戻る 

資料3

いわゆる一律基準値の設定について(案)

1.はじめに

 改正法第11条第3項に基づく、人の健康を損なうおそれのない量(以下「一律基準値」という。)の設定にあたり、一律基準値が適用されるのは、国内外で基準がない農薬等、つまり安全性の評価が行われておらず、ADIも不明な未知の物質が広く対象となる。

(参考)諸外国における一律基準値の設定状況
  一律基準値
カナダ 0.1ppm
ニュージーランド 0.1ppm
ドイツ 0.01ppm
米国 一律基準値は定められていないが、運用上、0.01〜0.1ppmで判断している。

2.これまでに評価された農薬のADIからの推計

 我が国において残留基準設定のために評価されたADI(229農薬)及び国際的にJMPRで評価されたADI(212農薬)のうち、ADIの低い農薬については以下のとおりである。

農薬名 ADI(mg/kg/day)
アルドリン 0.0001
ディルドリン 0.0001
キナルホス 0.00011
テルブホス 0.00016
エンドリン 0.0002
フィプロニル 0.0002
エトプロホス 0.00025
カズサホス 0.00025
フェンスルホチオン 0.0003
イソフェンホス 0.0005
フェンチオン 0.0005

 一律基準値を0.01ppm、0.05ppm、0.1ppmと設定した場合、ADIが最小値(0.0001mg/kg/day)の
農薬が一律基準値の限度量まで残留した食品をどれくらい摂取可能か推計した。
  0.01ppmの場合 0.05ppmの場合 0.1ppmの場合
ADIが最小値である0.0001mg/kg/dayの
農薬の場合、摂取可能な一日あたりの
農薬の限度量(体重50kgで換算)
0.0001mg/kg/day
×50kg=0.005mg
同左
0.005mg
同左
0.005mg
上記農薬が残留する食品について、
ADIを上回らない摂取量
0.005mg÷0.01ppm
(mg/kg)
0.5kg(500g)
0.005mg÷0.05ppm
0.1kg(100g)
0.005mg÷0.1ppm
0.05kg(50g)

(国民栄養調査に基づく一日摂取量)
農産物 一日あたりの摂取量(国民平均)
約190g
小麦 約118g
大豆 約56g
だいこん 約47g
みかん 約46g

(参考) JEFCA(FAO/WHO合同食品添加物専門家委員会)とFDA(米国食品医薬品局)における安全性評価

(1) JEFCAにおける評価
 香料の安全性評価において、毒性評価が十分でない未知の化学物質については、発がん性の有無を問わず、許容される暴露量の閾値を1.5μg/dayとしている。
(2) FDAにおける評価
 容器からの溶出物等の間接食品添加物の規制にあたり、許容される暴露量の閾値を1.5μg/dayとしている。

 一律基準値を0.01ppm、0.05ppm、0.1ppmと設定した場合、1.5μg/dayの暴露量に相当する食品の量を換算した。
  0.01ppmの場合 0.05ppmの場合 0.1ppmの場合
暴露量が1.5μg/day相当の食品の量 150g 30g 15g

3.我が国における現在の基準値について

 現在基準値が設定されている約9000の値を集計したところ下記のとおりである。我が国で設定している残留農薬基準の最小値は0.005ppm(2農薬9基準値)であるが、その次に小さい値は0.01ppmである。

  基準値数 全基準値に占める割合
0.005ppm 9 0.01%
0.01ppm以下 147 1.63%
0.05ppm以下 1367 15.20%
0.1ppm以下 2688 29.80%
1.0ppm以下 6213 68.90%


トップへ
戻る