03/04/22 第7回看護師等によるALS患者の在宅療養支援に関する分科会議事録       第7回看護師等によるALS患者の在宅療養支援に関する分科会                        日時 平成15年4月22日(火)                           10:00〜                        場所 厚生労働省省議室(9階) ○前田座長  ただいまから、第7回看護師等によるALS患者の在宅療養支援に関する分科会を開 催します。各委員の皆様にはご多忙のところ、検討会にお集まりいただきまして本当に ありがとうございます。お手元に資料を配布していただいています。資料2は後で説明 しますが、ここに、「1.在宅ALS患者の療養環境の向上を図るための措置について 」と、「2.たんの吸引行為について」の2つの大きな柱があります。療養環境の向上 についてのご議論は、それほど異論のないところでまとまっていますので、本日は前回 の議論に引き続いて、「たんの吸引行為について」の部分について議論をしていきたい と思います。その後もう1回、全体の議論の流れをまとめたいと思います。その意味 で、まず資料のご説明を課長補佐からお願いします。 ○稼農補佐  皆さん、ご苦労さまでございます。お忙しいところありがとうございます。資料の説 明をさせていただきます。資料の確認ですが、資料は2つございます。抜けているもの がありましたらお申し出ください。資料1は「家族以外の者がたんの吸引を行う場合の 条件について(案)」です。この資料については前回の議論を踏まえ、一定の条件の下 で家族以外の者がたんの吸引を行うとした場合について、その条件についての議論がな されていない。きちんと議論すべきであるということがありました。  これを受けまして、今回、その場合の条件について案を整理したものです。まず「趣 旨」ですが、1頁の1のところに記述をしています。ALS患者に対する家族以外の者 が、どういった方かについては括弧書きで記述していますが、(医師及び看護職員以外 の者をいう。以下「家族以外の者」という。)としています。こういった方によるたん の吸引については、医師及び看護職員により十分にサービスが提供されるならば、実施 する必要はないと考えられるということが、これまでの議論です。  しかしながら、在宅療養の現状にかんがみれば、一定の条件の下では当面の措置とし て行うことも、やむを得ないものと考えられるとしています。この場合においても、医 療サービスを受ける機会が閉ざされることのないようにということを書いています。こ の「当面の措置」ということの内容については、3つ目の○のところの「なお」書きの 部分ですが、この取扱いについては訪問看護サービスの更なる充実や、たんの自動吸引 装置の開発・普及の進展など、今後における在宅療養環境の変化に応じて、適宜・適切 に見直すことが必要であるとしています。  以下が、家族以外の者が患者に対してたんの吸引を行う場合の条件を示したもので す。条件については2から7の6項目について記述をしています。最初に2の療養環境 の管理の部分です。主治医は患者の病状を把握し、退院が可能かどうかについての判断 を行う。  次に、患者が入院から在宅に移行する前に、主治医・看護職員が当該患者について家 族や専門病院の専門医、看護職員、保健所保健師、家族以外の者等、患者の在宅療養に 関わる者の役割や連携体制などの状況を把握・確認するということです。主治医は、在 宅移行にすることについて事前に説明を適切に行って、「同意」を適正に得るというこ とです。  これを受けて家族のほうでは、在宅への移行に備えて物品等必要な準備を関係者の連 携の下に行うとしています。また先ほど申しました家族、地域の主治医、専門病院の専 門医、看護職員、保健所保健師などの在宅療養に関わる者については、患者が在宅に移 行した後も相互に密接な連携を確保するということです。  条件の2番目ですが、在宅患者の適切な医学的管理ということで、主治医・看護職員 が、当該患者について、定期的な診療や訪問看護を行って適切な医学的管理を行うとし ています。  次が家族以外の者に対する教育が必要であろうということで、主治医・看護職員は、 家族以外の者に対して、ALSやたんの吸引に関する必要な知識を習得させるととも に、当該患者さんについてのたんの吸引方法についての指導を行うとしています。  次に5に書いている患者との関係です。患者は、その前の4において必要な知識やた んの吸引の方法を習得した家族以外の者に対して、たんの吸引について依頼をするとと もに、当該家族以外の者が自己のたんの吸引を実施することについて、文書により同意 するとしています。  6番目ですが、医師・看護職員との連携による適正なたんの吸引の実施です。これに ついては当該患者に対して適切な訪問看護体制がとられていることを原則とし、当該家 族以外の者が主治医・看護職員の指導の下で、連携を密にして適正なたんの吸引を実施 するということにしています。  この場合、家族以外の者が行うたんの吸引の範囲については、次の○で記述していま す。この場合において、気管カニューレ下端より肺側の気管内吸引については、迷走神 経そうを刺激することにより、呼吸停止や心停止を引き起こすなど、危険性が高いこと などから、家族以外の者が行うたんの吸引の範囲については、口鼻腔内吸引及び気管カ ニューレ内部までの気管内吸引を限度とするということで、範囲を記述しています。主 治医・看護職員が定期的に、当該家族以外の者がたんの吸引を適正に行うことができて いることを確認するということで、確認としています。  この6番のところについては、適正なたんの吸引の実施についての患者の在宅療養に 関わる者の連携に関して、別紙において図で示しています。次の頁です。真ん中にAL S患者・家族の方を書いてマルで囲っていますが、ALS患者・家族の方を中心とし て、左側の専門病院の専門医や地域の主治医の方に連携をとっていただきながら、訪問 看護に対する指示書を出すということです。これを受けて訪問看護ステーションで実施 される訪問看護を実施するということです。家族以外の者については右側に書いていま す。訪問看護計画に基づき、指導・同行訪問・連絡・相談・報告ということで、連携を とるということです。また上のところには行政の関わりということで、主に都道府県の 保健所においてALS患者と家族への相談、支援等、地域のネットワークづくり等を行 うということで、連携についての図解したものを付けています。前の頁に戻ってくださ い。  7ですが、緊急時の連絡・支援体制の確保です。家族、地域の主治医、専門病院の専 門医、看護職員、保健所保健師、家族以外の者等の間で、緊急時の連絡・支援体制を確 保するということを記述しています。  次に資料2について説明します。資料2の1頁は前回までの議論の整理に加え、前回 の議論等を追加するとともに、前回議論の骨格のみであったものに少し肉付けしたもの です。これが報告書のベースとなる形と考えていますが、これまでの議論、前回の議論 を踏まえた形での取りまとめということで整理したものです。  1の在宅ALS患者の療養環境の向上を図るための措置について、これまで縷々議論 されてきたところです。前回の議論の整理に加え、(1)の(1)が、施策の総合的な推 進ということで、ALSの疾患の特徴や患者が置かれている状況等について記述を加え ています。患者が長期にわたる療養を余儀なくされている状況にあり、人工呼吸器を装 着しながら在宅で療養している患者にとっては、頻繁にたんの吸引が必要なこともあ り、患者及び患者を介護する家族にとっての負担が大きいということです。  こうした現状を踏まえて、患者のQOLの向上や患者及び家族の負担の軽減を図るた めに、更なる療養環境の向上が求められており、以下のような施策を総合的に推進して いく必要があるという記述を加えています。  (2)のところですが、訪問看護サービスの充実と質の向上です。最初の○の部分につ いては前回も記述していたとおり、引き続き訪問看護サービスの充実を図っていくこと が求められるということが1つです。それと次の○ですが、前回のご意見を踏まえ、在 宅ALS患者が必要なときに適切なサービスを受けられるよう、「在宅人工呼吸器使用 特定疾患患者訪問看護治療研究事業」を活用することが重要であるということ。この重 要性について記述しています。また実施主体である都道府県に対して、事業の周知徹底 を図るとともに、その取組みを促進していく必要があるということを記載しています。  2頁です。さらにこれも前回ご意見がありましたが、24時間の巡回訪問看護の実施に 向けては、同一日に一人の利用者に対し、複数の訪問看護事業所から複数回の訪問看護 を行えるようにする必要があるということから、診療報酬上の要件についての検討をす ることが望まれるということで記載しています。次の○については、訪問看護師や潜在 看護師に対する研修等、質を高めるための施策ということで、前回から記載しているも のです。  (3)の医療サービスと福祉サービスの適切な連携確保については、前回も記載をして いますが、最初の○の在宅療養の支援に関しては、ここに書いてあるようなさまざまな 関係機関が多岐にわたっていますけれども、サービス提供についての総合的な連携調整 が十分とは言えない状況にあることから、各機関が相互に連携を適切に図って、地域で のチームケア体制を確立していくことが求められているとしています。  次の○でチームケア体制においては主治医が中心となるべきであるが、その際、患者 の退院指導に医療や福祉の関係者を参加させるなど、入院期間中から地域でのチームケ ア体制の確立を図るべきであるということを記載していて、基本的に前回の記述です。  次の○の在宅ALS患者を支援するチームケア体制の確立の上で、保健所保健師等が 担うべき総合的な調整機能というのはこれまでと同様重要であるので、今後とも当該機 能の充実強化を図るべきであるとしています。  (4)の在宅療養を支援する機器の開発ということで、これについては前回と同様に、 たんの自動吸引装置等の機器の開発・普及の促進の重要性について記述しています。  (5)は家族の休息(レスパイト)の確保です。最初の○のところについては、休息を 確保して療養環境の向上を図るために、今後とも難病患者等のホームヘルプサービス、 ショートステイやデイサービスなどの各種施策の充実を図っていく必要があるとしてい ます。また、これまでも分科会でいろいろと報告がありましたが、都道府県や市町村に おいて独自に先進的な事業に取り組んでいるところもありますので、これらの施策が有 効に活用され、また各地における取組みの参考となるように、各種施策の情報提供や周 知に努めるべきではないかということを追加しています。  (2)の入院と在宅療養の的確な組合せについては、基本的に前回と同様です。最初 の○が退院時指導の基本的なルール、(2)が緊急時に対する入院施設の確保等について 記載しています。  2.がたんの吸引行為についてです。(1)のたんの吸引の安全な実施というところ について、(1)については前回と同様です。専門的排たん法の普及促進に努める必要が あると記載しています。4頁で(2)についても、日常的なたんの吸引に関する適切な対 応を示すことが必要であるということで前回と同様です。  (2)の家族以外の者によるたんの吸引についてですが、前回の議論の状況について 冒頭に記述をしています。家族以外の者によるたんの吸引の是非を論じるのであれば、 医療と福祉の関係、それぞれの役割分担も含めて、在宅医療に携わる者の行う業務や在 宅医療そのものの在り方についての議論が必要であるという意見がありました。これに 対し、当面する問題については、次のような対策を急ぐべきであるという意見が多かっ たということで、前回の議論の状況について記載しています。ここから以下の部分につ いては、先ほど資料1でご説明した内容を、そのまま続けて記載しているところですの で説明は省略します。資料の説明は以上です。 ○前田座長  ありがとうございました。資料1、2ですが、1から順にご質問、それを踏まえて議 論をしていきたいと思います。まず資料1の「家族以外の者がたんの吸引を行う場合の 条件について(案)」という文章を、まとめていただいたわけですが、これについてい かがですか。ご質問が何かありましたら、どなたからでも結構です。 ○五阿弥委員  これは表現なのですが、1頁の趣旨の2つ目の○で「しかしながら」というところで す。「この場合においても、医療サービスを受ける機会が閉ざされることのないように すべきである」という表現がありますが、これは「閉ざされることがないように」では なくて、むしろ積極的に医療が関わるべきであるということで、これまで論じられてき たのではないかと思いますので、ここは、この場合、医療は積極的にそれを支えるよう な体制が望まれるというか、構築すべきであるというようなことにすべきではないかと 私は考えます。 ○星委員  私は、むしろそうではないという意見というか、このような発言をしたつもりなので すが、結局、医療サービスに対するアクセスを阻害してはならない。つまり看護師以外 の非医療職による吸引というのが身近であると。そしてそこは頼みやすい。専門的排た んが必要なのに、それを利用することを思いとどまるというか、そういう状況にならな いようにすることが必要です。  もちろん、いま言われたことは、医療サービスが積極的に提供されるというのが前提 としてありますが、身近な関係の中に埋没して、医療というものへのアクセスが阻害さ れないような配慮が、求められるのだという意味で、ここに書いていただいたのではな いかと思いますが、いかがなのでしょうか。 ○前田座長  大きな流れとして、医師と看護や介護との連携というのが出てくるのは後のほうでし て、議論の出発点としてこの文言が書き込まれた当初のご趣旨は、いま星委員が説明さ れた線であったかと思います。  ただ、議論が進展してきて、これを削ってしまうと、いまご指摘があったような趣旨 が消えてしまうのはまずいと思いますが、さらにそれを超えて在宅の患者に非医療職の 方が吸引をされたときに、積極的に医療サービスが受けられるように、医師の側も看護 の側も協力すべきであるという趣旨のことを書き込むというのは、それはそれで1つあ りますけれども、それは後の6の連携による適正なたんの吸引の実施の部分で、かなり 五阿弥委員のご趣旨を含んだ書き方になっているのではないかと思います。 ○五阿弥委員  私は反対というのではなくて、星委員のお考えをもう少し進めれば積極的に、そうい う意味では医療がということのほうがいいかなと思っただけなのです。 ○川村委員  やはり星委員のお考えというのは、いろいろな側面からこれを十分にやっていこうと いうことですので、この文言は残していただきたいと思います。 ○前田座長  五阿弥委員、この文言を残すことが問題だということではないわけですね。 ○五阿弥委員  ええ。 ○前田座長  より積極的に、ほかのところでまた書き加えるということもあろうかと思いますが、 この件は一応、この部分に関してはこの表現を残すということで、どうぞ。 ○平林委員  基本的に星委員がおっしゃることに賛成なのですが、ただ、医療サービスというふう に抽象的に言った場合に、いままでの議論及びこれからの議論にも関わるのですが、家 族以外の者が行う行為を医療サービスとして捉えると言語矛盾をしてしまいますので、 むしろ端的に、「医師・看護職員等の医療専門家による医療サービスを受ける機会が閉 ざされてはならない」と、もう少しきっちりと書けば、いま議論されていることが十分 に意味が通じるのではないかと思います。 ○前田座長  医療サービスの意義は、そういう趣旨になっていますので、それは言葉を明確にする のは問題ないと思います。 ○山崎委員  平林委員と同じ意見で、ここは「医師、訪問看護師等による医療サービス」というふ うに明言していただいたほうがよろしいと思います。 ○伊藤委員  同意見です。さらにもう1つ気になることは、家族に関しては、もはや介護をするこ とが大前提となっているという書きぶりになっているのですが、それは本来あるべき姿 ではないし、また単身で療養される方もたくさんおいでになるということですから、そ ういった家族の介護を前提とした一連の書きぶりについては、ときに誤解を招く可能性 があるのではないかということを、ご指摘申し上げたいということが1つです。  次に質問です。同じく1頁の2の療養環境の管理の最初の○ですが、これは主治医の 役割として、医学的に退院が可能であるかどうかを判断するという趣旨の文章かと思い ます。したがって私が考えるのは、いわゆる社会的な入院という、医学的な事由以外の 理由による入院ということも、しばしばALS等においてはあります。そういったこと ではなくて、おそらくこの1文は、医学的に退院が可能であるという判断をなすという ことですから、その「判断」というところも、「医学的判断」と書いていただいたほう がいいのかなということで、これは質問です。 ○前田座長  まず第1点で、家族の介護が当然の前提になっている書きぶりということについて、 これは質問者に確認しますが、全体のトーンがということですか。それとも特にこの部 分が問題があるという部分があるのでしょうか。 ○伊藤委員  全体にそうかと思います。 ○前田座長  要するに、どこか個別の文章のこの文言を直すということではなくて、全体の書き方 ということ。これについては事務局のほうは、いかがお考えですか。 ○稼農補佐  これまでの議論の中で、家族の介護のみに頼るというのがいかがなものかということ で、そういったことも踏まえて療養環境の整備を図っていかなければいけないのだとい う議論がありました。  先ほど私のほうが、説明を少し端折ったところがありまして、資料2の1頁の3つ目 の○です。こうしたALS患者を取り巻く現状を踏まえて、「患者のQOLの向上や患 者及び家族の負担の軽減を図るため、在宅ALS患者の療養環境の更なる向上が求めら れており」とあります。ここの部分で、「患者が家族の介護のみに依存しなくても円滑 な在宅療養生活を送ることができるよう、以下のような施策を総合的に推進していく必 要がある」ということで、冒頭の1の部分で、先ほどご指摘の点については全体にかか る部分として、ここに記載をしています。 ○前田座長  いまの点について、伊藤委員のご意見はいかがですか。 ○伊藤委員  そのとおりだと思います。これまでの議論の取りまとめが仮に先にあって、そこに今 回の資料1が出てきたということであれば、そのとおり理解できるのかと思いますが、 説明の順番ということもありましたので念のために申し上げたところです。 ○前田座長  私のほうの議事進行の責任があるのかもしれませんが、そこはご理解いただいたとい うことですね。 ○伊藤委員  そのとおりです。それと問題意識としては、前回、山崎委員もご指摘なのですが、単 身者でも療養できる環境を作り上げていくということが、大きな目的になると思います ので、そのことに関しては大事な観点であるということで発言したところです。 ○前田座長  それでは、その点はそういうことにさせていただいて、第2点の資料1の1頁の2療 養環境の管理のいちばん初めの○です。「主治医は患者の病状を把握し、退院が可能か どうかについての判断を行う」という、この「判断」についての質問がありました。こ の判断は純粋な医学的な判断なのか、社会的に見て入院すべきなのか、在宅が向いてい るのか、より広い判断を含むのかということで、先ほどのご質問は、医学的な判断に限 るべきではないかというご趣旨でしたね。それについての答えはいかがですか。 ○稼農補佐  2の冒頭の部分ですので、ここは、まず退院が可能かどうかについての医学的判断を 行うということを想定しています。それで環境の整備のところについては次の○で環境 について把握して、確認をするということで、そういう流れで書いたつもりです。 ○前田座長  そうすると先ほどのご指摘のように、この「判断」のところに「医学的」という言葉 を入れても、案としては構わないということですか。 ○星委員  そこは医学的判断という言葉の意味によるのでしょうけど、医学的判断というのは、 社会学的判断ももちろん含まれているわけですよね。そこに医学的というのは純粋医学 的なという意味で言うのか、そこは言葉の問題をやり出すときりがないので、私はこの ままでいいのではないかと思います。何かここに純粋医学的なものなのだと、つまり生 物として退院可能かどうかということだけをあえて論ずる必要があるのか、むしろそれ を聞きたいのです。 ○伊藤委員  質問の趣旨というのは、「主治医は患者の病状を把握して」と書いてあるのです。こ このところで、社会的な理由による入院が既に排除されていると読めてしまうのではな いかと私は思ったのです。「病状等を把握し」であれば、後ろのほうは医学的判断に直 さなくてもいいと思います。 ○前田座長  それは、そうすると言葉の微妙なところで、そんなに議論になるということでは私は ないような気もするのです。もちろん医師の判断というのはトータルなものだと思いま す。ただ、事務局としては第1段階として病状とか医学的な面をまず書いて、2番目で 受入れ体制などを考えて構成されたと。星委員のご判断は、そういうものを切り離した 判断というのは、あり得ないのではないかというご趣旨のような感じを受けました。そ の点は事務局としてはいかがですか。 ○稼農補佐  全体的に医学的な判断も含めて、医師の判断というのは総合的なものであるというこ とで、あまり言葉の部分について不明確だったり、別の見方がされることがないように しなければならないと思います。いまご意見をいただきましたので、判断ということに ついては、もちろん主治医の判断ということですから、当然、医学的な判断というのも 含まれていると思います。その辺を踏まえて言葉の整理をしなければいけないと思いま す。 ○前田座長  伊藤委員のご趣旨も、医学的ということをそれほど明示的に出さなくても、よろしい ですね。 ○伊藤委員  はい。 ○川村委員  いまのことですが、そもそもこの問題はその次の○にもありますが、退院判断をなさ る医師がきちんと在宅に移ってから、その患者様がお困りにならないように把握し、そ れを病状との関連でうまくいくという判断をなさっていれば、こういう委員会は要らな かったと思います。ですから私は、いま伊藤委員が誤解をされるような状況であるとす れば、病状だけでなくて療養環境というのを「・」か何かで入れていただいたら、いい と思います。そのほうが、いま稼農補佐が言われたような誤解が生じないと思います。 最後のところは判断で構いませんし、星委員の言われるご趣旨と、それは違わないので はないかと私は理解しました。 ○前田座長  1つ目の○は主治医が判断を行う。2つ目の○は、入院に移行する前に状況を把握・ 確認すると。 ○川村委員  2つ目の○は、主語に看護職員が入るのですね。 ○前田座長  そうですね。 ○川村委員  やはり主治医の責任というか、主治医が何をトータルに判断するかということを1つ 目の○で書いているわけですので、そこに必要だということを誤解がないようにしたほ うがいいということであれば、入れていただいたほうがいいと思います。 ○前田座長  ご提案は、患者の病状の後に、「・療養環境」とする。そうすると先ほどの伊藤委員 のご指摘とは、むしろ逆の方向ですか。それでよろしいわけですね。 ○伊藤委員  いや、違いませんで、この方向です。 ○前田座長  わかりました。それでは事務局のほう、それでよろしいですね。 ○稼農補佐  整理としては1と2で、療養環境の部分を2で主に書いていたわけですけれども。 ○前田座長  2番目で、もちろん主体として主治医が出てきてはいるわけです。どっちにしろ少し はオーバーラップしてしまっているわけで、完全にきれいに書き分けるというのは、か なり難しいのかもしれません。また、あまりそこに時間をかけて議論をしても実質で争 いがあるわけではありませんので、これは次回までにお任せいただいて整理させていた だきたいと思います。ご趣旨はよく把握したつもりですので、前に進ませていただきた いと思います。いまの問題を離れて、ほかにご質問はありませんか。 ○平林委員  1の趣旨のところのいちばん最初の○のところで、「家族以外の者」とあり、(医師 および看護職員以外の者をいう)というのは、議論を聞いているとわかるのですが、 すっと読むと何だかよくわからないというところがあります。要するに、おそらく家族 以外の者、ただし医師および看護職員を除くという趣旨だろうと思いますが、そのこと が、こういう書きぶりで伝わるかということをちょっと思ったので、そのことだけ質問 します。 ○前田座長  この言葉に落ち着くには、前回からの議論を踏まえていろいろご苦労もあったと思い ますが、ちょっとご説明いただけますか。 ○稼農補佐  家族以外の者ということだけ書きますと、誰でも入ってしまうということで、もとも と医師および看護職員のサービス提供の下で療養環境の整備を図るという一方で、それ 以外の方についての、たんの吸引の実施についてどうあるべきかという議論であるとい うことも踏まえ、明確にするために、いま平林委員が言われたように、医師および看護 職員を除いたという形を表現する言い方として、「医師および看護職員以外の者をい う」という表現にしたところです。 ○前田座長  ですから、普通の単なる家族以外の者という言葉とは違う使い方をすると。この文章 の中では括弧の中で、一応、定義をして使っていくということですね。確かに読みにく いのですが、非医師、非看護職員の家族以外の者という文章よりは、こちらのほうが座 りがいいということなのですね。 ○稼農補佐  非医師とか非看護職員とかいう言葉自体、言葉として使ったことはありませんし、世 の中でわかりにくいということもありますので、逆に「以外の者をいう」という形で定 義づけて、以下はそうするということを書いたものです。 ○前田座長  工夫が可能であれば次回までに、もう少しわかりやすいものをお考えいただければと 思いますが、趣旨は争いがあるわけではないと思います。表現ぶりの工夫だと思いま す。 ○星委員  いまのところで、1つ加えていただきたいというか明確にしていただきたいのです が、この家族以外の者による吸引については、すぐに「医師及び看護職員により十分に サービスが提供されるならば」とあります。もう1つ前にあった文章の中に危険が伴う のだということが書いてあって、しかし、それを押してもということがあったので、私 はむしろここに1文加えていただいて、一部変えていただくと明確になるのではないか と思います。  例えば、「によるたんの吸引については、たんの吸引に伴う危険性を考えれば、医師 および看護職員により実施されることが望ましい。そしてこれが十分に実施されるので あれば、家族以外の者が実施する必要はないと考えられる」というような書きぶりにし ていただくと、この間からあった議論が1つのストーリーとして成り立つのです。ここ は、ちょっと真ん中が抜けているので、「たんの吸引は医師および看護職員により十分 に実施されるならば、実施する必要はない」というのは当たり前の話なのですが、より 明確に議論を踏まえて表現するならば、そうなるのではないかと思います。 ○前田座長  それは事務局のほう、よろしいですね。ただ、文章の修文というか、細かいことは時 間をとっていると先に進みませんので、趣旨としては、「たんの吸引についてはその危 険性にかんがみれば、医師・看護師が行うべきであるが」という趣旨のことが入ればよ ろしいということですね。わかりました。それはいままでの議論からいってもそうだと 思います。 ○川村委員  2の療養環境の管理のところの4つ目の○ですが、家族は患者の在宅への移行に備 え、物品等必要な準備を、関係者の連絡の下に行うということですが、いまはいろいろ 高額な機器を揃えていただくことが必要になり、そのときには患者の状態と医療機器と がうまくマッチングするかどうか。その後の滅菌とか消毒など、いろいろきちんとした メンテナンスをしていくという条件を、うまく備えているものということも問題になり ますので、これでは何かご家族に、すべての責任を持っていただくようなニュアンスの 書き方に過ぎるのではないかと思います。  新たな看護の在り方に関する検討会のほうでは、主治医の医療機関がきちんと滅菌物 品とか必要な材料は提供するのだということが、はっきり確認されていますので、その ようなことも、ここにもう1つ入れていただけないかと思います。高額な物を何台も買 わないと自宅には帰れないとか、そういったようなことがないように、うまくサポート ができるような体制も必要だということも、書いていただければ幸いだと思います。 ○前田座長  それは療養環境の管理のところに入るべきことですね。3の在宅患者の適切な医学的 管理で、定期的な診療や訪問看護を行うということがありますが、その範囲を超えて退 院時にある程度というか、主体は医師ということですか。 ○川村委員  例えば吸引器でも、安価なものが悪いとは言いきれませんが、実際、東京都でも吸引 器の貸与事業において、数万円のものではモーターの能力が低いということがわかり、 さらに10万円ぐらいのものにしました。とにかくある程度の金額のもので、モーターの 性能が高いものを入れていただくように制度を変更しました。その患者に必要な物品が きちんと揃い、ご家族が非常に大きな負担を持たなくて済むようなやり方を、ここに書 いていただければいいと思います。  滅菌とか消毒とか、吸引器も随時行っていますので、そういうことは一般的な所では できませんので、それは医療機関なりがきちんとサポートしていくといったことも、書 いていただければと思います。適切な医学的管理に入れたほうがより適切であれば、そ ちらに入れていただいても構いません。ただ、物品の話がここにだけ書いてあったの で、ここについての質問とお願いということにします。 ○前田座長  いまの点は、いかがですか。それを入れるということは可能ですね。 ○稼農補佐  どこに、どう入れ込むかという話と書きぶりはあると思いますが、ご指摘を踏まえ て、別の検討会の流れもあるようですから、そちらのほうも押さえて検討させていただ きたいと思います。 ○前田座長  次回までに文章を入れて出していただくということで、よろしいですね。 ○山崎委員  いまの点ですが、やはり在宅療養に移行するときの環境の整えを、家族が行うのかと いうことで、これは違うのではないかと私は現場の体験からも思います。家族が主体的 にいろいろ動いていただくことはありますが、医療従事者が在宅の移行に備えて、在宅 での療養環境の整えを機器や衛生材料を含めてやるべきです。そこはきちんと書き込ん だほうが、よろしいかなという感じがします。これだと家族がやるというふうに読み取 れます。  もう1つは、療養環境の管理の○の2つ目と5つ目のところで、家族や専門病院の専 門医、看護職員、保健所保健師と列記されていますが、この場合の看護職員というのは 「訪問看護師」というふうに明記していただいたほうが、よろしいのではないかという 感じがします。保健所保健師が明記されていますので、たぶん訪問看護のスタッフのこ とを指しているのだろうと思います。上の冒頭の「主治医・看護職員は」というのは院 内の方でしょうから、これでよろしいかなと思いますが、ここは訪問看護師というふう に明記いただいたほうが、明確かなという感じがします。 ○前田座長  いまの点を先に整理させていただくと、第1点のほうは、先ほどの川村委員とほぼ同 じ趣旨で、それがきちっと入ればよろしいということですね。第2点の看護職員を訪問 看護師に置き換えるというのは、事務局のほうはよろしいわけですね。 ○稼農補佐  いまご指摘のところは、主にどういう方がということで明確に書くべきであるという ご趣旨だと思いますので、その点については、ここのところで訪問看護を行う方を入れ ていますので、差し支えなければ変更もいいかと思います。 ○星委員  そう言って書き出すと、私はきりがないと思います。関わっている人間を列挙するの であれば病棟にいる看護師だってそうだろうし、コーディネートを行う人たちもそうだ ろうし、だからここで、こういうふうに書くこと自体どうかなと私は思います。  それと、前は主治医、主治医と書いていて、ここにきて急に地域の主治医、専門病院 の専門医と出てきて、後ろの絵もそう書いてあるのですが、どういう意味でこれは書き 分けていて、最初の主治医は何を意味しているのかが非常にわかりにくいですね。だか ら言葉の定義をするのであれば、きちんとわかるように定義をしてもらいたいし、専門 病院の専門医というのは、一体何を想定して、どんなことを考えているのか、いまひと つよくわからないのです。必ずしもこういう人でない、あるいは地域の主治医と言われ ている、ここで書き分けているような人たちが複数でない場合だって、もちろんあるわ けですから、どうも私はここら辺の書き方は、後ろの図を見ながら見ていると何となく 齟齬があるし、後ろの図も何となく違和感を感じるので、これは是非とも言葉の整理 と、何を指しているものなのかがわかるように、もう一度整理をする必要があるのでは ないかと思います。 ○前田座長  第1点の看護職員のところは、看護職員を訪問看護師に直すということで、むしろほ かに保健所保健師とかいろいろ並べるのはやめて、もっと抽象的にまとめたほうがいい というご趣旨ですか。 ○星委員  あるいは書くのであれば、想定される人たちを列挙するとかです。 ○福永委員  ここで言えば、例えばうちの場合なんか専門病院の看護師が訪問看護という資格がな くて行っているわけです。そういう所も多いのです。だから、いちいち整合性を求めた ら非常に難しくなって、すべて列記しなければいけない。書かないのだったら、ある程 度まとめるような形で書かないと、1つ1つの文言を全部整理していくと、確かにいろ いろな齟齬を生じるのです。やむを得ないことだと思いますが、在宅医療は複雑になっ ていますから、ある程度のところでまとめるような形での表現がいいのではないかとい う気がします。 ○前田座長  そうだとすると1つの案は原案どおり、看護職員という形で訪問看護の方、専門病院 から派遣される看護の方を含めて、あと医師、看護師、保健師、家族以外の方等、この くらいを挙げておくというのは、そんなに抵抗感はないのではないでしょうか。山崎委 員、いかがですか。看護職員というのは訪問看護師に直さなくてもよろしいですか。 ○山崎委員  私は直したほうがいいという意見です。 ○前田座長  どうしましょうか。いまの福永委員のようなご意見もありますし、地域によっていろ んな実態もあるということがありますと、なるべく抽象的に書いたほうがいいというこ とになってしまいます。家族や医師、看護師、その他在宅療養に関わる者の役割ぐらい にまとめる。保健師とかを落とす代わりに、医師・看護師ないしは専門医・看護職員は 残すというぐらいのまとめ方もあると思います。これもあまり時間をかけると進みませ んので、いまのご発言があったことも踏まえて事務局に整理していただいて、次回、文 章になったところで、それくらいの修正をすることは十分に可能だと思います。 ○星委員  家族以外の者というのは、あえて定義をして使っている言葉で、これが落ちるとわけ がわからないことになります。 ○前田座長  わかりました。もう1つは専門医、地域の主治医という言葉の使い分けで、この文章 と図の関係はどうなのかという質問ですが、その点はいかがですか。 ○稼農補佐  この文章の趣旨は、専門病院に入院されている方が退院されて地域で療養生活をされ る場合に、同じ地域であれば、同じ専門病院の医師がそのまま主治医になる場合もある と思いますが、地域が離れていたような場合に日常的な主治医がいらっしゃることにな るだろうということで、そういう両面から地域の主治医と、専門病院の専門医の方とい う2つを書いているところです。星委員のご指摘のとおり、そのことにつきましては、 2人いらっしゃる場合と1人が両方を兼ねる場合といろいろあると思います。趣旨とし ては、そういった両方のパターンがあるだろうということで、2つを書き分けたという ことです。 ○前田座長  いかがですか。 ○星委員  言葉にこだわるつもりはないですが、地域には主治医がいて専門病院には専門医がい ると言うと、地域にも専門医はいるという話も出てくるので、これは非常にわかりにく いし、1つの固定したイメージを植え付けかねないということで、私はあえて申し上げ ているのです。必要なのは主治医だろうし、その主治医が直接、自分のところに入院さ せていて出すこともあるし、近くのかかりつけ医と言ったほうがいいのかもしれません が、かかりつけ医の力も借りて一緒に面倒を見ることになるのかもしれません。ですか ら、専門病院の専門医という言い方は独善的というか断定的な気が私はして、誤解を招 くのではないかという意味も含んでいるので、ここは文言の整理をしてほしいというこ とを申し上げています。 ○前田座長  それも次回までにまとめていただきます。ただ、その議論の前提としてお伺いしたい のは、1頁のいちばん下のところ、例えば地域の主治医、専門病院の専門医をまとめて 主治医という言葉を1つ残すというのは、どうでしょうか。 ○星委員  非常にわかりやすいです。 ○前田座長  その線で、いかがですか。 ○伊藤委員  おそらく事務局がお考えになったのは、特定疾患の場合に拠点病院、協力病院、それ から地域の先生方と、これまでそういう構図が描かれてきましたので、そういった意味 で拠点病院あるいは協力病院というように、神経内科の専門部局があるような所を、専 門病院というふうにお書きになったのだと思います。より正確に考えるならば、いまま での用語として拠点協力病院とか、そういう用語をお使いになるのであれば、それはそ のとおりではないかと思います。  もう1つ、先ほどの必要な物品云々に関しては、15年4月から特定疾患に関するいろ んなサービスの改定の通知が出されているはずです。例えば吸引に関する事柄で先ほど 川村委員がご指摘の吸引器の件、新たな人工呼吸器管理に必要なパルスオキシメータ ー、意思伝達装置に関しては筋萎縮性側索硬化症という名称を具体的に出して、いろん な機器の前倒しを主治医が診断書にいろいろ書いて、進めていくという通知が出ている ところですので、その辺のところも踏まえていただくとよろしいかと思います。 ○前田座長  事務局のほう、よろしいですか。そういうことも踏まえて細かく書くかどうかは別と して、主体をどうするかはともかく、患者ではない側の準備ということですね。先ほど の川村委員のところに含めてお願いできればと思います。ほかにご質問はありますか。 ○星委員  2点言いたいのですが、1つは1の2つ目の○です。「しかしながら、在宅療養の現 状にかんがみれば」とさらっと言っているのですが、そしていきなり、「家族以外の者 によるたんの吸引の実施についても、一定の条件の下でやむを得ない」とあり、これは かなり論理の飛躍というか、在宅療養の現状というところにあらゆる意味を読み込んで いて、とても私は耐えられないのです。  先ほど議論があった、家族がやるかどうかは別として現状としてはやっているという のを踏まえれば、主として家族が吸引を実施しており、かつ家族の負担の軽減が必要と なっている。その実施している家族の負担の軽減が必要となっているという、在宅療養 の現状というものにかんがみればという後で、やっと「家族以外の者」というのが出て くるのであると思います。家族の話が前に出てこないで、先ほどの議論で家族を前提に するのかということとは齟齬するのかもしれませんが、それを書かないと、いきなり一 定の条件の下で認めるべきだという論旨にはつながらないのだろうと思います。いかが ですか。 ○前田座長  そうですね。おそらく在宅療養の現状の中身として明確に言葉を詰めると、少し異論 が出るかもしれません。基本的には、いまご指摘のような家族により吸引が行われてい て、しかもその大変さにかんがみればということだったとは間違いなく言えると思いま す。それを文章化して入れることは可能ですね。 ○稼農補佐  ご趣旨につきまして、ここの在宅療養の現状というところの前の部分に、これこれ、 こういった在宅療養の現状にかんがみればという説明部分を、足すということだろうと 思いますので、その部分についてはこれまでの議論を踏まえ、字句を挿入するという形 で考えていきたいと思っています。 ○前田座長  ほかにありますか。 ○川村委員  最後の図というか別紙です。介護保険の話は全くここには触れられていないのです が、場合によっては介護支援専門員の方がコーディネートなさっている場合もあるかも しれませんが、それとの関連性というのはどういうことになるのでしょうか。 ○稼農補佐  基本的に表題にありますように、この図については訪問看護と家族以外の者との連携 という観点から作成したものです。ご指摘のとおり介護保険の関係等々ありますが、訪 問看護については基本的に医療の訪問看護ということですので、その面から書いたもの です。できるだけわかりやすくという観点で書きました。  もちろん、これ以外にも介護保険の分野でいくと、ケアマネの話とかいろいろ出てく ると思いますが、難病の疾病対策における保健所の役割という部分と、訪問看護ステー ションと、家族以外の者あるいは医師の指示の下にというところの部分を明確に強調し て、その趣旨で作ったものです。 ○川村委員  介護保険による訪問看護サービスというのは、ないという前提になるのですか。 ○岩澤補佐  ALS患者の場合は、訪問看護は医療保険からお出しすることになっていますので、 介護保険への請求というのはありません。訪問看護に関してはですね。 ○川村委員  そうすると制度としては、全く医療保険というところで行うということなのですね。 それでよければいいのです。 ○前田座長  ご確認いただけますか。そういうことなのですね。 ○稼農補佐  この図に関しては、訪問看護と家族以外の者との関係ということです。 ○川村委員  この図はそうかもしれませんが、実態とこの図とが違っているとした場合には、この 図は有効性を持たなくなりますよね。誤解を招いたり混乱を招くと思うので、介護保険 で訪問看護をやらないのだという切り分けでいいのですね。 ○看護職員確保対策官  訪問看護については医療保険から給付されると。ただ、ALS患者の場合に、介護保 険を利用されて介護サービスを使われるということもありますから、患者に対するサー ビスとして介護保険が全く関与しないということでは、もちろんないとは思います。 ○川村委員  そうすると、「家族以外の者」に介護保険で支給を受けて派遣されているという方が 入るわけですか。 ○看護職員確保対策官  入り得ると思います。 ○川村委員  そうした場合には、医療で切り分けた業務が介護保険で支払われるということになる というのは誤解ですか。論理から言うとそのようになるのかなと思いました。 ○看護職員確保対策官  介護保険の給付として、ヘルパーが介護保険の介護サービスを提供されるということ だろうと思います。そのヘルパーが付随的にというか、たんの吸引行為をやるというこ ともあるのかなと思われます。 ○川村委員  そうすると、その責任はどうなるのですか。 ○前田座長  給付の主体の問題と、責任の主体の問題とは切り分けて考えられたほうがよろしいか と思います。要するに介護保険で払われるか、医療保険で払われるかという問題がある わけです。ここでは非医師、非看護師の吸引をどういう条件で認めるかという話です。 そこでまた、医療に携わっていない者の吸引がない、ということになってしまうと議論 がまた元に戻ってしまいますので、それはないのだと思います。 ○川村委員  ということは介護業務として、介護業務というのはヘルパーなどということではなく て、介護保険で支給されている業務でおいでになった方が医療行為をやる場合には、そ の方の個人的な責任でおやりになるということですか。素人的で申し訳ありませんが。 ただ切り分けてと言っても、今度は介護支援のセンターとして考えた場合には、何を目 的にして派遣をするのかという問題がおきて、また私たちにいろいろな相談が来そうだ なと思います。 ○前田座長  そのとおりです。事務局から、いまの点について説明はありますか。 ○平林委員  それに関連して、私も川村委員と同じような疑問を持ちました。従来の議論でいく と、たんの吸引をやるとヘルパーの業務ではない。仮に「ヘルパー」と特定していまは 考えていきたいと思います。ヘルパーの業務ではないということはずっと議論されてき て、業務ではなくて個人的な関係でやるのだということでした。ただ、いまの介護保険 が適用されるとすると、ヘルパーの業務でないものに対して介護保険が適用されてしま うという矛盾が出てくるのではないか。その辺を制度的にどう解決していけばいいの か、という問題は当然出てくると思います。ヘルパーステーションとしては、派遣をす るヘルパーがたんの吸引をするということについては一切責任を持たないでいいのかと いう質問が、おそらくヘルパーステーションをやっている者からすれば当然出てくると 思います。その辺をどのように整理していけば、仮にこのような形で動かしていった場 合に、現場で混乱が生じないようにするためには、予め、その辺をきちんと整理してお かなければならないだろうということは私も思います。是非、その点について教えてい ただきたいと思います。 ○伊藤委員  いまの平林委員のことと、もう1つ、4月からの新制度で、支援費制度によるヘルパ ーの派遣も全く同じ状況かと思います。自選ヘルパーということです。「介助人派遣制 度」と称していたものが、今度、支援費制度になりました。支援費制度の場合には、患 者自身が事業所を探して、そこからヘルパーに来ていただくということでした。前提と して介護保険を使い切っている、訪問介護の割合が50%を超えているなど、いろいろ細 かいことはありますが、現場からすれば全く同じようなことが起こるだろうと思いま す。 ○稼農補佐  いまのご指摘について、今回の部分については、家族以外の者がどういった条件の下 でたんの吸引を行うことが可能なのかというご議論でした。お話が出たように、その方 がALSに関する必要な知識等、たんの吸引の方法を個別に習得いただく。また定期的 に、適正にたんの吸引が行われているかどうか確認をするという、諸々の条件の下でや ろうという流れだろうと思います。そこについてはホームヘルパーの業として行うとい うのではなくて、患者との間で同意された方が個々に行うということだろうと思いま す。 ○平林委員  そういうように考えると、ヘルパーステーションとしては一定の時間内にこれだけの ことをしなさいということを言っているわけですが、それ以外のことをやることをヘル パーステーションとしては認めなくてはいけないことになるわけです。契約的に見る と、それは業務命令違反になるのではないか。  議論を整理するためにあえて申し上げているのですが、本来やってはいけないことを やっているのではないか。将来、そういう問題が起きないようにお願いしたいと思いま す。おそらく、そういう議論が出てくると思います。本来、何時間という設定された時 間は、ホームヘルパーとしての仕事をやるということで派遣をしているわけです。それ に対して一定のお金が払われているわけですから、その間、言わばどこかを部分的に 取って、ホームヘルプ以外の行為をすることをどのように整理すればいいのか。仮に、 それが全部介護保険で払われるのか払われないのか。払われないとするならば、今度逆 にそういうサービスをしたことに対する対価は、個々の患者とヘルパーとの間の私的な 契約で払われるのか、あるいは医療保険で支払われるのかという問題も出てくると思い ます。そもそも、そういうことが従来の厚生労働省の考え方の中で制度論として可能な のかどうか。そのことを是非教えていただきたいと思います。 ○看護職員確保対策官  もともと介護業務、介護サービスと言われる業務自体が連続的というか、これがこう と言うのがなかなか難しい部分があります。その部分の中で、どういう部分が介護保険 の給付対象になるのか、制度的には言わば支給限度額という形で決まってくるわけで す。  それでは、支給限度額以上してはいけないかということはなくて、介護サービス全体 の中で、実際には介護保険の給付対象以外のサービスも組み合わせて提供することがで きるとなっていると思います。その中で、このような業務がどのようになるのかという のは、1つはここの議論は非医療職というか、家族以外の者の中に介護保険、ホームヘ ルパー以外の部分も入れた中での条件整備になっています。個々、具体的なところにつ いてどういう条件かというところは、さらに少し整理が必要な部分もあるかもしれませ ん。その辺は少し検討させていただきたいと思います。 ○前田座長  先ほどご指摘があったように、介護ヘルパーだけの問題ではなくて非医療職、一般の 吸引をどうするかを議論しています。そのときに、吸引をヘルパーがやったときの法的 な扱いは、いま対策官がご指摘になったとおりだと思います。それに関して、細かい詰 めがまだ残っているかもしれないのですね。 ○川村委員  ここでいま言われている「家族以外の者」というのは、業務として派遣されている 者、もう1つはボランティア、両方あると思います。ボランティアについては、私的な 関係でおやりになるということですから、それは制度として議論しなくてもいいのかな と素人は思います。  しかし、業として派遣されている者が、きちんと国の税金なり保険制度で国民がみん な支払いをしているものを使っているわけです。ですから、それなりに「役割はこれだ 」と明示されていてやるわけです。それを勝手に変えてもいいということであれば、訪 問看護師が行って、医師がするべきことまでやって帰ってきていいのかということにま で発展してしまうのではないか。やはりそれなりに、私的な関係でない部分は制約があ るというように、いままで私は理解してきました。そういう中で、そこの部分について だけは私的な関係ということであれば、それはそれではっきりここに書き込んでおいて いただきたいと思います。 ○前田座長  訪問介護のお金で一切吸引ができないかどうかということは、先ほどの対策官のお話 にあったようにはっきりそう言い切れるわけではないのです。 ○川村委員  少なくとも、たんの吸引というのは医療行為としてスタートしてきたのだと思いま す。そうした場合、医療行為というのは「医師または歯科医師が行うのでなければ危害 は何とか」ということで、看護師もその実施については全面的な解除がないわけです。 やはり、そういう制限がはっきりあるわけですから、「医療職ではない」というところ は踏まえた形でやるべきではないか。やっていけないと言っているわけではなくて、や るとするならばそこをきちんと整理しておかないと、またさらに混乱が深まりますとい う点をきちんと制度として整理して、提示しないといけないと思います。 ○看護職員確保対策官  基本的には医療行為、という線が前提になっていますので、おそらくホームヘルパー の従来業務という形ではないのだろうと思います。担当局が違いますので、少し中で議 論を整理させていただきたいと思います。 ○伊藤委員  図の矢印の関係のところですが、どこの医療機関であってもいいのですが、主治医か ら訪問看護に当たって「訪問看護指示書」が出されています。これはたんの吸引におけ る図ですから、たんの吸引に関する指示がどういう形か、おそらく包括的な指示という ことになるのでしょう。  それが明示された形で、訪問看護師の方はたんの吸引を実施される。また家族は主治 医、もしくは訪問看護師による指導を受けながら吸引を実施する。同じく家族以外の者 についても、もともと主治医の指示書があって、それに基づいて、この図で見ると「訪 問看護計画」に基づく指導・同行訪問・連絡・相談、報告という一連の流れがある。こ のような図かなと思って読んだのですが、そのようなことなのでしょうか。 ○稼農補佐  ご指摘のようなことでございます。たんの吸引を行う場合、訪問看護と家族以外の者 との連携ということですので、医師と訪問看護ステーションとの関係、それと家族以外 の者が行われる場合での連携のあり方について図解をしたものです。 ○伊藤委員  もう1つ、この図で非常に重要なポイントは、都道府県が、一連のたんの吸引に関す る指導的な役割を果たすというように読めるのです。いろいろな議論があるでしょうけ れども、「医療ヘルパー(仮称)」など、家族以外にたんの吸引を行う新たな者に関し ては、その教育・指導等の単位は都道府県で行うべしというニュアンスで作図されてい るのかなとも読めるのです。国というのはどこにも書いてありませんので、全体を保障 するということが国の役割だと思うのですが、都道府県というのは非常に重いニュアン スで受け止めたのですが、これについてご質問したいと思います。 ○稼農補佐  都道府県については、一般的に難病対策を実施している関係で、資料で言うと、資料 2の2頁、下の部分です。この図のニュアンスとしては、いちばん下に「また」で書い てあるところですが、都道府県保健所の難病対策の一環として、その保健所保健師等が 担うべき総合的な調整機能があります。こういったものの中で、地域のケア体制の把 握、コーディネートといったことについて都道府県が行うということで、ここに記載し ているところです。 ○前田座長  都道府県が吸引指導の基準を作ったりなどということは、必ずしも考えているわけで はないのですか。そういう意味で中心ということではないと思います。 ○伊藤委員  資料1の2頁、4の「家族以外の者に対する教育」という項目があります。「主治医 ・看護職員は」ということですが、これだと医療機関、もしくは訪問看護ステーション が家族以外の者に対して、個々に教育を行っていくというように読めたものですから、 それは質の保証という点でいかがかと思いました。あの図を見ると、県がそれを統括・ 指導するのかなと考えたのです。特定疾患の一般的な対策の元締めというか、具体的な 単位が県であるというご説明なので、それに倣っていくのかなということを確認したか ったのです。 ○前田座長  それに倣っていくという趣旨ですが、文章のほうが重要なわけです。案としては、 「主治医・看護職員が指導を行う」というのが本筋かと思います。 ○伊藤委員  この検討会の場でもしばしば出てきましたが、いろいろな試みがあるわけです。それ はそれとして、いろいろなバックアップの体制があるわけなので、それを図っていくの がこの検討会の根本的な趣旨かと思います。それを1医療機関、1訪問看護ステーショ ンにまた返してしまっていいのかどうか。言わば行政として、今後、どこが主体的に関 わっていくのかを考えての図かなと思いました。その辺はいかがかなと思います。 ○稼農補佐  教育の部分の記述については、個々の患者と家族、医師・看護師との間で個別の患者 に対して、たんの吸引を行うに当たって、ALSやたんの吸引に関する必要な知識を 個々に習得していただいて、方法についての指導を行うという趣旨でここでは書いてい ます。図については、先ほど言ったように難病対策の取りまとめというか、総括をして いる都道府県という意味で記載しています。 ○伊藤委員  よく理解できます。もう1つ、前回もご指摘申し上げましたが、国の施策として「難 病医療専門員」を設置して、あるいは都道府県によって呼称も違うと思いますが、難病 医療の推進・相談に当たっている方々がおいでになるわけです。多くは看護職であった りMSWです。その方たちもこの中に入ってこないといけないわけです。そういう方が 担うべき業務として、やはり研修、講習ということもあるのではないかと考えます。 ○星委員  それは最初に議論をした話かと思います。先ほど、伊藤委員が「医療ヘルパー」とい う発言をされました。そういう議論は全くしていないはずです。  私の理解は、先ほどから座長がおっしゃっているように主治医と看護職員、あるいは 家族と一定の方、ヘルパーであるかどうかは別です。その間で行われる特定の関係、と いうことを前提に議論をしてきたはずです。一般論として、ALSの知識を持ちましょ うというレベルでの研修、講習というのはあり得るかもしれませんが、それを受けたか らどうということではなく、最終的には患者を取り巻く、この絵に出ているようないく つかの役割を担う人たちが、この方にならやってもらえるだろうということを認知す る。そのための教育というのはやはり現場で直接、看護師の手をわずらわせながら、あ るいは一般論としては教育も活用することがあるのかもしれません。しかし、本筋とす ればその場で行われることが原則で、だからこそ以前にもお話したように、どれだけ技 に長けていてもほかの人の吸引を行うべきでないという議論でスタートしているわけで す。そこは誤解をしないようにしていただきたいと思います。 ○伊藤委員  星委員がおっしゃられたことはそのとおりだと思います。私が「医療ヘルパー(仮称 )」と申し上げたのは、ある特定の職種を新たに作るという議論ではありません。ある 一定の要件を満たして、なおかつ宮城の例でもご説明申し上げたように、特定の関係で ないとやはり難しいということで進めてきたものです。ヘルパー一般云々についての議 論ではない、ということを明確にご説明申し上げたいと思います。 ○前田座長  ありがとうございました。 ○山崎委員  この図を見て感じることは、いまいろいろな議論がありましたが、1枚目の「趣旨」 の1つ目の○に立ち返るのだろうと思うわけです。たんの吸引についてはやはり、医療 行為ということでこの検討会でも認識してきました。医療行為ということですから、基 本的には医師、またはその指示を受けた看護職員が行うことが自明であります。そのこ とについても、○にあるように、「医師および看護職員により十分にサービスが提供さ れるならば、ほかの者が実施する必要はない」とあります。  このことを受けて、多分この図が描かれたのだろうと思います。そう拝見すると、こ れはあくまでも医学的管理の必要な方、ここでは「在宅ALS患者」というようにタイ トルがしてあります。その方の在宅医療におけるチームケアだろう。ですから訪問看護 ステーション、または医療機関の訪問看護、診療所の訪問看護、いろいろありますが、 いずれにしろ医師の指示を受けて訪問看護師が主体的に提供するサービスの1つであ る。  しかし、いま地域においては1日複数回、または24時間滞在はできない。そういう一 定の条件のもとに、訪問看護計画に基づく指導・同行訪問・連絡・相談・報告という流 れの中で、「家族以外の者」ということです。ですから、これは先ほど事務方がお答え になったように訪問介護事業所から行って、業として行うものではないということで、 個別単位の「家族以外の者、ヘルパー、ボランティア等」というように書かれているの かなと理解したわけです。これはあくまでも「たんの吸引行為における」ということ で、訪問看護が充当されれば、家族以外の方にこのようなリスクの伴うことをやってい ただく必要はないというのが前回までのここの検討会の議論だったと認識しています。  もう1つ、資料2でこれまでの議論の取りまとめが出ています。先ほどの伊藤委員の ご意見もそうなのですが、ALS患者の在宅療養の質向上を図るための措置ということ では、もう少し国や都道府県を含めた図が1枚必要なのかなという感じがします。その ことも議論してきましたし、なにぶんにもこの10年間、行政施策が進んでこなかったと いうことは再三、この検討会でも出てきました。24時間の在宅ケアをどうするか。私た ちは家族介護力に依存せずともできるような仕組みを期待するわけです。そのことをこ の検討会としても、きちんとその方向を出していただきたいと思います。  在宅医療を支えるという全体図が1つ必要で、たんの吸引における訪問看護とそれ以 外のものの連携という図が、やはり極めて限局的に描かれてくるだろう。そうしない と、この報告書が出たときにいろいろな理解や認識があるだろうと思いますので、それ が大事かなと感じます。  その意味では、資料2の3頁のところで申しますと、議論の取りまとめの2.たんの 吸引行為とあります。(1)、(2)ということで進んでいますが、(1)の前にやは りいまのようなこと、たんの吸引行為そのものがここで議論してきた、基本的には医 師、看護師が責任を持って行う医療行為である。在宅においても、訪問看護が基本的 に、主体的に責務を負って行う業務であるということをきちんとここに書いていただき たいと思います。「しかし」ということで、家族以外の者に対するたんの吸引につい て、4頁にある(2)のようなことをいま議論してきているわけです。そのことが大前 提である、ということをここでもきちんと明記していったほうがいいのではないかとい う感じがしています。  「議論のまとめ」でもそうなのですが、「一定の条件の下では当面の措置として行う 」とあります。行政はよく、「当分の間」や「当面の措置」というようにお書きになる のですが、このことも未来永劫、いつまででもではないということはここの検討会でも 了解事項だろうと思います。なお書きで「適宜・適切に見直す」という文言もあります が、やはりここは「一時的な措置」とか、私は前回時限的なものではないかという発言 をしました。適宜・適切に見直すということもきちんと、まずは訪問看護、在宅医療の 制度の整備充実を強力的に行って、その間のものですということがわかるような、もう 少し具体的な書きぶりにしていただきたいと思います。 ○前田座長  いま、たくさんおっしゃったので整理させていただきます。 ○山崎委員  議事録に残っていると思いますのでよろしいのではないでしょうか。 ○前田座長  まず第1点でご指摘いただいた点、資料1のいちばん最初、「趣旨」で先ほどもご指 摘があり、確認いたしました。「たんの吸引の危険性にかんがみれば」ということも入 れるということでした。図は確かに面積的に家族以外の者、ヘルパーの部分の四角が大 きいということはありますが、全体の趣旨から見てこれが例外的なものであって、訪問 看護ステーションの医療、主治医の医療が中心であるということははっきり確認してい るところだと思います。  いまのご議論にも既にかなり含まれていますが、資料2の議論と不可分ですので、こ こからは資料2についての議論を混ぜて行っていただきたいと思います。  それに関連して、資料2に関して、「たんの吸引」の頭に何らかの文章を入れたらど うかというご提案でした。その点について、事務局から何かコメントがあればお願いし ます。あと、「当面の間」ということについても次に、切り分けてコメントをいただけ ればと思います。 ○稼農補佐  まず2の(2)の前に、たんの吸引についての基本的な部分をというお話でした。先 ほどの「趣旨」については、次の頁にまた出てきます。資料1の「趣旨」については、 4頁の(2)、「家族以外の者によるたんの吸引について」で、先ほどのご議論からす ると(2)の○の3つ目と4つ目の部分に少し言葉を書き足して、流れがわかるように というご指摘もありました。こちらで書き込むのか、2の(1)の前提で書き込むのか というところはあると思いますが、これまでの議論であれば「家族以外の者によるたん の吸引について」で、先ほどの趣旨の部分に書き足していくことで明確にしていくとい うことであれば、同じ1つの取りまとめの中ですのでよろしいのかなという気もしてい ます。1点はそういうことで、併せて両方に書いていく、という方法もあると思いま す。  もう1つ、「当面の措置」については、いま山崎委員からご指摘のあったとおりで す。中身としては、下の○に書いてあるように訪問看護の充実、自動吸引装置の開発普 及によって、療養環境の変化に応じて適宜・適切に見直していくという説明を下に付け ているということです。したがって、現時点で何年と言うことはなかなか難しいだろう ということで、それまでの間の「当面の措置」という趣旨で書いているところです。 ○平林委員  1つは伊藤委員と山崎委員のご質問との関連で確認をしたいのですが、いま我々が考 えているような仕組みで行った場合に、家族ではなくて、家族以外の者が行うたんの吸 引という医療行為、ないしは医行為についての質を担保するのは、個別の主治医と看護 職、訪問看護師等、個別的な特定の医師、特定の看護師の責任において質を担保するの だと。そのような枠組みであることをまず1つ確認したいと思います。  その場合、例えば資料1の2頁、6の○の2つ目、この場合において、いま我々が考 えているようなヘルパー、あるいはボランティアが行うことのできるカニューレ、吸引 というのはここに書いてあるような形で、「家族以外の者が行うたんの吸引の範囲は、 口鼻腔内の吸引、および気管カニューレ内部までの気管内吸引を限度とする」とありま す。これが限度となると、それを超えて、例えばヘルパーが行ってしまったという場合 には、その前提が崩れるわけです。  非常に形式的に言うと、もちろんいろいろなファクターがありますから、すべてが違 法になるということを言うつもりはありません。ただ、少なくとも違法になる可能性を 含んでいるということになります。そうすると、6の2つ目の○の限度というものが、 実際たんの吸引を行っていく現場の中で、本当にこれでいいのだろうかという疑問を素 人なりに持ってしまいます。その辺について医療、あるいは看護の専門の方にお聞きし たいというのが1点です。  もう1つ、しつこくて恐縮です。これは先ほどからの議論の確認にもなるのですが、 山崎委員が、私的な契約の中でこういう行為ができるのだという趣旨のことをおっしゃ いました。もちろんそうであれば、その議論そのものは十分に了解できるのですが、先 ほどの介護保険等の関係で言うと、そのように単純に割り切って考えることがこれまた 現実的なのだろうかという疑問が生じます。これはまた次回、対策官からその点につい ての回答をいただきますので、それを待って議論をすればいい問題だろうと思っていま す。  3点目に、これも山崎委員の議論に乗って申し上げたいのですが、資料2の3頁、 「たんの吸引行為について」ということでずらずらと書いてあります。やはりこういう 問題を考えるときに、たんの吸引というものについてヘルパーなり、その他家族以外の 者が行うことについて、厚生労働省は厚生省の時代から、これは医行為だからやっては いけないということをずっと言い続けてきたわけです。なぜそう言っていて、この段階 に来て、なぜ、どういう理屈で、そうではなくすのか。もちろん細かな法律論にわたっ て、細々と書けということは申しません。しかし、おそらく多くの人々は、なぜそのよ うに変わったのかという理由はやはり知りたいと思うでしょうし、そのことについて 我々は説明する義務を負っているだろうと思います。その理論構築について賛成である か、反対であるかについての議論をするつもりもありませんが、少なくともこの分科会 としてはこういう見解のもと、このように考えて、厚生省ないしは厚生労働省の見解を 変えたのだという理由を明示するのが、やはり我々の責任だろうと思っています。その 点についてもご配慮いただければありがたいと思います。以上です。 ○福永委員  いま平林委員が最後に言われましたが、この議論をやっていくと常に堂々めぐりのよ うな感じになるのは、結局吸引行為自体が医行為なのかどうかをはっきり明確にできな い。そこに触ってしまうと、いろいろなことの整合性が取れなくなってくる。  ただ、いま言われたように一定の見解というか、時代の流れ、あるいはいま在宅が非 常に進む中で、いわゆる法的なものとの齟齬をきたす。そういう意味での一定の見解と いうのはやはり必要ではないか。そこがあるからいろいろな議論が非常に難しくなって いるような気がします。全体のまとめについても、おそらく事務局の非常に苦心の跡 が、いわゆる一定の制限を設けたり、あるいは当面の措置とか、適宜見直すという形で しか関われないところがあるのではないかと思います。  最後に平林委員の言われた、特に吸引をヘルパーやボランティアがやる範囲について も、これもまた議論し始めればリスクの関係で、どこで歯止めというか、範囲を設ける かというのは議論の多いところだと思います。それこそ、当面の措置として考えればリ スクを考えたときには気管カニューレ内だったら、リスクは少なくて済むのではない か。ただ、それを超えた場合はどうこうと議論を進めていくと、実際はまた非常に難し い問題になるわけです。一定の範囲としては、いま事務局の提案されたところあたりが 納得できる範囲ではないかと個人的には思います。 ○前田座長  質問のいくつかの点は、専門の側から既にお答えいただいたわけです。事務局の側か ら、先ほどの平林委員のご質問に対して、補足的にお答えいただく点があればお願いし ます。 ○稼農補佐  まず、先ほどの見解ですが、ALS患者の置かれている先ほどから説明、議論がある 現状等にかんがみて、まさに強いご要望もある。そういったことを踏まえて、この検討 会において差し迫った、当面する課題について、もちろん原則として訪問看護の樹立や 医療サービスが行き渡って提供されるということであれば、そこまで必要はないと考え られるという流れの中ではありますが、当面の措置としてある種、全体の条件をいろい ろ絞った中で、どのような下であれば家族以外の方ができるのか、この分科会でご議論 をいただいているということです。この分科会で考え方等がまとまっていったならば、 そういった方向での対応ということになろうかと思っています。 ○前田座長  先ほど山崎委員から、ALSに関する国と都道府県の施策を資料2の中に書き込むの はどうかというご指摘があったと思います。その点についてはいかがですか。 ○稼農補佐  先ほどの図にも関連しますが、この図においては、まず都道府県が出てきます。そこ について、ALS患者の難病対策として、家族への相談や支援、地域連携、ネットワー ク作りと情報提供の責務ということが上に書いてあります。こういったことを通じ、た んの吸引についてのネットワークというか、連携体制の中にも組み込まれるものでしょ うし、各種の相談・支援・情報提供といったことについては、行政としてもご家族ある いは家族以外の方、全般にわたって提供できるようにしていくことが必要だろうと考え ています。  山崎委員のご指摘については、これはこれとして難病対策等、全体がわかるような総 合的なものが別途必要ではないかということでした。これまで施策について、患者・家 族の方を中心に据えて、3回目に難病対策等の施策を出した資料があります。そういっ たものを踏まえて、どう別紙として入れ込んだらいいかについても、併せて検討したい と思います。 ○五阿弥委員  いまの話に関連して、1つ懸念しているのは、例えばこのような図ができたとき、い まうちはネットワークができていないからできませんということがいちばん困るわけで す。あるいは主治医が協力的でない、訪問看護ステーションのほうがうまく機能してい ない、ヘルパーの派遣会社がこうしたことに理解を示さないということがあります。  先ほど伊藤委員が、「国が出てきていない」ということをおっしゃいました。私もこ れを読んでいて、国が出てきていないと思いました。都道府県、あるいは市町村という 言葉はあるのですが、やはり今後ある意味でネットワークというものを作るのであれ ば、国と自治体は責任を持って整備をする。そういうものをどこかに書いていただきた いと思います。看護ステーションについても、もちろん医師会も全面的に協力するわけ でしょうが、やはり国と自治体が責任を持ってこの体制を整備するということは是非と も入れていただきたいということが1点です。  もう1点、資料2の4頁、「家族以外の者によるたんの吸引について」の1つ目の○ です。「医療と福祉の関係、それぞれの役割分担も含めて、在宅医療に携わる者の行う 業務や在宅医療そのものの在り方についての議論が必要であるという意見があった」と 書かれています。これを議論し始めると、この会ではなかなか大変なので別途になるか と思います。これは山崎委員も繰返しおっしゃっていましたが、在宅医療というものを 支える医療体制や看護体制、あるいは介護体制、そこがうまくなっていないわけです。 これについては今後、別途議論を深める場を設けるべきであるというものにしたほうが いいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。 ○山崎委員  私も全くそう思います。「終わりに」ということになるのか、取りまとめの最後で、 今後の課題というような形で、改めて在宅医療推進のための地域連携、看護と介護のあ り方、その他検討課題ということできちんと明記をしていただければと思います。それ と同時に、いま国の責任ということもおっしゃられましたが、このような一時的な措置 を取ったとしても、やはり訪問看護の充実を強力に推し進めるというこの2点。これは 医政局だけではありません。先ほどご議論があったように、省内のいろいろな部局にま たがることですから、この2つは今後の課題という形で、きっちりお書きいただければ と思います。  別の点ですが、訪問看護と家族以外の者との連携というところで、先ほど平林委員 が、吸引がこのように切り分けできるのか、中までやってしまった場合にどうするのか というご意見がありました。  そのことに関連して申し上げます。やはり、これは訪問看護が関わっていることが原 則で書かれている図だろうと認識をしています。先回も申し上げましたが、全国の看護 協会の会長が集まった会議で、私どもの調査では600数名が在宅で人工呼吸器をつけた 人だろうという数が把握できたので、それを各県にお持ち帰りいただきました。県協会 を挙げて個別・具体的に、ALSの方にどのようなサービスが使われているのか、使わ れていないのか、どのようにフォローされているのか、お1人お1人を情報収集してみ ようではないかということでお持ち帰りいただきました。  今週に入り確認したところ、このような形でサービスを受けていますよ、いや、こう でしたというような情報が少しずつ上がってきています。在宅のALS患者というの は、厚労省では1,000名ちょっとではないかという数字が出ています。極めて少ない数 ですから、この仕組みを作ったときに、まずは訪問看護が必要なだけきちんと関わろう という気持を十分に持っています。1例1例の情報収集のアクションを見てもわかるよ うに、やはり総力をあげてご家族を支援していきたいと思っているところです。  訪問看護が毎日何回入る、少なくとも週に何回は入っていますという形の中で、家族 以外の方に一部委ねていくということになったとしても、個別・具体的に、この方には こういう方法で、こういうようにということは、やはり手を取り足を取って一緒にやっ ていくのが訪問看護の責任だろうと受け止めています。それをきっちりやり、また実際 におやりになったことをご報告いただいたり、フィードバックをしていただく。訪問看 護は訪問看護師として、やはり1週間ごと、2週間ごとにアセスメントをして、この方 法でいいのかどうか。こういう関わりがないと、この図式は成り立たないものだろうと 思います。  その意味で、言葉としては2頁の書きぶりになるのだろうと思いますが、前回ご指摘 があったように、どのレベルでたんの吸引行為を切ったところでリスクはあるわけで す。そのことは訪問看護がきちんとやらなければいけないことなのではないか。教育・ 指導についても、やはり私たちにやらせていただきたいと思いますし、必要があれば県 協会、ステーション等がその地域で中核的になって担っていくことかと認識していると ころです。 ○前田座長  その趣旨で書いてあると思いますが、その文章を直してというご趣旨ではないです ね。 ○平林委員  いまの山崎委員のご意見は、それはその限りで十分に理解できるのですが、何点か質 問させていただきたいと思います。1つはある患者がどういう形の吸引を必要とするの かというのは、これはかなり医学的な判断を要することだと思います。その判断を最終 的には医師がやるのか、看護師がやるのか。いまの山崎委員のお話だと訪問看護が関わ っていることを前提として、訪問看護師がそれを判断していくというご説明でした。医 行為についての判断を看護師がやることについて、医師との関係をどのように整理して いけばいいのかというのは、先ほど「包括的指示」という言葉がありましたが、その言 葉を使うのが良いのか悪いのか。私はあまり好きではない言葉なのですが、それはとも かくとして、何らかの形で医師と看護師との関係を整理していかないと、この事柄はう まく進んでいかないのではないかという疑問を持っています。その点について、どなた かお答えをいただければというのが1つです。  もう1つ、仮に訪問看護が関わっていることが前提でという、言わば「あるべき論」 が書いてある。そのとおりに進んでいけば事柄はそれほど苦労しないわけですが、世の 中の常として、なかなか「あるべき論」があるべき論として動いていかないのが現実だ ろう。そう考えてみると、仮にそのような前提が崩れてしまった場合に、前提が崩れて いることを誰がチェックするのか。医師と看護師の自己責任で行っているのだから、あ くまでも医師と看護師が自己責任において、自分の中でチェックをしていくのだとい う、言わば自己点検評価のシステムに委ねるのか。あるいは、先ほど来お話があったよ うに、国や地方自治体がそれに対して何らかの関与をしていくのかどうか。おそらく、 後から申し上げたことは否定されるのだろうと思いつつ申し上げています。その辺、仮 にこのシステムで動かすとしても、いろいろ考えていかなければならない問題はあるだ ろうと思っています。  仮に個々の医師、あるいは個々の看護師の責任において行うことになると、仮に十分 に管理ができない、十分指導ができないということになると、結果として医師も看護師 も医師法違反などの責任を問われる。そのことについても、確認をしておきたいという のが3つ目です。  最後、4つ目に「当面の」というところで山崎委員が問題提起をされました。私も 「当面」とは一体何なのか、非常に不安に思います。事務局からこの問題は2年、3年 というような、期限をつけることはなかなか難しいというご発言がありましたが、やは りとりあえず、例えば3年を目途に見直しをするという形にしてはどうか。その間にい ろいろ機器も進歩するでしょうし、状況も変わってくるだろうと思います。ある程度 リーズナブルな期限を付して、きちんと見直しをするということを「当面の措置」の見 合いとして、きちんと書き込むべきではないか。2年がいいのか3年がいいのか、5年 がいいのかは議論の余地はあろうかと思います。  「当面の」という点で、山崎委員は時限的にということをおっしゃいましたが、私も そのとおりだろうと思います。その辺、この分科会としてもし合意が取れるのであれ ば、期限を切った上で見直しをするということを書き込んでいく必要があると思ってい ます。 ○星委員  時間の関係もありますので、それぞれ、適切に答えられるかどうかはわかりません。 最後の件は議論が必要だと思います。  医師と看護師との関係について、見直しが必要ではないかというお話がありました。 確かにそういう側面があるのだと思いますが、これはこの事に限った事ではないだろ う、私は切り離して考えるべきだと思います。その関係の整理がなければ、この話が進 まないとは思えません。私どもが信頼できる訪問看護師に状況の把握、あるいは家族以 外の者、ヘルパーに対する教育を委ねるということも判断なのです。医師が直接しなけ ればいけない行為について、どこからどこまでを医師が直接するかどうか、看護師にお 願いするかしないか。これはまさに判断であります。その判断の範囲がどうなのかを議 論することには意味を感じません。  それから、2点目は何とおっしゃいましたか。 ○平林委員  地方自治体のことです。 ○星委員  それは次の責任の所在の問題と重なると思います。あらゆる在宅医療、あるいは医療 行為がそうであるように、最終的な責任は医師にあるだろうと思います。そのことから 逃れたり逃げたりする必要はないし、そのつもりもない。  何か起こったときにどうするのかという話は、確かにヘルパーたちが先ほど言ったよ うな業務の形態で来たときに問題になるかもしれないので、私は物事の整理が必要だろ うと思います。原則として、医師が最終的な責任を持つというのはあらゆる医療行為、 あらゆる医療環境において、みじんたりとも動かないものだろうと思います。そこにい たずらな介入をするとすれば、私は拒否するという方向なのだろうと思います。  ただし行政、あるいは地方自治体が何らかの形でそれを支援することはあると思いま す。どのような支援が必要なのですかということについては、我々は積極的に意見を申 し上げるし、積極的にいろいろお願いをしなければならないことがあります。ただ、在 宅医療は一義的に行政の責任なのだとは行政にも言えないだろうし、私たちもそれを容 認するつもりはないということは申し上げておかなければいけないと思います。 ○前田座長  「当面」についてお答えはいただけますか。先ほど一旦議論したことではあります が、何かあればお願いします。 ○稼農補佐  繰返しになりますけれども、「当面の措置」について、個々に患者の状況、療養環境 の状況等がいろいろ出てくると思います。それを見極めた上でやっていかなければいけ ない話だと思っています。したがって、現時点で何年と区切るのはなかなか難しいかと 思っています。本日のところについては、繰返しになって恐縮ですが「当面の措置」の 説明をなお書きで記載をしているところです。 ○山崎委員  先ほどの平林委員のご質問に答えたいと思います。多分、医師と看護師のいろいろな やり取りについては、この親委員会であった「新たな看護の在り方検討会」でいろいろ 議論されたところだろうと思います。その検討会の中でも、やはり在宅の訪問看護にお いてはどんどん変わってきています。  そもそも、訪問看護の指示書を開始の時点で医師から頂戴します。やはり、訪問看護 師はそれを主体的に、指示書があったからといって、どのように自分が訪問看護を提供 していくかというのは自分の頭で考えて判断して実施をする。そのことにおいては、 我々は責任を自分で取っているだろうと思いますので、そのことがお答えになるかと思 います。  平林委員からの2点目、図のようにいかないところはどうするのかということでし た。そのために、ここに都道府県行政として保健師や保健所が書かれているのではない かと認識をしています。訪問看護ステーションが1つもない地域があったとすると、そ こではどのようにこういう仕組みでケアを提供していくのかというのは、保健所保健師 や都道府県行政が真剣に考えて、そこで新たにネットワークを作っていかなければいけ ないだろう。それは当事者だけの課題ではなくなるだろうと思います。 ○川村委員  細かいことについては、あとでファックスなりメモを差し上げてお願いしたいと思い ます。先ほどの、年限を「当面の間」ということですが、いまの勤め先などでは、最近 では「当面の」などというように期限をはっきり明示しないことについては取り上げて もらえないというぐらいに、明示することが当たり前になっています。あとの評価がど うなるか、ということにとても関係してくるということもあります。  簡単な数字だから申し上げるというだけですが、例えば5年なら5年と区切ったとし て、5年ですべてが解決できるということを言うわけではありません。5年でどこまで できたのか、それをその先どうしていくのかということをチェックする時限だと思いま す。今は国が主導で、きちんと期限を区切って計画を立てる時代ですから、是非、ある 程度の年限をはっきりさせて、そこで見直しをするということにしていただいたほうが いまの時流に合っているのではないかと思います。 ○前田座長  その点も含めて、ここは、この制度を5年やるというよりは、条件としては在宅看護 が完備するとか、新しい利用法ができるという年限ですので、どうしてもリーズナブル な年限を出しにくいところではあるわけです。  ただ、10年後とか5年後までに在宅医療を完備しなければいけない、という政策を掲 げることが厚生労働省としてできるかというと、そこはまた非常に難しい判断も入って くると思います。当面、たんの吸引について続けなければいけない期間というのは、非 常に微妙なところがあると思います。 ○星委員  そう考えるから期間の設定が難しいのだと思います。そうではなくて、いま川村委員 がおっしゃったように、ある時点で我々が目指したものがどこまで行ったのか。この制 度で動いたものについての検証もある時点でしましょう。その時点で議論をして、まだ 駄目だ、このままでいきましょうというのも1つあると思います。  見直しというよりは制度の確認、完備すべき制度がどこまで来ているのか、訪問看護 がどこまで充実しているのかとともに、いまやろうとしている制度が、非医療職による 吸引に問題がないのかあるのか。あるいは、それはどのように受け入れられているのか をある一定の時期で評価しようと捉えれば、別段難しくはないのではないでしょうか。 ○前田座長  そういうものであればかなり違ってくると思います。事務局としても、「当面」とい うのはいつまで吸引を認めるかという「当面」ですから、期間が来たらやめてしまうと いうことにつながってしまうと非常にドラスティックになってしまいます。この制度に 問題がないか、何年後かに見直すという制度であれば、年限を入れるということはそれ ほど難しくはないのではないでしょうか。 ○山崎委員  私どもは非医療職による吸引を認めたわけではありません。いま、座長はそのことの 検証とおっしゃいましたが、そうではなく、「緊急避難」と言うと法律用語と意味が違 うと前回ありましたが、あくまでも一時的な措置としてこのことを議論しているわけで す。やはり3年なら3年後に見直すという、見直しの時限を入れていただきたいと思い ます。 ○前田座長  同じことかもしれませんが、見直すためにはやめていい状況になっているかどうかを チェックするということですよね。そこの意見の違いがあるとは思えないのです。その ことも含めて、事務局として、一定の年限で何らかの見直しを入れる文言を入れられる かどうかをご検討いただきたいということはよろしいですか。  不手際で時間が過ぎてしまったのですが、全体の進行としてはもちろん重要なご指摘 があって、宿題も残されているわけです。今日ご検討いただいた資料1を入れ込んだ形 で、資料2の「議論の取りまとめ」を整理して、ALS患者の在宅療養に関する支援に ついての答申というか、報告の素案みたいなものをできれば、この次は5月13日ですか ら、その前に委員に叩き台をお配りいただく。それについて、できればファックスなど でご意見のやり取りをする。もちろん審議は十分に尽くさなければいけませんが、時間 は有効に使っていかなければいけないということもあると思います。  これは注目されていますし、いつまでに答えが出るか。ただ、拙速は困りますので、 今日の議論を踏まえてできる限り早く、宿題にも一応のお答えをいただいた上で、素案 を各委員にお配りいただく。それについてのやり取りを踏まえて、できる限り5月13日 のところで、可能な範囲でまとめられる方向で前に進んでいきたいと思います。5月13 日にまとめ切るという趣旨では決してありませんが、なるべく早くまとめたいという方 向で進めたいと思います。いままでももちろんそうでしたが、今日もかなり具体的なご 議論をいただいて、有益な会を持てたと思います。事務方には大変なご苦労だと思いま すが、是非素案をお作りいただいて各委員に回覧し、ご指摘をいただきたいと思いま す。次回は5月13日と勝手に申し上げてしまいましたが、予定どおりでよろしいです か。 ○医事課長  次回については、既にご連絡させていただいていますように5月13日、18時から20時 を予定しています。夜で大変恐縮ですが、同じ省議室をセットしています。それまでの 間、若干日にちもありますのでこちらで案を準備させていただき、ご意見をいただけれ ばと思います。よろしくお願いいたします。 ○前田座長  時間を過ぎて申し訳ありませんでした。以上で第7回を終わりたいと思います。どう もありがとうございました。                                     −了−                           ┌───────────┐                           │照会先        │                           │厚生労働省医政局医事課│                           │課長補佐 稼農(内2564)│                           │(代表)  03-5253-1111│                           └───────────┘