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厚生労働科学研究費補助金研究事業の概要
研究事業(研究事業中の分野名):創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
所管課:研究開発振興課
予算額の推移:
平成12年度 平成13年度 平成14年度 平成15年度
2,755,385千円 2,757,271千円 2,757,561千円 2,756,268千円
(1) 研究事業の目的
 急速に高齢化が進む中で、がん、アルツハイマー病をはじめとして、これまで有効な治療薬が見いだされていない疾病はいまだ多く残されており、優れた医薬品の開発が一日も早く開発される必要がある。
 特にエイズについては、世界的に深刻な状況にあり、アジア諸国でも急増傾向といえるが我が国においても例外ではない。
 このため、官民共同研究により、画期的・独創的な医薬品の研究開発、医療現場のニーズに密着した医薬品の開発及び長寿社会に対応した保健・医療・福祉に関する先端的、基盤的技術開発に関する研究及びエイズ医薬品等の研究開発を推進するため、厚生労働科学研究費補助金を活用し、(財)ヒューマンサイエンス振興財団を実施主体とした公募方式による「創薬等ヒューマンサイエンス総合研究事業」を実施。
(2) 課題採択・資金配分の全般的状況
 (別紙参照)
(3) 研究成果及びその他の効果
(社会的な意義や施策・ガイドライン等への反映状況を含む)


国内未承認エイズ治療薬等を用いたHIV感染症治療薬及びHIV感染症至適治療法の開発に係る応用研究
(東京医科大学 福武教授)
エイズ/HIV感染症治療薬開発の促進を図ることは、薬害に苦しむ血友病患者を始めとした多くのHIV感染者の生命を維持するために迅速かつ公平に行わなければならない重大な課題である。
エイズ/HIV感染症治療薬の情報を、インターネットのホームページやFAX情報サービスを通じて公開し、年間約75000件のアクセスがあった。
日本で既に承認されている薬剤だけでは治療が困難な状況の患者の生命を守るために、この研究は不可欠である。薬剤耐性の検査、国内未承認薬による慢性C型肝炎など重篤な合併症への迅速な対応も、本研究によって可能となり、IFNの自己注射療法も安全に実施できた。
外国では承認されているが、わが国において承認されていない有効なエイズ/HIV治療薬について、国内で研究組織を作り臨床試験を実施し、日本における開発を促進するシステムを構築し、多くの症例において優れた治療効果を得ており、承認時の参考資料として利用される等の活用もされている。

HIV構造遺伝子とHIV制御遺伝子のコンビネーションワクチンの開発に関する研究
(国立感染症研究所エイズ研究センター 本多グループ長)
すでに他の疾患で使用されているワクチンをベクターに用いて、組み換えエイズワクチンを前臨床レベルで以下のように開発した。 1) サルに組み換えBCGエイズワクチンを免疫し、さらに組み換えワクシニアDIsエイズワクチンをブースター免疫すると、強い抗エイズ免疫が誘導された。そこで、病原性エイズウイルスを感染させるとウイルスが400日以上に渡って検出限界以下に押さえられた。 2) 欧米や東南アジアで伝搬しているHIV1クレイドB及びEに対するワクチンを作成すると、1)で得られたレベルの免疫が、ヒトに投与可能な量とルートでサルに誘導できることが明らかになった。以上の1)、2)の結果から、BCG免疫DIsブースターの混合エイズワクチンの概念を確立することができた。防御のメカニズムと制御遺伝子ワクチンとのコンビネーションの効果は検討中である。
これらの成果の一部は、Journal of Immunology等の雑誌に掲載され、サルのワクチン評価の部分は現在Nature Medicineを始めとする3つの論文に分けて投稿中である。これらの成果の一部は既に、国際エイズ学会、国際ウイルス学会、米国レトロウイルス学会、日米エイズ学会で発表され、今年の夏から共同開発を目的として米国エイズプログラムの子どもワクチン部門と話し合いが始まることになった。(米国責任者:前臨床開発部門長 Bonnie Mathieson博士)
このワクチンプロジェクトではワクチン効果のみでなく、安全性についても生物製剤基準及びWHOの安全性基準に達しており、前臨床レベルの基準をクリアしたワクチンとして開発が完了したと考えられる。さらにオプションとしてのサルを用いた安全性についても確認された。現在は第二世代ワクチン開発、パイロットプロダクション及び臨床試行の計画が作成されつつある(タイとの共同研究)。従って、アジアを中心に爆発的に広がりつつあるHIVの対策にワクチン開発によって寄与できる可能性を有している。
(4) 事業の目的に対する達成度
 特許については医薬品開発まで相当の時間が必要であるが、エイズ治療研究については、エイズ治療に向けた重要な研究として実施しているところ。
(5) 行政施策との関連性
 官民の研究事業の推進、エイズ治療薬の研究開発の推進等行政上の重要性の高い研究事業である。
(6) 今後の課題
 新規要求予算以外の既存予算が一律的に削減される状況下において、エイズ治療薬の研究開発の推進等行政上の重要性の高い研究費の確保。
(7) 研究事業の総合評価
 官民共同研究による画期的・独創的な医薬品の研究開発等については、研究成果について、各種科学雑誌への掲載、学会発表等が行われている。
 また、エイズ医薬品等の研究開発については、行政的に重要性の高い研究事業であり、特に、国内未承認の有効なエイズ/HIV治療薬における国内の臨床試験の実施については、今後とも精力的に取り組むべき課題である。
 さらに、エイズについては、世界的に深刻な状況にあり、アジア諸国でも急増傾向しているが、本研究事業においては、国際的な共同研究等についても実施されており、さらなる努力が期待される。


○創薬等ヒューマンサイエンス総合研究

研究課題 実施
期間
合計
金額
(千円)
主任研究者
所属施設
氏名
(1)専門的・
学術的観点
ア 研究目的の成果
イ 研究成果の学術的・国際的・社会的意義
(2)行政的観点
・ 期待される厚生労働行政に対する貢献度等。(実例により説明してください。審議会資料、予算要求策定の基礎資料としての活用予定などを含む。)
(3)その他の
社会的
インパクトなど
(予定を含む)
発表状況 特許 施策 (4)研究の成果が分かるホームページのURLなど
原著
論文
(件)
その

論文
(件)
口頭
発表

(件)
特許の出願及び取得状況 反映件数
ゲノム情報を基盤としたエイズ病態制御因子の解明 平成13-14年度(3年計画の2年目終了) 90,000(平成13−14年度分) 大阪大学微生物病研究所 塩田 達雄 本研究は、HIV-1増殖に関わる様々な宿主因子の遺伝的多型を検討し、エイズの病態進行の予測を可能にすることを目的とする。現在までにHIV-1のコレセプターCCR5やそのリガンドRANTES、ならびにCCR5の発現を制御するIL4に、HIV-1感染に影響する多型を見出した。成果は米国学士院紀要等に掲載され、大きな反響があった。 我々は多型CCR2 64Iが逆転写酵素阻害剤による治療効果に影響することを見出した。このことによりCCR2の遺伝子型は、特にアジアにおけるHIV-1感染症治療の現場での投薬指針に影響する可能性がある。 本研究により、エイズ病態進行、治療効果やその副作用、ならびにワクチンの有効性の個人差を決定する宿主因子が解明できれば、その個人差に対応した緻密で適切な予後診断および治療指針の策定が可能になる。さらに、本研究によりエイズの疾患感受性に関わることが照明された遺伝子は、エイズ制御のための新たな標的となるだけでなく、その多型は、当該遺伝子が重要な役割を果たす他の疾患感受性にも影響することが考えられる。 35 10 15 0 3ヶ年計画の2年目終了課題であるため、未回答 なし
エイズ治療薬開発のためのサル評価スクリーニング系の開発その応用 平成13-14年度(3年計画の2年目終了) 95,000(平成13−14年度分) 富山県衛生研究所 永井 美之 本研究は、各種医療法開発における前臨床試験・検定に必要なサルモデルの確立を念頭におき、まず細胞性免疫解析の基本となる組織適合性抗原MHCとエピトープの同定を目的としている。今回サルエイズモデルにおいて、世界に先駆けて、感染抑制に密接に関連するエピトープを同定し、提示するMHCハプロタイプの解析まで成功した。本研究の成果は、エイズ防御機構の解明・ワクチン開発につながるだけでなく、再生医療・遺伝子治療などの前臨床試験において必要な細胞性免疫制御の土台となる。 本研究は、現在開発中の細胞性免疫誘導型エイズワクチンの抗原選択、つまり感染防御効果の強いエピトープ特異的Tリンパ球の選択において非常に重要である。さらに、各種ワクチン開発、再生医療・遺伝子治療など先端医療開発の前臨床試験において、細胞性免疫の制御は必須であるが、本研究の成果はその解析レベルを飛躍的に向上させる。したがって本研究は、前臨床試験の向上に寄与することにより、上記各種医療の臨床応用実現において高い貢献度を有すると考えられる。また、サルの遺伝的バックグラウンドの研究として世界の先端に位置付けられうるものに発展しつつある。 エイズワクチン開発は、社会的にも国際的最重要課題のひとつであるが、我々は、本研究の成果を基に、現在開発中の細胞性免疫誘導型エイズワクチンの臨床試験開始を検討している。また、再生医療など先端医療の開発や、脳神経系の解明など各種医学研究の進展が社会的にも期待されているが、その研究・臨床応用におけるサルモデルの重要性を考えると、本研究の進展によるサルモデル研究システム確立の貢献度は計り知れない。 29 0 15 2 3ヶ年計画の2年目終了課題であるため、未回答 なし
エイズ治療薬開発のためのマウスモデルの作製とモデルを用いた抗エイズ薬の開発研究 平成13-14年度(3年計画の2年目終了) 70,000(平成13−14年度分) 東京大学医科学研究所 岩倉 洋一郎 HIV感染モデルとしてHIVトランスジェニックマウスを用い、HIV活性化が細胞周期依存的に起きることを明らかにした。またHIV潜伏感染樹状細胞において、HIV再活性化機構の一つであるLTbRシグナリングによるNF-kB活性化機序を解析した。これらの成果は一流学術誌に掲載され、現在HIV治療において最大の問題である薬剤耐性潜伏感染細胞におけるHIVの再活性化機構の解明に結びつくことが期待される。 小動物によるエイズモデル動物の作製とモデル動物を用いた治療薬の評価・開発は、厚生行政上きわめて重要な課題である。我々の開発したエイズモデルマウス、あるいは薬剤耐性潜伏感染細胞におけるHIV遺伝子の再活性化機構の解明は、その実現に大きく貢献するものと考えられる。 マウスを用いたHIV感染モデル及び感受性モデルの開発において、当研究班は我が国だけではなく世界的に当該分野をリードしている。また、tatやRevに焦点を絞った薬の開発、及びCD8陽性T細胞由来の抗HIV因子の探索は当班独自のものであり、新しい作用機構を持つ薬が開発される可能性が高い。さらにHIVの核移行やmRNAの核外輸送因子のヒト型化により、効率的なHIV感受性モデルの作出を試みる。 65 22 43 0 3ヶ年計画の2年目終了課題であるため、未回答 http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/cem_dcb/index.html
http://www.med.nagoya-cu.ac.jp/molgene.dir/index.html
http://www.tmd.ac.jp/cmn/medgaku/imptja.HTM,
http://www.imm.hokudai.ac.jp/kessei/
新規HIV侵入阻害剤の前臨床試験と遺伝子発現制御型の新しい抗HIV剤の開発 平成13-14年度(3年計画の2年目終了) 60,000(平成13−14年度分) 名古屋大学 山本 直彦 ア)亜鉛サイクレン錯体の抗HIV活性の増強には、錯体の多核化と芳香族スペーサーの導入が不可欠であるということを明らかにした。それに基づき、ナフタレンペンダント型亜鉛錯体の二核体など数種類の抗HIV活性をもつ化合物の合成を行った。
イ)この合成過程において、サイクレンを側鎖にもつアミノ酸を天然のペプチドに導入することが可能となった。将来、細胞内で抗HIV活性を発揮する新しい抗エイズ薬の開発に道を開くものである。
これらの化合物はAZTに匹敵する活性をもち、現在使用されている逆転写酵素阻害剤やプロテアーゼ阻害剤に対して、交叉耐性がないため、耐性獲得のため使用する薬剤がなくなった患者に対する次ぎの選択薬剤となる可能性がある。 特に、サイクレンを側鎖にもつアミノ酸の天然ペプチドへの導入の技術は、膜移行シグナルを持つペプチドをキャリアとして導入することによって、細胞内および核内で抗HIV活性を発揮する事が可能となる新しいシステムで、HIV以外の他のウイルスに対しても応用できる幅広いストラテジーが可能となる画期的な方法である。 2 12 1 0 3ヶ年計画の2年目終了課題であるため、未回答 なし
HIV-1の遺伝子発現とウイルス増殖を制御する新たな治療薬剤開発のための研究 平成13-14年度(3年計画の2年目終了) 90,000(平成13−14年度分) 国立感染症研究所 杉浦 亙 ア.新規抗HIV-1治療薬剤候補物質の発見と開発を目指し、約2万5千検体からなる小分子化合物ライブラリーと土壌放線菌・糸状菌培養上清ライブラリーを対象に薬剤探索を実施した。過去2年の研究期間でおよそ7割の一次探索を終了した。その結果、インテグラーゼ阻害剤候補物質25個、プロテアーゼ阻害剤候補物質13個、侵入阻害剤候補物質10個を見出し、現在詳細な解析を行っている。
イ.研究班で見出した抗HIV-1治療薬剤候補物質はその多くが未知の化合物であり、新たな治療薬剤開発のリード化合物となる可能性を秘めている。
抗HIV-1治療薬剤に対する耐性変異ウイルスの出現は、治療を進めていく上での大きな障害として問題になっている。既存の薬剤に対して耐性に陥った症例は、抗HIV-1薬物治療を受けている感染者の40%近くにも上ると推定される。このような感染者を救済するために新規薬剤の開発は切望されている。 HIV-1阻害効果をもつ新たなリード化合物の発見は製薬業界をはじめさまざまな医薬関連分野の経済活動を賦活すると期待される。 32 5 61 5 3ヶ年計画の2年目終了課題であるため、未回答 なし
エイズ医薬品候補物質のスクリーニング研究 平成13-14年度(3年計画の2年目終了) 53,775(平成13−14年度分) 国立医薬品食品衛生研究所 棚元 憲一 企業、大学、公立研究所からの申請608サンプルについて、マイクロプレート法、magic-5アッセイ、巨細胞形成による抗HIV活性スクリーニングを行った。その結果、magic-5アッセイでは14サンプル、マイクロプレート法では13サンプル、巨細胞形成においてはさらにそのうちの11サンプルにおいて抗HIV活性を認めた。これらのサンプルはいずれも毒性が弱いことから、エイズ薬の候補物質への期待が持たれる。 現在医薬品候補物質として多くの物質が天然から、及び化学合成により創作されている。しかしエイズのように国内的には大きな問題となっていないものについては、民間での開発意欲が低く、アッセイ系そのものも普及していない。本研究班はそのような潜在的有用物質の発掘を支援し、有用な医薬品開発に結びつけるという位置づけのものである。 研究班としては、有望な物質については提出企業との連携により、より詳細な作用メカニズムの検討、臨床分離株への応用等の研究を発展させ、抗エイズ薬としての実用化へ向けて研究を発展させたいと考えている。 7 0 8 0 3ヶ年計画の2年目終了課題であるため、未回答 なし
小動物モデルを用いた抗エイズ薬評価スクリーニング系の開発 平成13-14年度(3年計画の2年目終了) 89,500(平成13−14年度分) 東京大学 辻本 元 ア 研究目的の成果 急速に進歩している抗エイズ薬の開発とその医学臨床への応用と の間をつなぐエイズ小動物モデルを作成するため、各種条件を詳細 に検討してヒト細胞移植マウスの系およびネコエイズウイルス感染 ネコの系を確立し、抗エイズ薬の生体内評価を可能にした。
イ 研究成果の学術的・国際的・社会的意義 本研究班で作成したエイズ小動物モデル系を用い、新しいエイズ 治療薬(ウイルスレセプター阻害剤等)および新しいエイズ予防薬(ペプチド連続免疫ワクチン等)の有効性を明らかにし、これらを 米国科学アカデミー誌等に発表した。
新しいエイズ治療薬を開発する場合、培養細胞で得られた有効性 を生体内で評価するために、本研究班において開発したモデル系を 利用することができる。このようなエイズ小動物モデルを用いた試 験は、厚生労働省が薬事分科会・審議会で医薬品を審議する際の薬 理試験として必要不可欠なものであると同時に、臨床試験実施のた めの基礎データとしてきわめて重要である。 エイズは20世紀末から21世紀にかけて人類に最も大きな脅威 を及ぼしている感染症の一つであり、社会的関心もきわめて高い。 本研究班のエイズ小動物モデル系で有効性の認められた新しい抗エ イズ薬は臨床応用への実現性がきわめて有望視されており、その一 部は新聞等でも報道されている。現在すでに臨床的に用いられてい る抗エイズ薬には限界があるため、革新的な抗エイズ療法を開発 し、その有効性を動物モデル系で評価する研究はきわめて高い社会 的インパクトをもたらすものと考えられる。 40 1 20 0 3ヶ年計画の2年目終了課題であるため、未回答 なし
HIV侵入動的超分子機構を標的とする耐性克服型化学療法剤の開発 平成13-14年度(3年計画の2年目終了) 43,500(平成13−14年度分) 京都大学 藤井 信孝 ア.IV-侵入の動的超分子機構に焦点を当てて、多剤耐性克服型のエイズ化学療法の確立を目的に研究展開を行い、HIV第二受容体(CXCR4)拮抗剤、gp41標的型膜融合阻害剤を開発した。
イ.HAART療法を用いるエイズ化学療法の問題点が臨床の場で明らかにされつつある。とりわけ、近未来に予測可能な多剤耐性型HIV株による新たなブレークスルーの問題点に対処するためには、当該研究で開発された新規な抗HIV剤の果たす役割は極めて大きい。
これまでに独自のCXCR4ケモカイン受容体拮抗剤の開発gp41-標的型HIV-宿主細胞膜融合阻害剤の開発に成功しており、研究を実用化に結びつける可能性は高いと判断している。HAART療法の革新は世界のエイズ患者に大きな福音を与えるものであり、波及効果は絶大である。現時点において厚生労働行政に対する貢献度を具体例で説明することは困難であるが、将来予測可能なHIV-感染のブレークスルーの抑制につながると確信している。 CXCR4拮抗剤はエイズ治療のみならず抗リウマチ剤、 心筋梗塞治療薬、喘息治療薬、慢性リンパ性B-細胞白血病治療薬、各種の癌の浸潤転移抑制剤としての応用が期待されている。またCXCR4拮抗剤の特許出願件数は現時点で我々のものも含めて10件以下と限られており、本研究事業の国際的優位性は明確である。一方CXCR4は構成的生理現象にも深く拘わっていることから、副作用や毒性、再奇形性の発現にも十分な弔意が必要である。 39 2 49 4 3ヶ年計画の2年目終了課題であるため、未回答 http://seizo2.pharm.kyoto-u.ac.jp/home.html
http://www.marianna-u.ac.jp/univ/reportage2/reportage2.html
http://www.mcg.edu/news/mcgtomorrow/c5 peiper.htm
国内未承認エイズ治療薬等を用いたHIV感染症治療薬及びHIV感染症至適治療法の開発に係る応用研究 平成13-14年度(3年計画の2年目終了) 205,200(平成13−14年度分) 東京医科大学 福武 勝幸 ア;エイズ/HIV感染症治療薬として重要であるが日本では承認が得られていない薬剤について、日本における開発を促進するシステムの構築をした。多くの症例において優れた治療効果を得て、承認時の希少な参考資料として利用されたものもある。
イ;インターネットにより情報を提供し、未承認薬剤による臨床研究に公平に参加できる方策を確立し、30種類に及ぶ薬剤の臨床成績を集積している。日本では患者数が少ないために治験の実施が困難であり、市販しても経済的に成立しないため、重要な薬剤でありながら承認の見通しがない薬剤が存在している。外国では承認されているが、わが国において承認されていない有効なエイズ/HIV治療薬について、国内で研究組織を作り臨床試験を実施し、治療成績を収集・解析し、エイズ/HIV感染症治療薬開発の促進を図るものであり、薬害に苦しむ血友病患者を始めとした多くのHIV感染者の生命を維持する上で重要な役割を果たしている。
エイズ/HIV感染症治療薬開発の促進を図ることは、薬害に苦しむ血友病患者を始めとした多くのHIV感染者の生命を維持するために迅速かつ公平に行わなければならない重大な課題である。本研究では患者から治療医にいたる各層への情報提供とともに、必要な薬剤を提供し、得られた治療成績は希少な日本人の成績として薬剤承認時の参考資料に使われている。本研究はエイズ/HIV感染症と随伴症状の治療法を国内で開発するために重要な役割を担っている。 エイズ/HIV感染症治療薬の情報を、インターネットのホームページやFAX情報サービスを通じて公開し、年間約75000件のアクセスがあった。日本で既に承認されている薬剤だけでは治療が困難な状況の患者の生命を守るために、この研究活動は欠くことができない。薬剤耐性の検査、国内未承認薬による慢性C型肝炎など重篤な合併症への迅速な対応も、本研究によって可能となり、IFNの自己注射療法も安全に実施できた。 5 3 8 0 3ヶ年計画の2年目終了課題であるため、未回答 http://www.iijnet.or.jp/aidsdrugmhw
HIV構造遺伝子とHIV制御遺伝子のコンビネーションワクチンの開発に関する研究 平成13-14年度(3年計画の2年目終了) 95,000(平成13−14年度分) 国立感染症研究所 本多 三男 すでに他の疾患で使用されているワクチンをベクターに用いて、組み換えエイズワクチンを前臨床レベルで以下のように開発した。
1) サルに組み換えBCGエイズワクチンを免疫し、さらに組み換えワクシニアDIsエイズワクチンをブースター免疫すると、強い抗エイズ免疫が誘導された。そこで、病原性エイズウイルスを感染させるとウイルスが400日以上に渡って検出限界以下に押さえられた。
2) 欧米や東南アジアで伝搬しているHIV1クレイドB及びEに対するワクチンを作成すると、1)で得られたレベルの免疫が、ヒトに投与可能な量とルートでサルに誘導できることが明らかになった。以上の1)、2)の結果から、BCG免疫DIsブースターの混合エイズワクチンの概念を確立することができた。さらに防御のメカニズムと制御遺伝子ワクチンとのコンビネーションの効果が検討中である。これらの成果の一部は、Journal of Immunology等の雑誌に掲載され、サルのワクチン評価の部分は現在Nature Medicineを始めとする3つの論文に分けて投稿中である。これらの成果の一部は既に、国際エイズ学会、国際ウイルス学会、米国レトロウイルス学会、日米エイズ学会で発表され、今年の夏から共同開発を目的として米国エイズプログラムの子どもワクチン部門と話し合いが始まることになった。(米国責任者:前臨床開発部門長 Bonnie Mathieson博士)
このワクチンプロジェクトではワクチン効果のみでなく、安全性についても生物製剤基準及びWHOの安全性基準に達しており、前臨床レベルの基準をクリアしたワクチンとして開発が完了したと考えられる。さらにオプションとしてのサルを用いた安全性についても確認された。現在は第二世代ワクチン開発、パイロットプロダクション及び臨床試行の計画が作成されつつある(タイとの共同研究)。従って、アジアを中心に爆発的に広がりつつあるHIVの対策にワクチン開発によって寄与できる可能性を有している。 タイ国主導型のワクチンの臨床開発の分野でリードする形に発展している。 97 13 40 4 3ヶ年計画の2年目終了課題であるため、未回答 http://www.jst.go.jp
ゲノム創薬を支援する高感度分析・解析技術の開発・応用に関する研究 平成13-14年度(3年計画の2年目終了) 78,660(平成13−14年度分) 東京大学 今井 一洋 タンパク質や機能性生体ペプチドなどの微少量高分子分析法の開発のため、生物発光・化学発光分析法、クロマトグラフ分析法、質量分析法を取り上げ、その高性能化を検討し、それらの応用も行った。又、投与薬物の生体系への影響を精査する系の検討も行った。成果は国内外の主要紙に掲載され、ポストゲノム関連研究に大きな影響を与えつつある。 本研究成果は平成15年度厚生労働省関連の科学研究費テーマにプロテオミクス研究が広く取り入れられる切っ掛けを与えた。又、成果の一部は、厚生労働省のレギュラトリーサイエンス分野に於ける医薬品の適正使用のガイドライン作成の基礎技術として活用が期待されている。 本研究で得られた高感度分析・解析技術は製薬企業等でゲノム創薬を行う際の新しいツールとして汎用されつつある。さらに、得られた技術の一部は集団検診等に於ける生体試料量の微小化や省力化を可能としコスト削減に寄与すると期待される。 19 20 76 0 3ヶ年計画の2年目終了課題であるため、未回答 なし
癌細胞の標的化を可能にするベクターの開発;単クローン抗体からペプチドへの展開 平成13-14年度(3年計画の2年目終了) 47,500(平成13−14年度分) 国立国際医療センター研究所 石坂 幸人 ア. 神経芽腫細胞で発現しているレセプター型チロシンキナーゼRETに結合するペプチド(RBP-1)を用いた基礎検討を行った。RBP-1は8個のアミノ酸からなるペプチドでC末側にグルシルグリシンーシステインを有するペプチドを用いて種々高分子にS-S-結合で付加することができる。RBP-1を結合させたポリエチルイミンを用いることにより、RET発現細胞に対する外来遺伝子導入効率が約10倍増加すること、RBP-1をデキストランマグネタイトに付加させ、4.7テスラーの磁場を用いたMRI解析により、RET発現細胞を検出することが可能になった。本研究により、ペプチドを用いた癌細胞の標的化の可能性が示され、in vivoにおける癌標的の有効性が示唆された。
イ. 本研究では癌標的が可能になるペプチドの同定と、このペプチドに磁性体や一定の温度で融解する感温性ミセル性ナノミセルを付加したバイオマテリアルを開発することを目標としており、新しい治療法開発として国際的・社会的にも意義のあるものと思われる。
ペプチドを用いた微少癌の検出と局所DDSの確立には、RBP-1などのバイオマテリアルだけではなくポータブルNMRや高性能高周波装置の開発が基本となる。これらを統合した高度の医療技術の開発に向けた研究事業は、経済効果も大きく、本研究成果が研究推進のための予算要求査定の基礎資料になり得ると考えられる。 現在、MRIによる解析技術により、直径数mmの癌組織を検出することが可能になっている。しかし、癌細胞に選択的に結合するペプチド・磁性体を用いることで、より精度の高い診断が可能になるばかりでなく、高周波の焦点照射による局所温熱療法、さらには感温性ミセル性に包埋した抗癌剤・遺伝子のDDSにより、患者に対する侵襲が極度に軽減できると期待されることから、社会に与えるインパクトは大きいと思われる。 5 1 13 1 3ヶ年計画の2年目終了課題であるため、未回答 なし
遺伝子改変動物をもちいたG蛋白質共役型受容体の機能解析 平成13-14年度(3年計画の2年目終了) 64,600(平成13−14年度分) 国立成育医療センター研究所 田上 昭人 薬物受容体標的であるα1アドレナリン受容体サブタイプ(A,B,D)、バソプレッシン受容体サブタイプ(V1A,V1B)の遺伝子改変動物(トランスジェニックマウス、ノックアウトマウス)を作成し、受容体の生理機能を明らかにした。更に病態下(高血圧等)におけるそれぞれの受容体の役割を明らかにし、受容体を標的とする薬物の効果・副作用に関するメカニズムを明らかにした。これらの成果は、国際的に評価の高いJournal of Clinical Investigation,, Hypertension等の雑誌に掲載され高い評価を受けた。 現在、臨床で降圧剤・前立腺肥大症の治療薬として幅広く用いられているα1ブロッカーや早産・月経困難症の治療薬として開発中のV1a拮抗薬の作用機序や副作用を解明し、今後の薬物療法における副作用の予防や患者の選別に多大な貢献をもたらした。その結果、高血圧症の治療や産科婦人科領域における適切な薬物療法が行われ、医療費の削減に結びつくものと考えられる。 製薬企業にとっても薬物を開発する上でこれらの遺伝子改変動物は非常に有効なツールとなり、我が国におけるアドレナリン、バソプレッシン受容体の研究分野をリードする形に発展している。 12 6 21 0 3ヶ年計画の2年目終了課題であるため、未回答 http://pharmac.nch.go.jp/
多剤耐性結核の診断と創薬探索技術としてのゲノム解析に関する研究 平成13-14年度(3年計画の2年目終了) 47,500(平成13−14年度分) 国立国際医療センター研究所 切替 照雄 ゲノム情報解析技術を駆使して多剤耐性結核の診断法の開発を行なっている。具体的には、1)全国市中病院を対象にした抗酸菌薬剤耐性の実態調査、2)ダイレクトシークエンス法による薬剤耐性結核の迅速診断法を開発、3)リアルタイムPCRを用いた結核菌の迅速薬剤感受性試験の開発、4)結核ゲノム情報に基づく疫学手法の開発、及び5)DNAチップによるPEファミリー遺伝子発現解析の5項目に関する研究を推進している。 本研究で開発した診断法は、多剤耐性結核の早期診断法として臨床的に極めて意義があると思われる。その有用性を広く検証するため、本年度の厚生科学研究費(新興・再興感染症研究事業)に応募した。 病原体のゲノム情報を基盤とした感染症の診断技術の発展は、医療機関における細菌検査のシステムを大きく変えることが予想される。本研究は、この分野での日本の研究をリードしている。 27 3 20 4 3ヶ年計画の2年目終了課題であるため、未回答 http://www.imcj.go.jp/rese/riinfe/infe.htm (更新中)
低酸素センサーを介する虚血性および変性性神経疾患の機序解明と新規治療薬開発 平成13-14年度(3年計画の2年目終了) 51,870(平成13−14年度分) (財)東京都医学研究機構 東京都臨床医学総合研究所 芝崎 太 虚血性神経細胞死の機序解析の結果は、神経専門誌Neurobiol. Dis.の表紙に選ばれ、平成15年度よりCsAの臨床応用を行う予定である。また、新規の抗虚血薬を発見し、現在開発中である。Machado-Joseph病やパーキンソン病など神経変性疾患に関わる因子と低酸素反応性因子の関連が明白になった。 年間2兆円の治療費と3兆円の介護医療に関わる虚血性脳障害の新規治療法、治療薬の開発は、老人人口の急増する昨今の対策として急務であり、本予算による研究開発から、新規治療法、新規抗虚血薬が開発されたことは、厚生労働行政の中でも比類無い成果といえる。また、本研究から、医師主導型の薬剤開発に発展しており、この面でも大きな貢献である。 虚血性神経細胞死(脳卒中)における免疫抑制剤の著効とその機序解明、および新規治療薬開発の成功は、朝日、毎日、日経産業、各地方新聞に取り上げられ、全国的な反響を呼んだ。 49 16 112 1 3ヶ年計画の2年目終了課題であるため、未回答 http://www.rinshoken.or.jp/org/MCP/index/index.htm
難治性疼痛に関与するATP受容体の機能解析と医療への応用 平成13-14年度(3年計画の2年目終了) 51,800(平成13−14年度分) 国立医薬品食品衛生研究所 井上 和秀 現在モルフィンなどの既存の鎮痛薬が効きにくい痛みとして神経因性疼痛が臨床上問題となっている.発症機序が不明のため有効な手だてが講じにくい.本研究はその病態アロディニア発症とATP受容体の関係を世界に先駆けて明らかにしつつあるもので、国際的に関心が集まっている.これまでに次の成果が得られた.
1.ATP誘発急性アロディニア発症にP2X2+3受容体ヘテロマーが深く関与している.
2.慢性神経因性疼痛モデルではアロディニア発症にATP受容体とミクログリアp38活性化が関与している.
3.ATPは後根神経節からsubstance Pを放出する.
4. ATPは代謝型P2Y1受容体刺激によりプロテインキナーゼCを介し痛み受容器バニロイド受容体VR1を活性化する.
5. 脳幹での知覚神経情報伝達にもATPが関与している.
本研究は痛み発症に関する基礎的研究のために、研究成果から有効な鎮痛薬が誕生する可能性がある(下欄参照)が、直ちに行政に結びつく性質の成果は出しがたい. 現在モルフィンなどの既存の鎮痛薬が効きにくい痛みとして神経因性疼痛が臨床上問題となっており多くの患者さんが苦しんでいる.本研究の成果は、そのような痛みに有効な鎮痛薬開発に貢献するものと期待される.米国の試算では適切なペインコントロールをしないために年間7兆円が失われているとされている.国内では明確な統計がなされていないが、神経因性疼痛などによる医療費の増大、労働できない為の社会的・経済的損失は多大といわれている.本研究から有効な鎮痛薬が生まれれば、患者のQOLは向上し、このような社会的経済的損失を一部でも防ぐことが出来る. 41 31 50 0 3ヶ年計画の2年目終了課題であるため、未回答 http://www.nihs.go.jp/
レクチン機能を利用した血管における生体防御システムの解明と創薬への応用 平成13-14年度(3年計画の2年目終了) 52,875(平成13−14年度分) 旭川医科大学 若宮 伸隆 血管内皮特異的に発現する膜型コレクチン分子CL-P1をクローニングした。本分子はスカベンジャー受容体の機能ばかりか微生物に対する先天免疫に関与することが示唆された。成果はJBC誌に掲載されたばかりか、国際レクチン学会や国際糖質学会で招待講演をうけるなど世界的に大きな反響があった。 ヒト血漿中の酸化LDLを測定できる酸化LDL測定キットの開発が行われ、現在製造承認審査中である。 ヒト血漿中の酸化LDLの動態を明らかにすることで、動脈硬化症の診断・予防・予後判定に大きな貢献が出来る。また国内初の酸化ストレスのバイオマーカーであり、その社会的インパクトは高い。 43 14 63 8 3ヶ年計画の2年目終了課題であるため、未回答 http://www.asahikawa-med.ac.jp/dept/mc/microbio/microbiology.html
感染症に関連した免疫異常の解析と新規制御物質の開発 平成13-14年度(3年計画の2年目終了) 43,985(平成13−14年度分) 国立感染症研究所 鈴木 和男 ア.血管炎モデルマウスの作製、新規BCGワクチン開発を主たる目的とした。
イ.血管炎の発症機構の解析が進み、治療薬開発に利用できるようになった。また、新規BCGワクチン開発により、日本以外にも国際的に要望が高い国への供与が可能になったこことは、社会的意義が大きい。
現在使用されているBCGの感染防御効果には疑問がもたれており、BCGを超える新規抗結核ワクチンの開発は、国民の健康に貢献することより、厚生労働行政上にも大いに貢献できると思われる。 血管炎治療法の開発には、モデルマウス作製が不可欠で、臨床応用に役立つ。新規抗結核ワクチンの開発は、日本のみならず、結核蔓延国の中国・インドなど国際貢献にも寄与する。 44 0 28 2 3ヶ年計画の2年目終了課題であるため、未回答 www0.nih.go.jp/~ksuzuki/
マイクロアレイDNAチップを用いた各種病態関連発現遺伝子の解析 平成13-14年度(3年計画の2年目終了) 53,200(平成13−14年度分) 国立成育医療センター研究所 辻本 豪三 本研究により作製したラット腎臓標準化cDNAマイクロアレイチップを用い、抗糸球体基底膜抗血清投与による、ヒト糸球体腎炎によく類似したラット糸球体腎炎モデルの腎臓組織における発現変動遺伝子を解析した.その結果、腎疾患の病態形成,病状の悪化や治療のターゲットに関連する可能性の極めて高い遺伝子群を見出すことができた.成果はFASEB JOURNAL等の雑誌に掲載され、国内外から大きな反響があった。 腎炎や糖尿病性腎症により透析導入に至る患者は毎年増加しており、維持透析患者数は12万人に達している。また、その医療費は7,000億円に及ぶと試算できる。腎炎や糖尿病性腎症をいかに予防・治療するかは腎臓病学において重要な課題である。疾患に関与する遺伝子が明らかになれば、それをターゲットとした医薬品の開発がスタートできることから、本研究の意義は大きい。 腎疾患の病態形成,病状の悪化や治療のターゲットに関連する可能性の極めて高い遺伝子群を見出すことができた.今後さらに,得られた結果と薬理データとの相関から、腎疾患の根治療法につながる創薬ターゲットを絞り込むことができる。 58件 5 116 本研究に関連する特許出願:2 / その他:5 3ヶ年計画の2年目終了課題であるため、未回答 http://pharmac.nch.go.jp/
バイオテクノロジー応用医薬品等の評価技術の開発 平成13-14年度(3年計画の2年目終了) 63,650(平成13−14年度分) 国立医薬品食品衛生研究所 川崎 ナナ 最新の科学技術・分析技術を取り入れた迅速、効率的かつ適切なバイオテクノロジー応用医薬品の構造決定法、物理化学的性質評価法、及び生物学的評価法を開発した。 本研究で開発された評価技術は、バイオテクノロジー応用医薬品の研究開発、承認審査、品質管理、同等性/同質性評価に役立つことが期待される。 糖タンパク質糖鎖の解析法は当該分野、及びプロテオミクス分野で注目を集めている。また、様々な新規バイオ医薬品候補の開発研究が進展している。 75 19 0 3 3ヶ年計画の2年目終了課題であるため、未回答 なし
日本人糖尿病感受性遺伝子に基づく脂肪細胞を分子標的とした糖尿病・肥満の予防及び治療薬の開発に関する研究 平成13-14年度(3年計画の2年目終了) 43,510(平成13−14年度分) 東京大学 門脇 孝 脂肪細胞特異的アディポネクチン遺伝子が主要な2型糖尿病感受性遺伝子であることを明らかにし、更にアディポネクチンが実際にインスリン感受性ホルモンであるとともに、動脈硬化を直接抑制する作用を有することを個体レベルで初めて明らかにした。これらの成果は全てNature Medicine等の一流誌に掲載され、国際的にも極めて高い評価を受けている。 本研究の成果から、アディポネクチンがインスリン抵抗性・動脈硬化の病態を正確に反映していると考えられるため、現在アディポネクチンが実際にこれらの疾患の簡便・有用なマーカーとして有用であるかについて検討を行っている。その結果は生活習慣病予防の国家的な施策に反映されるものであると期待される。 アディポネクチンの作用を増強する薬剤が抗糖尿病・抗動脈硬化の根本的治療法となり得ることを個体レベルで明らかにし、更にアディポネクチンの作用機序としてAMPキナーゼの活性化が重要であることを解明した。これらの重要な成果によって生活習慣病の創薬の標的分子が明確となり、今後の創薬の方向性がはっきりしたといっても過言ではなく、インパクトは極めて大きいと考えられる。 30 91 132 東京大学TLOなどによる特許出願:8 3ヶ年計画の2年目終了課題であるため、未回答 なし
医薬品製造におけるプロセスバリデーションと科学的品質保証に関する研究 平成13-14年度(3年計画の2年目終了) 53,200(平成13−14年度分) 国立医薬品食品衛生研究所 森川 馨 優れた品質の医薬品を製造し、供給し続けることは、医薬品の有効性,安全性に直結する重要な課題である。本研究では、どのような根拠に基づいて医薬品の製造プロセスを構築し、検証(バリデーション)するか、その科学的構築方法および評価方法を国内外を代表する参加16製薬企業と共同研究を行った。平成13年度は注射剤などの無菌製剤、14年度は医薬品原料となる原薬の製造方法に関する研究を行なった。研究成果は広く公開し、日本の医薬品製造メーカーに対して、製造プロセスの科学的検証方法の指針を示すことが出来た。 医薬品製造における品質保証(GMP)に関する研究は、薬務行政における重要課題であるが、本研究を除いてこれまで科学的な研究は行われてこなかった。本研究成果は、厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課のGMP省令、ガイドラインの作成に役立つと共に、厚生労働省の教育機関である国立保健医療科学院で、医薬品製造所の行政査察を行う国及び都道府県の薬事監視員のGMP・バリデーションに関する教育研修の資料としても活用されている。 国内外を代表する16製薬会社の工業化研究所・工場との共同研究を行った。これほど大がかりな医薬品の製造方法に関する研究はこれまで行われていないので、研究成果を発表した薬学会レギュラトリーサイエンス部会の発表でも、500名以上の参加者を得た。また、本研究成果は、HS研究成果普及事業として研究成果報告会を行い平成12年度は290名、平成13年度は250名、日本化学工学会の本研究プロジェクトに関するシンポジウムでは350名の参加者を得た。なお、本研究の研究成果の詳細は平成13年度、平成14年度各々書籍として、講談社サイエンティフィックより平成15年に出版することになっている。 1(書籍として刊行予定) 2 13 0 3ヶ年計画の2年目終了課題であるため、未回答 http://webabst.niph.go.jp:/
免疫抑制剤の体内動態並びに薬効発現に関わる蛋白群の遺伝子解析を基盤とした移植臓器における拒絶反応防御に関する研究 平成13-14年度(3年計画の2年目終了) 76,000(平成13−14年度分) 京都大学 乾 賢一 臓器移植患者の小腸におけるP-糖蛋白質(薬物排出ポンプ)の発現量が、免疫抑制剤(タクロリムス)の腸管吸収の個人差に大きく関与していることを見出した。また、術直後の急性拒絶反応関連遺伝子の絞込に成功した。さらに、生体肝移植患者におけるタクロリムス母集団体内動態解析を実施し、患者個々におけるタクロリムス血中濃度予測法の開発(Clin Pharmacokinet誌印刷中)を行った。これらの成果は、Clinical Pharmacol Ther誌、Pharmacogenetics誌などの雑誌に掲載され、国内外から大きな反響を得ている。 成果を基に、術時小腸P-糖蛋白質発現量に基づく免疫抑制剤タクロリムスの初期投与量設定と母集団パラメータを利用した血中濃度推移の予測を行い、タクロリムスの精密な血中濃度コントロールと採血回数減少による患者QOL向上並びにコスト削減に貢献している。 生体肝移植患者の術後管理における科学的な免疫抑制療法の開発に貢献することができ、我が国における肝臓移植センターとしての本院の役割を果たすとともに、長期予後の改善にも役立っていると考える。 43 2 49 0 3ヶ年計画の2年目終了課題であるため、未回答 http://www.kuhp.kyoto-u.ac.jp/~yakuzai/main.htm
インフォームドコンセントに基づいた外科手術切除ヒト組織の医学研究利用ネットワーク体制の確立とヒト肝細胞を用いた
試験系のバリデーション
平成13-14年度(3年計画の2年目終了) 68,780(平成13−14年度分) 国立医薬品食品衛生研究所 大野 泰雄 外科手術切除ヒト子宮平滑筋PKC阻害剤への反応がラットと大きく異なり持続収縮することを示した。および肝組織を用いた研究により、ヒト組織がヒト特異的な薬理作用や代謝活性や酵素誘導能の予測に有用であることを示した。また、凍結ヒト肝細胞がヒト代謝パタンの予測に有用であること、ヒト特異的誘導能の検討に非凍結肝細胞が有用であることを多施設バリデーションで示した。遺伝子多型を持つヒト凍結肝細胞を用いたin vitro代謝評価系を確立した。バリデーション結果を学会発表した時には多数の聴衆の興味を集めた。 ヒトでの薬効や毒性予測に凍結あるいは非凍結ヒト組織が有効であることを示した。また、今までの研究は薬物相互作用の検討方法についてのガイドラインに反映された。なお、多施設バリデーションの結果、得られるデータのばらつきの程度が明らかになったことは、医薬品審査の上で貴重である。 産官学連携によるヒト組織を用いた試験の実施により、我が国における倫理的なヒト試験実施に資した。ヒト肝細胞を用いることにより、ヒトでの代謝や酵素誘導が予測できることが明らかになり、医薬品開発の促進、安全な臨床試験実施、更には臨床での相互作用予測に役立ち、医薬品の適正使用に資する。 23 0 17 1 3ヶ年計画の2年目終了課題であるため、未回答 なし
高機能保持ヒト由来肝培養細胞株を用いた薬物有効性、安全性評価法の確立 平成13-14年度(3年計画の2年目終了) 74,000(平成13−14年度分) 杏林大学 永森 静志 ヒト肝由来細胞を3次元培養リアクターを用いて医薬品や各種化学物質が肝細胞の機能に与える影響、肝細胞による有害物質への変換等を検定する方法開発。創薬研究に応用する。Nature,Hepatology(2報)等に報告され内外の反響が多大にあった。 HS第7分野の発足に当たり、黒川清委員会は人肝臓の利用が困難な我が国の国情にあった方法として培養系の人肝由来細胞の機能発現を研究していた永森らの研究に注目。(厚生労働省HPに記載されている) ラジアルフローバイオリアクター(RFB)法を利用した永森が樹立した人肝由来細胞株によるC型肝炎ウイルスのin vitroでの大量培養は既にJSTにより国際特許申請中である。培養肝細胞の高機能を引き出せるRFBは薬物有効性の検定方法として注目され、かつバイオ人工肝の開発にも寄与している。 20以上 20以上 15以上 3 3ヶ年計画の2年目終了課題であるため、未回答 なし
ヒト組織・細胞の新鮮材料を用いた薬物の作用評価の研究
−ヒト組織バンクの効率的運用へ向けて−
平成13-14年度(3年計画の2年目終了) 47,750(平成13−14年度分) 大阪大学 松浦 成昭 ヒト組織材料の採取について手術からの時間経過の検討で、タンパク質、 DNAは採取12時間後までは使用可能だが、mRNAは数時間以内に分解された。取扱いに注意が必要な生検などの小サンプルからのmRNAの使用では、RNAlaterを用いて摘出1時間以内に保存し、TRIzol(またはRNeasy)で抽出するのが最も効率が良かった。この結果からヒト組織バンクの材料採取のおよそのガイドラインが描かれ、意義深いと考えられた。また、ヒト組織材料の提供のためのインフォームドコンセント取得にあたっては組織バンクの存在を世間に認識してもらい、理解を得ることが最も重要であると考えられた。 成果をもとに、すでに設立されているヒト組織のバンクのために、手術標本からのヒト組織新鮮材料の取得に当たり、手術からの時間経過としてどれくらいまで組織材料が利用可能であるかが明らかにされた。ヒト組織バンク活用のガイドライン作成に利用できる成果であり、その運用に貢献できると考えられる。目的別の保存液や抽出方法の検討などさらに細かい点を検討することが必要である ヒト組織バンクへの材料の提供のためには提供者からのインフォームドコンセントの取得は必須であるが、その難しさが明らかにされた。説明を容易にするためのわかりやすいマニュアルが必要であり、作成に向けて努力すべきである。また、インフォームドコンセントの取得にあたり、組織バンク事業の存在・必要性の理解を得るために種々の啓発活動を通じて行っていく必要があると考えられた。 23 10 15 0 3ヶ年計画の2年目終了課題であるため、未回答 なし
超機能性核酸類縁体(BNA)を用いたアンチセンス医薬品の開発と実践的応用 平成13-14年度(3年計画の2年目終了) 60,000(平成13−14年度分) 大阪大学 今西 武 新たな超機能性核酸類縁体の合成、遺伝子切断分子の開発、細胞内移行性ペプチド-BNA-ODNコンジュゲート体の合成、膜融合リポソーム調製の最適化を行なった。さらに、各種標的遺伝子(PPAR, ICAM-1, myc等)に対するアンチセンスBNA-ODNを用いた遺伝子発現制御について評価を行なった。得られた成果は、著明な国際誌上や国際会議等で報告し、大きな反響を得た。 該当なし ポストゲノム時代に相応しいゲノム創薬手法にアンチセンス・アンチジ−ン法があるが、その手法での創薬には材料となる人工核酸の開発が未成熟であった。我々が開発した超機能性人工核酸BNA類は当該手法に相応しい数々の特性を有しており、国の内外で実用化素材としての評価が高い。本研究の推進は学術的かつ社会的インパクトは極めて大きいことは論を待たない。 15 4 45 0 3ヶ年計画の2年目終了課題であるため、未回答 http://www.phs.osaka-u.ac.jp/homepage/b007/
T細胞の活性化およびヘルパーT細胞サブセットの分化を特異的に制御する手法の樹立 平成13-14年度(3年計画の2年目終了) 67,500(平成13−14年度分) (財)東京都医学研究機構 東京都臨床医学総合研究所 宮武 昌一郎 T細胞の活性化と分化において機能する転写因子GATA3およびNFATファミリーを用いて、その機能阻害活性を持つ分子を探索するスクリーニングシステムを樹立した。主要な成果は科学雑誌に掲載された。 新たな免疫抑制剤の開発が期待される。またTh2の分化抑制や機能制御作用による新しいアレルギー治療薬が開発できる可能性を示した。 分子間相互作用を阻害あるいは促進する物質を探索し、薬剤として開発する方法の樹立に貢献する。 30 6 19 0 3ヶ年計画の2年目終了課題であるため、未回答 http://www.rinshoken.or.jp/org/I/index-jp.htm
活性タンパク利用技術としての新規ドラッグデリバリーシステムの開発研究 平成13-14年度(3年計画の2年目終了) 60,000(平成13−14年度分) 聖マリアンナ医科大学 五十嵐 理慧 研究している内容は広範囲にわたる。まず細胞外遺伝子操作による修飾活性タンパク合成技術をドラッグデリバリーシステム(DDS)に応用する検討を行っているが、このような試みはこれまでになく、この技術が確立されればDDS研究に画期的な方法論を提供できる。一方有機合成法による修飾タンパクについては著明な薬理効果の増強が得られている。 細胞外遺伝子操作による修飾活性ペプチド合成技術が確立すれば、修飾ペプチドを医薬品化する場合、修飾部位を特定化できることから、修飾ペプチドを薬にする場合これまで非常に困難であった規格化が容易になり、医薬品行政に大きく貢献することが期待される。さらに検討している成長因子のDDS【徐放とターゲット】は再生医療の成功のためには必須である。 このプロジェクトの一環として進めているが、これまで期待されながら実用化されなかったスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)【レシチン修飾SOD】について、現在オランダにおいて臨床試験を計画している。患者にとって有用性の高い医薬品となると期待される。さらに成長因子のDDSは現在注目されている再生医療に大きく貢献できると考えている。 8 2 18 2 3ヶ年計画の2年目終了課題であるため、未回答 http://www.marianna-u.ac.jp/ims/index.htm
公共的な研究利用ヒト組織バンクシステム構築の検討 平成13-14年度(3年計画の2年目終了) 75,000(平成13−14年度分) 自治医科大学 小林 英司 新薬開発段階におけるヒト組織利用試験研究は極めて重要なステップで、組織の供給体制は社会基盤として整備すべきことである。脳死体臓器の研究利用が禁じられた我が国の特異な環境下で、手術摘出検体の研究利用に関する倫理的・技術的妥当性を検討した。生体からの組織提供は,一般市民と医療者の感覚のずれは埋めきれてはいないが、その必要性を患者及び医師に啓発することにより相互理解に向け重要なポイントが明確化した。またそのような特殊な条件下での生理活性をできるだけ保持する組織保存条件の検討を行ない具体的な手順を検討した。 創薬研究用ヒト組織の供給源は手術摘出検体がふさわしいと提示した平成10年厚生科学答申(黒川答申)には具体的な実施形態の示唆はなされていなかった。当研究では平成12年開設のヒューマンサイエンス研究資源バンクヒト組織バンク部門が市民に理解の得られる形で運営されるための倫理的検討並びに研究にはやや不利な条件となる手術摘出検体の活性維持という技術的側面からの検討を行った。 シンポジウムの企画と実行(我が国の医学教育におけるバイオエシックス:ヒト組織の研究利用の課題,第57回日本消化器外科学会.特別シンポジウム,医療と研究の両立をめざして−法的倫理的視野から−,第64回日本臨床外科学会.シンポジウム2 再生医療研究における倫理の現状と問題点,シンポジウム9 研究用ヒト組織提供の沿革とアベイラビリティーの現状,第2回日本再生医療学会. 34 10 15 0 3ヶ年計画の2年目終了課題であるため、未回答 なし
潜伏HIV-1の再活性化に関わるアクセサリー遺伝子を標的としたエイズ発症阻止技術の開発 平成13-14年度(3年計画の2年目終了) 89,750(平成13−14年度分) 理化学研究所 間 陽子 アポトーシス活性を有するHIV-1Vpr変異体を利用した遺伝子治療用ベクターを構築し、HIV-1感染細胞を特異的に破壊することに成功した。Vprの新規核移行機序を明らかにすると同時に、新しい機能としてスプライシング阻害効果を世界に先駆けて発見した。また、エイズ発症阻止技術の効果を感染個体のレベルで評価するアカゲザルの感染実験系を確立した。これらの成果は学会等で高い評価を受けた。 エイズ発症機序の解明と予防薬の開発に寄与することにより、行政的観点・厚生労働行政に対して大きく貢献することが期待される。 1) 新たなエイズ発症予防・治療法開発の基盤を提供することが期待され、社会的貢献度は大きい。
2) エイズばかりでなく、癌やアポトーシス耐性が関与する疾患の治療にも大きく路を開く可能性がある。
3) 遺伝子治療技術の発展に寄与し、医療分野へ大きく貢献できる。
57 8 104 1 3ヶ年計画の2年目終了課題であるため、未回答 なし


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