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厚生労働科学研究費補助金研究事業の概要
研究事業(研究事業中の分野名):エイズ対策研究事業
所管課:健康局疾病対策課
予算額の推移:研究経費
*1:研究費  *2:推進事業費

平成12年度 平成13年度 平成14年度 平成15年度
1,756,968千円
*1: 1,105,000千円
*2: 651,968千円
1,760,346千円
*1: 1,105,000千円
*2: 655,346千円
1,762,568千円
*1: 1,105,000千円
*2: 657,568千円
1,755,352千円
*1: 1,105,000千円
*2: 650,352千円
(1) 研究事業の目的
 我が国の新規エイズ患者・HIV感染者報告数は年々増加しており、特に国内における日本人男性の同性間及び異性間性的接触による感染の拡大が懸念されている。
 また、HIV訴訟の和解を踏まえ、恒久対策の一環としてエイズ治療・研究をより一層推進させることが求められている。
 本事業は、エイズに関する基礎、臨床、社会医学、疫学等の研究を推進するとともに、必要なエイズ対策を行うための研究成果を得ることを目的としている。
(2) 課題採択・資金配分の全般的状況
 過去3年間の課題一覧【別紙
(3) 研究成果及びその他の効果
1. 多剤併用療法の導入によるエイズ発症阻止と死亡率の低下
2. 多剤併用療法の長期服薬に関するリスクの検討
3. ワクチン、治療新薬の開発
4. エイズ脳症の病態解明
5. HIV治療ガイドライン、母子感染予防マニュアルの作成
6. 抗HIV薬の血中・細胞内濃度測定及び薬剤耐性検査等によるモニタリングシステムと簡便な手技の開発
7. HIV・HCV共感染血友病患者に対する生体肝移植等の肝炎治療
8. HIV男性、非感染女性夫婦間の生殖補助医療
9. 血友病の遺伝子治療に関する基礎的検討
10. HIV抗体迅速検査を含む利便性の高いHIV検査体制の確立
11. 非政府組織(NGO)の活用による効果的な普及啓発への提言
12. 同性間性的接触における効果的なエイズ予防対策
13. HIV医療体制の現状把握と今後の在り方に関する提言
14. エイズ動向調査の情報等を用いたHIV感染者・エイズ患者の有病数・発生数の推計
15. 海外HIV感染動向の把握とその対策の検討
(4) 事業の目的に対する達成度
 1997年に導入された多剤併用療法により死亡率が低下したとされる一方で、抗HIV薬の長期投与に伴う副作用や薬剤耐性ウイルスの出現が問題となっている。また、HIV感染者・エイズ患者報告数の増加が続いている(図参照)ことから、医療と予防の両者において研究の推進が必要。

図
(5) 行政施策との関連性
 エイズ医療については、最新の診断・治療法、医療体制の整備等、多くの関連があり、患者の医療環境の向上に寄与している。
 我が国の新規エイズ患者・HIV感染者報告数は年々増加しており、特に国内における日本人男性の同性間及び異性間性的接触による感染の拡大が懸念されている。特に同性間性的接触におけるエイズ予防対策は急務である。
 HIV訴訟の和解に伴い、原告団からの要望を反映した研究を実施しており、患者の医療環境及びQOLの向上に寄与している。
(6) 今後の課題
 特に同性間性的接触におけるエイズ予防対策は急務であるため、持続的・効果的な予防対策を実施するための提言が求められる。
 先天性血液凝固因子障害等治療研究事業はエイズ対策研究と有機的に連携し、効果的な研究を行う必要がある。
(7) 研究事業の総合評価
 エイズは効果的な予防ワクチンも完全治癒となる治療法も開発されていない現在、多剤併用療法(HAART)の導入により、慢性疾患の性格を帯びてきている。また、新規HIV感染の7割を越える者が、性的接触に由来するものであり、性感染症としての取り組みも重要になってきている。このような状況に対応するため、本研究事業は、効果的な予防対策と疾患概念を変える治療法及びエイズ医療の体制確立について着実な結果を示しており、行政施策の推進に大きく貢献しているところである。


平成12年度厚生科学研究費補助金(エイズ対策研究事業)採択課題一覧

No. 開始 終了 主任研究者 所属施設 職名 研究課題名 課題番号 交付額
1 12 14 岡 慎一 国立国際医療センター臨床研究開発部 部長 HIV感染症の治療に関する研究(治療ガイドラインを含む) H-12-エイズ-001 115,000
2 12 14 田中 憲一 新潟大学医学部 教授 妊産婦のSTD及びHIV陽性率と妊婦STD及びHIVの出生児に与える影響に関する研究 H-12-エイズ-002 83,424
3 12 14 仙道 富士郎 山形大学医学部 教授 日和見感染寄生原虫の治療薬の開発研究 H-12-エイズ-003 25,000
4 12 14 木村 哲 東京大学医学部付属病院 教授 日和見感染症の治療に関する研究 H-12-エイズ-004 70,000
5 12 14 出雲 周二 鹿児島大学医学部 教授 HIV等のレトロウイルスによる痴呆や神経障害の病態と治療に関する研究 H-12-エイズ-005 38,000
6 12 14 松田 道生 自治医科大学生体機能分子学 教授 血友病の治療とその合併症の克服に関する研究 H-12-エイズ-006 100,000
7 12 14 竹森 利忠 国立感染症研究所 部長 HIV感染予防に関する研究 H-12-エイズ-007 105,000
8 12 14 岩本 愛吉 東京大学医科学研究所 教授 エイズ発症阻止に関する研究 H-12-エイズ-008 85,000
9 12 14 白阪 琢磨 国立大阪病院 部長 HIV感染症の医療体制に関する研究 H-12-エイズ-009 165,000
10 12 14 今井 光信 神奈川県衛生研究所 部長 HIVの検査法と検査体制を確立するための研究 H-12-エイズ-010 70,000
11 12 14 島尾 忠男 エイズ予防財団 理事長 HIV感染症の疫学に関する研究−世界のAIDSの流行格差の要因の分析 H-12-エイズ-011 25,000
12 12 14 木原 正博 京都大学大学院医学研究科 教授 HIV感染症の動向と予防介入に関する社会疫学的研究 H-12-エイズ-012 110,000
13 12 14 熊本 悦明 財団法人性の健康医学財団 会頭 ”性感染症としてのHIV感染”予防のための市民啓発を、各種情報メディアを通して具体的に実施実行する研究計画 H-12-エイズ-013 20,000
14 12 14 武部 豊 国立感染症研究所 室長 東アジア及び太平洋沿岸地域におけるHIV感染症の疫学に関する研究 H-12-エイズ-014 25,000
15 11 13 秋山 昌範 国立国際医療センター 医長 日本におけるHIV診療支援ネットワークの確立に関する研究 H-11-エイズ-001 15,000
16 11 13 樽井 正義 慶応義塾大学文学部 教授 エイズに関する人権・社会構造に関する研究 H-11-エイズ-002 7,000
17 10 12 田代 啓 京都大学遺伝子実験施設 助教授 HIVの病原性決定因子に関する研究 H-10-エイズ-003 30,000
18 10 12 山田 章雄 国立感染症研究所筑波医学実験用霊長類センター センター長 HIV病原性の分子基盤の解明に関する研究 H-10-エイズ-004 75,000
19 12   永井 美之 国立感染症研究所エイズ研究センター センター長 HIV研究の評価に関する研究 H-10-エイズ-001 37,000
20 12 14 我妻 堯 国際厚生事業団 参与 エイズに関する非政府組織の活用に関するモデルプラン策定研究 H-12-エイズ-015 40,000
21 12 14 池上 千寿子 ぷれいす東京 代表 エイズに関する普及啓発における非政府組織(NGO)の活用に関する研究 H-12-エイズ-016 5,000
22 12 14 大石 敏寛 動くゲイとレズビアンの会 副代表理事 エイズに関する普及啓発における非政府組織(NGO)の活用に関する研究 H-12-エイズ-017 10,000
23 12 14 五島真理為 HIVと人権・情報センター 理事長 エイズに関する普及啓発における非政府組織(NGO)の活用に関する研究 H-12-エイズ-018 5,000


平成13年度エイズ対策研究事業交付額

No. 開始 終了 主任研究者 所属施設及び役職   研究課題名 課題番号 交付額
1 13 15 杉浦 亙  国立感染症研究所エイズ研究センター グループ長 薬剤耐性のモニタリングに関する技術開発研究 H-13-エイズ-001 30,000
2 13 15 佐藤 裕徳 国立感染症研究所エイズ研究センター 主任研究官 HIV及びその関連ウイルスの増殖機構及び増殖制御に関する研究 H-13-エイズ-002 90,000
3 12 14 岡 慎一 国立国際医療センター臨床研究開発部 部長 HIV感染症の治療に関する研究(治療ガイドラインを含む) H-12-エイズ-001 119,122
4 12 14 田中 憲一 新潟大学医学部 教授 妊産婦のSTD及びHIV陽性率と妊婦STD及びHIVの出生児に与える影響に関する研究 H-12-エイズ-002 78,000
5 12 14 木村 哲 東京大学医学部付属病院 教授 日和見感染症の治療に関する研究 H-12-エイズ-004 105,000
6 12 14 出雲 周二 鹿児島大学医学部 教授 HIV等のレトロウイルスによる痴呆や神経障害の病態と治療に関する研究 H-12-エイズ-005 38,000
7 12 14 松田 道生 自治医科大学生体機能分子学 教授 血友病の治療とその合併症の克服に関する研究 H-12-エイズ-006 100,000
8 12 14 竹森 利忠 国立感染症研究所 部長 HIV感染予防に関する研究 H-12-エイズ-007 110,000
9 12 14 岩本 愛吉 東京大学医科学研究所 教授 エイズ発症阻止に関する研究 H-12-エイズ-008 115,000
10 12 14 白阪 琢磨 国立大阪病院 部長 HIV感染症の医療体制に関する研究 H-12-エイズ-009 150,000
11 12 14 今井 光信 神奈川県衛生研究所 部長 HIVの検査法と検査体制を確立するための研究 H-12-エイズ-010 71,000
12 12 14 島尾 忠男 エイズ予防財団 理事長 HIV感染症の疫学に関する研究−世界のAIDSの流行格差の要因の分析 H-12-エイズ-011 30,000
13 12 14 木原 正博 京都大学大学院医学研究科 教授 HIV感染症の動向と予防介入に関する社会疫学的研究 H-12-エイズ-012 127,000
14 12 14 熊本 悦明 財団法人性の健康医学財団 会頭 ”性感染症としてのHIV感染”予防のための市民啓発を、各種情報メディアを通して具体的に実施実行する研究計画 H-12-エイズ-013 15,000
15 12 14 武部 豊 国立感染症研究所 室長 東アジア及び太平洋沿岸地域におけるHIV感染症の疫学に関する研究 H-12-エイズ-014 25,000
16 11 13 秋山 昌範 国立国際医療センター 医長 日本におけるHIV診療支援ネットワークの確立に関する研究 H-11-エイズ-001 15,000
17 11 13 樽井 正義 慶応義塾大学文学部 教授 エイズに関する人権・社会構造に関する研究 H-11-エイズ-002 5,000
18 12   永井 美之 国立感染症研究所エイズ研究センター センター長 HIV研究の評価に関する研究 H-10-エイズ-001 24,000
19 12 14 我妻 堯 国際厚生事業団 参与 エイズに関する非政府組織の活用に関するモデルプラン策定研究 H-12-エイズ-015 50,000
20 12 14 池上 千寿子 ぷれいす東京 代表 エイズに関する普及啓発における非政府組織(NGO)の活用に関する研究 H-12-エイズ-016 7,000
21 12 14 大石 敏寛 動くゲイとレズビアンの会 副代表理事 エイズに関する普及啓発における非政府組織(NGO)の活用に関する研究 H-12-エイズ-017 12,000
22 12 14 五島真理為 HIVと人権・情報センター 理事長 エイズに関する普及啓発における非政府組織(NGO)の活用に関する研究 H-12-エイズ-018 8,000


平成14年度厚生労働科学研究費補助金(エイズ対策研究事業)採択課題一覧

  開始 終了 主任研究者 所属施設 職名 研究課題名 課題番号 交付額
1 14 16 秋山 昌範 国立国際医療センター情報システム部 医長 HIV診療支援ネットワークを活用した診療連携に関する研究 H14-エイズ-001 11,000
2 14 16 市川 誠一 神奈川県立衛生短期大学 教授 男性同性間のHIV感染予防対策とその推進に関する研究 H14-エイズ-002 31,000
3 14 16 樽井 正義 慶應義塾大学文学部 教授 個別施策層に対する固有の対策に関する研究 H14-エイズ-003 18,000
4 14 14 山本 直樹 国立感染症研究所エイズ研究センター センター長 エイズ対策研究事業の企画と評価に関する研究 H14-エイズ-004 25,000
5 13 15 杉浦 亙  国立感染症研究所エイズ研究センター グループ長 薬剤耐性のモニタリングに関する技術開発研究 H13-エイズ-001 35,000
6 13 15 佐藤 裕徳 国立感染症研究所遺伝子解析室 主任研究官 HIV及びその関連ウイルスの増殖機構及び増殖制御に関する研究 H13-エイズ-002 98,278
7 12 14 岡 慎一 国立国際医療センター臨床研究開発部 部長 HIV感染症の治療に関する研究(治療ガイドラインを含む) H12-エイズ-001 97,000
8 12 14 田中 憲一 新潟大学医学部 教授 妊産婦のSTD及びHIV陽性率と妊婦STD及びHIVの出生児に与える影響に関する研究 H12-エイズ-002 66,125
9 12 14 木村 哲 東京大学医学部付属病院 教授 日和見感染症の治療に関する研究 H12-エイズ-004 63,000
10 12 14 出雲 周二 鹿児島大学医学部 教授 HIV等のレトロウイルスによる痴呆や神経障害の病態と治療に関する研究 H12-エイズ-005 29,000
11 12 14 坂田 洋一 自治医科大学分子病態研究部 教授 血友病の治療とその合併症の克服に関する研究 H12-エイズ-006 98,000
12 12 14 竹森 利忠 国立感染症研究所免疫部 部長 HIV感染予防に関する研究 H12-エイズ-007 102,000
13 12 14 岩本 愛吉 東京大学医科学研究所 教授 エイズ発症阻止に関する研究 H12-エイズ-008 98,000
14 12 14 白阪 琢磨 国立大阪病院免疫感染症科 部長 HIV感染症の医療体制に関する研究 H12-エイズ-009 110,000
15 12 14 今井 光信 神奈川県衛生研究所 部長 HIVの検査法と検査体制を確立するための研究 H12-エイズ-010 60,000
16 12 14 島尾 忠男 エイズ予防財団 理事長 HIV感染症の疫学に関する研究−世界のAIDSの流行格差の要因の分析 H12-エイズ-011 50,000
17 12 14 木原 正博 京都大学大学院医学研究科教授 教授 HIV感染症の動向と予防介入に関する社会疫学的研究 H12-エイズ-012 100,000
18 12 14 熊本 悦明 財団法人性の健康医学財団 会頭 ”性感染症としてのHIV感染”予防のための市民啓発を、各種情報メディアを通して具体的に実施実行する研究計画 H12-エイズ-013 5,000
19 12 14 武部 豊 国立感染症研究所エイズ研究センター 室長 東アジア及び太平洋沿岸地域におけるHIV感染症の疫学に関する研究 H12-エイズ-014 33,000
20 12 14 我妻 堯 国際厚生事業団 参与 エイズに関する非政府組織の活用に関するモデルプラン策定研究 H12-エイズ-015 36,000
21 12 14 池上 千寿子 ぷれいす東京 代表 エイズに関する普及啓発における非政府組織(NGO)の活用に関する研究 H12-エイズ-016 8,000
22 12 14 大石 敏寛 動くゲイとレズビアンの会 副代表理事 エイズに関する普及啓発における非政府組織(NGO)の活用に関する研究 H12-エイズ-017 7,000
23 12 14 五島真理為 HIVと人権・情報センター理事長 理事長 エイズに関する普及啓発における非政府組織(NGO)の活用に関する研究 H12-エイズ-018 5,000


○エイズ対策研究

研究課題 実施
期間
合計
金額
(千円)
主任研究者
所属施設
氏名
(1)専門的・
学術的観点
ア 研究目的の成果
イ 研究成果の学術的・国際的・社会的意義
(2)行政的観点
・ 期待される厚生労働行政に対する貢献度等。(実例により説明してください。審議会資料、予算要求策定の基礎資料としての活用予定などを含む。)
(3)その他の
社会的
インパクトなど
(予定を含む)
発表状況 特許 施策 (4)研究の成果が分かるホームページのURLなど
原著
論文
(件)
その

論文
(件)
口頭
発表

(件)
特許の出願及び取得状況 反映件数
HIV感染症の治療に関する研究(治療ガイドラインを含む) 平成12-14年度 331,112 国立国際医療センター
エイズ治療・研究開発センター
岡慎一 HIV感染症治療の問題点の克服と進歩を目的として班を構成したが、この中から、まもなく臨床応用可能な新薬(新規PIやCCR5阻害薬)、テトラマーを用いたHIV特異的CD8による新しい臨床評価指標、抗HIV治療の長期毒性として出現したlipodystrophy syndromeの診断基準などが特記すべき結果として得られた。これらは、J Biol Chem, J Virol, J Immunol, Lancetなど多くの欧文誌に掲載され国内外からも注目された。 成果をもとに「抗HIV治療ガイドライン」が策定され、全国に普及している。治療失敗例に出現する薬剤耐性ウイルスの検査法の開発とその臨床的有用性を明らかにし、今後薬剤耐性検査が保険適応を受けられるよう申請時の基礎資料とする予定である。 現在進行中の臨床試験(「IL-2を用いた免疫賦活療法」と「初感染者に対する計画的治療中断療法」)も結果次第では、新しい治療法を確立することとなり社会的インパクトは大きい。治療をモニターしていく上での指標として薬剤耐性検査も重要であるが、その臨床的意義に関する研究成果もこの分野を国内外においてリードしている。この班の中から発見された新薬は、まもなく米国で臨床試験が始まる予定であり、社会的貢献度は大きい。 140(英文のみ) なし 多数 6 1 http://www.acc.go.jp
妊産婦のHIV陽性率と妊婦STD及びHIVの出生児に与える影響に関する研究 平成12-14年度 227,549 新潟大学大学院医歯学総合研究科 田中憲一 妊娠婦人におけるSTDの感染状況について検討し25才未満の婦人にクラミジア、淋菌、HPVの陽性率が極めて高いことを明らかにし、今後若年世代におけるHIV感染の可能性が大きいことを示した。HIV陽性男性陰性女性夫婦に対し、妻が二次感染することなく妊娠しうるような技術を開発、臨床応用を行い10名の婦人が二次感染することなく妊娠、出産するという結果を得ている。妊娠婦人におけるHIV抗体検査の実施状況について全国調査を実施し、その実態を明らかにした。 妊娠婦人におけるSTDの蔓延状況が明らかになったことから、今後若年層に対するHIV検査実施の重要性が示された。HIV陽性男性陰性女性夫婦に対する妊娠補助技術の応用については、HIV陽性者(団体)に福音をもたらしており諸団体との対話の拡大が期待される。妊婦のHIV抗体に関する検討を通して、エイズ陽性婦人に対するマニュアルを作成し、一般臨床で応用されている。 妊娠婦人におけるSTDの蔓延状況の報告により、一般国民がHIV抗体検査の重要性を認知することが期待される。HIV陽性男性陰性女性夫婦に対する妊娠補助技術の応用については、HIV陽性者(団体)や一般国民からも注目され、今後の発展が期待されている。妊婦のHIV抗体に関する検討を通して、HIV陽性妊婦から出生した児の垂直感染予防法を確立し、全国的に定着するに至っている。 7 13 40 0 1 なし
日和見感染症の治療に関する研究 平成12-14年度 238,000 東京大学医学部附属病院 木村哲 HIV感染を認識していない者の数が絶対的にも相対的にも増加していることを明らかとした。潜在している感染者を早く見出すための啓発と、検査へのアクセスを良くするため、抜本的見直しが必要である。real-time PCR法で血液中のCMV-DNAを定量することにより、非常に高い確率でCMV感染症を診断できると共に、CMV感染症の発症を予知する方法を世界で初めて樹立した。これにより無駄な予防投与を減らすことができる。 日本ではいまだにHIV感染症/エイズの新規症例が増えている。最大の原因は感染者の潜在化であり、この感染者層を通じて感染が拡大し、エイズが発症している。この潜在感染者を掘り出すための行政的介入が必要であることを提言した。これらの感染者を見出し、教育・啓発し、HAARTを行うことにより感染拡大を防ぎ、エイズ発症を防ぐことができる。real-time PCRによるCMV感染症の発症予知は医療経済上、大変有意義である。 潜在的感染者が急増していることは社会的に重大な問題である。これらの層に十分な教育・啓発が浸透すれば感染の伝播を防ぐことができ、また HAARTを行えばHIV-RNA量が減り、他人への感染伝播の可能性も激減するなどの効果が期待できる。HIV感染症における結核の診療ガイドライン及びHIV共感染慢性B型・C型肝炎治療のガイドラインを作り、全国に配布し、HIV診療レベルの向上に貢献した。 166 34   0 1  
HIV 等のレトロウイルスによる痴呆や神経障害の病態と治療に関する研究 平成12-14年度 105,000 鹿児島大学医学部附属難治性ウイルス疾患研究センター 出雲周二 エイズ脳症は免疫不全とは独立した病態で、ウイルスの細胞指向性の違いによる独立した二つの病態があることを、サルエイズモデルの解析により、世界で初めて明らかにした。その結果を背景に全国疫学調査を行い、HAART導入後エイズ末期の亜急性脳症の病態は減少しているが、免疫不全未発症で脳症が生じる傾向があり、剖検例の解析ではHIV脳症の炎症性病理所見は減少しておらず、HIV脳症は慢性緩徐進行性疾患としてHAART下でも発症していることを明らかにした。 HAART導入により免疫不全の進行が阻止される中で、エイズ脳症の二つの病態のうち、免疫不全発症前に生じる緩徐進行性神経疾患としての脳症がHAART導入後の重要な病態になることを指摘した。エイズ脳症の社会的認知度は低いままであるが、エイズ脳症はHIV感染症の臨床上大きな問題となることが予想され、エイズ脳症の重要性の社会的認知度を高める行動として、エイズ学会でのサテライトシンポジウム、公開研究発表会を開催した。 エイズ脳症はエイズ末期に生じる中枢神経合併症の一つとして日和見感染症と同列に扱われてきたが、本研究により、エイズすなわち免疫不全がHAART導入などにより制御される中で、脳症は緩徐進行性の精神・運動障害として、免疫不全とは独立した疾患へと変貌することが予想された。HIV感染そのものは若年者を中心に増加傾向が続いており、臨床の現場における脳症への対応・対策や診断法、治療法の開発が必要である。 89 19 30 9 1 http://www.kufm.kagoshima-u.ac.jp/~ccvd/
http://www.kufm.kagoshima-u.ac.jp/~intmed3/ham.htm
血友病の治療とその合併症の克服に関する研究 平成12-14年度 298,000 自治医科大学 分子病態研究部 坂田洋一 欧米より10年は遅れている我が国の血友病遺伝子治療の基盤確立を目的に研究を展開した。血友病Aでは、我が国独自のSIVベクターを用いて、第VIII因子遺伝子の血液幹細胞、及び脂肪細胞への導入を試み、マウスで治療レベルの因子発現を得た。血友病Bでは、AAV-1ベクターを利用してサル骨格筋での高レベル因子発現に成功した。血友病インヒビタ対策も検討し、免疫寛容誘導に一定の成果を得た。成果は海外誌投稿レベルに達し、高い評価を受けつつある。 欧米より10年は遅れている我が国の血友病遺伝子治療の基盤確立を目的に研究を展開した。血友病Aでは、我が国独自のSIVベクターを用いて、第VIII因子遺伝子の血液幹細胞、及び脂肪細胞への導入を試み、マウスで治療レベルの因子発現を得た。血友病Bでは、AAV-1ベクターを利用してサル骨格筋での高レベル因子発現に成功した。血友病インヒビタ対策も検討し、免疫寛容誘導に一定の成果を得た。成果は海外誌投稿レベルに達し、高い評価を受けつつある。 遺伝子治療が成功するまで娘に子供を生むことを抑えている患者もいる。現在のcareを中心とした血友病治療にたいし、cureをもたらす唯一の治療として、遺伝子治療は期待されている。また、患者の5-10%近くに発症するインヒビタの治療は困難で、社会にとっても経済的負担は大きい。動物実験で、新生児に血友病因子に対する免疫寛容が誘導出来る可能性を示唆したことは、将来の臨床応用に大きな道を開くものと確信する。 52 65 132 1 1  
HIV感染予防に関する研究 平成12-14年度 317,000 国立感染症研究所 免疫部 竹森利忠 1. 安全性の高いエイズワクチンを開発し、サルエイズモデルでの急性発症を防御することに成功した。また治療用弱毒生ワクチン候補を確立した。
2. エイズウィルスの病原性を決定する因子を明らかにした。
3. HIV感染防御に関わると思われる宿主因子を明らかにした。更に病態の解析やワクチンデザインに必要となる細胞傷害性T細胞エピトープを同定した。
これらの成果は、J. Virol., J. Immunol.等の海外の一流雑誌に掲載された。
エイズ克服には教育を含めた社会環境の整備、予防ワクチン、薬剤治療の伝播が必要である。中国等アジア近隣諸国のエイズ感染者数の爆発的な増加と国内感染者の増加を鑑み、特にエイズワクチン開発は重要課題である。  本班で開発されたワクチンは安全性と有効性から現在の時点で世界の当該分野をリードしている。またエイズ感染防御に関わる因子の発見は感染病態の予後や治療に有用である。
研究班の成果が教育医療新聞に掲載された。
114 26 298 17 1  
エイズ発症阻止に関する研究 平成12-14年度 298,000 東京大学医科学研究所 岩本愛吉 ヒトゲノム多型性CCR2 V64IがHIV感染症の病態進行に関わる分子機構を明らかにした.HIV特異的CTL解析ツールの作製法を独自に開発した.HIV感染症における神経細胞死にTRAILが重要な役割をすることを発見した. 経口投与可能なX4ウイルス阻害薬及びX4ウイルスR5ウイルス両者に効果を示す新規化合物を発見した.成果は,JEM,JVなどの国際的専門誌に多数掲載された. 基礎研究の成果を直接厚生労働行政に反映することは難しいが, HIV感染症に関わるヒトゲノム多型性の解析やHLAによって規定される細胞性免疫の研究過程と成果は,民族差の研究でもあり,厚生労働省国際課国際協力室やJICAの行う保健医療分野の国際協力に大いに貢献している.HIV感染症の基礎研究をレベルアップすることは,当該疾患の医療レベルの向上に不可欠であり,間接的に厚生労働行政に深く貢献している. HIV感染症に関わるヒトゲノム解析分野では国際的にも評価が高く,わが国の当該分野をリードしている.日本人のように遺伝的背景の均一な集団では,HIV特異的CTLからエスケープしたウイルスが流行している証拠を挙げつつあり,大きな社会的インパクトを与えるであろう.HIV感染症における神経細胞アポトーシスの研究やウイルスと細胞の融合阻止を狙った新規の抗HIV薬開発でも,わが国当該分野をリードしている 207(欧文)   20(国際学会)
28以上(国内学会)
8 1 なし
HIV感染症の医療体制に関する研究 平成12-14年度 425,000 国立大阪病院臨床研究部ウイルス研究室 白阪琢磨 ア わが国のHIV医療体制の基礎と課題を明らかにした。
イ 成果は日本エイズ学会を中心に発表し、一部は国際学会でも発表した。HIV診療に必要な情報の提供、ツールの開発を行い、拠点病院などでのHIV診療に大きく役立った。
HIV医療における重要なガイドライン、ハンドブックを作成(カウンセリング活用の手引き、身体障害者手帳制度の運用に付いて、外国人HIV診療ガイドライン、カラアトラス日本HIVエイズ口腔症状、HIV/AIDS歯科医療における院内感染予防の実際、対訳エイズマニュアル、クスリカード、HIV感染症マニュアル)し、HIV診療に大いに役立った。 研究の推進でブロック拠点病院を中心としたHIV医療体制を充実でき、ある程度、確立できた。しかしながら現存する未解決の課題と将来の患者数増に対応するには現存の体制では不十分と推定された。 22 74 190 0 2 HIV関連マニュアルhttp://info.med.hokudai.ac.jp/hiv
東北ブロックAIDS/HIV情報ページhttp://www2.odn.ne.jp/~kokusen/aidspage/toppage.htm
関東甲信越HIV・AIDS情報ネットhttp://www.kkse-net.jp/
近畿HIV/AIDSセンターhttp//www.onh.go.jp/khac/
中四国エイズセンターhttp://www.aids-chushi.or.jp/
九州ブロックエイズ拠点病院http://www3.coara.or.jp/%7Ekmc/aids/index.html
エイズ北陸ブロック拠点病院 ふれあいCommunicationhttp://www.ipch.jp/aids
HIVの検査法と検査体制を確立するための研究 平成12-14年度 201,000 神奈川県衛生研究所 ウイルス部 今井光信 新たに開発したプール遠心濃縮によるHIVの遺伝子検査法やHIV抗体の即日検査を保健所等のHIV検査に試験的に導入するモデル実験を行い、その有用性を明らかにした。HIVの薬剤耐性検査法(ジェノタイプとフェノタイプ)、HIV感染細胞の検出法、HIV-DNAの測定法等を開発・検討・改良し、臨床応用研究で有用性を明らかにすると共にその検査体制を構築した。成果は、各種専門誌・国際学会で発表され注目された。 保健所等のHIV検査体制の現状と問題点について明らかにし、今後のあり方を提言した。また、解決策の具体例として、NAT検査や即日検査を試験的に導入するモデル実験を行い、HIV検査希望者が大幅に増加すること、HIV検査希望者のニーズに合った検査体制の必要性を実証した。HIV感染者の抗HIV薬治療に必要な薬剤耐性検査(ジェノタイプ)を技術的にはほぼ実施出来る検査体制を確立できた。 研究の一環として、保健所等のHIV検査に関する詳細情報を地図付きで詳しく紹介するホームページ“HIV検査・相談マップ”を開設し、マスコミや各種印刷物を用いその広報に努めた結果、積算のアクセス数は40万件を超え(1日1000前後のアクセス)、また、即日検査実施クリニックの受検者の約8割がこのホームページを見て検査を受けているなど、HIV検査の普及に極めてインパクトがあった。 38 40 130 2 2 http://www.hivkensa.com
HIV感染症の疫学に関する研究−世界のAIDSの流行格差の要因の分析 平成12-14年度 105,000 財団法人 エイズ予防財団 島尾忠男  本研究班では、地球規模で流行しているHIV/AIDSの流行について、その疫学的流行と要因を明らかにした。世界の地域ごとの流行状況の分析のほか、分析を通じ流行の広がり方の法則性、また結核とHIVの関係からHIV感染率を推計する方法など、今後のエイズ対策を考える上で貴重な資料・データを提供した。 世界、特に日本とも関係の深い近隣国の動向と背景の分析や、現在の日本のエイズの流行状況の客観的把握と予測、そのターニングポイントとなる点など今後のわが国のエイズ対策に大いに貢献すると思われる。 女性の感染者の男性との比などの分析から、日本のエイズ感染の様相が、特定のいわゆるハイリスクグループから、一般集団に広がりつつある兆候を指摘するなど、社会に警鐘を示した。 8 15 15 0 1 http://api-net.jfap.or.jp/siryou/siryou_Frame.htm
HIV感染症の動向と予防介入に関する社会疫学的研究 平成12-14年度 337,000 京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻 木原正博 HIV流行の現状推計値と近未来(5年後)・中長期(10年後)予測値を示し、HIV感染者の受療動向と医療費調査から、流行の医療経済負荷を示した。若者、同性愛者、移民等について、大規模かつ学際的な性行動研究と予防介入研究を行い、わが国で初めて行動変容のエビデンスを示した。日本型流行の特質や性行動の文化的特徴を示したことは学術的、国際的に重要で、また予防介入の現実的展望を示したことの社会的意義は大きい。 現状推計、流行予測、医療経済的分析は、流行の真の動向や社会負荷に関する見通しを与え、対策を行うタイミング、投資効果を判断する際の基礎資料となる。緻密な性行動研究と大規模予防介入研究の成果は、社会に直接適用可能な予防対策の現実的モデルを提示する。これらの情報は、2003年までに日本が国連に提出する国家エイズ対策戦略を検討する場合の基礎資料となり得る。 研究成果の中でも、流行予測、若者の性行動調査、予防介入研究の成果は、数多くの学術誌等の依頼論文、あるいは新聞・テレビ・雑誌等で、広く普及しつつあり、エイズや若者の性行動問題に対する社会の認識を高める役割を果たし、保健・教育関係者、保護者団体からの強い関心が寄せられている。 22 46 94 0 1 http://www.acc.go.jp/kenkyu/ekigaku/eki_menu.htm
“性感染症としてのHIV感染”予防のための市民啓発を、各種情報メディアを通して具体的に実施実行する研究計画 平成12-14年度 40,000 (財)性の健康医学財団 熊本悦明 (1) 専門的・学術的観点
薬害エイズにおける人権問題への社会的関心が薄れるにつれ、社会的にエイズへの関心が最近著しく低下してきている。それは今や近隣の中国を始めエイズの大流行が近づいているにも拘らず、“性感染としてのエイズ”を社会的に認めようとしないからである。その社会的偏見を是正するための啓蒙研究であり、その偏見の厚い壁の一部に、ある程度切り込み得たと考えている。国際的にはこの日本の偏見は笑止なパターンであり、その「性感染症としてのエイズ」を予防するには、先ず従来からの性感染症であり現在大流行している「性器クラミジア感染症」の予防啓蒙、コンドーム使用啓蒙指導以外にはない。我々の研究は少しずつでも社会的な関心、情報メディア・ジャーナリズムでの認知・報道頻度の改善につながって来つつある。
(2)  行政的観点
4年前の感染症新法の際作製されたエイズ及び性感染症に対する特定感染症治療指導指針(大臣告示として出されている)にかなり的確に強調されているコンドーム使用啓蒙活動が、残念ながら厚生行政ではあまり具体的に実施されていなかった点に、警告的研究となり、2002年度より行政主導の「エイズ予防のためのコンドーム使用のすすめ」の各種情報メディアを通じてのキャンペーン開始に貢献できたものと信じている。
(3)  その他の社会的インパクト
我々の啓発研究に社会的関心が少しずつ高まり、例えばテレビ、新聞、週刊誌、月刊雑誌等での性感染症/エイズ関連記事が増え始めつつある。また各種団体・機関・学校等での性感染症/エイズに関する講演回数も増加しつつある。
この流れが、今にも押し寄せて来つつある中国を始めとする近隣アジア諸国からのエイズのひそかな一般人口への浸透を少しでも防止できればと願っている。
9 10 35 0 30 http://www.jfshm.org
東アジア及び太平洋沿岸地域におけるHIV感染症の疫学に関する研究 平成12-14年度 83,000 国立感染症研究所 エイズ研究センター 武部豊 アジアにおけるHIV流行の分子疫学的解析を進め、その結果、中国南西部および隣接するミャンマー北中部に、多様な組換えウイルスが新生する世界的にもユニークな「ホットスポット」を発見した。本成果は、AIDS, J. Virol. 等の雑誌に掲載され、国内外から大きな反響があった。特に「Titanic Peril」と形容される中国における危機的なエイズ新興流行のメカニズムの解明に迫る先駆的研究成果として国際的な注目を集めた。 東アジアのHIV流行の把握は日本国内の感染拡大防止に資するものである。本研究成果は、我が国におけるHIV感染症の現況と将来動向の把握に科学的基盤を与えるものであり、また我が国を含むアジア地域を標的とするワクチン開発戦略、薬剤耐性変異のモニタリングなどHIV感染症の予防・制圧に向けた対策・予算要求策定の基礎資料として活用できるものと期待される。また、開発途上国との共同研究ネットワークの確立、途上国若手研究者の育成などを通じて保健医療行政上の国際貢献を果たしてきた。 我が国を含むアジア地域の流行の原因となっているウイルス株(CRF01_AEおよびCRF08_BC)の感染性分子クローンの分離に世界に先駆けて成功し、今後のワクチン開発や新規技術開発に向けた基礎研究の展開への重要な足掛かりを得るなど、アジアにおける爆発的流行の動因となっているアジア型HIV-1 variantsに関する研究は、我が国だけでなく世界の当該分野をリードする形に発展している。 33 22 65 3 2 http://www.nih.go.jp/niid/,
http://mhlw.go.jp/
エイズに関する非政府組織の活用に関するモデルプラン策定研究 平成12-14年度 126,000 社団法人国際厚生事業団 我妻堯 我が国のNGOの活動の実態とその効果を明らかにし、また、行政的手法との違いを研究することにより、行政的手法の効果が発揮される分野とNGO的手法の効果が発揮される分野とに如何なる差異があるかが明確になり、今後におけるそれぞれの効率的な役割分担を提案することを目指した。また、諸外国のNGOの活用の実際を研究することにより、NGOを活用する上でのメリット及びデメリット、注意すべき点、検討すべき基準等をある程度明確にすることができたと考えている。 今回提案した「Strategic Framework」(戦略的枠組)は評価の基本的考え方の一般論であり、「NPOの経営の改善法」「NPOの機能の評価法」「NPOとの契約の方法」等は具体的な評価の一手法として提案した。今後、これらの基準が活用されることが望まれる。 本研究により、非営利団体のサービスの同定と非営利団体の評価および選定方法が開発されたと考えられる。 21 0 19 0 1 www.jicwels.or.jp
(作業中)
エイズに関する普及啓発における非政府組織(NGO)の活用に関する研究 平成12-14年度 20,000 特定非営利活動法人ぷれいす東京 池上千寿子 青少年の保健行動を阻害する意識・態度要因を男女別及び関係性別(同性間)に調査・分析した。既存の啓発パンフレット及びメディアが発する性情報について青少年の保健行動への影響を分析した。研究結果をもとに保健行動促進に有効なメッセージを抽出し、映像教材パイロット版や現場で使えるテキストを作成した。行動科学理論にもとづき性別や関係性による態度要因にふみこんだ研究は始めてである。 従来の普及啓発は、青少年一般が対象であったが、安全な行動への変容を促進するには性別によるニーズのちがいを明らかにした。今後行政がきめこまかな対策をたてるためのエビデンスとなる。映像教材やテキストは保健所等の啓発現場ですぐに役立つものであり、行政との連携による学校でのプログラム展開に研究成果が活かされている。 研究成果をもとにして青少年自身が啓発プログラムを開発し実践している。同時に現場の教員や行政の保健担当者への指導、支援を定期的に実施し手居る。企業やメディアと連携して除しようコンドームパッケージの開発につなげるなど、多様なセクターと現場及び研究とが有機的に連携している研究はまれであり、現実に役立つ社会的研究のモデルとなりうる。、 6 10 10 0 1 準備中
エイズに関する普及啓発における非政府組織(NGO)の活用に関する研究 平成12-14年度 29,000 特定非営利活動法人 動くゲイとレズビアンの会 大石敏寛 日本における男性同性愛者のHIV感染リスク要因を知識・心理・社会的背景を含めた質問票調査によって明らかにした。その調査結果によって規定された要因にもとづいて6つの予防啓発手法が開発された。その中の「小集団ワークショップ手法」の効果評価では、知識の向上、予防技術の向上、予防についてのイメージの改善、自己効力感の向上が達成され、リスク行動を有意に減少させることができた。 男性同性間でのHIV感染の増加が危惧される中、行政施策としては、個別施策層として施策の位置付けがなされている。個別施策層対策の具体的な手法の開発が緊急を要する中で、本研究によって開発された男性同性愛者を対象とするエイズ予防啓発手法は、5つの地方自治体の行政施策に採用された。 本研究の3年間の研究経過は、対象層への体系的なリスク要因のアセスメント(査定)、査定結果の啓発への反映、啓発の事後評価という一連のプロセスを実現した。これらの研究結果は、他の保健行動に関係する諸課題にとって必要な共通の枠組みであり、示唆を与えるものである。 0 4 31 0 5  
エイズに関する普及啓発における非政府組織(NGO)の活用に関する研究 平成12-14年度 18,000 特定非営利活動法人 HIVと人権・情報センター 五島真理為 保健所および自治体の多くがAIDS-NGOを社会資源として認識していながら実際に活用している機関は少ないのは必要な情報が十分に普及していないためであることが明らかとなった。若者相互の啓発プログラムの参加者には知識や理解だけでなく態度の変化も確認された。また、HIV陽性者の多くが栄養支援、また歯科受療・口腔保健管理を必要としながら十分な機会が得られずNGOの関わりが重要であることが示された。 作成したNGO活用のマニュアルならびにNGO活用事例集は、AIDSに関する予防啓発、人権意識の啓発におけるNGO活用促進に資すると期待でき、また若者相互の啓発プログラム(YSP)は文部科学省が提唱する「生きる力」を育む格好のテーマである生命・人権・健康に深くかかわるAIDSについて、教育現場におけるNGO、保健所と学校との連携のあり方に大きな可能性を提供している。 訪問栄養支援と口腔保健管理ニーズに関する調査結果をもとに、重要と把握された内容に関する情報やイラストを盛りこんだ感染者・患者用の冊子「栄養と滋養」、、NGOを基盤としたHIV陽性者の口腔保健管理のための冊子「健康は健口から」および「訪問栄養支援担当者用マニュアル」は、HIV感染者・家族にたいする行政とAIDS/NGOの相互の特性を活かした支援体制の構築に資すると期待される。 1 8 35 0 1 www.npo-jhc.com
エイズ対策研究事業の企画と評価に関する研究 平成14年度 25,000 国立感染症研究所 エイズ研究センター 山本直樹 エイズ対策研究事業のための検討会と研究成果発表会を開催し、平成15年度公募研究課題案と組織の設定、研究者の選考及び研究費の配分額の決定、及び研究成果の評価などの項目について検討し、提言を行った。成果は、厚生労働科学研究費補助金エイズ対策研究事業の適正かつ円滑な実施を図ることを可能にするとともに、国際的にも貢献できる研究の推進に寄与した。 研究成果は、冊子として報告書にまとめられた。限られたリソースとしての研究費が今後のわが国のエイズ対策研究事業に適正に使用、配分されるための基礎データとして、今後有効に活用されるものと期待される。 エイズ克服のため、基礎研究、臨床研究、更には、社会医学的研究など、巾広い分野における研究が順調な発展を遂げている。 2 0 0 0 1  
  ※本研究課題における研究班全体の成果、予定を含む
※施策への反映状況・件数は、幅広く記述する。


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