03/05/23 社会保障審議会児童部会社会的養護のあり方に関する専門委員会第1回議事録                社会保障審議会児童部会            社会的養護のあり方に関する専門委員会                  第1回議事録           厚生労働省雇用均等・児童家庭局家庭福祉課   第1回社会保障審議会児童部会社会的養護のあり方に関する専門委員会議事次第           日時:平成15年5月23日(金)14:00 〜15:59           場所:経済産業省別館第825 会議室 1.開会 2.委員紹介 3.挨拶 4.議題   (1)委員長の選出等   (2)委員会の公開   (3)意見交換   (4)その他 5.その他 6.閉会 ○梶原児童福祉専門官  定刻になりましたので、ただいまから第1回「社会保障審議会児童部会社会的養護の あり方に関する専門委員会」を開催いたします。  本日は、お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。  本日司会をいたします梶原と申します。よろしくお願いいたします。  本日の会の出席は14名でございます。西澤委員からは欠席ということで伺っておりま す。  それでは、はじめに岩田雇用均等・児童家庭局長よりごあいさつ申し上げます。 ○岩田雇用均等・児童家庭局長  雇用均等・児童家庭局長をしております岩田と申します。  先生方におかれましては、それぞれ大変御多忙の中、今回、社会的養護のあり方に関 する専門委員会の委員の御就任を引き受けていただきまして、また今日も第1回目の会 合に御参集くださり、本当にありがとうございます。冒頭のごあいさつを兼ねて、少 し、最近の法律改正の御紹介などをしながら、児童の社会的養護を取り巻く課題を私な りに整理をしてみたいと思っております。  私自身はこの分野について本当に経験が浅い人間なんですが、いろいろ読んだり、関 係者に教えていただいたりしたところによりますと、戦後の児童の保護といいましょう か、要保護児童の対策というのは戦後の戦争孤児の問題からスタートしているというふ うに聞いております。その後、関係施設の皆様、そして、その里親の関係者の本当に献 身的な努力で今日まで、社会的な養護の対策は発展をしてきているというふうに考えて おります。  最近の法律改正、3つ御紹介したいと思っておりますが、まず1つ目は平成9年に児 童福祉法の改正がございました。そこで、要保護児童の対策を、子どもを保護するとい うことから、引き続き保護は勿論中心なんですけれども、子どもたちの自立を支援する という新しい視点を強く入れて、対策の方向を強化をしたといいましょうか、切り替え たということがございました。  しかしながら、その後、本当に子どもたちの、特に年長児の自立支援の対策は十分な されているか、効果が上がっているかということになりますと、ここに一つの大きな課 題があるよう思います。  2つ目は、平成12年に児童虐待防止法が制定されまして、この問題についての国民全 般の関心、そして関係者の経験、随分高まってきたというふうに思っております。  例えば、児童養護施設の入所児童の約半分は虐待を受けたお子さんだということを聞 いておりますし、自立支援施設ですと、この比率はもっと高まるというふうにお伺いし ております。私どもはこの虐待の問題は第1の予防のステージ、そして第2の早期発 見、早期対応のステージ、そして第3の保護、ケア、自立支援のステージというふうに とりあえず整理をして、これらの3つのステージが切れ目なく関係者によって総合的に 対応されなければならないといふうに思っているわけですが、特に第3のステージの受 け皿になるのが、関連の施設であったり、里親制度であったりというふうに理解をいた しております。  衣食住を保障すればよかった時代とは違って、本当に難しい子どもたちの心のケアと いいましょうか。大人との愛着形成を1からやり直さないといけないような、そういう 課題を施設や里親は背負っているというふうに思います。そういうことですから、本当 に家庭に代わる、なるべく家庭に近い環境で十分専門性と人手をかけて、子どもたちを 見てやらないといけない、そういう課題があるように思います。  この児童虐待防止法は、3年後の見直しの規定がございまして、その3年後の見直し の検討を対応するために、社会保障審議会の児童部会のもとに、昨年の12月からです が、児童虐待の防止等に関する専門委員会が設置されておりまして、ここで議論が相当 程度進んでいるという状況がございます。  そして、3つ目の法律の改正はこの通常国会、平成15年に入ってからでございます が、児童福祉法の改正を次世代育成支援対策推進法という法律とともに今国会に提案い たしております。  この児童福祉法の今回の改正は、地域の子育て支援をいかに推進するかということで ございますが、この改正案に中に、例えば、児童養護施設などについて、入所の子ども たちの保護、ケアは勿論ですけれども、地域の子育て支援のために何ができるか努力し ていただきたいという考え方を盛り込ませていただいているところでございます。  今、申し上げましたような課題があるのではないかというふうに思っております。こ の委員会では、先ほど申し上げましたように、児童への虐待の防止等に関する専門委員 会での議論が先行しておりますので、そこでの議論も十分踏まえていただきますと同時 に、虐待をうけた子どもたちだけではない、こういった施策の対象になる子どもを広く 念頭においていただいて、そもそも児童の社会的養護のあり方というのは、我が国の今 日の課題として、どういうあり方であるべきかという総論的な議論。そして、施設のあ り方、里親のあり方、年長児童の自立支援のあり方、こういったような各論にも、十分 御議論をいただきたいというふうに思っております。  限られた時間で大変恐縮でございますが、9月ぐらいには何とか御議論を区切ってい ただければ、この上ない幸いでございます。  大変簡単ではございますけれども、以上申し上げまして、どうぞ御審議のほど、よろ しくお願い申し上げます。 ○梶原児童福祉専門官  続いて、雇用均等・児童家庭局家庭福祉課長唐沢より各委員の御紹介をさせていただ きます。 ○唐沢家庭福祉課長  家庭福祉課長の唐沢でございます。よろしくお願いいたします。  それでは恐縮ですが、私の方から委員の先生方を御紹介させていただきます。あいう えお順に御紹介させていただきますので、よろしくお願いいたします。  先生方のお手元の方に資料1というのがございまして、ここに先生方の名簿もござい ます。  まず、安達先生から御紹介をさせていただきますが、御紹介の前に一言おわびを申し 上げさせていただきたいと思いますが、才村先生は、人文科学部の助教授になっており ますが教授でございますので、大変失礼いたしました。おわびを申し上げさせていただ きます。先生方、資料を直していただければと思います。  それでは、まず、委員の先生をあいうえお順に御紹介させていただきますが、まず、 松江赤十字乳児院の院長でございます、安達先生でございます。  それから、国立成育医療センターこころの診療部長の奥山先生でございます。  児童養護施設山梨立正光生園常務理事、日本社会事業大学社会福祉学部教授の加賀美 先生でございます。  母子生活支援施設白百合ホーム施設長の兜森先生でございます。  帝塚山大学人文科学部教授の才村先生でございます。  大阪府健康福祉部児童家庭室家庭支援課課長補佐の坂本先生でございます。  青山学院大学文学部教授の庄司先生でございます。  児童養護施設至誠学園常務理事、法政大学現代福祉学部教授の高橋先生でございま す。  自立援助ホーム憩いの家施設長の武田先生でございます。  児童自立支援施設国立武蔵野学院院長の徳地先生でこざいます。  児童養護施設聖家族の家施設長の中田先生でございます。  大阪大学大学院の西澤先生は、本日御欠席でございます。  立命館大学産業社会学部教授の野田先生でございます。  明治学院大学社会学部教授の松原先生でございます。  子どもの虹情報研修センター顧問の四方先生でございます。  以上、委員の先生でございます。  これから、委員長の選出をお願いしたいと思いますが、その前に簡単に事務局の御紹 介をさせていただきたいと思います。  先ほど、ごあいさつ申し上げました私どもの岩田局長でございます。  審議官の渡邊でございます。  総務課長の中村でございます。  総務課の虐待防止対策室の室長の古川でございます。  私、唐沢でございます。よろしくお願いいたします。  それでは、座らせていただきまして、議事に入ります前に、本専門委員会の委員長を 選出したいと思います。先生方、お手元の資料の2をごらんをいただきたいと思います が、資料の2に「社会的養護のあり方に関する専門委員会の設置について」という資料 がございまして、趣旨、設置の目的については後ほど御説明を申し上げますけれども、 2の構成のところで(2)に「専門委員会には委員長を置く。委員長は、委員の互選と する」ということになっております。  また、併せて「専門委員会には委員長代理を置く。委員長代理は、委員長の指名とす る」ということになっておりまして、専門委員会の庶務は私ども家庭福祉課において処 理するということになっております。  それでは、本専門委員会の委員長の御選出をお願いしたいと思いますが、どなたか御 推薦をいただけますでしょうか。 ○奥山委員  私は、松原委員を委員長に推薦させていただきたいと思います。松原先生におかれま しては、社会保障審議会児童部会の委員をされておられますし、昨年12月にその下に設 置されました児童虐待の防止等に関する専門委員会の委員長代理をなさっておられま す。  更には、同専門委員会の保護支援に関する検討チームの座長もされておられます。  また、御自身も非常に社会的養護に精通されておられますので、私は大変適任と思 い、松原先生を推薦いたしたいと思います。 ○唐沢課長  それでは、委員長につきましては、松原先生に委員長をお願いをしたいと思います が、よろしゅうございますでしょうか。               (「異議なし」と声あり) ○唐沢課長  それでは、松原委員に委員長をお願いしたいと思います。松原先生、委員長席の方に 御移動いただければと思います。よろしくお願いいたします。  それでは、以降の議事は委員長にお願いをいたしたいと思います。よろしくお願いい たします。 ○松原委員長  ただいま委員長に御指名いただきました松原でございます。  それぞれの先生方を見て、私以上に御造詣の深い方はたくさんいらっしゃるかと思い ますけれども、せっかくの御指名でございますので、委員長として全力を尽くしてまい りたいと思います。委員の皆様方の御協力を是非よろしくお願いいたしたいと思いま す。  社会的養護のあり方に関する専門委員会ということで、ある種、集約的なケア、ある いは専門的な関わり、支援が必要な子ども、それから地域や家族の中で権利侵害を受け てきた子どもへの対応をどうするかということと同時に、家族をどう支援していくかと いうことも含めて、議論をしていく大切な委員会だと思っておりますので、全体の方向 性と同時に幾つかの具体的な課題も出していければなというふうに考えておりますし、 その中で施設だけではなくて、里親等のあり方についても議論をしていきたいと思いま す。  どうぞよろしくお願い申し上げます。  それでは、議事を進めていく前に、先ほどの資料の2のところに「2.構成等」の (3)のところに「専門委員会には委員長代理を置く。委員長代理は、委員長の指名と する」ということがございますので、私の方から委員長の代理を指名させていただきた いというふうに思います。  それぞれの先生方、委員長代理、あるいは委員長として適任かと思いますけれども、 今回は、青山学院大学文学部教授の庄司先生にお願いをしたいと思います。  庄司先生は、皆様御存じのように、この分野について長い研究の経歴をお持ちと同時 に、里親ということで、当事者としての社会的貢献もされているということで、この専 門委員会の委員長代理として適任かと思います。是非、庄司先生にお願いをしたいと思 います。いかがでしょうか。               (「異議なし」と声あり) ○庄司委員長代理  ただいま松原委員長から委員長代理にということで御指名を受けました庄司と申しま す。  とても大事な会議だと思います。皆さん方の御協力を得て委員長を助け、この会がう まく進むように願っています。どうぞよろしくお願いいたします。 ○梶原児童福祉専門官  それでは、事務局より、本日の資料の確認及び説明をさせていただきますが、その前 に、本専門委員会の公開について御説明させていただきます。  本委員会は、社会保障審議会規則にのっとり、原則公開とさせていただきます。公開 内容は会議及び会議資料といたします。  なお、このうち個人のプライバシーを侵害するおそれがあるもの等につきましては、 委員長の判断で非公開とし、資料については回収する場合もございますので、御了承い ただきたいと思います。  それでは、資料の確認及び説明に移らせていただきます。 ○唐沢課長  それでは、私の方から資料の確認をさせていただきます。  先生方、お手元の資料をごらんをください。上から順番に、まず座席表がございます が、それをおめくりをいただきまして、議事次第になっております。  その後に、配付資料の一覧のリストがございまして、めくっていただきまして、資料 1が先ほどごらんいただきました先生方の委員名簿。  それから、資料の2が専門委員会の設置についてという1枚の資料でございます。  それから、おめくりいただきまして資料3。これが、社会的養護のあり方に関する本 専門委員会の検討課題(案)でございます。これも1枚の資料でございます。  おめくりいただきまして、次のぺージですが、次が資料4、これは今後の「児童部会 の進め方について」ということで、5月の児童部会で御了承をいただいたものでござい ます。  次が資料5でございまして、資料5は社会保障審議会児童部会の中に設けられました 「児童虐待の防止等に関する専門委員会」の「保護・支援等に関する検討チームにおけ るこれまでの協議概要報告」。これは5月19日に開かれました児童虐待防止専門委員会 での資料でございます。これが全部で、まずA4縦のものがありまして、それからその 後ろにA3の大きな紙のものが折り込みで入っている形になりますので、これが資料で ございます。  それから参考資料といたしまして、厚めのものがございます。まず、参考資料1が 「社会的養護のあり方に関する専門委員会参考資料1」、それから2、3、4、5と、 それぞれごとにとじてございますので御確認をいただければと思います。  私どもの方の不手際で資料が欠けているような場合には遠慮なくお申しつけをいただ きたい思います。よろしくお願いをいたします。  それでは、私の方から最初に、本専門委員会発足の趣旨とそれに関連をいたします資 料を簡潔に御説明をさせていただきます。  まず、先ほどの資料2の「社会的養護のあり方に関する専門委員会の設置について」 という資料をごらんください。1枚紙でございます。  まず、この専門委員会でございますけれども、先ほど岩田局長のごあいさつでも申し 上げましたとおり、近年、少子化や都市化、あるいは離婚の増加、地縁関係の希薄化と いうことで児童と家庭を取り巻く環境というのは非常に大きく変わってきております。  また、他方で児童虐待でございますとか、配偶者の暴力ということなどで、従来、余 り顕在化しなかった問題、深刻な社会問題というものも生じているのが現在の状況だろ うと思いますけれども、要保護児童に関する社会的養護施策につきましては、平成9年 の児童福祉法の改正以降、地域小規模児童養護施設、あるいは専門里親の創設というこ とで、その積極的な推進に努めてきたところでございます。  しかし、今日では児童養護施設、あるいはほかの施設でも、新規に入所する児童の半 数近くが被虐待経験を持っているような実態にございまして、適切な施設ケア体制の確 立、あるいは里親制度の拡充ということで、こういう新たな状況に対応した社会的養護 システムの構築が求められているというふうに受け止めているわけでございます。  これは、それぞれ施設や里親ということだけではなくて、全体としての新しい養護の 社会的養護システム、これをどういうふうに構築していくかということを検討しなけれ ばならない時期を迎えているというふうに考えているわけでございますけれども、こう した観点から施設養護、家庭的養護及び社会的養護の質の向上など、社会的養護全般の あり方についての検討を行うことを目的として、本専門委員会を設置をするということ が、児童部会で御了承をいただいたわけでございます。  なお、この専門委員会の検討に当たりましては、児童虐待の防止等に関する専門委員 会と密接な連携を図りながら、進めることとするということとされております。  主な検討課題は下にあるとおりでございますが、これはまた後ほど検討項目案の中で 御説明をさせていただきます。  次の資料3の検討課題の案は、これは後ほど別途御議論いただきたいと思いますが、 次に資料の4のところをごらんいただきたいと思います。  これは5月の児童部会で御了承いただいたものでございますけれども、児童部会全体 の検討スケジュールについて、お話をさせていただきます。  まず、一番左の枠が児童部会の全体、それから、真ん中が児童虐待の防止等に関する 専門委員会の進行状況、一番右が本専門委員会の今後の進行予定でございますけれど も、まず、児童部会につきましては、5月に都道府県市町村の役割、それから児童相談 所の在り方の検討ということを中心に検討を進めてまいります。  児童虐待の防止等に関する専門委員会につきましては、昨年の12月に発足をいたしま して、この6月にもとりまとめが行われそうな検討状況でございます。ほぼ6月にはと りまとめが行われるような検討状況に近づいてきておりまして、これをまた部会に報告 する。  それから、この専門委員会の検討の報告書につきましては、本専門委員会にもその状 況というものを御報告をいただきまして、こういうものを踏まえながら本専門委員会は 一応9月を目途に基本的な方向のとりまとめを行っていただきまして、部会に御報告を いただきます。全体として10月には部会で、基本的な制度見直しの方向についてとりま とめをいただくということを、今のスケジュールとして念頭に置いているということで ございます。  まず、基本的な設置の趣旨、それから大くくりな児童部会全体のスケジュールについ て、私の方から申し上げました。  併せて、児童虐待の防止等に関する専門委員会の報告につきまして、古川室長の方か ら報告をするようにいたします。 ○古川虐待防止対策室長  古川でございます。座って失礼いたします。  資料の5をごらんいただきたいと思います。「保護・支援等に関する検討チームにお けるこれまでの協議概要報告」ということでございまして、今、説明がございましたよ うに今週月曜日、5月19日に検討チームとしてのおおむねの論点の整理というものを専 門委員会に報告したときの資料でございます。  それを受けまして、専門委員会自体で議論がありましたので、若干の修正というのは あり得るということでございますけれども、おおむねの方向性はこれで御了解をいただ いたということでございますので、これを御紹介させていただきます。  まず、大きな方向性といたしまして「はじめに」というところでありますけれども、 児童虐待防止対策の目標は、虐待を受けた子どもが安全で安心できる生活を保障する と、これだけでは足りないと、更に適切なケアや治療を提供することにより、子どもの 心身の健全な発達と自立を促し、更に親に対する指導などを通じて、家族の再統合や家 族機能の再生を目指すというところにあるという大きな目標を掲げられたということで ございます。  そして、そのためには仮に分離保護となった場合にあっても、また在宅支援の場合に あっても可能な限り、家族の再統合や機能の再生が望ましいという考えを踏まえて、子 どものみならず、親も含めた家族への支援という視点に立って取り組んでいく、そして 必要なプログラムの開発を取り組んでいくということが必要であるというふうにされま した。  また、親子の分離を行った場合であっても、可能な限り家庭的な生活環境を保障する ということ、そうしたことが自立を促していくために必要だということで、そうした取 り組みも必要だろうというふうな指摘がなされました。  なお、子どもの自立や家族再統合・家族機能再生に向けた取り組みといいますもの は、幅広い関係機関の連携による長期な取り組みが必要であるということでありますの で、関係職員の方々の資質の向上や、ネットワークの強化というのが特に必要である 旨、強調されたということでございます。  こうした考えを踏まえまして、具体的な項目について議論が進められていたというこ とでございます。  「1 児童相談所の行政権限と裁判所の関与」につきましては、別の早期発見・対応 チームにおきまして、中心的に議論をいただいたということでございますので、ここで は一たん省略をさせていただきます。  「2 児童福祉施設、里親等の機能、システム」につきまして、次のぺージをごらん いただきたいと思います。  「取り組みの方向性」というところでございますが、先ほど目標として掲げました子 どもの社会的自立に向けては、安全で安心した生活環境を保障するのみならず、個々の 状況に応じたきめ細かな支援や治療ということをするためには、規模の小さな施設、更 には里親制度の充実ということを検討していくことが必要である。  そして、例えば、里親さんであれば里親さんにお任せすれば、それでおしまいという ことではなくて、里親さんをサポートする体制、支援体制の確保というのも重要である というふうに整理をされました。  なお、こうした施設や里親の在り方については、これから御議論をいただきます、本 専門委員会において、更に引き続き検討することというふうにされました。  具体的な提案につきましては、多岐にわたりますので、簡単に口頭で申し上げますけ れども、施設の小規模化や里親制度の充実を基本にするということ。生活の保障だけで はなくて、治療面の充実というのも必要であるということ。ケアの連続性の観点からは 乳児院と児童養護施設の関係などについても議論した方がいいのではないかというこ と。  また、年長の18歳、19歳の子どもたちが自立していくためには、例えば自立援助ホー ムの整備・充実。例えば、年齢延長といった取り組みということも考えていいのではな いかということ。  それから、先ほど申し上げましたが、里親さんをサポートするという観点からは施設 が里親を支援する体制といったことも必要ではないかというような御指摘がございまし た。  一番下、「【今後の課題】」というふうに書いてございますが、より大きなテーマと いうことで措置費体系の見直しや施設の最低基準の見直し。  1枚おめくりをいただきまして、地域において施設の中核となる拠点、施設を中核と して地域全体で支えていくという意味で、そうしたモデルをつくっていくことも検討し たらどうかというような御指摘がございました。  また、客観的なガイドラインの作成、第三者機関によるチェックシステムというテー マについての議論につきましては「【取り組みの方向性】」のところでありますけれど も、親子分離や家族再統合などを進める場合には、この客観的評価の確立ということが 必要であり、アセスメントツールの開発などの取組の必要性が御指摘がございました。 具体的な取り組みと意見といたしましては、児童福祉法28条に基づく入所にあっては、 その期間を定めるといったことも有用であるといった御指摘がなされているというとこ ろでございます。  「3 児童福祉施設職員、里親等の資質向上、資格要件、人材確保、メンタルヘルス 」というところでございますが、取り組みの方向といたしましては、虐待を受けた子ど もやその保護者をケアしていくためには、専門的なトレーニングを受けた職員が必要で ある。そのため、実習を充実させた研修などによって、その専門性の確保というものに より取り組んでいくことが必要である。  また、資質・専門性に加えて、職員数の拡充ということについても必要であると御指 摘があった上で本専門委員会での議論を踏まえて、更に議論を進めていくべきだという 指摘がされました。  具体的な取り組みとしましては、職員等のメンタルヘルスのための相談体制の確保、 スーパーバイザーの養成、里親がいつでも相談できる体制などの御指摘があったという ことでございます。  4ページでございます。「4 在宅支援の強化」ということでございますが、取り組 みの方向性でありますけれども、虐待の進行防止などのためには、民間も含めた市町村 レベルにおける在宅支援の機能を充実するということがどうしても重要であるという御 指摘がありました。  地域で虐待を受けた子どもの自立に向けた長期的な支援を行うという観点からは、そ の際には当然、さまざまな関係機関が関わってくるわけでありますので、その見守り役 といいますか、進行管理役としての市町村の役割というのは大変重要になるという御指 摘がございました。  その際、市町村の役割と申しましたけれども、その取り組みに当たっては、中心であ ります児童相談所の支援・協力というのは当然不可欠だということは特に強調されたと いうことでございます。  また、家族再統合を目指した支援を行うという観点からは、これは先ほど申し上げま したけれども、保護者を含めた家族への支援の在り方というのを援助方針の中に含み込 むことが必要であるということ。  また、児童虐待防止対策を行う以上は、幅広い関係機関の連携が必要であるという前 提からすれば、NPOや地域住民の方などを含めた関係者が基本的認識を一つにした上 で取り組むということが重要。  それを具体的にする取り組みとして、既にいろいろ地域で取り組んでいただいており ますけれども、市町村ネットワークの整備というのは一つの有効な手段として強調すべ きではないかという御指摘がございました。  具体的な取り組みといたしましては、通所型の支援では虐待対応に関係する御家族と いうのには限界があるということで、場合によってはより積極的な訪問型の支援という 取り組みが重要ではないかということ。  在宅支援に当たっても施設のノウハウを活用するというような取り組みも必要ではな いかということなどが指摘されました。  5ページでございますが、先ほど市町村の見守り役という話をさせていただきました けれども、類似の話といたしまして、5ページの上でございますが、地域での見守り体 制というものは多様な機関による連続性を求められるということを踏まえて、コーディ ネートする機関を育てることが必要であるという指摘がされました。  今後の課題といたしまして、関係機関・施設のみならず、地域全体で支えていくとい う、こうした問題を理解し、支えるという地域の役割というものも強調されたというこ とでございます。  「5 児童に対する治療・指導法の確立(福祉・医療・保険期間等)」ということで ございますが、取り組みの方向性といたしまして、虐待を受けた子どもや親のケア、治 療に関する知識や技術の一層の開発ということ。また、アセスメント方法の一層の研究 開発が必要であるという指摘でございました。  その中でも取り分け、性的虐待を受けた子どもに関する治療やケアにつきましては、 特別な注意が必要であるという指摘がございました。  更に、子どもの養育に関する情報の共有化ということが必要であるというふうに指摘 をされました。それは関係機関が多数、長期間にわたるということからすれば、こうし た協力は必要であろうという議論であったというふうに理解をしております。  具体的な取り組みといたしましては、アセスメントの実施、またアセスメントに基づ いた総合的な支援計画、そして、それを適宜適切に支援を行われるよう一定期間ごとに 見直すといったことの必要性。  また、今申し上げた情報の関連で申し上げますと、子どもの虹情報研修センターな ど、情報の発信拠点というものを活用するということの必要性が指摘をされたというこ とでございます。  6ページでございますが「6 保護者に対する治療・指導法の確立(福祉・医療・保 健機関等)」という点でございます。  取り組みの方向性といたしまして、家族再統合を目指した支援を行うという観点から は家族に対する支援という考え方が重要であるとされた上で、既に幾つかの関係機関に よっては実施されているというところでございますけれども、保護者に対する治療・指 導プログラムを一層充実させていくということが重要であるということでございます。  具体的な取り組みに関しましては、先ほど申し上げましたけれども、例えば、訪問型 の在宅支援の強化ということについても特に強調されたということでございます。  「7 医療機関の機能、システム」ということでございますが、1ページおめくりい ただきまして7ページでありますけれども、取り組みの方向性として、虐待を受けた子 どもは複雑なトラウマを抱えており、精神医学的な介入が必要な子どもが多い。そうい う意味でより的確に対応できる医療環境の整備が必要であるということ。  精神疾患を抱えているといった保護者に対しては、地域の医療機関を活用して、専門 的な支援体制が必要であるということ。そして、その際には小児科や精神科医との連携 強化というのがどうしても必要になるということでございました。  具体的な提案といたしましては、今、申し上げた小児科医と精神科医の連携。更には 地域に児童精神科の専門医が少ないということをかんがみまして、地域で根を下ろして おられる小児科医の皆様へのトレーニング、虐待に関する視点を持っていただくという 取り組みが必要だという御指摘でございます。  また、虐待をする保護者というのは精神病と異なり、これまで一般の精神科医が扱っ てこられたこととは違う問題であるという意味で、やはり知識の集積というものを積み 重ねることが必要だということ。  虐待のケースは非常に時間的にも負担が大きいということも考えて、医療に関わると いう際には何を依頼していくかということも考えることが必要であるという御指摘がご ざいました。  最後、「8 その他」でございますが、幾つか御指摘がございますが、こうした在宅 その他、積極的に打って出るということを考えると同時に、制度の検討に当たっては、 国にないしは行政による家庭への過剰な介入への配慮というものを忘れてはならないと いうような指摘があったということでございます。  以上でございます。 ○松原委員長  唐沢課長、古川室長、ありがとうございました。  資料の説明として、後ほど検討課題についての御説明が事務局からあると思います。 今の段階では資料の2の設置の目的の部分。資料4の大まかな日程の部分。それから、 今、古川室長から御説明をいただきました、資料5の「児童虐待の防止等に関する専門 委員会」の中の保護・支援等に関する検討チームの協議概要報告。この中には幾つか、 今日立ち上がりました「社会的養護のあり方に関する専門委員会」に関する言及もござ いました。  こういった御説明について、御意見、あるいは御質問がありましたら、ここで御発言 をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。  この委員会には、資料5の「児童虐待の防止等に関する専門委員会」の方に御所属の 委員の方もいらっしゃいますので、古川室長から非常に丁寧に説明していただきました ので、補足ということでもないのかもしれませんけれども、何か検討されるべき点の御 感想でも結構でございます。  よろしいですか。では後で、こういった設置の目的ですとか、資料5に関しては、今 後の検討課題にも絡まってきますので、そこの御説明をいただいて、それから議論をし たいと思います。冒頭に岩田局長の方から9月までにという御指摘がありまして、資料 の4を見ていただきましても、9月ということで示されておりますが、5月の末にスタ ートですので、少し皆様方に今後の日程のやりくりをしていただいて、少し詰めた日程 の中で議論をしていただくことになると思いますが、よろしくお願いしたいと思いま す。  それでは、事務局の方から、今度は検討課題案ということについて御説明をいただき たいと思います。 ○唐沢課長  それでは、私の方から、資料3の検討課題(案)について御説明を申し上げます。  それから、先ほどの参考資料の方は今日は詳しく御説明をさせていただきません。こ ちらの方は資料のそれぞれの、例えば施設の概要でありますとか、喫緊の統計資料でご ざいますとか、それから関連条文、全国児童養護施設協議会の方での将来構想、乳児院 の協議会の方での将来構想でございますとか、そうした構想等につきましての資料でご ざいます。  それでは、検討課題の案について、御説明を申し上げます。  まず、全体を5つとその他と、全部で6つに分けてございますが、それぞれの個別の 課題に入ります前に、3つほどお願いをしておきたいと思います。  まず第1点でございますが、ここにございます課題というものは、これで検討項目は 決まりましたということではございません。そういうことで御理解をいただきたいと思 います。私どもの方は、先ほどの参考資料の中にありますような、いろいろな御説明の 際の御議論ですとか、関係団体の方での将来構想などを参考にさせていただきまして、 項目の整理をさせていただきましたが、すべてを網羅しているわけではございません し、さまざまな切り口というのもございますので、これでミックスされているわけでは ないということで御理解いただきたいと思います。  したがって、こういう項目を追加すべきではないかとか、あるいはこういうふうにま とめて議論すべきではないかという御意見があると思いますので、それは是非そうした 御意見を出していただければということでお願いをいたします。これが1つ目でござい ます。  ただ、この問題点は、私どもは全体に今ある問題、こういうところに問題があるとい うところから出発をして整理をしようという気持ちでつくっております。つまり、どう いうことができるかということから出発をしますと、直ちに財政的な問題ですとか、そ ういう問題になってしまいまして、議論が終わってしまいますので、むしろこういうと ころに問題があると、そういう現実に問題があるものをどう考えていくかという気持ち で整理をしたものでございます。ということで御意見をいただきたいということが1点 でございます。  第2点目でございますが、この項目の中には、当面すぐに着手をしていけるもの、あ るいは着手しなければならないものと、中長期的に進めていかなければならないもの、 あるいは段階的に進めていかなければならないものというものが混在して入っておりま す。あえてそれを分けておりませんので、これは最終的なまとめの話なので、今、お話 するのは早いかもしれませんが、混在をして入っておりますので、そういうことで御理 解をいただきながら、御議論いただきたいと思います。  したがって、例えば、児童福祉全体の体系をどういうふうに見直していくのかという 議論は、非常にある程度の時間を必要とすることでございますが、そういうかなり時間 のかかる項目も今回は視野に入れて御議論をいただきたいということでこの中に入れさ せていただいておりますので、そういうふうに御理解をいただければと思います。  当面のものの関係では現実に先ほどお話がございましたように、児童虐待防止法の見 直しという動きがすぐにございますので、そうしたものも念頭に置いて、当面すぐに着 手しなければならないことというのも整理する必要がございますので、そういう整理に なっております。  最後に、3つ目は、今日御出席の先生方は社会的養護全体に深い造詣をお持ちでござ います。また、先生方それぞれごとに、特にその中でも関係の深い領域というものがご ざいますので、今日はこの検討課題については、できればそれぞれの先生方から少しず つ御意見をいただければと思っておりますので、それも併せてお願いをいたします。  それでは、ちょっと前置き長くなりましたが、内容の方の整理についての私どもの問 題意識を申し述べたいと思います。  まず、6がその他でございますが、5つの柱に分かれておりまして、まず1番目が 「社会的養護のあり方について」という、これは全体論でございます。施設での養護、 あるいは里親、年長児童に対する自立支援といった、家庭的養護といった役割分担の問 題をどういうふうにとらえていくかということが、この「社会的養護のあり方につい て」ということで、言わばシステム全体論ということで御理解いただければと思いま す。  2番目が「施設養護のあり方について」、3番目が「家庭的養護(地域ケア)のあり 方について」ということで、里親制度に関することについて。  それから、4番目が「年長児童に対する自立支援について」という項目を一項目立て させていただきました。これは現実に18歳を過ぎた子どもたちに対する支援の仕組みと いうものをもう少ししっかりしたものとして位置づけたいという気持ちで、ここに一つ の柱として立てさせていただきました。  5番目は「社会的養護の質の向上等」ということで、これはサービス内容、あるいは クオリティーの向上ということでさまざまな項目をこの中に設けております。  まず、最初に「社会的養護のあり方に関する専門委員会」の関係といたしまして、社 会的養護のあり方の全体論でございますけれども、この社会的養護につきましては、家 庭での適切な監護が難しいという状況の中で、それを施設、あるいは里親、あるいはケ アや治療、自立の支援というものをどういうふうに組み合わせていくかという、言わば 全体の体系論でございます。そもそも社会的養護とはどのような役割を果たすべきかと いう、これは大上段の議論なんですが、一度そうした議論もしていただく。これはこれ だけやっておりますと終わりませんけれども、少しそうしたことにも触れていただい て、私どもの希望といたしましては、やはりこの社会的養護の問題は非常に大きな問題 になっておりますけれども、日本の国民の皆さん全員がこの問題についてよく理解をし ている状況になっていないというのが実情だと思うんですね。だから、それを何とかわ かっていただけるように表現をするような理念でありますとか、そういうものをもし打 ち出していけるものであれば、大変、社会的養護の推進には役立つだろうという気持ち を持っておりますので、そうした観点からも大上段の議論でございますけれども、社会 的養護の目的という御議論をいただければと思っております。  それから、2番目が「施設養護と家庭的養護との役割分担と協働」ということでござ いますけれども、これは集団的なケア、あるいは個別的なケアということで、大きな違 いがあります。子どもの年齢でございますとか、性格でそれぞれをどういうふうに活用 していくかということがございますけれども、それをどういうふうに連携をしたシステ ムをつくっていくかというのが非常に重要でございます。  特に里親のところで後ほど触れますけれども、非常に里親さんの数が減少してきてお りまして、我が国は非常に少ないという実情がございますので、そうした家庭的な養護 と施設的な養護というものの全体の大系、あるいはやり取り、協力関係、分担というも のをどういうふうにつくっていくかということを御議論いただきたいということでござ います。  2の項目が施設養護の項目で、ここは主な項目としては5つの項目を立てておりま す。  まず、第1は「施設の小規模化」ということで、児童のニーズに対応する家庭的、個 別的なケア等の強化という観点から施設の小規模化の議論を、小規模化推進ということ でございますが、小規模化推進の論点を掲げさせていただきました。これは勿論、施設 の規模や体制にはそれぞれ一長一短があるわけでございますけれども、できるだけ家庭 的な状況に近いケアを、あるいは虐待を受けたお子さんなどでほとんど家庭というもの を経験しないままのお子さんたちに対するケアということで考えてまいりますと、小規 模なケアの推進をしていくということには意味があると思っておりますけれども、そう した小規模化の御議論を論点として、お願いをしていきたいと思います。  それから、2番目でございますが、2番目は「生活機能と治療機能などのケア機能強 化」でございます。これは適切な養育を受けていないお子さんは基本的な生活習慣の獲 得も余りきちっとしていない、乏しいと、あるいは活動面ですとか情緒面でも発達も十 分でないというような状況がこざいます。そうしたお子さんに対して、言わば生活機能 と治療機能、治療機能というのは必ずしもメディカルだけに限った意味ではございませ んけれども、こうした機能の組み合わせですとか、あるいは提供の仕方というものをど ういうふうに考えていくかということでございます。  これは言ってみれば今、児童福祉施設に幾つかの種類の施設が、類型が設置されてい るわけでございますけれども、それぞれの施設というものが生活機能と治療機能という のをどういうウェートで担っているか。あるいは、どのような類型が今の子どもたちの 持つニーズにふさわしいのかという議論につながってくるわけでございまして、非常に 根本的な議論でございますが、出発点は現実のお子さんの持つニーズに対して、どのよ うな生活機能と治療機能の組み合わせを提供していけるかということから御議論を入っ ていただければというふうに思っております。  第3点目は「ケアの連続性の確保」でございます。これは御承知のように子どもの発 達面で養育者の頻繁な交代、あるいは生活様式、生活の場の著しい変化はよい影響を与 えないわけでございますけれども、特に従来から指摘をされております、乳児院から児 童養護施設への措置変更の問題というのがございますけれども、そういうものをどうい うふうにクリアーをしていくか。できるだけ連続的なケアの体制というものがあった方 が望ましいわけでございまして、これはこの児童養護だけではなくて、高齢者ケアでも 障害者ケアでも同じことが言われているわけでございますが、特に児童養護の場合はほ かの分野よりもそうした要請が強いのではないかと思うわけでございます。  そういうケアの連続性というものをどういうふうに確保するか。それは確保するため の仕組みというのはどういうものが望ましいのかということを一つの論点として掲げて みたものでございます。これも従来から指摘をされております大変大きな課題でござい ますが、そこに掲げさせていただきました。  4番目は「ケア担当職員の質的・量的な確保」でございます。これは、まず虐待経験 を持つお子さん、特に虐待の内容にもよりますけれども、大変精神的に強いダメージを 受けておりまして、私が言うまでもなく、大変難しい精神的な状況を持っているお子さ んというのもいるわけでございますが、そうしたお子さんに対応できる能力を持った職 員をどういうふうに育てていくかということでございます。どのくらいの能力を求める べきかと、どのくらいの専門性が必要なのかという御議論が一つございますし、それか ら職員はいきなり専門家になるわけではございませんので、その訓練の仕組みというの は必要だろうと思います。  その訓練の仕組みをどうするかということも併せて考えていきませんと、能力だけ要 求いたしましても、若い職員が一向に育たないということではいけませんので、その訓 練の仕組みも併せて議論をする必要がある。  それから、今のお子さんたちの状況を考えますと、職員の配置基準というものについ ても今の配置基準でいいのかどうか、これは毎年もう少し人的体制を厚くするべきだと いう御要望をいただいておりますけれども、そうした職員の配置基準についても検討が 必要であろうというふうに考えております。  施設養護の最後でございます、「地域支援機能などの在宅支援機能強化」でございま す。これは、基本的には施設で蓄積したノウハウを生かして相談支援援助活動、あるい は通所の利用を考えるとか、家庭訪問の支援というようなことを考えて、地域の子育 て、あるいはその抱える課題に貢献をしていただきたいというわけですけれども、現実 には今、児童家庭支援センターという機関を設けているわけでございます。それをもう 少し更に推進をしていく、児童家庭支援センターだけではなくて、地域支援の役割とい うものをどういうふうに推進をしていくかということを御検討いただきたいということ でございます。  それで、私どもはやはり当事者として私どもなり、また、今日御出席の先生方なり、 あるいは施設の施設長さんなり、それぞれごとに御検討し、努力をしていただきたいと 思いますけれども、しかし、この社会的養護の推進をするためには世の中の幅広い理解 を受けるということも必要でございます。  それから、地域のいろんな人たちに応援をしてもらうということはどうしても必要で ございますので、そういう観点からもできるだけ地域と関わりを持って、それを支援し ていくような努力をし、また、それを応援できるような仕組みを設けていただきたいと いうふうに思っております。  児童福祉の社会的養護の施設は、例えば、高齢者の施設でありますとか保育所に比べ ますと非常に数が少ない、かなりありますけれども、相対的に見ると非常に少ないの で、例えば自分の町には必ずそれがあるというような状況にはならないです。それをで きるだけ地元の地域なりの理解を得て応援をしてもらうと。これのためには、やはり地 域の貢献というのが非常に重要で、それをどういうふうに役割を果たしていくか、自分 の中だけではなくて壁の向こう側の普通の一般の地域の中でどういうふうに貢献をして いくかということが非常に重要であろうというふうに思っております。  次に「家庭的養護(地域ケア)のあり方について」なんですが、家庭的養護の在り方 につきましては、「里親制度の普及・啓発」ということでございますけれども、里親制 度は御承知のように昭和35年をピークに減少を続けて来ております。その里親の新しい 里親さんを新たな開拓をして普及をしていくためには、どういう方策が必要であるかと いうことを御議論いただきたいと思います。  これは、まず里親さん自体がなかなか知られていないという問題もございますし、あ るいは養子縁組との関係などいろいろな問題がございますけれども、まずやはり普及を し、里親になろうという気持ちを持っていただける方をどうしたら増やしていけるか、 それを支援をしていけるかということが大きな課題であろうと思います。  2番目は「専門性の確保」ということで、里親につきましては、昨年里親に関する省 令でございますとか、専門里親の創設といった大きな改正をいたしましたけれども、そ の専門性の確保のための方策をどういうふうにするのか。  3番目は「里親支援機能の強化」ということで、里親支援機能としての研修体制であ るとか、あるいは相談体制といった問題、それから一時的な休息の実施等のレスパイト ・ケアの問題でございますとか、こうした事柄について御議論していただく必要があろ うと思っております。  4番目は、年長児童に対する自立支援でございます。年長児童の問題につきまして は、満18歳を超えた児童で、家庭に戻れないお子さんについては、例えば児童養護施設 を退所した後に児童福祉施設の利用ができないという状況にございます。それで自立を するということになるわけでございますけれども、もともと非常に難しい問題を抱えて いる。それから、普通の今のお子さんでも18歳で自立なんかしているお子さんはほとん どいないわけでありまして、そういう者をバックアップをしていく支援の仕方というも のをどういうふうにつくっていくかということで、次の項目にありますように、児童自 立生活援助事業(自立援助ホーム)というものが創設をされているわけでありますけれ ども、この自立援助ホームが現在年長児童が活用できる唯一の施設、事業になっている わけであります。  そういう場合に、非常に難しい状況を抱えている子どもたちというのが、18歳になれ ばいきなり自立ができるのか、それからやはりある程度の期間支援をしてやる必要があ るんじゃないかという問題でございます。これは年齢問題という大きな問題がございま すけれども、例えば障害の問題を考えてみますと、障害の場合は子どもさんの場合は児 童福祉法で、成人になればそれぞれ障害者関係の各法によって支援の措置が定められて いるわけでありますけれども、社会的養護を必要とするお子さんは、大人の年齢に達し た以降については、制度的なバックアップ体制がほとんどない。そういうことでいきな り自立ができるんだろうかという根本的な議論があると思いますので、そうした点につ いても含めて御議論をいただきたいということでございます。  最後の5番目で「社会的養護の質の向上等」ということでございます。  これは全部で4つの項目がございまして、「児童の権利擁護の強化」ということで、 児童の意見の表明、苦情解決という問題の仕組み、こうした事柄をどういうふうにつ くっていくかということでございます。  2番目は「サービス評価や施設入退所に関するアセスメントの策定」ということで、 まず第三者評価の問題、あるいは自己評価の問題。それから、施設の入退所に対する客 観的な基準の策定は、子どもさんの治療や指導に対して極めて重要なことであると思っ ております。共通の尺度をエビデンスに基づいてつくっていくということは、とても重 要なことでございますので、こうした問題についても御議論をいただきたいと思いま す。  それから「関係機関との連携」と一般的な表現で書いてございますけれども、これは 社会的養護の実施に当たっては、保健・医療・福祉・教育、それから警察ですとか、司 法ですとか、さまざまな民間団体でございますとか、そういういろんな方々の協力が必 要であろうと思っております。今日お集まりの関係の皆さんは一番関係の深い方々でご ざいますので、それ以外にもいろんな方々のグループが重要であろうと思っております ので、そうした関係機関との連携をどういうふうに考えて、特にどういう点については 留意をしていかなければいけないかということでございます。  最後が「社会的養護関係者に対する養成、研修の拡充」ということで、市町村での児 童問題のコーディネーターでありますとか、あるいはケースワークを進める上でのスー パーバイザーの養成、あるいは専門性を維持するための研修の実施という事柄につい て、御議論をいただきたいと思っております。  これは、個別の施設の名前はこの中には入っておりませんので、それぞれの施設の、 言わば横切りにして書いてございますから、多少自分のところの施設が入っていないと いうことがあるかもしれませんが、そこはまた御議論をいただければと思っておりま す。  以上でございます。 ○松原委員長  ありがとうございました。それでは、皆さん方からの御質問や御意見をいただきたい んですが、唐沢課長の方から冒頭の御発言の中に、この検討課題案は、フィックスされ たものではなくて、柱立てについてもこの委員会として議論をしてほしいという御要請 がございましたので、個々の問題に入ります前に「6.その他」まで入れまして、柱立 てそのものについて何か御意見や御質問があれば、まず、そこから伺っていきたいと思 いますが、いかがでしょうか。 ○加賀美委員  とりあえずは、これをたたいていくということでいいんじゃないですか、このままで いいと思いますが。 ○松原委員長  加賀美委員の方からは、この6本の柱でいいんではないかということで御指摘があり ましたが、ほかの委員の方は、高橋委員どうぞ。 ○高橋委員  大変よく整理されていると思うんですが「1.社会的養護のあり方について」のとこ ろに、社会的養護の分類としては、施設養護と家庭的養護ということであるわけですけ れども、ここにもう一つ社会的養護の基本になるのは地域養護だと思うんです。地域の 養育力を地域社会というものがどう社会的養護を意識するかということ。また、機関と すれば、児童家庭支援センターのようなものに代表される地域の資源として、地域とい うものをどうとらえていくのか、子どもの養育の場としてのとらえ方ではあるわけです けれども、もう一方、そこをサポートする周辺の問題も考えなければというふうに思い ます。 ○加賀美委員  今、高橋委員からそういうお話が出たので、社会的養護をどう考えるかという話にな るわけですけれども、まず、我々が今立っているところは、虐待を受けた子どもが顕在 化してきたというところから、社会的養護の在り方が俎上に載って、改めて議論をして いこうというところに来ているんだろうと思います。  そういう視点から考えると、振り返るならば、1960年代以降の戦争孤児に代わって入 所してくる社会的養護を必要とする子どもたち、その子どもたちのプログラムが今日ま でそのニーズに適していなかったということ、すなわち振り返ると、その子どもたちと いうのは、いわゆる家庭から離して即施設に入れるという方向でしかプログラムされて こなかったというところに、何かやはり間違った方向があったんではないか。  だからこそ今子育て支援ということが、次世代育成対策推進法の中でとらえていこう ということを考えるときに、社会的養護という言葉であっても、その中に広く社会的子 育て支援のセーフティーネットとしての社会的養護という位置づけを明確にしていく方 がいいのかなというふうに感じております。 ○松原委員長  ありがとうございました。ここの中でもある程度そのことも意識されている部分が、 例えば2の5つ目の○のところに地域支援ということで、在宅で子育てをしていくとい うことについても着目をする。あるいは、親子分離の手前の在宅での子育て、これはそ の場合にも要用をということがあると思いますけれども、そういうことについて、施設 などの役割を果たしていけるかという問題意識が書かれていると思いますから、もう少 しそれを広げて、関係機関も含めての問題意識ということで、今、御意見を伺うことに したいと思います。  ほかに、今、ここから先は個々の課題について入っていきますが、この柱立ての6本 についての御意見はほかにございますか。 ○中田委員  今、ここに課題が出てくるような基のことも少し基本的に考えておいた方がいいんで はないかと。おおざっぱな言い方をすると、子育てとか、子どもの養育に社会的なコス トがかけられてこなかった結果が、今、こういう課題が浮き出てきているわけですか ら、そういうことを共通の認識にしないと、具体的な提案ができない。これからは、い ろいろお金をかけていくプランが出てこないんではないかなというふうに思いますけれ ども、では具体的にどういう提案をするのかと言われると、特に考えているものはあり ませんが、そういうことも併せて考えていただきたいという気がしています。 ○松原委員長  ありがとうございました。この専門委員会自体が、国の社会保障審議会の中の児童部 会の中に設置をされておりますので、十分そことの議論、やりとりの中で進めていくこ とができると思いますし、全体的な施策の在り方というのは児童部会の中でも継続的に 取り上げられると思いますし、そこに所属されている委員の方もいらっしゃるというこ とで、そこでの議論を踏まえながら、検討をしていくんではないかなと思います。 ○才村委員  済みません、単純な質問でもよろしいでしょうか、3番目の家庭的養護のところに (地域ケア)と書いてあるんですけれども、家庭的養護が地域ケアとどういう関連に なっているんでしょうか。  先ほど、地域のケアも社会的養護の1つの在り方だと。その場合には「2.施設養護 のあり方について」の中に、地域支援機能というような項目が入っておりますけれど も、ここで言う里親の家庭的養護を考えるに当たって、里親制度が地域ケアということ にとらえられるのかどうなのか、ちょっとその辺をお聞きしたいと思います。 ○松原委員長  では、事務局の方からお願いします。 ○唐沢課長  おっしゃるとおり、私どもの問題意識は、結局今の施設での養護と、里親さんでの家 庭での養護、要するに大きな施設か家庭かというふうに2つにぱっときれいに分かれて いるという世界なんです。  これからの時代は、例えば里親さんといっても、なかなか家も大きくないし、御家族 も少ないし、そこでお子さんの面倒を見るのは大変だと。  それから、お子さんを、例えば里親さんとして面倒を見てもらうときに、お一人では なくて、例えば5人ぐらいまとめて見ていただいてしまうというようなことも考えて いったらどうかなという気持ちがあるんです。  そうすると、今ある社会的養護の類型に里親さんが入っていないような状況がありま すので、両方から歩みよっていくような養護の形態というのも何か考えていったらどう かなという気持ちがありまして、そういう意味での地域ケアで、ちょっと地域ケアとい う今までの使い方とは用語が違うので、適切を欠くかもしれませんけれども、そういう 問題意識でございます。そういう工夫の仕方というのも考えていったらどうかなと、そ れを施設が地域的なケアとして伸びてきたものというふうに理解をして、里親さんが、 少し快適なものに近づいたものとしてのケアの形態になるのか、ちょっとわかりません けれども、そういうような領域というものが増えていってもいいかなと、そういう御議 論をしていただいたらどうかということです。 ○松原委員長  ありがとうございました。地域全体ということではなくても、1つの養護の在り方と 言いますか、タイプとして、この用語が使われているという理解でよろしいかと思いま す。 ○庄司委員  今の課長さんのお答えとも関わってくるんですけれども、社会的養護の在り方とし て、1つ問題なのは、施設養護と家庭的養護がすぱっと分担されたようなくくられ方が されているということが確かにあると思いますので、そういった意味では、これからの 議論で、整理すればこういった形になると思いますけれども、特に2と3は、ある程度 関連づけて議論していけたらなというふうに思います。  それから、この大きな項目はすごく整理されていて、これはいいと思うんですけれど も、ただ、年長児童が出てくると、どうしても年長児童の問題は非常に重大な問題だと 思いますけれども、ただ、その子たちがそこに至った経過ということを考えると、やは り乳幼児期のケアというものを今の時点でしっかり考えておく必要もあるというふうに 思います。 ○松原委員長  ありがとうございました。それでは、特に柱立てについて、ほかに御意見がなけれ ば、この柱の中身について、どうぞ。 ○唐沢課長  母子生活支援施設について非常に難しいので、直接には書いてありませんけれども、 御意見をお伺いしておきたいんですけれども。 ○松原委員長  では、どうぞ。 ○兜森委員  この専門委員会は、虐待問題に対応するということのように私は認識をしております けれども、実は、母子生活支援施設におきましても、最近、ドメスティック・バイオレ ンスの被害者の事例が非常に増えてきておりまして、数字的には利用者の37%ぐらいが 被害経験を持っているという形がございます。  したがって、家庭の中で両親の暴力行為を目の当たりにしてきた児童は、当然そうい う意味では虐待の被害者でもあるわけでございまして、全く児童養護の世界、あるいは 乳児の世界と同じスタンスでものを考えることができるかと認識をしております。  ただ、母子生活支援施設の場合には、母親とお子さんが御一緒に利用されておられま すので、その中で施設養護と言いながらも家庭的養育があったりという形がございま す。中には、母親による虐待というものもございますし、そういった意味では、施設の 中で切り離しながら、あるいは職員が子ども側に立ち、もう一人の職員は母の側に立ち というような調整をしたりという具体的なことなんかも現実にはなさっておりますの で、そういった部分で家庭復帰ということも含めて、いろいろ考えさせていただこうか なと、こう考えております。 ○松原委員長  ありがとうございました。どうぞ。 ○野田委員  2点あります。1つは、これが柱立てに及ぼすものかどうかがわからなくて、発言を 逡巡していたんですが、1つは社会的養護に関連して、現実の場面を見ていますと、親 もしくは親権者、あるいはここの流れの用語で言えば、家庭養護とでもなるんでしょう か、そことの関係性がどうなっていくのかというのが、実際のところでは非常に大きな 課題だろうというふうに思っておりまして、そこのところが一旦遮断されて、実際の社 会的養護の中のことだけを議論するんだということでしたら、特段こだわらなくてもい いかなというふうに思うんですが、実際の処遇場面では、例えば親が来たときにどう対 応するか等々、あるいは引取人をどうするかを含めての課題等があるかというふうに思 いますので、親もしくは親権、もしくは家庭養護とのパートナーシップの側面と、やは りそこのところをどのようにコントロールしていくのかと、そこは社会的養護の中に入 るのかなというふうに思っております。  2つ目の施設養護の2つ目の○に、生活機能と治療機能と、先ほどはメディカルなも のだけを含むんではない、もう少し多様なということだったと思うんですが、もう一つ の虐待の専門委員会の議論等々から考えていても、ここの治療機能というところ、施設 種別にこだわらないということですが、仮に名前を挙げれば、例えば情短や児童自立支 援施設等々が持っているようなさまざまな機能、あるいは今後期待されるであろう機能 というところを、どこで議論するのかなというところで言うと、専門性のところにも関 わりますが、表題的にはここの治療機能というところがさらっと出てきていたものです から、なかなかこれは大きな問題かなというふうに思っておりまして、当然焦点は当た っているというふうには思いますが、以上の2点について述べさせていただきました。 ○松原委員長  ありがとうございました。十分この中で議論をしていかなければいけない問題だと 思っておりますし、生活支援施設については、私個人的には、この社会的養護の1つの タイプだというふうに考えておりますので、十分この委員会の中で、在り方を巡って議 論をしていけるのではないかなと考えております。  さて、それでは、先ほど唐沢課長が、3番目のところで、今日は特に一言ずつ発言を していただきたいという御要請もありましたし、残された時間が大分迫ってまいりまし たので、個々中身のことについて、御発言あるいは御意見、御質問等をいただきたいと 思います。  どなたからでも結構ですが、いかがでしょうか。 ○坂本委員  検討課題に関連しまして、3点御意見を申し上げたいと思います。  まず、連続性というところですけれども、今、施設入所児がさまざまな問題行動を起 こすという現状があるわけなんですけれども、そこの背景を見ておりますと、乳幼児期 から施設生活を送ってきた、なにしろ長期に施設に在籍している子どもにそういった問 題を起こすという傾向が多く見られるということでございます。  ですから、ケアの連続性という観点をとらえるときにも、施設内でのケアの連続性と いう視点も一つ要るんではないかというふうに思います。それは、ここの施設の小規模 化というところと大いに連動するところでもあろうかと思います。  2つ目ですけれども、今も唐沢課長からもお話がありましたように、里親制度のみを 今の現状で普及、発展させるという視点ではなく、もう少し施設の機能と里親が持つい い機能とどういうふうにドッキングさせていくかという、両方の統合という視点で考え ていくというのがあるんではないかというふうに思います。  と言いますのは、今の里親さんには、非常に過重な負担を与える結果になり、一般的 な支援が必要な家庭と変わらない孤立化という現象も現に起こっておりますので、そう いった視点が必要であろうと思います。  3点目としましては、ここのところにもありますように、子どもの権利擁護の強化と いうことです。子どもの権利擁護というとらえ方も非常に幅広いものがあるんですけれ ども、とりわけ救済、何か問題が起こった場合に施設を利用している子どもの権利救済 のシステムがやはり何らかの形で強化される必要があるんではないかということを感じ ております。  最後に、5つの視点で、極めてさまざまな内容が整理されていると思いますが、どの 項目に関しても、やはり子どもの福祉を考える場合には、家族という視点、特に家族へ の支援というものを常に並行して考えていくということを確認させていただけたらとい うふうに思っております。 ○松原委員長  ありがとうございます。先ほどの野田委員の御発言にもつながるところがあったかと 思います。  ほかにはいかがでしょうか。どうぞ。 ○庄司委員  余り発言してはいけないかもしれませんけれども、今の坂本委員の御発言につなげて 言うと、児童の権利擁護は、施設に入所している子どもに対しては、それなりの仕組み ができている部分があると思うんです。  それに対して、里親に委託されている子どもは、そういう仕組みがまだほとんどでき ていない、これをどうするかということが1点。  それから、同じ里親で言えば、自立支援に関しても、かなり多くの子どもが委託を解 除された後も、里親と同居をしているという現状もあるわけで、自立支援のところでも 里親についても含めて考えていただきたいと思います。  もう一点、ちょっと別のテーマになりますけれども、一番最初の社会的養護の在り方 のところで、施設養護と家庭的養護等とはなっていますけれども、ここにグループホー ム、あるいは小規模施設を含めてどのようにグループホームの機能を見たらいいのかと いうことを議論していただければと思います。 ○松原委員長  ありがとうございました。奥山委員、それから次に、では加賀美委員どうぞ。 ○加賀美委員  先ほど野田委員の方からもお話があったんですけれども、家族の問題を全然抜きにし て社会的養護を考えるわけにはいかないわけですけれども、そういう意味でも、この議 論の進め方として、まずもって、ここの社会的養護の在り方について、社会的養護をど う位置づけて考えていくのかというところは、まず、全体のシステムに関わるところな ので、是非議論をしていって、それから各論に入っていくという流れが必要かなという ように思いますので、是非よろしくお願いします。 ○松原委員長  奥山委員どうぞ。 ○奥山委員  先ほど来、家族が大切であるとか、子育て支援とかという言葉が出ているんですけれ ども、やはり1つどうしても抜かしてはいけないのは、子どもの視点というのは、絶対 に必要で、忘れてはいけない視点なんだろうと思います。子育てとか、養育ということ になりますと、どうしても大人側の考え方が中心になってしまいますので、子どもの視 点でものを見て、常にそこに立ち返っていかなければいけないだろうというふうに思い ます。  いつも子どもの視点で、子どもの権利ということが本当に守られているのかというこ とをきちんと考えていくことがとても大切だろうと思うんです。  例えば、命の安全が守られる権利だけでなく、教育を受ける権利とか、いろんなこと があるでしょう、ケアを受ける権利、そういう権利が本当に守られているのかというこ とは常に見ておくべき問題だろうというふうに思います。  そういう意味で、社会的養護ということが非常に重要になってきている背景として、 子どもは社会が守るべきものなんだという意識をやはり全体に持っていかなければいけ ない、それもある意味で広めていかなければいけない、親は何をしてもいい、あるいは 大人は何をしてもいいという問題ではないということを中心に据えなければならないだ ろうと思うんです。  もう一つが、育児の社会化という問題が、多分背景には多少横たわっているのかなと 思います。ただ、この問題に関しては、一般保育の問題が入ってきてしまうので、ここ の中ではとても広がってしまって、全体の議論はできないでしょうけれども、一つの社 会的な方向として介護の社会化があり、育児の社会化が今後少しずつ進んでいくという ふうに考えた方がいいだろうと思います。大きな面では、今のようなことが頭に浮かん できました。  もう一つ、今度はちょっと小さい話題に入りますと、先ほど来出ております、家族へ の問題ということを考えていったときに、やはり「2.施設養護のあり方について」の ところに、生活機能、治療機能などのケア機能とあるんですが、その下から2番目とも 関係するんでしょうけれども、やはりここにどうしてもソーシャルワーク機能というの を入れていかないと、家族あるいは地域へのサポートというのが、なかなかうまくいか ないんではないかなというふうに思いました。 ○松原委員長  ありがとうございました。どうぞ。 ○四方委員  奥山先生がおっしゃったことの関連で、やはり最初の目的のところでございますが、 多くの養護的なケアが必要なお子さんに関わっていますと、やはり今の子育てそのもの が、いわゆる家族とか、あるいは親が、あるいは家族の崩壊とか、大変そのところに焦 点が当たってくるんですが、実は私たちが一番気になりますのは、やはりそういう人た ちの孤立化の問題でありまして、恐らく全部と言ってもいいぐらい孤立化した中でのい ろんな崩壊が起こってきているわけです。  一番理念として子どもを守ると、今、奥山先生の方から出ましたが、もう一つ非常に 大きな観点として、子どもを社会の中で育てていくんだというような理念をまず持たな いと、それを社会全体が持っていきたいものだと思っております。  と申しますのは、かつてさまざまな情短などができますときに、これはもう大変な地 域の反対でございます。社会的養護どうのこうの言っている以上に、何か大変なものが やって来たというような感じさえございますので、まず、一番最初に共通認識としてそ ういうものを持っていかねばならないんではないかと思っております。 ○松原委員長  ありがとうございました。ほかにございますか、兜森委員お願いします。 ○兜森委員  母子生活支援施設の現場の仕事をさせていただいて思いますことは、非常に大上段に 構え過ぎる言い方かもしれませんけれども、権利擁護というのが一番基本にあるだろう ということを常々考えております。  この柱立ての中にも、児童の権利擁護の強化ということが出てきたり、今までの御意 見の中でも子どもの視点というような御意見が出ておりますけれども、まさにそうだと 思うんですけれども、それ以前に、さっきDV問題に触れて、そのお子さんも被害者だ と、虐待の被害者だとというふうに申し上げましたけれども、その根本に人としての権 利をきちんと守っていくという考え方が、さっき唐沢課長さんがおっしゃいました、国 民全体が理解できるような言い回しでというようなこととも関連してくると思うわけで す。  つまり、児童の権利を擁護する、これは取りも直さず、日本の国家全体にと言うと、 大変大きな話になりますけれども、権利をきちんと守っていくんだと、人は人として幸 せに生きていく、そういった文化をつくっていくんだというような発想が必要だろうと 思うわけです。  つまり、DV被害者につきましても、男女が文化的な性差別を受けていく中で生じて くる実態がございまして、児童虐待についても、やはり同じような構図があるんだろう というふうに思うわけです。その辺を基本に据えて、考えていきたいと思います。 ○松原委員長  ありがとうございました。高橋委員お願いします。 ○高橋委員  先ほど社会的養護の在り方の基本的なところで、地域養護ということの重要性という ようなことをお話しをしましたが、基本的には社会的養護が、施設養護と家庭的養護と いうよりも、施設養護から家庭的養護へという、施設も小規模化し、里親も社会的な養 育を担っていくような意識、この将来的な視点というのがあるんではないかと思うんで す。  そういうことからすれば、施設のありようも大きなものから小さなものへということ にもなりますし、地域社会の中で、より普通の生活を子どもたちに提供するということ でのグループホームだとか、里親の拡大したようなホームのありようというのが、必然 的にイメージとしては理解できるんではないかと。そして、更に家庭的養護という質の 問題へとつながっていくんだというふうに思うんですけれども。  まず、子どもたちにごみの海の中で生活していたような被虐待児を、普通の畳の上で 生活させるというふうなこと。そして、またそれが小さな家庭サービスで生活ができる というようなこと。そして、個々に持つ問題をどういうふうにとらえて、それに対して 援助していくのかというふうな整理が、やはり全体的にあっていいような気がするんで すけれども、そういうことから子どもたちがより家庭に近い、実の親と、または実の親 ではないけれども、親に近い人たちの思いを共有していく中に将来の自立ということが 考えられるような気がするんです。  だから、やはり施設養護から家庭的養護へという表現が必要なんではないかというふ うに思います。 ○松原委員長  ありがとうございました。ここの点については、これから議論をしていくことになろ うかと思います。  ほかにございますか、才村委員お願いします。 ○才村委員  皆さん、いろいろと意見を言われまして、大体出尽くされたのかもしれないんですけ れども、私自身も、里親制度がなぜ日本に根づかないのか、いろいろと考えているんで すけれども、やはり子どもの権利条約では、第一義に里親を家庭的養護をということ で、日本ではかなり数が逆転していると、なぜできないのかなと考えるんですけれど も、日本の風土と言いますか、なかなかその中で血縁の社会というものが、まだまだ根 づいていて、いろんな多様な家族を受け入れる社会づくりが、まだまだ十分熟していな いという、そういう風土があるのかなと。そこの辺りの啓発と言いますか、そのような ところもちゃんとやって、普及・啓発の中に是非入れていかないことには、それぞれの 生き方、いろんな多様な人間を受け止められる社会というものが必要なのかなと思いま す。  それで、日本では、先ほど高橋先生も言われましたように、里親からではなくて施設 から里親の家庭的養護へという、私も共存するやり方、いきなり里親はなかなか難しい ですので、施設と里親が共存できるようなやり方が、一番現代の日本にはふさわしいや り方なのかもしれないなということ。  それから、里親制度の普及については、やはり今の児童相談所がそういうサポートを する機関であるわけですけれども、なかなか施設養護よりも家庭的養護、里親さんに託 す方がかなり困難という、その体制が十分できていないというところがありますので、 やはり始めから完璧にできる里親さんを認定するという形ではなくて、動機があったら 子どものことを考えてもらえるような里親制度にふさわしい方に代わっていける方へど う啓発していけるかというところからスタートしないことには、完璧な人を里親に選ん でいるということではなかなか広がらないというふうに思います。  もう一つ、ちょっと長くなりますけれども、里親制度に絡んで、私はやはり子どもの ために特別養子縁組制度というのがありますので、やはり子どものための養子あっせん ということも児童相談所の役割でもありますので、ここでそういうことも少し触れて、 子どものパーマネントプランニングとして、やはり養子にあっせんするということも1 つの方法ではないかというふうなことも入れていただきたいなと思います。  それから、5番目の児童の権利擁護の強化についてなんですけれども、子どもの権利 擁護の強化だけではなくて、家族のエンパワーメントと言いますか、親の代弁者と言い ますか、そういうふうな面も支援していく方策で、施設か家族かだけではなくて、実の 家族を、例えば施設や里親さんが支援していく形というようなものが是非必要ではない かと思います。 ○松原委員長  ありがとうございました。4番目の柱に年長児童ということが挙がっておりまして、 武田委員何か、あるいは徳地委員どちらでも、あるいは両方発言をしていただきたいん ですが、どちらからでもお願いいたします。 ○武田委員  意見は、大分出たようなので、ちょっと感想を述べさせていただきます。  前回の児童福祉法改正の前の委員会、96年2月から7月に行われた「児童の自立支 援あり方検討会」に私は一度出させていただいたことがあって、それ以来、自立支援と いう言葉が法律や制度の中に入ってきて、私たちは「自立援助ホーム」という東京都が '84年に制度化した施設をずっとやってきた中で、自立という言葉がやたらに使われる ようになりいささか面食らっています。けれども、それから6年〜7年経って、私たち 自立援助ホームはほとんど変わっていないという中で、今回このプログラムの中で、唯 一具体的な施設名が挙げられているというところでは、もう一度何かこちらからお願い できることがあるのかなということで、ちょっと期待をして伺っていますので、是非そ の辺で皆さんの御意見を伺う時間をとっていただけたらというふうに思います。  それから付け足しですけれども、私もよく知らないんですけれども、女性プロボクサ ーでライカという若い女の子がいるんです。彼女が、関西の養護施設で育った、まだ30 にはなっていない人なんですけれども、日本で初めての女子プロボクサーということを この間初めて聞いて、先日『徹子の部屋』で話をしたらしいんですけれども、短大ぐら いまでいったかなりの頑張りを持っている女性だったんですけれども、育った施設には 好感を持っていて、それでもやはり自分の帰るところがほしいんだということをお話に なったみたいです。新潮社から「私は『居場所』を見つけたい」(来家恵美子著)を、 出版しています。私たちのところに来る子どもを含めて、心に穴が空いていると言う か、何か満たされないものがある。それは普通に親に愛されて育った子どもとは違う、 言葉で言い表わせないものを持って、それぞれの人が苦労しているんだなということを つくづく思います。虐待という言葉も非常に使われるようになりましたけれども、私た ちの施設の生活では虐待とか自立という言葉はまず使わずに、そういう子どもも含めて やって来るのが当然だと思ってやってきました。それを思うと、虐待という言葉より も、むしろ「心に穴が空いてしまっている」とか、「家族を奪われた」とか、もう少し 強烈ではない言葉で、こういう人たちのことをこれから長く考えていかなければいけな いんではないかなという感じがしました。 ○徳地委員  私の考え方も同じであります。児童自立支援施設の現状というものを踏まえてほしい んですが、平成9年に児童福祉法が一部が改正されまして、入所児童の対象の幅が随分 広がっていきました。というわけで、児童相談所の方も非常に児童自立支援施設に対す る使用頻度と言いましょうか、非常に多くなってきました。  いわゆる療育の非常に指導の困難な子どもが多くなってきまして、先般、全国児童自 立支援施設の方へアンケートを出したんですが、全体的には12%が非常に指導が難しい と、一番多いのが、ADHD、注意欠格多動性の子どもが一番多い、そのほかにてんか んだ、統合失調症だ、うつだというのもありますし、行為障害、それからいろいろ虐待 が根底にあるそういうふうな何らかの障害について、やはり現状としまして、四苦八苦 しているのが現状なんですが。  先般行いました虐待の統計でいきましても、全国的な平均は60%、統合失調証に関し ては84%が何らかの虐待を受けていると。  そういうような子どもが、やはり社会復帰し、家庭に帰るようなこともあるんです が、中には家庭に帰れないようなケースが多々ありますので、そういうふうな対象児童 の子どもに対しては、社会的にどういうふうなつながりをしてやっていくのか。これは 現在非常に大きな課題なわけです。  うちですと、現在、40%が中学校卒業です。女子の方へいきますと、特に3月で卒業 しますと、そのまま残っていますので、約70%が中学校を卒業しているということで、 現在非常にそういうふうな中学校卒業生がいる中で、具体的にそういう年長児に対する 支援がまだまだ不十分な状態ですので、今回こういうふうな委員会に出席できまして、 今後我々児童自立支援施設がいかにこういう子をケアするか、一番大きな課題だと思っ ております。  以上です。 ○松原委員長  ありがとうございました。年長児童に関わる2人の委員から御意見をいただきまし た。先ほど庄司委員長代理の方から、そういう年長児童を考えていく際にも、乳幼児期 から考えなければいけないお話がありました。  今日は、乳児院ということで、安達委員一言御発言いただきたいと思います。 ○安達委員  今のこの検討課題につきまして、ほとんど乳児院の方からしますと、網羅されている んではなかろうかなと思っているんです。  その中で、資料の中にもございますけれども、「21世紀の乳児院のあり方を考える特 別委員会」、これは今、庄司先生を中心にまとめていただいたんだということなんです けれども、中身の方はごらんいただければと思います。  ただ、今、ここに話がありまように、私どもは、子どもを見て、今までずっと仕事を してきた、つまり子ども中心で仕事をしてきたというのが、だんだんその施設の中だけ ではなくて、外にも伺って仕事をしなければならなくなってきたとしますと、今までの 仕事が90%、100 %の仕事をしていたとすれば、その外に向かっての仕事が随分ウェー トが大きくなってきている。  一方では、職員の専門性でありますとか、いわゆるマンパワーということについての バランスというものを取っていかなければならない。なかなかこれがうまくいかないん ではないかなというように感じているところなんでございます。  ですから、そういう意味で、ここにもいろんな提案がなされているので、是非どんど ん進んでいけばなというふうに思っております。  以上でございます。 ○松原委員長  ありがとうございました。一応、全委員から御発言いただいたと思うんですが、ほか にいかがでしょうか。今日スタートになりますので、今後の議論に向けての御提案等で も結構です。  今日の話の中では、社会的養護そのものについて、一度きちんと押さえておこうとい う御意見や、四方委員がおっしゃっていましたが、それを私どもはこういう機会に社会 に向かって発信をしないといけないんではないかというような御意見もいただいて、具 体的には繰り返しませんけれども、子どもの視点という点からの検討と同時に家族をど う支えていくかということも視野に含めるべきだということで、個々にさまざまな御意 見をいただきましたが、いかがでしょうか。 ○野田委員  今、おっしゃっていただいた社会的養護のところで、先ほど私は、親、あるいは親権 のことに触れて発言させていただきましたが、これは片方でもともとの親を支えるとい うことと同時に、事例によっては、そこをきちんと切らなければいけないと。その切る 手続であるとか、あるいは切る機関の専門性であるとか、その辺りは虐待の方、もしく は非行のケースが多いですから、もう一つの専門委員会の方で十分御議論いただいてい るというふうに思うんですが、私も趣旨としては、奥山委員がおっしゃられたものと全 く同旨で、子どもにとっての最善の利益、ですから大学での授業風に言えば、ここのこ とというのは、要するに児童福祉法の第1条の国と地方公共団体が保護者とともに健全 育成するんだということ、子どもの権利条約の3条辺りを柱にしながら、絵を描くこと になるんだろうなというふうに思うんですが、そこのところでの社会的養護というふう に言ったときに、家族再統合の問題が一方である反面、やはり虐待のケースであると か、あるいは不適切な子育てをしてしまう。そういう保護者の方、あるいは親権者の方 が関わってきたときに、社会的養護は社会的養護としてどこまで安定しながら、子ども の最善の利益のための安定度を保てるのか、そこの仕組みというか、あるいは制度、あ るいはそこの方針、その辺りが実際のところでは非常に見立てが不十分なままで、やは り親が言ってきているんだからみたいな形で揺いでしまうということは、実務上も多々 見るものですから、先ほどからの御議論の中で、やはり親ということを勿論支えること は大事なんですが、そこのところについて御議論いただきたいなというのが先ほどの趣 旨と同時に、私の問題意識です。 ○松原委員長  ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。  そうしますと、一応事務局の方で用意をしていただきました1〜6に関しては、柱立 てということで御賛同いただけたということで、これから議論を進めていきたいと思い ますが、唐沢課長が3つ発言をされました2つ目のところで、いわゆる当面の課題と、 中長期的な課題があるだろうということで、混在をしているという、事務局自らの御指 摘がありまして、とは言え、9月までに何らかの形で報告書をまとめなければいけない ということもございまして、次回以降の進め方について、何か御意見があれば、では坂 本委員お願いします。 ○坂本委員  非常にたくさんの検討課題がございますし、今、各委員の方々からも大変貴重な意見 もございました。大変盛りだくさんの内容を検討していくということでございますが、 9月を目途にということが説明されておりますけれども、そういった限られた時間の中 で、どうなんでしょうか、十分な議論が可能なのかどうか、この辺の日程についてどう いうふうにしていくかということはお考えいただきたいと思います。 ○唐沢課長  それでは、今、坂本委員から御指摘がございましたので、今日、先生方から御意見を いただいた項目は、全部は直し切れませんけれども、それぞれの課題の議論をする際に は、ちゃんと整理をして、御議論をいただけるようにしたいと思っております。  それから、この検討課題の案に、今日の先生方のものを全部入れ込めませんが、これ を一応資料として使うときには、今日の中のものを幾つか整理をさせていただくととも に、全部書き切れないので、一番上のところを主な検討課題というふうに変えさせてい ただきます。委員長、委員長代理と御相談をさせていただいて整理をさせていただくと いうことで御容赦をいただきたいと思います。  それから、坂本委員から御指摘がございましたように、大変大きなテーマで、本質的 な事柄が入っておりますので、短い時間の間に御議論いただくのはなかなか大変でござ いますので、私どもとしては、また先生方に、委員長、委員長代理とも御相談しなが ら、お話を申し上げたいと思っておったんですが、どこかで集中的に御議論をするよう な機会をいただければと、終日と言うと変ですけれども、私どもには国立施設の養成所 というところがございまして、そこにお泊まりしていただくことができますので、そう いうようなことも視野に入れて御相談いたしたいと思いますので、よろしくお願いいた します。 ○松原委員長  非常に積極的な前向きな御発言がございまして、2点、坂本委員から御指摘がありま して、1つは今日いただいたさまざまな御意見についての整理と、今後の論点の整理に つきましては、事務局、それから私と庄司委員の方で少し整理をさせていただくという ことを御許可をいただきたいというふうに思います。  2点目は、非常に大切な問題ですし、それから論点がたくさんございますので、確か に一回、一回お集まりいただいて限られた時間の中でということでは限度があるかもし れませんので、各委員の御予定も確かめながら、どこかで集中的な議論をする時間を、 比較的長い時間を設けさせていただくと、この辺も今後皆様方の御予定を伺うと同時 に、実際にどこでどういうふうにやるかについては、事務局と私と庄司先生の方で調整 をさせていただきたいというふうに思います。  坂本委員、どうもありがとうございました。  ほかに特段御意見がなければ、ぼちぼち時間が来ておりますのでしめさせていただき たいと思いますが、よろしいでしょうか。  本当に、今日は熱心な御議論をありがとうございました。これで終了させていただき ますが、次回の日程等について事務局から御説明をお願いいたします。 ○梶原児童福祉専門官  次回の日程につきましては、改めて御案内差し上げたいと思いますが、今、集中的な ということも出ましたので、各委員の封筒の中に、日程調整のために調整表が入ってい るかと思います。その辺の御記入をお願いしたいということと、もう一つは関係書類が 入っておりますので、その辺の御記載もお願いしたいと思います。  また、今回新たに専門委員になられた方には、辞令書が封筒の中に入っているかと思 いますので、おおさめいただきたいと思います。  必要書類は、本日記載して提出いただける方はお願いしたいと思いますが、また後日 課の方にファックス等で送信していただいても結構でございますので、よろしくお願い したいと思います。 ○松原委員長  それでは、これをもちまして、今日の「社会的養護のあり方に関する専門委員会」を 終了いたします。  長時間にわたり、ありがとうございました。 (照会先)    厚生労働省雇用均等・児童家庭局家庭福祉課    〒100-8916 東京都千代田区霞が関1−2−2          電話 03−5253−1111 (内線7889)          (担当)指導係