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資料1


障害者(児)の地域生活支援のあり方に関する意見

全日本ろうあ連盟 理事長 安藤豊喜

 全日本ろうあ連盟(全日ろう連)は日常生活において手話を主なコミュニケーション手段とする成人聴覚障害者で構成される当事者団体です。
 支援費制度の開始にあたって、全日ろう連は(1)ろう重複障害者を対象とする支援サービス(社会資源)の整備と、(2)支援サービスに関する情報提供から相談、そして申請・契約にいたる全ての過程でのコミュニケーション保障を政府に要望しました。
 また、昨年社会福祉・医療事業団の助成で実施した全国の社会資源調査では、ろう重複障害者を対象とする社会資源が全国的に大変不足していて、ろう重複障害者が受けるサービスがまったく揃っていないと言う結果が明らかになりました。
 聴覚障害者の当事者組織による生活支援の先進的な取組みが見られる京都や大阪でも、(1)自助・共助サービスは比較的揃っているが、公的サービスが充実されていない、(2)現行の手話通訳制度ではろう重複障害者のコミュニケーション保障に対応できないなどの問題点が浮き彫りとなっています。
 これら二つの問題点は、特に(1)日本の障害者福祉が「更生」の困難な障害者対策を後回しにしてきたことと、(2)わずか30年の取組みしかない情報・コミュニケーション施策の対象からろう重複障害者がはずされてきたことに起因すると考えます。
 言葉を変えて言うならば、日本の障害者福祉に基本的人権尊重の理念が不十分なままに恩恵的、選別的な施策が長く続き、今もその名残があるということです。これが国民の視点を「地域生活支援を実現するための財源確保」に向けさせざるをえない状況に追い込んでいるのでしょう。
 今求められるは、全ての障害者の基本的人権を尊重した上での個々の生活能力に合わせた福祉施策の研究です。つまり、(1)法的・社会的な環境の整備によって障害者でも納税者となれるチャンスを保障する施策と、(2)身辺介護など生活支援に必要なサービスの充実を公的に保障する施策が並行して展開されるべきだと言うことです。
 選択・自己決定を理念とする支援費制度はこの双方向を両方とも可能とする弾力的な施策となるべきです。



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