03/04/28 第4回厚生科学審議会生活環境水道部会議事録                    第4回              厚生科学審議会生活環境水道部会                    議事録                厚生労働省健康局水道課          第4回厚生科学審議会生活環境水道部会議事次第  日時 平成15年4月28日(月) 10:00〜11:16  場所 第5合同庁舎専用第21会議室  出席委員(敬称略)  赤川正和、安藤正典、池田耕一、遠藤誠作、大井田隆、大垣真一郎  岡部信彦、坂上恭助、佐々木弘、佐野真理子、澤節子、原隆之、眞柄泰基松井三郎、  矢口雅彦 1.開会 2.議事   (1) 水質基準の見直し等について   (2) その他 3.閉会 ○谷津水道課長  おはようございます。定刻となりましたので、ただいまから厚生科学審議会生活環境 水道部会を開催させていただきたいと思います。  委員の皆様には御多用の中、また、連休の谷間という日程にもかかわらずお集まりい ただきまして、大変ありがとうございます。  まず、委員の出席状況でございますが、ただいま14名の委員の御出席でございます。 池田委員におかれましては、若干遅れてということのようでございますが、現在既に定 足数に達しております。  では、まず、議事に先立ちまして、高原健康局長よりごあいさつを申し上げます。 ○高原健康局長  おはようございます。健康局長の高原でございます。第4回厚生科学審議会生活環境 水道部会の開催に当たりまして、一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、委員の皆様方におかれましては、連休の全く谷間にもかかわらず御出席いた だき、厚く御礼申し上げます。また、日ごろから水道行政及び生活衛生行政の推進につ きまして、格段の御支援、御協力を賜りまして、重ねてお礼申し上げます。  さて、3月に開催されました第3回生活環境水道部会におきましては、水質管理専門 委員会報告案につきまして、大変貴重な御意見をいただきました。これを踏まえました 上で、報告案につきまして3月半ばから1か月の間、広く各界から御意見を募りました ところ、105の団体や個人から402項目にわたりまして御意見、御要望が寄せられまし た。改めて水道に対します関心の高さを認識しました次第でございます。私どもといた しましては本部会の御報告を基に、水質基準の改正など速やかに必要な措置を講じまし て、安全でおいしい水道水を安定して供給できるよう、水道の水質管理施策を一層充実 させてまいりたいと考えております。本日は意見募集の結果も踏まえた上で、先週21日 にまとめられた水質管理専門委員会の最終報告について御審議いただきまして、答申と してお取りまとめいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。  委員の皆様方には、今後とも引き続き水道行政及び生活衛生行政の推進につきまし て、御協力を賜りますようお願い申し上げまして、ごあいさつに代えさせていただきた いと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 ○谷津水道課長  それでは、議事に入ります前に、事務局より配付資料の確認をさせていただきたいと 思います。 ○松田課長補佐  それでは、配付資料の確認をさせていただきます。  1枚目が議事次第となっております。  1枚おめくりいただきまして、資料1「第3回厚生科学審議会生活環境水道部会議事 録」でございます。  資料2『「水質基準の見直し等について(案)」に対する意見及びその回答』でござ います。  資料3「水質基準の見直し等について」でございます。  資料4 生活環境水道部会の報告案でございます。  参考資料を添付してございまして、参考資料1「WHO水道水質ガイドライン第3版 専門家最終会合報告」でございます。  参考資料2「農薬類分析法一覧」は、農薬類を個別に記載したものでございます。  参考資料3『「水質基準の見直し等について(案)」に対する御意見募集について全 意見集計表』ということで、すべての意見を載せてございます。  資料は以上でございます。 ○谷津水道課長  もし足りないもの等ございましたら、事務局までお申し付けいただければと思いま す。  それでは、以降の議事進行は眞柄部会長にお願いしたいと思います。 ○眞柄部会長  先ほど高原局長からお話がございましたように、お忙しい中、また連休の中、部会に 御出席いただきましてありがとうございました。  4月21日に水質管理専門委員会が開催されまして、いわゆるパブリック・オピニオン の意見に対する回答とその扱いについて検討いたしまして、資料3にございますような 専門委員会の報告が作成されましたので、これについて本日ご検討をいただきたいと思 います。よろしくお願いします。  まず、議題に入ります前に、資料1に前回の生活環境水道部会議事録がございます が、これにつきましては委員の方々に既に目を通していただいておりますので、特に大 きな間違いはないと思います。もし何かお気づきの点がありましたら、後ほどお申し出 いただきたいと思います。  それでは、早速議事に入らせていただきます。議題の1でございますが、まず最初 に、基準の見直しということでございますが、パブリック・オピニオンに対する意見及 びその回答につきまして、専門委員会で取りまとめたものを御説明いたしたいと思いま すので、よろしくお願いします。また、参考資料に個別表がございますので、適宜御参 照いただければと存じます。  それでは、事務局から資料2に基づいて御説明をいただきたいと思います。お願いし ます。 ○岸部水道水質管理官  「水質基準の見直し等について」と題します水質管理専門委員会報告につきまして は、去る3月3日の専門委員会におきまして報告案を取りまとめ、3月11日の本部会に おいて御報告を申し上げたところでございます。その3月11日の本部会で御指摘が何点 かございました。「基本的考え方」のところでPRTR関係の記述を追加すべきである、あ るいは農薬の目標値をどういうふうに設定したかの説明が不足している、それから、 「水質検査計画」のところで図が余り適切でないなどの御指摘をいただきました。それ から、最後の「今後の課題」のところで、農業担当部局などとの連携の記述が必要であ ろうというような御指摘もいただきました。そういった御指摘を踏まえて、3月3日の 専門委員会で取りまとめた案を修正いたしまして、3月14日から今月13日まで1ヶ月間に わたり厚生労働省のホームページ上で広く各界から意見の募集を行いました。その結 果、先ほど局長の方からもお話し申し上げましたけれども、105の団体・個人から402項 目にわたる意見、要望、質問などが寄せられたところでございます。具体的な質問、要 望につきましては、参考資料3に受付け順ですべて掲載してございます。  これらの要望、質問などには、水道法自体に対する質問あるいは私どもの過去の行政 通知に関する質問あるいは補助制度の要望など、報告案の内容に直接関連しないものも 多いということがございました。そのため、報告案の内容に関係するような意見、要 望、質問などに限りまして、その主要なものを要約して紹介し、それに対して専門委員 会の考え方を示すというような形でとりまとめられたものが資料2でございます。  なお、用字法につきましてもいろいろ御指摘をいただきました。それから、ここで使 われている化学物質名については、IUPAC名を用いるべきなどの御指摘をいただきまし た。用字法につきましては、一つ一つこの資料では回答してございませんが、担当の委 員と事務局で再度見直しして修正してございます。ただ、化学物質名につきましては、 これまで慣用名で議論してきたものですから、その混乱を避けるために、本報告では慣 用名で整理させていただくということでございます。当然のことながら、この報告を受 けまして私どもが行政措置をとる場合には、化学物質名につきましてはIUPAC名で整理 をさせていただきたいと考えてございます。  早速、具体的な意見とそれに対する回答についてご説明させていただきます。  第1章「基本的考え方」について何点か御指摘、御要望がございました。1点目は、 水道水源の保全対策についても言及すべきであるというような御指摘でございますけれ ども、これにつきましては、水道水源の保全というのは重要な問題であって、この専門 委員会報告においても適宜、言及しているというお答えでございます。  2点目として、水道財政の圧迫で逐次改正には対応できない、あるいは自己検査体制 の崩壊が懸念されるという御指摘でございます。これにつきましては、財政事情の悪化 というのは承知していますが、安全な水の供給というのが水道の一番重要なポイントで ございます。従って最新の科学的知見に照らして適宜、基準改定を行っていくべきであ るということでございます。それから、自己検査体制につきましては、第6章で言及し ていますが、水質検査というのは近年高いレベルが求められるようになってきており、 自己検査体制を維持すべきかあるいは委託すべきか、各水道事業者の状況に応じて十分 検討いただく必要があるというお答えでございます。  それから、水質検査計画の実効性を高める観点から、その策定は法律事項とすべきで あるという御指摘でございます。これについては、私ども何らかの法令上の措置をとり たいと思います。ただ、法律改正というのはなかなか難しいのではないかということで ございます。専門員委員会としては、行政において適切な措置がとられると理解してい るというお答えでございます。  第2章「病原微生物に係る水質基準」でございます。  今回の専門委員会報告では、「大腸菌群」を「大腸菌」に変更するという提言をいた だいております。それであるならば「一般細菌」も「従属栄養細菌」に変更すべきであ るという御意見でございます。今回の報告案では、水道の品質保証という観点から、糞 便性汚染の検知として大腸菌を採用し、現存量としては「一般細菌」の代わりに「従属 栄養細菌」に変更すべきであると考えている。ただ、データが十分集積されていないの で、当面「一般細菌」を維持する。ということでございます。当然のことながら、工程 管理のために必要な場合には、大腸菌群も併せて検査することが望ましいということで ございます。  次に、第3章「化学物質に係る水質基準」でございます。「人の健康の保護のための 項目」と「生活上の支障を生ずる項目」とでは性格が異なっているので、その性格に応 じた位置付けを区別すべきであるという御指摘でございます。答えといたしまして、現 在の制度上、水質基準というのは人の健康の保護、生活利便上の観点から基準が設定さ れる。ただ、その扱いについては同列に扱うべきものと考えられるので、この報告書で もそういうふうに扱っているということでございます。ただ、人の健康の保護と生活上 の支障を生ずる項目について分けるということについては専門委員会でも御議論がござ いまして、「今後の課題」として検討すべきという提言になってございます。  それから、水質管理目標設定項目についても検査など一定の義務付けをする必要があ るという御指摘でございます。専門委員会の報告としましては、水質管理目標設定項目 というのは義務付けが必要ない項目であるという分類でございますので、義務付けは必 要ないというお答えでございます。ただ、これらについても必要なものについては自主 的に検査を行うことが望ましいということで、優先度の高い項目を掲げてございます。  要検討項目について何点か御指摘がございました。要検討項目につきましては現段階 では情報が不足しているなどの理由から、水道事業者あるいは国民に提示して注意喚起 を行うまでに至らない物質、もう少し具体的に言えば、情報収集など今後行政的に検討 していく物質というようなことでございます。そうは言いましても、情報公開の観点か ら今回お示ししたということでお答えしてございます。  それから、今回の専門委員会報告では水質検査の省略ということを打ち出してござい ます。その中では、省略することができない項目と水道事業者の判断によって省略でき る項目に分かれておりますけれども、水質検査計画など住民同意を条件とするならば、 省略できない項目についても水道事業者の裁量に委ねてもよいのではないか。今回、提 言いただきました50項目すべてについて、その省略の可否を水道事業者が判断してもい いのではないかという御指摘でございます。それに対して本報告で、省略不可項目とし て提示しているのは、病原微生物による汚染を疑わせる項目、それから、消毒剤・消毒 副生成物に関する項目である。これらについては、すべての水道事業者において検査を してもらう必要があるということでございまして、この省略不可項目については水道事 業者の判断に委ねることはできないというお答えでございます。  それから、省略項目の選定は非常に難しいということ、それから、検出しないという ことで安心感や安全性が担保されるということで、省略についても全国一律とすべきで あるというようなご指摘でございます。専門委員会のお答えとしては、省略項目の選定 というのは原水の状況や浄水処理過程などについて十分検討する必要がある。ただこう いった検討を行うことが水質管理の質の向上に寄与すると考えているので、専門委員会 としては本報告で示した柔軟性については維持すべきであるという回答でございます。  それから、シアンについては従来どおり省略不可項目から外すべきではないかという 御指摘でございますけれども、答えといたしまして、シアンについては消毒副生成物と いう側面があるということから、先ほどの基準に従いまして省略不可項目としたという ことでございます。  次に、1,4−ジオキサンは上水試験法にも登載されておらず、いきなり水質基準とな るのは段階を踏んでいないのではないか。監視項目となっていないクロロ酢酸がいきな り基準となるのはおかしいのではないかという御指摘でございます。これについては、 上水試験法あるいは監視項目といったものに登載することが水質基準にする条件ではご ざいません。そういったことから、「水質基準の設定手続きに関して誤解されているよ うですが」ということで、必要があれば水質基準として設定するというようなことでご ざいます。  あとは、臭素酸の関係で、測定に必要な機器が1社のものに限定されるので、現段階 で基準設定とするのは問題ではないかというようなこと、あるいはこの機器の導入とい うのが余り普及していないので、基準から削除すべきではないかというような御指摘で ございます。機器の普及につきましては、普及していないから基準にしないというのは 人の健康確保の観点からとれないということでございます。それから、1社のみの機器 しか測定できないというようなことはないという確認をしているということでございま す。  それから、臭素酸につきましては、従来オゾン処理を行う浄水場に関心がいっていた わけですが、消毒剤として用いられております次亜塩素酸ナトリウムの不純物として 入っているということで、施設基準を見直してほしいということでございます。これに ついては専門委員会でも把握してございまして、私どもにおいても適切に措置したいと 考えております。  オゾン活性炭処理を行っている浄水場ですが、臭素酸の制御方法が確立されるまでは 水質基準とすることを猶予してほしいということでございます。今回提示しました0.01 mg/Lという数字は、WHOにおきましても、本委員会の専門家におきましても、達成可 能な水準というようなことでございますので、猶予は必要ないだろうということでござ います。  アルミニウムについては基準値以下で運転が困難なので、水質管理目標としてほしい ということでございます。アルミニウムについては、既に10年以上快適水質項目として 指導しているということ、それから、本来ならば0.1mg/Lという数字で議論をしたわけ ですが、実際の処理過程を踏まえて0.2mg/Lという数字に修正したということで、目標 項目とする必要はないということでございます。  銅は省略しまして、6ページでございますけれども、ジェオスミン、2−メチルイソ ボルネオール、水道水のカビ臭の原因物質でございます。これについては、施設改善が 必要なため水質管理目標と設定すべき、水質基準とすべきではないという御指摘でござ います。それから、健康項目ではなく生活利便上の要請から設定されているので、水質 基準ではなく水質管理目標とすべきであるということ。それから、十分な経過措置と財 政的支援が必要であるというような、3つの観点から御指摘がございます。いずれにし ろ、施設改善が必要だからといって管理目標とするということではなく、現に異臭味被 害が発生しているということで法的な水質基準とすべきであるというお答えでございま す。それから、臭いの観点だからといって水質基準とせず、水質管理目標と設定すると いうのは理由がないということでございます。施設整備についての財政支援措置でござ いますけれども、既に厚生労働省の施設整備補助で従前から補助対象となっておるとこ ろでございます。経過措置については、どの程度が適切かは別として、本報告では経過 措置を設けるなど規制の円滑な実施のために適切な経過措置をとるべきとしているとい うようなお答えでございます。  次は先ほどと同じですので省略をさせていただきまして、次に、非イオン界面活性剤 の関係でございます。1点は、基準値が達成できないので、対応がとれるまで水質基準 としないでほしいということでございますけれども、非イオン界面活性剤につきまして も、今回の基本的考え方に照らして水質基準に該当すべきものであると判断したので、 水質基準とするというお答えでございます。  あとは技術的な問題でございますので省略をさせていただきます。  次に、7ページでございますけれども、約100年と長い間用いられてきた過マンガン 酸カリウム消費量をTOCに切り替える必要はないのではないかという御指摘でござい ます。この点につきましては、この報告書で詳述しておりますけれども、有機物指標と してはTOCの優位性は明らかであるということで、この機会にTOCに変更すべきで あると考えるのが本専門委員会の考え方でございます。  8ページの農薬関連でございます。現在、水質基準項目とされている農薬について は、基準として維持すべきであるというような御指摘でございます。これにつきまして は、私ども水質基準に分類するために設定いたしましたクライテリアから判断して、水 質基準に該当しないということで削除したものでございます。今後、その農薬の使用形 態等によって私どもが設定いたしましたクライテリアに該当すれば、水質基準として再 設定するということでございます。  ニッケルや農薬補助成分などについても水質基準に位置付けるべきであるということ でございます。こういったことについても、私どものクライテリアに該当すれば水質基 準に設定するということでございます。  農薬につきましては総農薬方式ということで、101の農薬をこの報告書では提示して ございますけれども、その把握方法とか分析方法の提示をお願いしたい、測定項目を指 定すべきであるという2点の御指摘でございます。測定方法につきましては、本日資料 にございますが、基本的な測定方法につきましては、参考資料2に掲げている方法で検 査が可能であるということでございます。現在、間違いないよう再確認の作業を進めて いるところでございます。それから、測定項目ですが各農薬につきましては水道事業者 の状況によって違いますので、各地域で使用される農薬については農協などで配付して いる資料などで確実に把握し、その上で、検査をしていただくということでございま す。既にこのような方法で実施している水道事業体もございます。  8ページの下からでございますけれども、塩素酸についての問い合わせでございま す。塩素酸0.6mg/Lというものを設定いたしますと、実質的に二酸化塩素処理ができな くなるというような御指摘でございます。二酸化塩素処理をした場合に副生成物として 塩素酸が生ずるわけですが、その塩素酸の処理を濃度0.6mg/Lでコントロールするとい うのは現在の技術では難しいという御指摘でございます。専門委員会の御議論では、塩 素酸に関しての評価値の設定というのは問題ないだろうということでございます。それ から、WHOにおきましても、今回新たに塩素酸についてガイドライン値0.7mg/Lが設 定されております。そういったことから、この専門委員会といたしましては、水質管理 目標設定項目とすることが適切ということでございます。  次の「水質検査方法」でございます。これは基本的に技術的なところでございますけ れども、1点だけ最初の「○」と次の「○」でございますが、吸光光度法についての御 指摘がございます。吸光光度法につきましては、基本的に今回の報告では採用していな いということでございます。その理由といたしまして、本報告では確度の高い方法を採 用する必要がある。一般論として、吸光光度法の場合は選択性の問題から必ずしも確度 の高い方法とは言えない。測定技術の進展に応じて、より確度の高い方法があるのであ れば、そちらに移行していくべきであるという基本的な考え方でございます。そういっ た考え方から、基本的に吸光光度法というのは水質検査の検査法としては削除するとい うことでございます。ちなみに、場合によっては有害物質を使用しているものもあると いうことで、そのような観点からも吸光光度法は削除するということでございます。  それから、14ページ「クリプトスポリジウム等の耐塩素性病原微生物対策」でござい ます。塩素耐性微生物対策として、ろ過の実施というものを専門委員会報告では提言し ているわけでございますけれども、この御指摘は、ろ過施設の設置は水道法に基づく措 置という位置付けとはせず、対策指針に基づくものとして位置付けてほしいということ でございます。また、仮に水道法に基づく措置とする場合は、十分な経過措置を設けて ほしいということでございます。これについては一部誤解があるようですが、ろ過施設 の設置につきましては、既に平成12年に施行されました「水道施設の技術的基準を定め る省令」、私どもは「施設基準」と呼んでいますが、既にここで、これらの微生物によ る汚染のおそれがある場合には、ろ過施設の設置が義務付けられております。今回の提 言は、その設置が義務付けられた施設を適切に運転してろ過操作を行うべきというよう なことでございます。ただ、「汚染のおそれの考え方」の拡大により、今後新たに施設 整備が必要となるというようなことも予想されるということで、円滑な実施に向けた配 慮も必要であるというお答えでございます。  1つ省略いたしまして15ページのところで、クリプトスポリジウムについて水質基準 が設定されなかったのは問題ではないかというようなことでございます。これにつきま しても専門委員会で御議論をいただきました。その結果、クリプトスポリジウムの検出 方法等に種々の課題が残っているので水質基準としては適当ではない。なお、現在の水 道法におきましては、病原微生物というのは含まれないことということで法律本文に規 定されておりますので、包括的に見ればクリプトスポリジウムもこの規定に含まれてい るということでございます。それから、病原微生物というのは検査に時間を要すること から、検査結果を待っていては間に合わない。そのため、この報告では汚染のある場合 には、ろ過措置を義務付ける。逆に言えば、検査を行うまでもなく適切な除去操作や消 毒操作を行うことが、水の安全を確保する方法であるということでございます。  次に「水質検査における精度と信頼性保証」でございます。1点目の指摘は、水質検 査については自己検査を基本とすべきであるという御指摘でございます。お答えとして は、必ずしもそういうことではなくて、水道法20条では自ら行うか委託とするかという 選択肢が示されているということでございます。この報告書も、そういった考え方で記 載しているということでございます。  それから、中小規模の事業者では対応が難しいので、一定の猶予期間とか財政措置に よる支援が必要であるというようなことでございます。専門委員会のお答えとしては、 水質検査に求められるレベルというのは非常に高度なものになっているということでご ざいます。そのため、こういった信頼性保証制度の導入は不可欠である。ただ、猶予期 間というよりも、本報告でも一定の猶予期間の設定を提言していますが、この間に、そ の一定の猶予期間で何を考えていただくかというと、自己でそういった体制整備を行う か、あるいは委託するかということを十分検討していただくということでございます。  あとは17ページ「水質検査のためのサンプリング・評価」でございます。この部分に つきましては、技術的な点が多くございますので省略させていただきまして、18ページ の「水質検査計画」でございます。この中の2点目で、水質検査計画の公表後の検証は どの機関が行うのかということでございます。背景に、水質検査計画の国あるいは都道 府県への認可とか許可といったものを想定されているということでございますけれど も、この専門委員会報告ではそういったことではなくて、水質検査計画を事前に作成 し、それを事前に公表し、需要者への説明責任を果たす。そのことによって、水質検査 の適正化、透明性を確保しようと考えているという御説明でございます。当然のことな がら、水道事業体の規模に応じて大臣認可、都道府県知事認可がございますので、それ ぞれの認可した事業者に対して立入指導を行う場合には、当然こういったものも見せて いただくというようなことでございます。  第9章「簡易専用水道の管理及び34条機関のあり方」でございます。  1点目は、簡易専用水道の検査機関から行政への通報を求めるべきではないか、ある いは検査に関して区域設定や料金設定をすべきではないかというような御指摘でござい ます。この辺につきましては、そういったところが問題であるというようなことから今 回の法改正に至ったということで、その点につきましては、難しいという御指摘でござ います。  あとは「今後の課題」の中で、最後の2点を御説明申し上げたいと思います。20ペー ジの上のところで、水道事業者は積極的な情報公開を進める必要があり、国としても積 極的に対処すべきであるというような御指摘でございます。水道事業者に対しては、水 道法第24条の2の規定で情報公開を義務付けておるということでございます。それか ら、危機管理の観点から健康上の理由から被害を受けやすい、あるいは被害が深刻とな るおそれのある集団、ハイリスクのグループの人には、特に公衆衛生上の観点から十分 配慮した情報提供が重要であるということでございます。それから、国においても私ど ものホームページで積極的な情報公開を行っているところでございます。  最後に、水質基準の設定などに当たっては、規制される水道事業者の意見も聞くべき である、また、水道事業者が委員となっていないのはなぜかという御指摘でございま す。前段については本部会でも御指摘がございましたので、機会をとらえて水道事業者 の御意見を聞く場を設けてきたところでございます。それから、水質基準については、 科学的な知見に基づき公平に設定されるべきであるという観点から、学識経験者のみを 委員としているというお答えでございます。  駆け足になりましたが、以上のようなお答えを水質管理専門委員会ではまとめたとい うことでございます。 ○眞柄部会長  ありがとうございました。  それでは、今、岸部管理官から専門委員会で議論されたことについて説明をしていた だきました。これについて、御意見あるいは御質問がございましたら、順不同で結構で ございますので、お気づきのところからお出しいただければと思います。どうぞよろし くお願いします。 ○佐々木委員  2〜3ございます。1つは、パブリック・コメントをやって105件、意見の数は402と いうことで、資料2のように整理するときに、この柱は資料3「水質基準の見直し等に ついて」の目次の各章に沿っていると思います。これに沿うような形で、たくさん出て きたパブリック・コメントの意見を類型化したと思いますが、資料2を拝見している と、資料3の目次中の第10章「水質管理目標設定項目等の取扱い」という89ページ以降 に当たる意見とあるいはそれに対する回答というものは、資料2にはないですよね。こ このところだけ飛んでいるわけです。ということは、資料3の第10章に当たるようなも のは、パブリック・コメントの中にはなかったのかどうかということが1つ。非常にシ ンプルな質問ですが。  それから、もう一つは、ただいま事務局の方から資料2に従っていろいろな意見が出 てきたものをこのように類型化をして、水質管理専門委員会としては資料2のようにま とめたということで御報告は終わったのですが、この資料2は、それぞれの意見につい てはこういう考え方ですが、パブリック・コメントに掛けたオリジナルの資料「水質基 準の見直し等について」というものを手直ししたところがあったのか、全然なかったの か、その辺が御説明でははっきりしていなかったと思います。と言いますのは、参考資 料3を拝見すると言葉の性質上だと思いますが非常に専門的ですから、ほとんど水道に 関係する、特に、こういう水質に関係する専門家、公の事業者等の意見。それから、民 間にしても、そういう水質にかかわるような、ほとんどプロに近い方の意見がほとんど だと思います。この辺は私の経験したパブリック・コメント関係では、例えば、電気事 業などでは個人というか家庭用の消費者とかあるいはアメリカ政府などの意見もいろい ろ出していましたけれども、そういうものもと比べると言葉の性質上、非常に専門的な 方ばかりの意見だと思います。そうすると、これをどういうふうに反映するかという、 その辺が違うかなと思いながらお聞きしていたのですが、ほとんどのものは取り入れる 必要はないのではないかというようなニュアンスの回答だったのではないかと思うので すが、この辺も加味してお答えいただくとありがたいと思います。 ○岸部水道水質管理官  それでは、私の方から御報告申し上げます。  まず、1点目の第10章に分類するものはなかったのかという御指摘でございますが、 私ども再度これを整理するに当たって個別に一件一件確認しましたが、結論といたしま しては第10章に該当するような形で分類するものは事務局の整理では見つかりませんで した。それから、専門委員会でもお諮りしましたが、追加的な指摘はなかったというこ とで、第10章に該当するものはなかったという理解をしてございます。  次に、パブリック・コメント手続を踏まえて修正を行ったかという御指摘でございま すけれども、まず専門用語がございます。専門用語については非常に多いものですから 個別にはお答えしておりませんが、水質管理専門委員会の各担当の先生と御相談をしな がら修正をさせていただきました。  それから、これは技術的な問題になりますが、水質検査方法のところで、具体的にこ ういったものの測定はこれではできない、できるという御意見をいただきました。これ らの問題につきましては、本日ご出席いただいている安藤先生に再度確認をいただきま して、御指摘が正しいものであればそれを取り入れる形で検査方法を修正しておりま す。  パブリック・コメントの御指摘を受けて修正したものは、そのようなところかと思い ます。その他の基本的な部分については、変更しなければならないような御指摘はなか ったと考えております。 ○眞柄部会長  専門委員会でもそのように理解をいたしまして、特に水質検査方法につきましては、 パブリック・コメントの際に提示した試験方法からかなりのところがパブリック・コメ ントのお陰で、言うなればブラッシュアップされているという意味では、たくさん御意 見をいただいたことについては敬意を払っております。  ほかにございましょうか。 ○松井委員  御質問したいのは、18ページの中ほどにある「水質検査計画の公表後の検証はどの機 関が行うのか」というところ、これは多分、今の御質問とも関係すると思いますけれど も、かなり重要な問題提起だと私は理解していまして、回答の部分には「公表により需 要者への説明責任を果たすことにより計画の妥当性を確保しよう」と、これが非常に重 要な対応だと思います。それに対応するところが、資料3でいくと74ページのところに 書かれているのですが、「需要者の意見を聞くプロセスを組み込むこと」となってい て、私はこれで正しい、いい対応だと思います。問題はその次のスキームの概念図を見 たときに、この概念図では水道事業者と需要者の関係というのでその構造が示されてい ます。それで、ちょっと私が気になるのは、現在の水道事業者の中に需要者の意見を定 期的にあるいは制度的に聞けるような仕組みはないですね。水道管理者は理事会があっ て、水道管理者の中には、いわゆる民間会社で言うと監査役に相当するものが、今日、 日本のシステムではないですね。私は、ここの部分はそういう方向に今後強化していく ということが望まれるのではないかと。今日お示しのスキーム概念図は、ちょうどそれ にいく最初の言わば出発点を書いておられるなと思いました。この点は現時点では多分 これ以上は書けないと思いますが、ここに結局、今後の行政の重要な力点が移るような 気がするんですけれども、この辺はどう今後お考えになるのか、お話を聞きたいと思い ます。 ○眞柄部会長  どうお考えになるかということになると、監督・指導、実際に認可をしておられる水 道課のお考えを谷津課長から出していただけますか。 ○谷津水道課長  ただいまの松井先生の御指摘でございますが、おっしゃられていることはそのとおり だろうと思っております。全体的に水道事業が今は公営企業という形で運営されている わけでありますけれども、今、民間の企業のいろいろなガバナンスとか経営のやり方と いうものがかなり変化してきている時代に入っていると思いますので、そういう動きも 頭に置きながら、水道の事業監督、経営の在り方についても検討していきたいと考えて おります。 ○佐々木委員  松井さんがおっしゃったことは非常に重要だと思います。現行の制度で消費者の声を 聞く制度がないのではないかとおっしゃいましたけれども、全くなくはないと思いま す。例えば、自治体によっては審議会とかいろいろありますよね。しかも、その審議会 を常設しているところもあります。予算・決算とか、だから年数回はあるというような ことはあります。そういう形では聞ける。だけれども、弱いと言えば弱いですよね。そ の辺、日本は異常に弱いです。いわゆる公共料金関連事業分野における、我々の言葉で は「消費者参加機構」と言いますけれども、そういう制度というのは非常に弱い。しか し、欧米などでは私の理解ではイギリスか非常に早くから、戦後、公共料金関連事業分 野には法律で消費者の間接的な参加機構というのができています。ごく最近では、どち らかというとオーストラリアが非常に頑張ってきていて、イギリスを抜くぐらいに非常 に整備されています。この辺のことを反映して、つい最近、内閣府はずっとこの分野の 情報公開の勉強会をやっていましたが、あそこでも報告書が出ましたが、今までの単な る情報公開だけではなくて、消費者の参加機構というようなものを射程に入れて、そう いう制度づくりをするべきだということを日本でも遅ればせながらやっと俎上にのった かなと思います。ですから、方向は近々そっちに行くと思いますけれども。 ○眞柄部会長  現在我が国の水道事業の状況を見ますと、そのほとんどが地方公営企業で行われてお りますので、当然のことながら地方議会でその事業についてさまざまな議論がされてい ると思いますし、事業体においては独自にモニターを置かれて、いろいろな御意見を 伺っているようなところもあると伺っておりますが、赤川委員からそこら辺り詳しく御 説明していただければよろしいかと思いますが。 ○赤川委員  御指摘のように、上水道事業はほとんどが公営企業で約2,000、それから、簡易水道 事業が9,000で約1万1,000あるという中で、日本の水道事業体というのは非常に小規模 というのが90%以上です。だから、いろいろな話を聞きますと、事業体によって情報公 開度の差があるというのは全く今まで御指摘のとおりでございます。ただ、今、事業体 も形と言っては怒られるのかもしれませんが、市民の代表である議会があって情報公開 はしていますが、議会そのものを知る機会というのは、まだ少ないかもしれない。そう いう点で、それぞれの事業体が、例えばモニターを通したりとか、モニターも今までは はがき等で手を挙げてきた人だけですと、どうしても関心のある人だけということで少 ないので、最近では事業体によってはインターネットモニターと称するかなり頻度、人 数の多いものも取り入れたり、いろいろなことを工夫してやっております。  最近はそういう問題が高まりまして、今、佐々木先生がおっしゃったように、内閣府 の方で先般、各公共料金に対する情報公開ということで私も呼ばれましてお答えしてき ました。例えば、水道界では毎年一度、今年も来月にあるのですけれども、全国水道研 究発表会というものがありまして、そこで各事業体から千数百人、それに発表する人が 三百何十人と若い技術者を中心にいろいろ来ているのですが、その前段に、いろいろな 話題性のあるシンポジウムをやっています。昨年のシンポジウムでは、水道事業におけ る情報公開というものをテーマにしてやったわけです。多くの人に集まっていただきま した。今までは水道事業と言うと、情報公開というよりもPRだとか、要するに広報だ とか公聴という、現在の情報公開から見ると若干情報公開度が低いものでした。これか らは、こちらから積極的に情報公開しよう、あるいは説明責任を果たそうではないかと いう方向に変わってきました。たまたま私もこのポストの前ですが、去年のシンポジウ ムのパネラーで出たのですけれども、非常に水道界におきましても、特に水道料金に関 する情報公開、水質に関する情報公開あるいはそれら両方絡めて、例えば、より安全で おいしくなりますけれども、料金が若干上がりますが皆さんいかがですかという、こち らからのいろいろな問い合わせに対してさまざまな意見が出てきております。そういう 点で、遅ればせながらかもしれませんが、かなり情報公開度が各事業体も上がりつつあ るというのが実態でございます。 ○眞柄部会長  ありがとうございました。  それでは、ほかにございますか。 ○佐野委員  今のことに関連するのですけれども、今回項目が選べるようになりましたから、地域 の住民にとっては非常に重要なことに変わってきたわけですね。情報公開とおっしゃる けれども公開すればいいのではなくて、この制度自体をきちんと、住民にわかるよう に、わかりやすく伝えてください。意見を言いたくてもなかなか言えない場合もありま すので、是非そこのところをきちんとやっていただければ、もっと意見が出ると思いま す。お水は大切なものです。是非、自治体の方にはそういうことをやっていただきたい と思います。 ○眞柄部会長  非常に大事な御意見ですので、具体的に水質検査計画を位置付けて水道事業体が作成 するときには、今、佐野委員からおっしゃられたようなことが末端まで徹底するよう に、ちょうど水道管が末端まで水が流れるように是非情報の流れを工夫するように御指 導のほどをお願いしたいと思います。  遠藤委員、何かございますか。 ○遠藤委員  小さな水道の立場から一言申し上げたいと思います。いずれにしてもこういう難しい 話になってくれば、今、赤川委員がおっしゃられたような上水道2,000の半数と、約9, 000ある小規模水道の実態としては数人でやっているぐらいですから、水質だけをという わけにはいかない。片方で経営情報の公開、それから、今度は全ての水道が水質検査計 画を立てて公表せよという話ですけれども、現実問題として難しいのではないか。数の 上でいけば、対応できないところが半分以上あるということになるわけです。なおか つ、都会では水質に対する関心は非常に高い。しかしながら、地方に行くと田舎の水は 大丈夫だという変な信頼感がありまして、興味は薄い。都会で騒がれるほど水質問題が 表面に出てきません。かなり落差があるのだと思いますけれども、今までは経過措置と いう形で大目に見ていたところがあったようですが、今回の報告内容ですと経過措置を 設けたとしても、そのままおくわけにはいかない。しかし、一定期間過ぎたときにやれ る体制になっているかというと、私はならないのではないかと思います。したがって今 後は、日本の小さな水道をどうするのかというところを国の政策としてはっきり方向付 けていかないと、地方分権の時代だから、これは自分の責任で解決するものだという形 では多分済まないのではないでしょうか。非常に奥が深い話になってしまうのです。  一例を挙げると、水道事業体の中でも、水質基準に対する認識というのは、非常に差 があります。専門職がいない、化学をやった人を置かないところが恐らく大半かもしれ ない。今までの議論に水を差すことになりますが、今後は一律にこの基準が適応される わけですから、経過措置とか猶予ということではなくて、日本の小さな水道を基本的に どうしていくのだということが非常に重要になってきます。飲んでいる人が狭い範囲で 特定していて原水がいいのだから、その中でやっていれば問題がないのではないかとい う話では私は済まないのではないかと思います。特に、都道府県が地域の水道の立入検 査をやって歩く場合に、そこを果たして厳格にできるのかどうかというところですね。 一定のレベルに達していなければ多分どうしようもなくなります。対策するには金が掛 かります。今、国の補助制度はあると言われますけれども、国の制度があるならばすで に改善されてしかるべきなのですが、地方財政がひっ迫して制度があっても手を挙げら れないところが多い。これは、水質基準を定めるところでの直接的な議論ではないけれ ども、この辺は抜本的な方向を考えなければ、水道そのものが「大・中」と「小」に2 極分化してしまう危険性があると思いますので、その辺の問題をすこし指摘しておきた いと思います。たとえ小規模でもモニター制度とか何か機会を設けて話を聞く、それか ら、できるだけわかってもらうような努力というのは、水道事業体が自らやるような形 にしていかないと困りますので、今回の改正は、今までのものとは違い、自己責任でい くというところを国・行政機関はきちんと説明する。また、関係団体はやる方向を自ら 考えていくことが必要ではないかと思います。  以上でございます。 ○眞柄部会長  ありがとうございました。 ○谷津水道課長  1点よろしいでしょうか。非常に重要な御指摘なわけでありまして、水道政策の歴史 を振り返っても、そういう小規模の事業体の技術的、経済的レベルをどうやって上げる のかというのは、非常に中心的な政策課題であったわけです。現在の状況は、飲み水と か食品の安全性に対する国民の関心が極めて高くなっている。一方で、政府に対しては 情報公開なり、先ほど議論になっているような政策形成プロセスの透明化という話もあ りますし、まず、基礎自治体のレベルを上げていこうという観点からの政策も非常に強 力に展開されているという中で、水道水の安全性を確保して、住民の方々の健康をどう やって守っていくのかという意味からの必要な措置というのを、水道政策としては的確 に実施していかなければいけない、我々はそういう立場にあると認識しております。  しからば、そういう点と現実的な状況とどうやって組み合わせていくかということで ありますが、1つは、経済的なインセンティブを与えるということで助成措置を講ずる。 もう一つは、政策的に事業体がとれるオプションを増やしてやるという意味で、一昨年 の水道法改正で技術的な管理の第三者委託という制度も導入したという中で、今、非常 に小規模な事業体のとり得る政策的なオプションというのは広がっているのだろうと思 うのです。水道広域化のための政策もいろいろ展開されている。これからは、やはり目 標を定めたいろいろな政策手段を増やしていって、個別の水道事業体に意思決定をお願 いしていくというステージにだんだんなっている。そういう中では、地方分権の中で厚 生労働省が直接指導していけるのは、先ほどの1万1,000の中で500事業体しかございま せんで、あとの1万数百の事業体というのは、都道府県知事が御指導いただくという立 場になっているわけでございますので、我々としても、そういう地方分権のマクロ政策 の中で、水道事業体の指導というのをどう都道府県と連携を保ちながら展開していくの かというのが大きな課題と認識しております。 ○眞柄部会長  今、谷津課長の御意見なのか、厚生労働省としての御意見かはわかりませんが、専門 委員会でも遠藤委員やほかの委員から御指摘が出されましたことについては、随分議論 をさせていただきました。パブリック・コメントであちらこちらに掲げられております が、水質基準の要件そのものが水道の法律の中で書き込まれておりますので、かなり機 動的に水質基準を運用できるように専門委員会ではいろいろ工夫をしたつもりです。し かし、限界がございまして、水質基準の機動的な運用はもう今回が限界だというのが専 門委員会の言うなれば共通したところでございまして、そういう意味で、報告書の後ろ の方に書かせていただいておりますけれども、将来的には水道法の水質基準の在り方そ のものもそろそろ見直していただいて、水道の在り方とマネージメントの在り方と管理 の在り方をどうするかというのを、きちんと整理をするように議論をしていただきたい ということを専門委員会の報告でも書かせていただきましたし、この委員会の報告を部 会としても御了承いただければ、厚生労働省としてそういう観点で今後検討していただ けるものと存じております。  3年ぐらい前に翻訳した本なのですが、アメリカの我々環境工学の教授たちが集まっ ている協会がございまして、そこでアメリカの小規模水道をどうするかという本が出ま して、それを出版したわけでございますが、アメリカでも小規模水道の実情は我が国と 全く同じでございます。ただ、アメリカという国の風土と我が国の水を巡る環境とは違 う部分がございますので、大学にいる人間としても、やはり我が国の大水道にともすれ ば目が行きがちでありますが、小規模水道の在り方について研究を展開できるように環 境を整えていただければと思っております。  ほかにございましょうか。ほかの件でも結構ですが。  それでは、特に御意見がこれ以上ないようでございます。大変有益な御意見をいただ きまして、ありがとうございました。それでは、部会として水質管理専門委員会のパブ リック・コメントに対する回答については御了解をいただいたということにさせていた だきたいと思います。  最終的に、資料3が水質基準の見直し等についての専門委員会の報告でございます。 先回、意見をいただいたこと、あるいはその後のパブリック・コメントに即して修正を された点が若干ございますので、基本的なスタンスは変わりませんが、変更点を事務局 から御説明いただきたいと思います。お願いします。 ○岸部水道水質管理官  先ほど御質問に答える形で御説明させていただいたのですが、用字法について整理を したということと、検査法について具体的な御指摘を踏まえて再検証した上で、適切な ものについては取り入れたというところでございます。ほかは、基本的には変更してご ざいません。 ○眞柄部会長  ありがとうございました。特に御意見ございましょうか。 ○遠藤委員  文言の修正ではないのですが、意見として記録にとどめておいていただきたいと思い ます。中小水道事業体の場合は委託で対応しているところが圧倒的に多い状況にありま す。受託機関が指定から登録制になるということは、我々の立場から見ると制度が緩く なるように見えます。委託先をこれら登録機関から選ぶ場合、現場サイドとしては ISO9000や14000シリーズのようなものに適合するレベルだと言われれば非常に判断しや すいのですが、この基準では余り細かいことは規定されていないような感じがします。 水道水は直接口に入れるものですから、安全確保が第一ですので、水質検査機関が自ら 定める品質マニュアルの中身に踏み込んだものであれば非常にありがたいということで す。水質検査というのは、水道水の品質保証システムの一端を担っているわけです。水 質分析一般というような漠然としたものではなく、飲料水検査業務の受注活動から結果 の引渡しまですべての過程の業務について、手順書が作成され、それに従って実行され ていれば、委託で対応している事業体にとっては信頼性が高まります。なお、手順書に は検査に使用する機器類の管理マニュアル、サンプリングの方法、公定法以外の方法を 用いる時の規定、データを保護するための手順、標準物質の管理手順、さらに定期検査 から臨時検査まで水道事業体の水質検査室としての業務を受託するような機関について は、水質汚染の可能性が予見できる場合のサンプリングから結果報告まで、おおむね48 時間から72時間で対応できる保証などが含まれていれば、非常に信頼性が増すことにな ります。現実には検査機関の能力に差はありますから、どの機関を選んでも問題ないと するぐらいの登録レベルを要求していただければ非常にありがたいと思います。  以上でございます。 ○眞柄部会長  指定制度から登録制度に移行することについては、いわゆる規制緩和措置の関連の法 律で、いずれ国会に出されて国会の承認を受ける際に、登録の要件が法律に書き込まれ ると理解をしておりますので、専門委員会としては54ページ以降辺りに専門委員会とし ての意見を付してございますが、もし御都合がよろしければ水道課から現在のスタンス を御説明いただければ、遠藤委員へのお答えになると思います。 ○岸部水道水質管理官  それでは、御説明申し上げます。指定制度から登録制度への移行につきましては、昨 年3月の閣議決定におきまして移行が決定されたところでございます。そのための法整 備としまして、「公益法人に係る改革を推進するための厚生労働省関係法律の整備に関 する法律案」を、去る3月に国会に提出させていただきまして、現在、審議を待ってい るところでございます。その中では、登録の基準につきましては法律上明示し、その基 準に適合しているときは登録しなければならないということでございますので、登録基 準を明示した上で、国はそれを検査するだけだというような位置付けにされてございま す。  どういうものが基準になっているかというと、必要な検査施設を持っているというこ と。それから、水質検査については5名以上の検査職員を持っているというようなこ と。それから、水質検査の信頼性確保のために措置がとられていることというようなこ とで、水質検査を行う部門の専任の管理者が置かれているとか、業務の管理、精度の確 保に関する文書を作成することですとか、あるいは専ら精度の確保を行う部門が設置さ れていることといった登録基準が法律で明示されております。この登録基準に適合する かどうか、私どもで検査の上適合していれば登録をするというようなことでございま す。  今回の指定制度から登録制度への移行に当たっての考え方は、事前チェックから事後 チェックということで、登録しますけれども、その後、私どもに立入権限が認められる ようになっておりまして、事後に私どもが立入検査あるいはその他の検査により登録基 準に適合していないということが確認されれば、適合するように改善命令を出すという というようなことがございます。その改善命令に従わない場合には、登録の取消しとい うようなシステムになってございます。これは、同じく簡易専用水道の管理の検査、い わゆる34条機関と呼んでいるところについても同じような形の条文ができてございま す。ちなみに、現在の通常国会において可決成立の上は、今年度中に措置ということが 閣議決定で決まっておりますので、少なくとも来年の3月中には施行する予定でござい ます。  以上でございます。 ○松井委員  今のお話は、もっと内容が簡単な話だったと思いますけれども、5人以上の専門の分 析者、今度はその人の資格なのですが、それは何か条件があるのですか。例えば、環境 計量士という制度がございますね。そこと何か関係はございますか。 ○岸部水道水質管理官  直接関係はございません。その資格についても法律で明定をするという方針でござい ますので、法律案の中で理科系の大学を卒業して実務経験云々というものが明示されて おりますので、そういった資格があるかどうか、そういう資格のある方が5人以上いる かどうかというものを判断することになると思います。 ○眞柄部会長  よろしゅうございますか。環境計量士のことも、当然我々の近いところで国家資格制 度があるわけですが、あちらの方は微生物試験が入っておりませんので、環境計量士そ のものを持ってくるというわけにはいかないということもあって、今、岸部管理官から お話があったように、水道として資格制度を定めるというふうに原案はなっておりま す。  それでは、特に御意見がないようでございますので、水道部会としては水質管理専門 委員会報告を了承して、部会報告として厚生科学審議会会長の寺田先生に御報告をした いと思います。特に御意見がなければ、そのようにいたしたいと思います。ありがとう ございました。  それでは、続いて議題2に入りたいと思います。事務局から何かございましたら、よ ろしくお願いします。 ○谷津水道課長  特に事務局からはございません。 ○眞柄部会長  それでは、本日の議事は終了したわけでございます。委員の皆様におかれましては、 大変御熱心な御議論をありがとうございました。本日、部会として意見をまとめること ができましたので、会長へ報告を致し、そして、答申を致したいと考えております。い ろいろと委員の方々から御意見がございましたように、水道についてはまだまだ議論す べき課題が多いことと存じます。また、機会がございましたら引き続き御協力をいただ きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  それでは、最後でございますが、谷津課長からごあいさつがございましたら、お願い いたします。 ○谷津水道課長  高原局長が所用のためごあいさつできませんので、代わりまして一言お礼のごあいさ つを申し上げます。  本日は、連休の谷間にもかかわりませず御出席賜りまして、熱心な御審議の上、答申 案を取りまとめていただきまして大変ありがとうございました。  この一連の審議でございますけれども、傍聴の方々も毎回満席ということでございま して、また、いろいろ御意見を承りましたところ、非常に広範多岐にわたる御意見も頂 戴いたしまして、この水道の水質管理問題に対する国民の方々の御関心が極めて高いと いう認識を新たにしたわけでございます。  一方、国際的に見ますと、3月の世界水フォーラムというものもございました。この 中でも水道の在り方、水質管理の在り方、安全性の確保の在り方などにつきましても国 際的に議論をされました。また、WHOの飲料水水質ガイドラインの見直しにつきまし ても、最終の会合が先ごろ開催をされたというようなことで、国際的にも水道を巡る動 きが非常に急な時代でございます。今回おまとめいただきました審議の結果につきまし ては、水質基準の柔軟な運用あるいは病原性微生物対策などなど時代を画するような重 要な御指摘、御提言を頂戴してございます。これは、21世紀に入りましたけれども、今 後の水道政策の重要な道しるべと我々は認識してございます。  御答申は今日の午後にも予定されておるわけでございますが、今後所要の省令の改正 などに取り組んで、安全でおいしい水の確保というようなことで精いっぱい行政として も対応を強化していきたいと考えております。  委員の皆様におかれましては御多忙のところ、これまで熱心な御指導、御助言を賜り まして大変ありがとうございました。また、水質基準につきましてはローリングリビ ジョンということで、逐次改正ということも御提言の中に含まれておりますので、引き 続き御指導、御助言、御鞭撻のほどをよろしくお願い申し上げます。  はなはだ簡単ではございますが、答申に当たりまして御礼の言葉に代えさせていただ きます。どうもありがとうございました。 ○眞柄部会長  本当にありがとうございました。第4回の生活環境水道部会は閉会させていただきま す。いろいろと御協力をありがとうございました。改めて御礼申し上げます。                    −了− 照会先:厚生労働省健康局水道課 電話 :03−5253−1111(内線4032)