団体の名称 | :日本大衆薬工業協会 |
代表者の氏名 | :伊部幸顕(会長) |
団体の概要 | : |
1.平成13年4月に施行された保健機能食品制度における「特定保健用食品」に関して許可された表示内容を見ると「おなかの調子を整える」「体に脂肪がつきにくい」「血圧の高めの方に適した」「コレステロールが気になる方・高めの方に」「血糖値の気になる方に」など生活習慣病の予防ないしは治療を消費者に期待させる表示になっています。さらに、いわゆる健康食品の中には特定保健用食品としての表示許可なく類似の表示をするものもみられます。
一方、「一般用医薬品(医薬部外品を含む)」は軽治療・健康の維持増進の分野を中心にその役割を果たしてきた。昨年11月には一般用医薬品承認審査合理化等検討会が纏めた「セルフメディケーションにおける一般用医薬品のあり方について」(中間報告書)の中で、一般用医薬品の役割は、国民の意識やニーズが様変わりする中で変化すべきであり、「一般の人が、薬剤師等から提供された適切な情報に基づき、自らの判断で購入し、自らの責任で使用する医薬品であって、軽度な疾病に伴う症状の改善、生活習慣病等の疾病に伴う症状発現の予防、生活の質の改善・向上、健康状態の自己検査、健康の維持・増進、その他保健衛生を目的とするもの」と定義されております。このような状況のもとでは、特に消費者サイドから見た場合、いわゆる健康食品と一般用医薬品の範囲の境界が不鮮明・不透明なものとなってしまっています。
また、食品とは元来、摂取する個人の嗜好、味覚と食欲によって自ら選択して、適量を判断して摂取するものが一般的に食品的摂取法であるが、これと異なり、一定量を毎日摂取するような用法の食品が医薬品と同じ剤形で存在することは、医薬品との混同を助長する原因となるものと考えます。
以上から、当協会ではその境界について以下のように考えます。
「エビデンスに基づいて専ら身体機能への作用面を強調するような加工食品は薬事法下で管理することとし、医薬品の範疇、例えば新指定医薬部外品を含めた健康指向型の医薬品とする」(別紙試案参照)ことで医薬品と食品の区分(役割分担)が明確となり、消費者の安全性の確保と混乱が回避できるものと考えます。
2.軽度な疾病、生活習慣病等の疾病に伴う症状の改善・予防、生活の質の改善・向上、健康の維持増進の分野は一般用医薬品が担うべきものと考えます。一般用医薬品として取り扱うことにより、食品として扱われるために生じる可能性のある以下のような問題点が回避できると考えます。
(1) | 食品のある成分を濃縮または、これら成分を配合することによって、食品としてのバランスが損なわれ、過量摂取等による安全性に問題が生じる。 ⇒過剰摂取を回避するため摂取の目安が表示されているが、一般用医薬品とすることにより、用法用量、服用時期等が明確に表示できる。 |
(2) | 身体機能への作用面が強調されることにより、疾病が治るような期待感が消費者に与えられている。 ⇒一般用医薬品とすることにより、症状の改善・予防等の適正な効能効果をうたうことができる。 |
(3) | 食品の場合、広告に対する基準が示されていない。また、監視体制があまり機能していないことにより、消費者に過度の期待をもたせる危険がある。 ⇒一般用医薬品の場合、医薬品等適正広告基準により運用されている。 |
(4) | 食品=安全との認識が一般的に持たれており、乱用を助長するおそれがある。 ⇒一般用医薬品とすれば、根拠に基づいた使用上の注意により、適正な使用が図れる。 |
(5) | 市販後の安全性情報の収集、健康被害発生への対応。 ⇒一般用医薬品とすることにより、薬局・薬店を通じ、より容易に実施できる。 |
(6) | 規格の設定と品質の確保。 ⇒「健康補助食品」の一部について自主的GMPが適用されているが、一般用医薬品の場合はすべてにGMPが適用されることから、安定した品質の確保が容易に行える。 |
3.いわゆる「健康食品」については、法的な定義がなされないまま、一般名詞化し、「健康によい食品」「これさえ食べておけば、健康が維持される」などと解釈され、「ダイエット食品による健康被害」などの混乱を生じている。この混乱を正すためには、平成10年の食薬区分の改正時に強調された監視強化の実施が強く求められる。
(別紙)