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資料1


障害者(児)の地域生活支援のあり方に関する意見

発表者 社団法人 全国脊髄損傷者連合会
副理事長 大濱 眞

●措置から契約で何が変わったか、契約により、
1.選択できる制度なったか?利用者本位、自己決定の尊重
2.必要に応じたサービス提供されているか?(相談支援、地域生活支援センター)
3.脱施設の流れが出来たか?(新障害者プラン)
課題
サービス基盤、財源問題、相談支援体制(苦情処理)、不服申し立て、第三者評価機関(当事者を含めた)
基本的な視点
障害者の介護は、障害の程度に関わらず重度障害者でも地域で自立し普通に暮らせるという視点でとらえることその基本である。
 幅広い社会参加活動:買い物、娯楽、就労、教育、各種NPO活動等
障害者の介護は、ホーム(家庭での)ヘルプではない、地域で自立するため支援であり、障害者種別、年齢、障害程度などのその特性により介護内容が多様化している。これに対応できる介護は、個々人の特性に応じられる介護者が必須。(障害特性に適応した介護者を障害者自身が育てる)
―――> 障害特性に応じた介護者を障害者自身の責任において雇用する。
パーソナル・アシスタント・システム(PAS) - ダイレクトペイメント
但し、脊損などの中途障害者や、突然の親介護状態から地域で自立を迫られた時、また自己責任の能力に問題のある場合などは、別途のサービスメニュー(CILの自立体験プログラムなど)が必要である。

●加齢に伴う高齢者の介護と障害者の介護
1.家族介護の一部を手助けするという(家族支援)視点で始まった、介護保険のホームヘルプサービスという枠では無理である。
要介護度の認定(ADL中心)によるサービス提供と障害者の支援内容とは異質である。
2.障害者の介護は、自宅における介護でなく、自立という視点での介護であり(自立支援)、当然そこには、幅広い分野(買い物、娯楽、就労、教育、各種NPO活動)で1人の人間としての社会参加の視点と同時に、ICFでいう背景因子としての個人的な要因と、その環境因子も重要な課題である。
3.障害者に対する介護支援は、その人自身への支援あり、本人がどの様にして生きたいか、個々人の価値観で自己決定した生活内容を支援することこそが障害者介護支援である。

●この検討委員会で、当面早急に結論を出す必要がある課題(来年度予算との関連で)
裁量的経費でよいのか?(義務的経費)
障害者に対する介護サービス(介護保険のサービス内容と何が違うのか?)
国庫補助の公平な配分の基準について(市区町村における、4(5)類型別支援費決定状況の把握)
社会保障審議会の介護保険部会では障害者への適用が課題となっているので、検討委員会としての意見・結論を介護保険の部会へ反映させる必要がある。(9月頃まで)

●サービス基盤について(資料1)
JSCFが2002年度に実施した「在宅脊髄損傷者の介護実態調査」調査数675人によれば、サービス必要時間から算出した介護ヘルパーで2万4000人が必要であることが明らかになった。

また、介護ローテーションを考慮しヘルパーの3分の2が稼動すると仮定すると3万7000人のヘルパーが必要となる。これは新障害者プランのヘルパーの整備目標6万人の実に6割を占めることを意味する。
添付資料2:ある人の5月介護実績


(団体概要)

団体名 社団法人全国脊髄損傷者連合会

所在地 東京都江戸川区南葛西5−13−6

代表者役職・氏名 理事長 妻屋 明
社団法人設立年月日 2003年3月14日
代表者年 齢(満) 62 歳
認可年月日 2003年3月14日
全国脊髄損傷者連合会の活動を始めた時期 1959年10月
 活動等の略歴
 重度障害者のQOLの向上を目指し、医療、年金、福祉制度等の制定・改善を図るため、1959年に任意団体、全国脊髄損傷者連合会として発足しました。「重い障害があってもそれぞれの地域で普通に暮らせる社会」を目指し、今まで以上の幅広い視野を持って全国の障害者の期待に応えていくため、2003年3月社団法人全国脊髄損傷者連合会として再出発をいたしました。当団体は公益法人でありますが、障害当事者が運営、活動の主体となっております。

団体構成員 約5,000名 団体活動範囲 全国都道府県の46支部で活動
団体年度予算額 29,000千円 会報発行部数 60000
他の全国組織脊髄損傷団体:
全国頸随損傷者連絡会(会員800名 1000部)NPO日本せきずい基金(会員0 15000部)


(資料1)下記タイトルの別添報告書より抜粋

「在宅高位脊髄損傷者の介護システム」2003年3月
特定非営利活動法人 日本せきずい基金

(分析・報告書執筆担当者:駿河台大学経済学部 渡辺 裕子)
 ここでは第1に、WHO国際障害分類(ICF)の障害構造の概念モデルを援用している。すなわち、脊髄損傷において生じる「障害」を、「B.機能障害(impairment)」「C.活動の制約(limitation of activity)」「D.参加の制限(restriction of participation)」の3つのレベルに分け、相互に影響を及ぼしあうものとして捉える。
 しかし、モデルには本調査の目的に合わせて、障害を規定する要因に関して若干の修正が加えられている。「B.機能障害」には「A.障害発生と初期の対応」や現在の「E.健康や医療の問題と対応」が影響を及ぼしている。「C.活動の制約」は機能障害と関連するとともに、一方で健康や医療の、他方で「F.介護の体制」の影響を受ける。「D.参加の制限」は、機能障害や活動の制約と関連するとともに、介護体制や社会的資源の状況の影響を受ける。さらに、これらA〜Fの障害や障害の形成と関連する変数は、年齢などの「G.個人的属性」や地域特性などの「H.社会的背景・要因」に規定される面がある。

 (参考)ICFでの定義
活動 activityとは、課題や行為の個人差による遂行のことである。
参加 participationとは、生活・人生場面(life situation)への関わりのことである。
環境因子 environmental factorsとは、人々が生活し、人生を送っている物的な環境や社会的環境、人々の社会的な態度による環境を構成する因子のことである。 背景因子 contextual factorsとは、個人の人生と生活に関する背景全体を表す。それは環境因子と個人因子の2つの構成要素からなる。ただし、社会的・文化的に大きな相違があるために、ICFでは分類されていない。

介護時間の算定の結果−損傷部位別

計測された
直接介護時間
標準介護時間
直接介護+就寝時見守り=計
必要
サービス時間
人工
呼吸器
同居 16時間
(964分)
19時間 + 9時間 =
(外出日20時間)
 28時間
(外出日29時間)
11時間
単身 施設対応
〜C4 同居 13時間弱
(747分)
13時間 + 9時間 =
(外出日14時間)
 22時間
(外出日23時間)
9時間
単身 24時間
C5〜 同居 9時間弱
(521分)
9時間 − 9時間 4時間
単身 10時間
 「C4以上」では参加の質を確保する標準的な直接介護時間が13時間(外出日は14時間)であり、就寝中見守りの9時間を含めて、計22〜23時間という計算となる。しかし、これに外出や活動中の待機時間を含めるならば、複雑な計算をするまでもなく必要サービス時間は24時間になる。

ホームヘルプサービスの必要時間/日

(1)在宅者数 (2)利用
希望率
(1)×(2)
利用者数
(3)利用
時間/日
(1)×(2)×(3)
総時間数
最重度 同居
単身
1480人
(施設対応)
75% 1100人 11.3時間
28.3時間(参考)
12543時間
重度 同居
単身
9324人
1036人
70%
86%
6527人
891人
9.0時間
19.5時間
58743時間
17375時間
中度 同居
単身
19656人
2184人
68%
85%
13366人
1856人
4.0時間
10.0時間
53464時間
18560時間
軽度 同居
単身
48546人
5394人
50%
60%
24273人
3236人
1.0時間
3.0時間
24273時間
9708時間
87620人 58.50% 51259人 3.8時間 194666時間

 「重度・単身」では、就寝時見守りが不要の場合は15時間、要の場合は24時間であった。要・不要は統計調査においてそれぞれほぼ半数ずつとなっていたため、中間値の19.5時間としている。

2.調査の方法と対象
(1)統計調査
(1)調査の方法
データベースでは、約1,700人に調査票を送付し、有効回答数は675人となり、最終的な回収率は40%である。
 調査項目は本報告の分析枠組みにおける変数A〜Hに対応させて、問1から問37までの質問を設定した。
(2)調査対象者の基本的属性
 1)性別・年齢層:脊髄損傷は男性に発生率が高いため、本調査回答者675人においても、男性542人(80.3%)、女性124人(18.4%)であった。年齢の幅は広いが中心的な年齢階層は、「30才代」(23.7%)、「40才代」(20.1%)、「50〜64才」(29.7%)であり、全体のイメージとしては働き盛りの男性といえる。「65才以上」も15.9%含まれているが、これらの大半は青・壮年期に受傷しており、脊髄損傷者としての長いキャリアの末に高齢期に達した者である。

 2)脊髄の損傷部位:対象者の回答によれば、頸髄損傷が65.9%、脊髄損傷が31.9%、その他の神経疾患が1.3%である。厚生労働省の『身体障害児・者実態調査』(2001)の結果と比べ、重度に偏りがある。これは、生活上に困難を抱える者の方が障害者団体と接触することが多いため、と考えられる。

 3)家族形態:ライフステージの段階別にみると、「親を含む核家族」は平均年齢36才で32.1%、「親・子を含む三世代家族」は平均年齢50才で7.4%、「親を欠き配偶者を含む家族」は平均年齢56才で、43.6%であった。この3つの家族形態が主要なものといえるが、他に「同居家族なし」が12.9%(平均年齢47才)あった。

(2)タイムスタディ調査
(1)調査の方法
タイムスタディ調査を厳密に実施するためには観察法によって時間を計測する必要があり、施設などの場では「1分間タイムスタディ」が実施されている。しかし、在宅の場合にはプライバシーの問題等により、このような時間計測は不可能である。そこで今回の調査では、「5分間タイムスタディ」を試みた。
 対象者は実施可能な人数を考慮し、脊髄損傷者の平均的な集団の縮図ではなく条件を絞って選定した。先行して実施した統計調査の結果からスクリーニングしたが、
1)介護の必要度という点から頸髄損傷者のみとし、人工呼吸器利用者など特に重介護の対象を多く含めた。
2)外出データを取る必要性から、外出頻度が低い者は除かれた。
3)親や家族なき後に施設入所でなく在宅生活の継続の可能性を検討するため、「同居家族なし」の者を多く選んだ。
 データを分析する上では、41人の調査協力者から53日分のデータを収集することとなった。調査実施期間は、2002年8月〜10月である。

(2)対象者の基本的属性
 1)性別・年齢層:男性48人、女性5人の、計53人である。年齢層は、20才未満が1人、20才代が6人、30才代が32人、40才代が8人、50才代が5人、65才以上が1人である。30才代が6割を占めているなど、統計調査と比べ若い年齢層が多くなっている。
 2)脊髄の損傷部位:人工呼吸器利用者が12人、「C4以上」が19人、「C5以下」が22人である。統計調査と異なり、胸髄以下の脊髄損傷は含まれていない。また、人工呼吸器利用者が多い。
 3)家族形態:「親を含む核家族」が20人、「親・子を含む三世代家族」が1人、「親を欠き配偶者を含む家族」が8人、「その他の家族」が3人、「同居家族なし」が21人である。統計調査では同居家族なしは1割程度であるが、タイムスタディ調査では4割を占める。また、若い年齢層が多いため、親との同居者が多い。



 資料2

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 W介護
W介護
A 外出なし A A A A A A A A A











A A A











B B B B B B B B







3h 4回 12 108h

















































B 外出あり A A A A A A A A A










A A A A










B B B B B B B B B B B





4h 18回 72 504h




















































C 排便・風呂 A A A A A A A A A A










A A A











B B B B B B B B B B B




6h 6回 36 180h


















































D 風呂 A A A A A A A A A A










A A A











B B B B B B B B







3h 3回 9 81h

















































合計























17h 31回 129 873h



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