03/04/22 第17回社会保障審議会年金部会議事録              第17回社会保障審議会年金部会                    議事録                平成15年4月22日 第17回 社会保障審議会 年金部会議事録 日時  :平成15年4月22日(火)10:00〜12:30 場所  :霞が関ビル33階 東海大学校友会館「阿蘇の間」 出席委員:宮島部会長、神代部会長代理、井手委員、今井委員、大澤委員、大山委員、      岡本委員、翁委員、小島委員、近藤委員、杉山委員、堀委員、矢野委員、      山口委員、山崎委員、若杉委員、渡辺委員 ○ 高橋総務課長  おはようございます。定刻になりましたので、ただいまより第17回社会保障審議会年 金部会を開会いたします。  議事に入ります前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。座席図、議事次第 のほか、次のとおりでございます。  まず、資料1が「雇用と年金に関する研究会報告」、タイトルは「多様な働き方に対 応できる中立的な年金制度を目指して」でございます。  資料2−1が「短時間労働者への厚生年金の適用拡大について」。  資料の2−2が、その参考資料でございます。  それから、資料3が「第3号被保険者制度の見直しについて」。  そのほかに、参考資料をお配りをいたしております。簡単に御紹介申し上げたいと思 います。  参考資料1は、厚生労働省において現在私どもが実施をしております年金改革に関す る有識者調査の概要でございます。この調査は、さまざまな分野で活躍される有識者の 方々を対象といたしまして、年金制度の在り方に関するアンケートを実施するものでご ざいまして、1ページ目にございますように、年金改革の具体化を図る上での参考とす ることを調査の目的といたしております。昭和60年の改正以来、年金改革を行う際には 同様の調査を行ってきております。実は、前回の3月18日の部会に間に合えば調査の実 施前に御報告をする予定でございましたが、内容の調整に手間取りまして間に合いませ んでした。ただ、予算の執行の関係上、年度内の実施が必要でございましたので、発送 は3月末日に行いました。今日は事後報告ということになりましたけれども、その点を 御容赦願いたく存じます。  2ページ以降は、調査項目を記載いたしております。大まかに申し上げますと「公的 年金についての基本的な考え方」、「給付と負担の在り方」、「少子化、女性の社会進 出、就業形態の変化への対応」、「年金制度の体系」、こういった調査項目になってお ります。これらの項目につきまして「方向性と論点」に基づいて質問を立てておりま す。  また、参考資料2といたしまして、第14回の年金部会の議事録を添付いたしておりま す。 それから参考資料3、一群の資料がございますが、これは4月16日に開催されま した経済財政諮問会議における配布資料でございます。経済財政諮問会議における議論 の状況につきましては、後ほど簡単に御紹介を申し上げます。  このほか、正式資料ではございませんが、委員の皆様方には年金対話集会への御出席 予定の一覧表を追加でテーブルの上に置いてございます。  今日の委員の出欠状況でございますが、今日は全員御出席ということでございますの で会議は成立をいたしております。  それでは、以降の進行につきましては宮島部会長にお願いいたします。 ○ 宮島部会長  本日は全員の委員の方が御出席ということで、大変ありがたく思っております。  議事次第をごらんいただきますと、本日の議事の内容が書いてございますけれども、 今回と次回の2回にわたりまして「短時間労働者への厚生年金の適用拡大」と「第3号 被保険者制度の見直し」という2つのテーマにつきまして意見交換を行いたいと思って おります。資料をごらんいただきましてもお分かりのように、非常に大部なものでござ いますし、また極めて詳細なものでございます。制度設計を考えるに当たってはどうし てもこのようになってしまうという面がございまして、ややスケジュールがタイトに なっておりますけれども、この2つの資料につきまして本日説明いただきたいと思いま す。  今日、これからの議事について、簡単に私の方から、こういう手順で行いたいという ことを申し上げたいと思います。まず、この後、雇用と年金研究会の報告が出てまいり ましたので、この座長を務められました神代部会長代理から簡単に御説明をいただきた いと思っております。この報告は本日の主たるテーマでございます短時間労働者と第3 号被保険者の両方に関わる問題でございますので、まずその御報告を伺うということに いたします。  それから、短時間労働者、第3号被保険者の資料の説明をすることになりますけれど も、先ほど申しましたように、いろいろ複雑な面もございますし、幾つかの選択肢等も ございまして、説明にやや時間がかかるかという気持ちを持っております。まず短時間 労働者への厚生年金の適用拡大についての資料説明を30、40分でしていただいた後、休 憩を取りまして、その後、第3号被保険者制度の見直しについて資料の説明を伺うとい うことにいたします。これも恐らく30分程度と思っております。その後、残された時間 が恐らく50分程度ありますので、質疑あるいは意見交換をさせていただきたいと思いま す。  そして、後ほどまた改めて申し上げますが、次回このテーマで集中的に議論をいたし ますので、委員の方々にお願いでございますが、本日の資料説明等を受けられまして、 それに基づきまして次回のこの部会に向けての意見書の提出を是非お願いしたいと考え ております。ですから、次回、もちろん若干追加資料などはあるかもしれませんが、そ の意見書に基づきまして集中的に議論をしたいということで、今日は資料の説明を中心 にさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。  なお、最後に経済財政諮問会議での議論の模様についての説明がございますので、や やスケジュールとしてはきつくなると思いますけれども、よろしく御協力のほどをお願 いしたいと思います。  それでは、先ほど申し上げましたように、資料1としまして、先月の12日に出された 雇用と年金に関する研究会で「多様な働き方に対応できる中立的な年金制度を目指して 」という報告書について、この座長を務められました神代部会長代理に、5分か10分程 度、ごく簡潔に御説明いただいたきたいと思います。この報告は、その後の「短時間労 働者への厚生年金の適用拡大」問題と「第3号被保険者制度の見直し」の両方に関わり ますので、この報告についての質疑の時間は特に設けず、その後の資料説明の中で関連 して質疑をしていただければありがたいと思っております。  それでは、神代部会長代理からよろしくお願いいたします。 ○ 神代部会長代理  それでは、資料の1につきまして簡単に概要を御報告申し上げます。  ただいま御紹介がありましたように、雇用と年金に関する研究会は年金局長が参集を 求める研究会として昨年の6月にスタートいたしましたが、本年2月まで5回にわたり 検討を重ねて、先月12日にその成果を報告書として取りまとめて公表させていただきま して、既に前回お手元に配布申し上げたところであります。  この研究会では、平成16年の年金改革に向けた具体的な議論のいわば前段階といたし まして、労働経済を始めとする専門的な観点からの調査検討を行ったものであります。 座長として、報告書の取りまとめに当たりました立場から、その趣旨や内容について簡 単に御報告をさせていただきます。  御案内のように、近年就労形態の多様化が進んでおります。総務省統計局の労働力調 査によりますと平成13年の短時間雇用者、いわゆるパート労働者は約1,200万人に達し ております。このうち研究会で直接検討対象といたしましたのは、社会保険庁の公的年 金加入状況等調査、これは13年の調整がまだ集計中でありますので10年のものをベース にして、13年の状況を推定して出てくるのですが、589万人ほどの短時間労働者がいま す。 その中で、法の適用対象の事業所や業種に雇用されている人たち484万人程度が適用拡 大対象となり得ると推定をしております。  このような多様化が進む中で、個人の働き方の選択や企業の雇用形態の選択に対して 中立的な年金制度とすることが求められております。また、このように中立的な制度を 目指すことが被用者の年金保障の充実に結び付くとともに、年金制度の支え手を増やす 取組にも資するものと考えられます。このような観点から、この研究会では主に短時間 労働者に対する厚生年金の適用拡大、在職老齢年金制度の見直し、派遣労働者の取扱い 及び失業への対応という3つの点について議論をいたしました。本日は、今回の年金部 会のテーマであります短時間労働者に対する厚生年金の適用拡大という論点に絞りまし てポイントを御報告申し上げたいと思います。  まず、この研究会におきまして、現在の厚生年金の適用の在り方について議論を行っ たところ、個人がどのような働き方を選択するのか、また企業がどのような雇用形態を 選択するのかということにかかわらず、できる限り被用者としての年金を保障していく 方向が求められるのではないかという考え方で一致をいたしました。  報告書におきましては、現在厚生年金が適用されていない短時間労働者について、先 ほど人数を申し上げましたが、近年の就労形態の多様化等に対応して、被用者としての 年金保障の充実等を図る観点から、その適用を拡大する方向で検討を進める必要がある ことを明確に指摘しております。また、厚生年金の適用拡大をする際には、例えば週の 所定労働時間が20時間以上又は年間賃金が65万円以上という基準が考えられるのではな いかという提案をしております。併せて一定の前提を置いた粗い計算として、このよう な新しい基準で厚生年金を適用すれば、先ほど申し上げた484万人余りの被保険者のう ち、400万人程度が厚生年金にカバーされるのではないかという見込みを示しておりま す。  なお、このような適用基準によりますと、週の所定労働時間が20時間未満でありまし ても、年間賃金が65万円以上であれば厚生年金を適用するという考え方になります。こ の点については、例えば短時間労働以外の労働にも従事して、むしろそこから主たる所 得を得ている兼職パートなどの具体的なケースに照らして、なお検討すべき課題がある ということも指摘しております。  さらに、今後の制度設計の検討に際しましては、短時間労働者に対する給付と負担の バランスや、標準報酬月額が現在9万8,000円でございますが、その月額の下限の取扱 い、第3号被保険者制度との関係、医療保険制度における取扱いとの均衡などに留意す る必要があることを指摘しております。  特に短時間労働者に対する給付と負担のバランスにつきましては、報告書の6ページ に書いておりますので御参照いただきたいと思いますが、標準報酬月額の下限の取扱い に注目した制度設計上の留意点がそこに注記されておりますのでごらんいただきたいと 思います。  最後に、こうした具体的な制度設計等の議論も踏まえながら、短時間労働者に対する 厚生年金の適用を拡大することが短時間労働者本人の年金給付の充実や、事業主及び本 人の保険料負担に与える影響、年金財政に与える影響などについて、今後さらに定量的 な分析も進める必要があることを指摘しております。  私の方から御説明申し上げる内容は以上のとおりでありますが、本日はこの短時間労 働者に対する厚生年金の適用拡大という論点につきまして事務局から資料が提出されて おります。その中ではこの研究会の議論なども引用しておりますので、引き続き事務局 からの資料説明も合わせてお聞きをいただけたらと思います。以上でございます。 ○ 宮島部会長  ありがとうございました。この報告書そのものについてもいろいろ御意見なり御質問 なりがあるかもしれませんが、今、神代部会長代理の方から御説明もありましたよう に、この後、事務局の方から説明があります「短時間労働者への厚生年金の適用拡大」 の中で論点として全体的に扱うということになりますので、そちらの方に質疑はゆだね ていただきたいと思います。  それでは資料2−1「短時間労働者への厚生年金の適用拡大について」、資料2− 2、その参考資料に基づきまして事務局の方から説明いただきたいと思います。おおむ ね30分から40分ぐらいをめどにお願いしたいと思います。 ○ 木倉年金課長  それではお手元の資料2−1、それからその参考資料としての2−2を御覧いただき ながら、短時間労働者への厚生年金の適用拡大について御説明申し上げたいと思いま す。 資料2−1の1ページの目次を御覧いただきたいと思います。ここで御覧いただ きたいと思っておりますものを簡単に御説明申し上げますが、まず初めに適用拡大の必 要性ですが、これはこの部会でも昨年の9月のときに各方面の指摘あるいはデータ等を 御覧いただきましたが、もう一度新しいものも含めまして簡単に御紹介を申し上げま す。  2番目としまして適用基準ですが、今の神代先生のお話にもありましたが、適用する 場合の対象者の考え方というものについての論点を御紹介させていただきます。  3番目といたしまして、具体的な負担と給付の制度の考え方ですが、少し類型を置い て御議論をいただきたいと思っております。  それでは説明に入らせていただきまして、資料の1ページ、2ページでございます。 これは適用拡大の必要性についてもう一度確認をさせていただくものでございます。従 来から少子高齢化の進行の中で増えている多様な働き方に対応した形での社会保障制度 あるいは雇用、社会経済制度全体を改革していく必要があるのではないかという御指摘 があります。その中で、特に年金制度につきましても、多様な働き方、その多様な選択 に対して中立的な仕組みにしていく、被保者御本人の年金保障を充実させていく、支え 手を増やしていく、ということで適用の拡大を図っていく必要があるのではないかとい うことでございます。  これは参考資料の最初の方に付けておりますが、昨年の6月の、いわゆる骨太方針の 第2弾の閣議決定でも適用拡大の方向が確認をされています。それから、その前の年の 13年6月の閣議決定、骨太方針の第1弾と言われるものですが、これでもその方向は確 認されています。直近のものといたしましては、今年3月の規制改革の推進3か年計画 におきましても、この方向が繰り返し確認をされている状況でございます。  更に、その後には12年の有識者会議以降で適用拡大についての御指摘があります文書 を挙げております。例えば10ページでは、大澤先生が調査会長としてまとめられている 男女共同参画会議での御指摘等も載せております。あるいは、直近では雇用均等分科会 の3月の報告、あるいは先程、御報告いただきました雇用と年金の研究会について御指 摘の部分を引用させていただいております。中身については割愛をさせていただきます が、そのような御指摘が繰り返し述べられているということでございます。  本文に戻ります。このような中で先程、神代先生の方から御説明をいただきましたよ うに雇用と年金研究会におきましても適用拡大の方向が述べられておりますが、その理 由としては、(1)、(2)に挙げられておりますように、ライフスタイルの多様化に応じた 仕組み、能力が発揮できる仕組み、支え手となり得る仕組みということで、個人の働き 方の選択、企業の雇用形態の選択に対して中立的な方向を目指すべきではないかという ことです。あるいは、その業種ごとに短時間労働者の割合は異なっている。その中で厚 生年金の負担のばらつきがあるわけですが、このような不均衡を是正していく必要があ るのではないかということが述べられています。  データについてでございますが、昨年9月以降、パートタイム労働者の実態調査を新 しいものにいたしておりますのでそこに簡単に引用させていただいております。資料の 方でごらんいただいた方が早いかと思います。参考資料の17ページ以降でございます。  最初の17ページは総務庁の労働力調査で先程、先生からも御指摘があったものでござ いますが、35時間未満の者を短時間雇用者として取った統計でございますけれども、そ の数が増加しており、1,200万を超えるような状況であります。全体の雇用者の4分の 1近くなっています。それから、女性については短時間雇用者が全体の約4割というこ とになっています。  その次のページからは、13年のパートタイム労働者の総合実態調査でございます。こ れは正社員よりも所定労働時間が短い労働者ということでとらえられているデータでご ざいますけれども、パートタイム労働者の約3割が厚生年金、共済年金等に加入をして いるという状況であるということでございます。19ページの方ですが、厚生年金適用の 割合はだんだんと減少をしてきています。多様な働き方が増加をしている中で、割合は 低下をしてきていて、64%という状況でございます。  それから、年齢別の状況等は20ページですが、女性データを御覧下さい。これは9月 にも元年と11年の10年間の変化を見ていただきましたが、これは3年と13年でございま して、同じような傾向でございますが、20代あるいは40代というようなところで、雇用 者が伸びていても適用が伸びていない、あるいは低下をしているという乖離が見られる ということでございます。男性につきましては21ページです。  22ページは、就業調整の理由をアンケートで取ったものでございます。その中で多い のは、御本人の所得税の非課税限度額が今は103万円でございますが、これを超えない ようにということを理由とする方が男性6割、女性7割ということで多い状況でござい ます。あるいは、同じ103万円で配偶者控除がなくなるということもありますが、その 理由も挙がっております。それから、厚生年金等の被扶養配偶者の年収要件130万円に つきましても、女性で38%、理由として挙がっています。  23ページでは、業種別のパートタイム労働者の数と割合でございますが、一般的に言 われる傾向でございますが、卸売・小売業、飲食店、この業種で多くなっています。そ の中での割合でございますけれども、正社員より労働時間が短い労働者で取りますと 45.1%、35時間未満で取りますと31.5%とやや低下はするということでございますが、 このような状況でございます。  次の24ページでございますが、これは所定労働時間と年収等を組み合わせた資料でご ざいます。右端に書き出しておりますように、労働時間が30時間未満の方が55.3%で す。所定労働時間を週40時間といたしまして、その4分の3未満、今は厚生年金の適用 基準は4分の3以上の時間数で出しておりますので、それ未満の方が55.3%、約半数と いう状況でございます。  次の25ページですが、これは勤続年数、継続的にどの程度勤務されているかというこ とでございます。男性の方は1年から3年と比較的短い期間が多いですが、女性の方は 傾向は顕著でなくて比較的長期の方も多いという状況でございます。  最後に、年収の状況でございます。まず26ページは女性ですが、やはり先程の就労調 整の関係があるのでしょうか、100万前後のところの分布が多いということでございま す。  男性の方は27ページでございますけれども、それほど顕著ではございませんが、やは り100万のところの分布が少し多目に出ているという状況でございます。  簡単に御覧いただきましたが、このようなデータを御参照いただいた上で、本文に 戻っていただきまして5ページからでございます。適用拡大を行うとした場合の適用基 準についての御議論の材料を示しております。5ページでは、まず現行の短時間労働者 に対する厚生年金の適用基準でございますが、そこの「○」に書いておりますように、 まず厚生年金の基本的な仕組みといたしましては適用事業所で通常に就労されている方 については、労働時間にかかわらず、基本的に厚生年金の被保険者になっていただいて おります。  そういう一般の方よりも短い労働時間で働かれる方、これは短時間労働者と称してい るわけでございますけれども、この短時間労働者につきましては次の「○」でございま すが、全国で統一的な取扱いをする必要があるということで、昭和50年代に一律の基準 を示しました。厚生年金につきましても健康保険につきましても基本的に同じ仕組みで やっておりますけれども、その適用事業所と常用的使用関係にある者に適用します。そ の判断基準といたしましては、まず1つは1日あるいは1週間の所定労働時間、8時間 なり40時間なりに対しましておおむね4分の3以上の時間数で働いていらっしゃる方、 それから、1か月の日数がその事業所の通常の就労者に比べましておおむね4分の3以 上の日数で働いていらっしゃる方について適用をしていくという取扱いでございます。  これで4分の3以上の場合には適用されるわけでございますけれども、4分の3未満 でございますと、あとは配偶者が被用者年金の被保険者である場合、その被扶養の配偶 者になるかどうかということがございます。配偶者の方がいらっしゃれば、まず一番右 でございますけれども、年間収入が130万未満である場合に被扶養配偶者ということで 3号被保険者になるわけでございます。それ以上になりますと1号被保険者として御自 身の保険料負担を願うという仕組みになっています。  なお、後での議論に関係しますので簡単に申し上げますと、この被扶養配偶者の認定 基準の130万円以上につきましては、給与の収入、資産の収入、あるいは自営業等の場 合にはその事業所得等も含まれます。そういう資産収入や事業所得は6ページの一番下 に「※」で書いておりますように、必要経費等を差し引いた後の収入で見ているという 取扱いでございます。  現行の仕組みを図にしましたのが7ページでございます。左側が、仮に短時間労働者 の配偶者を夫とさせていただきますと、夫が被用者年金の被保険者の場合、右側は夫が 自営業という場合について、図に簡単にお示しをしたものでございます。  9ページでございますが、雇用と年金研究会等でもお示しがありましたけれども、こ れまでに提案されております適用基準の案につきまして御吟味いただきたいということ で示しております。研究会報告等におきましては、その週の所定労働時間が20時間以上 あるか、または賃金が65万円以上あるかということでとらえていってはどうかという見 直し案が提案されているところでございます。先ほどの研究会報告の御紹介でもありま したように、仮にこの適用基準で粗く推計した場合には、新たに短時間労働者のうち被 保険者として適用される者はおおむね400万程度ではないかという試算をしておるとこ ろでございます。  20時間または65万以上というのはどういうことかといいますと、10ページの図で見て いただきますと、上半分は今の仕組みの図でございまして、左側は夫が厚生年金、右側 の方は夫が自営業という場合でございますが、それが下の半分のように変わっていくと いうことでございまして、左側はまずは4分の3という時間数が20時間以上に適用され るということで、黒い部分が左の方に伸びていきます。  それからもう一つ、短時間労働者御本人が年間賃金を65万円以上得ていらっしゃると いうことになりますと、自ら2号として被保険者になっていただくということで、黒い 部分が下の方までカバーをされます。残りの部分が被扶養配偶者、いわゆる3号という ことになるということでございます。右側の方は、配偶者の方が厚生年金加入者ではな い場合ですが、仕組みそのものは同じでございまして、20時間以上の方、あるいは65万 円以上の方は2号被保険者として適用があります。残りのそうではない方は自ら1号と して御負担をしていただくという仕組みになるわけでございます。  次に11ページでございますけれども、御提案のあります20時間以上または65万以上と いう基準につきまして、一つ一つ御吟味をいただきたいということで紹介をさせていた だいております。まず11ページは、週の所定労働時間20時間以上という基準についてど う考えるかということでございます。現行の基準は、先ほど申し上げましたように1日 8時間、1週間40時間という所定労働時間に対しまして4分の3以上、または月で4分 の3以上の日数ということでやっております。これを週所定労働時間20時間以上と改め るとすれば、そこの(1)(2)(3)と挙げているような考え方になるということで整理をし ております。  まず(1)でございますけれども、週の所定労働時間を原則40時間ということで考えま すと、20時間以上ということはその週の労働時間の半分であり、適用事業所でそれ以上 の時間の就労をされていれば、被用者保険グループとして見るということではないかと いうことです。  (2)ですが、これまでの4分の3という相対的な基準でございますと、同じ労働時間 でパートタイムに出られるということになりましても、勤務する事業所ごとに所定労働 時間が違ったりしまして、適用が変わってしまうということになります。通常の就労者 の方は基本的に適用されているわけでございますけれども、パートタイムの方は適用か ら外れたり、適用されたりということでばらつきが出てしまうのではないかということ でございます。  (3)ですが、現在の雇用保険の適用基準も20時間以上ということになっております。 年金と同じように、昭和50年代に全国の統一的な扱いとして4分の3という相対要件で 雇用保険の方もスタートさせておりますけれども、現在は原則20時間以上の方に適用す るということでございます。  このように20時間以上だけでとらえた場合、先ほどの推計400万人のうちで300万人程 度は適用をされるということになるのではないかということを先ほどの研究会の方で粗 く試算しております。  それで、この20時間以上適用ということを図で見ていただきますと、12ページの下半 分でございます。4分の3から20時間伸びる部分だけが適用拡大されてくるということ でございます。  その次に、今度はもう一つの考え方、65万円というような収入の要件を適用の基準と して併用することについてはどう考えるのかということでございます。20時間以上とい う時間要件に加えまして、一定の賃金を得ていらっしゃる方を時間にはかかわらずに適 用することと考えるとすればどうかということです。  まず当然ながら(1)のように、時間要件のみの場合に比べまして適用範囲は広くとら えられると思われます。時間数が少ない方でもカバーができるということでございま す。  それから(2)でございますけれども、これから雇用形態が更に多様化していく中で、 短時間でありましても高賃金を得るような方々が増えてくることが予想されるわけでご ざいます。そういうことになった場合には、時間数だけではなくて収入の方でも適用を 考えていくことが雇用形態の多様化には対応できるのではないかということでございま す。  (1)でございますけれども、時間数の要件だけではなくて収入要件でも適用していく ことが、より就業調整の余地は減少していくため、こういう形態を選ばれるときの選択 に対して中立的なことになっていくのではないかということでございます。  ただし、その次の「○」で書かせていただきましたけれども、収入要件の併用につい ては検討すべき問題もあるのではないかということでございまして、(1)ですが、週の 所定労働時間20時間を大きく下回る方を厚生年金として被用者年金のグループとしてと らえていくことが妥当かどうかというふうな議論があるのではないか。  あるいは(2)でございますが、その短時間の就労に伴う活動以外のところから、より 多い主たる収入を得ていらっしゃるような方について、その年収をどうとらえるのか、 この他の収入も含めて全体でとらえざるを得ないということになりますと、一定の賃金 収入があるからといって厚生年金の対象とすることは適当なのかどうかというようなこ とでございます。  それから(3)で、実態として勤務の時間が短いということになりますと、適用の実務 上の問題としては被保険者としてのとらえ方はなかなか困難な面も出てくるのではない かということを挙げさせていただいております。  次に14ページの方でございますが、収入要件について考える際に65万円という御提案 があるわけでございますけれども、雇用と年金研究会等の場におきましてはこの考え方 につきまして、法定の最低賃金で20時間働いた場合に大体この程度になるのではないか という御意見がありました。そこに「※」で書き出しておりますように、直近の県別の 1時間当たり最低賃金を示しておりますが、一番低い沖縄県の例でございますと604円 で、週20時間で1年間働かれると62万8,000円程度、月額で5万2,000円程度という額に なります。一番高い東京の例ですと780円単価で、年収で73万6,000円、月額で6万1,000 円となり、65万前後という御提案は、20時間で一番低いラインの中間点ということでご ざいます。  この基準で考えますと、20時間を仮に下回っておりましても年収でとらえられるので 適用範囲は拡大していけます。この基準を下回るような就労の形態はあまり想定できな いのではないかということでございます。  なお、これは最低の基準ということでのとらえ方でございますが、これ以外にも例え ば短時間労働者の平均賃金のライン、女性ですと時間当たり800円台、900円台が多いよ うですが、そのような基準、あるいは今の厚生年金における標準報酬の等級の一番下、 月額で9万8,000円、年額で117万というような基準など、幾つか平均値なり下限でのと らえ方もできるのではないかということでございます。この辺についてどこまで負担を 求めていくのかという論点もあり得るのではないかということでございます。  以上をもう一度簡単にまとめたものが15、16ページでございます。  まず、適用の基準を考える際に御議論いただきたい点といたしましては、まず最初の 方で被用者の制度である厚生年金につきまして、所得保障の対象をどこまでと考えてい くのかということでございます。老後の所得保障の必要性につきまして、どこまでのも のでとらえていくのかということでございます。  なお、外国の被用者年金制度の中で、収入要件のみを用い、かつ相当程度低い基準で とらえているものがあります。我が国の場合には国民年金制度もございますので、必ず しも同じ考え方がとれるかどうかはわかりませんが、このような例もあるということで 次のページにも付けております。  それから、収入要件を併用することについてはどう考えるのかということですが、こ れは先ほど挙げましたように、問題点もあるのでよく御吟味いただきたいと思います。 週の所定労働時間が短い方について、当然適用ということを考えるのかどうか、就労以 外の他の収入もある方について当然適用ということが考えられるかどうか、実際の適用 実務上の問題もあるかどうかについて考えるかということでございます。  それから、就業調整が先ほどアンケートでごらんいただきましたように実際行われて いますが、より就業調整が起きにくい仕組み、中立的な仕組みというようなことを考え るためにはどのような適用基準とすべきかということがあります。  それから、現在の適用基準との関係でございます。現在は4分の3という相対的な要 件を用いておりますけれども、これを絶対要件として20時間なり65万円賃金ということ で改めてとらえていくことについてどう考えるのか。また、週の時間数だけではなくて 月の日数もございますが、短時間の方について週の日数についての要件を設けないこと についてどのように考えるのか。こういった点も論点としてあろうかと思っておりま す。  それから医療保険との関係でございますが、これまで4分の3要件等は厚生年金と健 康保険とを同じ基準で適用してきております。被用者についての社会保険ということを 考えますと、基本的には同一の基準での適用を考えていくべきだと思いますので、同時 に医療保険についても議論をし、吟味をしていかなければいけないという点を挙げてお ります。  次が、具体的な給付と負担の設計についての考え方でございます。18ページをごらん いただきますと、少し類型的に給付と負担の関係を整理し、御議論いただきたいことを 示しております。  Aは、標準報酬下限維持案と称しておりますが、現在の30等級、9万8,000円から62 万円までという標準報酬の区分で適用をさせていただいている中で、今でも4分の3以 上で働いていらっしゃる方で、収入の低い方は、下限の9万8,000円で適用をされて給 付を受けていらっしゃるわけでございますが、そうであれば短時間労働者の範囲を拡大 する場合においても現在の標準報酬の中で適用をしていくということも一つの考え方か もしれないということで、それをそのまま適用したらどうかということを示しておりま す。  次にB案の方につきましては、給付はそのままで設計を変えないけれども、標準報酬 の下限を負担に見合ったもの、実際の賃金に見合ったものに下げて適用を考えていって はどうかということでございます。短時間労働者の方の全体の賃金が現実に低い中で、 9万8,000円での適用はなかなか負担が重いのではないかという場合には、下限を引き 下げます。一方では被用者年金の中での所得保障ということでございますから、全体で 分配を行う給付体系そのものは維持してもいいのではないかということで、給付は変え ない仕組みを御覧をいただいております。  C案は、標準報酬の下限も実態に合わせて引き下げますが、そうしますと現在の9万 8,000円よりも軽い負担の方々が出てきますので、負担が小さくなるのであれば給付の 方も見直しをして給付設計をすべきではないか。例えば短時間労働者向けの被保険者の 区分を新たに設けまして、それについて新しい給付の設計を考えるということです。 今、1号の配偶者である1号の方がパートで適用されて自ら2号になる、あるいは3号 としてパートに出ている方が適用されて2号になるということですと、配偶者の方はそ の被扶養という概念がないわけでございますので、例えば3号被保険者の被扶養の給付 を伴わない給付設計もあり得るのではないかというようなこととしております。  その中でも、C−1はその被扶養配偶者以外の給付設計、御本人の給付設計は変えな い案です。C−2は、その負担が軽くなっていることに対応する給付を考えた場合に は、まだ少し調整の余地があるのではないかということで、2階の報酬比例部分を調整 をしてはどうかという案です。C−3は、基礎年金の拠出金の負担との関係で、一般の 方との比較をした場合に負担が小さいということであれば、基礎年金部分を調整して小 さくすることもあり得るという案です。このようなことで少し議論をいただきたいとい うことで示させていただいております。 中身を簡単にごらんいただきますけれども、 19ページからがまずA案、標準報酬の下限を維持する案でございまして、今の標準報酬 の枠組みの中で短時間労働者にも参加をしていただくという案でございます。現在の下 限、9万8,000円というのはどういう考え方で設定をされているかといいますと、19ペ ージの注に書いておりますように、前回の改正の際の最低賃金は、日額で4,712円でご ざいましたけれども、これを適用事業所の常用労働者の平均日数、当時20.7日でござい ましたが、これで働いていらっしゃる方の平均の最下限を出してみますとこの程度のレ ベルになります。それで、現在は10万1,000円以下の賃金の方につきまして一律に9万 8,000円という御負担を願って、かつそれで9万8,000円で給付の計算も行っておるとい うことでございます。  これをそのまま適用して負担と給付を設計していくことにつきましては、実際には短 時間労働者の方は比較的低い賃金の方が多いということになりますと、一律にここまで の負担をしていただくならば、給付もそのままでいいということになりますけれども、 その負担についてどのように考えるかという問題があろうかということで挙げさせてい ただいております。  下の絵でごらんいただきますと、上半分は3号被保険者でパートに出ていらっしゃる 方に適用した場合、下は1号被保険者でパートに出ていらっしゃる方に適用した場合で ございます。  上の方で見ていただきますと、Bの方はこの3号被保険者の方の賃金が7万円あった という前提で書いておりますけれども、7万円に対して適用する場合に現在と同じよう に、最下限で、9万8,000円とみなして適用をしますと、それに13.58%という保険料率 をかけた御負担をいただき、給付の方も9万8,000円を前提に乗率をかけた計算になる ということでございまして、基礎年金に対しまして厚生年金の所得比例部分が乗ってく るということになります。そうしますと、9万8,000円という御負担に対する基礎年金 と厚生年金の8万7,000円程度の給付額の単純な率を見てみますと、そこに書いてござ いますように89%程度になるということでございます。  上半分は配偶者は既に厚生年金でございますから問題ないわけでございますけれど も、下半分のようなケースを考えた場合、配偶者の方がいますと更に配偶者の給付、被 扶養配偶者の給付も付くという場合があろうかと思います。ただ、ここでは御本人の9 万8,000円に対する給付が出た場合に89%ということを御覧いただいています。  次に、B案でございます。21ページからですけれども、今のような9万8,000円とみ なしての御負担ということになりますと、実際の賃金よりも負担が重いのではないかと いうことになります。標準報酬の下限を実際の賃金レベル、平均値くらいまで引き下げ て負担を設計する。その場合に、給付について、被用者年金全体で同じように考えても いいのではないかということで設計しています。下の絵で見ていただきますと3号被保 険者でパートに出ていらっしゃる方については、7万円ならば7万円を前提に標準報酬 をつくり、その13.58%で保険料を御負担をいただくということで、労使合わせて1万 円程度の御負担となることを示しております。  その上で、給付につきましては、基礎年金に、7万円に対して給付の乗率がそのまま 適用されるとすると、先ほどよりも少し小さい1万5,000円が所得比例部分として乗り ます。7万円に対しまして1階、2階を合わせた8万1,000円程度の給付の率を考えて みますと117%と、もともとの賃金が低いですから大き目のものになりますけれども、 こういう率になることについてどう考えるかということを示しております。  それからCですが、1号被保険者でパートに出ている方の場合を考えてみますと、こ れまで1号被保険者としての御負担が1万3,300円ということで自ら負担をされている ことに対しまして、7万円で13.58ですと労使合わせて1万円程度の負担になる。今ま での負担を下回る中で1階の他に、2階についても給付されるということについてどう 考え るかということでございます。  現在の9万8,000円の下限に、この4月からの総報酬制での保険料率13.58%をかけま すと、大体国民年金保険料に等しい1万3,300円レベルです。結果的に、このようなレ ベルになっているということでございます。  今までの負担よりも低い、あるいは9万8,000円レベルの方で1万3,300円の負担とし ますと、これはパートタイマー労働者の方だけではなくて一般の方、今、4分の3基準 で適用されている方等も含めまして、そのレベルでの負担で給付が同じという設計にな らざるを得ない面があのではないかということも挙げてございます。  最後に23ページのC案でございます。負担が小さいということを前提に考えるのであ れば、給付の方も別立ての給付ということで整理ができないかということでございま す。まず被保険者としての区分を少し分けた形にできないかということで、例えば、20 時間以上30時間未満で働いていているような、あるいは賃金が年間65万以上で月々9 万8,000円よりも下回るような賃金で働いているような方を通常の被保険者とは区分を いたしまして、別個の標準報酬を定める。その標準報酬を適用しての負担、その標準報 酬を適用しての別立ての給付設計というようなことで少し別立てのもので考えられない かということでございます。  その場合には、先ほど申しましたように、以下の理由からこのような方につきまして は、被扶養配偶者の給付、3号の給付は伴わない形が妥当ではないかということでござ います。もともと1号の配偶者を有する1号の方がパートに出られての給付であるとい うこと、あるいは2号の配偶者を有する3号の方が出られての給付だということで、配 偶者の方はそもそも働いていることを想定した現実的な議論でございますけれども、適 用される短時間労働者の方の配偶者がそもそも自営業者で、事業をやっているような場 合に、その被扶養の認定基準130万円は必要経費を差し引いた事業所得でございます。 普通に事業をやっているけれども、必要経費を差し引きますと収入がない、あるいは非 常に少ないというふうな方までもが被扶養配偶者として被用者保険の3号の給付を受け るようなことがあり得ることになるわけです。  しかし、これは被用者保険のカバーする仕組みとして見ると違うのではないか、考え 方としては無理があるのではないかというようなことでございまして、やはりそのよう な新しい類型を考えた場合には被扶養配偶者の給付は伴わない給付設計が妥当なのでは ないか。そうしますと、従来どおり配偶者の方は1号としての御負担で国民年金の方に 参加をしていただきたいということで書いております。  Cの1、2、3を簡単に御紹介いたしますと、C−1は被扶養配偶者の方の給付を伴 わないだけの案でございます。26ページの絵で見ていただきますように、給付の仕組み だけですと、7万円の標準報酬に対して6万6,000円の1階部分と1万5,000円の2階部 分ということで同じように見えるわけでございますけれども、Dに吹き出しで書いてお りますように、Dは3号被保険者ではなくて1号として従来どおり御負担をいただきた いということで書いていただいております。ですので、御本人の7万円に対する御本人 の給付はBと同じようになりますが、3号の給付は伴わないということで見ていただい ております。この場合でも、従来の1号被保険者の場合の負担との関係をどう見るの か、あるいは9万8,000円との関係をどう見るのかという問題点はあろうかということ です。  更に7万円というのは、9万8,000円と先ほどの65万の場合の月額5万円との中間程 度の賃金ということですが、一番低い5万円で見ていただきますのが27ページでござい ます。20時間の最低賃金5万円のレベルで見ていただきますと、労使合わせて3,000円 程度の負担でございます。負担は小さくなりますけれども、給付の方につきましては基 礎年金プラス2階の所得比例ということで、現役時の報酬が5万円と小さいものですか ら、所得代替比率は155%ということでやや大きくなります。これをどう見ていくかと いうことがあろうかと思います。  それからC−2案は29ページ、30ページでございます。これは、今のように実際の負 担に対しまして給付額では小さいものの、率が117%と大きくなっています。先ほどの 5万円の場合に、155%という数字を見ますと、もう少し調整の余地があるかどうかと いうことで見ていただいております。それで、30ページでは注4で書いておりますよう に、所得比例の部分につきまして、短い時間数で働いているということで乗率半分の計 算で給付する設計は可能かということで見てみますと、半分の0.8万円程度になります。 これで7万円に対する率を見ていただくと106%と、賃金とほぼ同程度まで落とした給 付設計の案でございます。  これにつきまして29ページの論点に挙げておりますのは、一つの区分を別に設けると は言いましても、同じ厚生年金、被用者年金の制度の中で、所得比例という考え方につ いて差を設けることが妥当かどうかという点でございます。それから、この場合であり ましても1号被保険者としてCの方が負担をされた場合に比べましてやはり低い負担で 給付はやや増えています。被用者年金では当然であるという考え方はあるかもしれませ んが、これについてどのように考えるかということを挙げております。  C−3案でございますが、この案は、基礎年金の部分につきまして拠出金が、基礎年 金の負担に足りていないのではないかということを前提に考えますと、基礎年金部分を 若干調整する考えはあり得るのかどうかということで見ていただいております。ここで は国庫負担を2分の1といたしまして、その上に国民年金保険料1万3,000円を払う場 合に対しまして、7万円で負担される額は9,000円余りになりますから、その率で国庫 負担分の付け足しをしまして5万7,000円程度になるということで見ていただいており ますけれども、このような基礎年金のレベルを考え得るのかという論点がございます。  追加負担をすれば満額の基礎年金ということになりますが、そもそも老後の共通部分 ということでの基礎年金を減額することについてはどのように考えるかという論点を挙 げております。あるいは、国庫負担分として半額免除的な扱いにするという論点もござ います。1号の場合には負担能力を吟味した上で免除等を考えておりますけれども、原 則として負担を課さないということをどう考えるか。拠出金の計算上、このような方を 満額の負担をしないグループに分類しますと全体の負担を偏らせてしまうことにならな いか、または単価が高くなってしまわないかということでも挙げております。3号被保 険者の見直しの考え方として、方向性と論点にもこういう考え方はあり得るか見ていた だいておりますが、こういう方法を3号被保険者として適用される方との関係からもど のように考えるかを見ていただきたいということでございます。  最後に、今のような点をまとめまして、このような給付設計についてはどのように考 えていくのかということでございまして、御議論いただきたい点としては短時間労働者 に対する給付の水準、被用者としての年金保障、老後の年金保障ということを考えた場 合に、その本人と、事業主の負担の関係でもどのように考えたらいいのかということで す。また、1号被保険者の方と従来の3号被保険者の方とのバランスの上でもどのよう に考えるかということです。  年金財政への影響でございますが、これは女性と年金検討会でも御議論いただいて示 させていただいていますけれども、負担と給付の関係を詳細に詰める場合には、パート タイマー労働者の方がどのような年齢階層でどの程度いらっしゃるか、将来をどのよう に見込むか、給付はどのように発生していくかという前提をきちんと仕分けして見てい かないといけないと思いますが、長期的には3号被保険者の方がパートタイマーに出て 適用を受けることになりますと、負担をしなかった方が負担をするということで厚生年 金についてはプラスの方向になります。それから、1号被保険者でパートタイマーに出 ていた方が負担を受けることになります。そのときに、低い賃金階層での方が多いとい うことになりますと基礎年金部分に満たないような保険料負担の方も多くなるというこ とで、結果としては財政上はマイナスの要素もあるということになり、両方の要素があ ろうかということになります。  なお、短期的、中期的にはとりあえずはまだ給付を受けられる年齢層の方が少ないと いうことになりますと、負担が先行し、保険料収入の増加が先行して当面は収支には貢 献すると思いますが、長期的に見たプラスマイナスの要素はパートタイム労働者の方々 の賃金が今のような格差のある賃金のままなのか、平準化されていくのかというような ことも含めてきちんと吟味する必要があると思いますが、基本的には両方相殺する面が あるのではないかということでお示しをさせていただいているということでございま す。  以上、短時間労働者についての論議をよろしくお願いいたします。 ○ 宮島部会長  ありがとうございました。それでは初めに申し上げましたように、これから5分ほど 休憩を取りまして、11時5分頃に再開いたしますのでよろしくお願いいたします。                (午前11時00分休憩)                (午前11時06分再開) ○ 宮島部会長  それでは、会議を再開いたしますのでよろしくお願い申し上げます。  初めに申し上げましたように、これまで説明がございました「短時間労働者への厚生 年金の適用拡大」に関する議論とむろん同じものではございませんが、相互の連関が大 変深い問題がこの「第3号被保険者制度の見直し」に関する問題でございます。引き続 き事務局から資料3につきまして説明をいただくことにいたします。これも恐らく30、 40分かかると思いますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。それでは、お願いしま す。 ○ 木倉年金課長  それでは、続きまして資料3「第3号被保険者制度の見直しについて」を御覧いただ きたいと思います。  まず目次をごらんいただきますと、ここで入れております内容でございますが、 (1)で3号被保険者制度の経緯を挙げさせていただいております。それから(2) で、その見直しについてのこれまでのいろいろな案の整理をもう一度見ていただいてい るということでございます。その上で(3)からでございますが、見直しを考えます場 合の論点を挙げながら、昨年末の「方向性と論点」で大きくまとめて見ていただきまし た4つの、分割案、負担を求める案、給付を調整する案、あるいは範囲を縮小していく 案というものについてもう一度ごらんをいただきまして御議論をしていただきたいとい うことでお示ししております。特にAの分割案につきましては具体的な分割の例を挙げ まして、御議論の材料にしていただければということでお示ししております。  1ページはこれまでの3号制度の仕組みの経緯でございますので、これは割愛をさせ ていただきます。このような経緯でできてきておるけれども、見直しの必要性が指摘さ れているということでございまして、2ページの方では女性の年金検討会でも御議論い ただきましたし、「方向性と論点」の中でも見ていただいたということでございます。 これも繰り返しになりますので省略をさせていただきます。  その上で5ページまで飛ばさせていただきますけれども、こういった見直しをしてい くときの論点としましていろいろな視点があろうかと思いますけれども、ここでは大き く幾つかに整理をしております。  最初の(1)でございますが、世帯単位で見ると給付と負担の公平を基本とする考え方、 これは従来の説明ぶりになるわけでございますけれども、片働きの方の世帯と共働きの 方の世帯との負担については、7ページに絵が付けてありますけれども、いずれにして も世帯全体での収入が同じで、それに対する負担が同じであれば、世帯全体での給付も 同じになるのではないかということです。そういう意味では、世帯単位で見れば給付と 負担の公平性は保たれているのではないかという説明の絵というものを簡単に見ていた だいております。  それに対しまして(2)でございますけれども、世帯全体での給付と負担を変えないと しましても、被扶養配偶者の位置付けをきちんと明確にすべきではないかということで ございまして、個人での負担して個人で給付を得ていくという観点からは、その方の負 担を明確に位置付けて給付を設計していくということが妥当ではないかということで す。この延長上では分割という考え方も出てくるのではないかということでお示しをさ せていただいております。  (3)の方でございますけれども、更に世帯という概念ではなくて個人での給付と負担 の関係をきちんと徹底していくべきだという考え方を挙げておりますけれども、やはり 3号被保険者という位置付けの方が、応能負担の中で負担を自ら実際にはせずに給付さ れているということにつきまして、負担を求めていくという方向での是正をしていくべ きではないかということです。あるいは、その負担が困難であるということであれば給 付を調整していくべきではないかというふうな見方、徹底をすればこういう考え方もあ り得るということです。これは8ページにございますように、世帯ということではなく て共働きの方の個人、片方の負担と片方の給付、単身の方の負担と給付、そういうこと 等を考えてみると、世帯の方との間にはアンバランスがあるのではないかという考え方 もあるということで見ていただいております。  それから、その他の見方としては(4)で、標準報酬に62万円という上限がありまして、 片働きの世帯の方につきましてはその上限を超える賃金の方でもその上限までの負担し かない。それで、3号被保険者の給付を得ているとなりますと、実際にはその片働きの 世帯の方の負担が軽くなっていないかというような指摘があるということでございま す。それから、そもそも3号被保険者制度そのものが被扶養の方の就労意欲を阻害して いるのではないかという点があるというようなことを挙げております。  その上で、9ページに進んでいただきたいと思います。9ページは、「方向性と論点 」の中から挙げました4つの類型で見ていただく前提でつくらせていただいておりま す。  まずAは夫婦の間、世帯の中での負担と給付の関係を分けていってはどうかというこ とで、年金権の分割ということを挙げておりますが、その年金の権利を負担の段階から 分けての設計があり得るかどうかということで見ていただいております。  Bの方では、具体的に実際に3号の方についても負担を求めるべきではないかという ことです。Aのように負担と給付の関係を分けて擬制をするということではなく、負担 を実際に求めることになりますので、B−2の方は、実際に収入がない方について負担 が求めにくいのであれば、被扶養者に対する給付を少し調整することによって是正を図 ろうとするやり方もあるのではないかということで見ていただいております。  C案は、現実的に3号被保険者の方がいらっしゃる中ではパートタイム適用等の中で 縮小を図っていくということが現実的ではないかということでございます。  それから、A案の中では2つに分けておりますけれども、2号被保険者の方御本人が 賃金を得られたときに、その標準報酬に伴いまして保険料納付の記録が残るわけでござ いますが、その納付の記録そのものを、その段階その段階で分けて3号の方にも残して いく。妻の方も負担をしたという記録を残す。それに伴って老齢年金、障害年金、遺族 年金のそれぞれを納付負担をしたことを基本に発生させていくという考え方もあるので はないかということです。  そうしますと、半分ならば半分に分けた負担の記録に基づきまして障害年金や遺族年 金が出ることによって現在の仕組みと大分変わってしまうということで、それが不合理 だということになりますと、A−2案の方は、老齢年金のみを発生させるという形で設 計することも可能ではないかということです。その場合にも、完全に個人に分かれてい るのだから、それぞれが65歳になってから老齢年金が発生すると見るのか、それとも、 片方が年上だったり年下だったりする場合に、今と変わってしまうということであれ ば、両方とも65歳になった時点から発生すると見るのか、このような見方があり得るの ではないかということでございます。  具体的に中身に入らせていただきますが、11ページは分割についてのそもそもの整理 でございます。今は厚生年金の被保険者本人が納付をされた保険料につきまして、その 御本人の方についてのみ納付の記録、標準報酬の記録が残っています。それに基づく給 付も御本人についてのみ発生します。ただし、基礎年金に関しては既にその記録に基づ いた期間につきまして3号被保険者の方にも発生をする仕組みになっておるわけでござ います。これにつきまして、世帯の御負担は御夫婦が共同をして負担をされているもの であるという前提に立って、その妻の共同負担というものも評価し、その負担の記録を きちんと分けておいて、それに基づいて年金の権利を発生させるという考え方があるの ではないかということで、「方向性と論点」で示させていただいたところでございま す。  仕組みの概略といたしましては、標準報酬の記録、保険料を納めた記録が残って、そ れで給付が設計されて、給付が発生するという仕組みになっているわけでございますけ れども、これにつきまして3号被保険者の方についても同時に分割されて納付をされた 記録が残るという位置付けをします。そうしますと、3号被保険者はその納付記録に基 づいて負担を前提として基礎年金の計算がされ、あるいは報酬比例部分の計算がされる ということに位置付けられるのではないかということでございます。片働き世帯につい て、保険料負担の記録を分けて2階を残すということでございます。  なお、下のような共働きの場合、2号−2号等につきましては、ここでは3号被保険 者の負担と給付の是正の考え方として整理をいたしますので、完全な年金分割なり離婚 時の分割ということで、別途の議論とさせていただいています。下の12ページの絵で見 ていただきますと、3号被保険者期間が発生しますのは20歳以上60歳未満ということで ございますが、この間の婚姻を続けていらっしゃる期間につきまして、被扶養配偶者と いうことになりますと3号被保険者になるわけでございますけれども、こういう期間に つきましての納付の記録、標準報酬の記録を分割をして残しておき、それに伴いまして の年金を発生をさせるということが考えられるのではないかということでございます。  13、14ページは具体的な例でございますけれども、一番上が老齢年金です。左側と右 側で何が違うかといいますと、左は夫が年上、右は妻が年上ということになっていま す。仮に夫だけが働いているという片働き世帯を想定しますと、左側ですと夫2号の期 間について(1)とIといった納付の記録が今までですと夫だけに付くわけですが、それを 半分半分に分けて妻の方に記録を残しておくということでございます。その納付記録に 基づきまして、それぞれが65歳になった時点から老齢年金が発生をするという形をとっ ております。これは厚生年金だけ書いておりまして、基礎年金は当然65歳から発生しま すけれども、このように発生をするということでございます。それから、右の方は妻が 年上の場合に妻から先に発生をするということです。今と違いますのは、例えば左の方 でございますと、夫の方の白抜きの点線の部分、今は夫の方に65歳から発生する部分が ありますが、それが半分になってしまうことをどう考えるのかということでございま す。右の方ですと、妻が先に65歳から給付を受ける部分が今は夫だけだと出ない部分で ございますが、これをどのように見るかということがあるかと思います。  少しその応用形で障害年金や遺族年金を付けておりますが、細かくなりますので簡単 に申し上げておきます。夫に対して半分に分けた拠出について障害厚生年金を発生させ る、あるいは、右側ですと、働いてはいない妻にも障害厚生年金出るということをどう 見るのかという議論があるかと思います。今と大分変わりますけれども、実際に障害を 負った場合の被用者の所得保障の面から見て、これは今と違うけれども、妥当と見るか どうかという論点があろうかということで示させていただいております。遺族年金につ きましても、遺族年金制度そのものの在り方についてはまた御議論いただきたいと思い ますけれども、半分に分けた記録での夫の遺族厚生年金を考えますとレベルが一遍に今 の半分になってしまいますけれども、これをどう考えるのかというふうなことがあろう かということです。  今のような論点につきまして、15ページ、16ページに挙げております。老齢年金につ いては、それぞれ65歳からとした場合、今よりも多い少ないという点をどう考えるのか という点、障害年金、遺族年金のそれぞれについても、図で見ていただきました論点を 改めて記載させていただいています。  17、18ページは、老齢年金についてもそれぞれ65歳から出すことについて多過ぎる、 少な過ぎるという点もありますが、障害年金、遺族年金についてもやや今とは違ってし まうという点がありますので、そこを少し修正したらどうかということです。  A−2の修正案といいますのは、17ページにありますように、老齢厚生年金だけを分 割させて発生させるという考え方はとれないかどうかということです。先ほど見ていた だいたように、障害年金が半分に分かれて発生する、働いていない方についても障害厚 生年金が発生してしまう、あるいは遺族年金も半分になってしまうというようなことに 違和感があります。実際の所得保障、稼得能力の喪失ということとは違いがあるのでは ないかということになりますと、老齢のみ分割して発生させるということも考えられる のではないかということでございます。  A−2−ア案と書いてございますのは、老齢のみ分割をしていずれも65歳になった時 点からそれぞれ発生させるということであると、A−1案と同じになりますけれども、 そうなりますと先ほど見ていただいたように今と違って夫が先に60歳になっても半分の 部分しか出ません。妻が先に60歳になってしまうとやや今よりも多目に出てしまうとい う問題点もあります。  そこでA−2−イ案でございますけれども、それではいずれも受給権を得てそろった ときから分割をしたらどうかということです。ドイツでも婚姻中の分割を最近の2001年 の改正から導入し、同時に受給権を得たときから分割する仕組みを入れています。ある いは、カナダでもそういう仕組みがあると伺っております。そういう例も見ながらでご ざいますが、ここで見ていただいているのは例えばA−2−イ案の左側の絵でございま すけれども、夫の方が年上だった場合に夫だけが働いていたとしますと、夫は65歳から 先に老齢という保険事故が発生して老齢厚生年金を受け始める。妻の方は記録は分けて 持っておりますけれども、この方の老齢の事故というのは65歳から発生するということ でございますから、この方が65歳になって初めて納付記録に基づいた老齢厚生年金を分 割して受け取られるということで、ここから発生させてはいかがかということでござい ます。  それから右の(2)の方でございます。これは夫の方が年下の例で書いておりますので、 先に妻の方が65歳に到達するわけでございます。その後、夫の方は65歳になるまで時間 があり、この間、働き続けたという例で書いておりますが、65歳になりまして夫の方の 老齢厚生年金が具体的に発生したときに、妻の方についてもそれが分割された形で発生 をするという形がとれるかどうかということで書いております。こう見ますと、御夫婦 合わせての所得保障のレベルから見ると従来のレベルよりも大き過ぎる、少な過ぎると いう部分は生じないということであろうということでございます。  なお、これは繰り返しになりますが、離婚時等につきましてはまた別の問題です。こ れは婚姻を継続されている場合でそれぞれが受給権を得た場合に、分割しての給付とい うことが考えられるのかどうかということで見ていただいているということでございま す。  下の方の障害年金あるいは遺族年金につきましては、老齢年金のみを分割して発生さ せるということでございますので、障害年金については当然に従来どおり働いていらっ しゃる方が障害事故に遭われた場合に、実際に稼得能力を失われた夫について障害厚生 年金を発生させております。それが妻の方にもその3号期間については納付記録が残る という形をとっておりますので、妻が65歳になると、障害厚生年金の給付の一部を、老 齢厚生年金として妻の記録に基づいて分割するということはあり得るのではないかとい うことで書かせていただいています。  妻については、実際に働いていない場合には障害厚生年金は発生させないという形で 書いております。遺族年金もそのものの在り方はございますけれども、実際に夫の方が 亡くなられた場合に、今と同じように遺族厚生年金が発生するとしたらどうかというこ とでございます。  それで19ページ、20ページでございますが、今のような仕組みを前提に見てみます と、分割案といいますのは、実際には御夫婦が共同して世帯で生計を営まれている中 で、片働きの場合でも負担をきちんと分けて給付を設計していくという考え方で位置付 けられるのかどうかということでございます。この場合には厚生年金の仕組みの上で、 今は基礎年金を既に3号被保険者と分けた形で発生させているわけでございますけれど も、報酬比例部分につきましてもこれまでその世帯全体をカバーするということで給付 を考えてきたわけでございますが、この報酬比例部分もそれぞれが負担をされたんだか らそれぞれが給付を受けるという形できちんと分けて位置付けられるのではないかとい うことで示させていただいています。ですので、例えば賃金が50万円であれば25万円分 ずつそれぞれが負担をしたものとし、それぞれに対して給付がなされるということであ ると思います。  それから、これを考えます場合に強制分割が適当と書いております。ドイツ、カナダ 等で任意の分割制度もあるようにうかがっておりますが、基礎年金の仕組みは既に半々 で発生をさせていることもございまして、報酬比例部分につきましても当然に擬制をし て記録を残すのであれば、それぞれに半分ずつ発生をさせることになります。それか ら、制度施行後の期間を分割するということが妥当ではないかと書いております。当然 ながら離婚時等につきましてはまた別な考え方もあろうかと思いますので、それは別途 御議論いただきたいと思っております。  それから標準報酬の62万の上限ということとの関係でございますと、半分ずつ発生す るということで擬制をするということですから、上限を超えて負担を求めていくという ことまで考えなくてもいいのかという点も挙げてございます。  それから、パートタイム労働者との給付のバランスでございますけれども、分けて考 えるということになりますと、その分けた時点におきましては3号被保険者の方が1階 プラス2階ということで考えますと給付が厚くなることもあるということでございま す。一方で短時間労働者の方に適用があるということになりますと、短時間の方は実際 に被用者年金のグループに入り、収入があるということですので、その収入に比例して 給付も増えていきます。世帯の2階の給付は増えていきます。妻だけで見れば、3号被 保険者の方が負担を半分に分けてしまって給付も発生するので厚くなることもあります けれども、パートタイム労働者の世帯について実際に負担に応じた給付ということで伸 びていることを考えれば、一つの割り切りの考え方ではないかということで見ていただ いています。  それから、繰り返し書いておりますが、離婚時については別途の議論が必要です。3 号被保険者についての負担と給付の位置付けを直すということだけではなくて、2号と 2号であるとか、あるいは1号と2号の関係であるというふうな御議論も、また別途お 願いをしたいと思っております。  パートタイム労働者との関係は、パートタイマーの方に負担を求めて1階、2階を設 計するということと、3号被保険者の方に負担を求めて1階、2階を設計するというこ とは、パラレルであり、関係が深いことでございますので同時に見ていただいて御議論 いただきたいということで示しています。  それから、在職老齢年金の調整の仕組み、あるいは年金課税の御議論との間で、分か れて半分になったレベルのものを前提にそういう調整をするということになるのかどう かという点があります。そうなりますと調整が緩くなるということになりますけれど も、世帯で考えた場合にそれをどう考えるかという点も挙げさせていただいています。  次に21ページからでございますが、これは「方向性と論点」に挙げたものをもう一度 確認的に示させていただいています。今のように、負担と給付の関係を位置付け直すだ けでは個人の負担が徹底していないとなりますと、実際に負担を求めていくのか、それ とも負担ができないのであれば給付の方を少し減らしてでも調整をするかということに なろうと思います。これにつきまして共通の論点といたしましては、3号被保険者の方 について自ら納付していただくという考え方はこれからの社会に望ましいという観点と ともに、一方で現実に収入のない3号の方の負担をどう求めていくのか、あるいは給付 を調整することが年金保障という点からどうなるのかということも考慮する必要がある ということを挙げております。  それから、現在は世帯で見ますと給付と負担のバランスはとれておるというふうな考 え方もある中で、より負担を求める、より給付を減らすということになりますと、今の 給付と負担の関係が変わるけれども、これをどう考えるのかということがございます。 それから、実際に給付を減らすことを考えた場合に、まだまだ現実に働いていらっしゃ らない女性がいる中で、低年金者や、無年金者の増加につながるようなおそれはないか ということも考えていく必要があるということも挙げさせていただいています。  まず負担調整案、これも「方向性と論点」で示したものですが、23ページからでござ います。負担調整案として例えば23ページに示しておりますのは、一律に基礎年金の一 定部分程度はその受益に応じた負担をしたらどうかということで、ここでは1万3,300 円の半分程度、6,650円を一律に皆さんに負担をしていただいて、その残りを厚生年金 の保険料応能負担で負担をいただくということもどう考えるのかということで、見てい ただいております。  それで、24ページの論点に挙げておりますように、これから負担が上がらざるを得な い中で応能負担の要素を減らしてしまうことが妥当かどうかということ、それから、1 号被保険者の方の負担との関係で考えますと、基礎年金の半分程度までという考え方に ついてどう考えるのかというようなこと、事業主負担の位置付けをどう考えるのかとい うようなことなどがあろうかということで挙げております。パートタイム労働者との関 係では、同じような負担調整案も示しております。給付を減らす案との関係は両立しな いかもしれませんが、それ以外は両立し得るかということで示させていただいておりま す。  それから25、26ページでございます。負担調整案IIでございますが、これは3号を持 つ2号被保険者の保険料率を少し上げて、それ以外の方の保険料率をその分、下げると いう案でございまして、従来から見ていただいているものと同じ計算ですが、総報酬制 により保険料率が変わって計算がされて、少し負担と給付の関係が変わっておるという ことでございます。  それで、26ページの論点に挙げておりますように、3号を持つ方だけについて率を変 えて負担を求めること、その中だけで応能負担をするとなりますと、報酬の高い方がよ り高い負担になりますが、その辺をどう考えるのかという点があります。それから、そ もそも被扶養配偶者を持つか持たないかで保険料が変わるとなりますと、雇用の関係に 影響を及ぼしてしまうのではないかということを示しております。  それから、被扶養配偶者を持つ持たないだけではなくて、男性女性の違い、給付の期 間の違いとか、子どもの有無等ということにつきましても、それぞれ被用者の間でリス クの違いはあるわけです。それを今は一律の保険料率で負担をいただいていますが、そ の辺に差を付けることについて被用者年金のグループとしてどう考えるのかというよう なことを挙げさせていただいております。  一番の下の方では、ここまで完全に分けてしまうということではなくても、本案の変 形といたしましては何がしかの負担を3号を持つ2号に求めるという調整的な考え方も あり得るのかということで少し論点として挙げさせていただいています。  それから、給付の方を減らせるのかどうかということでございますが、27ページ、28 ページの方です。給付調整案−Iといいますのは、例えば基礎年金についての負担を実 際にはされずに基礎年金の給付を受けていらっしゃるということであれば、国庫負担程 度は国民年金免除と同じような考え方で給付できるかもしれないけれども、それ以上は 調整をするということで、I案の方は国庫負担2分の1相当の部分だけ給付する設計と する考え方でございます。II案の方は、半額免除程度までは被用者年金としてカバーし 合うけれども、それ以上にはカバーをしないということでございまして、4分の3まで の水準で給付をするということでございます。それで、これらについて追加納付があれ ば基礎年金も満額とするようなこともあり得るのかということで書かせていただいてお ります。  これに対します論点は29ページの方ですが、老後の共通部分の保障という基礎年金の 水準に差を付けること、パートタイム労働のときと同じでございますけれども、これを どう考えていくのかということでございます。合理的と見るかどうかということです。 それから、半額免除なり全額免除なりということは、国民年金の場合には負担の能力を 見させていただいた上で判断をしておりますけれども、ここでは一律に免除扱いとする ことについて妥当かどうかということがございます。それから、そういう負担が小さい 方については、パートタイム労働者の議論と同じでございますけれども、基礎年金拠出 金単価の負担が小さくなってしまうということを妥当とすべきかという論点を挙げさせ ていただいているところでございます。  31ページからでございますが、なかなか具体的に負担と給付を求めるのが難しいとす れば、現実的に範囲を縮小していくことは考えられないかということでございます。例 えばパートタイム労働者への適用拡大をしていくことや、被扶養の配偶者の認定基準、 130万円の基準を縮小していくということをどう考えるのかということでございます。 この場合に、ここに書いておりますのは、これも「方向性と論点」なり女性と年金検討 会で示してありましたように、上限を超える収入を得ていらっしゃる方について3号を 持っていれば上限を設定しないで実際の負担を求めるけれども、給付には反映させない ということで、比較的高収入で3号を持っている方のバランスを取るような現実的な是 正の方法もあるのではないかということも挙げさせていただいています。  32ページは論点でございますけれども、短時間労働者への拡大ということで見ていた だきますと、先ほど短時間労働者の拡大の参考資料にありましたように、今、30時間未 満で20時間以上勤務の方というのは6割くらいになっております。実際にパートに出て いらっしゃる方を20時間で適用しますと、6割くらいの方は被保険者本人としての位置 付けになって適用されるということで、それで実質的な3号被保険者の縮小ということ が図れるわけですが、これを十分と見るかどうかということがございます。  更に被扶養者の認定の基準、130万円の年収基準というものを引き下げる。例えば、 パートタイマーの賃金の65万円、賃金と年収で違うんですけれども、同じような基準で 考えるということもあり得るかと思いますが、これについてどう考えるかということが ございます。もう一度確認をしておりますけれども、パートタイマーの方への適用拡大 の基準は、自ら賃金をどの程度得ていれば被用者仲間と見るかということでございます けれども、一方で被、扶養を受けている配偶者の基準は年収です。もろもろの収入があ るでしょうから、扶養を受けていると見られるかということが基準であるということ で、これは違う考え方であるということを御留意いただきたいということでございま す。実際に130万円の認定の基準を変えるということになりますと、給付は変わらない けれども具体的な負担を増加させていくということで、これを現実的にどう考えるのか というようなことですね。  それから、パートタイマーへの適用を図っていきますと、先ほどの参考試算で6割く らいがカバーされていることをどう考えるか。それから、実際に130万円から下げて判 断をします際には認定の実務の問題も出てきます。今は所得税の非課税ラインは103万 円でございますけれども、これを下回るような基準に引き下げて判断をすることになり ますと、収入のデータは課税の方からはできませんので、適正な認定をどうするのかと いう実務上の問題はあろうかと思っております。  なお、医療保険につきましても3号制度をつくる以前から被扶養者認定の基準があり ましたが、基本的には、被用者に対する社会保険ということで同じように考えていかな ければいけないということでありましょうけれども、給付と負担の関係が違うというこ ともあって、医療の方も同時に議論をしていく必要があるということでございます。  最後になりますが、33ページで先ほどのように標準報酬の上限を撤廃して負担を求め ることにつきまして妥当かどうかということについても論点を挙げているということで ございます。  後半の障害年金の仕組みや遺族年金の仕組みについては、参考でございますので省略 させていただきます。  長くなりましたが、以上です。よろしくお願いいたします。 ○ 宮島部会長  ありがとうございました。今日は長時間資料の説明をこれまで伺ってまいりました。 あと40分か45分ほどまだ時間がございます。今日はまず初めに神代委員の方から「多様 な働き方に対応できる中立的な年金制度を目指して」という報告書についての説明があ り、その後、事務局から「短時間労働者への厚生年金の適用拡大について」、更に「第 3号被保険者制度の見直しについて」の説明がございました。それぞれ先ほど申しまし たように、必ずしも同じ問題ではない面もございますし、また重なっている面もござい ますけれども、今日のところは特に論点を分けずに、これらの資料につきましてまず御 質問を中心に伺います。もちろん意見でも一向に構いません。御自由に質疑や御議論を いただきまして、先ほど申しましたように次回までにこれらの問題につきまして意見書 をいただいて、次回集中的に議論をしたいと考えております。 それでは、どこという ことは特に申しませんので、この3つのうちの報告につきまして質問等がございました らどうぞ。 ○ 小島委員  初めに意見が1つあります。有識者アンケートの件ですけれども、先ほど冒頭のとこ ろで高橋課長から時間の関係、予算執行の関係があってこの部会に報告する前に有識者 に送付したというお話がありました。やはり本来から言えばこの部会にも報告をいただ いて、どういうアンケート項目にするのかというようなことについての議論をした後で やっていただきたかったと思っております。  それと、この有識者アンケートの項目、質問内容、設問をざっと見させていただきま したけれども、中身を見ますと少し問題があるのではないかと思っております。昨年12 月の「方向性と論点」に基づいて、その選択肢についての設問ということになっており ます。年金の体系をどう考えるかということについてはそもそもの議論の基本になるん だろうと思いますが、これについては一番最後に設問をしているといったこととか、そ れからこのアンケートはどうも保険料固定方式を中心にした設問になっており、恣意的 な設問になっているのではないかという感じがいたしますので、それについての意見を 言っておきたいと思います。  次は質問ですけれども、32ページのところで、被扶養認定130万円と厚生年金の適用 拡大の年収要件65万との関係ということで御説明をいただきました。必ずしも適用の年 収要件を65万にするということと被扶養認定基準130万円を引き下げるということは同 一ではないということだと思いますけれども、この辺の関係についてもやはり議論とし ては必要だと思います。  例えば130万円を引き下げるといった場合、32ページには収入をどこでどうやって把 握するのかが難しいんだという御説明が入っていますけれども、これは本当にそうなの かということです。少し具体的に言いますと、被扶養認定基準130万円を今までどおり にしておきますと、適用拡大の収入要件65万円は賃金ですので、1か所で賃金が例えば 60万円ということになりますと65万円以下ですので適用から外れます。それで賃金は60 万円だが、それ以外の収入が60万円だとすると合わせて、年収にして120万円あります が、これも被扶養認定が130万円ですと被扶養扱いになるということで引き続き3号だ ということになります。被扶養認定基準と適用拡大に伴う年収要件の整理というのは 今、言ったようなことで理解していいのでしょうか。 ○ 宮島部会長  前半の方の御意見は、承知いたしました。後半の方につきまして、年金課長の方から お答えいただきます。 ○ 木倉年金課長  まず、短時間労働者について賃金の要件で65万円ということを見て、前提として被用 者グループ適用ということを考えるかどうかということだと思います。年収要件だけで 見ましてもいずれを下げるということについては、今の130万の具体的な認定の仕組み というのは、市区町村等の非課税証明を利用しています。非課税証明の中で103万円ま でだと課税所得なしということが書いてあるわけでございますけれども、そのときに実 際の収入は幾らかということを書いてある場合と書いていない場合があります。これは 一律ではございませんので、なかなかその辺は判断がしづらい面があるということでご ざいます。それで、パートに出ている場合で考えても、給与所得の所得税の課税の最低 控除65万がありまして、それに基礎控除の38万が乗った103万までが課税されないわけ でありますけれども、それを大きく下回っての給与収入ということになりますと課税と いう面で見られないということになるわけです。他の収入についてどの程度あるかとい うことはなかなか捕捉し難いので、本人の申出をどうやって認定するのか、どのような 割り切った仕組みを考えればいいか、なかなか難しい面があるということで挙げさせて いただいています。 ○ 宮島部会長  ほかに少し御自由にどうぞ。今日は基本的な考え方に沿って幾つかの案が示されまし たが、もちろんほかにも考え方はあるかもしれないと思います。 ○ 堀委員  今の小島委員の質問に関連してですが、65万というのはこの資料では年間賃金または 年間収入ということになっています。後者の年間収入65万円には、賃金以外の収入も 含むような説明があったと思います。収入ベースの場合、極端な例では、後者が1万円 で64万円が資産収入などという場合が生じるわけですが、このような者を被用者保険で ある厚生年金の被保険者にしていいのかという問題がある。ただ、賃金ベースにすると 今小島委員が指摘したような問題が生じます。この問題についてはどう考えているのか というのが1つです。  2つ目は、第3号被保険者の分割案についてです。図を見ると第3号制度は残したま ま給付だけを分割するという案になっていると思います。そういうことでは第3号問題 として批判されている、「保険料を払わずに基礎年金をもらえる」という問題は解決で きないのではないか。保険料を払ったとみなす擬制があって初めて基礎年金の権利が生 じるので、第3号ではなく、第2号に位置づける必要があるのではないかという感じが するのですが、その辺をどう考えているかということです。  次に資料に関する意見を述べたいと思います。1つは短時間労働者に関する参考資料 22ページの表です。この表は非常に誤解を招きやすい。例えば、健康保険とか厚生年金 の被扶養者から外れるということで収入調整をしているという方は38%とありますが、 これではパート全体の約40%が健康保険・厚生年金を理由として収入調整をしていると いう誤解を与えます。パート全体の四十何%が収入調整をしていますが、これを分母と し、健康保険・厚生年金を理由として収入調整をしている者を分子として割合が38% ということです。したがって、パート全体から見れば17%だけが健康保険・厚生年金を 理由として収入調整をしている。だから、こういう表ではなくてパート全体の中に占め る健康保険・厚生年金を理由として収入調整をしている者の割合を示すべきです。ある いは、この表と合わせて示した方が誤解を招かないのではないかと思います。  それからもう一つ資料のお願いですが、年金の分割に関する外国の詳細な制度の説明 をお願いしたいと思います。それから、その際に年金も一種の財産権、期待権の部分も あると思うのですが、これはやはり憲法25条等の憲法問題もあるので、その辺も外国で はどうしているかという資料があったら出していただきたいと思います。以上です。 ○ 宮島部会長  ありがとうございました。資料の点が2つございましたが、これについては、次回で きればお願いします。 ○ 木倉年金課長  外国の制度については、離婚のところと一体不可分の部分もありますので婚姻中のも のもまだ詳細は十分把握し切れていないものもございますが、今わかっている範囲のも のをお示しさせていただきたいと思います。  それから、最初の方の御指摘ですが、賃金収入とその他収入とをごっちゃにしたよう な説明を申し上げてわかりにくかったと思いますけれども、短時間の方の資料の13ペー ジで見ていただきましたように、収入の要件だけで適用するとした場合にどうかという ことでございます。小島委員がおっしゃったのと同じことですけれども、その事業所で の賃金は少なくても副収入がある場合につきまして、きちんと分けて、その賃金だけで 適用を考えられれば一つの割り切りかもしれませんが、なかなか分け難い面もありまし て認定しにくい面もあります。どこまでをサラリーマン仲間ということでとらえるのか という議論があるかということで挙げさせていただいています。あくまでもその適用を 考える場合には、その事業所からの賃金、事業所での就労時間ということでとらえてい くのが基本ではないかと思っております。  それから、3号の分割案につきましての位置づけの仕方でございます。これも、まだ その法制的な位置付けの仕方はきちんと整理し切れていなくて、いくつか考え方を示さ せていただいておりますので、わかりにくいかと思いますけれども、給付だけを分ける というよりも、納付した事実を納付記録として分けた記録で残して、その負担の記録に 基づいて給付を発生させるということです。負担の記録があるからこそ給付を発生させ るというような仕組みでの位置付けができないかということです。そういう前提が置け ないかということで見ていただいています。 ○ 大澤委員  資料についての質問ですけれども、同様のグラフが資料1と資料の2−2にございま す。資料1は研究会報告ですけれども、資料編の3ページを見ますと、女性の年齢階級 別雇用者比率と厚生年金被保険者比率についての比較、次のページが男性についての比 較、これは平成元年と平成11が比較されています。資料2−2の方は20ページになりま すけれども、2年ずつ更新されていますが、特にこの2−2の20ページの図は、傾向は 同じなんですけれども乖離は拡大しているという御説明だったと思います。  これらの図について、もちろん乖離が広がっているということも大きいんですけれど も、特に平成元年の方に見られる点線の図というものを見ますと、雇用者比率と被保険 者比率のグラフの傾きが、プラスなのかマイナスなのかということが一致をしているの ですが、平成11年になりますと20代の後半のところと40代では傾きのプラスマイナスが 逆になっています。その傾向は、平成3年と13年を比べますと3年のところでは、ずれ てきていますのでちょっと違ってはいますけれども、傾きのプラスマイナスが平成元年 の辺りでは2つのグラフが一致していたのに、それ以降になってくると逆行する部分が 出てくるというところの解釈といいますか、考え方というのはどんなふうに持っていら っしゃるのかお聞きしたいです。  私の考え方を言わせていただきますと、かつては雇われて働くということと厚生年金 が適用されるということが連動していた。ところが、第3号被保険者制度というものが 入ってきて定着をしていく中で、雇われて働くということと厚生年金が適用されるとい うことがむしろ逆行するような状況になってきている。もう少し待っていると男女の賃 金格差や就業機会が均等化してくるから、そうなれば第3号被保険者制度は解消できる んだという、待っていればいいという趣旨の議論に対する反証をこういったデータの中 から読み取ることも可能なのではないかと思います。つまり、制度が邪魔をして就業や 賃金における男女格差というのが固定化されている部分があるといった解釈に、かなり いろいろな仮定を置いた解釈ではありますが、つながっていく気もしますので、こうい った傾きが逆行している部分が出てきているということについてどのようにお考えに なったのか、質問させていただければと思います。 ○ 宮島部会長  これは、神代委員から何かございますか。 ○ 神代部会長代理  傾きが逆行しているというのは、どこのことですか。 ○ 大澤委員  資料1の方が非常にはっきりしておりますので、これで見させていただきますと、か つては2つのグラフですべて傾きは一致しています。雇用者比率と被保険者比率で傾き のプラスマイナスが一致していたということは見ていただけると思うんですが、実線の 方になりますと20歳から24歳のところと、それから25歳から29歳と、簡単に20代前半と 20代後半というふうに言わせていただきますけれども、実線を見ますと雇用者比率は下 がっているけれども、被保険者比率は上がっています。  これはパートやアルバイトの働き方をしていた人が正社員になるということによっ て、雇用者比率は減るのですけれども、被保険者の比率は上がる。ところが、40代のと ころを見ていただきますと、雇用者比率は上がるのだけれども、被保険者比率はむしろ 下がっています。ほとんど平らではございますけれども、そういう部分もあって、結果 としてこの乖離の部分の形が以前とは異なって凸レンズ型みたいになってくるという部 分が認められるわけです。こういうことについてどんなふうに御議論があったのか、も し御議論があったのであれば教えていただきたいということでございます。 ○ 神代部会長代理  私の記憶では、余りその辺の議論はなかったと思います。 ○ 宮島部会長  事務局はいかがですか。 ○ 木倉年金課長  新しいデータを付けておりますが、近年の傾向について、我々としてどういうことが 影響するかまで分析ができているわけではありません。確かに資料1の雇用と年金研究 会の資料に比べまして資料2−2の20ページの女性の方、その実線の下の方の40代、こ れは元年よりも率としては下がっております。ですから、雇用者は実際に上に伸びてお りまして働いている方自体は率が高まっておりますが、適用の比率としては元年よりも 下がっているということは事実としてございますので、上の19ページの棒グラフのよう なことが生じております。これは先程のアンケートに出ている意識の問題はあろうかと 思いますが、やはりそういう方々にも被用者としての年金保障を是非考えていくべきで はないかということで御提案をさせていただいています。 ○ 宮島部会長  大澤委員の意見は、要するにこういう統計資料を見る限りにおいては現在の制度の影 響が出てきているものと解釈するということにまで及ぶのでしょうか。 ○ 大澤委員  労働市場に対して制度というのは受け身なのか、むしろ制度があることによって労働 市場のファンクションをゆがめている部分があるのではないか。非常に大雑把に言え ば、そういう問題意識です。 ○ 宮島部会長  ほかにございますでしょうか。 ○ 井手委員  第3号被保険者縮小案のところで御質問させていただきたいのですけれども、約1,000 万という人数が何か所か出ているんですが、私が今までいただいていた資料からすれ ば、3号被保険者の数といったときに頭に浮かぶのは1,150万くらいということです。 2001年3月末の数字ですと1,153万で、そのうち女性が1,148万という数字がございまし たので、この1,000万という数字が、それよりも更に新しい、例えば2002年3月末時点 というような意味合いがあるのかどうかということを確認させていただきたいのが1点 でございます。  それから、先ほどの御説明の中で、短時間労働者への適用をすることによって3号被 保険者の縮小部分が約6割になるというような御説明があったかと思いますが、3号被 保険者の中で今、収入がある人とない人はどこを見ればわかるかということがわからな かったです。先ほど短時間労働者の関係で参考資料2−2の18ページに公的年金等加入 の有無別パート労働者割合として、パート労働者の約3割が厚生年金に加入していると いうところがありました。この中で、左から2番目の30.6%という数字が、配偶者の加 入している厚生年金、共済年金の被扶養配偶者になっているということで3号被保険者 であるということだと思うんですが、いわば短時間労働者1,200万人の中で30.6%が3 号被保険者であるとすると、360万人くらいが全てこの適用拡大によって3号から消え るということなのか、そうだとしても、1,000万か1,150万の中で縮小されるのはそれく らいの数で、むしろ縮小されない部分の方が大きいのではないかと思いました。その認 識が違っているのかどうかを御質問させていただきたいと思います。  女性と年金検討会の資料の中に3号被保険者の実態という資料がございまして、その 中で少しでも収入のある人の割合が約30%であったという資料がございます。そうする と、3号被保険者の中で7割の人は全く無業であるのか、3号被保険者の中での収入が あるなしの比率についてどの辺りの数字を見たらよいのかについて教えていただきたい と思います。 ○ 木倉年金課長  最初の3号被保険者の人数ですが、約1,000万とか1,000万余りというのは大雑把に申 し上げておりますけれども、社会保険庁の事業年報の方ではやはり御指摘がありました ように13年3月末ですと3号は1,150万人程度ということでございますから、13年度ベ ースのものも大分出ておりますが、いずれにしてもこの数字を前提にして大雑把に申し 上げると1,000万人ということでございます。  それから、約6割というような申し上げ方をしましたのは、資料2−2の24ページに 時間と年収とを組み合わせた図を付けておりますが、そこで、30時間未満が55.3%とい うことで挙げておりまして、20時間以上25時間未満が19.9%、25時間以上30時間未満が 14.9%、この2つを足しますと、55.3%に対する割合は60%余りになります。パートに 出ている方のうちで3号の方の時間数の分布が仮にこのような全体と同じような分布で あるとすれば、こういうことだということで大雑把に申し上げたわけであります。3号 の方全体、千百何万人の中でパートに出ている方というのは現実には少ないわけであり ますから、パートに出ている方の中で仮にこのくらいの時間数を働いているとすれば パートの6割は適用されるということでも、やはり縮小される割合は全体に対しては小 さいものであることは間違いないということでございます。  今日は、この辺の数字を具体的にお示ししておりませんけれども、公的年金等加入状 況調査で見てみますと、3号の方で全体で400万人くらいの方が20時間で拾いますと適 用されるのではないかと雇用と年金研究会のときの試算で見ていただきました。その中 身をまた見ていただきたいと思いますけれども、3号の方でパート適用される方は400 万人中二百数十万人程度になるのではないかという粗い推計はしております。1,200万 という大きな数字に対しては、その範囲の2号として適用を受ける方というのは実際に はこのようになっているということでございます。 ○ 井手委員  縮小といっても、その幅がさほど大きいわけではないということで考えてよろしいで すか。 ○ 木倉年金課長  あくまでもパートに出ている方の中で適用するということでございます。 ○ 小島委員  質問ですけれども、雇用と年金に関する研究会の報告では、年収要件と時間要件のい ずれかに該当すると396万人が適用拡大になります。これはあくまでも今の強制適用事 業所を前提にした数字だろうと思います。短時間労働者に対して厚生年金の適用拡大を していくということになれば、5人未満事業所あるいは未適用業種でフルタイムで働い ている人たちをどうするかということも当然関わってくるだろうと思います。それをど うするかという議論がありますけれども、その辺はどう整理したらいいのでしょうか。 ○ 木倉年金課長  この雇用と年金研究会の資料は27ページの上辺りに付いておりますように、適用事業 所を前提に置いた推計しているということは事実でございます。  小島委員から御指摘のあった今の非適用の事業所は、業種、それから個人事業所の場 合の従業員5人未満でございます。60年の改正のとき、法人の事業所につきましては規 模を問わず、あるいは業種を問わずに全部適用ということで進めさせていただいたわけ でございますけれども、個人につきましては実際の適用の実務の問題、実際の事業所の 把握の問題があります。法人であれば台帳等で把握することができますが、個人の場合 はどの様に事業所をとらえるのかという問題ですね。それから、非適用の事業所につき まして、その事業を被用者年金という面から見た場合にそのカバーの対象と見られるか という問題が、ずっと継続して議論しなければいけない点として残っております。これ は現実の適用の可能性との問題、負担の可能性の問題の中で、私どもにとっては特に議 論いただきたい点でございます。 ○ 宮島部会長  それは御指摘のとおりですね。ほかにどうぞ。 ○ 堀委員  先ほどの2つ目の質問への答えが余りよくわからなかったので、もう少し詳しく私の 疑問を申し上げます。資料3の13ページですが、A−1案の一番左上の図を見ると、60 歳まで妻が3号被保険者になっています。しかしながら、基礎年金の給付あるいは老齢 厚生年金の給付を受けるためには、少なくとも2号として保険料を払ったものとみなす ということが法制的には必要ではないかと思うのですが、そこは詰まっていないという お答えだったんでしょうか。 ○ 木倉年金課長  納付をしたものと擬制をするということでございますので、そのような規定を置いた 上でその負担を擬制し、給付の計算に結び付けるというふうな置き方をしなければいけ ないということで議論はしております。それは完全にまだ整理し切れてはいないという ことで申し上げました。 ○ 堀委員  2号被保険者とするのか3号被保険者とするのかという質問なのですが、ここでは擬 制はするにしても3号のままという案ですよね。 ○ 木倉年金課長  負担や給付を被扶養者のままで発生をさせるのか、それとも特例被保険者的なものと して発生させるのか、ここも同時に議論が必要ですが、今のところここでは3号とわか りやすく表現をさせていただいております。 ○ 宮島部会長  これは現状の制度に即した説明なので、仮に制度を変えたときにどういう位置付けに するのかということまではまだ必ずしも詰めて議論しているわけではないということで しょうか。そういう意味の説明ということだそうでございます。  ほかにいかがでしょうか。今日はもちろんデータの問題もありますけれども、厚生年 金適用拡大も、第3号被保険者の見直しについても事務局の方では幾つかの案を用意し て、それにも幾つかのオプションが更に付いてはおりますが、その基本的な考え方は、 年金制度の中で言えば給付・負担のまさに構造問題ですから、できれば今日のうちにも 基本的な方向性なり、幾つかの案についての御感想なりをいただいておいた方がよろし いのではないかと思います。もちろん次回少しきちんとご意見をいただきたいと思いま すが。 ○ 岡本委員  次回以降の議論になると思いますが、今、部会長の方から多少の意見もということで したので、神代先生から御説明いただきました雇用と年金に関する研究会報告について お教えいただきたいのですが、この中の4ページで年収65万円を上回るものについては その労働時間にかかわらず厚生年金を適用することが考えられると、これは一つの考え 方として提示しておられます。それで、5ページで、適用事業所から65万円を超える賃 金を得る一方で、それ以外の自営業収入等が大半を占めるケースや、適用事業所におけ る勤務実態は極めて少ないにもかかわらず年収が65万を超えるケースなど、更に検討す べき課題があるということでについても御指摘があって、今、幅広く議論をしていただ いているということで理解しております。  被用者年金ということからいいますと、もともと雇用契約は従来は1年未満か、期限 の定めのない社員ということで労働基準法が定められていたわけですが、それが最近多 様化してきているということだと思います。その結果、労働を提供して報酬があるとい う契約をし、労働を提供し、報酬があり、そういうことで企業なり産業なり経済に貢献 のあった方々を、企業が応分にサポートしていくというのがもともとの被用者年金の理 念であったと私は理解をしております。その辺の理念も当然、世の中の変化とともに変 わってきて、こういう65万の収入があればという議論が出てくるわけですが、もともと 私はそういう意味から言うと収入だけで受給を決めるということは、従来の被用者保険 という理念との関連でどのように理解をしていけばいいか、あるいはそれをどのように 変えていこうという議論が必要なのか、その辺りにつきましてどんな御意見があったの か、理解を深めたいと思いますので、質問をさせていただきたいと思います。 ○ 神代部会長代理  その辺は最初の御報告で申し上げたように、例えば弁護士のようなケースなど、いろ いろと考えられるかと思います。ですから、いろいろな問題があるということを指摘し たので、完全にこれでうまくあてはめ切れるとは考えていません。  ただ、基本的な方向としてはやはりパートタイムについて議論をしていて、先程指摘 されたような厚生年金の被保険者比率の問題などありまして、それに対してどういう対 応をするかということを基本的には考えないといけないと思います。賃金収入と非賃金 収入に関してのいろいろな問題は、まだ十分議論されていません。 ○ 宮島部会長  今日の事務局の資料でも、被用者年金としての位置付けの問題ということは指摘され ておりまして、収入基準などを考えるときに被用者年金制度との関わりでどう考えるか ということが大きな問題であることは既に指摘されていると思いますので、これは当然 次回きちんと議論をする必要があるだろうと思っております。  ほかにいかがですか。 ○ 山口委員  次回に向けては、短時間労働者への厚生年金の適用を拡大していくということで、よ り方向性よりが明確に出るような議論を希望いたします。パートタイマーであるとかサ ラリーマンであるといった働き方や身分に関わりなく、被用者としての保障がされるよ うにということで整理して、短時間労働者に適用拡大するべきだとした中間報告につい ては大変敬意を表したいと思いますし、そういう意味では方向性は明確になっていると 私は認識しているんですが、議論をしていきたいと思います。  ただ、そういう方向性を明確にしたいという背景には、いろいろな心配事といいます か、整理しなくてはいけないことがあると思うんですけれども、そういったことがたく さん出てきますと実現するのが難しいというようなことになりがちなので、短時間には 適用拡大するんだと、それで、もっとシンプルに、そのために最小限、今の段階でそれ に向けて整理しておかなくてはいけないことは何なのかというような課題の挙げ方でき たらいいかなと思います。  また、短時間労働者の適用拡大という方向性と比べると、やはり第3号被保険者をど うしていくのかという方向性は、なかなかいろいろな問題が多いという整理が主になっ てしまって、本当に次のステップに進めるのかという疑問が残ってしまいます。私自身 は第3号においては今まで先送りしてきたという印象を持っていますので、ここの部分 は整理しておかないともう次の段階にいけないんだ、先送りはこれ以上できないんだと いうような視点が短時間労働者の適用拡大に比べると第3号に対しての表現は弱いかな と思っております。同じような姿勢で今回の改革の中で整理をしていくべきだと思って いるという意見表明でございます。 ○ 宮島部会長  ありがとうございました。では、山崎委員どうぞ。 ○ 山崎委員  3号被保険者問題で夫婦の年金権分割案が出ているわけですが、今日御説明いただい たものは第3号被保険者、つまり片働き世帯についての分割の説明でしたが、論理的に は共働きについても一旦は議論をしておかないといけないんじゃないかという気がしま す。 というのは、厚生年金の適用を拡大して20時間働けば妻が2号被保険者になるの に対し、19時間労働で収入が低ければ第3号被保険者、被扶養者になりますが、年金分 割というのは後者に限定されるとなると、妻自身の年金は、後者の方が有利になる可能 性があります。  ですから、現実に可能かどうかは別にして、片働き世帯だけではなくて共働き世帯に ついてもこの年金権分割ということを一度考えてみなければいけないのではないかとい う気がしますが、いかがでしょうか。 ○ 木倉年金課長  ここでは3号問題の関係で負担と給付の関係を対応させたらいかがですかということ で整理をしたわけですけれども、おっしゃるように当然年金分割論では1号−2号間、 あるいは2号被保険者同士の問題もあろうかと思います。個人単位での給付と負担を考 えた場合に、働き方に応じた負担、働き方に応じた給付というときに、どこまで公平を 考えていくのかという点は我々も内部で議論をしてもなかなか方向を見出せないので、 その辺をまた御議論いただきたいと思います。それはまた離婚時の問題にも関わってき ます。 ○ 堀委員  その問題を私も考えてみました。共働きの場合も足して2分の1にするということな んですが、夫と妻が別の制度で、例えば夫が厚生年金で妻が共済年金といった場合、費 用負担はなかなか難しい問題だという感じを受けました。 ○ 宮島部会長  多少時間が迫ってまいりました。私としてはできればこういう短時間労働者への厚生 年金の適用の問題なり、第3号被保険者の問題について道筋を何とかつけることが必要 だろうと思っています。  ただ、実はこの2つは非常に関連しているところがあります。例えば今のお話のよう に、一方で短時間労働者について厚生年金の適用拡大をいたしますと、従来と違って共 働き世帯というのが随分バラエティに富んだものになってくる可能性がある。そうする と、今のような第3号問題に限定して解決していく発想で考えられた年金分割案などに 波及してくる可能性も出てきます。ですから、道筋をつくるときにも両方合わせて考え ていく必要が出てくるのではないかと思っております。  今日取り上げたこの2つの問題は、さっき私が構造問題と申し上げましたが、要する に単位の問題ですね。世帯とか個人とか、あるいは被保険者全体とか、そういう給付と 負担の単位を完全にそろえると実態がうまく合わない面があり、かといって擬制的なや り方をすると当面は対応できるかもしれないけれども、しかし、それが本格的な意味で の解決なのかと言われると、確かにそうでないという面もあると思います。  それから、この2つの問題と関連して世帯の考え方自体も変わってくるということも ありますので、何とか道筋をつけていくことはしたいと私は思っております。その点を 踏まえて委員の方におかれましては、次回に向けまして特に短時間労働者への厚生年金 適用の問題と、それから第3号被保険者問題につきまして忌憚のない御意見を伺いたい と思っております。  それから、先ほど申しましたように、事務局の方には相当苦労をしていろいろな考え 方を整理していただきました。実際の制度として考えますと、先ほどの障害年金の場合 でありますとか、妻の年齢が上の場合とか下の場合とか、幾つかのケースで違いが出て くるということで、かなり注意深い形で一つの制度設計の例を示していただきましたけ れども、制度設計の仕方としてはそれだけに限定されるとは私は思っておりませんの で、そういう意味でも委員の方々からもう少し別の考え方もお聞きできればと思ってお ります。  それでは、一応今日のところのこの2つの議題に対する質疑はここで終わりにさせて いただきたいと思いますが、今日発言されなかった方々でどうしてもまだ発言しておき たい方はいらっしゃいますでしょうか。 ○ 大山委員  資料2−2の19ページに雇用者数と被保険者数の関係があるんですが、これでいくと 現在被用者保険に入っていない方は1,600万人です。先ほどから出ているパートへの適 用拡大はこの関係から見ても早急にやる必要があると思いますけれども、その効果が 400万人ということになるとあとの1,200万人くらいの人たちは一体どういう人たちなの か、できれば後で資料か何かいただいて、その上で次回に意見をお出ししたいと思いま す。 ○ 宮島部会長  わかりました。今、大山委員から資料の追加の要請がございました。今、御説明いた だくよりも、少しそれに合わせた資料を作っていただいて、間に合えば事前に大山委員 に示していただければと思います。 ○ 木倉年金課長  わかりました。9月のときにも御指摘があって、20歳から60歳で見た雇用者と被保険 者の違い等を一度お示ししましたが、また見ていただきたいと思います。 ○ 宮島部会長  それでは、時間があと5分ほどになってしまいましたけれども、先ほどお話ししまし たように次回もこの問題について少し詰めた議論をしていきたいと思っております。こ れはなかなか難しい問題でもありますので、是非皆さんの御意見を伺いたいと思ってお ります。それで、次回の日程はまだ決まっておりませんが、皆さんのペーパーをできれ ば次回の会議の少なくとも数日前くらいまでには事務局の方へお寄せいただくようにお 願いいたします。  それから、今日の議題ではございませんが、経済財政諮問会議で最近、特に年金問題 あるいは社会保障の問題につきまして、かなり集中的な審議が始まりましたので、その 状況につきまして総務課長の方から少し御説明いただきたいと思います。 ○ 高橋総務課長  では参考資料3−1、3−2、3−3、3−4を用意させていただいておりますが、 全体はお時間があるときに御覧いただくとして、特に参考資料3−1について御説明を 申し上げたいと思います。  今までの経済財政諮問会議の流れを申し上げますと、今、経済財政諮問会議は現内閣 発足以来の構造改革プログラム全体の推進及びフォローアップ作業の他、国と地方の問 題、それから年金を中心とした社会保障の問題、大きいテーマとしてはその2つの問題 を現在抱えているということでございます。年金を中心とする社会保障につきまして は、4月1日の経済財政諮問会議で論点整理が、それから16日に改革の在り方に関する 民間議員及び関係各省の意見が示されたということでございます。4月16日の資料は今 日お配りをしているものでございます。  全体の詳細は省きますが、参考資料3−1をいただきたいと思います。参考資料3− 1の3ページ以下の参考、特に4ページの試算は民間議員というよりは、内閣府におい て私どもの試算をもう少し経済前提を変えて計算し、更に、内閣府の持っているマクロ モデルに全部接合いたして、2025年における政府支出全体の国民負担率をはじき出した というものでございます。  17日の新聞でも報道されましたが、潜在的国民負担率、これは通常の国民負担率であ る租税と社会保険の負担に、政府赤字も含めている数字でございますが、2025年におけ る潜在的国民負担率が幾らになるかという計算をしているものでございます。その前提 として、年金制度及びその他の社会保障について5つの選択肢を示しているということ でございます。これは年金とか社会保障だけをいろいろ見直して国民負担率を変えよう という意図ではないと説明が出ておりますけれども、今の議論の焦点が社会保障なの で、それを中心にして国民負担率を見ているものだということでございます。  この試算結果の一番左が現状維持型で代替率59%という年金給付水準維持、これは私 どもの試算でもこれまでの方式、給付水準維持方式ということで方式1−1で示してお りますが、このやり方そのものでございます。潜在的国民負担率を議論する時の給付水 準というのは通常、私どもがいう代替率のことですが、これを59%に維持するのであれ ば保険料率はどういうふうになっているかというものを計算したということでございま す。  最終保険料のレベルは、国庫負担が例えば2分の1の場合ですと22.3%になります。 これは私どもの試算では23.1になっております。この違いは経済前提にありまして、注 1に書いてございますが、実質経済成長率が1.5、実質金利が2.0、物価上昇率が1.0と いうことでございます。私どもの前提では物価上昇率は1.0、それから1人当たりの賃 金上昇率は物価に対しては1.0でございます。内閣府の方は実質成長率はマクロの経済 成長率を使っていますので、人口減少率を引いた後のものだということであります。そ れから、実質金利2.0は私どもの場合には2.25という数字になっております。内閣府か ら見ますと、成長率は私どもは低目、金利は少し私どもの方が高目になっているという ことでございます。  それから上の方をもう一度御覧いただきますと、保険料固定方式の場合で、保険料率 の上限を20%にした場合には最終的な給付水準は私どもの場合には国庫負担2分の1の ケースでは52%でございますが、内閣府のこのモデルケースでは54.1%になっておりま す。この場合には潜在的な国民負担率は59.8です。  このケース2から、年金は同じでございますが、医療と介護について少し伸び率を抑 えるというケース3になりますと、医療、介護ほか公共投資なども抑えていますけれど も、この場合には負担率が59.8%から54.5%に下がります。それから、今度はもう一回 年金に戻りまして、保険料固定方式で最終的な保険料を18%にセットした場合には、給 付水準は国庫負担2分の1のケースで47.4%、私どもの場合にはこれは45%でございま すが、そこで大体調整が終わるということであり、この場合には潜在的な国民負担率が 53.4%ということで、ケース3とケース4にそれほど大きい違いはありません。これ は、2025年でございますから調整期間が終わる時期よりも手前です。  それから、支給開始年齢を今後更に2歳上げるという試算を出しております。この場 合には調整が早く終わり2050年時点での給付水準は国庫負担2分の1の場合で51%です けれども、2025年時における国民負担率にはさほど影響はないということでございま す。  内閣府の話ですと、年金制度を変えても余り国民負担率に影響は出てこないという感 じを持っているということでございます。特にケース2からケース3に移る、やはり全 般の歳出の削減がかなり大きくなっております。もちろん年金もそのうちの一つであり ますけれども、全般的な歳出によって初めて国民負担率は落ちるという計算になってお ります。  そのほか民間議員提出資料では、幾つか年金の体系論などについて触れている部分が ございます。それから、私どもの方からは御覧いただきますように基本的な視点と、制 度の体系についての考え方。給付と負担の見直しについてはまだ選択肢を示していると いう段階でございますけれども、体系論につきましては財務省の方からは例えばスウェ ーデンのようなやり方をやってはどうかというような議論は出ていますが、私どもの方 からは今すぐの導入はなかなか難しそうだというような資料を付けております。以上で ございます。 ○ 宮島部会長  経済財政諮問会議の資料、特に民間議員提出の内閣府の試算等が出てまいりました が、今、御説明があった諮問会議関係の資料につきまして何か御質問はございますか。  今後の経済財政諮問会議はどんな予定であるのかを教えてください。 ○ 高橋総務課長  今後、経済財政諮問会議では更に審議が行われる予定になっております。それで、こ れまで平成13年と14年の6月にいわゆる骨太方針、経済財政運営及び経済社会の構造改 革に関する基本指針というものを出しておりまして、恐らく今年も6月にはこの骨太方 針が取りまとめられる見込みでございます。ここが年金についての、特に総論部分でご ざいますが、一つの区切りになるのではないかと考えております。 ○ 宮島部会長  どの程度骨太なものになると理解したらいいですか。 ○ 高橋総務課長  改革の大枠ということで、余り細かい議論には入ってこないかと思います。民間議員 提出資料には若干そのイメージは出ているのかと思いますが、参考資料3−1をごらん いただきますと、総論としては活力の維持、安心の確保、持続可能な制度ということが 出ております。その上で、あとは潜在的国民負担率50%の問題ですが、これは年金だけ の問題ではございません。あとは、積立金については、私どもも意味がよくわからない んですが、可能な限り抑制して運用は独立した第三者が行う。こういう大くくりの議論 は出ているというところで、大体これ以上の細目については専門の各省と審議会での御 議論に任せるということだろうと理解いたしております。 ○ 宮島部会長  それでは、ほかに何かございませんでしょうか。  それでは、総務課長から最後に今後のスケジュールを含めてお話をお願いします。 ○ 高橋総務課長  次回は最初に部会長からお話がございましたように、引き続き短時間労働者と第3号 被保険者について御議論をいただきたいと思います。開催日時につきましては5月中旬 をめどにしておりますけれども、日程を調整の上、改めて御連絡を申し上げたいと思い ます。 それから、今年の3月より開催をいたしております年金対話集会につきまして も引き続き実施をしていきたいと思っております。各回の御出席委員をまとめた一覧表 をお手元に追加で配布しておりますけれども、今後こういった形で開催してまいりたい と考えておりますので、委員の皆様方におかれましては御出席方、よろしくお願い申し 上げたいと思います。今後の日程については以上でございます。  なお、食事を用意しておりますので、会議終了後もしばらくお待ちいただきたいと思 います。 ○ 宮島部会長  ありがとうございました。それでは、本日はどうもありがとうございました。これで 終了いたします。 (照会先) 厚生労働省年金局総務課企画係 (代)03-5253-1111(内線3316)