。だけど日本ではどうなのかということを勿論議論しなければいけないこ とだと思うんですけれども、逆に外国の人が日本に来て施設をごらんになると非常に びっくりされるという姿は皆さんも経験されていると思うんです。そのぐらい大きな発 想の転換なり、将来を見越しての考え方を整理していかないと、余り進歩がないのかな という感じをちょっと受けました。  もう一つは、社会的養護の対象の年齢の問題をどうしても私たちは言わせていただか ざるを得ないんですけれども、今朝配った小さなチラシにも書きましたけれども、児童 18歳という枠を超えないと、どうしても保護を必要としている一人でやっていけない人 たちは、年齢の枠を超えないと対処し切れないという問題が現実問題として出てきてい ますので、児童福祉法の改正は、もうほとんどまとめの段階に入っているというふうな さっきのお話だったんですけれども、ここに書いたのは、「児童および青少年福祉法」 の提案ですが、今回レジュメには青年という言葉を入れてくださったのはよかったと思 うんですけれども、児童の年齢の枠を超えた青年層までを対象とした社会的養護という ことも議論していただきたいというふうに思います。 ○松原委員長  これも大切な提案だと思います。ほかにいかがですか。 ○徳地委員  児童養護施設と比較しますと、児童自立支援施設というのは、あまりよく理解されて いない方がたくさんいるもので、ちょっと実情等を御報告したいと思います。  先ほど少し紹介しましたとおり、最近非常に年長児が増えてきたという傾向がありま す。それと被虐待児の方も非常に増えてきたと。そういう中では、なかなか家庭に帰れ ない、もしくは自分から拒否する、そういうふうな子どもを何人か見られます。  そうした場合、必ず家庭に帰れないもので、現在、自活寮、もしくは年長児寮という ふうなものを施設独自で運営するというのがあるんですが、現在、児童自立支援施設は 58か所あるんですが、今年の4月から大阪府でライフサポートセンターというのができ まして、引きこもり、もしくは不登校というものを対象にいたしまして58になりまし た。  実際に58か所のうち、そこには年長児寮、もしくは自活寮というのがまだ8か所しか ないんです。実際は、予算上の問題とか、それから児童の人数とか、それから年長児の 人数ですね、それから職員の配置等いろいろ問題があるかと思うんですが、現在の現状 では、個別対応、個別処遇が非常に施設側に求められているのが現状です。  そういうふうな中学校を卒業した子どもに対して、いかに施設の方としましてそのニ ーズに応えていくかというのが非常に大きな課題なわけなんですが、実際に現在、非常 に雇用関係が悪化していまして、なかなか思ったようなところに雇用できないというの が現状なんです。  それと、彼なんかは、施設の生活が非常に長い、もしくはそういうふうな生活が長い もので、なかなか社会との接点が少ないということで、社会のいろいろな体験が非常に 少ない。その点でいろいろな問題が発生します。  私自身の経験からしますと、実際に職は放棄、それから賃金、家賃の未払い、それか ら携帯料金の未払い、それから隣人とのトラブル、こういうふうなことで辞職もしくは 退職してしまうと、そういうふうなことがあります。  その場合、やはり施設においては、そういうふうな問題を想定した社会的なスキル、 こういうものをしっかりしなければいけないと思っているんですが、この辺は少年院等 においては、非常に一生懸命やって、なかなか参考にさせてもらっているんですけれど も、現在、そういうふうなことに関しては、なかなか児童自立支援施設の現状では、統 一的なことができないという感じです。  また、法改正によりまして、児童自立支援施設が退所の後の児童の自立に責任を持っ ていくという大きな使命があるんですが、施設内だけのケアだけでのハードもしくはソ フト、人的資源の整備にとどまらず、アフターケアにおける各面の充実が必要かと思っ ているんですが、なかなかアフターケアに関しても、そういうふうな専門的な職員の専 門性の確保とか、専門性の向上ですね、こういうふうなトレーニングも少ないというの が現状です。  もう一つ、私は前回申し上げたんですけれども、児童養護施設では小規模等云々とい うのがありまして、地域と非常に密着型の施設ということでございますけれども、でき たらその中に児童自立支援施設というのも入れていただきまして、必ずそういうふうな ニーズが必要な子どもがいるかと思いますので、できたらそういうふうなことを一応考 えてほしいかと思っております。  一応、現状としてことで御報告しました。 ○松原委員長  ありがとうございました。全般的な議論をしていただいて、たまたま庄司先生が御欠 席なので、余り里親の話が出てこないんですが、才村先生は少し里親の話をしていただ いたんですが、もう少し才村先生補足をしていただけますか。 ○才村委員  里親というふうに言われたんですけれども、先ほどの子どもの権利擁護ではないんで すけれども、まず、第一に実の親子を支援するという方法をどれだけ取れるかというこ とを、今の施設体系の中でもやると。  その次に、里親が実際に日本で広められないのかどうなのかという研究も少しされて いるようですけれども、もっともっと本格的に里親がだめなのか、日本の風土としては 里親を広められないのかどうなのかというのは、テーマにも余りなっていなっかったか なと思います。  そういう意味では、そういうことをしていただいた上で、やはり施設に入所する子ど もさんというのは来られると思うんですけれども、そのときに考えますのは、先ほど言 いました実の親の家族支援のために、例えば里親さんとか、施設ではどのようなことが できるんだろうかと考えるですけれども、まず実の親が、生活すべてを支える、全生活 支えるような社会的な子育て支援でなければならないということ、そして親自身が幸せ になれば、虐待もなくなる、簡単にはなくなりませんけれども、親が幸せになる方法は どんなことがあるのかということをまず考え、それは経済的なこともあるでしょうけれ ども、やはり精神的なサポートだとか、言えない要素だとか、いろんなことがあるのか もしれないんですけれども、その中で、例えば先ほど施設の小規模化ということが言わ れていたんですけれども、どうしても施設にいなければ行かなければならない子どもさ んが小規模化になるということは、子どもの生活のノーマライゼーションだとか、そう いう観点からはすごく小規模化の方が精神的にも落ち着くというデータが出ているとい うことですので、いいんだろうと思うんですけれども、実の親を支える家族支援の機能 を、例えば児童養護施設が今言われたけれども、児童自立支援施設に持ってもらうとい うことが、小規模化の中で、どのような親支援のパートみたいのをつくるのか、それと も各小さい施設の中で預かっている子どもさんだけではなくて、在宅のための支援する ようなものが一体できるのか、それとももっと専門的に治療も含めた上で、かなり専門 的なものをしなければいけないのかなというふうに思います。  それから、先ほど言われました里親に関しては、私は、常々感じていることなんです けれども、日本の中で、これは偏見かもしれないんですけれども、関東と関西では里親 に対する考えが違うような感じがしてならないんです。  それは、養子縁組に対してなんですけれども、私は前回も言いましたように、子ども は実の親で育てられるべきだと思いますし、それだけでもどうしても治療とかを有する 場合は施設、だけども永久的に実の親が子どもを育てられない子どもさんもごく一部で すけれども中にはいらっしゃるわけです。そういうときには、養子縁組の方法を子ども にとって最大の利益としての、例えば特別養子縁組という方法を選ぶべきだと思うんで すけれども、子どもにとってもその親を選ぶ権利があるという、そういう意見を聞いた こともあるんですけれども、子どもが意見を言うということは、かなり大きな年齢です ね、ちょっと細かい話になりますけれども、児童相談所で里親あっせんの中で養子縁組 あっせんという仕事もあるわけですけれども、その辺をもっともっと本当に子どもに とって実現するかどうかわからないんですけれども、将来にわたって施設で社会的な自 立までしていく子どもさんにとっては、早期な段階で子どもの最善の利益の選択とし て、特別養子縁組を考えるということもしなければいけないと思いますし、養子縁組が 子どもの幸せにとっても1つの方法であるということを私は確保したいと思います。 ○松原委員長  ありがとうございます。今のお話の中で出てきましたけれども、やはり小規模化して いったときに地域を支えるような機能はどこが持つのか。同じように施設を小規模化し てしまうと、そこが孤立をしてしまう危険性もあるので、やはりそれぞれのユニットを サポートしていくようなシステムというのを考えて、そのシステムが地域への支援の展 開をしていくというような形を考えないと、なかなか全部を小規模化した施設がやりな さいというのは難しいことなのかなというふうに思います。 ○高橋委員  小規模化は、要するに屋根を全部分けるということのようになるわけですね。要する に1つ屋根の下にいろんな機能を持たせていたのが従来の施設だったと思うんですけれ ども、生活の部分を子どものために明確に分割する。でも、そこにはいろいろ専門的な サービスが養護施設として提供されるということで、そこでカバーされているようなこ とに、小規模化というのは解釈すべきだと思うんです。だから、そこにもう一つ里親に 対する支援も当然含まれるかもしれませんし、高齢児に対するユースホーム的なものが 当然その傘下にもあって、ケアは連続されているというような中で保護されていくとい うのが、ケアの連続性ということでもあるんではないかと思うんです。  私も里親のセンターに30年ほど関わってきてみて、里親さんを開拓して、そして審議 会をして、そしてそこに子どもを委託していくという児童相談所の措置という仕事があ るわけですけれども、その選択をするというのは、里親側からも選択があるし、もう一 方、子ども側からもあるわけです。そのマッチングがなかなかうまくいっていなかった というのが、里親制度の伸びていない理由の1つにはあるんではないかと思う。  それと、やはり幼年志向の里親さんが非常に多いという中では、やはりそこに子ども を選ぶということも当然起こってきますし、もう一方、実親の多い要保護児童の中に は、当然実親が里親に預けることに対しての拒みもいろいろあると、同意が得られない というようなところでの問題もあるわけで、だから、これからは養育里親というものを もっと社会的に認知されたような状況の中で増やしていって、そして里親さんが施設と 同じような立場で子どもを預かるというふうなことを社会的にももっと理解してもらう ような、そういうアクションが必要なんではないかと思うんです。  今、高齢の方ではヘルパーさんの養成が盛んにされていますので、そういう準備され た方々は、今度は仕事としてそういうサービスに関わることができるわけですから、何 か手法としては、そういう方法もあってもいいんじゃないか。ケースマネージャーがき ちんといるし、そしたらサービスを提供する側のトレーニングもきちんと選択すると か、そういうふうなことが子ども版としてもあっていいんではないかと思うんですけれ ども。 ○松原委員長  ありがとうございました。加賀美委員どうぞ。 ○加賀美委員  いろいろ具体的な話になってきていると思いますけれども、先ほど武田委員と徳地委 員の御発言と絡むところなんですが、まず、武田委員のおっしゃった、オーストラリア のケアホースの話で、社会的養護が必要なくなっていくという、いわゆる狭義の意味の 社会的養護というものはなくなっていった、というよりも、なくす方向でケアホースと いう理念が入っていったというのは確かにあると思うんですけれども。  現実の話とすると、いわゆる子どもの虐待はオーストラリアでも顕在化をしていく中 で、そこは大分修正されていって、いわゆる狭義の意味の社会的養護も見直されていく という流れがあったということも一応補足させていただきたいと思います。  それから、徳地先生のお話で、児童自立支援施設の援助技術的な中身の問題、あるい はプログラムの問題なのか、実態としてはどうなのか、少なくとも児童自立支援施設の 入所状況というのは極めて低いところにあるという入所率の問題が、その背景に児童自 立支援施設に対する社会全体のスティグマ、いわゆる少年法と児童福祉法の狭間にある 施設というイメージというところで強いスティグマがあったというふうに私どもは理解 をして、一方で児童養護施設に重篤な課題を持った子どもたちがやむを得ず入所してく るという経緯があったように思います。  それも今日では、広く子ども虐待という現実の中でグレーゾーン化して、どちらにも そういう子どもたちがいて、より重い子どもたちが児童自立支援施設に入所していると いうふうな実態、そういうことからして、私が最初からしつこく申し上げるところの体 系の問題をもう一度見直しながら、本来的な専門性という問題と、勿論ケアの形態論と いうというのもこれから出てくると思いますけれども、まずもってそこら辺りの議論が 大事なんではないかなと、こういうふうに思ったところでございます。 ○奥山委員  先ほど来出ていまし、また松原先生のおっしゃっているサポートシステムというのは 非常に重要だと思うんですけれども、システムとしても今まではそれぞれの施設の体系 というのがあって、それでどこを選ぶかということになり、入れてしまうばそれっきり みたいなところがあるわけですね。  やはり、そこの間のもう少し、先ほど中田先生が多機能化とおっしゃいましたけれど も、もう少し入れ子になるような考え方もあってもいいんだという思うんです。だか ら、ちょっと極端なことを言えば、児童養護施設の中に里親がいても悪くはないと思い ますし、そういうところをもう少し柔軟に考えていいんではないかというのが1つ。  やはり、ここで議論すべきではないというので外れているのかもしれないんですけれ ども、要するに今まで児童相談所がきちんとケアをすべきだし、サポートすべきだしと いうことでやってきたと思うんですけれども、さっきの里親さんのミスマッチングの問 題に関しても、児童相談所が里親さんをうまくサポートしてこれなかったというような 背景もあるんではないかと思うんです。  やはり、社会的養護を考えるとき、児童相談所との連携の仕方が常に重要なのです が、どうしても入口のところで児童相談所が施設にお願いして終わってしまうというだ けであれば、逆に社会的養護の側でその辺をつなぐケアワーカーのサポートセンターみ たいなものをつくる必要があると思います。さっき言ったオーダーメードのケアをする に当たっては、その子に寄り添えるケースワーカーさんというのは絶対に必要になって くると思うんです。  もし本当に児童相談所が全部賄い切れない分というのは、社会的養護の中でその子の ケースワークをどうするのかというのを考えていかなければならないと思うんです。そ の辺も視点に入れていかなければならないんではないかなと思います。 ○西澤委員  今の奥山先生の話に触発されて、まだ大風呂敷を広げる段階です。  多分、児童相談所の方は、上のレベルのあれであり方が検討されていくんだろうと思 いますが、この前の議論は、虐待特別委員会の議論は、児童相談所のスリム化という か、役割の特化というのがあって、それが虐待の部分に特化していく。そうなってくる と社会的養護のケースワークというのは確かに抜け落ちていく可能性があるんでしょう ね。  今、それで思い出したのは、私がサンフランシスコで働いているときには、私がいた 施設の子どもには社会福祉局のケースワーカーがちゃんと付いていて、その社会福祉局 のケースワーカーは一時に12人のケースまで持つという、それ以上は持てないという仕 組みで12人だから1月に1回はほぼ間違いなくその子のことで施設にやって来れるとい った、そういうような仕組みだったということを思い出しました。  そういう意味では、そういったケースワーカー、児童相談所から引き継いでこの子の ケースワークに責任を持つ担当のケースワーカーというのはどこかの部署にいて、その 人が全体像を見ているというような、それがどこの施設の生活拠点がここにあって、そ れで医療はここでつないでみたいな、お母さんの状況は、お父さんの状況はこうでとい うケースマネージメントをやるというような、そういう発想というのは必要なような気 がします。  それから、さっきのもう一つは、小規模化と地域のサポート、家庭へのサポートとい うのは、これもやはりアメリカ時代の経験ですが、私の施設では小規模施設ですが、そ の1つのユニットがファミリー・プリザベーション・ユニットといって、日本では家族 維持ユニットとか、維持プログラムとか、ちょっと維持というのはおかしいと思います が、要するにそこからケアワーカーを派遣して、1週間のうち5日間、1日8時間同じ ケアワーカーが同じ家族に派遣されて、そこで親と一緒に子育てに当たるという。そう することによって親子を分離しないで済むといったようなそういうプログラムをやって いて、そのケアワーカーのセンターが施設内にあると。だから、施設での蓄積と、里親 との関係なんかでもそういうものは応用が効くと思うんですけれども、それで十分な人 員配置がされていけばそういたった機能を施設が担っていくという発展型としてはあり 得るだろうと思います。  それから時間がないのであれですが、さっきから全然議論されていないのは、アセス メントが重要だということが言われていましたけれども、アセスメントする機関として 今の一時保護所が適切かどうかという話も当然ここでは起こってくるんではなかと、い わゆる混合処遇の実態で子どもが落ち着かないで、子どもによっては一時保護所にいた からよけいに大変な目に遭ったという子もいるわけで、そういうふうな状況になってく ると、とてもアセスメントどころの騒ぎではないと思いますので、そういった一時保護 の保護所のケアを含めての在り方の再検討というのは、ここの課題だろうというふうに 思います。 ○中田委員  では、一言だけ。基本的に在宅福祉とか、施設とかそういうことも含めてやれば多分 役所的な際限がなくなってくることに横着すると思います。  そういうときに制度的にどうするかという課題が残っていると思うので、それは1つ の問題なり、課題を抱えたら、それをどこかに持ち出したら、それを公が認知するとい うことが、そういう仕組みをつくらないと、いつまで経ってもグレーゾーンだとか、周 辺領域の課題というのは1つも解決できない。  だから、制度的にはそういうものがあるという前提で制度の仕組みをつくっていくべ きではないのかなと思います。 ○松原委員長  大体こういう委員会というのは、時間が終わるころになって議論が白熱してくるんで すが、とはいえそれぞれ皆様方午後の御予定もあるかと思いますが、今日は後半の議論 を進めてきて、子どもの視点から立ってみようということと、今までのように各施設種 別の利害調整というようなことではなくて、もっと根本的なところで、子どもの視点に 立って、社会的な養護のあり方を見直そうということについては、これは皆さんの共通 した理解だったということで、非常に私も勇気づけられました。今後の議論を進めてい く大きな基盤というのを確認できたんではないかなというふうに考えております。  もっと議論を進めたいところなんですけれども時間の関係もありますので、今日はこ れで終了させていただきますが、次回の日程等について事務局から説明をお願いしま す。 ○上村課長補佐  次回、第3回の専門委員会は、8月1日金曜日14時から、また翌日、2日土曜日10時 から第4回の専門委員会を国立武蔵野学院の研修棟において開催予定でございます。 ○唐沢課長  次回は、新しくさいたま市になりましたけれども、国立武蔵野学院の研修棟で2日続 けて開催をさせていただきます。よろしくお願いします。  併せて、次回のときに、今日いただいた御意見を先ほどの表にもう一度埋め込んで整 理をいたします。  それから、御議論の参考の補強になるような数字の統計資料ですとか、それから今日 先生方から出たようないろんなものを、例えば図にしたようなものを付けて、次回は御 議論をしていただけるようにしたいと思っております。  よろしくお願いいたします。 ○松原委員長  ありがとうございました。3回目、4回目と場所は移しますが、公開で行うというこ とで進めていきたいと思いますけれども、またたくさんの議論をお願いいたします。  それでは、これをもちまして第2回専門委員会を終了いたします。長時間にわたりあ りがとうございました。 (照会先)    厚生労働省雇用均等・児童家庭局家庭福祉課    〒100-8916 東京都千代田区霞が関1−2−2          電話 03−5253−1111 (内線7889)          (担当)指導係