○ | 名目値ではなく、実質値が年金財政については重要であるという理解でよいのか。 |
● | 最終的な給付水準や保険料水準は、実質値が変わらなければ変わらず、運用が年金財政にどのような影響を与えるのかは、実質値で見る。
例えば、名目値の運用利回りが下がっても、対賃金上昇率の実質的な運用利回りが確保できれば、年金財政に悪影響は及ばない。平成13年度においても、預託分と市場運用分をあわせた運用利回りは、名目値では1.9%程度と低いが、対賃金上昇率では、実質的な運用利回りが2.2%確保できているため、年金財政に悪影響は及んでいない。 |
○ | 市場運用において名目値でマイナスが出たことばかりでなく、実質的な運用利回りは確保されており、年金財政には悪影響が及んでいないことも国民に伝えていくべき。毎年、運用の面から年金財政にどのような影響が出ているのかは、きちんと説明していく責任がある。 |
○ | 年金財政に影響があるのは、名目運用利回りと名目賃金上昇率の差である実質的な運用利回りであるというのは理解できるが、実際に運用の結果として出てくるのは名目値なので、議論の際に名目値を押さえておくことも必要。 |
○ | 前回の基本ポートフォリオ策定作業においては、対物価上昇率の値を用いるとどのようなポートフォリオになるかというチェックを行った。今回の作業に当たって、対物価上昇率や対賃金上昇率の値を考慮することも必要かもしれない。 |
○ | 「実質」という言葉は、通常、対物価上昇率で用いられるが、年金運用においては対賃金上昇率で用いられている。対賃金上昇率のときには、「実質」ではなく、「実質的な」などというように、誤解がないように使用して欲しい。 |
● | 国民の方々に分かりやすい説明をしていきたい。 |
○ | 財政再計算上は何十年分の運用利回りの数値が必要となるということは分かるので、投資期間は30年程度にしてもよいが、超長期だからといって過去平均値を採るのでなく、その間の経済前提は、非現実的なものにならないようにすることが大切。 |
○ | 25〜30年後の高齢化のピークまでは、人口推計もある程度変わらないと言われている。従って、2025年や2030年を念頭に、投資期間を25年、30年程度に想定することがよいのではないか。その中で、5年ごと、などで基本ポートフォリオの見直しを行っていけばよいのではないか。 |
○ | 経済循環が入り込む程度の十分な長期間を投資期間として設定すれば、作業的にはあまり変わらない。 |
○ | 実質運用利回りについては、何かの数値を決定するのではなく、どの程度が確保可能かということを検討するのが当分科会のマンデートと理解してよいか。 |
● | その通り。
この分科会での議論の核心は、実質的な運用利回りがどの程度確保できるのかということ。運用利回りについてこの数値と決定するのではなく、幅をもった運用利回りについて、どのくらいの利回りであれば確保するのが可能なのかを議論していただきたい。 |
○ | 夏に厚生労働大臣が出される試案には、今回の運用利回りの検討結果などを反映させるのか。 |
● | 運用利回りについては、今回の検討とは切り離し、仮置きの前提を置かせていただくことを考えている。従って、厚生労働大臣試案の日程に今回の検討スケジュールが縛られることはない。 |