03/06/25 第5回「健康食品」に係る制度のあり方に関する検討会議事録       第5回「健康食品」に係る制度のあり方に関する検討会議事録           日時:平成15年6月25日(水)10:00〜           場所:経済産業省別館 第944会議室 ○松本委員  定刻となりましたので、ただ今から第5回の「健康食品」に係る制度のあり方に関す る検討会を開催いたします。  なお、田中座長が車の渋滞に引っかかっておられるようなので若干遅れて来られます ので、その間、座長代理の私が代わりに進行を務めさせて頂きたいと思います。  委員の皆様方におかれましては、大変ご多忙の中ご出席いただきまことにありがとう ございます。  また、参考人の皆様におかれましても大変御多忙の中、当検討会のヒアリングに御出 席頂き、心より御礼を申し上げます。  本日はNPO法人全日本健康自然食品協会、未来食品技術研究会、NNFAジャパ ン、在日米国商工会議所栄養補助食品小委員会、社団法人日本栄養・食糧学会及び日本 生薬学会より、「健康食品」に係る制度のあり方に関するヒアリングを行ないますの で、どうかよろしくお願致します。  議事に入る前に、事務局より、本日の委員の出席及び、本日お越しいただいた参考人 の皆様の御紹介をお願いいたします。 ○尾形室長  本日は、NPO法人全日本健康自然食品協会より江口祝学術委員、未来食品技術研究 会より吉田脩平会長、NNFAジャパンより大濱宏文代表、在日米国商工会議所栄養補 助食品小委員会より小川智徳委員、社団法人日本栄養・食糧学会より伏木亨庶務理事、 日本生薬学会より吉川雅之評議員にそれぞれ参考人として御出席頂いております。  委員の出欠の状況ですが、本日は全員に御出席頂いております。 ○松本委員  それではこれより議事に入りますので、カメラ撮りはここまでとしてください。報道 関係の方、傍聴席にお移り頂くようにお願いいたします。  それでは、まず議事次第の1にありますように、本日はNPO法人全日本健康自然食 品協会、未来食品技術研究会、NNFAジャパン、在日米国商工会議所栄養補助食品小 委員会、社団法人日本栄養・食糧学会及び日本生薬学会からの、「健康食品」に係る制 度のあり方に関するヒアリングを行いたいと思います。  本日のヒアリングの進め方ですが、まずNPO法人全日本健康自然食品協会、未来食 品技術研究会、NNFAジャパン、在日米国商工会議所栄養補助食品小委員会の参考人 の方からそれぞれ10分程度ご意見を述べていただき、その後、頂いた御意見に対する 質疑応答と意見交換を行ない、引き続き社団法人日本栄養・食糧学会及び日本生薬学会 の参考人からそれぞれ10分程度ご意見を述べて頂き、その後、頂いた御意見に対する 質疑応答と意見交換を行ないたいと思います。このような形でよろしいでしょうか。  それでは最初にNPO法人全日本健康自然食品協会から江口参考人より、「健康食品 」に係る制度のあり方に関する意見陳述をお願いいたします。 ○江口参考人  おはようございます。私、今御紹介がありましたNPO全日本健康自然食品協会、以 下全健協と略させて頂きますが、参考人の学術委員の江口でございます。  まず、我々の協会は過去20数年以来、健康食品、自然食品を介して、消費者の健全 な食生活に貢献することを目的として活動して参った団体でありまして、主として健康 食品、自然食品の社会的認知と、法的を含めまして、社会的地位の向上を目指して活動 してきた団体でございます。自然食品、健康食品にかかわる製造業150社、卸業25 0社、小売業250社の会員からなっております。当協会は、こういった意味で流通業 者が多いことが特徴でございます。  以下、参考人として、提出いたしましたヒアリングの申請書の要点について要領よく 申し述べたいと思います。  まず、本検討会の課題でございます、医薬品、保健機能食品、健康の保健機能食品、 それから、一般食品の中に位置づけられておりました括弧つきの「いわゆる健康食品」 の体系について、我々の意見を申し述べさせて頂きます。  食品の基幹法律であります食品衛生法の中に、平成13年の保健機能食品制度が制定 されたことは、食品にも、医薬品の定義である薬事法第2条の第2項、身体の構造また は機能に対する影響があるということを法的に認めたことになります。  すなわち我々は、医薬品の定義第2条第2項の「身体の構造または機能に対する影響 が医薬品である」という最後のところに、従来は「食品を除く」の除外規定がありまし たが、これは昭和36年に修正されて削除されております。この除外規定を復活させる ことを、まず第一に意見として申し述べます。  すなわちこのことによりまして、この除外規定の削除は、当局のその後の説明では、 これは当然のことであるから削除したという説明でございますが、法律的に除外規定が ある、なしによって非常に異なる様相を呈します。  この検討会の委員の中にも、法律の御専門の松本先生もいらっしゃいますし、そう いった先生の御意見も聞きたいと存じております。  すなわちこの除外規定が削除されたことによって、すべて健康食品が、身体の構造ま たは機能に対して影響があるものはすべて医薬品であるという法的根拠のもとに、健康 食品はこれまで規制され、または指導を受けてきました。  これは当然であるから除外したというのは全く当局のまやかしであって、我々健康食 品業者が都庁等の指導または規制を受ける場合に法的根拠として必ず、身体の構造また は機能に対する影響は医薬品だけであるということを法的根拠として述べられ、それに 従ってきました。  一方ご存じのように、食品衛生法の食品の定義の中には、人間の口に入るものとし て、医薬品を除くという除外規定が明確に示されております。  こうした点、非常に矛盾していると私どもは強く感じておりまして、この医薬品の定 義を見直し、従って、46通知と申し上げましたが、いわゆる無承認の医薬品を取り締 まる通知ですが、46通知をはじめとして、現在も行なわれております食品に使用でき る成分本質、食薬区分の中の、食品に使用できる成分本質の規定を廃止するか、または 食品衛生法に移行させて、薬事法に基づく健康食品に対する現在の規制を撤廃するよう 強く主張するものでございます。これが我々の最初に述べたい基本的な考え方でござい ます。  次に、いわゆる健康に関連する食品としましては、保健機能食品と「いわゆる健康食 品」がございます。  そのマーケットは保健機能食品で15%程度、残りは一般食品に位置づけられており ます「いわゆる健康食品」、括弧つきの健康食品でございます。  当協会の会員の中に中小メーカーが多いのですが、特保、特定保健用食品、以下特保 と略させていただきますが、特保を取得した企業はございません。  これは申請において医薬品に準じた、単一成分に対する効能評価が要求され、コスト がかかりすぎるというのが最大の原因でございます。  また、取得したとしても、許可される表示が保健の用途のみに限られて、商品の販売 上のメリットは乏しいということも大きな理由でございます。  また、商品のシェルフライフは比較的短いのが特徴でございまして、特保を取得する のにかかわったコストを回収することができないのが実情でございます。  また、中小企業は、テレビ等大企業のように公告コストをかけて、厚生労働省許可等 の消費者への訴えはできないことも理由の一つでございます。  その中で特に強調したいのは保健の用途でございますが、非常に限られている。我々 としては、後でも種々述べますが、健康食品が有する疾病の予防効果、疾病リスクの低 減効果を表示することを強く望みます。  また、先ほど述べましたが、現在の特保の申請基準では、医薬品的効能試験が規定さ れておりまして、健康食品は複合成分であるものが多いわけですから、医薬品に対する ような、単一成分に対する効能評価方法を適用すべきではないというのが我々の首長で ありまして、この点、後ほど説明いたします。  一方、規格基準型として栄養機能表示ができる影響機能食品の制定がなされました。 これは我々業界としては高く評価しております。  ビタミン、ミネラルなど12種の物質に対する許可がなされましたが、それに次ぐ栄 養成分、その他のビタミンとかミネラル、アミノ酸、たんぱく質、脂肪酸、ハーブ、生 体構成成分等、追加許可が非常に遅れております。  規格基準型ですから、最大安全摂取量などについて的確に基準を決めなければいけな いと考えます。しかし、その文献が十分にないという理由だけで追加許可を遅らせるべ きではないと考えます。  当然、栄養機能食品においても栄養機能表示は、食品衛生法の中で非常に限定され て、厳しく規制されております。これは我々としては大きな問題であるととらえており ます。  しかし、栄養機能食品の制定は我々にとって期待が大きいので、というのは、先ほど 述べた90%近い「いわゆる健康食品」にとって、保健機能食品になれば、栄養機能食 品を含めて保健機能食品の中に入ることができれば、かなりの製品がその中に組み込ま れるからであります。そういう意味で期待が大きいということです。  特に強調したいのは、許可されるべき成分として、いわゆる諸病の原因であります活 性酸素の消去作用、ポリフェノール等、そういった植物構成成分等の抗酸化成分の栄養 機能食品としての許可を非常に望んでおります。これにより、「いわゆる健康食品」の 中でかなりのものが栄養機能食品になると考えております。  そういうことで、「いわゆる健康食品」に対して本検討会で検討いただき、法制化を 検討して頂きたいと考えます。  次に本検討会の課題の一つであります健康食品の有用性、安全性の確保、消費者に対 する適切な情報の提供について、我々の意見を申し述べさせて頂きます。  健康食品の有用性は、消費者に食品の機能性成分、栄養素、身体の構造機能に影響す る成分、疾病予防成分、疾病改善成分を、健康づくりの目的に沿って高効率かつ簡便に 提供することにあります。  すなわち健康食品の有用性は天然食品起源、天然食品であることを強調させて頂きま すが、天然食品起源の機能性成分を濃縮し、単独あるいは配合した形で消費者に提供す ることにあります。  これらの健康食品の成分は、通常の食生活で摂取しようとしても不足するか、あるい は材料が買えない等、摂取が困難ないし不可能なものであります。  一方、学術機関においては、これらの食品の機能性成分に関する研究は非常に進歩い たしました。また、技術的にも、健康食品に関連成分の抽出、濃縮、製剤化などの技術 も非常に進歩しております。したがって、健康食品の有用性はますます高まっていると 考えます。  また、製品の流通も、店舗販売から通信販売、インターネット販売など多チャンネル になり、消費者が購入しやすい形態になっております。  消費者の健康意識の高まりから利用者は増加しており、その摂取体験から、健康食品 の有用性は着実に消費者によって評価され、定着していると考えます。  健康食品の有用性の確保については、効能の科学的根拠の充実が必要であることは言 うまでもありません。  我々の申請書においては、ここにも添付されておりますが、参考資料を提出してござ います。  これは最後のところで申し述べますが、その中の食の効能評価学術研究会、参考資料 2でございますが、複合成分である食の効能評価のあり方について、いま学会的に議論 を行なって、この評価方法を確立しようとしております。  時間がかかると思いますが、食の効能評価方法が、食品の効能評価として最も適切で あり、科学的であると考えております。参考資料を御参照頂きたいと存じます。  次に健康食品の安全性の確保についてですが、今般の食品衛生法の一部改正におい て、第4条2関係、安全性に関して十分な証拠がない場合に、通常と異なった摂取形態 で摂取される。これはまさに濃縮等が入っている健康食品を意味しますが、安全性の十 分な証拠がないと認められた場合には販売禁止などの適用がなされるという規則です。  及び、一部改正における第1条の3関係、食品等事業者のトレーサビリティ等の確 保、原材料の記録の保持等、これは私どもは、健康食品の製造者及び販売者が遵守しな ければならない安全性確保のための必要事項であるということで会員を指導していると ころでございます。  また、もちろん現在、内閣府で検討されている食品安全基本法の遵守も当然のことで ございます。  次に、消費者に対する適切な情報提供でございますが、身体の構造または機能に影響 を与える食品の機能について、その内容を消費者に適切に知らせ、教育して、国民の健 康の維持増進を図ることは国の役割、義務であると考えます。この点で現行の体系は全 く不十分かつ不適切であると言わざるを得ません。  すなわち保健機能食品に認められている表示の内容は制限され、不十分かつ不適切 で、当局の一方的な押しつけでございます。また、ご存じのように、健康食品について は全く認められていないのが現状であります。  これら食品の機能性成分が持つ栄養素機能、身体の構造または機能に影響する機能、 疾病予防機能あるいは疾病改善機能について適切に消費者に知らせる必要がございま す。  前述のようにして、健康食品の有用性及び安全性が確実に確保されれば、表示に対す る制限は緩和されてしかるべきであると考えます。  また、先ほど述べましたように、薬事法第2条の根拠として、食品の効能にかかわる 消費者への情報提供を制限すべきではないと考えます。  私どもは絶えず経験しておりますが、都庁等の規制及び指導においては、第2条を盾 に規制及び指導がなされているのが現状でございます。  また、表示内容については一方的なお仕着せですが、製造者責任、いわゆる製造者の 自由裁量の度を高めて、裏づけとなる科学的根拠の担保を必要条件とした上で、効能の 表現の自由を製造者に与えて頂きたいと考えます。  また、現行制度の中で、健康食品の表示に対して議論する場合、当然、現行の保健機 能食品の表示のあり方についても見直しが必要であると考えます。  最後に、申請書に添付した参考資料の説明をさせて頂きます。  本検討会が薬事法、食品衛生法の体系の枠内での検討であると認識しております。し かし、我々協会は薬事法、食品衛生法の枠から独立した法律として、現在、食の効能普 及全国会議と、食と検討政治連盟が昨年作成した「食と健康教育法(仮称)」の立法化 を支持しております。これは参考資料の1としてご提出しております。  この法律案は効能があるすべての食品に適用されます。したがって、現行制度の保健 機能食品及び健康食品にも当然適用されるものであります。  また、この法律案は現在、内閣府において立法が検討されている「食の安全基本法」 と同列と位置づけられる重要な法律として立法化されるべく準備中であります。  この法律案の重要な骨子の一つは、消費者に食品の効能を知らせるための健康表示と して、設置目的に応じて栄養素機能表示、構造機能表示、疾病予防表示、疾病改善表示 を制度化することであります。  もう一つは、効能表示を裏づける科学的根拠を評価するために大事な機関として、 「食の効能評価委員会(仮称)」を設置することであります。  食の効能普及全国会議は、食の効能評価のあり方について、食の効能評価学術研究 会、これは設立趣意書及び発起人名簿を添付してございますが、学会として設立し、現 在、複合成分である食品の効能評価方法の確立に努めております。  特に当協会は疾病予防表示の健康表示、疾病リスク低減表示は、先ごろコーデックス 食品表示部会がまとめたガイドラインを踏まえている表示でございます。これは次に未 来食品技術研究会から詳しく説明がなされると思います。  ちょっと長くなりましたが、以上でございます。 ○田中座長  遅れて参りまして申し訳ございません。それでは引き続きまして、未来食品技術研究 会から吉田参考人より、「健康食品」に係る制度のあり方に関する意見陳述をお願いい たします。 ○吉田参考人  おはようございます。私、未来食品技術研究会の会長をしております吉田と申しま す。よろしくお願いします。  私ども未来食品技術研究会は今から約15年前に設立されまして、当時、文部省の特 定研究でございました機能性食品というものが非常に話題になっておりましたが、その 機能性食品そのもの及びその制度に関する勉強、研究を目的として、この会は生まれた わけです。  やがて、当時、機能性食品といわれていたものが、今のいわゆる特保というものに変 身したわけですが、その間に、私どもが元来考えていたものから大きな変質をしていっ たということがございます。  今日はそれらの歴史も踏まえまして、私どもの会は、今回のあり方に関する検討会に 対しまして、二つの観点から意見を申し述べたいと思っております。  第1は健康食品の制度そのものについてであります。第2は、いまの制度を飛び越え まして、もっと大きな国際的見地から、わが国の制度そのもの全体を見直す必要がある ということを私ども考えておりまして、その観点からの意見も申し述べてみたいと思い ます。  と申しますのは、私どもは機能性食品という制度を研究しているときに、ちょうど 1980年代の後半に、アメリカではサージョン・ジェネラルズ・レポートという、食 品と健康に関するレポート、これは国際的にも有名なレポートですが、1988年に報 告されまして、追って89年に、有名な「ダイエット・アンド・ヘルス」という、これ も国際的に有名な、当時としては、食品あるいは栄養成分と健康に対する非常に権威の ある学術書ができました。  それを踏まえて1990年に食品の栄養表示教育法という法律が成立しました。その 4年後、1994年に栄養補助食品健康教育法という法律ができました。  この二つの法律において医薬品の定義を変更しまして、従来、医薬品のみに認められ た機能を食品にも認めると、制度の変更をしてきました。  私どもの会はそのへんの経緯に非常に興味を持ちまして、発端は米国の制度から始ま ったのですが、だんだんにEU、コーデックス両者の制度の変更にも非常に興味を持ち まして勉強会を重ねてまいりました。  そういう経緯を踏まえて、2番目には、わが国の制度全般について国際的見地から意 見を申し述べたいと思っております。  まず最初の、健康食品の制度についてですが、ご承知のように2001年3月27日 の保健機能食品の制度ができるまでは、わが国には健康食品という名称は、法的な位置 はありませんでしたが、一応使われていた。  そして当時、健康食品は薬事法で取り締まられることが多かったものですから、明ら か食品の場合は薬事法も、お薬じゃないわけですから口が出せなかった。  したがって、健康表示はできませんでしたが、明らか食品として国際的に認められて いるような表示はある程度することができた。しかも、健康食品という名称そのものを 使っていけないという法律はなかったので、また、消費者も、健康食品の中には、必ず しも全部が全部優等生ではないにしても、大半のものは健康にいいものを意図したもの であるという一般の認知がございました。したがって、それを積極的に利用する消費者 も非常に大勢おられたわけです。  ところが、保健機能食品の制度ができまして、それを管轄する法律が、薬事法から食 品衛生法に変わる。食品衛生法は、すべての食品を対象にしますので、明らか食品であ ろうと何であろうと全部取り締まりの対象になる。  しかも、保健機能食品といわれているもの、特定保健用食品と栄養機能食品からなる 保健機能食品といわれているもの以外に関しては一切のいわゆる強調表示、効果効能を うたうことを禁止しました。  しかも、健康食品という言葉自身もなくなってしまった。一般食品の中に組み入れら れてしまったわけです。そのこと自身、私は、いま健康志向の消費者にとって、普通の 野菜を買うのと、健康志向のものを買うのと区別ができなくなったという不便があると 思うのです。  ただ、健康食品というのはあくまでも、歴史的あるいは経験から効果効能が認められ ているものが多くて、必ずしも全部が全部科学的な立証がされているものではありませ ん。  ただ、科学的立証がされていないことの裏には、先ほど江口さんもおっしゃいました が、食品のように複雑系、いろんな成分が入って、それこそ何万という化学物質が入っ ているものを、単一成分である医薬品と同じように臨床試験、二重盲検法による臨床試 験で試験をする、そういう試験法が妥当かどうかということに関しては科学的に大いに 問題があります。  やはり複雑系には複雑系の証明方法が必要だと思いますし、これは私どもだけではな くて、物理でも広く科学的に認められている事実だと思うのです。  他に方法がないので、そういったことを適用されていると思いますが、そういう意味 では、そういう方法を適用した場合には、複雑系である食品の効果効能の科学的証拠が 立証されていないものもたくさんあるということも事実ですが、したがって、それに積 極的な意味での効果効能の表示は認めなくても、せめて健康食品というジャンルを残す べきであるというのが私どもの意見であります。  特にそれに、こういう効果効能なら認めるというようなことは仮に無理であったにし ても、健康食品というジャンルがあるだけで、健康志向の消費者は体験的にあるいは伝 承的に、どれがいいものであって、どれがよくないものであるということを判断できる 方が大部分だと思うのですね。そういうものを一律に排除するのはちょっとおかしいと 思うのです。  そういう意味で今回、制度のあり方に関する検討会が設けられたということを私ども 大変評価しております。後で時間がありましたらもう少し補足しますが。  2番目に私どもが特に強調したいのは、わが国の制度を考えるに当たって、わが国 の、この島国の従来の経緯からだけ考えていていいのかということであります。  私どもの勉強の結果によりますと、つい先日、4月の終わりから5月の初めにかけて 行なわれましたコーデックスの食品表示部会作業部会におきまして、健康食品のガイド ラインがステップ8になって、今月末から4月7日にかけて行なわれるコーデックス委 員会において承認されたときには、それが正式なコーデックスのガイドラインになる。 しかもステップ8になったものは、コーデックス委員会であまり否認されることはござ いませんので、最終的に決まったのと同じような状態になっているということはご存じ の方が多いと思います。  健康食品のガイドラインの中には、先ほど江口さんも触れられましたが、疾病リスク 低減強調表示、すなわちこういう栄養成分あるいは食品は、「栄養成分Xは疾病Yにな るリスクを低減します」というような強調表示を認める制度でございます。  もちろん科学的な立証があった場合とか、いろいろな制限はついておりますが、科学 的証明があれば、食品や食品成分あるいは栄養素に関して、疾病のリスクを低減すると いう強調表示を認めるという制度でありまして、これはアメリカでは1990年以来実 施されているものですが、165カ国の参加するコーデックスにおいて、このガイドラ インを正式に成立しようとしていることは大いに注目しなければいけないのではないか と考えております。  しかも、コーデックスの構成委員を考えますと、EUは去年の1月に、同じような制 度のディスカッションペーパーを発表しております。これは近々、EUパーリアメント において検討され、EUのいわゆるディレクト、EU指令というものになると私どもは 見ておりますが、委員が、EUはご承知のように15カ国ありますから、コーデックス が成立したということはEUの影響が非常に大きいわけですね。したがって、EUで、 この問題は本質的には既に解決が済んでいるのではないか。あとは政治的なプロセスだ けではないかと見ております。  EUのほかはどうかということになりますと、たとえばつい先週、カナダでも新しい 制度が発表されました。来年の1月1日に実施になります。その中にも疾病リスク低減 強調表示は入っております。  私どもの見解を述べますと、まだ詳しい情報が入っていない部分がありますが、カナ ダのほうがやや制約的な面が強いように感じておりますが、そのようにして、国際的に 食品に対して疾病リスク低減ということに関する強調表示を認めようという機運は、 13年前のアメリカをスタートラインとして、国際的な流れになっております。  そのときにわが国はひとり、疾病リスク低減強調表示はおろか健康食品に関してとや かく言っているのは、あまりにも日本が、暗黒の10年間とか言いますが、日本経済に ついては言われておりますが、私どもの業界に関していえば、暗黒どころか出口さえ見 えてこないのが現在の状況ではないかと思うのです。  したがって、私どもとしましては、この委員会で、単に健康食品の制度のあり方に関 することだけではなくて、わが国の食品と健康に対する制度全般、いままであまりにも 医薬品に偏っていた行政を全部見直して、食品が、あるいは、その中の健康食品なり栄 養補助食品はもちろんでございますが、食品が、病気になってからではなくて、病気に なる前の健康に対してどういう影響を及ぼすか。  要するに、よく予防する、あるいはリスクを低減するということに関してどういう役 割を持っているかということをもっと深く研究して、制度全般を改めることを私どもは 提言いたしたいと思っております。  以上よろしくお願いします。 ○田中座長  ありがとうございました。次はNNFAジャパンの大濱参考人より、「健康食品」に 係る制度のあり方に関する意見陳述をお願いいたします。 ○大濱参考人  NNFAジャパンの代表で、科学法務担当ディレクターを務めております大濱でござ います。このように、きょう、ヒアリングの機会を与えて頂きましてどうもありがとう ございました。  私がこれから述べさせて頂きます見解につきましては、お手元にお配りされておりま す私どもの資料の中の、「健康食品」に係る制度のあり方に関する意見として書いてお きましたので、どうか御覧になりながらお聞き頂ければと思っております。  それでは早速始めさせて頂きます。  平成8年3月26日のOTO対策本部決定と、それに続く規制緩和推進計画として閣 議決定された栄養補助食品の規制緩和が、平成8年度以来の食薬区分の見直しと46通 知の見直し、ここには形状規制の緩和が含まれておりますが、を中心に、四つの検討会 を通して検討されてきたところですが、平成12年3月の閣議決定に基づく新たな規制 緩和推進計画3カ年計画により再度、栄養補助食品の位置づけの明確化として、栄養補 助食品という新しいカテゴリーの設置と適切な摂取方法、栄養補助食品的効能効果、注 意表示等の、消費者が必要とする表示に関する制度改正、形状規制の撤廃等に加えて、 栄養補助食品にかかわる食品添加物規制のあり方について検討して結論を得るように求 められました。  これらの規制緩和要請の結果を受けて平成13年4月1日付で保健機能食品制度が発 効されたことはいまだに記憶に新しいところです。  しかしながら、いわゆる46通知の改正に基づく形状規制の廃止に対しましては、薬 事法違反の視点からかえって問題を引き起こす結果となったという批判の声も最近聞か れます。  確かに形状規制の廃止に関する議論の中では、国際的な形状の受容に対する議論に傾 斜し、栄養補助食品における形状の本質的に意味するところに関する議論の積み重ねが 不足をしていたために、いまだに形状の是非論が後を引く結果となっているものと思わ れます。  このような意味で、私どもは栄養補助食品の規制緩和はまだ収束していないのではな いかと思っております。  この見解を裏づけるかのように、平成15年、ことしの3月19日のOTO対策本部 決定により、基準・認証制度にかかわる課題のうち、規格基準の策定にかかわる課題と して、以下の3点が挙げられております。  すなわち外国で流通する食品添加物の開放、食薬区分の見直し、食薬区分の見直しと 合わせて、それらの物質が食品添加物として指定を受けるなど、食品として支障なく流 通・販売できるように措置するなどの3点についての措置を講ずるように決められまし た。  これらの措置はOTO自身が、OTO案件の総点検を行なった結果によるもので、栄 養補助食品の規制緩和要請に対する一連の対応策の再評価を受けて出されたものです。  したがって、NNFAジャパンは当初、在日米国商工会議所から提起された規制緩和 要請がすべての健康食品を包含していたものであり、食薬区分の見直し、表示の規制緩 和、剤形規制緩和等を重要な問題として提起しておりましたので、現行の保健機能食品 制度では十分な規制緩和には至っていないと思慮しております。  このような見解を前提にNNFAジャパンは、以下のように意見を具申させて頂きた いと思います。  まず1番目として、国民の健康作りにおける健康食品の役割をどう位置づけるか、医 薬品、現行制度に基づく保健機能食品、いわゆる健康食品、一般食品の体系のあり方に ついてでございますが、保健機能食品制度に基づいて健康食品は「いわゆる」つきの健 康食品として一般食品に位置づけられ、薬事法、食品衛生法、健康増進法、景品表示 法、食品安全法、JAS法など幾つかの法制度のもとに複雑に規制されています。  このように健康食品が常に「いわゆる」つきのあいまいな存在下に置かれているにも かかわらず、その市場はすでに1兆円を超えるといわれている事実を考え合わせると、 健康食品を適正にかつ包括的に取り扱う法制度が存在しないことはいかにも不自然に感 じます。  ただいま1兆円を超えると申しましたが、この1兆円という市場の予測に対しては特 定保健用食品、いわゆる特保の市場は含まれていないということで私どもは聞かされて おります。  昨年後半に深刻な問題を引き起こした、中国から個人輸入された、いわゆるダイエッ ト食品といわれる製品は、その大部分が医薬品を含有する無承認、無許可の医薬品でし たが、一般には健康食品との区別がつかず、あたかも健康食品が大部分の実害を引き起 こしたかのように受け取られていました。  しかも、これらの製品のほとんどが個人輸入によって輸入されたものであり、正規に 輸入または製造された製品とは法制度上明らかに異なる取り扱いを受けるべきところの ものであったはずですが、ここでも混同が起きて国民を混乱させる結果となりました。  このような事態の重要な原因の一つは、私どもは健康食品を直接取り扱う包括的な法 制度が欠如しているからだと考えております。  このように考えてみると、健康食品の健康づくりにおける役割を明確に位置づける状 況は、法制度の立場から見る限りないと言って過言ではないかと考えております。  したがって、繰り返しになりますが、健康食品の包括的な法制度を策定して、健康づ くりにおける役割を明確にしていく必要があります。  この場合、健康食品は対外諸国、たとえば米国、EU、韓国、中国、インドなどで法 制度としてすでに定着しているか、あるいは積極的に検討されているように、健康食 品、これは定義になりますが、健康食品は通常の食品における栄養素の摂取を補うこと を目的とした形状で、市場に流通している高濃度の栄養源あるいは栄養学的または生理 学的機能を有する成分を含む製品と規定されております。この規定は、先ほど吉田さん のご説明にもありましたEU指令の中で示されている規定であります。  したがって健康食品は、EU指令ではフードサプリメントという言葉を使っておりま すが、医薬品、保健機能食品、一般食品と切り離して、健康食品を包括的に取り扱う制 度としての体系を築くべきではないかと考えております。  2番目の健康食品の利用、製造、流通の実態は、国民の健康づくりに有効に機能して いるか。健康食品の安全性・有用性の確保、消費者に対する適切な情報提供、利用者の 期待に応え得る健康食品はどうあるべきかという課題に対しましてお答えをしたいと思 います。  健康食品にかかわる利用、製造、流通の実態は、国民の健康づくりに有効に機能して いるとは私どもは考えがたいと判断しております。  現今の健康食品に対する取り扱いは「いわゆる」つきのあいまいな状態で、一般食品 としてくくられております。  ここには前述のように、異なるさまざまな法体系のもとに複雑な規制を受けており、 健康食品の安全性・有用性、品質等に関して一貫して評価できる法制度が存在していま せん。したがって、消費者は上記に関する適切な情報を入手する正規の手段をほとんど 持つことができない状況にあると考えております。  このような状況では、利用者の期待に応え得る健康食品のあるべき姿を想定すること ができません。健康食品と健康との関係は以下のように考えております。  それは健康から疾病に至る状態の変化を見てみた考え方でございますが、いわゆる普 通の健康という状態から、不十分な健康という状態を経て、疾病の前段階、そして最終 的に疾病に至るという、健康から疾病までの過程を考えてみますと、上記の健康から、 健康状態が後退して疾病の前段階に至るプロセスを、どの段階でどう防ぐかが、健康の 維持増進にとって非常に重要です。  そのためには欠乏症及び過剰症、これは古典的な、たとえば脚気とか壊血病のような 意味の欠乏症ということではなくて、現代的な意味での欠乏症、過剰症を意味しており ますが、を起こさないこと、疾病あるいは生活習慣病に至る危険因子を除去または低減 することが重要になってきます。  とりわけ健康は、あるいは不十分な健康にある状態での対応はきわめて重要ですが、 ここでは平成9年3月28日の公衆衛生審議会において、21世紀の栄養・食生活のあ り方検討会が意見具申していますように、現状の生活環境に照らして、栄養・食生活の あり方を考えることが重要な意味を持ちます。  健康食品は前述のように、EU指令が定義していますように、通常の食事における栄 養素の摂取を補うことを目的とした形状で、市場に流通している高濃度の栄養源あるい は栄養学的または生理学的機能を有する成分を含む製品と考えますので、現状の生活環 境の中で栄養・食生活が十分に機能し得ない部分を補う存在として位置づけるべきであ ると考えます。  しかも、このような考え方を有効に生かして、消費者に健康食品を安全に供給するた めには、健康食品にかかわる包括的な法制度の存在が不可欠と判断しております。  最後に3番目の、(1)及び(2)を踏まえて行政、関係業界、消費者が果たすべき 役割、制度はどうあるべきかについてお話をしたいと思います。  いままでの考え方に従いまして、健康食品が今後の食生活あるいは国民の健康に大き な影響を与える存在であるという認識を明確にして、包括的な法制度化をとることに よって健康食品の枠組みを明確にし、行政、業界、消費者の果たすべき役割の範ちゅう を明らかにする必要があります。  これは現在の混乱した健康食品にかかわる状況を整理して、健康食品に関する制度を 整備するための不可欠な要素であります。  そのためには、これまで実際に、この業界と制度が抱えてきた問題点を明確化し、健 康食品が最終的には国民のためのものであるという認識のもとに、健康食品を国民が適 切に利用できるための法制度化と不良品、ここには違反品が含まれるわけですが、こう いった不良品を排除できるシステムの設置が急速に望まれます。  そのための最も重要な課題として、健康食品の製品及び原材料の安全性・有効性、品 質などに関する情報を消費者に提供するシステムを設置することが挙げられます。  特に科学的な根拠のあいまいな、あるいは科学的な根拠のない、国民をミスリードす る情報をどう排除するかという基本的な問題の解決が必要です。このための責任は行 政、学会、業界それぞれが負わなければならないと思慮いたします。  そのために、いわば産・官・学の間での密な情報、意見の交流の場を作ることは、具 体的な対応の重要な鍵になると考えます。様々な制度化、取り扱い、政策決定の場に産 業界の参加を認めて、十分な現状認識と意見の交流を可能にすることが具体的な対応に なると考えます。  このような状況は、関連業界に対して、現状の認識の適正化、自浄作用、責任のとり 方などに真剣に取り組む姿勢を促すことになると考えます。  一方、消費者の立場では、健康食品に対する正しい知識を身につけ、必要な情報を入 手するように心がけ、正しい判断のもとに健康食品の適切な摂取を心がけるべきです。  これに合わせて、健康食品などの不都合を生じた場合には速やかに報告する必要性を 理解し、また、これを可能にする制度化が早急に望まれます。いわゆる医薬品の副作用 報告の制度に類するものです。  最終的な健康食品の選択と、そのために必要な判断は国民の手に委ねられるのですか ら、国民みずから、健康と健康食品に対する認識を高める必要があります。また、国民 がこれらのことを可能にできるように適切な情報を提供できる体制の整備と、健康食品 を適正に利用できるための制度的、社会的枠組みの制度が必要です。  NNFAジャパンでは、栄養補助食品の規制緩和の検討会に関与してきた従来の経験 を踏まえ、更に欧米諸国の栄養補助食品に対する法的な取り組みを参考にし、さらに日 本における健康食品と、その市場における現状の状況を踏まえて、いわゆる栄養補助食 品法案を提案いたしましたので、参考資料として、ここに添付させて頂きます。  この試案には、栄養補助食品あるいは健康食品の役割を明確に位置づけております。 また、この法案に基づいて健康食品の品質を確保するために、NNFAジャパンでは栄 養補助食品のGNP制度を確立するための検討を進めていることを記させて頂きまし て、私の意見を終わらせて頂きます。どうもありがとうございました。 ○田中座長  次は在日米国商工会議所栄養補助食品小委員会から小川参考人より、「健康食品」に かかわる制度のあり方に関する意見陳述をお願いいたします。 ○小川参考人  ただいま御紹介を頂きましたACCJ栄養補助食品小委員会の委員の小川でございま す。お手元のヒアリング資料に準じまして説明をさせて頂きます。  団体の名前でございますが、在日米国商工会議所、略称ACCJと申します。代表者 は、ただいま意見を申し上げました、ACCJ小委員会委員長が大濱宏文氏でございま す。  団体の概要でございますが、お手元の資料のとおり、1948年に創立いたしまし て、法人会員、個人会員ともにおりますので、お手元の数字になっております。  会の目的でございますが、日米間の交易の発展に寄与し、グローバルに事業を展開す る企業の日本における活動の支援を主たる目的とするということになっております。  私どもACCJと、ただいま意見を申し上げましたNNFAは、99年にNNFAが 創設の当時から協同歩調でいろいろな活動をやってきた関係で、意見の内容にも共通す る部分がございますので、あらかじめご承知を頂きたいと思います。  それでは、「健康食品」に係る制度のあり方に関する意見でございますが、在日米国 商工会議所は平成7年に、いわゆる健康食品の取り扱いについて、栄養補助食品の位置 づけの明確化と規制緩和を、市場開放問題苦情処理推進会議、OTOでございますが、 に問題提起をいたしました。  この問題提起では、1、通常海外で食品として流通・販売されているものが、日本に おいて医薬品として規制されることなく、食品として取り扱いができるようにするため に食薬区分を見直すこと。それから、形状の規制を緩和し、消費者が自分に必要なもの を的確に選択できるよう、有用性や摂取方法などの表示を可能にするといった内容で規 制緩和を求めました。  この要請は市場開放問題の一環として、貿易障壁の排除を目的としたばかりでなく、 栄養補助食品が消費者に安全かつ適切に利用されることをめざしたものでした。  この要請は平成8年3月にOTO対策本部、本部長は内閣総理大臣でございますが、 の決定を受けて、国の規制緩和計画に取り込まれました。  当時の厚生省により、4年間にわたる検討会が開かれ、その結果、平成13年3月に 保健機能食品制度が創設されました。  しかしながら、ACCJは、すべての健康食品を対象に規制緩和を求めることが重要 であるととらえておりましたので、この観点に立てば、現行の保健機能食品制度では十 分な規制緩和の結果が得られていないと思慮しております。  なぜならば、保健機能食品制度では、大部分の健康食品は「いわゆる」つきで、制度 の外にあいまいな状態に置かれているからでございます。  また、ACCJは健康食品を、一般食品によっては満たされない、あるいは不足する 機能を補う役割を持った食品と判断しています。このような判断は海外諸国で法制度と して定着し、あるいは積極的に検討されております。  具体的には、米国のいわゆるDSHEA、栄養補助食品健康教育法、またはEUのE U指令、最近できました韓国の健康機能食品に関する法律、中国、インドなどにも同様 に挙げられるということでございます。  これに対してわが国の保健機能食品制度は、一般の食品と健康食品を区別せずに取り 扱っています。一般の食品と健康食品を混同することによって生じると考えられるさま ざまな問題を回避し、さらに国際的な整合性の立場からも、健康食品にかかわる包括的 な法制度を取り入れることが必要と判断し、このような視点からACCJは、以下のよ うに意見を具申いたします。  1、国民の健康づくりにおける健康食品の役割をどう位置づけるか。「医薬品−現行 制度に基づく保健機能食品−いわゆる健康食品−一般食品の体系のあり方について」で ございますが、平成11年度厚生科学研究「いわゆる栄養補助食品等の流通実態の食品 衛生に関する研究」において報告されていますように、国民の40%が健康食品を摂取 した経験を有しており、疲労回復、健康増進、体質改善、肥満解消などの明確な摂取目 的を持って摂取している人が多いことを明らかにされています。  しかしながら、健康食品の多くは、いわゆる健康食品として一般食品に位置づけら れ、薬事法、食品衛生法、健康増進法、景品表示法、食品安全基本法、JAS法など、 立場の異なる法制度のもとで複雑な規制を受けるという状態を形成しているわけでござ います。  国民がこのように高い関心を寄せて、しかも1兆円を超えるといわれる市場が絶えず 「いわゆる」つきのあいまいな存在として置かれること自体に不自然さを感じておりま す。  しかも、先日の調査の結果のごとく、健康食品がかなり明確かつ具体的な目的を前提 に摂取されていることからすれば、健康食品はすでに一般食品と異なるカテゴリーとし て、国民の意識の中に定着していることを示唆しております。  したがって、健康食品の置かれている市場の現状を適切に認識して、国民にとって、 それらが本質的な役割、健康維持増進と疾病に対するリスクリダクションでございます が、を果たすことを可能にすると同時に、製品の安全性と品質を確保するために新たに 健康食品を包括的に取り扱う健康食品法、仮称でございますが、を制定して、医薬品、 一般食品、保健機能食品と切り離して、健康食品の立場を明確に位置づけ、消費者の選 択に資する適切な情報を提供するシステムづくりが急務であると判断いたします。  2、健康食品の利用・製造・流通の実態は、国民の健康づくりに有効に機能している か。健康食品の安全性・有用性の確保、消費者に対する適切な情報提供、利用者の期待 に応え得る健康食品はどうあるべきかということにつきまして、日本市場における健康 食品の実態は、国民の健康づくりに有効に機能しているとは言いがたいと認識しており ます。  健康食品を包括的に取り扱う法制度は現在存在しないために、前述のごとく薬事法、 食品衛生法、健康増進法など様々な法制度によって、健康食品は複雑な規制を受けてい ます。  この状況は海外から見れば、様々な矛盾と理解の困難を伴うものであり、そのため、 海外の多くの製品の日本への輸出を困難にしています。  また、安全性・有効性などに関する情報を消費者に伝えることがほとんどできないた めに、国民は適切な判断手段を欠いたまま製品を購入することを余儀なくされていま す。  さまざまなメディアを介する玉石混淆の情報に頼らざるを得ないために、ときには目 的・用途の不明瞭な商品を、高額な金額を支払って購入するという異常な状態さえ否め ない事実となっております。  このような事態は、製品の利用・流通・製造に対しても混乱を生み出していると考え られます。  それゆえ健康食品の有用性・安全性の確保と同時に、流通に際しても、製品に対する 情報の透明性、トレーサビリティ、使用者がみずからの目的に応じて摂取できるための 有用性や適切な摂取方法に関する表示を考慮した法制度が必要であると考えます。  3、1、2を踏まえて行政、関係業界、消費者の果たすべき役割、制度はどうあるべ きかにつきまして。  健康食品に関して行政、関係業界、消費者の果たすべき役割については、健康食品自 体が、今後の食生活、国民の健康に大きな影響を与える存在であるという認識を明確に し、その枠組みを明確にし、それぞれの果たすべき役割の範ちゅうを明らかにする必要 があります。  そのためには、健康食品の業界と制度が抱えてきた問題点を明確にし、健康食品が最 終的には国民のためのものであるという認識のもとに、国民が適切に利用できるための 法制度化と、不良品、違反品を排除できるシステムの設置が早急に望まれます。  特に科学的な根拠のあいまい、あるいは科学的な根拠のない、国民をミスリードする 情報をどう排除するかという基本的な問題の解決が必要です。この責任は行政、学会、 業界それぞれが負わなければならないと思慮いたします。  そのための健康食品にかかわる包括的な制度の基本的なあり方を次のように考えま す。  1、消費者に対し適切な情報を提供する体制を整備する。  2、健康食品が適正に利用できるための制度的及び社会的枠組みを整備する。  3、具体的な製品の選択と利用は、上記の(1)(2)に基づいて、国民が個々の状 況に応じて行なう。  4、健康食品の摂取によって万一健康被害等の不祥事が発生した場合、またはそのお それがある場合に適切な対応がとれる体制を整備する。  上記の(1)から(3)につきましては平成8年12月18日付の公衆衛生審議会の 意見を引用したものでございますが、特に(1)に対しては包括的法制度のもとで、行 政と関係業界が、(2)に関しましては行政を中心に、(3)に関しましては国民がみ ずからの問題として積極的に知識の習得に努め、みずからの努力によって対応すべきと 考えます。  また、(4)については包括的法制度のもとに適切な体制を整備し、行政、関係業 界、国民がそれぞれの立場から取り組むべき問題と思慮いたします。  なお、ACCJでは本件に関連をしまして、栄養補助食品の包括的制度化に対するA CCJとしての公式見解をヴューポイントとして先日公表いたしましたので、ここに添 付をさせていただきました。  以上でございます。 ○田中座長  ありがとうございました。それでは、ただいまの4人の参考人の陳述に対してご質 問、ご意見等がございましたらご発言をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。 ○松本委員  4団体ともに、「いわゆる健康食品」から「いわゆる」を外してきちんとした法制度 的な位置づけをして頂きたいというご主張で共通されていると思うのですが、その場合 に、健康食品、「いわゆる」から外れた法的にきちんと枠の決まった健康食品と、そう でない、その他の一般食品とをどう区別するのかについてお伺いしたいのですが、この 点で、たとえばNNFAジャパンさんの栄養補助食品法案はかなりはっきりと、4条 で、形態で区別するんだということを強調されているようなので非常にわかりやすいわ けですが、他方、最初の全健協さんの食と健康教育法案ですと、3条で、適用対象は医 薬品を除いたすべての食品だということですから、となると、健康食品と一般食品の区 別はしないで、むしろ食品の表示として、疾病予防表示とかその他、疾病改善表示と いった表示が、一定の根拠があればできるようにするのだと。  したがって、同じ商品であっても、そういう表示をしたい人は、証拠があればしても いいし、しなくてもいいというレベルの違いで、健康食品としての表示を選びたい人 は、このルールに従ってやってくださいねということにすぎない区別を主張されている ように読めるんですが、このような理解でよろしいのか。  そのほかの全体の方の区分の基準についても簡単にお聞かせ願えればと思います。 ○田中座長  では、まず大濱参考人から。 ○大濱参考人  いま松本先生がおっしゃってくださいましたように、私どものほうは剤形ということ を一つのキーポイントにして、健康食品と一般の食品とを明確に区別するという考え方 をいたしております。  その最大の理由は、健康食品をサプリメントという言葉で代表されますが、基本的に は従来の食品によって得られない部分をサポートする立場にあるという意味で、補助す る立場と、食品とは違うという考え方を示しておりまして、そういう意味で、その違い を明確にするのは、形状がかなり重要なキーポイントになるだろうと考えております。  先ほどのEU指令の中でも、EUはフードサプリメントという言葉を使っております し、米国の栄養補助食品健康教育法ではダイエタリーサプリメンツというサプリメント を使っております。  先ほどのACCJのほうで話がありました、韓国の最近でき上がった法制度でも健康 機能食品ですか、やはりそういうようなサプリメントの考え方をしておりますので、こ れはやはり国際的な考え方の中で立場を明確にしていくという潮流がいまは大きくなっ てきているからだと考えております。  よろしいでしょうか。 ○吉田参考人  ご指摘のように、どうやって健康食品と一般食品を区別するのかということですが、 まず誤解があるといけませんので、米国の制度に関してNNFAジャパンの意見は、形 状の中で、通常食品の形態は、彼らの定義の栄養補助食品には含めないと書いておりま す。  しかし、アメリカの栄養補助食品健康教育法の定義には、まず第1に栄養補助食品ダ イエタリーサプリメントと表記する。第2番目に成分はこういうものである。  成分というところは、ちゃんと解釈すると食品成分全てになるのですが、形状はカプ セル、錠剤、粉末、液体その他、通常食品の形態は排除しておりません。通常食品の形 態も結構です、ただし、通常食品と表示してはいけませんというのがアメリカの制度で あります。  先ほどご指摘のありました全健協さんの定義は、私ども、法制化のための別の団体を つくっておりますが、したがって私も定義には賛成なわけですが、ご指摘のように、食 品を、特に形態とか成分で限定しない。  というのは、生鮮食品でも健康にいいものはたくさんあるわけですね。加工食品だけ じゃないわけです。  それから、通常の食事から摂取できないような量を補う必要がある場合には、たとえ ばカプセルとか錠剤も必要かもしれませんが、補えるものは必ずしも錠剤やカプセルで なくてもいいわけです。  したがって、おっしゃいますように、その団体の案では、どうやって区別するかとい うことになりますと、ご指摘のように、そういった特定の強調表示を、根拠に基づいて しているかしていないかということになっております。  私はそれも一つの考え方だと思います。すぐ日本で受け入れられるかどうか別とし て。  ただ、ご承知おき頂きたいのは1990年の栄養表示教育法における健康強調表示は 生鮮食品も全部入っています。要するに食事が入っているわけですね。  たとえば飽和脂肪酸が少なくて、野菜や果物の多い食事は、ある種のがんのリスクの 低減に役立ちますという表現ですから、食事が入っているわけです。必ずしもカプセル とか錠剤に限定するのは賢明ではないのではないかと考えております。 ○江口参考人  補足させていただきますが、私どもも、いまも説明されました食の健康教育法、仮称 ですが、これの骨子といいますか、食の効能評価センターというものを第三者機関とし て置くという考え方でございます。  これは内閣府で検討中の食品安全基本法の食品安全委員会、それに当たる評価センタ ーと考えております。  そのバックボーンといいますか、根拠となる食の効能評価法については、いまかなり の数の機関の先生方に発起人としてのご賛同を得まして、学会として、食の効能評価方 法の確立に努めているところでございます。 ○小川参考人  ACCJといたしましては特に具体的な法案を現在用意しているわけではございませ んで、先ほど申し上げましたとおり、NNFAと協同歩調でいろいろな進め方をしてお りますが、具体的には、すでに栄養補助食品の分野で先進の諸国があるわけでございま すから、アメリカをはじめEU指令あるいは韓国、近いところでいえばそういうことで ございますが、そういうところの各国の法令を参考にしながら、日本のいまの実情に合 わせて、日本に一番適した形での定義づけをしたものにすればいいのではなかろうか と。  具体的には、ただいまもご意見がございましたが、それぞれの栄養補助食品には摂取 の目的がありますので、その目的に沿って、何らかの形で裏づけのある、科学的等の裏 づけのある形のものを求めていって一定の定義づけをすればいいのではなかろうかと。  このへんのことにつきましては、行政マターでお考えをいただければありがたいと 思っています。 ○田中座長  他にご質問ございませんか。 ○合田委員  まず一つは安全性の確保について、各団体がどのようにお考えかということを伺いた いんですが。  最初の全健協さんの安全性の確保という部分は、部分的にはあまりサイエンティフィ ックなことがなくても、文献がないという状態で許可をおくらせるべきではないという 表現がありましたね。そうすると、何を根拠として安全性の確保をされるのかというと ころが分からなかったのですが。  次のNNFAジャパン、大濱さんのところの部分では、安全性の確保の部分につい て、まず明確な根拠を持たなければいけないと書かれていますし、それは公開すべきだ と書かれていますから、そうすると、どういう公開方法を規定しなければいけないかと いうことと、もしもそういうものが何か虚偽があったようなときに、それをどうするか ということについてのお考えがあれば伺いたいと思います。それがまず1点でございま す。  幾つかありますけど、まず先にそれを聞かせて頂きたいと思います。 ○江口参考人  全健協は、いまの機能食品についての許可の問題ですが、これはいわゆる最大安全摂 取量という基準ですね。それがいまビタミンとかミネラルで決められておりますよね。 その数値に関する文献がないということで、安全性を担保する文献という意味じゃござ いません。安全摂取量の文献がないということをここで申し述べているだけであって、 したがって全健協は安全性はもちろん、食品衛生法、特に今回の一部改正の遵守と、特 に2点挙げましたが、安全性の確保がなされないと判断される場合には、健康食品の販 売禁止等の措置がとれるという、今回の一部改正、それから原料等のトレーサビリティ、 これは十分に新しい法改正として充実を図っていくということで、会員に徹底しており ます。  それから、ここでは飛ばしてしまったのですが、国としての安全性の基準あるいはガ イドラインは是非お示し頂きたい。  もちろん食品ですから、医薬品的な思考でこれが制定されてはならないと考えており ます。  また、GNP、これは日本健康栄養食品協会の健康補助食品に対する安全性基準、ま たはGNPや業界の自主基準がございますけど、これを国として統一して、しかるべ く、ガイドラインで結構ですが、お示し頂きたい。それを遵守していく一方で、健康食 品の安全性を確保したいと考えております。 ○大濱参考人  いろいろな内容のお答えをしなきゃいけないので順番に参ります。  まず最初に、安全性の根拠をどうやって確認していくかという問題ですね。これにつ いては二つ考え方を持っております。  一つは、いわゆる伝統的に長い食経験のあるものについては、その食経験を十分に踏 まえることが、安全性を判断する一つの基準になると考えています。  これはWHOでもそういうような考え方を示しているわけですが、ただし、ここで一 つ大きな問題は、たとえばある特殊なハーブあるいはそのほかの素材に食経験があると はいっても、製造工程の中で非常に高度な抽出操作を加えるとか、そういった場合には 食経験は生かせませんので、それはまた別な扱いとして考えなければいけない。  そういう意味で、伝統的な使用方法、食経験というものは、その使用方法、食経験が 踏襲されているかいないかが一つの重要な判断として、されている場合にはやはり伝統 的な考え方というものは一つの大きな根拠になるだろうと考えています。  もう一つは伝統的な、ちょっと長くなって申しわけありませんが、根拠というもの も、かなり限定された文化の中での伝統的な根拠ですと、いわゆる客観性を欠く場合が 出てまいりますので、その場合については何らかの科学的な検証を行なっていく必要が あるだろうと考えています。  実際の、たとえば抽出段階を経て、かなり濃度の高いものとか、その他のさまざまな 操作によって得られた、いわば新しいと考えられる素材については、一つひとつそれぞ れ毒性試験とか安全性試験をやりましても、また考え方が変わればすぐに違ってきてし まいますので、考え方というのは、製造方法とかそういうものが変われば違ってきます ので、やはり原則としては幅広く、しかも、いわゆるピアレビューのある文献を広く集 めて、ちょっと言葉が適切ではありませんが、メタアナリシスに近いような評価をして いって、その中から演繹的に安全性についての見方をしていく。  そういう見方を、やはり製造業者は責任を持ってやらなければいけない。しかも、そ れを、何らかの形で必要になった場合にはいつでも公開するという、少なくとも科学的 な根拠に関しては、公開性を維持するという意味での透明性の確保とトレーサビリティ の確保が必要であると考えています。  実際に改めて試験をしなければいけない場合に、どのようなやり方をやればいいかと いうことに関しては、先ほどからいろいろ話が出ていますように、素材によっては、も のすごく複雑な成分の、吉田さん複雑系とおっしゃいましたが、まさにそのとおりでし て、複雑系の評価の仕方については今後の検討を重ねていかなければいけない部分があ りますので、それについては海外でも実際にやられていますが、積極的に進めていくべ きではないかと考えております。  公開性についてはそういうことで、少なくとも客観性のある科学的なデータについて は公開を拒否はできないということで、そうすることによって、しかも、根拠となるも のがピアレビューのあるしっかりした文献に限定して、いわばメタアナリシス的なとこ ろを考えるべきですので、虚偽の報告は除かれるであろう。  ただし、それでもなおかつ上手なやり方で、虚偽なものが出てきた場合に対しては、 おかしいという考え方が出てくるといけませんので、私どもの法案の中では、そういっ たものを評価する特殊な委員会のようなものを最終的には設定する。  しかも、これは産・官・学共同のメンバーの構成によって得られた、そういう委員会 の中で十分に検討する機会を持つということで、足りない部分はカバーしていくという ふうな考え方をとっております。  以上です。 ○吉田参考人  私どもは健康食品の安全性に関しましては、健康食品自身が食品の一部である。医薬 品とか、あるいは医薬品と食品の中間的存在とかそういったものではなくて食品であ る。  これは今回のコーデックスにおきましても、あるいは欧米の制度におきましても、食 品であるということ、あるいは食品法によって規制するということは明確に書かれてお ります。  わが国も、これは食品であるということをまず前提にすべきだと思います。したがっ て、健康食品の安全性に関して、特別な健康食品の安全性用の法律あるいは規則という ようなものは必要ではない。今回の食品安全基本法及び改正の食品衛生法によって、そ の内容あるいは食品衛生法に基づく規則の内容に関しましては、私は一部不適当なもの があるとは思いますが、法的枠組みとしましては、その2法で十分だと思うんですね。 特別な措置をとる必要はない。  私が不適切だと考えておりますのは、たとえば最大許容摂取量等の数値等に関しまし て、国際的におかしな数値が採用されているとか、その他ございますが、それは詳細に 至りますので省略させていただきますが、基本的に、現在の法律で安全性はカバーでき ると考えております。 ○小川参考人  ACCJの私どもの栄養補助食品小委員会の会員メンバーは、海外のいわゆる外資系 の企業が参加をしておりますので、ご案内のとおり、海外製品を日本に輸入する場合は 必ず検疫所のチェックを受けております。  その内容につきましては、成分内容が、日本の添加物の規制や、薬事法の規制に適否 といいましょうか、合っているかどうかということのチェックのほかに、厚生省の指導 によりまして、指定された項目を全部私どもは検査をした検査成績書をつけて提示をし て審査を受けております。  そのほかに製造工程その他につきましても、製造工程や抽出方法その他のものの資料 を要求されることもございますので、そのつど輸入届けに対しまして添付をいたしまし てチェックをしております。  さらに国内で流通した段階につきましては、それぞれ地方自治体に食品監視システム がございますので、その中でいろいろな指導を受けてやっております。  以上でございます。 ○田中座長  ほかの先生方ございませんか。 ○橋詰委員  確認になるのですが、江口参考人、吉田参考人は、今の一般食品のカテゴリーの中 に、いわゆる健康食品を入れていていいのか、それでもなければ、別のカテゴリーに入 れたほうがいいのか、その点だけ確認したいと思います。 ○吉田参考人  大変答えにくいご質問ですが、現在の制度を前提とした場合、二つ論点を申し上げま した。  その最初の論点というのは、現在の制度を前提とした場合、一昨年の3月に制定され ました保健機能食品の制度によって、健康食品を一般食品の中に入れてしまったのは適 切でないと考えております。  なぜならば、国民が健康食品という、特に強調表示はしなくても、健康食品という ジャンルによって、そういった経験とか、あるいは伝統に基づいたものであるという認 識ができなくなるからです。  しかし、第2の論点で私が申し上げていることは、保健機能食品制度を含めまして、 わが国の食品と健康に対する考え方全般を、いままでの医薬品とか医療に重点を置いた 考えではなくて、少なくとも健常人の健康に関しては、食品の位置づけを見直したよう な制度をつくってほしい。  その場合には、先ほどご質問があって申し上げましたが、食品全般を栄養補助食品と か健康食品とか、あるいは通常食品というのではなくて、むしろ表示を中心に考えたほ うがいいのではないか。  そういう意味で、橋詰さんにはお分かりにくかったかと思いますが、そういう2段階 で考えております。 ○江口参考人  参考資料の食と健康教育法というのは、いわゆる薬事法とか食品衛生法の枠にとらわ れない法律、いわゆる食品の安全基本法と同列ですが、そういう位置付けで検討された 法案の提言であります。  本検討会は現行の体制ということで課題を置かれておりますね。ですから、いま申し 上げた法案は、その枠外にあると考えております。  現行の体系の中においては、他のヒアリングの団体からも出されていると思います が、現行の健康保険機能食品制度を見直す中で、いま一般食品に位置づけられている健 康食品をなるべく取り入れられないかと。私は85%、15%と申し上げましたが、 85%の健康食品を、現行制度を見直す中でなるべく取り入れられないかという意見も 多数あると思います。  そういう意味で、そういう方向と、ほかからも出ています、きょうのヒアリングで出 されております、いま一般食品に位置づけられている健康食品の制度化、それもご検討 頂きたい。どっちがどうなるのか、その仕分けですね。  現行の中で、きょうのヒアリングで出された意見をご検討頂きたいと考えます。 ○木村委員  各団体にお願いしたいのですが、有効性を科学的に立証できないものにつきまして、 これについて健康食品としての位置づけを認めるのか認めないのか、確認だけさせて頂 きたいのですが。 ○吉田参考人  有効性に関しましては、先ほども申し上げましたが、有効性の科学的実証というのは 大変難しい深い問題だと思います。  現在の制度を前提とした場合、仮に、先ほど来私が主張しておりますように、通常食 品というところから健康食品というものを分けた場合でも、現在の制度では、それに対 して大した強調表示ができるような制度はできておりません。したがって、私は名称だ けでもいいのではないかと考えております。  ただし、将来の制度に関しましては、一つ新しいことをご紹介しておきたいと思いま す。  この食品の健康に対する有効性に関して立証することは、何も日本だけがむずかしい のではなくて、これは国際的な問題です。  アメリカでは2000年に、いまから2年半ほど前に新しい制度をつくりまして、そ れは限定的健康強調表示といいますが、クオリファイドヘルスクレインという制度をつ くりまして、決定的な証拠はないが暗示的な証拠があるもの、言いかえますと、その強 調表示を否定する証拠よりも肯定する証拠のほうが多いものに関しては限定的健康強調 表示を認めるという制度をつくりました。  これはどういうことかといいますと、それまでの制度がSSAと申しまして、十分な 科学的合意があるものだけに認めていたのですが、そうではない、十分な科学的合意が なくても、それを肯定する証拠のほうが、否定する証拠よりも多い場合には、あるいは ウエイトが大きい場合にはそれを認めていこう。ただし、それには限定をつけまして、 こういう理由でこの証拠は決定的ではない、が、こういう理由で暗示的である、そうい う可能性があるということを、限定使用をつけることを条件に、そういった制度を発足 させまして、もうすでにことしの6月で6件の限定的健康強調表示が承認されておりま す。  私は、将来の制度としましては、こういった制度を大いに活用すべきだと思うので す。  というのは、賢明で自己責任を持つ市民は、そういった情報さえあれば、あとは自分 の判断で自由に選択をしていくというのが、これからの社会ではないか。全部お上の証 明に頼りきるのではなくて、消費者も判断という責任を負うべきだと考えております。 ○江口参考人  参考資料にも書いてありますが、医薬品の単一成分に対する評価方法を画一的にとる のは問題があるのではないか。  それよりも、証拠としては、いろんなレベルのものがあると思います。そういうもの を勘案して、社会的に合意が形成される限り、それに沿って、ちょっとファジーになる んですが、こういう効能が期待できるよとか、全然期待されない前の確率的な問題とし てとらえるべき、本来、食の効能というのはそういう性質のものじゃないか。  これを我々はトランスサイエンスと呼んでおりますけど、ちょっと分かりにくいので すが、それの追求のために、いろいろな疾病のモデル、効能評価のためのモデルとか、 そういうものを構築しながら、学会で科学的に詰めている段階でございます。 ○田中座長  時間がかなり過ぎておりますので、とりあえず4人の方への質問はここまでとさせて 頂きたいと思います。  ほかのお二人の方の陳述も聞きたいので、もし時間が余ればもう一度質問、お答えを 頂きたいと思います。とりあえずここまでにさせていただきます。  それでは社団法人日本栄養・食糧学会から伏木参考人より、「健康食品」に係る制度 のあり方に関する意見陳述をお願いいたします。 ○伏木参考人  日本栄養・食糧学会の伏木です。  本学会は50年以上の歴史がありまして、構成要員も5,000人を超える大きな学 会です。医学関係者と食品と栄養学関係の研究者を中心とした非常に多様性のある学会 であります。  本日申し上げたいことが7点ありますので、まずそれをまとめて申し上げます。  まず第1番目に、現行の特定保健用食品については、現行制度を特段見直す必要はな いと考えます。  それから、いわゆる健康食品に関しては特別な認可を受けたものじゃないわけです が、特定保健用食品に準ずる学術的な根拠と長年の食経験によって安全性が担保された ものについては、新しい区分として、たとえば国民に浸透した名前である機能性食品と して個別に認可を与え、相当の表示を許可してもいいと思います。  栄養機能食品と医薬部外品については、食品に移行するほうが妥当なものも見受けら れますので、これはそのような方向で見直すべきではないかと思います。  食品は医薬品のように顕著な効果を示すものではありませんので、厳密な投与量や食 品成分の厳密な表示などは必ずしも緊急の課題ではないと考えます。  認可されるすべてのジャンルの保健機能食品、いわゆる全部の食品については表示内 容を定期的に見直すことも必要であると思います。この表示内容などは、第三者機関な どに評価を求める必要もあると思います。  これらの食品の啓蒙のためには、生産者や販売者側の養成するスタッフとは独立した 第三者的なアドバイザリースタッフの養成が必要であると考えます。  以上7点です。それについて少し補足したいと思います。  まず健康にかかる食品という前提がありますが、これはいわゆる健康人を対象にして おります。生活習慣病などの疾病のリスクを軽減すること、あるいは生活の質を高める ことをめざすものでありますので、治療に用いられる医薬品とは本質的に異なるもので ある、全く異なるものであるということを前提にしたいと思います。  いわゆる健康人に対する食品、ここで問題になっている食品では、有用性の厳密な検 定は困難です。  つまり疾病ですと患者がおられて、その治癒効果の検定ということが技術的には可能 でありますが、食品の求めるものは疾病リスクの軽減とか、あるいは生活の質の維持増 進などといいますと、これは方法論的に厳密な実証はできないと思います。  結果的には疫学的あるいは動物実験あるいはインビトロの実験、それらを総合して考 慮しなきゃならないと思います。  これらの食品に対して有効であるかどうかというような、同じ厳密な、いわゆる治癒 効果としての有効かどうかという意味の効果の実証を求めることは現実的ではないと考 えます。  しかし、そうは申しましても、一般国民は、疾病の予防や健康の維持増進に非常に関 心がありまして、いわゆる健康食品に対して非常に強い関心を持っている、期待を持っ ているということは確かであります。  これは国民が質の高い生活を維持したい、あるいは健康を増進したいという一種の自 助努力として、その発露でありまして、決してこれは無視できないと私は思います。  国民は病気になって、それを治したいということもあるでしょうが、もともとは病気 になりたくないと思っているわけでありまして、健康にかかわる食品は、この点で医薬 品とは全く異なる独自の存在意義があると考えております。  したがって、効果の厳密な実証には至らずとも、先ほどから出ていますように、十分 な可能性を示唆することが、かなりクリティカルでありますが、重要なものになってく ると考えます。  特定保健用食品に関しては、先ほど申しましたように、現行の制度の見直しを行なう 必要は特にないと考えております。むしろ健康にかかわる食品の混乱あるいは種々の問 題というのは、いわゆる認可されていない健康食品にほぼ集中していると思うからであ ります。  いわゆる健康食品は認可されたものではありませんが、この中には、特定保健用食品 の認可をめざして研究を進めているもの、あるいはほぼ同じような結果が出ているもの の、最終的な健康なボランティアを使ったヒトの実験がないから申請しない、そういう ものもいろいろあります。これはかなり経済的なハードルの高いことがありまして、食 品としては、必ずしもすべてが容易に認可申請できるものではないという面も実際あり ます。  我々栄養・食糧学会の研究発表には、そのような学術的な基礎を明らかにした発表が 非常に多くありまして、かなりレベルの高いものが確かにあります。ピュアレビューの ある学術論文にも発表されております。  国民の健康に寄与する動物実験やインビトロの実験あるいは一応の安全性試験、そう いうものとともに、食経験が長きにわたるものがたくさんあるわけです。  一方では、そのような学術根拠を全く持たないもの、あるいはひょっとすると検討す る意思がないと思われるものも多くあります。  できる限りの学術的な検討を行なっている、いわゆるまじめな健康食品の中に、いろ んな食品が区別なく混じっているわけで、食品の全体の信頼性を損ねるというのはこの あたりに来ていると思います。  消費者にとっては、これらは区別がつかないわけで、今日の健康食品に関する信頼性 の問題というのは、消費者の最も関心の高い、いわゆる健康食品の区分が明確に整理さ れていないというところにあると思います。  そこで新たな区分として、特定保健用食品に準ずるものとして、ある程度の学術的根 拠と食経験があって、健康人を用いた試験データを省略する程度の穏やかな基準で、た とえば機能性食品という名前で、個別審査による表示の許可を与えることが妥当である と思います。  これは健康食品の混乱があるとすれば、その解決に大いに資するものであると信じて おります。  食品は医薬品と異なって、顕著な薬効を期待するというべきものではございません。 そのように、もし著しい薬効がありましたら、当然、副作用も考慮すべきである。しか し、幸か不幸か、長年の食経験のある食品ではそういうことがないわけでありまして、 したがって、厳密な投与量の設定あるいは有効成分量の厳密な表示などというのは、必 ずしも食品を考える場合、緊急の課題ではないと考えます。  しかし、万が一、当該食品の摂取において不測の事故が起こった場合には適切な処置 がなされるべきであるとは思います。  医薬部外品や栄養機能食品の中には、成分内容や期待される機能などからみて、たと えば機能性食品として、食品に一元化したほうが混乱が避けられると思えるものが見ら れます。この方向で見直しが必要ではないかと思います。  有用性の厳密な実施は困難であると申しましたが、認可されている保健機能食品につ いては、国民の健康状態の変化、学術の進歩による新事実の発見、当該食品の販売実績 の推移などを考慮いたしまして、その内容を定期的に見直すことが、国民の信頼の維持 につながると考えております。  許可品目や、許可された表示内容などについては、第三者機関に評価を依頼する方向 も考える必要があるのではないかと思います。  このような消費者の判断の材料が適切に提示されたならば、実際の効果の実感、これ は使ってみないとわからない面があるわけです。しかも、実証は非常にむずかしい。そ ういう分野でありますので、最終的には消費者の選択や良識に任せることが現実的な対 応であると思います。  最後に、行政や関係業界あるいは消費者の積極的に果たす役割という面について触れ たいと思うのですが、行政としては、消費者が疾病の治癒ではなくて、疾病にかからな いことを最も望んでいる。そして、その方向で自助努力を始めているということを受け とめて頂きたいと思います。  関連業界としては、当該食品の学術的根拠の強化に努めて頂きたい。そして、誠実で 透明性のある情報公開制が非常に大事だと思います。  また、消費者に関しても、正しい判断を行なうための自発的な努力は必要と思いま す。これには関連学会も正しい情報を提供すべきである。また、それを支援する必要が あります。  現状では、マスコミの食品情報が、消費者の最も信頼している情報となってしまって おりまして、これは必ずしも学術的な責任があるわけではないわけで、この自体を放置 することは正しいことではないと考えております。  これらの趣旨を生かすために、生産・販売者側のスタッフとは独立した、消費者側に 立った第三者としての判断のできる広い知識を有するアドバイザリースタッフの養成認 定が必要になると思います。  以上です。 ○田中座長  ありがとうございました。それでは引き続きまして、日本生薬学会から吉川参考人よ りお願いいたします。 ○吉川参考人  日本生薬学会の吉川でございます。  私どもの学会は生薬学に関する学術の進歩及び普及を図ることを目的として設立され ておりまして、昭和22年から発足しております。  メンバーは、国公私立薬系大学の研究者、教員や学生を中心といたしまして、生薬を 取り扱っております企業の研究者などから構成されております団体でございます。  和漢生薬といいましょうか、漢方薬に入れられておりますような天然医薬物をはじめ といたしまして、アュル・ヴェーダ生薬、アルベーダ生薬、ジャム生薬、ユナニー生薬 といった、西洋ハーブも入りますが、世界各地の天然薬物、伝承薬物につきまして、伝 承の調査、資源開拓、また栽培育種、また、有効性の証明といいましょうか、伝承薬効 を証明する。更に、その活性成分を探索、発見して医薬リード化合物を創製するという ような研究をやっている団体でございます。  生薬の中には、食品的要素の非常に強いものがたくさんございまして、それらに関す る私共の研究成果をもとにして生薬が健康食品素材として実際に広く利用されているの が現状でございます。  そこで意見具申をさせて頂くわけでございますが、まず国民の健康作りにおける健康 食品の役割ですが、わが国におきましては漢方医学に代表されます伝統医学というもの が昔からございます。そして、いろいろな疾患、軽度な疾患も含めまして、生活習慣病 とかアレルギー等の予防・治療または健康維持とか増進に対しまして、漢方処方薬とか 日本の民間薬、伝承薬、生薬製剤などの一般用の医薬品と医薬部外品によって、これら は薬事法にのっとりまして製造・管理・販売されているわけでございますが、こういっ たものが十分に機能を発揮しているかぎり、健康食品の存在理由というものがないと私 共は基本的に考えております。  しかしながら、最近、医薬品に対する副作用とか医療ミス等が喧伝されました結果、 一部の消費者の方々に、医薬品とか医療システムに対する不信感が出たことは否めない 事実でございます。  更に、一般用医薬品とか医薬部外品が、これは企業努力も足らなかったこともござい ますし、また、薬事法の制限といったこともございまして、国民の健康への意識とか ニーズに対して十分な対応ができなかったことも一部ございまして、いわゆる健康食品 というものがあらわれてきたということは認めざるを得ないところでございます。これ までの先生方のお話にありましたように、健康食品を国民の約40%が使っておられ、 そしてまた、年間の売上高が約1兆円にも達すると聞いております。  国民の皆さんが、健康維持とか病気予防に対して医薬品が不十分と考えまして、セル フメディケーションの選択肢の一つとして、いわゆる健康食品を選ぶ限りにおいて、そ の存在を認めざるを得ないのではないかと考えているところでございます。  わが国におきましては漢方医学というものが昔からございまして、生薬が発見されま した経緯というのは、食べ物の中から効力のあるものが見つけ出されてきたということ は周知のことでございます。  そして、伝統医学におきましては未病治療といいましょうか、病気治療とか健康維持 というものが最高の医療として考えられておりまして、安全で長期連用に耐え得る食品 的要素の強い生薬を大事な薬であると考えております。  それで、食品的な生薬による健康維持(食養)や病気治療の促進(食療)というよう な考え方が、我々の領域では常識として考えられておりまして、いわゆる薬食同源とか 医食同源というような考え方になっております。これが最近、新しい事実のような形 で、食品領域からは提唱されておりますのは、私共にとりましては意外なことだと考え ております。  食べ物につきまして保健機能食品制度というものが作られているわけですが、よく見 聞きすることに、審査が厳しくて、医薬品に準ずるような要求があって、そういったも のをクリアすることはなかなか難しい。しかも、それをクリアしても、私どもは商売の ことは分かりませんが、なかなか有効に利用できないというようなことを聞きます。こ の制度につきましては、私どもの考え方といたしましては、健康食品を、いわゆる健康 食品という名前が良いのか悪いのか分かりませんが、保健機能食品(特定保健用食品) と一般食品の中間的な位置づけをする必要があると考えます。これには新しい名前をつ けて頂いた方が良いのかもしれません。  先のご報告でありましたように、健康補助食品というのでしょうか、維持食品という のでしょうか、新しい看板をつけて頂きまして、安全性の証明とか、構成成分の表示、 品質ですね、そして、服食基準というのでしょうか、用法・用量とかの表示が必要と思 います。一方で、有用性の表現につきましては、これは少なくとも先ほどからお話があ ります疾病の予防効果程度の表現につきまして相応した規制のもとに許可するといった らおかしいのですが、審査をして頂いて、これは個別審査がよろしいかと思います。  そして許可を与えて頂いて、これまで無承認・無許可であったような健康食品を相応 する位置づけをして頂くように我々は期待しております。  そして、こういったものの販売ルートになりますが、薬剤師とか、それに相応する取 り扱う者に対しまして十分な情報を伝えて、消費者に対して説明できる体制を構築して 頂きたいと考えている次第でございます。  2番目の健康食品の利用・製造・流通の実態は、国民の健康づくりに有効に機能して いるかというところでございますが、これはテレビをつけますと、健康関連のテレビ番 組が多数ありまして、多種多様な情報が現在流れております。  これまでの先生方のお話にもございましたが、これらの情報の中には、明らかに目を 覆うような、医学的また薬学的に理解できない非科学的な、不正確で有害とも言えるよ うな、虚報と言えるようなものもございます。インテリジェンスの他にインフォメー ション、アジテーションまであるような情報が流れております。我々薬学の領域の人間 も、こういう健康食品に積極的な関わりを避けてきたような傾向もございますが、昨今 の健康食品に関わる色々なトラブルを考え合わせますと、積極的な関与を避けて通るわ けにはいかないと考えております。  消費者はどのようにして、情報のないところで利用しているかと申しますと、個人的 な使用経験のみで選んでおられるのではないか。そして、高額な費用を使っているわり には効果が出ているのかなと我々は懐疑的に見ているところでございます。  そこで、流通とか製造といったところには、食品だろうと医薬品だろうと、健康にか かわるものに対しましては、倫理観が絶対に必要でございます。奉仕の精神に基づく倫 理観を持ち、更に生薬学といったような薬学をはじめ医学、食品学、栄養学といったよ うな学際的な知識を修得した後に、国家試験かどうか分かりませんが、それに合格した ような資格を与えられたものに限定して製造・販売・流通というものを許可して頂きた いと考えているところでございます。  これは極端なことでございますが、最近のコンビニで医薬品を売るかというようなお 話もございますが、国民の健康に関する限りは規制緩和はあり得ないように私どもは考 えております。  3番目の、行政はどうあるべきかということでございますが、これは先ほど申しまし たように、食品による病気予防とか健康維持とか治療の促進といったような言葉は、 我々伝承医学の領域では最も高度な医療行為でございまして、たとえば「周礼」という 古代中国の法律ではお医者さんをランク分けしておりまして、食医というのは、食物で 病気予防、健康維持させる医師のことで最も高度な医療行為のできる方と考えられてお ります。それを国民の判断のみに押し付けることは非常に危険なことではないか。むし ろ高度な技術・知識を持つようなスペシャリストに販売とか製造とかをやらせないと、 トラブルのもとになるのではないかと考えております。  ですから、行政におかれましては、健康食品を一般食品から新しい枠組みに入れて、 規制と認可システムと製造、販売に関わる資格についてのシステムを作って頂いて、消 費者に対して健全で有用な健康食品と正確な知識を与えて頂くような形でお願いしたい と思っております。  そして、こういったことを実際にやるためには、学際的な、大学と官と産とが協力の もとに、いわゆる健康食品に対しまして大規模研究を推進して頂きまして、色々知見を 消費者に提供すべきシステムを構築して頂ければと期待しております。  以上でございます。 ○田中座長  ありがとうございました。それでは、伏木参考人と吉川参考人に対する質問、御意見 を頂戴したいと思います。 ○橋詰委員  伏木委員に一言ですが、聞き間違ったかもしれませんが、商品の成分表示は要らない とおっしゃったのではないかと思いますが、そうではないですか。 ○伏木参考人  商品の厳密な表示は要らないと。特定成分を医薬品と同じように厳密に表示するの は、特定できない部分もあるし、そこまで必要ないだろうと。成分の表示はもちろん必 要です。 ○橋詰委員  臨床側からいいますと、食物アレルギーがあるのですよ。アナフィラキシー・ショッ クなんか起こることもある。  諸外国でも、成分の表示は……。 ○伏木参考人  それはもちろん。 ○橋詰委員  次に吉川委員に。  一番困るのは、食薬区分で生薬の部分です。ポリシチンみたいなものは植物からとれ るけど、あれは原材料が医療品になっていますが、もう一つは、中毒性のあるものと か、依存症になりやすいものはいいのですが、問題は、区別ができないので抽出物で区 分しているのですよね。水とエタノールでやって、そのほかのものは医薬品にするとい う現状ですが、先生、そこらへんをどうお考えなのか。 ○吉川参考人  まず食薬区分でございますが、これは、たとえば西洋ハーブで食経験も全くないもの が、いわゆる健康食品として市場に出回っておりますね。  こういったものは米国の圧力とかいろいろ聞いておりますが、こういう外圧に負けて 認めていっているというようなことは非常に危険なことでございまして、こんなことを 言うと後で怒られるかもしれませんが、このへんは確固たる常識のところで御判断頂か なければいけないと思っております。  私共といたしましては、いま薬事法でのミックスチャー、創薬の単品の抽出エキスで さえも医薬品または医薬部外品として認めて頂くことは非常に難しい状況になっており ます。  かつて武見会長と園田厚生大臣がおられたときに漢方処方薬を認めて頂いて以来、こ ういう混合物を医薬品として認めて頂いている例が非常に少ない状況でございます。  このへんにつきましては、これは行政の先生方の高度なご判断で、やはり医薬品のレ ベルを下げるのではなくて、実態に即した御判断を頂きたいなと期待しているところで ございます。 ○橋詰委員  ヨーロッパのほうでも国によって生薬の扱い方が違うのですよね。医薬品に入れる か、食品に入れるか。  私も怒られるかもしれませんが、ある程度妥協しないで、こういう高度な技術の要る ものは食品に入れたほうがいいと思うのです。追加しておきます。 ○田中座長  他にございませんか。  では、6人の方どなたに対しても結構ですので、もし追加があれば。 ○合田委員  確認したかったのですが、現行の保健機能食品制度については、とりあえずいまのま までよいというご意見ですか。江口参考人から、最初の4人の方に伺いたかったんです が。 ○江口参考人  いまのままでいいとは言いません。いま画一的な医学的な効能評価法をとられており ますけど、これに問題がある。それを見直して頂きたい。  それから、保健の用途の表示が許されていますが、審査会等で決まったものを許可さ れておりますが、これが疾病のリスク低減効果の表示を要望したい。  85%の健康食品というのは複合成分ですよね。だから、関与する単一成分の評価法 は問題があるんじゃないか。画一的にできない側面を持っていますので。  そこらへんで、いまある85%の健康食品を保健機能食品制度の中に取り込んでいく には、我々としては、そこらへんの見直しを強く要望するということでございます。 ○合田委員  絞ってお願いしたいのですが、個別審査をすべきかということと、もう一つは、実際 にいま現行のものについて、必ずそのものでの食品で審査をしなきゃいけないですね。 その二つだけに絞ってお願いします。 ○江口参考人  特定保健用食品は個別審査ですね。規格基準は、その基準に合致すれば自由にできる ということで、それの仕分けは現行制度でいいのではないか。  その方法について、規制緩和になると思いますが、詰めて頂きたい、見直して頂きた いということです。 ○吉田参考人  まず特定保健用食品ですが、これは以前と名前は変わってないんですが、実際に運用 すると、以前より非常に、安全性に関しても有効性に関してもお金がかかる制度になっ てしまっている。  これは私どもは前に戻せとは言いませんが、もっと改善をする必要があると思いま す。  2番目の栄養機能食品の制度に関しましては、たとえば表示の仕方も非常に規制がご ざいますし、規制があるというのは、たとえば一言一句変えちゃいけないというような 強い規制がございますし、そこにいろんな、たとえば厚生労働省の認めたものでないと か、そういういろんなことを書かせるとか、非常に規制色の強いものだと思っていま す。  栄養素機能強調表示という制度は国際的な制度でございますから、そのアイデアは悪 くないと思うんですが、わが国の制度としては非常に規制色の強いものだと思っていま す。  そのほかに、栄養機能食品に関しましては、さっき申しましたように、たとえば最大 摂取量を、国際的に見てもおかしいような基準にして、何が何でも、いわゆるOTCよ り下に置くような無理無理の制度になっているという点も改善が必要だと思っておりま す。  それと、さっきの健康食品を一般食品の方に入れてしまったということで問題がある と思います。  私ども、現行の制度は変えるべきだとは思っていますが、現行の制度に即して問題点 を申し上げると、以上に絞られると思います。 ○大濱参考人  私どもが考えています健康食品といいますか栄養補助食品については、考え方の中で 規定していますので、その規定に基づく健康食品、栄養補助食品に関しては、保健機能 食品制度から切り離して包括的な法制度を設けるという考え方を提出させて頂いており ます。  それでよろしいでしょうか。 ○合田委員  結構です。 ○小川参考人  同様な意見でございますが、私どもは現行の保健機能食品は、栄養補助食品の全体か らいえばごくわずかな存在であると思っております。  そういう意味から、そのほかに置かれている、いわゆる健康食品といわれるものにつ いての新たな法制度を求めておりまして、それとは切り離して、ですから、現在のもの に即座に手をつけるというようなことは考えておりません。 ○田中座長  ほかにございませんか。  事務局のほうで、今栄養機能食品、つまりビタミン12種、ミネラル2種について、 特に上限値について科学的根拠がないものを定めているというようなことがありました ら、その点について追加してくださいますか。ないと言われているのですから。 ○尾形室長  個々の上限値の設定の考え方はやや複雑ではありますが、一口にごく大ざっぱに言い ますと、国民の平均の栄養所要量がございます。これが何よりも基準でありまして、そ れと実際に平均的に摂取されている栄養摂取量、それを勘案した上で決めているという ことでございます。  その際、あくまでも医薬品とか医薬部外品における基準というのは参考にしていると いうことでございまして、大もとにあるのは栄養所要量の考え方でございます。 ○田中座長  一応栄養所要量の許容上限摂取量は、多くの研究者が科学的な根拠を見つけ出して定 めたものでありますし、日本人の体位等も考慮に入れられています。また、医薬部外品 で定められている上限値を超えてはならないというところから見たものですので、科学 的根拠がないとは私は言えないと思います。 ○吉田参考人  私も科学的根拠がないと申し上げておりません。国際的基準に照らしておかしいので はないかと思われるものがあると申し上げたわけです。  その理由は、アッパーリミットのほうが部外品の最大値よりも低い場合にはULを採 用し、ULのほうがOTCの所要量よりも多い場合にはOTCの上限量を採用するとい うようなちぐはぐな、これは、いまの尾形さんのご説明を聞きますと、結果としてそう なったんだと言われればそれまでかもしれませんが、私どもからみると、必ずOTCを 超えないように操作をしたように見えるわけでございます。そういう意味で申し上げた わけです。 ○田中座長  医薬部外品の上限値は超えないというのは、決められたときの事実であります。 ○吉田参考人  栄養所要量ですから、医薬品とは関係ないと思います。食品の……。 ○田中座長  医薬部外品のことをも参考にして、あのときは決められたのです。両者を。 ○吉田参考人  そうですか。そうしたら、その基本の考え方に私は異議がございます。 ○田中座長  ほかにどなたかご質問ございませんか。 ○吉岡課長  事務局からの質問で申しわけございません。  資料の4でご説明いただきました、ACCJの小川参考人からのご説明ですが、資料 4の4ページに、前のページから引き続きまして、ご提言が四つに集約されておりま す。  (4)、4ページの一番上ですが、「健康食品の摂取によって万一健康被害等の不祥 事が発生した場合」、ここは何か具体的なイメージがあるのでしょうか。具体的に適切 な対応がとれる体制を整備すると。  もしよろしかったら、アメリカの例なんかご参考にコメントをいただければと思いま す。 ○大濱参考人  私のほうからお答えさせていただきます。  まずアメリカの例からいいますと、副作用報告制度というのはいまかなり厳密に考え られておりまして、いろいろなやり方がありますが、一番問題が大きいところは、ホッ トラインで直接FDAに報告をするという過程から、幾つか段階を経て最終的にはFD Aに全部行って、出た結果が公表されるというやり方をとっております。  日本でそれがすぐできるかどうかというのは大変問題があると思いますので、これか らの検討課題だと思いますが、少なくとも、たとえば販売店とか製造会社に対して副作 用が生じた場合には消費者のほうから報告をする。  医薬品の場合とよく似ていると思いますが、そういったところはきちんと、厚生労働 省なりしかるべきところに報告が上げられていって、国民のほうにフィードバックされ るというような制度をつくっていかなきゃいけないと思っておりますが、具体的なとこ ろまではまだ考えておりません。 ○吉岡課長  文章を読んだ範囲では、いわゆる医薬品の副作用被害の救済のように、たとえば事業 者さんが集まって基金を出したり、そういうイメージではないということですね。  具体的に被害を受けた消費者は、だれに対して損害賠償を要求されますか。 ○大濱参考人  それは当然、その被害のもとになった商品を発売したところがやはり責任があると 思っております。  一つ追加ですが、それはたとえば情報の適切な提供がなされていないということも含 めて考えていかなきゃいけないと思います。 ○吉田参考人  今の点に関して補足させて頂きたいと思うんですが、米国には有害事故報告制度とい うのが一番最初に問題になったのは1996年ですが、それ以来、ことしの春、新しい 制度は発足したはずですが、まだ、その結果を私は聞いておりませんが、それはご存じ だと思うのです。  前の制度で一番問題だったのは、消費者が何かの副作用といいますか、有害作用が起 きた場合に、それと、その前に食べた栄養補助食品をすぐ関連づけて、その原因のため にこういう症状が起きたという報告をして、FDAは、その検証もないままにすぐ公表 して、そのことが因果関係がある場合もありましたが、ない場合もあったということで 問題になったわけですね。  それはGAOという、ジェネラル・アカウンティング・オフィス、米国政府議会の組 織ですが、そこからも批判を受けまして、FDAはそれを改訂しまして、そのまますぐ 公表するのではなくて、ワンクッション、そのメーカーなり責任者のほうに情報を渡し て、それがどういう可能性があるかということも勘案しながら、最終的にはワンクッ ション置いて公表するんですが、そのワンクッションが実際どういう制度になったかと いう最終のところを私まだ見ておりませんが、そういう問題が過去にあって、それを改 めようとして、特別の予算をもらって、この春にスタート、5月ぐらいにスタートした はずですが、それはまた別の機会に、調べたらご報告したいと思います。 ○田中座長  あと、いかがでしょう。南委員、何か質問、ご意見ございませんでしょうか。 ○南委員  一つだけ。かなり基本的なことになりますが、健康食品という言葉については、それ はやめたほうがいいと思われるのか、健康食品という言葉を残したほうがいいのか、消 費者サイドから、健康食品という言葉はかなり浸透しておりますので、いかがお考えか ということを伺いたいと思います。 ○江口参考人  この点に関しては、機能性食品にしろとか、栄養補助食品、健康補助食品とかいろい ろな名称が出ています。  だけど、我々全健協としては、健康食品というのはなじみが深いというか、歴史的な 意味から好ましいと考えております。 ○吉田参考人  大変難しい御質問ですが、ご指摘のように健康食品という名称には、過去のいろんな 事件がありましたので、それは必ずしも、誤報もたくさんあったんですが、そのために ちょっとダーティなイメージがあると考えているメンバーもおります。  が、私は、いまの江口さんと同じで、健康食品という名前が一番国民に受け入れられ ていると思いますので、健康食品という名称は変えずに、ダーティなイメージを払拭す るように、我々業界団体がいろいろPRに努め、行政のほうも制度を、私みたいなリベ ラルな考え方から、認可制度みたいな考え方がありますが、あまり規制を強くしない で、しかし、不適切なものは出回らないように、その点は、今度の食品衛生法の改正に よってかなりカバーできると思いますので、ダーティなイメージを払拭する努力をすべ きだと考えております。 ○田中座長  ありがとうございました。江口参考人、吉田参考人、大濱参考人、小川参考人、そし て伏木参考人、吉川参考人におかれましては種々の質問にお答えいただきましてありが とうございました。  予定の時間をかなりオーバーいたしましたが、本日の検討会はこれで終了にしたいと 思います。各参考人の皆さんにおかれましては、本日の検討会に御出席頂きまして心か ら御礼申し上げます。ありがとうございました。  なお、次回の日程ですが、事前に委員のご都合をお伺いしたところ、できるだけ多く の委員の方にご出席いただける日程としまして、第6回検討会は7月15日、火曜日、 午前10時から、厚生労働省の18階の専用第22会議室で開催することとしたいと考 えております。  本日はこれをもちまして閉会といたします。どうもありがとうございました。                                   ――了―― 照会先:医薬食品局食品安全部 基準審査課新開発食品保健対策室     (内線:4270、2459)