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「健康食品」に係る制度のあり方に関する検討会ヒアリング申請書


○ 団体の名称:財団法人 食品産業センター

○ 代表者氏名:理事長 岩崎充利

○ 団体の概要

目的
本財団は、食品業界全体の自主的努力と業界全体の相互連携を強化し、技術開発の推進、経営管理の合理化、競争秩序の整備、消費者対策等食品産業振興のため必要な事業を積極的に推進することにより、食品産業の近代化を図ることを目的とする。

組織構成
平成15年5月現在、各業種別団体121、食品企業等121、地方食品協議会28、個人51、地方公共団体18が会員である。

事業又は活動の内容
(1)  食品産業に関する重要技術の開発研究
(2)  食品産業の技術等に関する情報の収集及び提供
(3)  食品産業に関する研究者、技術者、経営専門家等の組織化
(4)  食品産業の技術又は経営に関する研修及び診断指導
(5)  食品産業界の競争秩序の整備
(6)  食品の品質の向上及び表示の適正化に関する指導
(7)  食品に関する消費者の啓発及び食品産業界と消費者の間の意思疎通の促進
(8)  食品に関する消費者の苦情処理
(9)  共済加入者が行う食品の欠陥による生命、身体、財産に係る被害を受けた者に対する補償その他関連費用の支払いのための共済
(10)  食品産業の振興に関する助成
(11)  食品産業に関する調査及び広報
(12)  その他本財団も目的を達成するために必要な事業

「健康食品」に係る制度のあり方に関する意見内容
【基本的な考え方】
1. 一般食品(生鮮・加工)の多様な摂取で良好な健康は確保できる。
2. 栄養・機能性の強調は一定の制約の下で許されるべきである。
3. 食生活の不安を助長するような表示・広告等は規制されるべきである。

(1)国民の健康づくりにおける「健康食品」の役割をどう位置づけるか
 近年、整腸作用、ミネラル補給、抗酸化作用等の機能を有する食品成分とその働きが明らかになるにつれ、その機能性に着目した食品の開発が進められてきている。加工食品業界としては機能性を有する食品を健康志向型食品として、医薬品の延長ではなく食品として位置づけている。

機能性に着目した食品は以下に分けられる。
1.一般食品(機能性を何も標榜していないもの)〔例:梅干、シラス干し、海草〕
2.機能性をセールスポイントにしている一般食品
 (1)  機能性に関し、新たな加工等を加えていない食品〔例:カルシウムたっぷりシラス〕
 (2)  機能性成分等を添加、削減等の操作を加えた食品
(1)  天然物、一般的食品原材料のみを添加・低減・削減した食品
   〔例:ローファットミルク、減塩醤油〕
(2)  特定成分を抽出、原材料を高度に濃縮したものを添加した
 ア. 通常の食品の形態のもの〔例:菓子、飲料〕
 イ. 特殊成型、容器包装がなされている食品〔例:サプリメント〕
 このうち2についてそれぞれがどのように消費者に受け入れられているかを考えると、
 (1) は、食生活指針に代表されるような通常の栄養バランスの確保を目的として、一般的に消費されていると思われる。
 (2) は、通常の食べ方ではバランスの維持できない人、不安のある人、必要な人が摂っている、すなわち、何らかの健康的な理由から特に補充が必要な人、食生活に不安を有していて、特定分野に関心を持っていて補充する人が主な需要を構成していると思われる。
 このような機能性を重視した食品は、健康に関心を有する消費者に対し、栄養素の補充と生体機能調節、食摂取の安心感確保のために一定の役割を果していると考えている。
 なお、食品の機能性については、バランスのとれた健全な食生活及び栄養摂取を図る上で国民の関心を得ることが重要であり、科学的合理的な根拠の下に言及されることが必要と考えている。

(2)「健康食品」の利用・製造・流通の実態は国民の健康に有効に機能しているか
 一般食品の有する機能性を消費者に強調する動きについては、前述のように摂取食品への関心を高め、健全な食生活を享受するうえで有益であると思われる。
 この観点からも、平成13年に定められた保健機能食品制度が個別の食品を対象に考える特定保健用食品と栄養成分を対象とした栄養機能食品に分けてそれぞれの役割を明らかにして、その扱いを定めているということについてはおおむね妥当なものと考えている。
 この制度に則った食品群については、その有する機能について一定の理解の下に市場も形成されているが、食品業界としては、一般論として特定保健用食品については認可要件が厳しいこと(事例として、ヒト試験が医薬品並に厳しい)、栄養機能食品については対象とする栄養機能の追加設定が進んでいないこと及び認められる用語が限定的であることについて検討をお願いしたい。
 また、一般食品を通常の食生活において摂取するだけでは健康が維持し難いあるいは健康に支障が生じるとの考え方に基づいたいわゆる「健康食品」の販売方法については、一般消費者の不安感をかきたて食生活をゆがめる恐れもあると考えている。
 さらに、科学的な論拠もなく効果・効能を強調して生産・販売されることや、安全性と安定性への必ずしも充分な配慮がなされていないと言い難いものも一部に見受けられることも問題であろう。

(3)(1)及び(2)を踏まえ、行政、関係業界、消費者の果たすべき役割、制度はどうあるべきか
 "健康食品"という名称は、あたかも一般の食品が"健康的ではない"との誤解を与えかねない。また、梅干、自然塩、海草などにも"健康食品"と名乗り、いわゆるサプリメントも"健康食品"と名乗っており、消費者に混乱を与えている。およそ、すべての食品は健康に貢献するという立場から、名称について"健康"の文字使用を自粛するべきであろう。
 一般食品の機能性について言及する場合には、CODEXの考え方に基づいて、供給企業が、その効能について責任を持って立証できる範囲で原則自由とする。ただし、認められた効果・効能を超えた宣伝は避けなければならない。
 特に特定成分の抽出物や高度に濃縮あるいは薬剤風に成型したもの等は、食品としての安全性及びGMP等を、製造・販売者が自己責任の下で明確に開示できることを原則に生産・流通させてはどうか。さらに、健康危害の可能性のある場合、標榜する機能の存在に疑問のある場合等には事故発生、社会問題化を予防することができるよう、当該食品が市場から排除されるシステムを構築する必要があろう。
 その際、関係する法律が食品衛生法、薬事法、健康増進法、JAS法、不当景品類及び不当表示防止法、消費者契約法、製造物責任法等多岐に渉っていることから、関係省庁の連携の下に統一的な対応を検討すべきであると考える。
 また一部には、情報が不十分なまま消費者に購入され消費がなされているので、科学的根拠に基づいた正しい情報が購入時に明らかにされ、消費者が選択できるような教育や情報提供も必要であると考える。


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