03/03/24 薬事・食品衛生審議会平成15年3月24日(月)薬事分科会議事録            薬事・食品衛生審議会 薬事分科会 議事録 1.日時及び場所   平成15年3月24日(月) 15:00〜   厚生労働省専用第18〜20会議室 2.出席委員(21名)五十音順   青柳  俊、 池田 康夫、 石橋 康正、 板倉 ゆか子、   井村 伸正、 岩渕 勝好、○上田 慶二、 岡本  彰、   神山 美智子、河村 信夫、 桜井 靖久、 杉村 民子、   土屋 利江、◎寺尾 允男、 早川 堯夫、 広津 千尋、   松本 和則、 溝口 秀昭、 溝口 昌子、 吉倉  廣、   吉田 仁夫   (注) ◎分科会長 ○分科会長代理   欠席委員(5名)   井部 俊子、 岩田  誠、 長尾  拓、 南部 鶴彦、   望月 眞弓 3.行政機関出席者   小島 比登志(医薬局長)、鶴田 康則(大臣官房審議官)、   田坂  治(総務課長)、 安倍 道治(審査管理課長)、   北條 泰輔(医療機器審査管理室長)、   松田  勉(化学物質安全対策室長)、黒川 達夫(安全対策課長)、   橋爪  章(血液対策課長)、 栗本 まさ子(農林水産省生産局薬事室長)、   豊島  聰(審査センター長)  他 4.備考   本分科会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○寺尾分科会長  それでは定刻となりましたので、ただいまから薬事・食品衛生審議会薬事分科会を開 催したいと思います。まず始めに事務局より資料の確認をお願いいたします。 ○事務局  それでは資料の確認をさせていただきます。審議事項につきましては、資料1〜7と なっております。それから報告事項としましては、資料8〜24となっております。その ほかの事項としましては、本日お配りしてございます資料25となっております。また、 議題1と2についてはスライドの色刷りの資料をお配りしてございますけれども、これ については映像資料の審議会における取扱いについてということで、平成13年6月12日 にこの薬事分科会において御了承いただいております。なお、審議事項の議題3につい ては本日配付させていただきまして、議題4、5については先般送付させていただきま した資料からパブリックコメントを受け若干修正しました関係から、本日修正版をお配 りしてございます。また、報告事項の議題1の「副作用被害判定結果について」につき ましては、委員限りの資料として、判定部会における判定結果についてまとめた一覧表 を本日配付いたしております。そのほかに、議事次第、座席表、名簿を配付しておりま すので、御確認いただけますようお願いいたします。 ○寺尾分科会長  委員の先生方、資料はおそろいでございましょうか。それでは審議に入ります前に、 本日の議題では申請資料作成関与者の委員がいないということをまず御報告申し上げま す。  それでは審議に入らせていただきます。最初の議題1、資料1でございますが、「医 療用具『メドトロニック InSync 8040』及び医療用具『アテインリード』の輸入承認の 可否及び再審査期間の指定について」でございます。これは医療機器・体外診断薬部会 長の桜井先生、御説明お願いできますでしょうか。 ○桜井委員  この「メドトロニック InSync 8040」というのはペースメーカの一種なのですが、従 来のものと違って重症の心不全の治療に役立てようというものでございます。冠静脈等 へ1本のリードを入れまして、左心室の冠静脈等を介して右室と左室と同時に心筋を刺 激するというものでございます。それで重症心不全の患者さんの血行動態を改善しよう ということで、左右の心室の収縮の同期性を保つという意味でございます。本品の使用 目的は、十分な薬物治療にもかかわらず改善の見られないQRS幅130ms以上、及び左 室駆出率35%以下を伴う重症心不全に対する病状の改善ということでございまして、再 審査期間を4年、使用の全数について6か月ごとのフォローアップを18か月以上実施す るということで承認することが適当と判断されたものでございます。本品の説明につい ては、スライドを用いて事務局からお願いいたしたいと思います。 ○事務局  そうしましたらお手元の資料1でございますが、本日机にパワーポイントの印刷した 資料をお配りしておりますのでそれを基に、後ろにスクリーンを用意しておりますの で、これで御説明させていただきます。  医療用具については構造原理がかなり多種多様でございまして、また有効性・安全性 の評価方法も多様でございますので、特に先生方の御理解を得るために有効と考えられ る場合には、パワーポイント又はOHP等の映像資料、又は申請者が作成いたしました ビデオ等の映像資料を使用して審議会における御説明をすることができるということで ございます。本日お手元にお配りさせていただきましたが、平成13年6月の分科会にお いてその取扱いが申し合わされておりまして、それに従って本日もパワーポイントを用 いまして御説明させていただくものでございます。  本品の審査センターでの審議におきましては、ここに掲げました専門委員の先生方、 内山委員、小野委員、笠貫委員、鎌倉委員、川田委員、北畠委員、永井委員、中谷委員 に御協力を頂きました。  本品の外観でございますが、本日は現品をお回ししておりますので、御覧いただけれ ばと思います。上のコネクターの部分が三つに分かれているところがこの製品の特徴で ございます。この図には3本のリードが心臓に入っていっておりますが、その上の皮下 に本品は植え込まれることになります。本品から3本のリードがこのように心臓に入っ ていきまして、1本は右心室の先端に、1本は心房の中に植え込まれまして、もう1本 図では黄色で表されております3本目が、左心室の静脈洞を通って最終的に左心室静脈 に植え込まれるというものでございます。右心室の先端と左心室静脈に入った両方のリ ードに電気信号が同時に伝わるようになっておりますので、左心室、右心室の両方を同 時にペーシングすることで、重症心不全患者の血行動態の改善、病状の改善を図るとい うものでございます。既に欧米では承認されておりまして、これまでにおよそ□台が使 用されてきております。植え込み心臓ペースメーカ基準、その他各種の電気性能試験が 本品について実施され、適合することが確認されました。  審査において主として問題となりました臨床試験について、簡単に御報告させていた だきます。本品の臨床試験としましては、米国、カナダの45施設で行われました多施設 無作為化二重盲検比較対照試験が提出されました。579例に植え込みが施行されまして、 植え込み3日以内に無作為化されております。532名をシステムをオンにする治療群と システムをオフにする対照群にそれぞれ無作為化し、6か月間の観察が行われました。  安全性に関する評価項目としましては、植え込み成功率、無作為化期間中の重大な有 害事象、アテインリード、これは左心室側のリードでございますが、これまで植え込ま れたことのない左心室側のリードについての6か月後の閾値の項目について評価が行わ れ、すべて目標値をクリアいたしました。また6か月後の生存率につきましては、両群 で有意差が認められませんでした。ちょっと見にくくて恐縮ですが、審査報告書の10ぺ ージに同様の表を掲げさせていただいております。アテインリード植え込み時の有害事 象については、冠静脈洞解離、冠静脈穿孔、冠静脈洞穿孔、心嚢膜液の滲出等の合併症 が報告されております。  有効性についての評価でございますが、NYHAの分類についてはこのグラフに示し ますように、黒で示した治療群において3か月時及び6か月時でNYHAクラス分類が IIIからIIに低下しまして、有意な改善が認められております。次にQOLのスコアで ございますが、プラセボ効果が強く両群で改善を見せておりますが、治療群での改善に 有意差が認められております。6分間歩行につきましても、治療群において有意に長い 延長が認められました。  御覧いただきました6か月までの評価におきまして、以上のとおり短期の病状の改善 には明らかな効果が認められるということで、審査センターとしてはその効果を評価し ましたが、長期の予後については必ずしも評価できていないことから、本品の適用患者 は慎重に限定するべきであるという評価でございました。このため適用患者を限定する こと、また薬物療法から人工補助心臓による補助循環、又は最終的には心移植に至る重 症心不全の治療体系全体の中で、本品を適切に位置付けて使用することができる施設に 限定するということで、施設限定をかけることが適当と判断いたしました。また、術中 に血行動態の改善を一例一例確認し、改善が認められる患者に限って使用することを求 めることといたしました。  これらの内容を添付文書の「警告」欄にこのような形で反映することにしておりま す。十分な薬物療法にもかかわらず改善の見られないQRS幅130ms以上、及び左室駆 出率35%以下を伴う重症心不全(NYHAクラスIII及びIV)の患者に限ること。それか ら心臓外科手術の行える施設で、かつ重症心不全治療の十分な経験のある施設に限るこ と。それから両心室同期ペーシング治療に関する所定の研修、又は所定の講習を受けた 医師であること。それから術中に血行動態の改善を確認し、改善が認められた患者に限 ることという警告を設けさせていただく予定でございます。  以上のような審査の結果、使用目的をこのような重症心不全患者に限定いたしまし て、承認して差し支えないのではないかと考えております。本品は重症心不全治療に対 する全く新しい電気生理学的な治療法の専用機器でございまして、新構造医療用具に該 当するとして再審査期間は4年、その間全症例について6か月ごと18か月以上のフォロ ーアップを行うことが適当であると考えております。本品については、2月26日に開催 された医療機器・体外診断薬部会において御審議いただき、新構造医療用具に該当する ことから分科会へ上程されたものでございます。  事務局からの品目の説明は以上でございますが、事前に先生方から頂いております御 意見について、御報告させていただきたいと思います。まず広津先生から、重症心不全 患者に限るという適応についてでございますが、NYHAIII又はIVの重症度層別の有 効性・安全性の解析結果について御質問を頂いております。有効性・安全性共にNYH AIII、IVの層別解析を再度確認いたしておりますが、NYHAIVの治験へのエントリ ー患者数が必ずしも多くないので、比較が困難ではございますけれども、IIIとIVで大 きな差は認められず同様の傾向を示しておりました。  それから板倉先生から、家電又は携帯電話からの電磁波の影響を防止できるようにな っていると思われますが、こういった対応はいつごろから採られたのでしょうかと。ま た、電磁波の影響を受ける可能性があるペースメーカはどのようにすれば分かるのでし ょうかということでございます。医療機器への電磁波影響に関しましては、平成7年ご ろより試験が実施されてきておりまして、平成8年3月に暫定的な指針が、平成9年3 月には試験結果を踏まえた「携帯電話端末等の使用に関する指針」が策定されておりま して、注意喚起が行われてきているところでございます。国内の既承認の心臓ペースメ ーカについては、既に国内実機の携帯電話を使いました統一プロトコルによる影響試験 が行われております。その結果は指針にも取りまとめられておりますとおり、具体的に は22cm以上携帯電話等を離して使用するよう、又は携帯するよう注意喚起が行われてい るところでございます。また、その後盗難防止装置の影響も議論されておりまして、現 在市販されているペースメーカにつきましては順次試験を実施中でございます。さら に、昨年電磁調理器でのペースメーカへの影響が報告されておりまして、これについて は現在共通プロトコルを作成中でございまして、それを作成された後順次影響について の評価を実施していくこととしております。また、医療機器全体のEMC、電磁両立性 についての規制でございますが、昨年8月にJIS規格が制定されております。これは 国際規格に整合した電磁両立性の規格でございますが、これが適用されておりまして、 今後申請されるものについては、順次この国際規格への適合が確認されることになりま す。具体的には、ペースメーカについては本年10月1日以降申請されるものについて、 国際規格への適合が求められることになりますし、既承認のものについては、今御報告 しましたとおり、国内の実機の携帯電話については既に確認済みでございますが、その 他の電磁両立性全体の規格に対する適合性を平成18年3月31日までに確認するよう指導 を進めているところでございます。  それから個々のペースメーカはどのぐらいの電磁両立性かということで、具体的なデ ータが表示されているわけではございませんが、各ペースメーカ装着者はペースメーカ 手帳というものを持っておりまして、それにも電磁両立性についての…。例えば携帯電 話への注意であるとか必要な注意事項が記載されておりまして、具体的には現在使用さ れているすべてのペースメーカについては、22cmという安全域を見た安全距離を確保す ることで携帯電話の影響を受けないと評価されているものでございます。  それから同じく板倉委員より、リードの被覆のポリウレタンについて加水分解等の問 題はないのか御指摘をいただいております。先生御指摘のとおり、ペースメーカのリー ドの材質としてポリウレタンが使われ始めた1980年代当初におきましては、一部で絶縁 不良等の不具合がございましたが、その後各社改良が行われておりまして、現在使われ ておりますポリウレタンについては実用に耐える耐用度が確認されておりまして、特に 本品については原材料がすべて既承認のペースメーカリードで使用されているものと全 く同一でございまして、これまでに既承認のペースメーカリードにおきまして、ポリウ レタンの劣化によると考えられる断線事故は報告されておりません。  同じく板倉委員より、アレルギーが発現した場合にはどういった対応が採られるので しょうかという御質問を頂いております。本品の材質にチタンを用いておりますのは、 他の金属に比べますとアレルギー反応が少ないと言われているためでございますが、御 指摘のとおりこれに対してもまれにアレルギー反応を起こす方がいるということが知ら れております。使用する患者に金属アレルギーがあるかないか、問診等により判断をし て使用することになりますが、どうしても使用せざるを得ない場合等もございまして、 そういう場合にはアレルギーを防ぐためにゴアテックス等の材質で当該部位をくるんで 使用するというような対応も、現場では採られているようでございます。  またこのほかに、上田先生から御質問の長期予後についての市販後調査でございます が、現在申請者に使用成績調査の計画書を練らせているところでございまして、2年以 上の長期フォローアップが望ましいこと、今後とも本品及び両心室ペーシングの療法そ のものについて、適切なAVインターバル設定のための検討が続けられるべきであると いう御意見を頂いておりますので、御紹介させていただきたいと思います。  以上でございます。御審議のほどよろしくお願いいたします。 ○寺尾分科会長  どうもありがとうございました。それではただいまの御説明について、御意見あるい は御質問を頂くことになりますが、最初に事前に御質問をお寄せいただきました広津先 生、板倉先生、上田先生、何かございますでしょうか。 ○広津委員  重症患者に限るという警告があったので、一応重症度別に層別した場合の安全性、有 効性を知っておきたかったのですが、ただいま説明されたとおり、NYHA第IV分類と いうのでしょうか、ここの症例数が少ないために余りはっきりしたことは分からない。 両方共改善は見られる傾向にあるということなのですが、どちらかというとむしろ第IV 分類の方が合併症の発生も少ないし、改善度分類の改善の程度も高いという、つまり質 問したときに予想したこととは逆の結果になっていますので、これは多分に例数が少な いせいだと思いますが、今後少しその辺に注意してデータを集めていただければと思い ます。 ○寺尾分科会長  どうもありがとうございました。板倉先生、ただいまの御説明でよろしいですか。 ○板倉委員  説明は分かりました。ただ、実際に電磁波というものがいろいろな商品から非常に出 ているところで、携帯電話と電磁調理器以外にも気を付けなければいけないものがある わけですが、実際にペースメーカをつけている方がどの程度まで分かった上でそういう ものを避けているのか。それから避けられない場合もあるというようなところで、患者 さん自体が気を付けなければいけないということではなくて、商品自体がそういったも のを気にせずに過ごせるようになっていないと、やはり今いろいろなもの…、例えば測 定の仕方などによってもかなり距離が影響するなどということがあります。それからた しか厚生労働省のホームぺージに、IHの鍋か何かを抱えたときに調子が悪くなったと いうことが載っていたという話を聞いているものですから、そのようなことについての 情報を患者さん自身にも知らせるのかというところで、もう少し考えていただけると有 り難いなと思ったものですから、質問させていただきました。 ○寺尾分科会長  どうもありがとうございました。ただいまのことにつきまして、何か。よろしいです か。どうぞ。 ○安全対策課長  安全対策課でございます。本件に関連する情報も含めまして、第一には医療従事者の 皆様にその都度、例えば盗難防止機による影響や御指摘があった誘導加熱器の情報等を 安全性情報に収載し、ホームぺージにも掲載しているところであります。一義的にはお 医者様から患者さんにこういうことがあるというお話をしていただくことを基本として おりますが、ホームぺージでできるだけ行い、かつ一般向けに解説した健康関連雑誌等 も最近出ておりますので、機会がありましたときにはお願いをして掲載しているところ であります。  それから多少余談になりますが、例えば盗難防止機などはかえって目立たないように 置いておくということもあるようでありまして、経済産業省とも話をしながら対策を進 めております。ありがとうございました。 ○寺尾分科会長  ありがとうございました。上田先生、何かございますか。 ○上田分科会長代理 私はこの器機は一部の心不全患者、重症の心不全患者には有効で ありますので、承認が適切であろうと思います。ただ、長期の予後がよく分かっており ませんので、恐らく有効だろうと思いますが、症例数がまだ十分そろっていないという こともありまして、証明されておりませんので、十分な期間フォローアップをする必要 があると考えております。  それから先ほどの電磁波干渉の件でございますが、私はペースメーカ外来などをやっ ていた循環器の医者でございまして、なるべく患者さん個々に説明するようにしており ます。ですから、どこに盗難防止装置があるか分からないようなときは難しいのです が、なるべく早く通り過ぎるとか、そういうことをしないとしようがないという場合も あります。それから炊飯器のことは、御自分が注意されればかなり防止できるのではな いかと考えております。 ○寺尾分科会長  どうもありがとうございました。そのほかの先生で何か…、どうぞ。 ○神山委員  すみません、私もファックスを送ったつもりだったのですが、届いていなかったのか もしれません。「警告」にいろいろ書いてありまして、頂いた資料1の添付文書です と、何かこの「警告」というのが余り警告にならないような印象を持ちました。今日パ ワーポイントで出てきているこの資料のように、字を大きくするとか色を別にするとい うようなことが警告に必要なのではないのでしょうか。色のことは書きませんでした が、字を大きくするというようなことは必要ではないのかという意見を一応出したつも りでした。 ○事務局  申し訳ございません。事務局の手違いでございまして、先生から御意見を頂いており ます。イレッサを教訓にして、警告が必ず生かされるように添付文書の記載方法に配慮 してはどうかという御意見を頂いております。医療機器の添付文書については平成13年 に記載要領が定まっておりまして、警告については8ポイント以上ということで、最低 限のポイント数が定められておりますが、先生の御指摘も踏まえてもう少し大きな活字 を使用するなど指導していきたいと考えております。  また、申し訳ございませんが、松本先生からも事前に御意見を頂いておりましたの で、御紹介させていただきます。アメリカ、カナダで行われております比較試験でござ いますけれども、6か月の生存率に差が認められていないということは先ほど御紹介さ せていただいたとおりですが、1年又は1年以上の生存率についてはどうだろうかとい うことでございます。本品については、臨床試験は600名近い患者さんに植え込みまし て、6か月間植え込んだけれども、オンにしなかった患者さんとオンにした患者さんで 試験を行っておりまして、最終的にはその6か月後に全員をオンにして、その後の対照 群との間にはデータがとれない状況になっております。ですから、6か月後の比較をし た生存率のデータはとられておりませんし、今後もとられる予定がありません。アメリ カで市販後に200名以上の患者さんを登録しまして、現在更に登録を追加させて試験を しておりますが、本品を植え込んだ患者さんでの2年間の生存率は95.7%ということ で、これまでに3名の患者さんが死亡したことが確認されただけだということでござい ます。ただ、既存の治療法との正確な比較、ヒストリカルなデータとの正確な比較とい うのは非常に難しゅうございまして、この数字が何を意味するかということは必ずしも まだ明らかではございません。我が国におきましても、市販後に全例の調査をすること を求めていく予定にしておりますので、生存率のデータについては我が国でのデータも 収集していきたいと考えております。  また松本先生から、問題が生じた場合の患者向けの確実な連絡先を記載しておくよう な手当てを使用上の注意にしなくてもいいのかという御意見を頂いております。これは ペースメーカと同様に、全患者さんにペースメーカ手帳といいますか、InSync手帳とい うようなものを持っていただくことになりますので、その中に植え込みました医療機 関、通常診療を受けている診療機関の緊急連絡先を記載して携帯していただくことにし ております。以上でございます。申し訳ございませんでした。 ○寺尾分科会長  どうもありがとうございました。松本先生、よろしゅうございますでしょうか。 ○松本委員  大体医療用具にしましても医薬品にしましても、予後を改善するというのが大事なわ けですが、これはまだ6か月という短期ということもあって、ほとんど生存率に差がな いということがちょっと心配にはなります。長期的に見て突然死が、有意な差は出てお りませんが、幾らか多いような感じも受けております。先ほど上田先生も長期で監視す るとおっしゃっていましたので、十分に注意していただきたいと思っております。 ○寺尾分科会長  どうもありがとうございました。そのほかの先生…、どうぞ。 ○吉倉委員  これは死亡例が約70例ありますが、合併症と関係したものはあるのでしょうか、ない のでしょうか。 ○寺尾分科会長  事務局、どうぞ。 ○事務局  全治験対象患者で70名程度の死亡例があったと思いますが、死亡例については独立し た認定委員会を二つ設けて個々に判定されておりまして、本品に由来することが原因で の死亡例はないと評価されております。 ○寺尾分科会長  そのほか御質問、御意見ございますでしょうか。それではもう御意見、御質問がない ようでございますので、本品については御承認いただいたということにさせていただい てよろしゅうございますね。どうもありがとうございました。  それでは議題2、資料2でございますけれども、「医療用具『ジョーステント グラ フトマスター』の輸入承認の可否及び再審査期間の指定について」でございます。これ は医療材料部会長の土屋先生、よろしくお願いいたします。 ○土屋委員  「ジョーステント グラフトマスター」といいますのは、通常の冠動脈ステントに人 工血管膜を巻き付けた構造でありまして、経皮経管的な冠動脈形成術において発生しま した心嚢内への止血困難な血液漏出のある穿孔に対しまして、緊急外科的な手術を施行 せずに穿孔を防ぐものであります。このジョーステント グラフトマスターは適応症例 が非常に少ないことから適切な臨床試験が実施されておらず、また長期的安全性に関す る情報も不十分なため、医療材料部会におきまして救命のための緊急処置としての適応 に限り、またその使用施設、及び使用医師を限定し承認することが適当と判断されまし た。また、再審査期間は3年とし、使用例全例について調査することが適当と判断され ました。本品につきまして、構造、原理、審査過程などに関するスライドを審査センタ ーの方からお願いしたいと思います。 ○寺尾分科会長  よろしくお願いいたします。 ○事務局  審査センターより当該申請品目について御説明いたします。資料2、及び本日配付さ れておりますパワーポイントの資料を御覧ください。ジョーステント グラフトマスタ ーの審査においては、医薬品医療機器審査センター第四部での審査に当たり、御覧の専 門委員、井街委員、小田委員、茅野委員、土屋委員、中谷委員、野々木委員、山口委 員、米山委員の御意見を頂きました。  本品の外観写真をお示しいたします。本日はステント長9mmと26mmの見本を御用意い たしましたので御覧ください。本品は2個の通常の冠動脈ステントの間に、延伸ポリ4 フッ化エチレン(ePTFE)製の膜が巻き付けられたステントグラフトとデリバリーシステ ムから構成されており、通常の冠動脈ステントと同様の手技により、経皮的に病変部に 挿入しバルーンを拡張することでステントグラフトを留置するものでございます。本品 は二本のステントとの間にePTFE膜が巻き付けられており、血管壁に密着させることに より、血液漏出を物理的にふさぐものでございます。  開発の経緯を御説明いたします。現在冠動脈における狭窄や閉塞に対し、経皮的冠動 脈形成術等が広く施行されておりますが、ごくまれに冠動脈穿孔が生じる場合があり、 この場合心嚢内に止血困難な血液漏出が起こり、緊急冠動脈バイパス術に至る確率は非 常に高く、患者の転帰は不良であります。本品はこのような血液漏出を経皮的にふさ ぎ、リスクの高い緊急手術の必要性を少なくする救命的医療用具として開発が行われま した。なお、本品は欧米においては既に承認されております。  本品については、各種の規格、耐久性、ブタを用いた性能試験等が実施されておりま すが、審査において特に問題となりました臨床試験成績について御説明いたします。  本品は冠動脈穿孔の発現頻度が極めて低いため、通常の臨床試験は困難であり実施さ れておりません。申請者は欧州を中心にしたレトロスペクティブな使用経験の調査を実 施し、その結果穿孔以外の適用を含む41症例のデータが60施設中27施設から回収され、 うち28例については1週間から最長1年までのフォローアップデータも入手されまし た。その結果、全例に留置は成功し、穿孔例全例において血液漏出はふさがれたと報告 されました。安全性においては、留置時に瘤治療の1例において御覧の有害事象が報告 され、追跡調査が行われた28例に関しては、9例に御覧のような本品との関連が否定で きない有害事象が報告されました。以上のレトロスペクティブな使用成績調査のみでは 安全性の評価が困難なため、審査センターでは本品の諸外国での使用経験の情報収集を 申請者に要請し、主に御覧の三つの提出書類について評価をいたしました。  米国FDAへの市販後年次報告書では、穿孔治療は88%の症例で成功と報告され、有 害事象に関しては情報が不十分であるものの、心嚢穿刺・タンポナーデ3例、緊急手術 6例等が報告されています。国内における臨床使用報告では、本品を使用した穿孔症例 11例中9例において留置が成功しましたが、6か月後のフォローアップでは約半数の症 例において再狭窄の出現、及びTLRの施行が報告されました。また、海外での文献調 査及び現在米国で実施中の再狭窄予防臨床試験においても、亜急性ステント血栓症や心 筋梗塞などの重篤な報告もございます。  以上の情報について専門協議での議論も踏まえ検討を行った結果、本品は危険性の高 い冠動脈穿孔の閉鎖に有効であり、救命的医療用具としての有用性は評価できると判断 いたしました。一方、長期的な安全性に関する情報が不十分であるため、本品の使用目 的は救命的緊急処置に限定し、対象患者、使用施設等は一定の限定が必要と判断し、申 請者に対応を求めました。その結果、本品は救命目的の緊急処置に限定し、心臓外科的 処置のできる、あるいは近隣の医療機関との連携により緊急事態対応のできる施設に限 定する旨の文言、及び御覧のとおりの文言を使用上の注意の「警告」欄に記載すること といたしました。さらに審査センターでは、報告された有害事象の発生状況から、特に 亜急性ステント血栓症、及び慢性期の再狭窄率が高いため頻回のフォローアップが必要 であること、本品の適切な留置確保のためには適切なサイズ選択と血管壁に密着した留 置の確認が望ましいこと、また構造的特徴から従来の冠動脈ステントに比べ内皮下の遅 延が考えられ、抗血小板療法をより長期に行う必要性が高いこと、分岐部への留置は側 枝の開存を妨げることについて十分な注意喚起が必要と考え、使用上の注意における 「重要な基本的注意」欄に御覧の内容の記載を求めました。  審査センターでは提出された申請内容について以上のとおり審査した結果、使用目的 を御覧のように救命のための緊急処置に限定し、承認して差し支えないと判断いたしま した。また、再審査期間は3年とし、全使用症例について調査を実施することが必要と 考えております。なお、本品は人工血管の一種としてトラッキング対象となります。審 査報告は以上でございますが、続いて事前に頂いております御意見について事務局より 御説明申し上げます。  まず初めに、上田先生より御指摘がございました。また、同様の御質問を板倉先生か らも頂いております。御指摘、御質問の内容といたしましては、申請者に対し医師対象 の本品使用講習会の開催予定、受講者の登録、及び確認の方策についてあらかじめ届け 出るよう指導することが望ましいという旨のものでございます。この点に関しまして は、本品使用講習会の開催予定、受講者登録及び確認について、今後申請者を指導して いきたいと考えております。現時点において申請者が予定している説明会は、平成15年 6月開催予定の日本心血管インターベンション学会、及び平成15年9月開催予定の日本 心血管カテーテル治療学会において、製品市販後調査及びトラッキング、医師による症 例紹介等についての説明予定となっております。受講者の登録については修了証発行の 予定であり、日本心血管インターベンション学会においては、修了証発行が決定したと のことでございます。  続いて広津先生から御質問がございました。御質問内容は、臨床試験としてレトロス ペクティブなアンケート調査が実施され、全例が留置成功とされていますが、失敗例も 偏りなく収集できる調査であったのか、また実際に偏りがないと考えられる保証がある のでしょうかといったものでございます。この点に関しましては、審査資料とした当該 臨床使用成績調査は、その特徴としてデータの収集方法がレトロスペクティブなアンケ ート形式であること、またその回収率が約45%と低いこと、本品を使用した医師からの 回答内容が不十分であるものも少なからずあることから、当該使用成績調査の結果に偏 りがないと考えられる保証はございません。したがって、先ほどのプレゼンテーション においても申し上げましたが、当該臨時使用成績調査の結果のみでは特に安全性の評価 は困難なため、申請者に対しこれまでの諸外国での使用経験についての情報収集を求 め、米国市販後年次報告書、国内外の文献調査結果、及びその他の治験についても、専 門協議の議論も踏まえ慎重に検討を行いました。その結果、審査センターとしては救命 のための緊急避難的機器として、使用は厳しく限定して承認することが必要と判断いた しました。  続いて桜井先生から御質問がございました。御質問内容は、レトロスペクティブな臨 床使用成績調査の結果において、冠動脈穿孔37例のうちステント留置によるものが原因 とされる5症例に対しては、具体的に本申請品目はどのように留置されたのでしょう か。ステントinステントという形で、既に拡張留置したベアステントの内側に本申請品 目を留置したものであるのでしょうかといったものでございます。  この点に関しまして、ステント留置が穿孔の原因とされる5例において、具体的にど のように穿孔が発生したか、及び本申請品目はどのように留置されたのかにつきまして は、提供された情報が限られたものであり、すべての例でステントinステントという形 で留置が行われた否かまでは明白ではございませんが、1例においてはステントinステ ントという形で留置が行われました。その他の症例に関しても、症例の記載からステン トinステントという形で留置が行われたことが考えられますが、明確ではございませ ん。  続きまして、神山先生からも御指摘がございました。御指摘内容はイレッサのとき十 分なインフォームド・コンセントがなされるかどうかを危惧する旨を発言いたしました が、本品も警告が守られるような具体的な手段を是非講じていただきたいとのことでご ざいました。この点に関しまして、本品については適切な臨床試験の実施が困難であ り、適用を救命的な目的に限定し慎重に使用すべきであり、警告とした内容を遵守して いただく必要があります。現在のところ、具体的により注意喚起できる表示方法とし て、現在御覧のサンプルにありますように、適用についての注意を直接外包装ラベル表 示するほか、添付文書の「警告」欄のフォントを上げる等も検討したいと考えておりま す。また、市販後調査に関しましては、本申請品が適用される全症例において実施し、 更に本品はトラッキング対象品目となります。今後添付文書記載内容が医療現場に徹底 されるよう、申請者に対し医師に十分な情報提供を行うよう指導していく予定でおりま す。  続いて板倉先生から御質問がございました。御質問内容は、本申請品は10年程度は問 題ないように造られていると思われるが、製品の寿命が来た場合再手術等は可能でしょ うかといったものでございました。この点に関しまして、本申請品につきましては、性 能試験において10年分の拍動に相当する4億回の拍動疲労試験を実施しておりますが、 海外における最も早い承認取得は1998年であるため、製品の実際の寿命が何年程度かと いう明確なデータはございません。一度拡張して留置したステントは取り出すことがで きませんので、いわゆる寿命が来た場合にステントを取り替えることはありません。冠 動脈ステントの問題は、製品の寿命が来るはるか以前に留置した部分の血管が再び狭窄 することにあります。本申請品目の主要目的は救命のためであり、また再狭窄率が高い と考えられることから、通常の冠動脈ステントに比べ再狭窄に対し何らかの方法で心筋 への血流を確保する手術等を行う確率が高いと考えられます。申請資料から本品留置後 に起こった再狭窄に対してどのような治療が実施されたか調べてみますと、再び経皮的 冠動脈形成術(PTCA)が行われるか、又はPTCA後に更にステントを留置する場合 が多いようでございます。ステント留置部分の再狭窄を再び広げることができない場合 や、留置部以外にも狭窄がある場合などは、冠動脈バイパス術を行うこともございま す。事務局からの御説明は以上でございます。御審議のほどよろしくお願い申し上げま す。          ── 説明途中、化学物質安全対策室長着席 ── ○寺尾分科会長  どうもありがとうございました。随分多くの先生から御質問を頂いております。御意 見、御質問を頂く前に、まず事前に御質問をお寄せいただきました先生の御意見を聴い ていきたいと思います。最初に上田先生、いかがですか。 ○上田分科会長代理 緊急事態に対応し得る器具でございますので、今の形で承認して 差し支えないと考えます。ただ、使用する施設、医師についての資格を厳格に守るよう に御指導賜りたいと考えます。 ○寺尾分科会長  どうもありがとうございました。続いて板倉先生、いろいろ御質問を頂いたようでご ざいますが。 ○板倉委員  日本の場合、臨床使用報告の割合が期待できるのかしらと素人目に見えるものですか ら、それで幾つか御質問させていただきました。緊急時ということであれば仕方がない のかなと思いますけれども、こういう外国との違いが一体どういったことで出てきてい るのか、それをどのようなことでカバーできるのか。先ほど学会の方での御説明がある と言われましたけれども、テクニックも含めて影響するのかどうか、そこら辺がよく分 からないものですから、そういったところでもう少し安心して認めていいというような ことで、何か御説明いただけると有り難いと思っております。 ○寺尾分科会長  事務局の方から何か御説明ありますか。 ○事務局  国内での使用経験、昨年の学会で一施設、先生から御報告のあったケースを、国内で はそれしか情報がございませんので評価いたしましたが、必ずしも国内での使用がどう なるのかは明らかではありません。外国でも、今御説明させていただきましたように欧 州ではかなり使われてきておりますが、アメリカでもここ1、2年ということでまだ使 用成績を集めている状況で、アメリカでの承認も本日の41例のアンケート調査で評価を 行った結果の承認ということでございましたので、必ずしも十分な情報がないという状 況でございます。ですから、承認に当たっては全例調査を求めることになりまして、国 内ではその成功率も含めて評価をしていきたいと思っております。  冠動脈のステント留置という手術そのものについては、かなり日本の先生方は手先が 器用といいますか、テクニックとしては諸外国に比べいいというふうにお聞きしており ます。穿孔の発現率が手技のよしあしに依存するのかといいますと、必ずしもそうでは ないというふうに専門の先生方からお聞きしておりまして、腕のいい先生であっても穿 孔する場合もあるということでございます。それは患者側の血管の状態であるとか、種 々の要因によるものであり、必ずしもテクニックだけではないとお聞きしております。 ですから、穿孔がいつ起きるかということについても、必ずしも国内外での比較はちょ っと難しいと考えておりますし、穿孔が起きたことに対してこれを留置するときの手技 についてもなかなか比較できるような情報がございませんので、全例調査のデータを待 って評価をきちんとしていきたいと考えております。ですから、いずれにしても当面と いいますか、今回の承認については適用対象を緊急の例に限って承認するのが適当と考 えておりますので、そこの徹底方法については申請者とよく相談をして指導していきた いと考えております。承認に当たりましては、学会の先生方との御相談だと理解してお りますが、できましたら関連の学会にも御協力をお願いしていきたいと考えておりま す。 ○寺尾分科会長  続きまして、広津先生はよろしゅうございますでしょうか。 ○広津委員  60施設に送り27施設という半分以下の回答で、比較的いい症例報告のように見えまし たので質問しました。つまり、失敗例なども強制的に集められるようなアンケート調査 であったのかというのが質問の趣旨だったのですが、どうもそうではないらしいという ことですので、やはりパブリケーションバイアスは避けられないのかなという気がしま す。ただし、先ほどから再三報告があるように、日本ではこれから承認後全例に偏りな くデータ収集していただけるということですので、きちんとしたデータをとっていただ きたいと思います。 ○寺尾分科会長  どうもありがとうございました。次は桜井先生、どうぞ。 ○桜井委員  今の御説明で結構です。 ○寺尾分科会長  分かりました。最後になりますが、神山先生、いかがですか。 ○神山委員  これは緊急時に使うものということでインフォームド・コンセントの話ではないので すが、前にもお話ししましたけれども、私は自分の身内がインフォームド・コンセント の全然ない病院で手術を受けたりしているものですから、大変そういう点に危惧を持っ ております。冠動脈のステントではないのですが、別のステントの装着もいつの間にか 入っていたということがあるものですから、こういう添付文書とか警告というようなも のは、こういう病院に限って使うということをきちんと周知徹底させていただきたいと 思ってお送りいたしました。 ○寺尾分科会長  ありがとうございました。そのほかの先生、何か御意見ございますでしょうか。どう ぞ。 ○池田委員  先ほどの御説明を聞いていると、海外で使用されたそれぞれの症例のディテールが必 ずしもつかめていないような気がするのです。一般的に海外で開発されたものを日本に 入れたときに、日本で責任を持ってやる会社が本社とやり取りする、そのやり取りが十 分にいかない場合というのが非常に多くあると思うのです。このものを使用していて仮 に海外で不都合があったときの情報が、日本にそのままリアルタイムで入ってくるかど うかというところのこちら側の…。このもの自体はもうFDAで承認されているし、非 常に緊急避難的なものなので、私は非常に重要なものだと思うのですが、そこのところ の危惧が非常にあると。そこを我が国で申請する会社の体制というのが、海外とどのよ うなコミュニケーションでスムーズにいっているかどうかというのが一点。  それからもう一つは、先ほどインフォームド・コンセントのお話が出たのですが、や はりこれは限られた施設で限られた医師によって使われるということになれば、PTC Aをやったり、ステントを入れたりして穿孔が生じるということについて必ずインフォ ームド・コンセントをとるわけです。ですから、そのときにもしそういうことがあった らばこれが次に使い得るのだという格好で含めて、やはりインフォームド・コンセント もとっていかなければいけないような状況ではないかなと思ったので、その辺をカテー テルの専門の学会はどういうふうに議論されているのか教えていただきたいと思いま す。 ○寺尾分科会長  二つ質問がございましたが、これはどなたにお答えいただきますか。 ○事務局  前半の海外の製造元との情報交換の問題、スムーズに情報交換ができるかという問題 ですけれども、本品、医療用具全体につきましても、通知レベルでございますが、今 GPMSP、PMSが十分にできるようにということで、社内の体制、又は外国の製造元と の情報のやり取りがうまくいくように社内体制としてきちんと整えるよう、GPMSPが医 療用具についても定められておりまして、本品についてももちろんそれに従って強力に 指導させていただきたいと思います。  それから後半のPTCAを実施して、非常に低い確率だけれども穿孔が起こった場合 には本品を使うことになりますので、そもそものPTCAの施工時のインフォームド・ コンセントの中にもう一段先の、場合によってはこういうことが起こって、こういう措 置が採られる場合があるということのインフォームド・コンセントをとるということ は、事務局でもさんざん議論してきました。これについても学会の先生方に御協力を頂 きながら、また申請者に対しては、本品はすべてトラッキング製品で全症例調査でもご ざいますため、一例一例追うことになりますので、納入施設に対してはそのようなこと も含めたインフォームド・コンセントがとれるよう指導していきたいと考えておりま す。 ○池田委員  ちなみにこの日本側の会社は、ほかにはどういうものを扱った会社なのでしょうか。 医療用具としてはかなりいろいろなものを扱ってきている会社ですか。 ○事務局  こちらの日本での申請者のジョーメド・ジャパン株式会社でございますが、今まで後 発品でPTCAバルーンの既承認品目もございます。あと海外では本申請品目と同様の ものですが、末梢用のステントグラフトというものを申請して、ヨーロッパの方で承認 されています。また本邦におきましては、本品目のグラフトマスターの人工血管膜のな いベアステントの方を申請中でございます。 ○寺尾分科会長  よろしゅうございますか。そのほかの先生でどなたか御質問、御意見ございますでし ょうか。もしございませんようでしたら、本品についても御承認いただくということに させていただきたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。ありがとうござ いました。  続きまして議題3、資料3でございます。「血液製剤の安全性の向上及び安定供給の 確保を図るための基本的な方針について」でございまして、これは血液事業部会長の溝 口委員に御説明お願いいたします。よろしくお願いいたします。 ○溝口(秀)委員  本日御審議いただく案件の基になる法律が昨年7月に成立いたしております。その法 律というのは、安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律でございます。この法 律によりますと、血液製剤の安全性の向上や国内自給を基本とした安定供給の確保な ど、血液製剤にかかわる基本理念や関係者の責務が規定されております。本日お配りし た資料3にお示ししました「血液製剤の安全性の向上及び安定供給の確保を図るための 基本的な方針(案)」、これは法律の第9条の規定に基づきまして、厚生労働大臣から諮 問を受け、血液事業部会で議論をし取りまとめたものでございまして、今後5年間の血 液需要の方向を示すものでございます。詳細については事務局から御説明願いたいと思 います。よろしくお願いします。 ○血液対策課長  では事務局より御説明申し上げます。資料3-1が血液事業部会において先日まとめて いただきました答申案でございます。資料3-1は非常にボリュームがございますので、 資料3-2の事務局の方でまとめました概要に沿って御説明申し上げます。  この基本方針案につきましては、前文に続き第1節〜第8節までございます。第1節 には血液製剤の安全性の向上及び安定供給の確保に関する基本的な方向が記されてござ います。基本的な考え方といたしまして、安全性の向上、国内自給原則、安定供給の確 保、適正使用の推進、公正かつ透明な実施体制の確保が書かれております。特に国内自 給の原則と申しますのは、国内で使用される血液製剤は原則として国内で行われる献血 により得られた血液を原料として製造され、海外の血液に依存しなくても済む体制を構 築すべきであるという記載がなされております。そのほか血液製剤代替医薬品の取扱 い、国民の理解と参加についての記載がしてあります。  第2節には血液製剤についての中期的な需給の見通しが記載されてございます。血液 製剤のうち輸血用血液製剤について、また原料血漿、血漿分画製剤について、それぞれ 需給の現状及び今後の見通しについて記載しております。  第3節は国内自給が確保されるための方策に関する事項を記載してございます。血液 製剤の国内自給の確保・達成については、まだ免疫グロブリン製剤、アルブミン製剤の 自給率が83.3%及び36.4%と国内自給が達成できていない状況ですけれども、これらに ついても平成20年を目途に国内自給の達成を目指すものとされております。その他、国 内自給を確保・達成するための基本的な考え方が記載されてございます。  第4節には献血の推進に関する事項を記載しております。献血の推進に関する基本的 な考え方、献血の推進に関する具体的な方策、献血推進施策の進捗状況等に関する確認 及び評価に関する記載がしてございます。  第5節は血液製剤の製造及び供給に関する事項といたしまして、製造、供給に関する 基本的な考え方、原料血漿の配分に関する考え方、血液製剤の確保に関する考え方を記 載しております。  第6節には血液製剤の安全性の向上に関する事項を記載しております。安全性の向上 に関する取組、迅速かつ適切に安全対策を実施するための体制整備、血液製剤の使用に より感染症の発生等が判明した場合の対応について、安全性の向上のための技術の開発 促進及び早期導入について、自己血輸血、院内血輸血の取扱いについてがそれぞれ記載 してございます。  第7節には血液製剤の適正な使用に関する事項を記載してございます。血液製剤の適 正な使用について国が行うべきこと、すなわち適正使用推進のための効果的な方策を検 討しなければいけないということ。また、医療機関は実施指針等に基づき適正使用を実 施すべきであるということ。そのほかにも院内体制の整備について、また患者等に対す る説明についての記載が適正使用に関する事項の節に記してございます。  第8節のその他のことですけれども、血液製剤代替医薬品に関する事項を特にここで 記載してございます。そのほかにも血液製剤の表示について、また研究開発等における 血液製剤の使用に関する基準の策定について記載してございます。事務局からの説明は 以上でございます。 ○寺尾分科会長  どうもありがとうございました。それではただいまの御説明について、御意見、御質 問を頂きたいと思います。どなたかございますでしょうか。どうぞ。 ○杉村委員  私は献血をしたことがないのでよく分からないのですが、例えば病気を持っている方 が献血をされるとすぐにその病気が分かるわけですか。そういう場合にどの程度安全性 が確保されるのかなと。それから個人情報の担保といいますか、その方がそういう病気 を持っていらっしゃるということが外部に漏れないようにするということは、どの程度 担保されているのかなと思います。 ○寺尾分科会長  よろしくお願いします。 ○血液対策課長  事務局より御説明させていただきます。まず病気に関しては、肝炎の検査ですとか、 HIV、HCV、HBV等のウイルスに関する検査等が実施されることになっておりま して、検査をした病気に限っては分かるような体制になっております。ただ、目的が献 血者の健康管理のためにという観点以外に、血液製剤の安全性の確保のためにという観 点が強うございますので、そういうことに着目した検診項目になっております。当然の ことながら、そういうことで引っ掛かった方の血液は安全性確保のために使用しないと いうことになっておりますけれども、献血をした後になってその方が病気だったという ことが分かるケース等がございます。HIVなどの場合には、心当たりのある人はすぐ に電話をするようにということになっておりまして、そういうことで検査で引っ掛から なくてもそういう申出があったものは使用しないということにしております。  また、緊急に使う血液であってもしばらくの間保管しております。血液製剤の種類に よって違いますが、一定の期間保管したものを使用しておりますので、献血をされた血 液がすぐに使用されるというわけではありませんので、その間に何らかの疾病が分かっ た場合にはそれは使用しないと。特に血漿分画製剤に回す血漿については保管期間を6 か月とっておりまして、日本赤十字社さんの方で6か月間原料血漿を保管されています ので、その間に何らかの病気が分かったりしますとその原料血漿を廃棄いたします。そ ういう形で血液製剤の安全性の確保、検査の充実以外にも問診の充実、またそういう保 管期間をある程度の期間とるということで万全を期するという何重かの安全対策を施し た上で血液製剤の完全性を確保するようにいたしております。  あとプライバシーに関しましては、基本的には採血所は医師が採血をする、医療行為 をする場所ですので、診療所並の守秘義務があるところでございます。そのことを明記 するために新しい法律においては罰則として、36条に守秘に関する罰則をあえて記載し ております。以上でございます。 ○寺尾分科会長  どうもありがとうございました。よろしゅうございますか。それではそのほかの先 生、何か御意見ございますでしょうか。ほかに御質問、御意見ございませんようでした ら、血液製剤の安全性の向上及び安定供給の確保を図るための基本的な方針はお認めい ただいたということにさせていただきます。どうもありがとうございました。  続いての議題につきましては、生物由来製品臨時部会の案件が2件ございます。まず 議題4、資料4が「人用医薬品等の生物由来製品及び特定生物由来製品の指定について 」、それから議題5、資料5が「人用医薬品等の生物由来原料基準の制定について」と いうものでございますけれども、これは併せて御審議いただきたいと思います。それか ら変則的にはなりますけれども、報告事項の議題14、資料21でございますが、「人用生 物由来製品に関する表示及び記録について」というものについても、併せて御報告申し 上げた方が分かりやすいのではないかと思いますので、審議の後に資料21については報 告いたしたいと思います。では生物由来製品臨時部会の部会長の早川先生、よろしくお 願いいたします。               ── 医薬局長退室 ── ○早川委員  それでは審議経過の概略について御説明いたします。 生物由来製品臨時部会では、 改正薬事法の生物由来製品の施行に関する技術的な事項であります生物由来製品の指 定、それから生物由来原料の取扱いに関する生物由来原料基準、生物由来製品の記録の 保管、表示、この4項目について昨年10月から審議を行ってまいりました。部会の議論 では、薬事法の規制のよりどころとなります科学的な立脚点からの議論を中心に置きま したが、併せて国際的な整合性も勘案して行ってまいりました。さらに本案については 血液事業部会からの御意見、パブリックコメントの御意見も踏まえた形で審議を重ねま して、3月19日の生物由来製品臨時部会において薬事分科会に上程して差し支えないと されたものでございます。具体的な内容については、事務局の方から御紹介いただけれ ばと思います。よろしくお願いします。               ── 医薬局長入室 ── ○事務局  議題4、5の生物由来製品の指定及び基準についての御説明をいたします。資料はお 手元の資料4-1の「薬事法及び採血及び供血あつせん業取締法の一部を改正する法律に ついて」、委員の先生には事前に配付してございますが、これの13ページをお開きいた だきたいと思います。昨年7月に成立いたしました改正薬事法でございますけれども、 生物由来製品に係る規定について本年7月に施行する予定でございます。生物由来製品 につきましては、この13ページに書いてございますような主な特徴がございまして、特 に感染因子に関するリスクがあるわけでございまして、これらのリスクを踏まえ、通常 の医薬品に加えてより上乗せ的な規制をするべきだといった内容が改正薬事法の中に盛 り込まれております。13ページの図で御説明いたしますと、製造開始段階ではドナーの 選択など原材料の安全性の確保といった点。製造中においては、生物由来製品を取扱う 施設の要件や、将来的に感染症等が発生した場合に遡及ができるような原料記録等の保 管といった問題。それから当然基本的なことですけれども、汚染防止の措置等が必要に なってまいります。また、法律の中に特に厳しくいろいろな方々の責務という形で書か せていただいておりますのは市販後の段階でございまして、いわゆる感染症の発生があ った場合の拡大防止措置をいかに効率的に行っていくかという点がございます。  一枚おめくりいただいて14ページですが、改正薬事法の中には特定生物由来製品と生 物由来製品という二つのカテゴリーがございまして、生物由来製品というのはここに定 義が書いてございますように、人その他の生物に由来するものを原料又は材料として製 造されるものであって、保健衛生上特別の注意を有するものと。特定生物由来製品は更 に上乗せ的に、保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するための措置を講ずることが 必要なものという形で、より感染リスク等に対して予防的な部分を含めて被害発生拡大 の防止措置を採るべきものということが定義されております。この表を御覧いただきま しても、特定生物由来製品については表示、添付文書等の記載義務においても上乗せ的 になってございますし、「医師の説明等」というところで特定生物由来製品においては 医療機関での患者さんに対する説明と理解、そして遡及調査に関する必要な事項という ことで、医療機関においても特定生物由来製品の使用記録の作成、保管というものをこ の法律の中で規定をしているものでございます。それから、未知の感染症等が出てくる 場合を想定した対策といたしまして、感染症定期報告といった形での感染因子に関する 報告を各製造メーカーに対しても定期的に報告するような形が義務付けられておりま す。  こういうバックグラウンドの規制でございますけれども、まず資料4-2に、本部会で の審議事項ということでの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定といった部分が ございます。  一枚おめくりいただきまして2ページでございますけれども、「生物由来製品の指定 の考え方について(案)」というところで、生物由来製品臨時部会で御審議していただい た内容を御紹介させていただきます。最初に定義が書いてございますが、特定生物由来 製品、生物由来製品の定義はここに記載したとおりでございます。この定義に従って製 品を分類していくわけでございますけれども、特定生物由来製品及び生物由来製品の指 定に当たっては、製品の感染症のリスクに着目して行うというところでございます。も ちろん現在想定される感染症を基にした対応でございまして、その想像を超えるような 新しい形の感染症等の知見が得られた場合には、当然見直しを行う必要があるというこ とも書かれてございます。  まず特定生物由来製品でございますけれども、この製品における感染症のリスクが理 論的にもかつ経験的にもより高いものでございまして、その原料に関しては特に人から の原料という特徴がございます。(1)としては、不活化処理等の感染症に関する処置に 対して限界があるものといった部分で、輸血用血液製剤のような例。(2)としましては、 不特定多数の方から原材料を頂くようなものということで、血漿分画製剤等もこういっ たグループの中に入ってまいります。  1ぺージめくっていただきまして、特定生物由来製品ほどの感染症のリスクの可能性 があるものではございませんけれども、(2)の(1)でございますが、病原性の細菌、ウ イルス等を原料としたワクチンとか抗毒素といったもの、(2)としては「人又は動物の 管理された細胞株又は管理させた動物個体」と書いてございますが、人又は動物細胞を 使ったような形で遺伝子組換えをさせたような、そこから製造される蛋白等については この分類に入っております。(3)としましては、動物の臓器や組織から抽出してくるよ うな原材料を用いたものといった形で定義されております。基本的に生物由来製品、特 定生物由来製品についてはこういう考え方、ここに御説明したようなことを申し上げた わけでございますけれども、資料の5ぺージを開いていただきますと、もう少し全体の 考え方が図で書かれております。基本的には最終的な製品の理論的なリスクというもの をベースに指定を行いまして、もともとの原材料のリスクからその他リスクの低減措 置、例えばドナースクリーニングや不活化・除去のような処理、またその投与経路にお ける安全性といったものを勘案しまして、最終的に現在のリスク引く低減措置引く投与 経路等の安全性といった形での最終製品のリスクを評価いたしまして、生物由来製品、 特定生物由来製品に分類をしていったわけであります。  3ぺージに戻りまして(3)でございますが、生物由来の原材料を用いるものであって も保健衛生上の特別の注意を要するものかどうかという法的な定義の下に照らして考え た場合に、(1)に書いてございますような、もともと製造工程において強アルカリ、高 温等の過激な処理条件で製造するようなものですとか、経口・経皮等の投与経路から見 て明らかに感染症のリスクの蓋然性が低いようなもの、また(2)といたしまして、病原 菌を使用しないような形での遺伝子組換えの製品等、そういったものについては指定の 対象とはしておりません。また最後の(3)でございますけれども、人獣共通感染の蓋然 性の低い動物原材料を用いたようなものについても、指定の対象にはしていないという ことでございます。  あと(4)に書いてございますように、この指定の前提といたしましては、反すう動物 由来の原料についてのBSE対策ということで、原産国、原料採取部位といった部分で の厳しい規制を現在もしいているといったことが紹介されております。  基本的にこういった考え方に基づきまして、生物由来製品臨時部会での御審議を経て 出来上がりました生物由来製品、特定生物由来製品のリストが、本日お手元に追加で配 付をさせていただきました資料4でございます。鏡には諮問書という形で付いてござい ますけれども、この中に生物由来製品、特定生物由来製品の指定案が示されておりま す。基本的に特定生物由来製品は主に血液製剤、血漿分画製剤といったものが中心でご ざいますけれども、2ぺージを御覧いただきますと、ほぼ真ん中当たりでございます が、オクトコグアルファ、ルリオクトコグアルファ等の遺伝子組換え製品も入ってござ います。これらの製品は生物由来製品臨時部会の御議論の中でも、実際にこの主成分で はございませんけれども、製造工程中で人血漿蛋白を使用していると。それがまたこう いった製品、特にオクトコグアルファ、ルリオクトコグアルファは別名「遺伝子組換え 第VIII因子製剤」と呼ばれるものでございまして、血友病の患者さん等が一生涯お使い になる製品であるといったこと。また、第VIII因子製剤には人由来の製品がございます ので、そういったものとの医療上での混乱を避けるといった意味もございまして、これ らにつきましては遺伝子組換え製剤ではございますけれども、特定生物由来製品という 形で指定を行っております。また2ぺージの2から下でございますが、この辺りは動物 から抽出してくるような原材料の医薬品、また一般の遺伝子組換え製剤とワクチン等が リストアップされております。総数で行きますと特定生物由来製品は51成分、生物由来 製品については128成分、医療用具を含めますと138成分を指定の案としてお示しさせて いただいているものでございます。  続きまして資料5でございますけれども、生物由来原料基準という部分がございま す。資料5も表に諮問書の写しが付いている形の資料でございまして、当日配付させて いただいております。こちらの生物由来原料基準におきましては、先ほど申しましたよ うに、生物由来の原材料については特に原材料入手の段階での検査や汚染防止の措置、 実際の処理による感染因子の不活化・除去といった部分が非常に重要であるわけでござ います。基本的にこの基準は薬事法第42条の下に制定させていただきますけれども、生 物由来製品、特定生物由来製品に指定されるされないにかかわらず、すべての医薬品、 医薬部外品、化粧品、医療用具に対して使われる生物由来の原材料に対して適用する趣 旨の基準でございます。  基本的な構成は最初に「通則」がございますが、2ぺージを開いていただきますと血 液製剤に関する基準がございまして、ここでは採血時の検査や採血に用いるような手法 といったものが記載されております。2〜5ぺージまでが血液製剤に関する基準となっ ております。この部分に関しましては、従来も生物学的製剤基準の血液製剤総則で対応 させていただいておりますが、今回この基準を作ることに際しまして、この原料基準の 中に従来あった基準を入れまして、全体的に包括した基準にしようというような趣旨の ものでございます。  5ぺージから下が人由来製品原料基準ということで、ここからは血液製剤以外の人由 来原料に関する検査や取扱いといったものの基準が書かれております。基本的に人由来 の材料と申しましても、血液とそれ以外では感染症のリスクにしても製品の原材料の特 性といったものもかなり異なるものでございますので、基準的には書き分けているとい うものでございます。  9ぺージからは人以外の動物由来の原料に関する基準がございまして、一番最初に反 すう動物の基準ということで、反すう動物を御使用いただく際のいわゆる原産国、使用 部位といったものの基準が示されております。10ぺージ以降がもう少し一般的な取扱い となってまいりますけれども、動物由来の原材料をお使いいただく際の動物に関する飼 育の基準や検査の基準といったものが示されているような格好になっております。ここ までが生物由来原料に関する基準ということで、簡単ではございますけれども、御紹介 させていただきました。  最後に報告事項でございますけれども、資料21の「人用生物由来製品に関する表示及 び記録について」という紙がございます。後ろの方で大変恐縮でございます。まず表示 でございますが、生物由来製品又は特定生物由来製品に指定されている製品について は、当然記録の保管や医療における説明と理解を求めるといった対応も含めて、適切に その物が表示されている必要があるわけでございます。直接の容器、包装等におきまし ては、特定生物由来製品であれば「特生物」、生物由来製品であれば「生物」といった 形の記載を、薬事法の第68条の3及び4に基づき規定するという形になってございま す。また、論点といたしましては、血液製剤の表示は国会でも附帯決議がございまし て、採血地及び献血又は非献血の区別を直接の容器等に表示すべしといった部分がござ いまして、これについてもこの表示の中で対応することとさせていただいております。 それ以外にも4ぺージ以降に、白地に黒枠とか表示に関するルールをいろいろ細かく定 めております。  それから7ぺージでございますが、「生物由来製品の感染症に関する記録の保存につ いての考え方(案)」という部分がございます。これまでの感染症の発症例等と医薬品、 医療用具等に関する部分がございましたけれども、使用してから長時間たって感染症が 発生するというケースがございます。そのために、将来的に万が一感染症が発生した場 合の調査等を可能とするための記録の保管については、関係者が必要な事項を一定の期 間保管しなければならないといった部分が改正薬事法の第68条の9に規定されておりま す。これも国会における改正薬事法の審議の中で、特に特定生物由来製品等の記録に関 しては、諸外国の例も参考としつつ十分な期間を設定するようにといった形の決議を頂 いておりまして、現在特に血液製剤においては医療機関に対して使用日プラス10年間の 記録の保管を行政指導でお願いしておりますけれども、そういった部分も含めて今回見 直しを行っているわけでございます。  8ぺージに「記録の保存期間のまとめ」が示されております。先ほどの特定生物由来 製品、主に血液製剤でございますけれども、これらにつきましては将来的なvCJDの リスクといった部分も勘案いたしまして、実際にバリアントではないCJDであれば乾 燥硬膜の事例もございますけれども、そういった部分での潜伏期間の推移等も見て20年 間という形の保存期間を医療機関に対してお願いすると。また、その製造業者に対して は、そういった長期の潜伏期間を要するような症例においても最後の1人の方まででき るだけフォローができるようにということで、30年という形での記録の保存期間を設定 させていただいております。この30年という数字については国際的な整合性という部分 もございますけれども、EUにおきましてもEUの血液指令、いわゆるEUの血液法が 昨年の12月に改定されまして、こういった提供者や血液製剤に関する記録の保存を30年 間義務付けるというものがございますので、ほぼ国際的にも整合性のとれた形での年数 となってございます。その他生物由来製品については、人血液成分を含むもの以外は製 造業者に対して10年という形での保存期間を設定しているものでございます。以上、非 常にかいつまんで御説明申し上げましたが、生物由来製品の指定、基準及び表示、記録 の保存期間についての事務局からの説明は以上でございます。 ○寺尾分科会長  どうもありがとうございました。ただいまの御説明について、御意見、御質問を頂き たいと思います。議題4、資料4と…。どうぞ。 ○桜井委員  資料4-2の5ぺージに「別紙」という紙がございますが、これについてちょっと質問 させていただきたいと思います。これはリスクの算定方法というのがそこに書いてある のですが、このところで使われているリスクの定義、あるいは引き算になっております が、一体何を引くのかとか、そういうリスクがどういうふうに把握されているのかとい うことについて伺いたいのです。これはリスク評価をすると、当然その評価に対してど ういう対応をしたらいいかという対策が結び付いてくるわけで、この場合のリスクのと らまえ方が私にとっては何か非常に漠然としたとらまえ方でしかないような気がしま す。例えばISO14971ではリスクというのは定義されているわけです。これはCNなどで も同じように定義されておりまして、それは御承知かと思いますが、リスクというのは オッカランス、要するに発生頻度が縦軸に来て、横軸にその結果の重大性、要するに破 局的か重度の損害が起こるのかとか、それはトリビアルなのかとかというマトリックス で定義されているのです。そうするとここに書いてあるリスク、(A)から(B)を引く、 (B)から(C)を引くというのは一体何を引くのか、それが私にはよく理解できないの で、もしお考えがあれば御説明願いたいと思います。              ── 安全対策課長退席 ── ○寺尾分科会長  お答えいただけますか。早川先生、お願いします。 ○早川委員  この場合のリスクというのは、ちょっと抽象的なことだと思うのです。先生がおっし ゃるような具体的なリスク、現実に今あるリスクということではございません。これは セオリティカルなというか、当然のことながら今使っているすべての医薬品ないし医療 用具そのものが、リスクがないという前提で使っているということであります。ただ、 将来的にいろいろな原因でリスクが生じる可能性があるかもしれないという前提でこれ は議論しております。あるかもしれないと言ったときに、そのありようですね。それは もちろんソースというか、どういうものから由来して、人から由来して来ているのか、 全く人に感染性を生じないような材料から由来してきているのかということは、抽象的 なものでありますけれども、理論上は考えられるということであります。  それから「低減措置」と書いてございますのは、これは例えば途中で不活化とか除去 作業というものが実際に入っていると。こういうものについては、もともとはないのだ けれども、もし万が一あったとしても次のセーフティーネットという形でクリアされる であろうということです。それのクリアのされ方が、例えば非常に強い不活化処理をす るとか、除去処理をしているような工程を持っていれば、それは感染性物質が仮にあっ たとしても除かれるでしょうと。  それから最後の(C)というのは、皮膚に行くのか、経口で行くのか、注射剤で行くの か、これもちょっと抽象的な話ではありますけれども、そういったことでございまし て、具体的にもともとリスクが幾らあって、そのリスクを引いていくということではな いと私は理解しております。 ○寺尾分科会長  どうぞ。 ○桜井委員  私が質問した理由は、今医療安全とかいろいろなことが言われておりまして、医療の リスク管理ということが非常に言われております。ところが、会議などでいろいろ議論 していますと、どうもリスクというもののきちんとしたとらまえ方が人によっていろい ろ違うと、漠然としていると。私の考えでは、リスク管理というのは一つの科学技術的 な手法、メソトロジーであって、これは言葉の定義が違うと何を議論しているのか全く 分からない。ですから、少なくとも「リスク」とか「ハーム」とか「ハザード」とか、 そういう言葉についての定義というのは共通概念がないと議論にならないわけですね。 今の先生の御説明の揚げ足を取るようで悪いのですが、ここでお使いになっている「リ スク」というのはやはり漠然としていまして、ISO等で定義されているという事実が ございますので、やはりこれはそういう定義に基づいて「リスク」という言葉を使わな いと、例えばこれは国際的に出しても通用しないと思うのです。例えば私の感じではこ の場合の(A)引く(B)引く(C)というのは、多分リスクの発生頻度が減るのだろうと。 例えばHIVか肝炎か分かりませんが、恐らくそういうものの重大性はもう物によって 決まっていますので、あと減らせるものというのはやはりオッカランス、発生頻度では ないかなと。ここのところは、恐らく原材料でどのくらいのリスクの発生頻度があるの か、それを低減措置によってどのくらい減らせるのか、あるいは投与経路によってそれ が減らせるのかということで統一していただければ、これは定量的な数字になると思い ますし、評価の対象にもなり得ると思うのです。そういう意味で私はちょっと質問させ ていただきました。 ○寺尾分科会長  どうもありがとうございました。そのほか御意見ございますでしょうか。どうぞ。 ○神山委員  資料5の9ぺージにあります「I.反すう動物由来原料基準」の2のただし書き以下な のですが、「羊毛、ラノリンは除く。また乳由来物は英国、ポルトガル以外の原産国を 除く」ということの意味が分からないのです。その同じようなものが資料5の9ぺージ にありまして、反すう動物に由来する原料の原材料というところに、「乳由来物(英国、 ポルトガル以外を原産国とする原料。)を除く」と。つまり、乳由来物を除くという意 味だと思うのですが、この資料5の9ぺージの2は書き間違いなのではないか、ちょっ とどういう意味なのか理解できないのですが。 ○寺尾分科会長  これは書き間違いではないと思いますけれども。どうぞ。 ○事務局  本日お配りした諮問書が鏡になっている資料5が最終版という形でございます。ここ の部分は神山先生にも御指摘いただきましたように、もともとの原案が非常に分かりに くいといった御指摘がございまして、パブリックコメントを経た段階で本日お配りした 資料5の9ぺージの形に書き直しをさせていただいたものでございます。ここはもう少 し趣旨を御説明いたしますと、現在反すう動物の原料というのは9ぺージの2に示され ております23か国以外の原料は、原則使用してはならないということになっておりま す。この国というのはEUの地域的BSEリスク評価が1又は2ということで、BSE の安全性が確認された国です。ただし、国際的な議論の中でも牛乳を原材料としたもの につきましては、基本的に通常の使用においてのリスクは認められていないということ がございまして、これについては国の使用制限がもともとかかっておりません。ただ予 防的な観点から、乳由来物であっても英国産とポルトガル産の原料という高頻度発生国 のものについては、乳由来の原料であっても使ってはならないといったことを意味して いるものでございます。 ○寺尾分科会長  先生お分かりになりますか。なかなかこれは難しい文章といいましょうか。 ○神山委員  趣旨は分かりましたけれども、書き方としては前の方が分かりやすいのではないかと いう気がするのですが。 ○事務局  またこれを実際に法令にする際にいろいろなチェックのプロセスがございますので、 その中でより分かりやすい表現に書き直させていただきたいと思います。 ○寺尾分科会長  それでよろしゅうございますか。そのほかに御質問、御意見ございますか。それでは 議題4の「人用医薬品等の生物由来製品及び特定生物由来製品の指定について」、それ から議題5の「人用医薬品等の生物由来原料基準の制定について」、この二つをお認め いただいたということにさせていただきます。それからもう一つの資料21の「人用生物 由来製品に関する表示及び記録について」、これは報告事項ですが、特に御質問はない ということにさせていただきます。どうもありがとうございました。  それでは次の議題6と7がまだ審議事項で残っております。この二つは動物用医薬品 等部会の案件でございまして、やはりこれも二つ続けて御議論いただきたいと思いま す。議題6の「動物用医薬品の生物由来製品の指定について」、それから議題7の「動 物用医薬品等の生物由来原料基準の制定について」ということでございます。これは動 物用医薬品等部会長の吉田先生、よろしくお願いいたします。 ○吉田委員  動物用医薬品についても、生物由来のものを原料として製造されるもののうち、保健 衛生上特別の注意を要するものを生物由来製品として指定することとされております。 動物用の場合、動物の感染症のうち特に重要なもの及び人獣共通の感染症に着目するこ ととし、原材料自体のリスクが高く、その低減措置が十分でないものを指定しようとす るものであります。また、動物用生物由来原料基準は動物用医薬品、動物用医薬部外品 及び動物用医療器具の製造に使用される生物由来の原材料について、その採取、選択の 方法等に関する基準として定めるものであります。これらの案につきましては、動物用 生物学的製剤調査会及び動物用一般医薬品調査会において事前の調査、審議の後、動物 用医薬品等部会において審議を行い、また動物用生物由来製品の指定案についてもそれ ぞれ2回ずつの審議を経て、本日ここに上程するものでございます。詳細については事 務局から説明をしていただきます。 ○寺尾分科会長  それではお願いいたします。               ── 青柳委員退席 ── ○事務局  農林水産省でございます。動物用生物由来製品の指定及び動物用生物由来原料基準の 制定について、御説明いたします。まず資料6を御覧ください。動物用生物由来製品の 指定ですが、その基本的な考え方は1ぺージの1にお示ししています。最終製品による 感染リスクは、四角で囲ったところの(A)の「原材料自体のリスク」から(B)の製造工 程における「リスク低減措置」、具体的には熱処理や不活化処理といったもの、それか ら(C)の「投与経路等による安全性」、つまり一般的に注射の方が経口より、経口の方 が外用より感染リスクが高いということから、また昆虫とほ乳類のように原材料の由来 動物とその製品が使われる動物が大きく異なる場合感染リスクは低いと考えまして、そ れらを引いたものと考えました。そして原材料の感染リスクは高く、リスク低減措置が 十分に採られていないものであって、かつ投与経路が注射等以外であり、由来動物と対 象動物が大きく異ならないようなもの、こういったものを動物用生物由来製品として指 定することとされました。なお、動物用の特定生物由来製品につきましては、感染リス クがより高いものとして、具体的には人用の輸血用血液製剤と同等のリスクを有するも のが考えられましたが、現在それに該当するものがございませんので、指定の案はござ いません。  そうした基本的な考え方をベースに、動物用の医薬品としましてはこれら(A)、(B )、(C)をどのように考えるかを2に示しました。まずは原材料による感染リスクを考 える上で、そのリスクの要因としましてはウイルスを想定いたしました。そうしました ところ、感染リスクが高いと考えられる原材料自体としましては、動物用一般医薬品の 範疇では人又は動物に由来する原材料から抽出したホルモン剤、またこうしたホルモン 剤と感染リスクが同等と考えられるもの、心臓実質抽出液やキモトリプシンといったも のもリスクが高いと考えられました。それから動物用生物学的製剤の範疇では、ワクチ ン、動物の血液を原材料とした血清類、それから動物の体に直接用いる診断薬といった ものが挙げられました。ここでワクチンについて、特に生ワクチンについてはその原材 料のリスクをワクチン株の病原性復帰といたしまして、もし病原性が復帰した場合、そ れが人や動物に対し、とりわけ影響が大きくなるというもの、つまり家畜の法定伝染病 や人畜共通感染症に着目いたしました。  次にリスク低減措置でございますが、2ぺージにお示ししてあります。先ほど申し上 げましたように、感染リスクの要因としてはウイルスを想定しましたので、そのウイル スを除去する方法として(ア)に示すような加熱処理、四角で囲った部分は加熱処理の条 件の一部の例示でございます。それと(イ)に示しました酸・アルカリ処理やウイルス除 去膜処理、ホルマリン処理、こういったものを組み合わせて処理されたものと。つま り、これら(ア)若しくは(イ)のどちらかの方法が採られているものについては、十分な リスク低減措置が採られていると考えられました。また、投与経路としましては、安全 性が高いと考えられるものとして外用剤、それから由来動物種と対象動物種が大きく異 なるものとしまして、陸棲動物と水棲動物、昆虫とほ乳類、こういった関係のものは安 全性が高いと考えられました。なお、4)にお示ししますようにBSE対策といたしま しては、平成13年10月18日付けの農林水産省生産局長通知によりまして、反すう動物由 来物質を使用して製造されているものすべての動物用医薬品、医薬部外品、医療用具に 対しまして、その使用原材料やリスク低減措置についてBSE感染のおそれがないこと を審査しており、その点については十分な対策が既に講じられているところでございま す。  このように動物用生物由来製品につきましては、原材料自体のリスク、リスク低減措 置、それから投与経路等による安全性により個々の製品による感染リスクを評価いたし ました。その結果、3ぺージに示しますのが動物用生物由来製品に指定される案でござ います。まず1といたしまして、動物用生物学的製剤がございます。血液を原材料とす る血清類としましては、「炭疽血清(牛)」から「乾燥犬プラズマ」までの8製剤、それ からワクチン類では「牛疫生ワクチン」から最後の「ニューカッスル病・鶏伝染性気管 支炎混合生ワクチン」までの11製剤となります。また一般医薬品関係では、2に示しま すように「胎盤性性腺刺激ホルモン」、「脳下垂体前葉性性腺刺激ホルモン」、「血清 性性腺刺激ホルモン」、「心臓実質抽出液」、「キモトリプシン」の5成分になりま す。なお、これらを成分とする製品でも製造工程において適切なウイルス除去措置が講 じられているものについては、指定の対象外となります。以上が動物用生物由来製品の 指定についての御説明でございます。  続きまして資料7を御覧ください。動物用生物由来原料基準について御説明させてい ただきます。本基準案は「通則」及び「動物由来製品原材料総則」から成ります。まず 通則におきましては、本基準の目的などが明記されているところでございます。続いて 総則でございますが、これは二つの基準から成っております。一つは「反すう動物由来 原材料基準」で、もう一つは「動物由来原材料基準」でございます。まず一つ目の反す う動物由来原材料基準でございますが、これは先ほど生物由来製品の指定のところで少 し触れましたけれども、BSE対策として既に生産局長通知を示しておりまして、それ に従って既に審査を実施しております。その内容を基準化させていただいたものでござ います。内容としましては、反すう動物に由来するものは原則として動物用医薬品、医 薬部外品、医療用具に使用してはならないというものでございます。ただし、最後のぺ ージに別表をお示ししておりますが、原産国をBSEの高発生国、それ以外の発生国及 びEU域内国とその他の国の三つに区分し、また反すう動物由来物質の臓器を四つのリ スクに分類いたしまして、その組合せによって薄い網掛けになっている部分について は、2ぺージに戻っていただきまして、ア、イ、ウに記載されている条件を満たすこと によって認めるというものでございます。また、反すう動物に由来する原材料について は、その安全性を確保する上で必要な情報が確認できるように、製造業者の責任で2ぺ ージ最後の(1)〜(5)の事項を記録・保管することとされております。  次の3ぺージからは、もう一つの動物由来原材料基準をお示ししております。まず、 動物に由来する原材料は健康な動物に由来するものとされておりまして、続いて2〜5 については生物由来製品に係る規定でございます。動物の原産地や使用部位等の由来を 明らかにすることや、セル・バンクを出発基材とした製品についてはウイルスのチェッ クをすること、又はドナー動物についてが規定されております。また、動物由来原材料 基準についても、3ぺージの最後の(1)から4ぺージの(5)の事項を記録・保管するこ ととされております。以上でございます。御審議のほどよろしくお願いいたします。 ○寺尾分科会長  どうもありがとうございました。それでは御意見、御質問をお願いいたします。どな たか御意見ございますでしょうか。どうぞ板倉委員、お願いいたします。 ○板倉委員  一般的なのですが、記録・保管というのは非常に重要なことだと思うのですけれど も、記録を保管して実際に問題が起こってそれをトレースする場合に、具体的に手法が ないと、蓄積している中からどのように見付けていくかというのが非常に困難ではない かと思うのです。そういった部分でのメソッドなり何なりというのは考えられているも のなのでしょうか。 ○寺尾分科会長  よろしくお願いいたします。 ○事務局  具体的なトレースの方法は現在まだ考えてはおりませんが、当然何かがあった場合に 対応しなければならないということは想定されますので、その場合のトレース方法につ いても今後検討していきたいと思います。 ○寺尾分科会長  分かりました。そのほかございますか。もしございませんようでしたら、この資料6 の動物用生物由来製品の指定について、それから資料7の動物用生物由来原料基準の二 つをお認めいただいたということにさせていただきます。どうもありがとうございまし た。  それでは審議事項はこれで終了でございまして、これから報告事項に入りたいと思い ます。最初に議題1〜13まで続けて御説明いただければと思いますので、よろしくお願 いいたします。               ── 井村委員退席 ── ○事務局  それでは事務局より報告事項の議題1の「副作用被害判定結果について」、資料8に 基づき御報告させていただきます。なお、前回から副作用被害判定部会の判定結果とい たしまして、個々の事例ごとにどのような疾患にどのような医薬品が投与され、その結 果どういう副作用と判定されたのかが分かるような一覧表を、参考として委員の先生方 のお手元に配付させていただいております。なお、この表には判定部会で審議された事 例がすべて掲載されておりますが、時間の制約もございますので、判定結果の報告と対 比して御覧いただければと存じます。  本年1月16日に開催されました副作用被害判定部会は、新規案件55件、継続案件9 件、現況案件8件、合計72件について御審議していただきました。その結果、支給決定 することが適当と考えられるものが56件、不支給決定することが適当と考えられるもの が15件、追加情報を得て再度審議することが適当と考えられるものとして保留となった 案件が1件でございました。なお、支給決定することが適当と考えられるものの56件の 中には、請求期間の一部について不支給決定することが適当と考えられるものが28件含 まれてございました。以上でございます。 ○寺尾分科会長  どうもありがとうございました。 ○事務局  続きまして新薬関係の事項、まず議題2〜9についてまとめて御報告させていただき ます。報告のうち議題2〜8の7件が2月28日開催の医薬品第一部会において、議題9 の1件が2月19日開催の医薬品第二部会において審議され、いずれも承認して差し支え ないとされました計8件についてでございます。  まず初めに資料9をお願いいたします。プレタール錠50、同100についてでございま す。一般名はシロスタゾール、申請者は大塚製薬株式会社。本薬はホスホジエステラー ゼIII阻害を主な作用機序とする抗血小板薬であり、従前の慢性動脈閉塞症に基づく潰 瘍、疼痛及び冷感等の虚血性諸症状の改善に脳梗塞(心原性脳塞栓症を除く)発症後の再 発抑制の効能・効果を追加するものでございます。承認条件とする市販後臨床試験の成 績を踏まえて再審査を行うため、再審査期間は7年とされております。  続きまして資料10をお願いいたします。イミグラン点鼻液20についてでございます。 一般名はスマトリプタン、申請者はグラクソ・スミスクライン株式会社。本薬はセロト ニン受容体サブタイプの5-HT1B/ID受容体作動の点鼻製剤であります。片頭痛を効能 ・効果とする新有効成分含有医薬品でございます。再審査期間は6年とされており、劇 薬に該当するとされております。  資料11をお願いいたします。アラバ錠10mg、同20mg、同100mgについてでございます。 一般名はノフルノミド、申請者はアベンティス ファーマ株式会社。本薬はイソキサゾ ール系の疾患修飾性抗リウマチ剤で、関節リウマチを効能・効果とする新有効成分含有 医薬品でございます。再審査期間は6年とされており、劇薬に該当するとされておりま す。  資料12をお願いいたします。クエストランについてでございます。一般名はコレスチ ラミン、申請者はアベンティス ファーマ株式会社。本薬は強塩基性の陰イオン交換樹 脂であり、従前の高コレステロール血症に先ほどのアラバ錠のノフルノミドの活性代謝 物の体内からの除去の効能・効果を追加等するものでございます。再審査期間は4年と されております。  資料13をお願いいたします。オキシコンチン錠5mg、同10mg、同20mg、同40mgについ てでございます。一般名は塩酸オキシコドン、申請者は塩野義製薬株式会社。本薬の有 効成分オキシコドンはオピオイド系の鎮痛剤であり、中等度から高度の疼痛を伴う各種 がんにおける鎮痛を効能・効果とする新投与経路の経口徐放性製剤でございます。再審 査期間は6年とされております。  続きまして資料14をお願いいたします。エクストラニールについてでございます。本 剤は医療用配合剤であり、申請者はバクスター株式会社。イコデキストリンを配合した 腹膜透析用剤で、慢性腎不全患者における腹膜透析において、8〜12時間貯留時に除水 効果が認められたものでございます。再審査期間は4年とされております。  資料15をお願いいたします。カバサール錠0.25mg、同1.0mg、カバサール錠0.25mgキ ッセイ、カバサール錠1.0mgキッセイについてでございます。一般名はカベルゴリン、 申請者はファルマシア株式会社、及びキッセイ薬品工業株式会社。本薬はドパミンD2 受容体の選択的アゴニストであり、血中プロラクチン値の低下作用に基づく医薬品でご ざいます。従前のパーキンソン病に乳汁漏出症、高プロラクチン血性排卵障害、高プロ ラクチン血性下垂体腺種(外科的措置を必要としない場合に限る)、及び産褥性乳汁分泌 抑制の効能・効果の追加を行うものでございます。再審査期間は4年とされておりま す。  資料16をお願いいたします。カペシタビン、ゼローダ錠300についてでございます。 一般名はカペシタビン、申請者は中外製薬株式会社。本薬は経口フッ化ピリミジン系の 抗悪性腫瘍剤であり、手術不能又は再発乳癌を効能・効果とする新有効成分含有医薬品 でございます。再審査期間は6年とされており、劇薬に該当するとされております。  続きまして再審査期間の延長関係の報告事項、議題10〜11について御報告させていた だきます。まず議題10の「医薬品ロラタジン原末、クラリチン錠10mgの再審査期間の延 長について」、御報告させていただきます。資料17をお願いいたします。本薬につきま しては、平成14年7月にアレルギー性鼻炎等の効能で成人の用法・用量が承認されてい ます。現在小児用量の開発が行われており、今後小児、成人を対象とした市販後臨床試 験等を計画していることから、再審査期間を平成22年まで延長することについて、医薬 品第一部会で妥当との結論を頂いたものでございます。  続きまして議題11の「医薬品注射用タゴシッドの再審査期間の延長について」、御報 告させていただきます。資料18をお願いいたします。本薬については平成10年にMRS A関連感染症の効能で成人の用法・用量が承認され、本年1月に小児の用量が追加され ました。小児の用量の追加に伴い、成人と小児に関する市販後調査を行うこととし、成 人の用法の再審査期間を小児の用法のそれに合わせて平成19年まで延長することについ て、医薬品第二部会で妥当との結論を頂いたものでございます。  続きまして議題12の「フルオシノロンアセトニド眼内埋植用製剤を希少疾病用医薬品 として指定することの可否について」、御報告させていただきます。資料19をお願いい たします。今般希少疾病用医薬品として新たに指定させていただく品目は、ボシュロム 本社から申請されましたフロオシノロンアセトニド眼内埋植用製剤であり、後眼部に及 ぶぶどう膜炎を予定効能としたものです。日本における対象患者数は29,000〜47,000人 と推定されます。本件については、去る2月28日に開催されました医薬品第一部会にお いて審議され、希少疾病用医薬品として指定して差し支えないとの結論をいただいたも のでございます。  最後になりますが、議題13の「医療用具『ベンタック プリズム 2DR(他1販売名) 」及び『プリズム 2DR(他1販売名)』の輸入承認の可否及び再審査期間の指定につ いて」、御報告させていただきます。資料20-1及び20-2をお願いいたします。これらは 2月26日に開催されました医療機器・体外診断薬部会での審議の結果、承認して差し支 えないとされました新医療用具でございます。日本ガイダント株式会社、及びインター メディクスジャパン株式会社から申請のありました、第5世代植え込み型除細動器でご ざいます。再審査期間は3年とされております。以上でございます。             ── 説明途中、河村委員退席 ── ○寺尾分科会長  ありがとうございました。報告事項の議題1〜13まで、どなたか何か御質問ございま すか。どうぞ。 ○溝口(昌)委員  議題4と5のアラバ錠とクエストランですが、このアラバ錠の活性代謝物である A771726の半減期が約14日ということで、副作用が出たときに薬剤の投与を中止しても どんどん悪化するので困ることだと思いましたら、その薬物を除去できるコレスチラミ ンというのが一緒に許可されるということで、非常にすばらしいことだと思いますが、 添付文書(案)について少しお願いがございます。中止しても薬物による症状はどんどん 悪化しますので、半減期が約14日というのは大切なことだと思うのです。これが添付文 書(案)のおしまいの方、12ぺージの「薬物動態」の一番最後にしか書いていないので す。処方するドクターは当然これを全部読んでから処方すると思いますが、副作用が出 たときに患者さんが駆け込むのは処方したドクターとは違う科、違う施設になる可能性 がありますので、急を要する患者さんを目の前にして処置をしながら…、のんびり「薬 物動態」などを読んでいる人はいないと思います。できましたら、この一番前の「警告 」のところ、3に「本剤投与中に重篤な副作用が発現した場合」と書いてありますけれ ども、その前に血中の半減消失期は約14日間であるのでというようなことを書いていた だければと思います。もしこの「警告」に書くようなことではないとおっしゃるのでし たら、3ぺージの「重要な基本的注意」の(1)のどこかに、このレフルノミドの活性代 謝物の半減期が14日であるので、副作用が出たときはそれを考慮することというような ことを書いていただきたいと思います。  「重要な基本的な注意」をずっと読んでいきますと、副作用が出たときは「10.その 他の注意」を見るように書いてありまして、7ぺージの「10.その他の注意」を見ます と、ここでやっと「【薬物動態】8の項参照」と書いてあって、最後に今の14日という のが出てくるのです。状況からこの薬が原因だと思われたときに、まず担当する医者が 最初に見そうなところというのは、5ぺージの「4.副作用」なのです。これを見て、 例えば私は皮膚科ですからスティーブンス・ジョンソン症候群があると、あったあった ということでその先を読もうかと思うのです。4)の肝不全のところには「『2.重要な 基本的注意』の項参照」と書いてあるのですが、薬疹と汎血球減少も血中濃度が残って いてどんどん進行したら困ると思うのですが、そこに書いていない。それから1)のア ナフィラキシー様症状、これは書いても間に合わないかもしれませんけれども、1)、 2)、3)に「『2.重要な基本的注意』の項参照」と書いても悪くはないのではないか と思うのです。どこから見ても14日血中濃度が残るということを注意喚起していただく と、せっかく薬物を除去する薬も一緒に許可していただいているので、これが生きるの ではないかと思いますので、よろしくお願いいたします。 ○寺尾分科会長  どうもありがとうございました。 ○事務局  事務局の方からお答えいたします。確かに先生がおっしゃるように、いろいろなとこ ろにクロスリファレンスが起こっていまして分かりにくいかと思いますので、「重要な 基本的注意」の中で具体的にこの薬物の半減期が人では非常に長いということを明記し て、副作用発現時等には薬物除去を施行する必要があるのだということをもう少し明確 になるように事務局の方で検討させていただきます。 ○寺尾分科会長  よろしくお願いいたします。どうぞ。 ○松本委員  ちょうどついでなので、資料11の「重大な副作用」の項のところですが、この薬はか なり重篤な肝障害を起こすようでちょっと心配なところがあるのですけれども、この 「重大な副作用」の4)の急性肝壊死は病理診断で、肝不全というのは症候名、肝炎と いうのは疾患名なのですが、いろいろばらばらに書いて何かカモフラージュされている ような感じを受けるのです。「ごくまれに致死的な肝不全、急性肝壊死」と書いてあり ますが、恐らく劇症肝炎を起こすのではないかと思うのです。もしそういうものがある のであれば、やはりきちんと書いておいた方がいいのではないかという気がするので す。そういう症例がなければやむを得ないと思いますが、この辺はいかがなのでしょう か。 ○寺尾分科会長  どうもありがとうございました。これはいかがですか。 ○事務局  ちょっと確認させていただきますが、具体的に「劇症肝炎」と書ける症例はたしかな かったかと記憶しております。先生御指摘のように少し言葉の整理等が必要であれば、 また事務局の方で検討はさせていただきたいと思います。 ○寺尾分科会長  それでよろしゅうございますか。 ○松本委員  はい。もう一つ。これも単純なミスだと思うのですが、資料16の一番後ろにあります ゼローダの添付文書の2ぺージ、「(1)重大な副作用」で「4)肝障害、黄疸」となっ ておりまして、今度は「5)高ビリルビン血症」となっています。この高ビリルビン血 症というのは言い直せば黄疸なのですね。「重大な副作用」にダブって二つの項目を設 けられている理由がちょっとよく分かりません。もし何か意図があればやむを得ないの ですが、意図がなければどちらかに統一していただいた方がいいのではないかと思いま す。ちなみに肝障害というのが重大な副作用になっているのですが、肝障害というのは あらゆる肝疾患を含みまして、重篤なものから軽いものまでたくさんあります。こうい う診断名を重篤なところにおいていいかどうかというのは非常に微妙なところがあるか とは思うのですが、黄疸だけに関しては整理していただければと思います。以上です。 ○寺尾分科会長  ありがとうございました。 ○事務局  御指摘のとおり整理させていただきます。 ○寺尾分科会長  よろしくお願いいたします。どうぞ。 ○溝口(昌)委員  資料12の先ほどの薬物除去剤のクエストラン、やはり添付文書の方でございますが、 4ぺージの「(2)併用注意」を見ますと血中濃度が下がるものがたくさんありまして、 ステロイドとかワーファリンとかNSAIDSなどいろいろなものが書いてあります。この薬 は代謝物の体内から除去が今度の新しい効能だと思いますが、高コレステロール血症に 対する薬としては1983年から使われていますので、もしどのくらい減るか具体的な数字 が分かったら、参照すべき文献でも結構ですから書いておいていただけると有り難いの ですが。投与後4〜6時間以上空けるということが書いてありますが、1日3回投与す る薬ではなかなか難しいと思いますので、よろしくお願いします。例えばリファンピシ ンはステロイドの血中の濃度を5割近く低下させてしまうことが分かっていますから、 それに合った対応をしています。もし分かっていたらで結構ですので、それを加えてい ただけると現場の人間としては非常に助かると思います。 ○寺尾分科会長  分かりました。これはよろしいですか。 ○事務局  確認して対応させていただきます。今回の整理の中で、基本的にこのレフルノミドだ けではなくて、そのほかの薬も虚弱するということが分かっておりますので、注意喚起 あるいは情報提供という意味を込めて、今回ここに整理して記載させていただいたとい う経緯がございます。 ○寺尾分科会長  そのほか何かございますでしょうか。どうぞ。 ○杉村委員  資料18ですが、テイコプラニンが小児の場合には10mgで新生児の場合は初回のみ16mg というのですが、素人が考えますと、何となく新生児の方が少なくていいのではないか と思いましたのでちょっと引っ掛かったのですが、どうしてですか。 ○事務局  それではお答えさせていただきます。初回投与量、いわゆる最初の付加投与のところ で小児が10mg投与という設定になっておりまして、定常状態になった後は6mg投与が基 本的な用量になるかと思います。ただ、疾患とか患者さんの状態によって10mgまで上げ ることができるという用量設定になっております。それに対して新生児の方は初回投与 が16mg、定常状態になった後は8mgという投与量になっておりますので、新生児の方が 若干多い投与量になっております。 ○杉村委員  新生児というのは生まれたばかりの赤ちゃんだと思ったのですが。 ○事務局  失礼いたしました。それで新生児の方が体重当たりの投与量が多くなっている理由な のですが、水溶性の高いこのような薬物の場合には、体重当たりの分布容積が新生児の 方が大きくなる傾向がございます。したがって、同じ投与量ですと新生児の方が血中濃 度としては低くなりがちですので、今回のテイコプラニンについても体重当たりの投与 量としては多めの設定になっております。 ○杉村委員  分かりました。 ○寺尾分科会長  そのほかにございますでしょうか。それでは先に進ませていただきます。議題14は先 ほどもう済みまして、議題15、16、17は動物用医薬品でございますので、これも続けて お願いいたします。 ○事務局  動物用医薬品等部会関係の報告事項について、議題15〜17まで御説明いたします。ま ず議題15、16を併せて御説明させていただきます。資料22、23になります。アドバンテ ージ プラス犬用及びアドバンテージ プラス猫用でございます。申請者はバイエル株式 会社です。本剤はイミダクロプリドとピリプロキシフェンを成分とする犬及び猫ののみ の駆除剤でございます。用法・用量としましては、犬の場合は肩甲骨間の被毛を分け て、猫の場合は頚背部の被毛を分けて、本剤の容器の先端を皮膚に合わせて滴下すると いうものでございます。本剤は2月26日開催の動物用医薬品等部会にて御審議いただ き、承認を可とし薬事分科会に報告して差し支えない、なお再審査期間は新動物用配合 剤ということで6年とするという結果でございました。 ○事務局  続きまして議題17を御説明させていただきます。資料24でございます。動物用医薬品 の使用の規制に関する省令の一部改正でございます。動物用医薬品の使用規制に関する 省令でございますが、薬事法に基づき生産物を通じて人の健康に影響が出ないように適 正な使用が必要な薬物について、使用対象動物、用法・用量、使用禁止期間等を定めた 省令でございますが、これの改正について二点御報告いたします。  まず一点目でございますが、使用基準を定められた医薬品は新たに追加、あるいは内 容の変更がございました都度省令を改正いたしておりますが、今般硫酸セフキノムを有 効成分とする筋肉注射剤について、使用対象の動物が従来は牛(搾乳牛を除く)となって おりましたのが、搾乳牛を含む牛に対象が拡大されましたので、使用対象動物、使用禁 止期間についての乳に関する規定が追加になりました。  それから二点目でございますが、この使用規制省令の中で使用基準の一層の遵守を図 っていただくという観点から、獣医師あるいは畜産農家等の動物用医薬品の使用基準の 対象になっている医薬品の使用者に対して、記録をしていただくという規定を追加する という内容でございます。以上でございます。 ○寺尾分科会長  どうもありがとうございました。議題15〜17について、どなたか御意見ございます か。どうぞ、お願いします。 ○神山委員  資料23の猫用なのですが、投与後24時間直接触れないとか、小児が猫に触れないよう にとか書いてありますが、犬はつないで飼うからできると思いますけれども、猫にどう やって直接触れないようにすることができるのか理解できないのですが。 ○寺尾分科会長  吉田委員、お願いいたします。 ○吉田委員  立場上お答えいたします。今普通に猫をお飼いの方は昔と違いまして大概ケージ、バ スケットの小さいものを持っております。そこに入れればいいわけですから、そう難し いことではございません。追加します。家族の安全のために、それくらいのことはおや りになるのが常識になっております。 ○寺尾分科会長  よろしいですか。そのほかにございませんようでしたら、次に入りたいと思います。 各部会からの御報告というのはこれで終了でございますが、その他の事項として一点ご ざいます。厚生科学審議会で審議されました内容に基づき作成されました、「化学物質 の審査及び製造等の規制に関する法律の一部を改正する法律案について」という報告で ございます。資料25でございますが、よろしくお願いいたします。 ○化学物質安全対策室長  それでは簡単に御説明申し上げます。化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律 に基づく個別化学物質の審査、規制については、当審議会、特に化学物質安全対策部会 の方で御審議いただいているところでございますけれども、現在法律改正作業を進めて おりますので、簡単に御紹介させていただきたいと思います。  この化学物質の審査規制法は、化学物質による環境汚染を通じた人の健康被害を防止 するために、新たに開発された工業用化学物質の有害性、すなわち環境中での分解性と か生物での濃縮性、そして人での長期毒性といったところを事前に審査いたしまして、 その有害性の程度に応じ製造輸入等の規制を行っているものでございます。今回法改正 をしようとしたものは、欧米等における同様な化学物質の規制動向や、また昨年1月に OECDの方から出されました我が国に対する勧告を踏まえて見直すとしたものでござ います。具体的な検討におきましては、この法律自体が三省共管ということもありまし て、三省の関係する審議会、産業構造審議会、厚生科学審議会、そして中央環境審議会 の方で御審議いただき、御意見をおまとめいただいたところでございまして、現在法改 正のいろいろな手続を進めているところでございます。  改正の概要でございますが、まず「(1)環境中の動植物への影響に着目した審査・規 制制度の導入」ということで、現行の法律においては人の健康被害を防止することのみ を目的として設定されておりますけれども、今回新たに動植物への影響、生態系への影 響にも着目して、審査・規制を行いたいというのが一点目でございます。  次に2ぺージの「(2)難分解・高蓄積性の既存化学物質に関する規制の導入」という ことですが、「既存化学物質」と申しますのは、この法律ができた昭和48年当時に既に 我が国の中で使用されていたものでございます。この既存化学物質については、有害性 がはっきりした段階では当然規制の対象としているわけでございますけれども、今回新 たに難分解性・高蓄積性という性質が分かった段階で管理の対象にしていこうというこ とで、未然防止の観点から新たな規制を導入するものでございます。  それから「(3)環境中への放出可能性に着目した審査制度の導入」ということでござ います。我が国の現行法に基づく審査・制度におきましては、年間製造輸入数量が1ト ン以上のものについては、すべて審査・制度の対象としてきたわけでございますが、今 回この環境放出性に着目して、例えば(1)にありますように、ほかの化学物質にすべて 変化するような中間物とか閉鎖系の工程でのみ使うものについては、この審査の制度か ら除くといったようなこと等、こういった環境の放出可能性に着目した審査・制度を導 入したいと考えております。  続きまして「(4)事業者が入手した有害性情報の報告の義務付け」ということで、事 業者が入手した有害性情報については国に報告していただくというような制度を設けた いと考えております。現在、この法律案については3月7日の閣議で決定されておりま して、本通常国会で審議をお願いしたいと考えております。以上でございます。 ○寺尾分科会長  どうもありがとうございました。どなたか御質問、御意見ございますでしょうか。も し何もございませんようでしたら、これで本日の議事はすべて終わりでございます。次 回の薬事分科会の日程は、6月の中旬から下旬の間で予定したいと思っております。後 ほど事務局から委員の先生方に御都合をお伺いすることになると思いますけれども、ど うかよろしくお願いいたします。本日は大幅に予定が延長しまして、私の議事の進め方 がまずかったと反省しております。どうも申し訳ございませんでした。では、また今後 もよろしくお願いいたします。                                   ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 総務課 課長補佐 菊池(内線2714)