03/04/18 第18回労働政策審議会雇用均等分科会議事録            第18回労働政策審議会雇用均等分科会 1 日時:平成15年4月18日(金)13:00〜 2 場所:経済産業省別館第827会議室 3 出席者   労側委員:秋元委員、岡本委員、片岡委員、吉宮委員   使側委員:前田委員、吉川委員、川本委員   公益委員:若菜分科会長、今田委員、奥山委員、佐藤(博)委員、樋口委員、        横溝委員 ○事務局  ただいまから労働政策審議会、「雇用均等分科会」を開催します。本日は佐藤孝司委 員、山崎委員、渡邊委員が欠席、また、吉川委員、樋口委員からは遅れるというご連絡 をいただいています。  本日は委員改選後、第1回目の会合ですので、まず最初に手続き的なことから始めま す。進行については、私、総務課長が担当いたします。  まず、委員の皆様方をご紹介いたします。お手元の資料No.1をご覧ください。今回 の改選で、3名の委員の任命替えが行われています。渥美委員の後任には横溝委員、遠 藤委員の後任には川本委員、志村委員の後任には渡邊委員が任命されています。なお、 辞令については皆様方のお手元に置いています。席上配付という形でまことに恐縮です が、どうかお受け取りいただきたいと思います。  新たに任命された3名の委員のうち、本日ご出席をいただいている2名の委員から、 一言ずつご挨拶をいただきたいと思います。  まず、横溝委員お願いします。 ○横溝委員  横溝です。何ぶんにも新米ですし、いろいろ勉強しながら一生懸命努めてまいりたい と思っています。よろしくお願いします。 ○事務局  次に川本委員お願いします。 ○川本委員  日本経団連の川本です。良い議論ができますよう、どうぞよろしくお願いします。 ○事務局  どうもありがとうございました。次に、分科会長の選挙結果の報告に移ります。会長 の選出については、労働政策審議会令第6条第6項において、「当該分科会に属する公 益を代表する委員のうちから、当該分科会に属する委員が選挙する」こととなっていま す。本分科会に属する労働政策審議会委員の4名の委員(若菜委員、横溝委員、樋口委 員、岡本委員)により予め選挙を行っていただきました。その結果、若菜委員に引続き 分科会長をお願いすることとなりましたのでご報告いたします。  次に、分科会長による分科会長代理指名の報告に移ります。分科会長代理は労働政策 審議会令第6条第8項において、「当該分科会に属する公益を代表する委員又は臨時委 員のうちから、分科会長が予め指名する」ということになっています。分科会長である 若菜委員から予め、分科会長代理として樋口委員の指名があり、樋口委員にもご快諾を いただいていますのでご報告いたします。  以後の議事進行については若菜会長、よろしくお願いいたします。会長席のほうへお 願いいたします。 ○若菜分科会長  引き続いて分科会長をやらせていただくことになりました、よろしくお願いいたしま す。本分科会は公開で開催しています。そういうことも踏まえ、皆様、この分科会の円 滑な運営にどうぞ、ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。  まず最初に、「家内労働部会の委員について」であります。これは労働政策審議会令 第7条第2項において、「部会に属すべき委員、臨時委員及び専門委員は、分科会長が 指名する」こととされています。そこで、家内労働部会に属すべき委員等については、 お手元にお配りしています資料No.2のとおりとさせていただきたいと思います。よろ しくお願いいたします。  議題2は「仕事と家庭の両立対策について」であります。その前に、まず局長からご 挨拶をいただきます。 ○岩田局長  本日から、仕事と家庭の両立支援対策についてご審議を始めていただくわけですが、 それに先立ち簡単にご挨拶をさせていただきたいと思います。  今回新たに就任された3名の委員、前回から引き続き就任いただくことをご快諾いた だいた、その他の委員の先生方、どうぞよろしくお願いしたいと思います。また若菜会 長、会長代理を務めていただく樋口委員には、引き続き大変お世話になりますが、よろ しくお願いしたいと思います。  昨年度の「雇用均等分科会」では、9月からだったと思いますが、正社員とパートタ イム労働者との間の公正な処遇問題を中心にして、今後のパートタイム労働対策のあり 方について検討をいただきました。  その審議経過を振り返ると、3月18日に報告を取りまとめていただきましたが、なか なか難しい審議であったという印象を持っています。厚生労働省としては、3月18日に 至るまでに各委員から出されたご意見、その結果最終的にまとめていただいた18日の報 告書を踏まえ、パートタイム労働法に基づく指針の改正などの手続きを取りたいと思っ ているわけです。ただいま、その準備をしていますので、然るべきタイミングに指針の 改正について「労働政策審議会」に諮問し、この分科会でご議論いただきたいと考えて います。その折にはご審議のほど、どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。  本日は「仕事と家庭の両立支援対策」です。ご審議をいただく前に、これまでの改正 の経緯、今後の見直しについて、どういう約束ごとになっていたかをご報告させていた だきたいと思います。育児介護休業法の直近の改正は、平成13年秋の臨時国会でした。 全面的に施行になったのが平成14年の4月ですので、直近の改正からいま1年ちょっと 経過をしたというタイミングです。13年の法律改正に当たり、国会で修正が行われ、 「施行後3年を経過した時点で検討を行う」という修正が付いたわけです。この修正に ついては3年と言わず、必要なタイミングで必要な改正を行ってほしいというご意見が ありました。それに対し、厚生労働大臣が状況を見て、「必要であれば前向きに考えた い」という趣旨の答弁を国会でしています。  一方、昨年の1月だったのですが、新しい国勢調査人口に基づく「日本の将来推計人 口」が公表されました。それによると、少子化が一層進行するといった見通しが示され たわけであります。長くは申しませんが、このまま少子化が進行すると、日本の社会や 経済に大変深刻な影響を与えるだろうと考えています。そういった少子化の流れを少し でも変えられるよう、対策を強化しないといけないというように思っています。  従来から、少子化対策はそれなりに関係省庁とともに取り組んできましたが、さらに もう一段の対策を進めるために、昨年9月に厚生労働大臣が「少子化対策プラスワン」 を取りまとめました。それについてはこの分科会にも、その時点でご報告をさせていた だいています。さらに「少子化対策プラスワン」を踏まえ、関係省庁の大臣からなる 「少子化対策推進関係閣僚会議」という枠組みがあるのですが、その閣僚会議で3月に 「次世代育成支援に関する当面の取組方針」というものを策定いたしました。これにつ いても、確か前回の分科会でご報告させていただいています。  このような流れの中で、次世代育成支援対策の中でも仕事と家庭の両立というのは、 大変大きな柱の1つと位置づけられているわけです。そして、少子化関係の閣僚会議で 決定した取組方針の中においては、児童手当制度や育児休業制度、多様な働き方を実現 するための条件整備などについては幅広く検討を行った上で、平成16年に所要の法案を 提出するというように方針として決めています。  一方、介護休業についてですが、「育児介護休業法」という形で育休法を改正し、制 度が導入されたのが平成7年の改正でした。法律改正は平成7年、実際の施行は平成11 年4月1日からでした。平成7年、制度改正時の国会での附則、それについての国会で の質疑のやり取りなどにおいて、「施行後3年の経過を見て、所要の検討を行う」とさ れているところです。  いまどういう時点であるかというと、介護休業については施行後3年を経て、昨年は 進捗状況について調査を行いました。近々、その調査もまとまるだろうという状況で す。一方育児休業、あるいはその周辺の問題については、直前の法律改正から1年ちょ っとが経過したばかりですが、少子化対策、次世代支援対策といった新たな取組の中で やはり早急に、もう1度対策のあり方について見直しをしたいという段階に来ている。 そういう現状であると考えています。  各委員の先生方にはそれぞれ、大変ご多忙と思いますが、これから年末に向け、是非 よろしくご審議のほどお願いしたいと思います。引き続き事務局から、さらに詳細なご 説明をさせていただきます、どうぞよろしくお願いいたします。 ○事務局  まずただいまの局長の挨拶とも重なりますが、今回「仕事と家庭の両立対策」につい て検討をお願いすることとなった経緯について、資料No.4に基づいてご説明したいと 思います。併せて、資料No.5に基づき、今後の検討スケジュールについてお諮りした いと思います。  まず、資料No.4をご覧ください。今回検討をお願いすることに至った経緯について、 資料4に沿って時系列的にご説明をしたいと思います。資料No.4の1頁をご覧くださ い。  まず1の「育児休業等に関する法律の一部を改正する法律」、これが先ほど局長の挨 拶の中にもあった、介護休業制度を法制化した平成7年の法改正であります。この法改 正のとき、国会での修正で附則第3条が追加されています。ここにあるとおり、「政府 は第2条の施行後、適当な時期において」、この「第2条の施行」が介護休業の施行の 時期、先ほどあったように平成11年4月1日であります。施行後適当な時期において、 「法律の施行状況等々を勘案をして、育児介護休業法に規定する介護休業の制度等につ いて総合的に検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする」となっ ています。したがって、具体的な時期は附則そのものには書いてありませんが、2の 「平成7年改正時の国会答弁」にあるとおり、国会での関係委員会での審議の中で、 「見直しの検討について、政府としてはどのような時期が適当な時期と考えているの か」という質問に対し、当時の労働大臣より「施行後3年を目途に検討を行うこととし たい」という答弁をしています。したがって、平成11年4月から施行ですので、11年度 からまる3年を経過した昨年、介護休業の施行状況等について調査をしたという状況に あります。  続いて、育児休業およびその周辺の制度にかかわる経緯であります。1頁の3にある とおり、「育児介護休業法の一部を改正する法律」、平成13年、前回の制度改正時です が、附則4の検討状況がこれもやはり国会の修正でこの第4条が加えられています。こ れも政府は「附則第1条ただし書きに規定する改正規定」、「附則第1条ただし書き」 という部分が前回の制度改正で加わった所定外労働時間の制限、あるいは勤務時間短縮 等の措置、看護休暇制度の努力義務等々、前回の改正の主たる部分が平成14年4月1日 から施行されていますけれども、その部分を指しています。附則第1条ただし書きに規 定する改正規定の「施行後3年を経過した場合において、この法律に規定する諸制度に ついて総合的に検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする」とあ ります。こちらについては、「施行後3年を経過した場合において」という検討規定が 設けられているものであります。法律の附則においては、いま申し上げたような形で す。  その後の状況として、2頁、3頁は前回の改正のとき、それぞれ衆議院、参議院の委 員会で付けられた附帯決議であります。これについては説明を省略させていただきま す。  その後の状況として、これも先ほど局長からお話がありましたとおり、平成14年1月 に新しい「将来推計人口」が公表されました。少子化の進行が一層深刻な状況になって いることを受け、政府として新たな取組が進められているわけです。  まず資料の4頁にあるとおり、これは昨年9月に「少子化社会を考える懇談会」、厚 生労働大臣が招集し、木村尚三郎先生を座長とする懇談会であります。昨年3月から検 討をお願いし、9月に「中間とりまとめ」をしていただいたものです。この懇談会にお いても、資料4の冒頭にあるとおり、少子化社会への対応ということで「4つのアピー ルと10のアクション」という提言をいただいています。その中でも5頁、アクションの (2)、「ファミリー・フレンドリー企業に優秀な人材が集まる」という表題になってい ます。本文の2行目、3行目にかけて、「育児休業、短時間勤務、子ども看護休暇など の制度の普及を図るとともに、法制度においてもさらに整備を進めていくことが必要で す」というような提言をいただいています。  さらに6頁、これも先ほど局長から言及があった「少子化対策プラスワン」、既に当 分科会においても昨年9月時点でご説明をさせていただいていますが、重ねて触れたい と思います。昨年1月の「将来推計人口」の公表を受け、5月に総理から、一層の少子 化対策ということでご指示を受け、厚生労働省として9月に少子化対策の一層の充実を 図る、ということで取りまとめたものがこの「少子化対策プラスワン」であります。内 容については既にご説明しておりますけれども、資料の6頁から7頁にかけてあるとお り、「男性を含めた働き方の見直し、多様な働き方の実現」に加え、「仕事と子育ての 両立の推進」の部分でも既にご説明したとおり、男性の育児休業取得率10%、女性の育 児休業の取得率80%、子どもの看護のための休暇制度の普及率25%、小学校就学の始期 までの勤務時間短縮等の措置の普及率25%といったような目標値を設定し、取組みを行 うとしたものであります。  「少子化対策プラスワン」の8頁をご覧いただきたいと思います。「対策の推進方 策」として、国において、(3)、「少子化対策をもう一段推進し、対策の基本的な枠組 みや、特に『働き方の見直し』や『地域における子育て支援』を中心とする直ちに着手 すべき課題について、立法措置を視野に入れて検討を行い、年末までに結論を得る」と いう方針が示されています。この方針に則り、引き続き検討を進めてきました。  その結果として、この中では「年末」とありましたが、これも先ほど言及があったと おり「年度末」となっています。資料の9頁、今度は厚生労働省の方針としてではな く、「少子化対策推進関係閣僚会議」の方針として、本年3月14日、次世代育成支援に 関する当面の取組方針がまとめられたものです。  「少子化対策推進関係閣僚会議」がまとめた当面の取組方針においては、次世代育成 支援対策について、平成17年度から10年間で集中的に取り組むという考え方に基づき、 3の「今後の推進方策」にあるとおり、「4に掲げる各般にわたる施策を推進するた め、平成15年度及び16年の2年間を次世代育成支援対策の基盤整備期間と位置づけ、一 連の立法措置を講じる」という方針が示されています。  平成15年においてはこれに基づき、これも既に前回の分科会においてご説明させてい ただきましたが「次世代育成支援対策推進法案」、「児童福祉法」の改正案、これを今 回の通常国会に提出しています。さらに、次世代法は次世代育成支援対策についての総 合的な推進体制を整備するという考え方で取りまとめたものですが、それと車の両輪と いう形で、具体的な個別施策も推進していく。平成15年の児童福祉法の改正に合わせ、 次の○にあるとおり、16年においても児童手当制度、多様な働き方を実現するための条 件整備に加え、育児休業制度の見直しについても同じく幅広く検討を行った上で所要の 法案を提出する、という取組方針がこの中で示されています。今回、仕事と家庭の両立 対策について、当分科会にご審議をお願いするに至った経緯としては、直接的にはいま 申し上げたようなこういった政府の方針を受けて、ご検討をお願いしたいというもので あります。  なお、4の「基本的な施策」ですけれども、これは基本的には「少子化対策プラスワ ン」の内容を継承したものであります。例えば11頁にあるとおり、先ほど申し上げた男 性、女性の育児休業取得率等々の目標値をそのまま、当面の取組方針においても掲げて います。  最後に、12頁に「次世代育成支援対策推進法案の概要」も付けていますが、前回ご説 明をさせていただいていますので省略いたします。今回、検討をお願いすることになっ た経緯については以上です。  続いて資料No.5に基づき、今後、こういった形でご検討をお願いできればというス ケジュール案についてご説明いたします。先ほど、「当面の取組方針」のところでご説 明したとおり、仮に法的な整備が必要ということであれば平成16年ということになりま す。検討の結果、どういった形になるかということはありますが、いずれにしても本日 よりご検討いただき、可能であれば本年12月末の時点で何らかの結論をいただければと 考えています。そういった形で、このスケジュール(案)をお示ししています。  資料No.5にあるとおり、当面5月から7月、夏前までは月1回程度のペースで開催 し、諸外国の制度についておさらいをする、あるいは企業・労働組合からそれぞれ、仕 事と家庭の両立対策についての取組状況等についてお話をいただきたいと思っていま す。企業については取組が進んでいる、私どもで言う「ファミリー・フレンドリー企業 」という形で言っています。そういった企業での取組、あるいは非常に厳しい状況の中 でなかなか苦慮されている企業、特に中小企業が非常に厳しい状況にあると思います。 そういった中小企業のヒアリングもできればと思っています。  さらに、労働組合としての取組もヒアリングさせていただければと思っています。ま た、これも先ほど局長からも言及がありましたが育児休業の取得率、あるいは勤務時間 短縮等の措置の普及状況、子ども看護休暇の普及状況等、これからご審議をお願いする に当たり、最も基礎的なデータになるのが、私どもが3年に1回ずつ行っている「女性 雇用管理基本調査」です。3年前の検討に際しても、11年度の調査結果をもとにご検討 いただいているわけです。3年ごとの調査で、昨年の11月に直近の調査を行っていま す。直近の調査については現在、集計を進めていますが、大体7月ごろにはしっかりと した結果がまとまるのではないかと思っています。  したがって5月、6月に諸外国の制度、あるいは企業・労働組合からのヒアリングを お願いし、7月の時点で昨年11月の「女性雇用管理基本調査」の結果についてご報告で きればと思っています。そうした企業、あるいは労働組合の取組、直近の制度の普及状 況等を踏まえ、7月の時点で、以降どういった個別のテーマでご議論いただくかについ て、少しフリートーキングをし、以降はこういうテーマで議論をしていくというご議論 をいただきたいと思います。  それを受けて、9月以降ということになろうかと思いますが、ここにあるとおりその 辺りから月2回程度ぐらいにペースを早め、9月、10月あたりでいま申し上げた、テー マ別に少し突っ込んだご議論をしていただければと思っています。  それを受けて、11月以降ということになると思いますが、具体的な検討の方向につい て論点整理をしていただきます。そして、冒頭に申しましたとおり、できれば12月末ぐ らいまでには分科会の報告という形で、一定の結論をいただければと考えています。こ の点については、本日、スケジュールについてこれからご議論いただければと思ってい ます。  併せてもう1点、説明したいと思います。資料No.6をご覧ください。今回、直接こ のデータでご議論いただくものではありませんが、先ほど申し上げたとおり、「女性雇 用管理基本調査」の最新のデータについてはまだ今後ですが、それ以外の基礎的なデー タについてこの資料No.6で取りまとめています。詳しいデータについては、個別のテ ーマを検討するときにご説明したいと思いますので、ご紹介だけ簡単にさせていただき たいと思います。「目次」には、資料No.6の中で少子・高齢化の進行についてのデー タ、あるいは雇用者を取り巻く状況ということで、これも既にご案内の数字だと思いま すが、雇用者数の推移、女性の年齢別労働力率等々について資料を提出しています。  一点だけ、この中で少し詳しくご説明したいと思います。8頁をお開きください。8 頁、9頁のデータについて今回、これからご検討をお願いするテーマと非常に密接に関 係している、直近の調査データなので、少し詳しくご説明したいと思います。  8頁にあるとおり、資料が「第1回21世紀出生児縦断調査」という、2001年に初めて 厚生労働省が実施をした調査であります。注にありますとおり、2001年1月10日から17 日の間、および7月10日から17日の間に産まれた赤ちゃんについて、全数は約5万人で あります。その5万人を対象に、父母の子育ての状況など、その実態および経年変化の 状況を継続的に把握するための調査であります。今回、1回目の調査がこのような形で 取りまとめられていますが、これから引き続き継続的に調査をしていくというもので す。  1回目の調査は、子どもが産まれてから月齢6カ月時点での調査ということです。ま ず2の(8)、「子どもを持つ女性の就業状況」、これはいま申し上げたとおり、月齢 6カ月時点での就業状況と出産1年前の就業状況との比較をしています。例えば「無職 」でいうと、無職の方が約2万人いらっしゃるわけですが、そのうち現在も無職でいら っしゃる方が96.3%と、無職の方については引き続きほとんどの方が無職である。  一方有職の方、出産1年前に仕事をお持ちだった方が約2万5,000人いらっしゃいま した。そのうち、無職の方が56.1%、現在も仕事がある方が43.5%、さらにこれを常勤 とパートで分けています。常勤の数字を見ると、約1万5,000人の方がいらっしゃった わけですが、出産1年前に常勤でお勤めをしていた方でも、現在無職の方が49.0%、約 半数の方が現在仕事に就いていないという状況になっています。  すなわち、出産1年前に仕事に就いていらっしゃった女性が出産を経て、1年半後の 状況になりますけれども、その時点で約5割の方が仕事に就いていないという数字が出 ています。次の頁で出てきますが、もちろん育児休業の方は除いていますので、1年半 の間に純粋に半数の方が退職をされている。これにはもちろんご自身で、育児に専念す るという形で退職をされた方もいらっしゃれば、中にはご自身としては仕事を続けたい と思いながら退職をされた方もいらっしゃると思いますが、退職をされた理由までは調 査としては聞いていませんのでわかりません。いずれにしても、約半数の方が退職をさ れているという状況です。  次に9頁をご覧ください。1年半後の状況で、常勤の父母に育児休業の取得状況を聞 いています。したがって調査対象、調査方法は異なりますけれども、ご案内のとおり、 平成11年の「女性雇用管理基本調査」では、男性で約0.5%、女性で57%が育児休業の 取得率でした。この調査で、直近のデータとしてこういった形になっているというもの です。  まず、上の段が女性ですが、「総数」にあるとおり80.2%と、全体としては80%以上 の方が育児休業取得済み・取得中・取得予定となっています。横に規模別の数字が出て いますが、ご覧いただければわかりますとおり、やはり規模が大きくなるほど取得率は 高くなっています。さらに、この調査は私どもの「女性雇用管理基本調査」と異なり、 官公庁にお勤めの方も含めて調査をしています。ご覧いただいたとおり、官公庁につい ては取得率は約95%という形になっています。  したがって、公務員関係を除くと、取得率は大体70%台ということになろうかと思い ます。さらに、「取得していない」という方についてその理由も聞いています。「制度 はあるが取得しない」という方が12.2%ありました。このうち、その理由についてはや はり「職場の雰囲気や仕事の状況」というものが5.6%と、いちばん高い数字になって います。  続いて、下の段が父親の状況です。これもやはり、平成11年の「女性雇用管理基本調 査」の結果とはあまり変わっておりません。全体として、取得率0.7%という状況にな っています。官公庁は1.2%となっていますけれども、それほど規模別で取得状況につ いて違いはない状況になっています。  男性について少し特徴的なことを申し上げます。「取得していない」という方のう ち、「制度はあるが取得しない」という方が31.4%いらっしゃるわけです。それ以外に 「制度がない」、「制度があるかどうかわからない」という方が24.9%、23.8%という 数字になっています。  ご案内のとおり、育児休業制度はいわゆる形成権ですので、企業に規定があるなしに かかわらず、一定の要件に該当する方については申し出により育児休業の取得ができる わけです。かつ、女性のほうの数字を見ると「制度がない」という方はそれほど多くあ りませんので、男性で「制度がない」、あるいは「制度があるかどうかわからない」と いう数字がこれだけ高いというのは、むしろ制度がないというよりも、ご自身が育児休 業制度の対象になっているのかどうか、定かではないという方がかなりいらっしゃるの ではないか。  ご案内のとおり、男性の育児休業については、奥様が専業主婦の方であっても産後8 週間の間は取得できる規定になっているわけです。その辺、私どもも周知はしているつ もりですが、まだなかなか周知が行き届いていないのかなというように、この辺の数字 を見て考えています。いずれにしても、男性については「職場の雰囲気で取りにくい」 以前の問題として、自分が取れるのだというところも含めて、まだなかなか制度の周知 ができていないのではないかという状況もあるのではないか、という点がこの数字から 見えるところかと思います。  以上、縦断調査の結果をお示しいたしました。いずれにしても、先ほど申し上げたと おり、今後個別テーマの議論に際しては必要なデータをいろいろ用意していきたいと 思っていますので、よろしくお願いいたします。以上です。 ○分科会長  どうもありがとうございました。ただいまの事務局の説明について、ご質問、ご意見 がありましたらお願いいたします。 ○公益委員  実は、「育児休業取得率」という概念について前からわからないところがあります。 例えば、いま事務局からご説明があった8頁、9頁ですが、育児休業取得率というのは おそらく9頁の80.2%となる。7,251人が働いている中で5,815人が取る予定、実際に取 るだろうということでした。80.2%というものを取得率と呼んでいらっしゃるのかどう か。  現在、出産したあとも働いている7,251人を分母にして、その中で取っているわけで すが、辞めてしまった人はみんな除かれてしまうわけです。むしろ辞めないで、両立支 援という形で方策を進めていくことを目的とするはずではないかと思うのです。8頁に 戻ると、1年前は有職だったのだけれども、現在は無職になっている人が56.1%もいら っしゃるわけです。これについては全く言及しない。こちらもサンプルから落としてし まって、分母のほうはいまの7,251人ですから、勤め続けているという方だけをターゲ ットにするのはいかがかと思っています。  逆にこの80.2%以外の人、19.2%の人というのは、育児休業を取らないで働き続けて いますという人たちであって、それを取得率を上げようというと、この人たちを減らそ うということであります。それを政府の目標として掲げていいのかどうか、実はわから ないでいます。ご説明いただけますでしょうか。 ○事務局  公益委員のおっしゃるとおりだと思います。ただいまの8頁、9頁の資料説明にも あったとおり、育児休業を取得する以前、そもそも出産以降の時点で、先ほど言ったと おり理由はさまざまだと思います。お辞めになっている方がたくさんいらっしゃる。む しろそういう方の中でも、先ほど言ったとおり、「育児に専念したい」と自らお思いに なっている方は別として、引き続き仕事を続けたいのだけれども辞めざるを得なかった という方は、おそらく現在無職の50%の方の中に多数いらっしゃるだろうと思います。 やはり私どもの目標としては、仕事を続けたいのだけれども辞めざるを得なかったとい う方についても、引き続き雇用が継続できるような形で制度を検討していくことが第一 にあろうかと思います。  もう1点、育児休業についても目標値は掲げています。これについてもこれまで 10%、あるいは80%の中で考え方をご説明したときに、育児休業についても取得したい のだけれども、職場の雰囲気等の問題で取得できていないという方が多数いらっしゃ る。そういう中で、少なくとも育児休業を取得したいと思っている方がすべからく、少 なくとも取得できるような状況を作っていく。逆にそういう状況を作っていくことが、 一方で仕事を継続したいと思っていたのだけれども、育児休業を取得する前に辞めざる を得なかった方が就業を継続できる環境にもつながると考えています。おっしゃるとお り、私どもとしても、単純に育児休業の取得率のみを上げればいいと考えているわけで はない、ということだけ申し上げたいと思います。 ○公益委員  むしろ、辞めないで済むプログラムをどう作っていくのか。本来は続けたいのだけれ ども、辞めざるを得なかったという人たちをどう減らすかをターゲットにする。目標値 として掲げるのも、そういったもののほうが適当ではないかと思います。いまのお話、 取得率だけが目標値という形で出てくると、子どもを産んだ途端に辞めてしまえば、続 けている人は全員が取得すれば100%の取得率となってしまうわけです。この辺、どう してこういう形になったのかがわからないのです。 ○事務局  いまの点に関して言えば、先ほどの目標値で言うと育児休業だけではなくて、子ども の看護休暇の普及率、あるいは勤務時間短縮等の措置の普及率についての目標値も併せ て設定をしています。いずれも前回、平成13年の法改正により、こういった仕組みを努 力義務として導入したわけです。  前回、平成13年の法改正の基本的な考え方というのは、まさにいま公益委員がおっ しゃったとおり、仮に育児休業を取得できるだけではなかなか、そのあと職場復帰して からの仕事と家庭の継続に非常に難しい問題があります。そういう中で、前回の法改正 で所定外労働時間の制限、あるいは今回目標値に掲げている子ども看護休暇のための制 度普及率、小学校就学の始期までの勤務時間短縮等の措置というものを取り入れていま す。育児休業の取得率のみならず、私どもとして目標値全体として取り組み、育児休業 を取りやすく、かつ育児休業から職場復帰したあとも雇用の継続がしやすい形で、男女 問わず雇用の継続が図られる方向へ持っていかなければいけないのではないかと思って います。 ○公益委員  集計なさるというお話ですから、今度資料を出されるときにその点も踏まえていただ けると、議論の参考になるのではないでしょうか。 ○分科会長  ほかにご質問、ご意見はありませんか。 ○労側委員  先ほどご説明がありましたが、9頁で「制度がない」と答えている人の割合を見る と、男女別の差も大きいですが、企業規模別の差が非常に大きい。やはり、いくら法律 で取得の権利があると言われても、企業ごとの就業規則に明記されていないと取りにく いという状況がどうしてもあるので、このような結果になってくるのではないかと思い ます。そのことについて、いま行政として、企業規模別に何か対応されていることがあ れば教えていただきたいと思います。 ○事務局  おっしゃるとおりと思います。先ほど言いましたとおり、法律としては制度があろう がなかろうが取れるわけです。ただ、会社に規定がないと、そもそも自分が取れるのか どうかという点すらよくわからないという部分はまだあろうかと思います。この施行を 担当している第一線の機関、労働局の雇用均等室においては定期的にいろいろな形で、 例えば集団、あるいは個別の形で企業にお願いし、規定の整備を進めています。 ○労側委員  検討スケジュールは大枠で理解しました。5月29日以降、月1回程度開催するという ことですが、「テーマ別議論」というように書いているのはどういうことでしょうか。 育児休業制度の有様についてをテーマにするのかどうなのか、この点、考えられるテー マはどういうものなのでしょうか。休業制度、短時間勤務制度など、育児や介護の柱建 てについてそういう枠組みでいくのかどうか。 ○事務局  いまの問題については、基本的にどういうテーマの切り方でご議論いただくかという あたりを7月あたりにお願いできればと思っています。いま労側委員がおっしゃったと おり、例えば育児休業制度について、介護休業制度について、それから勤務時間短縮制 度や子ども看護休暇の問題など、周辺の制度についてという形でいくつかのテーマを分 け、それぞれご議論いただくという形かと思っています。 ○労側委員  前回、例えば育児休業中の人への経済的支援のあり方について議論があったと思いま す。当時は厚生省と労働省が別々だったと思います。特に有期契約労働者に対しての保 険と経済的支援の関係について、亡くなられた安枝先生との議論によると、育児介護休 業制度というのは雇用継続のための仕組みだと思います。  今度の「少子化プラスワン」というのは働いている方だけではなくて、国民すべてを 対象に、それぞれの分野で対象としています。例えば、スウェーデンなどは雇用継続で はなくて、自営業者も利用できるような制度だということです。そのような大枠のとこ ろ、いままでの有様についてはテーマに入るのか入らないのか。  いま雇用状態が多様化しているというか、流動化しているというイメージなのです が、多様化した育児介護制度というのは前回のパート問題ではありませんが、既にそれ はそれということではないと思います。雇用の多様化状況に応じ、事業主がしょっちゅ う変わるという方にどうやって適用するのかという点を議論しないと持たないと思いま す。そのテーマというのはかなり重要な設定だと思うので、テーマをめぐる議論もある のでしょうが、その辺をお聞かせいただきたいと思います。  2つ目に、いま公益委員がおっしゃられた取得率をどう上げるか。必要としているの だけれども続けたいという場合に、休業制度のみならず、保育所問題とか、周辺環境整 備も大事なのです。それは「エンゼルプラン」や「新エンゼルプラン」というように言 われていました。当時は厚生省の行政だったからということで、なかなかこの分科会で も議論できなかった。今回の「少子化プラスワン」では「児童手当の見直し」と法整備 では入っていますが、放課後児童の問題も含めた保育所の整備がどのようになっている のか。  介護休業制度を議論する場合には、前回介護休業制度を作ったときには介護保険制度 がなかったのです。介護保険制度ができて、それと在宅サービスがどのようにしてから んでいくのか。当座の議論としては、仕事を継続したいのだけれどもという方をどれだ け増やすかという、周辺的なものをテーマに据えないと議論にならない。  テーマと言ったときに、我々委員としてはどの辺を視野に考えたらいいのか。あくま でも育児介護休業制度というように行くのか、もう少し雇用全体、労働市場全体を見た 中での育児介護休業制度の見直しとするのか、そこはどうなのでしょうか。 ○事務局  最低限お願いしたいと思っているのは、現在の育児介護休業制度の総合的な見直しと いうことであります。雇用労働者でない方も含めて、育児休業法の適用になっていない 方の育児期の仕事の継続の問題をどう考えるか。それから労働条件ではない、地域での 育児や高齢者の介護への支援サービスのあり方、どこまで議論を深めていただくことが 適当か。これらの問題まで審議していただくことが適当か、考えてみたいと思います。  保育所の整備や介護サービスの整備について、基本的な方向について、ご意見を言わ れるということはあろうかと思います。しかし、個々、具体的なサービスのあり方につ いて、ここでご審議いただくということは現時点では念頭にはありません。 ○事務局  いま労側委員から言及があった育児休業周辺の点、例えば保育の関係等々、前回、3 年前の検討に際しても、当時はまだ厚生省と労働省でしたが、当然検討に当たって保育 の状況がどうなっているのかというご質問がありました。前回、当時の厚生省の保育課 長等をお呼びして、その場で保育サービスの現状等についてお話をしていただいた経緯 もあります。  今回同じ省になり、かついま雇用均等・児童家庭局という、同じ局の中に保育、ある いは学童保育等の担当課があります。議論の中でそういった必要があれば、例えば資料 を提出していただいたり、あるいは直接担当の方から話をしていただくということは、 これまで以上に可能だろうと思っています。 ○労側委員  例えば、フランスでも少子化対策にかなり取り組んでいるようです。報道によると保 育所、周辺サービスにかなり力を入れた結果、休業せずに仕事を継続できるようになっ た。  加えて、産みたい女性が子どもを産む傾向が増えているという報道がありました。そ の場合、単に育児休業制度がどうだったかというのではなくて、周辺のことも含めた対 応策がどのようになっているかも含めて出していくことが必要だと思います。また、諸 外国の制度の中に男性の育児休業取得制度の仕組みというか、現在研究会が立ち上げら れ、まとまるというように聞いています。  それは別にして、諸外国の男性育児休業について、例えば北欧などどういうきっかけ でできたのか。できる前とできたあとで男性の取得者が増えた背景などもわかるといい のではないか。単に現行の仕組みではなくて、どういう歴史的な経緯があってというこ とが見えると、我が国においてそれが参考になるかどうか、もう少し議論の参考になる かと思います。前回もやりましたが、なかなか不十分だったように思います。「そのよ うなことができるか」と一蹴されたように記憶しているのですが、そうではなくて真剣 に議論しようというようにしないと駄目だと思います。外国の制度を調べる場合でも、 そういうことを少し念頭に入れてほしいと思います。 ○事務局  男性の育児休業の取得の問題については、平成13年の法律改正のとき、先ほど附帯決 議の資料も出ていたかと思います。国会との関係でも、提出するようにという宿題もい ただいています。実は昨年度、研究会を設置して検討いただいてきました。近々その報 告がまとまると思いますので、まとまりましたらまたこの場にご紹介し、それを基にご 議論をいただければいいと思います。 ○事務局  諸外国の制度についても、どこまで調べられるのかというところはありますが、いま いろいろ調査をしている部分もあるのでできる限り、先ほどの検討スケジュール(案) の中にありましたとおり、いまご指摘のあった部分も含めて、出せるものについては、 どんどん資料として提出をしていきたいと思っています。 ○労側委員  労側委員の言われた点と、1つがダブりますが、平成14年の「働く女性の実情」の資 料も、今日お配りいただきましたが、別のご説明かと思うのですが、就業形態・雇用形 態の多様化が進んでいて、女性労働者の全体構造の数値を見ても、正社員の女性はもう 45.2%と、ここに数字が書かれています。これは10年以上前との比較においても、過半 数を割るという状況について、別の意味で大変問題意識を持っていますが、これが職場 の実情という意味で言うと、先ほど有期雇用で働く人の適用問題について労側委員から ご発言があったと思うのですが、同じ職場で制度の適用される者、もちろんそれは取組 によって適用範囲を広げることは十分可能なのですが、現実問題としては、やはり双方 が働きにくい。一方に適用があり、一方に適用がないということも含めて、それぞれが いい働き方ができないということが職場で起きていて、育児休業だけではないわけです が、有期雇用などで働く人の仕事の継続という観点は、大変重要だと改めて思っていま す。是非、積極的な意見をこの中でも進めたいと思っています。  もう1点は、率直に言えば1年少しの施行なので、やや議論が早くて追い着かないと いう感想を持っているのです。私は前回に子ども介護休暇制度が努力義務、という状況 でスタートをしたことについて、是非、義務化への道筋といいますか、3年を待たずに ということの中では、この制度を更に前進をさせたいという感想を持っています。施行 に当たって、労働組合の中でも取組をしまして、法律は努力義務規定であるけれども、 見直し規定も付いているし、労働組合が積極的に企業経営者を説得して導入を進めよう と取り組みましたが、残念ながら十分な状況には至っていませんし、労使交渉の場では 趣旨は分かるが、法律が努力義務規定だということが非常に壁になって、継続協議のま ま今に至っているというところもあり、更に取組の強化をしたいと思っています。  体験者の声を拾いましたのでそれを紹介します。看護休暇制度を導入した所だけでは なく、育児休業を取って働き続けている人の体験談を寄せていただく取組をやりまし た。先ほども育児休業の男性取得率の議論がありましたが、特に看護休暇を使った男性 の方からは、この仕組みも女性専用だと思っている人が多くいる。つまり、男性が取る ことに対する職場の十分な理解が進んでいる状況になく、むしろ必要だという意味では 男性がもっともっと取っていくという意味で、この制度に対する理解が深まってほしい という男性の声や感謝の声は、男性労働者だけではなく、家族全員からも寄せられた。 妻も残った子どもたちも精神的にも肉体的にも大変助かった、という看護休暇を使った 男性の体験談も寄せられました。  5日という制度導入がされた所の女性労働者からは、十分とは言えないが、精神的に はずいぶん余裕ができたということと、何よりも子どもを育てながら働くことがより認 められたようで、本当にほっとしているということ、必要な人が誰でも使える制度にな れば救われる人も数多くいると思うという、取得者からの声などもありました。まだ進 み方が遅いので、産別の中では、こういう声を職場に伝えて、更に取り組もうと思って いますが、こういった実情などをご紹介したのは、子ども看護休暇制度についても、積 極的な議論をこの中では展開し、早期の法制のあり方の改善に繋げたいと思っていま す。 ○公益委員  先ほどの労側委員のご意見と関連してくると思うのですが、これからの検討のスケ ジュールと関係するのです。5月から9月までの間に諸外国の制度、ヒアリングを通し て、テーマ別の議論をしていくということで説明していただいたのですが、このテーマ 別の議論をしていく時に、フリートーキングという形であればどういう事柄が見直しの 課題として出てくるか、それは全然かまわないし、むしろ歓迎すべきだと思うのです が、このテーマ別議論をするときに、そもそも育児介護休業制度の基本的な趣旨をどこ に押さえるかということと、大きく関連してくるのではないかと思うのです。  平成3年、7年、13年と動かしてきたところに、もともとの立法の趣旨は働く男女に とって、家庭と仕事を両立させる、つまり就業の継続ということが前提で議論をしてき たのだろうと思うのです。就業の継続を主眼とし、軸足をそこに置くのと、それから今 回の見直しはおそらくその視点よりも、特に育児休業などは平成13年に改正してまた今 回というのは、通常より非常に速いスタンスで議論をしようということです。その大き な背景というのは、おそらく先ほど出た、少子化の次世代育成法案との関連のほうが強 いのだと思うのです。  少子化対策の一環として育児休業制度の見直しは、密接不可分に係わっていると思い ます。つまり、働く男女にとって、特に出生する世代の女性にとって、労働の場での問 題というのが、安心して子どもを産めないような状況を作っているということはよく分 かるのです。ただ、出生率が低下しているということは労働の現場での状況の悪化とい うことだけではないと思うのです。そこを直線的につないでしまうと、育児介護休業制 度、法の見直しもかなり違った視点が入ってくるだろうと思うのです。ただ、最終には 軸足をどこに置いて、その軸足の中で、どの範囲でより1歩、2歩前進させるかという ことだろうと思うのです。  そうしないと、例えば見直しの点でも育児介護休業の請求権者について、いまは就業 の継続ということである程度有期雇用とか、労使協定などでも1週間の労働日数が2日 以内の者、1年以内に退職する者などを、本来的な適用除外以外の労使協定で外してい ます。あるいはそういう就業の継続ということとの関連でかなり出てくる部分があるわ けです。それを外してしまうと、少子化のため「安心して子どもを産める環境づくり」 ということだけであると、改めてそういう請求権者の範囲の問題とか、権利付与につい て今1人について1回限りの連続した休暇権という格好で与えていますが、場合によれ ば諸外国、特にアメリカのように一定の年限の間に、1人の人が何週間以内で繰り返し 取れるということも十分に考えられていくのです。  そういうことをするといろいろな観点が、検討のところで入ってきていいと思うので すが、でもその軸足はどちらをベースにするかによって、いまのような問題はかなり 違ったスタンスとか、違った立法政策なり、規定を設けることになるだろうと思うので す。その辺のところは、最初から議論の窓口を閉める必要は全然ないと思いますが、あ る一定のところでそういう議論をしないと、非常に議論が拡散して、年末までに報告書 を出したいといっても、なかなか議論が収斂されないような気がします。事務局でそこ を押さえていただいて、ある程度のところで、その辺、皆さんのご意見を伺うような機 会をつくっていただいたほうがいいのではないかと思います。 ○事務局  承りました。 ○分科会長  ほかにご意見がございますか。 ○労側委員  関連してですが、職場の両立支援と併せて今お話があった、少子化対策の議論がいろ いろな場所でたくさん行われていますし、報告もずっとされているわけです。それらが 何かバラバラで報告がされるのだけれども、どこかできちんとトータルで実行に移すた めの議論が必要だと思います。ここでできるかどうかは別ですが、管轄としてはこちら の省だと思いますので、いろいろな所でされている議論をもう少し整理をして、実行に 移すための対応を是非進めていっていただきたい、という希望を出させていただきま す。 ○事務局  それについてお答えさせていただきます。先程来局長の挨拶でも話しましたように、 今年の3月14日に「少子化対策推進関係閣僚会議」において、厚生労働大臣のみなら ず、関係している文部科学大臣であるとか、関係閣僚が集まりまして、当面、政府とし て取り組むべき指針である「次世代育成支援に関する取組方針」をとりまとめ、今時点 での総合的なパッケージを用意させていただいております。この中では従来から取り組 んでいる仕事と子育ての両立支援のみならず、専業主婦家庭を含めた地域における子育 て支援であるとか、働き方の問題、あるいは子どもたち自身の社会的な自立といいます か、そういうことを含めて検討を行い、具体的な施策を進めることとしています。  資料No.4の9頁にあるように、平成15年及び平成16年の2年間を「次世代育成支援 対策の基盤整備期間」として位置づけ、一連の立法措置を講じることにしています。そ の一連の立法措置の第1弾として、現在、国会に提出しているのが、次世代育成支援対 策推進法案と、地域における子育て支援、あるいは先ほど保育の問題も議論になってい ましたが、待機児童がいるような市町村には、待機児童を解消するための計画を義務づ ける内容の、児童福祉法の改正法案の提出をしているところです。  更にその下にあるように、平成16年度においては、1つは児童手当制度に関する支給 対象年齢等の見直しということで、これについては、昨年暮れに税制改正に関連をし て、与党3党の中で合意があり、平成16年度の予算の中で国・地方を併せて2,500億円 分を少子化対策に充てる。中でも児童手当の問題を中心に議論をしていくという合意が されているので、平成16年度に向けて児童手当制度の見直しをすることが決まっている わけです。  (2)にあるように、当均等分科会では、育児休業制度等の見直しということで、ここ の部分をこの分科会ではご議論をいただこうということになっています。更に多様な働 き方を実現するための条件整備ということで、基準局を中心にご議論をしていただくと いう状況になっています。更にこれ以外に実は保育所をめぐっては、地方分権の観点か ら、その財源をどうしていくかという議論であるとか、あるいは規制改革の観点から、 幼稚園と保育所の関係をどう考えるべきかと、非常に多様なご議論がされていますが、 先ほど申し上げましたように、3月の時点で1回政府としてどういう方向に進むかとい う点については、取組方針ということで決めさせていただいて、それに従って検討をし 実行に移すということになっています。 ○労側委員  公益委員が言われた、就業継続に限定されるという意味は、いま育児介護休業制度の 対象になっている労働者は、現行でいいという意味での話なのか、就業継続とはなんぞ やという議論が私はあるのですが、同一事業主に雇用されることをもって就業継続とい うのか、事業主が変わって派遣労働者みたいに派遣先が変化していく。それを継続と見 るのか見ないのか。事業主は変わりました、しかし、仕事は継続しますと、契約期間は ありますが、そういうタイプの労働者が増えていくと見て、今回議論をするのか、それ は駄目だと、あくまで就業継続というのは、契約期間を満了したらもう終わったのだと 見るのかで全然違っているわけです。それを含めて議論をしないと、パートの議論では ありませんが、それはパート問題、これはこれと分けると全然議論ができないので、そ の議論をきちんとやらないで、非常に立ち遅れた現実重視の施策だけが出てくると考え ます。公益委員が言われた就業継続の議論の意味が理解できなかったのです。 ○公益委員  平成3年に均等法から分離させて、育児介護休業法とした時の趣旨が、働く男女に とって仕事と家庭の両立をさせることによって就業を継続させる。雇用の継続というこ とが主眼にあるのだということを、現在もこれからも、ずっとそういう法律の基本にす るべきだということを、決して言おうとしているわけではないのです。  今回の見直しのところで出てきたのが、私の感じでは、少子化対策の一環としてとい う所が少し出て、それをきっかけに今回出ているのかなという気がしたものですから、 もし仮にそういう視点が強くあるのでしたら、もともとの法律は、現行法はそういうほ うが主眼なのだから、そこから考えると少子化対策のための育児介護休業の見直しとい うことになると、法趣旨の幅を広げていかなければいけない。そういう立法政策とし て、大きな観点から見ないといけない。  すると現行の中で定められたものについても、改めてもう1回見直しというと言葉が 強いのですが、再検討の余地は出てくるのではないか。この時に現在では期間の定めが ある雇用者については、本来の法適用除外をしてありますが、あれはどういうことかと 言うと、要するに雇用継続ということと雇用期間の縛りだとか、調整できないというと ころを外してあるわけです。でもそういう就業継続ということを少し大きく考えて、少 子化の対策の一環というのなら、そういう人が入ってもおかしくないわけです。その点 では労側委員が言われていることは、まさにそのとおりだと思うのです。これからの時 代、そういう働き方が多くなるわけです。そういうことをきちんとこの部会でも認識を しておかないと、全部収拾がつかないような議論になってしまう。  だから、最終的にはどの辺でこの基本的な視点をこれからの時代、少し広げて育児介 護休業の中に考えていくのか、それとも就業の継続ということでずっと基本的なベース はいくのかというところは、委員の中である程度了解してもらわないと、議論だけが出 てきて、あまりまとまりがなくなってしまうのではないか。その辺を私個人としては懸 念していたので、先ほどのような話になりました。決してこれからも雇用の継続という 視点だけに絞って議論をしなければいけないということを、言おうとしたわけではなか ったのです、少し言葉が足りなかったかと思いますが、そういう趣旨です。 ○公益委員  私は公益委員とは多少違うのですが、やはり子育て支援と両立支援というのは重なる のだけれども、政策の重点は違うかと思っています。育児介護休業法は両立支援の施策 だろう。そういう意味では子育て支援という観点から言えば、例えば育児休業ができる だけ長ければ長いほどいいということが出てくるかもしれない。しかし、両立という観 点ならある程度の育児休業期間と短時間勤務の組み合わせのほう、あるいは看護休業み たいなものを充実するほうが、仕事と生活の両立には重要ということが出てくると思う のです。  極端なことを言えば休業期間が長ければいいとか、ある一定期間働かないで、子育て だけをやればいいという議論に、それは子育てということではあり得るかもしれません が、一応でもこれは仕事と生活の両立という仕組みとして何があるか。つまり子どもの こともあるけれども、働く親が子育てをしながら続けられる仕組みとして、何が大事な のかというときに、現状の育児なり短時間勤務全体として、いまどういう見直しが必要 なのかということをここで議論をするのかと思います。そういう意味では子育て支援と 仕事の両立と多少視点の置き場所というのは違うかなと私は思います。 ○公益委員  そうです。私も基本的にはそう認識をしているのです。公益委員と違うところは、公 益委員は現行の規定について、企業の効率的な業務運営と、それから働く男女にとっ て、安心して結婚し子育てができるという、お互いの利益をうまくどこで調整するかと いうことが、育児介護休業法の基本的な視点にあるだろう。そういうことは十分に理解 できるのですが、その視点でいくと、これまでの議論の延長みたいなところで、いま公 益委員が言われたような、休業と短時間勤務をミックスさせたような取り方がいちばん ベストである。あるいはベストではなくてもベターであろうという議論に、少し言葉は きついのですが、止まっていきかねないので、当初の議論、フリートーキングの中で は、もっと大きく議論をしていいだろうと思うのです。  最終的に今度の見直しの中の課題をつくるときに、私が先ほど言ったような視点で少 し間口を広げた見直しの展望をするのか、それとも現行法が持っているような基本的な 趣旨をベースにしたような、公益委員が言われたような所で見直しの課題のようなもの をみつけて考えていくのかというのは、これは最後のところで皆さんにたぶん議論をし ていただかなければいけないと思っています。ですから、議論のやり方については少し 違うかもしれませんが、考えている視点というか頭の中に置いている視点は、公益委員 と私の間では、大きな違いがあるとは思っていません。 ○労側委員  各論に入るかもしれませんが、就業継続、両立と言ったときに、仕事と家庭生活の両 立の場合の仕事というのは、同一事業主の雇用関係のみを仕事と言うのか。今回、派遣 法を3年に延ばすという提案がされていますが、ああいうテンポラリー的な働き方が増 えてくるときに、いまその人たちは常用型の派遣は別ですが、非常用型はほとんど適用 から外れるわけです。それでいいのかという議論は仕事の継続と言ったときに、イコー ル契約の満了をもって有期と定められ適用されませんという人が、これからはものすご く増えていきます。  もし適用除外にするなら現行の育児介護休業制度を、正社員のためにと名前を変えた ほうが分かりやすいということは言ったつもりです。労働市場として仕事の両立という 観点の今後の見通しも含めた議論をしないと駄目だと、仕事という場合どういうように 考えておられるのか、そこを含めた議論をしましょうという所に入っていくと思います が、加えて基準法の契約が1年から3年になるわけですが、これも有期だから駄目だと いくのかです。  逆に言えば、おまえらはその間は妊娠するなということを、前回の改正で言った、人 権侵害ではないかと言ったのですが、そういうことも含めた議論をこの場には課せられ ている。パートではありませんが、そういう大きな課題があるので、それぞれそういう 各論の中に据えて議論をしたいと私は思います。 ○公益委員  仕事の継続といった場合に、一事業所の中での継続なのか、事業所間を越えて、特に 別の使用者の下での就業も継続の中の算定の基準として考えるのか、トータルにという ことでしょう。それは主張としてはよく分かります。 ○労側委員  就業継続と言った場合に。 ○公益委員  各論の話を最初でするのは私も気が引けるのですが、異なる使用者の間での就業を1 本の継続にしてやるという国はないですよ。アメリカなどでも同一の事業所の中での育 児休業を取得する前の1年間の労働日数で、何日ぐらい働いたかということをやりま す。それで短時間雇用者でも、その日数を超えていればパートにしても、アメリカの場 合は育児休業の請求権者にしていますが、それは同一事業所の中の労働日数です。 ○労側委員  その場合の向こうのテンポラリーというのは、厳格にされているでしょう。日本の場 合はテンポラリーといったら、使われ方がまず常用に近いテンポラリーではないです か。そういう現状の見方です。 ○公益委員  それはおいおい、これから議論をしたらいいのではないでしょうか。 ○使側委員  今いろいろ話が出ているので、一言申し上げておきます。先ほどから働く場と家庭の 両立という話があるわけですが、働くことと家庭を両立するためには、働く場がなけれ ばその議論はもともと出てこないわけです。いまの同一事業所かどうかという話も、全 部そこにあるのだろうと思うのです。いまの休業制度云々というのは、その企業に勤め ている間にどういう休業をしてもらうかという制度であって、もしも渡り歩いていく状 況の中で、急に来た企業のほうは、そのまますぐにやれと言われてもできない。それは 継続性の話になっていく。働く側から見るのか、実際に働いている場所のことも含めて 考えるのかで、全然議論が違ってきている。  そうすると、それは企業の制度というよりは、むしろ社会として国家として、別の枠 組みを何にするかという話にも広がってくる話なのだろうと思います。したがいまし て、当然働く場所、即ち事業主の状況も踏まえた議論が必要になってくるのだろう、そ れを抜きにして、ただ働くほうの立場からだけで全部一緒くたに見られると、議論は当 然八方に広がっていってまとまらなくなるのではないか。そういう意味でも、先ほどか らテーマはどこまでの範疇でやるかを絞るのか、とりあえず議論をして最終的に絞るの かはありますが、まさしく公益委員は非常に大事な提起をされているのだと思います。 ただやっていくと本当に八方に割れるような意見、それも労働者側から見るのか経営側 から見るのか、家庭という問題から見るのか、もうさまざまな議論になって、収拾がつ かなくなるかなという気はいたします。したがって、事務局にはフリートーキングの後 でいいのでしょうが、どういう範疇に絞って議論をしていくのかについては、是非お願 いをしておきたいと思います。 ○公益委員  議論がごっちゃになっているのですが、1つは両立支援と少子化対策についてきちん と意識をする。この対策が全く同じ土俵にあるものではなくて、それぞれ同じものもあ るし、ある場合には対立するようなことも起こり得るということを、きちんと認識した 上でここで議論をする。この会の基本は両立支援という育児介護休業制度を基礎に置き ながら、いまその制度を拡充していくのに、社会全体が取り組まなければいけない少子 化という緊急な課題が出て、それへの取組という追い風が吹いている。その追い風とし て両立支援策を改革し拡充していくという認識を、まず持っていくことが重要なのかな ということが1つです。  もう一つは就業と企業という問題ですが、我々その問題を考えていくのには、多様化 の進行が急激に進んでいるということで、従来型の1つの企業の中でのいろいろな支援 制度の枠組みだけで、仕事と家庭の両立支援策が考えていけるのかどうか、雇用労働市 場の多様化の進行に対応した支援策を今後へ向けて、この場で議論をしておくことは重 要なことなのではないかと私自身は思います。この場での育児介護休業制度のあり方を 考えていく場合には、多様化の進行を1つの大きな議論の軸に置いてはどうかと考えま す。 ○公益委員  発言しなければならないかなという立場からですが、私の視点から今回、是非議論し てほしいという点を2点ほど申し上げます。1つは育児休業、介護休業の適用範囲をど うするかということが論点になってくるかと思います。その時に、例えば雇用保険制度 とのコンシステンシーをどう考えていくかも、重要なポイントになると思うのです。  短時間雇用保険の適用と、育児休業の適用が一致するべきなのか一致しないほうがい いのかというところも、議論になってくるかなと思います。  向こうのほうは前回の雇用保険法の改正で、適用拡大で年収要件を外して、なるべく 多くの労働者がこれに加入するように、という視点からやってきているわけですが、そ れとは別の視点を持ち出すのか、それともやはり同じ適用だと考えていくのか。労働法 制の中におけるコンシステンシーをどう考えるかという問題が、1つのポイントになっ てくるかなと思います。  もう一つは勤務時間短縮の扱い、これが休業をしないで、例えば労働時間を短縮しな がら取るということもあるでしょうし、あるいは1年を過ぎた時の扱いをどうするかと いうところが、やはり論点になってくるだろう。これも雇用保険との関連が私はあるの ではないかと思っています。例えば完全に休んでしまえば、40%の収入が雇用保険から 給付されるわけです。この場合には在職というかその前の3カ月でしたか6カ月でした かの平均給与の40%です。給付については非課税になっているので、可処分所得レベル だともっと高い給付率になっているわけです。それでいて、今度は労働時間を短縮して 少し短くなった、それに伴って給与が削減された場合には、一切これが出ないというよ うなアンバランスが起こっているのではないかと思います。  これを議論し出すと、雇用保険における部分失業の扱いをどうするか、ワークシェア リングであるとか、そういった所を議論をする上で非常に重要なポイントになってくる 可能性があります。今までの日本の雇用保険制度では、部分失業は高齢者の雇用継続に ついては扱っているのですが、それ以外一般的な適用というのは一切やってこなかった のです。完全失業者のみが給付対象であるという扱いですから、1時間でも働いたら給 付の対象から外すということであったわけです。  今までの休業については、それがまさに適用されるという考え方が40%ということで あったわけですが、例えば1日8時間ではなくて4時間だけ働いて、給与も半分になっ たときには、逆に休んだほうが収入、可処分所得が多いという矛盾が起こってくるので す。こういう問題をどう考えていくのかというポイントもあるかなと思います。そう なってきますと雇用保険との連動を是非視野に置いて、ほかの国での支援もこの点どう なっているのかを是非調べていただきたいと思っています。 ○公益委員  我々が検討をする両立支援の問題は、男女共に等しく労働権を確保するという、等し く労働権の問題からきていると思うのです。次世代育成というのは少子化で、次世代を 絶えなくやっていくのにはどうするかというので、現象を見ると同じになってしまう、 方策も同じになってしまう、重なる所が非常に多いとは思いますが、根本理念は労働権 を確保する、確立するための両立支援です。現在では女性の子産み、子育てと労働権の 確立という問題だと思いますので、基本的にこの分科会で検討をするのは、その視点で やっていく必要がある。子育て支援、次世代支援のほうももちろん考慮に入れなければ ならないのですが、公益委員が言われたように、軸足は労働権に基本を置く視点でやっ ていく必要があるのではないかと思います。  子育て、次世代支援に力を入れると、例えば5年間休んでいい、その間きちんと保険 とかいう形で支給すればいいのではないか。すると安んじて子育てができる。非常に極 端な言い方ですが、そういうことになりかねないということになると思いますので、や はり両立ということに軸足を置いてやっていくべきだと思います。 ○公益委員  今のお話と関連して1点、ほかの国で例のM字型、あれがない、崩壊したと言われて いるのは、実は育児休業は労働力に含まれていて、それが無いのではないかという話が かなりあります。ところが日本の場合には、M字の育児休業中の人たちを労働力に入れ るのか、休職者ですからこれはむしろ非労働力として入れるのか、特に無給ですからそ ういう扱いにするのかというところがポイントです。ほかの国のM字型というのは、ど ういうふうに労働力を定義しているのか、育児休業の人たちをどういう扱いをしている のかということを教えてください。 ○事務局  日本の場合でも労働力調査で調査をしているわけですが、前も同じようなご指摘をい ただき確認をしましたが、少なくとも調査票あるいは調査のやり方としては、日本にお いても育児休業中の人も休業中ではありますが、労働力人口のほうに入っている形に なっています。ですから、そこでM字型があるかないかという区別に基本的にはなって いるのではないとは思っています。ただ、あとは調査なので、対象になった方が個別に 調査票をつける時に、どちらにつけているのかについては、どうなっているのかなとい う部分はあるかと思います。 ○公益委員  ただ、ペイド・リーブであるのか、アンペイド・リーブであるのかによって、統計は 違っていると思うのです。休業中でも有給休暇、有給休業の場合には、労働力のほうに 入れています。これは総務庁の研究会でも議論をしたのですが、国からの助成金を給 与、ペイドと見なすのかどうかというところで、通常は違うだろう。失業保険から出て いる。すると、逆に非労働力のほうに○を付けろという指導が実際になされていると聞 いていますが、まず日本ではまだ人数がそう多くないので、そんなに労働力に影響を与 えるかどうかは分かりませんが、どうなのでしょうか。あれを読むとそうなっています ね。 ○事務局  私どもで統計局に確認したところによれば、そこは育児休業中の方については、労働 力のほうにカウントするように、という方針になっているとは聞いています。ただ、現 場ではやや混乱があるのかもしれません。 ○事務局  先程来出ている論点の内で、公益委員からも直近ではありましたが、いわゆる次世代 育成支援、子育ての支援政策と、例えば育児休業あるいは雇用保険等々、さまざまな労 働政策との関係というのは、重なるところもあるけれども本質は違うのではないかとい うお話がありました。この点については、1点追加的に申し上げておかなければいけな いと思っています。  何から申し上げればいいかと思っているのですが、まず1つは、次世代育成支援は、 産めよ増やせよではないということが1つです。子どもをつくり育てたいと思ってい る人たちの周りにある現実的な障壁を、いかに合理的に除去していくかということに尽 きるわけです。  2点目は、労働政策的な観点から言うと、本質が違うという点は多々あると思います が、それでは逆に児童福祉的な観点の諸制度というのは、子育て育成支援に価値観が重 なっているかというと、実はこれもさにあらずです。子育てを支援するのではなくて、 当該児童の福祉を確保し、増進するということであり、親と子の利害の対立という問題 は虐待事例を見るまでもなく、本質的に時として顔を出すわけです。労働関係法制のみ がどうも少しずれがあるというのみならず、現行法制上ありとあらゆるものが、次世代 育成支援という政策目的、価値というものとは、みんなずれているところがある。  したがってこの関係閣僚会議の政策も、広範多岐に渡っています。国土交通省の話ま で全部入っていますが、それぞれの政策目的は、本質はあるのですが、必ずしも1つそ ういう制度が世の中にはないのですが、子育て支援とか、次世代育成支援という子ども を産み育てていく過程におけるさまざまな現実的な障害をできるだけ軽減していこうと いう、かなり抽象度の高い政策目的ではありますが、それをズバリ体現している制度は 現実にはないというのが本質です。どちらの側からあるいはバリアフリーの関係のハー トビル法の観念から見ても、児童福祉法から見ても、育児休業法から見ても、それぞれ に個別の政策の価値とは少しずれがある。  本来の子育て支援そのものについての法制は現在あるのかと聞かれたら、まずないの ではないか。おそらく今後、国会で成立した場合、唯一出てくるのが次世代育成支援対 策推進法というものであり、職場・地域でよく話し合って自分たちに何ができるのかを 見定めて努力をしていただきたい。おそらく初めての法制上の目的がそこで語られてい るというものであるので、常にそういうずれがあるということをご認識いただいて、そ の中での整理を適切にしていただければ大変有難いと思っています。 ○公益委員  少し違う視点なのですが、このスケジュールから見ますと、たぶん6月以降ぐらいに なってくるのかなと思いますが、諸外国の制度の説明というか、そういう検討が入って いるようですが、個人的には是非イギリス、アメリカの法制を詳しく教えていただきた いと思います。イギリスは、1999年にEU指令の内容に即したものをつくりましたが、 最近またその内容を変えているはずなのです。改正をしたか、しつつあります。その資 料等が入って説明ができたら是非イギリスの直近の育児介護休業制度の法制の中身を、 私自身も知りたいと思っていますので、可能な範囲で結構ですが教えていただきたいと 思います。  労側委員の話に出ましたが、アメリカではいわゆる臨時雇用についても一定の労働日 数を満たせれば、比例的な付与をする。日本で言う労基法の比例付与みたいな形だろう と思うのですが少しやっているので、その辺ももし詳しいところが分かりましたら教え ていただきたいと思います。  3点目は、私個人の感想であり意見でもあるのですが、実際問題として女性がいろい ろな法制の整備等も含めて、権利付与で育児介護の休業を取るのは、いってみれば従来 からの役割分担の意識も重なって、取ることは一般的だろうと思うのです。こういう法 律の下でいちばん大事なことは、男性がどれだけ取るか取れるかというところが、こう いう法の実効性を図る時には大事だろうと思っているのです。  その時に諸外国で男性の育児介護の休業について、少し男性が取得量を高めるような システムとして、何か法制あるいは法制に準ずるようなプログラムで、特別の施策等が あるような所、たぶんスウェーデンなどを見ると出てくるかなと思うのですが、もしそ ういうのが情報として、資料として入るようでしたら、そこのところも教えていただき たい。私の関心事で恐縮ですが、その3点を諸外国の制度の所の絡みで、可能な限りで 結構ですから、教えていただければと思いまして、あらかじめお願いをしておきます。 ○労側委員  この場に相応しいのかどうかは分からないのですが、今の話を伺っていて大変幅広い テーマというのか深いと改めて思いました。それだけ労働法、労働実態が多様化してい る中で、それぞれの問題意識がさまざまな視点から出されたのだと思うのです。フリー の議論をしているうちはいいのですが、当然テーマ性が固定化されていく中で、これま での実感で言えば、この分科会での役割とか権限といった所に収斂されていって、結局 労働関連の全般といった部分について、深く議論が進まないままに置いてけぼりになっ てしまう課題もあるのではないかと思うのです。そういったことからも、そういった テーマをどういうふうに深めて、どこでやっていくのかということに常に疑問を持って しまうのです。  今日たまたま午前中に労働政策審議会の本審がありましたが、私もそのメンバーなの です。本審というのは年に1、2回予算の時に話を伺ってということで、全て分科会の 議論が終わった後に報告を受ける。それも全てのものではなくて、法案に提出されたも のだけを受けるという形で、本審の役割は一体何なのだろうと実は思ってしまいまし た。当然運営規定には、この分科会での議論・議決が審議会の議決になるというふうに なっているわけですが、それこそ労働政策の全般の部分で、それが漏れていきかねない ところで、そういった政策を本審で議論をしていくことも必要なのではないかと、つく づく午前中の議論も係わりながら思いました。分科会の議論が始まる時にこのようなこ とを言うのは大変不的確かもしれませんが、これまでの流れから考えると、特に有期の 方の問題であったりとか、Wワークの問題は社会保障の問題にまさしく係わることだと 思うのです。そういったことについても、どこかの場できちんと議論をしていただきた いということを申し上げておきます。 ○分科会長  ほかに何かご意見がありますか。いろいろ貴重なご意見が出たと思います。いま経済 社会、雇用システムが大きく変わろうとしている中で、仕事と家庭の両立支援対策をど ういうふうに見直すかが、与えられたテーマのように思います。我々が検討依頼されて いるのも、そういう背景をもった中での仕事と家庭の両立支援対策についてということ だと了解をしています。今後12月下旬まで長々場ではありますが、その中でいまのよう な全体の中での仕事と家庭の両立支援対策が、非常に活されていく形で議論がされれば いいとは私も思っています。ただ、非常に広げてしまうと、結局は何もなくなってしま うというところもあるので、テーマとしては「仕事と家庭の両立支援対策」という検討 依頼を受けたこの事項を中心に、当分科会で検討を行うことにしてはいかがかと思って います。  そういうことを踏まえて、今後のスケジュール(案)にしたがって考えますと、特段 細かいことは規定されていませんので、最初に諸外国の制度とか、あるいは企業と労働 組合からのヒアリングということが書かれているので、これはこれで妥当なやり方だと 思いますので、次回には諸外国の制度と先進的な取組を行っている企業のヒアリング、 次々回には厳しい状況の中で取り組んでいる中小企業と、労働組合のヒアリングを行っ た上で意見交換をしたいと思いますが、このスケジュールについてはいかがですか。そ こから先はまたヒアリングが終わった段階で詰めていけばいいと思いますが、よろしい ですか。  それでは概ね今のスケジュールでご了解いただいたということなので、次回は諸外国 の制度と先進的な取組をしている企業のヒアリングを行うということで進めさせていた だきたいと思いますが、その際にどの企業の方からヒアリングをするかということがあ りますが、これについては事務局にお任せいただくということでよろしいですか。                 (異議なし) ○分科会長  では、そういうことで進めていただきます。ほかに特にご質問がなければこれで終わ らせていただきたいと思います。本日の署名委員は秋元委員と川本委員にお願いをいた します。最後に事務局から次回以降の予定について連絡をお願いいたします。 ○事務局  次回の日程は5月29日、午後3時30分からということでよろしくお願いいたします。 また、6月以降の日程については日程の調整表をお配りしていますので、ご記入の上ご 返送いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 照会先:雇用均等・児童家庭局 職業家庭両立課 法規係(内線:7856)