03/06/26 薬事・食品衛生審議会薬事分科会 平成15年6月26日議事録         薬事・食品衛生審議会 薬事分科会 議事録 1.日時及び場所   平成15年6月26日(木) 15:00〜   厚生労働省専用第22会議室 2.出席委員(21名)五十音順   青 柳   俊、 池 田 康 夫、 石 橋 康 正、 板 倉 ゆか子、  ◎井 村 伸 正、 岩 渕 勝 好、○上 田 慶 二、 神 山 美智子、   河 村 信 夫、 桜 井 靖 久、 杉 村 民 子、 土 屋 利 江、   長 尾   拓、 南 部 鶴 彦、 早 川 堯 夫、 広 津 千 尋、   松 本 和 則、 溝 口 秀 昭、 溝 口 昌 子、 望 月 眞 弓、   吉 田 仁 夫 (注) ◎分科会長 ○分科会長代理   欠席委員(5名)   井 部 俊 子、 岩 田   誠、 岡 本   彰、 寺 尾 允 男、   吉 倉   廣 3.行政機関出席者   小 島 比登志(医薬局長)、 鶴 田 康 則(大臣官房審議官)、   田 坂   治(総務課長)、 定 塚 由美子(医薬情報室長)、   安 倍 道 治(審査管理課長)、 北 條 泰 輔(医療機器審査管理室長)、   松 田   勉(化学物質安全対策室長)、 黒 川 達 夫(安全対策課長)、   池 田 年 仁(安全対策企画官)、 橋 爪   章(血液対策課長)、   別 井 弘 始(血液対策企画官)、栗 本 まさ子(農林水産省生産局薬事室長)、   豊 島   聰(医薬品医療機器審査センター長)  他 4.備  考   本分科会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○上田分科会長代理 薬事分科会長代理の上田でございます。それではただいまより、 薬事・食品衛生審議会薬事分科会を開催いたします。  寺尾薬事分科会長は7月1日に発足する食品安全委員会に御就任されることになりま して、薬事分科会長を本日付けで御退任する関係で本日は御出席になっておりません。 したがいまして、議事の前に薬事分科会長の選任をいたしたいと思います。薬事分科会 長の選任まで分科会長代理の私が議事進行を行います。分科会長選任後は新分科会長に 議事進行をお願いいたします。  それでは薬事分科会長の選任を行います。薬事・食品衛生審議会令第六条の規定によ りますと、分科会長は当該分科会に属する委員の互選により選任することになっており ますが、いかがいたしましょうか。御意見のある方は御発言をお願いいたします。早川 委員、どうぞ。 ○早川委員 薬事分科会長については、井村委員にお願いしてはどうかと思いますが、 いかがでございましょうか。 ○上田分科会長代理 ありがとうございました。ただいま早川委員から、薬事分科会長 は井村委員にお願いしてはどうかという御発言がございましたが、いかがでしょうか。 御賛同いただけますでしょうか。では異議なしということで、御賛同いただいたものと 認めまして、薬事分科会長に井村委員が選出されました。では井村委員、分科会長席に お越しくださいますようお願いいたします。 ── 井村委員、分科会長席に移動 ── ○上田分科会長代理 以上をもちまして、薬事分科会長の選任が済みまして、分科会長 代理の任務が解かれましたので、井村分科会長に以後の議事進行をお願い申し上げます。 ○井村分科会長 上田先生、そのままお待ちいただけますでしょうか。御指名いただき ました井村でございます。大変経験も浅く、私自身心配でございますが、何とぞ皆様方 の御協力を頂きまして、無事に有効で安全な医薬品を世に出したいと思っておりますの で、よろしくお願いいたします。  まず最初に分科会長代理の指名をすることになりますが、薬事・食品衛生審議会令第 六条の規定によりますと、分科会長があらかじめ指名すると定められておりますので、 お許しを頂けましたら、引き続き上田委員に分科会長代理をお願いしたいと思います。 よろしくお願いいたします。よろしゅうございますでしょうか。  それでは議事に入ります前に、事務局の方に人事異動がありましたので、その紹介を お願いいたします。 ○総務課長 御報告申し上げます。本年4月1日に血液対策課に血液対策企画官が新た に設置されまして、別井が着任しております。御紹介申し上げます。 ○血液対策企画官 別井でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○井村分科会長 続きまして、事務局から本日の資料の確認をお願いいたします。 ○事務局 それでは資料の確認をさせていただきます。審議事項については資料1〜2、 報告事項については資料3〜24となっておりまして、その他としては本日お手元に配付 してございます資料25となっております。なお、審議事項の議題1、資料1-2について は追加資料を、議題2については医療機器・体外診断用医薬品の基本要件基準を簡単に まとめた参考資料を、また報告事項の議題1の「副作用被害判定結果について」では、 委員限りの資料として判定部会における判定結果についてまとめた一覧表を本日配付さ せていただいております。そのほか議事次第、座席表、名簿を配付させていただいてお りますので、御確認いただきますようお願いいたします。 ○井村分科会長 お手元に届いておりますでしょうか。よろしいようでございますので、 それでは審議に入らせていただきます。まず議題1の「医療機器・体外診断用医薬品の クラス分類、特定保守管理医療機器の指定について」でございまして、この議題につい ては医療機器・体外診断薬部会と医療材料部会の合同開催で審議されたものでございま す。この件について、まず事務局の方から御説明お願いいたします。 ○事務局 それでは事務局の方から、内容について御説明させていただきたいと思いま す。まず資料1-2をお出しいただければと思います。1ページでございますが、昨年7 月の薬事法改正に伴う医療機器・体外診断用医薬品関係の施行に関する事項でございま す。そこに「1.審議事項等」とございますが、特に医療機器・体外診断用医薬品関係の 事項について、薬事・食品衛生審議会の御意見を聴きながら進めていくべき事項を列挙 させていただいております。医療機器のクラス分類、特定保守管理医療機器、41条、42 条基準、体外診断用医薬品のクラス分類、医療機器GCP、医療機器GLP、第三者認 証基準といったものがございます。本日の議題1においては、最初の医療機器のクラス 分類の関係、それから特定保守管理医療機器の関係、体外診断用医薬品のクラス分類の 関係について上程させていただくものでございます。  これらの内容については、審議経過といたしまして2ページをお開きいただきたいと 思います。これらの事項について薬事・食品衛生審議会で検討をお願いすることを、昨 年9月の薬事分科会においてお願い申し上げまして、それ以降昨年10月に医療材料部会 及び医療機器・体外診断薬部会の合同開催を行い、その部会の中に小委員会を設けて作 業を進めてきたところでございます。その内容をまとめまして、本年3月11日〜4月 20日の間パブリックコメントを実施し、そのパブリックコメントによって寄せられた意 見を整理して、最終的に6月11日の医療材料部会及び医療機器・体外診断薬部会におい て一部修正の上御了解いただき、本日の薬事分科会に上程させていただいております。  次の3ページをお開きいただきたいと思いますが、まず医療機器のクラス分類でござ います。医療機器のクラス分類におきましては、医療機器がいわゆるメスやピンセット のような鋼製小物から、ペースメーカや人工心臓弁といった非常にハイリスクのものま で、非常に多岐にわたるものが医療機器というカテゴリーの中で規制されていることか ら、人体に対するリスクの大きさの程度に分けまして、その後リスクの程度によって合 理的な規制を行っていくということが国際的なコンセンサスになっているところでござ います。薬事法改正においては、その考え方を導入しまして医療機器についての分類、 それに応じた規制を行っていくということになっております。  具体的に申し上げますと、一番リスクの低いものがクラスIになりますけれども、こ れについては厚生労働大臣の承認が不要ということで、販売業についても届出が不要と。 それから上から二番目のクラスIIでございますが、これについては今度新たに導入いた します第三者認証制度ということで、民間の第三者機関が企業の行う安全確認の内容を 確認し、基準適合性を確認することになっておりまして、販売業についても届出制と。 それから一番リスクの高い分類でございますクラスIII、IVについては、厚生労働大臣の 承認を必要とし、加えて販売業についても許可制を導入するという形で、このような枠 組みを薬事法の改正の中で行っております。今日御審議いただきますのは、具体的にこ のクラスI〜IVの中に一体どういう機器が当てはまるのかということについて、内容を 挙げさせていただいているところでございます。  次の4ページをお開きいただきたいと思いますが、今回の分類を考えるに当たり、こ こに書いてございますように日本、アメリカ、EU、カナダ、オーストラリアの規制当 局、及び産業界の代表者から成ります会議としまして、「医療機器規制国際整合化会議 (GHTF:Global Harmonization Task Force)」というものがございます。その中でい ろいろなことを議論しておりますけれども、医療機器のクラス分類のルールについても 提唱されているところでございます。  5ページをお開きいただきたいと思いますが、「GMDN(Global Medical Device Nomenclature)」ということでございますけれども、2001年11月にISOの方から医療 機器の国際一般名称が発行されまして、今回クラス分類の作業を行うに当たり、この新 しい国際一般名称に従い分類を行っております。  続きまして6ページでございますが、今回のクラス分類においてはどのような考え方 で整理したのかということについての御説明でございます。先ほど申し上げましたGH TFによりクラス分類の考え方が提示されておりますけれども、基本的にはこの図にご ざいますように侵襲性の度合いがどの程度あるのかということで、全く人体に接触しな い非侵襲のものから、長期的使用又は植え込みといった一番侵襲の高いものまでござい まして、その侵襲の程度が上がるに従ってリスクが高いという整理になっております。 それに加えまして、左側のカラムにございますが、使用部位がどこになっているのか、 化学・生物学的変化、吸収があるのか、またエネルギーなり医薬品を放出するのか、そ れから「能動」と言いまして電気的な駆動装置を持って動くのかどうか、こういった要 素を加味してリスクの分類を行うということでございます。  続きまして資料1-2追加資料でございますが、体外診断用医薬品の関係でございます。 体外診断用医薬品についても今回リスクに応じて分類をしていくということでございま すが、体外診断用医薬品については侵襲性はないわけでございます。しかし、診断情報 リスク、つまり診断された情報が生命の維持に与える影響が大きいか否かということで、 癌、腫瘍マーカー、HIV、HCV等の感染症の診断、遺伝子診断については、その情 報についてもし誤った結果が出た場合にリスクが大きいということで、そういった大き さから分類をするということでございます。なお、リスクの低いものの中で、特に較正 用標準物質があるようなものについては自己点検が容易であるということから、基本的 に企業の自己認証という形で整理させていただいているところでございます。そういっ た標準物質がないものについては、第三者機関により企業の内容を確認するというよう に第三者認証制度を導入するということで、体外診断用医薬品についてはこのような3 分類で整理をさせていただいております。  それから資料1-3でございますが、先ほど申し上げました医療機器のクラス分類につ いて、GHTFでまとめられている考え方に従って四つの分類に整理をしていくという ことでございます。細かいルールをその資料に書かせていただいておりますが、基本的 な考えは先ほど一枚の絵でお示ししたものに集約されております。  それから資料1-3の5ページに、「4.特定保守管理医療機器の指定の基本的考え方」 と書いてございます。医療機器の場合には、医薬品と異なり長期にわたって使用される 耐久製品であるという視点から、保守管理に特に注意を払うべき機器があるということ でございます。ここに書いてあるように、保守管理に専門的な知識・技能を必要とする 医療機器であって、保守管理が適切に行われなければ重大な不具合・感染等が生じるお それがある医療機器を指定しまして、特定保守管理医療機器として、特に市販後の安全 対策をハイリスクの医療機器同様に講じていくことにしているところでございます。  それから資料1-4でございますけれども、先ほど申し上げました体外診断用医薬品に ついて、感染症検査、腫瘍マーカー、血液型又は細胞型に関する検査、病原体遺伝子検 査、ヒト遺伝子検査、それから国際的には自己検査用のものがリスクが高いという整理 をされております。また、新測定項目については大臣承認の対象としまして、リスクの 高いものという形の整理をさせていただいているところでございます。基本的にはこの ような考え方に従いまして、具体的に各品目を当てはめていったということでございま す。  資料1-5の「医療機器クラス分類 概要表」をお開きいただきたいと思いますが、現行 の分類が具体的にどうなるのかということで、1ページを開いていただきますとエック ス線装置から始まりまして、「分類」に「II」と書いてあるのがクラスIIということで ございます。エックス線診断装置から始まりまして、医療機器全部で大体3,000の分類 がございますが、先ほどのルールに従って整理をさせていただいたものでございます。 また、特定保守管理医療機器の該当のものについては、一番右側のカラムに「該当」と 書かせていただいているところでございます。  それから資料1-6は「体外診断用医薬品クラス分類 概要表」ということで、分野ごと についての分類を同様に作らせていただいております。  なお、資料1-1でございますけれども、医療機器については法定諮問事項ということ もあり特に諮問書をお付けしておりますが、それをめくっていただきますと、今の表を 少し分かりやすくといいますか、新しい一般的名称とクラス分類、特定保守管理医療機 器の有無について、クラスの高いものから順に並べさせていただいているものでござい ます。57ページにわたりますので詳細は省略させていただきますが、このような考え方 で医療機器について3,000、体外診断用医薬品については670ほどの分類を作りまして、 整理させていただいたということでございます。以上でございます。 ○井村分科会長 ありがとうございました。ただいまの説明につきまして、二つの部会 を合同開催された会の座長を務められた桜井委員、何か御追加はございますでしょうか。 ○桜井委員 特に追加する点はございませんが、今回の薬事法改正の目玉の一つがこの 医療機器の件でございます。この改正の趣旨は三つあると思います。一つ目は国際整合 性、いわゆるグローバルハーモナイゼーションに重きを置いた規制をするということ。 これはある一面では合理性を高めることになるかと思います。それから二つ目は、当然 のことながら安全性の確保という点が問題になりますし、三つ目は新しい有効な機器を なるべく速やかに普及させるという、規制の効率性といったような観点。この三つが主 な観点かと思います。  それに今御説明がありましたようなクラス分けの問題、これはリスク対応によるクラ ス分けということ、ISOやGHTFとの国際整合性が重んじられたということであり ます。それから御説明にありました「Global Medical Device Nomenclature」、分類、 命名ということ。これもISOなどの国際機関が中心になってやったものに準拠すると いう形でございます。もう一つは、後でまた御説明があるのかもしれませんが、基本要 件というものがありまして、これもリスク分析を重んじて医療機器の承認あるいは設計、 製造の段階でリスク分析をしていこうと、より安全性を高めようというような趣旨でそ ういうものが設けられたということでございます。 ○井村分科会長 どうもありがとうございました。ただいまの事務局と桜井委員の御説 明について、何か御意見、御質問ございますでしょうか。特にございませんか。どうぞ、 板倉委員。 ○板倉委員 確認させていただきたいのですが、実際の家庭用医療器具というのもこの 中に入っていると思うのですけれども、この場合に35ページに載っているマッサージ器 具のようなものは、要するに自己認証というか、販売者が自分のところで届出制でやれ ばいいというような話になるわけでしょうか。割合高価格で売られていたりということ がありまして、消費者の方から実際の効果というようなものについてのお問い合わせが あるものですから、そういった場合にどのように対応させていただいたらいいのかよく 分かりませんでしたので、御質問させていただきました。 ○井村分科会長 事務局の方から、どうぞお願いします。 ○事務局 今板倉委員の方からお話しいただきましたことが、資料1-5で申し上げます とちょうど一番最後の35ページにございます。いろいろなマッサージ器や電気治療器、 磁気治療器といったものがございまして、見ていただくと分かりますように、今回クラ ス分類がIIでございます。クラスIIになりますと第三者認証制度ということで、厚生労 働大臣が一定の基準を示しまして、その基準にきちんと合ったものだけを世に供給する ということで、基準の適合性を民間の第三者認証機関が確認し、確認できたものだけが 世に供給されるという形でございます。そのような制度段階での規制が入った上で、販 売についてはいわゆる量販店とかいろいろあるわけでございますが、そういった販売者 については届出制ということでございます。加えまして、販売業者においては販売管理 者ということで、相当の研修を受けた方と設置することを前提に考えさせていただいた ところでございます。 ○井村分科会長 よろしゅうございますでしょうか。 ○板倉委員 ありがとうございました。一つだけ確認させていただきたいのですが、今 まで医療器具の中に、消費者の言葉で言うといわゆる「アルカリイオン整水器」のよう なものがあったわけですが、これはどこで読んでいいのかが分からないので、それだけ 教えていただければ有り難いです。 ○井村分科会長 いかがでしょうか。 ○事務局 資料1-5で申し上げますと35ページでございますが、左側の「現行中分類」 に「家庭用医療用物質生成器」というものがございまして、新しい名称では「貯槽式電 解水生成器」と「連続式電解水生成器」が相当するものでございます。 ○板倉委員 ありがとうございました。詳しい中身については、また教えていただけれ ばと思います。この場では結構でございます。 ○井村分科会長 ほかに御質問あるいは御意見ございますでしょうか。よろしゅうござ いますか。それでは本件については御承認いただいたことにさせていただきたいと思い ます。  続きまして議題2、「医療機器・体外診断用医薬品の基本要件基準について」という ことで、事務局の方からお願いいたします。これも両部会の合同開催で審議されたもの でございます。 ○事務局 それでは事務局の方から御説明させていただきます。資料2と資料2参考資 料の二つをお出しいただければと思います。資料の説明方法としましては、概要を参考 資料の中でまとめさせていただいておりますので、資料2参考資料をお開きいただけれ ばと思います。先ほど桜井先生の方からも少し御紹介いただきましたけれども、今回の 制度改正の中で医療機器・体外診断用医薬品について基本要件基準を導入したいという ことで、改正薬事法第41条並びに第42条に基づく基準として厚生労働大臣が定めたい とするものでございます。これについても先ほど御説明しましたGHTF(医療機器規制 国際整合化会議)において合意されております、Essential Principles of Safety and Performance of Medical Devices Including In Vitro Diagnostic Devicesといった基 準が出ておりまして、これを基本に策定したいとするものでございます。これについて も先ほどのクラス分類と同様に昨年10月から部会の方で御審議いただき、3月11日〜 4月20日の間パブリックコメントを取りまして、6月11日の部会において御了承いた だき上程させていただいているものでございます。  具体的には、基本要件は全部で17項目から成っております。一般的要求事項から始ま りまして、設計及び製造要求事項の中に化学的、物理学的並びに生物学的特性、感染及 び微生物汚染。2ページにまいりまして製造及び環境的特性、診断あるいは測定機能を 有する医療機器又は体外診断薬、対放射線防護、エネルギーの問題、機械的リスク、供 給エネルギー、自己検査の場合のリスク、情報提供、性能評価といった17項目がござい ます。大体の概略を申し上げますと、まず基本的な考えとしましては、1ページにござ いますが、一般原則として医療機器の開発、製造に当たってはリスク管理を要求すると いうことでございます。医療機器の場合に、使用段階を考えますといろいろなリスクが ございますが、例えばここに書いてございますような原材料に起因するリスク、感染に よるリスク。それから次のページで申し上げますと、組み合わせて使用する場合のリス ク、物理的化学的リスク、火災・爆発が起こることについてのリスク、廃棄物として処 理される場合のリスク、精度、目盛りに対するもの、放射線防護、プログラム機能とい うことでソフトウエアが入っているものもございますので、プログラム機能を有する医 療機器についての要求事項、電源に関しての事項。それから電磁障害や警報システムに 対するリスクの防護策、機械的なリスクの防護や振動・騒音の発生軽減、端子又はコネ クターに起因するリスクの軽減、エネルギー又は物質の供給の正確性の確認、患者に及 ぼすエネルギーのリスクの問題、自己検査用の機器等に関する情報提供方法なり、誤使 用リスクの軽減等の規定、安全に使用するための情報提供の要求事項、性能評価として 臨床試験についてはGCPにのっとることを規定というような項目が概略に書いてござ います。詳細は資料2の中に12ページにわたり記載されておりますけれども、概略につ いては今私が申し上げた内容が記載されております。以上でございます。 ○井村分科会長 御説明ありがとうございました。桜井委員、何か御意見ございますで しょうか。よろしゅうございますか。それではただいまの説明について、御意見、御質 問をどうぞ。いかがでございましょうか。よろしゅうございますか。案件がたくさんご ざいますので、もしよろしければ先に進ませていただきたいと思います。本件について は御承認いただいたものとさせていただきます。審議事項については今の二つで終わり でございます。これから報告事項に入ります。それでは事務局の方より、報告事項の議 題1から御説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは事務局より、報告事項議題1の「副作用被害判定結果について」を 資料3に基づき御報告させていただきます。また、参考としまして副作用被害判定部会 の判定結果として、個々の事例ごとにどのような疾患にどのような医薬品が投与され、 その結果どういう副作用と判定されたのかが分かるような一覧表をお手元に配付させて いただいております。この表には判定部会で審議された事例がすべて掲載されておりま すが、時間の制約もございますので、判定結果の報告と対比して御覧いただければと存 じます。なお、今回は3月と5月の判定部会の判定結果について御報告させていただき ます。  まず3月20日に開催された副作用被害判定部会については、新規案件98件、継続案 件15件、現況案件14件、合計127件について御審議していただきました。その結果、 支給決定することが適当と考えられるものが99件、不支給決定することが適当と考えら れるものが24件、追加情報を得て再度審議することが適当と考えられるものとして、保 留となった案件が4件でございました。なお、支給決定することが適当と考えられるも の99件の中には、請求期間の一部について不支給決定することが適当と考えられるもの が50件含まれております。  次に5月22日に開催された副作用被害判定部会についてでございますが、新規案件 74件、継続案件7件、現況案件8件、合計89件について御審議していただきました。 その結果、支給決定することが適当と考えられるものが71件、不支給決定することが適 当と考えられるものが14件、追加情報を得て再度審議することが適当と考えられるもの として、保留となった案件が4件でございました。なお、支給決定することが適当と考 えられるもの71件の中には、請求期間の一部について不支給決定することが適当と考え られるものが38件含まれておりました。以上でございます。 ○井村分科会長 ありがとうございました。それでは引き続き報告事項の議題2〜8ま でを御説明いただけますでしょうか。 ○事務局 それでは新薬関係の報告事項の議題2〜8について、御報告させていただき ます。本日の報告は議題2〜6の5件が5月9日開催の医薬品第一部会、議題7が4月 16日開催の医薬品第二部会、議題8が5月23日開催の同じく医薬品第二部会において 審議され、いずれも承認して差し支えないとされた計7件についてでございます。  まず始めに資料4をお願いいたします。レミケード点滴静注用100についてでござい ます。一般名はインフリキシマブ(遺伝子組換え)、申請者は田辺製薬株式会社、本薬は ヒト/マウスキメラ型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体であり、従前の既存治療で効果 不十分な場合のクローン病の治療に関節リウマチの効能・効果を追加するものでござい ます。なお、メトトレキサートとの併用により、本薬に対する中和抗体の産生が抑制さ れることが明らかになっていることから、本剤はメトトレキサートと併用することが条 件となっているものでございます。再審査期間は5年10か月とされております。なお、 本薬の安全性等については更に検討するため、市販後の全例調査、臨床試験の実施等が 承認条件として付与されております。  続きまして、資料5をお願いいたします。ピタバスタチンカルシウム、リバロ錠1mg、 同2mgについてでございます。一般名はピタバスタチンカルシウム。申請者は、原体に ついては日産化学工業株式会社、製剤については興和株式会社です。本薬はHMG-CoA還 元酵素阻害作用を有し、高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症を効能・ 効果とする新有効成分含有医薬品でございます。再審査期間は6年とされており、原体 は劇薬に該当、製剤は特に該当しないとされております。  資料6をお願いいたします。マクサルト錠10mg、マクサルトRPD錠10mgについて でございます。一般名は安息香酸リザトリプタン、申請者は杏林製薬株式会社。本薬は セロトニン受容体のサブタイプ5-HT1B/1D受容体作動作用を有し、片頭痛を効能・効 果とする新有効成分含有医薬品でございます。再審査期間は6年とされており、原体、 製剤共に劇薬に該当するとされております。  資料7をお願いいたします。パリエット錠10mgについてでございます。一般名はラベ プラゾールナトリウム、申請者はエーザイ株式会社。本薬はプロトンポンプ阻害剤であ り、逆流性食道炎の効能に対し従前の治療用量に再発・再燃を繰り返す逆流性食道炎の 維持療法の用量の追加を行うものでございます。再審査期間は4年とされております。  続きまして議題6、医薬品プロトピック軟膏0.03%小児用でございますが、これにつ いては議題8の医薬品グリベック100mgの後に別に御説明いたします。  資料9をお願いいたします。ユーエフティ、ユーエフティE顆粒、ユーゼル錠25mg、 ロイコボリン錠25mgについてでございます。ユーエフティ、ユーエフティE顆粒につい ては一般名はテガフール・ウラシル、申請者は大鵬薬品工業株式会社でございます。ユ ーゼル錠25mg、ロイコボリン錠25mgについては一般名はホリナートカルシウム、申請 者は各々大鵬薬品工業株式会社、日本ワイスレダリー株式会社でございます。今回の申 請は、結腸・直腸癌に対するホリナート・テガフール・ウラシル療法を効能・効果に追 加するものでございます。再審査期間は4年とされております。  資料10をお願いいたします。グリベックカプセル100mgについてでございます。一般 名はメシル酸イマチニブ、申請者は日本チバガイギー株式会社。本薬はチロシンキナー ゼ阻害作用を有する抗悪性腫瘍剤であり、従前の慢性骨髄性白血病にKIT(CD117)陽性消 化管間質腫瘍の効能・効果の追加を行うものでございます。希少疾病用医薬品の指定を 受けておりまして、再審査期間は10年とされております。 ○事務局 続きまして、資料8をお願いいたします。プロトピック軟膏0.03%小児用に ついてでございます。一般名はタクロリムス水和物、申請者は藤沢薬品工業株式会社。 本薬は免疫抑制剤であるタクロリムス水和物を有効成分とし、小児のアトピー性皮膚炎 を効能・効果とする軟膏剤でございます。再審査期間は10年とされております。成人用 の0.1%製剤は我が国、欧米各国を含め既に承認され、小児用の本剤についても米国で は2000年に、欧州においても2002年に既に承認されております。なお、本品目につい ては医薬ビジランスセンター、及び医薬品・治療研究会から不承認を求める要望書が提 出されておりますことから、若干補足説明をさせていただきます。  タクロリムスはその免疫抑制作用等から注意を要する薬物であることから、本剤の審 査過程においては、どのように使用すれば安全性を確保できるのかという点が大きな焦 点でございました。本剤の安全性上のリスクは、皮膚から吸収された場合の全身性の副 作用と本剤を塗布した局所での副作用に分けられます。まず全身性の副作用についてで すが、本有効成分を含有する静注剤、経口剤を臓器移植患者に投与した場合、重篤な副 作用として腎障害、リンパ腫等が発現しております。ただし、経験的に本薬の血中濃度 10ng/mL以上が持続した場合がこのリスクの閾値とされております。本有効成分を含有 する成人用0.1%軟膏では、この閾値を超えないよう1回5gの塗布量制限が設定され たことから、今回の小児用製剤でも同じ制限が設定されておりまして、有効成分濃度が 0.03%に低下した分、更に厳しい設定となっております。なお、この塗布量制限でも十 分ではないと想定されるケースについては、添付文書の「警告」欄、「禁忌」欄、「用 法・用量に関連する使用上の注意」、並びに「使用上の注意」の「慎重投与」及び「重 要な基本的注意」の項で注意喚起しております。なお、今回申請された小児用軟膏の治 験においても血中濃度が測定されておりまして、長期観察試験における1.5ng/mLが最高 値でございました。  参考までに市販後安全性情報を示しますと、全世界での推定使用患者数は約221万 patients-months、この単位は平均塗布量の使用を1か月間続けた場合を1人として計算 した数でございますが、国内での成人用製剤では癌の報告はございません。一方、塗布 量制限を設定していない海外におきましては、因果関係は不明でありますが、成人にお いて舌下の扁平上皮癌が1例、及び3例のリンパ腫が報告されております。  次に局所での副作用について述べさせていただきます。本薬はマウス光がん原性試験 において、紫外線による皮膚癌の発現までの期間を短縮したことから、皮膚癌の発現を 促進する可能性は否定できないと思われます。なお、この作用はプロモーター作用であ り、イニシエーター作用ではないことが確認されております。このリスクに対しまして、 添付文書の「禁忌」欄で紫外線療法の併用を禁止し、「使用上の注意」の「重要な基本 的注意」において日光への曝露を最小限にとどめるよう記載しており、「用法・用量に 関連する使用上の注意」において長期に連続して使用しないよう注意喚起しております。  国内の成人用製剤は既に4年間使われておりますが、皮膚癌の報告はございません。 一方、2年間のデータでございますが、海外においても小児での皮膚癌の報告はござい ません。一方、成人については海外では20例の報告がございまして、うち17例は主治 医により因果関係は否定されております。ただし、事務局で見せていただいた限りでは、 残りの3例についても因果関係は否定的でございます。  以上示しましたように、安全性対策に基づいて適正使用されることを前提に、本剤は 承認に至る有用性があると判断いたしました。また、冒頭申し上げましたとおり、再審 査期間を10年とし、本剤の長期使用に関する情報収集等を徹底させることといたしまし た。以上です。 ○井村分科会長 どうもありがとうございました。大分議題が多かったのですが、報告 事項の議題1の副作用被害判定から始まりまして、ただいまの議題8までについて、御 質問又は御意見がございましたらどうぞお願いいたします。溝口委員、どうぞ。 ○溝口(秀)委員 インフリキシマブ、つまり抗TNF-α抗体でウシの成分が使われてい ますけれども、最近カナダのウシがちょっと問題になっているようですが、これはアメ リカのウシを使っているということを再確認してあるのでしょうか。 ○井村分科会長 その点について、いかがでございましょうか。 ○事務局 御提言できるかなりの措置、例えば産地といったことについては当然検討し ておりますし、クリアランス試験が実施されておりまして、万が一BSEが混入してき た場合どの程度クリアランスがあるかということについても御審議いただいておりま す。今のところ否定はできませんけれども、ベネフィットはリスクを上回るものである と判断されております。それから今回のリウマチの効能追加のときには、それ以降の情 報について審査センターの方で整理しておりますが、今の時点でリスクが増大している という懸念はないと考えておりまして、申請者の方には今後とも十分注意するよう、あ るいは産地等についても確認して、安全な原材料を使っていくようにという指導はして おります。 ○井村分科会長 よろしゅうございますか。ほかに御意見ございますか。どうぞ。 ○神山委員 副作用被害の点ですが、先ほど頂いた一覧表を見ますと、例えば私が処方 されて飲んでいた薬のようなものも入っていたりするのですが、こういうお薬でこうい う副作用があるということは、医療機関にはきちんと伝わっているものなのかどうかと いう点について伺いたいと思います。 ○井村分科会長 いかがでございましょうか。 ○安全対策課長 個々の医薬品の副作用に関する注意喚起については、こういった判定 の場で指摘されているものを含めて通常の安全対策の一環として…、例えば因果関係が 否定できないものについて「使用上の注意」を改訂するよう指示をいたしましたり、あ るいは「医薬品・医療用具等安全性情報」に収載し注意を喚起するなりして、医療の第 一線の先生方にお伝えするようにしております。 ○井村分科会長 よろしゅうございますか。 ○神山委員 もう一点よろしいですか。先ほど詳しい説明がございました資料8のタク ロリムス水和物という0.03%の小児用の軟膏ですが、私のところにもたくさん資料が送 られてきました。ファックスでも来たりして大変だったのですが、この「承認条件」を 見ますと、影響が現れることがあるので長期にわたって観察することを条件にというふ うになっております。可逆的な副作用でしたら長期にわたって観察して、副作用が出た らやめればいいかもしれませんが、小児で長期にというと、先ほどのお話では2年間ぐ らいでは出ていないということですけれども、2歳以上の小児が長期に使ったというこ とを仮定すると、これからいつ出てくるか分からないわけです。それが皮膚癌であると いう場合に、アトピー性皮膚炎は本当にかゆくて大変な病気だとは思いますけれども、 別に死ぬわけではないので、死ぬわけでもない病気に死ぬかもしれない副作用というの は、ちょっと何か危険性が有用性を上回るような気がするのですが、いかがでございま しょうか。 ○井村分科会長 今の点について、委員の中からも御意見がありましたら言っていただ きたいと思いますが、よろしゅうございますか。どうぞ、溝口先生。 ○溝口(昌)委員 事務局の方から先にどうぞ。 ○井村分科会長 それでは今の御意見に対して、事務局の方から何かございますか。 ○事務局 事務局から御説明させていただきます。先ほども御説明いたしましたが、一 応添付文書の中で長期に連続して使わないようにとか、なるべく日光には曝露しないよ うにというような注意喚起はしておりまして、今のところ2年間発生がないということ を考えますと、この対策で行けるのではないかと考えております。確かに長期にわたる リスクについては潜在的なものでございまして、これは分かりません。しかし、長期の ものを治験によって確かめることは不可能でございまして、ここが少し難しいところか と考えております。 ○井村分科会長 いかがでございましょうか。一応治験で得られた情報としては、まず 安全であろうと。しかし、理論的にはそういうリスクが考えられるので、当然のことな がらその点については長期にわたってチェックをしていこうという意味なのだろうと思 いますが、その点はいかがでございましょうか。 ○神山委員 成人用の場合には、例えばインフォームド・コンセントで長期にわたって 連用した場合に何か被害があるかもしれないというリスクを説明して、本人がそれでも 使用したいと言えばそれは本人の選択だと思うのです。しかし、やはり小児の場合は本 人には判断能力がありませんので、親や保護者、親権者のような人たちが子供のリスク の説明を受けて使用することになりますが、私は親にそういう資格というか権利がある のだろうか疑問を感じます。将来にわたって長期的に連用するともしかすると癌になる かもしれない。なるべく日光に当たらないようにと言っても、子供にそれは不可能だと 思います。そういう場合に外でたくさん遊んだりすると皮膚癌になるかもしれないけれ ども、使うかどうかという判断を親に迫ることになるような薬剤というのは非常に酷だ と思います。ですから、それでも本当に心配はないのだということでも、もしやる場合 にはお医者さんの添付文書とかではなくて、薬剤そのものにきちんと「長期にわたった 場合の安全性は確認されていない」とか、あるいは使用する場合にはお医者さんが、「日 光に当たらないようにしてください。当たると皮膚癌になるリスクがあります」という ことを必ず説明しなければいけないようにする。私はそういう説明をされて使う患者は いないのではないかと思いますけれども、必ずそういう説明をさせるということが必要 ではないか。やはり人の親としては大変心が痛みます。 ○井村分科会長 先生、御専門の立場からどうぞ。 ○溝口(昌)委員 今は「インフォームド・セレクション」と言って全部リスクを話して セレクションしてもらう時代ですが、小児ですとインフォームド・コンセントを親から 取るということで、確かに小児自身の判断を仰ぐということはできませんので問題では あるかと思います。ただし、皮膚癌というのは白人には非常に頻度が高いのですが、日 本人では頻度が低いのです。最近大変寿命が延びまして、日本人の高齢者にも皮膚癌が できておりますが、例えば胃癌でしたら手遅れになっても皮膚癌は見えますので手遅れ になりません。皮膚癌で死ぬことは余りないのです。メラノームは別ですが、ほとんど ないと言っていいと思います。それからオーストラリアに行った白人であるとか、カリ フォルニアに行った白人、神様が与えてくださった土地から離れて紫外線が強い土地に 行った人たちは非常にリスクが高いのですが、日本人は白人に比べてメラニンが多くて 安全な上に、この土地に2000年近くずっと住んでいるわけですので、リスクは低く、ど の程度か分かっております。  このプロトピック軟膏との関係ですけれども、添付文書をきちんと守って使えば発癌 のリスクが上がるとは思えないのです。むしろプロトピックとは関係なく、紫外線に不 用意に当たった場合の方が強いと思います。ここに「再審査期間10年」と書いてありま すが、これが適当かどうかは分かりません。ただし、アトピー性皮膚炎の患者さんとい うのは子供のときにあったからずっと大人まで続くというわけではないのです。今赤ち ゃんの大体3分の1がかかっていると言われておりますが、3歳までに80%が治癒し、 また新たに発症します。統計によりますと小学生は7%ぐらい、大学生になりますと3 〜5%、30歳を過ぎますと指数曲線的に減ってまいります。ですから、ずっと続けてこ の軟膏を使うということはまず考えられないのです。  それから先生方に送られてきた文書には悪いことばかり書いてあるかと思いますが、 先ほど先生もおっしゃったようにアトピー性皮膚炎というのは非常にかゆいですし、身 体的、精神的な苦痛が家族にも本人にも多い病気で問題は多いのです。確かに命には余 り関係ないかもしれません。しかし、白内障の合併が多いということは御存じかと思い ますが、アトピー性皮膚炎で顔に10年以上発疹のある患者さんには、非常に高率に両眼 に白内障を合併するのです。若いときに人工レンズを入れましても、ずれてしまったり いろいろな問題があります。  成人にタクロリムス軟膏を使って何が起こったかといいますと、赤ら顔の重症のアト ピー性皮膚炎の患者さんがほとんどいなくなってしまったのです。以前は私が診察室に 入るときに、廊下に真っ赤な顔をした患者さんがたくさん待っていましたが、それがも うほとんどいなくなってしまったのです。ですから恐らく10年後には白内障が激減する と思います。  それから小児の場合は、16歳以上にしか使われませんので、今15歳以下の患者さん たちが赤ら顔のためにいじめにあったり、不登校になったり、自殺も多分命に関係があ ると思いますが、そういうこともございます。アメリカでは、発売されて間もなく「ラ イフチェンジングメディシンズ」という名前が付いたほど、この軟膏は患者さんのQO Lを向上させているのです。  内服した場合のリスクと外用した場合のリスクが混ざって皆様方に通達が行ったよう ですが、このタクロリムスというのは分子量が820でございまして、びらんのところか らは吸収がいいのです。それは添付文書の注意事項に詳しく書いてあると思うのですが、 治療して健康な皮膚になると自然に吸収されなくなるのです。ですから使わなくていい 時期がすごく長いのです。ステロイドとこのタクロリムス軟膏を使っていて中止した場 合に、タクロリムスの方が再発までの寛解期が長いということも報告されております。 それからリンパ腫、皮膚癌に関しましても、内服でもきちんとした使用をしてからはほ とんど出ていないと思います。  インフォームド・コンセントが本人からは取りにくいということも確かですが、今皮 膚科医も患者さんもこの薬が使えることを非常に待ち望んでおります。ただ、先生がお っしゃったことはごもっともですので、どういうふうに観察するかというのは今後の問 題かと思っておりますが、昨年世界的にもアトピー性皮膚炎をコントロールする国際的 な会議ができまして、治療ガイドラインができました。そこでもこの軟膏は、短期だけ ではなく長期の管理にも使える薬というふうに取り上げられていますので、今先生がお っしゃったようなところは多分世界的に注目していくことであろうと思います。私臨床 医としては、患者さんの親に全危険を話してでも理解してもらって、必要な患者さんに は使いたいと考えております。ちょっと長くなって申し訳ありません。 ○井村分科会長 どうも詳細な御説明をありがとうございました。何か…、どうぞ。 ○青柳委員 私も一臨床医として、効果その他については十分納得して使っております。 ただ私どもが忘れてならないのは、アトピー性皮膚炎のすべての患者さんが皮膚科の専 門医で治療を受けておられるかというと、必ずしもそうではないということが一つあり ます。  もう一つは、外用剤という意味で比較的安易に使われ得る薬でもあると。その二点を 十分考慮していただかないと、もともと副腎皮質ホルモンの外用剤によるいろいろな副 作用というのは、専門医以外の先生方が安易に使い過ぎたということが非常に多かった わけであります。そういう意味においては、そこら辺が使う上でクリアしなければなら ない条件の一つとして入らないものかどうか。そこら辺は恐らく溝口先生も十分御存じ だと思いますが、そういう議論は第一部会の中ではなかったのでしょうか。 ○井村分科会長 いかがでございましょうか。事務局から今の点について何かあります か。 ○事務局 その点についても申請者と随分協議しておりまして、添付文書以外に使用上 の注意の解説、インタビューフォーム、FK-506軟膏研究会というところで使用ガイダン スをまとめていまして、これは既に成人用でもされているのですが、それに小児を加え て改訂するということ。それから患者指導リーフレットというものを用意しておりまし て、それは患者や保護者を対象としたものですが、その中に本剤のリスクや塗布量制限 について、具体的にどのくらい軟膏を絞り出したらそのグラムになるとか、また紫外線 対策などを書いたものを配っております。 ○井村分科会長 ありがとうございました。今までの議論の中で、必要な対策が有効に 採れるかどうかということなのだろうとは思いますが…。どうぞ。 ○松本委員 先ほどのクローンのレミケードやゲフィチニブも同じですが、このような 種類の薬剤、特殊な患者さんに使って特殊な作用機序を持つ薬というのは、やはり許可 の段階である程度使用者を限定するとか、施設を限定していくことで、まず安全性を確 認するのも必要ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。 ○井村分科会長 この辺についてはいかがでございますか。溝口先生、どうぞ。 ○溝口(秀)委員 リスクの高い薬の場合には対応として二つの方法が考えられます。一 つはサリドマイドの場合でありますが、それを海外で成人に売っている場合には徹底し たインフォームド・コンセントが要求されまして、いわゆる子供に奇形が起こる可能性 があるということなど、リーフレットの上で患者さんに一つ一つきちんと確認したイン フォームド・コンセントが出来上がっています。そういうものを作らせて、交互に交換 しているということが一つ大事ではないかと。  もう一つの方法は、最近薬事法で決まりました特定生物由来製品のように、やはり記 録をきちんと取っておくと。そして患者さんに何年使ったとか、何グラム使ったとかい う記録を病院側も患者さん側も持っていてそれを長期に保存すること、つまり特定生物 は20年、会社では30年の保存でしょうか、それと同じかどうかは別としても、そのよ うにある程度の記録の作成・保管が、発癌の可能性があるとすれば必要ではないかと。 特に私が関係あるのは、EBウイルス関連のリンパ増殖性疾患が起こる可能性があると いうことですが、これは移植しているとシクロスポリンでもタクロリムスでも免疫抑制 を使っていれば一定の割合で起こるわけで、外用薬でその頻度が高まるとすればそれく らいの注意が必要かもしれません。まだ証拠はないわけですね。 ○井村分科会長 ありがとうございました。注目を集めております医薬品ですので、ち ょっと時間をとらせていただいております。どうぞ、手短にお願いします。 ○吉田委員 1日の制限を5gとしておりますけれども、1gを塗布する面積はどのく らいなのでしょう。つまり小児が全身にかかっている場合に、全身に一遍に塗るのでし ょうか、塗らないのでしょうか。ちなみに動物薬の方では、常識的に塗布剤は1日に全 身の面積の7分の1、つまり1週間で全体を塗ると。それの繰り返しというのが原則に なっております。この場合はどうなのでしょうか。 ○井村分科会長 この点について、何か条件を付しておりましたでしょうか。どうぞ。 ○事務局 事務局より御説明させていただきます。申請者のお話ですと、ほとんどの患 者さんは全身に塗る必要はございませんで、小児ですと平均塗布量は1日当たり大体 0.75gということですのでつまり一部ということに、5gで十分足りるという話かと思 います。 ○井村分科会長 ありがとうございました。望月先生、どうぞ。 ○望月委員 このお薬のリスクを上回るベネフィットについては溝口先生のお話をお聞 きして十分分かったのですが、まだ発売されてから軟膏としては0.1%が2年間、注射 や内服薬はおよそ10年程度しかたっていないということを考えますと、動物実験で悪性 リンパ腫の発現は、塗布してから2年間経過して出てきているのですね。動物での2年 間というのは、ヒトでの何年間がパラレルなのかちょっと吉田委員にお聞きしたいと思 ったのですが、それによってはまだこの段階で悪性リンパ腫の…。既に報告論文として は、シクロスポリン、またこのタクロリムスでも免疫抑制剤が投与されている移植患者 さんでは、その免疫抑制剤に起因する悪性リンパ腫などのリンパ性の悪性腫瘍の発現が 高まることが数多く報告されています。しかもタクロリムスの場合は、シクロスポリン に比べてその割合が高いという報告も最近出ています。そういうことを考えますと、や はりこの薬が0.03%というかなり低濃度で、アトピーの非常にひどい時期には体内に吸 収されて血中濃度もそれなりに上がるけれども、ある程度治まってくれば吸収はされな いにしても、先ほどの全体面積のどのくらいに塗布されるのか、あるいは低年齢層から 使い始めて、どのくらいの時期まで投与されるのかということを総合的に勘案しますと、 今はこの安全性を本当に正しく評価できる段階ではないのではないかという気がいたし ます。確かにベネフィットは…、これを求めている患者さんがいらっしゃるということ もよく分かるのですが、私は安全性の評価が十分できる段階ではないと思うのです。し かし、もしこれを世の中に出していくときには、やはり今何人かの先生がおっしゃたよ うな形でインフォームド・コンセントの徹底、そのインフォメーションがきちんと伝わ るような形の徹底の仕方というのが大切になるのではないかと思います。 ○井村分科会長 ありがとうございました。広津先生、統計上のことで問題点があるよ うでございますね。よろしくお願いします。 ○広津委員 私のところにももちろん資料がたくさん来たのですが、その中でちょっと 注目したのは、要望理由のまとめのかなり上位のところで統計的問題があるように書い てあります。これがちょっと気になって、実は昨日もう少し詳細なデータを見せてくだ さいと言ったのですが、まだ完全に元に戻ったデータではないのですけれども、ちょっ と詳細なサマリーデータをもらいました。まずここの要望書に書いてある、Peto mortality prevalence解析が多重解析の弊害を解決するために行われたという部分は、 実は私にはちょっと理解できません。  二つ話がありまして、まずこれはもともと5群か6群の試験ですね。無治療、軟膏基 剤、0.03、0.10、多分その上にもう一つあったように聞いていますが、その5群比較の 多重性の問題というのは当然出てくると思います。一方で、群間の検定をするのに何を 統計的方法で使うかというのは、甲乙付け難い方法が幾つか出てきまして、ここに書か れていて一種非難されているPeto mortality prevalence解析というのも、群間の検定 法としては別に差し支えないものの一つだろうと思います。  問題は多重性なのですけれども、我々の分野で「閉手順(Closed testing procedure)」 と称していて、お聞きになったことのある方もいらっしゃるかもしれませんが、要する に最初5群のある種トレンドを出すような検定を行って、有意になれば一番上を外して 次を検定して、更に有意だったら有意でなくなるまで行くという検定法なのです。ちな みに、もちろん多重性行為をしていますから非常にコンサバティブになるのですが、当 該データに関してはかなり毒性がはっきりしていますから、上の方はどんどん有意とい うことになって検定手順は進行して、0.03のところまでは当然行きます。0.03とその下 が有意か有意ではないかというところが問題なのですが、ちょっとデータも奇妙なので すけれども、どうも主張は悪性リンパ腫の発生が無治療のところで100分の23、基剤の ところで100分の11、そして今問題になっている0.03のところで100分の25。「有意」 と言われるときは、多分この100分の25と100分の11を比べているのですね。ただし、 普通のトレンド解析だとその下はプールして考えると。つまり無治療と軟膏基剤をプー ルして考えて、それと0.03を比較するというのが通常の手順なので、それだと実は有意 にならないということで、通常の手順でやれば多分これは有意差は出ないと思うのです。  そこから先が問題なのですが、無治療が100分の23、軟膏基剤が100分の11と倍の 差があるので、その部分はやはり気になります。一体どちらが本当なのかというのはち ょっと分からないと。ひょっとして無治療のところがたまたま大きく出ていたのか、軟 膏基剤がたまたま小さく出たのか、それがよく分かりません。トレンドがあるのはもう 絶対確かだろうと思うのですが、一体どの辺から薬剤としての効果が急峻に立ち上がる か、どこが分岐点かというのはちょっとこのデータからは判断しにくいという印象があ りまして、できたらもう少し試験を追加してほしいという感じはします。  それから通常の検定では0.03以下で有意にはならないと申し上げましたけれども、オ ッズレーシオの信頼区間が1から外れれば有意なのですが、1を挟んでいまして、かな り際どく挟んでいることは確かですので、多分何かの影響はあるでしょうと。ただ、先 ほどから話になっているように、この動物試験というのは多分非常に過酷な試験でしょ うし、実際には非常に安全面を考慮して大変コンサバティブな使い方をするだろうと思 いますので、このリスク解析が実際にどう結び付くか私にはよく分かりませんけれども、 結論としてこのデータでは多分有意差があるということまでは言えないでしょうと。た だし、ドーズレスポンスとして非常にきれいな結果が出ているわけではないので、もう 少しきちんとしたデータを出してほしいという辺りが統計的なコメントになると思いま す。 ○井村分科会長 どうもありがとうございました。大体御意見は出尽くしたかなと…。 どうぞ、吉田委員。 ○吉田委員 事務局はまだ先ほどの答えを出してくれていないのです。1gはどのくら いの面積まで広がるのですかと伺ったのですが、その面積が出ておりません。  それからもう一つ、この薬剤はお医者さんが子供さんにじかに塗るのでしょうか、そ れとも親御さんに持たせて家で勝手にやってくださいという形になるのか、その辺りも 確認したいです。 ○井村分科会長 溝口先生、その後の方はそういうふうになるのでしょうね。 ○溝口(昌)委員 もちろん親御さんに渡して塗ることになると思います。それから5g の軟膏でどのくらい塗れるかということですが、使い方によって大分違うのですけれど も、成人で5gで全身に塗れる人もいますし、10gないと全身に塗れない人もいますが、 1回にそれ以上使うことはないと思います。  それからこのタクロリムス軟膏の基剤がもし成人に使っている0.1%と同じであると すれば、これはものすごく伸びのいい軟膏で、製薬会社が嘆くほど減らないのです。私 が5g処方しますとまだあるのですかというぐらい、5g1本で大人が1か月ぐらいも っている軟膏です。  先ほどからいろいろ出てきたとは思うのですが、外用薬では血中濃度が上がったとし てもほとんど一過性であるということを是非考えていただきたいと思います。それから リスクがないとは申しませんが、世界的にこれだけ使われている軟膏をもし許可しない で延ばすとしたら、何を条件にしたら許可していただけるかということを明らかにして いただけないかと、待っている患者さんにちょっと説明がしにくいところもあるかと思 います。 ○井村分科会長 ありがとうございました。大体問題点は出たのではないかと思います が、まず統計的に有意だという主張は恐らくこのデータからは出ないだろうというお話 を伺いました。ただ、これから更にもう少しきれいなデータを出せということが妥当か どうかということになるかと思いますが、いかがでございましょうか。皮膚科御専門の 溝口先生の御意見を伺っておりますと、確かにこの薬が極めて待たれている薬であると いうことは間違いないと思います。ただ、望月委員の御心配もございますので、インフ ォームド・コンセントを含めまして、これを注意事項あるいは警告等でやり方等をもっ と詳細に書くというようなことで、何とかクリアできないかという気がいたしますが、 事務局の方はその点についてはいかがでございますか。どうぞ。 ○審査管理課長 神山先生、青柳先生、その他各委員の先生から貴重な御意見を頂いた ところでございますけれども、整理をさせていただきますと、やはり適正使用というこ とで、特に日本においては最初の薬として、それも小児に対してお使いになるわけでご ざいますので、患者ないしは御家族の方へのきちんとした情報提供はどうあるべきかと いうことについては、既に審査センターを中心として企業側と種々議論を重ねてきてお ります。私どもの御提案としましては、ただいま各先生が出された御意見について整理 をして、この審議は医薬品第一部会でございますので、もう一度第一部会に御報告させ ていただいて個々について確認をすると。もし情報提供で更に強化すべき事項がござい ましたら、それについてきちんと添付文書を見直すといったことを含めて今一度第一部 会で御確認していただき、その上で整理したものをもう一度当分科会に御報告させてい ただくと、そういうプロセスを経て承認させていただくということで進めたいと考えて おりますけれども、いかがでございましょうか。 ○井村分科会長 ありがとうございました。どうぞ。 ○河村委員 第一部会長から申し上げますが、この薬は当然恐ろしい薬であるというこ とは部会員全員認識しておりますし、それからデータから見て非常に有効であり、また 待たれている薬であるということも分かっています。それを踏まえて審査しております し、その危険性については使う医師と患者の両方に十分分かるようにということで御審 議いただいたと思うのです。その前の専門協議でも、考えてみればこれは当然恐ろしい 薬であるということで御審議いただいたと思います。ただ、口から飲むのと表面に塗る のとは全く違うということと、傷がある、あるいはびらんしているところには塗らない ということも含めて私どもの方で審議いたしましたので、私は審議については第一部会 の方ではほぼ尽くされていると思います。あとは表記の問題、どのようにして注意喚起 するかを考えるべきものであって、これを第一部会に差し戻し、再審議ということには 当たらないのではないかと私は考えます。 ○井村分科会長 どうぞ。 ○上田分科会長代理 今部会長から御発言がありましたように、きちんと部会で審議さ れたものをもう一度お戻ししても、部会としては非常にお困りになると思うのです。私 はやはりこの場である程度の結論を出した方がいいと思うのです。それの案としまして は、先ほど溝口委員、青柳委員もおっしゃいましたけれども、ある条件で限られた医師 が使用するということも一つの方法だと思うのです。ですから限られた期間、1年なら 1年の間は皮膚科の専門医に一応講習していただき、そういう講習をお受けになった方 だけに使っていただくと。その間に医師はインフォームド・コンセントの在り方、ある いは血中濃度を余り上げないための塗布の仕方の指導など、製薬会社側もどういう資料 を配ればいいか等の経験を積んでいただいて、それを生かして必要な範囲に広げていく というやり方をすれば、まず皮膚科の先生には薬が行きますから、非常にお困りの方は 救えるわけです。それから確実なインフォームド・コンセント、あるいは使用上の注意 等のいわゆるパターンが勉強できると思うのです。製薬会社側も知識が増えますし、医 師の方も知識が増えます。そういうふうにして安全性を確保して始めたらどうかという のが私の案です。ですから、審査管理課長がおっしゃったように部会へ差し戻しても、 部会長にノーと言われれば結局この会でやらなければいけないことになります。 ○溝口(昌)委員 すみません。ちょっとよろしいですか。今上田委員がおっしゃったと おりでございまして、大人へのプロトピック軟膏は最初は皮膚科医しか使えなかったの です。それと患者さんに対してどういうことが危険かということが分かりやすい、漫画 のような説明書がきちんとございまして、それを医師、それから調剤薬局でも渡すよう になっておりますので、小児の場合もそれと同じようなことをしていただければと思い ます。ただ、小児の場合は皮膚科医の数に比べて患者さんの数がちょっと多過ぎるとこ ろがありますが、重症で困っている人は皮膚科医に回していただいて、まず安全性の確 認ができたら小児科の先生が使えるということでも構わないかと思いますので、今の御 意見は皮膚科医としては非常に納得できるものでございます。 ○井村分科会長 両先生、ありがとうございました。ほかに何かございますか。 ○上田分科会長代理 ずっと前に常任部会という会があったときに、ある医薬品を調査 会へ差し戻したのですが、当時の調査会の座長の先生が受け取らないとおっしゃったの です。それは常任部会が決めたのだから、常任部会が責任を持ってやりなさいと言われ て、常任部会の方で製薬会社と交渉した例があるのです。そのように河村先生がノーと 言われれば戻せないのです。ですから、ここの責任でやるべきではないかと私は思いま す。 ○溝口(秀)委員 先ほどの繰り返しですが、やはり会社及びその治験をやった人たちで 相談されて、インフォームド・コンセントの統一した書式をこの場に提出していただく ことも一つの案かと思います。もう一つはやはり記録、いわゆる過量に投与されていな いことを担保するためには、患者への投与記録をすべてとるような書式を作成して、ど のくらい保管するかというその保管に関する約束事を決めておくと。やはりそういうこ とが後で何か起こったときの遡及調査に必要なことではないかと思います。 ○井村分科会長 今のような具体的な措置というのは、もし事務局の方でできれば…。 ○審査管理課長 ちょっと私の説明が良くなかったのかもしれません。今日出た御意見 を部会に差し戻しということではなく、確認していただくということで、本分科会にお いて私ども事務局と分科会長の間できちんとそこを整理して、分科会の各委員に対して は整理したものを例えばお送りするなりして確認していただくと。そういうプロセスで よろしければ、今分科会長がおっしゃったように当分科会においてお取りまとめいただ く線で、私ども事務局としては万全を期するつもりでおります。 ○井村分科会長 どうもそれが一番良いような気がいたしておりますけれども、先生方 いかがでございましょうか。今課長の方からお話がありましたような方法でまとめさせ ていただくということで、この医薬品については締めさせていただいてよろしゅうござ いますか。板倉委員、手短にどうぞ。 ○板倉委員 お任せしたいと思いますけれども、ただ取扱説明書や添付文書を見まして も、やはりもう少し分かりやすく、それから問題点が明らかになるように工夫をしてい ただくことが必要ではないかと思いますので、その面も含めて…。今一般の消費者も見 られるようになっておりますので、逆に言うと、ここに書き込んでいただければ手渡し されなくても分かるという部分を含めまして、御検討いただければと思います。 ○井村分科会長 恐らくこの中に手渡ししなくても済むほどは書けないかもしれません が、あらゆる手段を尽くしてそういう努力をするということで、よろしゅうございます でしょうか。 ○広津委員 もちろん取扱いはお任せしますし、先ほどのような行為でいいと思うので すが、この下の方のドーズレスポンスカーブが気持ち悪いのは確かなのです。これは「再 審査期間10年」と言われていますけれども、その間のかなり早い時期でもう一回実験し てもらうことは不可能なのでしょうか。 ○井村分科会長 いかがでございましょうか。やってもらえますか。どうぞ。 ○審査管理課長 広津先生から御指摘いただいた点は企業側にも伝えまして、これは再 審査期間が10年でございますので、できるだけ早期にもう一度追試を行うということで 指示をしたいと思いますので、よろしくお願いします。 ○井村分科会長 ではそのようにさせていただきます。私の不手際だったのですが、大 分時間を掛けてしまいまして、それではこの議題はこれで済ませていただきます。大分 残っておりますので、続いて議題9から効率良く御説明をお願いいたします。 ○事務局 それではまず希少疾用医薬品、生物学的製剤基準、医療用具関係の報告事項、 議題9〜12について、まとめて御報告させていただきたいと思います。  まず議題9、「塩酸アミオダロンを希少疾病用医薬品として指定することの可否につ いて」を御報告させていただきます。資料11をお願いいたします。一枚めくっていただ きまして、今般希少疾病用医薬品として新たに指定させていただく品目は、大正製薬株 式会社及び大正・サノフィ・サンテラボ製薬株式会社から申請された塩酸アミオダロン であり、下記の再発性致死性不整脈、心室細動、血行動態の不安定な心室頻拍を予定効 能にしたものでございます。日本における対象患者数は約4,000〜8,000人と推定されて おります。本件は平成15年5月9日に開催された医薬品第一部会において御審議いただ き、希少疾病用医薬品として指定して差し支えないとの御結論を頂いたものでございま す。  続きまして議題10の「生物学的製剤基準の一部修正について」、資料12をお願いい たします。一枚めくっていただきまして、生物学的製剤基準については、薬事法第42条 第1項の規定に基づき、厚生労働大臣が保健衛生上特別の注意を要する医薬品について、 その製法、品質、貯法等に関し定めた基準でございます。今回の一部改正は大きく二点 ございまして、一つは医薬品各条の乾燥BCG膀胱内用(コンノート株)のプライマリー ・シード・ロットに関する有毒結核菌否定試験の記載変更でございます。もう一つは医 薬品各条の人全血液、人赤血球濃厚液、洗浄人赤血球浮遊液、白血球除去人赤血球浮遊 液、解凍人赤血球濃厚液、新鮮凍結人血漿及び人血小板濃厚液について、表示事項の一 部変更及び添付文書等の記載事項の追加を行うものでございます。こららの告示につい ては、7月上旬を予定して作業を進めているところでございます。  続きまして医療用具関係の報告事項、議題11、12について御報告させていただきます。 本日の報告は6月11日開催の医療材料部会において審議され、いずれも承認して差し支 えないとされた2件でございます。まず資料13をお願いいたします。アンギオシールに ついてでございます。日本シャーウッド株式会社から輸入承認のありました吸収性局所 止血材で、血管造影術及び冠動脈形成術後の大腿動脈穿刺部位の止血に用いるものでご ざいます。再審査期間は3年とされております。続きまして資料14をお願いいたします。 スーパーフィクソーブ30についてでございます。タキロン株式会社から製造承認申請の ありました、ポリ-L-乳酸とハイドロキシアパタイトを混合した吸収性骨接合材でござ います。再審査期間は3年とされております。 ○事務局 農林水産省でございます。続きまして議題13について御報告いたします。資 料15を御覧ください。表紙をめくっていただきますと概要の要約がございます。本申請 は農林水産省の組換え体利用の指針に適合していることの確認でございます。製造品目 は鶏用組換えニューカッスル病・マレック病生ワクチンでございます。製造業者名は財 団法人 化学及血清療法研究所で、組換え体を作製するところはその研究所の中にありま す菊池研究所でございます。  本ワクチンは、マレック病ウイルス1型にニューカッスル病ウイルスの感染防御抗原 であるF蛋白をコードする遺伝子を挿入した鶏用の二価生ワクチンで、鶏のひなの頸部 に接種するものでございます。本ワクチンの製造は菊池研究所の研究棟3階で行い、そ の作業レベルはGILSPでございます。また、限定的開放系利用、つまり治験でございま すが、鹿児島県下の2農場で行われ、当該組換え生ワクチンの鶏での安全性と有効性、 並びに周辺環境への影響を評価するものでございます。4月25日に開催された薬事バイ オテクノロジー部会で御審議いただき本申請を了承し、薬事分科会に報告するとされた ものでございます。以上です。 ○事務局 続きまして議題14、医薬部外品資生堂ホワイトニング、資生堂ホワイトニン グエッセンスr他1品目の製造承認及び可否についてでございます。この議題について は、本年5月9日開催の化粧品・医薬部外品部会において審議され、承認して差し支え ないとされたものでございます。資料16をお開きいただきたいと思います。まず最初に、 申し訳ございませんが重要なところにタイプミスが1字ございまして、「4 成分・分量」 欄に製品100g中の成分が書いてございますが、その一番上の「4-メトキシサリチル酸 カリウム塩□□□g」が「□□□g」の間違いでございます。大変申し訳ございません でした、訂正していただければと思います。  販売名は先ほど申しました資生堂ホワイトニングほか2品目で、申請者は株式会社資 生堂でございます。本品は、申請者がサリチル酸誘導体の中からチロシナーゼ活性阻害 等を指標にして先発して得られた、まだ海外でも使用実績のない新規のメラニン生成阻 害成分である4-メトキシサリチル酸カリウム塩を配合した新医薬部外品でございます。 なお、承認に当たりましては2年間の安全性等に関する市販後調査を実施させることと しております。以上でございます。 ○事務局 動物用医薬品等部会関係の報告事項について、議題15〜20まで御報告いたし ます。まず議題15、資料17でございますが、日生研豚APM不活化ワクチンでござい ます。申請者は日生研株式会社です。本剤はアクチノバシラス・プルロニューモニエの 不活化菌3株と、組換え大腸菌で産生されるアクチノバシラス・プルロニューモニエ細 胞毒素、それからマイコプラズマ・ハイオニューモニエの不活化菌を成分とする豚用の ワクチンでございます。用法及び用量は、3週齢以上の豚に3〜5週間隔で1回2mLず つを2回筋肉内に注射するということでございます。効能又は効果は、豚のアクチノバ シラス・プルロニューモニエ血清型1、2及び5菌感染症の予防、並びに豚のマイコプ ラズマ肺炎による肺病変形成の抑制、並びに増体重抑制及び飼料効率低下の軽減でござ います。5月22日に開催された動物用医薬品等部会で御審議いただき承認を可とし、薬 事分科会へ報告して差し支えないとされました。なお、再審査期間は新動物用配合剤と いうことで6年とされました。  議題16、資料18でございます。フォーベット50注射液でございます。申請者はナガ セ医薬品株式会社です。本剤はフルニキシンメグルミンを含有する注射剤でございまし て、1日1回、体重1kg当たりフルニキシンとして2mgを1〜3日間静脈内に投与する ものでございます。効能・効果は、牛についての細菌性肺炎における解熱及び消炎でご ざいます。このものについても、5月22日開催の動物用医薬品等部会で御審議いただき 承認を可とし、薬事分科会に報告するとされたものでございます。なお、再審査期間は 新効能動物用医薬品ということで2年とするものでございます。毒、劇薬には指定され ませんでした。  議題17と18は同様の製剤でございますので、併せて御説明させていただきます。資 料は資料19と20になります。フロントライン プラス ドッグとフロントライン プラス キャットでございます。申請者はメリアル・ジャパン株式会社でございます。本剤はフ ィプロニルと(S)-メトプレンを主剤とする皮膚滴下型の製剤で、8週齢以上の犬又は猫 の肩甲骨間背部の被毛を分け、その皮膚上の一部に直接ピペットで滴下するものでござ います。効能又は効果はノミの駆除、ノミ卵のふ化阻害及びノミ幼虫の変態阻害による ノミ寄生予防で、ドッグの方はマダニの駆除も加わっております。このものも5月22日 開催の動物用医薬品等部会で御審議いただき承認を可とし、薬事分科会に報告するとさ れたものでございます。なお、新有効成分含有動物用医薬品・新動物用配合剤というこ とで、再審査期間は6年とするものでございます。毒、劇薬には指定されておりません。 ○事務局 続きまして議題19の「動物用抗生物質医薬品基準の一部改正について」、資 料21でございます。薬事法第42条に基づく基準の一つでございますが、動物用抗生物 質医薬品基準の中に賦形剤の項がございます。「賦形剤」と申しますのは、薬を均一に 添加できる、あるいは嗜好性を高めるために飼料として用いられているものでございま して、品質、安全性が担保され、かつ適切な規格が定められるものについて、指定賦形 剤ということで収載させていただいております。現在、脱脂米ぬかや脱脂大豆、トウモ ロコシ粉等8品目が収載されておりますが、今般とうもろこし穂軸粉、皆様が召し上が るとうもろこしの実を取った軸を粉砕したものでございますが、これを指定賦形剤とい うことで収載すべく、資料にあるような形での規格を定めて収載するものでございます。 以上でございます。 ○事務局 次は議題20の「動物用医薬品の使用の規制に関する省令の一部改正につい て」、資料22でございます。「1 趣旨」ですが、養殖水産物の食品としての安全性の 確保を図るため、動物用医薬品の使用の規制に関する省令を改正し、水産用医薬品の使 用の規制を強化するということでございます。  「2 改正の概要」の(1)ですが、薬事法第83条の2第1項の規定に基づく対象動物を 現行の11水産動物種から、食用に供する目的で養殖されているすべての水産動物に拡大 するということでございます。これに伴いまして、現在使用基準の対象となっている医 薬品については、現在承認が与えられている内容で、後に示した「別表第1」、「別表 第2」を改正することとしております。例えば今使用規制対象になっていないかんぱち やしまあじなどはすずき目魚類の魚でありまして、現在すずき目魚類で承認されている 医薬品が使用できることになっていて、この用法及び用量、使用禁止期間を守らなくて も罰則がないという状況です。それが今回使用規制の対象動物が全魚種になったという ことで、今後これらの使用について用法及び用量、使用禁止期間を守ることが義務付け られることになります。  次に(2)でございますが、動物用医薬品の使用の規制に関する省令の対象医薬品につい ては、すべての抗生物質及び化学的合成品たる抗菌性物質を対象にするということでご ざいます。具体的には、水産用として承認されているスルフィソゾールナトリウムを有 効成分とする飼料添加剤、ポリスチレンスルホン酸オレアンドマイシンを有効成分とす る飼料添加剤、ミロキサシンを有効成分とする飼料添加剤を対象医薬品とし、現在承認 が与えられている内容で「別表第1」に追加するということでございます。  (3)でございますが、使用基準の対象医薬品となっておりますけれども、現在承認のな い医薬品ということで、キタサマイシンを有効成分とする飼料添加剤、塩酸クロルテト ラサイクリンを有効成分とする飼料添加剤、ニフルスチレン酸ナトリウムを有効成分と する飼料添加剤について、水産動物に使用するものについては「別表第1」から削除す るという形で対応させていただくこととしております。これについては5月22日の動物 用医薬品等部会で審議、承認され、本分科会に報告することとなりました。以上です。 ○事務局 続きまして議題21、資料23について御説明いたします。血液事業部会に運 営委員会を設置することについては、さきの血液業の国会審議において約束されたとこ ろでございます。この目的としては大きく二つございまして、一つは血液事業を定期的 にチェック、監視していくということ、もう一つは危機管理的な側面から緊急時に迅速 に対応するということがございます。この目的のために、開催頻度としては四半期に1 回開催すると。それから緊急事態が生じた場合には、委員の求めに応じて開催するとい うことが国会審議で指摘されております。もう一つ運営委員会の職務としましては、血 液以外に遺伝子組換え製剤の安全性についても考えていくと。昨今は遺伝子製剤が随分 出てきておりますので、こういうものも同様に考えていかないと血液製剤等の安全対策 はできないということで、組み入れていくことになっております。それからメンバーに ついては、機動性を高めるために大体5名程度を考えております。設置根拠については ここに書いてあるとおりでございますが、これを受けてさきの血液事業部会で次のペー ジの別紙に書いてある運営規程が合意されております。  今後の予定については、実際に部会長が委員を指名することを予定しておりまして、 次回の7月16日で決まる予定でございます。それから第1回の運営委員会については、 法施行後速やかに開催したいと考えております。以上でございます。 ○事務局 引き続き議題22、「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性 の確保に関する法律及び医薬品等における遺伝子組換え生物等の使用等の規制に関する 検討小委員会の設置について」を御報告させていただきたいと思います。資料24でござ います。  まず「1 背景」でございますが、遺伝子組換え生物の使用による生物多様性への悪影 響を防止することを目的とした「生物多様性条約カルタヘナ議定書(略称)」が、2000年 1月に国際的に採択されております。この議定書は50か国が締結した90日後に発効す ることとされておりまして、今年の9月11日に発効することがもう既に決まっておりま す。我が国としてもこの議定書の早期締結に向けまして、この議定書を国内的に担保す る法律でございます「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に 関する法律」を環境省を中心とする関係6省が集まって作りまして、それがこの通常国 会で6月18日に成立し、同日公布されたところでございます。また、議定書自体も同国 会で5月22日に承認されております。  「2 議定書の主な内容」でございますが、遺伝子組換え生物について輸出前の事前通 告、あるいはリスク評価の実施、それからそのリスクの規制、管理、制御、また遺伝子 組換え生物が拡散することを防止する措置についての基準が定められております。  2ページに「3 遺伝子組換え生物の利用の現状」ということで図でお示ししてござい ますが、対象となるものの中心は左側にございます除草剤耐性の農作物、また害虫抵抗 性の農作物といったものでございます。この図の右上の「微生物」の下にございますよ うに、遺伝子組換え生物を使った医薬品等もこの対象に入ってまいります。  次に3ページでございますけれども、ここにこの法律の概要をお示ししております。 ポイントは真ん中より下の「遺伝子組換え生物等の使用等に係る措置」でございまして、 「遺伝子組換え生物等の使用等に先立ち、使用形態に応じた措置を実施」ということで、 一つは環境中への拡散を防止しない、いわゆる開放系でこういった遺伝子組換え生物を 使う場合を「第1種使用等」とすると。それから右側でございますけれども、環境中へ の拡散を防止しつつ行う、いわゆる閉鎖系で使うようなケースを「第2種使用等」とし まして、それぞれに対して必要な規制を定めてございます。  次に4ページでございますけれども、医薬品等における遺伝子組換え生物等の使用等 に関する検討小委員会を、薬事バイオテクノロジー部会の下に設置させていただきまし て、このカルタヘナ議定書国内担保法の施行に際し、遺伝子組換え生物等を利用した医 薬品等についてのヒトを含めた環境へのリスク評価の在り方、また遺伝子組換え生物等 の拡散防止措置等の技術的事項を御検討いただくこととしたものでございます。  次のページにメンバーのリストを付けてございますが、4ページの一番下にございま すように、この小委員会の設置については既に4月25日の薬事バイオテクノロジー部会 で御了承いただきまして、去る6月10日に第1回会合を開催いたしました。次回は7月 8日の予定でございまして、8〜9月ごろには結論を取りまとめて、再度薬事バイオテ クノロジー部会で御審議いただく予定でおります。以上でございます。 ○井村分科会長 どうもありがとうございました。それでは議題9〜22について、何か 御意見、御質問ございましたらどうぞ。神山委員、どうぞ。 ○神山委員 簡単に申し上げます。今御説明のありました資料24ですが、大変よくまと まっておりますので頂きたいのですけれども、「厳重管理」と書いてありまして、この 中身がどうして厳重管理なのかよく分からないのですが、もらって帰っていいのかどう かということが一点。  それから動物用医薬品について、「空容器は適切に処理すること」などと書いてある のですが、処理される方はこういう書き方で分かるのかどうか。素人的に見ますと、何 が適切かというのが分からないのですが。 ○井村分科会長 吉田委員、どうぞ。 ○吉田委員 動物用医薬品の場合、多くのものは獣医師が動物にじかに使います。人と 同じように広い意味で医用廃棄物でございますので、容器は全部パックしまして、しか るべき業者が処理すると。ですから、どうぞ御心配なさらないように。 ○井村分科会長 では先ほどの「厳重管理」についてはいかがでございますか。 ○事務局 この資料自体は公表しているものでございますので、お持ち帰りいただいて 結構でございます。何か手違いで…。 ○井村分科会長 どうもありがとうございました。ほかにございませんでしょうか。松 本委員、どうぞ。 ○松本委員 前に神山委員か板倉委員が話題にされたと思うのですが、資料19、20の動 物用のノミ取りはかなり強そうで、子供さんは結構触るのではないかと思うのですけれ ども、この点の注意喚起はこの程度でいいかどうか。前にも一度話題になりましたけれ ども、これはなかなか危険なのでその辺をよろしくお願いいたします。 ○井村分科会長 前にも同じような御意見があったと思いますが、事務局の方でそれは 適切に処理していただけますでしょうか。危ないということをもう少し徹底させていた だくということでよろしゅうございますか。 ○事務局 検討させていただきます。 ○井村分科会長 よろしくお願いします。吉田委員、何かございますか。 ○吉田委員 どの御家庭でもというわけではありませんが、犬、猫は身近な動物で、薬 を塗ってから大体丸一日は余り小さなお子さんにはじかに触らせたくないと。ただ、こ ういう処置をする動物というのは、既に獣医師のところへかかっている動物で、野良は 出てこないわけです。こういう動物を移動するときにはほとんどの方が必ずケージをお 持ちです。特に猫の場合には大小いろいろなタイプのケージがございまして、その中で 丸一日動物を管理するということは少しも難しいことではないのです。むしろそういう ことをきちんとやる方が今増えておりますので、これも余り御心配は要らないのではな いかと。確かに危険なことは危険ですが、ルールをきちんと守ってもらえれば、私の考 えではちっとも危険ではないと考えております。 ○井村分科会長 ありがとうございます。望月委員、どうぞ。 ○望月委員 大きなことではないのですが、医療用品のアンギオシールやスーパーフィ クソーブの添付文書を拝見しました。医療用品の添付文書はかなり充実してきたことは よく分かるのですが、添付文書は記載できるページ数にも限りがありますので、「です ます調」でかなり書かれておりますが、この際医薬品に合わせて「である調」に統一し ていただいたらいかがかと思います。 ○井村分科会長 そうしてください。 ○望月委員 それからこのアンギオシールの説明文書は図も入りまして、使い方をかな り丁寧に説明してくださっていると思いますので、リスクマネージメントの観点からも かなりいいかと思います。今後こういった製品が出てくるときに、こういう図表を使っ てマニュアル的に操作をして、皆さんが同じような形で本当に操作できるかという辺り を検討していただくことができるかどうかお聞きしたいのですが。 ○井村分科会長 いかがでございましょうか。事務局の方から、どうぞ。 ○事務局 ありがとうございました。使用上の注意の「ですます調」については、医薬 品の表現を踏まえて整備させていただきたいと思います。それからアンギオシールにつ いては、御指摘のように操作方法も習熟していただかないと難しゅうございまして、こ こに図で解説してございますが、実際には講習を受けた先生に限って使用していただく よう使用上の注意にも記載しております。確かに医療用具の場合は製品もそうでござい ますが、いわゆるテクニックの問題もございますので、難しい品目についてはそういっ た所要の研修を受けるよう注意喚起をしているところでございます。 ○井村分科会長 ありがとうございました。よろしゅうございますね。ほかにもし御意 見がなければこれまでの議題1〜22はすべて…、例えばプロトピック軟膏については随 分時間を掛けて長いこと議論していただきましたけれども、一応第一部会との相談、ま た動物実験の追加をできるだけ早くしてもらうことも含め、適切な措置を採ることでお 認めいただいたと考えてよろしいかと思います。議題22まですべて御承認いただいたこ とにさせていただいてよろしいですね。ありがとうございました。望月委員、どうぞ。 ○望月委員 申し訳ございませんが、先ほどの前の方の議題のときに言う機会を失って しまいまして、レミケードについてお聞きしたい点が少しあります。レミケードの「効 能・効果に関連する使用上の注意」に、「メトトレキサート製剤に本剤を上乗せするこ とのリスク・ベネフィットを判断した上で使用すること」とという書き方がしてあるの ですが、添付文書を読みますとあちこちにそのリスクらしい部分とベネフィットらしい 部分が分散しておりまして、使用する方がこのベネフィットとリスクをきちんと判断で きないのではないかと思うのですが、そこら辺の情報提供はどのようにされるのかとい うのが一点です。二つあるのですが、まずそれからお願いします。 ○事務局 事務局より御説明させていただきます。御指摘のとおり、もともとのクロー ン病に今回関節リウマチを適応したということで、少し煩雑になっているかとは思いま す。しかし、添付文書以外の情報として、このレミケードについてはすべての患者を登 録することになっておりますので、必ず使用前に各医師に対して使用方法、あるいはメ トトレキサートと併用する必要性について説明した上で投与することが承認条件になっ ております。したがいまして、今回リスクとベネフィットをどのように判断するかとい うことについては、当然この薬のベネフィットの方についてはいろいろな情報が出回っ ているかと思いますが、一方で結核を始めとする感染症についても非常に懸念されてい るところでございまして、我々としてもそこについては十分監視をしていく必要がある だろうと。そういったことからも日本における発現状況等を注視するために、全例調査 を実施しながら安全性を十分確保していきたいと考えております。 ○望月委員 よろしいですか。 ○井村分科会長 手短にどうぞ。 ○望月委員 そのお話はよく分かるのですが、メトトレキサート製剤との関係が明確に 分からないのではないかとちょっと心配したのです。この資料を読ませていただきます と、メトトレキサートのノンレスポンダーを対象に本剤を上乗せしていくことが実際の 使い方になると思うのですが、メトトレキサートのノンレスポンダーと判断された量を ずっと使いながら本剤を上乗せしていくのかなど、メトトレキサートの本当の至適用量 がよく分かっていないような形で、そのまま上乗せしてずっと使っていくという形で承 認されているような気がするのです。その辺りについて、今回の試験のやり方ではそう いう形でしか承認のしようがないと思うのですが、市販後でそういうところを明確にす るような試験などを考えていらっしゃるのかどうかお聞きしたいと思います。 ○井村分科会長 いかがでしょうか。 ○事務局 御指摘のとおり、今回の適用は臨床試験はすべてメトトレキサート製剤併用 ということ、中和抗体の産生を抑えながらこの薬を使っていく必要があるということで す。実際には、メトトレキサート製剤が既に使われている患者さんで、ずっと長期に使 った場合に改善が見られないというケースがこの薬の適応になるかと思います。したが いまして、そのときにはメトトレキサート製剤を増量するといったようなことも含めて、 増量してまだ効果が得られる患者さんがいるのかどうか、その辺りは個々のケースにつ いて実際に臨床医が判断をしていく必要があるかと思いますけれども、我々としては安 易にこの薬を上乗せで使うことに警告を発する意味で、そういうことを書かせていただ いたということでございます。  実際にこれからどういう試験をやるのかということについては、例えば今3mgという 用法・用量が承認されておりますけれども、レミケードを3mgだけではなくて、もう少 しメトトレキサート製剤を増量すること、あるいはメトトレキサート製剤を一定量にし ておいて、3mgではなく5mgに増量する、あるいは10mgに増量すると。そのときに有 効性あるいは安全性の方はどうなるのかということについては、市販後の臨床試験で実 施する予定にしております。 ○井村分科会長 どうぞ。 ○望月委員 メトトレキサートの作用の目的が中和抗体を少なくするということにある としたら、メトトレキサートを増量するよりもむしろ減量できるのではないかと思った ものですから、そういうスタディーも計画していただいた方がいいのかなと思いました。 ○事務局 メトトレキサート製剤とこの薬の併用の中和抗体でございますけれども、メ トトレキサート製剤の併用量については幾つかの検討がなされておりますが、現在の日 本での承認用量以上の用量を使う分には多分問題ないと思いますけれども、減らすとや はり中和抗体が出てくるということもありますので、メトトレキサート製剤を減量して この薬を上乗せするという選択は多分ないと思います。 ○井村分科会長 ありがとうございました。ほかにございませんね。それでは先に進ま せていただいてよろしゅうございますか。それでは報告事項は以上でございますが、最 後に「薬事分科会規程及び薬事分科会における確認事項の一部改正について」を御審議 いただきたいと思います。事務局から御説明をどうぞお願いします。 ○事務局 「6.その他」の議題1、「薬事分科会規程及び薬事分科会における確認事項 の一部改正について」でございます。お手元の資料は資料25-1、25-2でございます。ま ず、資料25-1の「薬事分科会規程の一部改正について(案)」を御覧いただきたいと思い ます。この件については生物由来製品の関係でございまして、平成15年7月に施行され る改正薬事法において、生物由来製品がある意味施行されるわけでございますけれども、 この施行準備において昨年9月の当薬事分科会で生物由来臨時部会を設置いただき、準 備作業を行ってきたところでございます。平成15年3月の薬事分科会において、生物由 来製品の指定、生物由来原料基準の作成という部分について御答申を頂き、無事に本年 7月から施行することになったわけでございます。この施行に際しまして、生物由来製 品の指定の関係、生物由来原料基準の制定等に関する事項について、薬事分科会の中で の部会の所掌を明確にするために分科会規程を改正するものでございます。  「1.生物由来製品の指定」でございますけれども、この件に関しては個別の製品の承 認ごとに、生物由来製品に該当するものを取り扱う各部会において指定を行うというこ とでございます。関係する部会はここに書いてございますが、「医薬品第一部会」から 「化粧品・医薬部外品部会」までの所掌に、「生物由来製品の指定」という事項を加え させていただきます。  「2.生物由来原料基準」でございますが、生物由来の原料に関する基準を定めている ものでございます。これについては、部会横断的に製品群に対して基準を作成するもの でございますので、各部会の所掌ということではなく薬事バイオテクノロジー部会に集 約して所掌をお願いするということでございます。ただし、血液製剤に関する部分、こ の基準の中の通則や血液製剤総則については、従前どおり医薬品第二部会の所掌とする ことで御了解いただきたいと思っております。  3でございますけれども、これまでも「薬事バイオテクノロジー部会」で御審議をお 願いしてきたところでございますが、今般生物由来製品に関する生物由来原料基準の所 管や、先端的なバイオテクノロジーのみならず、生物由来の製品・原料を幅広く対象と した部会という形になっていきますので、「生物由来技術部会」という名称に変更をお 願いしてはいかがかということで、この案の中に御提案申し上げているところでござい ます。  続きまして資料25-2、「薬事分科会における確認事項の一部改正について(案)」でご ざいます。この薬事分科会の確認事項と申しますのは、1ページおめくりいただいた後 にございますように、薬事分科会の各部会、また薬事分科会において、どういった事項 をどのレベルで御審議いただくかという取扱いを示したものでございます。まずこれに 関しましても、改正薬事法及び採血及び供血あつせん業取締法の改正に基づきまして、 まず「医薬品等の承認申請のうち審議会に諮問するものの取扱い」ということで、6、 7、8の三点を追加させていただきたいということでございます。一つ目は生物由来製 品の指定でございまして、先ほどの生物由来技術部会の方へお願いをする事項でござい ます。これについては個別の品目、承認等に係る部分でございますけれども、品目の承 認に係る審議と同様に、部会審議、分科会審議又は報告という取扱いとさせていただき まして、その指定のリストの全面改正の場合には分科会審議までお願いをする。また、 そのリストの一部変更については、部会審議、分科会報告の取扱いという形にさせてい ただきたいということでございます。  7は医療用具のクラス分類、特定保守管理医療機器の指定ということで、本日の議題 でも御審議いただいた部分でございますけれども、これについても生物由来製品の指定 と同様に、今後個別品目の追加を行っていく際には、品目の承認に係る審議と同様の審 議区分において御審議をお願いするという趣旨でございます。  8は医療用具の基準ということで、これも本日御審議いただいた部分でございますけ れども、薬事法第41条に定める基準の一部改正については部会審議、分科会報告、全面 改正においては部会審議、分科会審議の取扱いとさせていただくという部分でございま す。  それから次に、「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律に基づき審議会に 諮問するものの取扱い」でございます。これも本年7月から施行される安全な血液製剤 の安定供給の確保等に関する法律の第29条に基づきまして、感染症定期報告を受けたも のについて薬事・食品衛生審議会に御報告させていただき、安全対策等に関する必要な 措置について審議会の方から御意見を頂くという形に法律上なってございますけれど も、この審議事項については原則として血液事業部会審議、薬事分科会報告という取扱 いとさせていただくものでございます。ただし、部会長が審議を要すると判断したもの については、薬事分科会審議とするということでございます。また、この血液に関する 部分においても、薬事分科会における「報告」は事後報告(答申後)で差し支えないとす る、通常の取扱いと同様にさせていただきたいということでございます。  資料25-2の10ページに、生物由来技術部会の個別の確認等の取扱いについての一覧 表をお示ししてございます。これは従前から取り扱っていることと基本的に同じでござ いますけれども、薬事分科会審議という部分、個別の品目の確認等においては、部会の 意見に基づき分科会長が決定するものということで、新規性の高いものについては分科 会審議と。また、通常の遺伝子治療医薬品や遺伝子組換え医薬品等については部会審議、 又は報告という形で対応させていただくものでございます。  なお、この10ページの「8.生物由来技術」の表の中で2と3のカラムに「(2に掲げ るものを除く。)」という記載がございますけれども、ここは「2」ではなく「1」の誤 りでございます。大変失礼をいたしました。おわび申し上げます。資料25-1、25-2につ いては以上でございます。 ○井村分科会長 どうもありがとうございました。ただいまの御説明について、何か御 意見、御質問ございますか。もしなければ、この件について御確認いただいたというこ とにさせていただいてよろしいでしょうか。ありがとうございました。そのほかに何か 事務局の方からございますか。特にございませんか。もしなければ、これで本日の議事 は終わりになります。どうも長いことありがとうございました。不手際で遅くなりまし て申し訳ありません。  次回の薬事分科会の日程でございますが、9月の中旬〜下旬の間で予定したいと思い ます。いつものように、後ほど事務局から先生方の御都合を伺って決めることになると 思います。それではこれで薬事分科会を閉会いたします。どうもありがとうございまし た。                                    ( 了 )   連絡先: 医薬食品局 総務課 課長補佐 菊池(内線2714) - 38 -