03/03/18 第6回新医師臨床研修制度検討ワーキンググループ議事録         第6回 新医師臨床研修制度検討ワーキンググループ                   日時 平成15年3月18日(火)9:30〜                   場所 経済産業省別館第1020会議室                      照会先 医政局医事課 内線2563, 2567         第6回 新医師臨床研修制度検討ワーキンググループ                      日時 平成15年3月18日(火)                         9:30〜                      場所 経済産業省別館第1020会議室 ○医事課長  定刻になりましたので、ただいまから「新医師臨床研修制度検討ワーキンググループ 」を開会いたします。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中をご出席いただきま して誠にありがとうございます。本日は、文部科学省から、高等教育局医学教育課の小 松課長が、また厚生労働省労働基準局監督課から引地中央労働基準監察監督官が出席を しております。どうぞよろしくお願いいたします。なお、篠崎医政局長は、本日出席の 予定でしたが、急遽国会で朝日俊弘議員の質問が入りましたので、答弁のために国会に 向かいましたので欠席をさせていただきます。  今回のワーキンググループについては、昨年12月12日以来の開催になるわけですが、 今回の開催までの間に、臨床研修の体制整備に伴い、臨床研修の必修化が地域医療に与 える影響を懸念する声が高まっております。また、国会においても臨床研修制度のあり 方を巡って度々質疑が行われている状況もあります。  本日は、これまでの懸案事項でありますマッチングの問題と、新たな課題である新し い臨床研修制度に向けた準備に伴う地域医療の影響の問題についてご議論いただければ と考えております。以後の議事につきましては、矢崎座長よろしくお願いいたします。 ○矢崎座長  本日は、年度末の大変お忙しい中を、多くの委員の方々にお集まりいただきましてあ りがとうございます。本日は、ほとんどの委員の方にご出席いただきまして、実のある 議論を進めたいと思っております。12月12日以来3カ月ですが、研修制度のソフトラン ディングに伴う困難がなかなか解決していない様子です。基本的には、9月に私どもが 出しました基本設計から大きな進展が見られていないということで、私自身も大変心配 しております。  1つは、マッチングの問題があります。本日は、まずそれについて議論させていただ きたいと思います。まず、事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局  組み合わせ決定(マッチング)についてご説明いたします。資料2「組み合わせ決定 (マッチング)について(案)」となっております。これまでの議論、あるいは米国で のマッチングの状況を参考にしながら、この案を整理いたしました。概況についてご説 明いたします。  「組み合わせ決定の概要」ですが、マッチングといいますのは医学部を卒業し、臨床 研修を受けようとする研修希望者、臨床研修を行う研修病院の研修プログラムとを、一 定の規則に従って効率的かつ透明性を確保して組み合わせるためのシステムです。研修 希望者の選択、研修病院の意向を踏まえ、組み合わせが決定されるものです。強制的な 配置はありません。  「参加者及び参加病院」の定義を2に掲げております。参加者の定義は、平成16年度 以降に医師免許を取得し、臨床研修を受けようとする者。その中で、マッチングに参加 する者を「参加者」というふうに、この資料では定義しています。参加病院について は、平成16年度以降に臨床研修を行う研修病院の中で、マッチングに参加する病院を 「参加病院」と言っております。  「マッチング実施主体」は、参加者及び参加病院から提出された希望順位表に基づ き、コンピューターを用いてマッチングを実施するものです。この希望順位表について は、後ほどご説明いたしますが、イメージとしては8頁、9頁に載っております。  実施主体の役割として、情報提供として国が提供する参加病院の研修プログラム、あ るいは研修医の処遇など、募集情報を参加者に提供することになります。このほか実施 主体は、さまざまな情報を提供することができると考えております。  2頁ですが、スケジュールの管理を実施主体は行います。マッチングに係るスケ ジュール、例えば参加登録の期限、あるいは選考手続の期間、これは面接や試験になり ますが、こういったものをいつやるか、あるいは希望順位表の提出期限、マッチングの 結果の通知時期を公表します。参加者及び参加病院は、このスケジュールに則ってマッ チングに参加することになります。参加者及び参加病院に関する情報について、この実 施主体には守秘義務を課す形になろうかと思います。  マッチングに関する照会ということで、参加者及び参加病院から寄せられる照会に対 し、相談窓口を設けます。  マッチング実施主体の性格、その運営については、研修希望者、研修病院に対して中 立的な立場にある団体がマッチングを実施するものです。これは、国が実施するもので はありませんで、第三者的な団体が行うというふうに考えております。この実施主体に おいては、学識経験者、医療関係団体等の関係者で構成される運営委員会を設け、事業 方針を検討する。参加病院は、マッチング実施主体に必要な参加費を支払うという形で 運営をする、というふうに考えております。  「マッチングの方法」ですが、参加方法は、研修希望者、研修病院のいずれも参加は 任意ですが、すべての研修希望者、研修病院の参加が望ましいと考えております。参加 の登録は、単独型臨床研修病院、管理型臨床研修病院、それに相当する大学病院が行 う、というふうに考えております。  参加契約ですが、参加者及び参加病院は、実施主体との間に、実施主体が定める手 続、スケジュール等の手続がありますが、こういったものに従う旨の参加契約を結ぶこ とになります。そして、マッチングによる決定に従い、参加者と参加病院との間で研修 契約を結ぶことになります。マッチングへの参加については自由ということですが、参 加する以上はルールに従い、決まった所と研修契約を結ぶ、ということを考えておりま す。  募集定員については、原則としてその病院の募集定員すべてをマッチングで募集し、 組み合わせの決定しなかった定員分については、マッチング終了後に募集する、という ことを考えております。  3頁は、参加者及び参加病院の選択です。参加者(学生)は、研修を希望する参加病 院の定める選考手続、応募や面接試験等を受ける。そして、希望する研修プログラム を、希望順位表に記載する。自分が研修を受けたいプログラムから順に並べることにな ります。その希望順位表に記載できるプログラムについては、選考手続を受けた病院の 研修プログラムに限定するということで、全く選考手続を経ないものについては、希望 順位表には書けないということを考えております。  一方、病院のほうは採用したい参加者(学生)を希望順位表に記載する。これも、参 加病院が記載できる参加者については、選考手続を受けた者に限定する、ということを 考えております。  ただし、その次にありますように、希望順位表に記載できる病院数、あるいは学生の 数については制限を設けないということで、たくさんの選考手続を受けた参加者、ある いはたくさんの応募があった病院については、それぞれその手続を受けた範囲内で希望 順位表に記載ができる、というふうに考えております。  募集単位は、研修プログラムごとに募集定員を定めて募集することになります。ま た、情報提供については、実施主体が、マッチングの際に使用する一定の規則(アルゴ リズム)を事前に公表する、というふうに考えております。  スケジュールですが、参加者及び参加病院は、実施主体が公表するスケジュールに従 い、希望順位表の提出を行い、実施主体が情報提供、あるいは希望順位表の受理、マッ チングの実施、結果の通知等を行います。情報の伝達については、原則としてインター ネット及び電子メールを通じて行います。登録やID番号の発行に当たっては、郵送な どの手段を用いる、ということを考えております。  具体的な手順ですが、7頁にスケジュールがありますので、併せてご覧いただきなが ら説明させていただきます。実施主体への登録、参加病院、参加者が大体6月から7月 までに参加の登録をし、参加者は病院が定める選考手続を夏休みまでに受ける、という ことを考えております。  4頁ですが、8月末までに希望順位表を参加者は提出することになります。実施主体 は、その希望順位表を基に、マッチングに関する状況を、中間的に公表する。これは9 月1日となっております。例えば、研修プログラムに対する参加者の第1希望の状況を 公表し、1度参加者に状況を見ていただき、そして希望順位表を変更する機会を与える ものです。その希望順位表の変更は約2週間の猶予で変更できることとし、9月15日ま でに希望順位表の変更をし、病院も採用したい参加者を記載した希望順位表を実施主体 に提出することになります。実施主体は、コンピューターを用いたマッチングを行い、 研修プログラムと参加者との組み合わせを決めることになります。その結果を9月末に 参加者及び参加病院に対して通知する、というような流れになります。組み合わせが決 まらなかった方については、10月以降個別に病院と学生とで、採用の交渉に当たること になります。  こういったルールに違反した場合の取扱いですが、何らかの取扱いを定めなければい けないと考えております。例にあるように、規則に違反した参加病院に対しては、マッ チングへの登録資格を一定期間取り消す、というようなルールを設けてはどうかと考え ております。  「国による研修希望者への情報提供」というところですが、研修病院の選択に当たっ て、研修希望者が利用できるように、国で研修病院に関する情報を公表したいと考えて おります。その中身については、実施主体によるマッチングが終了した後、募集定員に 空きのある研修病院に関する情報、いわゆる空席情報を公表し、マッチングによって病 院が決まらなかった方たちは、この空席情報を利用し、個別に研修病院を決定すること になります。国では、この空席情報を随時更新いたします。この情報は、マッチングに 参加しない方にもご覧いただけることになります。  以上が概要ですが、5頁には「研修希望者の応募から採用まで」ということで、現状 の公募の流れと、マッチングを実施する場合の流れとを比較しています。いちばん上に 書いてありますように、現状の公募手続と基本的に同様で、マッチングはその問題点を 解消するものであると考えています。現状のほうでは、研修プログラム等の公表をし、 学生の応募があって、書類審査があって、面接試験をやって、採用予定者を決める。そ して、採用の内定通知を学生に出して意思の確認をし、採用予定者の辞退や追加募集を する、という流れになるかと思います。  マッチングを実施する場合も同じような流れで、面接試験等による順位付けをし、希 望順位表を病院では決めて、実施主体に提出することになります。そして、実施主体で マッチングをし、その結果を通知する。組み合わせが決まらなかった学生については、 その後、研修先の決定をしますが、二重の枠で囲んでいるところについては、マッチン グをやった場合は、効率的になると考えています。  6頁は、その「マッチングのイメージ」です。真ん中の上に、マッチング実施主体が あり、大きく四角で囲ってあります。左側が研修病院、右側が研修希望者です。枠の中 に入っているのが参加病院及び参加者になります。(1)(2)(3)という順番で流れてまい りまして、登録、研修プログラム等の公開をし、採用試験・面接・選考を行い、希望順 位表を提出し、そして組み合わせを決定する。組み合わせが決まらなかった方について は、個別に採用交渉をしていただくことになります。このマッチングに参加しなかった 方についても、右のほうにありますように、国で情報を提供し、採用交渉をする際に利 用していただく、というふうに考えております。  7頁は、先ほどご説明いたしましたスケジュールについて整理したものです。8頁 は、希望順位表のイメージです。8頁では参加者(学生)の希望順位表のイメージで す。ここでは山田太郎という方になっていますが、この方の希望順位表の1番目のプロ グラムは○○病院の外科のプログラム0532034018AAというプログラムを選ぶ。2番目 は、○△大学の内科系研修コースを選ぶというような形で、こういうリストをそれぞれ の参加者が作っていただいて、提出するというものです。  病院のほうは9頁にあるように、選考手続を経た参加者に対し、順位を付けることに なります。順位が1番目の方から順番に優先順位が決められており、この順番に従って マッチングが行われることになります。このマッチングは、一定のアルゴリズムに従 い、できるだけ両者の希望がかなうような形で、お互いのパートナーを見つけるという ようなことを考えております。以上、マッチングに関しまして概要をご説明いたしまし た。 ○矢崎座長  いまの説明でおわかりいただけましたでしょうか。私なりに流れを捉えていくと、ま ず、国はマッチングの参加病院からのプログラムや必要な情報を集め、それを中立的な マッチング実施主体に情報を移し、そこで研修医の募集を行い、それぞれの順位を決め て、実際のマッチングをするプロセスはコンピューターでやるので、これ以上の説明は できないと思います。  ともかく、研修病院と研修希望者との選択で、ベストの組み合わせをする。いわゆる 実施主体は、参加病院に関する国の情報にプラスした情報を集めて提供することができ る、ということが1頁の下に書いてあります。実施主体は、参加者からのいろいろな照 会に応じる窓口を設けると書いてあります。  マッチングへの参加登録は、単独型・管理型病院で、本来大学病院はこの中には入ら ないのですが、是非この中に入っていただければと思います。組み合わせが決定しなか った定員分については、マッチング後再募集するということです。これは、先ほどの話 だと、4頁の国による研修希望者への情報提供で、随時募集定員に空のあるものを、国 がその情報を収集して公表する、ということが述べてあります。しかし、実際にマッチ ングはしないで、マッチングが終わった後は個別に研修病院と交渉してください、と書 いてあります。  希望の状況は、9月初めに中間発表し、どうも自分は希望どおりの所に行けそうもな いと思ったら、希望順位を変更できる。この変更をするのは、中間に1回だけできると 書いてあります。それが大体の骨子ではないかと思います。委員の皆様から何かご質問 はございますでしょうか。 ○下村委員  現状の問題点というのは一体何なのか。私の認識でいくと、定数を超えて、特定の大 学が研修生を採用する、というようなところに問題がある。定数が決まって、それに 従って現状の公募をやれば、それで十分やれるのではないかと思うのです。どうしても マッチングにしなければならない、マッチングをすればどの点がどう変わるのか、とい うところがよくわからないのだけれども、マッチングの本当の狙いは何なのですか。こ れをやらないで、いまのままだとどこがまずいのですか。 ○事務局  問題点についてですが、5頁をご覧いただきながら説明させていただきます。現状の 公募においては、左側の採用内定通知をして、意思確認という流れがあります。意思確 認に時間と労力が非常にかかるだろうと考えています。研修希望者(学生)のほうは、 複数の病院から内定通知を受けている可能性がありますので、病院では最終的な意思確 認を学生に対して行う必要があります。学生も、早い時期に研修先を決めると、それ以 降の面接試験を受けることができなくなり、応募できる病院が限定されるのではない か、という点が1点目です。  2点目は、採用試験の時期が早まるのではないかと思います。これは全国的な公募を しますので、研修病院ができるだけ良い学生を確保しようとするということで、採用試 験の時期を早めて、いわゆる青田刈りが進むのではないかと考えております。米国で は、こういう状況があり、マッチングを導入したと聞いております。  3点目は、採用する研修希望者の数が、病院にとって過剰になったり、過少になった りするということがあります。病院は辞退者を見込んで、募集定員を上回って採用通知 を出したり、あるいは研修病院の予想を超えるような数の辞退者が出るということがあ りますので、最終的に採用する者が、病院にとって、思ったよりも多くなったり少なく なったりする、という問題があります。  4点目は、学生の希望が十分かなえられないのではないか、という点があります。研 修病院からの意思確認の時期が、病院によってさまざまあると思いますので、学生のほ うでは研修先を決定する際に、合理的に選択ができないのではないか。例えば、第1希 望の病院から内定通知を貰う前に、第2希望の病院から意思確認を求められたような場 合に、学生は第2希望の病院を選択するかどうかを判断しなければならなくなります。 第2希望の病院を選択した後、第1希望の病院から内定通知が出された場合、あるいは 逆に第2希望の病院を選択しなかったにもかかわらず、第1希望の病院から内定通知を 貰えない、というような事態が生じると思いますので、こういった点を解消するために マッチングを導入するというものです。 ○下村委員  しかし、マッチングをやればいまの問題を解決できる、というのがよくわからないの ですが、できないのではないですか。意思確認に手間がかかる、というのは同じではな いですか。全然関係ないのではないですか。いま、問題点をいろいろおっしゃったのは わかったけれども、その問題点について、マッチングが一部、多少有効なところがある かもしれないと思ったけれども、ほとんど無効なのではないか。解決できないでしょ う。 ○事務局  マッチングにおいては、病院では個別に学生の意思確認をする必要がありません。 ○下村委員  ないことはないでしょう。あなた方は雇用契約だと言っているのだから、雇い入れを する側と、本人の意思が合致しなければできないので、マッチング機構が勝手に決め て、それを受け入れるということは考えられないです。そんなことは法律的にも不可能 でしょう。 ○事務局  その点については、参加すること自体は任意ですけれども、参加する場合にはマッチ ングで。 ○下村委員  大学は、マッチング機構が決めたものを100%受け入れなければいけないみたいに書 いてありますが、それで本当に満足するのだろうか、ということがよくわからないので す。雇用契約だと言っているのだから、雇い入れするのでしょう。 ○北村委員  私が答える筋合いではないのですが、大学にいてマッチング・プログラムを検討して いるので一言申し添えさせていただきます。いま、事務局からお話があったことのすべ てではないのですが、多くのことは解決するように思います。アメリカの制度を見てい ても、多くのことが解決する可能性があります。 ○下村委員  可能性がある、という話は聞いたことがないです。 ○北村委員  可能性はあると思います。これからのディスカッションだとは思うのですけれども、 いまは3つの病院に合格したりして、その整合性が大変で、特に病院では10人合格した のに、より良い病院へみんな逃げてしまって、残るのが1人とか2人になってしまっ た。最初の面接や試験はなんだったのだ、ということが非常に多く見られております。 ○下村委員  この場合も、2回、3回とやるんですよね。 ○北村委員  1回だけです。 ○下村委員  1回では済まないと書いてあるでしょう。 ○北村委員  1回だけで、アンマッチングのものは、それこそ個別にやるので、いま話したのと同 じことが2回目以降は起こります。 ○下村委員  その辺は同じなのではないですか。 ○北村委員  アンマッチングが何割できるかによります。アンマッチングが1割ぐらいだったら、 10分の1の混乱で済みます。アンマッチングが5割出れば、単に混乱が半分になるだけ だと思います。 ○下村委員  しかし、良い学生を採ろうと思うのは当たり前だし、良い大学へ行きたいというのも 当たり前の傾向です。ほどほどで我慢するというのは、お互いにないのではないです か。 ○北村委員  国立大学の病院長会議の下で、研修制度を考えている会があります。その会は、随分 前からマッチングを勧めております。現状の混乱は、いま事務局からあったように、か なり目にあまるものがあって、先ほど大学はそれで満足ですかというお言葉があったの で言っているのですが、このマッチングがちゃんとしたものであれば、大学はもっと早 くから導入すべきという主張をしております。これがより良いものになるかどうかは、 ある意味ではやってみなければならない点がかなりあるのですけれども、制度そのもの はやる方向で、大学全体はまとまっていると思っております。 ○矢崎座長  研修病院の立場から、堺委員か櫻井委員からお話をいただけますか。 ○堺委員  前提として、マッチングに参加する施設希望者が8割以上ないと駄目だと思います。 たぶん、初期は混乱があると思うのですが、2、3年するとアメリカの例のように、ほ ぼ希望する所で決まるようです。  下村委員がおっしゃったように、セカンドベストに行くかどうか、というのはなかな か難しいところはあると思うのですけれども、定員が決まっていて、ファーストチョイ スのところで1年待つか、というとなかなか難しいところがあると思うのです。そうい う形で、各研修プログラムが充実してくれば、そんなに下村委員がおっしゃるような懸 念はないような気がいたします。 ○櫻井委員  下村委員の発言の内容ですけれども、参加する学生が、マッチング・プログラムの結 果に従う、ということが前提だと思います。そうすれば、下村委員がおっしゃったよう な懸念はないような感じがいたします。  実際に学生は、自分が行きたい、または採用されたいような病院すべてに面接なり試 験を受けるわけです。その結果をコンピューターが解析し、それでマッチングするので す。その結果に従わなければ、このマッチング・プログラムの意味はないと思います。 ○医事課長  下村委員のご質問の件は、資料の2頁に、このシステムを利用する場合の基本条件と して、参加契約があります。このシステムに参加するためには、まずその結果に従う、 ということを最初の時点で契約するわけです。ですから、ある意味で意思確認を最初に やってしまっているということです。そういう意味では意思確認をやっているわけで す。  後からやって、やはりやめる、やめないというのはやめてください、という契約に なっています。もし、セカンドベストだったら浪人しようかということであれば、それ は、そもそも希望順位表に書いていただいては困るという話になっています。 ○下村委員  白紙委任みたいなことをやるだろうか、ということの疑問が残ります。 ○堀江委員  いまの段階だと、マッチングを採用することについては、外部の方々も情報としては 得ているかと思いますが、具体的にマッチングがどう行われるのか、ということについ ての情報が必ずしも正確に伝わっていない、というところで、情報が伝わっていない 方々からは、マッチングはどうなるのだという不安があるのだと思います。  櫻井委員もおっしゃいましたが、この方式でいちばんポイントになるのは、応募する 側、あるいは募集する側が、このシステムでやるそのシステムの内容をきちんと理解し て、契約の部分をきちんとやることになれば、言葉として最後のところに、「採用交渉 」という言葉が出てきます。実際には交渉ということではなくて、このシステムに基づ いて、あなたはこうなりました、ということが決定してくるわけです。それに基づい て、応募者もその場所で研修する、ということがきちんと皆さんの認識が得えられれ ば、システムとして動いていくのではないかと思います。我々も、そういう方向で、い まの段階での理解に基づいて準備を進めているところです。 ○吉田委員  確認ですが、例えば50名採用する場合に、20名は自由に採用し、あとの30名をマッチ ングで採用する、というようなことはこの趣旨からいうと認めないということですね。 ○事務局  はい、そのとおりです。マッチングに参加する場合、50名募集する場合には50名を マッチングの募集定員という形にするということです。 ○吉田委員  それでいやならば参加しないということですね。 ○事務局  はい。ただし、50名の募集定員を設けた場合に、学生を面接して、どうしても30名し か学生を採りたくない、そういう学生しか面接の結果得られなかったという場合は、そ の30名をリストに載せるというような形ができますので、そういう意味でのコントロー ルは可能かと思います。 ○堀江委員  追加で発言させていただきますが、マッチングを行うに当たっての考え方として、各 大学から卒業してきた人たちを、いろいろな研修施設で混ぜる、ということがあったと 思います。その混ぜるということに伴い、例えば卒業生の50%しかその病院では採用で きないという話もあって、そのことがかなり不安を招いているような気配があります。  その辺のところは、これからきちんと説明されていく必要があると思うのです。マッ チング、混ざるというのは理解しているけれども、かなりきつい枠が出てくるのではな いか、という点をこれから説明していく必要があるかと思います。 ○矢崎座長  その縛りはいまのところない、というふうに書いてあります。 ○堀江委員  その情報が伝わっている、というところが気になるところです。 ○矢崎座長  将来は、そういう方向でマッチングを検討します。ですから、大学や卒業校のベース ではなくて、プログラム・ベースの研修をしましょうということです。 ○堀江委員  議論に参加していましたので、そういう理解はしておりますけれども、外部の大学等 では、必ずしもそういう認識でないところもあるようです。その辺は、私の理解ではこ うだという説明はしますけれども、必ずしも皆さんそういう認識をしていないところが あるようです。 ○櫻井委員  堀江委員がおっしゃったことは、各大学の良識、見識だと思うのです。極端な話、自 分の大学の卒業生だけ優先的に入れようとすれば、卒業生の順位を高くして戻せばいい わけです。この点に関しては、各大学の良識を待つしかないと思います。  もう1つ問題になるのではないかと思うのは、国家試験を落ちたような場合に、どう いう処置をするのかを、もうちょっとわかりやすく書いていただければと思います。 ○山口委員  マッチング・システムというのは、いまからの臨床研修を軌道に乗せていく上では、 非常に大事なことだろうと思います。自由意思で研修病院を選び、研修病院も自由な立 場で、自分の所の理念にふさわしいかどうかを判断して選ぶ、という仕組みは必要だろ うと思います。  そこで2、3教えていただきたいのですが、このマッチングの実施主体というのは実 施機構と考えていいと思うのです。アメリカにもああいう機構がありますけれども、我 が国にはない。最初は、厚労省自らがおやりになるという話も聞いていましたけれど も、これは新しく実施機構をつくるのか、それとも現在あるどこかの何かの機構に委託 するというのか、そういう所にお願いして実施主体になっていただくのか、固有名詞は 出さなくても結構ですから、どっちだということを教えていただければと思います。  2番目は、参加登録が、単独型、管理型、大学病院となっています。協力型というの は、管理型のプログラムの中に入ってしまっている、というふうに理解をしていいのか どうか、この確認をしていただきたいと思います。  3番目は、研修病院の指定の問題にかかわってくるのですが、管理型、協力型という ような場合に、そういう病院群として指定をする、というふうに以前は説明を聞きまし た。このマッチングも年度にすぐ入るという時期になって、研修病院の指定の時期と、 従来の大学病院云々はこれでいいのでしょうけれども、新たな病院群の指定をどのよう に考えているのか、この3点を教えてください。 ○矢崎座長  山口委員のご質問の前に、最初からマッチングという議論がありましたので、それが 終わってから山口委員の議論にしたいと思います。いまのお話では大体毎年8,000人ぐ らい出る方を、全国の研修病院にうまくアプライできるような情報と、組み合わせをす るにはどこかでサービス機関が必要であろう、ということは、大体の委員のご理解が得 られたのではないかと思います。  大学病院が今後どう対応するか、というのは非常に大きな問題です。私個人として は、むしろ大学には少し手のかかる学生を置いて、優秀な者ほど外に出すようにしてい ただければ、この研修制度はどんどん良くなるのではないか。優秀な学生を自分の大学 の手元に置きたい、という気持はあるかもしれませんが、2年経ったらまた大学に戻る ので、そういう心も示してほしいという希望があります。 ○西岡委員  先ほど、下村委員が言われた意見のところをはっきりしておいていただかないと、進 めないかと思うのです。マッチングをやるとしたら80%、90%の施設が参加しないと、 なかなか成り立たないだろう。北村委員が言われましたように、大学病院自身も、それ に積極的に参加しようではないか、という考え方でいま取り組んでいます。  そのときに、いまアメリカでマッチングが独占禁止法に引っかからないかといったこ とも話題に上がっております。本日は厚生労働省の方がおいでになっていますので、そ の辺の見解をはっきりしておいていただかないと、私たちも学生に対して推進していい のかどうかが問題になってくると思います。教えていただけたら大変ありがたいと思い ます。 ○矢崎座長  大変適切なご質問をいただきました。マッチングの結果雇用契約になるわけですが、 それがどこまで強制的に効力を持つことができるかということですが、いかがでしょう か。 ○医事課長  制度は、法律上問題はないかというご指摘だと思うのですが、これについては基本的 にいま想定しておりますマッチングの仕組みが、それぞれの契約によって成り立つよう な仕組みを想定しております。つまり、国が強制でやるような、あるいは規制的にやる ような仕組みではなく、それぞれの主体の自主的な契約によって成り立つという仕組み をベースにしているということからすれば、基本的にはそういった問題は生じないので はないかと思っております。  アメリカで独禁法の問題が生じているのは事実です。これは、この仕組みそのものが 悪いということよりも、この仕組みの結果として、アメリカのレジデント(研修医)の 雇用の条件などが、結果として制限されてきているのではないか、という点が裁判に なっていると聞いております。  いずれにしても、アメリカでもこの仕組みは今年で50周年を迎えたというぐらいで、 50年続いている仕組みですので、根本的なところでは大きな問題はないのではないかと 認識しております。 ○下村委員  これは基準局側にお聞ききしたいのだけれども、あらかじめ決めておいて、最終的に それで拘束するのだ、という契約は法律的に可能なのかということです。そういうこと が本当にできるのですか。普通の雇用関係などでは、もちろん企業にいる人をスカウト することだって行われるわけだから、どこか気に入らない大学へ行ってしまって、後に なって自分の希望する大学に空席があったら、そこをやめて途中から行ってしまうとい うことだって、普通の雇用だったら理論的には可能です。この場合は、そんなことは起 こらないのかとか、いろいろ疑問が残るのです。だから、法律的に一体どうなのか。  アメリカの場合で問題になるのは、大学側が連携して、お互いの話し合いで職業選択 の自由というものがあるのだから、それを実際上拘束するようなマッチングをやった ら、それは憲法違反とか独禁法違反という問題にならないのか、という性質の問題だと 思います。法律問題だから、これは基準局に答えてほしいと思います。 ○中央労働基準監察監督官 下村委員がおっしゃったことですが、雇用契約を締結する に当たり、それを強制することがどうかということですが、それはどちらかというと、 職業安定法の規制のお話かと存じます。労働基準局からこれについてお答えすることは 致しかねるということです。  私も、これを国がやるということまでしか聞いておりませんでして、実施主体によっ ては労働基準法上の手数料といった問題はどのようになるか、という論点は1つあるか と思います。 ○下村委員  つまり、これは職業あっせんみたいなものだから、安定法には引っかかるかもしれな いということですか。 ○中央労働基準監察監督官 引っかかるというか、そちらのほうで整理をしていただか ないということです。 ○下村委員  私もそうではないかと思うのですが、これは安定局の仕事かもしれないと思うので す。だから、安定局に来てもらわなければいけないのではないですか。 ○櫻井委員  そのことに関しては、現状でも困ったことがときどきあります。研修医を選定して、 それで契約とまでいかなくてもサインしてもらって、2月の段階になって、また3月の 段階になって、突然子供ができて、子育てに専念したいのでやめますとか、諸事のこと から中止するようなことがあります。  これは、病院としても実際に困るので、2月の段階で新しい人を採るわけにもいきま せんし、プログラムもできています。そういう場合には、学長宛に「非常に困っていま す」という手紙を書くぐらいしかできないのです。現状でもそういった問題があるの で、これはマッチングをやっても同じような問題が出るのではないでしょうか。 ○矢崎座長  アメリカの場合、私が知っている限り全国で脳外科を150人とか、何々科を何十人と 決めているので、そこで問題が起こっているのではないかと思うのです。契約について は、どういうふうに理解したらいいのでしょうか。これは、サービスでマッチングを決 めるのであって、最終的には各施設と、研修希望者とが契約を結ぶのであって、マッチ ング機構自体が契約を結ぶわけではない。ただ、職業安定法にこういうのが法的にかか るかどうかというのは、ちょっとここでは議論できないかもしれません。 ○下村委員  職業のあっせんに当たるのではないかと、だから安定法と……ではないかと思うので す。 ○矢崎座長  これは、職業いうよりは、皆さんが特別の領域の研修をしたいのではなくて、医師と して卒後必要な臨床能力を身に付けるためのコースです。 ○下村委員  私も、典型的な雇用契約と言っていいかどうかは議論の余地があると思います。 ○矢崎座長  2年間の研修制度です。 ○下村委員  しかし、基本は雇用契約だとおっしゃるから、いまのような議論をしているのです。 これは雇用契約ではないのだ、基本的な見解は違うのだったらそれは別ですけれども、 それではいままでの話の前提がひっくり返ってしまうのではないですか。雇用契約だと 言われるので、純粋な典型的な雇用契約と言っていいかどうか、そこは私も疑問に思う ところがあるのですが、雇用契約としての性格を基本において持っているもの、という 認識になると、いまの問題が出てくるのだと思うのです。 ○事務局  いまの雇用契約のお話ですが、マッチングの事業をやる場合には、安定局ともいま調 整をしておりまして、いろいろ協議をしております。職業紹介事業に当たるのではない か、という話を伺っております。したがって、この実施主体については、病院からお金 を取るということですので、有料職業紹介事業の許可を取って、そして事業を行う形に なります。そういう意味での法的な問題はなかろうかと思います。 ○下村委員  雇用契約を、あらかじめ雇用予約みたいなことをやって、白紙委任みたいなことで、 雇い入れ先が決まらない段階で拘束することができる、という点についてはどうです か。 ○医事課長  これは、拘束というか、ある種のマッチング機関及びそれに参加する施設との約束と いうことであって、法律上国がそれを強制するという種類の契約、約束ではないと理解 しています。 ○下村委員  そうすると、後になって抜けることができるということですか。 ○医事課長  できるというか、事実上それは阻止し得ないのかと思います。何らかのペナルティを システムとしてどう考えるかというのは、今後あり得るとは思うのですが、それ以上の ものにはなり得ないのかと思います。 ○下村委員  あとは全大学というか、研修実施機関が足並みを揃えて、このシステムに参加すると いうことができるかどうか。それが、研修生側の選択の自由を阻害していないかという 問題が法律論としては残ります。 ○矢崎座長  下村委員の2つのご提言は、極めて重要なポイントですので、今後、大学、研修病院 共に、その点を十分留意しながらやっていきたいと思います。特に、大学はこのマッチ ングに入っても入らなくてもいいという位置付けにありますけれども、是非我が国での 臨床研修制度出発に当たって、是非大学の先生にもご協力をいただければと思います。 ○下村委員  入っても入らなくてもいいというのだけれども、いままでの現状からいくと、有力大 学である慶應大学、東京大学、大阪大学などは希望者が多くて、公募で十分賄えると思 うのです。今度採用する定数は落ちるのだろうけれども、そんな所もこれに参加する気 があるのかどうか、というようなところがいちばん問題になるのではないですか。 ○松田委員  下村委員はご心配になっていますけれども、国立大学、あるいは大学病院は、みんな これに入ると言っています。どちらかというと、いままで大学病院は、この臨床研修の 問題では、どちらかというと古い時代で、何か悪者に扱われています。この機会にみん な変わろうとしていますので、そういう意味でこれを前向きに捉えている、というふう にご理解していただいていいと思います。  ただ、最初の年ですので、いろいろな問題が起こってくるかと思います。特に学生は 心配しています。順番を1番、2番、3番と出すのでしょうけれども、心配だったらい ろいろな所へ面接に行かなければいけないと大混乱になります。それから順位表を見 て、2週間ぐらいにもう1回自分で最終決定しますけれども、決まってしまったらそれ は変えられないというか、それを辞退すると違反だということにもなってくると、非常 にきつい感じもします。  非決定者の採用のところは、あとは知りませんということで、全部現場に丸投げして いるところがある。このワーキンググループとして私からのお願いは、それぞれの経過 の時点で、いろいろな課題というか問題が出てくると思うのです。最初のマッチングの 結果がどのぐらいのパーセントで決まっているのか。それが8割ぐらい決まればいいで すけれども、みんな慎重になって少なめに採って、6割ぐらいしか決まってない、とい うようなこともあると思います。最終的には、この1年生を大事にしてあげないといけ ませんし、そうでないと後が続かないので、タイムリーにいろいろな情報を出していた だいて、このワーキンググループなりそれぞれの所で対応策を考えて、その辺でフレキ シブルな対応もしていく。  最初から、いまの制度を形骸化してしまうのは問題だと思います。経緯を見ながら、 フレキシブルな対応をする、ということも、このワーキンググループで了解というか、 そういう支援をすべきだと思います。 ○下村委員  大体そんなことではないのですか。あとは、法律的な問題が出ないように、ちゃんと 押さえておいてほしいということがあると思います。それから、これはマッチングのと ころで急に議論できないのかもしれないのですけれども、先ほどおっしゃった、アメリ カの場合は全米で脳神経外科に何人というような枠を決めてやっているのだという話が 出ました。そこが、我々の側からするといちばん問題のところなのです。  現状からいうと、麻酔科などはいちばん問題の多い所で、年中足りない足りないと 言っています。学生が志望するだけで、日本はそういう医師の専攻分野が非常に偏って もいいのかどうか。そこは一体どう解決するのだということが、本当は臨床研修の問題 かもしれませんし、どこかで進路指導などをやってほしいという気がするのです。学生 の志望だけで、社会的な需要とは一切関係なしにそのまま専攻分野が決まるのは、非常 に困ったことだと思います。 ○矢崎座長  それは極めて大きな問題で、医師の地域による格差と領域による格差というのが、い ま我が国で大きな問題になっていますが、これはとりあえずはその前の段階の臨床研修 ですので、その問題も教育者のほうでも十分考えていただくことにしたいと思います。 ○下村委員  おそらく実施自体は民であると言われるわけですが、民なら民でいいと思うのです が、応募者からのアプリケーションの中の応募の書類か何かを取るのでしょうね。それ は大学に直接やってくれと言うのですかね。 ○矢崎座長  その前に山口委員から先ほどご質問のあったことに移りたいと思います。 ○下村委員  ただ、これはマッチングの性格に絡んで申し上げたのですが、面接とか試験という言 葉が出てくるのですが、大学側として言えば、自分の所で仮に30人採ろうと思ったら、 30人の倍とか多少余裕を持った応募者があれば、それを取り寄せて、多い所は書類選考 で面接か何かを決めるでしょうね。書類は取るのだろうと、それはここが取るのです か。 ○矢崎座長  各施設ですね。 ○下村委員  それは直接大学でやるのですか。 ○事務局  選考手続については、病院側が決めると考えています。書類選考でいいとする病院も あるかもしれませんし、必ず面接をしなければいけないという病院もあろうかと思いま す。特にへき地、地方の病院においては、そういう所に学生が直接来て、面接を受ける のが非常に難しい場合は、病院のほうとしては応募の申請をするだけです。 ○下村委員  私が言うのは、国がやるというのなら、これは国家公務員法で守秘義務か何かがある わけです。非常に厳重な統制下に置かれるのですが、民でやる場合は、おそらく今度の 国会に個人情報保護法案が出ますが、個人情報を、この法人は扱うのか。それは全然や らないのですか。 ○事務局  選考手続については、マッチング実施機関は全く関与しません。 ○下村委員  個人情報をこの法人は扱うかどうかということで。 ○事務局  個人情報はもちろん扱いますが、それは希望順位表だけが提出され、ある学生はこう いう病院を、こういう順番で選んでいるという情報だけが行くわけで、成績が行ったり ということはありません。 ○医事課長  現状ではそういった形でマッチングの実施主体は、本人確認を中心に最低限のことを すると考えています。ただ、アメリカのNRMPのシステムの場合は、そこが成績な ど、本人の情報を集めて一括して各病院に送ったりするサービスもやっていますが、そ れはまだ先の話だろうと認識しています。 ○下村委員  応募書類にどの程度の情報を書き込むのかなと思ったのです。それはいずれにせよ、 個人情報の保護の問題に引っ掛かってくるので、民間でやってもいいのですが、そこは 厳重な管理が要るのではないかと思ったのです。どこを希望しているかなどというのも 人によっては秘密かもしれません。 ○矢崎座長  それは2頁のdで「情報管理」とあって、そういう対応をするということでいいわけ ですね。 ○下村委員  これは情報管理はするのでしょうが、守秘義務は何によって担保されるのかと思った のです。法律上の保護はないですね。 ○事務局  職業紹介事情の許可を受けると先ほど言いましたが、職業紹介事業のほうに規制があ ります。 ○二村委員  名古屋でマッチングの経験から言いまして、先ほど出たところで大切な基本的なこと があるかと思いますが、受入れ側の病院側が二重の窓口を絶対に作らないということ が、いちばん大切かと思います。募集人員も余裕を持って、いろいろ操作をするような 募集の仕方は絶対禁止するという歯止めを付けておかないと、二重の窓口を作ることに なっていってしまいますから、その辺をどこかにはっきりしておくことが大切かと思い ます。  4頁に規則違反のことが書いてありますが、「参加者以外の研修希望者と契約しない 」というのは非常に大切なことかと思いますが、4頁のいちばん下に、マッチングに参 加しない人にも情報提供はするのですが、参加しない方は最終的にどのような窓口を通 して、どこの病院へ行くかということも、ある程度考えておかないと混乱が起こる可能 性があると思います。いずれにしてもマッチングに参加する施設は、募集人員を公表し て、最終結果がそれに合っているかどうかを、必ずどこかでチェックしておかないとシ ステムが崩壊していくいちばんの元になるかと思いますので、そこをクリアにしておい たほうがいいかと思います。 ○事務局  募集人員については研修プログラムの中に書き込むわけですが、これは公表しなけれ ばならないことになっていますし、我々のほうでもそれをチェックした上で実施主体に 情報提供するということを考えておりますから、そこは厳重に管理ができると思ってお ります。また参加しない人について、どういう窓口を通して、どういう病院に行くかを 考えるべきだということについては課題として検討させていただきたいと思います。 ○星委員  1つ発言させていただきます。実施主体について、なかなかイメージが湧かないとい う話もありますが、ただ単に、コンピューターのやり取りをすることだけではないと思 います。先ほど松田委員からも発言があったように、ときどき問題が発生したときにど のように対応するのか。それは2頁の(2)のbに運営委員会を設けるとありますが、 こういうものの運営もマッチングの実施主体の仕事の1つだろうと思います。  問題が起こった。つまり、先ほど言ったようなアンフェアーなことをした場合にも、 一方だけの話を聞くわけにもいきません。窓口も必要で、場合によっては調査という か、聞き取り、その他も契約の範囲でということになるのでしょうが、きめ細かい対応 が大変重要になってくると思います。マッチング機関というのは、単にコンピューター のプログラムを提供して、皆さんから情報をもらって、その順位表を組み合わせるとい うだけでイメージすると大きな間違いになるのだろうと私は思いますし、この点の主体 のあり方については、十分な議論が必要だと思います。いま言ったような細かな対応が できる、いわば人的にも資源的にも豊富なところがなければ、なかなかうまくいかない だろうと思います。 ○矢崎座長  先ほど山口委員の最初のご質問ですね。 ○事務局  実施主体の話がありましたが、その前にいくつか委員から質問がありましたので、そ れについてお答えをしたいと思います。まず堀江委員から、大学の交流は望ましいが、 出身大学について、半分とか、そういう枠を設けるのかどうかという指摘がありました が、我々としては異なる大学の出身者が交流することは望ましいとは考えていますが、 枠を決めて制限をするといったことは考えておりません。  第2点目の櫻井委員からご指摘の、国家試験に落ちた場合の取り扱いですが、これは いろいろな考え方があるかと思います。そのままにする場合と、欠員の部分を追加して 募集するといった考え方があるかと思いますが、また改めて検討させていただきたいと 思います。  山口委員からの質問のうち、2点目の、協力型病院は、管理型のプログラムに入って いるということでよろしいかということですが、そのように考えております。  病院群の指定の時期ですが、これについては参考資料1に整理しております。マッチ ングの議論とは少し離れますが、参考資料1を見ますと、大きく3つに分かれており、 平成15年度から新たに臨床研修を行う予定の病院については、今年の4月1日の指定に 向けていま審査をしているところです。  また平成16年度から臨床研修を行う予定の病院については、12月11日に定めた省令で は、平成15年8月末までに提出をすることとなっておりますが、マッチングに参加する 病院を対象にして7月ぐらいまでに指定をするというスケジュールを考えております。  またすでに指定を受けている臨床研修病院については、病院群を変更するような病 院、あるいは病院群は変更しないけれども、研修プログラムを変更する病院は、それぞ れ指定のための申請や届出が必要になります。今回、新しい内容に沿ったプログラムを 各病院で実施する場合に、プログラムはほとんどの病院が変えなければいけないと考え られますので、ほとんどの病院が届出をする必要があろうかと思います。省令上、4月 末となっておりますが、日程の詳細については改めて連絡したいと考えております。  山口委員の第1番目の質問ですが、実施機関についてどのように考えるかということ ですが、このマッチングを行うコンピューターシステムの開発について、平成15年度の 予算を計上しています。この予算の補助の対象としては、財団法人の医療研修推進財団 に補助することを念頭に置いており、この財団が実施主体の一部を担うと考えておりま す。 ○櫻井委員  教えていただきたいのですが、7頁に、応募、面接、試験などのタイミングが6月下 旬から9月までになっています。私はこれは早すぎるのではないかという感じがいたし ます。というのは、夏休み中でスタッフがこういった時間があるだろうという配慮かど うか分かりませんが、実際に試験をやってみますと、学力に関しては1カ月違ってもか なり違いますし、ことにいわゆるいい大学の卒業生は、変な自信があるせいか、国家試 験の直前までは上がらない学生がかなり多いのです。いずれにしても修業年限の修了前 にするよりは1カ月でも2カ月でも遅らせたほうがいいような感じを私は受けていま す。いろいろなことを勘案した結果なのでしょうが、これについてお尋ねしたいと思い ます。 ○事務局  学生のほうで面接に行くのは、夏休みがいちばん良い機会ではないかということで、 8月を中心に応募、面接、試験の期間を設けているわけです。6月の中旬ぐらいからと なっていますが、そういう機会ができるということで、病院のほうで6月や7月では早 い、8月の終わりぐらいに試験をしたいということなら、病院のほうで決めていただけ るものと思います。ただ、8月以降、9月、10月ごろに面接等の機会を設けた場合は、 学生の面接の機会もなかなか難しいだろう、大学の卒業試験や国家試験の準備があろう かと思いますので、こういう時期に設定しているわけです。 ○北村委員  私の質問の追加ですが、試験や面接の労力というのはかなり強いものがあると思いま す。例えば、共通試験をやるような計画がありますか。  エクスターンシップと言って、学生が病院を値踏みするというか、見学するという チャンスがあることが本来の姿だと思うのですが、その時期をいつごろと想定している のですか。  今年度というか初年度だけの問題ですが、処遇が決まらない段階で研修病院の参加登 録の定員が決まるのだろうか。現状では処遇というか、いくら給料を払わなければいけ ないということが分からないのに、研修病院は何人募集すると言えるのだろうかとい う、非常に強い疑念を持っています。  最後の1点は、参加者の違反者に関して、参加者に対してペナルティーを課すつもり はないのでしょうか。 ○事務局  まず第1点目の、共通試験やエクスターンシップをいつごろやるかということです が、これは病院に決めていただくことだと考えておりますので、応募、面接、試験等の 時期にやっていただければと思っています。  また改めてこういうところで面接をして、エクスターンシップをほかの機会で受け付 けるというケースについては、そういう場合もあり得るのではないかと思います。  3点目の、参加者へのペナルティーですが、いろいろこちらでも検討したのですが、 なかなか難しいのではないか。効力がなかなか及びにくいのではないかということで。 基本的には参加病院に対するペナルティーと考えています。参加病院が非常に多くなり ますと、ほとんどが参加病院になり、マッチングに参加できないことが不利になるわけ ですから、そのようなペナルティーであっても、参加者はほかの病院になかなか行きに くくなるということが効果としてあるのではないかと思います。  第2点目の、処遇が決まらない段階での定員について、なかなか決まらないというご 指摘がありますので、我々のほうでも現在検討しているところです。どのような形で説 明できるのか、もうしばらく時間をいただきたいと思います。 ○矢崎座長  いちばん基本的なところが決まっていないので全体的にはなかなか最終的な設計はで きないと思います。 ○二村委員  いまの最後の問題ですが、見込み、診療報酬のほうから、どのぐらいケアしなければ いけないのかがいつごろまでに分かるかという問い合わせが多いものですから、見込み をある程度言っていただきたいのです。 ○事務局  最終的なスケジュールは、大きくは一般財源と診療報酬も含めて、いま幅広く検討す るという考え方に立っておりますので、一般財源の姿が、具体的に明らかになるのは今 年の8月以降になろうかと思います。それ以前にはできるだけ定員を定めるための必要 な情報は提供していきたいと思いますし、ご議論いただきたいと思っていますが、現段 階では具体的なスケジュールの見込みはお話できません。 ○二村委員  そうすると、募集の定員などを公表するときには最初の年度に関しては分からないと いうことですね。 ○医事課長  そこは誠に申し訳ないのですが、当面は見込みでやっていただくようなことにならざ るを得ないと思います。 ○松田委員  その見込みは、例えば北海道で30万としても、半分ぐらいは何とかとか、それがない と。私が心配しているのは、9月末で最終決定というのできっちり決めてしまうのが、 初年度で本当にやれるのかというのがあるわけです。ですから、あまりここをリストリ スクにやっていて、決めたが予算は足りない、あるいはもっと採れるとか、その辺のフ レキシビリティをどう考えるかです。9月1日というのは先ほど櫻井委員も言われまし たが、いろいろなことから理想的ではありますが、初年度がどうかというのは非常に危 惧されますね。 ○下村委員  処遇問題については、平成16年度予算もあるから、金額が確定するのは結構時間がか かるのかもしれない。しかし、処遇の基本的な枠組みですが、いまは雇用契約みたいな ものだと言っているだけでなのです。雇用契約になると、国立大学は独立行政法人にな るのですが、国家公務員法は適用になるか、あるいは国家公務員の給与法の適用がある のかといった基本的な位置付けぐらいは、きちんと今まで問いかけていて、否定もして いないが、はっきり肯定した答も出ていないのです。そんなことぐらいちゃんと言った らどうですかと思うのですが、なぜそれが言えないのか理解に苦しむのです。それに よって検討することはある程度決まってきます。ある意味では相場が出てくるというと ころがあるのだから、そこぐらいは早く言ったらどうですか。いつまで、何を検討して いるのかよく分からないところが問題なのですが、そんな問題について、そんなに検討 に時間がかかるということは、通常は考えられないので、どうしてそういう基本的、法 的な位置付けなどがちゃんと言えないのですか。国家公務員だから、国立大学の場合は 独立行政法人になっても公務員法の適用はあるのですかね。 ○松田委員  国立大学は非公務員です。 ○下村委員  その辺の枠組みですね。それでは給与法の適用もない。文部科学省の方がおられるの でしたら教えていただけませんか。 ○文部科学省医学教育課長  国立大学につきましては、法人化した場合に、非公務員型ということになりますの で、適用はないことになります。結局、国立大学それぞれで検討していただくことにな ります。 ○下村委員  そうすると、独立行政法人になったときにどういう給与体系でやるかというのは、 個々の学校の判断ということになりますね。 ○二村委員  実は今年の夏ごろには、各大学が決めなければいけない時期なのです。 ○下村委員  しかし、一方から言うと、国立病院が臨床研修病院に残ったときには、国家公務員の 適用があるのですか。 ○事務局  国家公務員型の独立行政法人になります。 ○下村委員  あれは公務員法の適用があって、国家公務員給与法の適用があるわけですね。 ○事務局  はい。 ○下村委員  国立病院の臨床研修病院の定員というのはゼロですか。 ○事務局  700名近くあります。 ○下村委員  そうすると、医療職1は適用になるわけですね。 ○吉田委員  医学系の公立大学協会のほうからも要望書を出したのですが、公立大学のほうでも処 遇の問題が早く決まらないと、地方自治体のほうが非常に困っているのです。それに関 連する研修病院等も大変困っていますので、いまのお話にあるように、こうだというこ とをある程度きちんと言っていただけると次にいろいろな計画が立てやすいということ で、できるだけ早くお願いしたいと思います。 ○医事課長  先ほどの補足ですが、国立病院の場合は、独立法人化した場合、国家公務員の給与法 そのものの適用はなく、それに準じた給与体系表を作ることになります。  処遇の問題については、私どもも大変申し訳ないと思っているのですが、事務的ない ろいろな制約があって思うようにスケジュールが組めないということもありますが、で きるだけ早く財政サイドとも相談させていただき、出せる形から示していきたいと思っ ておりますので、是非よろしくお願いいたします。  ○下村委員  学生の分はいますぐでもあるのだと思うのですが、なぜ全然出さないのかがよく分か らないのです。いまのような点を整理する。国立大学は公務員法の適用はないが、一般 的に給与の切り下げなどをやるのかやらないのか。やらないとしたら現行給与体系は、 とりあえずはそのまま横滑りになるのではないか。その場合は研修生の位置付けはこん なものではないかとか、国立病院の同じようなことですが、それは出るのだと思いま す。文部科学省は現状で行くと、医療職の24万の8掛けの日割で、大体18万円基準だと 言われています。本俸18万円として、そのほかに諸手当のようなものを入れると、1人 当たり大体どのぐらいの金になるのかといった計算をすれば出てくるのです。しかし、 これは変わるのなら変わりますよと。現状だけで考えると、こういう材料があります。 その中のどことどこをどう検討するのかというぐらいは言えるのではありませんか。検 討はしているのですね。検討しているのなら、何を検討しているぐらいは言えますよ ね、それも言えませんか。 ○医事課長  処遇の問題については、いまご指摘の点なども含めて、今後この会でご検討いただき たいと思います。 ○星委員  いまの処遇の件もそうですが、それに関連して、例えば予算が決まらないから、正職 員枠は20名とか日雇い枠が30名みたいなことが起こらないようにしてもらわないと困り ます。結局何人採れるかという全体枠を大学なり各病院はそれぞれ予算化をして決めて いくわけですから、そのときにその枠に変な色が付かないようにするためにも、行政当 局というか、大臣がいろいろな所でいろいろな発言をされているようですから、是非と も国会で「やります」という答弁をしていただいて、流れを作っていただき、募集をす る側も応募する側もみんなが安心できる環境を作る。そろそろこの辺をはっきりさせる べきだし、我々もそれを条件にこの議論をしてきたわけですから、出ないなら出ないと いうことを言うべきだし、いつまでも気をもたせて、出るかもしれない、出ないかもし れない、それは8月になってみなければ分からないということは、もう言うべき時期で はないだろうと思いますので、ここで意見をとりまとめていいただいて、今日はたまた ま局長がご不在ですが、明確な申入れを、この委員会としてもするべきだろうと思いま す。 ○下村委員  財政要求の時期だから、厚生労働省としても要求額を決めなければいけないからと 思っているのではないかと思います。要求額はもちろんそのときにならないと決まらな いかもしれませんが、基本的な考え方みたいなものは今からでもある程度言えるのでは ないかと思います。その土俵をとにかく決められることはできるはずですから、それは 言えるのではないかと思っています。 ○矢崎座長  いまのお話で9月に出した基本設計には、ちゃんと書いてありますし、このワーキン ググループのスタンスは変らないと思います。ですから、処遇をしっかりやってくださ い、こういう基準で考えてください、それは労働性とプラス研修性で処遇を考えてくだ さいという基本姿勢は変わらないので、厚労省当局には、是非それを完成してほしいと いうことです。  この議論は、もう4年ぐらい前の臨床研修研究会で文部科学省、前の文部省と厚生省 の担当課長に毎回出てもらっても質問の8割か9割は処遇の問題なのです。ですから、 是非これについてはお願いする以外に我々としては方法があるかというと、大谷委員、 いかがですか。 ○大谷委員  そう言われると私もつらいのですが、これで見ると、4月の末に研修病院の参加登録 をし、研修希望者は6月前後にされるわけです。ですから、最初のスタートに当たっ て、研修希望者がきちんとあって、それに応える研修病院と定員が明らかにされない、 あるいは各病院からのそういう意思表示がないということになれば制度そのものが崩壊 してしまうことになります。ですから、下村委員も星委員も言われましたように、これ は採れる採れないの話ではなく、決意をはっきりされたほうがいいと思います。そうし てもらわないと現実に5月、6月になって、自ら制度を崩壊させることになってしまい ますから、私もお世話させていただいていることで責任を感じているのですが、もう時 期がどうにもならない事態になっているので、決意をお願いします。早く大臣とか上の レベルに上げてしまい、はっきりしたほうがいいのです。そうでなければ本当にジリジ リしていると大変なことになります。星委員が言われたように、かりそめにも出せない などということになっては困ると思います。何年か前に法律で義務化しているわけです から、その責任は政治も行政もとってもらわなければ困るというのが私の意見です。 ○下村委員  出せると言っても、どんな金なら出せるのかという話になるのだから、そこをはっき りさせろと言っているのです。こういう性質の金を出したいと思うということなので、 金としては、ほかに……などの種類の問題もありますから、そこはどういう手当をする のかしないのか、予算要求すべきではないかと思う問題はいろいろあります。その辺を ひっくるめて臨床研修に要する経費の中のどういう種類のものが政府で対応できるか、 できないかということを整理して言うのではないか。検討していると言われるのだか ら、どの問題とどの問題を検討しているか、指導医の問題は全然検討していないという 話になるのか、それとも臨床研修制の給与などは全く検討していないのか、そんなこと をまずはっきりさせてくれというわけです。検討しているのだから、何を検討している かぐらいは言えるのではないかと思うのですが、それも言えないという感じだから、非 常に異状な感じを受けるわけです。 ○花井委員  坂口厚生労働大臣が国会で研修医の処遇について20万とか30万とか具体的数字を出し て、それを保証すると答弁したと聞いていますが、その後、どのように検討されている のかお願いいたします。 ○医事課長  下村委員のご質問の趣旨を私が取り違えていたのかもしれませんが、何を検討してい たのかという意味では、現在の臨床研修補助金では指導側の経費を指導医の分も含めて 補助金として出しているわけですが、その部分は当然検討しておりますし、また今回の 必修化に伴なう研修医本人の処遇の問題についても、当然検討対象として私どもとして は認識しております。  大臣も国会であのような形での答弁をされておりますが、どういう形でそれが現実化 されるかについては、まだ言及はされておられないのです。その形が実現するような方 策について研修医の分も含めて検討対象として考えているという状況です。 ○矢崎座長  処遇が出ないで法律で義務化というのは、前のインターン制度と全然変わらないとい うことで、いま臨床能力の高い医師を研修で育てましょうという趣旨が生かされないと 思います。ともかく処遇はきっちり対応してくださいということが、我々の決意です。 それが行政側でどう対応するかに、やはり皆さんが不安を持っていますので、どのよう な方法で仕掛けたら予算を取りやすいかとか、例えばここで一般財源から1人15万円出 すと言ったら、事務局がそれを糧にして交渉しやすいということはあるのですか。 ○下村委員  それだけでは駄目だと思います。そんなことを言っても、15万円なぜ必要かという根 拠や考え方の整理が要るわけで、その考え方と根拠になるようなものの整理ぐらいは検 討しているというのなら、何か出せないのですかと言っているわけです。 ○矢崎座長  ですから、もし一般財源のときに、15万円、あるいは20万円と言ったときに、どのよ うに組み立てて行政側が交渉しているのか。それが駄目だった場合には次善の策として どういう方法で予算を組み立てるかといったことをオープンにしていただければと思い ます。 ○下村委員  数年来の問題だから、率直に言えば財務省の主計局なども当然この問題は意識してい るはずです。問題の所在は分かっているのではないか。全然議論していないことはない はずです。財務省側はどう言っているのですか。それに対して厚生労働省はどういうこ とを言っているのか、その場合の問題点は何なのか。そんなことはある程度言える部分 があるのではないか。霞ヶ関の中の交渉した中身まで、話の100%をここで言えと言って も無理かもしれませんが、一応のやり取りがあるのではないかと思うわけです。もう平 成15年度予算は成立するのですから、予算が成立したら役所としては4、5月に入れ ば、来年いくら金がかかるかなどというのは計算に入るのです。そんな時期まできてい るのに、その考え方すらも説明がないということはよく理解できないのです。厚生労働 省の中には出さなくてもいいという意見があるのですか。 ○医事課長  いまの問題については、まだ財務サイドとはこれから議論を始めるところで、まだ具 体的な議論に入っておりません。この問題だけではなく、もう一つ話題として地域医療 の問題も提起しておりますが、他分野とも関連する問題ですので、一部分だけを切り出 してというのは、なかなか申し上げにくいところもあります。そういうところで厚生労 働省としては、臨床研修問題をより実質的に強力に進めるために、新医師臨床研修制度 の実施推進本部という形で関係部局が集まって検討体制を設置する予定で、そういう中 でこの問題についての議論も精力的に進めていきたいと思っている次第です。 ○星委員  先ほど松田委員から発言があったように、スケジュールは少し見直したほうがいいの ではないかと思います。これはかなりタイトですから、そのことも是非ともご検討いた だきたいと思います。 ○矢崎座長  今日、これで全部議論が終わりということではなく、マッチングの実施主体に関して もいろいろな意見が出されましたので、もう一回集まっていただくことも選択肢として あるのではないかと思います。一応議論は予算も絡むということで、いまのご意見をお 聞きして次の「臨床研修と地域医療に関する調査」について事務局から説明していただ きます。 ○事務局  それでは、資料3と資料4によって「臨床研修と地域医療に関する調査」について説 明したいと思います。資料4については若干不備がありましたので差し換えしたいと 思っております。  まず資料3について簡単に説明しますが、これは厚生労働省のほうで調査をした内容 で、参考資料の2にありますように、臨床研修が地域医療に影響を与えているのではな いか、特に医師確保の面で中小病院が困っているのではないかといった指摘がありまし たので調査を行ったものです。全国の7ブロックから8病院を選び基本的には面接で調 査をしております。調査結果については、2にありますが、民間の中小病院では特に医 師確保が困難であるという意見。地方の病院では医師数が医療法の標準を満たさないた め、臨床研修病院の指定を受けにくい状況がある。大学から中小病院に対して、医師の 引き揚げが実際に起こっている。その理由として、研修医の数が減ることを理由にして いる。現在はそういう大学による医師の引き揚げが見られない地域もあるが、今後増え る可能性があるのではないかといった指摘がありました。  2枚目の(2)では、臨床研修制度を推進していくと、特にマッチングとも関係して くるわけですが、卒業生が地方の大学に残らずに都市部に集中するのではないか。そう いうことで地域での医師の定着が進まないのではないかといった指摘がありました。資 料3については以上です。  資料4は、最初にありますように病院団体が実施した調査です。大きく2つに分かれ ており、四団体病院協議会(四病協)の調査と全国自治体病院協議会の調査です。同じ 様式を使って調査をしており、四病協においては合計1,050の病院、全国自治体病院協 議会のほうは1,024の病院を対象に調査をしております。その結果を一般的な病院の日 本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会の3つを合わせたものと、日本精神科病 院協会を分けたもの、それから全国自治体病院協議会の結果ということでまとまったも のをいただき、それを示したものです。  内容についての詳細は時間の関係で説明できませんので、簡単に申し上げますと、大 体半分ぐらいの回収率です。3頁の2の真ん中の表ですが、研修医による当直の実施状 況として、昨年11月の1カ月における研修医による当直は、当直が行われた病院では、 平均して7.4日ぐらいあって、半分ぐらいは研修医がいない病院であったということが 分かっています。  4頁の表の下の段に、当直の日数を研修医1年、2年、それ以外としておりますが、 研修医1年目、2年目は、ほぼ同じぐらいの当直を行っていることが分かります。  5頁の3は、研修医が当直を行う際の支援体制で、1人で当直をさせていない所が 58%あり、それ以外の研修医が1人で当直を行っている病院でも34.4%はオンコール、 または電話指示が可能な体制という回答になっています。  4の「医師確保の状況」については、大学病院からの紹介による医師の確保が、ほと んどの病院に見られ、70%以上の病院が大学からの紹介によって医師を確保していたと いうことです。  6頁にありますように、医師確保が困難な場合について、「従来から困難だ」が43% ありますが、「最近になって困難になった」という所も20%程度あり、それを診療科別 に見たところ、内科、外科、整形外科、精神科といったところが、比較的多かったわけ です。 今後の医師の確保の見通しについては、7頁の3を見ますと、「医師確保につ いて問題があって、対応も困難である」が3分の1程度ありました。  8頁、9頁は、「大学病院からの紹介医師の引き揚げについて」という調査ですが、 「実際に引き揚げがあった」と回答している病院が17%程度あります。引き揚げの相談 があったという所も同程度あり、その内容を真ん中の表で見ますと、研修医ではなく、 3年目以上の中堅の医師を中心に引き揚げが起こっている。その診療科については、内 科、外科、整形外科が中心であったということです。  9頁は実際にそういう引き揚げがあった病院の数を診療科別に示したもので、内科、 外科、整形外科、精神科といった所で、数は少ないのですが、実際に起こっていまし た。都道府県別の内訳については特徴はありませんでした。  こういった調査はこのほかの精神病院協会、全国自治体病院協議会でも同様の結果を 出しており、傾向的には、ほぼ同じようなことが言えます。長くなりましたが、以上で す。 ○矢崎座長  どうもありがとうございました。予定の時間が残り少なくなっておりますが、臨床研 修と地域医療に関する調査の報告をいただきましたが、どなたかご意見ございますか。 ○山口委員  特に都市部と違って地方で我々がやってきた地域包括医療の現場から少し意見を述べ させていただきたいと思います。臨床研修がこのような形で変わっていくというのは、 非常に素晴らしいことだと思いますし、理念を踏まえて今後これを非常に立派なものに 作っていく必要性があるのだろうと思います。そのために質を担保しなければいけな い。指導医をはじめ、いろいろな基準等々のハードルは、私はある程度必要だろうと思 います。  しかし現在、地方ではここに書いてあるようないろいろな問題が起こってきているの も事実です。従来から特に東北、北海道辺りでは医師の標欠の問題があって、すでに診 療報酬の上でカットされている病院もないわけではありません。そういう苦しい中で地 域医療を一生懸命やっている医療機関も結構あります。ここに書いてあるような医師確 保の問題が従来から厳しかったのに加えて、最近、このような臨床研修の必修化を機 に、医師がいなくなるという理由で大学病院が医師の引き揚げにかかったという中小病 院からの声を私も聞いております。特に国診協ではそのような声が東北、北海道を中心 に起こっており、これをどのようにしていくのか、我々も非常に大きな課題として捉え ております。  したがって、現実にはこのような現象が起こっていることは事実だろう。そうする と、臨床研修の質を担保しながら、このような地域医療の現場が混乱しない、あるいは できるだけ混乱を最小限にとどめる方法を考えていただきたいと思います。もちろんい ろいろな基準、その他のハードルは大事なことでしょうし、標欠の問題も医療法をきち んと満たしていないと不可ということも分かります。しかし、いまから動き出すわけで すから、この数年間、特に運用面で質を担保しながら現場が混乱しない方法論、これを 事務局のほうに、少し知恵を出していただきたい。知恵を出してという言い方は不適切 かもしれませんが、医療の現場というものは、やはりこういう壁に今ぶち当たっている のが現実の問題です。都市部はさほどでもないのかもしれません。しかし過疎地に行き ますと、もっと大きな問題をはらんでいます。地域医療の確保すら難しくなっている。 こういうことを踏まえていただき、一方では、やはり臨床研修必修化の理念を踏まえ質 を担保する、何かいい知恵を運用面で出していただければ有難いと思っております。 ○西岡委員  最近こういったニュースがたくさん出てきております。多分、大学のエゴで医者を大 学に集めているのではないか、といったような書き方で報道されていますが、実際現場 のお話を聞きますと、そうではございません。例えばどういうことがあるかと言います と、今まで2人ないし3人お勤めになっていたところの診療科が、経営上これは大変だ から1人にしろ、それでそこを埋めろという話が出て、その結果として、お勤めになっ ている方が、こういう状況ではたまらないから帰りたいと。それでついに大学側として は、どなたかを応募するわけですが、応募したときに誰も行き手がない、といったこと が起こっています。ですから、すべて大学自身が、これは責任があって引き揚げている のだということではありません。  それともう1つ、ここではっきりしていただきたいのは、研修制度と医師配置は別個 であると考えていただきたいのです。研修制度を実際の形で何か工夫して、研修医をど こかの地方に埋めるというのはこの委員会の本来の目的とは違う、と私は認識しており ます。そこのところをきちんと、ご確認をしたいと思います。 ○山口委員  言われるとおり、本来別ものだと私自身もそう思っています。いま言いました東北・ 北海道の地域名を出しましたが、これは従来から医師の確保がしにくくて標欠病院が多 いわけですから、臨床研修必修化だけで、そのようになっているとは思っていません。 ただ、それによって拍車をかけるのではないかという危惧の念を現場は持っております ので、それを事務方に先ほどちょっとお願いしたのです。  私の所は広島県ですが、広島大学はいろいろな知恵を出してくださって、管理型とし て我々のような協力型病院と連携プレーをとって、タッグを組んでやっていこうという ことを呼びかけてくださっています。我々もそれに応じていくということをやっていま す。そういうところは、そういう問題はそんな大きな問題として起こっていません。し かし、そうではない所が全国にはたくさんある、ということを申し上げておきたいと思 います。大学病院によっても、考え方だとか、手法だとか、そういったものは異なって いくのかなという感じはしています。  長崎県のある病院は、内科医が4名いたのが1人しか残らなくなったとか、最近の現 象としてそういう情報も入っています。ここは島ですが、島には橋が架かっていますか ら車ですぐ行けるのですが、それでもある程度、僻地と言えるのだろうと思います。そ ういう所が本当に医療そのものを確保できなくなっている。これがこの臨床研修1週間 と関係ないと言いながら、やはり医局に医師がいないからという理由なんだそうです が、それは本来、この研修とは関係なく、本当に医局に人がいなくなったから、たまた ま時期的に、同じ時期に来たのかなと私個人は思っていますが、これが全国のあちこち で起こると、地域医療を守っている立場からすれば、何とかいい知恵が出ないものかな と。  広島大学と私の病院とはいろいろプログラムを作ったり、カリキュラムを作っていま す。そういうことをやれば医師確保は、わりと従来どおりいくのではないかと私個人は 思っています。ただ全国を見渡したときに必ずしもそうではないケースも出ているよう ですので、そういう点について厚労省の事務当局にもお願いしたいと思いますし、何か いい方法があればと。大学病院の協会辺りでも、協力型の病院をいかに活用していくか ということを含めて、ご検討いただければ有難いと思っています。 ○島田委員  この件に関して臨床研修ワーキンググループの会合が1、2月キャンセルされて3月 になったかに聞き及んでいるのですが、このこと自身が私は問題だと思います。いま山 口委員が言われたように、起こっている問題は従来からあった問題で、何かいい知恵は ないでしょうかと言われても、それが日本の今の現状なので、そう簡単にこのような流 れがいい知恵でできるはずがないと思います。ないと思うといいますか、当然つくらな ければいけないとは思いますが。  例えば、当直をする人がいなくなったからといって、もし当直をする人は今まで研修 医が1人で当直していたら、それをやめるのが正しいわけです。今までしていたほうが 間違いです。ですからまさに、早くこの臨床研修ワーキンググループをどんどん進めて いって、あるべき姿にもっていくという考え方で進めていかないと駄目ではないかと思 います。 ○山口委員  言われるとおりと思います。臨床研修制度を逆風ではなく追い風にすべきだろう。こ れが定着していったら私は医師確保は、むしろスムーズに転んでいく可能性が高いと 思っています。 ○北村委員  これに関連してですが、実は昨日たまたま国会中継をインターネットで見ましたら、 参議院の予算委員会で研修医のアルバイトの問題が取り上げられていました。副大臣が アルバイト禁止は憲法に抵触するというような趣旨だったと思いますが、それに対して 質問者が行政指導ならいいだろうと。それで法制局の方が行政指導ならは大丈夫だとい う答えでした。そこでこの委員会のことも取り上げられており、副大臣は勘違いし、こ れは法的なものではないということを言われたのですが、ここは医療審議会の下の下で すから法的なものだと思います。このワーキンググループの一致した意見として、研修 医のアルバイトは禁止すべきだ、ということで確認したいと思うのです。副大臣は厚生 労働省の代表の1人であろうと思いますが、その方がアルバイトを容認的なご発言が あったので、そこのところを確認したいと思います。 ○下村委員  いまの問題は先ほどの処遇問題とも絡むのですが、研修医は一応常勤職員なのだとい う位置付けになるのだと思うのです。病院の常勤のスタッフだということになれば、常 勤のスタッフが自由にアルバイトをしていいなんていう世界は、一般のホワイトカラー でも全然ない話です。アルバイト禁止をするのは常識な話です。上司の許可なくてアル バイトをやるようなサラリーマンがいたら、今だったら大体処分されます。病院がその ようなことを今までやってきたとすれば、そこに問題があるので、それをきちんとして くれと。それは第1に雇用関係の中で解決すべき問題です。そういう意味で、憲法上の 問題だとか何とかいう前に、これは契約関係の中で処理されるべき問題だという話が出 てきます。だから、処遇の基本的な位置付けをはっきりしろ、というのはそこにもあり ますので、改めてそこを確認してほしいと思います。100%典型的な雇用契約かどうか という点は、先ほども言ったように問題があります。  それで、今日これを出された意図は何なのですか。知恵を出してアルバイト禁止なの だけれど、実際上は緩めろということで出したのですか。どういう趣旨でこれを出した のですか。知恵を出すと、山口委員はそんなつもりで言われたわけではないのでしょう が、研修医だけを利用して実際上はアルバイトみたいなものをさせるための知恵を出 せ、というのであれば私は反対です。そうではないですよね。  地域医療の問題は、いま島田委員も言われたように、いろいろな問題が背景にありま す。これはこれとして、地域医療問題などをやるのなら別にきちんとやってください。 東北で前からいろいろな問題が起こっているというのは広く知られている話です。それ はそれで、きちんとどういうふうに解決するかというのは。臨床研修だけで絡めるよう な視野の狭い問題ではなくて、きちんと取り組むのなら取り組む。なかなか難しいと思 います、そんなに簡単にいい知恵が出る問題ではないと思います。しかし、やはり取り 組んだらどうかと思います。  研修のほうですが、国会でそんなやり取りがあったと言うのであれば、改めて原則を 確認していただきたいと思います。これは憲法上の問題ではないです。 ○山口委員  私はアルバイトを許してくれ、と言っているつもりはさらさらないです。私もアルバ イト不可論者ですから、とんでもない。特に私の所は公的病院ですから、……のない者 をアルバイトとして認めるわけにはいきません。私が知恵を出してくれと言うのは、例 えば臨床研修指定病院に指定してもらうときに、あまり厳しいハードルを課せられると 研修病院になれない。そうすると、今度の研修制度必修化が非常に限られた分野だけに なってしまう、それを運用面で考えてほしい。例えば標欠問題で、たった医師が1名足 りないために研修病院になれない。しかし研修医は医師数にカウントしますから、研修 医が来たらきちんとハードルをクリアできる。そのような場合、これはいい例か悪い例 か分かりませんが、指定をしていただきたい。このような運用面での弾力的な考え方を 事務当局にお願いをしたい、という意味で申し上げたわけです。  これはある程度の経過措置も必要なのではないかなと。これが軌道に乗ったら地域医 療確保には、むしろ追い風になるのではないかと。個々のチョウキシンの皆さんには、 そういう話をいましております ○矢崎座長  アルバイトについては、このワーキンググループが始まった時点から、それは禁止し て、しかし地域医療にも配慮のある医師を育てるという意味で必修診療科に入っていま すので、今まで以上に、そういう配慮が行き届いたことになるかと思います。  私自身の病院でも、いまいろいろな状況で大学の先生が医局に戻るという現象は実際 にあります。それは臨床必修化の結果でそうなるのではなく、いろいろな問題が起こっ て、いま医学教育の大改革、卒後教育の大改革、医療全体、特定機能病院を含めた大波 が押し寄せている中のことですので、この研修検討ワーキンググループで、そこまで 我々が結論を出せる問題ではなく、非常に重たい問題で、ずっと懸案の問題でもありま すし、そういう認識で我々は取り組んでいきたいと思います。  もう検討の時間が過ぎていますが、いま事務局からコメントがありますのでお聞きく ださい。 ○事務局  いま篠崎局長から国会が終わってこちらのほうに向かっているということですので、 もしお時間が許せば、もう少しご議論いただければと思います。 ○矢崎座長  それでは、間もなく見えられるということですので、その間、議論を続けたいと思い ます。 ○西岡委員  マッチングの8頁に「プログラム」というのが載っています。非常にマイナーなこと ですが、プログラム1、内科。プログラム何とかという形で表示されています。また、 外科もあります。こういった形のプログラムは作らないでおこうというのが、これまで プログラム委員会の考え方ではなかったかと思います。これが出てきているというの は、また混乱を招くもとになるように思いますが、いかがでしょうか。 ○事務局  大変申し訳ございません。単なる例で、プログラムはこういう内科系とか、そういう 名称を付けるというものではありませんので、病院のほうでプログラムの名称を付けて いただくというふうに考えております。不適切をお詫びいたします。 ○西岡委員  この頁を入れ替えていただけるということですね。 ○事務局  はい、分かりました。 ○堀江委員  プログラムに関連することですが、基本設計で言うと、診療科における研修期間等に ついて望ましいと書いてあります。これに基づきながら各施設はプログラムの構築を考 えていると思いますが、マッチングに応募するときに、当然プログラムを提供するわけ ですが、そのプログラム自体についての何らかの審査はされるのですか。 ○事務局  もちろん指定をする際には、プログラムを審査した上で指定をしたいと考えておりま す。 ○島田委員  その件ですが、大学病院の場合プログラムを検討する審査の過程は、この間の会でも 少し議論になりましたが、どういうふうに考えたらいいのでしょうか。 ○事務局  我々のほうでいま法整備をしているのは大学病院以外の臨床研修病院です。大学病院 におけるプログラムについては、どういう内容のチェックをするかについて文部科学省 のほうとも調整をしているところです。具体的に整理がついたらお知らせをしたいと 思っております。 ○北村委員  大学病院で研修プログラム作成に当たっての意味解釈というか、FAQですが、非常 に多い質問と、それはこういうふうに解釈したら良いのではないかという刷り物を作り ました。1つの参考にしていただければいいということで、この委員会に参考資料とし て提出してよろしいでしょうか。 ○矢崎座長  でも、かいつまんで何か。 ○北村委員  かいつまむと今日の議論とほとんど同じで、アルバイトは原則というか、アルバイト せずに研修に専念できるような処遇をもってやるとなっているので、アルバイトはしな い、絶対やめたほうがいいでしょうとか、指導医は単に数を競うものではなく質の高い 指導のできる人を指導医に選んでほしいとか、1年目に小児科をやってもいいですかと いうとき、これをプログラムに書くことはここの委員会の趣旨と違ってきますので、極 めて例外的には認められるでしょうが、原則的に難しいでしょう、といったことです。 ○矢崎座長  先ほどの島田委員のご質問とはどうでしょうか。 ○北村委員  ほぼ同じです。 ○吉田委員  北村委員、タスキ掛けを説明しないと。 ○北村委員  そうですね。いま大学病院はいろいろなことを考えてやっています。その中で主に国 立大学は、いわゆる協力病院と1年で交換するというような方式、タスキ掛けと呼んで いますが、そういう方式、あるいは地域の協力病院を束ねた形の方法を考えています。 また、私立大学はいくつかの私立大学の本院と分院というか、大学の関連病院を統合し た形のプログラムを考えております。それぞれ工夫があり、本来の研修制度と違う、い わゆる囲い込みみたいな方法があってはならないということで、本来ここの委員会で議 論されたことをもとに、そういう方式を否定するのではないのですが、こういうマ ナー、ルールでやっていただけたらというようなことが書き込んであります。  これは極めて大学病院に特徴的なことで、普通の研修病院の参考にはなりにくいこと かもしれません。 ○松田委員  事務局に質問します。研修指定病院の内容ですが、これはオフィシャルにアナウンス されているものだけが残るのか、その病院のホームページでどんどん出るのも見れるの か、その辺の自由度はあるわけですか。 ○事務局  国から提供する情報については、こちらでいただいたもの、そして審査を経たものを 出します。ですが、例えばマッチング実施主体が情報提供する部分については、病院独 自の情報をホームページ等で提供できるというふうに考えております。 ○島田委員  大学病院の場合は厚生労働省が出しているいろいろな物には載らずに、北村委員たち に相談をし、それなりのものをホームページとか何かに載せて広告するといいますか、 そういう形になるのでしょうか。 ○事務局  そこは文部科学省とも相談しながら、どういうふうな情報提供のあり方がいいのか、 統一的に提供したほうがいいということであれば、そういう形のほうがよろしいのでは ないかと思います。 ○矢崎座長  だいぶ時間も過ぎております。これは皆さんのご都合もあると思いますので、大変恐 縮ですが、今日はこれで終わりたいと思います。後の予定ですが、次回は医政局長が出 席されるときを見計らって予定を立てていただきたいと思います。どうも今日はありが とうございました。 ○事務局  もうちょっとお待ちくださいますか、本当にすぐまいると思いますので。 ○松田委員  今日の委員会の議論ですが、今日決まったマッチングは何か、そこをちょっと。 ○事務局  今日は、マッチングは決まっていません。基本的な考え方について現状をご説明した ということで。 ○矢崎座長  すなわち、この効力がどこまでいくか。先ほど下村委員が言われたように、法的な根 拠がどこまで認められるのか、契約事項がどの程度強制力があるかとか、そういう法的 な問題も詰めてもらわないとマッチング自体の設計ができない。 ○松田委員  だけど施設にしろ、ある程度、少なくともこれはというものを何か出さないと、ずっ とペンディングでは現場としては困ります。どこかでこれですよという。例えば新医師 の申請が4月ですか5月ですか。そこが出ないと、いつまでも議論していてもどうなの でしょうか。 ○堀江委員  基本的なマッチングに向けての考え方はありますよね。 ○矢崎座長  はい。 ○堀江委員  それについては伝えていいのではないでしょうか。 ○矢崎座長  そうですね。これ自体は、原則いいわけですから。 ○堀江委員  こういう形で、ということを是非、皆さんに理解していただいたほうがいいと思いま す。先ほどの話で、例えば大学でも話題になっています半分にしてしまうとかというこ とについてはどうだ、というところも、できれば言っていただいたほうがいいかと思い ます。 ○矢崎座長  そういうアナウンスは結構だと思います。これは情報をきちんと伝達しないと。間違 った伝達になるといけませんので、これはよく事務局に、アナウンスがきちんといくよ うによろしくお願いしたいと思います。 ○下村委員  先ほどの有料の職業紹介事業は株式会社ができるような話ですが、これは公益法人、 先ほどの何とか財団は公益法人ですよね。公益法人だけど、これは収益事業としてやる ことになるのですか。これは安定法上、許可は取れるのですね。あるいは、財団の事業 として位置付けがきちんとできるのは間違いないのですね。 ○事務局  はい。 ○下村委員  これは公益法人の収益事業になるのですか。 ○事務局  法人の収益事業になろうかと思います。 ○下村委員  法人税法が適用されるのですか。 ○矢崎座長  その件については、マッチングの大筋はこれで認めていただいて、いまいろいろな法 的な縛りとか、雇用関係といったものは、もう1回、詳しく調べていただくと。 ○下村委員  きちんと出来るのだろうな、というところが。私は細かいところは別にしても、これ でいいのですが。 ○矢崎座長  労働安定局とよく相談して、不安が起こらないようにその辺は法的に詰めてくださ い。  いま局長が国会から急いで駆けつけていただきました。今までずいぶん問題が山積し ており、お聞きしたいことは山ほどあります。いま皆さんのいちばんの関心は処遇の問 題はどうかと、処遇の問題が解決しないとプログラムも組めない。すなわち定員も定め ることができない、ということで現場が混乱していることが1つあります。  2番目は、地域医療に関するお話が出てきて、どこにこれが問題になっているのか、 という委員の皆様の意見がありましたので、それについて、局長ですから最終的な答弁 にならないでも結構ですので、いまの状況について情報を少しでも教えてほしいという ところがありますので、よろしくお願いいたします。 ○篠崎医政局長  朝から国会のほうで詰めていました。また、この会には今までいつも出席をする予定 にしていながら国会対応が入って欠席をいたしており、誠に申し訳ございません。矢崎 座長以下、ワーキンググループの先生方には、この問題については大変精力的にご審議 をいただき、また、いろいろ貴重なご意見を賜っており厚く御礼を申し上げたいと思い ます。  いま矢崎座長からも核心に触れる話がありました。これはちょっと後のほうにいたし まして状況を申し上げますと、今日も国会で医療制度抜本改革の質問が中心でございま した。坂口厚生労働大臣の下で4つの医療制度改革チームがあり、私のほうは、そのう ちの1つであります「医療提供体制の改革チーム」をやっております。一昨年に「21世 紀の保健医療ビジョン(案)」を発表し、昨年の9月に「中間まとめ」を発表し、それ で今年度中といいますから、いま3月ですのであと2週間ぐらいしかないのですが、今 年度末を目途に「最終のまとめ」をしたいという話でございます。  これは多岐にわたりますが、大ざっぱな柱が3本あり患者の視点に立った医療の改革 が1つ。2番目が医療提供側の視点に立った改革で、効率的な医療の提供という柱で す。3番目は、それらのための基盤整備です。この3つの柱になっており、この中に医 療安全の問題、新型の救命救急センターの設置、電子カルテといろいろ入っており、そ のうちの1つに、医療の質の向上が盛られております。特にその中で医師の臨床研修の 必修化というのは医療人、医師を含めて医療人の質の向上を図る上で大変重要な課題と 思っておりますし、そのことが課されております。  そういう中でやっておりますが、医政局だけで、いま約40ぐらいの検討会をやってお ります。それぞれの検討会が終わればまとめが出ると思います。この検討会も当然です が、いくつか4月を跨いで検討をやっているものもあり、このような状況で私どもとし ても大変忙しくしているわけです。この3月でもう、16年4月に向けますと、ほぼ1年 になったわけです。いくつかの問題点は、まだ詰まっていない部分もありますが、とに かく36年ぶりの大改革ですので、最初からすべて、きちっとうまくいくとは限りません が、昨年「厚生労働省試案」をお出しいたしましたが、この趣旨に沿ってスタートを切 りたいと思っております。先ほど事務局からお話を申し上げたと思いますが、推進本部 を設置することにいたしました。3月中か4月初めになるか分かりませんが、厚生省内 の関係部局が全部集まって「推進本部」をつくるということです。  その特徴的なものは、厚生省と労働省が一緒になりましたので、旧労働省のほうの部 局もこれに関与いたします。例えば労働基準局、職業安定局という部署も入ります。旧 衛生では、もちろん私どもがメインですが健康局、国立病院部という所も入り、あと1 年を切ったような状況ですが、この1年に向けて推進をしていきたいと思っておりま す。  処遇の問題は、昨年の中間まとめのところでは一般財源、そして診療報酬も含め総合 的に検討ということになっております。そういう意味ではその範囲のことでしかないわ けですが、事務的にはいろいろ検討をいたしております。やはり最終的な姿になるのは 8月末の概算要求のときでないと。財務省との関係もありますし、また関係省庁との関 係もありますので、なかなかそこまではこれだ、というのをはっきりお出しするのは事 務的にも難しく、ただ内部的には、その検討をしているところでございます。  プログラムが決まらないと処遇のほうもいかないという両輪のところがありますの で、そういう作業手順でありますが処遇以外の所については、いろいろご意見を賜って おりますので、大よその骨格は見えておりますから、あとはご指摘がありましたように 研修医の処遇、それに伴う指導医の処遇、その他の環境整備もあります。新しい医師法 16条に書いてありますように、「研修医はその研修に専念して研修を受ける」と明記し てあります。「その研修に専念して」という意味は、先ほども申し上げましたように処 遇をきちんとしてという意味だと思いますので、そのことについては私どもも厳しい財 政状況の下ではありますが、全力を挙げたいと思っております。  今日は地域医療の問題を私のほうからご提示申し上げたと思います。ちょうど昨年末 ぐらいから一部のマスコミで報道されましたが、だんだん現実のものとなってまいりま した。これは何も言い逃れをするわけではありませんが、私どもの新しい医師臨床研修 だけが影響しているようではないと思います。平成16年4月から国立大学が独立行政法 人化になることも関係ありますし、センター・オブ・エクセレンスの考え方の導入とい うのもありますし、この間の診療報酬の改定で手術件数と報酬の関係もあります。  それともう1つは、今年8月末までに今までのその他病床、つまり、普通の一般の病 床を急性期の病床と療養の病床に届出をしなければならないというのが、ちょうど今年 8月末で、これが地域医療にとっていちばん大きな問題になるだろうと思います。これ も新しい医師臨床研修と同じタイミングで医療法が改正されており、「2年6カ月の猶 予期間をもって」ということで始まったのですが、その猶予期間がこの8月31日になっ たわけです。そこでいま毎月のように各都道府県から、どれだけの病院が急性期と療養 病床に分けて報告をしたかということを統計を取って、こちらに上がって来ておりま す。直近の1月で30%の病院です。  これは8月31日までに届け入れを済ませないと、その病床といいますか、開設許可が 取消しになってしまうわけです。例えば100床ぐらいの中小の病院で結核床も持ってい ない、感染床も持っていない、精神病床も持っていないという、いわゆるその他の一般 病床の病院があったとして、8月31日までに届出を済ませないと開設許可が取り消され てしまいます。もしその地域がオーバー地域でありますと、この病院は2度と開設でき ないということにも、8月31日までに届出を出していないから、気が付いてみたら9月 1日に取り消されているということはしないつもりですが、法的には取消しということ になるということです。そういう意味では、各病院ともかなり必死ではないかと思いま す。  日本で9,300の病院がありますが、その中で、いま申し上げたようなその他病床だけ の病院は約5,000ぐらいあると思います。つまり日本の病院はほとんどの民間の中小病 院ということを考えますと、かなりこの分野も地域医療に今の制度が大きな影響を与え ているのではないかと思います。諸々のことが重なり、確かにいまの地域の中でいろい ろな問題が起きていることも承知しております。そういう状況を踏まえながら、何とか 平成16年4月、36年ぶりの改正に向けてソフトランディングをしたいと思っておりま す。  そういう意味から、矢崎座長はじめこのワーキンググループの先生方にいろいろ適切 なアドバイスを今後もいただきたいと思いますし、私どもも職員一丸となって、また、 坂口厚生労働大臣は戦後初めての医師の厚生大臣でありますので自分のご体験も含め て、この臨床研修制度についてはよく熟知をされておりますので、大臣の指導の下、何 とか良い制度に仕上げたいと思っておりますので、今後ともよろしくご協力お願いいた します。 ○大谷委員  局長、処遇にどれだけ国がテコ入れするかという問題が今日いちばん大きい課題に なっているのです。それに対して事務当局の話は、検討するという不確かなことだから 皆さん非常に不安をお持ちになっているわけです。それで今日のスケジュールを拝見し ますと、マッチングについて研修病院の参加登録を5月初めに行うとなっているわけで す。研修病院がどれだけ研修医を採用するかですが、たくさんやってもらわないと研修 希望者がいくら増えても、それに対応できなければ、また良いプログラムができなけれ ば、この制度は、いくら法律を施行すると言っても崩壊します。  だから、この研修病院が自信を持って、自分の所には30人なら30人、10人なら10人を 雇いたいということについては、国のテコ入れをどこまでやるかという事務当局の不退 転の決意が、はっきりしないといけないと思うのです。確かに課長以下では言いにくい 点もあるかもしれませんが、やはり局長としては、絶対に、何としてでもと。数字は示 せないと思いますが、局長が言われたように8月にならないと省内では決まらないから と、それは私も会計事務は良く知っているから分かりますが、局長が言われるように絶 対に頑張ると私は思っておりますが。  また、先ほど言われたように大臣も、初めての医者の大臣ですし、おそらく大臣も一 生懸命やりたいと思っているだろうし。例えば、このワーキンググループの皆さんは、 その点についてはどのようなことでもする、と先ほどから言われているわけです。これ ほど有難いことはないわけで、それを恐れることなく進んでもらいたいです。それです ぐにでも矢崎座長に代表して大臣に会わせるようにしていただきたい。  それと矢崎座長さん、あなたね、この座長であるのだから、これがなければどうして も困るのだということを直接、事務当局はもちろん言っているのに違いないのだけれど も、ワーキンググループとしても、絶対にこれをやってもらわないと。参加の問題から して崩れていく。先ほどの地域の問題も、なぜそういうことも出てくるかと言えば、結 局処遇が十分でないからアルバイトも認めていいのではないかという、そういうことに もいっているわけだから。研修医の処遇について国がどこまで財政的にテコ入れするか という決意がいまいちばん大事です。8月のことは分かるけれども、そこのところを しっかり決意を皆さんに表明してもらいたいです。それに矢崎座長も絶対に行っても らってください。 ○下村委員  決意もいいのですが、なかなか難しい問題だと思います。予算要求をどういう形です るかということを考えると。いま言っていることは、はっきりした明解ないい方はしな いけれども、研修生と臨床研修病院との関係は基本的には雇用関係だと。雇用を主体に した契約関係だというわけです。そうすると給与とか賃金というのは、要するに労使間 の協議によって決まる問題です。あるいは事業主側が一定の条件を提示して、それを相 手側が受け入れて契約は成立という関係ですから、病院側が決定すべき問題だと、筋道 から言えばそうなるのです。そうなると、後は最低賃金法とか、何か法的な規制が残る といったところがあるのだと思います。  もう1つは、保険の立場から言うと、研修生は一定の収入を上げているわけだから保 険登録をやる。病院は1つの事業体ですから、その中のスタッフとして存在している臨 床研修生が一応の収入もあって、研修の見方のところは問題になってくるわけですが。 それに対して、なぜ国が金を出さなければいけないかという説明がいるのだと思いま す、予算要求しようと思えば。  その辺の基本的な位置付けと、どういう方向で予算要求をどういう立場に立ってやろ うとしているのか。その場合に臨床研修生の費用だけでなく、先ほど医事課長からは指 導医の関連であるとか、それをいま検討しているとかという話もあったのですが、どう いう費用についてどういう角度から検討したのかとか、というところが臨床研修生の人 件費については、非常に技術的に難しい面があると思います。  だけど、もう1年以上検討すると言っているのですから、およそどういう立場に立っ てどうするのかという考え方とか、あるいは、なぜそれについての考え方ぐらい言えな いのか、そこが分からない。決意も結構ですが、その辺をどうしようと思っているのか と。確かに厚生労働省内の他の部局も関係なくはないです。国立病院はその特殊性とか なんかもありますし。それはあるのだけれども、レジュメは、やはりあなたの所の問題 だと思います。  現在の状況からいくと、医政局がなかなかはっきりしたことを言えないというのは、 どうも医政局自体が、ちょっとおかしくはないかと思う。こう言われているときもある のですからね。ちょっと失礼だけれど、あなたの前で申し上げておきますが、そう言わ れているわけですから。それで、あなたの局の審議官は前の会計課長なのですから、こ ういう問題はいちばん得意なはずです。1年もかかって答えが出ないというのは信じら れないわけです。丸1年ではないかもしれませんが、およそ1年ではないですか。それ に会議も何回も流れますし一向に説明もない、ということに対して、是非局長の考え方 を聞きたいという話になる。言える範囲で結構ですから是非答えていただきたい。 ○篠崎医政局長  この法律はもともと、12年に通るときも処遇はどうなんだと、ちゃんとやります、 ということでずっとまいりました。それでだんだんちゃんとやる時期が迫ってきたわけ ですが、いま大谷委員や下村委員からもご指摘がありましたように、この考え方という のは、考え方というかいろいろご意見がありまして、1つのご意見はすべて一般財源で あるというご意見もあります。ところが、いまこういう経済状況の中で一般財源だけで 理屈がついてできるのかという話もあります。その財源はいまでも診療報酬の中に入っ ているのだから診療報酬でやればいいのではないか、というご意見もあります。だけ ど、いま診療報酬の改定が終わって、こういう状況の中で診療報酬なんかとんでもない という議論もあります。そうすると、一般財源と診療報酬をうまく住み分けて説明可能 な範囲でやるかという意見もあります。大きく分ければ3通りあるわけです。  いずれにしても賛否両論があり、これだというのを決めつけるのは今の状況ではなか なか難しい。阿曽沼さんは会計課長から来ていろいろな会に入ってやっておりますが、 要はプログラムがはっきりしなければできないという部分もあったわけです。昨年はそ ういう状況でした。いまいろいろ意見があって詰まっていないところもありますが、昨 年12月11日に省令を発出して、一応の骨格はお示ししました。そういうことでプログラ ムが決まらなければ処遇のことも決まらないわけです。先ほど申し上げましたように両 輪のようなところがありますので、ようやくこの3月末で新しい医師臨床研修制度につ いての骨格も、ほぼ固まるだろうということですから、その後、残っているのは1点、 臨床研修医の処遇と、あと指導医を含めた環境整備です。予算絡みの話ですから、それ を鋭意やりたいと言っているわけです。下村委員も昔役所にいたからご存じのように、 そんなに遅れているわけでもないし、医政局がおかしいわけでもないと思いますが、通 常の事務ベースでやっているつもりでおります。  ただ、昨年末からちょっと意外でしたのは地域医療の問題です。先ほど申し上げまし たようにいろいろなファクターがあるのでしょうか、こういう問題が起きてきましたの で、医政局としては地域医療の混乱なくやるというのも私どもの使命ですので、今日、 ご説明を申し上げたところです。決意表明、2度にわたる決意表明をしたようなつもり です。昭和43年当時、私も当時のインターン闘争では少し端のほうにおりましたが、あ の当時もきっと同じような意見があったのだと思います。そういうわけで大谷委員に是 非入ってもらっているわけです。36年前のことを思い出していただきながら、また、そ の時と同じようなことをしないように、きちっとした制度にしたいと思っておりますの で、よろしくご理解いただきたいと思っております。 ○下村委員  遅れていないだろうと言われるけれど、遅れていると思っているのです。これだけの 大問題にしては、いまのペースはちょっと遅れすぎています。正直言って私はそれを心 配しているので申し上げたのです。役所にいたから分かるだろうということはないので あって、役所にいたから遅れているのがよく分かるのです。 ○矢崎座長  ありがとうございます。今日の議論は、医政局長にご出席いただいて、決意のほどを 大谷委員から付託され決意のほどを述べられましたので、私どもも更に安心したという こと、それから推進本部を組織されるということは、これは厚労省全体が、いま議論が ありました職業安定局とか基準局とか、そういう方も入って細かい議論も進められると いうことで大変私ども安心しました。処遇の件については、やはりどういう医師を育て るかということがはっきり見えない限り国民もなかなか納得されないということで、そ うすると、またプログラムの問題になって糸口がなかなか見つからないということにな ります。  今日は時間も遅れて議論できませんので、次回は局長が見えられるスケジュールでと いうことで。この4月から準備が始まりますので早急にもう1回この会議を開かせてい ただき、少し議論したいと思います。今日は時間も大幅に延長して、大変お忙しい中を 居残っていただいた委員の皆様には有難く存じます。また、今後ともよろしくお願いし たいと存じますので、次回も必ずご出席のほどをよろしくお願いいたします。