03/05/09 薬事・食品衛生審議会化粧品・医薬部外品部会 平成15年5月9日議事録 薬事・食品衛生審議会 化粧品・医薬部外品部会 議事録 1.日時及び場所   平成15年5月9日(金) 14:00〜   医薬品医療機器審査センター第2会議室 2.出席委員(9名)五十音順   井 上   達、○大城戸 宗 男、 奥 田 晴 宏、 神 田 敏 子、   杉 村 民 子、 米 谷 芳 枝、◎溝 口 昌 子、 望 月 正 隆、   吉 岡 初 子 (注) ◎部会長 ○部会長代理   欠席委員(2名)   長 尾   拓、 山 本   都 3.行政機関出席者   鶴 田 康 則(大臣官房審議官)、 安 倍 道 治(審査管理課長)、   豊 島   聰(医薬品医療機器審査センター長)、   辻 村 信 正(医薬品医療機器審査センター審査第三部長)  他 4.備  考   本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長 定刻となりましたので、ただいまから薬事・食品衛生審議会化粧品・ 医薬部外品部会を開催させていただきます。私は審査管理課の安倍でございます。どう ぞよろしくお願いいたします。当部会委員数は11名で、現在までのところ9名の御出席 をいただき、定足数に達していることを御報告申し上げます。本日先生方におかれまし ては、大変お忙しいところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。では最 初に鶴田審議官より一言ごあいさつをさせていただきます。 ○審議官 医薬担当審議官の鶴田でございます。本日は大変お忙しい中御出席いただき まして、ありがとうございます。委員の皆様方には、日ごろ医薬安全行政に多大なる御 理解と御協力を頂いていることにつきまして、重ねてお礼を申し上げたいと思います。 この化粧品や医薬部外品につきましては、我々にとっても国民にとっても非常に身近な ものであるということから、この安全性や有効性については関心が大変高くなっている わけでございます。一方、新しい技術の開発や国際的な企業の展開など、化粧品、医薬 部外品を取り巻く環境も大きく変化してきております。  こうした薬事に関する状況の変化に的確に対応するために、昨年7月に薬事法の一部 を改正したわけでございます。また、来年4月には独立行政法人医薬品医療機器総合機 構が発足することとなっております。本日は新医薬部外品について御審議いただく予定 になっているわけでございますが、委員の皆様方におかれては薬事・食品衛生審議会に 対する国民の厚い信頼にこたえるべく、それぞれの専門分野におきまして最新の科学的 知見、豊かな経験を基に厳正な御審議をお願い申し上げたいと思います。簡単ではござ いますが、あいさつに代えさせていただきます。ひとつよろしくお願いいたします。 ○審査管理課長 ありがとうございました。それでは委員の改選がございましたので、 席順に御紹介させていただきます。まず、当部会の部会長である溝口昌子委員でござい ます。井上達委員でございます。大城戸宗男委員でございます。奥田晴弘委員でござい ます。神田敏子委員でございます。杉村民子委員でございます。米谷芳枝委員でござい ます。望月正驤マ員でございます。吉岡初子委員でございます。なお、本日御欠席では ございますけれども、2名の委員を御紹介させていただきます。長尾拓委員と山本都委 員でございます。以上11名の委員の先生方を御紹介させていただきました。それでは溝 口部会長、以後の進行をどうぞよろしくお願いいたします。 ○溝口部会長 それでは議事を進めさせていただきますが、委員の改選がございました ので、審議に入る前に部会長代理の選任を行いたいと思います。部会長代理は部会長が 指名することになっておりますので、これまでも代理をお願いしてきた大城戸先生にお 願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。ありがとうございます。それでは大城戸 先生、よろしくお願いします。こちらの席の方にお移りください。 ── 審議官退席 ── ── 大城戸委員、部会長代理席へ移動 ── ○溝口部会長 それでは本日の議題に入りたいと思います。まず、事務局から配付資料 の確認をお願いいたします。 ○事務局 それでは本日の資料について御説明させていただきます。事前に先生方に資 料1を送付させていただいております。まず最初に議事次第、続きまして座席表、それ から資料1の製造承認の可否について、資料2の「コウジ酸を含有する医薬部外品等に 関する安全対策と、これに基づく医薬部外品の他の有効成分に切替えを行う場合の迅速 処理対応について(報告)」、以上が本日の資料でございます。それでは部会長、進行を よろしくお願いいたします。 ○溝口部会長 それでは議事に入ります。まず議題1、「医薬部外品『資生堂ホワイト ニング』『資生堂ホワイトニングエッセンス r』『資生堂ホワイトニングエッセンス s』の製造承認の可否について」の説明を、事務局からお願いいたします。 ○事務局 それでは審査センターから御説明いたします。誠に申し訳ございませんが、 まず資料の訂正をさせていただきます。資料1の表紙に「諮問書」と書いてありますが、 3枚めくっていただきまして「記」というところがございます。これの「効能・効果」 のところで、「日やけによるしみ・そばかすを防ぐ」となっております。それからその 次の「審査結果」の「効能・効果」で、同じく「日やけによるしみ・そばかすを防ぐ」 となっておりますが、この二つが承認申請時に申請者が書いてきた効能でございます。 その次にもう一枚めくっていただいて「審査報告」にありますように、これは専門協議 の中で「メラニンの生成を抑え、しみ・そばかすを防ぐ」という形で最終的にOKにな った品目でございますので、前の2か所の「日やけによるしみ・そばかすを防ぐ」とい うのは「メラニンの生成を抑え、しみ・そばかすを防ぐ」という形に訂正させていただ きたいと思います。  それから完全な誤字でございますが、この「審査報告」から下にページ数を打ってい まして、その5ページの上から12行目の一番最後のところに「仙・尾椎骨」と書くべき ところが、「脊椎」の「脊」の字が入って「尾脊骨」になっておりますけれども、これ は「脊椎」の「椎」の字で「尾椎骨数の低値」という形になります。誠に申し訳ござい ません。  それでは、この資料1の「審査報告」に基づきまして御報告させていただきます。本 品は株式会社資生堂で開発されたもので、新有効成分4-メトキシサリチル酸カリウム塩 (以下「4MSK」)を□%配合するクリームと□%含有する乳液でございます。1ペー ジの上の方にございますが、その他の有効成分といたしましては、グリチルリチン酸モ ノアンモニウムを□%、酢酸dl-α-トコフェロールを□%、パントテニールエチルエー テルを□%配合しております。4MSKはメラニン合成に関連するチロシナーゼ活性阻 害を有する化合物として、既存の文献で多く報告されているフェノール性水酸基を有す る化合物について、チロシナーゼ活性阻害、それからメラニン生成抑制作用等を指標と して評価を行った結果得られた合成化合物です。日本で開発されたものですので、海外 における使用実績はございません。  次に審査センターにおける審査の概略を御説明いたします。まず開発等の経緯につき まして、2ページにありますように、まず4MSKの配合量がクリームで□%、乳液で □%としている理由について、申請者は製剤上の理由であるとしており、有効性に違い があるとのことでございましたが、両製剤の必要性と市場における意義等について申請 者に説明を求めました。申請者からは、同様のメラニン生成抑制効果を持つアルブチン という成分と比較した場合、4MSK□%配合クリームはアルブチン□%配合製剤と比 較して優れた有効性を示し、4MSK□%配合乳液はアルブチン□%配合製剤と比較し て優れた有効性を示しておりまして、市場で意義のあるものと考えるとの回答を得てお ります。  有効性、安全性両方の観点から、4MSKとサリチル酸及びサリチル酸誘導体の類似 性、差異を明らかにし、医薬部外品としての妥当性について考察するように求めました。 外用剤に使用する場合のサリチル酸について、4MSKの配合量に近い量で角質溶解作 用を有することから、4MSKで同様の作用が見られる可能性はないのか等、局所での 作用について十分考察するように申請者に求めました。その結果申請者からは、メラニ ン生成抑制作用以外の薬理作用はサリチル酸より弱いと説明されております。さらに、 1%サリチル酸と同程度のわずかな角質溶解作用は実使用に認められるのか、認められ るとすれば有効性、安全性への影響をどのように考えるのかを説明するように求めまし たが、経皮水分蒸散に変化を与えない等の理由で問題が生じる可能性はないとの回答を 得ております。  それから3ページの規格及び安定性の試験でございますが、有効成分である4MSK 等について提出された規格、安定性については、審査の過程において申請者から適切な 対応がなされたこともあり、特に問題はないと考えております。  4ページの安全性に関する資料の審査でございますが、有効成分である4MSKの安 全性につきましては、そこに記しているように「急性毒性試験(皮下)、反復投与毒性試 験(皮下)、反復投与毒性試験及び実使用条件下における血漿中濃度測定試験」等の試験 がなされております。「審査報告書」の4ページにまとめてございますように、ラット 28日間連続皮下反復投与毒性試験での無毒性量は、雌雄ともに25mg/kgと推定されてお りまして、この際のラットにおける4MSKの血漿中濃度は135μg/mL、その濃度と、 ヒト顔面面積の割合と同じラットの体表面積に4MSK□%クリームを塗布した場合の 血漿中濃度476ng/mLを比較いたしますと、安全倍率は約280倍と算出されています。そ れから、ヒト実使用時の血漿中4MSK濃度を測定した結果では105ng/mLであったこと から、ラット無毒性量の血漿中濃度との比較では安全倍率は1,280倍と算出されており ます。  5ページに移りまして、ラットを用いた皮下投与による胚・胎児発生に関する試験が 実施されております。次世代については250mg/kg群に小下顎、小口、横隔膜ヘルニア、 椎体分離の出現が認められました。このうち椎体分離につきましては、4MSKの影響 であるが、他は投与とは無関係とされております。他に250mg/kg群で雌雄の胎児体重、 胎盤重量、中手骨数及び仙・尾椎骨数の低値が認められ、これらは4MSKの影響と考 えられました。皮下投与での無毒性量は、親動物に対する一般毒性学的無毒性量が25mg /kg、次世代の形態形成及び発育に関しては80mg/kg、親動物の生殖及び次世代の生存に 関しては250mg/kg群と推定されております。ラットを用いた皮下投与による催奇形性に 関する追加試験が実施されておりまして、妊娠10日の単回投与では4MSKによる催奇 形性は500mg/kg投与では認められませんが、対照としておいたサリチル酸ナトリウムで は200mg/kg以上で認められたことから、本成分4MSKによる催奇形性はサリチル酸ナ トリウムより弱いと考えられております。  5ページの下から5行目に遺伝毒性についてまとめてありますが、4MSKについて チャイニーズハムスター肺由来線維芽細胞による染色体異常試験の結果、直接法で主と して切断型の染色体構造異常を誘発したことから、in vitroでは染色体異常誘発性を有 すると判断されております。マウスによる小核試験が行われておりまして、4MSKは げっ歯類の骨髄細胞に対して染色体異常誘発性を示さないと判断されました。これらの 結果から、4MSKはin vitroで哺乳類の培養細胞に対して染色体異常誘発性を示しま したが、生体でそのような作用を及ぼす可能性は低いものと判断されております。  それから6ページにまとめてございますように、刺激性、光毒性、感作性試験が実施 されていますが、特に問題はないとされております。さらに8ページの1行目からまと めてございますように、ヒト連用試験等により実使用時の安全性について問題ないと判 断されております。  同じ8ページの下から7行目にありますように、専門協議の内容を踏まえまして、申 請者に以下の点について説明するよう求めております。まず、塗布量から算出した安全 係数について説明を求めました。申請者は、実使用を想定した塗布試験での塗布量と、 ラットの経皮吸収試験で得られた吸収率から算出した全身暴露量は0.065mg/kgとし、反 復投与毒性試験の無毒性量25mg/kgに基づいて塗布量から算出した安全係数を求めると 約380倍となりまして、血中濃度から求めたものよりも上回る値であったと回答してい ます。ラットを用いた皮下投与による出生前、及び出生後の発生並びに母体の機能に関 する試験におきまして、250mg/kg群で妊娠期間の延長が認められていることを踏まえ、 妊婦への安全性について考察するように求めました。それに対しまして申請者は、当該 試験において250mg/kg群で対照群と比較して半日程度の妊娠期間の延長が認められた が、この影響は本成分の影響であったとしても軽微なものであるとしております。それ から当該試験の無毒性量80mg/kgにおけるラットの最高血漿中濃度、及びヒトの4MS K配合クリーム塗布後の最高血漿中濃度から算出される安全倍率は2,286倍であったこ とから、安全性の問題は極めて低いと回答しております。  さらに審査センターから、染色体異常試験で陽性が認められたことについて、それか らアスピリン不耐症の患者への安全性について申請者に確認を求め、審査センターとし てはその回答について了承しております。  次に効能・効果における基礎試験等についてでございますが、in vitroにおける試験 として4MSKのマッシュルームチロシナーゼに対する活性阻害作用試験が実施され、 結果についてアルブチンとの比較が行われました。その結果、4MSKはアルブチンと 同様にマッシュルームチロシナーゼ阻害活性作用を有し、50%阻害濃度を比較すると4 MSKの方が上回っていたと。また、4MSKのチロシナーゼ活性阻害様式は主に拮抗 阻害であると考えられております。それから4MSKのB16マウスメラノーマ培養細胞 におけるメラニン生成抑制作用試験が実施されておりまして、その結果についてアルブ チンとの比較が行われました。その結果、4MSKの濃度に依存したメラニン生成抑制 作用が認められましたが、アルブチンとの比較においては4MSKの作用が下回ってい たという結論になっております。 配合量設定の検討が行われておりまして、ヒトでの紫外線照射による色素沈着防止効 果での試験が実施されています。同様のメラニン生成抑制効果を持つアルブチンで、既 に承認されている□%配合製剤と比較して、4MSK□%配合クリームは優れた有効性 を示し、有意差が見られたとされております。それから□%配合クリームは、□%アル ブチン配合製剤との間で有意差は見られなかったとされております。4MSK□%配合 乳液につきましては、アルブチン□%製剤を上回る効果が見られ、有意差が見られたと されております。更に濃度を落とした□%の乳液では、アルブチン□%製剤より劣って いたという結論になっております。  この結果につきまして専門協議の内容を踏まえて、申請者に対し以下の点について説 明するように求めております。チロシナーゼ活性阻害について、マッシュルームチロシ ナーゼを用いて試験を行っているが、由来の異なるヒトでの有効性について説明するよ う求めました。申請者は、化合物のチロシナーゼ活性阻害の強弱はチロシナーゼ由来等 に左右されるものではあるが、由来の異なるチロシナーゼを用いても活性阻害効果を有 するか否かについて推測でき、マッシュルームチロシナーゼを用いた検討結果から、そ のチロシナーゼ活性阻害を推測できると回答しております。  4MSKはチロシナーゼ活性阻害作用ではアルブチンを上回っているが、メラニン生 成抑制作用ではアルブチンを下回っており、ヒトにおける試験ではアルブチンを上回っ ているということを踏まえ、有効性について再度説明するように求めました。申請者か らは、in vitro試験の条件が必ずしも生体内における状況と同一でないことから、in vitro試験では活性作用の有無を把握することはできるが、作用の強弱を正確に評価す るのは困難であること、in vivoでの効果にはin vitroで検出される効果以外の要素(経 皮吸収の差、4MSKのサリチル酸様の角質溶解作用)が含まれることが、異なる試験系 における有効性の結果の違いの要因であると回答しております。審査センターでは上記 の説明の内容について了承しております。  これらの試験等を基に、申請時の「効能・効果」中の「日やけによるしみ・そばかす を防ぐ」を「メラニンの生成を抑え、しみ・そばかすを防ぐ」に改めた上で効能・効果、 用法・用量が設定されており、通常の使用では適切なものと判断いたしました。  以上のような審査を行った結果、審査センターは提出された申請内容について本品目 を承認して差し支えないこと、それから承認後少なくとも2年間の安全性に関する市販 後調査を実施することが適当と判断し、本化粧品・医薬部外品部会に御審議をお願いす るものでございます。よろしくお願いいたします。 ○溝口部会長 ありがとうございました。 ○審査第三部長 すみません、事務局から追加補足説明をさせていただきます。一部今 御説明したことの繰り返しになりますが、「効能・効果」の点でございます。「審査報 告書」の「記」に「日やけによるしみ・そばかすを防ぐ」という申請者からの申請がご ざいますが、次の「審査結果」も同様に申請者からの「効能・効果」を記載しておりま す。「審査報告」の1ページでございますが、審査センターは審査の結果、「効能・効 果」につきましては「メラニンの生成を抑え、しみ・そばかすを防ぐ」という変更が適 当であろうと判断しております。したがいまして、12ページの「(4)総括」といたしま して、「効能又は効果、用法及び用量が設定されており、通常の使用では適切なものと 審査センターは判断した」と、少し字句が足らないので修正したいと思いますが、ここ につきましては先ほどのように一部修正し、適当と判断したということでございます。 その前提で御議論いただければと思います。 ○溝口部会長 ありがとうございました。「効能・効果」に修正が入っております。た だいまの内容について御質問、御意見がございましたらお願いいたします。いかがでし ょうか。どうぞ、杉村委員。 ○杉村委員 そうしますと、これは日やけ止めクリームとは違いますよね。要するに普 通に使っていて…、今美白クリームと日やけ止めクリームという2種類がございますよ ね。これはどちらに入りますでしょうか。 ○溝口部会長 事務局からお願いします。 ○事務局 「日やけ止めクリーム」と通称されているものには化粧品もございまして、 例えば雲母など紫外線を反射するようなものとか紫外線吸収剤を配合しているものは、 化粧品でも紫外線を通さないことによって日やけを防止するような効能まである程度標 榜できます。しかし、医薬部外品におきましては、いわゆる美白成分、チロシナーゼ阻 害成分がありまして、それが染み込んで皮膚の中で日やけによるしみ・そばかすを防止 するといいますか、阻害するという効能のあるものが医薬部外品になっております。そ ういう形でいいますと、これは紫外線は当たってしまうわけですけれども、それについ てのしみ・そばかす、メラニンのたまるものを止めるという形で、より薬効的なもので ございます。 ○杉村委員 「資料概要」の14ページの有効性をいろいろ実験されているところで、例 えば「紫外線を1日1回、連続3日間照射し、紫外線照射開始日より試料塗布を1日3 回、連続7日間行った」というのですが、要するに紫外線を照射しながらこれも塗って 効果を見たということになるわけですね。 ○事務局 試験方法はいろいろございますけれども、多分これはそういうことだと思い ます。「資料概要」の何ページだかで、とにかく紫外線が当たるとその刺激で酵素が活 性化されてメラニンがたまっていくという経路を、この有効成分が阻害する形で薬効を 現すということでございます。 ○杉村委員 こういうときの紫外線というのは、日光ではなくてランプか何かで実験す るのですか。 ○事務局 一応ランプでやることが多うございます。たまに天然光でやる試験もござい ますけれども、最近はランプの方が多いと思います。 ○杉村委員 化粧品だとよくUVAとかUVBとかいろいろ言われるのですけれども、 ランプだとメラニン生成ということだけですから、そういうものとは関係ないわけです ね。分かりました。 ○溝口部会長 紫外線照射の試験ですので、既存のしみではなくて紫外線によるしみに 対してということになりますね。よろしゅうございますか。どうぞ、吉岡委員。 ○吉岡委員 紫外線の照射方法に関連してですけれども、天然光の場合であっても時期 によって紫外線の量は違うということで、今でいうと5月ごろが紫外線が一番強いと言 われているのですが、人工光の場合にはそれと比較してどの程度なのですか。 ○溝口部会長 いかがでしょうか。事務局の方から御説明をお願いいたします。天然光 の実験では、先生がおっしゃるように季節で大変量が変化するのですけれども、このク リームの効果を調べるときは一定の決められた紫外線の照射量に従っていると思います が、いかがですか。資料はどうなっていますでしょうか。 ○事務局 「資料概要」の14ページ辺りに書いてございますように、いわゆるエネルギ ー単位で1.2MEDとか1.0MEDという形で機械でコントロールしておりますが、例え ばこれが真夏の直射日光からどれぐらいという定量的なことが手持ちの資料では分から ないものですから、今ちょっとお答えできないのですけれども、これは後ほど調べてと いうことでいかがでございましょうか。 ○溝口部会長 よろしゅうございますか。それで先ほど杉村委員の御質問にもございま したが、この試験はUVAかUVBかは書いてありますか。 ○大城戸部会長代理 UVAはMEDが出ないのですよ。 ○溝口部会長 UVAだけですと非常に時間が掛かりますので、通常はUVBで行うそ うです。天然光の方はもちろん両方入っております。どうぞ、吉岡委員。 ○吉岡委員 別のことでちょっと分からない点があるので質問したいのですが、一番最 初の1ページの「ホワイトニングエッセンス」で「r」と「s」がありまして、「s」 の方は「rの一物多名称につき省略」となっておりますけれども、一物多名称としても 違う乳液ですね。これはどこが違うのですか。 ○事務局 「一物多名称」というのは業界用語かもしれませんが、化粧品や医薬部外品 では成分・分量すべて同じでラベルだけ替えて出すことがございますので、工場も多分 製造ラインがまるきり同じです。この場合は、包装段階だけ「r」と「s」と違うシー ルをはって出すというものでございます。ですので、まるきり同じことを書くことにな るので省略とさせていただいたのですけれども、ちょっと分かりにくくて申し訳ござい ません。 ○吉岡委員 まるきり同じだとしたら名称も器も同じでいいはずなのに、どうしてかな という疑問を感じましたので。 ○溝口部会長 いかがでしょうか。 ○事務局 医療用医薬品についてはこういうものは一切認められていませんけれども、 OTCや医薬部外品は販売業者ごとに独自の名前を欲しいという市場の要望などがござ いまして、前例として認められているので我々としても拒否できないということで、こ ういう形で申請が上がってきております。 ○吉岡委員 分かりました。それから基本の基で皆さんはもうお分かりのことだと思う のですけれども、例えば実験に使っている動物ですが、実験対象によってラットであっ たりマウスであったりといろいろ種類が替わっております。それからヒトの実験の場合 も特に皮膚の影響があってでしょうか、男性10名というのと、女性の場合は40何名、 70何名ということで、数も対象も違うわけですけれども、これは動物の種類差や性別差 は影響があるという前提で、対象とする実験の種類によって替えていらっしゃるのです か。 ○溝口部会長 お願いいたします。 ○事務局 毒性の専門というわけではございませんが、一応私の理解しているところで は毒性試験でかなり…、例えば無毒性量のところでは「雌雄ともに」という記載があっ たように、代謝活性において雄と雌で違うということはよくございますので、そのよう な試験においては必ず雄、雌を同数ずつやるのが通例です。それから人を使っての試験 で、男性10名と女性を含めてという話ですけれども、最初の実験的な試験について男性 を10名使っておりますが、いわゆるこのようなメラニン生成抑制作用を期待するクリー ムは、ユーザーとしては女性の方が多いということで、必ず女性を含めた試験をやるの が傾向でございます。確かにヒトでの試験を必ず女性だけでやるとか、男性でやるとい う決まりはないと思いますけれども、やはり最初にやる場合は跡が残ったりするかもし れないということで、男性でやる傾向はあるのかと思います。 ○溝口部会長 よろしゅうございますか。大城戸委員、お願いします。 ○大城戸部会長代理 「審査報告」のところで二点ありまして、「承認申請書」の3ペ ージに原料がずっと出ておりますけれども、これは「審査報告」の「有効成分」という 記載だけでよろしかったのでしょうか。 ○事務局 有効成分以外のいわゆる添加物につきましては、すべて前例のある成分のみ が含まれておりますと、安全性については特に評価をせずに丸のままで評価をいたしま す。たまに新添加物が入っておりますと、今まで使われたことのないものの場合は別に 毒性の審査を行っております。 ○大城戸部会長代理 質問の意味が違って、これに表示しなくてよろしいのでしたか。 その三極会議のときのあれは今どう…。 ○事務局 おっしゃるとおり、化粧品は全成分表示というガイドラインになっておりま すけれども、医薬部外品につきましては有効成分と、それから特に書けというリストが ございまして、今それについて表示せよということになっています。 ○大城戸部会長代理 そうしますと、今回のこの物質と関係ないのですけれども、先ほ どから見ている「効能・効果」の1行目の最後に「にきびを防ぐ」とありますが、これ は一体何の…。多分既存の成分で使っていいものはこの中に入っていると思うのですけ れども、一体何なのですか。 ○事務局 医薬部外品の前例では、グリチルリチンなどの成分を含むものについては一 般に認めております。今回御審議いただいている新有効成分が入りますと、「メラニン の生成を抑制し」とか、「日やけによるしみ・そばかすを防ぐ」という効能・効果が取 得できるというわけでございます。 ○大城戸部会長代理 ですから、その「メラニンの生成を抑え」うんぬん以外は、全部 既存の成分で認可されたことなのですね。 ○事務局 既存の成分でうたえます。 ○溝口部会長 新成分に関して有効性の資料があって、既存のものに関しては資料はな しでいいということなのですね。ここにある「効能・効果」は、今書いてある四つの成 分で全部カバーできるのでしょうか。それとも隠れているものもありますか。 ○事務局 有効成分として必要な成分が前例以上入っていれば、この効能は取得できま す。例えばこの新成分を除いたものを「メラニンの生成を抑え」の効能を削って申請す れば、それもすぐに承認になります。 ○溝口部会長 分かりました。ほかにありますか。どうぞ、神田委員。 ○神田委員 たくさん資料があるので、どこかに書いてあったのかなという感じはする のですけれども、効能を「メラニンの生成を抑え」という形で書き換えるのであれば、 やはりそこが一番重要かなと思ってお聞きしているのですが、例えば「審査報告書」の 10ページ辺りで「3名の判定者によって視覚的に黒化度を比較し、黒化防止効果の優劣 を5段階の判定基準で評価した。その結果…」という書き方になっています。その「3 名の判定者」というのはどういう方なのでしょうか。それから視覚で5段階も見分ける ことができるのかということが私はちょっとよく分からないので、できないのではない か、難しいのではないかという意味でお聞きしています。それから文章も読み取るのが なかなか難しいものですから、ちょっと資料の方を拝見いたしました。「SL-67Kに関 する添付資料概要」というところで、4〜5ページ辺りを見ると折れ線グラフなどが載 っております。 ○溝口部会長 資料の4〜5ページとは「資料概要」ですか。 ○神田委員 そうです。「SL-67Kに関する添付資料概要」というものがありますよね。 それの5ページに「色素沈着回復促進作用」だとか「3」、「2」、「1」、「0」と いう評価点が書いてあったりして、その下に折れ線グラフがありますよね。もしかした ら見方を間違えているのかもしれませんけれども、こういったものを素人から拝見しま すと、本当にこれで効能があると読んでいいのかどうか。読めるのでしょうか。一番重 要なところかなと思いますので、その辺をもう少し説明していただかないと。例えばこ の折れ線グラフでも、5%については30日までほとんど下の方、0の辺りにありますし、 60日のところまで下の方で動いていると。私はこういったところで効能があるとはちょ っと読み取れないといいますか、これを受け取っていいのかどうかよく分からないもの ですから、もう少し説明していただけたらいいなと思います。 ○溝口部会長 視覚試験を客観的なデータとしていいかどうかということを意味されて いると思いますが、いかがでしょうか。 ○事務局 現資料に付いておりますように、例えばプラセボと塗った場所の写真等があ りますと、ある程度黒くなっている程度の差が出るなどということはございますけれど も、そういう直接的なものではないので分かりにくいという理解でよろしいでしょうか。 ○神田委員 最初に申し上げましたのは、試験で5段階に分けて3人の方が判定すると いうのが、目で見てこれは「1」とか「2」とか「3」とかという形で見分けられるも のでしょうかという意味で、できるならできるで結構なのですけれども、何か難しそう だなと思ったのです。そういうことをやった結果、有効であるという結論を出している ものですから、その辺をもう少し詳しくお聞きしたいと思ったのです。 ○事務局 判定基準については後ろの方にございます。先ほどの4ページ辺りに対応す る細かな資料としまして、324ページの「表-9」に比較判定試験とか…、このA部位と B部位といいますのは塗ったところと塗らないところの比較で判断するという形で、一 応過去いろいろなメラニン生成抑制成分についてはこれで評価を行ってきております。 御指摘のように主観が入るのではないかということで、最近では機械を使って黒さの程 度を測ろうという試みも始まってはおりますけれども、まだそれほど一般化してはいま せんが、過去はこういう形で判定がなされてきております。 ○溝口部会長 324ページを見ますと、この評価点「1」、「2」、「3」、「4」、 「5」に関しましては、色彩計という機械でL値を測って2か所を比べて5段階評価し ているのとは、おっしゃったものは違いますか。 ○事務局 色感判定のところはそうではございません。 ○溝口部会長 そうではないですよね。 ○事務局 (2)の方は一応…。 ○溝口部会長 最初の方は3人が肉眼的にやっているのですよね。 ○事務局 そういう御指摘もあるので最近、まだこれは主項目でそれほど使って…。 ○事務局 少し釈迦に説法のような感じになると思いますけれども、こちらの「優劣比 較判定基準」について一応詳細に御説明させていただきます。こちらは、既存のいわゆ る「メラニンの生成を抑え、しみ・そばかすを防ぐ」を標榜できるアルブチンという成 分と今回の新規成分である4MSKを同時に塗って、それの色の差を比較しているとい う状態です。ですから例えば「3」で行きますと、アルブチンを塗ったものと4MSK を塗ったもので差を認めないということです。評価点「1」になりますと、アルブチン を塗ったものと今回の新規成分である4MSKを塗ったものに対して非常に差が出た と、そういった形で見ております。ですから5段階といいましても、色の薄さのグラデ ーションを5段階で見ているという趣旨の試験ではないということです。 ○神田委員 ただ「視覚的に」と書いてあるので、そのように受け取れますよね。その 結果でこうであると出してきているものですから、それでいいのでしょうかとお聞きし たのです。それから、判定をする方というのはやはり客観性のある方だろうとは思いま すが、どういう方なのでしょうか。私も初めてこういうものに参加するものですから…。 ○事務局 一応総括医師が選んでいる方で、多分皮膚科の先生になると思います。 ○溝口部会長 この総括医師というのは皮膚科の専門医でございますので、その専門医 が任せた人がやっていると思うのです。ただ、この判定は御心配になっている視覚判定、 それから測色計による判定とカラー写真の三つを加えてやっています。悪い習慣なので すけれども、皮膚科医というのは目で見て病気の診断を決めるものですから、慣れてい るせいもありまして、最近批判が多いので改めつつはあるのですが、目で見た違いを重 視しています。結局、人の顔を見たときにも目で見た印象ですので、AとBの差を見て 段階を付けるということをしたようです。比較の方もAとBを比べてどのぐらい強いか ということでグレードしておりまして、機械の色彩計と同じように二つを比べてどのぐ らい差があるかで5段階にしたので、全体の比較を目だけで5段階にしたのではないと 思います。 ○奥田委員 一つ確認なのですけれども、「二重盲検」という言葉の使用は適切ではな いのかもしれませんが、この際の試験はすべて今ダブルブラインドテストで行われてい るのですよね。そうであれば、一応試験を測定する人はどちらの薬を塗られたのか分か らない状態で判定をして、その後で決めるという試験をしているとの理解でよろしいの でしょうか。 ○事務局 盲検ではありませんけれども、322ページにある「二重遮蔽対比較試験」と いう形で、一応判定に主観が入らないようにはしています。 ○大城戸部会長代理 そのことですけれども、こういう一連の試験はいつごろやったの ですか。今ダブルブラインドが当然と言われましたけれども、多分新GCPの前の時期 にこのようなものは書いていないのでしょうね。肩書きを見ますと随分変わっているけ れども…。 ○事務局 今先生から一番根本的な御質問を頂きました。まずGCP省令が医薬品の臨 床試験には適応されていますけれども、医薬部外品はなるべくそれに準じてやるという 形になっております。もし明日やる場合でも、医薬品のGCPどおりでなくても一応は 許容されております。それがちょっと根本的な問題点ではあると思います。 ○神田委員 先ほど資料のところでお聞きしたのですけれども、それは説明していただ けませんでしょうか。 ○溝口部会長 何に関してですか。 ○神田委員 先ほどの「資料概要」の5ページのグラフについて、私はこれからは効果 があると読み取れないのですけれども、間違えていますでしょうか。その辺を少し説明 していただきたいと思います。 ○溝口部会長 この5ページの表ですね。 ○神田委員 「(2)4MSとアルブチンのin vivoにおける色素沈着回復促進作用の比 較」の関係の表だと思いますが。 ○溝口部会長 いかがでしょうか。これは統計学的にも差があるとしていいのかどうか ということだと思いますが、5ページの二つのグラフの評価点のことでよろしいですか。 ○神田委員 そうです。 ○溝口部会長 これを有効と判断していいかどうか。アルブチンとの差があるという意 味ではなくてですか。 ○事務局 先生が御指摘のとおり、右のグラフはアルブチンを対象にアルブチンより上 に行っているという形で意味があるのですけれども、左側のグラフは何を見ているかと 言われますと確かに比較が…、濃度依存的に上がっているといえば上がっているという ことですね。 ○溝口部会長 右が全部アルブチンで左が全部4MS…。アルブチンが既に認められて いる製品なので、これは右と左で差がなければいいという意味で出しているのだと思い ます。 ○事務局 おっしゃるとおりでございます。ちょっと直接比較をしていないので、こち らの表だけからはっきりと両方の差の比較はできないのですけれども、右の方は既に効 能・効果が認められているアルブチンの傾向で、左側が今回申請されている4MSKの 効果ですので、従来の承認されたものの効果を明らかに上回っているということが、こ ちらの表からも言えるのではないかと考えております。 ○神田委員 私もその前提は間違えていないのですけれども、確かに左の方がグラフは 少し上に行っていますが、この程度の違いで効能がかなり違うのかという、そこの読み 取り方をお聞きしているのです。 ○審査第三部長 右の方が既存にこういう効果を認められておりまして、これを基準に して左はそれ以上だからいいであろうというのが5ページの記載ですので、そういう判 断をしたということでございます。 ○溝口部会長 神田委員がおっしゃっているのは、このグラフの右と左を比べて左の方 がいいと言うにはちょっと差がなさ過ぎると。統計学的にはおかしいのではないかとい うことですか。 ○神田委員 そのように単純に思いましたので、このくらいでも有効だと判断するとい うことが現実であればそうだと思いますけれども、私にはそこがこれでいいのかなとち ょっと思えたものですからお聞きしました。 ○事務局 これは開発の経緯で、まず最初の段階で当たりを付ける試験としてやられた ものでございまして、結論のところで「しみ、そばかすを防ぐ効果はアルブチンを上回 る可能性が考えられた」という形で、これでは実証されていないということは申請者も 理解しております。最終的には先ほどの5段階比較のところで比較された試験などで、 あれは同時比較になるので強弱について言えますけれども、これは御指摘のとおり同時 にやっても直接の比較ではないという形です。それからかなり少ない例数でやっており ますので、まだ開発の初期段階のデータで、これだけで有効性が示されているというこ とではないと思いますし、メーカーの方もそのようにわきまえてはいると思います。 ○審査管理課長 もしそうであれば、「資料概要」の5ページの記載はメーカーがこう 主張しても事実として必ずしも正しくないと、上回るのではなくて同等ではないかとい うことであれば、「同等」と修正して記載させるか、「審査報告書」の中でこの記載に ついては訂正させるべきではないでしょうか。つまり概要の記載に正確性を欠くからと いうことで、企業が作った申請概要の書きぶりを一部修正させることは可能だと思いま す。ここで「上回る可能性が考えられた」とか、非常にあいまいな言葉を使っています けれども、神田委員が御指摘のとおり、全体を見ると既知の効果がはっきりしているも のと比較してほぼ同等ということぐらいしか言えないのではないかと思います。ちょっ とげたを履いているようなメーカー側の主張でございますので、ここは修正させるとい うことにさせていただければと思います。 ○溝口部会長 神田委員、修正するということでよろしゅうございますか。大城戸委員、 お願いします。 ○大城戸部会長代理 そうしますと、この化粧品と医薬部外品の効能・効果の証明度と いうのは基準がどこかにあるのですか。つまり薬剤でしたら新GCPどおりにはっきり 客観的に分かるわけで、今まで化粧品と医薬部外品に薬剤のような強力な効能・効果を 求めていたのでしょうか。これから求めるのでしたら、これはお薬になるのではないか ということなのですけれども。 ○事務局 医薬部外品ですので、やはり作用は緩和というものでございます。そもそも 医薬品と言う場合にはそれが疾病なのかということがございまして、「効能・効果」の 「しみ・そばかすを防ぐ」の「しみ・そばかす」とは病態なのかという話になってきま すので、そういう観点から一つ医薬部外品と医薬品の位置付けはあろうかと思います。  それから化粧品と医薬部外品でございますけれども、化粧品に関しては基本的に安全 性のみの評価をしております。ですから、例えば医薬部外品の中の同じ有効成分を化粧 品の中に入れて、それを化粧品として販売した場合には、効能・効果を標榜しないで安 全性自体が担保されていれば、それは化粧品として配合していただいても特に問題はな いと。 ○溝口部会長 よろしゅうございますか。 ○井上委員 今のグラフの説明ですけれども、私は毒性が専門ですから直接はこういう ことは余り関係ないのですけれども、これを見ると低用量といいますか、下の二つのグ ラフでは既存のアルブチンよりも良さそうであるというのは残しておかないと、それが 開発の意図になっていますし、この程度でもやはり下の底上げはあると判断されます。 少なくとも開発者の判断したことは事実ですから、それは直させなくてもよろしいので はないでしょうか。 ○審査管理課長 そこをどのように直すかは、よく吟味しなければいけないのですけれ ども、少なくとも一番高濃度の10%のところまで含めて、全体としてアルブチンよりも 効果が高いという表現になっておりますから、そこは正確性を期した上で修正をさせて いただきたいと思います。 ○溝口部会長 それではよろしくお願いいたします。先ほどの医薬部外品と化粧品の違 いですけれども、化粧品は安全性を、医薬部外品は有効性をクリアしなければいけない、 そのクリアの仕方はダブルブラインドでなくても、二重遮蔽で差が出ればいいぐらいの ことでよろしいのですか。 ○事務局 医薬部外品の効能もいろいろございますけれども、通例はこういうメラニン 生成関係ではそういう既存のものと、割とコントロールされた機械での照射で差を付け るという形で有効性が示されております。 ○溝口部会長 そうすると、これは医薬部外品としては問題ないということでよろしい ですね。大城戸委員、お願いします。 ○大城戸部会長代理 この成分とちょっと関係ないのですけれども、「審査報告書」の 5ページの中程で気になる文章が出てきていまして、「4MSKによる催奇形性はサリ チル酸ナトリウムより弱いと考えられた」ということで、これを見てみますと1%のサ リチル酸というのは既に医薬部外品で認可になっていると。私たち皮膚科では3%のサ リチル酸は日常よく使うものですし、医薬部外品は1%がもう既に承認の前例ありとい うことなので、これは今回の審査に関係ありませんけれども、今までの認可しているサ リチル酸についてはよろしいのでしょうか。 ○溝口部会長 先生のおっしゃるのは、医薬品として発売されているサリチル酸がよろ しいのかどうかということですか。 ○大城戸部会長代理 「審査報告書」の2ページの下から8行目に、「医薬部外品での 承認前例のある1%サリチル酸」と出てきていますから。 ○事務局 確かにこの実験系で、200mg/kgで実験動物に出たということでございますけ れども、一応1%だと50kgの方に有効成分として10g投与という形ですから、1%で やると1kgぐらい塗ると出る可能性があるということで、今のところそういう副作用報 告等はないのが現状です。現状を是認するかどうかという話はまた別の問題かもしれま せんが、10kgを体に塗るというのはちょっとあり得ないのではないかと思います。 ○大城戸部会長代理 分かります。皮膚科の外用薬は常にこの問題が出てくるのです。 塗るだけで、しかもまた吸収が非常に少ないと。昔のことですけれども、それにもかか わらず催奇形性が異常な量で出てくるときに、厚生労働省ともめていたのです。そうい う説明なのですけれども、ただ私はここの文章自体をぽんと1行見たら何か気になるな と思ったので、内容はそうだというのは理解しております。 ○溝口部会長 どうぞ、望月委員。 ○望月委員 一般的な化学的性質で教えていただきたいのですけれども、この物質が皮 膚から吸収されて尿中にほとんど出て、一部糞中、一部呼気ということなのですが、ど ういう形でそれぞれのところに出ているのかもう分かっているのでしょうか。逆に言う と、余りこういうものでは気にしないでよいと考えればいいのでしょうか。 ○事務局 この排泄の試験は放射性アイソトープを使ってのもので、ここに書いてある とおりそれはカウント数だけのあれですので、吸収率3%程度でどこまで追えるか分か らないのですが、一応今探しても申請資料の中にはどうもないようでございます。 ○望月委員 分かりました。 ○溝口部会長 ちょっと私の方からお伺いしたいのですけれども、サリチル酸との関係 で「審査報告書」の9ページにアスピリン不耐症の話が出てきています。サリチル酸ナ トリウムより弱いと推察して、過敏反応を発現する可能性は極めて低いという回答です けれども、起こすとショックにもなる可能性があるのでお伺いしたいのです。サリチル 酸の場合はさんざん外用薬として使われていると思うのですけれども、それでアスピリ ン不耐症の症状を起こしたという副作用報告は1例もないのでしょうか。私ども学会で は聞いたことはないのですけれども…。むしろ医薬品の軟膏でございますので、いつも そういうことを気にしないで使っていたのですけれども、こういうものは化粧品になる と一般の人が使いますので、ちょっと念のために伺ったのです。 ○事務局 これは専門協議等から念のためにどうだと聞かれたときで、サリチル酸ナト リウムについて報告がないはずですけれども、ほとんど聞かれないものを入れれば更に 問題がないという形の文脈で書いておりますので、サリチル酸ナトリウムについて報告 があったからということではないと思います。 ○溝口部会長 もう一つよろしいですか。「審査報告書」の3ページの「ハ.安定性に関 する資料」で、「□□□□により□□□□□□□□□が認められ」てその□□□□がこ こに書いてありますけれども、そうしますと一部分解してこの二つになるということか と思いますが、この二つの成分に関しては安全性などは問題ないものと考えてよろしい でしょうか。 ○事務局 これは過酷な条件で何が出るかという話で設定しておりますが、通常の瓶や チューブなどに詰めてもこういうものは一応生じないと。加速などの□□□□□□条件 がなければこういうものは出てきておりませんので…。 ○溝口部会長 普通にしていて□□□□□□□には、全く心配がないと考えてよろしい ですか。 ○事務局 これは□□□□□でございますので、付いたまま□□□□□を受ければでき るかもしれませんけれども、吸収あるいは流れ去るということで、そういうことは考え 難いと思います。 ○大城戸部会長代理 そうすると有効期限が3年ですか。これはどこかに書いてあるの ですか。この目の前にあるサンプルは、もう商品そのものなのでしょうか。これは仮の …。 ○事務局 仮のものでございます。 ○大城戸部会長代理 医薬品の外用薬は有効期限の日が刻印されているのですけれど も、こういうものはされるのでしょうか。 ○事務局 医薬部外品で有効性が3年以上あるものの使用期限については、いわゆる義 務付けでしろとは規定されておりませんけれども、あとはメーカーが自主的にやるかや らないか、それが今の状況でございます。3年以内しか有効期間がないものについては、 別に特別なルールがございます。 ○溝口部会長 いろいろ御意見を頂きましたが、ほかにございますか。どうぞ、杉村委 員。 ○杉村委員 化粧品ではアレルギー性の強いものと弱いものと前よく言われていました が、これはどちら側に入りますか。 ○溝口部会長 新規成分で難しいのですけれども、この成分を読むと光感作性と普通の 感作性もないと書かれてあったと思いますが、事務局の方、それでよろしいですか。 ○事務局 そのとおりでございます。ですから、通常アレルギーや感作を高い頻度で起 こすということはございませんけれども、特異体質でどれぐらい反応される方がいるか はまだ使用してみないと分からないので、結論の方にも書いてございますが、市販後調 査を2年間やってそういう特異体質でアレルギーなどを起こしたとか、はれたというこ とがあれば報告を集めさせて、場合によってはそれで対応を考えるという形で考えてお ります。 ○溝口部会長 失礼しました。先ほどの光感作性は動物での話ですので、これから人間 の実験が始まると言ったら変ですけれども、皆さんが使うとどうなるかは分かりません が、今までの資料からは先ほどのようなことが言えると。ほかにいかがでしょうか。神 田委員、お願いします。 ○神田委員 一つ基本的なことだけ教えていただきたいのですけれども、健常成人何名、 健常成人による試験という形で何か所かやっておりますが、例えば6ページの真ん中辺 りにある「健常成人45名による」試験をして、そのうちの「1例で皮膚反応が認められ た」と。こういう場合に、「健常成人」というのがどういうことなのか分かりませんけ れども、どのような基準があるのかということと、それからその中での1例というのが、 ここではこういった形で大したことはないという報告になりますけれども、その評価の 仕方がどれくらいの重さなのかと。実際に使う段階になりますと、例えば高齢者であっ たりそうでない人もいるはずですので、添加物などではまたそれに100倍、200倍掛け てみたりという形で数字を見ますけれども、この場合にはそういった見方があるのでし ょうか。教えていただきたいと思います。 ○溝口部会長 お願いいたします。 ○事務局 ヒトに対してそういう濃いものを使うことは問題がありますので、大抵申請 製剤については40〜50人に実施されます。安全係数などの話は、動物試験でどれだけた くさん塗って大丈夫かとか、たくさん飲ませて大丈夫かということで、「審査報告書」 の中でも一応ある数字に基づけば380倍、ある推計をすると1,200倍とか出ているのが、 添加物での安全係数に該当する部分でございますけれども、ヒトにはり付けるというの はパッチテストと言われていますが、それについては今のところ必要以上に濃いものの 治験の実施は求めておりません。1例出て、それも毒性専門の方が見て特に激しいもの ではなく、たまに蒸留水だけでも反応を起こす例もありますので、そういう場合は専門 家が見て、いわゆるたまたまでしょうという話で処理されて認められているわけでござ います。確かに1例でもすさまじい反応が起こる場合は、再試験をやれなどという話に はなると思いますけれども、ヒトでは通常使用濃度以上のものは実施されないのが原則 だと思います。 ○溝口部会長 よろしゅうございますか。健常成人はどういう人かという…。 ○事務局 すみません、それは決まり文句で、私には健常、正常という一般概念以上ち ょっと…。特定の皮膚の試験でございますから、多分皮膚科の病名が付く方は文句なし に健常成人ではないと思いますけれども、それぐらいのことであとはこの総括医師の方 にゆだねられているところが多いと思います。 ○神田委員 この場合、例えば年齢をばらけさせるとか、男女をどうするとかというこ とはありますか。 ○事務局 一応この試験での実際のばらつきにつきましては、262ページに「22〜59歳」 と書かれておりますけれども、これはとにかく無作為に40〜50人で特異体質の方、例え ば外国で大丈夫だったけれども、日本でやったら3%の方が反応するとか、そのような ものではないということを確認するためにやる話でございます。先ほど杉村委員の御指 摘にもありましたように、パッチテストで40人とか100人やったからこれで日本人すべ てに安全だということではなく、これから1,000人、1万人に使った場合特異的に反応 する方がゼロであるかというのは、この試験では推計はできないと。逆になるべくそう いうそろった形でやった方が、特異体質の率を見る場合にはメリットがあることもござ いますので、割と男だけとか女だけとか、年齢が今言ったような「22〜59歳」というの は多分会社の社員の中のボランティアを募っているのかもしれませんけれども、そうい う範囲でやられることが多いようです。 ○溝口部会長 よろしゅうございますか。ほかにありますか。吉岡委員、お願いします。 ○吉岡委員 神田委員の御意見に関連してなのですけれども、年齢差とかそういうこと は特に女性の場合には妊娠をしているような時期とか、あるいは閉経期に当たるような 時期が化粧品との相性が悪くなると言いますか、そういうことが結構ありまして、化粧 品でかぶれたという御相談があり化粧品会社に御連絡したこともございます。そういう ときにやはり女性の体質的な問題との因果関係がある、それから同じ年代であってもや はり生理的な差によって、その時期はどうだったかによって同じ個体であっても出ると きと出ないときがあるのだということを、一般には説明されてきているのです。そうい うことからいって、やはり年齢や性別などを含めて、できるだけ広い範囲をピックアッ プできるような実験の仕方ができれば非常にいいのではないかと思います。その辺が実 際の利用者の立場から言うと気になるところですので、将来の課題としては御検討いた だきたいと思います。 ○大城戸部会長代理 今の件ですけれども、ヘルシーボランティアのときにインフォー ムド・コンセントをして本人の了承を取れないと。つまり未成年者は入れるかどうかと いう問題、それから妊娠中の方にまだ全部分からない新しいものを使ってよろしいかど うか、そういうモラルの問題がいろいろ出てきているのです。医薬品の方は未成年者を 省いたために、今薬は子供に使えない状況になっていると、それは御存じでしょう。そ れから妊婦、又は妊娠可能性のある女性は全部省くこと。それからもう一つ、先ほど出 た高齢者は最近ちょっと基準が緩くなってきたのですけれども、何歳以上の高齢者は駄 目とか、ものすごく厳しくヘルシーボランティアを選んでいたものなのです。 ○溝口部会長 このパッチテストは売り出す前のスクリーニングテストに近いものです から、本来でしたら吉岡委員がおっしゃったようにいろいろな年齢をやるべきなのです けれども、刺激性の最低限度の安全性を見るということが目的ですので、ほとんどが学 生のアルバイトを募集するか、社員のボランティアを対象にやるというのが現状で、私 は年齢を幅広く取ってやったという報告を見たことはございません。非常に害が出てく るということが心配されましたら、今後の問題としてその方法等を検討しなくてはいけ ないと思いますが、従来の製品に関しましてはそのように行われていまして、健常成人 というのはほとんど皮膚科医が見ますので、皮膚が正常であると。アトピー性皮膚炎の 人などは除外されます。ただ、その人が血圧が高かったりといったことは見ておりませ ん。若い人ですので余り病気はないと考えて、その範囲でしかこれまではやられており ません。どうぞ、吉岡委員。 ○吉岡委員 違うことなのですけれども、5ページにラットで妊娠期間の延長があった と書いてございまして、たしか8ページに「半日」ということで正常な妊娠期間内に入 るという御説明があるのですが、ラットの場合の「半日」というのは人間の場合だとど のぐらいになるのですか。 ○溝口部会長 いかがでしょうか。 ○事務局 ラットは妊娠期間が20日間で、そのうちの0.5日ということですから2.5% です。 ○溝口部会長 それが1匹出たということですけれども、よろしゅうございますか。 ○吉岡委員 結構です。 ○溝口部会長 井上委員、お願いいたします。 ○井上委員 今の関連ではないのですけれども、安全性の問題で動物実験のことが出た ので一言申し上げます。「審査報告書」の5ページに「F2」、つまりF1の更に子供 ということになりますが、これは本当にF2ですか。F1ではないでしょうか。それは ちょっとどうでもいいのですけれども、「F2胎児に頭蓋脊椎裂及び臍帯ヘルニアが観 察されたが、自然発生的に求められる形態異常であり、偶発所見であるとしている」と いう申請者のあれを引用してあるのですが、まず一点だけ申し上げますと、これは本当 に「頭蓋脊椎裂」なのか、「脊髄破裂」の意味のspina bifidaなのか、ちょっと分から ないのですけれども、どちらか申請資料の基のものと照合しておいていただきたいので す。少なくとも「資料概要」にはやはり「脊椎裂」と書いてありますね。それは余り本 質的ではないのですけれども、これが自然発生的に認められる、ここでは「求められる 形態異常であり」と書いてあります。そして申請者がやはり「資料概要」の211ページ にその頻度の資料を付けているのですけれども、この論理を若干修正させておいていた だきたいのです。それはなぜかと言いますと、こういうことが自然発生的に出ることは 確かなのですけれども、頻度が問題なのです。申請者が付けた資料は十分低い頻度だと いうことを意味していまして、ここで観察されたのも頻度が低いと言いたいのだろうと 思います。こういうものが出てきても一向に構わないなどということを意味しませんの で、ものによって頻度が高くなれば重視しますから、ここでは問題ないのだろうと思い ましたけれども、それをお願いします。 ○事務局 ちょっと確認をよろしいですか。御指摘は「審査報告書」の5ページの記載 と、それに対する「資料概要」の211ページのところでございますね。ありがとうござ います。 ○溝口部会長 ほかに御意見はおありになりますでしょうか。それでは御指摘のところ を訂正させていただきまして、これを薬事分科会の方に上げてよろしゅうございますで しょうか。報告事項として上げさせていただきます。  それでは議題は一つだけですので、今度は報告事項に移らせていただきます。事務局 の方から説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは資料2を用いて御説明させていただきます。「コウジ酸を含有する 医薬部外品等に関する安全対策と、これに基づく医薬部外品の他の有効成分に切替えを 行う場合の迅速処理対応について(報告)」でございます。まず1でございますが、平成 15年3月7日に開催された薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会におきまして、 コウジ酸を含有する医薬部外品等の安全性について審議が行われました。そして基本的 な考え方と当面講ずべき安全確保措置等につきましては、「別紙1」のとおりというこ とでございます。  次のページを御覧いただきまして、こちらの方は同日の3月7日付けですけれども、 「コウジ酸を含有する医薬部外品等に関する安全対策について」ということでございま す。少々時間を頂きますけれども、読み上げさせていただきます。 1.本日、薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会が開催され、コウジ酸を含有する  医薬部外品等の安全性について、審議が行われた。審議の結果は以下のとおりである。  (基本的考え方)  (1)  医薬部外品及び化粧品(以下『医薬部外品等』という。)は、疾病の治療等を目 的として有効性と安全性を勘案して使用する医薬品とは異なるものであり、リスク・ベ ネフィットに基づく評価を行うことは適当ではない。  (2)  現段階において得られている科学的知見からは、コウジ酸の肝臓におけ る発がんメカニズムは明らかでないものの、遺伝毒性による可能性が否定できず、また、 動物実験において発がん性が示唆されている。 (3) 一方で、 ・昭和63年の承認以降、コウジ酸を含有する医薬部外品等の使用による肝臓がん等の健 康被害が発生した症例報告はなく、 ・これまでに得られている科学的知見の多くからは、医薬部外品等としての用法・用量 の範囲で使用する限りにおいて、発がん性及び遺伝毒性が発現するという明らかな科学 的根拠はなく、また、発がん性及び遺伝毒性の発現を否定するだけの科学的根拠もない、 という状況である。 (4) このような状況において、コウジ酸を含有する医薬部外品等について、 現時点では直ちに安全性に問題があるとは考えられないが、追加試験が実施され、コウ ジ酸と発がん性及び遺伝毒性との関係について明らかになるまでの間、新たな製造・輸 入をしないことにより万が一のリスクを少なくする必要がある。 これを受けまして「(当面講ずべき安全確保措置)」で、「(1)コウジ酸を含有する医 薬部外品等の製造・輸入業者は、以下の措置を講ずること」として、追加試験を行うと いうことでございます。資料の方は1ページに戻っていただきまして、「安全確保措置 等について別紙1のとおり示されたところである」ということでございます。  そして2で、「これを受けて審査管理課としては、安全性が確認されるまでは原則と してコウジ酸を含有する医薬部外品の申請書を原則として返送扱いとすること及びコウ ジ酸と同様の効能等を有する成分への切替え申請を行った場合に限り迅速に審査するこ ととし、別紙2の審査管理課長通知を平成15年3月12日付けで発出したところである」 ということでございます。こちらの方は一番最後のページでございますが、「コウジ酸 を含有する医薬部外品の取扱いについて」ということで、承認等の取扱いに関しまして は今御説明させていただきましたように、まず申請書の方は原則返送ということで審査 は行いません。なお、追加試験でございますけれども、申請者自らがこれを行う場合に あってはこの限りではないということです。(2)としまして、切替えの申請を行ったと きに、有効成分をコウジ酸以外の美白効果のものに切り替えている場合にあっては、迅 速に審査を実施することということで通知を出させていただいてございます。  また1ページに戻っていただきまして、この対応を受けて現在までのところ2社6品 目について迅速審査を行っているところであり、既に3品目が承認の運びになりました。 ちなみに4ページで情報提供させてもらっております。これは「コウジ酸を含有する医 薬部外品一覧(平成15年4月11日現在)」ですが、12社200品目ということでございま す。こちらは厚生労働省のホームページで情報提供を行っているところでございます。 報告に関しては以上でございます。ありがとうございました。 ○溝口部会長 ありがとうございました。ただいまの内容について御審議をお願いいた します。御質問、御意見はおありでしょうか。大城戸委員、お願いします。 ○大城戸部会長代理 しょっちゅう緊急情報がこちらに来るので覚えていないのですけ れども、もともとこの問題はどこから出てきたのでしたか。 ○事務局 経緯でございますけれども、平成8年〜12年にかけまして食品添加物として の安全性評価のための試験研究が実施されております。そしてこの基になるデータがご ざいまして、昨年12月19日に同じ薬事・食品衛生審議会の中の食品衛生分科会の毒性 ・添加物合同部会の方で、食品添加物としての使用をしないように必要な基準を策定す ることという御結論を頂きました。これを受けまして、3月7日に医薬品等安全対策部 会が開かれたところでございます。コウジ酸に関しましては、美白効果ということで非 常に有効性を発揮するのですけれども、その分やはり安全性に関しても大丈夫なのかど うかという検討がなされておりまして、食品での添加物検討の中から肝がんに関しては イニシエーター作用を疑わせると。これは否定し得ないところがありますので、万が一 ということで万全を期すという観点が発端です。食品の方は結構でございます。ただ、 これは動物実験ですので、コウジの方は1%というものもありましたが、出てきたのは 3%とか、基本的になかなか判断が難しいところではありますので、追加試験を行うと いうのが現状でございます。 ○溝口部会長 私もちょっと関係していましたので申し上げます。このコウジ酸は、美 白剤だけではなくて食品添加物として認められていたものですから、食品添加物の方は 何年かに一遍検査をすることが義務付けられておりまして、それで引っ掛かってきたの です。引っ掛かった内容はもちろん同じなのですけれども、実は食品添加物として添加 している食品が一つもなかったので、白か黒かはっきりしないデータですが、どこも使 っていないのでしたら添加物としてやめましょうということだったのです。それがこの 化粧品にも使われていたので、同じように審査されたのだと思います。 ○大城戸部会長代理 食品添加物は一体何のための添加物なのですか。 ○事務局 基本的にコウジ酸は天然のもので、現行でもみそ汁等に入っているのですけ れども、食品の方もいわゆる天然のみそ、しょうゆに関しては今までの食文化、食経験 があるので特に問題なしと。ただ、あえてコウジ酸単品を加えるのは今回禁止したとい うことでございます。 ○事務局 美白効果に近いのですけれども、昔使われていた用途としてはカニなどの色 落ちが止まるのだそうです。美白と似たような効果だと思いますけれども、そういう形 で一昔使っていたそうですが、先ほど審査管理課の方から御説明があったように、現状 ではもうその用途は廃れており、使用がないのでやめたと聞いております。 ○大城戸部会長代理 美白とはみそ、しょうゆを造っている人たちの手がものすごくき れいなのはこのコウジ酸だということをどこかで聞いた…。そうですよね。 ○溝口部会長 そこから利用し始めた…。 ○大城戸部会長代理 そして、長持ちをする食品添加物としては…。 ○事務局 色落ちだけで中身が腐らないという話ではなくて、カニがきれいな赤い色を したまま保存ができるという形で使われていたことがあったそうでございます。 ○溝口部会長 吉岡委員、どうぞ。 ○吉岡委員 私が内容を間違えて聞いていれば別なのですけれども、要するに安全性で 余り問題がないと思われるが、万が一を考えて新たなものは認めないでおこうという御 説明だったと思うのです。その後ろの方に、現在コウジ酸を含有する医薬部外品がかな りたくさん出ておりますけれども、これについては万が一を考えなくてもよろしいので すか。 ○事務局 それではそこのところを補足説明させていただきます。先ほどの資料2の2 ページの下でございますけれども、まず「(1)コウジ酸を含有する医薬部外品等の製造 ・輸入業者は、以下の措置を講ずること」ということで、「1.コウジ酸による肝臓での 発がんメカニズム等を明らかにするため、追加試験を実施すること」、それから「2. 追加試験の結果が出るまでの間、コウジ酸を含有する医薬部外品等の新たな製造・輸入 を見合わせること」ということでございます。それから、「(2)厚生労働省は以下の措 置を講ずること」ということでございまして、「1.関係業界団体等に対して今回の措置 について周知を図るとともに、消費者に対して関連する情報提供を徹底するため、イン ターネット等を通じて積極的な広報に努めること」。それから2の方は審査管理課の対 応でございますが、御説明させていただきました。ということで、現状はもう既にこれ は市場には出回っておりません。ただ、このインターネットで公開しているものは、も し御家庭に買い置き等があった場合に照合していただくということでございます。 ○溝口部会長 ほかにいかがでしょうか。よろしゅうございますか。よろしければ以上 で報告事項を終わらせていただきます。これですべての審議が終わりました。御協力ど うもありがとうございました。次回の日程でございますが、品目審議状況を見てまた事 務局の方で調整してから、改めて御連絡したいと思いますので、どうぞよろしくお願い いたします。本日はどうもありがとうございました。これで閉会とさせていただきます。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 佐藤(内線2734) - 28 -