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厚生労働科学研究費補助金研究事業の概要
研究事業(研究事業中の分野名) :医療技術評価総合研究事業
(健康安全確保総合研究分野)
所管課:医政局 総務課(取りまとめ課)
予算額の推移(例):
平成12年度 平成13年度 平成14年度 平成15年度
1,136,509千円 866,871千円 1,895,381千円 1,667,936千円
(1) 研究事業の目的
 良質な医療を合理的・効率的に提供する観点から、医療技術や医療システムを評価し、医療資源の適切な配分を行うなど、時代の要請に速やかに対応できるよう、既存医療システム等の評価研究を実施するとともに、医療の質と患者サービスの向上のために必要不可欠な医療安全体制確保に関する研究、根拠に基づく医療(Evidence-based Medicine:EBM)に関する研究を実施するものである。
(2) 課題採択・資金配分の全般的状況
診療技術の評価(約2.2億円)、医療機能の評価(約0.5億円)、医療情報技術の評価等(約1.6億円)、医療提供体制基盤整備(約1.8億円)、看護技術等(約0.5億円)、EBMの推進(約7.1億円)、医療の質と医療安全体制確保等(約1.8億円)となっている。
これまでに比較して、医療の高度化や昨今の医療不信の状況に伴い、いずれの項目においても医療の信頼の確保にかかる研究の採択が増加する傾向にある。
(3) 研究成果及びその他の効果
(社会的な意義や施策・ガイドライン等への反映状況を含む)

 必要に応じて代表的な研究成果の説明図などを添付する。

【EBMの推進】科学的根拠のあるの医療推進のために、重点20疾患のEBMを構築する(現在15疾患まで構築)。
【医療安全及び質の向上】安心な医療を提供するために、リスクマネージャーの活動指針や、人工心肺マニュアル等を作成した。
【看護技術開発】新たな看護の在り方を提示するために、看護師による静脈注射等の可能性についての研究を行い実現した。
【医療情報】医療情報の融通性を高めるため、電子カルテの標準化を行った。
【体制整備】救急医療の向上のために、救命救急士による特定医療行為の拡大の可能性を検討し実現に向けて進行中。
(4) 事業の目的に対する達成度及び
(5) 行政施策との関連性
 いずれも順調に進行している。
【EBMの推進】 順調に進行している(20疾患の目標に向けて現在15疾患について完成し公表済み)。
【医療安全及び質の向上】各種マニュアル等が完成しており、順調に進行している。(例、人工心肺の安全マニュアル、医療安全管理者の活動を推進するための指針)
【看護技術開発】これまで認められなかった看護師の業務範囲が新たに認められており、順調に進行している。(「看護師等による静脈注射の実施について」(医政発0930002,平成14年9月医政局長通知))
【医療情報】電子カルテや遠隔診療は確実に増加しており順調に進行している。
【体制整備】救命救急士による特定医療行為のうち、気管内挿管、静脈注射が認められる方向で進行しているところ。
(6) 今後の課題
【全般的な課題】
研究費の交付時期の早期化
中長期にわたるテーマの研究費への取り込み
【個別内容に係る課題】
以下の課題に関する研究を行うことを検討している。
医療の質と信頼に関する研究の促進
女性外来の支援等従来は十分に認識されていなかった医療ニーズの把握
医療従事者の試験制度や生涯教育の充実
医薬品・医療機器、医療関連サービス等の充実 等
(7) 来年度以降の予定
【研究費の交付時期の早期化】
機関委任経理原則の徹底
評価委員会の早期開催等
【中長期にわたるテーマの研究費への取り込み】
行政担当者による事前のブレインストーミング 等
(8) 新規に取り組むべき事業に関する考え方 等
【内容】
医療の質と信頼に関する研究の促進
(例、診療科別、病院―診療所別、病床規模別等に、医療の質を高くする手段及び評価方法)
女性外来の支援 等
【方法論】
若手研究者の登用
局内の政策手段にとらわれない研究の奨励
3年期限にとらわれない研究費の機動的運用
(9) 研究事業の総合評価
 前述のように、医療技術評価総合研究事業は、医療の内容のみならず制度面における推進の重要な役割を果たしており、行政的にもその意義は高いと考えられる。



研究課題 実施
期間
合計
金額
(千円)
主任研究者
所属施設
氏名
(1)専門的・
学術的観点
ア 研究目的の成果
イ 研究成果の学術的・国際的・社会的意義
(2)行政的観点
・ 期待される厚生労働行政に対する貢献度等。(実例により説明してください。審議会資料、予算要求策定の基礎資料としての活用予定などを含む。)
(3)その他の
社会的
インパクトなど
(予定を含む)
発表状況 特許 施策 (4)研究の成果が分かるホームページのURLなど
原著
論文
(件)
その

論文
(件)
口頭
発表

(件)
特許の出願及び取得状況 反映件数
(記入例)○○に関する研究 平成12-14年度 30,000 ○○研究所 □□部 ☆☆☆☆ 細胞死を制御する新規分子○○をクローニングした。この分子は、腫瘍に強く発現されており、腫瘍化にも関係していることが示唆された。成果はNature等の雑誌に掲載され、国内外から大きな反響があった。 成果をもとに○○の治療ガイドラインが策定され、全国に普及している。厚生労働省の遺伝子治療薬の品質・安全性確保に関する指針の改訂に反映された。 簡便に目的のタンパク質を検出できる○○の開発がわが国当該分野をリードする形に発展している。 10 10 20 2 2  
  ※本研究課題における研究班全体の成果、予定を含む
※施策への反映状況・件数は、幅広く記述する。


○医療技術評価総合研究

研究課題 実施
期間
合計
金額
(千円)
主任研究者
所属施設
氏名
(1)専門的・
学術的観点
ア 研究目的の成果
イ 研究成果の学術的・国際的・社会的意義
(2)行政的観点
・ 期待される厚生労働行政に対する貢献度等。(実例により説明してください。審議会資料、予算要求策定の基礎資料としての活用予定などを含む。)
(3)その他の
社会的
インパクトなど
(予定を含む)
発表状況 特許 施策 (4)研究の成果が分かるホームページのURLなど
原著
論文
(件)
その

論文
(件)
口頭
発表

(件)
特許の出願及び取得状況 反映件数
E-PASS scoring systemを用いた外科治療水準の評価および外科入院治療費の予測 平成12-14年度 9,000 国立熊本病院 外科 芳賀克夫 本研究では、我々が開発した手術リスク評価法E-PASS を用いて消化器外科手術の術後死亡率の予測式を算出し、これにより施設間の外科技術評価を可能とした。また、E-PASS を用いて消化器外科手術に係わる医療費の予測式を算出し、患者のリスクに応じて支払額を定めるリスク別包括支払い方式を提唱した。本研究成果はArchives of Surgery等の雑誌に掲載され、国内外から大きな反響があった。 医療施設の外科技術水準を公開することにより、医療の透明性を高めるとともに、我が国全体の医療の質の向上が期待できる。また、リスク別包括支払い方式を行うことにより、医療の効率化を推進するとともに平等性を維持することが可能である。 近年、患者側からの医療技術水準の公開の要求は強く、特に、侵襲が強い外科手術では、治療成績の公開を求める声は大きい。施設間の外科技術水準の公開を行うことにより、国民の要望に答えることができる。 17 1 48 0 0 なし
高血圧の予防診療法の技術評価に関する研究 平成12〜14年度 11,000 国立保健医療科学院
政策科学部
長谷川敏彦 システムダイナミクス、マルコフ連鎖、ゲームモデル、コホートモデルなどから新モデルを開発した。それを用いた定量的な分析によっても高血圧が日本国民にとって最も大きな負担をもたらしていつことや、重篤な合併症を生むことが判明した。このたび開発された数学モデルによって、種々の政策の詳細な費用対効果分析が必要と考えられる。研究成果はJournal of Epidemiology等の国内外の雑誌に掲載され、また学会発表を通して大きな反響を得た。 高血圧対策のためには総合的な政策が必要で、治療ガイドラインのみならず、コメディカルを含めた人材や財源の確保、治療効果の追跡システムが必要なことが判明した。診療の問題としては、血圧の管理率が低く、診療されたものの追跡の不十分さや治療へのコンプライアンスの問題である可能性が高いことが示唆された。これらの課題は2005年の高血圧治療ガイドラインの改訂に反映されることが期待される。 高血圧は経済的にも医学的にも大きな影響力を持つ疾患で、従来個々の臨床家がバラバラに診療にあたっていたのが、この経験により社会全体の医療システムの在り方にも影響を及ぼしうると考えられる。また、診療内容も効率化、高質化を計ることによって医療の質が向上し、かつ医療費の効率化にもつながると考えられる。一疾患ではあるが、影響度が多いので、その他の疾患の診療にも影響を与えうると考えられる。他の疾患の診療や診療ガイドラインの在り方にも影響を与えると考えられる。 16 16 32 0 0  
歯科疾患の予防技術・治療評価に関するフッ化物応用の総合的研究 平成12-14年度 64,000 東京歯科大学 高江洲義矩 フッ化物の全身的応用について、フッ化物の栄養学的評価として適正摂取量(AI)(0歳から12歳)の推定、医学的評価として骨代謝への影響等の研究を行い、この結果は国内雑誌やCaries Res、. J Bone Miner Res等の国外雑誌に掲載された。ライフステージにおいてフッ化物応用による齲蝕予防を適切に実施するためには有効性と安全性評価が必須であり、その学術的、社会的意義は大きい。その観点から、フッ化物局所応用についても最新の科学的理解の視点から基礎と臨床のレビューと各種応用法の有効性評価にかかわる研究を実施するとともに、う蝕予防のためのフッ化物洗口実施マニュアルなどの作成を行った。さらにフッ化物応用の保健情報と社会経済的評価について国際的な齲蝕罹患のマクロデータからフッ化物配合歯磨剤剤の有効性の因果関係を明らかにするとともに、国際的なシステマテックレビューの日比較検討、フッ化物応用の受容に関する各種社会科学的な調査手法による評価研究を行った。またフッ化物応用と歯科保健行政についても歯科専門職への意識調査を実施して人材育成・行政評価に関する提言を示すことができた。これらは、総括研究報告書(総括・分担報告およびプロジェクト報告)ならびに研究報告書(26課題)としてまとめられた。 1)フッ化物局所応用研究プロジェクトの研究成果をもとに「う蝕予防のためのフッ化物洗口実施マニュアル」を作成した。これを参照にして厚生労働省において「フッ化物洗口ガイドライン」が策定され、各都道府県知事に通達された。これは厚生労働省におけるフッ化物応用の実施綱領に新たに追加された。また、フッ化物局所応用の歯質への作用メカニズムについての最新の研究知見をもとにして「21世紀のための歯科医師、歯科衛生士のためのフッ化物臨床応用のサイエンス」としてまとめられた。これは、フッ化物局所塗布法、フッ化物配合歯磨剤のマニュアル作成の契機となるものである。そして、フッ化物の栄養所要量に関して乳児・幼児および児童における一日フッ化物摂取量の研究データと文献レビューは、厚生労働省における第7次栄養所要量の改定作業におけるフッ化物検討の基礎資料としての利用が期待される。 フッ化物応用の保健情報の発信源の信頼性と信用を得ることの重要性が保健専門職ならびに国民に認識されていて、保健情報の質を高くすることが望まれていた。今回、フッ化物応用の総合的研究班のホームページ(http://www.ffrg.org/index.html)を立ち上げて、フッ化物応用の保健情報の質を確保するとともに、研究成果を広く社会へ還元することが期待される。将来、わが国においてフッ化物の有効性と安全性評価に基づいて栄養所要量としての記載が認められるとするならば、う蝕予防としての全身的なフッ化物応用がさらに期待されるようになり、国民へのフッ化物応用の普及がさらに高まり、その結果として、ライフステージにおけるう蝕発現を抑制と口腔保健の向上に寄与するものとして期待される。 5 3 17 0 2 http://www.ffrg.org/index.html
歯周疾患の予防、治療技術の評価に関する研究 平成12-14年度 80,000 日本歯科大学歯学部 鴨井久一 唾液中の酵素・細菌の測定および臨床パラメーターの評価を行ったところ、歯周組織の状態改善に伴って、唾液中のLDH、ALP値、歯周病原性菌の数の低下がみられた。このことから、唾液検査は歯周疾患の治療効果のモニタリングに有用であることが示唆された。成果は日本歯周病学会会誌等に掲載され、今後この研究が国際的なものとなり、国際基準(IU)が設定できれば、国際的、社会的意義は大きいと考えられる。 この研究結果は厚生労働省が進める、健康増進事業実施者歯科保健支援モデル事業(歯科保健課)のスクリーニング法を用いた効率的歯科健診の基礎データとなり、今後この成果をもとに「歯周疾患の治療マニュアル」が策定され、これが厚生労働省の歯周疾患の科学的な治療を行うためのガイドラインに反映されると考えられる。 唾液による歯周疾患の臨床検査の開発により現在の歯科健診で、問題となっている時間、マンパワーおよび客観性の問題が解決できる。又、数値化された科学的データを基に作成された報告書で、受診者にわかりやすく説明することにより、受診者の理解が深まり受診率が向上することが考えられる。 5 6 13 1 モデル
事業
(16件
予定)
なし
低・非・抗う蝕性食品の検定評価法の確立とその応用・普及に関する研究 平成12-14年度 12,000 新潟大学大学院医歯学総合研究科 星野悦郎 低・非・抗う蝕性食品の評価法を纏め、その実施系を提示した。 評価基準の統一性が可能となった。また、評価法を科学的裏付けの下に省力化、簡便化を図った。 評価された食品に対する表示の例の示した。 47 7 74 3 0 特にない
今後の歯科技工士の養成方策等に関する総合的研究 平成12-14年度 1,000 日本歯科大学 渡辺嘉一 医療界同様に変革が求められている歯科技工界において、養成現場では個別的,微修正的な対応に留まり、技術教育のみならず昨今求められる人間性に関する教育に関しても十分な教育が行われていない。そこで、こうした環境変化や社会的要請に対応すべく多方面にわたって抜本的な検討を行い、時代の要請に適応した質の高い歯科技工士を確保し、適切な歯科技工物の安定的な供給に質することを目的とし、養成カリキュラムモデルの構築,教員養成基盤整備,歯科技工士試験の全国統一試験案策定を行なった。 「歯科技工士教育の現状」をテーマに、日本歯科医学教育学会,日本歯科技工学会で研究報告を行っている。さらに、全国歯科技工士教育協議会を通じて加盟校に本研究において策定されたカリキュラムモデルを周知徹底することにより、現状への理解を求め、今後の歯科技工士養成に関する指針の改定に反映される予定である。また歯科技工士試験出題基準の改訂に寄与することが期待される。 将来行われるであろう歯科技工士養成施設における大綱化された教育内容に伴う新カリキュラムの策定にあたり、簡便に応用可能なカリキュラムモデルの策定を行った。 1 0 1 0 0  
院歯科の地域歯科医療支援等の機能面からみた現状分析と歯科医療提供体制の推進に関する総合的研究  (H12-医療-007) 平成12-14年度 12,000 三井記念病院歯科口腔外科 寳田 博 科医療提供体制の中で従来その実態が不明確であった全国の病院歯科1,474施設に対して、病院歯科機能に関わる広範かつ回収率の高いアンケート調査を実施し、現状分析とともに問題点を指摘した。 行政的観点・期待される厚生労働行政に対する貢献度等。(実例により説明してください。審議会資料、予算要求策定の基礎資料としての活用予定などを含む。) 得られた成果については、病院歯科の機能である地域歯科支援機能、後方支援機能、教育研修機能に関わる行政面、特に前2者については、保険行政の中で現在すでに実施されている「かかりつけ歯科医」制度との整合性において今後活用が期待される。さらに、歯科医師臨床研修制度の受け皿としての病院歯科の実態が明らかにされたことにより、研修施設の評価基準などに有用であると考えられる。 歯科医療提供体制の中での重要性とは裏腹に、とかく不明確であった実態にメ スを入れたことは、病院歯科の関係者自身にとっても大きなインパクトであったこと が反響によって裏付けられた。 0 0 1 0 0  
看護基礎教育における認知領域面の教育基準作成に関する研究 平成13-14年度 9,272 愛知医科大学看護学部 高橋照子 看護基礎教育においる実践能力の育成を目指して、その根拠となる認知領域面の教育内容の基準を、看護学7領域別に作成した。保健師・助産師・看護師に共通して求められる基礎となる標準的内容の提示は、各教育機関のカリキュラム構築、科目編成等で活用されることが期待される。 基準の提示は、看護学教育の質的向上の指針となるとともに、国家試験問題作成の基礎資料となる。 全国の教育関係機関に配布する冊子(研究成果)、および看護学教育学会における成果の公表は、各教育者に教育内容の再考を促し、実践応力育成に向けた看護学教育の方向性が明確になる。 0 1 1 0 0  
歯と咬合の長期的維持管理に関する予防・治療技術の評価についての総合研究 平成12-14年度 48676 岩手医科大学歯学部 石橋寛二 ライフサイクルを軸に、科学的根拠による歯と咬合の長期的維持管理を達成する上での寄与因子を調べた。ブリッジの長期的維持管理に対するリコールの重要性、咀嚼機能の維持管理に対する残存歯数の確保と歯周組織の維持の影響を明らかにした。 本研究の成果から、歯科治療を予防・管理に主体をおく「健康マネージメント」へと導く根拠の一端を提示できたものと考える。 電子情報を診断に応用する方法や診療情報の適切な共有と提供の方策についても検討を加えた。将来的に電子カルテの普及に際し、貢献できるものと思われる。 5 3 8 0 0 なし
ネットワーク型医療の評価と推進に関する研究 平成12-14年度 12,921 国立保健医療科学院政策科学部 高本和彦 システム化された診療情報を基盤とするネットワーク型医療システムのモデルを提唱し、国際的な動向をふまえたシステム評価枠組みを国内の3先進的事例に適用して実運用下での多面的な評価を行い、共有される情報の範囲や特徴、医療機能等の違いに応じて、診療活動の過程の質向上、患者負担軽減、患者満足及び健康結果の改善、医療・経営管理面の良好な影響と負担変化等が示唆される結果が得られた。 医療制度改革のおける医療分野の情報化の進展に対応した、情報技術を基盤とした医療システム評価のモデルとして活用でき、また、病院情報システム導入と経営指標の関連の明確化等、今後の情報化政策推進の基礎となる具体的検討を行っている。 財政的運用基盤、個人情報保護対策等のシステム信頼性と運営等、システム経営上の現実的課題について、患者の視点からも評価結果を得ている。 0 2 3 0 1  
アウトカムによるリハビリテーション病院の機能評価に関する研究開発 平成12-14年度 11,000 日本医科大学医学部 木村哲彦 わが国においては、これまで病院のperformanceやアウトカムを評価することは行われて来なかった。また、リハビリテーション病院のアウトカムを測定することは欧米においても行われて来なかった。本研究により、急性期リハビリテーションにおけるアウトカム評価実行可能性が証明され、方法論確立された。また、従来の病院機能評価をリハビリテーション病院に適応するための構造評価用の評価スタンダードが併行して開発された。 病院や医療機関のアウトカム評価は、現時点では、具体的な行政に直接反映されていないが、このような評価が取り入れられることで、病院の治療成績向上に向けた取り組みが促進されるものであり、患者にとっては、医療機関選択の重要な情報が提供されることになる。評価スタンダードは、(財)日本医療機能評価機構の評価基準に反映されている。 私どもの研究がきっかけになって、病院のperformance測定・アウトカム評価が病院機能評価において重要であることが認識されるようになった。 2   7   1  
診療施設間患者情報交換と情報収集形式の標準化に関する研究 平成12-14年度 10,650 浜松医科大学医学部附属病院医療情報部 木村通男 施設間患者情報交換形式として紹介状形式と画像検査項目コードを策定し、施設間患者情報連携としては、糖尿病の分野において様々な情報連携の目的に共通のミニマムデータセットを策定した。MERIT-9紹介状形式は、HL7のCDA(HL7の電子カルテ等、構造化文書記述形式)に準拠させ、ISO化に向かっているHL7規格の一部とする準備が整い、ベルリンでのHL7 CDA Conferenceにおいて発表した。一方、JJ1017画像検査項目コードは、IHE-Jにおいて用いられ、ホームページでも公開され、英語版は、DICOM委員会(米国)に提出した。これは、日本での標準的なコードとして、MEDIS-DCの標準化委員会に採択されようとしている。両者ともに国内外から大きな反響があった。 成果をもとに厚生労働省の保健医療分野のIT化グランドデザインに基づいて本年度から発足した、(財)医療情報システム開発センターの用語・コードの標準化委員会において画像検査部門について電子請求・電子カルテ用の利用が推奨されようとしている。 MERIT-9形式紹介状は、すでにこれを実装し商品化した企業も出ている。また静岡県ではこれに基づいたCDでの病診連携の方針が示されている。主任研究者はその技術検討委員である。糖尿病の施設間連携ミニマムデータセットは、今後これをベースとして、各ユースケースごとに枝葉を付ける作業が開始されている。 13 18 21 0 3  
緩和医療提供体制の拡充に関する研究 平成12-14年度 19,950 大阪大学大学院人間科学研究科
国立がんセンター東病院 病棟部
恒藤 暁(平成12年度)
志真泰夫(平成13、14年度)
【研究目的の成果】ホスピス・緩和ケア病棟を中心とした緩和医療提供体制の現状把握と問題点の解明ができた。特に緩和医療の質の評価について、STASと遺族評による価法を開発し、臨床応用を可能とした。【成果の意義】緩和医療の質的評価は、学術的にはクリニカル・オーディットに不可欠であり、社会的には医療機能評価で必要とされる。STASは臨床使用の要望と問い合わせが多数寄せられている。 「ホスピス・緩和ケア病棟の現状と展望」(平成12年度報告書)は厚生労働省「終末期医療に関する調査等検討会」の資料として提出。「平成13年度報告書」は日本医療機能評価機構緩和ケアモジュール検討会の資料として提出。 今後は、緩和医療が病院内緩和ケアチーム、地域の緩和ケアチームという形で、普及していく可能性がある。このような緩和医療の量的拡大に伴い、緩和医療の質的評価のための体系的評価法が求められている。そこで、この研究成果を基に臨床で使用可能な評価法を確立していく必要がある。 1 2 2 0 2 なし
病院前救護体制の構築に関する研究 平成12-14年度 36,000 財団法人 日本救急医療財団 名誉会長 山村秀夫 ア 研究目的の成果
病院前救護体制の構築を図るため、救急医療の分野でMedical Control体制におけるMedical Directorの研修プログラムを作成した。また救急専従医の役割とあり方についての検討を行った。
イ 研究成果の学術的・国際的・社会的意義
地域におけるMedical Control体制の検討と構築では「救急救命士の業務のあり方等に関する検討会」の中間報告における業務拡大の対象とされている除細動の包括的指示による実施、気管挿管、薬剤投与などについてMedical Controlの観点から必要となる法的条件整備等について検討した。一方、病院前救護体制の構築で救急現場での救護を担っている救急救命士の資質の向上が不可欠でこの目的で救急救命士養成の大網化カリキュラム及びその教育目標をまとめた「救急救命士カリキュラム」を作成した。
救急医療の分野でMedical Control体制におけるMedical Directorの研修プログラムは、早速、厚生労働省主催の受託研修事業(病院前救護における指導医等研修)の研修に利用された。また、「救急救命士カリキュラム」は、救急救命士養成の大網化カリキュラムとして利用されている。 病院前救護体制の構築に関して、Medical Control体制の構築とくに業務拡大に対応した研究として有様な研究と考える。 0 0 0 0 0  
医療供給体制に関する研究 平成12-14年度 30,000 社団法人 全日本病院協会 佐々英達 本研究では、(1)臨床指標を用いた医療アウトカム評価事業が日本でも可能なこと、医療の質向上をもたらす可能性があることを明らかにした。(2)オーストラリアのケースミックス導入状況についての調査を実施した。(3)疾病コーディングについての研修会を実施し、コーダー養成のための教育プログラムの開発を試みた。(4)医療提供体制について専門家パネルにより、検討を行い、その成果を「病院のあり方に関する報告書」として公表した。 医療の質についての関心が高まるに連れて、医療政策においても透明性と科学的根拠が要求されるようになっている。本研究の成果は、将来の医療提供体制のあり方についてのグランドデザインを示すと同時に、米国・豪などで一部行なわれている、医療アウトカム評価事業が日本でも実施可能なことを示すものである。 本研究の成果は、全日本病院協会のホームページで公開されるとともに、それぞれのサブテーマごとに報告書にまとめられ公表されている。医療政策の透明性・説明責任の確保に寄与している。 0 3
(報告書を含む)
2 0 2 http://www.ajha.or.jp/about_us/activity/zen/20020801.pdf

http://www.ajha.or.jp/about_us/activity/zen/20021003.pdf
医療機関におけるコ・メディカルの業務分担に関する研究 平成12-14年度 17,560 国立保健医療科学院 星野桂子 各種コ・メディカルの業務を調査し、必要数を検討する基礎資料を得ることを目的とする。各種コ・メディカルの業務は現在流動的であり、実証手利き根拠に基づいた人員配置基準を求めることはできないことが明らかになった。しかし、コ・メディカル業務の実態を調査した結果、チーム医療やこれからの医療提供システムの構築に有用と思われる様々な所見が得られた。 薬剤師の分布や医療機関における標準数と必要数について、様々な条件下で試算し、薬剤師の人員配置基準に関する検討会の資料を作成した。 薬剤師に関する報告書は、1000部印刷したが病院や大学からの要請により、すべてなくなった。臨床検査技師に関する報告書は現在印刷しているが、これについても頒布希望が600病院から寄せられている。   4 3      
看護職員需給予測と中小民間病院における看護職員確保に関する研究 平成12-14年度 9,000 日本看護協会 菊池令子 中小民間病院の看護職員確保は准看護師から看護師雇用にシフトが進み、今後は看護実践能力のある看護師を採用予定の病院が多かった。中小民間病院に再就職する看護師は、「家庭との両立」を重視し、通勤可能な圏内で職場を探す傾向があり、職場の医療・看護内容を肯定的に評価した場合は定着に結びつくことが示唆された。中小民間病院における看護職員の確保状況と就業意向が明らかになった。 ナースセンター等看護職員職業紹介機関における就業斡旋において、求人機関及び求職者が相手の意向や状況を理解する上で調査報告書が活用されている。求職者である看護職員にとっては中小民間病院の看護職員採用状況、求める人材、就業上の魅力に関する情報が有用であり、人材を求める求人機関にとっては看護職員の求める就業条件に関する情報が有用である。   1 1 1 0    
看護師等国家試験の改善に関する研究 平成12-14年度 11,000 富山医科薬科大学医学部看護学科 永山くに子 本研究は看護師等国家試験の改善を目的として、過去に実施した設問の分析ならびに米国NCSBN)のPool制導入に関する情報収集による実現への提言、さらに新人ナースの業務分析による提言 看護師等国家試験出題基準ならびに必須問題作成時の基礎資料として活用予定。Pool制導入への重要資料となる。出題基準の標準化に役立つ。 看護師等国家試験に関する研究成果を公表するることによって情報公開の透明化や効率的な評価方法への転換は社会的にもインパクトは大きい。 1 0 2 0 2  
看護ケアの質評価・改善の管理体制づくりに関する研究 平成12-14年度 10,000 青森県立保健大学 上泉和子 研究の成果として、看護ケアの質評価プログラムを第三者評価用と自己評価用および自己評価用使用マニュアルを作成した。また質改善のための効果的なモデルとして領域の専門看護師を導入する方法を提案した。看護ケアの質評価へのニーズは高く、研究途中からも評価使用の問い合わせが多かったため、完成した評価プログラムを普及させ改善に生かしていくことができる。 本研究の成果をもとに看護ケアの質評価マニュアルが策定された。今後全国に普及させることができる。 簡便に自己評価できるプログラムとガイドラインを作成した。普及すれば看護ケアの質評価と改善につなぐことができる。 2 4 2 0 0  
医療分野における個人情報保護対策に関する研究 平成13-14年度 5,000 (財)医療情報システム開発センター 開原成允 我が国の医療分野における個人情報の取り扱いの実態について調査した。また先行して米国で立法化されたHIPAA法およびこの法に基づいて作成されたプライバシー規約について研究した。研究の過程において、米国HIPAA法プライバシー規約作成担当官と、国内の多数の関心者の意見交換を行い、示唆を得たほか、我が国の医療現場の個人情報保護の必要性に関して説明するセミナーを行い、普及啓発の面を含め、大きな反響を得た。 研究成果をもとに、我が国の個人情報保護に関する診療分野におけるガイドラインのひとつの試案を作成し、行政機関や認定団体等が医療分野におけるガイドラインを制定するにあたっての基礎資料とした。 医療分野における個人情報活用の有用性とともに、情報保護の重要性について、認識が高まってきており、主任研究者等に対する問い合わせが増加するとともに、各医療機関において自主的に取り組むケースなどが増えてきている。 2 11 12 0 - http://www.medis.or.jp/~kenkyu/privacy.html
Mass Gatheringにおける集団災害のガイドライン作成とその評価に関する研究 平成13ー14年度 16,000 日本医科大学救急医学 山本保博 われわれはMass gatheringにおける集団災害医療対応の構築を、2002年FIFAワールドカップ大会(以下WC大会)を題材に研究を進め、その研究成果の中でWC大会における集団災害医療計画作成のためのガイドラインおよびマニュアルを作成しWC大会開催関係諸機関に提示し、また開催関係諸機関を集めセミナー等を行いWC大会における集団災害医療対応の構築の必要性を提言した。その活動の成果により10ケ所の開催地(スタジアム)は集団災害医療対応が敷かれた。このことが本研究班の最も大きな成果であると考える。各地域は概ね研究班作成のモデルプランに準じた体制を構築した。特に救急医療・集団災害対応に精通した医師がシステムの中心的役割を果たした点、スタジアムエリア内とエリア外の2つに分ける考え方、一般救急医療対応と集団災害対応を分けてシステムを構築するなど、多くが本研究班の成果が反映された。 〈2002年FIFAワールドカップ大会における集団災害医療体制計画作成のためのガイドライン〉および〈Mass gatheringにおける集団災害医療体制作成のためのマニュアル〉を作成し、2002年ワールドカップに本組織委員会(JAWOC)、開催地自治体等に集団災害対応の必要性を説いた。その結果、各開催地で救急医療・集団災害医療対応を構築する際、ガイドライン、マニュアルがその雛形となった。 Mass Gatheringの際に準備すべき救急医療・集団災害医両体制の規定を含んだガイドラインの基盤を示すことにより、今後の様々な規模やタイプのMass Gatheringでの集団災害に対する適切な対応・準備が行えることが期待される。 11   15     2002年FIFAワールドカップ大会日本開催32試合に関連した傷病者情報に関する報告書
https://www.mhlw.go.jp/topics/2002/12/tp1219-1.html
Evidenceに基づく日本人脳梗塞患者の治療ガイドライン策定に関する研究 平成12−14年度 63,000 慶應義塾大学医学部 神経内科 福内靖男 脳梗塞治療に関する論文約17,000件を検討し、各論文のエビデンスレベルを評価し、アブストラクトテーブルを作成した。これをもとに、各種治療法のガイドラインを作成した。 この成果は、報告書ならびにUMINのホームペイジで公開され、脳卒中診療担当者に注目されている。さらに、脳卒中関連5学会で作成中の合同脳卒中ガイドラインにおける脳梗塞部の基礎となっている。 本班では、一般国民向けの脳梗塞についての啓発本を作成した。脳卒中に関する国民の啓蒙に利用する予定である。 報告書のみ 約30 5 なし   http://square.umin.ac.jp/ciglmhlw/
看護基礎教育における看護技術教育の基準作成に関する研究 平成13-14年度 8,568 広島県立保健福祉大学保健福祉学部 田島桂子 看護基礎教育の過程に必要な看護技術を、明確な概念規定の基に明らかにした。明らかにした看護技術には次のような特徴がある。(1)看護の将来予測をしながら、医療施設等で行われている看護・教育の実態および教育機関で行われている教育の実際の両面から検証したものである。(2)看護技術の検討過程では、保健師助産師看護師学校養成所指定規則に表示されている各看護学との関係で検証を行っており、現状では曖昧にされている部分を含む看護師、保健師および助産師の教育に必要な看護技術の関係が合わせて明らかになっている。(3)看護技術が臨地・臨床で行われている看護実践につながるように規定されている。(4)看護技術は単なるテクニックではないので、認知領域面の内容検討と合わせて行っている。(5)看護技術の教育には、教育の過程が重要であり、必要な技術が繰り返し学修の視点として挙げられるような教育単位の構成を視野に入れている。(6)調査は、資料収集段階、臨地・臨床および教育機関における実態調査ともに全国規模で行い、また、専門学校(3年課程)、短期大学、大学を含めて結果の偏りを避けている。 文部科学省による「看護学教育のあり方に関する検討会報告」(平成14年3月26日)および厚生労働省による「看護基礎教育における技術教育のあり方に関する検討会報告書」(平成15年3月18日)で示されている看護技術を看護基礎教育の過程に組み入れる方法として、本研究の成果を役立てることができる。 本研究の成果は、多くの看護学教育者の会員を持つ日本看護学教育学会の組織を活用することにより、全国規模での利用が考えられる。そのことを想定し、研究計画段階から全国の看護教育者の研究協力者を募り、ワークショップ等を行う際に、地区別にタスクフォースとなりえる人づくりを考えている。また、実施した2回の調査内容が非常に具体的であることから、調査協力者にはその段階で既に教育の考え方を示していることになる。さらに、全国の教育関係機関に配布する研究成果は、日々の教育の過程に活用できる。 0 1 2 0 0 日本看護学教育学会のホームページで、具体的な成果の公表を検討できる。
看護職における男女共同参画の課題と可能性に関する研究 平成13-14年度 6,051 福山市立女子短期大学 矢原隆行 男性ケア・サービス専門職をめぐるマクロおよびミクロな現状を把握するとともに、そこで彼らが抱える諸課題を明らかにし、より有効な人的資源活用のための資料を得た。 行政レベルでの具体的貢献はまだ明確でないが、ケア・サービス職における男女共同参画検討の基礎資料となり得ると考える。 本研究を契機とし、当該テーマについて代表的な看護系雑誌で特集が組まれ、全国各地の当該テーマに関する研究者との座談会等も行われた。 2 0 1 0 0  
看護業務改善による事故防止に関する学術的研究−エラー防止および医療チーム研修の導入の効果− 平成13-14年度 20,000 北九州市立大学文学部 松尾太加志 他スタッフとのコミュニケーションのしづらさ,機器インタフェースのまずさ,情報伝達エラーなどが看護業務を過負荷にし,本来のベッドサイドでの看護業務ができていないところに問題があった。この問題は,組織として取り組むべきものであり,メーカーと一体となった機器の改善,組織全体としての研修の取組み,人間のコミュニケーションに頼らない情報伝達の仕組みの構築といったことの必要性が学術的に裏付けられた。ここでの成果は各分野での学術誌,学会報告などで発表された。 成果をもとに,医療事故防止のための医療機関での組織的改善について、機器のインタフェースの改善のあり方,患者も含めた医療スタッフの間で情報をどのように共有すべきか,コミュニケーションによるエラーを防ぐにはどのようにすべきか,どのような医療事故研修が効果的であるのかについて,実際的、構造的方策の情報を提供しており、医療行政方針の策定の基本的資料となる。 本研究は,心理学,人間工学,医学,看護学などの様々な分野の専門家による学際的な研究であり,そのアプローチは従来にはないものであった。経験的に事故防止として有効だと考えられていた点での学術的裏づけが示されたり,逆に,有効だと思い込まれていた対策が,学術的には意味のない対策であったりすることが明らかにされた。そのため,医療事故をどのように防止すべきかについて試行錯誤に取り組んでいる各医療機関などから,講演や研修の依頼が多く寄せられている。 5 2 8 0    
病院からの医療事故関連情報の集積に向けた方法の確立とその分析による効果的な事故防止策の実施に関する研究 平成13-14年度 55,500 財団法人日本医療機能評価機構 (日本大学医学部教授 ) 大道 久 認定病院48病院が「患者安全推進協議会」を組織し、経験された医療事故から得られた警鐘的・教訓的事例180例余の情報提供を受け、それらの事故原因や対応策などについて分析・検討した。その成果は「患者安全推進ジャーナル」により定期的に広く病院へ還元し、有効な事故防止の方策を講じるのに役立てた。この活動は、平成15年度から日本医療機能評価機構の事業の一環として継続されるところとなった。 この活動は、複数の病院からの事故報告の分析・検討により効果的な防止策を普及・定着させる方途を開き、医療安全の推進に貢献した。また、「患者安全推進協議会」は、診療録レビューによる事故発生率の把握や、記録に基づく診療の質改善活動の母体としても活動することを目指しており、これを次年度以降の調査研究の課題とする計画が進んでいる。 医療事故関連情報を外部に提供することは、より有効な防止策を講じることができる反面、事故の責任の所在や訴訟における証拠としての扱いをめぐっての論点を提起している。報告を義務付ける方向が明確になると、受け入れ機関のあり方や免責の是非も検討課題として指摘されている。外部からの事故調査や患者・家族との調停機能も論議されつつあり、本研究の周辺の問題は少なくない。 0
(準備中)
4 9 0 2 http://jcqhc.or.jp
前立腺肥大症における各種低侵襲外科治療の位置付けに関する研究 平成14年度 11,000 九州大学大学院医学研究院泌尿器科学分野 (医学部) 関成人 前立腺肥大症に対する低侵襲外科治療法の効果と安全性の客観的比較を、既存文献の査読作業により行った。低侵襲治療法は効果と副作用の特徴から、手術療法の範疇に入るものと、低侵襲手術に入るものの二群に大別された。本成果は学会機関誌に発表され反響を得た。 本成果は、前立腺肥大症の診療ガイドライン改訂作業において、低侵襲治療法の適応指針の改訂に取り入れられる予定である。 従来その位置付けが曖昧で、患者に対する情報提供が不十分であった本治療分野において、泌尿器科専門医のみならず、一般内科医に対しても始めて客観的なデータを提供することが可能になった。 6 9 15 0 1  
客観的臨床能力評価試験における医療面接評価の根拠 平成14年度 3,000 三重大学医学部付属病院総合診療部 竹村洋典 患者から得られる情報量が多くなる医療面接と、患者満足度か高くなる医療面接を明らかにした。欧米で得られたのと同様の結果と、欧米には見られない日本独自の結果が得られた。今後の日本の医療面接教育に、大きく寄与するものと考える。結果は、米国家庭医学教育学会で発表され大きな反響があった。さらに今後、国際雑誌に投稿し、国内学会にも発表する予定である。 今後、厚生労働省の医師国家試験にOSCEが採用された際、医療面接の試験においてこの結果が反映されるであろう。特に、今後の医師国家試験出題基準の改定の際には、この結果が反映されるべきであると思われる。 これらの結果は、卒前医学教育のOSCEにも、当然、大きなインパクトを与えると思われる。特に、全国一律に第4学年の医学生に行われる予定の共用OSCEの内容に大きな影響を与える可能性が高い。 (英文5件の予定) (数件の予定) 1(国際学会)、国内学会にて発表予定 0 (1件の予定) なし
保健医療分野のカードの国際規格化に関する研究 平成14年度 9,000 東京工業大学 フロンティア創造共同研究センター 大山永昭 現在進行中の保健医療カードの国際規格化において、我が国の既存の医療制度や医療の質、患者の安全を担保しながら、医療サービスを継続して提供することができるよう調整するための研究を行った。従来欧州の制度中心に創造られがちであった国際規格を、我が国やその他のアジア諸国を含め、幅広い国が利用しやすい規格となり、国際的にも意義があった。 研究成果をもとに、保健医療カードの国際規格化における修正案を作成し、ISO技術部会に提出した。 将来保健医療カードが何らかの形で政府調達される場合などに、我が国の既存の制度や医療サービスが影響を大きな受けずに、実施され、医療の質や効率的な提供、患者の医療安全が確保される。 2 4 10 0 2 http://www.medis.or.jp/standard/iso_tc215_wg5/index.html
患者の利便性・情報セキュリティを考慮した医療情報システム 平成14年度 6,017 学校法人早稲田大学理工学部 小松尚久  本研究の提案する地域医療ネットワークとは、院内情報システムが完成した病院同士を連携させた病院間連携システムと、自己診断システムを融合させたものである。自己診断システムによって患者は自分の症状を知ることができ、その症状に合致した病院を地域医療ネットワークから選択することが可能となる。これによって、患者はフリーアクセス・フリーチョイスを達成することができると考えられる。  本研究では患者満足の向上を主眼に置いた、医療情報システムのフレームワークを提案している。これは、患者によるフリーアクセス・フリーチョイス達成につながり、地域医療のデザインを政策的にコントロールできる。さらに、セキュリティの現状を踏まえて、より容易な地域医療ネットワーク実現が可能なシステムを提案しているため、普及が期待される。  本研究では従来の医療機関側の立場に立った地域医療ネットワークシステムではなく、患者側の観点からシステムを提案している点に社会的インパクトがある。しかしながら、このシステムの普及が図れれば、患者のみならず医療従事者の満足向上も期待できる。 0 0 1 0 0 作成中
医療及び療養環境で使われる諸物品の安全性の問題についての研究 平成14年度 5,000 武蔵野赤十字病院 三宅祥三 療養環境で用いられる諸物品(ベッド等)の事故事例報告から、その安全性について検討した。これら諸物品の安全性の向上には医療従事者とメーカーとの情報格差を無くすことである。医療従事者、メーカー、行政の3者が対等に情報交換できる共通の場(研究会、学会)が定期的に開かれることで、より安全な療養環境が整備できる。今後、療養環境の改善についての研究が継続して必要である。医療施設内部での毒劇物の管理について調査した結果、医療施設内での毒劇物の安全管理方法についての指針を示した。 医療安全対策検討会議ヒューマンエラー部会での検討資料、医療・介護ベッド安全普及協会の設置、第1回療養環境研究会の設立、医薬用外毒劇物危害防止管理規定のモデル(東京都資料)の明示、医療機関における毒劇物の取り扱いに関するパンフレットの作成 療養環境で使われる諸物品の危険性ついて社会的な認識を広めた。日本と欧米では医療用具の取り扱いについて行政的に大きく異なることが明らかになった。療養環境研究会の発足が医療従事者とメーカーとの情報格差をなくして、安全な物品の開発を促すとの今後の方向性を示した。医療機関に毒劇物の安全管理の重要性について注意を喚起し、より安全な療養環境の整備に役立つ。 1   2   3  
特定機能病院の「安全管理のための指針」の整備状況に関する研究 平成14年度 43000 横浜市立大学医学部附属病院医療安全管理部門・看護課(H15年3月まで)
横浜市医療対策部病院事業課看護担当課(H15年4月〜)
平林明美 特定機能病院で整備されている安全管理指針の内容に関する実態を明らかにし、「医療安全研究発表会」にて特定機能病院の管理者、安全管理者に発表し反響を得た。安全管理指針を医療機関が作成する際に有用な標準モデルを作成した。 今後、各医療機関における安全管理指針の作成のための基礎的資料として活用されることが期待される。 医療安全対策は始めたばかりであるが、現時点での実態把握と課題が明確になり、今後の医療安全推進の具体的方策に向けた取組みへの世論形成につながると考える。 1 3 8 0 1 https://www.mhlw.go.jp
医療安全に資する標準化に関する研究 平成14年度 6,000 NTT東日本関東病院看護部 坂本すが 標準化事例として、9施設から33項目のマニュアルの提供があった。内容は、患者安全管理、標準治療・看護計画、物品・薬品管理、事故防止ガイドラインの4領域に分類されるが、マニュアル作成の発端は、組織のインシデント発生への危機意識であった。作成は、業務のプロセス分析によってリスク発生要因を特定し、医療者の確認行動や患者指導内容を多職種間で共有化し、行動の定着化を目標とした教育ツールとして開発されていることが示唆された. 医療安全委員会設置の義務化より、各施設でのインシデント事例などの収集は定着すると予測される。今回の、マニュアル作成の動機から開発、周知、実行、評価までを展開した実例(標準化事例)は、組織が、インシデント事例を医療事故防止に活かす方法(戦略)のモデルとして、教材的な役割が期待できる。 医療事故防止の目的は安全で良質な医療サービスの提供にある。マニュアル作成は、具体的な医療場面における人と人、人と物、人と情報との関係性を明らかにすることであり、安全を意識した医療者の確認行動の定着化は、(1)患者への医療内容の説明を促進し、(2)患者の医療への参画を促すなど、医療者と患者の双方向からの医療安全効果が期待できる。 0 0 0 0 0  
医療事故を防止するための対策の効果的な実施及び評価に関する研究 平成14年度 4,300 慶應義塾大学医学部 池田俊也 本研究では、医療機関における医療安全管理への取組状況を把握するとともに、安全管理部門や安全管理担当者の活動によって得られる効果を経済的側面から評価するための基礎的データを収集した。これらのデータは本邦ではこれまで明らかにされておらず、学術的ならびに社会的意義が高い。 今後、安全管理担当者の設置など、医療安全対策に関する種々の施策の費用対効果を評価するための基礎的資料として活用することができる。 医療機関における医療安全対策の推進に役立つものと考えられる。 3 3 3 0 1(予定)  
Evidenceに基づく日本人脳出血患者の治療ガイドライン策定に関する研究 平成14年度 25,000 東海大学医学部 篠原 幸人 本研究事業は、1)脳卒中ではあるが、まだその病型が不明な時点での治療、2)脳出血と診断されてからの治療、に分かれて班会議を重ねた結果、evidenceに基づいた脳出血治療ガイドライン策定がなされた。その成果として、(1)脳出血治療における質のばらつきの減少による治療成績の向上、(2)脳卒中専門医および一般診療医家による的確な手術適応決定例の飛躍的増加による医療費の削減、(3)患者数が多く、社会的にも極めて関心の高い脳出血の診療に従事する全ての人々の支援効果が期待される。 本研究事業の成果を元に脳出血の治療ガイドラインが策定され、出版間近である本邦初の脳卒中治療ガイドラインに反映された。脳卒中は単一臓器の致死的疾患としては我が国No.1の疾患であり、初めてのEBMに基づく本治療ガイドラインの策定および円滑なデータベース化は、国民の医療・保健・福祉の向上に大きく貢献するのみならず、健康21を始めとする厚生労働省の施策の妥当性・必要性を国民や他省庁に示す意味でも極めて重要な客観的資料となろう。 本邦の実情に合った独自の脳卒中治療ガイドラインをつくることで、本邦にいかに十分なevidenceが乏しいか、またその中でbest evidenceは何かが分かると本邦の臨床研究の目標も明確になろう。さらに、これを用いることによって脳卒中診療の質が本当に良くなったのか否かを検証・評価することが可能となる。 約40
(本研究課題に間接的に関連する論文を含む)
約90
(本研究課題に間接的に関連する論文を含む)
約50
(本研究課題に間接的に関連する発表を含む)
0 1
(ガイドラインのデータベース化)
近日中にホームページに公開予定
根拠に基づく医療(Evidence-Based Medicine)の手法を用いた医療技術の体系化に関する調査研究 平成12-14年度 107,000 京都大学大学院医学研究科臨床疫学 福井次矢 ア 患者アウトカムの改善を証明した臨床疫学的根拠に基づいて医療を行なうことは、医療の原点である。本研究では、成人学習の原則に則って、全国から希望者を募り様々な職種に対しsmall groupによるEBM教育(ワークショップ)を行なった。またEBM学習用シラバスを作成し、ワークショップ前後のEBMに関する知識・技能を評価し長期的教育効果をフォローアップしている。
イ 各職種の医療従事者に対し、自分の問題を自分で解決する形での成人学習の原則による教育が可能であることを実証したことは、現在のわが国における医学教育の現状を省みた際、意義深いことである。
平成12年度に作成した「診療ガイドラインの作成の手順」を、平成13年度に改訂し、これはわが国における診療ガイドライン作成の指針として広く用いられている。他の研究班と共同し、地域の中核病院での研修医に対するEBM教育を行なっている。この際、本研究班で開発した学習方法やシラバスが利用されている。 医師臨床研修制度の実施により、卒後教育における大学外の教育病院の比重が更に高まるが、それに際して、一般病院勤務の指導医が行なうEBM教育支援のための”道具”および“手法”を開発・供給した。
ワークショップやホームページなどを通じ、医師や医師以外の医療従事者、非医療従事者にもEBMの概念を普及しており、これは今後医療の質の向上に寄与すると考えられる。また現在の医療における意志決定方法を変革する可能性がある。
13 4 11 0 1 http://www.ebmedu.umin.jp/
科学的根拠(evidence)に基づく慢性関節リウマチ診療ガイドラインの策定に関する研究 平成12-14年度 30,000 大阪大学医学部 越智隆弘 従来,各専門医が自分の経験を基に種々の考え方で関節リウマチ患者の診療を行っていた。エビデンスに基づくガイドライン集が出来たことで,学術的に裏打ちされた治療が行われることになり,国際的にも日本での関節リウマチ治療が高く評価されることになる。全国各地の医師による治療が偏りなくレベルアップされ、患者が安心して治療を受けられることになり社会的意義は大きい。 ・関節リウマチ診療に関する行政的重要事項は、平成8年に行われたリウマチ科の自由標榜許可であった。当時から、自由標榜許可だけでは医療レベルの低下が懸念されてきた.治療ガイドライン作成によって標準的治療レベルが確立され、厚生労働行政への貢献度は大きい.
・治療ガイドラインにより諸治療の適応が明示され、どこまでがかかりつけ医でなされ、どこから専門医に託するべきかの指針が示されたので、病診連携の指針ともなり、厚生労働行政への貢献度は大きい。
治療内容について分かりやすく明示されたので、医療に関して社会に諸情報を運ぶメディアもせいかくに記事を書きやすくなった。 治療ガイドライン、エビデンス集、ガイドラインに関する検証報告を出版 0 0 0 0  
Evidence-based Medicine(EBM)の手法による肺癌の診療ガイドライン策定に関する研究 平成13-14年度 50,000 東北厚生年金病院 藤村重文 肺癌診療の各領域を網羅した個別検討項目を挙げ、それらに対して文献検索し、文献の批判的吟味を行った後、エビデンスレベル、推奨項目、推奨レベルをまとめた。わが国における肺癌診療のすべての領域を網羅したEBMに基づいた診療ガイドラインがはじめて作られた。 EBMに基づいた肺癌診療ガイドラインの完成により、肺癌診療レベルの全国的な向上に貢献し、同時に広く国民に公開されることにより、国民が肺癌診療の現状を理解し、自らの意思に基づいて治療法を選択する道を開いた。 日本医療評価機構によるEBMに基づいた各種診療ガイドラインのデータベースの一部として提供予定である。     1      
科学的根拠に基づく乳がん診療ガイドライン作成に関する研究 平成13-14年度 60,000 国立病院四国がんセンター 外科 高嶋成光 乳癌は早期から臨床的に発見できない微小転移を形成し、早期発見、早期外科手術のみでは死亡数の減少につながらない。全身病としての生物学的特性に対応するためには、局所治療である外科、放射線療法とともに、全身治療としての薬物療法を含めた広範な知識とこれらを組み合わせた治療戦略が必要である。乳がん診療の標準化と患者のアウトカムの改善を目指し、科学的根拠に基づいて乳癌診療全体を網羅するガイドラインを策定した。 本ガイドラインは疫学、検診・診断、外科療法、薬物療法、放射線療法を専門とする作成委員45名により、EBMの手法に則り作成した。現時点での乳癌診療の国際標準を示したものである。今後、日本乳癌学会での公聴会を含めた検討をを経て、乳がん診療ガイドラインとして公表する予定であり、わが国の乳癌診療レベルの向上に寄与するものと考える。 本ガイドラインを原典として患者向けガイドラインを作成することにより、さらなる社会的貢献が期待できる。 27   2      
標準データ項目セットを用いた知的データベースによる診療根拠の動的生成に関する研究 平成13-14年度 20,000 東京大学大学院情報学環(大阪医科大学病院医療情報部より異動) 山本隆一 通常のEBMの適応が難しい、薬剤の稀な副作用やSARSのように事実の集積と知識の発見を平行して行うことが必要な場合に適応可能な、動的に集積される診療情報から機械的に知識を発見する手法の基礎研究を行い、相関ルール発見手法に機械的に判定可能な自明のルールを排除し、知識データベースを構築し、経時的に解析することが有用であることを示した。IEEE-CBMS等の国際会議で発表し成果を認められている。 電子化情報はすばやくかつ自動的に処理可能で、本研究で基礎研究を行った知識の機械的な発見もグランドデザインに描かれた診療情報の電子化がなければ達成不可能であり、政府が進めている医療の情報化の新たな価値の可能性を示すことができた。またJ-MIXの有用性を示すとともに、データの標準化やプライバシー保護に関して、このような観点からの要件整理ができた。 医療の情報化の目的や意義は様々に提示されているが、その多くは現在の不都合を是正するもので、医療におけるあらたな価値を創出するものではない。本研究は基礎研究ではあるが、情報化によって、それなしでは得られない新たな価値が創出可能なことを示すもので、研究が発展すれば情報化のドライビングフォースとして作用することが期待できる。 6 7 14 0 0 なし
わが国における看護共通言語体系構築に関する研究 平成13-14年度 24,000 社団法人日本看護協会 政策企画室 上鶴重美 ICNP(International Classification for Nursing Practice: 看護実践国際分類)の翻訳、含まれている用語および不足している用語の検討、同意語リストの作成を行った。ICNPは看護用語の国際的標準化を目指した国際看護師協会による10年来の取り組みである。保健医療情報分野での情報化が進む中、標準化・コード化された看護用語集として着目されている。翻訳により、国際的情報交換の円滑化に向けた基礎ができた他、国内で進む看護用語の標準化に基礎的資料を提供した。用語および不足用語の検討結果を国際看護師協会にフィードバックすることにより、看護用語集の国際的な発展にも貢献した。 成果は、国内医療機関が電子看護記録用にそれぞれ開発している看護用語集の相互参照ツールとして活用でき、情報交換の円滑化が期待できる。国際的認知度の高いICNPコードや分類構造を活用しつつ、目的別に看護用語集を作成することも期待される。厚生労働省からMEDIS-DCへの委託事業の一部、「看護用語の標準化検討委員会」の作業班資料となったが、成果物となる看護用語集には反映されていない。 看護領域の言語を標準化することにより、看護の役割、看護の結果を社会に明確に示すツールが出来上がった。看護に関わる診療情報をICNPを用いて蓄積し二次的に活用することで、看護の経済性・効率性等の評価も可能となると期待される。 4 10 6 0 1 http://icnp.umin.jp/
日本におけるEBMのためのデータベース構築及び提供利用に関する調査研究 平成12-14年度 60,890 国立保健医療科学院 丹後俊郎 主として米国におけるEBMを支える情報基盤を調査し、日本と比較検討を行った。NLM,AHRQでは情報の網羅的な把握・提供、情報提供のルート、さらに情報評価(論文の批判的吟味)、その結果の公開など国の役割が明確となった。今後どのように情報収集、評価、提供を進めることが妥当か、さらに人的、施設的、情報源的な整備の基本的要素が明らかとなった。特に情報評価の方法を確立することが、その人的養成とあわせて、急務であることが明らかとなった。 国の役割と情報整備の戦略的な重要性が明確となった。特にNLM、AHRQの先導的な機能と、それを支える諸要件が明確となった。財政的、法的根拠の重要性も確認された。EBMを支える情報整備の基本構造が明らかとなり、今後、アメリカ型のEBMを指向する限り、国の機能の重要な諸点が明らかとなった。 情報需要の問題点、課題点が明確となり、情報生産者(研究者、臨床家)、情報伝達者(図書館、情報提供機関など)、情報受益者(患者・家族・一般国民)の現状とあり得べき姿が浮き彫りとなった。 3 3 5 0   http://www.niph.go.jp
EBMに基づいた必須医薬品リスト選定のガイドライン作成に関する調査研究 平成13-14年 15,297 浜松医科大学臨床薬理学講座 渡邉 裕司 我が国における必須医薬品リスト選定のクライテリアとなる諸条件を明らかにしスコア化することにより、客観的医薬品選択を可能とした。成果は多くの学術誌に掲載され、医薬品リストに対する関心を高めるために貢献した。2004年度国際臨床薬理学会世界大会におけるジョイントシンポジウムのテーマとしても決定し、国際的に協調して必須医薬品リストに関して検討予定である。 エビデンスに基づく医薬品リストは、医薬品の適正使用を推進するものであり、医療経済的観点からも、我が国においてその導入が有用であることを示した。しかし、医薬品リスト選定の前提となる基盤整備が我が国では不十分であり、医薬品利用分析を可能とするデータベースの構築などが必須であることを示した。 ・平成15年度日本臨床薬理学会シンポジウムのテーマとして採択。
・2004年度国際臨床薬理学会世界大会(オーストラリア)におけるジョイントシンポジウムのテーマとして採択。
・研究成果から得られたクライテリアをもとに、学生を対象とした医薬品リストを作成予定であり医学教育にも貢献するものと思われる。
3 10 10 0 0 http://www2.hama-med.ac.jp/w1b/cpharm/clinpharm.html
ユビキタス情報社会に向けた遠隔看護支援システムの開発に関する研究 平成14年度 5,760 兵庫県立看護大学 附置研究所推進センター 東ますみ 在宅医療を支援する遠隔看護システムの構築に向けてのソフト面の開発を行った。遠隔地からのバイタル情報として、指尖容積脈波が活用できることが示唆された。また、糖尿病患者に対する在宅型看護支援として遠隔看護システムが有効であることが明らかとなった。成果は、附置研究所推進センター研究報告集に掲載した。 在宅医療を支える遠隔看護システムが完成し普及すると、在宅での疾病予防や安心した療養生活ができるようになり、医療費の削減に繋がる。今回の研究は、遠隔看護システムが普及するために必要な保険点数が、認められるように働きかけていく資料となる。 自己の健康管理がいつでも・どこでも気軽にできるようになり、健康増進や健康維持に関する自己管理が容易になり、生活のQOLが高まる。 3 0 2(15年度) 0 0 http://www.cnas-hyogo.ac.jp/fuchiken/index.html
Mass-gatheringにおける集団災害医療対応の一環としての医療搬送用ヘリコプター配置に関する研究 平成14年度 9,000 日本医科大学付属病院高度救命救急センター 小井土雄一 2002年FIFAワールドカップ大会(以下WC大会)の集団災害医療対応の一環として、本邦で開催された32試合の内、医療搬送用ヘリコプター(以下ドクターヘリ)の必要性が高いと考えられた11試合にドクターヘリを配備した。基本フライトプランは遠方のヘリポートにドクターヘリを待機させ、発災の際はスタジアム近くの臨時ヘリポートへ着陸し、傷病者をピックアップしてヘリポートを有する災害機関病院へ搬送するものとした。災害時の傷病者搬送の手段にドクターへり搬送を加えたことにより、災害時の多数重症傷病者の救命に不可欠な迅速広域分散搬送の準備が実現できた。 今回はWC大会をモデルにMass-gatheringにおける集団災害対応を構築し、その中で搬送手段としてのドクターヘリの有用性を述べたが、今後はあらゆるMass-gatheringに該当するイベントに関しては、集団災害対応を敷き、そのなかでドクターヘリの配備も考慮していくべきであろう。YOSAKOIソーラン祭りの会場テロ事件、兵庫明石の花火大会事故など、Mass-gatheringにおける過去の集団災害の教訓を生かしていくべきであろう。 始めて組織的にMass-gatheringニ対して、ドクターへリを配備した。今後どのような形で、Mass-gatheringにおいて、ドクターへリをかつようしていくかという課題がある。現在、ドクターヘリ事業が全国5か所で展開されているが、この事業を更に推進させること、すなわち傷病者のヘリ搬送をより日常化することが、Mass-gathering における集団災害対応をも円滑に進めることになると考える 5 0 1 0 0 なし


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