03/06/09 障害者(児)の地域生活支援のあり方に関する検討会第2回議事録         障害者(児)の地域生活支援のあり方に関する検討会                   (第2回)           日時:平成15年6月9日(月)14:00〜17:15           場所:虎ノ門パストラル新館6F「ロゼ」  江草座長  ただいまから第2回の「障害者(児)の地域生活支援のあり方に関する検討会」を開 かせていただきたいと思います。委員の皆様におかれましてはお忙しい中をお集まりい ただきまして本当にありがとうございました。では、まず事務局から本日の委員の出欠 状況、本日の進め方、そして資料について御説明をお願いしたいと思います。  高原課長  本日はお忙しい中をお集まりいただきまして、事務局からも重ねて御礼を申し上げま す。本日はいま京極委員、大濱委員がお見えになっておりませんが、このお二方、それ から日経新聞の渡辺委員は遅れてお見えになる予定でございます。ご欠席という連絡を いただいておりますのは高浜市長の森貞述委員の1名でございます。それからまた前 回、第1回の会合に法案審議の関係で出席できませんでした厚生労働省障害保健福祉部 長の上田を御紹介させていただきます。  それでは本日の進め方に入ります前に、今日はおそらく80人を超える傍聴の方がお見 えになっていただいております。ありがとうございます。実はもっとたくさんの方から 傍聴のお申し込みをいただいておりましたが、今回は会場の都合でどうしてもやむを得 ず一部抽選で絞らせていただきました。このことについてはご理解を賜わりたいと思っ ております。  それでは今日の進め方ですが、議事次第をご覧いただきたいと思います。第1回の検 討会でもお話を申し上げましたように、今回と次の会の2回で委員の皆様、学識を除く 委員の皆様方に、それぞれ7名ずつの委員の先生方からお話を聞かせていただきたいと 思っております。皆様方のご出欠のご都合ですとか、あるいは利用当事者、相談支援等 の事業に携わっておられる方、少しバランスをとった方がいいだろうということで、今 日はその次第にございますような7名の委員の先生方からお話をいただくということに いたしております。  恐縮ですが、時間の関係もございますので、各委員の先生方からのお話はお一方15分 以内とさせていただきたいと思います。それから質疑や意見交換のお時間を前半と後半 で二つに分けまして、前半4人、後半3人の委員の先生のお話が終わった後で、それぞ れ15分程度お時間をとらせていだたく、あとは前半と後半の意見発表のお話をいただく 間に10分程度の休憩をとらせていただきたいと思っております。  それからお手元の資料ですが、資料1〜8までが今日お話しいただく各委員の先生方 からいただいている資料でございます。それから資料8ですが、4回目以降のヒアリン グの進め方についてということで、事務局の方でとりあえずの叩き台を作らせていただ いております。合わせて資料9ですが、前回もご報告をしかけましたが、市町村障害者 相談生活支援事業、障害児(者)地域療育等支援事業の実施状況につきまして、やっと 大体まとまりましたので結果を御報告をさせていただきたいというふうに思っておりま す。資料の不足がございましたら事務局の方にお申しつけをいただきたいと思います。  それから前回の委員会の際にペンディングになっておりました知的障害者御本人のこ の検討会への参画の問題ですが、座長とも相談をいたしました結果、事務局といたしま しては委員ということではなくて、オブザーバーという形で常時ご参加をいただく席を 設けさせていただきたい、座長から御指名がある場合にはご発言をお願いするようなこ ともあるのではないかなというふうに思っております。  具体的にはヒアリングの全体のことにつきましては後ほどお諮りする予定ですが、御 都合がつけば当面7月17日に予定しております第4回の検討会におきまして、知的障害 者当事者の複数の方からお話をまず聞かせていただくという取り運びにさせていただい てはどうかというふうに考えております。とりあえず以上です。  中西委員  ちょっと質問があります。いまの知的の方のオブザーバー出席の件なんですが、毎回 席を設けていただくということは、この席に複数名で毎回聞ける、でも発言は座長の指 示によるという形なんでしょうか。このことについて僕だけではなくて、やはり知的当 事者の参加というのは重要な課題だ、この委員会自体の性質を社会の人達が見ている場 だと思うんですね。知的の方の今後のサービスのあり方が一番重要な中で、僕だけじゃ なくて、委員の他の皆様の御意見も聞かれて、座長と事務局だけで決められるというよ りも、少し民主的に進めていただければと思います。  高原課長  いま申し上げましたのは、座長とも御相談をした上で、事務局としていま申し上げた ようなオブザーバーという形でご参加いただくということではどうだろうかという、こ ういう提案でございます。本日この場でまた御意見があれば頂戴していけばいいのでは ないかというふうに思います。  中西委員  いまその議論をしますか。それとも座が始まってからということですか。  江草座長  いまの高原課長からのお話は、先程私が求めました本日の進め方と資料についての説 明でございますから、そのあとのことでございます。しかしそれをおっしゃるとすれ ば、障害者本人という場合に、まだ他の分野の方もいらっしゃるわけですね。  中西委員  いろいろありますが、知的の問題というのはかなりフォーカスのあたる問題だという ことと、知的の当事者の会議出席というのはすごく社会でも認められていないところな んですね。東京都の委員会でようやく当事者がケアマネジメントの委員会に出られて半 数ぐらいの参加を当事者で行なった経験はあるんですが、それ以外全国でどこの会議を 見ても知的当事者の会議出席ということは認められた歴史がないので、この歴史的なこ のあり方委員会では知的当事者が席を占めて出られるということをやられると、ああ確 かに厚労省はすごく変革して、いま地域の問題を当事者の方の意見を聞きながら進めて らっしゃるんだなということが、形としてはっきりするかなということでお話しまし た。  江草座長  はい、ありがとうございました。  太田委員  いまの中西委員の指摘は重要で、利用者本位、当時者主体の政策というのであれば、 知的の人の委員ということの前向きな検討を本委員会ではしていただきたいと強く求め ます。  江草座長  わかりました。前向きに検討せよということでございますが、今日ここで決めるより は、先に今日の日程を済まさせていただいて、それからにさせていただきたいと思いま すが、よろしゅうございましょうか。  中西委員  私は結構です。  江草座長  ではそのようにさせていただきます。それでは早速委員からの発表に入らせていただ きます。それではお願いしております委員の方からのご発言を逐次進めていきたいと思 います。まず安藤委員からお願いいたします。  安藤委員  全日本聾唖連盟の安藤でございます。まずお断りしたいのは、私は全くの聴覚障害者 です。したがって私自身の発音について自分の耳で調整できないので、皆さんにとって 聞き取りにくい面もあるかと思いますが、ご寛容くださいまして、聞き取れなかった面 はあとで質問して下さるようにお願いします。  まず、私どもの基本的な取り組みと考え方を、皆さんのお手元にレジュメとしてお届 けしてあります。その基本的な取り組みと考え方を説明した上で,具体的にどのような 問題を抱えているかを説明したいと思います。  基本的な取り組みですが、私どもの全日本聾唖連盟は、日常生活において手話を主な コミュニケーションの手段とする成人聴覚障害者で構成される当事者団体です。支援費 制度の開始にあたって、私どもろう重複障害者を対象とする支援サービスの制度と支援 サービスに関する情報提供から相談、そして申請、契約に至るまでの全ての過程でのコ ミュニケーション保障を政府に要望しました。この聾唖聴覚障害者についてはあとで具 体的にどのような障害者かを述べたいと思います。  一番深刻なのは、昨年社会福祉・医療事業団で助成で実施した全国の社会資源調査で すが、ろう重複障害者を対象とする社会資源が全国的に大変不足しているということで す。不足しているというよりも、具体的には入所施設は全国4カ所しかなくて、市町村 ではほとんど対応できないというような状態です。このろう重複障害者が受けるサービ スが全く揃っていないという結果がこの調査で明らかになっていることです。  この調査をまとめたものを聴覚障害者の社会資源、動き出した支援費制度としてまと めてみました。聴覚障害者の当事者組織ですが、この当事者組織といいますのは、全日 本聾唖連盟に加入している大阪とか京都の聾唖団体です。その団体が生活支援の先進的 な取り組みが見られています。ところが自助・共助サービスは大阪、京都では比較的 揃っているのですが、そこでも公的サービスの助成がされていない現状です。  それでその自助とか共助とか公的サービスについていま盛んに言われていますが、自 助、共助、公的サービスをどのように整理していくかの議論が必要ではないかと思うん です。私どもはいま聴覚障害者の情報やコミュニケーションに限っての自助、共助を公 的保障というものは大体どのように整理できるのか考えてみたいんです。  情報コミュニケーション支援に限ってですが、自助についてはもう10年ぐらい前から 皆さんも御存じのようにFAXが普及しています。FAXの普及以前については全く電 話回線を利用した情報とかコミュニケーションは考えられなかったわけです。けれども FAXの普及とか、いまは携帯による文字メールがありますので、若い聴覚障害者の 90%以上が携帯の文字メールで交信しています。だから情報コミュニケーションの範囲 内の自助といいますのは、FAXが使えるようになる、携帯の文字メールが使えるよう になるということが非常に重要であるということですね。それ以前の自助といいまして も、数段に努力しなくちゃあならないとか、身振り手振りで相手に伝えなければならな いというのが自助努力ではなかったかと思うんです。  二番目が共助的なサービスですが、これも自宅の近くに聴覚障害者を理解して簡単な 手話のできる人が増えるということです。ちょっとした買い物などについては今日の社 会的な資源としての身近な理解者によって支えられるということを共助と考えていいの ではないか。公的な保障となれば、それは聴覚障害者の生命、財産とかに関わる非常に 専門的な内容になりますので、専任の手話通訳者とかが公的に保障されるべきではない かというような情報、コミュニケーションに限っては、そのように自助、共助、公的保 障とも成立できるのではないかと思うんです。  具体的にはあとで述べますが、ろう重複障害者にはFAXも使えないし、携帯電話も 使えないというような人達もいるわけです。リハビリでそのFAXとか携帯を使えるよ うに訓練して、そのレベルに達する人達ならいいんですが、それができない人達の情報 コミュニケーション自助といっても、これは非常に難しいですね。その面を共助とか公 的サービスで手厚くサービスすることを考えなければならないということです。  それは他の障害者の場合でも言えるのではないか。自助については非常に大切です が、その環境がちゃんと整備されるか、その環境を使いこなせる能力があるかによっ て、共助、公的サービスという面の手厚い保障の考え方というものをしなくてはならな いと思うんです。従って私どもはまずこの自助、共助、公的保障についてきちんと整理 する必要があるのではないかと思うんです。  現行の手話通訳制度では、ろう重複障害者のコミュニケーション保障に対応できない 等の問題があるというのは、手話通訳についてはそれは手話言語と音声言語を翻訳する わけなんです。音声言語をそのまま翻訳したとしても、ろう重複障害者についてはそれ を理解できないし、情報とかコミュニケーションが成立しない面が非常に大きいと思い ます。それを考えると、二つの問題点があるのではないかと思うんです。  一つは、日本の障害者福祉の歴史を見ますと、身体障害者福祉法が制定された昭和24 年当時から更生困難な重度の障害者の対策が後回しにされてきたのではないかというこ とです。知的障害者とか精神障害者とか全身的な障害者のサポートが非常に遅れていま すが、それは対策が後回しになってきた歴史をもっているからではないかと思うんで す。  また、情報とかコミュニケーションが福祉の対象となったのも30年ぐらい前なんで す。手話奉仕員養成所が実施されるようになったのが昭和45年であって、つまりその手 話によってコミュニケーションができる聴覚障害者等であって、きちんとした言語能力 を持っていない聴覚障害者への対応というものが遅れてきています。だから手話通訳の 養成についても、その重複障害者に対する通訳の面が取り残されているということで す。  言葉を変えて言うならば、日本の障害者福祉法は基本的人権尊重の理念が不十分なま まに恩恵的、選別的な施策が長続き、いまもその名残があるということです。これが国 民の視点を「地域生活支援を実現をするための財源確保」に向けさせるような状況に追 い込んでいるのではないかと考えるんです。  いま求められているのは、全ての障害者の基本的人権を尊重した上での個々の生活能 力に合わせた福祉施策の研究です。つまり、法的・社会的な環境の整備によって障害者 でも納税者となれるチャンスを保障する施策と、身体介護など生活支援に必要なサービ スの充実を公的に保障する施策が並行して展開されるべきだと思うんです。  今回の支援費制度は選択・自己決定を理念としていますし、私はこの支援費制度がそ の二つの方向を両方とも可能とする弾力的な施策となるべきだと思うんです。まだスタ ートして2カ月ですが、いろんな問題が出ていますが、きちんとして方向性を持てば発 展できるのではないかと思っています。  まず基本的な取り組みと考え方ですが、具体的な問題ですが、聴覚障害者の場合、こ の支援費対象となるのは重度の聴覚障害者ということです。たとえば聞こえない上に目 が見えないとか、聞こえない上に肢体障害を持つとか、聞こえない上に知的障害がある とか、精神障害があるとか、難病者とか、聞こえない上に学校に入る機会がなかったと いうような重度の聴覚障害者が対象になっています。現にその人達は自立した生活がで きないので、家族の支援によって生活しています。その人達を支援費対象とした場合、 ほとんど資源がないということを認識する必要があるのではないかと思うんです。  支援費制度というものは、一つは地域において支援できる福祉サービスがあることが 前提になります。これをどのように組み合わせて効果的に活用すれば、より有効なサポ ートができるかを検討するものであって、そのサービスを資源の場合、この支援費制度 の土俵に上がらないのではないかと思うんですね。市町村では現にそのような状態なん です。  それで重度の聴覚障害者にとってどのような社会的資源が必要かということですが、 一つは入所授産施設、二つは療護施設、三つは入所更生施設、それから通所授産施設、 グループホーム、就労支援とか手段保障ですが、この手段保障といいますのは、先にも 言いましたように、私たちの主な情報とかコミュニケーションの手段は手話であります ので、一般の福祉サービスの資源を利用する前でも、そこで手段的な情報とかコミュニ ケーションができる環境がないと本当の意味で利用できるということではないわけで す。その手段保障というものをきちんと考えていく必要があるのではないかと思うんで す。  コミュニケーション保障については手話通訳についてですけれど、音声言語を普通の 手話に訳すというものではなくて、音声言語をその聴覚障害者がもっている理解の能力 レベルに合わせて伝えていくというような専門性を持った人達が要望されるということ です。また盲聾唖者については、介助コミュニケーションの保障とか、医療的なケアや 精神的なケアなどが必要です。これを考えた場合、専門的な担当者が必要なんです。  そのようなことを考えた場合、ろう重複障害者に必要なものは、情報コミュニケー ションの支援相談というものを通常の聾唖者と違った視点できちんと整理し養成すると いうことです。また、支援費制度の中で一番大切なものは、ケアマネージャーの専門職 として配置されていないことです。このケアマネジメントを個々の障害者に教えて、専 門的な職員として配置するということを考えていかないと、これからの支援費制度のサ ポートというものがろう重複障害者の選択とか決定に合わせた制度と発展することは非 常に難しいのではないかと思うんです。  それで厚生労働省にお願いしたいのは、このようなろう重複障害者に対するサービス 資源というものがどの程度あるのか、もしあったとして3カ月になっていますが、その ような対応がどうなっているのかというものの実態調査というものをお願いしたいと思 います。少しまとまりのない面もあるかもしれませんが、以上で終わらせていただきま す。  江草座長  ありがとうございました。私が安藤先生のお話をとりまとめるというようなやり方は 一切やめます。あとで議事録を見てまた議論するということの方がいいと思います。そ れでは次に日本障害者協議会の太田さんから御発言を願いたいと思います。  太田委員  日本障害者協議会の太田です。資料2を御覧ください。順番を逆にします。この検討 会における要望ということを先に申し上げたいと思います。先程中西委員からあったよ うに、知的障害者の委員の参加ということは前向きに検討していただきたい。それはす ごく当たり前のことだというふうに考えます。  前回、精神障害者の領域は別のところで検討するので、検討会の検討対象から外すと いうことでしたが、日本障害者協議会としては、内部で検討した結果として、やはり総 合的な障害者福祉を、身体、知的、精神をこえた包括的な福祉を提起させていただくと いう立場から、精神の方の地域生活支援の在り方も含めて包括的に検討をしていただき たい。本協議会は障害区分についてICF、国際生活機能分類を基本とすべきだという 考え方に立っています。そういう意味ではこの検討会の議論において、精神と身体・知 的などの障害を切り離す合理的な根拠が甚だ見つけにくい。やはりこの際国際生活機能 分類に基づいて包括的な障害者の地域生活支援のあり方ということを検討すべきだと、 このように思っております。  資料の真ん中に移ります。地域生活支援での重要な観点ということです。まず大人に なった障害者を家族から独立を可能とさせる、そういうような制度の確立を前提として いるということです。将来的には私どもは民法の扶養義務を見直す、少なくともその範 囲を見直していくという提起をさせていただいております。しかしそれは将来の課題で あって、まず福祉サービスの単位を世帯単位から個人単位へ変更する、これは社会福祉 各法の改正でできることだろうというふうに認識しております。個人単位でサービスが 給付される、これが重要だと考えています。  次に介護という概念です。今まではホームヘルプ、ホームヘルパーといわれた時に、 本当に障害の重い、介護を必要とする人達が社会的自立、社会参加をする、それを支え るような介助、介護システムであったかを考えなければならない。決して社会的自立や 社会参加を支える介護はホームヘルプではないはずです。それとは違う原理をきちんと ここでは位置づけていく必要があります。  この間ある集会で障害をもつ人が65才にをむかえた、介護保険になり、要介護1の認 定を受けて、サービス量が減ったというような報告をしていました。やはり介護保険に よるホームヘルプはホームヘルプという文字通り家族を助ける、家族福祉の補完に過ぎ ないわけです。それを個人に着目した制度に改めるべきだというふうに思います。多様 な介護システムを作るべきでしょう。一人一人いろんな性格や志向、方法などを持って います。一人一人に見合った介護システムを作るべきだと思います。  例えば障害者と介護者が対等な関係で契約をする雇用システムを作っていくことも大 事です。こういうような感じで障害者が雇用主になり、介助者に賃金を払うという考え 方です。それは従来の介護の価値観を変えることです。  もう一つ例えば公営住宅、あるいは共同住宅のような中にケアスタッフルームを置い て、いつでも介助者を呼べるという体制をとることも一つの選択としてあっていいで しょう。ヨーロッパではやられていることだろうと思います。プライバシーも尊重され ることだろうと思います。  そういういろんな制度や多様性を考えていくことは重要です。そして、グループホー ムの整備ということも課題です。障害者計画、障害者プランでは脱施設ということを謳 いましたが、本当に脱施設でが進んでいくのかということが心配な点であります。施設 に対する補助金は義務的経費、地域に対しては裁量的経費という位置付けにおいて、本 当に脱施設を各々がやはり施設と在宅を対等な扱い、対等な基準にすべきではないか。 そうすることによって地域においての生活支援が具体的に進み、脱施設が可能になって いくと思います。  また、今まで医療行為は看護職が行なっていましたが、やっとここにきて改善されつ つありますが、地域で障害の重い人達が暮らせるには、ある程度医療行為は介護者が行 うようにしないと結局は医療施設での暮らしを余儀なくされます。やはりどんなに障害 が重くても人間としての誇りをもって地域生活を送りたいと思います。  日本障害者協議会の紹介に移りたいと思います。1981年の国際障害者年を契機に国際 障害者年日本推進協議会が前身で、この活動は1980年からスタートし、障害者や関係者 に基づいた包括的な組織です。障害の種別をこえた運動をしています。現在、71団体で 構成されています。日本障害者協議会は河端代表を障害者基本計画策定の懇談会の委員 に送り出すなど積極的な提言をしています。差別禁止法の制定、総合的な障害者福祉法 の制定、民法の扶養義務の見直し、また障害と障害の谷間や制度と制度の谷間にある人 達の深刻な問題を重要な政策課題としています。そういう意味で、ICFでの基準採用 を強く提起したいと思います。以上です。  江草座長  はい、ありがとうございました。それでは次に中西委員からご発表をいただきたいと 思います。  中西委員  資料3を見ていただきたいと思います。当事者主体の運営ということで、我々自立生 活センターは知的精神の人も当事者、聴覚視覚の方も当事者、我々身体のものも当事者 が運営するサービス組織というのが一番自分たちのニーズに合い、そして自分たちが利 用したいサービスをやってくれる組織として、これを国の中でも一つのシステムとして 取り入れていっていただきたいという提言です。  我々、1986年にスタートした自立生活センターは、いま全国120カ所で北海道から沖 縄まで運営しております。このセンターの中で行なわれるサービスの概略をお話しいた します。我々は運営委員50%、そして代表事務局長を障害者であることという規約を持 ちまして、介助サービス、ピアカウンセリングプラン、自立生活プログラム、そして介 助サービスなど、サービスを提供しています。  そして介助サービスにおいては、障害者のニーズに応じた三つの無制限ということ で、かつてどのサービスもやらなかった対象の無制限、高齢者であろうが妊産婦であろ うが、スキーで足を折った学生であろうが、対象を制限しません。国のサービスもあら ゆる民間サービス、ほとんどが対象制限をいたしますが、我々は地域の中で介護保険で 落ちこぼれた方、そして障害手帳で落ちこぼれた方、全ての方を対象としております。 ですからうちのサービスは市の中でどこも受けられないという大変な方は全部うちで受 けます。  基本的に市の受け皿は全部自立生活センターが全国果たしております。これは時間の 問題でも我々24時間無制限ですし、対象も無制限、サービス内容も無制限で、これは当 事者の意向にそってやるのがサービスであって、こちらのサービスの主体側が制限すべ きじゃない、利用者の年齢で制限すべきではないし、手帳で制限すべきではないし、介 助内容で制限すべきでもないというふうに思っております。これでできないんじゃない かと思われますが、18年間何の支障もなく地域の中にはリソースが十分あるものです。 夜中の2時の介助も学生さんが起きてらっしゃる方は大勢いらっしゃいますし、朝4時 のサービスも高齢者の方でリタイアされた方が大勢介助に入っていただいています。そ ういう意味で地域にはリソースは十分あるんだ、国でそんなに制限をしなくても地域の 中でやっていけるんだ、それをどのように開放していくかだというふうに思います。  それから我々は介助者を選べること、これは当然なことととして、三回まで理由なく 断れるというふうにしております。これは利用者にサービスを利用していただくわけで すから、我々はお客様第一で、その皆さんが気にいらなければ次の方を御紹介して、気 にいらなければまた次の方というふうにやって、利用者の期待に添えるような介助者を 配置するようにしております。  それから緊急介助派遣サービスですが、夜中のトイレを失敗しちゃったとか、ベッド から落っこったとか、知的の方ですとクーラーの消し方がわからないとか、窓を閉め忘 れて雨が降り込んできたとか、いろいろなニーズがありますが、こういうのに24時間体 制で男女の職員が配置されていまして、携帯電話をもって夜中でもどこでも緊急派遣い たします。これは国のシステムとしてもこういう体制をとることは可能なので、それを ぜひ取り入れられるような制度的な整備をしていただいております。平日とか土日、1 日中の待機者を時給を用意して待機しておいてもらえればできるということです。その 代りり、そこのお宅の介助を日頃から練習して貰わなければいけないという条件はあり ます。  次に当事者エンパワーメントのサービスとセルフマネージドケアですが、我々サービ スの基本は当事者のエンパワーメントにありというふうに思っています。これは知的の 方の参加を我々どうしてこんなに言うのかとおっしゃられると、会に参加して、この緊 張した雰囲気を経験しないと我々でもなかなか喋れないんですね。それと同じに知的の 方がここへ出て4〜5回出てくると慣れてきて喋れるようになるんですね。だから彼ら にはできないだろうというのではなくて、やらせてみて、そして練習していただいて、 発言できるようにしていく。  東京都のケアマネジメントの検討会を4年やりましたが、1年目はサポーターをつけ て、いま発言していいの?、大丈夫?と言って発言した。2年目は会議の前にこういう 議題が話されるんだよとやさしい議題のペーパーで説明して、発言できる。3年目にな るとそのいい時点でパッと手を挙げて発言できるというふうに成長されておりますの で、ぜひとも機会を作っていただきたいと思います。  それで我々の自立生活プログラムですが、これはピアカウンセリングと並ぶ自立生活 センターの重要なサービスです。このピアカウンセリングにおいて当事者がニーズを自 分で言えるようになる。ニーズを自分で気がつかない当事者の方もいらっしゃる。これ は在宅で親元でいつでも介助が呼べるとか、施設でいつでも介助が呼べるという方は、 自分がどの時間にどれだけの時間の介助があればいいかおわかりにならないんですね。 そこで我々はその方の言葉を聞き取るために、障害者自身で同じ経験をしてらっしゃる 方にピアカウンセラーになっていただいて、話を聞いてもらいます。  これは健常者の方のケアマネージャーではなかなか正直なことを言わないんですね。 トイレの問題一つとっても、女性の方も言えないですし、身体障害者も大のトイレにつ いてはなかなか口に出して言えない。そういうことをどんなに困っているかということ は、僕も経験があるので、失敗した時困るよね、でもそれはいつでも介助者は緊急に飛 んできてくれるんだよというような話をピアカウンセラーがやりながら、彼らは心を開 いて本当のニーズを言えるようになる。これがケアマネージャーとしてのピアカウンセ ラーの役割の大きなところなので、これをぜひ当事者自身が相談窓口をたてる、市町村 障害者生活支援事業という事業がありますが、これがなくならないように、ぜひ広がる ようにしていっていただきたいと思います。  そして自立生活プログラム、これは障害当事者がオーガナイズする生活技術の伝達の 場です。我々障害者の文化を伝える場とも言ってますが、介助者を使って生活する時 に、介助者との関係をどういうふうにやれば対等な関係が築いていけるか、トイレの介 助をされながら、しかも相手が毎回遅刻するのをどういうふうにきちんと注意して、し かも相手を怒らせないで、きっちり仕事を続けていけるような関係を作るか、こういう ふうな関係づくりを上手にしていくことをグループでのディスカッションや、それから 体験的な外出や料理を作るプログラムの中から学んでいきます。料理を作ることももち ろん、両手がきかなくても自分の味付けで女性の障害者は自分の家庭の料理の味を作れ るというふうなことが重要だと考えて、プログラムの中に取り入れているわけです。  こういうふうな体験を含んだプログラムを自立生活体験室という場を通じて、ここで 1週間なり1カ月なり泊りながら勉強してもらいます。最初の3日ぐらいは親元から始 めて、トイレを他人に介助してもらう。それは緊張で満たされますが、1週間1カ月と なると、自分で次に来る介助者の手配をできたりとかいうふうにして自立への道筋を 辿っていくわけです。この自立生活体験室についても、国での制度化をして補助金がと れるようなシステムを作っていただくことが施設から在宅への道筋をつくる重要なファ クターだと思います。知的障害者の方も週末親元から離れて暮らすというような経験を 繰り返しながら自分で自立を進めてらっしゃるということでは、この体験室をいまたく さん作っていきたい状況にあります。  次に移送サービスです。これはリフトバスサービスなどのサービスを我々やって、行 政側は病院へ行ったり、行政の窓口へ行くようなことしか移送をやっていただけないの ですが、ここではレクリエーションやデータは自由に使えるというふうにして生活の幅 を広めるようにしています。  それから住宅サービスは重要なんですが、身体障害、知的障害、精神障害の人もそう ですが、家を借りるのはなかなか大変です。そこで自立生活センターが保証人になっ て、その方々の家を不動産屋と連携して借りるようにしています。何軒か懇意になって いるところがあって、その自立生活センターはみんなやっていますが、センターの所長 が保証しながら改造などを含めて御相談になるということです。これも住宅で市町村で 借り上げるような方法をとっていただければ、その枠内で公営住宅を作らなくても民間 住宅で自立ということは可能かと思います。  それから6の知的障害者の介助サービス、当事者サービスグループというのは、我々 金曜日の夜は作業所から帰ってこられる知的障害者の方々との話し合いの場を持ってい ます。ここで身体障害の重度な方の家を見に行って貰って、知的の方も自立できるんだ よというような応援をしながら、ガイドヘルパーサービスをうちではいま市の270 名の 知的障害者全員のを受け持っておりますが、その人達に対してのサービスをやりなが ら、いま介助の使い方を覚え、そしてようやく自分で介助者との人間関係ができて、依 頼ができるようになってきたという状況です。これを進めていけば彼らが自立していく ことも無理ではないと思います。このことをどうやって国がサポートするかということ が次の課題だと思います。  7番の聴覚障害者のピアカウンセリングですが、聴覚障害者の安藤委員の方からもあ りましたが、やはり相談されるピアカウンセリング的なことは非常に重要ですし、介助 の手話通訳者とのいい関係を作っていくというのは地域でもなかなか大変なので、これ を何とかもう少し財政的支援をして、手話通訳が十分確保されるようにしていって貰い たいと思います。  それから視覚障害者のガイドヘルプサービスも地域では24時間制限とかいろいろあっ て、なかなか使いにくいものになっていますので、これをできるだけ社会参加できるよ うにのばしていく財政措置も必要かと思います。  それから8番の精神障害者当事者の介助サービス、ピアカウセリングということで、 我々10人のピアカウンセラーを育てて、そのうちの3人がいま介助サービスを自分たち で展開しようということで、事務局に入ってきています。我々が事務的な書類のお手伝 いなどをしながら、彼らが介助サービス来年度に向かってスタートするように、いまボ ランタリーベースの介助を始めようとしています。これがうまくいけば当事者自身がピ アカウンセラーにあった介助サービスが提供できると思います。精神の方も仕事の場を 求めておりますので、こういう福祉サービスの中で業者にもっていかれないで、自分た ちのサービスを自分たちでやるということがいいかと思います。  9番の親プログラムは、我々自立生活センター、当事者の支援をして、施設から在宅 へという支援をしてきましたが、やはり親の自立度というか、親が障害者を過保護に育 てないようにしていく、彼ら自身が自立していくというプログラムが必要なので、これ は療育の早期から親との話し合いを、当事者、こういうふうに大人になったらこういう 障害者になれるんだよ、地域で1人で暮らしていける障害者になれるんだよということ を伝えていくプログラムというのをスタートさせたいと思っています。これもぜひとも 国でこういうプログラム支援をやっていただければと思います。  それから10番の在宅移行体験プログラムですが、これは知的障害者なども主なターゲ ットにしているわけですが、やはりグループホーム的なところへ移行し、さらに在宅へ つなげていく、この境目がなかなかうまくいかないので、支援費のサービスでグループ ホームでいまサービスが使えるようになりましたが、これをもっと施設から在宅への移 行時で大量に投入できるように、そこに支援費のサービスの移行時で月に何百時間使え るというふうな形のものができれば移行はすごくスムーズになると思います。  次に2頁目を開いてください。これが自立までの流れで、最初の相談日から自立1年 目、それから自立4カ月前、2カ月前、1カ月と、我々が自立希望障害者に対して右の 上の欄ではILP、自立生活プログラムとか、事業所側がピアカウンセリングをしたり とか、行政側との話し合いを進めたりというふうに対処をしているところです。長期の 自立プログラムや家探しをスタートして、直前に、この頃は措置の介助、いまの支援費 の手続きをやったりとかいうふうなことも全て手伝ってやっていくということです。  次の頁をめくっていただくと、5頁に丸い表があります。障害当事者からの相談が68 %、家族からが9%、他団体からというふうになっています。ピアカウセリングの講座 開催件数は2,673 回、2001年では全国で2,600 回以上のサービスをやっているというこ とです。ですからこういうのを紹介していただければ、当事者同士の話し合いで自立が 進んでいくと思います。  次の7頁をめくってください。いままで894 人の自立生活者を自立生活センターは生 み出してきました。施設10個分ぐらい閉鎖したにあたると思いますが、この分布図によ って10人から30人まで自立したところは赤です。30人以下50人以上というふうな形で、 全国で自立生活者が広がっています。  次に8頁を開いてください。金銭管理のサービスを依頼している利用者、身体では71 %、知的で21%、支援金の払い出しから、サービス支援内容というのが書かれていま す。それから権利侵害を受けた例として、施設職員とか行政職員とかと並んで、ヘルパ ーとかというのも入っています。それから9頁が全国のサービス分布図です。当事者団 体が全国津々浦々でいまサービス提供をやっております。  ではその裏側の頁は介護保険とかホームヘルプサービスをどのように地域で受けられ ているかということで、2003年の時点で全都道府県で実施されているということはおわ かりかと思います。  次に11頁の表を見ていただくと、自立生活センター、関東甲信越が中心ですが、東海 地方、近畿、九州、沖縄、北海道まで分布しております。  次に12頁を見て下さい。サービス内容、日常生活支援、4月15日の時点のデータです が、日常生活支援62%、それから移動介護は18%、身体介護は13%、家事援助は7%と いうことです。下の方の図で身体障害者は71%、知的障害者はいまは29%ということ で、知的障害者の比重が非常に高くなってきているので、このことで知的障害当事者の 参加がいま必要な時点に来たんだということを認識していただけると思います。この場 にぜひとも知的障害者をというのは、このデータからも明らかだと思います。  それから13頁ですが、地域の支援費の最大支給量というので、5時間から10時間の間 が39%、10時間以上が残りの60%ということで、介護保険の4時間のサービスとかでは なかなか足りないんだ、全く違うシステムの特別特定財源化したようなサービスが必要 なんじゃないか。この地域で1人暮らしをしている障害者は家族がいる介護保険の人達 とは違って、生命の危機に瀕しているわけですね。この6割の方々の命を守るために は、やっぱり絶対安全な財源で確保されなければいけないんだろうと思います。そのた めにパーソナルアシスタンスシステムなど、いままでのホームサービスとは違うカテゴ リーのサービス名をつけて財源を守っていきたいというふうに思います。  次に16頁は市町村障害者生活支援事業の住宅状況ですが、今年一般財源化されてしま ったことで、ここまで広がってきたんですが、なかなか全国に広がりきらない。ここで 何らかの国側の支援がないと生活支援事業は来年以降つぶれちゃうんじゃないかという 心配をしておりますので、この点もぜひともお考えいただければと思います。ありがと うございました。  江草座長  ありがとうございました。それでは次に室崎委員さん、お願いします。  室崎委員  全日本育成会の室崎でございます。資料4で島根においていわみ福祉会として取り組 んでいる資料を出させていただきました。  私の子供は1歳3ヶ月の時に種痘をした後、種痘後脳炎で重度の障害を抱えました。私 は、現在在宅で非常に知的障害の重い子供を抱えている親の一人でございますので、本 人の意思・思いを普段から私が持っているものとして発言させていただきますが、本人 部会の中からこんなことおかしいんじゃない?というようなことがあれば、私どもの中 でも話し合いを行い、本人からの意見を持ち寄りたいと思っています。以前の手をつな ぐ育成会全国大会における本人部会決議文の中で「私たちのことを本人抜きで決めない で欲しい」という一文がありました。これを読んだとき私は、親としてハッとさせられ たんです。是非、この検討会にオブサーバーとして入っていただく中で、いろいろ意見 を出してもらいながら本人の声を交えた話し合いが実現すればいいなあという風に思っ ています。  さて、私が活動を展開する島根県浜田圏域は、日本海に面した島根県の中ほどに位置 し、広島市から中国山地を越えて1時間半のところにある、全国でも有数の過疎化・高 齢化が進んだ状態にある圏域です。概要はと言いますと、2市3町1村で構成されてお り、人口92,000人、療育手帳所持者は640人、障害児(者)施設利用者は、152人、在宅 者が488人です。  そこで、地域生活支援センター「レント」というものを立ち上げ、平成9年度より地 域療育等支援施設事業を、また平成14年度からは就業・生活支援センター事業の指定 を受け、様々な地域生活を支えていく活動を行っております。法人全体としては、知的 障害の入所更生施設と併設通所部、通所授産施設、ホームヘルプ、高齢者の養護老人ホ ーム、特別養護老人ホーム、デイサービス、ホームヘルプなどのサービス提供を行って おります。  これらの中でも特に私たちが力を入れて行っているのが、モデル事業の頃からメンバ ーに入れてもらって行っている地域療育等支援事業です。この事業では、どんなことが 行われるかというと、まずコーディネーターが地域にある知的障害のある方の色々なニ ーズを掘り起こし、圏域内の行政・学校・病院などの様々な機関が所属する調整会議に 提起していきます。このことで、これまで埋もれていた一人一人のニーズを社会化し、 地域全体の問題として認識するとともに、そのニーズに応えていくための方法を地域資 源をネットワーク化することにより考えたり、無い資源・制度は作り出したりしていく のです。当方では、非常に先駆的に取り組んできました。  でも、施設の中で地域のことを取り組んで見る中で、所詮施設の中からではどうにも ならないということで、地域の中に足場をつくれるよう障害のある方が自分で通ってこ れる街中にある家を法人の持ち出しにより借り、そこに相談窓口としてセンターを配置 したのです。そうしますとそれまでは考えられないほどの障害者・保護者の方の出入り があるようになり、それに応じていろんな相談ケースも増えてきているところです。  親も子供も、地域の中にいつでも頼れるところが欲しいのです。何かあったらSOS が発信でき、すぐに助けてくれるお助けマンの支援センターが欲しいのです。悩んでい る障害者・その家族がいれば、ケアマネジメントの手法を使い、その人たちが必要とし ているサービスを構築していく。これから真の意味で人間復権をめざすなら、この療育 等支援事業は非常に大切な役割を果たすはずです。  島根県は、人口に比べて施設の数が多いところです。障害がある人は、すぐに施設に 入所する。在宅でいることは、稀なことだったのです。しかし、在宅とはいっても選択 肢は何も無いから在宅で生活できなかったのが現状なのです。私の子供も含め泣く泣く 施設を利用していました。  しかし、この4月から支援費制度がはじまりました。これからは、地域の中にも24時 間いつでも選択肢があり、在宅でも普通の生活が組み立てられるよう、私どもも、その 中核をなすヘルパー制度に非常に期待しているところです。  そして、そのヘルパー制度に期待をかけると同時に、これまでいかに子供たちが普通 の生活をできていなかったかが分かってきたのです。本人の意思でも何でもなく、親の 安心・安全の確保のために施設に渋々入れてしまっていたことが、当たり前の生活を 奪っていたのです。本人たちの選択は、やはり施設の中での生活よりも、地域の中で当 たり前の暮らしだと思うのです。しかし、今すぐ本人が「普通の暮らしがしたい」「支 援費制度になったから、サービスの選択をしたい」と言ったとしても、彼らから直接で てくるニーズは非常に限られている人たちからだけです。これは、当たり前の生活を 奪った結果、本人が自らの意思で、選択・決定することを体験したことがないというこ とが大きく影響しています。今後、援助が必要なところだと思います。  また、親たちにも課題・問題があったようです。支援費制度がスタートしたはいい が、まだ地域で資源を活用する者として、また、要求する者としてのスタンスが確立で きていなかったのです。まず、本人・親を含めてこの支援者が改めて地域に何を求めれ ば豊かな生活ができるのかということを一緒に考えなければなりません。それを受け止 めるサービス提供者も行政も同様の気持ちで、それぞれに異なるニーズに応えていく環 境を設定していかなくてはならないのではないでしょうか。  市町村の相談窓口でも、支援費制度は始まったけれど、選択できるほどのサービスは ありませんよ。利用できる施設は○○しかありませんよ。などと相変わらずの対応で、 制度の説明も不十分というような話を聞いております。慌ててこの4月に向けて準備さ れたようですが、聞き取りについても非常に粗雑であるという不平が各所から出てきて おります。まず、行政の窓口に専門性をもってもらいたいです。このままでは、本人・ 家族も理解不足の状況になり、せっかくできた制度を活用しているイメージすら持てな い状況に陥ってしまいます。せっかくの制度です、各々が上手くスタートできるよう配 慮してほしいものです。  また、聞き取りの項目が知的障害の生活困難に対応できていないのではないでしょう か。もっと、知的障害のことを理解した上での聞き取りをやっていただきたいと思いま す。知的障害には、高齢者とも身体障害とも異なるニーズがあり、障害特性や実情に合 わせた独自サービスメニューも必要となるはずです。身体障害や高齢者の介護と同じ形 態では、非常にヘルパーの使い難さの問題があります。そのサービスを提供してくれる ヘルパーについても、先ほど挙げた特性などの点を理解できているヘルパーの絶対数の 不足や質などに不足があり、現状用意されている高齢者を基本とした2級ホームヘルパ ーでは、満足のいくサービスを受けることができていない現状にあります。養成や確保 に向けての一層の対応をとっていただきたいです。別の問題点としては、学齢期の子供 さんを持つ方のヘルパーに対するニーズが高いんですが、学校の通学とか、送迎とかに は、ヘルパーは認められていないのです。本当に利用が求められているところでは、利 用できないのです。認められないからと言って、引き下がると制度は広がっていきませ んので、市町村に徹底的にそのニーズを説明しながら、呼び込んでいき、やっとひとつ の市町村が認めてくれるようになったんです。煩雑な書類を出してやっとです。非常に 努力がいることなんです。各地では、本当に必要としている現状から送迎をインフォー マルなサービスで実施しているところもあるようです。しかし、本当に必要とされるサ ービスならば、制度内で対応できるようにしていくことが必要だと思います。  求めないからサービスが無い、サービスが無いから選ぶことができない、利用しな い、できない、相談するところもない、こんな悪循環を繰り返していても前進はありま せん。私たちの把握しているニーズは、現状用意されている公的サービスの範囲を超え ているのですから、それを県や市町村にしっかりと認識してもらい、欲しいサービスが 無かったら作っていただくように活動していかなくてはならないと、今痛感していると ころです。  いろいろと話をしましたが、地域にある様々なニーズを理解し、取りまとめてくれる 地域療育事業・コーディネーターは、私たち親の一番頼りにしている存在なのです。で すから、これを公的な支援として、配置することが必要なのではないでしょうか。ただ し、マルサのような第三者機関によるチェック機能を設けることができなければ、効率 的かつ公平な実施はありえないとも思っております。  しかし、この地域療育等支援事業も一般財源化されました。次年度以降、この必要不 可欠な存在はどうなってしまうのでしょうか。みんなが本当に必要としているサービス です。どうか、この地域生活を支える要であり、支援費制度を円滑に推進するために有 用なこの事業を存続させられるように国・県・市町村に対してお願いしたいです。以上 です。  江草座長  はい、ありがとうございました。これで4人の方のご発言を終わったわけであります が、相互に御質問なり御意見なりがありましたらどうぞ。  大森委員  太田修平さんに質問があります。御意見に基本的に賛成している箇所なんですが、ホ ームヘルプということについての考え方なんですが、この資料2に中にホームヘルプで はなくて、1人の人間の社会生活を支援するという観点が大事だ、私もそう思うんです が、ホームヘルプというのはサービスの利用者が在宅でケアを受けることを意味するの で、はなから家族を支援するということではない。現実に家族を支援している側面はあ るんだけれども、これは対立する概念ではないのではないかというのが私の従来の理解 なんですが、太田さんはそういうご理解をされているんだろうか。  それとも従来のホームヘルプというのはどこかで少し手垢にまみれている考え方なの で、この機会に新しい概念に転換していきたいというふうに、中西さんは少しそういう 御意見ですので、それは私は反対ではないのですが、このホームヘルプの考え方は、太 田さんの御意見を聞いていると、私のいままでの理解と違うものですから、そこをちょ っと確かめておきたいんですが。  太田委員  大変難しい質問だと思います。基本的には原則的には、いまおっしゃられた概念であ ったかのように私も理解しています。しかし制度が動いていくうちに、だんだんホーム ヘルプという言葉が1人歩きしてしまっている。それがいつの間にか年寄りに対する 「助ける」というようなニュアンスに人々の意識をもっていってしまっているのではな いか。これは改めて軌道修正をさせ、きちんとした個人の支援という言葉を、例えば、 パーソナルアシスタンスというような意味の言葉を確認して改めて使う必要があるだろ う。本人をきちんと支援していくということが、ひいては家族の支援につながるという ような認識でありますので、ぜひもう一度きちんと概念の検討をしたいというふうに 思っています。  江草座長  よろしいですか。はい、どうぞ、中西さん。  中西委員  太田さんに集中して悪いんですが、いまのホームヘルプサービスについては、これは 別だてのシステムをして財源確保して安定化させることが必要だという意見です。もう 一つ、ICFのことをおっしゃられたんですが、ICF、国際生活機能分類の方を使わ れるのがいいという御意見ですね。ICFについて僕も勉強したんですが、この客観的 アセスメント方法だと思うんですね。やはりメージャーを使ってやるわけですが、7〜 8割が医療的なメージャーなんですね。難聴の方のデシベルを調べるとか、そういうふ うな医療的なメソードがほとんどで、社会参加のメソードは入っているんですが、社会 参加のクライテリアというか、そこではわりに意味のない内容が多いかな。  地域生活のことをよく知った、具体的に言うと近所の人とか社交の場で相手とすぐに コミュニケーションをとって、話せますかというふうな項目があったりして、なかなか 社交の場で声をかけてやるということは健常者でも難しいのに、どうしてこれが入って くるのかなというのがあったりとか、これを一度見ていただければと思うんですが、僕 は客観的には当事者主体的なアセスメントを我々自身が実際に体験して暮らしてみて、 どのぐらいの介助が必要なのかというふうに見ながらやっていくようなアセスメントの 方が現実的かなと思う。  アセスメントを30分でチェックリストでバッと終わる介護保険方式では障害者の方は 対応できなくて、やっぱり生活支援事業の高齢と障害を両方やられた方が、障害の方は 2時間は聞いてもよくわからないんですよと、我々は言うんだけれども、やはり2時間 どころじゃなくて、3カ月とか半年ぐらいじっくり一緒におつきあいをして、どういう 場面でどういう介助が必要なのか、こういうふうな十分な体験を踏んでサービスの内容 を決めていくのがいいかと思っております。  太田委員  ICFについては、中西委員とは認識が少し違うと思います。中西委員におかれて は、まだ社会モデルとして不十分だというふうな認識だと思いますが、私どもは医療モ デルを前提とした従来の障害者観に比べれば、参加と活動に着目し、それぞれの背景因 子や環境因子を重視した障害観で、ワンステップ前進したとみてよいのではないでしょ うか。きちんとそこを評価したいと思います。ICF全体を見た場合、決して医療モデ ルにはならないはずであります。  中西委員  これは議論するよりも、実質的に太田さんがそう思われることを補助と具体的に話を お聞きした方がいいかな、具体的なテキストにしたがってお話をした方がいいかなと思 います。  江草座長  それでは他にありますか。  佐藤委員  中西さんにお伺いしたいんですが、いろんな事業を自立生活センターとして当事者主 体の運営の中で取り組んでおられるという御紹介をいただきましたが、下世話な話で恐 縮ですが、たとえば中西さんがいま運営しておられるセンターで、昨年のこの事業全体 の収入というんでしょうか、それは補助金のものもあるかもしれませんし、あるいは補 助金も国レベル、市町村レベルのもの様々あろうかと思いますし、それから利用者の方 の負担もあるのかもしれませんが、全部でどれぐらいの売り上げといいますか、金額に すると事業量はどのぐらいですか。まだ措置時代のことをお聞きしたいんですが。  中西委員  八王子市は人口が52万いるのですが、措置時代の方では大体年間の運営経費は1億円 です。行政からの支援が半分ぐらいと、我々独自財源が半分というふうな感じです。こ れは去年の時点で事業費補助方式になっていますので、その収益もあったわけで、サー ビスの事業費補助方式は出る前の運営では5,000 万ぐらいの運営経費でした。ですから 事業費補助が入って5,000 万ぐらいになって、支援費の方になると、また倍になる感じ になっておりますが。支援費の運営経費の方でも大体3億の売り上げですが、実質的に 運営経費は全て絡めて1億円ぐらいでやっていけると思います。  板山座長代理  これは中西さんのご発表の中に、対象時間内容について、三つの無制限というのがあ りましたね。これはいずれこの委員会での議論を進めていきますと出てくるテーマです が、ぜひ自立生活運動をセンターの中で、この対象時間内を無制限、いまの佐藤さんの 御質問にも関連するんですが、全体としてのニーズに応えるために、どういう費用はど の程度にかかり、それはいままでどのような形で行政の委託あるいは本人の負担、様々 な意味の工夫、どういう財政的な構造になっているか、後でいいですが、少しご参考に 聞かせて欲しいなと思うんです。そういう意味の分析を少しやっておいて欲しいと思い ます。これは希望です。  中西委員  承知しました。そういう形で公的サービスだけじゃなくて、はみだし部分の自費で払 われている方の分も含めてということですね。またこの俎上に上げたいと思います。  江草座長  それでは笹川さん、どうぞ。  笹川委員  中西さんにお尋ねしますが、当事者で自立生活支援センターを経営されているという ことは大変なことだと思います。理想的だと思うんですが、その全国に分布してる自立 生活支援センターが今回の支援費制度で事業所として指定を受けているかどうか、それ から視覚障害者に対するサービスとして、ガイドヘルパーの派遣事業というのがござい ますが、全てのセンターがそれが実施されているかどうか、そこをちょっと聞かせてく ださい。  中西委員  いま120カ所、自立生活センターが全国にあるんですが、事業所指定を受けたところ は 100カ所です。ですから90%以上が事業所指定をやっております。視覚のガイドヘル パーの方ですが、やっている事業所はまだ2〜3個なんですね。これは視覚のガイヘル がほとんど社協さんがやられていまして、他の事業所の委託はなかなかとれないという 状況があるんですね。  たしかに我々も自立生活センターがいま視覚障害者のスタッフをおいてコーディネー ターをやって、ガイドヘルパーの派遣をやっておりますが、行く行くはその方々が独立 して、自分たち視覚障害者の人達が自分たちのサービスをやるように育っていっていた だければいいと思って、八王子の視覚障害者の八視協の方も代表運営に入っていただい て、それから八聾協の代表が運営委員に入っていただいて一緒に協調しながらやってお ります。社協の方とも連携をとってやっているので、そういう意味では行政、社協、皆 さんの強力を得ながらやっていますので、ぜひとも笹川さんの団体とも地域の自立生活 センターと協調をもってサービス展開を進めていただければとてもいいと思います。  江草座長  それでは大体予定しておりました時間が過ぎましたので、5〜6分ぐらい休憩をした いと思います。それではこれで暫時休憩ということにさせていただきます。ありがとう ございました。  江草座長  それでは再開いたします。次は東京都の部長さんからでございます。どうぞよろしく お願いいたします。  有留委員  東京都の障害福祉部長の有留でございます。東京都独自の地域支援というものを中心 にお話しさせていただきます。まずはA3で利用者本位の支援費制度をめざす今後の取 り組みという資料を御覧いただきたいと思います。ここに私が今日何を申し上げたいの か簡潔に書かれております。  支援費制度の概要は御案内の通りですので、都としてどう評価するのかということ で、東京都は大都市の特性をふまえた独自の福祉改革を進めております。そういう意味 でその理念である選択と競い合いという意味では一致しております。ただ、改革として は中途半端であるということで、サービス向上などに都独自の取り組みが必要ですよと いうことで、私ども支援費制度の問題点を二つあげております。これは団体等からも御 指摘があるところです。  一つは基盤整備の問題です。財源は基本的にいまと変わらない、本当に選べるだけの サービスがあるのかという問題です。それからもう一つは仕組みづくりの問題です。ケ アマネジメントが制度化されておりません。そんなことで下の方に都独自の取り組みと いうことで、基本的な方向は、題目といいますか、算盤だけじゃない自主的な支援費制 度をこの東京で実現していく、それから入所施設から地域での自立した生活への移行を 着実なものにするということで、制度の形式的な移行ではなくて、裏付け、リアリティ のある取り組みをしていこうということで、私どもは以下の取り組みをやっておりま す。  一つは制度を支える都独自の仕組みということで、たとえば利用者の主体性を支える ケアマネの手法を用いた支援費制度の利用援助モデル事業、あるいは利用者の選択を支 えるシステム、情報システム、第三者評価サービス、それから区市町村における障害区 分と適正な支給決定を支援しようということで、判定マニュアルなどを作っておりま す。  真ん中が一番大事なところでして、地域生活を支える基盤を整備、具体的に短期集中 で整備していこうということで、障害者地域生活支援緊急3カ年プランということで、 3カ年で160億円を計上して、300カ所、3,000人分のグループホームとか通所施設など を整備していこうということ等をやっております。  それから入所施設の改革ということで、一番上は都立施設の民間移譲等ということ で、都立施設は基本的に廃止いたしまして、民間に移譲してサービス向上を図ろう、結 果としてコストパフォーマンスの向上になります。それから民間施設のサービス推進費 の見直し、これは耳慣れない言葉ですが、東京都の社会福祉施設に対して独自の手厚い 補助、障害分野では100億円ぐらいの補助をしていますが、これを画一的な補助から施 設の努力に報いる加算にしましょうというようなこと、それから一番下が入所施設のコ ンセプトを変えていこう、いわば生活型永住型から地域生活の支援型に変えていこう、 そんな取り組みをいま進めているところです。今日私が申し上げるのはこれが主な骨格 でございます。  それでは資料5を御覧いただきたいと思います。東京都における障害者(児)の地域 生活支援に対する取り組みということで、1番が経緯です。平成12年12月に福祉改革推 進プランというのをたてました。これは福祉改革の基本理念と全体展望ということで、 キーワードは選択、利用者が選択できるサービスの質・量の確保と仕組みの整備、それ から競い合い、多様な主体の参入促進と競い合いによる質の向上、直営と社会福祉法人 のサービスしかなかった時代が長く続きましたが、ここにNPOとか株式会社とか、多 様な主体を入れて競い合わせて質の向上を図ろう。  それから地域、大都市としての東京でございますが、都でも地域ごとに、区市町村ご とに特性があります。そういう区市町村の主体的取り組みを支援していこうという全体 のプランです。それを進めまして昨年の2月にTOKYO福祉改革ステップ2というこ とで推進プランをさらに進めて具体化、目標水準まで定めたものでございます。  基本コンセプトは二つありまして、一つは施設偏重の画一的な福祉を改革していこ う、障害者が可能な限り地域で生活できる環境を整備していくというのが一点です。も う一点が、先程申し上げました公立、あるいは社会福祉法人中心の供給体制を改革して いこうということで、障害の分野ではありませんが、認証保育というのを聞いたことが あると思いますが、認可と無認可の間で駅前型、あるいは延長保育を前提として都独自 の認証保育、保育制度などを盛り込ませて、ここ1年半ですでに200カ所近い整備が進 んでおります。そんなことを障害の分野でもやっていこうということです。  では2の地域生活支援のための主な施策を説明させていただきます。支援費に移行し ます今年度から3カ年で地域生活基盤への重点投資を行なうということです。主な内容 は、下にございます、たとえば地域生活基盤の整備では、地域居住の場、グループホー ム、定員1,000人増、いま現在1,000人ですから、3年間で倍増したいと考えておりま す。それから住む場の他に当然日中活動の場ということで、通所施設、デイサービスな どの定員をこれも1,260人増やす、それからその他在宅サービスでショートステイなど を増やしていきます。  それから入所施設の整備、これも地域生活支援型、要はユニットケアをやったり、あ るいはグループホームを設置したりサポートしたり、あるいは自活訓練を地域移行訓練 を充実させる、そうしたものに限って入所施設の整備も進めていこう。あわせて待機者 を平成17年度までに解消していこう。知的でいえばいま約1,000 人おります。これが緊 急3カ年プランの概要です。別添に資料がありますので、あとで御覧いただきたいと思 います。  二つ目の柱が入所施設の抜本改革です。永住型から地域生活支援型ということです。 内容は先程御説明した通りですが、従来型の整備、需要に合わせて施設を作り続けると いうことではなくて、最初から回転型にしていく、ユニットケアなど先駆的な民間法人 がやっておりますが、さらに地域にいる障害者を支援する機能などをもった施設に対し て特別助成を実施ということです。全体に特別助成というのは出ておりますが、要はい ま設置者、簡単にいえば四分の一負担です、これを八分の一負担に軽減すること、それ から用地費助成というのは国制度にはありませんが、用地費についても四分の三補助し ていこうという制度です。  申し遅れましたが、都財政は非常に厳しくて、一般会計は15年度予算、前年度比△5 %ですが、障害福祉関連では2%増の予算を組むことができました。主な事業と比べる と20%増、これはマジックではなくて、様々な改革の中で自助努力で生み出した現象を もとにそういう財源を生み出したということです。  こういう入所施設の抜本改革の中で、まずは都立福祉施設の改革、東京都はサービス の直接提供から撤退いたしまして、民間法人に移譲をすることによってサービスの向上 と効率的な運営、矛盾するように見えますが、民間法人のきめ細かな運営で、効率的で なおかつサービスの向上が期待できるということで、今年度から都立障害者施設の民間 移譲を進めてまいります。  それから施設運営費に対する都加算補助、先程100億円というふうに申し上げました が、これは二種類ありまして、一つは人員の増配置です。たとえば最重度障害者、国基 準ですと旧措置制度で3.1 対1ですが、都立では1対1という形で手厚い増配置をして おります。こういう増配置で、もう一つは企業の公私格差是正でございます。この企業 の公私格差是正を廃止して、それを原資に努力してもしなくても画一的に補助しようと いう従来の補助を改めまして、たとえば最重度障害者を受け入れたとか、地域にどれぐ らい移行させたとか、あるいは経営改革をやったとか、そういう法人には加算して補助 しましょうということで競い合いを促進いたします。  二枚目をお願いいたします。次は利用者支援の仕組みづくりということで、その代表 例が支援費制度利用援助モデル事業です。介護保険と違って支援費制度にはケアマネジ メント制度がありません。東京は独自でケアマネの手法を活用した利用援助事業をやっ ていこう。先程来話が出ておりますが、たとえば知的障害者が地域に出た場合に、どん な地域の資源を使って、どんな自活生活、自立生活を送っていくのか、そういう時にサ ービスプランを作成して、支援費の支給申請をするというようなことで、今年度モデル 実施、3区で実施する予定でございます。  あわせてこのような制度を実施して、支援費制度評価会議、これは外部委員等を入れ まして、この事業あるいは支援費制度そのもののあり方を検証評価して、次の新たな仕 組み、あるいは仕組みの見直しに反映していこうというふうに考えております。  その他の利用支援の仕組みです。福祉サービス第三者評価システム、14年度から都独 自に施行してまいりましたが、15年度今年度から本格実施してまいります。認証した評 価機関が評価するわけですが、その結果は全てホームページなどに公表されます。それ から福祉情報総合ネットワーク、これは指定事業者の運営方針とか空き情報とか、ある いは第三者評価の結果など、これらを載せるものですが、昨年11月に発足しましたが、 すでに37,000件のアクセスがあり、大変活用されております。  それからここには書いてありませんが、障害程度区分決定マニュアルということで、 区市町村と東京都の職員で一緒にワーキングを設けまして、客観性、適正な障害程度区 分決定のマニュアルなどを作っております。全国の区市町村から大変評判をいただきま して、いまはちょっと品切れ状態ですが、こんなものを作って適正な決定を支援しよう というようなことをやっております。  3にまいります。東京都における独自の取り組みです。特に地域生活に焦点をあてま した。たとえばどんな違いがあるかということで、知的のグループホームでいいます と、独自に東京都は加算しておりますが、その他に重度生活寮というのを設けておりま す。通常の生活寮が利用者4人に世話人1人体制に対して、世話人は3人以上という形 で手厚い加算をしております。  それから体験型生活寮、これはとりあえず施設あるいは親元から一回地域生活をして みようやということで、1カ月単位で体験できるような生活寮を作っております。これ ら合わせて240 寮ございます。当然整備費補助は八分の七補助、それから家賃補助など を都独自で実施しております。  グループホームの身体の方にいきますと、国制度との違いは、東京都も国制度と同じ ものがありますが、重度グループホームを作っております。これは常時介護が必要な人 は国制度では利用できないのですが、常時要介護でも可能ということで、管理人に加え て介助員を2人以上配置しております。それからアパート等の借り上げ型もOKという ことで、NPO法人などに運営主体を規制緩和しております。  次にショートステイです。現在、ショートステイは国制度では入所施設においてのみ 併設できる。実施主体も自治体または社会福祉法人ということですが、今年度から新規 で東京都認定短期入所事業というのを設けまして、簡単に申し上げれば通所施設とか、 あるいは生活寮、あるいはアパート,マンションの借り上げでもいいですよ、それから 運営主体もNPO法人でも株式会社でもかまいませんということで、これは独自制度に なりますので、支援費制度外になりますが、なぜこういうことをやるかといいますと、 絶対量が不足しております。入所施設自体もそんな多くありませんから、それから市部 に偏在しております。これは23区、都心とか、そういう身近なところに設置していくた めには、このような形で地域偏在の解消と絶対量を底上げしていこうというものでござ います。  次の頁を御覧いただきたいと思います。就労支援事業でございます。これも国と都の 簡単な違いを申し上げますと、国制度は実施主体が国または都道府県、私ども1,200 万 人の人口で実施主体都道府県というのはほとんど意味が非常に薄れてまいりますので、 区市町村で実施ということで、今年度末までに19カ所、いま国制度は1カ所のみ板橋区 にございます。  次は4の障害者の地域生活支援を進める上での課題ということをいくつかあげさせて いただきました。一番目はなぜ本当に地域移行できないのか、施設と地域の負担格差で ございます。知的障害者2級年金、手帳3度の場合で無職を想定しますと、2級年金で 67,000円、費用徴収が平均で2万円弱、大体5万円弱は残って、20年ぐらいしますと数 百万円の貯金ができるような状況です。  これに対して地域に移るとどうなるか。2級年金67,000円に加えて、都独自の福祉手 当て、あるいは家賃補助を入れてようやく94,000円になる。ところが右側の支出欄を見 ていただきますと、家賃が非常に高いのは御案内だと思いますが、家賃、食費、共益費 だけで72,000円、その他残ったお金でお昼代だとか交通費だとか日用雑貨だとか、娯楽 費などを賄わなければいけないということで、実質的には2〜3万円の赤字になりま す。もし都独自の手当て、あるいは家賃補助がなかった場合には5〜6万の赤字になっ て、保護者等の負担によって賄われるということになります。やっぱりこういう構造を 変えていかないと、地域移行というのは本当の意味で進んでいかないと私どもは考えて おります。  それから(2)施設から地域へ戻す仕組みの構築です。現在の自活訓練事業、ちょっと国 の批判ばかりして申し訳ないのですが、これは率直な意見ということで言わせていただ きますが、たとえば原則6カ月、あるいは知的の場合、養護学校卒業時の半年間とか、 卒業前の半年間とか、非常に短いです。実際には施設で20年も30年も暮らしている人が なかなか地域移行できない。訓練のためには2〜3年必要だという場合が大半です。そ のような自活訓練事業のあり方をもう少し現実に応じたものにしていただきたい。  それからたとえばこれは一例ですが、皆さん御案内の船形コロニーにおける試み、措 置を継続したまま、施設外でグループホーム的な処遇をする、自己負担も少ないです し、親御さんの安心感、セーフティネットとしていつでも施設に戻れます、こういうの も一つのアイデアかなと思っております。  それから(3)サービス基盤確保のための一層の規制緩和や全国一律ではない柔軟な制度 構築ということで、先程来申し上げておりますショートステイだとか、グループホーム など、多様な提供主体、あるいは提供方法、それから大都市特性、地域特性を活かした あり方、グループホームの家賃の問題、あるいは運営費の問題、大都市と地方ではだい ぶ違います。何よりもやはり支援費制度に移行するからには、選択できるだけのサービ スをやっぱり時限的でも補助率を上げて特別助成をするとかというような動き、試みが 必要ではないかというふうに考えております。  (4)でいきなり本論に入るようですが、ここは論点だけを申し上げるにとどめます。1 月にいろいろ焦点化しましたホームヘルプサービスの国庫補助基準の問題ですが、私ど もいち早く提言を国に出させていただきましたが、東京都の実績、全身性障害者で見る と国基準の125 時間に対して、都はもうすでに実績で162 時間,区市によってはすでに 24時間介護まで進んでいるところもあります。これは東京都が先駆的に重度脳性麻痺者 に対する介護者派遣事業などをやってきた経緯もございまして、非常に高い水準にござ います。したがいましてこういうサービスが時間をかけて高水準になってきたというこ とで、これを全国一律の基準にするには如何なものかということでございます。  それから先程申し上げた、では限られた財源というのはどこも同じですが、無限に延 ばすことは不可能です。東京都はそういう自助努力をしておりますが、施設サービスか ら在宅サービスの充実へ財源の流れをシフトさせていく、それにはちょっと時間がかか るでしょうから、過渡的には予算が増加するのはやむを得ないのではないかというふう に考えております。現状では、たとえば経過措置についても、新規の障害者には適用さ れないなどして、一部の自治体ではちょっと混乱を招いております。  最後が問題提起でございますが、全身性障害者を一括りにして何時間ということでは なくて、障害者の実態、特性に応じた合理的な基準をやっぱりここで考えていく必要が あるのではないかというふうに考えております。これはいずれだいぶ先の議論になるか と思いますが、東京都で考えているいまのスタンスでございます。以上でございます。  江草座長  ありがとうございました。それでは続きまして佐藤委員からお願いいたします。  佐藤委員  埼玉県の社会福祉法人昴の佐藤と申します。私どもの周辺の地域及び私どもがいま取 り組んでおります地域生活支援システムの現況について簡単に紹介をさせていただきた いと思います。  まず、埼玉県東松山ですが、東京から約1時間で行けるところです。最近少し状況が 変わってきましたが、基本的には首都のベッドタウンであるとともに、古くからの農村 的な地域も広がっております。ある意味でいえば日本のこれぐらいの規模の市町村のあ る種の典型のような性格を帯びているところかと思います。  それから障害者福祉に関する社会資源ですが、県の制度で福祉事務所と保健所が統合 されまして、福祉保健総合センターというのが東松山市にあります。それから東松山市 を取り巻く比企郡という群域全体で見ますと、その他に県立の嵐山郷という大規模施設 の他に民間の入所施設が、レジュメでは5ヶ所と書きましたが、6ヶ所あります。それ から通所の施設が3か所、それから県の単独事業であります地域デイケア施設、いわゆ る小規模作業所ですが、これが6ヶ所、ほとんどの群域の中の市町村にはこうした小規 模の通所を含めて通所のサービスがあります。  そういう状況の中で、私ども主に地域生活支援に関わる仕事に取り組んでまいりまし たが、もともとこの地域は入所施設が非常に多かったという状況の中で、14年前に法人 を設立いたしました時に、我々は入所施設を作らないということを決めました。それは 逆に言えば作る必要がないということでもあったわけですが、つまりこの地域にはもう その資源は足りているということでした。  しかしながら、とは言え、そこの入所施設で生活している子供たち、あるいは人々は 全県下から集まってきた人たちなわけで、いまもそうでありますが、入所施設を待って いる人達というのはたくさんありました。ちなみに県内ではいま400名の待機者がいる と言われていますが、その当時もそれぐらいの人数があったと思います。正確なことは わかりませんが。  しかし、入所施設を作らないというふうに決めた以上、いままで入所施設が請け負っ てきた、あるいは請け負ってきたと見えるような機能を地域社会の中に開放していく、 あるいは分散的に配置していくということが我々の法人の課題になるだろうということ で考えてきました。したがってそういう思いを持つ人達、あるいはそのためにいろんな 資源や仕組みを作り出したいと思っている人達が、自由に活用できる共有財産として社 会福祉法人を位置づけるべきであろうと、その当時は考え、いまもそのように思って仕 事を進めています。  現状ですが、レジュメの3頁を見ていただきますと、社会福祉法人昴の事業概要とい うことで、その裏に沿革を含めてありますので御覧いただきたいと思いますが、とりあ えず通う場所があること、それから就労の支援があること、それから日常生活に介護を 含めた支援、介護とかレスパイトとかいう支援、それからその一部としてのレクリエー ションのサービスがあること、それから医療のサービスが身近に手に入れることができ ること、これらぐらいがとりあえず地域生活を支えていく上での基本的なものだろうと いうことで、この10年余り整備をしてまいりました。  しかし一法人、しかも入所施設を運営しないということは、財政的な基盤が非常に弱 いということを伴いますので、我々だけで全てのサービスを準備するということは到底 無理であるということで、行政をいかにパートナーとして引き込むか、巻き込むかとい うことで、この数年間そういうことで言えば一部成功してまいりました。  たとえば法人の中ではファミリーサポートセンター昴と呼んでおります介護あるいは 日常の生活支援、レスパイトサポートとか、移送サポートを含めて取り組んできた仕事 に関しては、市の社会福祉協議会が総合福祉エリアというものを作りまして、さらにそ こは総合相談窓口を持つだけではなくて、具体的にサービスを提供するための場所もヘ ルパーも抱えるというような形で協力してやっていけるというような状況を生み出した こと。あるいはまた就労に関していえば、市と市の育成会と、その他市内のその他の施 設や団体と協力をして、東松山市障害者就労支援センターというものを設置して活動し ている中で、これが市の後押しを受けて、昨年NPO法人として自立することができ た。  そのパートナーとして引き込むために我々がしてきたことは、たとえばかつて市町村 生活支援事業とか地域療育等支援事業というものを法人で受けていたわけですが、これ を一法人の仕事にするのではなくて、文字通り地域の資源として活用するために、法人 が抱えるのではなくて、社協にそれを移管するというようなことを要請をして引き取っ ていただく、もちろん補助金も何もみんな引き取ってもらうわけですから、経営的には あまり嬉しくないことでしたが、そういうプロセスも経て来ました。  そのことによって使う側の、つまり利用者の側から見れば一つの法人の仕事というよ りも、市の行政がそれなりに噛んで責任を持っているというある種の安心感がありまし て、事業に対しての安心感が実績を伸ばしていくという、そういう好循環を生み出して きて、東松山市は市の市政を含めて県内では非常に地域福祉の進んだ地域というふうに 評価されるようになってきました。しかし実態はまだ十分といえるような状況ではない わけですが、そういう風評が立つということが事業者にとっても行政にとってもある種 の足かせになって、これ以上後退できない、頑張らないといけないという雰囲気がいい 循環を生み出すことになっていくのではないかと思っています。あまり時間がありませ んので、細かい事業の中身については説明を省略させていただきます。  最後の方に課題と問題点ということで用意したものにそって意見を申し述べたいと思 います。まず、私たちはこの支援費制度を迎えた中で、その理念的根拠である社会福祉 基礎構造改革が目指しているものが、漸進的な改革なのか、それともスクラップ&ビル ド的改革なのかということをきちっとふまえたいと思っています。当然私たちのスタン スは、これはスクラップ&ビルドであるというふうに考えております。  したがってそこで問題になるのは地域福祉へという今の流れは、従来の制度や考え方 との連続性、あるいは非連続性について明確にしていくということが求められるだろ う。お役所が考えることは、行政の継続性ということで、いつもここが曖昧になるので 改革が不徹底だというふうに思うわけでありまして、この点に関しては思い切って明ら かに新しいものを日本の福祉の中に新しい理念と新しい方法を生み出そうとしているの だということを明確にすべきではないか。この委員会は少なくともその点については明 確にした上で議論を進めていく必要があるのではないかと思っています。  次に、そういうスタンスの上で議論を進めていく上で、介護保険との関係についてで すが、私は支援費というのは制度設計上非常に大きな問題をもって出発した、それは先 程来の何人かの指摘の中にもありますが、介護保険の中で取り入れられたダイレクトペ イメント、あるいはケアマネジメント、この中核をなす二つの考え方と方法論におい て、このいずれもとらなかったわけでありまして、大きな後退と言うざるを得ない。支 援費は一見ダイレクトファンドのように見えますが、いまの仕組みの中ではそのように 評価することは少し難しいのではないかと思っています。  それでこの間の経過を見ていますと、支援費制度を実施するにあたって、まず最初に 出てきたのはケアマネジメント制度の、いつの間にかフェードアウトしてしまったとい うこと、それから措置費として支給されていた予算を、結果的には聖域化することにな るような施設訓練等支援費が従来の措置費の額をほぼスライドさせるようなことに終わ ってしまった結果としてか、あるいはそれらのことと関係があるのか、その部分はやや わかりませんが、ホームヘルパーの基準額の設定という問題が出てきた。  これらの一連の経過を見ておりまして強く感じたことは、やっぱり既存の制度との調 整、一番先に課題の冒頭で申し上げましたが、連続性と非連続性ということに関わるわ けですが、既得権をいかに調整するか、既得権の温存を前提とした調整ではやはり無理 があるということをこの間の経過は示しているのではないかと思っています。ちょっと 数字をあげてみましたが、15年度の障害保健福祉部の予算を見ても、これは非常に大雑 把な、あるいはやや独善的な数字の解釈かもしれませんが、単純に言えば在宅の知的障 害の方と入所施設を利用している方との、この支援費の差額というのが100倍にも達し てしまうというようなことになるのではないかと思っています。  しかし、ここから先が私たちの仕事の中で感じたことなんですが、昨年までファミリ ーサポートセンター昴という私ども事業所は、生活サポート事業という県の事業の適用 をして仕事をしてまいりました。先程申し上げた比企郡およそ人口22万を中心にして、 350名の方が会員として登録をした上で、これは県の制度では1人頭年間150時間までこ の生活サポート事業を使える、各市町村ごとの予算のキャップははまっていまして、全 ての人が150時間使えるかどうかというのは市町村の裁量に委ねられているわけですが、 一応そういう制度です。  それで去年1年間の実績は年間4,400件、合計1万時間で、1時間あたり2,850円、こ れは県と市とご本人とがそれぞれ三分の一ずつ負担をするという仕組みになっています が、そういうことでした。ところが今年度5月末現在、支援費に移行いたしまして、い まのところこのファミリーサポートセンター昴が居宅介護事業所として指定を受けてい るわけですが、契約済みの方が22名です。350名の人達がいたはずなんですが、現在の ところ契約者は22名であります。  しかしその方々との契約の内容を全部足しますと、概算で月に400万円、事業者とし て収入を得ることができます。これは去年の2,850万に比べると倍まではいきませんが、 大変な額です。すなわち20名の利用者を囲い込めばという言葉をあえて使いますが、経 営は安定してしまいます。1万時間で2,850万という売り上げということです。  しかしながら我々事業者とのしてある意味の経営の安定は、利用者の利便性とは必ず しも比例はしません。つまり一つだけ例をあげますと、生活サポート事業の方がある意 味では何でもありということだったわけですが、支援費で支給されるホームヘルプ事業 に関しては、いろいろな制限制約があります。  しかし繰り返しますが、約10人のスタッフを抱え、8台の車を運行し、かつハードに ついても借りている場所があるわけで、これらを運営するにあたっては昨年までは延々 と赤字でありましたが、今年はもしかしたら採算がとれるかもしれないというようなこ とになっていきます。これは非常に危険なことだと思っています。  そしてまた元に戻るわけですが、やっぱり新しい制度を作る時に、既得権をどう整理 するかということをきちっと考えませんと、少なくとも事業者の感覚でいくと支援費、 これでOKというところが相当出てくる可能性があると思っています。20人とか30人と いう人、しかもこういう言い方をしては語弊があるかもしれませんが、乗客を捕まえて しまえば、それ以上その地域の福祉をどうやるかというようなことを考えずに済んでし まうというような危険性があるということをこの間気がつきました。  最後に従来の施設福祉中心の体系から地域生活支援にこの支援費制度が移行するとい うことを目指しているということは明らかですが、問題はやっぱりいま現実に地域で生 活をしている人達の、非常に不安定な暮らしの状況をいかに支えるかということを、プ ライオリティとしては考えないと、施設の問題をどうするかということと混同してこの 議論をしてしまうと、やはり間違いが起きるかもしれないというふうに思っています。  言うまでもないことですが、親なき後を含めて、そういう議論を含めて、利用者サイ ドの施設志向というのは地域福祉の不足であることは繰り返し指摘されてきたわけであ りますので、現在、地域で生活している在宅の障害を持つ人達と、それからその家族の 方々の暮らしをいかに維持するかということを、当面の視点とした仕組みを考えてい く。そしてそれに合わせてそのために必要な財源をどう確保するかというようなこと が、当検討委員会の課題になるということを、非常に雑駁ではありますが、最近ここ数 カ月の実勢の中からさらにそのような考え方を持つに至りました。以上です。  江草座長  ありがとうございました。それでは最後になりましたが、谷口委員からご発言くださ い。  谷口委員  もう皆さんだいぶお疲れの様子があるかもしれませんが、最後まで頑張ってやります のでお聞きください。私どもが所属しております自立生活センター「きらリンク」は京 都市にございます。名前はなぜ「きらリンク」とつけたかと申しますと、委託を受けて おります親団体が京都新聞社会福祉事業団で、ここが真ん中にキラリというマークを 使っています。そことリンクという名前をつけまして「きらリンク」という名前にしま した。名前自身はあまり気にいってはいないんですが、親会社からの圧力もございまし て、これをつけざるを得ませんでした。  設立が2000年10月1日で、いまちょうど2年半を経過しています。ここの京都新聞社 会福祉事業団というものは、全国で民間の財団法人が市町村障害者生活支援事業の委託 を受けているのは非常に珍しいということがまず一つ言えると思います。業務内容とし ては、資料1をご覧いただければいいと思います。この資料1は、厚生労働省の厚生と いう本に掲載していただいた内容をそのまま載せておりますので、御覧になった方もい らっしゃるかもしれません。  私どもの支援センターはサービスを持っておりません。これも全国では珍しいのでは ないかと思っております。これは設立の趣旨といたしまして、サービスを持たない、相 談支援事業だけでやっていけるようなセンターを目指そうではないかということです。 これはどういう思いでやったかと申しますと、その対象者が相談に来た時にサービスを 考えて、自分のところのサービスを、私自身が使って欲しいなと考えてしまうのではな いかというような心配がございましたので、本当に中立的な立場で地域のケアマネジメ ントに携われるというような形をもって、サービスを持たないということをまず念頭に 考えました。  実績ですが、これは資料を御覧いただいたらおかわりいただけると思います。ちょう ど1頁の真ん中ぐらいに書いてありますが、昨年度の相談件数はのべで約4,000件を上 回っています。月々約400件の相談が寄せられています。身体障害は一番多いのですが、 次に知的障害、重複障害、精神障害の方々も全てお断りしておりません。私どもの支援 センターは京都で初めてできた1号店です。これは市町村障害者生活支援事業の1号店 ということです。ですからいま市町村の生活支援事業は3カ所ございますが、常に私ど もがリーダー的な存在としてやってまいりました。私どもの一つの特徴として、京都府 及び京都市からITサポート事業の委託も受けています。割とITは人気がございまし て、ITで私どものセンターに来られた方がついでに生活の相談を行なう、しかしいつ しかその生活相談の方がメインになっていくというような一つの経緯が非常に顕著な形 で現れてきています。  資料3にございますが、これが具体的な件数です。3枚あります。  次に(2)になります。京都市障害者生活支援事業連絡協議会というものを私たちは作っ ています。これは資料4になりますが、これは2001年6月21日に設立いたしました。こ れは三つの支援センターが、対象は京都市の委託を受けてやっておりますが、一つのセ ンターでいくら頑張ってもなかなかうまくいかない、それでは三つのセンターが共同し て協議会を作ろうではないかということで、私自身が理事長という形になりまして、今 年で2期目を迎えています。内容的にはこの協議会を中心としてピアカウセンリング講 座、このピアカウンセリング講座は全体で132 時間に及ぶような、約半年を通してずっ とやっています。  資料5には協議会の組織というものを載せさせていただいております。ここにありま すように、「きらリンク」、「あいりん」、「らくなん」という三つの団体がここに所 属しています。それぞれの団体で得意不得意があります。それでこの分野で得意といわ れるようなセンターには、センター同士の対象者の委託をお願いしますというようなこ とが盛んにいま行なわれているようになります。それが京都市の一つの特徴ではないか と思っています。  次は(3)になります。京都市生活支援連絡会、これはサービス調整ネットワーク会議で す。支援センター4カ所、4カ所というのは先程言いました身体4カ所と、知的の療育 等支援事業が1カ所加わっています。4カ所と、サービス事業所が2カ所の相談員が集 まって、地域生活支援に関する情報の共有とサービス調整を試みています。現在は賛同 者による私的集団ではありますが、有効に機能しており、将来は公的な調整会議という ものに発展していけたらと考えています。  この1、2、3が我々のきらリンクの機能を構成する三つの重要な要素になっていま す。次に2番目の相談支援事業からみる支援費制度の問題点と課題ということで整理さ せていただきました。一つ目、支援費申請における問題点というのがあります。これは 市町村障害者生活支援事業所の量的不足及び質的な問題点の露呈というのがまず一つあ げられると思います。障害をもつ人達自身がはじめての経験ですので、自分はどれぐら いの介護があれば生活できるのかというのをやっぱり算定できなかったところに一つの 問題があります。それと市町村職員も知識及び経験不足の中で適切な申請がなされなか った可能性が一つとしてはあります。  二つ目としては障害者ケアマネジメント従事者の機能不全と経験不足というのがあげ られます。障害を持つ人達の障害種別や生活実態を知らないケアマネジメント従事者が 多く、支給量の算定ができなかった。この二つが申請における問題点だと思っていま す。  次に支給決定における問題点というのが二つ目にあります。これは居宅生活支援にお けるサービス種別による困惑というのが一つあげられます。本来は日常生活支援中心の 支給決定をなされなければならない障害を持つ人達が、日常生活支援を担当してくれる 事業者が少ないという理由で、身体介護中心の支給決定を余儀なくされているというの がいま京都市の現状ではあります。ですから京都市の担当者自体が本当は日常生活支援 で支給決定をしたいんだけれども、受けてくれるところが無いから、身体介護で支給決 定をするというようなことを言っております。そうすることによって経費が2倍かかっ てしまうというような問題点がいま出てきています。  次に市町村が作成した支給決定、ガイドラインによる困惑、私はちょうど昨日だった のですが、ラジオ番組に出演しておりまして、そこで大阪のNHKで取材を進めてまい りました。そして大阪市の支給決定のガイドラインというのがちょうど手に入りまし た。それが資料6であります。資料6の2枚目なんですが、このような支給決定のガイ ドラインを作っています。  なぜ京都市に住んでいて大阪市なんだと言われると思うのですが、京都市の場合は もっと大きなガイドラインを作っています。京都市の場合は、各区に区の福祉事務所に 去年の12月ぐらいの段階でもうガイドラインを出しています。区の福祉事務所が決定で きるのは255時間、障害を持つ人達の255時間、市の当局は本庁はこれは上限という言い 方をしておりません。あくまでもガイドラインであるというような言い方をしていま す。けれども区の担当者は上限だと受け止めています。しかし上限にしてみれば、255 時間というのは非常に大きな上限でありまして、担当者はそこまでいいんだということ で、いま京都市は支給量をものすごく出しています。ですから京都市の事例を出します と他と合わない可能性がありますので、大阪の事例を持ってまいりました。  こういうふうにガイドラインを作ってしまう、先程東京都のお話もありましたが、こ のガイドラインというものを一体どのようにとらえていけばいいのかということで、私 どもの支援センターとしてはこのガイドラインを京都市の場合、ガイドラインがある じゃないかというのを逆手にとってお話をしたこともございます。けれども実際どのぐ らいの支給量が妥当なのかというのはいまだに論議の一つのポイントになっています。  次は三番目です。制度が実施されてからの問題点と課題ということで、サービス事業 者の不足による選択不可能という状況のはございます。これは選択ができないというこ とです。逆にこれと連動いたしまして、事業所が主体になってサービス提供を構成する という例も出てきています。ですから本人の意思ではなくて、事業所の意思によってサ ービス提供が行なわれているという事例もうちの支援センターに報告されてきていま す。ですから本人主導の支援費制度とは言われますが、現状としては事業所主体の制度 になっているのではないかと、あとにも書いてあります。  それでサービス量の維持を意識したいいうことで、これは親御さんが中心なんです が、たとえば知的障害の人達がもしも今年使わないと来年減らされるようというような 変な噂が飛び交っています。そこで無意味な利用と申しますか、本人が出たくないのに 出されたりしている現状というのがいま京都市の場合には報告されてきています。です からその辺の考え方を、私どもは指導しているのは、相談にのっているのは12か月のう ち一カ月でもその基準に達していれば、来年減らされることはないんじゃないかという ようなことを言っているのですが、本人たち、あるいは親御さんたちは減らされる恐怖 というのを非常に感じているということです。  京都市特有の問題点ということで、一つは京都市は学生の町です。学生の支給決定は 郷里だということであります。郡部あるいは過疎地の決定が非常に少ない場合というの がございます。京都市の現状と合っていないというようなことで、私が持っているケー スでもいま二つ非常に困惑しているケースがございます。これは学生の多い地域での問 題点だと思います。  そして次に高齢者専門事業所への支援費制度介入への積極的なアプローチというのを 行なっています。京都市も高齢化が非常に進んでいる町です。ですから高齢者の公的介 護保健の事業所というのは非常に充実しています。そこがずっと手を出してくれません でした。しかし、京都市の、あるいは我々の積極的なアプローチによって動いてくれる ようになってきています。一番わかりやすいのは、儲かるかもしれない、この一言が非 常に大きいのです。ですからこれが後で非常に問題点になってくるのではないかと思っ ています。  あと非常に重要なところとしては、読んでいただくとありがたいんですが、2番目3 番目の・になってきますが、ホームヘルパーさんに対して支給される給与というのが非 常に安いのではないかというのが私たち支援センターの一つの、この間の話し合いで出 た議題であります。身体介護ですと1時間4,020 円というのが出ますが、本人のホーム ヘルパーさんに支払えるのは大体1,000 円ぐらいというのがいまの現状です。そうしま すと四分の三が事業所の利益になってしまう。そうすることによってそれぐらい効率の いいものが他の制度にあるかなというような気がしています。それでNPO法人という 事業所が多いという現状を見るにつけ、経理の問題が非常にこれからはきついだろうな と私は思ってしまいます。  最後になりますが、これからの障害を持つ人達自身の問題点として、一つは事業所に 任せきりの介護状態というのがいまあります。そうしますと本人のエンパワーメントと いう意味で一体これからどうなるのだろうかなという一つの問題点を感じます。二つ目 はボランティア不足による問題点です。いままで関わってきたボランティアさん達が、 いまヘルパー資格をとってどんどんお金をいただけるような仕事についていっていま す。  例えばいままでですとボランティアさんですと、旅行に行って泊まりの介護というの ができたのですが、いまは移動介護では泊まることは許されないということで、現実問 題として非常にコーディネートがしにくくなってきています。それはいままでボラン ティアだった人が資格をとってヘルパーさんになってしまう。これはいいことかもしれ ません。しかし現実コーディネートをやる身にとってはちょっときつい問題になってき ています。 そして三つ目です。第三者評価的な存在感というものが障害をもっている 方自身、あるいは団体に薄れてくる可能性があるのではないか、我々はそう感じ得ま す。いままで利用者だった方々が事業所を打ち立てて頑張っておられます。非常にきめ 細かいサービスを行なっている点ではいいんですが、そのサービス評価、第三者評価と いう問題を感じることも出てきています。その点どこがカバーするか、私たちはこの支 援センター、自立生活支援センター、私どものきらリンクはこれからこの第三者評価的 な役割を果たしていきたいなと考えています。  第三者評価というのは皆さん御存じだと思いますが、オンブズマンでもなく監査でも ございません。サービスの質を上げるための非常に重要な役割を果たしていく機関だと 思っておりますので、その辺の役割をこれから担っていけたらなと考えております。あ りがとうございました。  江草座長  ありがとうございました。有留さん、佐藤さん、谷口さんと、東京、埼玉、京都の事 例をあげて御説明いただきまして、大変有益であったというふうに思っております。こ こでただいまのご発表について御質問ということにしたいのですが、その前に実はこの 前、市町村の障害者生活支援事業、あるいは障害児(者)地域療育等支援事業の実施状 況の結果が知りたいということであったと思うんですね。それについてお手元にござい ます資料9に用意がありますので、これを高原課長御説明して下さい。  高原課長  時間節約の意味で資料8の4回目以降のヒアリングの進め方も含めまして御説明をさ せていただきたいと思います。まず4回目以降でございますが、候補の方にいろいろと 日程調整をさせていただくような都合もございますので、少し早めにどういう分野の方 にお話を聞かせていただくかということと、御意見を伺っておきたいということで事務 局で素案を作ったものでございます。  大まかに言いますと、この8月末までにいろんな方からお話を聞かせていただくとい う段取りでございますが、4回目の会合におきましては、委員以外の当事者の皆様から もヒアリングをさせていただきたいということで、候補としてはすでにお話も出ており ます知的障害者のご本人、複数の方からお話を聞かせていただいたらどうかと思ってお ります。  それから全体としましては、委員構成を見ますと障害児の関係がやや弱いかなという 感じもいたしますので、重症心身障害児の親の会などの関係者、あるいは自閉症の問題 も非常に大きな問題になっておりますので、自閉症のお子さんを抱えて本当に苦労して おられる若い世代のお母さんとか、そういう方のお話を聞かせていただいたらどうかと 思っております。  それからもう一コマとしまして、地域での実践例のヒアリングということで、今日も 東京、東松山、京都のお話がございましたが、もう少し大都市部、それから圏域という ことで、横浜、滋賀、長野の北信圏域、このあたりのお話を聞いてみたらどうか。それ から海外の動向も材料としては非常に大事かなと思っておりますので、自立の取り組み が進んでおりますアメリカ、あるいはコミュニティケアが特徴のあるイギリス、あるい はその施設から地域への転換というふうな意味でのスウェーデン、このあたりのお話を 聞かせていただいたらどうかと思っております。  ここには出ておりませんが、この4回5回あたりのところで、準備が整った段階でこ の前もきっと御指摘がございましたデータ収集を全体としてどういうふうにしていくの か、今日も安藤委員からも重複障害の社会資源のデータを少し実態を把握してはどうか とか、あるいは今日は資料としてはお配りしておりませんが、中西委員からこういう データを把握してはどうかという御意見も出ておりますので、そういうものをどこかの タイミングで事務局からお諮りをさせていただきたいというふうに思っております。  それから引き続きまして資料の9です。これは今年度から一般財源化した二つの事 業、これは私どもこういう事業の機能については非常に大事だというふうに思っておる わけで、実際どういうふうな状況になっているのかということについて、大きな関心を 持っておりますので、この4月現在の実施状況、これは全国的な状況把握ということで 調査をいたしております。  その概略を見ていただきますと、まず一つの市町村障害者生活支援事業ですが、この 1頁目のところにありますように、平成14年度で見ますと、実施箇所数は全国で302 カ 所、15年度、この4月現在で見ますと367 カ所ということで、全体として見ますと65カ 所の増というふうになっております。継続実施が300 カ所、新規実施が67カ所、廃止が 2カ所という状況になっております。  2頁目のところを見ていただきますと、事業費につきましては、同額というところが 多いわけですが、減少のところ、それから増加のところがそれぞれ75カ所、62カ所ある ということで、大体どのぐらいの減少、あるいは増加の度合いになっているかというの も4区分でお示しをさせていただいております。職員配置につきましては、2頁目の下 の所ですが、同数というところが多いわけですが、減員増員がそれぞれ20カ所、24カ所 という、こういう状況になっております。  それから3頁目のところですが、障害児(者)地域療育等支援事業です。これにつき ましては平成14年度で470 カ所ということですが、15年度4月現在ですと512 カ所とい うことで、全体としてみますと42カ所の増、継続実施が469 カ所、新規実施が43カ所と いう状況です。事業費の増減、職員配置の状況につきましては、その次の4頁目のとこ ろに記載をさせていただいております。  全体としては実施の箇所数も増えているというふうなことで、私どもある意味で一般 財源化というのは普遍的に、全国的にやっていただきたいという思いで進めさせていた だいておるわけですが、そういう全体的な数字としては悪くない数字にはなっておるか と思います。ただ、私どももある意味でこの15年度の数字というのを、16年度以降もこ ういう状況で進むのかということについては、かなり厳しいお話を聞いております。16 年度は本当にこれからどうしていくかというのは白紙の状況で、考えていくんだという お話も聞いております。  一方で、この一般財源化したことで、現実に市町村が動きやすくなって、かなり大幅 な増も含めて積極的に取り組まれているという自治体のケースも具体的に聞いておりま す。そういう意味では私どもこの調査結果についてあまり楽観も悲観もしてないという ことなんですが、こういうコーディネートの機能といいますか、社会資源とニーズを的 確に結びつけるというような機能は非常に大切だと思っておりますので、そういう国と してのメッセージを引き続きいろんな形でお話をさせていただくとともに、今年度モデ ル事業というものもありますので、それをうまく活用しまして、こういうものがこうい う機能が広がっていくように努力してまいりたいと考えております。以上です。  江草座長  資料8と9についてお話がございましたが、そのお話も含めて先程お三方のご発言に ついてご発言がありますでしょうか。  大谷委員  いま平成15年度はある程度の数字が伸びているけれども、16年度が不安だというお話 がありましたが、同じことは支援費制度でも言えるのではないかなと思います。大阪府 の5月段階の調査で、市町村の統計があがってきて、前後で比較できる市町村ですが、 同じ市町村で大体ホームヘルプが知的障害の場合が3.4 倍ぐらい、平成14年度に対して 15年度の支給決定です。それから知的障害のガイドヘルプがやはり3.57倍、それから身 体障害のガイドヘルプが14年度に比べて2.40倍というふうな形で、ある意味では平成14 年度にあった事業の2倍から3倍ぐらいにサービス量が増えているわけですね。  そうしますととりあえず今年は予算がついたけれども、はたしてそういう予算が来年 度どうなるのか、しかも知的障害の方などのガイドヘルプの場合、これまで少なかった ということがあって、これで社会的経験をすることによってさらに来年度以降さらに活 動は広まるだろう。先程の太田さんのお話にもありましたが、国際生活機能分類などで いえば活動と社会参加というのが非常に大きなウェイトを占めているだろうと思いま す。そういうことを考えていく時に、やはりそうした財源の、今年度はとりあえず増え たけれども、来年度以降どうなるのかということについて、やっぱり議論すべきではな いかなというのが一点です。  それから二点目は、先程報告を聞いている時に、これは事務局から地域生活支援とい うことですが、東京都や埼玉の方からは就労支援まで含めて話のテーマに入っていまし たし、それから谷口さんの方は支援費制度の枠の中での話をされていました。そしてそ の中間あたりにたとえば室崎さんや安藤さんあたりからは、たとえばコミュニケーショ ンの支援だとか、あるいは作業所などへの行き帰り、学校などへの行き帰り、従来の制 度とちょっと違うところの話、そこらのあたり、どれまでをここで議論するのかという こと、あるいはまたそれは同じ一つの制度にするのか、それぞれ別々の制度で考えるの かということを含めて、ぜひ次回以降で議論いただければと思います。今日はお答えな しで結構です。  江草座長  はい、ありがとうございました。それでは大熊委員さん、どうぞ。  大熊委員  有留さん関連なんですが,知的障害の方がこの中に入っていないので代理で伺うとす れば、東京都の場合は大体3,000 人の方が東京都の外で施設収容をされているわけで、 あの計画でそういう方達がこの制度の狙いである地域に利用者本位で戻って来られるの かどうかというのが非常に疑問に思いました。時間がないのでお答えはまたあとで結構 です。  もう一つは、この有留さんの表を見ますと、知的身体というふうにあって、やっぱり 精神が抜けているわけですね。でもこれはやっぱり前に森市長さんがおっしゃったよう に非常に不自然なことで、そこだけ切り離すというのは行政の包括性からいって非常に おかしいような気がします。  今日ここでお話を伺っていますと、私が精神の方の審議会に出ていた時と非常に雰囲 気が違うわけです。精神の方の審議会は私が入っていた時は、当事者の方は1人もおら れず、ほとんどがお医者さんで、地域のことなどはほとんど音痴といっていいよう方た ちが議論を展開されていました。その後当事者の方も入られましたが、1人という具合 で、これから作られる委員会についても本当に申し訳程度に利用者の方が入っている。  ここはまがりなりにも車椅子利用者の方が4人、目の見えない方と聞こえない方と6 人は入っておられて、しかも自立生活センターの話とか昴の話とか、地域でここまでや れるという話がどんどん出てきていて、こういう文化が精神の方にしみ通っていかない とすると、おそらく非常に歪な形で精神の方の計画は作られるに違いないという確信を 今日は持ちました。どういう形かはご検討いただきたいのですが、精神の方の地域への 改革をこの委員会とうまくドッキングしていただきたいというふうにお願いしたいと思 います。  江草座長  はい、ありがとうございました。では次は大濱委員さん、どうぞ。  大濱委員  有留委員にお聞きしたいのですが、この東京都の支給決定にあたっての障害程度区分 のマニュアルの作成ということがありますが、この中には当事者が参加しているのかと いうことを聞かせていただきたいのですが、それが一点です。  それから二点目は、第1回目の委員会で知的の方の参加をどうするかという件につき まして、座長預かりということになったと思うんですが、そこらへんは結論が出たのか どうか、その二点をお聞きしたいと思います。  江草座長  いまの後段は私があとで答えます。  有留委員  ではいまの大濱委員の御質問に答えます。障害程度の判定マニュアルですが、現場の 職員を中心に他県でいう更生相談所、あるいは区市町村の福祉事務所などで検討委員会 を作りまして作成したわけですが、いろんな障害を持つ方からヒアリングなどを実施し まして、当事者の御意見を十分に聞いております。  それから大熊委員の御指摘ですが、これは時間がない中でさる新聞にこの間載っかっ たわけですが、地域移行の難しさは都内でも都外でも同じです。現実に私どもの例でい いますと、地域に移行しているのは親元からが9割、施設からが1割に過ぎないんで す。ですから都外にあるからといって、距離が遠い、それだけで地域移行は困難という わけではないんです。私どもは自活訓練事業というのを去年20カ所、今年は都内全施 設、来年度からは都外でも実施しています。それに対してじゃあどう受け入れるのか、 そういう基盤整備を先程申し上げたようにまずしなければいけない、本当に選べるのか という、それを3カ年で倍増しよう、それはハード面です。  それからソフトなシステムとして、世話人協議会、あるいは法人の協議会を設けて、 いろんな法人とか施設の枠を超えて、親の会とか施設系とかいろいろありますが、枠を 超えて相互利用できるようなシステムをいま考えているところです。ちなみに都外施設 はたくさんありますが、その一面的にあれを悪いんだというふうな見方と、ああいうと ころでの自然環境が豊かなところで暮らしてらっしゃる方、そういう選択ができるかど うかというのが問題なわけで、あの新聞の書き方ですと、何か一面的に親御さんの理解 が全然ないまま遠くに持って行かれたような書き方をされていますが、20年前にもそう いう議論はありましたが、私どもは行政責任を果たすためにそれほどの需要に応えるた めにああいう施設を作ってきた。ただ、遠くにあるがゆえに就労の場かとが得にくいと いう事実はありますが、基本的な構造はさっき申し上げた、施設に偏重したようなサー ビスシステムをどうするのか、それを東京都独自でサービスの嵩上げなどをやっており ますが、これは継続的な議論が必要かなと思います。  江草座長  では中西さん、どうぞ。  中西委員  いまの有留さんの空気のいいところというのは、ぜひとも社会生活のできるような地 域での生活を目指していただきたいと思います。  それから谷口さんの方でホームヘルプは非常に安上がりで払われているというのです が、自立生活センターの平均単価は1,200 円から1,500 円、1,800 円ぐらいの単価で 払って、専従介助的に25万以上の給料のとれる人達を育てていることもあるので、ちょ っと誤解を解いていただきたいのと、我々はそのために緊急派遣の人達を雇ったり、利 益還元をしていますので。  それからヒアリングの進め方の中なんですが、精神の当事者の御意見もここで一回聞 いて、どういうふうにリンクしていったらいいのかということも少し議論していく時間 がいただければと思います。  太田委員  大熊委員と中西委員の関連で、ぜひ精神の方の情報を受け止める時点で、精神障害者 の今置かれている状況を本人から聞ける場を早期に設定していただきたいと思います。  江草座長  今日は1時間伸ばして3時間になりました。これは大熊委員さんが大阪から来たんだ からとおっしゃっておりましたが、私も岡山から来ておりますので、1日を効率的に 思ってそうしていただきました。相当成果が上がったというふうに私は思っております が、そうは言いましても、予定された時間が5時でございますので、今日はこれで閉会 させていただきたいと思います。ただ、閉会にあたりまして、次回の日程の説明をまず していただきたいと思います。そのあとで私が御挨拶をいたします。  高原課長  それでは次回ですが、6月24日火曜日の午後2時から開催させていただきたいと思い ます。24日は大濱委員、笹川委員、竹中委員、早崎委員、村上委員、森貞述委員、森祐 司委員の7名の皆様方から意見発表をお願いをしたいとに思っております。また議事録 につきましては、第一回の議事録案をお配りしておりますので、ご確認をいただければ と思います。  それからあと一点だけ、4回目以降のヒアリングの候補ですが、これは今日第一ラウ ンドでこういう方からお話を聞かせていただいたらどうかという考え方でございます。 精神障害者の方の扱いにつきましては、前回も板山座長代理からも御指摘があり、今 後、精神障害者の関係の別途立ち上げる検討会とよく連携をとっていくようにというお 話がございまして、この点につきましては事務局がそういうふうに心がけていきたいと 思っておりますが、どうでしょうか。  第一巡にヒアリングをさせていただく、もっと聞かせていただきたい方もいっぱいい るのですが、ある程度絞らないと時間的な制約もありますので、とりあえず第一ラウン ドにその話を聞かせていただく中には、精神障害者の方は含めないで進めさせていただ ければなというのが事務局の率直なところでございます。あと具体的な人選は座長とよ く御相談して、進めていきたいと思いますが,各委員から特にこういう方に聞いてみた らどうかということがございましたら、事務局の方に合わせてお教えいただければとい うふうに思います。  江草座長  どうもありがとうございました。ではそのようなことでやらせていただきます。今日 は会を閉じるにあたりまして、先程もお話がありました知的障害の方本人の御出席とい うことでございますが、このことにつきましては次回オブザーバーとして御出席をいた だく。その人選につきましては御推薦いただいた中西さんと、それから本人部会のご関 係の室崎さんのお二方と御相談をさせていただきたいと思いますので、御了承をいただ きたいと思います。どうもありがとうございました。これで終わらせていただきます。 照会先 [障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する検討会事務局] 厚生労働省社会・援護局 障害保健福祉部障害福祉課 川端、牧野(内線3043) TEL 03−5253−1111 FAX 03−3591−8914