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厚生労働科学研究費補助金研究事業の概要
研究事業(研究事業中の分野名):厚生科学特別研究事業
所管課:大臣官房厚生科学課
予算額の推移:
平成12年度 平成13年度 平成14年度 平成15年度
619,548千円 747,758千円 1,386,496千円 2,013,077千円
(1) 研究事業の目的
 厚生労働科学の新たな進展に資することを目的とする独創的な研究及び社会的要請の強い諸問題に関する先駆的な研究
(2) 課題採択・資金配分の全般的状況
 バイオテロに使用される可能性の高い細菌の迅速診断及び消毒法やヒトゲノム・遺伝子解析研究における倫理的・法的・社会的問題、「疫学研究に関する倫理指針」に関する情報提供、保健医療分野における研究評価のあり方、パブリックアクセプタンスの確保など、緊急性の高い研究を採択している。
(3) 研究成果及びその他の効果
 病原体の迅速測定方法の開発や、食品中、建材中の有害化学物質の分析など、学術的成果のみならず、国民の安全確保に関連する情報の他、倫理指針策定に際して指針の問題点の集積結果が改正に反映されるなどしている。また、パブリックアクセプタンスについては、今後推進事業を活用した研究成果の発表を予定している。
(4) 事業の目的に対する達成度
 研究期間は1年未満であるが、極めて必要性が高く有効な成果が出ており、事業の目的に対する達成度が高い。
(5) 行政施策との関連性
 病原体の迅速測定方法の開発や、食品中の有害化学物質の分析など、国民の安全確保に関連する情報の他、倫理指針策定に際して指針の問題点の集積結果が改正に反映されるなどしている。また、各種倫理指針の普及においても研究成果の反映が期待されている。
 研究期間は1年未満であるが、極めて必要性が高く有効な成果が出ており、施策との関連性が高い。また、継続して研究が必要な事業については、関連する研究事業において研究を採択し、実施している。
(6) 今後の課題
 健康危機管理に関する研究などは、別途研究事業を確保すると共に、今後も行政的な緊急性の高い研究を実施する予定である。
(7) 研究事業の総合評価
 緊急性の高い課題について、極めて効果的に事業が実施されており、必要性も高い。今後とも、一層の予算確保に努めると共に、健康危機管理に関するの継続的な情報収集等と組み合わせ、重要な研究を適宜実施する体制とすることが望ましい。


○平成14年度終了課題:厚生労働科学特別研究事業

研究課題 実施
期間
合計
金額
(千円)
主任研究者
所属施設
氏名
(1)専門的・
学術的観点
ア 研究目的の成果
イ 研究成果の学術的・国際的・社会的意義
(2)行政的観点
・ 期待される厚生労働行政に対する貢献度等。(実例により説明してください。審議会資料、予算要求策定の基礎資料としての活用予定などを含む。)
(3)その他の
社会的
インパクトなど
(予定を含む)
発表状況 特許 施策 (4)研究の成果が分かるホームページのURLなど
原著
論文
(件)
その

論文
(件)
口頭
発表

(件)
特許の出願及び取得状況 反映件数
医療機関における室内空気質に関する実態調査 平成14年度 11,500 健康事業総合財団 財団法人 東京顕微鏡院 松村年郎 ア:国立15病院・労災5病院で、外来・病棟・検査・管理・集中治療・供給の各部門毎に揮発性有機化合物と一酸化炭素、二酸化炭素、浮遊粉塵、室内温度・湿度の実態を把握した。またこのうち7施設では病室・外来・集中治療室で、給気口から供給される空気と室内の空気中での浮遊微生物と浮遊粉塵を調査し、病院室内における微生物汚染の実態を明らかにした。イ:医療施設で系統的に揮発性有機化合物を実測した調査は世界的にも見られず、結果は非常に貴重である。将来国際学術雑誌への投稿により注目されると期待される。 わが国では厚生労働省が揮発性有機化合物による室内空気汚染対策として13の化学物質とTVOCについて住宅室内の指針値を設定している。これを受け同省は建築物衛生管理法に新築・改築ビルの竣工時におけるホルムアルデヒド濃度測定を義務付けたが、病院における空気管理は現在何も規定されていない。本研究により、病院における空気質管理の基準策定に多大な貢献が期待される。また職員に対するにおいに関するアンケート結果より、空気質と臭い環境の改善に化する施策の方向性を示唆することが可能となる。 健康になんらかの問題をかかえた人々が集まる病院という建物の室内空気環境に今まで何らの管理指針がなかたのは問題であり、本研究により医療施設内の空気質、及び微生物汚染の実態を明らかとなり、病院の空気環境に関する管理指針策定のために不可欠な資料を提供することが出来る。 2   6 0 1  
病院会計準則及び医療法人の会計基準の必要性に関する研究 平成14年度 7,507 慶應義塾大学
総合政策学部
会田一雄 病院を巡る環境変化、会計理論の進展を背景に、施設単位としての病院の経営実態把握を目的とした病院会計準則(改正案)を体系化するとともに、医療法人の経営体質の改善強化及び社会期待に応える会計基準の必要性を検討した。 成果をもとに病院会計準則を改正し、異なる開設主体間での病院の経営内容を比較することを可能にするとともに、医療法人会計基準を策定し、財務報告制度を整備して、医療法人の経営基盤を強化することが期待される。 法人制度の異なる開設主体間の経営実態を比較し、経営管理目的及び政策目的に向けた情報の活用を実現する会計制度を提示した。 0 0 0 0 1 http://www.sfc.keio.ac.jp/~dreamer (予定)
歯科医師の救命救急研修ガイドライン策定に関する研究 平成14年度 5,000 山口大学医学部附属病院先進救急医療センター 前川剛志 歯科医療では急変患者や高齢者などハイリスク患者に対して,救命救急処置を含む緊急対応が必須である.このような緊急事態を回避し,より安全な歯科医療を国民に提供するために,この分野で歯科医師が卒後臨床研修を受けるためのガイドライン策定することを目的とした.歯科における救命救急の卒前,卒後教育の現状調査,歯科医師の救命救急研修の実態調査,地方における歯科医院からの救急患者搬送の事態調査を実施しガイドラインを策定した. 成果をもとに“歯科医師の救命救急研修ガイドライン(案)”を策定する.これは多くのデータを背景に完成するので平成18年度から開始される歯科医師の卒後臨床研修必修化の指針に反映され,より安全な歯科医療を国民に提供する根幹をなすものと思われる 歯科医師が医科領域で卒後臨床研修を行うためのガイドラインの一つ(これ以外に歯科麻酔に関するガイドライン有り,平成13年度)となるため,臨床現場における制度設計が必要となる. 0 0 1
(予定)
0 1 なし
わが国における臨床研究の基盤整備に関する研究(H14-特別-004) 平成14年度 5,000 国立保健医療科学院技術評価部研究動向分析室 岡本悦司 ア,本研究はこれまで把握されてこなかった臨床研究の実態を,倫理委員会の承認段階で,テーマならびに対象疾病等基本的な内容について把握することを目的とした。334の回答を得,3645件の臨床研究が把握された。イ,メタ分析において公表バイアスを避けるためには非公表の臨床研究も着手段階で把握する必要があり,コクランレジストリのような登録システムが不可欠である。本研究は日本語としては初のレジストリでありインターネットを通じて世界中の研究者に供される。また調査票もインターネットに掲載して自主的な報告を促す等方法論でも新機軸を打ち出した。 EBM推進のための診療ガイドライン策定が学会等によって進められ,医療機能評価機構は各学会の医学文献収集やシステマティックレビューの支援を行っている。論文として発表されない研究を開始段階から把握し,メタ分析の対象にすることによって偏りのないレビューが可能となり,また英語文献に依存しないわが国の実情にあった診療ガイドラインが作成できる インターネット上で検索可能なデータベースとして公表されることにより,研究者だけでなく患者も,すすんで臨床試験に参加したいという者は簡便に対象疾患と実施医療機関の情報を知ることができ,また臨床試験を実施する医療機関や企業も適切な患者を容易にリクルートすることができる。本研究で立ち上げられたjmedicine.comは米国政府が運営している臨床試験情報提供サイト(clinicaltrials.gov)を目標に今後も情報の収集提供を継続する。 0 0 0 0
2
(臨床研究指針,医師主導治験GCP策定の基礎資料)
http://jmedicine.com
生薬規格の国際調和に関する研究 平成14年度 5,000 国立医薬品食品衛生研究所 生薬部 合田幸広 Western Pacific Regional Forum for the Harmonization of Herbal Medicines (FHH)は、西太平洋地区の5カ国6地域(日本、中国、韓国、ベトナム、シンガポール、香港)のregulatory authorities と the relevant research institutionsの関係者により2002年に設立されたフォーラムで、生薬の安全性、有効性、品質に関連した試験法等の技術的な問題について話合い、関係者にとって有用なtechnical documentsとconsensusを得ることを目的とする。本研究では、このFHHの活動に日本として対応、参加し、Nomenclature and Standardizationに関するFHH Sub-C Meetingの主催を行い、国際調和を目的として、名称、品質規格、試験法等の比較、生薬の栽培基準(GAP)の具体案の作成等を行った。また、国際的に問題となっているアリストロキア酸の純度試験等の作成を行い、日本薬局方に反映させるとともに、他の生薬の確認試験法等についても検討を行った。 FHHへの活動の参加は、行政当局(医政局研究開発振興課、医薬局審査管理課)との密接な連絡に基づいて行われ、FHHの性格付けが、日本に対し不利にならないよう最大限の努力を行った。また本研究の成果をもとに、薬用植物の優良な栽培方法とその生薬の品質確保に関する指針(Good Agricultural Practice for Medicinal Plants: GAPMP)検討会が医政局研究開発振興課主催で開かれ、7月中旬に開催されるWHOでのGAPに関する会議を目処に、日本のofficial GAPMPについて検討されている。また、アリストロキア酸の純度試験法については、日本薬局方第14局の第二追補に採用されている。さらに医薬局審査管理課長通知で出された「今後の日本薬局方のあり方」においても、国際調和の推進が上げられ、その中に、本フォーラムへの支援が述べられている。 本研究の成果は、順次FHHのホームページに公開される予定である。 0 0 5 0 1 http://www.fhhm.net
健康診査等指針の策定に関する調査研究 平成14年度 5,000 宮城県立がんセンター 久道茂 本研究では、健康診査の実施等に関する指針の試案を提唱することを目的に、健康診査と保健指導の領域で指導的立場にある研究者を集めて総合的に協議を行った。そのなかで、根拠に基く保健サービス体系の確立、生涯を通じた健康管理の推進に向けた基盤整備、個人情報の保護と利活用との高度な調和という3つの視点を提示した。この視点は、今後のわが国の健康政策研究において、1つの規範を示すものとして、関連学界から高い評価を受けている。 健康増進法では、その第9条において健康診査等指針の策定を厚生労働大臣に求めている。本研究は、健康診査等指針の策定にあたって留意すべき事項を学術の立場から提示することを目的としており、「指針(案)」を厚生労働省健康局総務課生活習慣病対策室に提出した。平成15年度において、厚生労働省は健康診査等指針の策定に係る委員会を設置し、本研究で提出した「指針(案)」を叩き台として検討を行うこととしている。 特になし なし なし なし なし 1 なし
細胞培養性痘そうワクチンの有効性等に関する研究 14年度 17,000 国立感染症研究所 ウイルス第一部 倉根 一郎 わが国の痘そうワクチン株であるLC16m8株との比較を目的として、親株であるLC16mO株の塩基配列を決定した。また、本ワクチンの防御免疫誘導に重要な役割を果たすと推察されるB5R遺伝子の塩基配列を決定し、本蛋白による抗B5R抗体誘導を確認した。また、抗ウイルス剤の抗ワクシニア活性、人免疫グロブリン製剤のワクシニアウイルス中和抗体価を確認した。これらの研究成果は、痘そうワクチンの免疫誘導の理解、副作用対策の策定に意義を有する。本研究の成果に関しては現在英文論文を作成中である。 本研究においては、痘そうワクチンLC16m8株をLister株、LC16mO株との比較においてウイルス学、分子生物学的、免疫学的に解析した。痘そうワクチンは天然痘ウイルスによるバイオテロ対策の根幹をなすものである。親株であるLC16mO株の塩基配列が決定され、Lister株、LC16m8株の塩基配列も進んでいる。本研究の成果により、わが国の痘そうワクチンによって誘導される防御免疫の理解が飛躍的に進展する点で厚生労働行政に対する貢献が大きい。 本研究は、天然痘ウイルスによるバイオテロから日本国民をまもる施策の策定に大きく関与するものである。従って、バイオテロ対策として社会的インパクトが大きい。 0 0 0 0 1  
木材防腐剤クレオソート及びクレオソート処理品の安全性に関する調査研究 平成14年度 5,000 国立医薬品食品衛生研究所療品部 鹿庭正昭 (1)国内で販売されていたクレオソート(缶入り)、クレオソート処理品に含有されるベンゾ(a)ピレン濃度の実態、(2)皮膚接触の可能性が高いガーデニング用品等ではクレオソート処理品は市販されていなかったこと、(3)クレオソート(缶入り)の健康影響に関する表示等、日本での実態を明らかにした。 日本におけるクレオソート、クレオソート処理品との皮膚接触の実態を検証し、EUの新基準を踏まえた日本での規制基準策定の可否の検討、業界における製品表示の改善指導等に資する。 全国衛生化学技術協議会、日本接触皮膚炎学会、日本薬学会等において学会発表し、情報提供をはかる。 4 0 4 0 1  
諸外国における医薬品安全対策の緊急調査研究 平成14年度 2,000 国立医薬品食品衛生研究所 医薬安全科学部 長谷川隆一 諸外国で副作用等の安全性を理由に販売が中止された医薬品で、我が国で販売が継続されている医薬品について調査し、国内の安全対策上の対応状況を明確にする目的で検討を行った。web site上で公表されている情報から外国で販売中止となった医薬品は91種で、国内では20種が販売継続されていたが、外国で問題となった点について注意喚起等が実施されていることが明らかになるとともに諸外国で販売中止となった背景を調べる必要性が示唆された。 本研究結果は、行政が行う医薬品安全対策の実施状況を示す情報であり、今後、販売中止の背景などを調べることにより安全対策の基礎的資料となり得るものである。 医薬品の安全性に関しては国民の関心は昨今急激に高まり、行政は明確な説明を求められている。諸外国の状況と国内状況を比較した本研究は国民が安心して医療を受ける上で関心の高い分野であり、求められる行政の説明責任を補うこととなる。 0 0 1 0 1  
医療事故防止のための医療用具の製品改良のあり方に関する緊急調査研究 平成14年度 4,000 財団法人医療機器センター 箭内博行 ア:「医療安全推進総合対策」報告書で医療事故防止の観点から医療機器の製造業者がとるべき対策が指摘され、それら諸点に関する国内外の取り組み状況及び医療事故防止対策医療用具の普及状況の調査を行い、医療安全の確保に向け、今後行政や企業が指摘内容の具体化を円滑かつ迅速に図るための基本的道筋が整った。イ:現在まで医療事故防止の観点から、企業や医療機関の現場の実態に即して、医療機器の製品情報の提供、製品の改良方法、事故関連情報の収集体制等について総合的に調査及び検討されたことは無く、実際的かつ実現可能性等についての論点整理が行われた。この点からも本調査研究の意義は大いにある。 平成12、13年当時に厚生労働省が制定した事故防止対策を考慮した基準適合製品の普及状況等を調査した結果、製品の採用率が想像していた以上に高く、採用している医療機関の8割以上が、それらの製品が医療事故防止に役立つと回答していた。このことから医療事故対策基準の有効性が証明された。今後一層の医療事故対策基準適合製品の検討が期待される。また、各国の医療安全に対する取り組み、情報提供体制等も明らかにし、今後我が国の行政が行う医療安全の推進に大いに貢献している。 医療機器に関する医療安全推進のための総合的調査であるため、直接的な社会的インパクトは高くないが、今後行政及び企業が具体的な検討を進めるにあたり、医療機器業界が抱える現状の問題点等の論点整理が行われているため、将来への間接的な社会的インパクトは高い。 0 0 0 0 1  
中国産野菜等輸入食品中の残留物質の一斉分析法の開発に関する研究 平成14年度 5,000 国立医薬品食品衛生研究所大阪支所 外海泰秀 国内の8検査機関を対象に、農作物中104種農薬の残留スクリーニング分析に係わる試験技能評価を試みた。内部精度評価(添加回収試験)、外部精度評価(ブラインドスパイク)等を行った結果、対象機関の間で技能水準にはかなりの開きがあった。 現在、検疫所で行っている輸入食品のモニタリング検査等を指定検査機関へ移管するに際して、対象機関の技能評価をし、その可能性を検討する資料として本研究は大いに有用である。 今後、検査機関の技能評価をする場合の一つのモデルケールとなると考えられる。         1  
加工食品中のアクリルアミドの測定・分析及びリスク評価等に関する研究 平成14年度 18,000 国立医薬品食品衛生研究所 食品部 米谷民雄 ア 食品中のアクリルアミド分析法を確立し,各種加工食品等を分析して,アクリルアミド含有量を明らかにした.また,調理加工条件がアクリルアミド生成に及ぼす影響について検討し,原料中の遊離アスパラギンと遊離還元糖の量,構成デンプンの分子量分布や糊化の程度, 及び加熱条件が関与することを明らかにした.また,アクリルアミドの生体影響及び生成機構につき,文献調査を実施した.さらに,神経毒性抑制物質を検索する目的で,候補化合物を用いた動物実験を行った.
イ 確立したGC/MS及びLC/MSによるアクリルアミド分析法は広範囲の食品に適用可能であり,実態調査に役立つ.また,179食品の含有量調査結果はアクリルアミドのリスク評価のための暴露量推定に使用できる.加熱調理によるアクリルアミド生成に関する検討結果は,食品製造,家庭調理における生成抑制に有用な情報を提供する.
分析法と分析結果は既に厚生労働省から公表され,アクリルアミドの人へのリスク評価,食品製造,食生活へのアドバイス等における根拠として使用されている. 薬事・食品衛生審議会毒性部会に当班の分析結果が提出され、それをもとにプレスリリースがなされるなど、アクリルアミド問題に関するリスクコミュニケーションの基礎になっている。 2 2 1   1 https://www.mhlw.go.jp/houdou/2002/10/h1031-2.html
https://www.mhlw.go.jp/topics/2002/11/tp1101-1b.html
https://www.mhlw.go.jp/topics/2002/11/tp1101-1.html
小麦粉のデオキシニバレノールに係る規格基準設定のための緊急調査研究 平成14年度 25,000 東京大学大学院農学生命科学研究科 熊谷進 (1) デオキシニバレノール(DON)及びニバレノール(NIV)について玄米中の汚染実態、市販小麦粉の汚染実態、国産小麦玄麦の14年度における汚染実態を明らかにした。小麦製粉工程と小麦粉製品製造工程における毒素減衰率を明らかにした。国内関連学会で大きな反響があった。 (2) 成果をもとに現在、小麦等の規格基準の設定が検討されている。 (3) 穀物生産者および穀物を原料とする食品製造者の自主検査と自主管理が既に 開始され、それにともなって検査機関への検査依頼および検査キット販売が急増する など国内産業の活性化が見られている。 0 2 3 0 1  
診療報酬体系に関する調査研究 平成14年度 2,389 産業医科大学 医学部 松田晋哉 我が国の医療の実状をふまえた上で、診療報酬をめぐる問題を根幹から見直すことを目的として、(1)医療機関経営と診療報酬のあり方、(2)診療科特性や技術の難易度を適正かつ公平に評価することを目的とした医療技術の評価のあり方、(3)医療機関、個別の医療行為のコスト分析の方法、(4)以上のような論点について検討するために必要なデータの基盤整備の方法の4点について検討を行った。 研究成果は厚生労働省における診療報酬制度改革の基本的資料として活用される。具体的にはドクターフィーとホスピタルフィーを区分した診療報酬体系を検討するために必要なコストデータの作成に関する調査研究などが本研究の検討結果を踏まえて行われる予定である。 本研究では現在の診療報酬制度の問題点と課題について総合的な分析を行っている。その内容は今後の議論の重要な資料になると考える。 5 10 10 なし 2  
バイオテロに使用される可能性の高い細菌の迅速診断法及び消毒法に関する研究 平成14年度 25,000 国立感染症研究所 山田章雄 バイオテロに使用される可能性が高いとされる炭疽菌、野兎病菌、ペスト菌などについて迅速検出法並びに炭疽菌についてはPyrosequencing法を用いた迅速な株鑑別法を確立した。また、ユニバーサルに使用できる病原体検出法として、DOP-PCRとPyrosequencing法を併用した方法を確立した。炭疽菌の薬剤感受性を検討した結果、MICの高いニューキノロン系薬剤が存在することを明らかにした。二酸化塩素並びに過酢酸が炭疽菌芽胞の消毒法に関して有効であることを明らかにした。 これらの細菌あるいは他の病原体がバイオテロに使用された可能性のある事例について、病原体の同定を速やかに行うことができる体制を提供できる基盤を確立できた。また実際に炭疽菌が使用された場合の環境汚染を除染するための条件を提供できた。 これらの方法の確立はバイオテロに対する抑止効果が期待されると同時に国民に対するパニック防止の役割を果たすことも期待される。
1
(予定2)
0 0 0 1  
ヒトゲノム・遺伝子解析研究における倫理的・法的・社会的問題に関する調査研究 平成14年度 8,000 国立がんセンター研究所 細胞増殖因子研究部 塚田俊彦 「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」に準拠する倫理審査委員会の設置状況や、本指針に関する疑義問い合わせとこれに対する回答を整理し、その情報をホームページ上で公表した。また、本指針の英語翻訳版を完成した。これらの成果は、本指針の円滑な運用、国際的な共同研究や研究成果発表の促進に貢献する。 平成18年を目途に予定されている「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」の見直しに際して、本研究で集積された情報を、現指針の問題点等に関する資料として活用する。本指針の英語翻訳版を公表し、厚生労働省、文部科学省、経済産業省による倫理基準を示す英語文書として、国内外に提示する。(別添資料参照) ホームページで公開した情報は、遺伝子解析研究の立案、新たな倫理審査委員会の設置、倫理審査委員会における審議等の場で、参考資料として活用されている。我が国の医療機関における遺伝子診療部門の立ち上げ状況が把握できたため、今後この情報を遺伝子医療部門間における情報交換を行うための基盤情報として活用する。 7 18 2 0 2 http://www2.ncc.go.jp/elsi/
「疫学研究に関する倫理指針」に関する情報を幅広く適切に普及するための有効なインターネット配信に関する研究(H14−特別−31) 平成14年度 10,000 国立保健医療科学院研究情報センター 土井徹 「疫学研究に関する倫理指針」の英訳は、外国雑誌の編集委員会が日本からの投稿論文の研究倫理を知る根拠となり、外国との共同研究を行う際にも相手国の研究者、研究対象者の理解を得る根拠となる。「指針周知度の全国調査」は、保健所等が疫学研究を行う際のIRBをどのように確保できるかの提案を与えた。「指針Q&Aの項目立てデータベース作成のためのプログラム開発」は疫学研究を実施する際の参考になる自前データベースの作成に役立つ。 指針周知度の「全国調査」の結果、保健所の周知度が低く、IRBを関知している割合も低かった。保健所の保健事業も研究報告されて初めて科学的根拠を議論できることになり、それを有効な行政施策に乗せることができるようになるので、疫学研究としての認識、IRBへの関心が不可欠である。そのために、県主導でIRB設置を検討すること、連結不可能匿名化ならびにインフォームドコンセントの取り方についての技術的研究が行政上必要となることを提案した。 疫学倫理指針への住民ならびに研究者・職員の関心が高まり、個人情報がいかに守られるかを知ることにより、疫学研究が円滑に実施されるようになる。 0 0 0 0 1 http://www.niph.go.jp/
医学研究及び先端医療のパブリック・アクセプタンスの向上に関する研究(H14-特別-032) 平成14年度 6,000 東京医科歯科大学大学院 医療管理学分野 河原和夫 ア.先端医療研究や実際にそれらの医療行為等を進めるに当たって人間の生命、倫理観、個人のプライバシーの問題に絶えず関わっているため、上記の研究や医療を遂行するためには研究者側と国民側の認識のベクトルを同一方向に向ける必要がある。本研究は、このように「研究者・研究組織という集団の意思形成結果が、共同作業を求められつつも、理念や利害が対立する場面も想定される国民に、いかに広く受け入れられる形で伝播していくか。あるいは逆に、国民の認識や受け入れ態勢がいかに研究者側に還元されていくか。」という点について、その手法開発を行っていくことが目的であった。

研究の結果、先端医療や疫学研究等を進めるに当たって、特に国民の受容性を高め、理解を深めるような手法が欠如していることが判明した。一例を挙げれば、パブリックコメントへの意見出しが、専門性が高い者に偏っていることや、医療や研究現場でも当事者以外の国民や研究者に対して、研究等に対する理解を深める活動がされていないことにも現れている。本研究によって、これら問題点の所在を明らかにするとともに、解決方策を提示できたものと考える。

イ.生命科学の時代を迎え、こうれらの研究はもはや一国だけでは遂行できなくなってきている。研究成果は、国際的な協力体制を進めるに当たっては国民の支持が不可欠である。そうした点から、研究成果は国民等のパブリックアクセプタンス向上の基盤整備に寄与するものである。
現在の各先端医療分野のガイドラインの作成や国民に対する認知方法、及び広くパブリックアクセプタンスの向上を図るという点では多くの問題を抱えているものと思われる。本研究成果は、現在行なわれているパブリックコメントの収集方法や先端医療をめぐるガイドライン作成等に役立つものと思われる。 生命科学等に対する国民の意識の向上や協力を促進することになる。
0件
(但し、発表予定あり)
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(但し、発表予定あり)
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(但し、発表予定あり)
なし 1 現在のところなし
標榜診療科別の医師の偏在解消のための諸外国の医療政策に関する研究 平成14年度 7,000 日本医科大学 常務理事 岩ア榮 標榜科別医師数を適正化するには、(1)適正な数を推計する段階と、(2)適正医師数に誘導・調整する段階がある。諸外国の調整方法は様々であり、中央省庁において政策決定されているのはイギリス、フランス、ケベックで、ドイツでは各州の自己決定機関がその役割を担っていた。我が国における診療科別医師数の実態については、医師の地域偏在が大きい上、地域ブロック別の偏在と一つのブロック内でも都市部に偏在していることが実証された。 今回得られた諸外国での政策を整理・分析した成果は、今後の我が国における医療提供のあり方を議論する際の基礎的資料として活用できることが期待される。また、今後の医師育成のあり方や地域での医療サービス提供に関わる政策形成過程での参考資料として活用されることが期待される。また、我が国における診療科別医師の地域分布資料は、今後地域の診療形態などを検討する場合に使うことができる。 標榜診療科別にみた医師の偏在に起因する医療提供体制の不均衡問題について、基準病床数による医療提供体制の調整を中心としている現行の医療計画に対して、特に専門性を加味した医師数の要素を加える可能性を検討することができるようになる 0 0 0 0 1  
第三者評価における評価調査者の確保と資質の向上に関する研究 平成14年度 12,000 国立保健医療科学院経営科学部 サービス評価室 伊藤弘人 第三者評価を行う評価調査者と受審病院が、ともに病院機能評価の情報公開に肯定的な認識を示していることが明らかになった。これは今後の医療関連情報の流通が増大し、医療施設を選択するための基本情報になりうることを示している。 規制改革推進3カ年計画において国公立病院等について積極的な受審と評価結果の公開が措置されている。今回の研究過程で評価調査者の新規養成がなされ、受審数の増加に対応するための基盤整備が推進された。 病院機能評価を担う評価調査者の役割として、受審予定病院に対する改善支援が考えられている。評価調査者の量的・質的な充足によって、直接的な改善支援の発展が予想され、さらなる病院医療の質の向上が期待される。 2 2 2 なし
1
(病院評価活動への活発化に寄与した)
www.jcqhc.or.jp
薬毒物分析の精度管理と分析技術者育成に関する研究 平成14年度 10,000 広島大学大学院医歯薬学総合研究科法医学 屋敷幹雄 救命救急センター165ヶ所を対象にテロ災害等に関わる化学物質特定の一助とすべく、薬毒物分析のサーベイランスを行った。国内において、救命救急センターを対象とした調査は未だ行われておらず、本研究によって、技術レベルの格差が明らかとなった。また、救命救急センターの評価資料として多大な影響を与えると期待される。 薬毒物分析における標準化ならびに精度管理基準は未だ設定されておらず、治療を行う医師の経験によって処置が行われている。成果をもとに薬毒物分析の標準化や精度管理についてのガイドラインが策定され、科学的な根拠に基づく治療方針決定の一助となることが期待される。 救急医療分野において、簡便に化学物質を検出できる方法の需要が多く、多数のセンターから問い合わせが殺到している。 0 0
2
(予定)
0 1  
警察医・監察医の鑑定等に関する研究 平成14年度 6,000 国立保健医療科学院公衆衛生政策部 曽根智史 警察医、監察医の社会的役割は、(1)社会秩序の維持、(2)公衆衛生対策への寄与、(3)死因統計の資料作成、(4)行政解剖後の司法面への貢献、であるとされているが、現在のような監察医等の不足の状況では、これらの社会的役割を十分に果たせ得るとはいえず、なんらかの対応が必要であると考える。専門医教育を受けた監察医を十分配備した監察医事務所を各郡単位で有している米国では、異状死に対する綿密な監察が行われることが、死者への基本的な礼儀であるとし、きちんとした対応がなされている。また、このようなことから医療事故関連の異状死体に対する管轄は警察ではなく、監察医事務所となっていることの意義は大きく、日本においても検討するべき課題であると考える。 医療事故対策特に死亡事故や、刑務所における死亡事故等特別公務員陵辱事案を想起させる死亡事例等について、科学的、客観的にその死亡原因を検討することが求められている。こうした中で、本研究で得られた成果を基に、死体検案のあり方を論議していただくことが可能であり、活用されることを期待する。 日本法医学会において、死体検案に従事する臨床医に対する研修システムの検討が始められることにつながった。 0 0 0 0 1 近く収集した資料によるホームページを立ち上げることを検討中。
新しい医師臨床研修制度における指導医養成及びモデル研修プログラムに関する研究 平成14年度 5,000 国立保健医療科学院公衆衛生政策部 瀬上清貴 医師臨床研修の充実のためには、研修の受け皿の整備が必要であり、本研究では、大学病院や臨床研修病院のない2次医療圏においても、新しい臨床研修病院の指定基準を満たすような、協力病院及び協力施設の組み合わせができることを具体的に検討し、研修の質の確保に向けた課題の一つを明らかにした。また、研修施設における適切な指導医や指導体制の確保に向け、プライマリケアを中心とした指導医の養成を積極的に進めていかなければならないところであるが、本研究では、その際、使われるべき、指導医候補者を対象とした講習会のモデルカリキュラムや標準テキストを開発した。これにより、新たに指定される研修病院における指導の標準化が期待できる。 363医療圏となる2次医療圏のうち、全体の49%にあたる177医療圏において、臨床研修病院又は大学病院がないという状況にあり、また、指導医についても、これまで、臨床研修の場を大学病院に大きく依存し、専門に特化した臨床研修が行われてきたため、プライマリケアを中心とした指導を行うことのできる指導医が不足している現状にあるが、その状況を打開する具体策をクリエートしたところである。 また、北海道、青森県、静岡県、島根県、鹿児島県の5県に対し、指定病院拡大のために必要な対応について、具体的に指導してきている。さらに、指導医の養成講習会を開催することが予定されている。 0 0 0 0 1 近く収集した資料によるホームページを立ち上げることを検討中。
研修医の技能実技能力評価に係る研究 平成14年度 3,000 日本赤十字武蔵野短期大学 畑尾正彦 OSCE(Objective Structured Clinical Examination)は、1975年にHardenらによって提唱された臨床能力を客観的に評価する手法(客観的臨床能力試験)である。OSCEは筆記試験と異なり診療に関する技能や態度・マナー等を評価することが可能であり、カナダでは1992年から医師国家試験にOSCEを導入している。本邦でも「医師国家試験改善検討委員会」において今後改善する方向性が定まった事項にOSCEが位置づけられており、卒前教育の状況や客観的な評価手法の確立を踏まえて将来的に導入することとされている。本研究班ではOSCEの客観的な評価手法の確立を目指し、医師国家試験レベルで期待されるOSCEの指針を作成した(現在最終調整中) 本研究班で作成したOSCEの指針は医師国家試験出題基準に添付・配布する等を通じて全国80の大学医学部に紹介しその普及を図ることとしている。本研究班等により医師国家試験にOSCEを導入するための具体的な検討が進んでいることを踏まえ、現在、80大学のすべてにおいて何らかの形でOSCEが取り入れられ、2005年から共用試験の一部としてOSCEが本格的実施されるなど、卒前教育においてOSCEは急速な広がりを見せつつある。 本研究班の作成したOSCEの指針に基づき本年度から希望者を対象としたトライアル試験を行う予定である。 0 0 0 0 1 本研究班で作成したOSCEの指針を製本化することを検討中。
歯科病院等における院内感染対策に関する実態調査 平成14年度 4,000,000 日本大学松戸歯学部総合口腔医学 笹井啓史 歯科大学付属病院等の院内感染対策の実態調査を実施した結果、実務担当者の配置が不十分であることや施設全体として管理体制構築の必要性などの問題点を把握でき、院内感染防止のための指針を作成した。本研究成果である院内感染防止のための指針は、歯科診療における院内感染防止を系統的に実施し、その対策を標準化するための一助となり、歯科医療全体の安全性の向上に寄与できるものである。 本研究の成果は、院内感染有識者会議の資料として、歯科診療における院内感染防止対策の現状を示す資料として有用と思われる。また、指針に関しては、今後の歯科大学付属病院、大学歯学部付属病院等の歯科標榜病院における院内感染対策のガイドラインの策定のための基礎資料となり得る。さらに、広く一般の歯科診療所内感染対策のガイドラインとしても十分な有用であると考えられる。 歯科医療の安全性の確保や医療に対する信頼性の確保が望まれている現状では、歯科診療とその環境を考慮した院内感染対策の現状把握とその問題点を踏まえた新たな院内感染防止対策の推進が必要である。本研究結果を用いることにより、社会全体のリスクを施設単位で低減することが可能となり、医療の質を高めることともつながるものである。 0 0 0 0 1
看護師2年課程通信制実施に関わる教育教材等の開発に関する研究 平成14年度 5,000 厚生労働省看護研修研究センター 坪倉繁美 目的は、就業経験の長い准看護師が通信制で修学するための、臨地実習に代わる教育案の作成である。問題解決能力の希薄な准看護師が、体験を活かしながら学習するには、メタ認知能力の強化と帰納的学習という、思考指導の視点が重要である。これらの能力強化のために、ペーパーシミュレーションを用いた学習プログラムを開発した。開発したシミュレーションの総数は28事例であり、事例毎に教育方法及び評価指針も盛り込んだ。これらは学習並びに指導のガイドとなり意義あるものとなった。 就業経験が長い准看護師の看護師への進学を困難にしている状況を、通信制の拡大によって進学を容易にする。「保健師助産師看護師学校養成所指定規則の一部を改正する省令」が公布され、平成16年4月から施行となり、看護師の資格を得る教育の拡大が図かられる。10年以上の経験を持つ者は十分な実技技能をもつと判断し、実習が免除される。開発したペーパーシミュレーションによる教育プログラムが実習に代替できるものであることの実効性が認められ、政策を推進する基礎資料となった。 准看護師が減少し、看護師が増加することは、国民に良質の医療・看護が提供できる。   1 1   1  
異種細胞との共培養による皮膚の移植に関する安全性調査 平成14年度 3,000 国立感染症研究所 所長 吉倉廣 ア.研究目的の成果  患者自身の皮膚をマウス細胞と共培養し行う皮膚移植の安全評価並びに行政対応につき、国外調査、研究班審議により、大まかな結論に達した。
イ.研究成果の学術的国際的社会的意義当該移植は、内在ウイルスを持つマウス細胞と共培養する為、異種に該当する。本年度の検討により昨年当研究班が取りまとめた異種移植指針の実際の適用法につき今後の方向付けを得、適正な異種移植が可能になると思われる。
「異種移植の実施に伴う公衆衛生上の感染症問題に関する指針について(平成14年7月9日医政発第0709001号)」の適用がより明確になる。 特になし 0 0 0 0 1  
コンポーネント標準化による電子カルテ開発に関する研究 平成14年度 20,000 保健医療福祉情報システム工業会  中井幹爾 モデルからの情報システム開発はユーザとベンダ間での仕様合意を促進するために有効である。モデルを共有することによってシステムの開発の要求定義の工数が大幅に削減される。ソフトウエアのコンポーネント化によって、コンポーネント流通が可能となり、システム導入が容易化、低コスト化、高品質化ができる。モデル、コンポーネントによるシステム開発は先端的な技術であり、当研究は国際的にも注目されている。 この研究の成果を実用化していくことによって、電子カルテシステムの仕様の標準化、高品質化、導入容易化、低コスト化が実現される。この技術、成果が普及されれば、厚生労働省の目指す電子カルテシステムの普及が大幅に促進される。この研究(平成14年度特別研究)を踏まえて、本格的な開発研究のために、平成15〜16年度医療技術総合評価研究の項目(標準的電子カルテの業務フロー、情報モデル、アーキテクチャ(フレームワーク))が提案された。 モデルによるシステム開発、コンポーネントの標準化は情報システムの標準化、高品質化、導入容易化、低コスト化に寄与するところ大である。他のアプリケーション分野に普及することによって、日本のIT産業の活性化が促進される。モデルとコンポーネントの普及によって、小規模な企業でも大規模なシステム開発の一部を担うことが可能になり、業界の活性化が促される。 3 0 4 0 1 http://www.jahis.jp/StandardEPRS
医療の質と外科手術の技術集積性に関する研究 平成14年度単年 3,500 国立保健医療科学院
政策科学部
長谷川敏彦 これまで医療の質について客観的・科学的に分析かつ検証した研究はほとんどなかった。統計的手法かつ種種の分野における手術を横断的に解析することによって日本ではじめて系統的に医療の質の格差を証明することが出来、その改善のための要素を浮き彫りにすることが出来た。 平成14年4月に導入された、技術施行件数別点数削減診療報酬制度については、病院団体や学会からの種種の批判があり、それに対する科学的根拠となりうる。また、病院経営上の医療の質の改善への示唆ともなり、かつ地域医療計画で医療の質を計画に盛り込むきっかけとなりうる。 医療の質・安全性は今日本国民にとって医療関係の最も重要な関心事の一つである。事実週刊誌や成書で手術件数のランキングや病院の評価が始まっている。そこで、患者教育のためにも、あるいは病院選択のきっかけにもこの研究の成果が利用される可能性がある。 0 0 0 0 1  
医療従事者における針刺し・切創の実態とその対策に関する研究 平成14年度 5,000 東京大学医学部附属病院 木村哲 1996年から2000年の事故調査の結果から、平均年間100床当たり30〜40件、総数として40〜60万件の事例が発生していることが明らかとなり、また12.3%の施設で針刺し・切創による職業感染が発生していることが明らかとなった。針刺し・切創事例の解析・フィードバックをしている施設は少ない。アメリカでは針刺しによる医療従事者の肝炎ウイルス、HIV感染例が生じたことから対策が強化されたが、日本ではまだ立ち遅れている。 針刺し・切創防止にはリキャップ禁止など手技的な指導と、安全な廃棄容器や安全装置付き針など安全器材の導入の両面からの対策が必要である。これらの対策を各医療施設の自主性に任せていたのでは目先の経済性から前進が困難である。アメリカでは2000年に連邦法により安全器材使用が義務化された。日本でも医療従事者の健康を守るために、このような行政的指導が必要と考えられ、本研究はそれに向けた提言を行う。 医療従事者は医療行為の結果として感染症に罹る危険性が高いが、労働衛生の観点からも、これを最小限に抑える必要がある。針刺しによる肝炎での死亡例もあり、社会的・経済的損失は大きい。欧米では既に200名を越える医療従事者が針刺しなどでHIVに感染しているが、もし、日本でそのような事態が発生すると、HIV診療を忌避する傾向がますます強くなり、社会問題になる。その為にも職業感染は是非とも予防しなくてはならない。 0 2 6 0 1  
保健医療分野における研究評価のあり方に関する研究 平成14年度 5,000 国立保健医療科学院 林謙治 米国研究所への訪問調査や国内専門家への聞き取り調査などを行いわが国の保健医療分野における研究評価の方向性を論じた。本研究により米英の研究評価におけるそれぞれの要素は、わが国の保健医療分野における研究評価制度において、何らかの形で位置付けられていた。しかし米英と比較して日本の研究評価では、これらの要素が「系統的に組織」されておらず、研究評価の専門家の確保と養成は火急の課題であることが明らかになった。本成果の論文を現在作成中である。 本成果は、『「厚生労働省の科学研究開発評価に関する指針」の策定について』の通知に対応している。また、総合科学技術会議における競争的研究資金制度改革の検討に資する具体的知見を提出することができた。今後の総合科学技術会議において参考にされることが想定される。 厚生労働科学研究をはじめ保健医療分野における競争的研究資金およびその評価のあり方の検討において、本研究成果は参照されていくものと考えている。 2 5 5 0 1  
諸外国における保健所等保健衛生組織の実態調査研究 平成14年度 5,000 国立保健医療科学院 林謙治 諸外国でも、わが国の保健所に相当する、地域の保健衛生の第一線機関が存在したが、その位置づけ、組織体系、職員の資格要件、所掌事務の範囲は多様であり、それぞれに一長一短があることが明らかとなった。これらの結果は、わが国において、保健所などの保健衛生組織の構造と機能を再構築するための有用な資料として活用することができる。 「保健所長の職務の在り方に関する検討会」において、諸外国の保健衛生の第一線機関の実態に関する資料として活用される予定である。   0 0 0 0 1  
輸血用血液におけるウエストナイルウイルス検出方法の確立に関する研究 14年度 9,000 国立感染症研究所 ウイルス第一部 倉根 一郎 血液中のウエストナイルウイルスを検出するためリアルタイムPCR法を作製した。リアルタイムPCRとしてTaqMan PCR法とLUX PCR法を確立した。TaqMan PCR法の感度はニューヨーク株に対しては0.1pfu/tubeであり、従来のRT-PCR法に比べて約10倍感度が良いことが確認された。また、LUX PCR法は高感度に世界各地の分離株を検出しうることが示された。本研究はウエストナイルウイルスの高感度検出系を確立した点で意義が大きい。本研究の成果に関しては現在英文論文を作成中である。 米国において輸血によってウエストナイルウイルスに感染した例が報告されている。従ってウエストナイルが万一我が国に侵入した際に輸血用血液の安全性を確保するための手法を確立しておく必要がある。本研究によって、輸血用血液のウエストナイルウイルスからの安全性を確保するための高感度の検査手技を開発することができた。本研究は輸血血液のウエストナイルウイルスからの安全性を確保するという行政上の必要が生じた場合に対応できる点で厚生労働行政上の意義が認められる。 本検査法は日本各地の血液検査施設に近々技術移転される。血液中のウエストナイルウイルス検出を国内各施設で実施可能にしておくことは、輸血血液の安全性確保において社会的インパクトが大きい。 0 0 0 0 1 http://www.nih.go.jp/vir1/NVL/WNVhomepage/WN.html
少子高齢化社会における献血による血液の国内自給自足対策の在り方に関する研究 14年度 1,800 杏林大学医学部
臨床検査医学講座
清水勝 ア.若年者(16,17歳)からの400mlあるいは成分採血は、献血経験者からの賛同は得られ、また全血600mlの赤血球成分の採血および赤血球と血小板の2成分同時採血も完全に実施しえた。5単位血小板濃厚液の投与は対象症例では問題なく実施しえた。献血時の身元確認とHIV検査結果の通知については殆どが賛意を示した。
イ.献血の量的確保は国際的な課題であり、16歳での採血を除けば、いずれも欧米先進国では既に行われていることであるが、我が国の現状に合った基準の制定や方策を講じるべきである。血小板輸血では一回投与量が国際的にも規定されていないので、5単位の有効性は本輸血の常識的な在り方を変えたことになる。
採血年齢を16,17歳とすることは、医療機関での400ml由来赤血球の使用率の増大により、不要となる200ml由来の廃棄率を減少させ、若年時での献血経験者の増大をも図ることになる。赤血球成分採血の導入は全血採血を不要とし、成分別の需要に見合った、合理的な採血を実施でき、製造部門の縮小を図りうる。さらに5単位血小板の適応が一般的になれば、期限が短くかつ緊急性の高い本剤を一回に20単位採血して、分割供給をも可とすれば、本輸血をより合理的に、しかも費用対効果も高く実施できる。 血液の自給自足には献血者の確保と適正使用が必須である。それにはより「合理的な採血とエビデンスに基づく適正使用が必要となる。それを最も効果的に行っていくには、採血基準と使用指針の改正を視野に入れて検討していくことである。 準備中(4件を予定) 0 1 0 1  
1日使用ソフトコンタクトレンズによる健康被害に関する検討 平成14年度 5,000 東京都江東高齢者医療センター 金井淳 1日使用ソフトコンタクトレンズの破損状況と各種コンタクトレンズの眼障害について調査した。わが国で販売されている3社のレンズすべてで容器内、取り扱い中、装用中に破損が認められた。レンズの不良による角膜障害は重篤ではないがみられた。レンズの不良は会社により頻度に差がみられた。不適切な使用で角膜感染症の発症が見られた。研究成果は1日使用ソフトコンタクトレンズ装用者へのレンズ取り扱い注意の徹底やレンズ製造過程での品質管理の向上につなげる事が出来る。更にコンタクトレンズ装用者の健康被害を防止するための啓蒙活動にも活用することが出来る。 1日使用ソフトコンタクトレンズ装用中の破損はレンズ取り扱い方法を指導する事で未然に健康被害を防ぐ事が期待できる。破損に対する1日使用ソフトコンタクトレンズの品質管理基準を決める参考資料になる。また各種コンタクトレンズの角結膜障害の頻度を推定出来たことは今後のコンタクトレンズの臨床治験の審査承認の際の参考資料に供することや健康被害の抑制に使用するためのコンタクトレンズ装用者への情報提供を行うことができる。 1日使用ソフトコンタクトレンズの破損を日本コンタクトレンズ学会が第3者の立場から品質評価したことは意義がある。製造販売会社が行っているコンタクトレンズの品質管理を厚生労働省が調査結果を基に監視することが出来、必要に応じてコンタクトレンズ使用者への情報提供、行政面からの勧告や指導を行うことが出来る。 5 0 16 0 1  
新薬事制度を踏まえた企業における感染症情報収集体制のあり方に関する調査研究 平成14年度 2,000 国立感染症研究所
所長
吉倉廣 ア:新薬事制度下での感染症報告に、ネット上のデータベースが使用可能か、如何なる可能法が良いかにつき検索し実証トライアルを行った。イ:雑誌文献をベースとするProMed、一般ネット情報を検索するGoogle、fastが使用可能であることが分かり、更に必要な検索アルゴリズムを開発すると実用に供する事が出来る。 研究結果と提言を考慮し、実際の報告制度に利用出来る。これにより、生物由来製品の感染症報告のための情報収集が効率的なものになり得る。 今後、データベースの危機管理への利用の趨勢が高まり、当該分野の研究も促進されると思われる。 0 0 0 0 1  
我が国の院内感染対策の整備状況を把握するための研究 平成14年度 10,000 NTT西日本東海病院 大久保憲 厚生労働省の院内感染対策有識者会議において,これからの感染防止のための新しい施策を検討する上で,日本における院内感染対策の現状を把握する目的でアンケート調査を実施した.この結果は,今後の新しい施策を考える上で大いに参考となる資料である. 感染対策委員会の設置,マニュアルの整備など,診療報酬点数上で規定されている項目は,いずれも高率に実施されていた.アンケート結果から,今後は病院空調,陰圧室など環境整備としてのハード面での充実と,スタンダードプリコーションの基本的概念の啓蒙,および,院内感染のアウトブレイクに対して,外部からの情報を提供できる体制として,感染対策のためのネットワーク作りを進めていくことが重点課題と受け止められた. 院内感染対策の全国ネットワークが構築できれば,情報の共有と医療機関に対する迅速な情報提供が可能となる.また,患者のみならず一般の人々にも院内感染の原因と実際について正しい解説ができる.易感染患者では内因性感染が多いこと,手指衛生を患者及びその家族にも徹底する必要があることなどを啓蒙できる. 4 0 厚生労働省の院内感染対策有識者会議の中で結果を公表していく。 0 1 厚生労働省のホームページにおいて、有識者会議の会議資料として公表されることになる。
「未承認医薬品及び健康食品による健康被害の原因究明のための研究」 14年度 50,278 国立医薬品食品衛生研究所 有機化学部 奥田晴宏 昨年夏、社会問題化した中国製ダイエット用健康食品(未承認医薬品)による健康被害の原因究明を行うことを目的とした。健康被害を引き起こした各種未承認医薬品のプロファイル分析、未承認医薬品含有成分の単離と構造決定、未承認医薬品中の含有成分の定量、未承認医薬品の分析法の確立、未承認医薬品含有成分の調製法の検討と大量調製といった化学的研究と、未承認医薬品含有成分の毒性試験を行った。その結果、N-ニトソロフェンフルラミン(NFF)が、肝障害の原因物質であることを明らかにした。中国製ダイエット用健康食品に含有されていた未承認医薬品の危険性を明らかにした本研究の社会的意義は極めて大きい。 本研究の結果は、平成15年2月12日、厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課から報道発表された。また、各地方衛生研究所等では、健康被害の報告されたいわゆる健康食品の成分分析を行うにあたり、本研究で確立された分析法及び、合成された標品(NFF)を用い、NFF、フェンフルラミン等の分析が行われた。さらに、厚生労働省の通知により、健康食品の輸入にあたり、NFF等が含まれていないことを当該製品を取り扱う業者が自主的に確認することとされたが、本研究で確立された分析法を参考に全国の指定検査機関で、成分分析が実施されている。 厚生労働省による本研究結果の報道発表に対応して、新聞記事、テレビ報道等がなされるなど、社会的インパクトは大きなものであった。また、中国製ダイエット用健康食品による被害が同様に生じた、韓国、シンガポールにも、分析方法等を、タイムリーに伝え、国際協力を行っている。 2 0 6 0 3 https://www.mhlw.go.jp/houdou/2003/02/h0212-1.html
http://www.nihs.go.jp/topics/fen/N-nitroso.pdf
生殖医療技術に対する国民の意識に関する研究 平成14年度 10,000 山梨大学大学院医学工学総合研究部 山縣然太朗 1.国民の意識調査として、無作為抽出による対象者に対して62.4%の回収率、3647名の対象者数の確保を達成し、信頼できる調査結果を出せた。
2.生殖補助医療技術について、特に、第三者の精子・卵子を用いた技術、出自を知る権利に関する国民の意識を明らかにした。また、患者数を推計した。
3.1999年調査との比較分析、および、リーフレットによる詳細情報の提供による効果を明らかにした。
4.世界的にもこのような生殖補助医療技術に対する国民の意識調査はほとんどなく、貴重な情報を国内外に提供した。
1.厚生科学審議会生殖補助医療部会での審議に資する目的の調査であり、同部会で調査結果の速報版を発表し、第三者の精子・卵子を用いた技術、提供者の問題、出自を知る権利などについて重要な情報を提供した。
2.生殖補助医療技術の患者数の推計を行い、4年前の推計値より明らかな増加があることを明らかにした。これは生殖補助医療政策に関わる重要な情報を提供する。 3.本調査は1999年の審議会設置前、今回の法制化、指針策定時とわが国の生殖補助医療の節目に2回実施された。今後、4年後を目処に見直し時の調査が実施されれば、一連の資料として多大な貢献をするものと期待される。
1.厚生科学審議会生殖補助医療部会の審議の重要な基礎資料となった。
2.少子化問題とあいまって、今後、さらに増加が見込まれる生殖補助医療について、社会全体で考えていくきっかけを提供した
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マススクリーニング発見神経芽腫の病理学的、分子細胞遺伝学的緊急評価および再発進展予測のための新しい診断システムの構築 平成14年度 5,000 国立成育医療センター研究所 秦順一 1)神経芽腫に関する機能的組織バンク構築のための基盤事業の確立に関しては、現在まで登録されている1200例の分子細胞遺伝学的特性を中心にデータベース化が進んだ。2)神経芽腫新規予後因子の同定とマススクリーニングの有効性評価に関しては、独自に同定した予後因子に関連する遺伝を用いたcDNAマイクロアレイを作成した。3)神経芽腫新国際分類(INPC)がわが国の症例に適応可能であることを明らかにした。以上の成果は学術的な意義のみでなく、マススクリーニング発見例を含む神経芽腫の予後予測に多大な貢献をなす。 マススクリーニング発見例の大部分は良性の経過をたどるが、数%に予後の確定できない症例が含まれることが、すでに明らかになっている。われわれの研究成果によって、そのような腫瘍が真に進展・再発を示すか否かを科学的に予測可能となる。 社会的に問題となっている神経芽腫マススクリーニング事業の評価を科学的に行うことができる。その結果によって神経芽腫マススクリーニング事業の存続を決定する重要な参考データとなる。 11 24   申請中 1  
妊娠・出産がその後の母子の健康に及ぼす研究 平成14年度 23,000 国立保健医療科学院疫学部 三砂ちづる 出産経験がその後の母子の健康、母子関係などにどのような影響を及ぼすかについてコホート研究を立ち上げた。出産状況のデータを詳細に取ったコホート研究は、国際的にも注目されている。 成果をもとに出産の質、ケアの質などのスケールを作成することにより他の研究にも資する。また、フォローアップの結果は、母子保健対策、少子化対策に直接有用な情報を提供できると考えられる。 女性の出産経験を大切にするような、より安全なケアの提供について、社会的提言ができると考えている。         1  
地方公共団体における少子化対策に係る行動計画のあり方に関する研究 平成14年度 15,000 川崎医療福祉大学医療福祉学部 岩渕勝好 次世代育成支援対策推進法に基づき地方公共団体が策定する行動計画に盛り込むべき事項や計画策定プロセス等についての検討結果を取りまとめた。従来の地方公共団体において策定されていた児童育成計画が保育サービスの充実に偏る傾向があったことを踏まえ、地域における子育て支援、教育、生活環境の整備という広範な視点を提供したことに大きな意義がある。 次世代育成支援法に基づく指針の策定に関し、今後厚生労働省において設置する検討会での検討材料として用いられる予定である。また、地方公共団体においても、少子化対策に係る行動計画を策定する際に活用されるものと考えられる。   1       1 https://www.mhlw.go.jp/houdou/2003/04/h0404-3.html
健康危機管理研修および訓練のあり方に関する研究(H14-特別ー63) 平成14年度 1,500 国立病院東京災害医療センター 臨床研究部 原口義座 ア 研究目的の成果:健康危機管理体制の緊急の充実、NBC(核・生物・化学)テロの国内対策の強化まで含め充実した健康危機管理研修のあり方を目的とした研究で、研究結果として1)「研修内容本体に関して」、総論としての災害と各論ともいえる災害医療の実際の考え方・専門的な考え方を一定程度獲得しておくべきであること、2)「研修を受講する側の立場からの視点」からは、地域的な特色を生かすこと、受講生全体のレベルアップ(ボトムアップ)、パニック防止、今後のネットワーク推進、3)「研修・訓練を教育・指導する側」の観点は、最大の問題で、広い視野・高い立場・長期的視点(横幅のある内容)と専門性(縦の内容)を組み合わせる必要があるが、我が国の医療分野では、専門性が重視される傾向から、現在の災害医療研修内容は、しばしば各論的な内容に比重が大きくなりがちで、講師の側に大きな問題があることが多い結果が得られた。

イ 研究成果の学術的・国際的・社会的意義としては、上記成果に基づき、小分野の専門家よりも広い視野・高い立場・長期的視点(横幅のある内容)からの立場の専門家・講師の育成が高い意義があると考えられ、その面での充実が急がれる。
本研究は、健康危機管理体制の充実に関し、地方自治体の視点を踏まえたものであり、行政に期待される対応への教育・研修・訓練として多大な貢献ができる内容と考えている。本方向での更なる健康危機管理体制の充実は、意義があると考えられる他、特に、今回の検討で明らかとなった問題点を克服する方向で、専門的研修・訓練体制の確立へ向けて取り組むべきである。 災害医療に対する健康危機管理に対して、実際のとるべき行動・活動にも準拠した内容を扱っており、更に社会的にも興味を引く・訴えることができるような多種の記録集・訓練記録ビデオを作成している(国立病院東京災害医療センター 臨床研究部)。これらの教育シリーズ一覧も提示したが、社会的貢献が期待できると考えている。 0 (報告集として) 0 0 1  
原子爆弾の放射線に関する研究 平成14年度 15,000 財団法人放射線影響研究所 平良専純 ア (1) DS86が決定されて以来これまでずっと中性子線量に関する理論値と測定値が一致しないということが実際に測定している研究者の中から報告されており、以来、日米独の研究者達があらゆる方向で計算と測定方法に改善を加えながら研究を続けてきて、今回漸くその一致をみて、新しくDS02という形で出発することになる。今、空中線量については、結果が出ており、それを被爆者ひとりひとりに当てはめた臓器線量の計算をこれから行うところである。今回の研究は空中線量の結果をまとめたものである。行政的にはこれまで裁判等でDS86の不正確さが指摘されていたのが、今回の研究結果を基にしたDS02に基づいた線量計算を使用すればより正しい値がわかる。(2)二点目の研究は、被爆者の認定を行うための基準づくりをするため、国内外の文献(特にアメリカ等における被爆者(核実験被害による)の裁判資料の収集を行ったことである。これも行政的に認定を行う上で役立つものと思われる。
イ DS02は、日米の研究者の合同研究による成果であり、米国エネルギー省にも報告されたのみならず、米国科学アカデミーからも注目されている。国際放射線防護委員会へも報告することとなる。
DS02による推定値を基に原爆症認定の審査の目安である原因確率の計算を行う。それにより、より科学的に検討されたDS02に基づいた(推定線量、原因確率)原爆症の認定審査についての信頼性が高まるものと考えられる。 一定の放射線障害が発生するのに被爆したと考えられる推定線量がわずかとはいえ変化するため放射線防護の基準に対しては国際放射線防護委員会でDS02の推定値を評価、検討することになり、基準の変更が為される可能性がある。         1 財団法人放射線影響研究所ホームページに掲載される予定。
http://www.rerf.or.jp/
精神障害者のスポーツ振興のための組織基盤確立に関する研 平成14年度(単年度) 6,000 社団法人 日本精神保健福祉連盟 大西守 都道府県レベルでの精神障害者スポーツ振興のための組織整備のあり方や人材育成の方法が明らかになった。とくに、地域における精神障害者スポーツ推進協議会の設立マニュアルを作成できたことから、未設置地域における具体的な方法論が提供可能となった。 都道府県の行政関係者の精神障害者スポーツ振興に関する認識度が上昇し、精神障害者スポーツ推進協議会の設立機運が山梨県、長野県、など数県で高まり、その準備が進められている。また、高知県、山梨県、福島県など数県で精神障害者スポーツ大会開催・参加費用のための予算措置がはかられるようになった。さらに、障害者スポーツに関する連盟への一般からの問い合わせが増加し、啓発普及効果も大きい。 都道府県の行政関係者の精神障害者スポーツ振興に関する認識度が上昇し、精神障害者スポーツ推進協議会の設立機運が山梨県、長野県、など数県で高まり、その準備が進められている。また、高知県、山梨県、福島県など数県で精神障害者スポーツ大会開催・参加費用のための予算措置がはかられるようになった。さらに、障害者スポーツに関する連盟への一般からの問い合わせが増加し、啓発普及効果も大きい。 10 12 20 0 1 なし
心の健康問題と対策基盤の実態に関する研究 平成14年度(単年度) 20,000 岡山大学大学院医歯学総合研究科 川上憲人 国際標準の調査法を使用した日本で最初の大規模な地域精神保健疫学調査により、うつ病等の精神疾患やひきこもりなどの問題行動の地域住民中の頻度とその関連要因、医療機関への受診の実態と受診を阻害する要因を明らかとした。本研究は諸外国にくらべ立ち後れているわが国の精神疾患の疫学研究の進展に大きく寄与すると同時に、WHOが主導する世界精神保健調査の一環として世界37カ国との精神保健の国際比較研究に寄与する予定である。 社会保障審議会障害者部会精神障害者分会がとりまとめた「精神障害者の保健・医療・福祉の総合計画」および自殺防止有識者懇談会の提言(平成14年12月)による施策推進のための心の健康問題の実態と対策の実施基盤となるデータを提供した。また効果的な心の健康問題のスクリーニング法および心の健康問題の相互連関を明らかにした上で地域の心の健康問題を総合的に解決していく方策を提案した。 本研究の成果は、心の健康に関する国民および専門家の意識啓発に効果的に活用することができる。本研究で開発・使用された精神保健の国際標準の調査法であるWHO-CIDI 2000の日本語版(コンピュータ版)は今後の関連領域の研究の推進に活用される予定である。 予定あり 予定あり 予定あり 0 1 http://eisei.med.okayama-u.ac.jp/kenkou
欧米諸国における触法行為を行った精神障害者に関する精神医学的評価に関する文献的研究 平成14年度(単年度) 1,000 東京都精神医学総合研究所 五十嵐禎人 欧米諸国における触法精神障害者に関する精神医学的評価の実際、特に精神鑑定など司法手続きの過程における精神学的評価について、複数の国の間での比較を含め検討した研究であり、わが国ではこれまでほとんど類例のないものである。 本研究の成果は、現在国会で審議中の「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(案)」をめぐる議論や新法成立後に求められる触法精神障害者に関する種々の精神医学的評価のための基礎資料として活用されることが期待される。 本研究の成果は、今後のわが国の司法精神医学・司法精神医療体制の整備に裨益するところが大きいと考えられる。 0
(予定)
0 0 1 なし


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