03/06/24 社会保障審議会児童部会第9回議事録                社会保障審議会児童部会                  第9回議事録              厚生労働省雇用均等・児童家庭局            第9回社会保障審議会児童部会議事次第           日時:平成15年6月24日(火)10:01 〜12:01           場所:経済産業省別館第944 号会議室 1.開会 2.児童虐待の防止等に関する専門委員会報告書について 3.都道府県・市町村の役割、児童相談所の在り方等について 4.閉会 ○岩男部会長  それでは、ただいまから第9回「社会保障審議会児童部会」を開催させていただきま す。本日は大変お忙しい中を御参集いただきまして、ありがとうございました。 ま ず、本日の出席状況を事務局から御報告をお願いいたします。 ○中村総務課長  本日は、服部委員と松原委員から所用により欠席という御連絡をいただいておりま す。ほかの先生は後ほどお見えになると思います。 ○岩男部会長  ありがとうございました。  はじめに、オブザーバーについてでございますけれども、前回から参加していただい ております、知事会、市長会、町村会の方に加えまして、本日の部会から中核市連絡会 の方にもオブザーバーとして御参加いただくことといたしましたので、よろしくお願い をいたします。  それでは、議事に移りたいと思います。本日は、まず「児童虐待の防止等に関する専 門委員会報告書について」を議題といたします。虐待防止専門委員会におきましては、 昨年12月から制度全般にわたるさまざまな課題が検討されてきましたが、今月18日に報 告書がとりまとめられました。この報告書につきまして、専門委員会の委員長を務めて いただきました柏女委員から概要を御報告いただきたいと思います。どうぞよろしくお 願いいたします。 ○柏女委員  おはようございます。昨年の12月から児童虐待の防止等に関する専門委員会の方に、 児童部会の方から私と松原委員、津崎委員の3名で参加をいたしまして、それ以外に委 員の方にお入りをいただいて総勢16名で、昨年の12月から、この6月まで議論をさせて いただきました。  皆様方のお手元に資料1と資料2がございます。資料1は、全体のまとめの概要を、 事務局を担当いただきました厚生労働省の総務課虐待防止対策室の方でおつくりをいた だいたものであります。  また、資料2は、今回の専門委員会の報告書ということになります。報告書の方は、 後ほどゆっくりごらんをいただければというふうに思いまして、資料1を使わせていた だきまして、簡略に御報告をさせていただきたいと思います。  実は、この委員会は、児童虐待防止法の見直しの規定を受けまして、今後、さまざま なところで児童虐待防止に関する論議が高まると。その際、現行制度の実施状況を踏ま えて、医療とか、保健とか、福祉とか、あるいは法律などの専門的な知見から制度全般 にわたって論点を整理して、あるべき一定の方向性を、合意できるものについては当面 の方向性を確認をしようではないかと。そして、いろんなところでの制度検討に、厚生 労働省の方のスタンス、それにどう対応していくのか。その一定のスタンスを定めよう ではないかということで、検討が開始されたものであります。  虐待問題につきましては、3つのステージが考えられるだろうということで、まず予 防です。それから、早期発見・早期対応、保護・支援・アフターケアと、この3つのス テージで考えていこうということにいたしまして、それぞれ16名で検討していては、な かなか議論も拡散をしてしまうので、3つのワーキングチームをつくろうではないかと いうことにいたしまして、予防と早期発見・早期対応、保護・支援・アフターケアと、 この3つのワーキングチームをつくりまして、それぞれで御検討いただいて、これが大 体、たしか全体で延べ9回ぐらいの検討があったかと思いますが、それに本委員会を5 回開催をさせていただきまして、今回、報告書の提出に至ったということでございま す。  委員会の審議は、それぞれ皆さん方、児童虐待防止に何らかの形で実務的に携わって いらっしゃる方がほとんどでございましたので、皆さん熱い思いを持っていらっしゃい まして、それこそ熱心な論議が展開をされておりました。それぞれお立場とか、あるい は御主張がございますので、果たしてまとまるのかなというふうに思われたときもござ いましたけれども、事務局の尽力、あるいはそれぞれの委員の方々の児童虐待防止に向 けて、何とかしていかなければならないという熱い思いが合意に至らしめたということ ではないかなというふうに思います。  ポイントといたしましては、資料2を開けていただきたいんですけれども、資料2の 1ページの下の方、「2.児童虐待防止制度見直しの基本的な視点」というところが、 一番根幹になるかと思うんですが、ここで5点の基本的な視点を確認いたしました。  1つは、虐待というのは子どもに対する重大な権利侵害であって、社会全体でそれに 取り組んでいかなければいけないのだという視点が1点であります。  2点目は、その取り組みを推進するに当たっては、子どもの最善の利益ということを 考えながら、予防、発見、再発防止、社会的自立に至るまでの総合的な支援、これを親 子に対して用意する必要があるというのが2点目であります。  3点目は、虐待を受けた子どもの保護・支援の充実に加えて、保護者に対する支援、 それを行っていく。そのことによって家族の再統合、あるいは家族の養育機能の再生・ 強化を視野に入れていこうということでございます。  そして、そのことは、4点目でありますが、一専門機関だけで、あるいは施設だけで 対応できるのではなくて、地域の幅広い支援ネットワークがあって、初めてそれが達成 されるのだということであります。  そして5点目ですけれども、現在、児童問題で大きな政策的な課題となっているもの には、いわゆる少子化と虐待問題ということが大きくございますけれども、虐待という 親子間の最も深刻な事象、つまり100 人のうちの1人の親子の問題にきちんと対応でき るシステムをつくるということは、すなわち100 人の子育て支援の問題の解決につなが るんだと、そういう視点を持ってやっていかなければならないだろうということを確認 させていただいて、とりまとめに入りました。  資料1にお戻りをいただきたいと思います。  この報告書につきましては、それぞれ合意できた点、つまり全員で合意できた取り組 みの方向性というものと、その具体的な取り組みに関する意見・提案というものと、今 後の課題という3つに分けて報告書を作成いたしました。具体的な取り組みに関する意 見・提案につきましては、必ずしもすべての点で合意できたものではないものも含まれ ています。言わば、両論を併記したというものもございますけれども、取り組みの方向 性、今後の課題というところにつきましては確認がなされておりますので、今回ここで は取り組みの方向性として確認された事項を中心に報告をさせていただきます。  まず、2ページの方をごらんいただきたいんですけれども、2ページの「主たる議論 の内容」というところでございますが、まず「予防」というところでは、「虐待予防に 関する保健師等の専門的支援については、『支援を望む人に幅広く』から『支援を必要 とする人にきめ細かく』へと考え方を転換し、支援の重点化を図っていくべき」。言わ ばスローガン的に、健診等においでになれない、ならない、そういう御家庭に対してき め細かく対応していくことが必要なのではないかということ、あるいは、そこにありま すように生後間もない時期の家庭、あるいは、自ら訴え出ないんですけれども実際には 過重な負担のある養育者、そうした支援を必要とする方々にきめ細かいアプローチをし ていく必要があるのではないか。  そのためには、その支援すべきものを確実に把握するということが必要なので、その ためにリスク要因や程度をアセスメントする指標を確立していく必要があるのではない か。 更には、一義的な相談など、あるいは訪問・援助を含めてですが、虐待の予防に 関する市町村の役割を強化していく必要があるのではないか。  それから、子どもの人権尊重の明確化、周知といったことが必要ではないかというこ とが話し合われました。  「早期発見・早期対応」のところでありますが、これは本委員会での審議とも密接に 関わるところでありますけれども、児童虐待防止対策の中心である児童相談所の現行体 制は、限界にきているのではないかという認識のもと、一部の業務の移譲、それも考え ていく必要があるのではないか。あるいは、司法関与によって、その援助機能を強化し ていく必要があるのではないか。更には、市町村の援助機能を、対応機能を強化すべき ではないか。こうしたことが確認をなされました。  具体的には、児童相談所の業務の重点化、機能の強化など、児童相談所全体の在り方 の見直しもする必要があるのではないか。この辺についても、かなり幅広い意見が、強 い意見が出されまして、私としても、こうした意見について児童部会の方で議論がなさ れるので、その熱い思いをお伝えしたいということで、こちらにつながせていただくと いう形にさせていただきました。  それから、民間団体も含めた幅広い虐待防止支援ネットワークを設置促進していくこ と。 あるいは、児童相談所という都道府県の機関ではなく、地域福祉の核となる福祉 事務所や児童委員などの活用が必要ではないか。  更に、家庭裁判所の承認に基づく親の意に反する施設入所措置でありますが、これに つきましては一定の期限つきのものとして、必要に応じて再審査をするといったよう な、そういう仕組みにしていきながら、例えば2年なら2年という期限の間に家族は家 族のすべきことをする、施設は子どもに対して心のケアをするといったような、それか ら、親に対して必要な援助を児童相談所なり民間団体が行うという、一定の期限を設け た上で支援をしていくことによって、その効果を高めていこうではないかといったよう なことが考えられました。  それから、緊急の場合に、子どもを施設へ入所する28条の申し立てをしたとしても、 その間、子どもを引き取られてしまうということもありますので、子どもの安全を確保 するという観点から保全処分ができる仕組みは導入できないだろうか。こうしたことに つきまして、司法関係者とともに御検討をしていただくようにお願いをさせていただき ました。  3ページをごらんいただきたいんですけれども、保護者指導でありますけれども、具 体的に保護者の方が援助を申し立ててくださるというか、何とかしてほしいという方に つきましては支援プログラムを開発していくということだけでいいわけですけれども、 そうではなくて、なかなか援助に乗ってこない、援助のプロセスに乗ってこない、そう いう方々につきましても司法の枠組みに適するような制度設計を前提にということで、 まだまだ検討すべきところは多いんでありますけれども、少なくとも司法が何らかの形 で関与して、例えば児童相談所の援助を受けなさいと、あるいは民間の相談機関、援助 機関の援助を受けなさいというような仕組みをすることができないだろうかということ で、それについて検討をしていただければという報告書にさせていただきました。  それから、児童福祉法は18歳までということになっておりますので、児童相談所長に よる親権喪失の申し立ては18歳未満ということになるわけですけれども、18歳から20歳 までのお子さんでも、そうした親権喪失の申し立てをしなければいけない場合があっ て、その場合で親権者がやってくれないという場合があるものですから、そういう場合 には児童相談所長が申し立てることができるというものを認めていくということが必要 なのではないかということであります。  それから、「保護・支援・アフターケア」の分野におきましては、社会的養護体系の 小規模化といいましょうか、規模の小さな施設、里親制度、自立援助ホームといったよ うなことをかなり充実していく必要があるのではないかということでございました。こ れにつきましても、非常に強い意見、希望、要望がございまして、この専門委員会で検 討させてほしいというような意見もあったわけでございますけれども、いや、それは新 しい社会的養護に関する専門委員会ができているので、そちらに十分意見を反映させて いただくので、こちらに引き取らせてほしいということで、やっと御納得をいただいた という状況でございますので、そういう強い意見が、これに対する期待があったという ことを申し述べさせていただきたいと思います。  それから、市町村の役割強化といったことも挙がっておりました。  3つの分野で、こうした視点が挙がっておりまして、最後に、それぞれの分野で共通 して取り組まれておりました市町村の役割強化ということがございます。予防、早期発 見・早期対応、保護・支援・アフターケア、いずれの分野においても市町村の役割をも う少し強化していく必要があるのではないか。児童相談所の業務のスリム化と市町村の 役割を強化していくこと、これはこの本部会の方での検討の大きなテーマであるかと思 いますので、専門委員会でもそうした声が強かったということも併せて御報告をさせて いただきたいと思います。  いずれにいたしましても、この専門委員会での報告は一部に、一部といいましょう か、子ども家庭福祉の体系全体の中では一部にすぎないわけでありますけれども、子ど も家庭福祉の制度改革全体にわたる幅広い御意見があったということを御報告をさせて いただきます。 なお、そうした御意見につきましては、本報告資料2の、それぞれの 具体的な意見・提案というところ、あるいは後の方に、23ページ以降になるかと思いま すが、それぞれの分野における論点事項に係る意見や具体的な施策に関する提案が23ペ ージからずっと、41ページまで上がっております。こうした意見も、この部会の方で、 それぞれのシステムの御検討をいただくときに御参考にしていただければ幸いに思いま す。  ちょっと長くなってしまいましたけれども、以上で報告とさせていただきます。 ○岩男部会長  ありがとうございました。柏女先生を始め、専門委員会の皆様方の御尽力に、まずお 礼を申し上げたいと思います。  それでは、ただいまの御説明に何か御質問等がございましたら、どうぞ御発言をお願 いいたします。  資料2の29ページ以降ですか、児童相談所との関係でいろいろと御意見・御提言があ ったものがまとめられているようですけれども、先ほど委員の間で大分御意見が分かれ たようなところもあったように伺いましたが、何かこの関連で、特にこれからの、本日 後ほど児童相談所の問題を議論いたしますけれども、それとの関連で一応お話を伺って おいた方がよろしいようなことがありましたら教えていただきたいと思います。 ○柏女委員  それでは、この分野については津崎委員が、そのワーキングチームの座長を務められ ていらっしゃいますので、もし何か、そうした児童相談所の機能についての意見の違い といいましょうか、そういうものが、もしございましたら御報告をお願いしたいと思い ますが、よろしいでしょうか。 ○津崎委員  児童相談所の機能で大きく意見が分かれたというのは余りありません。むしろ、司法 との関与の仕方で現状をいろいろ考えたときに、司法の役割がどこまで具体的な法的根 拠を含めて広がりを見せることができるのか、あるいは今の福祉、特に行政機関として の福祉の実務の実態を踏まえれば、運用という点で処理される方が、まだ現状では適切 なのではないのかとか、その辺、いわゆる司法と福祉実務との関わりの点で、かなり意 見が分かれるという部分がありました。  そういう意味での児相の在り方、いわゆる行政サービス機関としての児相が行政機能 として支援をしていくことを中心にすべきなのか、それだけではやはり限界があって、 そこに司法的なものを、かなり組み込ませた形で福祉の全体的な運営ということを考え ていかないといけないのか、その部分で意見がかなり分かれた議論があったというふう なことでございます。 ○岩男部会長  ありがとうございました。ほかに何か御意見・御発言ございますでしょうか。よろ しゅうございますか。  それでは、次の議題に移りたいと思います。次の議題は前回に引き続き、「都道府県 ・市町村の役割、児童相談所の在り方等について」でございます。ただいまも御報告の ありました専門委員会報告書の内容も踏まえて、議論を進めてまいりたいと思います。 なお、前回時間がなかった関係で、網野先生の御発言・御質問を次回に持ち越しという ことにしておりましたので、後ほどどうぞ御発言をいただきたいと思います。  事務局において、児童虐待の防止等に関する専門委員会報告書の指摘、前回の津崎委 員提出の論点、前回の部会で出された御意見を基に主な論点事項を整理してくださって おりますので、その資料と関連の参考資料について、まず事務局から御説明をお願いを いたします。  また、児童相談の実施体制の在り方に関する市町村調査の結果が出されておりますの で、これにつきましても引き続き事務局から御説明をいただき、その後に主な論点事項 を中心に御議論をいただきたいと思います。  それでは、事務局からお願いをいたします。 ○中村総務課長  それでは、資料3、資料4に基づいて、主な論点事項と関連する参考資料を逐次参照 しながら御説明をいたします。  主な論点事項につきましては、ただいま岩男部会長の方からお話ございましたよう に、専門委員会の報告書、津崎委員から提出された資料、更には前回での意見を基にい たしまして、主な論点、大体12項目ございます。それから、それに関連します先ほどの 報告書等からの抜粋ということで、議論の進行に役立てようということでつくったもの でございます。  まず、1つ目の論点ですが「今後の児童相談所が果たすべき役割、介入機能と支援機 能の役割の調整」ということでの御意見を整理してみました。  1つは、児童相談所のアイデンティティーをどう考えるか、権限の発動が中心となっ た場合に、従来のケア機能をどのような形で統合するのかというような御指摘がござい ました。  児童相談所には、子どもの権利を守る機関として確固たる役割を果たすことを期待。  相矛盾する役割を担うことから生じている困難を、介入や支援機能の分散等により軽 減することが必要というような意見もございました。  児童相談所は、介入もケアも担うが、軽いケアは市町村やその他の機関へ移譲した り、連携により対応することが合理的かつ実態にかなっている。  児童相談所における介入は、その後のケアと連動した介入を行っており、必ずしもケ アとは切り離されていないのではないか。  介入と支援は矛盾せず、介入の中にケアの要素が入っている。  従来の対人援助は、ソフトなアプローチを重視し過ぎていたが、強い父権的なという 言い方があったと思いますが、対応が摩擦を乗り越えた関係の中で後のケアに有効に機 能することもあり、そうした対人援助の理念、手法もあり得る。実際上の工夫を重ねて いくことが必要という御意見がございました。  児童相談所の虐待対応に関する対応力の強化を図るため、司法関与の仕組みについて も検討することが必要ということで、これについては先ほど専門委員会の報告書の中に もありましたように、何点か改善の方向が専門委員会の報告書でも示されております。  児童相談所が、子どもの権利養護機関としての機能を果たすことの是非というような ことも言われております。  次のページで2点目ですけれども「児童相談所の必置規制」についての御意見でござ いますが、これは昨年出ております、以前も御紹介したかと思いますが、地方分権改革 会議の方からは児童相談所・児童福祉司を含めた児童福祉サービスの在り方についての 検討が必要であるということが言われております。  児童相談所の有する権限発動の役割や職員の質の確保等の観点から慎重な検討が必要 ということが、専門委員会の方からは言われております。これはどちらかと言います と、分権会議の方が必置規制を緩和するような方向を念頭に置いての検討を言われてい るのに対して、専門委員会の方はどちらかと言うとそういう必置規制の緩和については 慎重な検討が必要というような御意見であろうかと思います。  他の相談機関との複合化を目指す流れがありますということですが、参考にございま すように、実は既に地方分権推進法の施行に伴う通知というものが資料4の1ページを 見ていただきますと、そこに抜粋が出ておりまして、そこにございますように「児童相 談所については、弾力的な名称の使用及び他の相談所等との統合も可能であること」と いうことで、そういう流れができておるところでございます。  そして、参考資料4の2ページを見ていただきますと「児童相談所における他の機関 との統合・併設の状況」という資料が平成14年度の厚生科学研究、この当時は180 か所 の児童相談所の中から155 か所から回答をいただいたということで出ておりまして、単 独のものが71か所と45.8%、統合されておるものが54か所ということで34.8%、併設が 30か所ということで19.4%というような状況になっております。  その下の資料にございますように、統合・併設されておる機関としては、やはり福祉 機関が多いわけですが、取り分け障害者の更生相談所と一緒になっているというような ところが多いようでございます。  その他というところが18あるんですが、ここでは教育相談機関、あるいは看護学校と か職員研修所というような建物として一緒につくられているというような意味合いのこ とだと思いますが、そういう状況でございます。  元の資料に戻りますが、地域の実情に応じた児童相談所機能の幾つかのタイプがあっ てよいと、組み換えのフレキシビリティーがあってよいというような御意見がこの前出 ております。  3番目の論点事項といたしまして「市町村の役割強化、市町村との役割分担」という ことで、特にそういうことによって児童相談所における業務の重点化を図ろうというこ とでございます。  それに関する御意見といたしましては、専門委員会の報告書では一部の業務を他の機 関に移譲し児童相談所の業務の重点化を図るなど、児童相談所の在り方等について見直 しを検討することが必要。  障害相談、健全育成相談などは市町村や障害者更生相談所等での役割分担が考えられ る。 児童相談所は、要保護児童相談や権限発動の機能に比重を置くべき。  児童相談所は、専門機関としての機能を充実させ、市町村等との連携を図り、継続的 な援助過程は住民に近いところで支援し児童相談所がそれをバックアップするような新 たな市町村と児童相談所の関係、在り方も課題であると。  地域ネットワーク体制の推進・強化と運営管理体制の明確化、マンパワー、サポート 資源の創出というようなメモがございました。  4つ目の論点は「児童相談所の中核市による設置可能化」ということでございます。  中核市についての資料は、参考資料、資料4の3ページに出てございます。  中核市と申しますのは、地方自治法に要件が定められておりまして、1つは人口30万 人以上、2つ目といたしましては面積100 平方キロメートル以上であるということが要 件とされております。  現在、中核市は37市ございまして、そこの資料にございますように県の児童相談所が 存在しているところが34市というふうになってございます。  3ページの資料に併せまして、児童の福祉施設の設置状況、それぞれの中核市の中に 施設が存在するかどうかというものを見た資料も併せて載せてございます。  4ページには「中核市設置のメリット・デメリット」ということで整理をさせていた だいておりますけれども、専門委員会の報告書の方では児童相談所の数が増えて住民の 身近になるというメリットと、職員の専門性の確保が可能か、あるいは保護児童の入所 措置に係る広域調整が可能かといった課題も踏まえ検討することが必要という御意見を いただいております。  5つ目の論点といたしまして「障害相談、障害判定、障害児入所施設措置」の取り扱 いについてでございます。  これにつきましても、地方分権改革会議の方からは、障害児の施設入所決定事務の市 町村への移譲の検討ということが指摘をされております。  障害関係の問題につきましては、5ページから8ページにかけまして支援費の仕組み についての資料を載せさせていただいておりますが、取り分け7ページを見ていただき たいと思います。  障害の相談に関しましては、障害児に対する福祉サービスのうち在宅支援事業、すな わちホームヘルプでありますとかデイサービス、それからショートステイにつきまして は、支援費制度の対象となっておりまして、市町村が支援費の支給を希望する者のうち から相談を受けて支援費の支給を行うこととされております。そういうことで、障害児 の相談支援につきましては一定の範囲で市町村が担うということで、この4月から動い ておるところでございます。  ただ、施設の入所措置につきましては、引き続き従来どおり県の仕事ということで整 理をされておるところでございます。  そういうことを念頭に置いて、地方分権改革会議の方からの御意見が出ておるという ことでございます。  2つ目のポツでございますが、障害認定機能が増大をしておる、あるいは、肢体不自 由児の相談においては、医療先行の手続事務が主体となっておって、一定の整理が必要 なのではないかということが津崎委員のメモに出ております。  障害相談、健全育成相談などは市町村や障害更生相談所等での役割分担が考えられる ということで、これは先ほども出ておりましたけれども専門委員会、津崎委員の資料、 両方に出ております。  6つ目といたしましては「非行児、不登校児等への対応」ということでございます が、これにつきましての意見としては、地域資源の創出、教育や司法との連携による地 域活動の活性化が必要と。  あるいは、不登校児童の増大、引きこもりの年長化現象を踏まえ、取り組みの体系 化、教育、医療、保健、民間等との連携、役割分担が必要、そんな御意見が出ておりま す。  7点目は「児童相談所職員の配置の充実、専門性の確保・向上」ということでござい ます。  これにつきましても幾つか意見が出ておりまして、専門委員会の報告書の方ではスー パーバイズ機能の強化、職員の増員が必要ということが言われております。  部会では児童福祉司のより一層の配置が必要というのが現場の声だと。  昨年から横浜市の情短施設に併設をしてスタートしております、子どもの虹情報研修 センター等における実践研修の実施、専門相談等の充実が必要ということが専門委員会 の報告で言われておると。  スタッフの研修の充実、質の高いスーパービジョンを期待するというような御指摘が ございました。  福祉専門職の採用、専門職の中途採用、人事ローテーションなど人事管理の在り方の 見直しが指摘をされております。  同じようなことですが、一般行政職員のローテーション人事ではなく、心理職、児童 精神科医など専門職員の配置が必要。  職員のメンタルヘルスが重要である。  児童相談所における医療機能の充実が必要。  幅広い専門職種との連携強化を図ることが必要というような指摘がされております。  これに関します資料といたしましては、10ページに「児童福祉司の配置状況等」につ いての資料が出ております。  前回、児童福祉司の任用の条件等について御説明をいたしました。そこにございます ように、一定の任用資格が定められておるわけですが、それぞれについて下の方に条件 が書いてあり、その上の方にどういう人数で配置されているかということであります が、5月1日現在1,717 人の内訳を見てみますと、一番多いのは2号ということで、学 校教育法に基づく大学において、心理学、教育学、もしくは社会学を専修する学科、ま たはこれらに相当する課程を修めて卒業した者という方が6割くらいを占めておりま す。  次に多いのは4号ということで、社会福祉主事として2年以上児童福祉業務に従事さ れた方と。  5号ということで、前各号に掲げる者と同等以上の能力を有すると認められる者であ って、厚生労働省令で定めるものということになっております。  その下の方に、実際の児童福祉司さんの平均従事年数等の資料が平成13年の厚生科学 研究から出ておりますが、そこにございますように児童相談所における通算勤務年数の 平均が5.7 年、それから児童福祉司としての勤務年数の平均が4.5 年、それから児童虐 待ケースの担当年数の平均が3.6 年というような状況になっております。  資料の11ページ、12ページにつきましては、児童福祉に関連します専門職種、相談員 等についての名称、あるいはその業務内容、それからどこで活動しておられるかという ことを整理したものを参考までに載せましたので見ておいていただければと思います。  関連して、論点の8といたしまして「児童福祉司の必置規制、任用資格のあり方」と いうことでございますが、先ほどちょっと御紹介いたしましたように、児童福祉司につ きましても地方分権改革会議の方から児童相談所・児童福祉司を含めた児童福祉サービ スの在り方について検討ということでされておりますので、これにつきましても専門委 員会の報告では児童相談所の有する権限発動の役割や職員の質の確保等の観点から、緩 和という方向については慎重に検討することが必要であるという御指摘をいただいてお ります。  論点の9項目めは「心理判定員業務および名称の見直し」ということでございます が、これに関連しましては、13ページに資料がございまして「心理判定員の職務内容お よび業務の状況」ということでございます。  児童相談所の運営指針では、心理判定員の主な職務内容として2つございまして、1 つは児童、保護者等の相談に応じ、診断面接、心理検査、観察等によって児童、保護者 等に対して心理診断を行うことということと、児童、保護者、関係者等に心理療法、カ ウンセリング、助言指導等の指導を行うことということになってございます。  この2つの診断指導、あるいは心理療法、カウンセリング等の実績につきましては、 下の方に数値及びグラフが載せてございますけれども、これを見ていただければおわか りになりますように、心理診断指導件数が多くて、心理療法等の件数は横ばいと、そん なに多くないというような状況になってございます。  これにつきましては、専門委員会の報告書では虐待等新たなニーズに対応した心理判 定員業務の見直しが必要であるということと、それから部会の方の指摘では心理判定員 については配置基準そのものがなくて、基準設定を含めた増員が必要であるというよう な御指摘をいただいております。  参考にございますように、心理判定員につきましては、法律上は判定をつかさどる所 員、判定に従事した者というような用例が出てくるのみでございまして、心理判定員と いう名称そのものも別な法律で定められておるというものではございません。  10番目の論点項目といたしまして「一時保護所のあり方、混合処遇緩和のためのシェ ルター機能の分散」ということでございます。  児童相談所の一時保護所につきましては、14ページに体制についての資料が出ており ます。人員配置につきましては、児童養護施設に準じるということで、幼児の場合4: 1、少年の場合6:1の職員と、平均しますと5:1ということになってございます。  関連いたしまして、13年度から中央児相に付設する一時保護所には心理職員を配置す るとか、あるいは14年度からは一時保護の児童数が1日平均11人以上の場合には個別指 導担当職員を配置するとか、そういうような措置をやっておる。あと面積的なもの、設 備的なものはごらんのとおりでございます。  そこで、ここについての御意見でございますが、一時保護所自体の役割をどう考える べきか検討すべき課題であると。あるいは、混合処遇の改善や治療的関わりの強化、教 育の充実が必要ということが専門委員会の報告書には出ております。  津崎委員の方からは、混合処遇の改善、個室の確保、人的配置の拡充、学習保障、保 安体制、治療的関わりの強化、アセスメント機能の保障、保護所内における子どもの処 遇の透明性の確保等の課題があるというふうに言われております。  専門委員会の報告書、津崎委員の両方から、多様な保護の場の設置ということで、児 童自立支援施設での保護枠の確保、あるいは里親の活用等も検討課題であるというよう な指摘がございます。  参考のところについてですが、一時保護所につきましては、児童福祉法上は、児童相 談所には必要に応じ児童を一時保護する施設を設けなければならないという規定とされ ております。  また、児童相談所の運営指針においては、従前は一時保護所は児童相談所に付設する ものということでございましたけれども、昨年12月の指針の改訂によりまして、一時保 護所は児童相談所に付設もしくは児童相談所と密接な連携が保てる範囲内に設置という ことで少し緩和をされております。  一時保護所についてのデータ的なものでございますが、15ページ、16ページをちょっ と見ていただきますと、13年度における一時保護所における一時保護総数は1万8,000 件弱、1万7,793 件ということになっております。この中で養護というものが67%で多 くの割合を占めておりますが、この内訳といたしまして虐待が100 %に対しまして35% 分を占めておるというようなことで、右側の方に注釈が出ておりますが、これは1万 7,793 に対しまして6,113 件というのは35%ということになっております。  非行が15%というような状況でございます。  一時保護所の退所後の状況でございますが、真ん中の表でございますが、帰宅という のが60%を占めております。  児童福祉施設に入所する、あるいは里親さんに委託するというものが、児童福祉施設 への入所の方が30%、それから里親・保護受託者に委託するというのが2%というよう な状況になっております。  下の方に施設等への委託一時保護というものの件数、約五千件というふうになってお りますけれども、委託を解除された児童についての統計をとってみますと、警察が 13%、児童福祉施設が60%というような状況になってございます。  その辺りの数字をグラフにしたものが16ページに出ております。  17ページには、児童相談所内の一時保護と児童福祉施設等への委託による一時保護と の比較について整理をしたものが載せてございます。  5ページでございますが、11番目の項目といたしまして「関係機関の役割、あり方検 討(福祉事務所(家庭児童相談室)、児童家庭支援センター等)」ということで、福祉 事務所にあります家庭児童相談室、あるいは養護施設等に併設されております児童家庭 支援センター等についての問題でございます。  これに関連いたしましては、児童家庭福祉に関わる関係機関についての一覧表という ことで、20ページから24ページにかけまして、どういう機関が子どもあるいは児童家庭 福祉に関わっておるかということで機関名でありますとか設置主体、それから業務、設 置の状況等について載せてございます。  11項目めについての指摘事項でございますけれども、家庭児童相談室につきまして は、今後地域における相談支援サービスの中核的な役割を担うことが期待されているこ とから、都道府県設置の郡部の福祉事務所に置かれている家庭児童相談室を含め、その 在り方について地域保健等との連携といった観点からも検討することが必要ということ が専門委員会の報告では指摘をされております。  併せて福祉事務所、家庭児童相談室の家庭相談員の常勤化を促進することが必要とい うことも指摘をされており、更に主任児童委員につきまして児童虐待防止に関する活動 を単独で行うことができるようにするなど、主任児童委員を積極的に活用できる仕組み を検討したらどうかということが指摘をされております。  そして最後に、「その他」ということでございますけれども、24時間365 日の対応に ついては、どうしても1年中対応しなければいけないということが考えられますので、 そうした体制につきましては、地域の実情に応じた体制を整備することが必要というよ うなことが専門委員会の報告では指摘をされております。  それに関連いたしましては、26ページに「各都道府県・指定都市の児童相談所におけ る緊急対応体制」についての資料が載せてございます。  もう一点「その他」で指摘がありましたのは、年長児童の社会的自立の促進、サポー トが不足しておるのでその点についても検討していくことが必要だということであった かと思います。  以上でございます。 ○古川虐待防止対策室長  それでは引き続きまして、資料5をお願いいたします。「児童相談の実施体制のあり 方に関する市町村調査結果の概要について」という資料でございます。  これは昨年度、平成14年度に日本子ども家庭総合研究所で研究、調査をされたものの 概要をとりまとめたものでございます。  調査の目的に関しましては、1に整理をされておりますけれども、実際にとりまとめ をされました才村先生のお言葉をお借りしますと、児童相談所の体制は、もはや限界に 来ている。しかし、実際に児童相談所に人を増やすということだけでこの問題では解決 しないだろう。住民の便宜を考えれば、児童相談所の一極集中の体制を改め、都道府県 と市町村がお互いに役割分担をしながら援助する体制が必要だ。そのため、児童相談体 制を根本的に見直す必要があるという観点から、そういう問題意識を持ったときに、市 町村がどのようなお考えであるかということを把握するという目的で調査を始めたとい うふうに説明をされておられるということでございます。  調査結果の概要でございますが、まず「(1)回答状況」でございますが、この調査 表を送付した数、つまり対象はどこかということでございますが、中核市、特別区、そ の他の市、政令市も含めまして、すべての市部について資料を送りそのうち回答をいた だいたのが72.2%ということでございました。  1ページおめくりいただきまして「(6)現行の児童相談体制のあり方について」ま で飛ばさせていただきますけれども、現行の児童相談体制の在り方についてどのように 考えるかという質問に対するお答えでございますが、「現状のままでよい」という答え が全体として72%、「改善した方がよい」という回答が23.4%だったということでござ いました。  ただ、中核市、特別区、その他の市と右側は分かれておりますけれども、中核市にお きましては「改善した方がよい」というものと「現状のままでよい」というのがほぼ 半々ということでございますし、特別区に関しましては、母数が少ないということがご ざいますけれども「改善した方がよい」という意見が圧倒的に多かったということでご ざいます。  これを見ますと、人口規模の大きい、いわゆる都市部は改善の必要性を強く、意識さ れていると思われるということでございます。  「(7)児童相談体制/現状維持の理由」ということでございますが、現状維持でよ いというお答えをいただいた市の理由ということでございますけれども、一番大きいの が「専門性ある職員の確保/配置困難」が断トツでございまして、70%を超えていると いうことでございます。次いで「サービス対象層が少なく効率が悪い」といった理由が 挙げられているということでございます。  「(8)児童相談体制/改善すべき点」でございますが、逆に改善すべきとお答えに なった自治体のお考えということでございますけれども、「一部の機能を市町村に委譲 し、相談の一部を市町村が対応する」というのが一番多く、65%ということでございま して、全機能を移譲するというお考えというのは6%であったということでございます が、中核市に関しては、4分の1が全機能を移譲してもいいのではないかという意見が あったということでございます。 次のページでございますが、「(9)児童相談体制 /改善すべき理由」ということでございますが、全体として50%を超える回答といたし まして「地域に密着したサービス提供が可能になるため」ということでございます。  次いで若干似たような理由でございますけれども「家族や関係機関にとって利便性が 確保できるため」ということで、その地域性、地域に密着しているということがやはり 最大の理由と考えられるということでございます。  「(10)市町村が対応すべき相談種別」ということでございますけれども、一部の機 能を市町村が対応すべきと言ったときに、どのような業務を行うべきかということでご ざいますが、一番多かったのは「育成相談」ということで8割を超える数ということで ございます。  2番目に「保健相談」ということで52.6%、次いで「障害相談」が50%ということ で、過半数を超えたのがこの3項目ということでございます。  この業務の内容につきましては、中核市、特別区、その他の市を見ましても大きな違 いはないということでございます。  「(11)都道府県と市町村の役割分担(1)都道府県の役割」でございますが、都道 府県の役割というものとしてはどのようなものを考えるかということで、一部の機能を 市町村が対応すべきとした場合の都道府県の役割についてということでございますが、 一番多かったのが「心理・医学的判定」が88.2%、次いで「立入調査/職権一時保護/ 28条申立等法的対応」というものが78.9%ということになっております。  次いで、「里親の認定/登録」、次いで「一時保護」、そして「心理療法」が68.4% という数字になっているということでございます。  高度の専門的な判断を要するもの、それから法的対応を要するもの、それから広域調 整を要するものと、こうしたものについては都道府県が担うべきではないかという御意 見だろうと思われます。  「(12)都道府県と市町村の役割分担(2)市町村の役割」でございますけれども、 では逆に市町村が担うとすればどのようなものかということでございますけれども、こ れはもう圧倒的に「相談・助言」が行うのがいいのではないかという意見が97.4%と多 かったということでございます。  4ページをおめくりいただきまして、「(13)市町村に機能を委譲する上での課題の 有無」ということでございますけれども、「特に課題はない」とお答えになったところ が12%、「課題がある」とお答えになったところが75.9%、相対的に移譲についてやや 前向きともとられる中核市や特別区のお考えにつきましてもやはり課題は多く残されて いるという見解が多うございまして、中核市の数といたしましても93.3%は課題がある というような整理がされているということでございます。  具体的にどのようなところに課題があるかということでございますが、それが 「(14)市町村に機能を委譲する上での課題」でございますけれども、一番多いのが 「専門的な職員の確保」というのが2番目に書いてありますが88.9%、これが1番とい うことでございます。  次いで「必要な財政的支援」が82.5%、そして3番目として「研修の充実、対応マ ニュアル作成等の技術的支援」がやはり不可欠であるという御意見が出されたというこ とでございます。  以上でございます。 ○岩男部会長  ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明を踏まえまして主な論点事項 を中心に御意見、御質問をお願いをいたしたいと思います。御自由に御発言をいただき たいと思います。  では、網野委員。 ○網野委員  実は前回の審議会のときにも申し上げたかったのですが、ちょっと時間の関係という ことで、今、発言の機会をいただくという御配慮をいただきまして感謝申し上げます。  その後の、今、総務課長が説明された主な論点事項で相当重要なことがポイントを挙 げつつまとめられておりまして、私がここで申し上げたいことを少し絞りたいと思うん ですが、やはり児童相談所のアイデンティティーが何かということを一番踏まえながら 申し上げたいと思います。  実際に日本の児童相談所は、世界的に見ても極めてユニークな組織、機能を持ってい るということではかなり歴史的にも特徴があったと思うんですが、今、移管した場合の 相談内容はどうかという才村主任研究者の研究報告にも見られましたように、日本の児 童相談所はよろず相談であるということが最大の特徴であると思います。古くは、例え ばもう大正時代に教養相談とかしつけ相談、今の言葉で言えば育成相談的なものが、民 間、あるいは先駆的な市などで始まっておりまして、その一方、感化法とか少年教護法 とか、そのような面での法整備が進む中で社会予防とか治安ということも含めた、子ど もの判定とか鑑別とか処遇ということも一方で進んでいて、更に、母子保健、小児保健 の分野でのさまざまな保健的な相談も徐々に広がっていきまして、それらをすべて視野 に置いてつくられたのが児童福祉法の児童相談所であったというふうに私は理解してい ます。 つまり、その当時の戦後の混乱期のいわゆる孤児とか浮浪児と呼ばれた子ども たちへの対応だけではなくて、過去の歴史を全部踏まえて子どもの各般の問題について すべて、まず受け付けて対応しようというこの姿勢が一番の特徴だったと思います。  したがって、そのこと自体が非常に社会予防的なものも含む、あるいは公権の介入も 含むものから極めて臨床的な、前回服部先生でしょうか、ケアの機能とおっしゃってお られたようなことを含めた、そのようなものを一斉にスタートさせるという特徴があっ たと思います。  これまでの経緯を見てきますと、大きくは私は4つの段階があったと思うんですが、 最初はいわゆる浮浪児とか孤児と呼ばれた子どもたちの、家庭を失っている子どもたち への養護の対応、要保護ということで非常にいろんなことが進んできまして、やがて第 2次非行ブームなどを始めとする非行問題への対応ということで児童相談所の役割が非 常に重くなってきて、3番目に心身障害への対応ということで児童相談所の役割がぐっ とまた広がってきた。  4番目にいわゆる登校拒否、当時の学校恐怖症とか登校拒否とか、そして現在の不登 校とかいじめとか言われる、あるいは引きこもりと言われる情緒障害的なものへの対応 が求められるようになりました。この日本の子どもをめぐる問題のトピックス的なもの を非常にその時代その時代、対応することに追われてきた歴史があったと思います。そ して、今、一番指摘されている虐待というのが、今の時代の児童相談所が最も課せられ ている対応。それは、やはり突き詰めますとよろず相談ということの特徴を逆に反映し ていた、あるいはそういう機能、役割を持っていたからだと思います。  例えば、一時保護所について前回もいろいろ指摘されましたし、今日の資料の説明に もありましたけれども、それを一番象徴的に表わしているのが一時保護所で、だれが見 ても今、一時保護所の限界というのはひょっとしたら私は児童相談所以上に一時保護の 限界の対応の方が必要な面もあるのかとさえ思う部分があります。それはやはり歴史的 に見まして、緊急保護という役割があったから、法律上このような規定がなされたと思 います。ときには親の同意を得なくても子どもを引き離す、捨て子とか、あるいは迷子 になった子どもの一番大事な生存権の保障ということで公的な責任がある。これが、ま ず一時保護の一番のポイントであったと思います。  2番目がいわゆる鑑別とか犯罪、非行に対する対応としての観察機能が必要だった。 これも歴史上、児童相談所の中で出てきた2番目の行動観察の役割だったと思います。  それから、これは余り知られてないんですが、もっと私は歴史的に踏まえて関心を 持った方がいいと思いますのは、3番目に治療的機能が非常に重視されていたわけで す。それで、現在の情緒障害児短期治療施設が設置されることとなった背景は、やはり 一時保護所の先駆的な治療の役割があったわけですね。ですから、途中から児童福祉法 の改正で情短施設ができたのも、やはり一時保護のそのような治療的機能をモデルにし て設けられたと言ってもいいと思います。  この3つの機能も全く複合的でそれぞれ1つ取っただけでも重要な役割でしょうし、 現在議論されているシェルター、子どものためのシェルターの機能、これだけでも1つ の重要な役割を持って独立させて設置させてもいいような内容があると思います。  したがって、現在の一時保護所はますます複雑化していく中で、これほど多様な子ど もたちを集合して、ときには混合という表現の方が適切かもしれませんが、そのような 形で日常生活を送るようなシステム、そして学校教育はどうしてもその時期十分に対応 できない、いろんな問題を抱えている部分についてはやはり今日の資料にもいただきま した一時保護の在り方ということで考えたとき、児童相談所は今日もなおよろず相談を 総合的に平均的にやっていいのかという課題を突き付けているのではないかなというふ うに思います。  そこでいろいろ検討事項、論点が指摘されておりますけれども、1つはやはり公的な 介入を非常に強くする部分と前回のケアの機能という表現がありました、あるいは虐待 への迅速な対応というお話もありましたが、そのようなものをだれが行うのか、児童福 祉司や心理判定員だけで現在の体制だけでできるかどうか、本当にこれはかなり難しい 問題だと思いますので、1つは権限移譲という形にするのか、児童相談所という名称も 含めてもう少し多面的な機能を持つ都道府県、指定都市、中核市、市町村が持つことの できる公的な役割とか責任としての児童相談機能の再検討、これは家庭児童相談室も含 めて、もう一度再整理の中でいろいろ検討すべきことが多いのではないかと思います。  現在の児童福祉法に基づく児童相談所は、私はやはり公的介入とか、いわゆる公的権 限を背景としたソーシャル・ワークというのはやはり特有の専門性だと思いますので、 むしろ児童福祉司の役割をそのようなときに考慮しなくてはいけない公権を踏まえた ソーシャル・ワークということの専門性をしっかり広げて充実させる方向で都道府県指 定都市レベル、場合によっては中核市のレベルで考えていく機能、これはもう不可欠の ものかと思います。  むしろ社会福祉の分野の専門職で言えば、今でこそ社会福祉士とかいろいろ言われて いますが、私は日本の社会福祉士の専門性の向上に貢献した児童福祉司と心理判定員の 役割はもっと評価されてよいのではないかと思います。現に児童福祉司もそうですし、 サイコロジストとしてこれほど安定して、ある程度一定の効果が果たされる役割を果た している専門職というのは福祉の分野ではやはりないと思っています。  その意味でも臨床心理士がどんどん関わることは必要ですし、例えば育成相談とか臨 床的な分野でどんどん関わる必要はあると思いますが、もう一つ福祉を踏まえたサイコ ロジスト、例えば福祉心理士のような職責、これはやはり都道府県、指定都市、中核市 レベルでのサイコロジストの専門職としてやはり確立していく、その中には当然公権的 な関わりもそうですし、非常に臨床的な機能というふうな部分でも対応できる部分とい うふうに、少し分化と言いますか多面的に展開する方向を検討してはいかがかと思いま す。  本当にこれほど児童相談所について審議会を始め議論されている時代は今までなかっ たと思いますので、大変期待しております。 ○岩男部会長  ありがとうございました。ほかに、どなたか御意見ございましたらどうぞ、御発言い ただいて。  柏女委員、どうぞ。 ○柏女委員  今の網野委員の御発言にちょっと関連するんですけれども、今、論点事項で整理をし ていただきましたものは、言わばサービスの供給側から見たときに主として児童相談所 の持っている機能を中心に今、論点整理をしていただいたということなんですが、もう 一方、今の子ども家庭福祉問題を考えたときにどういう機能が必要なのかという機能面 から考えていって、その上で網野委員がおっしゃった相談体制全体の中にそれを埋め込 んでいけないだろうかということを、今ちょっと考えています。  例えば、今、才村先生の報告がありましたけれども、相談年所ということを考えたと きにどんな機能が必要なのか、例えば地域レベルでは非常に居場所機能というのが今、 大事になっておりますし、これも子どもの居場所機能とそれから親子の居場所機能とい うのが大事になっておりますし、それから行政サービスを決定するという措置の機能と か、一時保護とか、判定の機能とか、心のケアとかケースマネジメントとか、いろんな 機能がそれぞれどのレベルで、地域に密着したレベルで必要なものもあれば、もう少し 専門的なレベルで必要な機能もあるだろうということを機能面から少し挙げていって、 そしてその機能を果たす機関として現在どんな機関、施設があるんだろうかということ で埋め合わせていって足りないものは何か、あるいは足りているものは何かとか、重複 しているものは何かとかいうとらえ方をしていけないかなと、そうすると機能のユニッ トとして、一つひとつの機能の組み合わせとして機関を考えていくことができるのでは ないか。  例えば、児童相談所というのは、いわゆる相談とか、あるいはクリニック、心のケア とか、あるいは措置とか、一時保護という、この4つの機能ユニットを合わせ持ってい るということがあるわけです。それが本当に合わせ持っていなければいけないのか、そ のうちのどことどこがくっついていなければいけないのかとか、あるいはどの部分は別 のところに委ねてもいいのではないかと、例えば一時保護については児童相談所に付設 ということでいいんでしょうし、それからもう一つは児童福祉施設に付設をするという ことでも可能なのではないかというふうに、機能ごとに洗い出してみて、その機能の組 み合わせでもって考えていったらどうかなというふうに思いますので、そういう整理の 仕方がひとつ考えられるかなというふうに思っています。 ○岩男部会長  ありがとうございました。先ほどの網野委員のいろいろ御説明を伺って、大変多くの ことがよくわかりましたし、また今の柏女委員の御指摘も非常に貴重な御指摘で、事務 局の方で少し今のような機能面からの整理をしていただけると大変ありがたいと、いつ も宿題ばかりたくさんで恐縮ですけれども。  ほかにいかがでしょうか。堀委員、どうぞお願いします。 ○堀委員  今日提出された論点事項を拝見したのですが、大変よくまとまっていると思います。 しかし、これは児童福祉サイドから、特に児相中心にまとめたという感じがします。も う少し社会福祉全体から児童福祉のことも考えていく必要があるのではないか、そうい う視点から申し上げたいと思います。  社会福祉基礎構造改革によっていろんな改革がなされました。社会福祉法の制定など いい改革がたくさんあるのですが、積み残しもあるのではないかと思います。1つは、 生活保護ですが、これはいずれ改正がなされると思います。  2つ目は実施体制で、改革前とほとんど変わってないような感じがします。  社会福祉は、ここ10年来の改革で市町村に権限、機能、財源を移譲されてきました。 しかし、福祉六法のうち2つの分野だけは完全には市町村に移譲されていない。1つの 分野は生活保護で、これは福祉事務所が行うということで、県と市が行っている。  もう一つの分野は児童福祉で、勿論保育所とか障害児の在宅サービスについては市町 村も行っています。しかし、基本的には児相体制で、都道府県と大きな市で行っていま す。  社会福祉というのは、それぞれの分野で違いはあると思うのですが、ソーシャル・ワ ークとか、あるいはソーシャル・サービスを行うのが基本だと思います。問題がある家 庭と言ったらおかしいのですが、障害者であれ、高齢者であれ、児童や母子家庭であ れ、1つの家庭に対して総合的に相談なりサービスを提供する体制が望ましいのではな いか。そういう意味から住民に密着した市町村が社会福祉を総合的にやっていく体制が 望ましい。ファミリー・ソーシャル・サービスとか、あるいはファミリー・ソーシャル ・ワークというような形で、いろんな問題を抱えた家庭に対してアプローチしていくの が私は望ましいと考えています。  そういう意味で、児童福祉についても、先ほどから議論がありましたように、専門的 な部分は児童相談所に残すにしても、できるだけ市町村に事務や権限を移譲して、家庭 のそれぞれの問題に総合的に対応できるようにしていく方向が望ましい。  専門的機能が発揮できない零細な町村もあるので、すべての機能を市町村に移すのは 適当ではなく、福祉事務所、児相などの専門的な機能は残す必要がある。イギリスで は、かつては児童福祉とそれ以外のものは別々にあったのですが、ソーシャル・サービ ス・デパートメントを作って統合してやるようになった。そういう前例もありますの で、できるだけそういうふうな方向でいくべきではないかと思っています。 ○岩男部会長  ありがとうございました。ほかにいかがでございましょう。  では津崎委員、お願いいたします。 ○津崎委員  児童相談所の機能の、場合によっては編成換えと言いますか組み換えをするときに、 1つ考慮しておかなければいけない内容は、大都市部と郡部でかなり相談の内容である とか実際の児童相談所が果たす機能が違うんではないかと、そういう実態があるように 思うんですね。そうすると、全く一律的な児童相談所の機能ということだけで、全国的 に同じパターンのものを設置することで十分にニーズが賄えるかとなったときに、 ちょっと違うような気がします。  そういう意味では、最低限児童相談所として押さえておかなければいけない機能とい うのは共通に持ちつつ、地域性ということも配慮した児童相談所の在り方ということは 一定の考慮が要るのではないかというふうに思います。  特に中核市に、今後児童相談所を広げていくというようなことも一つの論点になって いますが、そうなっていったときに全く、例えば県の中央の児童相談所と中核市の児童 相談所が同じ機能を持つのかどうなのか、場合によっては多少違う機能を持ちつつ、そ この相補性といいますか、総合的な連携ということも改めて検討しないといけないとい うようにも思います。特に地方に行きますといろんな他の相談機関の拡充性とか、そう いうことも絡んでいて、どうしても地方に行くほどよろず相談的な要素が強いんです が、大都市になってくるといろんな機関がそれぞれの相談系統の中で確立されてきてい るという面がありますので、より他の機関との連携とか役割分担を考慮した体制の整備 ということを踏まえないと、どうも一律的にはいきにくいという要素がありますので、 そういう点の機能の分担ということの配慮が要るという点を1点踏まえておいていただ ければなと思います。 ○岩男部会長  どうぞ、柏女委員。 ○柏女委員  実は、機能ごとに整理すべきだというのは、まさに今、津崎委員がおっしゃったこと でありまして、例えば一時保護機能を中核市にもし設置するとした場合、現在の一時保 護の人員でいきますと、以前計算したことがあるんですけれども、ちょっと今、若干増 えているかもしれませんが、人口30万規模の中核市で一時保護所に常時いる子どもは1 人ちょっとなんですね。  そのために一時保護所というものを児童相談所ごとに整備をしていくというのは、こ れは効率的でないだろうと、そうしますと一時保護という機能はやはり別のところに、 児童相談所に一時保護を付置するということではなく、別のところにその機能は持って いくというようなことも必要なのではないか、そうしますと児童相談所として、あるい は児童相談所と言うか相談のために必要な機能はどことどこがどのようにくっ付けたら いいかとか、そういうようなことを検討しなければいけないのではないか。法律上も 何々できるという書き方と、何々しなければならないという書き方と書き分けられるよ うな、そんなことをしていくためには、それぞれの機能をどこにどのように設置してい くことのメリット、デメリットを、一つひとつ考えていかなければならないのではない かなというふうに思っています。 ○岩男部会長  山崎委員、お願いします、どうぞ。 ○山崎委員  教員養成、それから教育行政に携わっております者として、児童相談所に対しては非 常にお世話になることが多くて感謝しているわけですが、今の機能ごとに整理をしてい くところで、児童虐待の早期発見、対応に関連するかもしれませんが、保育所のみなら ず幼稚園だとか、あるいは小学校の先生方が発見されるケースが割合としてはかなりあ るというデータを拝見いたしまして、私どもの教員養成の段階だとか、あるいは教員の 研修の際に、例えば児童虐待を受けている子どもたちが示すサインがどういうものであ るかとか、虐待全体についての専門的な知識を広めていくことも大事なことなのではな かろうかと思います。また、いじめだとか、不登校の問題に関しましても、学校と関係 諸機関との連携ということがよく言われているんですけれども、そういう連携の在り方 を、学校側がどう考えていくかというようなことも詰めていって、児童相談所がより効 果的に機能を発揮していただけるような、後方支援ができたらいいのではないかという ことを考えております。 ○岩男部会長  遠藤委員、お願いいたします。 ○遠藤委員  遠藤でございます。私も今日の論点整理のお話を聞かせていただいて、非常に自分の 中ではすっきりしてきているのでございますが、むしろそれを利用される側、つまり母 子とか家庭のことを見ていますと、やはり住民により身近なところでサービスされる機 能というのがもっともっと、この会では最初からこの話は出ておりますけれども、そう いうものをきちんと位置づけることと、そして児童相談所の司法に関与する部分も含め て専門的な活動というところでは非常に合意が得られる部分です。  それで、市町村に非常に身近なところでだれがサービスするかという話になります と、それぞれの職種で各々考えているのだけれども、そこがコンセンサスを得ながら有 機的に連携できてないというのが事実でございますので、先ほど、では市町村の中で経 済的な、財政的なものも含めて非常に難しいというふうに答えていらっしゃるような、 才村先生のデータ等も拝見しますと、どうもこれは福祉の中でこの役割をとっていくと いうふうにむしろ固定しないで、それは保健の分野であったり、教育の部分であった り、福祉の部分であったりというような形が、何と言いましょうか、よく教員の免許の 世界では副免と言いましょうか、そういうふうな形でいろいろな人がその資格を得なが ら、そして合意をもって非常にチームワークが組めるような教育研修組織というのをつ くっていくということで、ある職種がこれをとるというふうにしない方がむしろ市町村 の中できめ細かな活動ができるのではないかと思います。言っていることと実際は非常 に難しい部分もあるかもしれませんが、ケアマネージャーというのが高齢者のケアのと ころで今まさにそういう形になってきているのかなと思いますが、あれのよい点、悪い 点、勿論あるかと思いますので、その辺りは先行例を参考にしながら組んでいくスタイ ルというのを考えていってもよろしいのではないかなというふうに、今日は資料の中に いろいろな職種が羅列されながら、どういうことを今やっているというのを資料に付け ていただきましたので、この中でもしかしたら足りない職種ももう少し列記してもいい 職種もあるような気もいたしますけれども、そんなことを考えながらもう一歩進めてみ たいなというふうに私は思っております。 ○岩男部会長  そうしますと、その相談の入口のところではどちらかと言うとよろず相談ができるよ うな人材を確保しておいて、そしてその先はむしろもっと専門性のニーズに応じて仕分 けていくというか、きめ細かい対応ができるようなところにお願いをするというか担当 してもらうという、そういうようなことですか。 ○遠藤委員  そのようなシステムを、今日のお話を聞きながらイメージをしております。 ○岩男部会長  私は、網野委員のお話を伺って、よりもっとよろず相談所ではない方向の方が望まし い、より専門的なアイデンティティーを確立した方向が望ましいのかというふうにちょ っと思っておりましたんですけれども、また逆の方向もあるのかなという、今のお話を 伺って、そのミックスみたいなものが望ましいというか。 ○遠藤委員  いえ、私も基本的には網野委員のおっしゃっていること、とてもよくわかりまして、 いわゆる市町村に移譲したいという部分の前半の話は、よろず相談の分は市町村でその 役割がとれるようにシステムを組んでいったらいいのではないか、ただ市町村を今度は 後方支援する機能という形と、専門的にそれを支える機能というのがどうしても必要に なってきますので、それはどうも、今、話に出ております児童相談所の専門的な役割と して持っていただかないと、市町村だけでは機能できない部分が当然出てくるというふ うに思っております。 ○岩男部会長  どうぞ、渡辺委員。 ○渡辺委員  私は医療機関に勤める小児科、小児精神保健医ですけれども、児童相談所が私どもの 日常の臨床を支えている力は本当に、普段は忘れておりますけれども、改めて大きいな と思いました。  網野先生の御発言を伺いながら、児童相談所がいろいろな問題を抱えながらも、なお かつ現在新しい時代の問題に対応しようとしてそれができている背景には、そのよろず 相談所的な現在の問題に対応しようとする、柔軟性と、生きた臨床感覚があったからだ と思うんです。  それで私自身は例えば一つの例にすぎませんけれども、子どもの精神科医としてより 専門性の高い精神科のプロになろうと思っていろいろ動いてみたんですけれども、そこ で例えば世界のいろいろなプロに出会いますと、その人たちが持っている機能は超専門 的ですけれども、ユーザーから見たらよろず相談員にしか見えない。よろず相談員の顔 をしながら実は最も危険な問題、リスクをさりげなく予防したり、さりげなく上手にガ イドしたりすることができているのです。私は児童相談所に今後も家庭の養育機能がど んどん下がる現在の特に都会の状況に対しては、児童相談所がユーザーにとっても非常 にフレンドリーで温かい親心を持って、よろず相談所の姿勢を崩さずに、新しいニュー ロサイエンスや、専門機能も絶え間なくレベルアップしていく、そういった奥行きのあ る成熟度の高い機能を持った児童相談所に是非なっていただきたいと思うんです。  例えば、頭の中の整理は区分けしていき、どのケースは絶対に児童福祉員では無理だ けれど又、このケースは精神保健の専門家が対応してしまうとかえってごっつくなって いじくり回してしまうのでやめておこうとか、ケース・バイ・ケースの適切なふりわけ をする。そういったチームワークの指揮者としての機能を21世紀の時代の変化を見越し て、時代の先を見越したプロジェクトをちゃんと研究ということも兼ね備えながらやっ ていただきたい。  例えば、今後非配偶者の生殖医療で生まれた子どもたちの出自を知る権利などをもし 日本の社会として保障するのであれば、その場合にこの非常に超専門的な分野を扱える 人が、全国にいなくてもいいですけれども、東京の児童相談所には1人いて、責任をも って全国のリーダーとなってこの問題にとりくむとか。  そういう方たちは、恐らく非常に柔軟なクリエーティブなネットワーキングが上手だ と思います。そういう方たちは恐らくその地域のいろいろな場において、この子の一時 保護はそこでいいと、児童相談所として親心を持って決めて下さる。その子どもが大人 になっていくまでの、社会に出て行けるまでの親機能を果たして下さる。例えば今回は 病院の小児科でお願いしますというような形で委託して下さる。私どもは医療委託とい う形で何人もひどい虐待を受けている赤ちゃんたちをごく自然に、私たちの小児科病棟 の家族の一員として育てております。そこには普通の若い小児科医も保母も看護婦も、 それから普通の身体疾患の子どもさんたちや親御さんたちもみんな関わっているわけで すから、そういうふうに託していただければ私どもの自然な入院生活の中で同時にトラ ウマワークもできます。しかも普段から病気をもつ子どもであれば、その病気の治療と をしながら同時にトラウマワークも何年にもわたってもできるし、その地域の保育所な どと連携でき親育てもできるわけです。  現実には、私どもが児童相談所に通告したときに、子どもをすぐに一時保護によこし てください、一時保護によこして下さらないと私どもは動きませんと言われた時代が5 年前ぐらいにありました。それはやっとなれた病院からはなれてその子は二次的なトラ ウマを受けてしまい、私どもがお預けした直後からは私どもは一切発言もできなくて、 結局非常に危険な状態で家族の問題がよく把握されないまま家に帰され、もっとひどい 虐待を受けたケースがありました。でもそういうケースもありますけれども、もっと柔 軟に、よりよいネットワーキングの中で、結局その1人の子どもとその家族が地域の中 で差別されずに、つぶされずに、長期的な視野で忍耐強く見守られて育っていくような 地域づくりをしようとしている児童相談所の職員の方たちもたくさんいらっしゃるんで す。  ですから、そういう意味でよろず相談所的な顔をした、実は非常に実力のある、そう いう機能をもってくださればと思うんですけれども。 ○岩男部会長  ありがとうございました。ほかにいかがでしょう。  無藤委員、お願いします。 ○無藤委員  児童相談所の機能に応じて幾つか分化していくというのは、私はよくわかっていない ので非常に勉強になったんですけれども、特に市町村と県レベル、2段階と言います か、それは非常に正当な方向だろうという気がしますが、その際に市町村レベルと言い ますか、言わば第一線に実際の家庭、お子さんを相手にするところと、後方支援的、専 門的な部分の2つの段階の連絡とかつながりをつける働きですね、それを設計の段階で かなり意識しておかないと、例えば市町村レベルで困ったケースはリファーするという だけですと、非常に官僚的と言うのも何ですけれども、それになりやすいと思うんで す。  ですから、ある種のケアマネージャーという話もありましたけれども、何て言うんで すか、中央の児童相談所の方にかなり精神科医なりいろんな専門家がいるとしても、そ れを結ぶある種のマネージャーみたいな役割ですね、そういうものが必要になってくる のではないかという気がしております。 ○岩男部会長  ありがとうございました。ほかにいかがでございましょうか。  津崎委員、お願いします。 ○津崎委員  児童相談所の論議を、いろんな各関係者であるとか、外部の方を含めて論議します と、非常に期待が高いというのをひしひしと感じるわけです。  ただ、私どもは現実の児童相談所をよく見ておりまして、地方の公務員によって構成 されている、そしてそこは一定の人事のローテーションによって移り変わっていくとい う状況を踏まえたときに、本当に外部から期待が出ているような、そういう高度の専門 性を組織として維持できるのかどうかということを考えたときに、かなり理想論に近く て、実際はそこになかなか追いついていかないということもつくづく感じるわけです。  だからと言って、水準の低いままでいいというふうには思わないんですが、すべての 児相の水準を高くするというのはかなり難しい課題だろうというふうに思っていまし て、そうなってくると児童相談所の、特に中央であれば中央に集中的に高度な機能を持 たせる、場合によっては今の児相が抱えているスタッフ、人材だけでは多分私は無理だ ろうというふうに思っていまして、例えば中央の機能をバックアップするような周辺の 医療、あるいは司法その他もろもろのバックアップ機能を十分に保障する、そういう地 域ぐるみで高度の機能をキープできるような、体制を核として一定の地域に配置してい く、そこが他の児相の機能もバックアップし、他のいろいろな機関とも調整機能を果た せるような、そういうより現実にかなった手法をしっかり押さえないと、空理空論的な 理想論だけがあって実際はなかなかそこにいかないということになってしまいかねない ということをちょっと危惧しますので、その点を1点付け加えさせていただきます。 ○岩男部会長  ありがとうございました。  実は私も全く同じようなことを考えておりまして、先ほど総務課長が御説明くださっ た中の児相の、例えば平均勤続年数であるとかその他について、指標を見ましても決し てそれほどその専門性が高いことが期待できるかと言うと私は正直言って若干不安を持 っておりましたので、ですからやはり児相の外にそういうネットワークをしっかり確立 するというようなことが恐らく現実的な解決ではないかと、と同時にもう一つ私がよく わからなかったのは、しかしそうは言うものの児相の職員やスタッフのレベルアップを 常に行っていかなければいけないという、それを一体どうやって現実に行うことが可能 なのか、またそういう人たちのより高度なトレーニングが可能な能力を持っている人た ちが、一体どこにどのくらいいらっしゃるのか。例えばスーパービジョンをすると言っ ても、そのスーパービジョンができる人材というのがどこにどのくらいおられるのかと いったようなことも、先ほど1号から5号まででしたか、何かそういう分類も見ました けれども、何かもっと更にシステマチックな訓練、つまりオン・ザ・ジョブ・トレーニ ングだけではないものがやはり必要なのではないかなという気がいたしました。何かそ の辺りのお考えがあれば教えていただきたいと思います。 ○津崎委員  実際、私、実務を経験して、自分の体験の中から言いますと、私いつもよくいろんな 場面で言うんですが、そこそこ仕事ができるのにまず5年はかかると、今度指導的な役 割を担ってSV機能が果たせるとなると、少なくとも5年以上の勤続の人でないとまず 難しい。  私はそういう意味で、10年間ぐらいは職場に定着しておれるという体制がないと、S V機能を実際に果たせるということにはなかなかならないのではないかなというふうに 感じてまして、そうした10年間同じ児童相談所で一定トレーニングを積んだり研修を積 んだりできる制度があるかとなると、なかなかそれが実際にはやはり難しいような気が しますから、その辺の経験、ノウハウを持った人が、一自治体にとどまるだけではなく てもっと全国を視野に入れた指導ということにも携われるような、新たな指導の仕方が いるように思います。  実は児童相談所が、戦後できましたときに、アメリカの方からスーパーバイザーが来 られて各地を回って指導されたというふうなこともお聞きしているんです。そこでノウ ハウの蓄積がされたというふうなことも聞いていますので、場合によってはそういうシ ステムを含めた本当の判断なりノウハウを持った人が、具体的にSVができるようなう 体制ということも工夫が要るような気がしております。 ○岩男部会長  堀委員、お願いします。 ○堀委員  職員の専門性に関してですが、社会福祉士資格ができてもう10年以上になります。当 初社会福祉士はいろんな社会福祉関係の職種の任用資格にするかどうかも議論されまし た。制度ができた当初は、それは無理だろうと思いましたが、もうそろそろ10年以上経 って、資格をもった人の数も相当増えてきたと思います。例えば税務とか土木から回っ てきた人がすぐ福祉をやるというのは無理な面もあるし、今、言われたように5年とか 10年とか訓練に時間がかかると思うので、もうそろそろ社会福祉士を児童福祉司の任用 資格にすることを考える必要があるのではないかと思います。これは今の規制緩和と逆 方向になるのかもわかりませんけれども、専門性ということを考えると必要ではないか と思います。  一遍に全部の職種を社会福祉士にするのは無理ですので、例えば年次計画でやると か、あるいは家庭なり障害者なり児童なりに直接接する職種を中心に任用資格にしてい く必要があるのではないか。このことは児童福祉だけの問題ではなく、障害者あるいは 高齢者、そういった人たちの事務についてもそうする必要があるのではないかと思いま す。  ただ、私は実態を知りませんので、そういうことが可能なのかどうか、事務局なり、 あるいは津崎委員なりにお伺いしたい。そういうことは実際に可能でしょうか。 ○津崎委員  今、国の方もいろいろ工夫していただいていて、子どもの虹情報研修センターを活用 してよりよい研修の在り方、場合によってはそこに人材を集めて、そこが具体的な相談 が来たときに援助するというふうなことも考えていただいています。  だから、そういう一つひとつの自治体が独立した形で、機能を自己完結するというふ うな視点になったときには、なかなか専門性の確保が難しいわけですが、より広域的な 支援の体制ということを考えれば工夫の余地があるのではないか。ただ、任用の資格を より厳密化していくというふうなことが専門性を高める意味で有効な方法だと思うんで すが、一方で採用であるとか、あと異動というようになってきたときには、各自治体の 人事政策に直接関わってくる部分ですから、そこにどれだけ国なり、あるいは外部の機 関が介入をして、そういう自治体の人事政策を超えた部分でいろいろ提言できるのか、 あるいは縛りをかけることができるのかというのはもう一つよくわかりにくい部分なの で、場合によってはそういう専門機関の位置づけをもう少し、今の単なる自治体に全面 的に任せるというよりも、より専門性が必要だということでの何らかの人事政策も含め た、あるいは資格的な面も含めた在り方が合意できるのであれば、そういうものを地方 の自治体が尊重するというふうなやり方で少しは向上に向けた対応がとれるのかなとい うように思いますけれども、なかなか処理が難しい部分ではあるような気がします。 ○中村総務課長  1つ最初に研修の件について、今日資料を出しておりますので見ていただきますと、 資料4の9ページに15年度におけます児童相談所の職員を対象にしました研修の一覧が 出ております。  この中には、真ん中から下の辺りがほとんど「子どもの虹情報研修センター」という ことで書かせていただいておりますが、これは横浜市にあります情緒障害児の短期治療 施設に国の方の財源でもって横浜市の協力、あるいは法人の協力を得て去年からスター トしたものですけれども、児童相談所の職員でありますとか、あるいは児童の養護施設 等々、児童福祉施設で働いておられる方々の研修のための仕事と、それから虐待につい て、あるいは思春期問題も含めていろいろなデータ、情報の収集、それから提供、更に は相談ということをやっていけたらいいのかなということで逐次いろんな方の御意見も 聞きながら、小林登先生に所長をしていただいてやっておるところでございます。  こういう場面でいろいろな、今までなかなか自治体間の情報の共有というのが、必ず しも全体的にはできなかったようなことを、こういう機会を通じて情報の共有化とかが 進んでおるというような話も聞いておりまして、徐々に成果が上がっていくのかなとい うふうにも思っております。  それから、それ以外にも母子愛育会にお願いしたり、あるいは武蔵野学院でやったり というようなものがございますし、それからまた、より実践的な研修が必要だろうと言 うんで、津崎委員のところにお願いをしまして、3か月単位で全国の児相から来ていた だいて研修をして、より実践的な職員を育てていくというような研修も始めさせていた だいておりますし、また今年度からはそこにありますように、国立保健医療科学院の方 でも保健師さんたちを対象にした研修を始めていただくというようなことも始まってお ります。  職員の専門性の確保、あるいは任用資格の問題ですけれども、やはり中核市に例えば 児相を設置するというような方向で考えてみますと、たちまち人の確保というのが問題 になってくるだろうと思いますけれども、確かに今日もいろいろな御意見が出ておりま すが、資格制度ということで切っていくという道もあるんだろうと思うんですけれど も、実際に子どもの問題にいかに長く関わってやってきたかというような点も非常に重 要なのではないかなと思っております。  それで今日も何人かの委員から御指摘ありましたけれども、やはり子どもの問題とい うのは福祉の面もございますけれども、一方で教育の問題が非常に重要であったり、あ るいは保健のサイドで特に母子保健などは非常に市町村で多くの事業をやっておられま すし、また保育士というような資格も制度化されてきましたけれども、そういう子ども に関わって、それ相当の経験を積んでおられた方がいろんな職種も含めて関わっていく ような任用の在り方というのもあってもいいのかなと、これは現場の方々がどういうこ とで受け入れていただけるのかなということもありますけれども、一度そういう御議論 もしていただいたらと思っておるところです。 ○岩男部会長  では、柏女委員、それから網野委員お願いいたします。 ○柏女委員  時間も迫ってまいりましたので、ちょっと事務局の方にこうした資料ができないだろ うかということで、またお願いばかりで申し訳ないんですけれども、第1点は先ほど例 が出ておりました遠藤委員の方からも御発言がありました、いわゆる介護支援専門員の 児童版というか、子育て支援専門員ということを考えたときに、市町村でもしやってい くとするならば当然いろんな専門機関、専門職が総力を結集したネットワーク型援助で ないと無理だということは想像できるわけですが、そのコーディネートとなるべき子育 て支援専門員といった性格を考えた場合、今の児童福祉法の改正の中で出ているコー ディネーターですが、配置をするというコーディネーター、これはどのようなイメージ として考えられているのかその辺を後で教えていただきたいというのと、もう一つは、 この子育て支援専門員の養成研修みたいなのが熊本県で実は始まっておりまして、私、 1回目に行ってきたんですけれども、そこに参加をしていたのが、今、中村課長さんか らお話があったように、どういう人が参加していたかと言うと、保健師さん、それから ソーシャル・ワーカー、それから保育士ですね、教員がいたかどうかは記憶にないんで すが、そういう人たちが一定のカリキュラムのもとで養成を受けた場合に、知事が認定 するというような形のものが実は始まろうというか、私の方で始めてほしいと、認証も 出してほしいと、認定証を出してほしいという形で申し上げたんですけれども、そうい う形でやっていくというふうにした場合に、子育て支援専門員、仮称ですけれども、ど んなことが考えられるのか、他の介護支援専門員との関係で資料を整理していただけた らありがたいなというふうに思うのが1点です。  2点目は、この児童相談所の業務をスリム化するということを考えた場合、障害関係 の、しかも判定業務ということをどうしても視野に入れていかなければならないわけで すが、その場合に今この4月から始まっております、いわゆる支援費制度の障害の程度 基準、これは市町村が決めていくということになっているわけですが、児童分野のいわ ゆる療育手帳とか特別児童扶養手当とか、あるいは施設の重度判定とか、これらは都道 府県、しかも児童相談所が中心となって決めていくわけで、その判定基準というのは全 く異なっているわけですけれども、これを統合化していくと言いましょうか、その辺の ことをどう考えていったらいいのかというようなことを議論するためには、その資料が あるといいかなというふうに思いました。  もう一つは、今、障害関係のところで障害児者の地域生活支援の研究会が始まってい るということをインターネットで見ておりますけれども、この動向が一体どのような、 障害関係の特に障害児についてどのような機能を市町村に持たせていこうとするのか、 その辺を教えていただければということです。  それから、先ほども出ておりました知的障害者更生相談所や、身体障害者更生相談所 と、児童相談所の障害部門ということを一体的に考えるということを考えますと、知的 障害者更生相談所、身体障害者更生相談所の在り方検討会の報告書が出ておりましたの で、それも大体どんな方向なのかということがわかるといいかなと思いました。  これが2点目、障害関係ということで2点目です。  3点目は、先ほど津崎委員からも話があったんですけれども、市町村と県の役割分担 を考えていく上で無藤委員の方からも御発言がありましたが、そのリエゾンの問題です ね、市町村と都道府県のリエゾンの問題を無視できないわけで、そうしますと子育て支 援専門員が中心となる市町村のネットワーク型援助と児童相談所といった機関が、どの ような場合に、どういうふうにつながっていったらいいのかということを考えていかな いとならないわけで、その場合に幾つかの方法があるかと思うんですが、例えば重篤ケ ースについては共同管理すると、進行管理を共同で行うというやり方が1つあるのでは ないかというふうに思いますし、もう一つは市町村が一定の機能を持った上で、それを 県レベルに例えば採択するとか、そういう方法というのはほかの例ではないんだろうか ということで、もし高齢者や障害者の分野で市町村の機能をより広域的に調整をする必 要があるものについて、市町村が県に再委託をしているようなシステムというのはない んだろうかということをちょっと教えていただければありがたいと思います。  それから、幾つかの市町村が組んで事務組合立でやっていくという仕組みが確かあっ たと思いますけれども、こういうような仕組みの中でやり得るものは何なのか、あるい はどういう仕組みになっているのか、そうしたところを教えていただければありがたい なというふうに思います。  以上、ちょっと雑駁ですが3点お願いをしたいというふうに思います。 ○岩男部会長  それでは、網野委員お願いします。それで本日の御意見をおしまいにさせていただき たいと思います。 ○網野委員  先ほどの堀委員の質問に対する津崎委員、それから総務課長のお話とまた関連させて 簡単に申し上げます。  高度の専門性を持つということでいろいろ方法あると思うんですが、もう一つ俎上に 上げていけると考えられるのは、例えば子どもの虹情報研修センターが現実に動き出し ていますけれども、もう一ついわゆる文部科学省系の学校教育体系の中で、やはり専門 職大学院の方向性は非常に重視されてきておりますし、その辺りでリカレント教育とか インサービストレーニング等を、もっと理論、実践面でしっかり結びつかせたような形 で、津崎委員がおっしゃったようなお話で言えば、それこそ津崎先生のような方にむし ろそこで役割を持っていただいてというふうなことが、全国レベル、都道府県共同の部 分で公立の大学でもいいと思いますし、あるいは私立でいわゆる大学院レベルでの本格 的な実践を積み上げていくというプロセスもひとつ含めて検討してはいかがかと思いま す。 ○岩男部会長  ありがとうございました、大変貴重な御意見をたくさんいただきましてありがとうご ざいました。  本日は時間になりましたので、以上で閉会にさせていただきたいと思います。  次回の部会は7月23日水曜日の午前10時から、場所は厚生労働省共用第7会議室で、 オブザーバーとして御参加いただいております関係団体の皆様からのヒアリングを予定 しておりますので、どうぞよろしく御出席いただきますようお願いいたします。  本日は大変ありがとうございました。 (照会先) 雇用均等・児童家庭局 総務課 03−5253−1111(内線7823)                担当:湯本