03/03/18 第16回社会保障審議会年金部会議事録               第16回社会保障審議会年金部会                              議事録                                 平成15年3月18日(火)               第16回 社会保障審議会 年金部会 議事録 日時:   平成15年3月18日(火)  10:30〜12:30 場所:   霞ヶ関ビル33階 東海大学校友会館 阿蘇の間 出席議員: 宮島部会長、井手委員、今井委員、大澤委員、大山委員、岡本委員、       翁委員、小島委員、近藤委員、杉山委員、矢野委員、山口委員、       山崎委員、若杉委員、渡辺委員 ○高橋総務課長  ただいまより、第16回社会保障審議会年金部会を開会いたします。  議事に入ります前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。座席図、議事次第 のほか、次のとおりでございます。  まず、資料1「財政再計算における経済前提等について」、資料2は社会保障審議会 年金資金運用分科会の意見書で、タイトルは「株式を含む分散投資の是非に関する意見 」でございます。また、参考資料1として、「平成13年度社会保険事業の概況」、参考 資料2として「第13回年金部会議事録」をお配りいたしております。  このほか、正式資料ということではございませんが、今月12日に雇用と年金に関する 研究会の報告書がまとまりましたので、委員の皆様には追加でお配りいたしております 。その内容につきましては、次回の部会で御紹介を申し上げたいと思います。  それから、委員の出欠の状況でございますが、本日は宮島部会長と堀委員が御欠席で ございます。また、所用で矢野委員が途中で退席されるとのことでございます。宮島部 会長が御欠席でございますので、司会は神代部会長代理にお願い申し上げたいと思いま す。現在、出席いただいております委員の皆様方が3分の1を超えておりますので、会 議は成立いたしております。  それから、年金局長と社会保険庁の運営部長は国会の関係で途中で退席いたしますの で、御了承願いたいと思います。それでは、以降の進行につきましては神代部会長代理 にお願いいたします。 ○神代部会長代理  年度末の大変お忙しい中をお集まりいただきまして、ありがとうございます。御案内 のように、宮島部会長は本日は年度末で評議会がどうしても外せないという御事情で御 欠席でございますので、代わりまして進行役を務めさせていただきます。よろしくお願 いします。  今回は、まず、「財政再計算における経済前提等」について意見交換を行いたいと思 います。その後で、13日に年金資金運用分科会の方で「株式を含む分散投資の是非」に 関して意見書を取りまとめておりますので、年金制度にかかわる案件として御報告いた だきたいと思います。  それでは、まず「財政再計算における経済前提等について」という資料でございます が、事務局から御説明をお願いいたします。 ○坂本数理課長  それでは、お手元の「財政再計算における経済前提等について」という資料について 御説明させていただきます。  今日のテーマは、財政再計算を行う際における前提につきまして御議論いただくとい うことでございます。特に、経済前提が非常に大きな影響を持ちますので、経済前提を 中心に御説明した上で御議論いただくということになるわけでございます。1ページで ございますが、まず、経済前提の設定における基本的考え方と平成11年財政再計算にお ける設定方法というものを振り返っておくということでございます。  経済前提を設定する際に留意すべき基本的な点がございます。それは、最初に掲げら れております、賃金上昇率及び運用利回りにおける名目と実質の違いでございます。最 初の「○」にございますように、公的年金は、新規裁定年金については名目賃金の上昇 に伴いまして、また既裁定年金については物価の上昇に伴いまして年金額が改定される 仕組みになっています。いわゆる賃金スライド、物価スライドです。  このような自動的な改定措置が組み込まれておりますので、公的年金における年金財 政は物価を上回る実質賃金上昇率が幾らであるか、あるいは名目賃金を上回る積立金の 実質運用利回りの大きさが幾らであるかという水準に大きく影響を受けるということで ございます。また、実質の水準が同じであれば、名目の賃金上昇率や運用利回りの水準 にはほとんど影響を受けないということでございます。  平成11年の再計算におきましては、物価上昇率が1.5 %、賃金上昇率が2.5 %という 前提を置いておりました。したがいまして、その差は1%でございますが、この 1%が 大きな意味を持つということでございます。また、運用利回りは4%と置いたわけでご ざいますが、この4%と賃金上昇率2.5 %の差である、1.5 %が大きな影響を持つとい うことでございまして、例えばこれが平行移動して、物価上昇率が0%で賃金が1%、 運用利回りが2.5 %という形になったとしても、その結果は余り変わらないということ でございます。  次の「○」にまとめてございますように、年金財政の観点からは、名目ではなくて実 質の水準がどの程度になっているかということが重要でございまして、経済前提の水準 を考えるに当たりましては、名目ではなくて実質の水準について、つまり物価と賃金の 差、あるいは賃金と運用利回りの差について考えることが必要であるということでござ います。  ただ、次の「※」でございますが、今回、保険料固定方式という方法を提案させてい ただいております。この保険料固定方式を採用した場合に名目年金額下限型というもの がございます。これは前年の名目年金額は保証する、つまり、スライド率がマイナスに なる場合にはスライドを行わないという、マクロスライドを実施する場合には、名目の 水準が給付水準調整度合いに影響を与えることがあり得るということでございます。  ここに挙げております例でございますが、このマクロ経済スライドで給付水準調整を 行う場合に、実質賃金上昇や実質運用利回りが計画どおり確保されていても、物価上昇 率がゼロとなりますと、既裁定年金の調整ができなくなるという状況になります。新規 裁定のスライド率を若干減らさないといけないというときに、同じ率だけ既裁定につい て物価スライドからスライド率を減らすということが名目年金額下限型の考え方でござ いますけれども、物価上昇率がゼロという前提では、マイナスにできないという例外的 な場合も出てくるということでございます。  もう一点、経済前提の設定におきまして留意すべき点がございます。それは長期の前 提と短期の前提ということでございます。最初の「○」にございますように、年金制度 は数十年という人の一生に及ぶ長期の制度でございます。足下での賃金や利回りの水準 の低下の影響は比較的小さくて、数十年に及ぶ長期の賃金や利回りの水準が幾らである かということによって大きく影響を受けるわけでございます。  したがいまして、次の「○」でございますが、経済前提を定めるに当たりましては、 現下の厳しい経済情勢について、一時的なものであって10年程度以内で回復するもので あると見るのか、あるいは今後数十年にわたって続く長期的なものであると見るのかを 考える必要があるわけでございます。一時的なものと考える場合には、足下の前提と長 期の前提とを分けて考えることが適切であるということでございます。  次に2ページでございますが、平成11年の財政再計算におきまして、経済前提をどの ように設定したかということをまとめてございます。最初の「○」でございますが、平 成11年の財政再計算では、足下の前提と長期の前提を区別せずに、好景気の期間を含め た過去の実績を基準として経済前提を定めたところでございます。  まず、物価上昇率は、前回の再計算の検討を行っておりました平成10年当時の過去10 年間の実績、具体的には1988年から1997年でございますが、その実績の平均が1.5 %と いう上昇率でございましたので、1.5 %と設定したところでございます。  それから、実質賃金上昇率は、物価を上回る実質賃金上昇率の過去10年間の平均の実 績が1%であったということと、各種の長期の経済成長率の見通しが概ね1%程度であ ったということを踏まえまして、1%と定めたところでございます。実質賃金上昇率を 1%と定めましたことによりまして、物価上昇率は1.5 %という前提を置いたところで ございますので、名目賃金上昇率につきましては、この両者を合わせました2.5 %とし たところでございます。  運用利回りでございますが、当時は自主運用に移行する方向が示されておりましたが 、まだ具体的に案ができていない状態でしたので、その後自主運用されることを念頭に 置きつつ、国内債券が運用の中心的な役割を果たすであろうという想定を行いました。 まず最初に、国内債券収益率が過去の実績で短期金利を1.5 %程度上回っていたという こと、また、その背景には短期金利を賃金上昇率と同程度と見ていたということ、もう 一つは、資金運用部への新規預託金利が、過去10年程度の実績で賃金上昇率を1.5 %程 度上回っているという実績がございましたので、名目賃金上昇率を上回る実質的な運用 利回りを1.5 %と定めたところでございます。名目の賃金上昇率を2.5 %と置いたとこ ろでございますので、名目運用利回りにつきましてはこの1.5 %に2.5 %を加えまして 、4.0 %という前提としたところでございます。  以上が、11年の財政再計算のときの設定の考え方でございました。  平成16年の財政再計算に当たり、どのような前提を置いていくかということの議論を これから始めるわけでございますが、まず足下の経済前提をどういうふう置くかという ことを考えていきたいということで、直近の経済指標の推移を過去5年間拾ってみたと ころでございます。  物価上昇率は平成10年は0.6 %でございましたが、平成11年からはマイナスになって います。  平均標準報酬月額の上昇率は、平成12年だけ1%という状態がございましたが、概ね ゼロ%前後で推移しています。   それから、実質GDP成長率でございますが、平成10年はマイナス1.1 %、そのほか 平成12年は2. 8%という高い水準でございましたが、それ以外はゼロに近い水準です。  それから、名目の長期金利につきましては、平成10年は2.0 %ですが、だんだん下降 してまいりまして、平成14年には0.9 %になっています。  参考に、毎月決まって支給する給与の上昇率も掲げてございます。これも概ねゼロ% 前後で推移しています。また、現金給与総額の上昇率は、どちらかというとマイナスで す。マイナス 1%程度で推移しているということでございます。これは近年の景気がよ くない状態を反映いたしまして、ボーナスが下がってきておりますので、その分ボーナ スを含む現金給与総額の変動は下降気味であるということでございます。  4ページには「方向性と論点」で使いました足下の経済前提をまとめてございます。 これが上の表でございます。ケースA、ケースB、ケースCの3つについて試算を行っ たところでございますが、ケースAは平成11年の財政再計算と同じで実質賃金上昇率は 1%、実質運用利回りは1.5 %という前提でございます。2007年までの前提でございま すが、物価上昇率をゼロ%という前提で置いておりますので、名目賃金上昇率も1%、 それから名目運用利回りは2.5 %という前提で計算したところでございます。  また、基準ケースとなっておりますケースBでございますが、これは実質賃金上昇率 を0.5 %、実質運用利回りは1.25%と置いたところでございます。物価上昇率はゼロと 置いていますので、名目賃金上昇率は0.5 %、名目運用利回りは1.75%という前提にな ってございます。  それから、ケースCは現下の厳しい情勢を反映いたしまして、実質賃金上昇率はゼロ 、実質運用利回りは1%と置いたところでございます。物価上昇率がゼロでございます ので、名目賃金上昇率もゼロ、名目運用利回りは1%というふうな前提を置いています 。  下の表は、今年の1月に内閣府が作成し、経済財政諮問会議に提出いたしました「改革 と展望の参考資料」でございます。ここでは、2010年までの経済成長率等の経済指標が 置かれておりますが、実質成長率を見ていただきますと、国庫負担が2分の1の場合、2 003年の実質成長率は0.6 %でございます。これから徐々に上がってまいりまして、2010 年には1.9 %という見込みになっているということでございます。  それから、物価上昇率、GDPデフレータでございますけれども、国庫負担2分の1 の場合に、2003年と2004年はマイナスですが、2005年からはプラスに転じまして、2010 年には1.3 %になるという見通しを立てています。  それから、名目長期金利でございますが、国庫負担2分の1の場合、2003年の1.3 % から徐々に上昇してまいりまして、2010年には3.1 %に達するという見込みになってい るところでございます。  これらをまとめた5ページの最初の「○」でございますが、「改革と展望の参考資料 」における経済見通しでは、物価上昇率は2004年度まではマイナスが続き、2005年度に はプラスの物価上昇率が実現される見通しとなっており、実質成長率は2003年より0.6 %以上の見通しとなっているということでございます。  足下での経済前提について、「改革と展望の参考資料」と「方向性と論点」とを比べ ますと、物価上昇率につきましては、2004年度までは「改革と展望の参考資料」の方が 低いですが、2005年から2007年度はその逆となっています。「方向性と論点」の方が低 いということでございます。  それから、実質賃金上昇率、つまり物価を上回る賃金上昇率でございますが、2007年 ごろまでは労働力人口が大きく減少しないということがございますので、「改革と展望 の参考資料」の実質成長率と比べてみますと、2007年度までの実質賃金上昇率を0.5 % という前提で置いております基準ケースのBよりは、「改革と展望の参考資料」の方が 常に高いということが言えようかと思います。平均してみますと、経済状況が好転する ケースAでは2007年度までの実質賃金上昇率が1%でございますけれども、これと同水 準の前提となっているということが言えます。  もう一つ、足下の経済前提の一つである実質運用利回りを考えます際に、2008年度ま では財務省財政融資資金への預託金が存続いたしまして、この資金につきましては既に 利回りが確定しているということを考慮する必要があります。  これらのことから、足下での経済前提を定める上での論点をまとめてみますと、3つ ございます。1つは、現下の厳しい経済状況をどのように評価するかということでござ います。2番目に、足下の前提と長期の前提とを区別して経済前提を定める場合には、 足下の期間をどの程度とするか、「方向性と論点」におきましては、2007年度までを足 下の前提、つまり短期の前提としたわけでございますけれども、この期間をどの程度と するかということがございます。それから、3番目でございますけれども、物価上昇率 、賃金上昇率の2007年度までの前提を定めるに当たりましては、「改革と展望の参考資 料」をどのように評価するかということも一つ論点になるであろうと考えられるところ でございます。  以上が足下の前提でございますが、これからは長期の前提を物価上昇率、賃金上昇率 、運用利回りについて見ていこうと思います。  まず、6ページは長期の物価上昇率の前提をどう考えるかというテーマでございます 。このグラフでございますが、左側は過去の5年ごとの平均の物価上昇率を折れ線グラ フで示したものでございます。昭和48年から昭和52年の5年間では12.7%という非常に 高い物価上昇率でございました。このときにはちょうどオイルショックがあったわけで ございまして、このような高い物価上昇率になってございます。これが徐々に下降して まいりまして、直近の平成10年から平成14年の間の平均値はマイナス0.4 %となってい ます。  右側の棒グラフは、今度は過去の数十年かについての平均を示したものでございます 。一番左の棒グラフは昭和48年から平成14年までの過去30年の平均物価上昇率で、3.5 %という実績になってございます。平成5年から平成14年の過去10年の実績は0.2 %と いう非常に低い率になっています。  7ページでございますが、平成11年の財政再計算におきましては、検討を行っており ました平成10年当時の過去10年間の実績から1.5 %と設定したところでございます。そ れから、過去の実績を見てみますと、直近5年程度の物価の上昇率が非常に低く、逆に オイルショック期の物価上昇率が非常に高いということが言えるわけでございます。過 去10年の平均で見ると、平均0.2 %という低い数字になっておりますが、過去20年の平 均では1%、オイルショックの時期を含めた過去30年で見ますと3.5 %となっています 。  それで、長期の物価上昇率の前提を定める上での論点が、2つございます。1つは、 過去の実績から長期の前提を定める場合、どの程度の期間を見るのが適切かという論点 がございます。もう一つは、過去の実績以外で参考となるものがあるかという論点があ ろうかと考えられるところでございます。  以上が物価でございます。  8ページからは長期の実質賃金上昇率の前提をどう考えるかというテーマでございま す。8ページのグラフでございますけれども、左側の折れ線グラフは、過去5年ごとの 平均標準報酬月額の上昇率、それから毎月決まって支給する給与の上昇率、現金給与総 額の上昇率を示したものでございます。これはいずれも実質の上昇率、物価から相対的 にどれぐらい高いかということを表した比率でございます。これを見ますと、昭和47年 から昭和51年ごろは非常に高い水準で、例えば平均標準報酬月額の上昇率は実質で平均5 .2 %でした。これが平成9年から平成13年、直近の状態では0.3 %という上昇率になっ ています。  それから、右側は過去数十年かの平均をとったものでございまして、一番左側の棒グ ラフは昭和47年から平成13年までの過去30年の平均標準報酬月額、あるいは毎月決まっ て支給する給与、あるいは現金給与総額、これらの実質の上昇率の平均を示したもので ございます。これによりますと、2%弱という率だったわけですが、これが過去10年の 平成4年から平成13年を見ますと、1%を切っています。特に、ボーナスを含む現金給 与総額の上昇率はゼロという状態になっています。  それから、9ページでございますが、これは各機関が出しております実質経済成長率 の見通しをまとめたものでございます。まず、(1)の内閣府作成のものですが、これは先 ほど見ていただきました内閣府が作成しまして経済財政諮問会議に今年の1月に提出し た「改革と展望」につけられている参考資料でございます。2010年には1.9 %の実質経 済成長率を見通しています。   2番目は、日本経済団体連合会が今年の1月に発表した「活力と魅力溢れる日本をめ ざして」という報告書の中で見通している率でございまして、概ね2%程度という率に なっています。  それから、3番目と4番目が日本経済研究センターの予測でございまして、それぞれ1 4年3月と14年12月のものでございます。この時点でも長期的には2%前後という率が見 通されています。  それから、5番目は野村総合研究所の「NRI中期経済予測2003−2007」という報告 書でございますが、これによりますと、2010年ごろには1%を上回る経済成長率が見通 されています。  それから、UFJ総合研究所の「日本経済の中期見通し」という報告書でございます が、これによりますと、2005年、2006年あたりは1.3 %、2.3 %という経済成長率が見 通されています。  それから、ニッセイ基礎研究所が「人口減少期を迎える日本経済の行方」という報告 書で発表している見通しでは、2010年までは1%で、それから徐々に減少いたしまして 、2050年にはマイナス0.4 %となっております。これにつきましては、下のかぎ括弧に ございますように、就業者1人当たりの成長率という見方をいたしますと、1.4 %とい う見通しになっておりまして、人口の減少で、全体としてはこのような経済成長率にな るという見通しになってございます。  10ページは、「方向性と論点」の試算において、総賃金の増加率がどのように見通さ れたかということを示してございます。総賃金の増加率は実質で示しておりますので、 名目だとここに物価上昇率が加わるとお考えいただければいいかと思います。したがい まして、名目で考えますと、グラフは上の方に上がるということでございます。例えば 物価1%ということになりますと、グラフを1%分、上げるという形になるわけでござ います。  これによりますと、長期的にはケースAとケースBは同じでございまして、1人当た りの賃金上昇率は1%という前提でございますので、人口の減少分だけ小さくなってい くということでございます。ケースCは、1人当たりの賃金上昇率をケースA、ケース Bよりも0.5 %低く置いておりますので、その0.5 %分だけ下に平行移動した値になっ ているということでございます。これを平均で見ますと、グラフの下の方に表で掲げて ございますが、2025年まではケースA、ケースBにつきましては0.7 %程度で、ケース Cにつきましては0.2 %程度となっています。2025年から2050年の平均はケースA、ケ ースBでマイナス0.2 %程度、ケースCでマイナス0.7 %程度という結果になってござ います。  11ページでございますが、平成11年の財政再計算では、当時の過去10年間の実質賃金 上昇率の実績が1%であったこと、あるいは各種の長期の経済成長率の見通しが概ね1 %程度であったということを踏まえまして、長期の実質賃金上昇率を1%と定めたとこ ろでございます。  過去の実質賃金上昇率の実績を今グラフで見てまいったわけでございますが、近年の 経済情勢の悪化により、実質賃金上昇率は低下してきております。特にボーナスの支給 率が低下してきていることから、現金給与総額の伸び率が低下しているということでご ざいます。これらを反映いたしまして、現金給与総額につきましては直近10年間の伸び 率が1%を下回っています。それから、また平均標準報酬月額と毎月決まって支給する 給与につきましては、直近5年間の伸び率が1%を下回っています。しかしながら、そ れ以前については5年平均してみると、概ね1%以上となっているということでござい ます。  また、いろいろな機関の経済見通しでございますが、「改革と展望の参考資料」にお きましては、2010年のマクロの実質経済成長率を1.9 %と見込んでおりまして、民間シ ンクタンクにおきましても、2010年から2025年ごろのマクロの実質経済成長率を概ね1 %から2%と見込んでいるところでございます。  それから、長期の賃金上昇率の前提を考えます際に留意しないといけない点がありま す。次の「○」にございますように、将来労働力人口が減少していく中で、マクロの指 標と1人当たりの指標の間に労働力人口の減少分の乖離が生じるということでございま す。1人当たりの賃金上昇率に比べまして、経済全体としての賃金の増加率というもの は人口が減る分だけ少なくなっているということを念頭に置かなければならないという ことでございます。  それから、最後の「○」でございますが、「年金改革の骨格に関する方向性と論点」 の試算における1人当たりの実質賃金上昇率の前提から、総賃金の増加率を考えますと 、2025年までの平均で見て、ケースA及びケースBで年0.7 %程度、ケースCで0.2 % 程度となります。各種の長期の経済見通しにおける実質経済成長率と比べますと、ケー スA、ケースBでも最も低い実質経済成長率と同程度の水準になっているということが 言えるわけでございます。ケースCにおける0.2 %のような低い水準の実質経済成長率 の見通しは見当たらないところでございます。  それから、なお書きでございますけれども、試算における2025年以降の 1人当たり実 質賃金上昇率の前提から総賃金の増加率を考えますと、2025年から2050年までの平均で 、ケースA及びケースBで年マイナス0.2 %程度で、ケースCで年マイナス0.7 %程度 に相当するということでございます。  長期の実質賃金上昇率の前提を定める上での論点といたしましては、2つございます 。1つは、過去の実績から長期の前提を定める場合に、直近5年から10年の間の実質賃 金上昇率が低いことをどう評価するかということがあるわけでございます。もう一つは 、「改革と展望の参考資料」等の各種経済見通しでは、概ね1%以上の実質経済成長率 を見込んでいることをどう評価するかということでございます。  以上が賃金上昇率でございます。  次に12ページ、長期の実質運用利回りの前提でございます。左の折れ線グラフでは、 厚生年金の運用利回り、国民年金の運用利回り、新規預託金利、いずれも賃金をどれだ け上回っているかという実質ベースでございますけれども、その推移を掲げてございま す。昭和61年ごろには厚生年金の実質運用利回りが4.6 %でしたが、平成12年では2.1 %ということになっているわけでございます。  また、右の棒グラフは過去15年、10年、5年の平均を掲げたものでございます。  次の13ページでございますけれども、参考1は、厚生年金と国民年金の名目の運用利 回りの実績を、昭和61年度から平成12年度までの平均で掲げてございます。過去15年の 厚生年金の平均利回りは5.4 %で、国民年金は4.9 %となってございます。また、過去 5年の厚生年金の平均運用利回りは4.1 %で、国民年金の平均運用利回りは3.9 %とな っているところでございます。平成12年度で区切りましたのは、平成12年度までは年金 の積立金はすべて当時の大蔵省資金運用部へ預託することが義務づけられていた時期だ からです。平成13年度から自主運用が開始されたということで、区切りの年として平成1 2年度までを掲げてございます。  それから、参考2は、旧年金福祉事業団及び年金資金運用基金の名目運用利回りを折 れ線グラフで掲げてございます。これはいわゆる自主運用分と呼ばれておりました、旧 年金福祉事業団が資金運用部から資金を借り受けて、それを運用していたときの実績を 掲げてございます。この下の「○」にございますように、この15年間の平均では4.96% ございました。しかしながら、資金運用部に利息をつけて返さないといけませんので、 その利息を控除した後の利回りといたしましてはマイナス0.12%となり、ほぼゼロとい う状態になっていたということでございます。  14ページは、平成13年度の運用利回りを掲げてございます。平成13年度から自主運用 が始まったわけでございまして、一部まだ資金運用部に残っている積立金もあるわけで ございますが、自主運用が開始された最初の年度の実績をここで掲げております。厚生 年金は、積立金全体といたしましては名目運用利回りで1.99%あったわけでございます 。これは実質に直しますと、右側にございますように2.27%です。また、この名目の運 用利回り1.99%を分解いたしますと、市場運用分ではマイナス2.59%と、厳しい運用環 境を反映しています。それから、財投債の引受分では1.13%で、財政融資資金預託分と しましては3.02%という結果になってございます。国民年金も同様でございます。  ここで、以上見てきたことをまとめます。まず、最初の「○」でございますが、公的 年金は、給付額が賃金上昇額に連動して上昇する仕組みでございますので、公的年金の 積立金の運用におきましては、繰り返しになりますけれども、名目の運用利回りではな くて、賃金上昇を上回る実質的な運用利回りをどれだけ確保できるかということが重要 でございます。  預託金利が市場金利に連動して定められることとなった昭和62年度以降の厚生年金及 び国民年金の実質運用利回りの推移を見ますと、年度により変動はございますけれども 、前回の財政再計算の前提とした1.5 %を概ね上回っています。特に近年、名目の預託 金利や名目賃金上昇率が下降局面となった状況で、過去の預託分の金利が比較的高いと いうことがございますので、厚生年金及び国民年金の実質運用利回りは高い水準にある わけでございます。しかし、今後は過去の高い金利で預託していた資金が償還されるに 伴いまして、近年の低金利状況が反映されるという結果になってまいりますので、預託 分の名目運用利回りは低下していくということになるわけでございます。  最後の「○」でございますが、年金積立金は平成12年度までは全額を旧資金運用部へ 預託することが義務づけられていたわけでございますが、財投改革に伴いまして、平成1 3年度から義務預託が廃止されまして、厚生労働大臣が年金積立金に最もふさわしい方法 で自主運用する仕組みへと大きく変わったということがございます。今回の財政再計算 におきましては、この点に十分留意して長期の運用利回りの前提を定める必要があると いうことでございます。  以上が運用利回りでございます。以上をもちまして、経済前提の考え方の論点をまと めたところでございます。  16ページからは人口にかかわります前提でございます。いわゆる被保険者推計に係る 前提ということで、まず第1番目に将来推計人口を挙げております。16ページのグラフ は、平成4年、平成9年、平成14年と過去3回の将来推計人口に関する中位推計と低位 推計の出生率の見通しをグラフにしたものでございます。  17ページでございますが、少子化傾向が顕著になった平成に入ってからの人口推計を 見ますと、新しい人口推計における中位推計値が、直近の人口推計の低位推計値に近い 値で見直されてきているということでございます。これまでの財政再計算では将来推計 人口の中位推計を基本としておりまして、5年ごとの財政再計算において年金の収支見 通しが前回の予想と比べ、悪化する原因となってきたわけでございます。  過去の人口推計におきましては、足下での出生率の低下は晩婚化に伴う一時的な現象 ととらえまして、晩婚化がとまったときから中位推計における出生率が一定程度回復す るという見込みになっていたわけでございますが、今回の人口推計では、結婚した夫婦 の子どもの数にも低下の傾向が見られるということから、その影響を織り込みまして、 中位推計においても出生率が現在の水準程度で推移するものという見通しになっている ところでございます。  次の3つ目の「○」でございますが、将来推計人口は、出生率については一定の幅を もって見る必要があるため、中位推計だけでなく、高位推計と低位推計についても参考 とする必要があるというところでございます。  それから、人口の国際移動についてどういう前提を置いているかということをまとめ てございます。平成9年の将来推計人口におきましては、国際人口移動の過去の実績を 見ますと、日本人は一貫して出国超過であるのに対しまして、外国人は概ね入国超過と なっているということが観察されたわけでございますが、日本人、外国人ともに時系列 的に一定していなかったために特定の傾向が見られないということから、日本人、外国 人を区別せずに、直近5年間である当時平成2年10月から平成 7年9月の男女年齢別の 入国超過率の平均値により国際人口移動は一定という前提を置いたところでございまし た。  ところが、今回の平成14年の将来推計人口における国際人口移動につきましては、過 去の実績を見ますと、日本人は一貫して出国超過であり、1995年以降は4万人台と比較 的安定しているということが観察されるのに対しまして、外国人につきましてはほぼ入 国超過でございまして、近年増加傾向にあるということから、日本人と外国人を分けて 前提を置きました。外国人につきましては増加傾向にあることを織り込み、入国超過数 の仮定は、2001年の男子2.9 万人、女子3.3 万人から、2025年に男子4.4 万人、女子5.0 万人に増加し、その後一定と仮定しており、ある程度の外国人の流入ということも見込 んでいるということでございます。  それから、18ページでございますが、ここでは労働力率をどのように仮定しているか ということを掲げてございます。労働力率の見通しといたしまして、職業安定局の推計 を平成10年10月のものと平成14年7月のものを掲げてございます。平成10年10月のもの は平成11年の財政再計算に使用したものでございます。  この平成10年10月あるいは平成14年7月の見通しにつきまして共通して言えますこと は、男子につきましては高齢者の労働力率が増加していることでございます。高齢者の 社会進出というものを見込んでいるということでございます。それから、女子につきま しては、いわゆるM字カーブと呼ばれている30歳ごろからの労働市場への参加の低下と いうことが解消されていく方向で見通されているということでございます。それから、 同時に高齢者の進出も増加する見込みになっているということが共通して見てとれると ころでございます。労働力率は若干の違いがありますものの、ほぼ同じような傾向を示 しているということが言えようかと思います。19ページはその数字を掲げたものでござ います。  20ページの上の表は、「方向性と論点」の試算上の生産年齢人口の減少率と厚生年金 の被保険者数の減少率を比較してみたものでございます。生産年齢人口の減少率は、202 5年までの平均をとりますとマイナス0.7 %程度、これが2025年から2050年の平均はマイ ナス1.2 %という減少率になっているわけでございますが、厚生年金の被保険者数は202 5年まではマイナス0.3 %程度、2025年から2050年の平均はマイナス1.2 %ということに なっております。2025年まで厚生年金の被保険者数が生産年齢人口の減少率に比べて少 ない減少率を示しているというのは、やはり労働力率の増加ということを見込んでいる からということでございます。  最初の「○」でございますが、平成11年の財政再計算では平成10年10月の労働力率の 見通しを使用したということでございます。前回の財政再計算で使用したこの労働力率 の見通しは職業安定局が推計したものでございますけれども、進学率が上昇するという 傾向、短時間労働者比率が上昇するという傾向、年金支給額と現金給与総額の比率等と 労働力率との関係を表す回帰式などから労働力率の見通しを試算したというものでござ います。その結果、女性や高齢者について、引き続き労働市場への参加があるものと見 込んだということでございます。  平成14年 7月に新しい労働力率の見通しが発表されたわけでございますが、手法、結 果ともに平成11年の財政再計算に使用した平成10年10月推計からは大きな変化がないと いうことでございます。  職業安定局の推計の労働力率の見通しは、2025年までの推計でございます。このため 、2025年以降は労働力率は一定という仮定を置きまして、平成11年財政再計算、あるい は「方向性と論点」の試算は行っているところでございます。この結果、先ほどこのペ ージの上の表で見ましたように、「方向性と論点」の試算では、2025年までは生産年齢 人口の減少率より被保険者数の減少率は0.4 %程度小さいという結果になっているわけ でございますが、2025年以降は生産年齢人口と同じように、被保険者数が減少する見込 みとなっているところでございます。  最後、論点でございますけれども、引き続き女性や高齢者の労働市場への参入が進め ば、2025年以降も労働力率が上昇することとなりますけれども、そういった仮定を置く ということについて、どう考えるかということがございます。  最後に21ページでございますが、ここでは財政再計算で用いるその他の主な前提を表 で掲げてございます。これは説明は省略させていただきます。  以上でございます。 ○神代部会長代理  どうもありがとうございました。それでは、ただいま御説明のありました点につきま して、御質問、御意見等ありましたら、どうぞお願いいたします。 ○翁委員  意見ですけれども、今までの財政再計算というのは過去の実績でこういった前提を考 えてきたということだと思います。しかし、現状のいろいろな経済情勢を考えると、過 去のデータというのは以前に比べて余り参考にならなくなってきている部分も多いので はないかと思います。  例えば、明らかに潜在成長率というのは、バブル前、バブル後、そしてその後とはか なり下がってきています。財投改革によって預託が廃止されて、実質運用利回りは今後 は以前よりは経済の収益性を反映するような形になっていきますので、潜在成長率が低 下していくということをより反映するような形になっていくと思います。それから実質 賃金につきましても、これはやはり生産性ということにかかわってきますが、実質賃金 は毎勤統計などを見ますとマイナスになっておりまして、産業の活力という観点からこ れをどのように評価していくのかという面があると思います。  その意味では、その見方というのは、楽観視なり、悲観視なり、いろいろあり得るわ けで、そういう意味でも足下の経済情勢をどの程度続くものと見るのかというのが非常 に重要なのではないかと思っております。  それで、1ページの下のところにありますように、経済前提を定めるに当たっては、 この経済情勢を一時的なものと見るのか、10年程度で回復するものと見るのか、それと も長期的なものと見るのかという事を幾つかのシナリオに分けて考えていく必要がある のではないかというように思います。つまり、足下の厳しい状況が続くケース、より長 く続くケース、そうではなくてだんだんマイルドに回復してインフレ基調に戻ってケー スというようなことを、場合分けして考えていくということが必要ではないかなと思い ます。  ですから、過去のデータもかなり参考になりますけれども、将来について少し場合分 けして、大きくフェーズが変化してきている今の日本経済を見ながら将来をどう展望す るかということをシナリオに分けて考えてみるということが必要なのではないかと感じ ます。 ○矢野委員  ただいまの御発言に基本的に考え方は同じでございますが、追加して感想を申し上げ たいと思います。  足下の厳しさというものに対して、今後よくなるという見方は全体的に少し楽観的な のではないかという印象を持っております。この経済情勢の悪さがどこまで続くかとい うのは、今の時点で断定的にはだれも言えないことだと思いますが、例えば2007年まで を低めにして、それから2008年度以降はまた別という考え方についてなんですけれども 、財政再計算期というものを一つ参考にして、2009年までを足下の期間とするというよ うな考え方もあるのではないかと思います。賞与を含む名目賃金上昇率とか物価上昇率 についても、現実の厳しさを反映する必要があると思いますし、これからだんだん状況 がよくなっていったとしても、グローバル競争の下で厳しさというのが軽減するとは思 えないわけです。 シミュレーションを出されているわけでございますけれども、むし ろケースCを基準ケースに置き換えてシミュレーションをやるとか、あるいは賃金上昇 率をマイナスにしたケースとか、年金額に名目賃金額の下限を設けない場合などのシミ ュレーションとか、そういうものを比較検討するということは非常に意義があることで はないかと思っております。  それから、人口推計については、この資料にもありますとおり、毎度やるたびに過去 の低位推計が新しい中位推計になるというような状況を見ますと、やはり低位推計に基 づく考え方でもシミュレーションをやる必要があるのではないかと思います。私ども日 本経団連でも、いろいろな前提条件を置いたシミュレーションをやっておりますけれど も、人口の問題については低位推計をとるというようなことをいたしております。  感想でございますけれども、申し上げさせていただきました。 ○山口委員  労働力率の件なんですが、18ページでは、高齢者、それから女性の労働力の参加が高 まるというようなことが見通されており、女性のところではM字カーブの解消というよ うな御説明があったんですが、見た限りはどのように解消を想定されているのかという ところが見えてこないですね。  現下の状況を見ますと、世帯主である男性がかなり高額賃金であるというような場合 以外は、もう1人の収入で世帯を支えるというのが難しくなっています。そのような状 況の中で、やはり女性の労働力率はかなり変化をしてくるだろうし、より労働市場に参 入してこなければいけないというような状況になると思うのですが、そういったことで この2025年までの見通しを見ると、どうもその辺のことが見込まれているのかどうかと いうことを疑問に思いますので、その辺はどの程度に見ているのかお伺いできればと思 います。 ○坂本数理課長  この点につきまして、職業安定局に尋ねましたところ、過去のトレンドを将来に向か って伸ばしているということでございますので、今、委員がおっしゃいました点をどの 程度反映するかということは、また新たに検討する課題ではないかというところでござ います。 ○大澤委員  関連した話ですが、20ページの生産年齢人口の減少率と厚生年金の被保険者数で、10 ページの総賃金というところにもかかわるんですけれども、労働力率は上がっても雇用 者比率がそれに伴って上がるのかどうかという問題と、雇用者比率は上がっても被保険 者比率というのがそれに伴って上がるのかどうかという問題があると思います。近年の 傾向でいえば、雇用者比率と被保険者比率との乖離というのは広がってきていると思い ます。  そこで、この20ページの生産年齢人口の減少率よりも被保険者数の減少率の方が少な くて済むという見通しは、いささか甘いのではないだろうかと思われます。最近の高卒 の就職率とか大卒の就職率のことを考えましても、甘いのではないかというような気が いたします。就職したからといって、厚生年金に入るかどうかはわからないわけですか ら、その辺のところをどの程度細かく検討なさっているのか教えていただければと思い ます。 ○坂本数理課長  財政再計算におきましては、労働力率でまず労働力人口を求めました上で、更に雇用 者比率が労働力人口の中でどの程度を占めているかということも、過去の実績を基に計 算しているところでございます。したがいまして、過去の傾向は反映するのですが、前 回の財政再計算までは雇用者比率が減少するという傾向は現れていませんでした。とこ ろが、今回の場合はそういうものが現れてくるといたしますと、それらを織り込んでい くということになろうかと思います。 ○山崎委員  今の点につきましては、パートの適用拡大という政策的な要素が入っているのかどう かということが決定的な影響を与えると思いますが、いかがでしょうか。 ○坂本数理課長  短時間労働者の適用は新しい政策でございますので、これを実際に実現するとどうい った見通しになるということにつきましては、新たな前提を置いて推計していくという ことになるわけでございます。ここでは、まだそのことは触れていないところでござい ます。 ○小島委員  財政再計算として、長期にわたって試算する場合の前提については、現在、超長期の 推計をやっているのは人口統計だけですが、それが見直すたびに違ってきていると思わ れます。それと、年金財政を考える場合には、経済成長をどう見るかということになり ます。それとともに賃金上昇をどう見るかということですけれども、長期的にどう見る かは難しい。そういう中で、日本のこれからの潜在成長率がどのくらいあるのかという ことを押さえる必要があり、それらをベースにして長期的に成長のトレンドをどう見る かということではないかと思います。  その際、年金財政を試算する場合には、内閣府でも平成20年までの経済見通しを出し ていますが、それと全く別なものを出すというのもまずいのではないか、政府関係の将 来見通しの中で一定の整合性というのは必要だろうと思っています。そういう意味では 、まさに今の足下の経済状況をどう見るかにかかってくるんだろうと思います。それか ら長期的な潜在成長率をどう見るのかということによって、前提が違ってくると思いま す。  幾つかの試算はすべきだと思いますけれども、最終的には一つの前提を置かないと、 給付と保険料は設定できないということになりますので、十分現行の足下、それから現 行の厳しい状況がいつまで続くのかということの見通しの中で考えるべきだと思います 。そういう意味では、過去のデータが全く使えないと言ってしまうと、将来の見通しの 基準が何もなくなってしまうということもありますので、一定程度、過去の状況を踏ま えて将来の前提をつくっていくということしかないんだろうと思います。  昨年12月に示された「方向性と論点」の中でケースA、B、Cというのがありますが 、基準ケースBの場合、長期的に2008年以降の物価上昇率あるいは賃金上昇率は、過去2 0年ぐらいのデータを基にして想定したんだろうと思いますけれども、どうなんでしょう か。 ○坂本数理課長  「方向性と論点」の試算における経済前提でございますが、これはまだこれから御議 論いただくということで、そこまで意味を持たせて前提を置いたわけではございません 。  まず、ケースAは11年の財政再計算、あるいは新人口推計対応試算とのつながりの必 要性から、前回の再計算と実質的に同じ前提を置いたものです。ケースCは、かなり厳 しい見通しというものが要請されておりましたので、一番厳しい見通しではないかとい うケースを想定してみたものです。このケースCにおきましては、1人当たり賃金上昇 率は実質で0.5 %と置いているわけでございますが、それでなければゼロ以下という前 提を置くことになるわけでございますけれども、やはり1人当たりの生産性の上昇は将 来見込めないということはないだろうということで0.5という前提を置かせていただきま した。  それから、この12月当時、今はまた更に低下してきているんですが、長期金利が実質 で1%程度ありましたので、金利につきましても実質で1%は保てるだろうということ で、一番厳しいケースとして、実質賃金上昇率が0.5 %、実質運用利回りが1%という ケースCを想定させていただいております。  そして、ケースBはその中間ということで、実質賃金上昇率はケースAと同じ1%、 それから運用利回りは1%と1.5 %の中間の1.25%と置かせていただいたということで ございます。 ○小島委員  これは質問というよりも意見です。11年度の財政再計算の前提の中で、これまで我々 が問題にしているのは、国民年金の空洞化問題です。今日配付されている資料の中でも 、直近の検認率は70%まで落ちています。それと、保険料免除率も17%ぐらいになって いるということで、言わば国民年金の第1号被保険者で保険料を実質的に負担していな い人たちが増えているということを前提の上に試算がされているということをどう考え るかということは、非常に大きなポイントになると思います。  特に、長期的に見た場合には、保険料を納めていない人については、当然給付に結び つかないから、財政上は問題はないと言われるかもしれませんけれども、当面のところ 、その分は第2号被保険者の保険料で賄っているということがあります。第2号被保険 者、いわゆる労働者の賃金が低下しているという極めて厳しい状況の中で、保険料を負 担していない人の分を支援しているといいますか、負担をせざるを得ないというような 状況があります。この検認率の低下、言わば未納者の問題と免除者の問題ということを どう考えるかによって財政上大きく違ってくると思います。今後試算をする場合にはそ れについても十分勘案することが必要だと思います。そこは是非意見として言っておき たいと思います。 それともう一つ、人口推計の問題です。人口推計の中では統計上婚 外子の数は除いているということですが、その数は近年増えてきております。人口推計 を見ますと、終戦直後は子どもの数の4%ぐらいは婚外子だと言われていましたけれど も、それがだんだん減ってきた後、1980年ぐらいから上昇してきて、今でいうと、子ど もの数のうち1.6 〜1.7%ぐらいは婚外子という数字が出ております。この伸びをこれか らどう見るかということによっても人口推計が違ってくると思いますので、そのことも 、再計算する場合には勘案することが必要だと思っております。 ○神代部会長代理  何かお答えはありますか、御意見ですから承っておけばよいかと思いますが。どうぞ 。 ○矢野委員  今、検認率の話が出ましたので、申し上げます。参考資料1の6ページなんですけれ ども、図3を見ましたら、大して変わっていないのではないかなという印象を持ちまし たが、よく見ますと、4年間で検認率は9%近く落ちています。単純平均で年2%以上 低下しているわけです。図4と比較してみて、図3も図4のような目盛りのとり方をす ると、傾斜がもっと大きくなって、深刻さがよくわかるのではないかなと思います。グ ラフの書き方について御検討いただきたいと思います。  図4を見ますと、若くなるほど検認率が低いわけで、20歳代では半分ぐらいです。こ の実態を見ますと、本当に将来に対して強い不安をおぼえるというのは私だけではない のではないかという気がします。収納対策の強化を図るという施策があるのですけれど も、本当に今のような方式を維持したままで抜本的解決ができるのかということについ て、また改めて疑問の念が深くなりましたので、そのことだけを申し上げておきます。 ○神代部会長代理  どうもありがとうございました。先ほどの山口委員の御質問ですが、18ページ、19ペ ージの労働力率の見通しは、11年の職業安定局の推計作成のときに私も関係していまし た。そのときの記憶ですと、18ページのグラフで見るとM字型は余り改善していないの ではないかという御指摘だったんですが、19ページの表に女性の労働力率の数字が出て いますが、これは単に過去の実績を伸ばしたのではなくて、例えば託児所の数とか、7 項目ぐらい政策的な変数を入れて、ぎりぎり伸ばせる上限でとっていたはずです。です から、私などはそんなに伸びるかどうかの方が心配だったと記憶しています。  また、男女とも60歳代前半層の労働力率は実績では2000年まで徐々に下がってきてい るんですけれども、それが85%まで上がるという推計がありました。これも政策的な変 数を入れて計算していたはずです。国際的に見ると、現状の70%台というのも異常に高 い数字なんですね。日本だけ例外的に高い数字です。ですから、それが更に85まで上が るという推計は、よほど高齢者を積極的に有効に活用するという政策を前提として計算 していたと思いますので、政府の政策の方向は示していると思うんですけれども、実現 可能性はいろいろ検討してみた方がいいかなという記憶がございますが、これは過去の 推計の話ですから、新しい推計に関しては私はタッチしておりませんのでよく知りませ ん。  それと、先ほど翁委員の御意見にあった過去の実績を重視し過ぎているという御指摘 は、私もそのとおりだと思います。一応前向きなものは9ページの各シンクタンクの予 測等も参考にしていると思うんですが、出てきた結果の数字だけではなくて、例えば各 シンクタンクでは、これから為替レートがどうなっていくだろうか、あるいは全体とし て中国等の影響がありますから、卸売物価とか輸入物価の低下が相当な間続くだろうと 見ているかなど、いろいろなシンクタンクが価格などを見込むための方程式をたくさん 使っていると思いますから、そういう経済成長の見通しをなさっている際の基礎データ で、為替レートや卸売物価をどういうふうに見ているのかを当たっていただいた方がい いかなと思います。 ○渡辺委員  直接これと関係ないのですが、4月から総報酬制になりますね。厚生年金の保険料率 は17.35%を13.58%にすることによって、言わば財政中立というような格好になってい ますが、現実問題として、既に企業の動きを見ていると、ボーナスを年4回以上払いに するといったような防衛策をとっているところが現実に出てきているので、保険料収入 がこれから減っていくことが予想されるわけです。それをどう見通しするか、簡単にお 答えいただきたいです。 ○坂本数理課長  ボーナスの減少というのも傾向として現れてきているところでございます。総報酬制 を考えますときにはボーナスの変化ということを絶えず意識していかないといけないこ とから、ボーナスの将来見通しというものも基礎率に入れていくということになると思 います。 ○神代部会長代理  ほかにございましょうか。時間でありますので、いろいろまだ御意見があれば、後ほ ど事務局の方に、書面でお寄せいただければと思います。  もう一つ、議題の2といたしまして、年金資金運用分科会の意見書が出ております。 今月の13日にまとめられておりますので、分科会長でいらっしゃいます若杉委員から御 報告をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。 ○若杉委員  年金資金運用分科会の会長の若杉でございます。今、座長代理から御紹介がありまし たように、今月の13日に、皆様のお手元にあります「株式を含む分散投資の是非に関す る意見」というものを年金資金運用分科会として出しておりますので、それについて御 説明したいと思います。私の方から基本的な考え方や状況をお話しして、その後、事務 局から内容について説明をしていただきたいと思います。  まず、2001年4月から全額自主運用が始まったわけですけれども、それに当たりまし て厚生労働大臣が運用の基本方針というものを決めて、現在、それに基づいて運用して おります。  この基本方針がどういうものかお話ししますと、基本になるのは基本ポートフォリオ と呼ばれるものでございます。これは基本的に分散投資という考え方をとりまして、投 資対象の資産を5つに分けています。国債を中心とした国内債券、それから国内株式、 外貨建ての債券、外国株式、そして流動性の準備としての短期資産、この5つの資産に 分けておりまして、それぞれの資産を運用したときにこれからどういうような利回りに なるか、あるいは金融資産ですから当然リスクがあるわけですけれども、それぞれのリ スクがどういうものであるか、そしてそれらの間にどういう関係があるかということを 、過去のデータと資本市場の経済原理という観点から予想しまして、その予想に基づき まして、年金積立金として実現すべき基本的な資産構成割合、政策的資産構成割合と呼 んでいますけれども、そういうものを決めております。  現在、制度として全額自主運用が始まったわけですが、まだ財政融資資金への預託が 残っています。2008年度以降になりますと、現在の預託が全額返ってまいりますので、 そのときを正常な状態と考えまして、2008年度以降に実現すべき政策的資産構成割合で ある基本ポートフォリオを決めております。  この基本的な考え方は、経済には好況、不況、あるいはデフレ、インフレというよう ないろいろな変化がありますけれども、そういう変化にかかわらず、長期的に基本ポー トフォリオを維持する、資産構成割合は変えないというものでございます。こういうよ うな考え方は分散投資と長期保有を基本としておりまして、よくパッシブ運用と呼んで おります。これがこの年金積立金の現在の運用の基本的な考え方と方法でございます。 この基本ポートフォリオというのは、2008年度以降に実現するものでございます。  それまでは、2001年4月から全額自主運用が始まった時には、もともと旧年金福祉事 業団で運用していた市場運用部分もあるわけですが、そのほかは全額預託されていたわ けです。そういう資産構成から、2008年度の基本ポートフォリオまで、その間は移行ポ ートフォリオと申しまして、徐々に資産構成割合を基本ポートフォリオに近づけていく という考え方をとっております。  ですから、2001年4月の初めのときには預託部分が非常に多いわけですから、事実上 、国内債券、国債に相当するものが非常に多いわけですが、それから徐々にその割合を 減らしてほかの資産を増やしていくということになるわけです。そのときに、移行ポー トフォリオにおいてはその資産構成割合をなだらかに、別な言い方をしますと、機械的 に変えていくという考え方をとっております。  なぜ機械的に取り扱うかと申しますと、そこに裁量の余地が入りますと、PKOや、 あるいはそのほかのいろいろ政治的な配慮などの影響を受けて、加入者の利益という本 来の運用の目的以外の資産運用が行われると加入者の利益を損ねるということになるか らです。そのため機械的に決めていくという考え方をとっております。  2008年度以降の基本ポートフォリオは、将来大きな前提の変化がない限りは基本的に は変えないというものでして、それを2008年度以降実現するように現在は移行ポートフ ォリオにあるという考え方でございます。分科会が答申を行ったのは2001年の2月でし て、4月から全額自主運用が始まる前に運用基本方針を決めたということでございます 。当然、その前に三、四年かけて調査、研究、分析をしてまいりまして、それに基づい てこういう基本ポートフォリオが決まっているわけです。  運用の基本方針の中で毎年基本方針は検討するということになっているので、基本方 針が決められてから、昨年にも、新しい年度になる前に方針の見直しをしているわけで す。基本的には初年度と変わらないやり方をしております。  しかし、最近1年ぐらいでしょうか、デフレということで経済に対する認識が変わって きているわけです。そして、デフレだと経済が縮小し、企業活動も悪くなって、株価が 低下するため、株式投資はすべきでないというような議論が出てきているわけです。そ ういうことで、年金積立金についても、株式運用の是非について検討すべきではないか という声が上がってまいりましたので、昨年10月から年金資金運用分科会においては、 積立金の運用の在り方ということで、基本ポートフォリオ、あるいは分散投資というこ とも含めて基本的な運用の在り方を再検討したということでございます。去年の10月か ら今年の3月まで、11回にわたって公開で年金資金運用分科会を開きまして、そこで現 在の運用の在り方を再検討しました。また、株式投資を行うことが是か非かということ も検討してまいりました。  結論としましては、これから事務局に説明してもらいますけれども、基本的には現在 の運用の仕方を変えるべきではないということでございます。そもそも、こういう大き な資金を持っていて、また国のお金で公的な資金ということで、その運用や資産構成割 合を決めるときにも審議会を開いたりして変えなければいけませんから、その時々の経 済の動きに対して機敏に資産構成割合を変えることができないわけです。そして、実際 に金額も大きいので変えることもできないということが共通の認識でございます。そう いうことで、現在デフレが問題になっていても、今の運用の仕方を変えるべきではない というのが基本的な結論でございます。  もう一方では、デフレで経済が悪くなるとか、株式投資の収益率が悪くなるとか、あ るいは株価が下がるということがよく言われているわけですけれども、実際にデータを 見てみますと、必ずしもそういうことは言えない、どちらとも言えないということもあ るわけです。そういうことで基本ポートフォリオは変えないということで結論が出てお ります。  そして、移行ポートフォリオについても、こういうときなので機械的に資産構成割合 を変えるのではなくて、少し株式の割合を抑えるべきではないかという大変強い意見も あったのですけれども、それについても変えずに機械的にやっていくべきだということ で結論が出ました。  ただ、これからも今までのやり方を続けていくわけですけれども、現在ここでまさに 問題になっていますように再計算が行われるわけでして、そこでは前提の見直しという ことが行われますから、そういうものに合わせて基本ポートフォリオも見直すというこ とも結論として強調しております。  もう一方で、株式を運用の基本方針で決めたとおり当面行うわけですけれども、現在 日本の企業のコーポレート・ガバナンスが議論されておりまして、本当に株主重視の経 営が行われていないのではないかというような指摘もあります。年金積立金としてコー ポレート・ガバナンスにどういうふうに関与できるかということを検討していくこと、 それからパッシブ運用ということで分散ポートフォリオを持つわけですが、そのときに ベンチマークという業績が鍵になるわけでして、今までTOPIXをベンチマークにし ていたんですが、そういうものでいいかどうか、もう少しベンチマークを工夫する必要 があるのではないか、そういうことも検討すべきだということで年金資金運用分科会の 意見がまとまりました。そのようなことを、結論と合わせて、今後の検討課題として意 見をまとめてさせていただきました。具体的な内容については、事務局からもう少し説 明していただこうと思います。 ○神代部会長代理  どうもありがとうございました。それでは、運用指導課長の方から説明をお願いしま す。 ○泉運用指導課長  それでは、お手元の資料2をごらんいただきたいと思います。基本的な点については 若杉分科会長から御説明がございましたので、若干補足的に御説明させていただきます 。  1の「はじめに」というところでございますが、分科会長のお話にありましたように 、これまで基本方針を定めて分散投資を行ってきておりますが、とりわけ株式市場の低 迷という点が指摘されていること、それから一昨年暮れに「特殊法人の整理合理化計画 」の閣議決定がございまして、そこでも運用の在り方について検討を行うべきという御 指摘もあって、分科会で昨年10月からいろいろと御議論をいただき、この意見書をまと めていただいたというものでございます。  1ページの下の方に、まず「年金積立金の運用のあり方と株式投資・債券投資」とご ざいます。ここにつきましては、部会の方でもこれまで御議論いただいていますが、積 立金をなぜ持っているのか、その意義などについて触れてございます。基本的には賦課 方式を基本としながらも、少子高齢化が急速に進行する中で将来の保険料負担が増大す るわけで、その負担の軽減を図るということから、一定の積立金を保有し、運用収益を 活用する、こういう考え方で積立金を保有しているわけでございます。  2ページの方に、積立金の運用と予定利回りの関係について書いてございます。予定 利回りを定めて、それに基づいて計画的に運用を行っていくということでございますが 、利回りの設定によって保険料負担の水準も変わってまいります。適度な予定利回りを 設定し、リスク管理を徹底することが不可欠ということがここで指摘をされております 。  また、運用の目標でございますが、前の資料で先ほど数理課長の方からも御説明した 点とここは重複しておりますが、公的年金の場合は名目賃金上昇率に連動して給付総額 が動くということから、運用におきましては、長期的に見て名目賃金の上昇を上回る実 質的な運用収益を確保することを目指して運用していくべきだということが、運用の目 標というところで書いてございます。  また、厚生年金保険法あるいは国民年金法におきましては、運用に当たっては、被保 険者の利益のために、長期的な観点から安全かつ効率的に行うということが定められて おります。運用の目標を定めてやっていく場合にもなるべく低いリスクで収益を得ると いう、安全性と効率性の両面に配慮しながら進めていくことが必要であるということが ここで述べられております。  そのために分散投資ということが出てくるわけでございますが、いずれにしましても 、収益が事前に確定しないリスクというのが一定程度ある中で、どのように対応するか というときの基本的な考え方として分散投資というのがございます。3ページの方に続 きますけれども、リスクとリターンの特性が異なる複数の資産に分散して投資すること で、ある一部の資産の収益が低い場合にもほかの資産によって収益がカバーされるとい う関係があるわけでございます。そうしますと、資産全体のリスクを低減させることが できるということでございます。  具体的には、主たる投資対象として、債券と株式がまず挙げられるわけでございます が、相対的にローリスク・ローリターンである債券と相対的にハイリスク・ハイリター ンである株式、これらリスク・リターンの特性が異なるものを組み合わせることによっ て分散効果が期待できるということでございます。また、いずれも流動性の高い市場が あるわけでございますので、こうした点を考慮しますと、株式と債券を組み合わせた分 散投資が望ましいであろうということが分科会の意見として述べられてございます。  それから、昨今の経済状況についても議論をいただきました。とりわけデフレの中で 、経済成長の鈍化、あるいは株価も下落傾向にあるという状況で、株式投資、あるいは 債券投資をどう考えるかということの御議論をいただきました。  しかしながら、まず基本的に年金の運用といいますのは、数十年にわたる長期を視野 に置いた運用でございます。そうしますと、数十年というタームで考えますと、様々な 経済変動、デフレ、あるいはインフレ、こういうものも含んで様々なものが予想される 中で、長期的に見て最も安定した収益を上げることを目指すべきだということが基本に ございます。  そうした場合に、短期的な市況予測、マーケットがこうなるだろうという予測に基づ いて資産の割合を頻繁に変更するよりも、むしろ基本となるものを定めましたならば、 これを一定期間維持していく方が目的達成には効果的であると考えられるわけでござい ます。将来の株価、あるいは将来の金利動向を確実に予測するというのは難しいわけで ございますので、一時的に株式投資を中断したり、あるいは様子を見て再開したりとい うようにタイミングを測って行動するということは、結局短期的な予測に基づく運用と いうことになるわけですが、相当の規模を有し、また性格として長期的に安全かつ効率 的に運用を行うという年金積立金の性格からして、そうした運用を行うことは適当でな いのではないかということが述べられております。  昨今の経済状況を見ますと、デフレが続き、厳しい経済環境にございます。企業にと っても経営環境は厳しいことは事実でございますが、一方でデフレ、つまり物価が下落 するということと株価がどうなるということについては、必ずしも連動しているという わけではございません。したがいまして、デフレ期であるから直ちに株式投資は中断す べきというように断定することも難しいということでございます。したがって、結局の ところ、長期的視野に立った投資を行うということが必要であろうと考えております。  また、株式市場とはそもそもどういうものかということを議論すると、リスクがあっ て、それに見合ったリターンが期待できる、その見合ったリターンを期待して投資が行 われるということになります。株式市場というのは本来そうしたものであって、そうで なければ株式市場そのものが成り立たないということにもなりかねないのではないかと いう御指摘もありました。  一方で、その次のパラグラフですが、株式投資をやめてしまって、すべて国債で運用 してはどうか、こういう点についてどう考えたらいいかということでございます。確か に、足下は名目賃金もマイナスで推移しておりますので、そうした場合には債券投資だ けでも賃金上昇を上回る実質運用利回りが確保できるのではないかという考え方もある わけでございますけれども、一方で、そうした名目賃金がマイナスで推移するというよ うな状態が長期的に続くのかというところも勿論疑問でございます。また、現在歴史的 な低金利の状態にあるわけでございますが、将来、賃金あるいは物価の上昇が起こった 場合に、運用利回りが年金給付の増大に追いつかないのではないかという点も指摘をさ れております。債券運用におきましては、金利の動向によって損失が生じる可能性もあ ります。つまり、債券に全部移したからそれで安全だということには必ずしもならない ということもあるわけでございます。  次に、5ページでございますが、分科会長からも御指摘がありましたが、現在は基本 ポートフォリオというものを平成20年度に達成することとし、それまでの間は移行期間 ということで毎年移行ポートフォリオを定めているわけでございますが、基本ポートフ ォリオの達成年次を後ろに遅らせてみたらどうか、そうすることによって当面株式の購 入を減らしたらどうかという御意見がございました。  しかしながら、基本的考え方として、今は旧資金運用部への預託金の償還が続いてい るという時期でございますが、それが終了する時点で基本ポートフォリオはできるだけ 速やかに達成しようということが基本的考え方でございます。先送りする理由が見いだ せないことから、そうした考え方も適当ではないのではないかと考えております。した がって、移行ポートフォリオについては、これまでの方針どおり、基本ポートフォリオ の達成に向けてなだらかに移行するように定めることが適当と意見書では結論づけてお ります。  また、4でございますが、やや別の観点から、積立金の運用と国民経済との関係とい うことで何点か述べられております。1つ目でございますが、株式市場に一部投入され るということは、公的に集められた資金が市場を通じて民間の企業活動に流れていくと いうことでございます。経済全体で見た場合のリスクマネーの配分という点でも意義が あるのではないかという御議論がございました。  仮に全部国債で運用するというようなことを行った場合には、その資金配分を国が全 部行うということになりますので、これは全額義務預託ということで12年度まで行われ ておりました財政投融資制度を根本的に改革するという趣旨に反するのではないかとい う御議論でございました。  一方、株式投資を行うのであれば、これまでも指摘されている一つの点が、市場にイ ンパクトを与えて市場の価格形成を歪めるのではないかという点でございます。この点 については、これまでも資金の配分などを特定の時期に集中させない、あるいは同一銘 柄への投資割合を制限するなど、いろいろな制約を設けて配慮をしてきているところで ございます。  続いて、6ページでございますが、国の資金で株式を保有するのは民間企業の支配に つながりかねないのでないかという御議論もございます。この点についても、そうした 懸念がおきませんよう、年金資金運用基金が実際に運用を行っておりますが、こちらが 直接議決権行使を行うのではなく、民間の受託機関の判断に委ねた上で、その方針なり 議決権行使の状況の報告を求めるという形で現在実施をしているところでございます。 今後とも、そうした点については十分配慮すべきであるという指摘をいただいておりま す。  最後に、5の「今後の課題等」というところが結論部分でございます。最初の「○」 でございますが、今までの検討から、国内債券を中心としながら国内外の株式を一定程 度組み入れるという考え方は今後とも維持することが適当ということを結論づけており ます。なお、委員の中から、安全性を最優先させる立場から、市場リスクの高い株式投 資は行うべきではないのではないかという御意見もございました。なお書きということ で、ここに付記させていただいております。  また、その次の「○」でございますが、今後の取組みについて、資産配分の割合をど うしていくかというときに、財政再計算に合わせて年金制度の改革が予定されているわ けでございますし、今日の前段の方で御議論もいただきましたが、予定利回りについて もこれから見直しを行っていくということになります。予定利回りが見直されますと、 運用におきましても何を目標にどのように運用していくかという点について変わってく るわけでございます。したがいまして、基本ポートフォリオの内容についても、こうし た財政再計算の作業と歩調を合わせる形で見直しをしていくことが必要だということを ここで御指摘をいただいております。  また、その際には、債券投資をより適切なものにする観点から、国債の満期保有の在 り方についても検討すべきという御指摘もいただいております。  最後のページでございますが、その他何点か御指摘をいただいておりまして、1つは コーポレート・ガバナンスの問題でございます。企業が健全なガバナンスを確立し、収 益力を向上させるということは、企業を投資対象として年金を運用する立場でも、その 成果の向上につながるわけでございます。国が民間企業の経営に影響を与えないようと いう点については留意する必要がございますが、ガバナンスの在り方についての検討と いうのをしていくべきだという御指摘をいただきました。  それから、ベンチマークの問題でございます。年金資金運用基金ではTOPIXをベ ンチマークとして運用を行っておりますけれども、そのベンチマークはTOPIXでい いのか、あるいはほかのことを考えていくべきか、こういう点についても分科会でいろ いろ御議論がございました。さらに、投資対象の拡大も含めて幅広く検討すべきという 御指摘をいただいております。  最後でございますが、財投債引受け、あるいは実際運用基金が行っております運用機 関の選定ですとか、委託手数料、こういった点についても改善するところがあれば取り 組んでいくことが必要だということで御指摘をいただいたというものでございます。  以上、簡単でございますが、補足説明させていただきました。 ○神代部会長代理  どうもありがとうございました。ただいま御説明のありました点につきまして、御質 問等がありましたらどうぞ。 ○小島委員  私はこの分科会のメンバーでもあり、意見書の中で、最後の結論のなお書きで私の発 言が付記されております。今回の分科会の意見に対して異議を申し立てたのは私だけと いうこともありますので、私の意見を述べておきたいと思います。  これは分科会の中で何度も私は繰り返し主張したところであります。1つには、この 積立金の性格、役割は、一定の収益を上げて将来の保険料を抑えるということですけれ ども、それ自体、本当に将来に向かって一定の収益を確保できるのかどうかというとこ ろです。今回も期待収益率4.5 %を将来に向かって確保するということが前提になって おりますけれども、果たしてそれが将来に向かって達成できるかどうか。それは不確定 だというふうに思っております。長期分散投資ということで、過去のトレンドから見れ ば可能だと言われますけれども、過去のデータどおりに将来が見通せるかどうかもまた 不確定な要素だと思います。そういう意味ではリスクの高い株式運用に公的年金の資金 を投入すべきでないというのが私の基本的な考え方であります。  そもそも公的年金は賦課方式を基本にするので、膨大な積立金を持つ必要がないと思 っております。積立金を多く持てば持つほど、運用収益を上げるためのリスクが発生し ますので、そういう意味では賦課方式を基本にして、積立金をそんなに持つべきでない と思います。  ましてや、基礎年金を税方式にすれば、当然その時の基礎年金は賦課方式であります ので、保険料の積立金は2階の厚生年金だけということになります。そういう意味では 更に積立金の規模も縮小できると思っております。  それと、積立金はとりあえず現在150 兆円ほどありますけれども、それをすべて市場 運用すべきかどうかということも、もう一度議論すべきではないかと思っております。 すべての積立金を市場運用するから、株式運用も含めた投資ということになるんだろう と思います。そこは加入者、被保険者への還元融資ということも考え、全体の積立金を 圧縮し、そして加入者に対する還元融資に回していくというふうに考えていけば、市場 運用の枠は極めて少なくなりますので、その場合には国債だけでいいと考えることもで きると思います。そういう観点からの検討が必要ではないかと思っています。  そういう意味では、年金積立金の在り方、規模の問題も含めて、もう一度年金全体の 在り方の中で検討をすべきだと思います。  それともう一つ、現在、市場運用、特に株式運用ではマイナスを出しています。それ については、受託者責任はあっても、結果責任はとらなくていいということですが、果 たしてそれでいいのかということです。一時期的にマイナスが出た場合でも結果責任で はなくて受託者責任だということになっておりますけれども、それについてももう一度 考え直す必要があるのではないかと思っております。せめて5年ごとの財政再計算ごと に結果を厳しく評価して、その責任を明確にすることは、市場運用する場合には当然必 要だろうと思います。結果責任の問題というようなことも含めて、市場運用との関係の 中でもう一度検討する必要があるだろうと思っております。 ○神代部会長代理  どうもありがとうございました。ほかにはいかがでございますか。 ○大山委員  意見書としてはもう出来あがっていますので、事実だけ確認したいんですけれども、 これからコーポレート・ガバナンスについても検討していくということで、それは民間 の運用受託機関の判断に委ねるということになっていますが、現にすでに取り組んでい るところもあるのでしょうけれども、民間の運用受託機関は具体的にはどうなるんです か。 ○泉運用指導課長  現在、年金資金運用基金は、株式については投資顧問会社あるいは信託銀行に運用を 委託しておりますが、そうした各金融機関もそれぞれ議決権行使をどういう考え方で進 めるかということで、それぞれ社内で方針などをお決めになられております。そういっ たところをここでは言っているわけでございます。 ○大山委員  金融機関に委ねるということですね。 ○泉運用指導課長  運用基金自身が議決権行使をするのではなく、金融機関に委ねるということでござい ます。 ○若杉委員  現在も、年金資金運用基金は自ら銘柄選択をすることはなく、民間の運用機関が銘柄 を選んでいるわけです。そういうところに、銘柄を選んだことの一環として議決権行使 をしていただくということでございます。それを今は基本的に運用機関に委ねているわ けです。 ○翁委員  質問と意見を含めてなんですけれども、6ページにあります下から 2つ目の「○」で 、「基本ポートフォリオの内容については、株式の構成割合のあり方を含め、今後とも 検討する必要がある」と書いてあるのですが、この基本ポートフォリオの見直しという のは、今回16年で行うということはわかるんですけれども、例えば今後見直しをしてい く頻度や、一たん決めたらもうずっと基本的にその方針でいくということなのか、その 辺のスタンスについて教えていただきたいです。  構成割合を変えるということがあるだけで市場への影響が相当ございますし、同時に 、今度国債なんかでインフレ連動債といった新しいものも入ってきますと、いずれイン フレヘッジができる商品としての債券がまた新たに利用可能になってくるわけです。そ ういった新しい金融商品が出てきたりしますと、当然見直しにもかかわってくると思う んですが、そういった見直しの考え方をお伺いしたいのが1つです。  2つ目は、今の御質問の関係ですが、民間受託機関の選択基準はどうなっているかと いうことです。本来であれば公的機関なので事前に大まかな基準をつくっておくという ことが望ましいように思うんですが、今はどうなっているのか、私は余り正確に知りま せんので、その辺の現状と今後の考え方についてお伺いしたいというのが2点目です。  3点目は、さっきの小島委員の結果責任にも関係する話ですが、今回の改革の方向性 に関しては、結局、運用利回りの低下という部分が将来にわたって調整される形になっ ているのですが、この間意見を申し上げたんですけれども、運用利回りの低下をどうい うふうに、給付と負担の関係でどの世代で調整していくのかということに関して、また 別途議論が必要だなという感想を持ちました。  特に、1点目と2点目については教えていただきたいのですが。 ○泉運用指導課長  まず、基本ポートフォリオの見直しの考え方ということでございますが、運用の基本 方針の中で、毎年検証を行うようにという規定がございます。それから、財政再計算が 行われ、予定利回りが変わる、あるいは基礎数字が変わるということになりますと、そ うしたときには基本的に見直しを行っていくということが考え方としてございます。た だ、そのほかに経済なり諸環境が大きく変動した場合に、必要とあらば見直すというこ とも述べられておりますので、定期的な見直し以外に行わないということではございま せん。  それから、民間の運用機関の選定基準ということでございますけれども、いわゆる特 化型運用と申しますか、株式、債券、あるいは株式でもパッシブ運用かアクティブ運用 か等、スタイルごとに運用機関の選定を行っております。具体的には、公募した上で御 希望の手が挙がったところについて、書類選考、あるいはヒアリングなどを行って、ま た運用機関についても定性評価、定量評価、両方相まって、ここなら十分お任せできる というところについて選定した上でお願いしている。こういう形でやっております。 ○翁委員  何かあらかじめ基準というのを出しているというわけではないんですか。どういう項 目を選考するときの基準にしているというようなものは出しておられるんですか。 ○泉運用指導課長  定量評価、定性評価ということで、定量評価の方はこれまでの運用実績等でございま すけれども、定性評価の方は、組織体制とか、運用に携わる担当者、どういう体制で何 人ぐらいいて、どれだけ経験のある人がどうやっているのかとか、基本的にどういう方 針でやっているのか、その方針を頻繁に変えたりしていないかとか、そういった点につ いて公募の際に具体的な基準をお出しして、それに基づいて資料を出していただき、ヒ アリングなどもやっています。そういう形で、選定基準といいますか、いくつか項目に ついては審査させていただきますということで行っております。 ○若杉委員  結果責任についてよろしいですか。新聞で、結果責任をとらなくていいと私が言った という報道がなされているんですけれども、運用の過程で重大な瑕疵があって大きな損 失を出したというようなときには、当然結果責任も負わなければいけないわけですが、 受託者責任をきちんと果たして、その上で運用成果が悪かった場合、それは運用の仕方 というよりも環境や、その他の要因が悪かったということですから、責任をとらないと いうことでございます。  ただ、その大前提としましては、まず運用基本方針をきちんとディスクローズすると いうことがあります。どういう行動原理をとっているかということをきちんと明らかに すること、それと、結果をきちんとディスクローズするということですね。ですから、 情報開示ということとセットになって受託者責任があるわけでして、ただ受託者責任が あるから結果責任をとらないという意味ではありません。きちんと運用基本方針を決め 、事後的な開示をきちんと行い、そういうことをしながら受託者責任を果たしていれば 、重大な瑕疵がない限り結果責任はとらなくていいという考え方でございますので、補 足しておきたいと思います。 ○岡本委員  感想と質問なんですが、今日御報告のありました意見につきましては極めて妥当な考 え方だろうと私は基本的には思っております。小島委員が発言されました、積立金をど れぐらい持つかという規模につきましては別個の議論として大いにすればいいと私は思 うんですが、運用そのものについてはパッシブ運用というのは一番リスクの少ない考え 方であろうと考えておりまして、私はこの考を支持したいと思っております。  質問ですが、若杉委員の方から、今は移行ポートフォリオの段階であるという御説明 があって、恣意が入らないように機械的に取り扱うということでございますが、いわゆ る預託金が全額償還された段階におけるポートフォリオの割合、すなわち株式の国内外 株式、国内外債券、それから短期運用のこの5つは今どんなポートフォリオの割合を考 えておられるのかということを、お聞きしたいです。もう一つは将来ポートフォリオを 見直すときに、それぞれの資産から資金が移り変わるわけですね。これだけの大きな積 立金を持っておりますと、ポートフォリオを変えて資金を移すということはマーケット に対して非常に大きな影響があるわけですから、そのときにマーケットに極端なインパ クトを与えないように、どのように新しいポートフォリオに資金を移し替えていかれる お考えなのか、そのあたりについて決まっておれば御説明願いたいと思います。 ○若杉委員  基本ポートフォリオについては事務局に説明をお願いします。 ○泉運用指導課長  平成20年度に達成する基本ポートフォリオの資産構成割合は、これは国債、社債等も 含んでですが、国内債券が68%、国内株式が12%、外国債券が7%、外国株式が8%、 それから短期資産が5%、こういう割合で今定めております。 ○若杉委員  それから、前提条件が変わったときにポートフォリオの資産構成がどういうふうに変 わるかということなんですけれども、どの資産をどれくらいの割合で持つかということ は、主に各資産の間の収益の相関関係ということと、それぞれ資産の間にどれくらいの リスクの差があるかということによって決まります。  利回り自体は基になる短期の実質的金利がありまして、それにリスクの差を調整して いくわけですが、そういうことで金利水準等が変わっても、最適な基本ポートフォリオ の割合というのは余り大きく変わらないものです。ですから、これから金利等が大きく 変わっても、基本ポートフォリオが大きく変わるということは考えにくいことです。  ただ、万一そういうことがあったときに、どういう形でやっていくかということにつ いては、これからちゃんと考えなければいけないことだろうと思います。きちんとそこ までは詰めておりません。  あと、積立金ですけれども、日本の場合には、先ほど泉課長からも説明があり、これ までにもたびたび説明されていますように、積立金の運用によって積極的に収益を得て 将来の保険料を節約しよう、将来の保険料を軽減させようという意図があるわけです。 ですから、積立金の運用には明確な目的があります。同じ積立金といいましても国や制 度により性格や目的が全然違うので、同じようにポートフォリオを考えることはできな いということだと思います。 ○神代部会長代理  まだ、いろいろ御意見があろうかと思いますが、活発な御議論をいただきましてあり がとうございました。時間が既にオーバーしておりますので、よろしければ本日の議論 はこの程度で終了させていただきたいと思います。事務局の方から何か連絡がありまし たら、どうぞ。 ○高橋総務課長  給付と負担を前回、前々回とやっておりますけれども、次回は短時間労働者と年金制 度の関係、そういった問題につきまして御議論をいただきたいと考えております。  開催日時などにつきましては、日程調整の上、改めて御連絡申し上げます。 ○神代部会長代理  どうもありがとうございました。 (照会先) 厚生労働省年金局総務課企画係 (代)03-5253-1111 (内線3316)