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国際動物衛生規約 (仮訳)
第2.3.13.章
牛海綿状脳症


第2.3.13.1.条
 本章に述べる勧告は、牛(Bos taurus及びB. indicus)のみを対象とした、牛海綿状脳症(BSE)病原体の存在に係わるヒトと動物の健康に対するリスクの管理を目的としている。

第2.3.13.2.条
 国又は地域における牛母集団のBSEのステイタスは、以下の基準に基づいてのみ判断され得る。
1)  BSEの発生に関する全ての潜在的要因を特定するために実施されるリスク評価の結果、並びに特に以下の歴史的背景:
a) 反すう類動物由来の肉骨粉または獣脂かすの牛への給与によるBSE病原体の導入と再循環の可能性、
b) 伝達性海綿状脳症(TSE)に汚染されている可能性のある肉骨粉もしくは獣脂かす、またはそのいずれかを含む飼料の輸入、
c) TSEに感染している可能性のある動物または受精卵/未受精卵の輸入、
d) 国または地域における全ての動物のTSEに関する疫学的状況、
e) 国または地域における牛、羊、山羊の母集団構造に関する知識の程度、
f) 反すう動物のと体(死廃牛を含む)、副産物及びと畜場廃棄物の出所及び使用、レンダリング処理条件及び家畜用飼料の製造の方法。
2)  成牛における全ての神経性疾患の事例報告を推奨するため、獣医師、農民、牛の輸送、販売、と殺に関わる労働者に対する継続中の意識プログラム。
3)  BSEに該当する臨床症状を示す全ての牛の届出および調査義務。
4)  付属書3.8.4.のガイドラインを踏まえて上記1)で規定されたリスクに焦点を当てたBSEのサ−ベイランス及びモニタリング制度;調査の回数と結果に関する記録は最低7年間保存しておくこと。
5)  前述のサ−ベイランス制度に基づき収集された脳あるいはその他の組織に関する公認研究所での検査。

 診断テストの基準は「マニュアル」に記載されている。

第2.3.13.3.条
牛海綿状脳症(BSE)の清浄国または地域

 以下の要件を満たす場合は、国又は地域における当該牛母集団はBSE清浄とみなされる。

1)  第2.3.13.2.条の1)に述べられたリスク評価が行われ、リスク管理のために必要な期間、適切な対策が取られていることが証明されていること。
2)  
a) BSEの発生例がないこと。ならびに、
  i) 第2.3.13.2.条の2)から5)に規定する基準を少なくとも7年間遵守しているか、
 または、
  ii) 第2.3.13.2.条の3)の基準を少なくとも7年間遵守しており、肉骨粉または獣脂かすを反すう動物に少なくとも8年間飼料として与えていないことが証明されていること。
あるいは、
b) BSEの全ての発生例が生体牛の輸入が直接の原因であることが明確に証明されており、感染牛、ならびにそれらが雌の場合は、発病前2年間あるいは発病後にその牛から最後に生まれた子牛が、国または地域に生存している場合、と殺され完全に処理されていること。ならびに、
  i) 第2.3.13.2.条の2)から5)の基準を少なくとも7年間遵守しているか、
 または、
  ii) 第2.3.13.2.条の3)の基準を少なくとも7年間遵守しており、肉骨粉または獣脂かすを反すう動物に少なくとも8年間給与していないことが証明されていること。
あるいは、
c) 過去7年以前に国産牛におけるBSEの最後の発生例が報告され、第2.3.13.2.条の2)から5)に規定する基準を少なくとも7年間遵守しており、反すう動物に由来する肉骨粉または獣脂かすを含む飼料を反すう動物に給与することが禁止され、少なくとも8年間正式に執行されていること。

第2.3.13.4.条
BSEの暫定的清浄国または地域

 以下の要件を満たす場合は、国又は地域における当該牛母集団は暫定的にBSE清浄であるとみなされる。

1)  第2.3.13.2.条の1)に述べられたリスク評価が行われ、確認されたリスクを管理するために必要な期間、適切な対策が取られていることが証明されていること。
2)  
a) BSEの発生例が存在しないこと。ならびに、
  i) 第2.3.13.2.条の2)から5)に規定する基準を遵守しているが、遵守した期間が7年に達していないか、
 または、
  ii) 肉骨粉または獣脂かすを反すう動物に少なくとも8年間給与していないことが証明されているが、第2.3.13.2.条の3)の基準を遵守した期間が7年には達していないこと。
あるいは、
b) BSEの全て発生例が生体牛の輸入が直接の原因であることが証明されており、感染牛、ならびにそれらが雌の場合は、発病前2年間あるいは発病後にその牛から最後に生まれた子牛が、国または地域に生存している場合には、と殺され完全に処理されていること。ならびに、
  i) 第2.3.13.2.条の2)から5)に規定する基準を遵守しているが、その遵守期間が7年に達していないか、
 または、
  ii) 肉骨粉または獣脂かすを反すう動物に少なくとも8年間給与していないことが証明されているが、第2.3.13.2.条の3)の基準を遵守した期間が7年には達していないこと。

第2.3.13.5条
BSEに対するリスクが最小の国又は地域

 以下の要件を満たす場合は、国又は地域における当該牛母集団のBSEに対するリスクが最小であるとみなされる。

1)  第2.3.13.2.条の1)に述べられたリスク評価が行われ、かつ確認されたリスクを管理するために必要な期間、適切な対策が取られたことが証明されていること。
2)  
a) 過去7年以前に国産牛におけるBSEの最後の発生例が報告され、現在は、第2.3.13.2.条の2)から5)に規定する基準を遵守しており、反すう動物に対し反すう動物由来の肉骨粉または獣脂かすを給与することが事実上禁止されているが、
  i) 第2.3.13.2.条の2)から5)に規定する基準を遵守した期間は7年に達していないか、
 または、
  ii) 反すう動物に由来する肉骨粉または獣脂かすの反すう動物への給与に対する禁止が正式に執行された期間は8年に達していないこと。
あるいは
b) 過去7年以内に国産牛におけるBSEの最後の発生例が報告され、国内発生例に基づいて計算したBSE発生率は、直近の連続した4年間の各年ごとにみた場合、国または地域における24か月齢を超える牛の母集団において100万分の1例を下回っており(注:成牛の飼養頭数が100万頭よりも少ない国のために、キャトルイヤー(牛の生涯の年数)における許容できる最大発生数を明示すべきである)、
  i) 反すう動物に由来する肉骨粉または獣脂かすの反すう動物への給与禁止が少なくとも8年間正式に執行され、
ii) 第2.3.13.2.条の2)から5)に規定する基準が少なくとも7年間遵守され、
iii) 感染牛並びに、
これらの牛が雌の場合は、発病前2年間あるいは発病後にその牛から最後に生まれた子牛、および
感染牛と同一群の中で、感染牛が生まれた後12ヶ月以内に生まれた牛、または生後1年間に感染牛と一緒に飼育された牛であって、いずれの場合も、生後1年間に感染牛が摂取した飼料と同様の汚染の可能性のある飼料を摂取している恐れがある牛全頭、
が国内または地域内で生存している場合には、と殺され完全に処理されていること。

第2.3.13.6.条
BSEに対するリスクが中程度の国または地域

 以下の条件を満たす場合は、国または地域における当該牛母集団はBSEに対するリスクが中程度であるとみなされる。

1)  第2.3.13.2.条の1)に記載されたリスク評価が実施されており、また、第2.3.13.2.条に記載された他の基準を満たしていること。
2)  過去12ヶ月にわたり計算された国産牛におけるBSE発生率が、
a) 国又は地域内に存在する24ヶ月齢を超える牛に関して、100万頭当たり1例以上ないし100例以下である。
または、
b) 連続した12ヶ月を1単位として、4単位以内の間、100万頭当たり1例を下回っている(注:成牛の飼養頭数が100万頭よりも少ない国のために、キャトルイヤー(牛の生涯の年数)における許容可能な最大発生数を明示すべきである)。
3)  感染牛並びに、
a) これらの牛が雌の場合は、発病前2年間あるいは発病後にその牛から最後に生まれた子牛、
b) 感染牛と同一牛群の中で、感染牛が生まれた後12カ月以内に生まれた牛、または生後1年間に感染牛と一緒に飼育された牛であって、いずれの場合も、生後1年間に感染牛が摂取した飼料と同様の汚染の可能性のある飼料を摂取した恐れがある牛全頭
が国内または地域内で生存している場合には、と殺され完全に処理されていること。

 連続した12ヶ月を1単位とした最後の4単位を各々にみた場合、24か月齢を超える牛の母集団において、国産牛におけるBSE発生率が100万頭当たり1例を下回っているが、BSEの暫定的非汚染国又は地域、あるいはBSEに対して最小のリスクがあるとみなされる国又は地域に要求されるその他の必要条件のうち少なくとも1つを満たしていない国または地域は、BSEに対するリスクが中程度の国または地域とみなされるものとする。

第2.3.13.7.条
BSEに対するリスクが高い国又は地域

 以下の条件を満たす場合には、国または地域における当該牛母集団はBSEに対するリスクが高いとみなされる。

1)  第2.3.13.2.条の1)に記載されたリスク評価が実施されており、第2.3.13.2.条に記載された他の基準を満たしているが、国内または地域内に生存する24カ月齢を超える牛母集団に関して、過去12カ月間にわたり計算された国産牛におけるBSE発生率が100万頭当たり100例を上回っていること。
または、
2)  国内または地域内に生存する24ヶ月齢を超える牛母集団に関して、過去12ヶ月にわたり計算されたBSE発生率が100万頭当たり1例以上100例以下であるが、BSEに対する中程度のリスクがあるとみなされるその他の必要条件の少なくとも1つを満たしていないこと。

第2.3.13.8.条
 輸出国のBSEステータスに関わらず、家畜衛生当局は以下の商品の輸入または領土内の経由を規制することなく許可しなければならない。

1)  牛乳または乳製品、
2)  精液及び受精卵、
3)  タンパクを含有しない獣脂(不溶性不純物の最大重量濃度は0.15%)およびその製品、
4)  第2リン酸カルシウム(蛋白または脂肪の痕跡も含まないもの)、
5)  獣皮および皮革、
6)  獣皮または皮革のみから生成されたゼラチンおよびコラ−ゲン。

第2.3.13.9.条
BSE清浄国または地域から輸入する場合、家畜衛生当局は、
第2.3.13.8.条に記載されていない牛由来の全ての製品に関して
以下のことを証明する国際動物衛生証明書の提示を求める必要がある。
 当該国または地域が、BSE清浄であるとみなされる第2.3.13.3.条に記載された要件を満たすこと。

第2.3.13.10.条
 BSEの暫定的清浄国または地域から輸入する場合、家畜衛生当局は、
生体牛に関して
以下のことを証明する国際動物衛生証明書の提示を求める必要がある。

1)  当該国または地域が、暫定的にBSE清浄であるとみなされる第2.3.13.4.条に記載された要件を満たすこと。
2)  輸出用として選択された牛は、由来する母牛および牛群まで追跡可能な恒久的な個体識別システムによって識別され、BSEの疑いがある雌牛の産子でないこと。

第2.3.13.11.条
 BSEに対するリスクが最小の国または地域から輸入する場合、家畜衛生当局は、
生体牛に関して
以下のことを証明する国際動物衛生証明書の提示を求める必要がある。

1)  当該国または地域が、BSEに対するリスクが最小であるとみなされる第2.3.13.5.条に記載された要件を満たすこと。
2)  輸出用として選択された牛について、
a) 由来する母牛および牛群まで追跡可能な恒久的な個体識別システムによって識別され、BSEの疑いがある雌牛あるいはBSEが確認された雌牛の子ではないこと。
b) 反すう動物由来の肉骨粉および獣脂かすを反すう動物へ飼料として与えることが禁止され、正式にに実行されるようになった日以降に生まれた個体であること。

第2.3.13.12.条
 BSEに対するリスクが中程度の国または地域から輸入する場合、家畜衛生当局は、
生体牛について
以下のことを証明する国際動物衛生証明書の提示を求める必要がある。

1)  当該国または地域が、BSEに対するリスクが中程度であるとみなされる第2.3.13.6.条に記載された要件を満たすこと。
2)  反すう動物由来の肉骨粉および獣脂かすを反すう動物へ飼料として与えることが禁止され、正式に実行されていること。
3)  輸出用として選択された牛について、
a) 由来する母牛および牛群まで追跡可能な恒久的な個体識別システムによって識別され、BSEの疑いがある雌牛またはBSEが確認された雌牛の子ではないこと。
b) 反すう動物由来の肉骨粉および獣脂かすの反すう動物への給与が禁止され、正式に実行されるようになった日以降に生まれた個体であること。

第2.3.13.13.条
BSEに対するリスクが高い国または地域から輸入する場合、家畜衛生当局は、
生体牛に関して
以下のことを証明する国際家畜衛生証明書の提示を求める必要がある。

1)  当該国または地域が、BSEに対するリスクが高いとみなされる第2.3.13.7.条に記載された要件を満たすこと。
2)  反すう動物由来の肉骨粉および獣脂かすの反すう動物への給与が禁止され、その禁止が正式に実行されていること。
3)  感染牛ならびに、
a) これらの牛が雌の場合は、発病前2年間または、発病後その牛から最後に生まれた子牛、
b) 感染牛と同一牛群の中で、感染牛が生まれた12ヶ月以内に生まれた牛、または生後1年間に感染牛と一緒に飼育された全ての牛であって、いずれの場合も、生後1年間感染牛が摂取した飼料と同様の汚染した可能性のある飼料を摂取している恐れがある牛、
が国内または地域内で生存していた場合は、と殺され完全に処分されていること。
4)  輸出用として選択された牛について、
a) 由来する母牛および牛群まで追跡可能な恒久的な個体識別システムによって識別され、BSEの疑いがある雌牛あるいはBSEが確認された雌牛の子ではないこと。
b) 反すう動物由来の肉骨粉および獣脂かすの反すう動物への給与が禁止され、正式に実行されるようになった日から少なくとも2年後に生まれていること。

第2.3.13.14.条
 BSEの暫定的清浄国または地域から輸入する場合、家畜衛生当局は、
生鮮牛肉(骨付きまたは骨なし))および牛食肉製品に関して
以下のことを証明する国際家畜衛生証明書の提示を求める必要がある。

1)  当該国または地域が、BSEが暫定的に清浄であるとみなされる第2.3.13.4.条に記載された要件を満たすこと。
2) 輸出用の当該肉または食肉製品の由来となる全ての牛に対して生前検査が実施されていること。

第2.3.13.15条
 BSEに対するリスクが最小の国又は地域から輸入する場合、家畜衛生当局は、
生鮮牛肉(骨付きまたは骨なし)および牛食肉製品に関して
以下のことを証明する国際家畜衛生証明書の提示を求める必要がある。

1)  当該国または地域が、BSEに対するリスクが最小であるとみなされる第2.3.13.5.条に記載された条件を満たすこと。、
2)  輸出用の当該肉又は食肉製品の由来となる全ての牛に対して生前検査が実施されていること。
3)  輸出用の当該肉又は食肉製品の由来となる牛については、と殺に先立って、器具を用いて頭蓋腔への圧縮空気又はガスの注入を行う気絶法や脊髄の破壊法(気絶させた後細長い棒状の器具を挿入することによる中枢神経の破壊)が行われていないこと。
4)  輸出用の当該生鮮肉および食肉製品は、30ヶ月齢を超える牛の脳、眼、脊髄、頭蓋骨や脊椎から機械的に取り除かれた肉のいずれによっても汚染されておらず、また、これらが含まれていないこと。

第2.3.13.16.条
 BSEに対するリスクが中程度の国または地域から輸入する場合、家畜衛生当局は、生鮮牛肉(骨付きまたは骨無し)及び牛の食肉製品に関して、以下のことを証明する国際家畜衛生証明書の提示を求める必要がある。

1)  当該国または地域は、BSEに対するリスクが中程度であるとみなされる第2.3.13.6.条に記載された要件を満たすこと。
2)  反すう動物由来の肉骨粉および獣脂かすの反すう動物への給与が禁止され、その禁止が正式に施行されていること。
3)  全ての牛に対して生体検査が実施されていること。
4)  輸出用の当該肉又は食肉製品の由来となる牛については、と殺に先だって、器具を用いて頭蓋腔への圧縮空気又はガスの注入を行う気絶法や脊髄の破壊法が行われていないこと。
5)  輸出用の当該生鮮肉及び食肉製品は、6ヶ月齢を超えた牛の脳、眼、脊髄、回腸遠位部、頭蓋又はせき柱由来の機械的回収肉のいずれによっても汚染されておらず、また、これらが含まれていないこと。

第2.3.13.17.条
BSEに対するリスクが高い国または地域から輸入する場合、家畜衛生当局は、
生鮮牛肉および牛食肉製品に関して
以下のことを証明する国際家畜衛生証明書の提示を求める必要がある。

1)  当該国または地域が、BSEに対するリスクが高いとみなされる第2.3.13.7.条に記載された要件を満たすこと。
2)  輸出用の当該肉は、それが9ヶ月齢を超える家畜由来である場合には、骨が除去されたものであって、第2.3.13.19.の1)に記載された組織および骨除去の過程において露出した神経およびリンパ組織のいずれにも汚染されておらず、また、これらが含まれていないこと。
3)  輸出用の当該食肉製品は、骨が除去された肉から加工されたものであって、第2.3.13.19.の1)に記載された組織および骨除去の過程において露出した神経およびリンパ組織、ならびに牛の頭蓋骨および脊柱から機械的に分離した肉のいずれにも汚染されておらず、また、これらが含まれていないこと、
4)  輸出用の当該肉および食肉製品について、由来する施設まで追跡可能なシステムが実施されていること。
5)  全ての牛に対して生前検査が実施されていること。
6)  輸出用の当該肉または食肉製品の由来となる牛に関して、
a) 由来する母牛および牛群まで追跡可能な恒久的識別制度によって識別されていること。
b) BSEが疑われるかまたは確認された雌牛の子ではないこと。ならびに、
  i) 反すう動物由来の肉骨粉および獣脂かすの反すう動物への給与が禁止され、正式に施行されるようになった日以降に生まれたこと、または、
ii) 少なくとも7年間BSE発生例が全く確認されていない牛群で生まれ、飼育されていたこと。
c) と殺に先立って、器具を用いて頭蓋腔への圧縮空気又はガスの注入を行う気絶法や脊髄の破壊法が行われていないこと。
7)  反すう動物由来の肉骨粉および獣脂かすの反すう動物への給与が禁止され、正式に施行されていたこと。
8)  感染牛ならびに、
a) これらの牛が雌の場合は、発病前2年間または、発病後その牛から最後に生まれた子牛、
b) 感染牛と同一牛群の中で、感染牛が生まれた12ヶ月以内に生まれた牛、または生後1年間に感染牛と一緒に飼育された全ての牛であって、いずれの場合も、生後1年間感染牛が摂取した飼料と同様の汚染した可能性のある飼料を摂取している恐れがある牛、
が国内又はまたは地域内で生存している場合は、と殺され完全に処分されていること。

第2.3.13.18.条
 BSEに対するリスクが最小の国、中程度の国および高い国から出荷される反すう動物に由来する肉骨粉、獣脂かすまたはこれらを含むあらゆる製品は、輸出入してはならない。

第2.3.13.19.条
1)  以下の製品またはこれらによって汚染されたあらゆる製品は、食品、飼料、肥料、化粧品、生物学的製剤を含む医薬品、医療用具を製造する目的で取引してはならない。すなわち、BSEに対するリスクが高い国から出荷される6ヶ月齢を超える牛に由来する脳、眼、脊髄、扁桃、胸腺、脾臓、腸、背根神経節、三叉神経節、頭蓋、せき柱及びそれらの部位から得られた蛋白産物。また、これらの製品を用いた食品、飼料、肥料、化粧品、医薬品、医療用具も取引してはならない。
2)  以下の製品またはこれらによって汚染されたあらゆる製品は、食品、飼料、肥料、化粧品、生物学的製剤を含む医薬品、医療用具を製造する目的で取引してはならない。
a) BSEに対するリスクが中程度の国または地域を原産地とし、解体処理時の年齢が6ヶ月齢を超える牛に由来する脳、眼、脊髄、回腸遠位部、頭蓋、せき柱及びそれらの部位から得られた蛋白産物。
b) BSEに対するリスクが最小の国または地域を原産地とし、解体処理時の年齢が30ヶ月齢を超える牛に由来する脳、眼、脊髄、頭蓋、せき柱及びそれらの部位から得られた蛋白産物。

 上記a)およびb)に記載された製品を用いて製造された食品、飼料、肥料、化粧品医薬品または医療用具も取引きしてはならない。

第2.3.13.20.条
 輸入国の家畜衛生部局は、
食品、化粧品、生物学的製剤を含む医薬品または医療用具に使用する目的で、骨から採取されるコラーゲンおよびゼラチンに関して
以下の1)または2)を証明する国際家畜衛生証明書の提示を求めるべきである。

1)  当該骨は、BSEの清浄または暫定的清浄国または地域、もしくはBSEに対するリスクが最小の国または地域を原産地とするものでる。
または、
2)  当該骨は、BSEに対するリスクが中程度の国または地域を原産地とするものであって、
a) 頭蓋骨および脊椎(尾椎は除く)が除去されていること。
b) 骨は以下の全ての段階を含む処理が施されていること。
  i) 加圧洗浄(脂肪除去)
ii) 酸脱塩処理
iii) 長時間アルカリ処理
iv) 濾過
v) 煮沸消毒(138℃を超える温度で少なくとも4秒)
  もしくは、感染性を削減するための同等の処理

第2.3.13.21.条
 輸入国の家畜衛生部局は、
食品、飼料、肥料、化粧品、生物学的製剤を含む医薬品または医療用具に使用することを目的とした獣脂(第2.3.13.8.条に規定された蛋白を含まない獣脂は除く)に関して
以下の1)、2)または3)を証明する国際家畜衛生証明書の提出を求めるべきである。

1)  BSEの清浄または暫定的清浄国または地域を原産地とする獣脂であること。
2)  BSEに対するリスクが最小の国または地域を原産地とする獣脂であり、
a) 脂肪溶解により製造された場合は、解体前のBSE検査により安全性が確認された牛に由来するものであって、第2.3.13.19.条の2)b)に記載された組織を使用して製造されたものではないこと。
b) レンダリングにより製造された場合は、(現在OIEで検討中)。
3)  BSEに対するリスクが中程度の国または地域を原産地とする獣脂であり、
a) 脂肪溶解により製造された場合は、解体前のBSE検査により安全性が確認された牛に由来するものであって、第2.3.13.19.条の2)a)に記載された組織を使用して製造されたものではないこと。
b) 骨の脂肪除去によって製造た場合は、
  i) 6か月齢を超える牛の頭蓋骨および脊柱は原料から除外されていること。
 または、
  ii) 少なくとも5log10LD50/g 程度、感染力を低減する方法により処理が施されていること(処理については現在OIEで検討中)。
c) レンダリングにより製造された場合は、(現在OIEで検討中)。

第2.3.13.22.条
 輸入国の家畜衛生部局は、
食品、飼料、肥料、化粧品、生物学的製剤を含む医薬品または医療用具に使用することを目的とした獣脂由来製品(第2.3.13.8.条に規定された蛋白を含まない獣脂から製造されたものは除く)に関して
以下の1)または2)を証明する国際家畜衛生証明書の提示を求めるべきである。

1)  BSEの清浄または暫定的清浄国または地域、あるいはBSEに対するリスクが最小の国または地域を原産地とすること。
または
2)  高温高圧の加水分解、鹸化またはエステル交換反応によって製造されたものであること。

第2.3.13.23.条
医薬品の製造に用いる牛由来の成分または試薬の安全性を最大にするためには、原材料を慎重に選択することが最善の方法である。

従って、そのような目的で牛由来原料の輸入を希望する国は、以下の要素を考慮する必要がある。

1)  当該家畜が飼育された国および牛群における、第2.3.13.2.条から第2.3.13.7.条に掲げる規定に基づいて判断されたBSEのステータス。
2)  由来家畜の年齢。
3) 必要とされる動物組織:それらが複数動物に由来するサンプルであるか、または一頭の動物に由来するものかに係わらない。
BSEのリスク評価を行う上で、以下の要因も考慮できる。
4) 組織採取中の汚染を避けるための注意。
5) 材料に対して製造中に行なわれる処理。
6) 材料の投与量。
7) 投与経路。


付属書3.8.4.
牛海綿状脳症の
サーベイランス及びモニタリングシステム


第3.8.4.1.条

 牛海綿状脳症(BSE)に適用されるサーベイランス法は、第2.3.13.2.条に述べるリスク評価の結果に基づき決定され、その結果に見合ったものであるべきである。サーベイランスとリスク評価は、繰り返し行う作業であり、相互間で関係情報のやりとりがある。

 BSEのサーベイランスには、少なくとも2つの目的がある。すなわち、一つはBSEが当該国に存在するかどうかを決定することであり、もう一つは、かつてBSEが発生したことがある国において、この流行病の浸潤状況を評価し、防疫措置を指示し、防疫措置の有効性を評価することである。

 サーベイランスの実施方針は、いくつかの調査方法を組合せる必要がある場合もある。

 BSEのサーベイランスでは、マニュアルに記載された方法により検体を試験室内で検査する必要がある。

 サーベイランスを目的とする場合、飼育されている牛の母集団の一部を検査することについては、家畜衛生のサーベイランスとモニタリングに関する第1.3.5.と同じである。検体抽出法を以下に記載する。

第3.8.4.2.条
BSE類似の臨床症状を示した牛の検査
 治療効果が見られない疾病に感染した牛、興奮しやすく、搾乳時に執拗に蹴ったり、群の中での階級が変化したり、ドア、ゲートおよび障壁のところでためらったりというような進行性の行動変化を示す牛、同様に、伝染性疾患の兆候なしに進行性の神経症状を示す牛は、検査対象となる。BSEは特徴的な臨床症状を引き起こさないので、牛を飼養している全ての国は、BSE類似の臨床症状を示す個々の動物を観察すべきである。サーベイランスは、30ヶ月齢を超えた牛に先ず焦点を置くべきであるが、それ以下の牛を無視してはならない。

 表1は、30ヶ月齢を超える牛飼養頭数に対応した診断検査を受けなければならない最小の臨床例数を示している。このサンプリングは、無作為抽出ではないので、この表に示された数は厳密な統計学の結果というよりはむしろ主観的な判断に基づく。

表1. 有効なサーベイランスを実施するために必要とされるBSEと類似の臨床症状を示す動物を毎年調査する場合における30ヶ月齢を超える牛の飼養頭数に対応した最小サンプル数

30ヶ月齢を超える
牛の飼養頭数
検査を行う最小
サンプル数
500,000 50
700,000 69
1,000,000 99
2,500,000 195
5,000,000 300
7,000,000 336
10,000,000 367
20,000,000 409
30,000,000 425
40,000,000 433

第3.8.4.3.条
BSEと類似の臨床症状を示さない牛を対象とした検査

 へい死牛や通常のと殺とは異なる理由で殺された牛(死廃牛や切迫と殺を含む)は検査すべきである。サーベイランスは30ヶ月齢を超える動物に焦点を当てる必要がある。

第3.8.4.4.条
通常と殺される牛を対象とした牛の検査

 BSE非清浄国において、通常のと殺の際に採材することは、その流行病の浸潤状況や実施している防疫措置の有効性を評価する手段となる。なぜならば、そうすることにより、牛群に関し、既知の階級、年齢構成、地理的な起源(の疫学情報)を得ることができるからである。

 正常牛からの無作為抽出法のみに依存することは、もし年間検査サンプル数が、有病率100万分の1の疾病を発見するために統計学的に十分な数でない場合には、推奨されない。

第3.8.4.5.条
 上記の各牛群の中で、国はBSE非清浄国あるいは地域から輸入された個体であると確認しうる牛、BSE非清浄国あるいは地域由来の汚染の可能性のある飼料を給与された牛、感染牛の産子や他のTSE病原体に汚染された可能性のある飼料を給与された牛を対象とすることもできる。



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