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厚生労働科学研究費補助金研究事業の概要
研究事業(研究事業中の分野名):肝炎等克服緊急対策研究
所管課:結核感染症課
予算額の推移(例):
平成12年度 平成13年度 平成14年度 平成15年度
千円 千円 744,097千円 742,530千円
(1) 研究事業の目的
 肝炎ウイルスの病態及び感染機構の解明並びに肝炎、肝硬変、肝がん等の予防及び治療法の開発等を目的とする。
(2) 課題採択・資金配分の全般的状況
 肝炎ウイルス等について、その病態や感染機構の解明を進めるとともに、肝炎、肝硬変、肝がん等の予防、診断及び治療法等に資する研究
(3) 研究成果及びその他の効果
1年を経過した段階で、特に現在社会的問題となっているC型肝炎の疫学(罹患率、経過、予後)が明らかにされつつある。
C型肝炎ウイルスによる発癌機構も一部解明された。
キャリアを早期発見するための健診方法が確立され、またC型肝炎に対するインターフェロンを含めた標準的治療法にも進歩が見られる。
さらに肝移植も含めた肝癌治療など水準の高い研究が行われている。
(4) 事業の目的に対する達成度
以上の健診、疫学、治療法の結果を評価するには数年を要し、水準は高い。
しかし研究の結果が普遍化されるには同様に時間を要し、達成度を評価する段階にはまだない。
(5) 行政施策との関連性
C型肝炎健診の確立により早期治療が可能になり、治療法の進歩とあいまって、肝硬変、肝癌の発生率減少が見込まれる。
これにより国民の健康増進とともに、医療費削減にも繋がる。
また新規キャリアの発生要因が明らかになることにより、新規患者の減少が見込まれる。
(6) 今後の課題
C型肝炎ウイルス感染による長期の経過、予後の解明、透析施設、歯科診療による感染など疫学的に解明すべき点が多い。
抗ウイルス剤、PEGインターフェロンなど新しい薬剤を併用した治療の標準化も重要な課題である。
また肝癌に至った症例に対する肝移植も含めた治療法の進歩も待たれる。
(7) 来年度以降の予定
1年を経過した段階で上記のように多様な結果が得られつつあり、来年度以降もこれらを推進する。
またわが国にも常在する可能性が示されてきているE型肝炎ウイルスについて疫学的な研究を新規に開始する予定である。
(8) 新規に取り組むべき事業に関する考え方 等


(9) 本研究の総合評価
 わが国にはC型肝炎の感染者が約150万人存在すると推定され、またB型肝炎の疫学はかなり明らかになった一方、感染者の管理の問題は未解決な面が多い。またE型肝炎が国内に常在するか、動物由来感染症との関与の有無など、肝炎ウイルスに関しては、国民の健康におよぼす影響も含めて解明すべき点が無数に存在するといって過言ではない。その中で本研究は開始後、短時日でこれらの問題に関して重要な知見を得ており、行政的にも意義が高い。
項目や分量は適宜変更可。既存資料を用いても差し支えない。


○肝炎等克服緊急対策研究

研究課題 実施
期間
合計
金額
(千円)
主任研究者
所属施設
氏名
(1)専門的・
学術的観点
ア 研究目的の成果
イ 研究成果の学術的・国際的・社会的意義
(2)行政的観点
・ 期待される厚生労働行政に対する貢献度等。(実例により説明してください。審議会資料、予算要求策定の基礎資料としての活用予定などを含む。)
(3)その他の
社会的
インパクトなど
(予定を含む)
発表状況 特許 (4)研究の成果が分かるホームページのURLなど
原著
論文
(件)
その

論文
(件)
口頭
発表

(件)
反映件数
C型肝炎ウイルスの感染による肝炎・肝硬変及び肝がん発生等の病態の解明に関する研究 平成13-14年度 109,400 大坂大学大学院医学系研究科分子制御治療学 林 紀夫 C型肝炎ウイルス(HCV)の培養細胞および小動物における増殖システムを樹立した。HCVコア蛋白が宿生細胞に与える影響を多角的に明らかにした。HCV感染症における基盤的免疫異常として樹状細胞機能の低下があることを明らかにした。IFN/Riba 治療における反応性がHCV dynamivs より予見可能であることを示した。HCV感染の各病期における遺伝子発見データベースを整備した。いずれの成果も独自性および学術性の高い内容であり、C型肝炎治療の臨床の現場にも有用な成果を含んでいる。 IFN治療効果の効果判定予測に基づく、C型肝炎治療の最適化および効率化。HCV複製モデルを用いた抗ウイルス剤の迅速かつ客観的評価システムの作成。IFN治療難治例に対する樹状細胞を用いた新規の免疫療法の開発。肝癌に対するレチノイド等を用いた癌標的治療法の開発。 IFN治療難治例の病態解明 83 0 33 1 なし
C型肝炎の自然経過および介入による影響等の評価を含む疫学的研究 平成13-15年度 55,911 広島大学大学院 医歯薬学総合研究科 疫学・疾病制御学 吉澤 浩司 ア.研究目的の成果・肝炎ウイルス検診の対象となる年齢層(2000年の時点における40歳から69歳)におけるHBV,HCVキャリア数を算出した。
・1996年から2000年までの5年間における全国市町村別の肝がん標準化死亡比(SMRベイズ推定量分布地図)を作成した。
・HCVキャリアの自然経過の一端を明らかにした。
・HCV感染に必要な最小ウイルス量が確定した。
・透析患者集団のHCVキャリア率、HCVキャリアの新規発生率を明らかにした。
・ わが国におけるE型肝炎の実態を明らかにし、ワクチン開発の可能性を示した。
イ.研究成果の学術的・国際的・社会的意義・得られた成績は、平成14年度(2002年度)から5年間の計画で開始されたわが国の肝炎対策を推進する上での拠りどころとなっている。
・HCVキャリアの実態、(キャリア数、自然経過等)の提示は、わが国の肝炎対策の予算規模、実施細目決定のための基礎となった。
・HCV感染に必要な最小ウイルス量の決定、透析医療機関におけるHCV感染実態の把握は、エビデンスに基づいたHCV感染予防対策策定の基礎となる。
・最近問題となってきたE型肝炎対策策定の出発点となるデータを提示した。
・肝がん多発の先行国であるわが国における肝炎・肝がん対策の策定と実施は、遅れて肝がん多発国となる他国(米国、旧ソ連邦など)をリードする形で進行している。
・透析医療分野におけるHCV感染防止のためのガイドラインを作成し、その実効性を検証する準備が整った。
7件 1件 2件 なし 原著論文(7件)
1)Yoshizawa H. Hepatocellular Carcinoma Associated with Hepatitis C Virus Infection in Japan; Projection to Other Countries in the Foreseeable Future. Oncology. 62(suppl 1): 8-17, 2002
2)Yoshizawa H. :Trends of hepatitis virus carriers,
Hepatology Research. 24 28-39 ,2002
3)Tanaka Y. Hanada K. Mizokami M. Yeo AET. Shih JWK. Gojobori T. Alter HJ.
A comparison of molecular clock of hepatitis C virus in the United States and Japan predicts that hepatocellular carcinoma incidence in the US will increase over the next two decades.
Proe Natl Acad Sci U S A 99 (24) : 15584-9,2002.
4)渡辺由美, 三浦宜彦, 藤田利治, 箕輪眞澄:
肝がん死亡の地理的分布と年次推移. 厚生の指標. 2002;49(6):1-7
5)Takahashi K, Kang J-H, Ohnishi S, Hino K, Mishiro S,
Genetic heterogeneity of hepatitis E virus recovered from Japannese patients with acute sporadic hepatitis.
J Infect Dis 185, 1342-1345 (2002).
6)Mishiro S, Takahashi K, Kang JH, Ohnishi S, and Hino K.
“Identification of indigenous hepatitis E virus from a Japannese patient who contracted sporadic acute hepatitis in 1982”. J Infect Dis 186, 1536-1537 , 2002
7)Kazuyuki Suzuki, Tatsuya Aikawa, and Hiroaki Okamoto : Fulminat hepatitis E in Japan. New Engl J Med, 347 : 1456 ,2002
その他論文(1件)
吉澤浩司、飯野四郎:
第2版 医師、コメディカルスタッフ、肝炎対策関係者のための
ウイルス肝炎 診断/予防/治療 -ウイルス肝炎対策の指針- 東京 文光堂刊,2002
口頭発表等
1)吉澤 浩司:
病因論に基づいた肝炎・肝がん対策 -対策策定の基となった疫学的背景と対策の理念-. 第61回日本公衆衛生学会総会特別講演 埼玉. 2002年10月23-25日
2)保富康宏, 高村史記, 新倉昌浩, 武田直和, 宮村達男:
E型肝炎ウイルス(HEV)ウイルス様中空粒子(VLP)をベクターとして用いた経口ワクチンの開発 第50回日本ウイルス学会学術集会, 札幌, 2002年10月16-18日
C型肝炎ウイルス感染者に対する治療の標準化に関する臨床的研究 平成13-15年度 95,000(13年14年の合計金額) 虎の門病院 消化器科 熊田博光 全国の肝臓専門医によるアンケート調査の詳細な解析をもとに、現時点でのC型肝炎ウイルス感染者に対する治療の標準化のガイドラインを作成することができた。今後、本ガイドラインに沿った治療が全国で行われることで、疾患および治療に対する知識の普及・啓蒙がなされるとともに、医療格差が是正され、効率的な医療経済が営まれると考えられる。 現時点における施行可能な最新の治療法を基にしたC型肝炎ウイルス感染者に対する治療の標準化のガイドラインが公表された。今後、節目検診および要指導者等検診の着手率・実施率の向上に伴い、新規C型肝炎ウイルス感染患者も含めた治療対象患者に対する治療法の指針を国家的事業の一環として示すことができ、今後の新たな治療法の確立やガイドラインの改訂にも反映されることが期待できる。 国民病とも言われ注目されているC型肝炎ウイルス感染に対する治療法の統一見解が国家的レベルで公表されたことは、本邦における本疾患への取り組みと意識の高さを国内および海外に示すことができた。今後の治療法の向上につながり、世界的レベルの治療成績を示せることが期待できる。 109 0 20 0 http://mhlw.go.jp/**
  ※本研究課題における研究班全体の成果、予定を含む
※施策への反映状況・件数は、幅広く記述する。


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