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厚生労働科学研究費補助金研究事業の概要
研究事業(研究事業中の分野名):医薬安全総合研究
所管課:医薬局総務課
予算額の推移(例):
平成12年度 平成13年度 平成14年度 平成15年度
781,954千円 852,395千円 1,367,200千円 659,792千円
(1) 研究事業の目的
 医薬品・医療機器に関連する医療事故防止対策、院内感染対策、薬物乱用の防止対策並びに人工血液の開発研究等の推進に資することを目的としている。
(2) 課題採択・資金配分の全般的状況
 過去3年間程度の課題一覧(別途添付可)、課題採択の留意事項等課題採択に当たっては、行政施策上の必要性を最優先に考慮しつつ、科学的なレベルが問題ないかについても配慮している。
 評価委員会においては、研究計画や経費、研究組織等について幅広くご意見をいただいており、出来る限り反映させることとしている。
(3) 研究成果及びその他の効果
(社会的な意義や施策・ガイドライン等への反映状況を含む)

 必要に応じて代表的な研究成果の説明図などを添付する。
 得られた研究成果は、省令、ガイドライン等に反映されており、行政に対する貢献度は大きいと考えている。
 (代表的な研究成果については、別添参照)
(4) 事業の目的に対する達成度
 行政上必要な研究課題について、継続的に取り組んできており、研究結果から見ても着実な成果を得られており、達成度は高い。
(5) 行政施策との関連性
 得られた研究成果は、省令、ガイドライン等に反映されており、行政施策に反映されている。
(6) 今後の課題
○医療事故対策…「医療安全対策検討会議」により2002年4月にまとめられた「医療安全推進総合対策」への対応
○院内感染対策…集中治療部門(ICU、NICU)等、易感染性患者の治療を担う部門における院内感染防止対策
○麻薬乱用防止対策…第三次覚せい剤乱用期の深刻な状況に依然あることを踏まえた、不正薬物の分析方法の開発、薬物中毒者の治療、社会復帰支援等
○人工血液開発…実用化に向けた研究
(7) 研究事業の総合評価
 行政上必要な検討課題について科学的観点から研究を行ってきており、そしてその成果が法令あるいはガイドライン等に数多く反映されている。厚生労働行政および社会に対する貢献度は極めて大きいといえる。
 今後、バイオ・ゲノム等の科学技術の進展や少子高齢化等の社会の変化を踏まえつつ、医薬品・医療技術の安全性・有効性・品質の確保、新しい科学技術を利用するための適正な基準の作成、副作用の発生を未然に防ぎ拡大を防止する体制の構築等、製造から市販後までの総合的なレギュラトリーサイエンス事業への展開が期待される。


医薬安全総合研究事業の成果等(代表例)


1. 医薬品関係
 新医薬品の品質(規格、安定性など)、有効性(臨床試験)及び安全性(毒性試験)の評価方法等に関する国際的動向を踏まえたガイドライン(別添参照)の作成
 日本薬局方の改正
 新型インフルエンザに対する試験ワクチンの開発と、有効性・安全性の評価

2. 医療用具関係
 生物学的安全性試験のガイドラインの改正
 医療用具GLP、GCP省令案の作成
 ハイリスク医療機器の承認審査ガイドラインの作成

3. 血液の安全対策関係
 核酸増幅検査(NAT検査)のガイドラインの作成(平成15年度完成予定)
 インフルエンザワクチンの需要予測
 臨床的評価可能な人工酸素運搬体(人工赤血球)の開発(動物による安全性評価試験終了)

4. 院内感染対策関係
 カテーテル関連血流感染対策ガイドラインの作成
 医療用具及び院内環境の管理及び運用に関連する院内感染防止ガイドライン(案)の作成
 NICU(新生児集中治療室)を対象とした院内感染対策サーベイランス体制の構築

5. 麻薬乱用対策関係
 成人及び中学生の薬物乱用実態の把握
 押収した覚せい剤に含まれる微量不純物の分析パターンの分析による不正薬物の密輸ルートの解明


(別添)

医薬品規制の国際調和関係で作成されたガイドライン等
(平成13年以降に国内規制に取り込まれたもの及び現在検討中のもの)


臨床安全性データの取扱いに関するガイドライン(H13)
個別症例安全性報告を伝送するためのデータ項目等に関するガイドライン(H13)
個別症例安全性報告電子伝達のメッセージ仕様に関するガイドライン(H13)
臨床試験における対照群選定に関するガイドライン(H13)
外国臨床データを受入れる際に考慮すべき民族的要因についてのガイドラインQ&A(現在検討中)
コモン・テクニカル・ドキュメント(品質、有効性、安全性)に関するガイドライン(H13)
コモンテクニカルドキュメントの運用に関するQ&A(H15)
定期的安全性最新報告に関するガイドラインの補遺(間もなく国内通知発出予定)
市販後適性症例管理基準に関するガイドライン(間もなく国内パブリック・コメント聴取予定)
市販後安全対策のプランニングに関するガイドライン(現在検討中)
新医薬品の安定性試験法ガイドラインの改訂(H13)
安定性試験(ブラケッティング及びマトリキシング法)ガイドライン(H14)
安定性試験の統計解析及びデータ評価に関するガイドライン(間もなく国内通知発出予定)
安定性試験(気候帯III及びIVでの提出資料)に関するガイドライン(間もなく国内通知発出予定)
医薬品原薬の不純物に関するガイドライン改訂(H14)
医薬品製剤の不純物に関するガイドライン改訂(間もなく国内通知発出予定)
医薬費の残留溶媒ガイドライン改訂(H14)
バイオテクノロジー応用医薬品の同等性比較に関するガイドライン(現在検討中)
バイオテクノロジー応用医薬品の規格及び試験方法に関するガイドライン(H13)
原薬GMPガイドライン(H13)
重大な不整脈発現を予測するための安全性薬理試験ガイドライン(現在検討中)
重大な不整脈発現の評価に関する臨床評価ガイドライン(現在検討中)


(今後の課題)

1)医薬品の有効性・安全性保証に関する予測的な前臨床及び臨床的試験法の開発
2)臨床試験の方法、臨床試験の国際間の相互受入れ、統計解析法など
3)市販後の安全性データの収集方法、統計解析法


○医薬安全総合研究

研究課題 実施
期間
合計
金額
(千円)
主任研究者
所属施設
氏名
(1)専門的・
学術的観点
ア 研究目的の成果
イ 研究成果の学術的・国際的・社会的意義
(2)行政的観点
・ 期待される厚生労働行政に対する貢献度等。(実例により説明してください。審議会資料、予算要求策定の基礎資料としての活用予定などを含む。)
(3)その他の
社会的
インパクトなど
(予定を含む)
発表状況 特許 施策 (4)研究の成果が分かるホームページのURLなど
原著
論文
(件)
その

論文
(件)
口頭
発表

(件)
特許の出願及び取得状況 反映件数
医薬品等の品質規格に係る交際的動向を踏まえた評価に関する研究 平成12-14年度 81000 国立医薬品食品衛生研究所 早川堯夫 国際的動向を踏まえた医薬品等の品質及び安全性等確保に関する11の分担研究を実施し、それぞれ一定の成果を得た。特に生物薬品の特性・品質解析、品質評価、同等性/同質性評価における糖鎖プロファイリング法、糖ペプチドマッピング法の有用性に関しては一連の論文を発表し、国内外で高い評価を得ている。またHIVベクター、AAVベクターに関する研究は、我が国独自の、より有効性、安全性の高い遺伝子治療用ベクターの開発につながるものである。  細胞・組織利用医薬品、遺伝子治療用医薬品の安全性に関する研究及び生物薬品の同等性/同質性評価に関する研究は、関連する指針の策定や改定に反映されることが期待される。新しい品質規格を用いた医薬品の評価法の研究成果の一部は厚生労働省の事務連絡「新医薬品の承認申請資料などに関する留意事項」に反映された。安定性試験に関する研究は、国際調和のための基礎資料として活用された。薬局方国際調和に関する研究は、日本薬局方の国際化の推進に資するものである。  本研究の成果により、国際的動向を踏まえた科学的妥当性のある医薬品等の品質・安全性確保基準や製造管理技術・品質確保技術の確立、検証及び評価法の確立が可能となり、これを通じた保健医療の向上への貢献が期待される。また、本研究成果をもとに原薬および製剤の不純物ガイドラインにおける不純物の安全性確認に関するQ&Aが作成され、活用される。 27 38 39 0 1 今後ホームページ上に掲載していく予定である。
国際的動向を視野に入れた医薬品安全性情報の電子的伝達システムに関する研究 平成12年度〜平成14年度 30,000 財団法人医療情報システム開発センター 開原 成允 国内医薬品安全性情報電子伝達システムの基盤として、3年間の実証実験を通じて、安全性報告(副作用報告)の項目と電子書式の詳細仕様を確立した。本研究は製薬企業から規制当局へ伝達する場合を想定している。研究成果は国内副作用報告制度にただちに適用可能な実装段階の仕様でありICH国際標準に準拠している。国内のみならず海外で発生した医薬品安全性報告の早期入手を可能とし、国際的な安全性情報の共有化に貢献する。 研究成果は「医薬品の個別症例安全性報告等を伝送するためのデータ項目及びメッセージ仕様等について」と題する下記の安全対策課長及び審査管理課長通知に反映されている。・平成14年12月25日医薬安発第1225001号・平成14年12月25日医薬審発第1225023号また平成15年10月には厚生労働省にて電子形式による医薬品安全性報告の受入が始まる予定であり、国内行政における安全対策に貢献している。 安全性報告の電子伝達に関する仕様は、製薬企業に広く知られるところとなり、国内における医薬品情報の電子化が加速化されている。さらに今後は同仕様を医療機関に広げ、医療機関、製薬企業、行政を結ぶ国内安全性情報のネットワーク化をはかることにより、治験段階・市販後を含む医薬品安全対策の向上が期待される。 5 5 7 0 2  
医療機関における使用済放射線源及び診療用放射性同位元素の管理の合理化等のあり方に関する研究 平成12−14年度 18,500 群馬大学医学部 遠藤啓吾 放射線を利用した病気の診断、治療は脳、心臓、癌患者を中心に数多く行われているが、新しい放射線機器の進歩は目覚ましく、医療現場での利用が望まれている。一方、放射線利用には安全を守るための厳しい法規制があり、また放射線の医学利用に伴った放射性廃棄物の排出、放射線利用による被ばくは避けられない。そこで新しい放射線機器の導入に伴う問題点、その安全な運用を検討した。成果として平成13年3月には医療法施行規則が改正され、一部の機器が使用可能となった。さらに医科及び歯科領域において放射線を安全に、かつ有効に医学利用するための放射線管理について研究を行うとともに、Evidence based Medicine(EBM)に基づいた画像診断ガイドライン作成を開始した。 成果をもとに医療の現場での適用が望まれている新しい放射線の利用形態について、適切な放射線防護の措置を講じた上で、以下の新しい放射線機器について使用が可能となるように規定の整備が図られた。(1)核医学撮影装置の吸収補正用線源の使用。(2)核医学撮影装置とCT装置の同一室内での使用。(3)診療用放射線照射装置または診療用放射線照射器具を透視下で体内に挿入することによる放射線治療の実施。(4)移動型診療用高エネルギー放射線発生装置の手術室での使用。また画像診断ガイドライン(2003年版)もまもなくとりまとめられる。 上記のうちすでに一部の放射線機器は病院で使用可能となった。また病院で製造されたPET薬剤の他病院への配布、小型サイクロトロンや使用済放射線源の廃棄などに伴う問題点が明らかとなった。 22 17 3 0 4 http://www.jcr.or.jp/guideline/mokuji.html
安定供給に向けた国内外の抗毒素製剤の品質管理に関する研究 平成12-14年度 34,000 国立感染症研究所 細菌・血液製剤部 高橋 元秀 海外から緊急輸入が予想される抗毒素製剤の品質について調査し、(1)日中韓でまむし抗毒素のアジア地区標準品を作製し、国際間で品質管理用として用いることにより製剤の共有化がはかれる。(2)日本の製剤と同質の中国ボツリヌス抗毒素の原液を輸入し、ABEFボツリヌス抗毒素を約200本製造し、バイオテロ等の緊急対応に備えた。(3)国有品であるガスえそ抗毒素の使用実態調査を実施し、適正使用に対する改善検討が必要となった。 まむし、ボツリヌス等のウマ抗毒素製剤の製造期間は、1年以上を要するが、国際間で使用可能な製剤については共通の品質管理法の導入・整備が必要で、本研究班でまむし抗毒素は対応した結果、緊急時に海外から輸入することが可能となる。国有品であるボツリヌス抗毒素については、原液を輸入を輸入する方向性が打ち出されたため、国内ですべてをまかなう備蓄体制を検討することにより、経済効果が期待される。 ボツリヌス抗毒素製剤については、バイオテロの懸念が高まる中、国際的にも枯渇をきたしている。国家備蓄品ではまかないきれない事態が生じた場合は、緊急避難的には本製剤が対応可能となる。 2 5 5 0 1  
人工血小板開発研究 平成12-14年度 270,000 慶應義塾大学医学部  池田 康夫 ア)人工血小板の開発を目的に、止血機能を有する人工粒子作成に着手した。人工担体として生体適合性に優れたリポソーム、アルブミン重合体を選び、これに遺伝子組み換えヒト血小板膜糖蛋白を結合させ、血管破綻部位に特異的に集積すると共にその部位で残存する血小板と凝集塊を形成し得る人工粒子の作成に成功した。
イ) 国内外において戦略的人工血小板研究は無く、プロトタイプとは言え、人工血小板開発への道を開く研究として国際的にも注目を集めており、期待されている。
輸血医療は欠くことの出来ない治療手段としてその重要性が広く認識されているが、一方、輸血治療の安全性の担保もまたそれにも増して重要である。潜在的リスクを持つヒト血液の利用を極力避ける努力は行政面からも重要である。人工血小板開発は、緒に付いたばかりであるが、欧米に先駆けて人工血小板開発研究班を立ち上げ、その成果としてはっきり開発の道筋を示した事は、行政的観点からも大いに評価され得る 輸血による肝炎、エイズなどの伝播という不幸な出来事を考える時、人工血液の開発研究は社会的インパクトは大きい。人工血小板開発に関して言えば、血小板保存期間が短い事や、緊急・災害時の供給体制が十分で無い事から国民の期待は一層大きく、世界に先駆けて研究体制を整え、成果を挙げつつある事は特筆される。事実、年一回の公開シンポジウムの開催、雑誌・新聞誌上における研究報告などを通じてその成果は国民の知るところとなっている。 45 7 61 4 1 公開シンポジウム「人工血液をつくる」
URL http://okipura.com/at bl/
「臨床応用可能な人工赤血球の創製」 平成12-14年度 195,000 早稲田大学 理工学総合研究センター 土田 英俊 ア 研究目的の成果 (1)分子集合の制御技術を確立し、製造装置の基本設計完了、(2)安全性評価試験(小動物)を実施(一過性変動を除き問題点を認めず)、(3)血液適合を確認(補体、凝固系共に影響なし)、(4)反復投与試験(全例生存, 体重の線形増加の確認)、(5)出血ショック蘇生液としての効果確認。
イ 研究成果の学術的・国際的・社会的意義 (1)小胞体化技術完成により修飾Hbの難点はすべて解消。(2)GMP基準の製造装置設計に踏み込むことが可能。(3) 臨床試験移行段階を待つ状態。(4)これら成果は国際血液代替物学会(東京)および日本人工臓器学会(札幌)にて発表、高い評価と内外からの強い関心あり。
(1)一般向け研究発表会「人工血液をつくる」を延3回開催、本研究の意義と期待の浸透に成功。 (2)「医薬品・医療機器の安全性対策の推進に関する件 (平成14年7月24日衆議院厚労委員会)」では、人工血液の製品化のために研究開発の促進を図ること、の決議。 (3)これを受け非臨床/臨床試験プロトコールの決定と試験の準備に進む。 (4) 献血血液の有効利用、感染源皆無により、血液行政の信頼度の向上。(5)長期間保存は備蓄と安定供給として危機管理に対応。(6)世界に先駆けた実現のため、製造装置設置、国家検定など行政側の責任ある対応を期待。 (1) 現行輸血システムの問題点(感染の完全防御/保存期限3週間/血液型不適合/人口高齢化に伴う献血者数の低下など)の克服に貢献。(2)自然災害時の緊急需要に対応した、大量供給体制は重要な国家的施策。(3)赤血球を凌ぐ性能(上述問題点を克服)により新しい医療技術確立が可能。(4)献血システムが確立していない地域でも利用できることは、国際貢献度の極めて高い成果。(5)その時点ではリコンビナント体(r-Hb)利用が前提、この開発も早急に進めるべき。 80 5 197 19 4 http://www.waseda.ac.jp/projects/artifblood/
酸素運搬機能を有する人工赤血球の開発に関する研究 平成12-14年度 55,000 北海道大学大学院医学研究科 北畠 顕  臨床応用可能な人工赤血球の開発と機能評価を行った。SNO-ポリエチレングリコール修飾ヘモグロビンと2種の新規パーフルオロケミカル・エマルジョン製剤は、いずれも臨床応用のための治験開始に耐え得る製剤であることが示唆された。成果は国内外の一流紙に掲載されるとともに、国内外から反響があり、特に機能評価方法が各種人工血液製剤の治療効果の判定法として確立された。  本研究の成果により、わが国の人工血液研究が以前の酸素供給能効果の向上を目指した物性のみの追求から、臨床応用の可能性を追求し、安全かつ医療経済学の要件を踏まえ、臨床治験開始可能な製剤の追及に向かう方向転換の必要性が示唆された。その結果、今後の人工血液開発が進むべき方向性がより明らかとなり、厚生労働省の人工血液開発研究指針策定に反映された。  本研究で確立された人工赤血球の評価法を利用し、臨床応用をめざしたリポソーム包埋型ヘモグロビンの工業化が行政主導で開始され、臨床治験開始が企画されている。また、本研究で創製された製剤は国際的な評価を得ており、その結果わが国は代表的な2種の人工赤血球製剤開発において海外に伍す、あるいは海外をリードする状態にある。 18 16 85 1 2  
各種疾患の治療に役立つヒト抗体の単離調製 平成12-14年度 180,000 藤田保健衛生大学 総合医科学研究所 黒澤 良和 ジフテリア毒素、破傷風毒素、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、インフルエンザウイルス、ロタウイルス、ハブ毒に対し、それぞれ治療用抗体として役立つに充分な性能(強い中和活性を示す)のIgG型ヒト抗体の単離調製に成功した。この目的達成のために1000億種のクローンからなるヒト抗体ライブラリー(AIMS)の作製を行い、更にAIMSライブラリーの中には性能の良い抗体が含まれない抗原に対しては、中和抗体価の高いボランティアの協力を得て、成分採血したBリンパ球から抗体ライブラリーを作製し、抗体を単離する方法を確立した。 以上の成果は、今までγ―グロブリン製剤による治療もしくはウマ血清による治療が行われていた疾患に人モノクローン抗体を治療薬とする新しい治療法の道を開いた。しかし、包括的内容を持つ既存特許の制約下にある技術を用いたので、一方で新しい独自技術を開発し、特許申請を行った(添付ファイル)。新しい方法では、対象とする疾患(ウイルス、病原菌、病原菌が分泌する毒素、各種毒素)に対する中和抗体を有する人(ワクチン接種や感染による)がボランティアとして協力すれば、末梢血から目的とする性質の抗体をクローン化できる。新技術を用いて本研究で得られた抗体と同じ性能の抗体を単離調製し、製剤化する。 現在、重症急性呼吸器症候群(SARS)が大きな社会問題化している。エボラ出血熱でもそうであったが、非常事態にどのように対処できるか問われている。本研究の成果は、先ず既存の様々な疾患(ウイルス、病原菌が分泌する毒素、ヘビ毒)に対して治療薬としてのヒト抗体を単離調製したことだが、二つの条件が揃えば、短期間にヒト抗体を単離できる方法を確立したことも重要である。(1)対象疾患に対して治癒効果を示す抗体を有する人がおり、献血という形でボランティアとして協力してくれること。(2)中和エピトープを有する抗原を調製できる。SARSは、正にこの条件にあてはまり、その方法を日本で独自技術として確立した意義は大きい。 7 13 5 5 1  
人工ポリクローナルFvグロブリン製剤の開発に関する研究 平成12-14年度 46,000 国立感染症研究所 生物活性物質部 鈴木 和男 ア 1) 血管炎治療を目的とし、大量グロブリン治療が有効であることを明らかにした。2) 臨床モデルマウスは、誘導型、自然発症型の2系統を作製した。3) ポリクロナルグロブリンの人工化に向けたライブラリーを作製した
イ 1) 老人に多い血管炎治療にステロイドは危険がともなうことから、大量グロブリン治療により、QOLが改善でき、医療経済効果も高い。2) EUVASグループ(英国を中心としたヨーロッパ)を初め要望が強く、世界的な供給に先駆的になる。(特許申請検討中)
高齢化社会に入り、難病を初め、その有効性から大量グロブリン治療が施行され、その需要が増えつづけ、血液が不足する。また、血液製剤であるところから、感染などの問題も指摘されており、人工化開発が急務であった。まず、人工化の遺伝子ライブラリーを作製し、次いで、血管炎に有効かを13例の患者において予備的に実施し、予後も良好であり、QOLが改善された。また、患者から感謝と励ましの手紙が送付されてくるなど、社会的な要求に合致していることを痛感した。 本研究プロジェクト主導の「大量グロブリンによる血管炎治療」の臨床試験がプランされ、将来の「人工ポリクロナルグロブリン治療」の臨床応用に向けた本格的治療がまもなく開始される予定である。大量グロブリン治療は、血管炎患者からの要望も強く、人工化が実用化されれば、世界的にも、安全性の観点からも、画期的な治療法として注目されている。 75 0 172 2 1 www0.nih.go.jp/~ksuzuki/
新規機能を付与した人工プロトロンビン製剤の開発に関する研究 平成12-14年度 46,000 明治薬科大学 薬学部 生体分子学教室 森田 隆司 ア 研究成果の目的   プロトロンビン遺伝子に変異を導入し安定な抗凝固活性を有するプロトロンビン変異体を大量発現させ、抗血栓製剤の開発研究を行なった。本研究はまた、ゲノム創薬の安全性を検討する ためのアデノウィルスベクター発現系を用いた基礎研究も行なうことにより、ほぼ所定の目的を達することができた。
イ 研究成果の学術的・国際的・社会的意義   研究成果は最近J. Biol. Chem. 278 (17) 15015-15022 (2003) に発表し、国内外から大きな反響が生じつつある。
 トロンビンのもつ凝固活性を消失させ、逆に抗凝固活性や抗炎症活性を有するプロテインC活性を強化させた全く新規のゲノム創薬のモデルを提出することができた。  今回、作製したプロトロンビン変異体をもとに、製薬会社の協力の下に抗凝固薬の開発にむけて開発研究を進めることになっており、社会的インパクトは高い。 1 21 6 1 0 http://www.jbc.org
医薬品製造工程等の変更が品質に与える影響及び品質確保のあり方に関する研究 平成13-14年度 20,000 国立医薬品食品衛生研究所 薬品部 青柳 伸男 欧米の製法変更のガイドラインの試験では,我が国に多い無胃酸の高齢者の生物学的同等性が保証できないことが判明した。また,我が国では,明確な基準を持たずに製法変更が行われている実態が明らかとなった。これを踏まえ,我が国固有の「経口製剤の製法変更に対する生物学的同等性試験ガイドライン案」を確立すると共に,適正運用を目指してQ&Aを作成した。本ガイドライン案は,製法変更の品質確保に貢献するものである。 製法変更の際,品質を保証するための試験は必要不可欠で,欧米ではガイドラインとして確立されている。しかし,我が国にはない。本研究で作成されたガイドライン案は,CTDに従った医薬品の承認審査,改正薬事法の下で増大する委託製造の承認,GMPにおける製法変更に重要な役割を果たすことは間違いない。本ガイドラインが無ければ,それらの承認に支障を来すもので,早急に公式のガイドラインとなることが望まれる。 医薬品の製法変更に対する試験と基準を定めた我が国固有のガイドラインは,製法変更の承認基準の透明性を高めると同時に,日本に多い無胃酸の高齢患者の有効性と安全性の保証に寄与するものである。 1 0 2 0 0  
医薬品、医療用具等の無菌性保証の方法及びその妥当性に関する研究 平成13-14年度 20,000 国立医薬品食品衛生研究所 棚元憲一 無菌医薬品製造に重要である、ろ過滅菌やSIP/CIPの無菌性検証を中心に、不随する微生物管理手法について研究を行い、各種無菌関連試験法、ガイドラインの作成、微生物モニタリング法の開発、さらには製薬用水の現状分析と問題点提示を行った。これらの成果は、日本薬局方への反映、各種ガイドライン作成を通して、わが国製薬企業における高度な品質の無菌医薬品の供給に貢献するものである。 1)「遺伝子解析による微生物の同定法」ドラフトの日局フォーラムへの収載。
2)微生物回収バリデーション、微生物モニタリング、迅速検出法の日局導入の基礎資料作成。
3)「無菌試験法」の国際調和サインオフ、微生物限度試験法のStege4調和案作成。
4)日局の製薬用水関連の充実と国際調和の基礎資料となる報告書の作成。
5)「無菌性保証に関するガイドライン」、SIPの解説書、「インフルエンザワクチン製造施設のバイオセーフティー対策」作成。
医薬品の無菌製造に関しては、国際的に厳しい用件が課せられている。これらの規格を満たさない製薬企業は淘汰されることになる。本研究の成果を日本薬局方への当該試験法、情報提供は、医薬品全般の品質向上、ひいては国民への恩恵に帰結するものである。 8 31 13 0 5  
医療用具の不具合報告の用語の国際的統一に関する研究 平成13-14年度 28,500 東京慈恵会医科大学総合医科学研究センター ME研究室 古幡 博 医療機器・用具は今日国内外の製品が現場で使用されており、医療機器・用具の不具合報告に基づく警告、注意喚起などの正確かつ有効な不具合情報の公開普及は極めて重要である。しかし、その表現する用語が内外で統一されておらず、その統一化が本研究の目的であった。2年間の研究を通じ、不具合事象を表現するには、(1)機器・用具の構造、機能に基づく用語と、(2)健康被害とを表わす患者障害用語との2種の用語で構成することとし、用語の実用化のために主要100機器を選択し、具体的に不具合事象用語を選定した。この成果は国際的な規格制定機関ISOのTC210内で討議され、不具合報告に関するISOの規格化に基礎を与えるものとして検討されている。 成果をもとにISO/TC210のWG3への提言を行い、現在各国メンバーにより検討されている最中であるが、用語集としてのデータベースの基本を示し、以って医薬局への不具合報告の電子化に反映され、また、報告を分析し、安全指導など企業並びに医療機関への適切な安全情報提供の正確化、迅速化に反映されるものと予想される。 この用語統一はISOに反映されるので、日本の医療安全への取組み姿勢が世界に示された一つと考えられる。 0 0 1 0 0  
添付文書等による医療用医薬品に関する情報の提供の在り方に関する研究 平成13-14年度 20,000 慶應義塾大学 医学部 谷川原 祐介 医療用医薬品添付文書に記載された重要情報を、より確実に医療従事者へ伝達するために、当該医薬品に関する関連情報をすべて統合し、階層構造化して提供する手段として、電子化された階層化添付文書(e添付文書)を開発した。IT技術を駆使して、13種類の市販医薬品について試作した。添付文書情報の階層構造化とITの活用は、国際的にも新しい発想であり、社会的意義が高いものとして医療関係者等から大きな期待を集めた。 本研究成果は、医薬品の適正使用情報の充実と効果的な情報提供手段の確立に向けて貢献が期待される。具体的には、現在、医薬品機構で提供されている「医薬品情報提供システム」を飛躍的に向上させるための学術的基礎資料となる。 医療用医薬品の添付文書情報を階層化することは、科学的な根拠を明らかにし、エビデンスに基づく適正使用の推進が期待される。最重要情報のみを扱うハイライトにより、処方時の確認が容易となり、不適切な使用を防止できる。また、ITを駆使した詳細情報の提供により、全国の医療機関・薬局から最新情報にアクセスすることが可能となり、規模や地域による情報格差を是正でき、全国的な適正使用推進に貢献できる。 14 2 8 0 2  
H5N1全粒子不活化ウイルスワクチンの安全性・有効性に関する研究事業 平成13-14年度 38,950 国立感染症研究所 ウイルス第3部 田代 眞人 1997年に香港に出現したトリ強毒H5N1型インフルエンザに対して、我々は遺伝子操作によって弱毒化に成功し、試験ワクチンを製造した。これは、動物には有効な防御免疫を誘導したが、ヒトでは血清抗体の誘導は認められなかった。そこで、(1)HAワクチンの皮下接種では有意の抗体上昇が認められなかった原因の解明、(2)ヒトに高い免疫原性を示すワクチン製剤への改良と接種方法の検討、(3)既に試験ワクチンが製造されている不活化全粒子ワクチン製剤について、前臨床試験および臨床第1相試験を行って安全性・有効性を検討した。その結果、(1)H5N1型インフルエンザ不活化全粒子ワクチンに対する前臨床試験の結果、生物学的製剤基準を満たしており、安全性が示された。(2)H5N1型試験ワクチンについて、基礎免疫賦与能およびブースター効果に関して、マウスおよびハムスターを用いた免疫応答および感染防御効果の検討を行った結果、動物では十分な防御免疫が誘導されることが示された。(3)H5N1型不活化HAワクチンは臨床第1相試験では有意な血清抗体の誘導は認められなかった。その原因として、スプリットワクチンでは基礎免疫賦与能が低い可能性、トリウイルス抗原がヒトに対して免疫原性が低い可能性などが推定された。そこで、試験ワクチン(HAワクチンおよび全粒子ワクチン)について、様々なアジュバントを添加することによる免疫原性の増強を検討した結果、動物レベルでの有効性が示唆された。(4)全粒子ワクチンについて動物を用いた全臨床試験および第1相臨床試験を実施し、同ワクチンの安全性と有効性を評価した。 新型インフルエンザ対策の要は緊急ワクチン開発と増産、接種にあるが、そのためには、製造されたワクチンが安全かつ有効であることを確認しておくことが必要である。新型ウイルスに対するワクチン開発においては、現時点では遺伝子操作に基づいた弱毒化が必須である。しかし、この様にして製造されたワクチンの安全性と有効性を予め検証しておかないと、壮大な時間と費用の無駄とともに、有効な対策を全くもたらさないという最悪の結果を招く危険が高い。そこで、この点を検証し、新型インフルエンザによる健康被害と社会危機の回避のために、安全で有効な緊急ワクチンの確保をもたらすものである。  新型インフルエンザに対しては、有効なワクチン接種が第1の切り札である。しかし、緊急に製造されたワクチンの安全性を有効性を確保することは国の責務であり、それを予め検証しておくことによって、安心してワクチン接種を受けられる体制が構築される。従って、本研究は、新型インフルエンザ対策上で重要な意義を持ち、社会的インパクトも大きい。 6 17 10 0 1 厚生労働省ホームページ
医療用具の警報装置の現状と問題点の調査研究 平成13−14年度 19,000 北里大学医療衛生学部 渡辺 敏 医療用具の警報装置のあるべき姿を検討するため、医療用具の企業関係者および使用者に対する実情調査を行い、警報装置の現状と問題点を明確にし、これをもとに主要5機種の医療用具(心電図モニタ、人工呼吸器、輸液ポンプ、人工透析装置、IABP)について、警報装置使用ガイドラインを作成した。また、現在使用されている医療用具の警報音を収集、分析すると同時に、当該機器の各種情報と共にデータベース化した。このような調査は今まで行われたことがなく、今後警報装置について検討されるさまざまな場面で貴重な資料となり得ると考えられる。 本研究成果は医療用具の警報装置の規格、基準(JIS、IEC、ISO等)作成時、役立つ各種情報を提供できると考えられる。また、医療用具の警報装置を適正に使用するための教育啓蒙活動にも参考になると考えられる。 現在使用されている医療用具の警報装置はいろいろ問題があるが、それらをすぐに解決することは容易ではない。本研究で作成された警報装置(アラーム)使用ガイドラインは現在使用されている医療用具の警報装置を効果的に使用する際に役立ち、警報装置に関係した各種トラブルの発生を防止できると考えられる。本研究で作成された警報音のデータベースは、新しい警報装置の研究開発や上記のガイドラインの運用時に使用することが可能で、これにより医療用具の警報装置の安全性・信頼性は向上すると考えられる。 0 5 7 0 0 「産経新聞」(平成15年1月8日朝刊)に研究成果の一部が掲載された。
院内感染を防止するための医療用具及び院内環境の管理及び運用に関する研究(H13−医薬−018) 平成13−14年度 30,000 東邦大学医学部 山口 惠三 全国医療機関への普及を目的とした医療用具及び院内環境に関連する院内感染防止ガイドラインについて関連文献を検討し、2年間で計11項目についてガイドライン(案)を作成した。本研究班では関連学会や組織との調整を経ながら現在の医療状況に即した具体的・実践的ガイドライン(案)の作成を試みた。これらのプロダクトを有効に活用することにより、今日の医療現場および社会的要求に応える成果が期待される。 「静脈点滴注射剤などの衛生管理に関するガイドライン改訂」(分担研究者:武澤 純)および「透析医療における標準的な透析操作と院内感染予防に関するマニュアル」(分担研究者:秋葉 隆)は個別の小冊子を用意し、全国の関連医療機関・施設(約1,000ヶ所)に配布を予定している。また、これ以外の項目も含め本研究班プロダクトをまとめて製本・普及し、本邦の厚生労働行政の向上に貢献する。 本研究では2年間で11項目のガイドライン(案)を作成した。このプロダクトの内容を分担研究者の所属する学会・機関を通して全国の医療機関に浸透させていく。また、商業誌などに本案を掲載することにより各分野の先生方より広くご意見をいただき、さらなるブラッシュ・アップを図り、院内感染の防止という社会的・国民的要求に応えるべく活動を継続する。 2 5 5 0 0  
新生児及び乳幼児のMRSA感染等の院内感染のリスク評価及び対策に関する研究 平成13−14年度 26,545 名古屋大学大学院医学系研究科機能構築医学専攻救急・集中治療医学 武澤 純 ア)NICUを対象とした院内感染対策サーベイランス体制を構築し、院内感染のリスク因子の検討とその対策の提案を行った。
イ)NICUでの院内感染の国際比較が可能となった。全国平均値が算出できる。NICUでの院内感染の低下が期待される。
わが国のNICUでの院内感染の実態、評価が可能となり、対策を行う上での指標が提供できる。対策に関する臨床試験を行う際に症例-対照試験の基礎データを提供できる。医療機関に施設間比較による院内感染対策向上のインセンティブを提供できる。医療の質向上のモデルケースとすることができる。 ICU部門のサーベイランスに次いで、診療機能評価と院内感染対策を組み合わせて、施設評価を行うことができる。国民に医療機関選択の資料を提供できる。包括評価の中のコスト増加と患者転帰悪化の要因分析項目として利用できる 0 12 18 0 0  
薬物依存・中毒者の予防、医療、アフターケアのモデル化に関する研究 平成13-14年度 22,800 国立肥前療養所 内村 英幸 薬物依存の治療とリハビリテーションに関するモデルを示し、臨床経過分類と転帰調査する体制を整えた。法律モデルからのダイバージョン方法(法律的、少年事件、保護観察、保釈プログラム)を示した。専門医療モデルを提示しエキスパートコンセンサスを得た。精神保健センターにおける家族相談等の普及度を評価した。女性薬物依存のケアにおける子供の養育危機を調査した。中・高校生の薬物乱用者への短期介入に関して方法論と有効性を検討した。 薬物依存の治療とリハビリテーションに関する薬物依存専門臨床研修会を行い同種研修会の指針とした。薬物乱用者の法律処遇から医療・福祉処遇へのダイバージョンに関する指針と経済的・治療的有効性を示した。薬物依存専門治療施設に関する指針を示した。民間回復者施設と自助グループの有効性と専門機関との連携を提示した。女性薬物依存と子供を同時にケアできる施設の必要性を示した。薬物乱用少年の一次予防に関して中・高校生への介入方法を示した。 薬物乱用・依存に対するモデルを提示することにより法律・医療・福祉・保健の専門機関における対策が進むことが期待される。また民間の回復者施設や自助グループの正しい評価を得て包括的なモデルを提示することができる。薬物乱用が少年期・思春期問題であるとの認識で早期の介入への対策を準備する。 20 1 7 0 0 http://www.hosp.go.jp/~ghizen/ (掲載準備中)
薬物乱用・依存等の実態把握に関する研究及び社会経済的損失に関する研究 平成13-14年度 44,000 国立精神・神経センタ− 精神保健研究所 薬物依存研究部 和田 清 15歳以上の住民での薬物乱用経験率(2001年)は、有機溶剤:2.0%、大麻:1.1%、覚せい剤0.3%、何らかの違法薬物:2.7%であり、1995年以降上昇傾向にあった。中学生での薬物乱用経験率(2002年)は、横這い状態にあったが、女子では上昇気味であった。薬物乱用・依存による社会経済的損失の推計金額は、約2,068億円であっが、推計値を出すには基礎データがあまりにも不足していることが明らかになった。一連の本調査は我が国の薬物乱用防止対策策定の基礎資料となっているが、国際的にも評価されており、米国のNIDA(1999年)、タイ王国のOffice of the Narcotic Control Board, Office of the Prime Minister(2002年)の会議に招聘され講演した。今後、専門誌へも掲載予定。 成果は「アルコール.薬物関連障害の診断・治療ガイドライン」に生かされている。「薬物乱用対策推進本部」への提供基礎資料となっている。 本調査による結果は、国内的には「薬物乱用対策推進本部」での対策策定の基礎資料となるだけでなく、国連、WHOへの報告データの基礎資料ともなっている。 3 13 14 0 0  
がん患者の痛みに対するモルヒネ適正使用の推進に関する研究 平成13-14年度 21,850 国立がんセンタ− 中央病院手術部 平賀 一陽 鎮痛薬投与後の有効域閾値=0.45×(鎮痛薬投与前値)+0.92の回帰式を利用することにより、疼痛増強時に投与した鎮痛薬の治療効果の判定を明確にできた。また、モルヒネ投与時の副作用である気・嘔吐は鎮痛効果を示すモルヒネ量より少ない量で発現し、疼痛下においてもモルヒネによる嘔気・嘔吐が発現する可能性が示唆された。さらに、モルヒネの代謝産物であるM6Gはモルヒネより強力に嘔気、嘔吐作用を惹起することが明らかとなった。これらの成果は “Life Sciences” などの雑誌に掲載されて、国内外から大きな反響があった。 作成した鎮痛薬の治療効果の判定基準を利用することにより、治療者も患者も鎮痛効果がある薬剤に懐疑的になることが避けられ、がん疼痛治療がより推進される可能性が高い。モルヒネ投与時の副作用である嘔気・嘔吐の機序解明は臨床的観察を科学的に実証した結果になり、モルヒネの投与経路やオピオイド鎮痛薬の選択基準はがん疼痛治療におけるモルヒネの適正使用に貢献する。また、ガイドライン改訂時に反映できる。 作成した鎮痛薬の治療効果の判定基準は鎮痛薬開発時の治療効果の判定に役立つ。とくに、多施設で行われる鎮痛薬の臨床試験では、合理的な判定基準の作成に寄与し、鎮痛薬のより客観的な評価が可能になる。ラットにモルヒネを累積投与すると、嘔吐中枢のない小動物における嘔気・嘔吐の指標と考えられている異味症が発現したことから、ラットやマウスのような小動物においても嘔気・嘔吐の研究が行える可能性が示唆され、この方面での研究の促進が期待される。 4 4 5 0 0 現在のところ考えていないが、講演会・講習会で啓発を継続していく。
先端医療センター等における細胞治療・再生治療開発のためのGMP準拠細胞プロセッシング指針の作成に関する研究 平成13-14年度 7,000 京都大学医学部附属病院 前川 平 わが国における細胞治療・再生治療開発のための細胞プロセッシングの現状を報告した。加えて、先端医療センター等の細胞治療を行うGMP準拠施設がもつべき構造設備基準(GMP細胞プロセッシング施設基準およびヒト細胞・組織を用いた細胞プロセッシング規制)について研究報告案を提出した。これらの詳細は平成14年度総括・分担研究報告書(454頁、提出済)に記載し、各方面から大きな反響があった。 本研究の成果は上記平成14年度厚生労働科学研究費補助金(医薬安全総合研究事業)の総括・分担研究報告書(提出済)に記載した。特に、「先端医療センター等における細胞治療・再生治療開発のためのGMP準拠細胞プロセッシング施設が持つべき構造設備基準(GMP細胞プロセッシング施設基準(案))のなかで示した「GMP準拠臨床用ヒト細胞・組織製造施設の構造設備基準(案)」をもとに、厚生労働省指針の改訂が期待される。 現在、先端医療センター、大学附属病院、研究所病院等で、細胞治療・再生治療のためのGMP準拠細胞プロセッシングセンターの建設が行われているが、本研究で行った設計基準や具備すべき設備基準の内容が参考にされている(日経バイオビジネス誌参照)。 4 8 9 0 1 なし(ただし、京都大学医学部附属病院輸血部のホームページhttp://www.kuhp.kyoto-u.ac.jp/~dtm/index.htmlの一部が参考になる)
医薬品の分類に応じた医薬品情報の国民的視点に立った提供方法等に関する研究 平成14年度 13,000 財団法人 日本薬剤師研修センター 久保鈴子 ア:患者用語集(辞書)を作成するために、XML形式を用いて患者用語、医療用副作用用語、医薬品名などその他関連する情報を構造定義し、それに基づいて用語集を充実させる方法を10医薬品を対象にモデル化した。今後更に属性を付加していけば、殆どの医薬品に対応できる用語集作成が可能である。
イ:MedDRAや他で作成されている用語集との関係が保持できる。
患者・国民向け情報提供を考えるうえで患者向け説明文書作成のための、患者用語集(辞書)の作成は急務と考える。今後、本研究成果に基づいて多くの情報を収集して用語集を充実させることで、患者向け説明文書作成に寄与できる。これにより医薬品安全対策への貢献度も高まる。 患者用語による医薬品情報の収集と提供が可能となれば、患者の医薬品に関する知識も高まり、その結果、患者と医療従事者のコミュニケーションが図りやすくなる。最終的には患者参加型医療の確立により患者が自己決定・自己責任の取れる医療環境が整うことになろう。 0 0 2 0 0  


研究課題 実施
期間
合計
金額
(千円)
主任研究者
所属施設
氏名
(1)専門的・
学術的観点
ア 研究目的の成果
イ 研究成果の学術的・国際的・社会的意義
(2)行政的観点
・ 期待される厚生労働行政に対する貢献度等。(実例により説明してください。審議会資料、予算要求策定の基礎資料としての活用予定などを含む。)
(3)その他の
社会的
インパクトなど
(予定を含む)
発表状況 特許 施策 (4)研究の成果が分かるホームページのURLなど
原著
論文
(件)
その

論文
(件)
口頭
発表

(件)
特許の出願及び取得状況 反映件数
細胞培養性痘そうワクチンの有効性等に関する研究 14年度 17,000 国立感染症研究所 ウイルス第一部 倉根 一郎 わが国の痘そうワクチン株であるLC16m8株との比較を目的として、親株であるLC16mO株の塩基配列を決定した。また、本ワクチンの防御免疫誘導に重要な役割を果たすと推察されるB5R遺伝子の塩基配列を決定し、本蛋白による抗B5R抗体誘導を確認した。また、抗ウイルス剤の抗ワクシニア活性、人免疫グロブリン製剤のワクシニアウイルス中和抗体価を確認した。これらの研究成果は、痘そうワクチンの免疫誘導の理解、副作用対策の策定に意義を有する。本研究の成果に関しては現在英文論文を作成中である。 本研究においては、痘そうワクチンLC16m8株をLister株、LC16mO株との比較においてウイルス学、分子生物学的、免疫学的に解析した。痘そうワクチンは天然痘ウイルスによるバイオテロ対策の根幹をなすものである。親株であるLC16mO株の塩基配列が決定され、Lister株、LC16m8株の塩基配列も進んでいる。本研究の成果により、わが国の痘そうワクチンによって誘導される防御免疫の理解が飛躍的に進展する点で厚生労働行政に対する貢献が大きい。 本研究は、天然痘ウイルスによるバイオテロから日本国民をまもる施策の策定に大きく関与するものである。従って、バイオテロ対策として社会的インパクトが大きい。 0 0 0 0 1  
諸外国における医薬品安全対策の緊急調査研究 平成14年度 2,000 国立医薬品食品衛生研究所 医薬安全科学部 長谷川 隆一 諸外国で副作用等の安全性を理由に販売が中止された医薬品で、我が国で販売が継続されている医薬品について調査し、国内の安全対策上の対応状況を明確にする目的で検討を行った。web site上で公表されている情報から外国で販売中止となった医薬品は91種で、国内では20種が販売継続されていたが、外国で問題となった点について注意喚起等が実施されていることが明らかになるとともに諸外国で販売中止となった背景を調べる必要性が示唆された。 本研究結果は、行政が行う医薬品安全対策の実施状況を示す情報であり、今後、販売中止の背景などを調べることにより安全対策の基礎的資料となり得るものである。 医薬品の安全性に関しては国民の関心は昨今急激に高まり、行政は明確な説明を求められている。諸外国の状況と国内状況を比較した本研究は国民が安心して医療を受ける上で関心の高い分野であり、求められる行政の説明責任を補うこととなる。 0 0 1 0 0  
医療事故防止のための医療用具の製品改良のあり方に関する緊急調査研究 平成14年度 4,000 財団法人医療機器センター 箭内 博行 ア:「医療安全推進総合対策」報告書で医療事故防止の観点から医療機器の製造業者がとるべき対策が指摘され、それら諸点に関する国内外の取り組み状況及び医療事故防止対策医療用具の普及状況の調査を行い、医療安全の確保に向け、今後行政や企業が指摘内容の具体化を円滑かつ迅速に図るための基本的道筋が整った。イ:現在まで医療事故防止の観点から、企業や医療機関の現場の実態に即して、医療機器の製品情報の提供、製品の改良方法、事故関連情報の収集体制等について総合的に調査及び検討されたことは無く、実際的かつ実現可能性等についての論点整理が行われた。この点からも本調査研究の意義は大いにある。 平成12、13年当時に厚生労働省が制定した事故防止対策を考慮した基準適合製品の普及状況等を調査した結果、製品の採用率が想像していた以上に高く、採用している医療機関の8割以上が、それらの製品が医療事故防止に役立つと回答していた。このことから医療事故対策基準の有効性が証明された。今後一層の医療事故対策基準適合製品の検討が期待される。また、各国の医療安全に対する取り組み、情報提供体制等も明らかにし、今後我が国の行政が行う医療安全の推進に大いに貢献している。 医療機器に関する医療安全推進のための総合的調査であるため、直接的な社会的インパクトは高くないが、今後行政及び企業が具体的な検討を進めるにあたり、医療機器業界が抱える現状の問題点等の論点整理が行われているため、将来への間接的な社会的インパクトは高い。 0 0 0 0 0  
新型の薬剤耐性菌のレファレンス並びに耐性機構の解析及び迅速・簡便検出法に関する研究 平成12-14年度 79,180 群馬大学 医学部 微生物学教室 池 康嘉  (1) 日本の研究者が報告し、世界的に問題となったバンコマイシン(VCM)低感受性及びVCMへテロ耐性MRSAは、278病院の6,625株の調査研究で、当該菌は日本国内に存在しないことを米国の専門誌に報告し、国内外から大きな反響があった。
(2) 治療不可能なメタロ-β-ラクタマーゼ生産菌のディスク拡散法による迅速検出方法を実用化し、米国の専門誌に報告した。
(3) VCM耐性腸球菌(VRE)から、世界で初めて高頻度接合伝達性プラスミドを発見し、その検出方法を米国の専門誌に報告した。(4) 輸入鶏肉からVREが高頻度に分離されることをLancet誌に報告し、さらに輸入鶏肉を介し、それが人に伝播することを米国専門誌に発表した。
(1)この問題で、世界的に検査・治療において混乱した医療現場に、正確な科学的情報と対処策を提供した。
(2)臨床検査で最も要求度の高かった、この菌の迅速検出法を実用化し、医療現場に提供した。
(3)この報告は、食品を介して薬剤耐性菌がグローバルに伝播する最初の報告となり、以後、食品の安全性を向上させるため、厚生労働行政の立場から、毎年定期的に調査検査が行われ、輸出国に対しての防御対策指導を行っている。
(4)厚生労働省事業のVRE防御対策、および基礎的情報収集のための全国調査に貢献した。
日本はVREが広まっていない非常に稀な国で、その防御対策が可能である。そのための本研究班の研究、及び厚生労働行政の調査研究結果は常にマスコミで全国的に報道され、その社会的インパクトは大きいく、それが結果的に日本のVRE防御に役立っている。 78 12 100 2 4  
輸血用血液におけるウエストナイルウイルス検出方法の確立に関する研究 14年度 9,000 国立感染症研究所 ウイルス第一部 倉根 一郎 血液中のウエストナイルウイルスを検出するためリアルタイムPCR法を作製した。リアルタイムPCRとしてTaqMan PCR法とLUX PCR法を確立した。TaqMan PCR法の感度はニューヨーク株に対しては0.1pfu/tubeであり、従来のRT-PCR法に比べて約10倍感度が良いことが確認された。また、LUX PCR法は高感度に世界各地の分離株を検出しうることが示された。本研究はウエストナイルウイルスの高感度検出系を確立した点で意義が大きい。本研究の成果に関しては現在英文論文を作成中である。 米国において輸血によってウエストナイルウイルスに感染した例が報告されている。従ってウエストナイルが万一我が国に侵入した際に輸血用血液の安全性を確保するための手法を確立しておく必要がある。本研究によって、輸血用血液のウエストナイルウイルスからの安全性を確保するための高感度の検査手技を開発することができた。本研究は輸血血液のウエストナイルウイルスからの安全性を確保するという行政上の必要が生じた場合に対応できる点で厚生労働行政上の意義が認められる。 本検査法は日本各地の血液検査施設に近々技術移転される。血液中のウエストナイルウイルス検出を国内各施設で実施可能にしておくことは、輸血血液の安全性確保において社会的インパクトが大きい。 0 0 0 0 1 http://www.nih.go.jp/vir1/NVL/WNVhomepage/WN.html
少子高齢化社会における献血による血液の国内自給自足対策の在り方に関する研究 14年度 1,800 杏林大学医学部
臨床検査医学講座
清水 勝 ア.若年者(16,17歳)からの400mlあるいは成分採血は、献血経験者からの賛同は得られ、また全血600mlの赤血球成分の採血および赤血球と血小板の2成分同時採血も完全に実施しえた。5単位血小板濃厚液の投与は対象症例では問題なく実施しえた。献血時の身元確認とHIV検査結果の通知については殆どが賛意を示した。
イ.献血の量的確保は国際的な課題であり、16歳での採血を除けば、いずれも欧米先進国では既に行われていることであるが、我が国の現状に合った基準の制定や方策を講じるべきである。血小板輸血では一回投与量が国際的にも規定されていないので、5単位の有効性は本輸血の常識的な在り方を変えたことになる。
採血年齢を16,17歳とすることは、医療機関での400ml由来赤血球の使用率の増大により、不要となる200ml由来の廃棄率を減少させ、若年時での献血経験者の増大をも図ることになる。赤血球成分採血の導入は全血採血を不要とし、成分別の需要に見合った、合理的な採血を実施でき、製造部門の縮小を図りうる。さらに5単位血小板の適応が一般的になれば、期限が短くかつ緊急性の高い本剤を一回に20単位採血して、分割供給をも可とすれば、本輸血をより合理的に、しかも費用対効果も高く実施できる。 血液の自給自足には献血者の確保と適正使用が必須である。それにはより「合理的な採血とエビデンスに基づく適正使用が必要となる。それを最も効果的に行っていくには、採血基準と使用指針の改正を視野に入れて検討していくことである。 準備中
(4件を予定)
0 1 0 1  
1日使用ソフトコンタクトレンズによる健康被害に関する検討 平成14年度 5,000 東京都江東高齢者医療センター 金井 淳  1日使用ソフトコンタクトレンズの破損状況と各種コンタクトレンズの眼障害について調査した。わが国で販売されている3社のレンズすべてで容器内、取り扱い中、装用中に破損が認められた。レンズの不良による角膜障害は重篤ではないがみられた。レンズの不良は会社により頻度に差がみられた。不適切な使用で角膜感染症の発症が見られた。研究成果は1日使用ソフトコンタクトレンズ装用者へのレンズ取り扱い注意の徹底やレンズ製造過程での品質管理の向上につなげる事が出来る。更にコンタクトレンズ装用者の健康被害を防止するための啓蒙活動にも活用することが出来る。  1日使用ソフトコンタクトレンズ装用中の破損はレンズ取り扱い方法を指導する事で未然に健康被害を防ぐ事が期待できる。破損に対する1日使用ソフトコンタクトレンズの品質管理基準を決める参考資料になる。また各種コンタクトレンズの角結膜障害の頻度を推定出来たことは今後のコンタクトレンズの臨床治験の審査承認の際の参考資料に供することや健康被害の抑制に使用するためのコンタクトレンズ装用者への情報提供を行うことができる。  1日使用ソフトコンタクトレンズの破損を日本コンタクトレンズ学会が第3者の立場から品質評価したことは意義がある。製造販売会社が行っているコンタクトレンズの品質管理を厚生労働省が調査結果を基に監視することが出来、必要に応じてコンタクトレンズ使用者への情報提供、行政面からの勧告や指導を行うことが出来る。 5 0 16 0 0  
新薬事制度を踏まえた企業における感染症情報収集体制のあり方に関する調査研究 平成14年度 2,000 国立感染症研究所 所長 吉倉廣 ア:新薬事制度下での感染症報告に、ネット上のデータベースが使用可能か、如何なる可能法が良いかにつき検索し実証トライアルを行った。
イ:雑誌文献をベースとするProMed、一般ネット情報を検索するGoogle、fastが使用可能であることが分かり、更に必要な検索アルゴリズムを開発すると実用に供する事が出来る。
研究結果と提言を考慮し、実際の報告制度に利用出来る。これにより、生物由来製品の感染症報告のための情報収集が効率的なものになり得る。 今後、データベースの危機管理への利用の趨勢が高まり、当該分野の研究も促進されると思われる。 0 0 0 0 0  
我が国の院内感染対策の整備状況を把握するための研究 平成14年度 10,000 NTT西日本東海病院 大久保 憲 厚生労働省の院内感染対策有識者会議において,これからの感染防止のための新しい施策を検討する上で,日本における院内感染対策の現状を把握する目的でアンケート調査を実施した.この結果は,今後の新しい施策を考える上で大いに参考となる資料である. 感染対策委員会の設置,マニュアルの整備など,診療報酬点数上で規定されている項目は,いずれも高率に実施されていた.アンケート結果から,今後は病院空調,陰圧室など環境整備としてのハード面での充実と,スタンダードプリコーションの基本的概念の啓蒙,および,院内感染のアウトブレイクに対して,外部からの情報を提供できる体制として,感染対策のためのネットワーク作りを進めていくことが重点課題と受け止められた. 院内感染対策の全国ネットワークが構築できれば,情報の共有と医療機関に対する迅速な情報提供が可能となる.また,患者のみならず一般の人々にも院内感染の原因と実際について正しい解説ができる.易感染患者では内因性感染が多いこと,手指衛生を患者及びその家族にも徹底する必要があることなどを啓蒙できる. 4 0 厚生労働省の院内感染対策有識者会議の中で結果を公表していく。 0 有識者会議での集計結果を公表し、施策として行っていく中で反映される。 厚生労働省のホームページにおいて、有識者会議の会議資料として公表されることになる。
「未承認医薬品及び健康食品による健康被害の原因究明のための研究」 14年度 50,278 国立医薬品食品衛生研究所 有機化学部 奥田 晴宏  昨年夏、社会問題化した中国製ダイエット用健康食品(未承認医薬品)による健康被害の原因究明を行うことを目的とした。健康被害を引き起こした各種未承認医薬品のプロファイル分析、未承認医薬品含有成分の単離と構造決定、未承認医薬品中の含有成分の定量、未承認医薬品の分析法の確立、未承認医薬品含有成分の調製法の検討と大量調製といった化学的研究と、未承認医薬品含有成分の毒性試験を行った。その結果、N-ニトソロフェンフルラミン(NFF)が、肝障害の原因物質であることを明らかにした。中国製ダイエット用健康食品に含有されていた未承認医薬品の危険性を明らかにした本研究の社会的意義は極めて大きい。 本研究の結果は、平成15年2月12日、厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課から報道発表された。また、各地方衛生研究所等では、健康被害の報告されたいわゆる健康食品の成分分析を行うにあたり、本研究で確立された分析法及び、合成された標品(NFF)を用い、NFF、フェンフルラミン等の分析が行われた。さらに、厚生労働省の通知により、健康食品の輸入にあたり、NFF等が含まれていないことを当該製品を取り扱う業者が自主的に確認することとされたが、本研究で確立された分析法を参考に全国の指定検査機関で、成分分析が実施されている。  厚生労働省による本研究結果の報道発表に対応して、新聞記事、テレビ報道等がなされるなど、社会的インパクトは大きなものであった。また、中国製ダイエット用健康食品による被害が同様に生じた、韓国、シンガポールにも、分析方法等を、タイムリーに伝え、国際協力を行っている。 2 0 6 0 3 http://www.mhlw. go.jp/houdou/2003/02/h0212-1.html、
http://www.nihs.go.jp/topics/fen/N-nitroso.pdf


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