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厚生労働科学研究費補助金研究事業の概要
研究事業(研究事業中の分野名):食品安全確保研究事業
所管課:食品保健部企画課
予算額の推移(例):
平成12年度 平成13年度 平成14年度 平成15年度
2,892,022千円 2,942,417千円 2,855,627千円 1,477,073千円
(1) 研究事業の目的
 食品中の残留農薬、添加物、汚染物質などによる健康影響や食品衛生法に基づくモニタリング検査のための規格基準や分析法の設定等、食品の安全確保に資することを目的とする。
(2) 課題採択・資金配分の全般的状況
 過去3年間の応募に対する採択件数は、12年度が104/125、13年度が82/135、14年度が71/111で、6割強の採択率になっている。また1件あたりの研究費は、3000千円から176800千円まで、研究内容に応じ幅がある。なお、留意事項として、平成15年度より食品に関係する化学物質についての研究が当課所管となっている。
(3) 研究成果及びその他の効果
 詳細は別添2の成果表のとおり。具体例としては、本研究事業により、体細胞クローン牛の食品としての安全性について、科学的結論を得た。(本研究成果は、今後のリスク評価に活用。)
 アレルギー性物質を含む食品の検査法として、「特定原材料検出法(公定法として都道府県に通知)」を開発。また、研究により明らかにした表示の問題点は、厚生労働省のアレルギー表示Q&Aに反映。残留農薬迅速・一斉スクリーニング法を開発。 など
(4) 事業の目的に対する達成度
 本研究事業により得られた研究成果は、食品の安全性評価や規格基準の作成に反映されており、食品の安全確保に資するという本研究事業の目的を概ね達成できているものと考える。
(5) 行政施策との関連性
 科学的根拠に基づき法規制を行うため、法規制を支える科学(レギュラトリーサイエンス)として行政施策と関連の深い研究事業である。
(6) 今後の課題
 食品分野におけるリスクコミュニケーションのあり方、いわゆる健康食品の効果・安全性情報の分析に関する研究、添加物及び汚染物質等に関する研究、食品中の微生物等対策に関する研究は今後力を入れて開拓すべき課題である。
(7) 研究事業の総合評価
 本研究事業は、食品の安全を支える上で大変重要かつ有益であり、研究事業の目的も達成できていることから良好であると考える。


○食品安全確保研究

研究課題 実施
期間
合計
金額
(千円)
主任研究者
所属施設
氏名
(1)専門的・
学術的観点
ア 研究目的の成果
イ 研究成果の学術的・国際的・社会的意義
(2)行政的観点
・ 期待される厚生労働行政に対する貢献度等。(実例により説明してください。審議会資料、予算要求策定の基礎資料としての活用予定などを含む。)
(3)その他の
社会的
インパクトなど
(予定を含む)
発表状況 特許 施策 (4)研究の成果が分かるホームページのURLなど
原著
論文
(件)
その

論文
(件)
口頭
発表

(件)
特許の出願及び取得状況 反映件数
生活環境中の脂溶性化学物質の感染抵抗性に及ぼす影響 平成12-14年度 55,100 国立医薬品食品衛生研究所 小西良子 ア.体内蓄積性脂溶性化学物質の次世代への暴露の可能性と細菌、ウイルスおよび真菌感染抵抗性への影響をトリブチルスズやダイオキシン、ビスフェノールAを用いて明かした。さらに未知の化学物質の安全性評価方法の確立を目的に感染機序の異なる数種の感染症に対する宿主抵抗性低下と定量的な相関関係のある免疫関連パラメータを検索した。
イ. 学術的には、実験動物にサルを用いたことからヒトへの挿入を踏まえて意義のある結果が得られた。また、リスク評価の観点から宿主抵抗性低下と定量的な相関関係のある免疫関連パラメータを検索することは意義のあることであった。成果はToxicology letterなどの学術雑誌に掲載された。
トリブチルスズに関しては次世代への暴露の細菌、ウイルスおよび真菌感染抵抗性への影響を明らかに出来た。ヒト母乳中のトリブチルスズ濃度も魚介類の摂取頻度の多寡に拘らず検出限界(0.0013ppm)以下であり、早急に汚染食品の摂取が母乳への移行につながることは考えにくいことが明らかになった。ダイオキシンの細菌感染抵抗性への影響も今の汚染実態では問題が起きる可能性が極めて低いことが明らかになった。 本研究で得られた宿主抵抗性低下と定量的な相関関係のある免疫関連パラメータに関する知見は今後未知の化学物質の安全性評価方法に役立つと考えられる。なお、蓄積性脂溶性化学物質の腸管吸収を抑制する食品由来ペプチドを見い出したことは今後摂取量の減少に貢献すると思われる。 3 0 5 0 0  
残留農薬分析の効率化と精度向上に関する研究 平成13-15年度 10,400 国立医薬品食品衛生研究所大阪支所 外海泰秀 残留農薬迅速・一斉スクリーニング法の開発を行い、タンデムマススペクトロメトリー、LC/MS法、GC-AED法及びPTV注入によるGC/MS法を検討した。多数の農薬についてこれらの方法が適用できる条件を設定し、試験法を作成した。 今後3年を目途に残留農薬基準のポジティブリスト制への移行が予定されている。益々増大する農薬試験に対応するために、開発したこれらスクリーニング法は有用な手段として活用される可能性がある。 食品衛生法の抜本的改正により、今後は農薬の登録と同時に残留基準が決められる予定なので、本研究成果の重要性は大きいと考えられる。            
食品表示が与える社会的影響とその対策及び国際比較に関する研究 平成13-14年度 62,500 順天堂大学医学部 丸井英二 特定原材料検知法としては世界で初めて公定法となった。アレルギー表示に係わる関係者(食品製造販売業者、食物アレルギー患者、食品衛生監視員)の現状および課題について把握することができた。成果は雑誌に報告され、米国を始めとする関係者からの反響があった。世界に先駆けて開始されたアレルギー表示制度の課題を明確にすることは制度運営のための社会的意義は大きかった。 特定原材料検出法はアレルギー物質を含む食品の検査方法として厚生労働省より都道府県に通知された。表示の問題点はホームページ上で迅速に公開し、厚生労働省アレルギー表示Q&Aの追加として反映された。普及啓発のためのアレルギー患者用パンフレット、食品製造販売業者用ガイドブックが開発され厚生労働省より関係機関に配布された。主任研究者は食品の表示制度に関する懇談会委員、食品の表示に関する共同会議座長を務めるに至った。 特定原材料検知法として我が国および世界的にも当該分野をリードする形に発展している。アレルギー表示制度についての食品製造販売メーカーからの問い合わせや教育媒体開発、食物アレルギーに関する学習会の開催などの要望が相次いでいる。また、食物アレルギーに関する米国NPO団体やその他の国の団体との交流が図られるようになり、表示制度の調査研究の学術的交流が開始された。 13 22 88 1 5 https://www.mhlw.go.jp/topics/0103/tp0329-2b.html
http://nih.go.jp/eiken/html/hyouji.html
熱媒体の人体影響とその治療法に関する研究 平成13-14年度 144,070 九州大学大学院医学研究院皮膚科学分野 古江増隆 油症患者の健康管理増進を目指し安心感を持っていただくことを基本的な目的とする。併せて、PCB・ダイオキシン類混合暴露における健康被害の解析、同物質群の微量分析精度の向上と診断基準の見直し、検診システムの構築、排泄促進方法の開発、作用・毒性機序の解析などを行う。PCB・ダイオキシン類による人体被害であるので、国際的・社会的注目度は大きい。 成果ををもとに油症パンフレット(2001,2002)を作成し、患者に配布している。PCB・ダイオキシン類混合暴露における健康被害の解析、同物質群の微量分析精度の向上に努めているため、厚生労働行政に対する貢献度は極めて高い。 本研究は、患者が暴露した化学物質がPCB・ダイオキシン類であるため、社会的な関心度が極めて高い。本研究を通じて得られた情報は随時公開していきたい。 41 170 26 0 25 http://www.kyudai-derm.org/yusho/
DNAマイクロアレイ技術を応用した有害物質による健康障害発生の種差の評価法および遺伝子毒性の総合評価法の開発 平成12-14年度 81,300 慶應義塾大学医学部 大前和幸 (ア) ヒトへ外挿する際に用いる実験動物の有害化学物質による種差やin vitroとin vivoの違いを評価する方法として、DNAチップが有用であり、種間の相同遺伝子検索ソフトを開発するという効果的な方法論を示した。また本研究に用いた有害化学物質に特異的に反応すると思われる遺伝子も検出され、発がんメカニズムの解明に貢献する可能性がある。また、発がん性の疑われるUVAはUVCやブレオマイシンとは異なる遺伝子の発現プロファイルを示した。
(イ) 本研究期間内には間に合わなかったが、ラット肝細胞および人肝細胞を用いたin vitro実験結果により、本研究の種差スクリーニングの手法としての有用性がよりあきらかになる。
種差では、新規化学物質ではどの種の動物や細胞がヒトに外挿可能な情報を与え、既存化学物質では、規制値を検討する際に、どの種の動物や細胞の情報を採用すべきかの判断の科学的根拠が与えられ、無駄のない実験や情報の収集に寄与し、規制値の精度向上に寄与することが期待される。中間・事後評価委員会において、種差の評価法等は、今後の毒性評価の基礎資料と評価された。 種差の評価法において提示された方法論とDNAチップの有用性が示されたので、DNAチップの価格が下落すれば、本法が新規化学物質や既存化学物質が健康に及ぼすリスクを評価する新たな方法として使用できる可能性が高い。変異原の遺伝子発現プロファイルは知見の集積が期待される。 0
(平成15年4月現在)
0
(平成15年4月現在)
8
(平成15年4月現在)
0
本研究で得られた種間の相同遺伝子検索ソフトについて出願を検討中
0 該当なし
熱媒体の人体影響とその治療法に関する研究 平成13-14年度 10,000 福岡県 福岡県 油症患者の検診を行い、健康状態把握と検査結果に基づく健康管理指導、及び治療法解明のための基礎データ(臨床データ等)の収集・蓄積を行った。基礎データは全国油症治療研究班(以下、全国班)所属の検診医へも提供した。また、この臨床データ等をデータベース化し、検診医師が患者の健康状態の変化を確認しながら、よりよい検診が行えるようにした。なお、油症研究は長崎県及び全国班も実施しており、本県の研究目的(治療法の解明)は前述の2者の成果とあわせて達成されるものである。 検診の実施及びその結果に基づく健康管理指導は県民のQOL向上の一翼を担っている。また、収集・蓄積した臨床データは研究者へ提供しており、それらが熱媒体の体内動態、治療法を解明するための基礎データとして使用されている。 熱媒体による人体汚染、特に経口摂取によるものは世界的にまれであり、収集・蓄積された臨床データ等は貴重な資料である。 0 0 0 0 0 なし
熱媒体の人体影響とその治療法に関する研究 平成13-14年度 26,689 長崎県 金子 原二郎(長崎県知事) (1) 長崎大学医学部を中心とした油症検診班を組織し、油症被害者を対象に五島・長崎の両地区において一斉検診及び健康医療指導を行う。それにより、患者のQOLが向上した。
(2) 検診結果に基づき油症被害者個々の健康管理指導並びに油症診断を行うとともに、油症の有効的治療についての検討を行う。それにより、油症の基礎データが蓄積され、今後の治療法解明が期待される。
(1) PCB等ダイオキシン類の食品への混入による人体影響を調査することにより、今後発生する同様の化学物質に起因する食中毒事件の対応に役立つ。
(2) 国民の健康を守るため食品の安全性を確保することは、国(行政)の重要な施策であり、油症患者の検診を実施することはその実践である。
(1) 油症に関する詳しい調査が求められ、今までの検診項目に加え平成14年度から血液中のPCDF(ダイオキシン類)検査を行っている。
(2) 婦人科に関する影響調査も求められ、平成14年度から検診時に婦人科問診も加えた。
0 0 0 0 0 なし
バイオテクノロジー応用食品の安全性確保及び高機能食品の開発に関する研究 平成12-14年度 332,500 国立医薬品食品衛生研究所 長尾 拓   クローン技術を利用した動物肉の安全性調査研究を行い、体細胞クローン牛について、従来技術により生産された牛にはないクローン牛特有の要因によって食品としての安全性が損なわれることは考えがたいが、新しい技術であることを踏まえ、慎重な配慮尾が必要との結論を得た。              
  ※本研究課題における研究班全体の成果、予定を含む
※施策への反映状況・件数は、幅広く記述する。
※各セル内200字程度以内でとしてください。


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