03/03/18 第13回 これからの医業経営の在り方に関する検討会議事録        第13回 これからの医業経営の在り方に関する検討会        日時   平成15年3月18日(火)10時30分から12時30分 場所   ホテル ルポール麹町 マーブルの間 出席委員 石井孝宜、内田裕丈、遠藤美光、大石佳能子、川合弘毅、川原邦彦、      田中 滋、谷川和生、津久江一郎、豊田 堯、西澤寛俊、西島英利、南 砂                               (五十音順、敬称略) 議事内容 ○田中座長  ただいまから、第13回「これからの医業経営の在り方に関する検討会」を開催します 。委員の皆様方におかれましては、ご多忙中のところ当検討会にご出席いただき、まこ とにありがとうございます。  最初に、前2回の論点整理のあと、委員の皆様から多岐にわたりいろいろな追加情報 や貴重なご意見を頂戴し、事務局においてその整理に時間を要したために、会議日程を 変更しましたことに関してお詫び申し上げます。  委員の出欠状況ですが、本日は小山委員と長谷川委員がご欠席との連絡を受けていま す。また、南委員が都合により遅れるとの連絡を受けています。大石委員はいずれお見 えになるものと存じます。  それでは議事に入らせていただきます。本日はご案内にもありましたように、最終報 告書(案)についてご議論をお願いしたいと思います。まず初めに、事務局から資料の 確認をお願いします。 ○中野補佐  お手元の資料は議事次第、委員名簿、座席表に続いて、本日の議事資料「最終報告書 (案)」の以上です。 ○田中座長  本日の最終報告書(案)は、事前に委員の皆様に事務局より配付させていただいてい ますが、最初に私より最終報告(案)について、その取りまとめに向けた大まかな考え を述べさせていただきます。  これまでの検討会において、委員あるいは外部の有識者による報告と議論、またその 議論を踏まえて年明け以降、2回にわたって論点整理を行ってまいりました。また、論 点整理以降も、何人かの委員の先生方から、議論された論点に関して、追加でいくつか のご提案を頂戴しています。この報告書(案)はそれらの点を踏まえ、「非営利性・公 益性」の徹底、「透明性」「安定性」の向上という観点から整理した上で取りまとめた ものです。  なお、本検討会はこれからの医業経営の在り方について、医療法人制度を中心として 議論し、その改善方策を検討する方針で運営されてきましたが、その点に関連して、病 院経営に株式会社の参入を認めるべきかについても議論がなされました。株式会社問題 に関しては2回にわたる論点整理を通じ、株式会社そのものの是非論自体についてより も、むしろその議論を通じて提起された民間経営方式のメリットと言われている点を積 極的に医療法人制度に取り入れ、制度の改革を進めるべきである、という見解が本検討 会の総意であり、この点については皆様は異論がなかったものと考えています。この報 告書(案)はこうした観点でこれまでの議論を取りまとめ、医療法人の在り方、あるい は病院の在り方についての具体的な改革案を提言する形にさせていただいています。  では、事務局から報告書(案)のポイントを簡単にご説明ください。そのあと、追加 で意見を出していただいた石井委員、豊田委員より補足意見の発表をお願いすることに なっています。では、事務局から報告書(案)のポイントの説明をよろしくお願いしま す。 ○中野補佐  お手元にお配りしている報告書(案)のポイントについて、簡単にご説明申し上げま す。報告書(案)の目次をご覧ください。全体の構造はいま座長からお話がありました とおり、株式会社参入をめぐってさまざまな議論がなされていますが、本検討会として はこうした議論において指摘されている論点、つまり資金調達の多様化や徹底した顧客 ニーズの把握といった点について、医療法人制度の改善に積極的に取り入れる観点から 提言を行うという構成になっています。こうした趣旨のことがII「今後の医療の担い手 としての医療法人を中心とする医業経営の在り方」の中に書かれています。それを受け まして、III「医療法人を中心とする医業経営改革の具体的方向」で、具体的な改革案の 提言がなされている。全体がそういう形式になっています。IIIの具体的な改革案につい ては、これまで検討会で議論されてきました提言について、大きく分けて「非営利性・ 公益性の徹底」「効率性を高める方策」「透明性を高める方策」「安定性を高める方策 」の主に4つの視点から整理しています。  「非営利性・公益性の徹底」は、1「非営利性・公益性の徹底による国民の信頼の確 保」の中に具体的な施策として、第1に特別医療法人制度について、公益性を損なわな い範囲で一定の要件緩和。具体的にはここで議論されましたように、特定の病床規制や 社会保険診療報酬の8割要件について、一定の緩和措置を講ずること。あるいは、その 収益業務規制について大幅な緩和を実施すべきということで、こうした公益性の高い法 人制度を普及するという点。併せて、(2)の「社団法人の持分について」で、出資額 限度法人の制度化が必要というご意見があったこと等について、特別・特定医療法人制 度との関係、公益性の確保といった観点も踏まえながら、その在り方を検討するべきこ と。さらには(3)の国民に信頼される医療提供体制を確保するために、役員の派遣や さまざまな名目による事実上の配当禁止、これらを一層強化することによって非営利性 の徹底を図るべきといった点が盛り込まれています。  「効率性を高める方策」は、2の(1)です。医療機関の経営者が合理的かつ効率的 な取組みを行うことができるようにするためには、経営管理機能の強化が必要であると いうことで、ア〜エに並べていますが、外部の専門家の登用を含めた事務体制、経営管 理体制の強化。あるいは客観的なデータに基づき経営を行うための情報収集、管理体制 の強化。さらには質の高いスタッフなどを医療機関に集めるための人事管理機能の強化 といった点が盛り込まれています。  このほかの効率性を高める方策としては、経費削減といった経済的な効果のほか、業 務の質の向上や業務の迅速化といった効果も認められる外部委託の推進、さらには本来 業務に支障が生じない配慮をしながら、一定の医療機関のノウハウが活用できる業務の うち、在宅医療や在宅介護の推進に必要なものについて、附帯業務について一定の緩和 の方向を検討するべきという点が盛り込まれています。  (2)の「透明性を高めるための方策」で、本検討会の中間報告においても、その検 討の必要性が指摘されていました病院会計準則について、現在その専門家による研究班 において、例えば異なる開設主体間での比較可能性の重視、あるいは我が国の企業会計 における最近の動向の反映、こうした点を基本方針として検討されているところですが 、こうした検討結果を踏まえながら、経営管理に役立つものとするような見直しを行う べきであること。さらには、その中間報告に示されている公益性の高い特別・特定医療 法人に対して、積極的な経理情報の開示を要請すべきという方針が示されているのです が、その取組状況についてフォローアップをすべきこと。このほか、患者の医療機関の 選択に資する医療情報の開示を推進することといった点が盛り込まれています。  (3)「安定性を高める方策」として、資金調達の多様化について、施設の建替に関 する資金需要にどう対応するのかという観点から、例えばプロジェクトファイナンスあ るいは経営評価指標等の研究など、間接金融手段の充実に向けた方策の検討、さらには (b)として、直接金融の一手法として、医療機関債の発行環境の整備。つまり今後、 資金調達手段の多様化に繋がるものとして、積極的な利用が期待される債券発行による 資金調達手段である医療機関債について、適正な発行のためのガイドラインの策定の必 要性などに触れられています。  このほかの安定性を高める方策としては近代化補助金、あるいは社会福祉医療事業団 融資、こうした公的支援について非常に重要な資金調達手段であって、今後とも引き続 き政策との関連性を深めつつ、充実を図るべきであること。あるいは、いま現在独法化 に向けて準備が進められている社会福祉医療事業団について、政策融資機関として随時 適切な対応が望まれること。このほか、社会福祉事業団による経営指導の推進、中小病 院の経営改善事例の収集、あるいは収集した事例について参考事例として、広く情報提 供をすべきこと。こうした点について触れられています。  最後に1点訂正があります。21頁のいちばん上の2つ目の黒ポツで、「債券の流通禁 止」となっていますが、「債券の流通制限」の誤りです。訂正いただきますよう、お願 いします。以上です。 ○田中座長  ありがとうございました。ただいまの要点のご説明を全体の文書にした結果、長めの 報告書が出来上がっています。  では、石井委員から会計基準の見直しに関して、補足意見の発表をお願いします。 ○石井委員  簡単に補足をさせていただきます。昨年の7月にこの検討会のご指示を受けまして、 研究班による病院会計準則の見直しと、医療法人会計基準の必要性に関する研究を開始 しました、3月28日に報告書の草案を提出する方向で、現在最終的な作業を主任研究者 の会田教授を中心にして行っているところでありますが、まだ最終的な報告書のイメー ジというのが出ておりません。しかしながら、本日の検討会の報告書の17頁あたりに記 載があるような方向で、検討しております。  昨年の6月に四病院団体協議会の病院会計準則研究委員会の中間報告が出されまして 、この中間報告を基にして現在の研究班の研究活動が開始されています。四病協の準則 研究委員会の中間報告といいますのは、病院団体として公表された中間報告ですが、現 実的にこの中間報告を作成したメンバーは実務家としての公認会計士、ならびに主立っ た病院開設主体の経理実務責任者でして、提出されました報告書は病院団体の承認の下 に提出されておりますが、どちらかといいますと会計専門家スタンスで客観的に作られ たものであります。これを基にして研究班が現実に具体的な実務的適用の可能性を前提 にしながら、最終的な素案の作成をしています。  もともとの病院会計準則は、どちらかといいますと管理会計主体ということで行われ ていますが、まさに本日のこの検討会報告書にもありますように、経理情報の公開が大 変世の中で議論されている関係で、どちらかといいますと管理会計から財務会計へのシ フトというのが非常に大きなポイントになってくるのだろうと思われます。かつ現在、 民間病院だけではなくて公的病院に関しても経営の効率性議論が行われていて、まさに 異なる開設主体間におけるところの経営数値の比較可能性をある程度できうる限り確保 するという必要性があって、そういう観点からも現実的には最終報告に向けての素案作 りが行われているということです。  以上のような状況ですので、最終的な結論に関するところのご説明が現時点ではでき ない状況でありますが、検討会の報告書に記載されましたような方向で結論が出てくる ということで、ご理解をいただければと思います。以上です。 ○田中座長  ありがとうございました。特にご質問はありませんか。なければ引き続き、豊田委員 から「資金調達手段の充実」に関して、補足意見の発表をお願いします。 ○豊田委員  それでは、資金調達の問題について発言させていただきます。この検討会でも医療法 人の資金調達について、いろいろな提言あるいは議論がされたところですが、特に大石 委員からは医療機関にとって、その間接金融の重要性、これについての充実が必要であ るというご意見を賜っています。私どもも、まさにそのとおりだと考えているわけです が、一方でその間接金融を補完するものとして私ども医療法人協会では少人数私募債を 病院債として発行することも検討しております。去年の10月から、協会内に医療法人資 金調達研究委員会を設け、公認会計士を主とする実務専門家9名によってこれを検討し てきたわけですが、これは単に協会だけではなくて、厚労省等の意見を聞きながら進め てきたという経緯があります。一応のまとめがいまできてまいりまして、3月の末には 公表できるかという形になっています。これはあくまでも、間接金融の補完という位置 付けであり、医療法人協会が実施基準を作って認証していくことが提案されています。  今回のこの検討会では、資金調達について非常に有意義な議論がされたわけですが、 資金調達といいましても単に各団体がそれぞれやれるというものではなく、中には法規 制の改正や公的な支援がないと実現できない部分もあるし、逆に公的な支援をしていた だけると、かなりうまくいくなど、いろいろな問題がありますので、今回ここで議論さ れた有益な意見を具体化していくことを是非お願いしたいということです。そのために は、実務家による委員会をこれから設置するなどして、議論を具体化していくよう是非 お願いしたい。以上です。 ○田中座長  ありがとうございます。特にご質問はよろしいですか。なければ引き続き、最終報告 書(案)に対するご議論をお願いしたいと思います。前回までの議論、論点整理におけ る方向性を踏まえて取りまとめた報告書(案)については事前に各委員にお送りしてお り、また長文ですので読み上げは省略させていただきます。  では、この案について意見があればどなたでも結構ですので、お願いします。 ○西島委員  これは、この報告書を変えてくれということではなくて、あくまでも日本医師会の立 場としての意見として言わせていただきたいのは、今回特区に関して一部ではあります が、株式会社の参入というのができるようになったわけですが、その内容がこの中にも 書かれているわけです。しかし、この特区の条件として、はっきりと生命、健康、消費 者保護は考慮しなくていいということが明記されているわけです。だったら、何のため の株式会社の病院経営の参入なのかと。そもそも病院というのは生命を守るため、それ が最前提であるべきなわけで、それを除外していいということはいかがなものかという ことで、私ども日本医師会としてはいまでも全力を上げて、これに反対しているという ことですので、この点だけはまず申し上げさせていただきたい。これは、しっかりと議 事録に残していただきたいと思います。  11頁の「非営利性の徹底」の中の(4)の「医療法に基づく法人検査等の実施の促進」。 これは当然いままでやられているはずで、ここで改めて検査等の実施の促進ということ は、いかがなものかという気持を持っています。いままでもされているわけですので、 あえてここにこういうことを書き込むことは必要ないのではないかと考えていますので 、できましたら考慮していただければと思います。  18頁で、病院会計準則の普及についてはということで、先ほど石井委員からも追加の 発言等がありましたが、私自身も実はこの研究班に入っておりまして、いろいろな状況 を知る立場にあるわけです。ここにはある程度断言的といいますか、病院会計準則を普 及するためにはこういうことをすべきだということが書かれているわけですが、本当に この病院会計準則でうまくいくのかどうかのある程度の経過といいますか、そういう状 況を見た上でこういうものを導入するかどうかは改めて検討すべきではないかと思うわ けで、病院会計準則ができたから即こういう条件を付けますよということは、ちょっと いかがなものかということで少し文章の表現を変えていただければと思います。  19頁や22頁で、公的な社会福祉・医療事業団のWAMNETとか、病院の経営評価、ベンチ マーク事業等々がこういう形で公的なところの関与というのが書き込まれているわけで すが、社会福祉・医療事業団WAMNETの医業機関情報というのは非常に貧困な内容なので す。そういう意味で、どうしても行政がやるということになると、いろいろな情報を入 れるのにさまざまな制限があるということですし、ベンチマーク事業も含めてここまで 公的な機関が関与していいのかなという気がしますので、少しこの表現の仕方を変えて いただければと思うわけです。以上です。 ○田中座長  ありがとうございました。最初の特区に関しては日医のお立場の表明、あとの3つは 文章に関わるご意見です。 ○指導課長  いまご提起がありました点のうち、11頁の(4)の法人検査の実態については事務局の立 場で、現在どうやっているのかという一端なりともご紹介させていただきます。現在、 この法人検査等をどのような対象に実施するかについて、医療法の根拠に基づいて具体 的にどういう場合に発動するかは、通知ベースで書いているわけです。対象をどういう 形で押さえるかについては荒っぽくいってしまうと、例えば非営利性という観点からの 問題について、その医療法人について疑義があるということが呈された場合、その上で 監督官庁である都道府県が必要と認めた場合、遅滞なく立入検査を行う形になっていて 、ある意味では事案が生じたあと事後的にそれにかかっていく形になっているのが現状 です。  今回、この検討会でのまとめの方向として、医療法人制度改革に当たって非営利性を 徹底していくという方向が示される過程では、現在の医療法人に対する検査についても 公益性の徹底をより取り組んでいく観点からすれば、なお一歩の踏み込みを求められる ことがあり得べし、またそういうことであろうと考えていて、仮にそういう事態となっ た場合の行政サイドとしての主体的能力。これは国で所管している所もあるし都道府県 で所管している所、数からいえば都道府県のほうが圧倒的に多いわけですが、これにつ いては主体的能力の範囲内で工夫して、こういう形で検討会からご報告をいただければ 対応する形で、是非とも公益性の確保はしっかりやっていきたいなと思っているところ です。 ○田中座長  ほかに、いまの西島委員のご指摘について何かありますか。会計の点はよろしいです か。 ○石井委員  会計準則の点に関しては、このあと2回ほどに草案段階の論点整理をお送りする予定 ですし、28日に研究協力者会議がありまして、それぞれのお立場からもう少し具体的に ご指示、ご意見をいただけるものと思っております。 ○田中座長  ほかの点はいかがでしょうか。 ○豊田委員  医療法人制度の問題についてお話したいと思います。いまの医療法人制度の中でいち ばん問題になっている、医療法人制度そのものを揺るがしている大きな要因は、持分の ある社団医療法人をめぐるいろいろな問題です。それについては議論の中で述べてまい りましたが、それに対する解決策、1つの改善策の方向がこの中に示されているわけで す。大きく分けると1つは非常にハードルの高い特定医療法人および特別医療法人の要 件の緩和、もう1つが私どもが提唱した出資額限度法人という、いまの持分のある社団 と特定・特別のグループの中間に位置する類型を作っていただきたいということでした 。  特別・特定医療法人の要件緩和について申し上げます。9頁に出ています。例えば特 別医療法人制度が平成10年にできて、いまだに24しかできていない。折角制度ができて 、なかなかそれが利用されないのはいろいろな理由があるわけですが、まずそれになる ための要件が厳しい。特別医療法人になるには、9種類の非常にハードルの高い病床を 備えなければならないことを指摘しましたが、ここの文章によりますと、アの「特別医 療法人の要件の緩和」「緩和ケア病床など9種の特定の病床を含まなければならないこ ととされているが」ということになっていますが、それ以外については輪番制でやると か離島であるとか、不採算医療に参加しているところはいいのではないかということが 書かれています。いわゆる特定・特別医療法人の要件緩和にこれが該当するのかとなり ますと、問題があります。なぜ緩和するかというと、持分のある社団をより公益性の高 い方向に移動させたい。しかしながら要件基準が非常に高くて、移行できない理由がい くつかあるからですが、特定病床があるから公益だということがイコールかどうかも問 題ですし、全部これらを取り払ってしまえというのも少し乱暴ですし、その辺について 緩和ということは、もっと具体的に議論を深めていく必要があるのです。この文章を見 ますと、これはこのまま置いてあって、ただそれ以下を付け足したみたいな形ですが、 それですとほとんど要件緩和にはならないと考えます。  社会保険診療の8割問題は、もう時代の流れですから我々が要求しなくても、当然こ れは改善されていかなければならない話です。ですから、その辺はここに書かれている とおりで結構だと思いますが、その次の給与要件には問題があります。高額の給料をも らうことが営利で、給料が安いことが非営利であると。一般には、あんなに高い給料を もらってということはあるかもしれないですが、仕事に見合った報酬であるべきなので 、給与の額をもって非営利、営利と分けるのは世間で事情を誤解されている部分もある 。特定医療法人、特別医療法人の理事長をはじめ、職員がきちっとした仕事をされてい たら、それに相応した給料が保障されるべきです。  14頁に給与の問題が書かれています。ウの2つ目の○のところに「今後の賃金制度の 在り方について、賃金の決定に当たって能力主義・成果主義を徹底することについて大 多数の企業が重視するに至っている」、一般企業ではこうやっています。今回のこの検 討会の中には、経営の効率化もあるわけで、そういう観点から見ますと、特定医療法人 あるいは特別医療法人の給与の決め方は、極めて形式的な決められ方が書かれています 。この制度ができたときに、同族間で給料を独占することを防ぐといった狙いがあった と思いますが、私はそういうことに対する危惧があるならば、特定医療法人、特別医療 法人の情報の開示ということが出ていますし、先ほどの会計準則あるいはこれから出て くるかはわかりませんが、医療法人の会計基準を作る目的は、ある程度それは開示でき る形を作っていくことでもありますから、給与の上限規制や段階的な規制で決めていく やり方はこの際やめて、むしろその中で合理的な形を決めさせて、それを開示する形で 公益を図ることのほうがこれからの時代に必要ではないかと思う。一方ではこういう能 力主義、成果主義の価値を認めていながら、一方ではがんじがらめの給料体系を温存さ せる形は非常に具合が悪いので、今回ここに載っている緩和の方向はいいのですが、そ の辺を強く指摘しておきたいと思います。  私はこれから公益というのは、情報の開示とワンセットだと思います。非営利もです 。ですから、前にも言いましたが民間の活力、民間の活動をもっと信じていただいて、 またその情報開示ということで担保して、もっと自由な活動をさせていったらどうか。 公益法人はがんじがらめでなければならないみたいな形は、そろそろ変えなければいけ ない時期だと思います。  先ほど西島委員からもご指摘があったのですが、11頁の医療法人制度、「非営利の徹 底」とあります。この非営利の徹底には異議はありません。ただ、特別・特定について の要件緩和はそういうことで、これから非常に大事だということを指摘しておきます。 もう1つは、すでに意見を述べてきましたので詳しくは言いませんが、出資額限度法人 です。これは特定・特別の要件を少し緩和すればいいだろうという話ではないのです。 既に制度ができて50年間という歴史があるわけです。50年間に、それぞれの医療法人が 厚生省が定めたモデル定款例に従って、ずっと仕事、運営をしてきているわけです。そ うしますと、いまここで一気に変えるのは非常に難しい。ある程度ステップを踏みなが ら変えていく。長い時間がかかったものは、一定の時間をかけて改善していくのが、現 場に混乱を生じないで改善していくいちばんいい方法だと思いますし、そういう意味で 出資額限度法人を進めているわけです。ですから今回、医療法人問題が取り上げられた 大きな理由というのは、医療法人の98%を占める出資持分のある社団の医療法人をどう するかということですから、私はこの出資額限度法人については今後とも特別な委員会 を作るなり何なりして、是非とも実現してもらいたいという希望です。  そういったことで、出資額限度法人についてはここに書かれたとおりになっています が、今回はっきりした方向というのが必ずしも出ていないです。緩和についても出資額 限度についても、大体の方向はわかります。その中で11頁の「非営利の徹底」というこ とで、今度はいろいろと監査をする形のことが個別に具体的に出ています。ですから私 が申し上げたいのは、これは法的に決まったことであって否定することではないのです が、医療法人制度あるいは医療法人の非営利性を守るために、規制あるいは監査といっ たことだけを強化するので終わったのでは、将来いろいろな問題が生じてきます。これ はこれでよろしいのですが、是非とも制度そのものを非営利、公益性を高めるという形 で組み替えるようお願いしたい。以上です。 ○田中座長  文章というよりは、これを踏まえてさらに今後どうすべきかというご指摘でした。あ りがとうございました。 ○遠藤委員  文章自体をちょっと変更願えるとありがたいということで、提案したいと思います。 6頁のイの○の2つ目、要するに意見が割れたというところです。2つ目の○の後ろか ら2行目、「が国内で、地域医療体制に影響の及ばない条件を付けたうえで、限定的に 」と続いてまいりますが、「条件」を「範囲」に置き換える。「地域医療体制に影響の 及ばない範囲で限定的に」とまとめていただけると、従前より私が言ってきたことにあ る意味では近付くのですが、いかがでしょうか。 ○田中座長  意見も一部あったという主体側からのご意見です。「及ばない条件」ではなく「及ば ない範囲で」ですね。ほかの委員からはいかがでしょうか。特になければ事務局と検討 し、「条件」を「範囲」に換えることについては、先生のご意向を含めるように検討し たいと思います。 ○川合委員  文章のことなのですが、まず5頁の2つ目の○の「質の高い云々」なのですが、点の 1番目の文章は非常によく理解できるのですが、1行目の「公私の役割分担を踏まえつ つ」というあたりが少し理解できない。わざわざ、どうして公私の役割分担をここに持 ってこなければならないのか。それと、「公私」という言葉は私にはどうも理解できな いということで、これは削除をなさるべきかなという私の意見です。  点の2つ目の「外来については云々」というのは、病院の外来なのか診療所の外来な のかを明確にする必要があるのではないかという意見です。  8頁の1「非営利性・公益性云々」の2つ目の○のところです。「この点に関し、賃 料等様々な手段を通じて事実上の配当は行いうること」という文言があるのですが、そ れ以下の文章については十分理解できるのですが、これは公にするわけですので、具体 的にどういうことを言っているのかが私には理解できませんので、ご説明願いたいです 。  9頁の(1)の「特別医療法人制度について」のアの1つ目の点の下から3行目、「いわ ゆる不採算な政策医療として云々」という言葉があるのですが、これは政策医療は不採 算であるべしという断定的な意味合いがあるような感じもしますし、「政策医療」とい う文言は国立病院及び療養所が提供する医療のことを言うのではないかと思いますので 、ここらあたりは相応しいのかどうなのかという意見です。  11頁は先ほどと同じことなのですが、「非営利性の徹底」の2つ目の○の「こうした 観点から、これまでも」の(1)「さまざまな名目による事実上の剰余金配当の実施」がわ かりませんので、お教え願いたい。以上です。 ○田中座長  たくさんありましたが、いかがですか。 ○指導課長  事実にわたる点を中心に、事務局から補足して説明させていただきます。5頁の2つ 目の○について、具体的なご質問がありました。ここはこの上の○で書いてありますが 、実は厚生労働省が既に公表した「21世紀の医療提供の姿」という既公表の関係部分を 抄訳して載せた形にしています。その関係で一部丸めたところがありますので、表現が おわかりいただきにくくなっているところもあろうかと思います。因みに「公私の役割 分担を踏まえつつ云々」のくだりも、既に出ているイメージをそのまま引いてきている のですが、病院病床の機能分化を考えるに当たって公的な部分と私的の部分と、これに ついては現在の医療法の中で最前提を2つに分け切っているわけではありませんが、よ って来たるところ公的もさまざまでありますが、自ずとコアとして担う役割はあるだろ うということを前提に、こうした医療提供の姿がまとめられています。それを引いたも のです。  なお、下の・の「外来について」は言葉を端折ったりしていますが、その下の・が「 診療所等について」と書いていますとおり、その上のところは病院についてのものです 。ここら辺は丸め方についてかえってわかりにくくなっているのであれば、表現振りを 原典に則してわかりやすい形のものにしたいと考えます。  8頁の○の2つ目「賃料等様々な手段を通じて事実上の配当は行いうること」、それ から11頁の(3)の○の2つ目の(1)「さまざまな名目による事実上の剰余金配当の実施 」の2カ所についてのご指摘の趣旨は共通しているかと思いますが、これについては医 療法人の非営利性を確保するに当たりまして、もちろん医療法上で配当は禁止されてい ますが、例えば医療法人が土地を借りて病院を経営している場合等にありまして、土地 の持ち手が医療法人の役員と近しい関係のある方であったと仮定します。そういった方 に例えば土地の借料名目で、医業から上がる収益に比例するような形で賃料をお払いし ているようなケース。これは、ある意味では事実上の配当等も評価されうるのではない かという指摘が一部にあるところで、そうした例をここで挙げたものです。  9頁の「いわゆる不採算な政策医療として」のくだりですが、確かにここで2点具体 的にご指摘いただいた言葉のうち、「政策医療」という4文字は従来、国立病院の展開 する医療という意味で使われている局面があるのは事実です。これについては、そうい った言葉に固有の意味が付きすぎるということであれば、国あるいは行政が政策として 推進する医療と置き換えるのが適当かと思いますが、この点はただいまのご指摘を踏ま えて、表現の問題として検討させていただければと思います。  なお、「いわゆる」という言葉を付けましたのは、「政策医療」という言葉が多義な ものですからそれを付けたもので、この「不採算な」とあえて4文字を書きましたのは 先ほど豊田委員のご指摘にもありましたが、現在の緩和ケア病床など9種の特定の病床 に限定して公益性を判断するのではなくて、より広く公益性の判断のメルクマールを増 やす観点からこれを出してくるに当たって、1つには、あえて不採算なところで、かつ 政策として展開する必要の高いところをやっていただいているということが、公益性判 断に当たっての1つのメルクマールになるであろうという趣旨で書いたものです。 ○川合委員  8頁と11頁の文言をここで明記する必要はないのかなという感じがします。 ○田中座長  8頁は引用なのです。この委員会の意見ではなくて、そういう意見が世の中にあると いう描写なのですね。 ○川合委員  そんなのは初めて聞きましたので、そういう実態があったのかなと。いったいどこの 誰がお使いになっている言葉なのかがわからないのです。これは税務署の話で、あとは まだ処理できることですね。 ○指導課長  確かに、ここはいま座長がご指摘になりましたとおり、その意見があるという表現  になっているわけです。これは役所が出している通知をもってそういう意見が存在して いるという証明に替えることには本来はならないのですが、実は医療法人制度の指導・ 監督に関する通知が出ていまして、その中でこういった賃料等を通じて事実上の配当を 行っていると見られかねない事例があったことから、賃借料について一定の指導基準の 通知みたいなものを出しているわけで、少なくともこの問題について過去に提起を受け て、行政としても通知ベースで対応している経過はあります。その意味でたまたま1つ あったというのではなくて、もう少し普遍的といったら言葉がずれていますが、そうい う事例があったことが少なくとも過去において指摘があったのは事実です。 ○川合委員  医療法人の何パーセントに存在しているのですか。 ○指導課長  これは法人監督自体が国がやっている部分、都道府県がやっている所とそれぞれあり まして、個々の項目について定量的に何パーセントの違反率という形では出していませ ん。定量的なデータは持っていません。 ○川合委員  お巡りさんにもストーカーをする方がおられるし、我々医療法人の仲間にもそういう ことをなさる方はおられるとは思うのですが、だからといって、こういう公の文書にこ ういうのが登場してくるのは、どう考えても私には頷けないだけです。皆さん方はこれ でご了解ならばかまいません。 ○田中座長  「ある」よりは「あり得る」とか、そういうことがないかもしれないけれども起きな いように、という文章にはなっています。「ある」との指摘はどこにも書いてなくて、 どちらも「あり得る」とか、そういうことが起きてはいけないから禁止するという文章 です。 ○川合委員  そういう話でしたら、かつて医療法人が某株式会社の株を買い占めたとか、突発した ことがいろいろあったのです。それを全部列挙した上で言うならばよろしいですが、例 えばもう少し法律のどこにそういうのが明らかになったとかならばまだ了解がつくので すが、「賃料等」と言っているのだからそれでいいのだということになるのでしょうが 、こういう文章をここに入れる必要があるのかなと。 ○指導課長  まさに、いまの点については事務局がというよりは委員の先生方にご議論をいただき たいと思っているわけですが、今回この検討会の報告として医療法人制度の改善、改革 を図るに当たって、1つは非営利性・公益性の徹底を図ることであろうと。その意味で 襟を正すべきところは正すということをこの検討会で一致して示すことは、非常に重要 なポイントだと思っています。  それを示すに当たって、定量的にどれぐらいあるかの証明はできないものの、非営利 性がどこに現れているかと言えば、医療法人にいえば端的に出ているのは配当禁止です 。その配当禁止についてあの規定がある以上、直接の配当はしていないにしても事実上 の配当というのが問題になるはずで、事実上の配当に関わる問題点の指摘として1つ例 事を挙げることが、より具体的で好ましいであろうということで事務局としてはこうい うものを整理しました。いま川合先生がおっしゃった、医療法人がほかの株式会社の株 を買ったとか余剰金の処分の仕方ではありますが、より配当禁止と距離の近いところの 例を挙げて具体性を示し、非営利性の徹底という点で、医療法人サイドも自ら襟を正す という気持を表現したいということで、事務局としては上げたものです。こうした例の 挙げ方自体について委員の皆様方で、さらにご議論を賜れればと思うわけです。 ○田中座長  いかがでしょうか。この点についてほかにご意見があればどうぞ。 ○津久江委員  5頁に戻りますが、事務局の説明はよくわかりましたので公私の役割分担を、もう少 し詳しく書かれたほうがいいのではないかと思っています。 ○川合委員  削除ではなくて、もっと具体的に書かれたほうがよろしいかと思います。 ○田中座長  もう1日予定されており、今日は意見を伺っておいたほうがこの先、取りまとめやす いので、もし何かありましたら。いまの点は、少し検討することにします。 ○西島委員  いまのことにも関連するのかもしれないですが、先ほど私が申し上げた「医療法に基 づく法人検査等の実施の促進」の部分で、例えば国の指導はこうだけれどもと。それが 今度は都道府県に行くと、3倍ぐらいの強化になるのです。これが大体の実態なのです 。ですから先ほど川合委員がおっしゃったように、「賃料」という言葉を書いてくると これが独り歩きをし始めて、実際にそれぞれの地域によって土地の評価は違うわけです から、そのあたりをどう評価していくのか。それはあまりにも2倍、3倍のということ であれば問題でしょうが、こういう文言が出てきますとそれが独り歩きをして、非常に 強化されてしまう部分があるので、私は先ほどこの部分に対して少し異議を申し上げた 。そのあたりもしっかりと踏まえた上で指導要綱なり、ガイドライン的なものはお作り いただきたいと思います。 ○田中座長  これは来週までに、どういう工夫があるかを少し考えてみます。ほかの点はいかがで しょうか。 ○大石委員  いままでの話とちょっと関係のない話なのですが、3つばかりあります。1つ目は資 金調達関係がかなり今回いろいろと方向性が盛り込まれて、私は従来非常に重要な問題 だと思っていましたので、これは嬉しいことかと思います。ただ、現実的にはかなりの ものを「今後検討すべきである」とか、ある種の宿題として残っていますので、私はこ ういう委員会は不慣れなもので報告書というのはわりとそういう方向性を出すものなの かなと思うのですが、この報告書の内容もしくはもう少し下位にある文章なのかもしれ ませんが、具体的にいつまでに何をどうやるということがどこかで残っていると、物事 は動き出す気がするかなと思います。  2つ目は13頁の「経営管理体制の強化」です。これは意見というよりは質問になるの かもしれないのですが、ここで理事会の機能及び事務体制について述べられていると思 うのです。12頁にも民間経営方式などを参考にしながら、運営ガバナンスを確立してい くという話があるのですが、株式会社の方式はうまくいっている所もあるし、必ずしも 株式会社がいちばんいいとは申していませんが、1つだけわりと株式会社方式でいいか なと思うのは株主というのがあって、取締役会というのがあって、取締役会というのは 最終的に株主に対して責任を負うわけです。理事会というのは誰に対して責任を負うの かがある種不明確な部分があって、確かに社員というのはあるのですが、社員に対して 責任を負うわけでは必ずしもはっきりとはなっていないと思うのです。その辺がある種 の運営ガバナンス上、三権分立があったら、その中でお互い管理牽制し合うという同じ ような感じで、株主と取締役会がお互いにある種相互作用することによって、会社がう まく回るようにしていくはずの理屈。実際に運営できるかはまた別の話ですが、それと 同じような感じで理事会は誰に対して責任を負うのか、またそれは具体的にどういうふ うにしてやっていくのかという医療機関独自の運営ガバナンスの方法を、もう少し検討 すべきではないかと思います。  これは必ずしも社員でないのかもしれなくて、アのいちばん最後の○に書いてある患 者さんや地域に対しての運営責任なのかもしれませんので、そうだとすると患者さん、 医療スタッフ等々によって構成される会みたいなものがあって、それに対して積極的に 開示義務を負うであるとか、ある種の責任を問うていくような仕組があってもいいので はないかと思います。  同時にこの中に出てくる事務体制なのですが、現状では理事会の下に事務体制という のがあって、要するに上下関係が非常にはっきりしているのです。これは会社の中でい う取締役会に取締役がいて、その人がそれぞれの部署を持っているというのとは若干事 情が違ってくると思いますので、より専門的な経営能力を最終責任を負う理事会に持た すことになるとすれば、理事会の下にある事務体制にスタッフや能力を充実させるだけ ではなくて、もっと積極的に理事会にそういう専門的な能力を持っている人を入れると か、単に3名以上置いて役割分担をするということ以上の方策が求められるのではない かと思います。  ここは質問になるのですが、私は混乱している所があってお伺いしたいのですが、い ままで非営利という話と、あと配当の禁止という話がそのときになされてきたのですが 、「人事管理機能の強化」という所が14頁にありますが、ここで2つ目の○の中に「賃 金制度(業績給)の導入についての検討が必要である」と書いてあるのです。業績給と いうのは非常に極端に言うと、医療機関の業績が上がったらそれに応じて給料が払われ るということであって、今回この中には業績給の対象となる人が理事以外のスタッフ、 医療職であろうと、たぶんそういう人たちに必ずしも限定されているわけではないと思 うのです。  そうすると、あと、これは外部の人がサポートに入っていたとすると、その人に対し ての業績給というのがあり得るわけです。となると、これは厳密に言うとある種の配当 に非常に近くなってくるのではないかと思っています。私自身は業績給というのは是非 やるべきだと思いますし、実際、病院の経営形態を見てみると、業績給を入れている所 とそうではない所の経営的な数字は、やはり能力給と業績給を入れている所のほうが圧 倒的に高くなっているのです。ですからこれは是非やるべきだと思うのですが、そのと きに発生する配当の禁止条項との矛盾というのをどう解くのかというのは、私は不慣れ なのでよくわからないので、どなたかに教えていただけるとありがたいと、いまのは質 問です。 ○田中座長  3点ですね。資金調達について、いつごろまでに実行するのかはっきりしたほうがい いのではないかというご意見。非営利法人における理事会は誰に責任があるか。それに 付随して事務管理体制についてご意見がありました。あとは、業績とは、これは何のこ とかという質問だと思うのですが。もし事務局で答えられるところがあれば答えていた だいき、そうでなければ別によろしいかとと思います。 ○指導課長  1点目におっしゃったことについてですが、確かに今回の報告書の中でも引き続き調 査研究する部分が相当残っていますし、資金調達手段の多様化等についてまさにそうで す。例えば資金調達絡みの所でいくならば、この報告自体で書けないならば、その下位 の文書で補足というお話はありましたが、正直申し上げまして、研究検討をやるという ことになると、当然その研究費の手当とかがあり、いまこの時点でいつまでにどういう 形でというクリアなものはないわけですが、いずれにしても「資金調達手段の多様化」 の所であれば、平成15年度中に何らかの形で研究費を手当てして対応していきたいとい うことで考えています。これは今後、並行してこの報告が固まるに合わせて、その他の 項目も含めて具体的にそれぞれの項目をどういう形で処理していくかということについ て、まず事務局で整理をさせていただきたいと思っているところです。  2点目と3点目の所については、むしろこの場でご議論いただくことが適当かと思い ます。最後の3点目の関係で、私も実際のところ外部からコンサルタント、専門家の方 が入るときの契約内容とかを知悉しているわけではないのですが、たぶんいま委員がご 指摘になったのは、そのコンサル契約をやる際に、その報酬対価を収益の比例みたいな 形でやったりしたケースでは、実際の配当のようなことが起こるのではないかというこ とでしょうか。 ○大石委員  もちろん外部だけの話だけではなくて、内部でも言うと思います。そういう3種類の パターンがありと1つおっしゃった外部ですね。2つ目は、医療機関の従業員、それは 医者であろうと医者でない人であろうと。3つ目は、医療機関の役職員といいますか理 事を含めた理事とか社員とか、要するにスタッフでない人たち、もう少しで上部にいら っしゃる方々、その方々に対して業績給というのはある種のどれだけ利益が上がったか 、もしくは売上げが上がったかに応じて支払いは給料ですから、その分というのはある 種の業績連動にならざるを得ないわけなのです。それとその配当の差というのは具体的 には何なのだろうかと、これは質問なのですが、何か非常に曖昧になっていくのではな いかという気はします。ただ、それは業績給を入れるなということを言っているわけで はなくて、是非入れるべきだと。しかしながら、法的な問題をクリアして入れるべきだ と、そういう意見とご理解をいただければありがたいと思います。 ○川原委員  大石委員のご発言には私から説明を加えたいと思います。ご指摘の箇所は、私が昨年5 月29日に提出発表した意見書を参考にされていると考えますので。14頁の「人事管理機 能の強化」の箇所で記載された業績給はどのような人を対象にした業績給なのか、不明 確であるという点から端を発していると思うのです。ここでいう業績給の対象は、医療 スタッフを含めた職員であり、これらの人々の給料に対して業績による評価をするとい う趣旨で書いたつもりです。したがって、出資者とか理事といった、民間企業で言えば 株主あるいは役員レベルの方々に対してはあくまでも該当しません。  次に、理事の責任はどこまで、誰に対して及ぶのかというくだりの問題ですが、確か に大石委員のおっしゃるように民間企業、俗に言われる株式会社の場合には、取締役の 株主に対する責任というものがかなり大きく出てまいります。第一義的に株主ありとい うことですから、当然に株主に対する責任、義務は負うということが前提になっている のです。しかし、医療法人の場合には、出資者なのかということになると、そうではな くして、私は患者、家族、地域社会に対して医療法人としての特殊性から見て理事の責 任が及ぶということで理解をしているつもりです。 ○大石委員  川原委員からいただきましたお答えは、非常に明確でした。それは理解しました。そ うしますと、ただ少し付け加えますと、たぶん川原委員がもともとご提案された内容と いうのはそういうことだと思うのですが、本当にそこでとどまっていいのかという問題 がたぶん出てくると思うのです。それで私が申し上げたいことは、例えば業績給に関し ては本当はいちばん業績連動であるべきなのは、経営責任を持っている人たちなのだと 思うのです。言い方は変ですが、ある種末端のスタッフが自分の範囲でできることとい うのは非常に限られていて、むしろ経営の舵取りをやっている理事会のメンバーの方々 が本当はいちばん権限もあるし責任もある。ある種頑張った成果というのを享受しても 然るべきだと思うのです。ですから、医療スタッフだけに言及したほうがいいのか、そ うではなくてむしろ良い医療機関の経営というのが目的だとすると、もう少し上位に立 つ人たちなども含めて業績給の範囲にしたほうがいいのではないか、というのが私の意 見です。  もう1つ、13頁の経営管理体制の理事会の位置づけなのですが、確かに医療法上は理 事会と出資者の関係というのは、取締役、株主の関係とはかなり異なると思うのです。 おっしゃるとおり地域の住民とか患者さまに対して第一義的責任を負うべきだというの は、理解しました。ただ、そうしますと、例えば取締役会と株主との間でしたらいろい ろ決めごとがあるわけです。例えば株主総会を開かなくてはいけないとか、こういうふ うなことに対しては報告義務がある、開示義務がある等々、それと同じような形で理事 会が地域の住民の方々もしくは患者さまに対してある種の開示義務、報告義務、例えば 総会のような定例の決めごとみたいなものをやることによって、ある種のガバナンスの 体制を強化する仕組みというのを今後検討していくべきではないかと思います。これは 抽象論で言うのは簡単で、実際にやるのは非常に難しいと思うのですが、1つ理事会の 責任を明確にし、それによってより機能する理事会をつくるためにも、そのようなこと を検討してもいいのではないかと考えています。 ○川原委員  いま大石委員から2点ほどご発言があったわけですが、そのうち、2点目の理事会の位 置づけについては私も大石委員と同意見です。1点目ですが、大石委員のご発言は、医療 スタッフを含めた職員だけではなくして上位に立つ人たち、いわゆる理事並びに社員に も反映させたほうがいいのではないか、というのが論旨だと思います。民間企業に振り 替えて考えた場合に、一般的に業績給の概念は業績評価に基づく給料の決定方式なので あって、株主に対して業績給の論及ということは、ないではないかと思うのです。同様 に医療法人の出資者はあくまでも外して考えたいと思います。  次に、取締役に該当する理事についての業績給の導入ですが、理事は、役員として医 療法人の経営成果の最大化を実現することが責務として求められているわけです。した がって、職員に対する給与の評価の仕方と取締役に対する評価の仕方は、自ずから違う はずなのです。そのように考えると私は、理事に対しても業績給の範囲が及ぶのではな いか、あるいは対象とさせるべきではないかということに対しては、先程も申し上げま したが、納得しかねるところです。  勿論、使用人兼務役員の場合で、使用人に該当する部分は対象に入れても差し支えな いと思ってはおります。 ○田中座長  理事会をどうするかをめぐるガバナンスの話は、この検討会を超えて非常に面白いと いうと失礼ながら、学問的にも重要だと思います。私の大学も非営利ですが、理事会は 誰を代表しているのか。大学の理事が業績給をもらっているとは聞いたことはないです が、なかなか面白い点なので、実際ここで検討するだけでなく、かなり学問的にちゃん と研究しないといけないテーマだと思うのです。したがって、すぐ答えるわけにはいか ないにしても、問題提起としては非常に重要な点です。非営利法人の理事は何を代表し ているかとの問いは、かなり根本的なガバナンスに関わる問題ですね。NPOや、アメ リカの病院の理事のうち、執行にかかわってない理事、地域住民を代表している理事は 、業績給どころか逆に無給です。取締役でなくて、執行役に相当する病院の幹部はもち ろん給料をもらっていますが、いわゆる理事はかえって地域住民の代表が選ばれている せいもあって、もらっていません。そこは面白いですね。いい問題提起だったので、む しろ今後、委員会としてよりは、先ほどの政策研究など、研究が欠かせません。非営利 法人における理事とは何かというかなり面白い点をご指摘いただきました。いい議論だ ったと思います。うまく多少修正が必要です。書き加え、少し直してみます。 ○川原委員  いまのお話とは少し離れますが、「直接金融一手法としての医療機関債の発行等」が2 0頁に記載されており、先ほど事務局から説明を受けました。また、詳細にこの箇所を読 んでみました。このような具体的な形での将来への提言がなされたことに感謝します。 喫緊の課題としていま現場で資金調達をいかにするかということが、問われているわけ です。したがって、私は一委員のお願いということで発言をしているわけですが、これ が是非実現する形で、この検討委員会が終了したあとも調査、研究、さらには具現化に 向けてのアクティブな動きがとられるようお願いをしておきたいと思います。よろしく お願いします。 ○田中座長  この件が前向きに進むようにということですね。 ○谷川委員  いまのお話で、アウトラインといいますか構成でずっと最初から眺めて見ているので すが、特にIIIの2の「変革期における医療の担い手としての活力の増進」ということで 、最初に(1)として「効率性を高める方策」ということで書かれてあります。ここは 一部、行政の当局にお願いをしなくてはいけないことはあるのだろうと思うのですが、 かなりの部分は医療法人自らが努力すべき事項をまとめています。(2)(3)は病院 会計準則について意見を反映できるとは思うのですが、これはどちらかと言いますと( 2)(3)とも、そういう環境条件をつくってあげないと、医療法人の経営が成り立た ないのではないかという感じがします。特にこの場で議論されていましたのは、資金調 達と建替需要の資金調達が大変なのだということを受けて書かれておられる。  まず医療法人経営について環境条件をどういうふうに定める、ということが最初に来 て、そのあとに医療法人としてもこういうことをやられてはいかが、というまとめ方が いいのかという感じがしています。具体的に申し上げますと、最初に、「安定性を高め る方策」と書かれていてタイトルと少しそぐわないところはあるかもしれませんが、あ れだけ資金調達手段の議論がされたと思いますので、こちらを先に順番として、そのあ とに(2)の「透明性を高める方策」が来まして、こういう環境条件の整備を受けて、 それぞれの医療法人の皆さんはこういうことをやられてはいかが、ということでいかが でしょうか。 ○指導課長  お手元の資料を整理した立場で補足的に説明します。ただいま谷川委員からご指摘が ありましたとおり、IIIの内容について、大きく(1)(2)(3)と分かれていますが 、濃淡の差、量の差こそあれ、それぞれの記述の中には法人自らが取り組むところと、 行政なりがそこに関わるものと、実のところそれが両方入っています。(1)の「効率 性を高める方策」の所も、これは12頁のいちばん下の○の所にそこを端的に表現してい ますが、「医療法人において自らの発意と創意工夫により取り組むことが期待される」 。13頁のア以下の所は、自主的に取り組んでくださいということを書いていますが、単 に実績取組みを求めるだけではなくて、その次の13頁の○の所で、では行政はここでも 環境整備に支援的に関わる。「医療機関の規模や能力に応じ、対応が円滑に進むよう、 取組方策について研究・検討、マニュアルの作成、その他教育訓練面での支援」という 形で行政も関わる。ここでは確かに医療法人サイドの自主的な取組みの所をまず大きく 期待しているわけですが、行政も単に放り出すだけではなくて、そこに関わる。  後ろの(2)(3)の所はどちらかというと、まず行政サイドで環境整備をやらない と民が動けないという構図はあります。もちろんこれを整理する過程で、いまご指摘が あったような行政がやることと法人がやることと2つクリアカットに分けるという案も 考えたのですが、なかなかつながりが見えにくいということで、こうした記述になって いるものです。  ご指摘のあった2点目の「透明性」と「安定性」の順番ですが、これは私どももこの 会の議論を整理するに当たってどちらの順番が正しいのかというのは、なかなか悩んだ わけですが、結局、(2)の所で会計基準、会計準則の改正とこれに基づいての会計経 理の整理というのができて、初めて多様な資金調達手段の利用可能性というのができて くるのだろうと。そういう順番で置いてみると、この順番かということで案をつくって いますが、なお委員の方々のご意見を賜りたいと思うわけです。 ○田中座長  谷川委員からご提案のあった(1)(2)(3)の順番について、どなたかご意見は おありでしょうか。私はどれも重要としか言いようがないと思うのですが。 ○谷川委員  おっしゃるとおりです。どちらにインパクトを置いたように見られるかというような 感じがしますが。 ○田中座長  読む人によって、お金が欲しい人は(3)がいちばん重要だと思うだろうし、やはり 経理の公開、医療法人はこれからは透明性が言われているという意味では(2)。つま り、ある意味で読者にかかるのかもしれませんね。 ○西島委員  別のことについてですが、今回、「非営利性の徹底」ということが言われていまして 、その中で今回の一連の議論の中で解散時の問題が出てまいりましたね。結果的にずっ と出資額限度方式というのが提案をされながら、なかなかそれが実際に実行されてこな かったというのは、やはり税務との関係が非常に強かったのだろうと思うのです。11頁 目にはそういうことも含めたことを「引き続き検討する必要がある」と書かれているわ けですが、どこかで1つの結論を出していかないと、いつまでもこの議論は続くだろう と思いますので、これは明確な答えでなくても構わないのですが、やはり次年度、平成1 5年度である程度の結論を得るような検討会をつくられる意思があるのかどうかですね。 「検討する必要がある」ということで書かれているわけですから、そのあたりご意見を 伺えればと思います。 ○指導課長  事務局の対応方針としては、いわゆる検討会なのか研究班なのか、技術的な処理の方 法はあるにしても、ここの報告で書かれているような関係の方の参画を求めた器を、と にかく平成15年度につくりたいと考えています。 ○田中座長  そういう方向で考えていらっしゃるわけです。 ○川合委員  いまの西島委員と全く同じ意見なのですが、いかように資金調達をしようとも、税制 面での差がある場合には非常に困難なのは医療法人の特徴ではなかろうか。ということ で、税制のことを相当踏み込んで議論しないことには、「医療法人の永続性云々」とい うのは絵に描いた餅に終わってしまうのかと思います。 ○西澤委員  文言の話です。14頁のウの最初の○の5行目に「経営者」という言葉が出てくるので すが、ほかの所を見るとここだけのような気がします。次頁の1つ目の○の2行目に「 経営管理を行う者」とあり、同じ意味で片方は「経営者」、片方は「経営管理を行う者 」。ほかの所はたぶんこれは「理事会」とかほかの表現になっているような気がするの ですが、統一を図ったほうがいいのか、あるいはここだけこの言葉を持ってきた意味が あるのかということですが。 ○川原委員  いま西澤委員からご指摘がございましたが、全くそのとおりです。同じことを3種類書 いていますね。むしろ「経営管理者」という表現に統一したほうがよろしいのでは。一 般的に医業経営を論ずる場合には、「経営管理者」という表現が使われます。いかがで しょうか。 ○指導課長  川原委員のご意見というよりは、むしろ事務局の作業でのワーディングの整理ミスと も言うべきものでして、ただいまのご指摘を踏まえてワーディングの統一を図りたいと 思います。 ○田中座長  「経営管理者」という言葉で、一般の病院について使われる用語に合わせたいと思い ます。 ○西澤委員  これは「理事会」と同義と考えてよろしいのでしょうか。 ○川原委員  「経営管理者」。 ○西澤委員  医療法人の組織の中では。 ○川原委員  一般的な概念でとらえるとすれば、民間企業の社長が「経営管理者」という。いわゆ るトップです。そのトップを支えるのが理事会で、それを構成するのが理事です。理事 までは経営管理者という広い意味で使う場合もありますが、この報告書では経営最終責 任者をもって経営管理者という概念的なとらえ方が適していると思います。 ○石井委員  会計領域でないということで1つ、いまの14頁とのかかわりもありますが、私自身が よくわかっていませんので教えていただきたいと思うのです。給与の成果主義、能力主 義の導入の問題なのですが、先ほど川原委員から役員に関してはそういう議論があまり ないという議論もございました。9頁の「特別医療法人制度について」のいちばん最後 に「役職員の給与について、定額の上限規制に加えて、同種の職務内容及び年齢の役職 員との比較した云々」というのがあります。実務家として私が理解しておりますのは、 特定および特別医療法人においては、役員たる地位に基づく給与の支給はしない。役員 であったとしてもあくまで、職員としての職能を果たしたことに対して給料が支給でき る。その職員として機能している部分に関して現状あるような金額的な制限が存在する 、という整理だと理解をしています。実務的にはたしかそのようなご指導も受けている のだと思っています。したがいまして、現状は、特定、特別医療法人は役員たる地位に 基づいて給料をもらっていないはずであります。そういう理解を前提にして職員として の職能については、能力給や成果主義を導入すべきだと。  これで整理が非常にすっきりつくと考えておりますが、1つ教えていただきたいのは 、一般の企業、つまり大多数の企業が重視しているところの能力主義、成果主義という のは極論すると、いままで4人でやっていた仕事を、1人の人間が非常に能力を発揮す ることによって1人でやった場合に、その1人に与える給料の額を4人分とはいかない けれども2.5人分ぐらい出そうではないかという議論かと思うのです。私の理解が不完全 だと思うのですが、医療法の施行規則でいうところの医師、看護師、薬剤師の人員充足 規定がございますが、その問題とこの問題はどのように整合するのかがよく理解できな いのです。  正直なところ、成果主義導入という問題は、その辺でどういうふうに整合するのかと 。実際問題、1年365日診療に従事して、私自身が個人的に存じ上げている先生ですと、 5年間病院から出たことがないなどというドクターがいらっしゃるのです。どうしてこ んな生活をしているのかという方がいらっしゃったりするのですが、そういう方に対し て成果主義を現実的に導入しようとした場合に、いまのような問題というのはどういう ふうに整理されていくのか。ややこしい問題なのですが、非常に日常的に感じていると ころなものですから、どういう整理になるのだろうかと考えています。 ○田中座長  人数という点を含めると、成果とか業績とは何かという話なのですが、大石委員はい かがですか。 ○大石委員  いまおっしゃったような形で、要するに人員削減によってある種利益を出すという方 策になった場合というのは、たぶんいまおっしゃったような問題というのは必ず発生す るのだと思うのです。これは定員は定員なので、それを割ることはできなくて、その方 策を取った分に関してはある一定以上のいわゆる成果というのは出さないということに なると思うのです。ただ成果というのは、例えばそれを利益で測るとすると、要するに コスト側を削減することによる成果もありますが、当然、売上側を上げる成果というの もあるわけです。例えば、そうした場合非常に簡単なのは、患者数掛ける一種の単価が 売上げになりますよね。売上げになって、そこからコストは引くという形になります。 確かに患者数をむやみに減らすと、その割合で人員というのは増えてしまいますが、例 えばその単価増といえば、急性期の高度な病院であれば、より治療密度が高い患者を呼 び込むことによって単価が上がって、その結果利益が出るという方策もありますので、 必ずしも成果主義イコールコスト、要するに人件費もしくは人件比率カットというわけ ではないと思うのです。ですから、そういう病院に関しては、むしろ患者単価を上げる とか、そちら側の成果を追求されることによって結果は出るのではないかと思うのです が、いかがでしょうか。 ○川原委員  いま成果というものが具体的にどういうとらえ方をすればいいのかという論点に入っ ていると思うのですが、各論で実務的なお話を申し上げます。ということは、私どもは 成果を上げるために業績給を導入するという場合、業績(成果)について、多様な意味 合いでとらえているわけです。1つは、職能給を含めた業績給を導入することによって 人件費コストを削減していく。このような場合には、先ほど石井委員がおっしゃられた ような人員基準についての整合性をどこで取るのかという問題が必ずでてくると思うの です。これについては私は管理職も含めてですが、人員基準はきちっと守った中で従来 の年功序列型の一律的な給料体系ではなくして、成果を上げた職員、成果を上げられな かった職員、個々について、適正な基準、評価に基づいた処遇格差を設けていくことに より職員により以上にインセンティブを与え、やる気を起こさせるといった具合に最小 コストで最大成果を上げるように対処します。  次に、どういう形で成果をとらえるかですが、収益性を上げるという形で、最終的に 利益に結びつきますが、私は必ずしも利益という一元的なとらえ方はしていません。患 者に対して適正なインフォームドコンセントをやっているとか、あるいは患者の視点に 立った医療サービスの提供を実現することによって患者の信頼、患者の信頼ということ は地域社会における信頼に結びつくわけですが、そのようなことをも含めた広範な意味 で経営に対して貢献をしているかどうか、という視点で成果というものをとらえている わけです。 ○田中座長  この業績給はそういう意味でとらえないと、医政局が医療費を高めることを証明して いくことになりかねないので、おっしゃるとおりですね。いまのまとめは大変結構だと 思います。 ○南委員  遅れてまいりましたので最初の半分のところは聞いてないのですが、特別医療法人の 要件緩和の所はたぶん議論があったかと思うのですが、最近、例えば産科医療などでは この要件を取りたくても取れない病院もあって、非常に科による不公平とかそういうも のもあるやに聞いていますが、そこのところに関しては何か議論はありましたか。 ○田中座長  基本的に形式的な要件を低めて取りやすい方向にというのがこの検討会の合意だった 、と私は理解していますが。規制を強めようとの意見は特になくて、むしろ取りやすい 方向にすべきであると。 ○内田委員  6頁の「株式会社の参入」に関する件ですが、私はこれの報告書にはもう少し右左に 明確になった両論並記をされるのではないかと思ってはいたのですが、確かにここに一 部両論並記された所は見受けられ、そこの文言については肯定あり否定ありという難し い非常に苦慮されたようにうかがええられるのです。この辺につきましては事務当局は 非常に苦労されて、委員会が何回も延びたというのはこの辺のところにあるのではない かと思ってはいるのです。しかし、この検討会はそれぞれお立場、お立場の方々の考え 方を1つにまとめたものですので、それぞれの方々の立場で100%満足できる報告書とい うのは、これは当然無理なことですので、そういうことからして総体的、総論的に見た ら、よくぞここまでまとめていただいたという事務当局に対する賛意を表したいという 気持です。と同時に、この検討会の報告が今後、社会的にどのように認知され、どのよ うな方向で進まれるのかということを、もっとより以上に関心を持って見つめたいと思 っています。 ○田中座長  大変貴重なご意見をありがとうございました。この中にたくさんある「さらに検討が 」はどうなるかが大切であると石井委員からもご指摘いただきましたが、そのとおりだ と思います。ひととおり出尽したのでしょうか。もうよろしいですか。ご出席の皆さま からそれぞれご意見を頂戴し、本日のご意見を踏まえ、単なる文言の修正の所もありま すし、多少考えなければいけない所もある。議事録にはとどめるというところでご理解 いただかなければいけない点も残るかもしれません。なかなか全部をまとめるのは難し いのですが、そのような形で最終報告の取りまとめを進めていきたいと思います。  まだ時間には達していませんが、議論が出尽くしたと思いますので、本日はこのぐら いにし、次回の日程等について事務局から説明をお願いします。 ○指導課長  次回は3月26日(水)10時30分から開催することとし、本日のご意見を踏まえて最終 報告書の取りまとめを行うことにしたいと存じます。開催案内につきましては、場所が 決まり次第、また追って文書で差し上げるようにしますので、よろしくご出席方お願い 申し上げます。 ○田中座長  ただいま事務局から説明がありましたとおり、次回は最終報告を取りまとめなくては なりません。今日の議論を含めた修文の多少加わったものをご議論いただいて決定した いと存じます。本日はこれにて閉会します。お忙しいところをご出席いただきまして、 どうもありがとうございました。                                    (以上) 照会先 厚生労働省医政局指導課 医療法人指導官 橋本 昌男(内線2560) 医療法人係長  手島 一嘉(内線2552) ダイヤルイン 3595-2194