03/05/29 第19回労働政策審議会雇用均等分科会議事録           第19回労働政策審議会雇用均等分科会 1 日時:平成15年5月29日(木)15:30〜 2 場所:厚生労働省 省議室 3 出席者   労側委員:秋元委員、片岡委員、佐藤(孝)委員、吉宮委員   使側委員:渡邊委員、山崎委員、前田委員、吉川委員、川本委員   公益委員:若菜会長、今田委員、奥山委員、佐藤(博)委員 ○分科会長  定刻になりましたので ただいまから第19回の「労働政策審議会雇用均等分科会」を 開催いたします。本日の出欠ですが、樋口委員、横溝委員、岡本委員が欠席となってお ります。渡邊委員は遅れて来られるとの連絡がありました。  それでは、議題に入りたいと思います。  本日は、先進的な取組みを行っておられる企業のヒアリングを行います。まず富士ゼ ロックスの人事部人事グループの方から、そのあとでイトーヨーカ堂人事部の方、それ ぞれ企業の現状について説明をいただくということでお願いしております。富士ゼロッ クス、イトーヨーカ堂の両社とも、平成14年度におけるファミリーフレンドリー企業表 彰を受けられています。これからヒアリングを始めますが、まずお二方に続けてお話を していただいて、質問はあとでまとめてお願いいたします。まず富士ゼロックスの方か らお願いいたします。 ○ヒアリング対象者(富士ゼロックス(株))  本日はよろしくお願いいたします。レジュメの「働きながら育児や介護を行ないやす い環境づくり」で説明させていただきます。本日、ここにお呼びいただいたのも、平成 14年度ファミリーフレンドリー企業の厚生労働大臣優良賞という大変栄えある賞をいた だきまして、それ以来、マスコミ、他社からのベンチマーク、女子学生の卒論のテーマ にしたいというところまで、問い合わせが本当に多くて、この辺りの昨今の関心の高さ を身にしみて感じており、大変うれしい悲鳴を上げている状況です。  1頁の「概要」です。富士ゼロックスはオフィス機器、複写機、複合機などの製造販 売を行っているメーカーです。  次頁です。「ファミリーフレンドリー企業を受賞されるに当たって、御社ではどうい うところが原点で進めてこられたのでしょうか、そのためにどういう取組みをなさった のでしょうか」という質問をまず受けます。そもそも富士ゼロックスの場合は、ファミ リーフレンドリー企業というのは、結果でいただいたものです。1988年、いまから遡る こと15年前ですが、いまの会長で当時の社長で最近まで経済同友会の代表幹事をしてい た小林から、今まではメーカーとしてTQCを推進して効率一辺倒できたが、これから の時代は個人を尊重し、個人の発想を発揮できる仕事、あるいは個人が尊重された環境 づくりが必要ではないかという提言がありました。個人が会社のために自分の人生、自 分の生活を犠牲にするのではなく、活き活きと自分のために働くというのはどういうこ となのかといった投げ掛けがあって、1988年からNew Work Way運動という活動が会社で 始まりました。  15年前ですが、当時の社内報なども読み返してみますと、いまの時代でも決して古く ない、むしろ新しい、素晴らしい考え方だなと感じております。その辺りから会社の中 で企業風土や意識の変革、会社に滅私奉公ではなく、自分自身が活き活きと働くために はどうしたらいいかということについて、社内のいろいろな所で話し合いが持たれ、人 事制度もいろいろな制度が入ってきました。そういったことを着実にきちんとやってい くことによって、仕事と家庭を両立しやすい環境が、十数年をかけて出来上がってきた のではないかと思います。その結果、実績も伴って昨年の受賞に結び付いたのだと思い ます。  「富士ゼロックスのあゆみ(人事関連)」ですが、1988年に育児休職制度やフレック スタイム、育児退職者再雇用制度、1990年に家族介護休職制度、1992年に育児の時短、 1993年に介護の時短と、法に先駆けていろいろな制度が導入されていったわけです。こ れは仕事と家庭という育児、介護だけではなく、例えば、ボランティア休職や教育休職 など、自分の生活なり自分自身の考えをさらに成長させるといったことでのいろいろな 制度が1990年前後に導入されてきました。そういうことによって実績がだんだん伴って いったのではないかと思っております。仕事と家庭を両立しやすい制度そのものは、 1990年前後に会社の中に入っています。  「育児関連諸制度」ですが、この辺りも今となってはそんなに先進的というか、そん なに珍しいことではないと思います。女性社員が妊娠して産前休暇・出産・産後休暇に 入ります。妊娠のときは検診時間ということでみなし勤務が7回まで認められており、 届出によっては時差出勤なども認められています。出産のときに家事援助補助が共済会 等々からありますし、育児休職中には月刊誌の『赤ちゃんとママ』が、女性社員だけで はなく、子供がいる男性社員の希望者にも健保組合から送られてきます。  育児休職は、法律で子が満1歳までですが、社員からの希望で最長半年延長可能で す。私も2月生まれと3月生まれの子供が2人おり、2月に復帰しようとしても保育園 に空きがなく、4月の新年度から子供を預けるということで延長しましたが、保育園が 見つからなかった場合の猶予として延長を認めております。そういったことで4月から の復帰の方が非常に多いです。  仕事を開始しますと、フレックス制が入っている事業所がほとんどですので、フレッ クスタイムでフルタイムで復帰するケース。あるいは勤務時間短縮ですが、30分単位の 最長2時間までです。子供が4歳までというパターンですが、小学校に入学してからの ほうが、学童保育とのやり取りや子供が慣れなかったりで大変ということもあるので、 その半年間を小学校入学後半年間取得することも可能にしてあります。  フルタイムと時間短縮の割合ですが、フルタイムで戻られる方が3割、時間短縮で戻 られる方が7割ぐらいになっています。深夜業制限というのがあり、小学校3年の3月 末までと法律を上回っていますが、この辺りはホワイトカラー中心の企業ですので、届 出はしても、実際に適用になるケースは少ないです。  24時間フリーダイヤル電話相談は、健康保険組合でしていますが、育児、子供の健 康、妊娠・出産など、いろいろなことで相談ができることになっています。夜中に突然 熱を出した、突然もどしてしまった、急に病状が変わったというときに、ここに電話を かけると、状況によって保健師、看護師、医師と大変レベルの高い電話相談ができ、社 員としては非常に有難いと思っています。同時に24時間フリーダイヤルですので、手帳 などに貼っておいて、旅先から相談することができるようになっています。  その下の積休は、看護休暇とほぼ同じもので、有休は翌年も持ち越しになります。持 ち越しても使わなかった分は失効になりますが、それを60日まで積み立てておける制度 です。家族のヘルスケア、自分の病気、ボランティア、介護などに使えます。  介護もいろいろ選択肢があって、勤務時間短縮2年、積立休暇、フレックスタイムを 利用する、1日介護休業。これは月5日まで取ることが可能で、1日単位で休むことが できるものです。  そういったいろいろな組み合わせの中で、いよいよ立ちいかなくなってきますと、休 職に入り、最長2年です。育児休職が無給なのに対し、介護休職は援助金という形で本 給程度は会社からも支援が出ます。このようなことで介護の場合も、いくつか自分の状 況に応じて時間短縮を使ったり、積休で済む場合、あるいは休職に入る場合と選択がで きるようになっています。ここでも24時間フリーダイヤル電話相談とありますが、上と 同じで、介護の相談、いろいろなシルバー情報なども受け付けるようになっています。  次頁は女性社員の実績で、「出産に際しての選択」ということで最近の3年間を見ま した。妊娠してどういう選択をしているかといいますと、退職が15%で27名、育児休職 を取って続ける方が81%で150名、産休のみが4%で8名となっています。厚生労働省の 言う女性の育休取得率80%というのは、富士ゼロックスの場合はクリアしていますが、 これはかなり高い数字だと思います。会社は個の尊重と言っていますので、辞めたいと いう方には、その方の価値観を尊重しますし、育休を取って仕事を続けたいという方は 制度を利用して続けてくださいという形で、会社として特に女性は育児休職を取って仕 事を続けるべきだ、という指導はしておりません。  「制度の定着」ですが、右側の色の濃いほうが育児休職になっており、制度導入時か ら右肩上がりで増えております。富士ゼロックスは女性社員が一見多そうですが、全体 の9%で1,300名弱になっており、その中で毎年、50名、60名が育児休職に入っていま すので、社内ではお腹が大きい人、あるいは育休明けの人がいても、そう珍しいことで はなくなっていて、会社全体として慣れている感じがします。  左側の白抜きのようになっているのが介護休職です。総数は60数名になるかと思いま すが、その中で男性が36名というのが表彰の評価ポイントにもなったかと思います。も ちろんこれは管理職も多いですし、男性も取りづらいということもなく、自分で申請す ればスッと取れるような土壌があると思います。  私自身も1993年と1997年に育休を取得したのですが、1993年のときは育児休業給付金 もなく、復帰してから社会保険料の自己負担分を賞与から天引きという形で、非常に厳 しかったという記憶もあります。1997年のときは25%の給付金が出て、これは随分生活 が違うというのを実感したのを記憶しております。  また1993年のときは育休が明けて東京都の公立の保育園ですが、6時まででした。何 年か経って6時だったのが6時半に変わり、下の子が出るときは7時半にまで延びてい ましたので、6時と7時半ではかなり違うなというのを実感しております。いまはその 保育園は10時までで、最初に取ったときは給付金もなく、保育園も6時までといった時 代から10年経つと随分変わるものだなと思います。一見何も変わってなさそうなのです が、10年間子育てをしてきた人間からすると、フォローウィンドというか、世の中とい うのは随分変わるのだなと実感しております。  次頁の「女性社員の勤続年数推移」です。この辺は当然というか、富士ゼロックスだ けの現象ではなく、大手では女子社員は育休を取得して、勤続年数も10年以上になって いるのではないかと思いますし、非常にいいことだと思います。ただし、今日のテーマ とは直接関係はありませんが、個人的な感想として、過去からの男女の固定的な役割が まだ会社の中ですべて払拭し切れていないため、女性は以前でしたら結婚退職などで 3、4年でどんどん辞めてもよかった仕事を、10年経っても持っていってしまうような ケースもなきにしもあらずなので、勤続年数がのびていくのと同時に、女性のキャリア アップみたいなもの、仕事のグレードアップも、企業としては検討していかなければい けないのではないかと感じております。  「男性育休取得者」ですが、この当時は4名、いまは5名いると聞いております。次 に取得を考えているという人が何名かいますので、この辺も非常に遅ればせながらです が、少しずつ増えていくのかと思います。  取られた方からは、いずれも非常に充実していた、良かったという肯定的な意見をい ただいています。この辺りの男性育休取得者をさらに増やすにはということですが、人 事の中でも、富士ゼロックスの男性社員が育休を取っていることを知らない人が結構い て、もっとこういう形で取れる、あるいは育児休職というと、女性が産後休明けから1 年取るものみたいなイメージが非常に強いのですが、前半をお母さんが取って、後半を お父さんのほうが取る。しかも長く取るのではなく、1、2カ月だと。こういう形です とわりと自然に取れるのではないかという感じがしています。こういったことを丁寧 に、きめ細かく説明したり、紹介していくことで、わりと増えていくのではないかとい う気がいたします。  規程の見直しとありますが、従来だと子供を見ることができる人がいる場合は育児休 職は取得できなかったのですが、そこを今回は変えて、導入は10月ぐらいになると思う のですが、配偶者が専業主婦だとしても、あるいは働くパートナーだとしても、育児休 職を取得できるという形で規程を見直しました。ですから、前半をお母さんが取って、 2週間ぐらい夫婦で引き継ぎをして、後半をお父さんが取るといった形もできるのでは ないかと思いますし、以前は女性社員のみがという観点から制度が出来上がっていたの ですが、家族全部で子供をという発想に変えていくように、規程などもそういう目で見 直しを進めております。 ○分科会長  それでは、次にイトーヨーカ堂人事部の方、お願いいたします。 ○ヒアリング対象者(イトーヨーカ堂)  レジュメの1頁です。当社は小売業で、全国に177店舗、北海道から南は広島県まで あります。全事業所で正社員は約1万5,000人弱、パートタイマーが約3万7,000人、ア ルバイトが約1万5,000人という社員構成になっています。  当社の育児・介護休業制度は、リ・チャレンジプランという名称で、制度の導入は約 12年前の1991年2月です。制度導入は、社員構成の中で正社員の中の約4,000名程度が 女性で、お買物に来ていただけるお客様の70%は女性ということもあって、女性の企業 であるというイメージが強く、そういった方々の声があったからです。  現在のリ・チャレンジプラン適用条件ですが、昨年8月にパートタイマーの方にも適 用を広げており、パートタイマーについては休職を適用しています。  リ・チャレンジプランという制度は、休職プラン、勤務時間を短縮する短時間勤務プ ラン、一旦退職をして期間を置いて再雇用する再雇用プランという3つのプランで構成 されています。休職だけの方も当然おりますが、休職プランと短時間プランの組み合わ せという方が、実際の適用者のほとんどとなっています。  2頁は、それぞれのプランの適用の内容です。育児休職プランは、すでに制度を導入 している企業の例では、当時は1歳に満たない子が対象というケースが多かったので、 導入当初は、まず満1歳までは適用とし、現在では子供が満1歳の誕生日の直後の4月 15日までを最長という形で設計しています。実際にはほとんどの方が4月15日まで申請 をしていますので、逆に言えば、ほとんどの方が4月16日から復帰という形になって います。今年の4月16日に復帰した正社員は全社で85名程度おりました。その方々の職 務の決定、勤務地の決定などを、社内ではここ数年適用人数が増えていることもあっ て、人事での一大イベントになっています。  介護についての休職ですが、最長1年間を規程としております。ただ、現象的には休 職に入る前に本人とのヒアリングを実施したうえで、まずは本人の持っている有給休暇 を取得していただき、その有給休暇消化後に介護休職という形に移行しております。  「短時間勤務プラン」ですが、先程述べましたように育児に関していえば、休職プラ ンとの組み合わせで、申請をされる方がほとんどです。  制度導入当初は、子供が3歳までとなっていたのですが、現在は小学校に就学する年 の4月15日まで(育児プランB)取得可能になっています。育児勤務プランAは、出産 休暇を取ったあと、休職を取るまでもないが、復帰をするには子供が小さいので開始し たいのだが、勤務時間は大幅に短くしたいという方を想定して設計しましたが、現状で は、Aプランの適用を希望される方はほとんどおりません。  プランBは、通常の労働時間(実働)が8時間のところ、短縮で6〜7時間の間で、 本人の希望で15分単位で申請をしてもらい、一直制で勤務するものです。  介護の短時間勤務ですが、これも期間に応じてAとBの2種類を設けています。当社 は小売業ですので、勤務は基本的に全社員交代制になっています。というのは、店舗の 営業時間は、ほぼ午前10時から午後9時までであり、すべての時間を1人の社員で網羅 することは不可能だからです。その中で短時間勤務の方は、一直制勤務をとっているわ けですが、本人の了解をとったうえで、繁忙期、店のイベントの時期に勤務時間を30分 ずらすなど、実務上は行っています。  「再雇用プラン」は、より長期間、育児や介護に専念したい方のために設けたプラン です。期間は3年間とありますが、3年間の間に第2子の出産があるケース、店舗がな い地域に引っ越しをされるケースなど、復職できないこともかなりあります。したがっ て可能性があれば復職するというイメージで、本人が申請をするケースがいちばん多い のが再雇用プランです。復帰時には復帰の意思を人事に示して、それから入社手続を行 いますが、今までに会社のほうで復職の拒否はしたことはありません。  3頁です。いま申し上げた3つのプランに付随する諸制度ですが、北海道から広島県 まで180弱の店舗の中で、当然社員は転勤がありますが、リ・チャレンジプラン適用者 については、原則として転勤一時停止の扱い、つまり、引っ越しを伴う転居はないとい う制度を適用しています。ただし、配偶者が社内にいる場合は、配偶者が休職中に転勤 もありえますので、転勤は例外としてあります。  2)の育児・介護休職期間中の社会保険料の免除は、法令に定めてある1年間を除い た分、すなわち子供が1歳になったあとの休職中の社会保険料については、会社が立替 えるという形をとっています。復職後1年間勤務した方については、基本的には返済を 免除しています。  4)は、先ほどの短時間勤務プランの6時間以上のパターンの適用者について、半日 有給休暇を認めています。一般社員のほうは以前から半日有給休暇の適用を認めていた のですが、昨年8月に短時間勤務者についても半日有給休暇を適用しました。出勤後、 保育園から「お子さんが熱を出しました、迎えにきてください」という声に対しては、 お母さんとしては行かなければいけませんが、これに対応するための制度として導入し ました。  4.の「適用前のフォロー」ですが、申請者の勤務店が全国にわたっていますので、 通勤形態や保育園の状況がまちまちで、そういったことに関しての情報を与えたり、本 人とやり取りをしていく中で計画の手助けをしてあげることが必要であることから実施 しています。  サンプルとして6頁に「育児・復職計画書」を貼付しました。これはリチャレンジプ ラン申請書に添付されているものです。本人が一旦計画を自分なりに記入して人事に提 出し、この内容を人事が見て、「こういったところも調べてみたほうがいいのではない か」「こういう情報としてあります」「こういったところも考えておいたほうがいいで すよ」というやりとりを実施し、復職時の通勤イメージや勤務時間帯イメージなどを固 めていきます。  5.ですが、休職もしくは出産休暇で休んでいる方への対応として、復職への不安を 解消して、復職時まで仕事に戻るのだという気持を持ち続けていただくためのツールと してのリ・チャレンジメールを毎月本人宛に郵送しています。内容としては、勤務され ていた職場での同僚の方々からの寄せ書きで現況や社内状況等を伝えてるもの。社内グ ループ誌、健康保険組合、厚生年金等の雑誌、実際に出産された母親の立場でイトーヨ ーカ堂の商品構成、商品企画などについて意見していただくために、いまは2カ月に1 回ぐらい商品部からアンケートを送っています。こういったことで仕事と繋がっている という意識を持ち、復職のモチベーションを維持していただけると考えています。  4頁です。リ・チャレンジプラン制度を導入して、正社員、パートの両方に言えるこ とですが、優秀な女性社員の採用効果がまずあります。これは採用時にそういった制度 が完備されている、実績もあることが安心して働ける、長いスパンでライフスタイルを 考えられるということにつながり、優秀な女性社員が採用できているのだと思います。  女性の社員数が正社員で約4,000名程度ですが、以前から女性の役職者、管理者等の 登用は数多くしていましたが、制度導入前の約13年前に比べて、婦人服や紳士服などの セクションごとの管理者が、13年前は全社で十数名程度だったのが、いまは百数十名に 伸びています。店次長クラスは導入前は1、2名でしたが、現在では20名弱ぐらいまで 増加しています。店長についても、導入当初はゼロだったのですが、現在では3、4名 おります。  定着率ですが、女性の退職率は13年前の導入当初は約20%程度でしたが、現在では十 数パーセント、結婚・出産の事由に基づく退職が制度導入以前は30数パーセントであっ たのが現在では20数パーセントとなっています。  正社員については、現在妊娠された女性社員の90%程度の方がリ・チャレンジプラン を申請・適用しております。  当社の今後の課題ですが、短時間勤務制度について、子供が小学校に就学されたあと どのようにフォローしていくかということがあります。小学校に就学する年の4月15日 までという現在の制度では、子供が小学校に上がってしまうとこの制度の適用外になっ てしまうので、勤務がかなり苦しいという声が多く、制度構築が急務であると考えてお ります。  具体的には、短時間勤務の適用期間を延長する、ある一定期間まで、一直制勤務とす るなどといったことが、いま議論の中で出ています。  夫婦での育児分担システムも検討しています。例えば、旦那さんが週休3日、奥さん が週休4日と2人で1週間の勤務を成立させるというイメージです。2名とも1店舗に 集中した場合の労働力をどうするかなど、議論はまだ途中経過ですが、これも進めてい ます。あとは看護休暇の検討です。  適用者が多くなってきており、情報交換をする場としてリ・チャレンジプラン適用者 だけのオリジナルのホームページ等々の設置を希望する声がすごく多く、これについて も検討を進めております。  5頁は、当社のリ・チャレンジプランの適用状況です。1998年に短時間勤務の適用期 間を小学校の就学時の4月15日までに延ばしましたので、この辺りから適用者が急増し ています。現在では育児で年間約150名程度の適用となっており、パートタイマーの方 は昨年8月に導入してから、実際の休職に入られた方は育児、介護を合わせて14名、申 請をすでにされている方を全部含めると、55名となります。1年間に約150〜160名の申 請者がおりますので、1カ月平均で十数名が申請されている状況です。  2.の「プラン別適用人員(2003年3月末日現在)」ですが、末日現在で休職を取っ ている方が263名、短時間勤務の方が220名、以下等々となっています。  正社員の育児プランの適用者の中で、197名が育児勤務も併用で申請しております。 ○分科会長  ありがとうございました。それでは、ただいまお二方から説明があったことについ て、皆様から質問がありましたらお願いいたします。 ○公益委員  貴重なお話をありがとうございました。富士ゼロックスさんのほうで何カ所か教えて いただきたいと思います。2枚目の「富士ゼロックスのあゆみ 人事関連」とあって、 1989年にレディースパーソナルコミッティとありますが、中身はどういうことをなさる 組織ですか。 ○ヒアリング対象者  人事部が主管で公募をして、当時は女性に関しては施策が遅れているだろうというこ とで、女性のいろいろな問題について話し合う諮問機関みたいなことで一般社員が手を 挙げて10人ぐらいが集まったかと思います。そこで半年ぐらいプロジェクトのような形 で、本来業務を持ちながら、いろいろな施策について検討していきました。 ○公益委員  アドホックなもので、それが続いて、コミッティが継続してあるということではない のですね。 ○ヒアリング対象者  そうではありません。ここから出てきたものが例えば、時短制度だったり、育休でも このように取ったらどうでしょうかという提案が出てきました。 ○公益委員  男性も含めてですが、そういう所で働く女性たちのニーズを伺うみたいなことです ね。  あとは簡単なことですが、次の頁の「介護関連諸制度」で、1日介護休業制度の話 は、月5日までと聞いたのですが、これは有給ですか。 ○ヒアリング対象者  有給です。 ○公益委員  それでは、働いたものとみなして給与対象にしているわけですね。もう一つは、その 下の図で家事援助補助金というのがありますが、具体的にはどういう目的で額的にはど のぐらいのものですか。 ○ヒアリング対象者  私は詳しくないのですが、本体からというよりは共済から出るもので、然るべき理由 があった場合にということです。 ○労側委員  貴重なご意見ありがとうございました。富士ゼロックスさんに伺いたいのですが、3 枚目で、積立年休を家族のヘルスケアに活用するというのですが、年休を100%取得し て積立年休のない方はどうなるのですか。 ○ヒアリング対象者  そういう方は年に5日積立休暇を付与されるようになっていますので、看護休暇と似 たような考え方になるかと思います。 ○労側委員  イトーヨーカ堂さんの場合もお話がありましたが、富士ゼロックスさんも全国展開し ている会社で、転居を伴う転勤なども避けて通れませんが、育児や介護の必要な人を抱 えた労働者に転勤を会社が命ずる場合、法律上は配慮しなさいとありますが、会社とし ては転勤対象から外すとか、どういう取り扱いになっているのですか。 ○ヒアリング対象者  外す発想はあまりなくて、むしろ今まで2時間近くかかっているのなら、こちらの事 業所にというような、良い配慮をするという形ですので、基本的に発想の中にそういう 方を転勤対象とするといったことがあまりないのです。だからと言って勤務地限定社員 として給与を下げるなどということもありません。 ○労側委員  男性が転勤する場合でも同様ですか。 ○ヒアリング対象者  男性で介護等々、ある程度事情のある方に対しては転勤の対象外になっています。 ○労側委員  それはルール上ですか。 ○ヒアリング対象者  運用上です。 ○労側委員  イトーヨーカ堂さんに伺います。パートタイマーについても、1991年からその制度が 適用されていますが、パートタイム労働者の中に6カ月契約とか有期契約の方がおられ ますが、そういう方も適用ですか。 ○ヒアリング対象者  ここに書いてあるパートタイマーは有期契約の方です。当社の場合は6カ月の雇用契 約です。 ○労側委員  6カ月契約された方が、子供が1歳になるとというのは、契約期間と1歳までという のは合いませんが、それはどのようにしておられますか。 ○ヒアリング対象者  本人が雇用継続を期待している、こちらもする予定があるというのが大前提ですが、 実務上は休職期間中に契約満了がくることになります。満了時に本人が退職の意思を示 す場合は仕方がないと思いますが、基本的にはそのまま継続雇用です。 ○労側委員  契約更新を前提という場合に、1歳までの適用があるということですね。 ○ヒアリング対象者  具体的には休職中に契約更新の契約書を、本人の自宅宛に郵送する、もしくは自宅に 電話をして契約に来れる時間を作ってもらって契約更新するという形になります。 ○労側委員  ありがとうございました。お二方にお尋ねします。育児休業と介護休業の取得期間に ついては、両社とも育児休業については4月の復帰が多いという話でした。イトーヨー カ堂さんの場合は2年に近い方もケースとしてはあり得るということですが、実際に 取っている期間はどういうケースが多いのかを教えていただきたいと思います。併せて 介護のことも分かったら教えていただきたいと思います。 ○ヒアリング対象者  富士ゼロックスの場合は、育休は、比率にして6、7割は満1歳の誕生日という法律 どおりで復帰される方がおられます。介護については最長2年まで猶予されています が、そこは非常に少なくて、最後をターミナルケアで自宅で看取るという形ですので、 期間は2、3カ月ぐらいのケースが多いのです。 ○ヒアリング対象者  育児休職については、子供が1歳になったあとの4月15日までが最長です。今年の4 月16日復帰の方が80数名です。こちらの表でいくと休職等々、諸々込みですが、2002年 度中に申請された方が150名ですから、60%ぐらいが4月16日復帰となります。子供が 産まれるのが、例えば4月下旬であれば約2年間になるし、10月ぐらいに産まれる方は 1年半ぐらいにはなります。最長期間前に本人が休職をストップして短時間勤務で復帰 したいという方もあります。  介護については、富士ゼロックスさんからお話のあったようなイメージで、最長まで 休む方も当然おりますが、つい最近もありましたが、介護している方が亡くなったとい う場合で、本人の意思で休職期間途中で満了という形で復帰されました。 ○労側委員  続けてお2人にお聞きしたいのですが、休職された方の代替えはどのようにされる ケースが多いのかを教えていただきたいのです。  それから、内部の仕事のやり繰りではなく、その期間補充したということになると、 厚生労働省から補助金が出ることになっていますが、その補助金を使われているかにつ いても併せてお願いします。 ○ヒアリング対象者  富士ゼロックスの場合は代替の方はルールはなく、職場の部門長に任せています。そ のときに派遣の方、あるいは職場の中でやり繰りする、あるいは異動申請と言って、別 の部署からキャリアアップというか持ってくるということで、そこは本当にまちまちに なります。助成金等は特に申請したことはありません。 ○ヒアリング対象者  同様に助成金は申請したことはありません。育児だけに特化して言えば、計画的に休 みに入り、計画的に戻られますので、採用・異動でまかなっております。パートタイマ ーの平均勤続は、当社の場合3年弱ですので、店舗での退職、採用は常時発生している という中での人員計画に組み込んでおります。具体的には例えば3名体制でやっていた ある店舗のある部門で1人欠員が出ることに対して、パートタイマーを採用するケース もありますし、店舗内、他事業所からの転勤、異動を実施することもあります。  その際に、本人がその事業所に戻るという前提で妥当な計画かどうかを人事でチェッ クします。特に正社員を異動させる場合、そういうチェックをしながらやっています。 ○労側委員  富士ゼロックスさんのほうで、24時間フリーダイヤルの話があって、健康保険組合で 扱っているという話でしたが、健康保険組合の内部の方が対応されているのか、外部委 託されてるのでしょうか。 ○ヒアリング対象者  外部委託です。 ○使側委員  両方に伺いたいのですが、富士ゼロックスさんの男性の育児休職の取得者の職種が4 名とも開発の方ですが、営業の方とか他部門の方は、ここに書いてある「知らない」と かいうことでとられる方が少ないのですか。それとも、開発は取りやすい風土があるの でしょうか。 ○ヒアリング対象者  そこはまだ、これだけの数ですので、まだ分析ができないところです。 ○使側委員  この後、2名申請中の方がいらっしゃると言われましたが、その方々もやはり開発の 方ですか。 ○ヒアリング対象者  開発の方です。 ○使側委員  イトーヨーカ堂さんに伺いたいのですが、男性の取得人数はどのぐらいですか。 ○ヒアリング対象者  制度導入から現在までで育児で4名、介護で6名です。 ○使側委員  介護を取られる男性の介護の対象者は、例えば親御さんだとか奥様だとか、何か特徴 がありますか。 ○ヒアリング対象者  この6名の方がどういう状態かというのは私も資料がないので不明ですが、私が知っ ているこの6名の中の2名については、お2人とも配遇者の方です。 ○使側委員  富士ゼロックスさんはいかがですか。 ○ヒアリング対象者  奥様がわりと多いのが特徴で、あとはご両親です。 ○公益委員  パートタイマーの方の状況を教えていただいて、大変興味深く思ったのですが、これ は制度導入からそれほど経ってないのでということでしょうが、このニーズはどうなの ですか。かなりパートタイマーの方がおられるわけですね。年齢的にも育児の休暇の対 象者もいるし介護もかなり。人数でいえば正社員よりもむしろ多いぐらいの状況で、こ ういう制度ができて、ニーズの面ではどうですか。 ○ヒアリング対象者  我々の想定はもっと多いと思っていたのですが、資料にある2002年の云々で書いてあ る十数名については、駆け込み的というか、例えばご出産をされている方などが事後申 請してきたのです。人数的にはこの数倍ぐらいのイメージはもっていました。  パートタイマーの方たちは首都圏の方も当然おられるのですが、地方店舗の方がすご く多いのです。これは旦那さん、親御さん等々、大家族で住んでいる形の中で、そうい う制度で自分も育児の時間を取りたいということで、休暇を取る方が多いと思われま す。店舗数からいったら、半分以上が首都圏であってもよいのですが、50数名の申請者 の中で十数名です。あとは地方といっても東北とか北海道や中京、関西の方が多く、首 都圏がちょっと少ないという感じは持っています。 ○公益委員  制度が普及するというか、周知されていくと、増えていくのかなと思うのです。 ○ヒアリング対象者  同一店舗でパートタイマーと正社員で平均200名程度いるのですが、正社員のときの 現象を考えますと、例えば自分が取ろうかと思っている時に、同一店舗内に適用者が数 名いるという状態であれば、取りやすいという声があったのです。いまでは毎年百何十 名、正社員は取得しているので、同一店舗に必ずいるようなイメージですが、パートタ イマーはまだいません。パートなのに申請してもいいのかという内容のことを、名前を あかさないで電話を掛けてこられる方が多いのが現状です。 ○公益委員  いまの関連です。パートさんにはどういう形で周知されているのですか。 ○ヒアリング対象者  まず8月の段階で社内報、社内報は当社の広報担当が作成しているのですが、アルバ イト、パートタイマーの方にも全部個人ごとに配られるものです。その中の何頁かを 使ってPR、それから、職制のほうには労務から通知。年が明けて1月ぐらいですか、 もう一度リ・チャレンジプランの制度説明ということで、2回目のPRを社内報でしま した。 ○公益委員  1つはイトーヨーカ堂の方にです。先ほど「夫婦で育児分担」これは今後の検討とい うことですが、これは社内結婚の方について、夫婦で1つの仕事を2人でするというこ とを考えられているのですか。 ○ヒアリング対象者  いいえ、職務的に1つの仕事ではないです。 ○公益委員  ただ、社内結婚の人を想定している。 ○ヒアリング対象者  そこが議論としてあって、社内結婚の人ばかりでは当然ないということで、配遇者が 社外の方の場合はどうするのかとか、まだ議論の過程なのです。社内結婚が率的に当社 の場合は他社さんと比べると多少高いらしいので、まずはその場合について検討してい ます。これは同一職務ということを想定したのではなく、夫婦が違う事業所ということ もあります。ただ、お2人で申請された場合には、人事管理で休日を、先ほど話したよ うなイメージで与える形を、まず1つのステップとして考えているような状況です。 ○公益委員  お2方に、男性の育児休業を取っている人はそんなに多くはないのですが、もし人事 で把握していればですが、育児休業ではないけれども有給休暇で、例えば1カ月近く休 んでいる男性は意外にいるのではないか、あるいはそういうことはないのか、もしご存 じであればお願いします。 ○ヒアリング対象者  私は当社で制度関連を担当して数年なのですが、その間ではおりません。当社の場合 は逆に連続休暇を取っている方の状況は、別の目的で把握しているので、もしそういう 目的の方がいれば分かるわけですが、現状では残念ながらありません。 ○ヒアリング対象者  弊社の場合は、例えば奥さまが入院していて、その間を有給に充てるケースはありま すが、積極的に育児のためにというのはおそらくないと思います。 ○使側委員  男性の育児取得者は現在4名開発の場合はありますね。お子さんができて実際に取れ る状況にあったのだけれども取らなかった男性の調査はやっていませんか。無理して会 社のために出てきて、あまり家のことをしないでという方は調査されましたか。数が多 いからなかなか大変でしょうけれども。 ○ヒアリング対象者  そこまではなかなか。 ○労側委員  貴重なご報告をありがとうございました。イトーヨーカ堂の方に基本的なデータとし て教えていただきたいのですが、正社員の方とパートタイマーの方の労働時間がどうな っているのかということと、それを伺うことの関係で、短時間勤務の方にはその制度の 中で、半日有給休暇を認めるというご紹介があったのですが、例えばパートタイマーの 方で同様のニーズもあるのではないかと思います。保育園からの呼び出しなどにパート タイマーの方も、何か利用できる仕組みがあるのかないのかということで、労働時間の ことを伺いたかったのが1点です。  正社員とパートタイマーの方の働き方の転換制度があるかないか、その実績をご紹介 いただければ伺いたいと思いました。 ○ヒアリング対象者  正社員の労働時間は1日8時間です。構成としてパートタイマーの方は週の勤務時間 が20時間から30時間の間の方が、当社としてはいちばん多いのです。30時間から35時間 程度の方との比率は、多分7対3ぐらいだと思います。  正社員とパートタイマーの転換については、正社員からパートタイマーというのは制 度としてあるわけではなくて、個別対応で適宜やっています。逆の正社員登用ですが、 一般の中間採用が当社の場合いまは限定的になっていて、パートタイマーの方から正社 員というのは運用上ありません。 ○労側委員  保育園からの呼び出しとかについては。 ○ヒアリング対象者  半日有給ですが、パートタイマーの方についての半日有給も、いまのところ当社の中 では適用していません。 ○労側委員  休業から復帰されたあとの処遇ですが、昇進・昇格に与える影響などはある程度差を 付けているのか、あるいは何年か後には元に戻すとか、その辺はどういう取り扱いに なっているのですか。 ○ヒアリング対象者  いま仕事自体は社内でグレード制というか、役割に人が付くという形なので、復帰さ れた時も同じ役割、グレードに戻る形になっているので、原則としてというか、基本的 にはそこで差が生じないような形にはなってきています。少し前までは育休期間中も6 カ月ごとの評価だったのですが、その時に6カ月のうちに5カ月休んだとしたら、1カ 月しかないということで、以前は6分の1での評価でしかなかったのですが、いまは在 籍期間を評価の対象期間としているので、1分の1としての評価ということで、育休を 取るとC評価が付くみたいな、昔は少しマイナスのイメージだったのですが、いまは休 職には係わらず在籍期間によっての評価で休職期間は評価の対象外となっています。そ ういう面では、これだけ育児休職を取って復帰してくる人が出てきますと、その評価 等々についても、会社としてもきちんと丁寧に見ていかなければいけない。子どもを産 んだのだからあなたはいいでしょうという訳には、だんだんいかなくなってきた状況だ と思います。 ○労側委員  有給を取らない人との不公平感みたいなものが、社内から出るとかいうことはないで すか。 ○ヒアリング対象者  おそらくそれはないです。個々には短縮勤務の人が出てきたから、少し自分に仕事が 振られたとかいうのはあるかもしれないので、その辺は個々の職場の中でうまくマネジ メントしていく問題かと思います。 ○労側委員  イトーヨーカ堂さんはいかがですか。 ○ヒアリング対象者  イトーヨーカ堂の社内処遇は役職ポストに付くことと、社内資格の2本立です。社内 資格は全社員に適用されています。まず役職ポストへの登用ですが、あなたを管理職に 登用しようと思っているのだけれどもできますか、やりますかと打診しながら行ってい ます。つまり、休職後は短時間勤務の方がほとんどなので、時間的に役職はできません という方もかなりおられるのです。  進級・昇格する資格についてですが、当社の考え方としては休職している間について の評価・査定は、ニュートラル、つまりプラスでもマイナスでもないということです。 当社の中ではB評価がニュートラルであり、A評価であればプラス、C評価であればマ イナスです。勤務をしていないので、プラスもマイナスも査定できないということでB 評価的に扱っています。ですから休職期間が判定期間に当たる場合には、ステップアッ プの対象にしないというか、結果的に対象にならないというか、評価判定材料がないと いうことで、進級・昇格はありません。短時間勤務を始めてからは一般社員と同じ扱い としています。 ○労側委員  イトーヨーカ堂の方に休みの問題でお願いします。いまほとんど小売業は年間365日 開店をしているということですが、休日の設定等で保育所との関係とか、夏休み冬休み がありますから、その辺の配慮等はなされているのかどうかです。 ○ヒアリング対象者  それがいちばん当社の難点です。ご本人達が勤務をするに当たって保育園に預けます が、その保育園が土日祝祭日、年末年始が休みである場合が多いわけです。育児計画書 の段階で、私が個人個人と話をする時に、まずは土日祝祭日に勤務ができるような保育 園という視点で探してみてくださいと伝えます。基本的にご本人たちもでき得れば、土 日祝祭日、年末年始とか繁忙期は、同僚も忙しいのだから、自分も勤務したいという意 向は持っておられるのですが、地域によってはそのような保育園が全くないとか、無認 可の保育園に預けるのに二の足というのが現実です。  4月の復帰前にヒアリングをした時に、入園可能になった保育園が土日祝祭日休みと いうことであれば、物理的にしようがないから、配属店舗の管理者にそういう勤務の方 を入れて、他の人員配置を組みなさいと、人事から伝えますが、実際に勤務している本 人からは、自分は販売の会社で勤務をしているのに、土日祝祭日休んでいるのは周りに 対して悪い、という内容の声がすごく多い。物理的に預ける先がないのだからしようが ないと本人には話しているのですが、簡単には解決しません。ただ、復帰した時に店舗 での軋轢はないような形を最大限に取る配慮はしているつもりです。 ○分科会長  予定の時刻となりましたので、ヒアリングはこれで終わりたいと思います、お二方と も、大変お忙しいところをおいでいただいて、貴重なご説明をいただきましてありがと うございました。               (ヒアリング対象者退席) ○分科会長  次の議題に移りますが、その前に新しく委員になられました渡邊委員がご出席になり ましたので、一言ご挨拶をお願いいたします。 ○渡邊委員  私この度、商工会議所の代表といいますかご指名をいただきまして、この委員を拝命 をいたしました。会社の名前は株式会社アテナです。なに分にもこのジャンルのことに ついては素人ですが、折角ご指名いただきましたので、勉強をしていろいろと皆さんと 共にこのテーマについて参加していきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたしま す。 ○分科会長  議題の2に移らせていただきます。「諸外国の育児・介護等休業制度」について、事 務局から説明をお願いいたします。 ○事務局  資料3に基づきまして「諸外国の育児・介護等休業制度」について説明させていただ きます。いろいろ原典等々に当たりつつ調べてまいりましたが、まだ確実に調査しきれ ていない部分もありますので、この点についてはご容赦いただきたいと思います。また 最近諸外国でもそれぞれいろいろな動きもありますので、そういったところもできる限 りフォローはするようにしていますので、説明の中でその辺りも触れさせていただきま す。  今回資料3の表紙にありますように、米、英、独、仏、ノルウェー、スウェーデンの 6カ国について取り上げています。簡単にこの6カ国の特徴を申し上げますと、米英に ついてはあまり育児休業制度という形で長期の休暇制度はありません。ドイツ、フラン スについてはかなり長い休暇制度をもっています。北欧のノルウェー、スウェーデンに ついては休暇制度と手当の制度と、かなり充実した仕組みになっていると、大別すれば こういった3つの仕組みに分けることができるかと思います。1頁からそれぞれの国に ついて概要をご説明します。  1頁、<アメリカ>の場合は休暇についての、根拠法が家族・医療休暇法ということ です。アメリカについては育児又は介護のための休業制度はありません。家族・医療休 暇法に基づいて1の休暇の事由にあるとおり、子どもの誕生、育児、あるいは養子縁組 等、配偶者、子ども、親の介護、あるいは本人の重大な健康危険状態という場合につい て、休暇が取れることになっています。2のこの休暇の期間については1の(1)から(4) のいずれかに該当する場合、1年の内にトータルで12週間取れます。  (1)にあるとおり、このうち(1)(2)の誕生等々については生まれてから、あるいは 養子の方を受け入れてから12か月以内に限定をされる形になっています。したがいまし て、いわゆる育児休業について言えば、子どもが生まれてから1年以内について12週間 まで取得できる形になります。(2)夫婦が同じ事業所で雇用されている場合について は、2人合計で12週間になっています。3にあるように、一部の場合について時間短 縮、あるいは分割取得が認められるケースもあります。  4.資格の要件ですが、(1)の対象事業主、公共部門であれば原則適用です。民間 企業である場合には、州際通商に影響を与える産業活動に従事し、50人以上の労働者を 雇用しているものとありますが、州際通商に影響を与えるというのはアメリカは連邦で して、これも連邦法なので、建て前上は1つの州だけではなくて、それぞれの企業も州 に渡って営業活動をしているものに適用するのが原則になっています。ただ、州際通商 に影響を与えるというのは、非常に広く解釈をされているようで、実際は50人以上であ れば、ほとんどの企業が対象になると聞いています。  (2)適用対象の労働者ですが、(1)の対象事業主に雇用されている労働者であっ て、50人以上の労働者が雇用されている事業所で働いている者、あるいは75マイル以内 で50人以上雇用している事業所で働いている者となっています。  また、当該事業主に12か月以上雇用されており、かつ休暇が始まる前日から遡って12 か月の間に、少なくとも1,250時間以上働いていること、ただし、この12か月について は連続している必要はないことになっています。前回この辺りご質問があったかと思い ますが、別の事業所ではなくて同一の事業所であれば就労している期間に少し間があっ てもかまわないという扱いにはなっています。  休暇の期間中の所得保障ですが、アメリカの場合にはまず雇用者に賃金支払いの義務 はありません。特段行政からの給付もアメリカの制度についてはありません。  <イギリス>についても、長期にわたる育児休暇制度はありません。代わりに女性労 働者を対象にする、かなり長期の出産休暇制度があります。更に最近の状況としては 2003年から父親の出産休暇が新たに施行されています。育児休暇の制度ですが、これも 比較的に新しく作られたもので、1999年から育児休暇という制度がありますが、この内 容は1にあるように子どもが5歳になるまで、子ども1人につき合計13週間、ただし1 年につき最大4週間ですから、この育児休暇自体の期間は非常に短くなっています。  資格要件としては同一の会社ですが、1年以上勤続している労働者になっています。 これについても、この間、事業主は賃金の支払いの義務はありません。ただし、※にあ るように、女性労働者に対しては、これとは別に26週間の有給の出産休暇制度がありま す。更に勤続1年以上の女性労働者については、26週の出産休暇が終了した後、更に26 週間追加の出産休暇が取得できます。したがいまして、女性労働者に関しては実質的に 約1年間休暇が取れます。従前、これは18週間であったものが26週間に最近延びていま す。26週間の出産休暇の期間中については、週100ポンドの出産給付が支給されます。  更になお書きの所で、子どもが6歳になるまで労働者は柔軟な働き方、短時間勤務へ の移行をすることができる規定になっています。ただし、この規定については、我が国 の短時間勤務のような再びフルタイムに戻るような規定ではなくて、労働契約自体がフ ルタイムから短時間勤務へ恒久的に変わる一方通行の仕組みです。かつ、事業主は新規 雇用ができない場合について、こういった転換については拒否できる規定もあるとなっ ています。  看護ですが、看護休暇の仕組みが1999年から設けられていますが、家庭における不測 の事態に対処するため、合理的と考えられる時間の休業を取ることができるとなってい ます。これは法律上、どのぐらいの期間取れるのかという規定はありません。引き続き この辺りは調べてみたいと思います。対象労働者としては、労働者が次のような理由で 欠勤をする場合ということで(1)から(6)まで挙がっていますが、これについては育児休 暇のような勤続要件はないことになっています。更にこの期間、賃金の支払いの義務も ありません。  3番目、父親の出産休暇が2003年から新しく施行された制度です。1にあるとおり子 の出生あるいは養子縁組で、子どもを新しく受け入れた男性労働者がその期間から8週 間以内、1週間又は2週間取得できるものです。資格要件として勤続要件がありまし て、子どもが生まれる15週間前までに同一の使用者の下で26週間、約半年間ですが、連 続して雇用をされている方となっています。この間については、事業主に賃金の支払い 義務はありませんが、ただし、週100ポンドか1週間の給料の90%のどちらか、低い額 の父親手当が支給されます。この父親手当については一定の収入要件があります。  <ドイツ>については育児手当、育児休暇の付与に関する法律がありまして、育児休 業あるいは看護休暇の制度があります。我が国の介護休暇に当たるような制度はありま せん。育児休業ですが、3歳までの子の養育のための休業ということで、3歳まで全日 の休業あるいは週15から30時間就業する部分休業が認められています。ただし、この部 分休業については、従業員16人以上の事業所の場合に適用されることになっています。  2.分割取得等とあるように、取得の仕方ですが、3歳までのうちに4回まで分割が できます。通常ほかの国では父母のどちらかというのが一般的ですが、ドイツにおいて は、両親が同時に取得できます。  3番目に、弾力的な取扱いとして、使用者の同意が要件ということですが、3歳まで に2年間しか取らなければ残りの1年分、これを3歳から8歳までの間に取得すること ができる規定があります。  3番目、所得保障ですが、賃金の支払い義務はありませんが、ただし、ドイツ、フラ ンス、そのほかの国もこういう形が多いのですが、日本の育児休業制度とは仕組みが違 いますが、育児休業取得者に限らず、例えば専業主婦も含めた在宅の親も含めて養育手 当が支給されるので、実質的に育児休業の期間中に所得が保障されます。この養育手当 ですが、4にあるとおり、受給期間は子どもが2歳に達するまでです。受給額は子ども が単位になりますが、日本円に直すと月約4万円です。所得制限がこれについてはあり ます。  看護休暇ですが、12歳未満の子どもの病気を看護する労働者が、1年に10日の看護休 暇を取れることになっています。更にこの間の所得については、賃金の70%が疾病保険 の制度から看護手当の形で支給されることになっています。こちらは育児休業の場合の 養育手当と違いまして、働いている雇用者のみに限定された仕組みになっています。  <フランス>の場合も、労働法典に基づき、育児休業、介護休暇等々の仕組みが認め られています。育児休業ですが、1.休暇の種類として(1)(2)(3)と3つのパターンが あります。全日休業の育児休業、あるいは部分休業としての短時間勤務、これは週16時 間未満とならない範囲でこういった勤務ができます。あるいは(3)として育児休業と短 時間勤務の組み合わせで、育児休業を一定期間取って、その後短時間勤務をすることも 可能になっています。育児休業の資格要件としては、子の出生の日において1年以上勤 務している労働者ということで、勤続要件が付いています。期間として最長、子が3歳 になるまで取れます。最初に取得申出ができるのは1年まで、その後2回延長可能で、 3歳になるまで取れます。  4.所得の関係ですが、賃金の支払い義務はこの間ありませんが、2人目の子どもか ら養育親手当が支給されます。この受給要件として子の出生前、5年間に2年以上就業 していたこと、子どもが2人以上いる場合、3番目として、就業を全部又は一部中断し ていること。したがってドイツの例と同じように、必ずしも育児休業のように再び雇用 関係が継続して復帰する場合だけではなくて、失業された方、あるいは自ら仕事を辞め られた方も含めて、働いていらした方は養育親手当の資格が出ます。逆に言えば、もと もと働いていなかった方は養育親手当の支給要件はありません。受給期間は子どもが3 歳になるまでで、受給額は日本円にして月約7万円です。短時間勤務になる場合につい ては、当然、減額があります。  看護休暇ですが、対象労働者は16歳未満の子どもを持つ、病気又は事故に遭った労働 者で、勤続要件はありません。期間としては1年に3日間となっていますが、1歳未満 の場合については5日となっています。この間、賃金支払い義務はありませんし、手当 等も特にありません。  フランスの場合にはこれと別に、付添親休暇と、終末介護と2つありますが、これは 比較的長期の休暇になります。この2つはやや趣旨は違う部分もありますが、我が国の 介護休業に近い部分です。まず、付添親休暇は子どもが病気・事故・重い障害等で、付 添いが必要な場合です。期間としては4か月で、短時間勤務も選択できます。所得保障 も付添親手当が支給されます。これは雇用者だけではなくて、自営業者なども対象にな ります。  終末介護休暇ですが、尊属、卑属及び同居人が緩和ケアの対象となっている労働者、 したがって末期を見とるような場合について、3か月間、終末介護休暇を取得できま す。この間は賃金の支払い義務等はありません。フランスについては以上のような形に なっています。  ノルウェー・スウェーデンの制度です。こちらは制度自体がやや複雑で、私も理解を しにくい部分があるのですが、ノルウェーについても、スウェーデンについても、制度 の特徴としては、休暇の権利を定めた法律と、保険の給付を定めた法律が別立てで二重 構造になっています。保険給付を受給せずに無給の休みも取れます。保険を受給すると その間受給中の休暇の権利が付いてくるという、2つの仕組みが同時に走っている形に なっているので、その辺りがこの両国については非常に特徴的な部分だろうと思ってい ます。  <ノルウェー>です。休暇の種類としては、育児の(1)から(4)にあるようになってい ます。まず(1)、1歳までの子の養育のための休業、これは父母のどちらかが1歳まで 休業を取れる、更に(2)にあるとおり、その後父母それぞれ1年間の休業が取れます。 したがって両親トータルで3年間の休業が取れます。  複雑なのはそれとは別に(3)、2歳までの子の養育のために出産・育児休業給付を受 給していることを条件とする休業があります。(1)(2)は給付が付いていませんが、(3) にあるとおり給付に付いてくる休業もあります。(4)、労使の合意に基づき、部分休業 が認められています。短縮の割合は括弧の中にありますが、タイムコントと言われてい るそうですが、子どもが2歳になるまで部分休業の仕組みが認められています。こうい った育児休業の資格要件ですが、(1)(2)の休業のみについては全ての労働者に認められ ています。(3)(4)については出産・育児休業給付の受給資格、あるいはそれに更にフル タイムの50%以上働いている労働者という条件が付いています。  3、所得保障として、国民保険法に基づき、雇用者だけではなく自営業者や失業者も 対象となりますが、出産・育児休業給付が支給されます。その内容は4にあります。出 産・育児休業給付の受給期間ですが、100%の所得保障だと210日、80%の所得保障では 260日間の受給期間があります。これは両親の合計でどちらにするかは選択でき、子ど もが2歳になるまでの間に受給できる。したがって冒頭の休暇の種類のところで申した とおり、これのどちらかを選択して、父母のどちらか、あるいは分割をして、それぞれ この期間、有給の休業ができます。  タイムコントの部分ですが、100%所得保障の場合には、145日、29週分、80%の所得 保障の場合には195日、39週分タイムコントの場合の給付として部分給付が受けられる。 これは29週ではなくてフルタイムに換算して29週分ということなので、50%の勤務であ れば、その倍の日数、この給付が受けられます。なお、これは42週が29週に減っている のは、※にあるとおり産休中はフルタイムしか認められないので、産休の期間、パパク オータの期間については、部分給付はないので、それを除いた部分が、部分休業として タイムコント給付を受けられます。この給付についての受給要件ですが、父母それぞれ 国民保険の被保険者期間が6か月以上あること、なお、これは失業者、自営業者も被保 険者資格がありますので、こういった方にもこの給付が支給されます。  6頁、パパクオータということで、ノルウェーについては、出産・育児休業給付の20 日間、4週間分については父親の部分として留保されている。つまり、この部分、父親 がこの給付を受給しなくても、母親が代わりにこの部分について受給できる形にはなっ ていないので、使わないとその分全体の受給期間が短縮されます。  看護、父親の出産休暇、介護ですが、看護休暇だと1年に10日、父親の出産休暇では 2週間、介護休暇では、それぞれの患者ごとに20日間ということで、それぞれ期間が定 められています。  7頁<スウェーデン>の制度です。スウェーデンも、休暇の権利を規定する両親休暇 法、給付を規定している国民保険法の2本立てになっています。育児休業の種類です が、ノルウェーと同じように、2本立ての仕組みになっています。まず両親休暇を伴わ ない無給の形であれば(1)にあるとおり、1歳6か月までの子どもを養育するための全 日の休暇が取れます。(2)両親手当を受給している場合について、8歳未満又は小学校 1年生終了までの期間、全日の休暇が取れます。これは8歳未満までずっと取れるとい うのではなくて、両親休暇をもらっている期間に限定されます。8歳までのうちに両親 休暇をもらっている期間とれることになります。  (3)(4)が部分休暇ですが、これも全日休暇と同じように、両親手当を伴わない形で8 歳未満、又は小学校1年生終了までの子どもを養育するための部分休暇が、4分の1の 短縮が認められています。更に両親休暇を受給している部分に限るということで、(4) は4分の3、2分の1、4分の1ということで、オプションが3種類ありますが、部分 休暇が取得できます。  2番目の資格要件ですが、これはそれぞれ休暇の開始前、継続して6か月間、あるい は2年の間に少なくとも合計12か月以上、同一の事業主の下で雇用されているという要 件になっています。  3、所得保障ですが、国民保険法に基づき、働いていない場合もこれまでの国と同じ ように、育児をする親に両親手当が支給されます。その受給額、期間が4で、受給期間 は両親を合わせて480日、そのうち80%の所得が得られる部分が390日です。残りの90日 間は1日60クローネで定額になっています。なお、働いていない親の場合については、 全期間1日定額の60クローネという額になっています。  ノルウェーのパパクオータに当たる仕組みとして、スウェーデンの場合にも390日間 のうち、父親母親それぞれ60日分は他方に譲り渡すことができない仕組みになっていま す。これは当初はそれぞれ30日でしたが、現状はそれぞれ60日分になっています。ノル ウェーとの違いは、ノルウェーは父親分だけ権利が留保されていましたが、スウェーデ ンについては男女全く同じ形として60日分留保されています。スウェーデンについては パパクオータ制というよりもパパの月、ママの月と呼んでいます。当然この給付につい ては合せて480日ですが、同時に受給できない、どちらかが交替で給付を取る形になっ ています。ただし、産後30日間は同時に取れます。  看護休暇ですが、これも対象労働者は、一時介護両親手当を受給する労働者となって います。その受給要件が12歳未満の子どもに関して、次のような理由で欠勤する労働者 となっています。こちらは先ほどの育児と違って、働いていない方は対象になりませ ん。  8頁、支給額、所得の80%で期間としては子ども1人につき両親合わせて60日間に なっています。父親の出産休暇ですが、これも一時介護両親手当の1つのバリエーショ ンとして父親の出産休暇が位置付けられています。受給額は所得の80%です。受給期間 は子ども1人につき10日になっていますが、これは通常の一時介護両親手当との関係で 言えば、プラスアルファーの形になっています。  介護休暇ですが、重病人を介護するための全日休暇、あるいは部分休暇が認められて います。これも親族手当を受給している場合に限られていますが、範囲としては配偶 者、両親、16歳以上の子、兄弟姉妹、あるいは親しい身近な人というふうにかなり広く なっていますが、こういった範囲が認められています。親族手当の支給額は所得の80% で期間としては介護を受ける人、1人当たり60日分になっています。  特にノルウェー、スウェーデンの制度は、休暇の権利と手当、給付の権利がそれぞれ 2本立てで走っているので、説明だけでは分かりにくいかと思いますが、以上です。 ○分科会長  ただいまの説明について、ご質問がありましたらどうぞ。 ○労側委員  この各国以外はないのですか。1週間ぐらい前の新聞に、イタリーの男性の育児休業 取得の制度について出ていました。 ○事務局  ご要望があれば追加的に調査をしてまいります。 ○労側委員  3頁のドイツの所で、4の養育手当の受給額に所得制限ありと書いてありますが、具 体的には複雑なのでここに書かれていないのかどうか、もし分かったら教えてくださ い。 ○事務局  詳しくは後日ご報告したいと思いますが、生後6カ月までは月600マルクです。これ はまだマルクの時の資料ですが、年間の世帯収入で10万マルクまでです。 ○分科会長  特にほかにございませんでしたら、また、何かありましたら事務局に申し出ていただ くことにして、本日はこの辺で会議を終了させていただきたいと思います。次回は前回 の分科会で決まりましたところに従い、今度は厳しい状況の中で取組んでいる企業と労 働組合のヒアリングを行い、意見交換をしたいと思っております。最後に本日の署名委 員として片岡委員と前田委員にお願いいたします。最後に事務局から次回以降の予定に ついてご連絡ください。 ○事務局  次回以降の予定について、委員の皆さまのご都合の調整を既にさせていただいており ますが、次回については6月19日午前9時30分からお願いしたいと思います。次々回に ついては7月22日午後ということでお願いをしたいと思いますので、日程の確保につい てよろしくお願いいたします。また、8月以降の日程について、日程調整表をお配りし ていますのでご記入の上、事務局までご返送いただきたいと思います。よろしくお願い いたします。  なお、委員の皆さまのお手元には、平成14年度の厚生労働省の委託調査で実施した、 男性育児休業取得に関する研究会の報告書をお配りしています。この報告書に盛り込ま れている調査結果などについては、今後、具体的に審議を行う中で必要に応じてご説明 させていただきたいと思っています。本日はとりあえず報告書が印刷できましたのでお 配りしております。以上です。 ○分科会長  本日の会議はこれで終了といたします。長時間ありがとうございました。 照会先:雇用均等・児童家庭局 職業家庭両立課 法規係(内線:7856)