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資料5


障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する検討会(第3回)意見発表

社会福祉法人 大垣市社会福祉協議会
在宅福祉サービス推進室 早崎 正人

1 活動状況概要
 (1) 居宅介護事業関係
昭和60年4月  ・
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身体障害者家庭奉仕員派遣事業の受託
心身障害児家庭奉仕員派遣事業の受託
老人家庭奉仕員派遣事業の受託
平成元年 4月  ・ ガイドヘルパー派遣事業の受託
平成7年 7月  ・ 24時間巡回型ホームヘルプサービス(高齢者対象)の受託
平成8年10月  ・ 早朝、夜間時間延長型ヘルプサービス(障害者対象)の受託
平成9年 4月  ・ 24時間巡回型ホームヘルプサービス(障害者対象)の受託
平成9年 4月  ・
 ・
 ・
介護保険事業として訪問介護事業(高齢者対象)自主運営
身体障害者ホームヘルプサービス(事業費補助)として受託
心身障害児ホームヘルプサービス(事業費補助)として受託
平成14年4月  ・ 精神障害者ホームヘルプサービス(事業費補助)として受託
平成15年4月  ・ 支援費事業として、身体障害者(児)・知的障害者(児)居宅
介護事業(身体介護・家事援助・日常生活支援・移動介護)を自主運営
 (2) 訪問入浴事業関係
平成6年 4月  ・ 身体障害者への訪問入浴サービス自主運営
平成9年 4月  ・ 訪問入浴サービス(身体障害者・寝たきり高齢者対象)の受託
平成12年4月  ・ 介護保険事業として訪問入浴事業(高齢者対象)自主運営
平成15年4月  ・ 訪問入浴サービス(身体障害者対象)の受託
 (3) デイサービス事業関係
平成2年 4月  ・ 身体障害者デイサービス事業(創作活動型)の受託
平成12年4月  ・ 身体障害者デイサービス事業(事業費補助)として受託
平成15年4月  ・ 身体障害者デイサービス事業(市単独補助)として受託
 (4) 訪問看護事業関係
平成7年 7月  ・ 訪問看護ステーション自主運営
平成12年7月  ・
 ・
介護保険事業として訪問看護ステーション自主運営
障害者については、医療保険にて継続実施
 (5) 布団乾燥事業関係
平成4年 1月  ・ 重度障害者布団乾燥事業自主実施
 (6) 施設運営関係
昭和54年4月  ・ 心身障害者小規模授産所(定員19名以下)の受託
昭和58年4月  ・ 知的障害者通所授産施設(定員60名)の受託
平成6年 4月  ・ 知的障害者通所授産施設分場(定員9名)の受託
 (7) 障害者ケアマネジメント事業関係
平成9年 4月  ・ 障害者生活支援事業の受託
平成11年4月  ・
 ・
障害者社会参加促進事業の受託
障害者(身体)介護等サービス体制整備事業の受託
平成14年4月  ・ 障害者(身体・知的・精神)ケアマネジメント体制整備推進 事業の受託
平成15年4月  ・ 障害者ケアマネジメント担当職員の自主的配置
 (8) その他の事業関係
平成10年4月  ・ 基幹型在宅介護支援センターの受託
平成12年4月  ・
 ・
介護保険事業として居宅介護支援事業所の実施
介護保険対象外の高齢者自立生活支援事業の受託
 (9) 支援費事業の実績 別紙(1)
 (10) 14年度ホームヘルパー利用実績と受給量 別紙(2)


2 障害者の地域生活支援の活動を進めていく上での問題・課題等

 平成15年4月前までは措置制度として、ホームヘルプサービスを受託事業として実施してきたが、すでに平成12年4月から介護保険事業として自主運営してきた実績から、受託事業も社会福祉協議会の自主性を保つため、障害者支援へのサービスは事業費補助とした。
 社会福祉協議会の組織機能は住民主体と協働活動にあり、障害者支援のサービスは、平成9年4月障害者生活支援事業、平成11年4月障害者社会参加促進事業・障害者介護等サービス体制整備事業、平成14年4月障害者ケアマネジメント体制整備推進事業の実施等、相談支援体制、障害者ケアマネジメントを重要視してきた。
 特に、平成13年度、14年度の全国社会福祉協議会による「障害者のニーズに基づくホームヘルプサービスのあり方に関する研究」事業では、支援費を見据えて提供過程、サービス提供時における留意事項や提供体制について検討し、当市を含めたモデル事業内容は障害者ニーズに基づくホームヘルプサービスを考えるうえで参考になるものと思う。こうした取り組みを経る中で、まさに、支援費制度(障害者の自己決定を尊重し、障害者自らがサービスを選択し、障害者と事業者が対等な立場に立ち契約をかわしてサービスを利用する)により、障害者支援のサービス提供がより充実強化されると考えていた。
 しかし、残念ながら実際はそうなっているのだろうか。

(1) 障害者ケアマネジメントの認識の欠落
 支援費制度の成功のためには、障害者支援を担える専門的なケアマネジメントのできる専門職を配置する(制度化)必要がある。
全国社会福祉協議会発行「支援費制度、<かんたん>ガイド」(厚生労働者13年事務大要)よると、支援費制度における相談・支援の取組みと「障害者ケアマネジメント」の関係について、「事務Q&A」においては、次のように説明されている。
{問}支援費制度(特に相談支援や支給決定)と障害者ケアマネジメントとの関連如何。
{答}障害者ケアマネジメントは、障害者の地域生活を支援するため、福祉・保健・医療のほか教育・就労等を含めた幅広いニーズと地域の社会資源を結びつけるための調整等を行うものであり、支援決定に直接に位置づけられるものではないが、障害者ケアマネジメントの手法が活用される場面としては、(1)相談支援事業においてケアマネジメントの手法を活用した支援が行われる場合に、その一部として支援費の対象となるサービスの組み合わせ等に係る相談支援が行われたり、(2)市町村においてケアマネジメントの手法を活用する場合に、サービスの利用調整の一環として、提供すべきサービスの一部である支援費の対象サービスに係る支給量等の決定が平行して行われることが想定される。(以下省略)
 障害者の地域生活を支援するケアマネジメントは、どのような障害者であろうと「地域生活」を支援する手法であり、自立の支援や生活の質を高めることを目的としており、そのことが、さまざまな人たちが住みなれた地域社会で生活を継続していくというノーマライゼーションの福祉理念を実現する最適な方法であるといえる。
ケアマネジャーがいないために問題になっていること。
利用者が複数の事業者と契約していてもわからない。
受給量の変更(受給者証の変更)があってもわからない。→障害者自身に報告義務が科せられているが、徹底されておらず知らぬ間に過ぎていく可能性が大きい。
受給量の管理を障害者自身が行うことが困難な人もいる。
事業者間の連携を障害者自身が行わなければならない。
自己管理
できる障害者→自己管理できる障害者にだけ対応できるシステム。
できない障害者→どのように対応するのか。
説明すればできる障害者→誰が説明すべきか。

(2) 障害者支援を総合的な角度からチームで支援するためには、行政担当者・ケアマネジメント従事者・学識経験者・当事者を含めた支援システム「障害者ケアマネジメント検討委員会」の創設等が制度として必要ではないか。
 情報収集、相談、申請受付、支給決定の検討、苦情の窓口対応等すべてが行政窓口対応となっているシステムにも問題があるのではないか。
■キーパーソンは誰か。
・介護保険制度では、介護サービスを利用するための支援を行うキーパーソンとして介 護支援専門員を創設している。
・支援費制度では、支援を行うキーパーソンを担う専門員が行政窓口の職員であり、必ずしも専門職とは限らない。支援費にはサービス量の上限を定めないとはしているけれども、予算執行をともなう行政職員は「障害者の気持ちはよく分かるが、口にはいえない予算的な財源が頭をかすめて、ケアマネジメントができない。」ジレンマがあるようである。支援費制度(障害者の自己決定を尊重し、障害者自らがサービスを選択し、障害者と事業者が対等な立場に立ち契約をかわしてサービスを利用する)を真に障害者のための制度とするためには、行政の専門性は、制度化されたケアマネジメント従事者等との連携により発揮されるものであり、早急に当事者を含めた支援システム「障害者ケアマネジメント検討委員会」の創設等が必要ではないか。
■検討委員会の設置で解決される問題等
・情報収集、相談、申請代行、支給決定の検討、苦情の窓口対応等、これまで問題になっ来ている事柄が「検討委員会」を設置することにより、障害者の個別性(個別援助計画)を含めて協議され、問題の共有化と社会性を持った内容の検討が図られることになる。
(3) 事務処理の簡素化 (別紙3)
 介護保険の事務処理では、居宅介護サービス提供実績記録票は、事業所サイドで処理でき、国保連への請求にともなう添付資料は明細書のみでよい。
 支援費の事務処理は、サービス事業者による日々の「利用者負担額の管理票」に基づく管理と「居宅生活支援費明細書」にセットされた「居宅介護サービス提供実績記録票」が定められており、ソフトを活用してのコンピューター処理が複雑(利用者印が必要)となり利用者の少ない事業所は手計算で行えるが、一定数の利用者と契約するとなると、事務量の多さに事業の継続を検討せざるをえない事業所も出でくるかと心配する。
サービスの実働時間中に利用負担額の計算を行うことにより、利用者からの不満が多くなる。(介護保険では、事業者が自己負担額管理はしない)
上限を超えた時点で「管理票」を切り取ってしまうため、他事業者が切り取った場合確認ができない。
(4) 支援費単価の根拠
 ホームヘルプサービスに介護保険によるサービスと支援費によるサービスとに違いがあるものではない。
支援費は家事援助が1,530円と介護保険の単価より何故550円も安いのか。
視覚障害者が通院でヘルプサービスを利用すると「身体介護」であるが、通院を移動介護(ガイドヘルパー)で利用すると「身体介護を伴わない移動介護」となるのは何故か。
(5) 日常生活支援サービスの内容及びおおよその継続サービス時間
 日常生活支援の取扱い説明では、判断しにくい内容が多々あり事例集などを今後検討していただければ幸いである。
 例えば、全身障害者からすれば一日の生活の中で、トイレ介助は数回必要であり一回に30分から1時間の介助が2人体制で必要となる。また入浴を介護するためにも2人体制の介助は1時間から2時間必要となる。このように日常生活支援では補えない内容は、身体介護として認めていく必要があるのではないか。
(6) 65歳以上の視覚障害者の場合
 介護保険で自立と判断されていても、従来は通院のための身体介護が認められていたものが支援費制度では認められないのは何故か。
(7) ホームヘルパー研修の必要性、難しさ。
 専門的(施設関係機関)な事業所は、在宅支援に専門職を派遣できるが、多くのヘルプ事業所は高齢者中心となっている。障害者固有のニーズに対応をするためにはヘルパーの研修(障害者の心理と家族の理解や援助技術等)が必要である。
(8) 制度発足当初としてはやむを得ないにしても、事業所の基準をあまり緩やかにせず事業運営や障害福祉分野の専門性について、十分な水準が保証できるような仕組みにする必要があるのではないか。
(9) 大垣市社会福祉協議会としては、支援費事業や精神障害者支援事業が運営上赤字なる可能性があるとしても、社会福祉協議会に期待される役割を踏まえて、サービス事業所になることを決定した。障害者支援のよりよいサービスを造っていくために、社会福祉協議会がリードしていく必要があると考えている。


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