03/03/24 確定拠出年金連絡会議第5回議事録              ┌――――――┬――――――――┐┌―――――┐              |確定拠出年金|   第6回   || 資料9 |              | 連絡会議 |平成15年7月10日 ||     |              └――――――┴――――――――┘└―――――┘                確定拠出年金連絡会議                   (第5回)                    議事録                平成15年3月24日            確定拠出年金連絡会議(第5回) 議事録 日時:  平成15年3月24日(月) 14:00〜16:00 場所:  厚生労働省 専用第22会議室 出席委員:御手洗座長、太田委員、伊藤人事部主査(河合委員代理)、田中委員、      徳住委員、長久保委員、中村委員、秦 委員、光谷委員、渡邊委員、      吉野委員 オブザーバー:      田村正雄(社団法人生活福祉研究機構理事)      土井康晴(社団法人生活福祉研究機構専務理事)      石田成則(山口大学経済学部教授)      関係団体等:      高橋弘行(日本経済団体連合会経済本部社会保障グループ長)      村杉直美(日本労働組合総連合会総合政策局生活福祉局部長)      小野 明(日本商工会議所新規プロジェクト担当付副部長)      池森啓雄(経済産業省経済産業政策局参事官) 事務局      厚生労働省年金局企業年金国民年金基金課 ○ 御手洗座長  それでは、定刻になりましたので、ただいまから「第5回確定拠出年金連絡会議」を 開催いたします。  本日はお忙しい中お集まりいただきまして、大変ありがとうございます。  それでは、最初に事務局よりメンバーの出欠状況を報告していただきます。 ○ 矢崎課長  それでは、メンバーの出欠状況についてご報告させていただきたいと思います。  最初に、メンバー等に変更がございましたので、ご紹介させていただきます。資料1 の2枚目にご参集いただく方の一覧表がございます。こちらをお目通し願いたいと思い ます。  まず、株式会社すかいらーく総合人事担当執行役員の田中基様がご異動になられまし て、総合人事担当リーダーの田中義宏様に代わられております。  次に、出欠状況についてでございます。本日、トヨタ自動車株式会社の河合様がご欠 席ですが、人事部主査の伊藤様に代理で御出席いただいております。  また、関係団体等でございますけれども、日本経済団体連合会国民生活本部副本部長 の平井様、日本労働組合総連合会総合政策局生活福祉局長の小島様がご欠席ということ でございますが、日本経済団体連合会におかれましては高橋社会保障グループ長、日本 労働組合総連合会におかれましては村杉部長がそれぞれ代理でご出席いただいておりま す。  なお、私どもの方から実施企業の方々に当連絡会についての情報提供等を行ってお り、本日は十数名の実施企業の方々が傍聴されていらっしゃいますことをご報告させて いただきます。  以上でございます。 ○ 御手洗座長  ありがとうございました。  ただいま事務局からご報告がありましたとおり、本日も実施企業の方々に傍聴にお越 しいただいているようですので、前回同様、会議の最後に5分程度の時間を設けまし て、傍聴者のうち、確定拠出年金実施企業の担当者の方々との意見交換を行いたいと考 えておりますので、よろしいですか。  異議がないようですので、そのようにさせていただきます。  それでは早速、議事に移りたいと思います。まず「確定拠出年金の施行状況について 」、事務局から説明をお願いいたします。 ○ 松岡企画官  それでは、お手元の資料2の施行状況についてご説明したいと思います。  まず、1ページ目をお開きいただければと思います。企業型年金の承認規約数でござ いますけれども、平成15年2月28日時点のもので276件でございます。前回お示 ししました昨年12月末では233件でございました。なお、これまで何社ということ でお示ししておりましたけれども、代表事業所に他の小規模の企業が一緒に連なって 入っている場合がございますので、規約数ということで何件という形で示させていただ いております。  企業型年金の加入者数につきましては2月末時点では約30万8,000人、前回お 示ししました11月末では27万4,000人であったところでございます。  個人型年金の加入者でありますけれども、合計で1万2,441名でございます。前 回の会議でお示しした11月末では8,401名であったところでございます。  登録運営管理機関としては624社、12月末時点では495社であったところでご ざいます。  2ページから7ページは承認規約代表企業の一覧表を掲げているところでございま す。  8ページ目は企業型年金の運用実態ということで、承認規約数276件でございます が、厚生年金の適用事業所数としては718事業所でございます。なお、この厚生年金 の適用事業所は法人の本社で一括適用している場合と、事業所、支店や営業所などごと に適用している場合などもございますので、そういう意味で法人数とは異なっていると ころでございますが、参考までにお示ししたところでございます。  以上でございます。 ○ 御手洗座長  ありがとうございました。  それでは、次の議題であります各実施事業所の実施状況等の報告に移りますが、その 前に、委員の皆様方の机に会議資料とともに「DCプランナー」という冊子が置かれて いるかと思います。これは日本商工会議所の小野様が皆様方にご参考にとお配りしたも のです。小野様から簡単にご紹介をお願いいたします。 ○ 小野副部長  日本商工会議所の小野でございます。  いつもこの会議にご出席させていただきまして、非常に有用な会議でございまして、 さまざまな情報がここで一堂に会しますし、いろいろご議論を私どもの会議所等々の活 動にも非常に役に立たせていただいております。今後ともこういう機会がございますれ ば是非ご出席させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。  貴重なお時間をいただいて申し訳ございません。5分ほどご説明させていただきま す。  今、委員の皆様方に「DCプランナー」という名前の情報誌を置いてございます。こ れは昨年11月12日と13日の2日間にわたりまして私ども日本商工会議所、東京商 工会議所、それから日本商工会議所に年金教育を進めるために平成13年9月12日に 商工会議所年金教育センターというのが全国の商工会議所等々の総意のもとに立ち上が りまして、ここには年金関係のいろいろな各団体のご協力を得て、皆様方の御協力でも って成り立っている組織でございますが、それと社団法人金融財政事情研究会が主催に なりまして年金教育の全般的な普及啓蒙ということで「商工会議所年金フォーラムIn  Tokyo」を開催させていただきました。  このフォーラムに当たりましては、厚生労働省に中小企業庁とともにご後援をいただ きました。国民年金基金連合会にもご後援いただきまして、そこに書いてございます が、ほかに多数の年金関係団体、それからNHKや日経新聞や日刊工業新聞、それか ら、東京商工会議所等が中心に設立された東京MXテレビのご協力・ご後援をいただき まして、おかげさまで2日間で1,400名弱、既にDCを導入している企業、あるい はこれから導入しようという企業、あるいは適年の移行を考えている企業に多数お集ま りいただきました。  中身はお読みいただければおわかりのとおりでございますが、このフォーラムでは今 日お越しいただいています秦委員、光谷委員にも事例発表、あるいはその後のパネル ディスカッションには小林参議院議員、矢崎課長にもご参加いただいて、前の日立厚生 年金の常務をされておりました(株)企業年金研究所の箕輪所長の司会のもとに行われ まして、いろいろなことが浮き彫りになりました。  企業年金について考えている企業のアンケートを最後に取りましたが、結論的に言い ますと、参加者の皆さんが多く求められたのは3つございました。1つは、年金債務、 不足金の具体的な処理方法を知りたいという実務的なこと。それから、他社のDCの導 入事例。それから、各企業年金制度の詳細な内容の比較です。というのは、1つの制度 ですべて満足できればいいんですけれども、経営者あるいは従業員ともに満足できるよ うなものがなかなかないので幾つかの制度を組み合わせたらどうだろうかという切り口 から、比較したものでどれとどれを組み合わせればどうなるんだろうかという公平な情 報が欲しい。特に私ども日本商工会議所としましては、中立公正の立場での中小企業の 年金教育の啓発・普及に力点を置いているものですから、私どもも新年度はそういう方 面からも今後攻めていきたいと思っております。  いつも申し上げているのですが、やはり中小企業の健全な発展、安定した活動がなけ れば日本の経済は成り立ちません。そういう意味では今般のフォーラムを通じまして、 実は企業年金の問題というのは退職金、すなわち人事、経営そのものの問題だというこ とを皆さんに理解していただいたらしくて、その後、私どもにいろいろな問い合わせが 来ております。今後とも皆様のご協力のもとに新年度も更に、もう少し具体的な部分で セミナーや相談会も進めていきたいと思いますので、商工会議所年金センターの活動と もども皆様方のご理解とご支援を引き続きよろしくお願いしたいと思います。  なお、後ろの方にお座りの傍聴者の方で希望される方は、入り口の方に残部が置いて ございますので後ほどお持ち帰りいただきたいと思います。  どうもありがとうございました。 ○ 御手洗座長  ありがとうございました。  それでは、実施状況の報告をお願いいたします。まずは東日本旅客鉄道株式会社の中 村様からご説明いただきまして、続いて東京電設サービス株式会社の渡邊様から、それ ぞれの企業における実施状況等のご説明をいただきたいと思います。それぞれ15分程 度でご報告していただきまして、ご質問等につきましてはその後にまとめてお時間をと りたいと思います。  それでは、まず東日本旅客鉄道株式会社の中村様からご報告をお願いいたします。 ○ 中村委員  東日本旅客鉄道株式会社、JR東日本の中村でございます。  これからご説明申し上げますけれども、私どもの会社につきましては企業型の確定拠 出年金ではなくて、個人型という形で行っております。そういう意味では皆様方の企業 と違う部分がかなりあろうかと思いますけれども、その辺はご容赦いただきたいと思い ます。それから、必ずしも確定拠出年金の優等生ではないということで、後で出ますけ れども、加入者が非常に少ない状況になってございます。そういう意味では、失敗例と いうことでお聞きいただければと思っております。  表紙をめくっていただきますと、JR東日本は前身の国鉄時代が昭和62年3月まで ございまして、年金制度の歴史を書いてございます。歴史をひもといてもしようがない んですけれども、今回の確定拠出年金の議論の中では歴史的な背景も若干あるものです から、ちょっとお話し申し上げます。  明治8年から当時は官でございましたので、恩給制度がございました。しかしなが ら、鉄道は当時、現業庁でありましたけれども、帝国鉄道庁。そういう中で、現業の職 員につきましては恩給制度の適用がない。しかしながら、業務災害給付、当時は業務災 害が非常に多かったものですから、そういうところに対する補償もやらなければならな い。あるいは恩給、任官している幹部と一般職員との格差の是正ということもありまし て、大正9年に勅令で旧令共済年金制度がスタートしたわけでございます。昭和23年 に旧国家公務員共済組合年金制度ができましたときには既に包括されたということでご ざいます。  昭和24年に国から公共企業体という準官に移ったわけでございますけれども、旧国 家公務員共済組合年金の制度はそのままということで、恩給制度と旧国家公務員共済組 合年金制度の2つの並列ということで、幹部職員は恩給制度、一般職員は一般の旧国家 公務員共済組合年金という2本立てでございました。その辺が社員管理上の問題にもな りまして、昭和31年7月に公共企業体職員等共済年金ということで恩給制度と旧国家 公務員共済年金制度を一本化したということでございます。  そして、昭和59年に公共企業体職員等共済年金、これが国鉄共済組合独自の年金で ありました。独自といいますか、財政的には独立の年金でございましたけれども、職員 数が減少してくる、あるいは一方では退職者が増えている。そして、退職者増の背景に は戦争中の戦後処理といいますか、満州等からの引揚者を大量に受け入れたということ もありまして、成熟度が非常に高くなったということで財政的に破綻し、そして昭和 59年に国家公務員からの財政調整をいただきながら国家公務員等共済年金の中に入っ たわけでございます。  昭和62年4月の民営化以後も日本鉄道共済組合ということで名前を変えてきました けれども、平成9年に抜本的な財政対策の最終的な姿ということで、民間にもなったと いうことで厚生年金に統合したわけでございます。平成9年までは独立の財布を持っ た、しかしながら、昭和59年以後はほかの共済あるいは厚生年金等から助けを受けて 維持するという年金制度でございまして、ある意味では年金制度の財政を自分で持って いるプレッシャーを十分に歴史的に経験しているということでございます。  次のページにいきますが、昭和62年に民営化されてからの企業年金導入についての 検討ということでございまして、平成3年頃から検討を始めました。同じ頃民営化しま したJT、NTT等が適格退職年金の検討導入が進むとか、いろいろ状況がありまし た。具体的には経費等の試算まで進めたわけでございます。しかしながら、最終的には 当時もJRの共済年金制度ということで助けを受けながらやっていて、抜本的な解決の ために当時の厚生省、運輸省、大蔵省等からいろいろなサジェスチョンをいただきなが らやっていたということでございますので、年金財政問題の抜本的解決が先決であると いうことで、独自の企業年金については時期尚早ということで導入見送りになったとい うことでございます。あわせて、当時は長期債務削減を最優先ということでありますけ れども、これは現在も引きずっておりますが、民営化の際に国鉄時代の借金のうちJR 東日本で新幹線関係も含めますと6兆円を超える債務を引き受けたということがござい ました。しかも、金利の高い債務でございましたので、それを削減することが最優先と いうことでございました。そういうこともあり、導入見送りという判断になっているわ けでございます。  次のページに移りますが、今回の確定拠出年金制度発足に伴っての議論でございま す。  選択肢としては、新確定給付年金、企業型確定拠出年金、個人型確定拠出年金と3つ あったわけでございますけれども、それぞれメリット・デメリットはあるものの、最終 的には長期債務を削減していくという一つの問題。  それから、労働組合等との議論も行ってきたわけでございますけれども、やはり退職 一時金自体がずっと根付いているということで、社員レベルからも退職金を老後の生活 設計の中に入れて考えているということもございまして、退職一時金の全額または一部 の置き換えに対しましては社員の抵抗感が極めて強いということがございました。一 方、現行制度を温存して新規導入というのは、会社として経営上の費用負担が増となる わけでございますので、新確定給付年金あるいは企業型確定拠出年金については当面は 見送ろうということになったわけでございます。  そして、個人型の確定拠出年金ということで、社員個人にとっては財産形成の選択肢 が広がってくる。公的年金制度の将来がいろいろと言われている中で自助努力の範囲が 広がる、あるいは税制のメリットがある、会社にとっても拠出金の負担がない。給与控 除システム等、かなりお金はかかったんですけれども、これは他の年金を入れるに当た っても当然要るわけでございますので、そういうデメリットを考えても個人型確定拠出 年金を希望する社員にやっていこうということでございます。  次のページはなぜ個人型か。今まで話した部分でございますが、社員の将来の生活設 計への影響、当社としてのメリットの問題、社外への資金流失の問題ということで個人 型を希望する社員に対して会社として必要な対応を行うということを決めたわけでござ います。ただし、これは当面ということで将来にわたってということではなくて、将来 の選択肢としては必ずしも一つに絞っているわけではない。状況を見ながらということ でございます。  個人型導入の過程としては平成12年頃から勉強会をいろいろと始めまして、平成 13年からは労働組合との勉強会を始め、そして平成13年の秋頃でございますけれ ども、常務会で方針を決定し、それ以降準備をしたということでございます。平成14 年に入ってから社内誌、次のページに社内誌の去年の1月号でございますけれども、始 まりますというPRをしてございます。  そして、あわせて社内LANに厚生情報掲示板、あるいはオープン掲示板という掲示 板がございますので、そういうところに載せてございます。4月から給与控除の受付を 開始してございます。その後も社内LANに掲載している。あと、これは私どもがやっ た部分ではないのですけれども、交通新聞という専門誌がございまして、そこが確定拠 出年金の特集を5月24日に掲載し、それに対する取材の協力ということを行ってきて ございます。  次の社内誌は飛ばしまして現在の加入状況でございます。一番下に加入者がございま すが、29名にとどまっておりまして、非常に少ない数字でございます。最近はまた止 まっているということで、もう少しPR等をしなければということを考えてございま す。  内容を言いますと、払込別では個人の口座からの払込が14%、事業主からが86 %、平均拠出額が1万2,900円ということでございます。  年代別では20代が3%、30代が17%、40代が35%、50代が45%という 形になってございますが、社員の年齢構成からしますと20代が15%おりますので、 20代が非常に少ないということが特徴的であります。50代の年齢構成が38%ござ いますので、それに対して加入者が45%ということで、50代が比較的高いというこ とでございます。  所属、あるいは金融機関別はごらんのとおりでございます。  性別では、女性が0でございます。もともと2,000人ぐらいしかいないというこ とでございますけれども、2,000人の女性のうち加入が0ということでございま す。  加入者の状況でございますが、アンケートの結果、制度を知った理由というところで は社内報が32%ということで、これがトップでございまして、そのほか一般紙。コン タクトをとった金融機関につきましては、1社が68%ということで、付き合いがある 金融機関が多いようでございます。金融機関の選択理由は取引金融機関が34%という ことで多い、それが反映されているということでございます。  次のページは加入者の状況でございますが、個人型を始めた理由でございます。自助 努力による老後の設計が37%、税制メリットの享受が29%ということで、この辺が 非常に多いということでございます。  年齢別に見ますと、50代では自助努力による老後の設計、やはり老後を強く意識し ているようで、公的年金への不安というのが右の方に若干ございますけれども、あとは 税制メリットが多いわけでございます。  次のページは運用商品でございますが、株式投資信託が30%ということで、これは 30代が非常に多いということでございます。50代は預貯金の次が株式投資信託でご ざいます。運用商品は1種類が非常に多いということで、4種類以上は0でございま す。  次のページは商品のスイッチングでありますが、変更したことがあるというのは実際 には10%しかおりません。変更したいが52%ということであります。  掛け金の上限につきましては低過ぎるというのが57%でございまして、非常に多い わけであります。上限が高いというのは0でございます。加入手数料につきましても高 いというのが57%でございます。  年金受取額でございますが、期待しているのは29%、あまり期待していないという のは57%でございまして、老後の生活設計にはまだ不十分だという認識でございま す。特に50歳代の社員につきましては、70%があまり期待していないということを 言ってございます。  加入者からの要望でございますけれども、運営管理機関への要望として加入後のフォ ローの問題、あるいは知識不足、手続の問題が出されてございます。  制度自体への要望につきましては、年金が受け取れるまで制度を保ってほしい。これ は財政破綻をやってきた私どもの共済年金の歴史があるということでございます。それ から、上限額の問題、掛け金の問題、管理手数料、あとは公的年金と確定拠出年金の割 合選択制の導入という提言もありました。  それから、会社への要望はやはり会社がもう少し積極的に取り組んでほしいというこ とでセミナーの開催や相談窓口、管理手数料を会社が負担してくれないかということが ありました。  そういうことで、伸びない背景ですが、この辺はこれからは私どもの担当ベースでの いろいろな議論の分析ということで、JR東日本の公式見解ととられると困るわけであ りますが、そういうことでご理解いただきたいと思います。  一つは他の年金商品との競合があるということで、私どもで多いのが財形年金、団体 年金で、両方とも1万人を超えてございます。財形年金は財形融資制度、非課税限度額 というのがございますし、脱退できるということもあります。団体年金につきましても 安定性があり、中途脱退が可能ということがございます。  一方では金融市場自体が低迷しているということで、私どもの企業風土からして極め て堅実姿勢というのがあるわけです。そういう意味では、今の金融市場の中では関心が あっても最悪の投資環境と言ってもいい状況でございますので、様子眺めになっている のではないかということでございます。  それから、老後を支えられない拠出限度額ということであります。  3号被保険者になった場合の問題ということで、女性が0という話がありましたけれ ども、やはり脱退の自由がない、脱退できないということ。それから、3号被保険者に なった場合に継続加入もできない。一方では管理手数料のみが毎年毎年取られていくと いう形になってくるわけでございます。この脱退の自由がないという部分では、3号被 保険者に限らずに全体の個人型に言える話かと思っております。脱退ができるのであれ ば、ちょっと入ってみてという形もでき得るということであります。  事務手数料についてでありますが、お互い負担になっておりますけれども、加入者に つきましては限度額が非常に低い中で管理手数料が6,000円ほど取られるというこ と。しかも低収益状況ということで、更にそのほかに信託報酬や売買手数料が取られて しまうということであります。  それから、金融機関にとっても非常に低収益であるということで、管理手数料の中か らレコードキーピング機関に払ったりということになりますと、実際に残るのが非常に 少ないという話も聞いてございますので、そういう中で低収益の部分である。したがっ て、積極策をとり得ない。PR、あるいはセールス体制、あるいはサービスや担当者業 務と非常にコストのかかる部分でなかなか手を出せないということで、最低限のシステ ム、あるいはサービス体制を整えているという状況かと思っております。  それから、自己責任という原則がありますので、私ども企業サイドにつきましても深 入りできない、肩入れできないということであります。  そういう状況があるのではないかということでありまして、要望事項を一番最後に書 いてありますが、拠出限度額の問題。今、標準報酬に対する率ということも一つあるの かと。あるいは、経過措置的ではありますけれども、老後の安定性という意味からいう と、40代、50代の人につきましては限度額をもう少し増やしてもいいのではない か。あとは3号被保険者に対する条件緩和と加入者への対応という部分では、脱退の自 由があればそれでいいのですが、脱退の自由がなければ、それに代わる貸付制度のよう なものが必要なのではないか。  もう一つ、ここに書いてございませんけれども、特別法人税の問題であります。これ につきましては、やはり将来の方向姓をはっきりさせるべきではないかということであ ります。特にDC制度に一度加入すると脱退できないわけなので、現状が経過措置的に 特別法人税がかからないという形になってございますが、そういう中で入って特別法人 税がかかるとなって、これは失敗したといっても掛け続けるしかないということになる わけであります。そういう意味から言うと、将来にわたる制度ということであるわけで ございますので、特別法人税については課税しないという方向で将来をはっきりさせて いただきたいということが要望でございます。  そういう状況で、自助努力によって老後の生活設計をやっていくということ自体は非 常にいいわけでありまして、それに対して税制のメリットもあるということなのでメリ ットはあるんですけれども、もう少し使い勝手のいいものにしていただければというの が加入者あるいは我々担当している者の思いであります。  以上です。 ○ 御手洗座長  ありがとうございました。  それでは、次に東京電設サービス株式会社の渡邊様からご報告をお願いいたします。 ○ 渡邊委員  東京電設サービス株式会社の渡邊でございます。  東京電設サービスの場合、退職一時金の一部を確定拠出年金に移行する導入措置でご ざいましたので、方法論としては簡単な導入への取り組み方法でございました。また、 制度自体も簡単な仕組みとなっております。  2ページの1.会社概要でございますが、当社は知名度のない会社でございますの で、概要を簡単に説明させていただきます。  東京電設サービスは東京電力の100%出資の子会社でございまして、昭和54年 10月に設立されまして、港区芝大門に本社がございます。多くは東京電力の水力発 電所、変電所、架空送電線、地中送電線等の保守点検を実施しております。一般のお客 様の電力設備の保守点検等も受託しておりまして、平成13年度の売上高は合わせまし て521億円となっております。  社員はこの3月で1,662名おりますが、東京電力を定年退職して転籍してきてい る者、あるいは出向してくる者が半数近くおりますので、プロパー社員は約半数の 758名。確定拠出年金制度はこのプロパー社員のみを対象としております。  次の3ページにいきまして、2.従来の退職金制度の概要でございます。  平成12年からポイント制をとっておりまして、旧態の考え方ではあるんですが、自 己都合退職者に対する減額措置と長期勤続定年退職者に対する増額措置が退職一時金制 度に載っておりまして、後ほど申し上げますけれども、確定拠出年金制度の導入におき まして組合との調整に難問が生じたところでございます。  次のページにまいりまして、3.年金制度導入の経緯であります。  労使共同検討会、これは永年に渡りまして検討会、勉強会を開催しております。確定 給付型年金は税制適格年金でございますけれども、これにつきましては80年代後半か ら90年代の終わりまで継続的に検討を実施しまして、実現の可能性が2回ありました が、ともに取り巻く経済環境の変化から静観視されることになりました。  2000年4月から確定拠出年金検討会に切り替えまして、従来同様、第一生命に講 師になっていただいての検討会は8回、労使での自主的な検討会は8回行いまして、組 合執行部と管理職による一般組合員への理解活動を実施してきております。  次の5ページ、6ページは確定拠出年金制度導入に関する労使合意ということです が、組合常任部とは2002年4月の導入でもって2001年12月に合意を確認して いたんですけれども、組合執行部の方はオルグによって一般組合員への周知活動を開始 しました。ただ、一般組合員の方は確定拠出年金にあまり接しておらずに、理解不足と いうことで難航いたしました。このために、2002年1月に組合の方から加入者全員 への理解を得て確実な考えを基盤とした導入実行に移りたいということでもって、導入 時期を7月に延期してほしいという申し入れがございました。  6ページになりますけれども、会社側も参加者全員の確実な考えを基盤とすることに はもちろん賛同いたしまして、計画時期が異なりますけれども、7月導入としまして規 約書に手続の申請を遅らせまして5月に規約の承認をいただきました。  7ページの社員教育ということでございますけれども、2002年5月から6月にか けまして12の事業所でもって、1回につき大体3時間半程度で30名から55名を対 象に説明会、セミナーを開催して、加入対象者758名中1名だけはどうしてもできな かったんですけれども、757名に確定拠出年金制度の教育を実施しております。  内容は(3)にございますように、最初に組合や管理職が既に行っております制度の 概要説明を社員の方から実施しまして、2番目に2部構成ビデオを見せ、説明がなされ ております。3番目に投資信託、商品選定のためのフローチャート、そして商品説明を 行っております。  最後に質疑応答を行いましたけれども、多くの質問が出てまいりまして、全体の時間 としては3時間半を超えても質問が続くようなことが結構ございました。そういう場合 には、希望者のみ残ってもらって質疑応答を続けたような状況も何度かございます。  8ページの社員教育におけるアンケートの調査結果でございます。実質的には不安感 はございますけれども、内容については80%以上が理解したと回答しております。し かし、当社のように金融機関に関係のない業務内容に企業におきましては、商品選定 等、個別商品に対する理解度が低くなっております。一方、意見としまして、広い年齢 層が受講しているけれども、世代に合わせた説明がなされれば理解は早いのではないか という意見もございました。  9ページの6.退職一時金の一部を確定拠出年金に移行する手続ということでござい ますけれども、これは業務処理の煩雑さということを申し上げたところでございますの で、この部分の説明は割愛させていただきます。  10ページから14ページまでは7.確定拠出年金制度の概要でございますけれど も、まず(1)の目的でございます。一つには、当社にはこれまで企業年金制度という ものがございませんでした。若い社員につきまして、予想されます公的年金縮小に対す る補完的年金として老齢時に所得の確保をさせてやりたいということと、もう一つに は、確定拠出年金は会社が社員のために拠出した掛金を社員が自主性を発揮して主体的 ・計画的に運用することができるということでございます。また、自己責任、自助努力 によって資産形成をしなければならない制度であります。そうした意識は仕事をする上 でも大きく影響することだと考えました。  次のページの(3)の制度のイメージでございますけれども、青と緑と黄色の三角形 の部分が従来の退職一時金、上にオレンジ色で上乗せした部分が確定拠出年金制度を導 入したことによって会社がプラスアルファとして付加したものと見ていただきたいと思 います。従来の退職一時金制度の30%を確定拠出年金に移行したわけですけれども、 このために退職金は70%として1ポイント単価を1万円から7,000円として再設 定いたしました。DCに移換した30%のうち、過去勤務資産は8年間で個人口座に移 換いたします。黄色とオレンジ色の掛金部分につきましては後で(6)の掛金部分のと ころで申し上げたいと思います。  次の12ページの(4)の加入対象者、50歳以上の非加入者が21名いたわけです が、これを除きますと加入率は97.2%となります。  (5)の掛金の原資でございますけれども、先ほど制度のイメージのところで申し上 げましたように退職一時金からの30%と会社のプラスアルファ部分が毎月の掛金とな りまして、制度導入時の退職金要支給額の30%が8年間に分割されて移換されます。  13ページにいきまして(6)の掛金額ですが、当社では業績評価を主体として決定 する資格等級を15段階に分割しておりまして、その等級に応じた等差額の8,000 円から3万6,000円を月額の掛金としております。掛金設定時におきましては、掛 金が等級別の退職金要支給額の平均額×30%を下回らないことを条件として考えてお ります。  (7)と次のページの(8)の受給権は全く一般的な方法でございますので、こちら の方は省略いたします。  14ページの(9)の制度の特徴でございます。掛金額においても少々申し上げまし たけれども、一つは掛金の設定において初任資格等級であります1等級から始まりまし て、最上位等級であります15等級の掛金を等差として各等級別の退職一時金要支給額 30%の平均額と比較して、掛金が低くならず、既得権を確保できるように設定したと いうことでございます。ということは、会社からのプラスアルファ部分が必要であった ということでもございます。  2つ目に、資格等級は人事考課によって形づくられているわけでございますので、資 格等級を基準とすることによって社員の意欲発揮と業務成果に期待を込めているという ことでございまして、確定拠出年金制度導入の目的にもつながっているわけでございま す。  次の15ページ、16ページにもつながっているわけでございますけれども、8.運 用商品選定の考え方及び運用商品の内容でございます。  まず(1)の商品選定の考え方でありますが、わかりやすい商品選定の仕方というこ とで、当社のような技術・技能系の多いところには全く初歩的な選定の仕方が必要でご ざいます。そのために、わかりやすい選定の仕方を教えられるコンサルタントが大切で あるということから、多くは同じコンサルタントに当たってもらいました。また、簡単 な商品構成と信頼性のある運用商品でなければならないとも考えまして(2)の10商 品を選定した次第でございます。それが15ページから16ページに載ってございま す。  17ページの9.資産の運用状況でございます。  昨年8月から掛金の拠出が始まっておりますが、資産の運用状況に大きな変化はござ いません。過去勤務分の8分の1の移換分を含めましても、それぞれこの2月までで元 本確保型が57%から58%、ライフサイクル・ファンド型が17%から18%、その 他の投資信託が25%から26%となっております。直接的に資産運用ということでは ないのですが、(3)の退職一時金移換額の問題ということで、最初の方に組合と難航 を来したということを申し上げておりました。古い規則を持っておられるところであれ ば一般的かと思われるのですけれども、ちょっとご紹介申し上げたいと思います。  確定拠出年金の政令の第22条第1項第5号に「退職一時金の移換額は自己都合退職 金のみ」とございます。もちろんこのように簡単な条文ではございませんけれども、3 ページに載せましたように、当社の退職一時金規程には自己都合退職者に対する減額措 置の規定がございます。それで勤続20年未満の自己都合退職者には減額措置があるた めに、DC導入時に20年未満であった者には削減額が発生しまして、勤続18年、1 9年となりますと、退職金要支給額が大分大きくなります。その削減額も大きくなるの ですけれども、導入時に損失した額というのは後に取得することはできません。そのた めに、当社では青丸の3つ目にありますように減額分は退職一時金にポイントでもって 上乗せしまして、組合と合意してDC導入への移行を行った次第でございます。  次に18ページの10.事務費の負担方法でございますが、この部分も一般的かと思 われますので、説明は割愛させていただきます。  19ページ、11.東京電設サービスとしての課題と取り組み方針であります。  まず課題の1つ目に、運用商品としては多くの加入者から商品数を多くするよう検討 してほしいとの要請がありまして、これは組み合わせ方を含めて検討したいと考えてお ります。  課題の2つ目のコールセンター、Webサイトの利用率向上ですけれども、当初は月 に300件以上もあった利用件数も最近は70件から50件ほどに低下してきておりま す。確定拠出年金の導入の目的でありました自主性発揮による主体的・計画的な運用が このような状況ではできなくなってしまいますので、利用率の向上を促進したいと思い ます。  3つ目の資格等級関係ですけれども、当社では現在15段階に分かれていますが、よ り少ない区分でもよいように考えていますけれども、等級改定は簡単にはできないとい うことでございます。  次に取り組み方針ですが、1つ目の社員教育については皆さんもおっしゃられていま すように会社として継続的な学習ができるような整備をしていきたいと考えておりま す。  2つ目の商品追加の検討につきましては加入者の意見としても出てきておりますが、 課題としての商品組み合わせとともに、商品を追加して参加者が自由に選択できるよう な商品にしたいと思います。  3つ目のグループ企業へのPRにつきましては、確定拠出年金導入後、グループ企業 の数社から確定拠出年金につきまして説明を求められ、説明もしてきておりますけれど も、より積極的にPRをしまして、確定拠出年金の加入者が恩恵を被るように取り組ん でまいりたいと考えております。  以上、ご説明を申し上げたところでございます。 ○ 御手洗座長  ありがとうございました。  それでは、ただいまご報告いただきました資料3、4につきまして何かご質問がござ いましたらお願いいたします。いかがでしょうか。  私の方から、JR東日本の中村委員のご発表ですけれども、加入者が29名というこ とで大変まだまだという感じだと思われるのですが、今回の取り組みはある意味では非 常におもしろい切り口といいますか、一つのモデルになるような切り口ではないかと 思っていまして、非常に大事な取り組みだと思ったのです。そういう意味で29名を更 に今後どういうふうに増やしていこうとされているのか、その辺で何かありましたらお 願いいたします。 ○ 中村委員  いい制度だとは思うのですけれども、資料にも書きましたように多分私どもが社員に 対して入った方がいいよと言った瞬間にたくさん入ると思うのですが、それが言えない というのがあるわけです。ですから、客観的にこの制度のメリットなりデメリット、そ してまたほかの財形あるいは生保の年金、団体年金も含めたライフプランといいます か、その辺の社員に対するPRとか、そういう中で確定拠出年金はどういう特徴がある という部分をPRしていく必要があるのかと思っております。  やっていて非常に難しいのが、企業型と違って特定の金融機関と結びついてやること ができないという部分がありますので、金融機関、運営管理機関を招いてというのもな かなか難しいという部分があるので、その辺も公平な第三者という形でそういう人を選 んでやってもらうとか、いろいろなやり方で公正性・中立性を損なわない、かつ自己責 任の原則を損なわない範囲でやっていきたいと思っております。社内LANを継続的に やるというのはつくる方の難しさもあるんですけれども、この辺も継続的にやっていく のが大事かなというふうに思っています。  資料を取り寄せるまではやっている人間も何人かいるんですけれども、そこから先が なかなか進まないことで、関心はあれどもイラクの戦争が終わってからとか、いろいろ なことで先延ばししているのが結構いるのかなと思っていますので、もちろん客観的な 状況はあるんですけれども、少なくとも確定拠出年金に対する関心を失わないように継 続させていきたいと思っています。 ○ 御手洗座長  他にございますでしょうか。 ○ 田村理事  一つだけ教えてください。  JRの13ページの制度自体の要望という項目の一番下に公的年金や確定拠出年金の 割合選択制の導入と書いてあるのですけれども、これは具体的にどういうことをイメー ジしているのでしょうか。 ○ 中村委員  公的年金に対する不安感といいますか、その辺が非常にあるものですから、厚生年金 のような確定給付型かつ公的年金、それと自己責任に基づく確定拠出年金を割合選択制 ということで、公的年金の方を少なくして確定拠出年金を増やしたいという意見だと理 解しております。先ほどありましたけれども、私どもの国鉄共済年金自体がかつて財政 的につぶれたという歴史を持っていますので、そういう意見が出る背景があるのかと 思っています。 ○ 田村理事  そうすると、例えば公的年金の保険料を減らして、その一部を確定拠出年金へという 感じのことを考えているわけですか。 ○ 中村委員  これは書いた人の個人の勝手な意見でありますので、JRがこういうふうに要望して いるということではないことはご理解いただきたいと思いますが、今の厚生年金の保険 料も必ずしも安くないわけなので、そういう意味から言うと、例えば厚生年金の給付額 は半分でもいいから、その部分の確定拠出年金で自分の好きな運用をやって、これは自 己責任だから少なくても文句は言えないという意味なのかと受け止めています。 ○ 石田教授  ただ、英国型のコントラクトアウトのようなことをイメージされているような気がい たします。 ○ 中村委員  そうかなと思うんですが、この人は多分そういう勉強まではしていないと思います。 イメージ的にはそうかと思います。 ○ 御手洗座長  ほかにございますか。  東京電設サービスは事前の交渉、社員教育を常にきめ細かくやっておられると思うの ですけれども、アンケートの調査結果も出されておりまして、これは使用前ですが、そ ういうことを踏まえまして使用後といいますかね、導入後といいますか、その辺もきめ 細かくやられるようなことは何か考えておられるのでしょうか。 ○ 渡邊委員  今、その後の教育をどうするということを具体的には考えていないのですけれども、 それをやらなければいけないということは考えています。 ○ 御手洗座長  ありがとうございます。ほかにご質問はございますでしょうか。  それでは、中村様、渡邊様、大変ありがとうございました。  次の議題に移らせていただきます。  続きまして、確定拠出年金実態アンケート調査につきまして社団法人生活福祉研究機 構の田村様より15分程度ご報告をお願いいたします。 ○ 田村理事  それでは、資料5−1と5−2が用意されておりますけれども、私の方から最初に少 しだけ感想を申し上げます。  前回、になりますか、単純な項目につきまして簡単な集計の結果だけをご報告してお りますけれども、その後、幾つかの項目につきまして、クロスさせて集計をいたしまし た。今回ご紹介いたしますのはその結果でございます。  ただ、前回もご説明しましたように回収率が大変低いのです。それが1点と、特に個 人型がそうだったのですけれども、回答の中身にこれは正確ではないと思われるような 点が散見されまして、集計の対象として本当にいいのかなという感じの調査票が随分あ りました。後で石田教授の方から説明しますけれども、そういうことも含めた上でごら んいただきたいと思います。  最初から調査内容を欲張り過ぎたという点もあるかと思います。大変分厚い調査票に なっておりまして、最初からこういうものをぶつけたのが間違ったかなという感じをし ております。あまり欲張り過ぎた結果正確なものにならなかったという反省点がござい ます。そういうことも含めまして、今後調査をやるときはもう少し考えなければいけな いかなと反省しております。詳しい報告の内容は資料5−1及び5−2で石田教授から 報告させていただきますので、よろしくお願いします。 ○ 石田教授  それでは、確定拠出年金実態アンケート調査結果のクロス集計版のご報告を申し上げ ます。  資料5−1は要約、概要版でございまして、このたびは資料5−2に添ってお話をさ せていただきます。枚数もかなり多くなりますので、途中をはしょりながら、なおかつ 駆け足でご説明申し上げますことをご寛容ください。  まず、1枚目から16ページまでは企業調査のクロス集計結果でございます。  1枚目には回答企業の特性を書かせていただいております。右側の表につきまして は、従業員及び加入者規模別の社数をまとめてございます。  「・」の2番目にございますように、このクロス集計では全く新規に確定拠出年金を 導入いたしまして企業の特徴を見るということで新規導入企業と、従来から企業年金制 度を持っていらっしゃった、存在していたその他企業に分けて集計してございます。そ れぞれサンプルの総数は25社と42社になっております。  1ページおめくりいただきまして、Iの確定拠出年金の導入理由等についてでございま す。左の方に確定拠出年金の導入理由につきまして、複数回答で全体の集計を載せてご ざいます。一番下にございますように現段階で、転職時などのポータビリティの確保、 新規人材確保に向けた魅力向上などの理由を挙げる企業は少数にとどまっております。  もう1枚おめくりください。図1では確定拠出年金の導入理由を新規導入企業、その 他の企業に分けて比較しております。新規導入企業では福利厚生の充実・見直しが8 割、従業員の老後生活保障の多様化が6割、そして従業員自らライフプランを考える契 機が52%となっております。  これに対しまして、その他企業では企業会計改革に合わせた退職給付債務の解消、従 業員自らライフプランを考える契機が52.4%、給与・報酬体系の再構築の42.9 %が高い比率となっています。  1ページおめくりいただきまして、確定拠出年金以外の退職給付の状況でございま す。左側には他の退職給付の状況につきまして種類別に内訳を載せてございます。全企 業では約7割に他の退職給付がございます。右側は、他の退職給付から導入時点で資産 移換した割合が全体で4割ありまして、移換された原資の比率を表で整理しておりま す。  1ページおめくりいただきまして、確定拠出年金以外の退職給付がある割合を従業員 規模別に見たものが図2になります。10人未満でない比率が、ある比率を上回ってお ります。また、10人〜99人、300人〜499人の企業で、ないという比率が相対 的に高くなっております。  おめくりいただきまして、IIIは掛金等の状況についてでございます。下の図3にあ りますように新規導入企業に属します全加入者の平均掛金額は9,166円、その他企 業の平均掛金額は1万2,362円となっております。  これに対しまして図4では、それぞれ掛金額が上限に達している加入者の比率を比較 しておりますけれども、新規導入企業で30.7%、その他企業で33.7%となって おりまして、大差はございません。  次のVは投資教育でございます。確定拠出年金の導入前と導入後の投資教育につきま して、その実施機関を比較してございます。図5が導入前教育の実施機関、実施主体で ございます。図6は導入後教育の実施機関、実施主体でございます。それぞれ自社、運 営管理機関の比率が図5と図6に記載されております。  1ページおめくりください。次の図7では、新規の導入企業とその他企業で導入前及 び後の説明会回数の比較を行っております。1人当たりの回数で見ますと、新規導入企 業は2.2回、その他企業は1.5回となりまして、前者が後者を上回っております。 なお、導入後に限定いたしますと、新入社員への説明会及び継続教育のための説明会に ついて1人当たりの回数に大差はございません。  1ページおめくりいただきまして、図8でございます。前回の会議の際に投資教育効 果の把握状況をご報告申し上げましたが、それを加入形態で比較しております。新規導 入企業では把握しているという比率が10%、今後把握する予定が33%となっており まして、合計しても把握する予定はないという57%を下回っております。その他企業 ではそれぞれの比率が35%、28%、そして37%となっております。  1ページおめくりいただきまして、図9ではこれを従業員規模別に比較しておりま す。投資教育効果を把握している割合は1,000人〜4,999人が72.7%でか なり高く、また10人未満が33.3%、1万人以上が37.5%で平均を上回ってお ります。  1枚おめくりいただきまして、VIでは各種の手数料につきまして運用関連業務、記録 関連業務、そして資産管理業務に分けまして、更に各々について初期費用と維持管理費 用の月額を質問しております。そして、それを今回は従業員規模別に見ましたものが図 10から図17でございます。  まず、図10では運用関連業務の手数料の初期費用を規模別に比較しております。図 11はその維持管理費用を規模別に比較しております。  次に1ページおめくりいただきまして、図12では記録関連業務手数料の初期費用 を、図13ではその維持管理費用を規模別に比較しております。  次に、図14では資産管理費用の初期費用を、図15ではその維持管理費用を比較し ております。これらを通しまして、このグラフからいたしますと、規模の経済性、スケ ールメリットがうかがえる結果となっております。  もう1枚おめくりいただきまして、図16、図17では投資教育に関します初期費用 及び継続費用が月額でグラフ化されております。投資教育だけにつきましては規模別の 傾向はうかがえないようです。  最後に、VIIの運用商品では図18、運用商品総数を規模別に比較しております。こ の図を見ていただきますと、ここでも規模別の傾向はあまりうかがえないということが おわかりになるかと思います。  以上が企業調査結果でございます。  次に、17ページ以降の個人調査に移りたいと思います。  まず、17ページでは回答加入者の特性につきまして、企業型、個人型、企業型の中 の一律適用者、希望加入者、更には個人型の第1号、第2号ということでそれぞれ人数 を記載いたしております。右側には年齢・年代別の人数及び割合を整理いたしておりま す。  1ページおめくりいただきまして、Iの加入状況についてです。  まず、企業型の希望加入者及び個人型加入者による加入理由を比較したものが図19 になります。企業型では自ら資金運用するよい機会、自助努力により老後生活に備える などが高く、個人型では公的年だけでは老後生活が不安、税金等を考慮して老後資産形 成に有利、自助努力により老後生活に備えるなどが上位を占めております。  1枚おめくりいただきまして、19ページの図20ではこれを個人型の第1号と第2 号で比較してございます。  更に1枚おめくりいただきまして、図21では主要理由に限定いたしまして年齢別、 年代別に比較しております。20歳代、30歳代の世代ほど自ら運用するよい機会を選 択する比率が高く、50歳代では公的年金だけでは老後生活が不安という比率が高くな っております。税金等を考慮してという選択肢の比率は40歳代の後半でやや高くなっ ております。  1ページおめくりいただきまして、次は投資教育についてでございます。  図22では、導入前の投資教育の実施主体を加入形態別にまとめております。先ほど と同じように自社及び運営管理機関、そして専門機関、更にはその他の比率がグラフ化 されております。  1ページおめくりいただきまして、今回のアンケート調査では制度内容、加入手続、 資産運用方法、そして運用商品などの理解度を4段階で質問しております。これを加入 形態別に比較したものが図23でございます。これを見ていただきますと、理解できた という比率は個人型で高い傾向があります。  同じく図24では、制度内容に続きまして資産運用方法の理解度を比較しておりま す。こちらの方は個人型の第1号でやや理解できた、十分理解できたという比率が高 く、個人型の第2号がこれに続いております。  24ページの図25ではこれを年齢別、年代別に見ております。制度内容についてだ け取り上げておりますけれども、制度内容につきまして30歳代、40歳代、そして 50歳代の前半で理解の程度が高く、20歳代の後半及び50歳代の後半でやや低いと いう結果が出ております。なお、ここには書いてございませんが、資産運用方法の理解 度につきまして年齢別に見てみますと、今度は50歳代の後半で十分理解できたという 比率がかえって高くなっております。  1枚おめくりいただきまして、このアンケートの中では実施方法、すなわち説明会、 資料の配布、Webサイト、ビデオ、DVD配布、それぞれの実施方法に対する加入者 側の評価を聞いております。  この点につきまして、まず説明会の開催の評価を図26にまとめております。説明会 の開催を効果的とする比率は個人型の第2号が55.6%で高くなっておりまして、他 は40%強ということで同程度でございます。  図27ではWebサイトを効果的とする比率をまとめてございます。希望加入者で 30.6%、個人型加入者で25%、そして一律適用者で19.4%がWebサイトを 効果的と評価しております。  1ページおめくりいただきまして、前回報告させていただきましたように、通常の投 資教育に加えまして具体的な投資アドバイスを受けたいという意向がかなり強く、約7 割弱ございました。これを加入形態別に比較したものが図28です。ここで具体的な投 資アドバイスを受けたいと思う比率は一律適用者が76%で最も高く、希望加入者が真 ん中ですけれども、67%。そして個人型加入者、この円グラフの一番外側になります けれども、41%と低くなっております。個人型の加入者では受けたいと思わない比率 が5割を超えております。  1枚おめくりいただきまして、図29では投資アドバイスを受けたいと思う機関を加 入形態別に比較しております。自社、それから自社の運営管理機関、更に第三者的な投 資専門機関、それぞれにおいて比較しております。  1ページおめくりいただきまして、IIIが運営管理機関についてで、まず1)でコー ルセンターの利用状況について加入形態別に整理しております。加入形態別にコールセ ンターの利用経験を見ますと、それほど大きな差はございません。  そこで、次に図30では利用目的につきまして比較しております。企業型では運用商 品が55.8%とかなり限定的であります。ところが、個人型では制度内容、加入手 続、そして運用商品満遍なく挙げられております。  これを年代別に見てみましたものが図31です。制度内容につきましては30代の後 半で40%と高くなっております。加入手続きにつきましては30歳代の前半、40歳 代の後半で高い比率になっております。運用商品につきまして平均で約5割ということ ですが、20歳代の後半が8割、30歳代の後半が6割と比率が高くなっております。  おめくりいただきまして、図32はWebサイトの利用状況を加入形態別に整理して ございます。利用したことがあるとする割合、比率は円グラフの真ん中の希望加入者で 一番高くなっておりまして、一番内側の一律加入者、それから外側の個人型加入者の順 になっております。  これを年齢別に見ましたものが図33でございます。利用経験ありというのは平均的 に4割前後ですけれども、20歳代前半で25%、50歳代後半で10.3%と低くな っており、一方、30歳代前半で52.1%とかなり高くなっております。  次に、図34ではWebサイトの理解度を加入形態別に比較しております。加入形態 別に見ますと、個人型加入者におきまして十分理解できた割合が5割を超えておりまし て、やや理解できたという割合も加えますと9割を超えております。両者の合計比率は 一律適用者で76.7%、希望加入者で73.2%となっております。  なお、年齢別に見ますと、これは図を載せておりませんけれども、十分理解できた比 率、割合が40歳代で高くなっております。一方で40歳代後半と50歳代前半では理 解できない比率も一番高くなっておりまして、ここら辺では二極分化が起こっているよ うです。  続きまして、図35では記録管理会社からの通知書に対する理解度を加入形態別に比 較しております。加入形態別に見ますと、十分理解できた、やや理解できたの合計比率 は個人型加入者の56.7%が最も高く、希望型加入者が50.3%、一律適用者が 48.8%で続いております。  最後に、IVでは資産運用状況について図表化、グラフしております。  まず初めに、確定拠出年金への掛金月額を加入形態別に見たものが35ページの図 36でございます。企業型では1万4,122円、個人型では2万4,327円となっ ております。また、企業型の中では希望加入者が1万6,933円、一律適用者は1万 2,880円となっております。  最後に、運用商品の類型ごとに資産残高割合について加入形態別に比較したものが図 37でございます。企業型では預貯金が32%、株式投資信託が45.9%と比率が高 くなっております。この企業型は円グラフでは真ん中でございます。反面、公社債投資 信託が5.9%、保険商品が8.0%とやや比率が低いという結果になっております。 なお、年代別の資産残高割合につきましては前回の連絡会議の際にご報告させていただ いております。  以上、大変駆け足になりましたけれども、このたびのアンケート調査のクロス集計版 の結果をご報告申し上げます。ご静聴ありがとうございました。 ○ 御手洗座長  ありがとうございました。  なかなかおもしろい結果が出たと思うんですけれども、ただいまのアンケート調査の 報告を受けましてのご意見、ご感想、ご質問等がありましたらご自由にご発言いただき たいと思います。いかがでしょうか。  では、私の方から。4ページと5ページですが、退職給付のほかにありますかという 中で特に5ページ、3割ぐらいが他にないということですね。10人未満で見ますと7 割近くがないということでございまして、これは確定拠出年金の制度が非常に効果的に 運営されているといいますか、法制化の目的がきちんと実効性が発揮されているという ことだろうと思っていまして、非常にいい結果が出ているのではないかと思ったんです けれども、これは感想です。  あとは7ページ目ですか。これは前回、徳住委員の方から話があったように覚えてい るんですけれども、やはり掛金の上限に随分引っかかっているといいますか、それが3 割ぐらいあるというのはこういった現状の制度のいろいろな問題点が浮き彫りにされて いるのかなという気がしたんです。  感想ですけれども、私はその2点を感じました。  他に何かございますでしょうか。 ○ 太田委員  質問なんですけれども、12ページのデータですけれども、運用関連業務手数料は初 期費用と維持費用のところも同じく人員規模が中小企業のところで跳ね上がっているん です。ただ、1ページ目のサンプル数を見ても、例えばサンプルが非常に少なくて跳ね 上がったということもないようだと。考えられる点は何かございますでしょうか。 ○ 石田教授  一つは、この度の集計におきまして100人から以降、300人以降もそうですけれ ども、この辺の数値につきましては加入者の数ということではなくて従業員の規模を とって集計してございます。そういったところで、実際の加入者ということになります と、ここら辺の山がもう少し低くなる。例えば100人〜299人あたりのところでは 少し低くなる可能性もあるかもしれません。  今回は、この全体の手数料につきまして会社全体の影響力といいましょうか、交渉力 といいましょうか、そういったものを見る目的がございまして従業員規模をとりました けれども、加入者規模で統計をとり直してみますと、図表化し直してみますと、若干異 なる結果が出てまいります。 ○ 徳住委員  調査結果の一番最後の資料でございますけれども、これまで運用商品の内容について は元本保証型が6割等々を占めているような参考事例がたくさん出ていたんですが、こ れを見ますと株式投信が4割を超していますし、公社債投信、債権が国債なのかどうか わかりませんが、株式等々を入れると直接金融型といいますか、要するにリスク商品に も分散投資がなされているという調査結果が出て、非常にいいと思えるんですが、これ は回答してきたところが積極的なところだったからか、どういうふうに理解していいの か。これを本当に全体の今の状況と見ていいのかどうかということについて何かコメン トがあればいただきたいと思います。 ○ 石田教授  今の数字は株式投資信託が44%になっているというところでございましょうか。 ○ 徳住委員  株式投信が44%ですし、株式自体も5〜6%ございますね。公社債投信もございま すので、要するに2〜3割という感じで読み取れるんですけれども、この読み取り方が 間違っていればご指摘いただきたいのでございますけれど。 ○ 石田教授  内容についてはそのとおりでございます。  一つ考えられますことは、今、運用商品別の残高割合の要因分析、プロビット分析と 言いますけれども、それをやっておりまして、そのプロビットの分析結果などによりま すと従来型の企業年金、例えば適格年金や退職金を持っているところほど株式投資信託 などの比率が高い。特に厚生年金基金を持っているところは株式投資信託も、それから 株式の比率も高くなっております。こういう結果が出ておりますので、もしかしますと 今回のサンプル自体が、例えば厚生年金基金を単独でなくても複数組み合わせて持って いるような企業が若干多い場合には、株式投資信託や単体の株式に対する残高割合は大 きくなる傾向にあると思われます。 ○ 御手洗座長  この比率は例えば日立製作所の資産運用の比率と大体合っていますね。やはり今言わ れた厚生年金基金があって、ほかに退職給付があって、一部を運用しているというとこ ろがあるのかもしれませんけれども。 ○ 石田教授  補足ですけれども、今の点につきましてここでは企業型と個人型を比較しております が、そのほかに企業型の中の一律適用者と希望加入者で比較しますと、希望加入者の方 で株式投資信託の比率がかなり高いということでありますとか、個人型の第1号と第2 号で比較いたしますと、第2号の方で債券などがかなり高いなどの結果も出ておりま す。更に、こういった加入形態別の詳細な結果につきまして最終報告書に記載させてい ただきたいと思っております。  ありがとうございました。 ○ 御手洗座長  まだご質問もいろいろあるかと思いますが、時間もございますので、この辺でアンケ ート関係の報告を終わらせていただきます。田村様、石田様、大変ご苦労様でございま した。  それでは、引き続きフリートーキングにいたしたいと思います。その前に今までの当 連絡会議での議論の概要をまとめたものを資料6の連絡会議の議論の概要としてお配り しておりますので、これにつきまして事務局より説明をお願いいたします。 ○ 松岡企画官  それでは、資料6についてご説明いたします。第4回目までのこれまでの連絡会議で 出されました主な意見を整理したものでございまして、何か一つの方向を集約という趣 旨ではございません。その点をあらかじめお断りしておきたいと思います。時間の関係 もございますので、簡単にご説明させていただきます。  まず1番目の項目に確定拠出年金の導入理由・意義についてでありますが、3つほど ございまして、企業を取り巻く環境の変化への対応ということで、企業再編等への対応 であります。2つめが従来の企業年金制度を取り巻く環境の変化への対応ということで 運用の悪化への対策などがございます。3つ目が人事制度を取り巻く環境の変化への対 応といったことで、能力主義、雇用の流動化への対応が挙げられております。  2番目の項目が投資教育でございます。投資教育につきましては、まず継続した投資 教育についてということで、これが非常に重要な課題ではないかといったことが挙げら れております。  それから、投資教育のガイドラインの必要性についてということで幾つか議論が出て おります。これは何らかの形での基準・モデルが必要ではないかといったご意見などが 出ております。  それから、個人型加入者への投資教育についてということで、これについての周知、 普及のための取り組みが更に必要ではないか、あるいは効果的な在り方を考えることが 必要ではないかといったご意見が出されております。  2ページ目でございますが、3番目の項目が資産運用でございます。まず運用商品の 問題についてでございますが、導入企業、金融機関とも商品開発を積極的に行っていく べきではないかということが挙げられておりますのと、同じ運用商品であるにもかかわ らず手数料が違うようなものが存在しているといった問題も指摘されております。  2つめが、商品の売買のタイミングについてということで、売買・購入等に数日かか るといったことで、適時に変更ができないといったことが出されております。  3つ目が自社株の取り扱いについてということでございますが、導入の禁止や保有割 合等の規制を設けるべきではないかというご意見が出ている一方、自社株についてはリ スク判断が容易なので、むしろ望ましいのではないかといったご意見もいただいており ます。  4番目の項目が運営管理機関及び資産管理機関についてでございます。記録関連運営 管理機関と資産管理機関が別組織である必要はないのではないかといったご意見や、よ り効率化が必要ではないかといった意見が出されております。手数料についてでありま すが、急速に低下しておりまして、サービス水準が確保されないおそれがあるのではな いかといったご指摘がございました。  5番目の項目が各種運営面についてということでありますが、まず、企業型から個人 型への円滑な資産移換についてといったことで、移換手続について実施企業が周知を図 る必要がある必要があるのではないかというご意見が出されております。  それから、企業の個人情報の取り扱いということで、事業主に示してよい範囲の合意 づくりが必要ではないかというご意見をいただいております。  3つ目が連合型規約の普及ということで、中小企業が導入する場合のコストを考える と連合型規約が必要ではないかということでございます。  3ページ目でございますが、6番目の項目が制度の改善についてのご意見でございま す。  このうち1番目が税制についてでございますが、まず非課税限度額につきまして引き 上げが必要ではないかといったことでございます。  2つ目が特別法人税について、撤廃または凍結が必要ではないかといったご意見が出 ております。  3つ目、マッチング拠出についても認められないかということでご意見が出ておりま す。  2番目は確定拠出年金制度についてということであります。まず、脱退一時金であり ますが、個人型の運用指図者の場合は少額資産について手数料以上に運用益を上げなけ ればいけないので、その対応が必要ではないかといったこと、あるいは、途中引出制 度、貸付制度が考えられないかという意見が出されております。  2つ目が加入対象者の拡大等についてということで、3号被保険者や2号被保険者で 個人型年金の加入対象者の拡大などが必要ではないかということであります。  3つ目が過去の企業年金資産を個人型へ資産移換ができるようにできないかといった ようなご意見をいただいているところでございます。  簡単ではございますが、以上でございます。 ○ 御手洗座長  ありがとうございました。  ただいまの説明に加えて追加しておく事項など、ご意見がございましたらお願いいた します。また、これに限らず全般にわたってご意見やご感想がありましたら自由にご発 言いただきたいと思います。いかがでしょうか。 ○ 小野副部長  本日は年度最後ということですので、一つだけ意見といいましょうか、質問があるの でございますが、私ども商工会議所は全国527、約160万の中小企業を中心としま した会員がございますけれども、各地の商工会議所の中には地域の中小企業の発展を図 る観点から、運営管理機関と地元に関係の深い金融機関が連携して中小企業にとってメ リットのある確定拠出年金制度の導入方法を検討するところも増えてきております。現 に札幌商工会議所、大阪商工会議所が相次いで確定拠出年金のサービスを始めたという ことでございまして、新年度の平成15年度はそういったことを検討する商工会議所も ますます増えてくるかと思います。  ここで私どもも一つ考えてございまして、先ほどご説明申し上げまし昨年11月開催 の「商工会議所年金フォーラムIn Tokyo」でシニアプラン開発機構の千保主席 研究員もご指摘されていましたけれども、この制度を育成して発展させていくには加入 者の運営管理機関に対する信頼がカギとなり、その意味では運営管理機関の受諾者責任 の体制とか、トラブルシューティング体制の整備状況が挙げられるというご指摘がござ いました。  現在、運営管理機関も非常に数多く増えてきておりますけれども、考え過ぎかもしれ ませんが、運営管理機関の破綻問題という懸念は今後生じるものなのか、生じるものな のかと申しましょうか、そういうことを考えていかなければいけないのかどうか、運営 管理機関の具体的な選択が一つ大きなカギになってきます。そこが私どもの考えの中で 懸念と申しましょうか、引っかかるところがございまして、この辺を皆さんはどう考え ておられるのか、皆さんの率直なご意見をお聞かせ願えればと思っています。  以上でございます。 ○ 御手洗座長  いかがですか。この辺に一番詳しい秦委員、いかがですか。 ○ 秦委員  運営管理機関の場合は、実はそれが金融機関である場合には多少問題になるだろうと 思います。しかしながら、運営管理機関は変えればいいわけですから、私は運営管理機 関が倒産したからといって大きな問題に私はならないのではないかと。むしろ確定拠出 年金制度全体として問題になるのは、記録関連運営管理機関が倒産したときは大きな問 題になるわけですね。倒産というと言葉がよくないのですけれども、この辺は既に厚労 省にもいろいろお話ししているのですが、どこかの銀行みたいにシステムダウンしてし まって2〜3日動かないというときに、例えばスイッチングしようとしたらできなかっ たと。では、そのリスクは誰がとるのですかというようなあたりです。社会的なインフ ラとして運営管理機関もさることながら、そこにある記録関連運営管理機関が問題にな ってくる。資産管理機関は実際はあまり問題にならないのです。むしろ個々の投信のカ ストディアンがどうなのか、それから運用している主体です。ですから、特に私ども一 番気にしているのは確定元本の商品を提供している金融機関のリスクが一番問題になる のではないか。ですから、運営管理機関のクレジットリスクというのは加入者からみれ ば少し小さいのではないかと思っております。  せっかくの機会でございますので、今まであまり問題にされてきていなかったような ポイントで確定拠出年金制度に絡んで問題になるのではないかという思うポイントが幾 つかございますので、少し時間をいただいてお話をさせていただきたいと思います。  まず、弊社もそれをやったわけですけれども、従来は例えば適年とか厚生年金基金み たいな制度があって、特に基金の場合が一番問題になるわけですが、それをやめて 401Kにいくような場合、その制度移行が現在の法律の中でなかなか難しいのです。 特に資金を持っていくというのがなかなか難しいために、実は厚生年金基金をお持ちの 企業の中で、そこはかなりがあきらめている。特に総合型基金の場合は残してしまうよ うなケースがございますし、単独型でおやりになられているのでも、それをブリッジし ながらうまく継続していくのが難しいために、従来の厚生年金基金を一回解散してしま って全く新規に確定拠出年金制度を立ち上げるというケースがやはり多いのだろうと思 います。  そうすると、これもあまり口がよくないのですけれども、国税が喜ぶだけで、基本的 にその企業も、まして加入員もみんな得することはないわけですので、やはりスムーズ な制度移行をしていくためにも、是非このあたりのいろいろな法整備。一例を挙げれ ば、例えば厚生年金基金を解散するとなれば、その間は年金受給者の年金が完全に止ま ってしまうとか、資金分配に関しての加入員の賛否をとる問題と、例えば確定拠出年金 制度を導入する賛否の問題とか、いろいろな賛否の問題を社員からとらなくてはいけな いとか、非常に錯綜している問題が多々あるのです。  ですから、こういうあたりは同じように適年の場合にも、年金受給者は今、閉鎖適年 という形をとるしかないと思うのです。これで本当にいいのかどうなのかという問題等 があろうかと思いますので、制度移行について是非もう少し知恵を絞る必要があるので はないかと思っております。  それから、2番目です。実は60歳以降も年金受給者の形で確定拠出年金制度にとど まれるわけです。この方々に対して、例えば企業なり運営管理機関はどのくらいのリス クを背負わないかということについて、現状は非常に曖昧なままなのです。ですから、 例えば企業の社員に対しては教育を都度やっていく。なのに、定年になられて中に入っ ておられた方はどうなのかとか、例えば商品の内容が変わったので、その説明のパンフ レットを送ってみたら実は届かなかったけれども、そうしたら本当にどこまで住所を取 り寄せなければいけないのか。そういう不測の事態が出たときに、現状どこまで企業が やらなくてはいけないのかというところが非常に不明瞭だと思うのです。ですから、や はり60歳以降も企業型にとどまる場合のリスクをどう考えるのかというあたりをきち んと決められる必要があるのではないかという問題です。  それから、3番目です。現在は厚生年金基金と同じように、満60歳になった途端に 拠出ができなくなるのです。しかしながら、今まさに定年延長の時代に60歳で確定拠 出年金は打ち止めですよというのは、それはそういう仕組みで組まれることも可能だと 思いますけれども、できれば企業と組合との間の合意事項でもってもっと延長していけ るような、自由に設計できるような形にしていただけないものだろうかと思っておりま す。  4番目の問題として、先ほど松岡企画官の方からもお話がございましたけれども、特 に現在は投資信託を中心にして取引条件が一般商品と比べ、ある意味で加入員にかなり 有利になっております。こういう中で今後もしかすると確定元本の商品についても、例 えば金額の大きい会社に対してはプラスアルファのプレミアムがつくような状態が出て くるかもしれない。何も不思議はないです。大口定期だって、みんなそうですから。そ うしたときに新しい商品が出てきて、それ以外の内容は全く変わらないときに現状みた いにスイッチングして移っていくしか方法がないというのは、特に確定元本の商品に来 ると間違いなく解約手数料の問題が大きな問題になってしまいますので、やはり商品 上、他に条件が何も変わらない場合には強制移換というか、システム上オートマティッ クに変えてしまうような方策を是非考えていただけないだろうかということです。  5番目としては個人情報開示の問題として、要するに導入している企業にとって社員 がどういう運用状況であるかを個別に知りたいときがどうしてもあるのです。私どもも 実はJIS&Tを使っているのですけれども、JIS&Tも第1号のケースだというこ とであまり褒められた話でないのですが、社員が植物人間になってしまいまして運用も 何も訳がわからないということで、ご家族の方がそれを知っておきたいという状況だっ たのですけれども、なかなか出す術がなかったのです。最終的には障害者の認定を得た ので、そこまで待ってもらったわけですけれども、実は認定を得るのに時間が結構かか るのですね。1年近くかかってしまうこともあるので、やはり早期に何とか、例えばこ ういうケースです。それとか、本人が失踪してしまって家族が残されたとか、いろいろ なことがあると思うのです。今は税務当局が入られたときだけ会社が調べていいことに なっているのですけれど、これをもう少し拡大していただきたい。  一つの例として先ほども申し上げましたけれども、ある商品の運用主体がデフォルト したとか、ある商品について非常に大きな瑕疵が出たというときに、会社はその商品を 運用している人が誰だかわからないわけです。それを一般的なメールで流すのでは不十 分だろうと。やはりどの人がそれをやっているかということについて知りたいというニ ーズは間違いなく出るのではないかと思うのです。例えばそういうケース等は拾ってい ただく必要があるのではないかということです。  最後ですけれども、先ほども出ておりました継続教育です。私ども導入した企業にと って担当者からすると継続教育というのは実は大変重要で、先ほど先生からいろいろお 話しいただいて結構承知しているような、わかっているレベルが高かったような数字が 出ていたのですけれども、実際に私がやっていた手応えははるかに悪いのですね。とい うことは、やはり継続教育は是非やりたいものなのですが、現状それを企業の中で通し ていこうとすると、一回導入してしまった後のもので会社のコンセンサスを得て、いわ ゆる企業の継続教育をやっていくというのはなかなか難しい問題なので、この辺は何ら かの意味での法制的な義務を是非バックアップとして入れていただけないものだろう か。そうすることによって、ある意味では合法化と言うとおかしいのですけれども、導 入した企業にとって、これはやらなければいけないことだということを法律的に強化さ せていただいて、やっている人事なりがもう少しやりやすくなるような手だてをしてい ただくのは社員にとっても必ずプラスだと思いますので、是非お願いしたいということ でございます。  以上です。 ○ 御手洗座長  ほかにございますか。  それでは、今の内容につきましては特にここで議論はいたしませんけれども、まとめ の概要の中に付け加えさせていただくという方向でよろしいですか。そういうことで事 務局にお願いしておきます。  それでは、残りの時間を使いしまして、お越しいただいております傍聴者のうち確定 拠出年金実施企業の担当者の方々との意見交換を行いたいと思っております。実施企業 の方々は傍聴席の前の方にお座りいただいております。本日の議事内容に関しまして、 ご意見、ご質問等がございましたら挙手をお願いいたします。私の方から指名させてい ただきますので、事務局よりマイクを受け取りまして企業名と氏名をおっしゃった後 で、ご発言いただきたいと思います。いかがでしょうか。ございませんか。  それでは、ないようでございますので、そろそろ時間もまいりましたので、最後に来 年度の連絡会につきまして事務局よりご説明をお願いいたします。 ○ 矢崎課長  この連絡会議は本日が今年度最後ということでございますが、私どもとしましても、 こういった連絡会議という場は確定拠出年金自体の制度運営をどう考えていくか、ある いは制度の普及のための有意義な場ではないかと考えておりまして、来年度も引き続き こういった連絡会議を持っていきたいと考えております。  もちろん具体的にはまだまだこれから検討しなくてはいけない点があるわけでありま すが、まず参加いただいております現メンバーにつきましては、できれば来年度も引き 続きご参画願えればと考えております。その上で、いろいろ新しい企業もDCに取り組 まれておりますので、そういった新しい企業のご参画を検討していくことも一方法では ないかと思っております。  開催頻度としましては今までどおり3か月に一遍ぐらいのペースで行いたいと考えて おりまして、新年度の1回目は概ね6月頃と考えているところでございます。具体的な 内容につきましても、今までのような形をベースにしながらも例えば運営管理機関や資 産管理機関、今日もご議論がございましたが、そういったところの話、実情を聞くのも 一方法だと思いますし、投資教育の話がございましたが、そういった実務面での問題で あります。それから、これも今日ご議論が出ましたが、中小企業への普及といったアプ ローチも含めて、また意見交換なり必要なご議論をしていっていただいてはどうかと 思っております。  また、議論をしていく上でいろいろな意味でデータの整備が非常に大事だろうとも考 えてきてございまして、また来年度も今年度行っていただきました調査、いい面あるい は反省も含めて練り直し、この連絡会議でもご議論の上そういったデータ収集にも努め ていきたい。今、現時点でそのように考えているということでございます。 ○ 御手洗座長  ありがとうございます。  来年度の連絡会議につきまして何かご意見がございましたらお受けしたいと思います が、何かございますでしょうか。よろしいですか。  それでは、今説明があった内容で事務局に来年度の準備をお願いしたいと思います が、いかがでしょうか。特に意見がなければ、そのようにさせていただきます。  それでは事務局の矢崎課長様、そういうことでよろしいでしょうか。 ○ 矢崎課長  随時ご相談申し上げながら進めていきたいと思いますので、またよろしくお願いいた します。 ○ 御手洗座長  それでは、本日はこれで終わりにしたいと思います。皆様方には第1回の連絡会議か らご参加いただきまして、ありがとうございました。座長を1年間務めてまいりまし て、これで終了だと思いますけれども、本当にありがとうございました。来年度も引き 続きよろしくお願いいたします。  それでは、本日の連絡会議はこれで終了いたします。本日はお忙しいところありがと うございました。