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平成15年3月18日


厚生労働省
  医薬局 審査管理課 御中


日本赤十字社


「改正薬事法の施行について(案)(平成15年度施行事項について)」に対する意見


3ページ
III 生物由来製品に関する事項
1 生物由来製品及び特定生物由来製品の指定
(1)生物由来製品・特定生物由来製品については、製品の感染症リスクの高低に着目し、分類し、指定する。(指定の分類についての考え方は平成14年度第3回薬事・食品衛生審議会生物由来製品臨時部会(平成15年1月10日開催)の資料を参照。)
 「生物由来製品の指定の考え方」については、平成14年12月25日付にて既に日本赤十字社の意見を提出しているところであるが、改めて以下のとおり意見を提示するのでご検討いただきたい。

1.行政指導上の内外格差について

 これまで厚生労働省は、国民の健康被害を未然に防止することを理由として、理論上のリスクに厳密に対応し、血液製剤の安全対策を指導してきた。平成10年11月2日付厚生省医薬安全局三課事務連絡を拠り所とした、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス及びヒト免疫不全ウイルスの核酸増幅検査陽性が後になって判明した血液を含む原料血漿及びそれに由来する血漿分画製剤の取扱いについての行政指導はその典型的事例である。これについては、平成13年10月24日付厚生労働省医薬局血液対策課事務連絡によって「血漿分画製剤の製造工程等の調査」が実施されたところである。しかし、今日に至るまで、平成11年8月30日付厚生省医薬安全局長通知医薬発第1047号「血漿分画製剤のウイルスに対する安全確保に関するガイドライン」に基づいた、製造工程におけるウイルス除去・不活化処理の第三者による科学的評価はなされておらず、平成10年三課事務連絡の撤回も行われていない。

 一方、最近、米国においてウエストナイルウイルスが蔓延し、米国由来の原料血漿に当該ウイルスが混入する可能性が懸念されている。これに対して厚生労働省は極めて迅速に呼応し、平成14年11月5日開催の薬事・食品衛生審議会血液事業部会において、ウエストナイルウイルスは日本には上陸していないという前提のもとに、現行のウイルス除去・不活化処理により米国原料血漿由来の製品の安全性は確保されているという見解を示した。これは、スクリーニング検査はなされておらず、低いながらウイルス伝播の危険性はあるものの、ウイルスは効果的に不活化されるというFDA見解に一致するものであるが、いささかの可能性も危険としてきた上述の経緯とは全く異なり、国民の保健衛生を守るうえで医薬品の安全性の確保について統一した方針で臨んでいるとは考えられず、大変遺憾に思うところである。

 献血による血液製剤の国内自給を推進するためには、上述のようなリスク評価の不均衡性や行政指導上の内外格差を解消し、国内献血由来の血漿分画製剤の安全性を正当に評価する必要がある。また、これに伴い、平成10年三課事務連絡は早急に廃止されるべきであると考える。

2.生物由来製品の指定のあり方

 今般、厚生労働省より示された「生物由来製品の指定の考え方について(案)」では、人は「管理」できないので不特定多数の人由来の原料はリスクが高く、「管理」された細胞株又は動物個体由来の原料はリスクが低いとの考えに基づき整理されているが、前項1に述べた事例と同様に、均衡を持った適切な手法で、ヒト血液製剤、ワクチン等の病原体由来製剤及び遺伝子組換え製剤等のそれぞれの感染症伝播のリスクが科学的に比較考慮がなされているとは思えない。正確な評価をすべきである。

 病原体そのものを原料とする製剤においては格段のリスクが存在することは当然であるが、動物由来培養細胞には潜伏感染または持続感染しているウイルス(ヘルペスウイルス等)が存在している可能性があり、また、内在性レトロウイルスが事実、存在している。変異型クロイツフェルト・ヤコブ病やウエストナイルウイルス感染症など、最近報告され問題となっている感染症等はその多くが動物由来である。したがって、人獣共通感染症が多く見出されている動物種の培養細胞を使用した遺伝子組換え製剤については、特にヒト血液製剤と同等の安全対策を講ずるとともに遡及調査体制を構築する必要がある。血液凝固因子製剤など、長期間反復継続投与される製剤は、厚生労働省から示された考え方(案)にもあるように「未知のリスクに対する より予防的な対応が必要」であり、少なくとも哺乳類や鳥類の培養細胞を使用する遺伝子組換え製剤で、かつ、長期間反復継続投与される製剤は、国民の保健衛生の向上に資するため、特定生物由来製品に指定すべきである。

 また、日本赤十字社は、従来から「同じ患者さんに同じ経路で同じ目的で投与される医薬品については同一の安全性が確保されるべきである」と主張してきた。血液凝固因子製剤については、同じ患者さんが生涯にわたって血液由来製剤、血液由来成分を製造工程で用いた遺伝子組換え製剤及び動物細胞を使用した遺伝子組換え製剤の3種類を使用する可能性があることから、これらの製剤については血液由来製剤及び遺伝子組換え製剤を問わず一律に特定生物由来製品に指定し遡及調査対象とすべきである。ドイツ輸血法においても、血液凝固因子製剤と同様、遺伝子組換え製剤も遡及調査対象とすべきことが定められている。今般、厚生労働省から示された考え方(案)においても、「同一成分かつ同効の他の製剤が特定生物由来製品である場合には製品の管理等の観点からの適正使用を促す対応が必要である」という理由で、特定生物由来製品に指定するとされている。「製品管理等の観点」からすれば、ヒト血液成分を製造工程で使用しているか否かを問わず、また、同一成分であるか否かにかかわらず、同効の特定生物由来製品が存在する遺伝子組換え製剤については、国民の保健衛生の向上に資するため、特定生物由来製品に指定すべきである。
以上

2 生物由来原料基準
(3)併せて、現行の生物学的製剤基準は、血液製剤総則を削り、ワクチン、抗毒素、血液製剤各条のみの基準とする。
・血液製剤総則と医薬品各条は密接な関係にあり、今般示された血液製剤総則との切り分け、齟齬、欠落等を確認するためには、「生物学的製剤基準」の改正案も早急にお知らせいただきたい。生物由来原料基準と施行は同日にしていただきたい。

4ページ
(6)医療機関においては、特定生物由来製品の患者に対する使用記録の作成、保管を行う。保存する記録の内容は、投与患者の氏名・住所、投与日又は処方日、製品名及び製造番号・記号(ロット番号)等とし、これらを管理簿に記載して保管する。
・記録の保管について、添付文書へ記載する内容として、7ページ及び31ページでは本剤を投与または使用した場合は、「医薬品名(販売名)」と「製造業者名」が記載されているが、本項には記載してないので、整合をとって追記されたい。

5ページ
(9)製造業者等の製造記録(採血記録、採血時の検診・検査記録その他「生物由来原料基準」に規定する諸記録を含む。なお、一定の条件の下で採血業者が記録の作成及び保管を行う場合を含む。)の保管期間は、製品の有効期間に加えて(8)に規定する期間保管する。また、特定生物由来製品にあっては、原料サンプル(採血サンプル)又は製品のサンプルを10年を下らない期間保存することとする。これらは、製造管理及び品質管理に関する規則(GMP)の製造に係る記録等として管理するものとする。
(10)保存期間の考え方は平成14年度第3回薬事・食品衛生審議会生物由来製品臨時部会(平成15年1月10日開催)の資料を参照。
・原料サンプル(採血サンプル)の保存は、国内・国外を問わず、扱いを同一にすべきである。なお、日本赤十字社は自主的に採血サンプルの保管を実施している。

・卸売一般販売業者における記録の保管期間について触れられていないので、保管すべき記録の内容の種類も含め、この中で明確に示していただきたい。また、製造業者等と卸売一般販売業者間での記録の保管に関する取り決め等について示していただきたい。

・採血記録、採血時の検診・検査記録等の保管について、採血事業者が記録の作成及び保管を行う場合の「一定の条件」を明確に示していただきたい。

(11)長期の保存を考慮し、紙媒体のみでなく、電子媒体を利用した記録の保管も可とする。
・記録の保存にかかる「電子媒体を利用した記録の保管」について、具体的に示していただきたい。

5ページ
4 表示
(5)表示の特例として、容器が極めて小さい等の困難さがある場合における特例を定めるが、「生物」、「特生物」及び製造番号・記号の表示は省略できないこととする。また、生物由来製品を製造するための製造専用原薬については、生物由来表示の適用を除外する。
・生物由来表示の適用が除外される製造専用原薬についての表示の具体的な内容(「生物」又は「特生物」、「原料となる血液の採血国」「採血の区別(献血又は非献血)」を明確に示していただきたい。

6〜7ページ
5 添付文書
(5)使用上の注意(特定生物由来製品)
(1) 重要な基本的注意として、特定生物由来製品の有効性及び安全性、その他特定生物由来製品の適正な使用のために必要な事項について、当該製品使用者に対して説明し、その理解を得るよう努めなければならない旨を記載すること。
 「その他特定生物由来製品の適正な使用のために必要な事項について、当該製品使用者に対して説明し、その理解を得るよう努めなければならない旨」を記載することされているが、特定生物由来製品の場合は、当該製品使用者に対して明確に理解を得るべきである。従って、記載例(36ページ)のとおり、「……患者に対して説明して患者の理解を得ること」とすべきである。

8〜9ページ
8 生物由来製品製造管理者
(3)生物由来製品製造管理者等については、
(1) 医師、医学の学位を持つ者
(2) 歯科医師であって細菌学を専攻した者
(3) 細菌学を専攻し修士課程を修めた者
(4) 大学等で微生物学の講義及び実習を受講し、修得した後、3年以上の生物由来製品若しくはそれと同等の保健衛生上の注意を有する医薬品、医療用具等の製造等(治験薬として製造する場合を含む。)に関する経験を有する者等を承認するものとする。
・平成14年7月31日付医薬発第0731010号では、「大学等で、薬学、農芸化学、生物化学その他の微生物学に関する専門の講義及び実習を受講し」となっているが、今回示された8(3)(4)では、「薬学、農芸化学、生物化学その他の」が削除されている。その理由を説明されたい。
・(2)及び(3)については「細菌学」でなく、(4)と同様に「微生物学」としていただきたい。

12〜17ページ(別紙1)
生物由来製品・特定生物由来製品指定成分一覧(案)
1.特定生物由来製品
次の成分を含有する製剤
人血小板濃厚液
人血小板濃厚液HLA
・人血小板濃厚液HLAの一般的名称は「人血小板濃厚液」であるため、掲載する必要はない。

2.生物由来製品
次の成分を含有する医薬品
エプタコグアルファ(活性型)(遺伝子組換え)
・エプタコグアルファ(活性型)(遺伝子組換え)は活性型血液凝固第VII因子製剤であり、血友病の患者さんに投与される薬剤である。
 血液凝固因子製剤については、同じ患者さんが生涯にわたって血液由来製剤、血液由来成分を製造工程で用いた遺伝子組換え製剤及び動物細胞を使用した遺伝子組換え製剤の3種類を使用する可能性があることから、これらの製剤については血液由来製剤及び遺伝子組換え製剤を問わず一律に特定生物由来製品に指定し遡及調査対象とすべきである。

18〜27ページ(別紙2)
生物由来原料基準(案)
○ 通則
5 本基準に規定する方法に代わる方法で、それが規定の方法と同等又はそれ以上の場合には、その方法を用いることができる。ただし、その場合にあっては、薬事法に基づく承認の際に規定するものとする。
・「ただし、その場合にあっては、薬事法に基づく承認の際に規定するものとする。」は削除していただきたい。なお、「承認の際に規定するもの」の内容を明らかにされたい。
 現行の生物学的製剤基準の通則では、現行の試験方法に代わる方法でそれを上回る場合であれば、代替試験の採用を可とされている。GMPでも、最新の科学技術の進歩にあわせて代替試験の採用を許容されている。承認で規定しないと採用できないのであれば、科学技術の進歩の追随できなくなり、円滑な事業の実施に支障を来たす。

6 生物学的製剤基準各条医薬品中、ロットを構成する血液製剤については医薬品各条で規定する製造工程のいずれかで無菌試験及び発熱試験を行わなければならない。またロットを構成しない血液製剤の場合は、医薬品各条に規定する方法で抽出した製品について無菌試験を行わなければならない。ただし、その製造工程の関係上、原材料の無菌性が要求されないような各条医薬品の原材料として用いる場合、又は試験に使用された製品のうち無菌であることが確認されたものを(各条医薬品の)原材料として用いる場合はこの限りではない。
・本項は、生物学的製剤基準の医薬品各条に関する注意事項であるため、生物由来原料基準の通則からは削除していただきたい。
 なお、「ロットを構成する血液製剤」「ロットを構成しない血液製剤」は、「血漿分画製剤」と「輸血用血液製剤」に改め、本通則において、「血漿分画製剤」と「輸血用血液製剤」を定義していただきたい。

○ 血液製剤総則
・血漿分画製剤総則は、海外製造業者及び輸入販売業者にも適用されることを明らかにされたい。
・血液製剤総則と医薬品各条は密接な関係にあり、今般示された血液製剤総則との切り分け、齟齬、欠落等を確認するためには、「生物学的製剤基準」の改正案も早急にお知らせいただきたい。生物由来原料基準と施行は同日にしていただきたい。

I.輸血用血液製剤総則
1 輸血用血液製剤(医薬品、医療用具等の製造工程に用いられる成分の場合を含む。以下同じ。)に用いる血液の提供者(以下「献血者」という。)は、問診等の検診により、その血液によって伝播される疾患にかかっている疑いがなく、輸血用血液製剤の原材料となる血液を提供する適格性を有するものでなければならない。ただし、血液によって伝播される病原体が医薬品の製造過程で不活化されるか又は除去されていることが確認されており、薬事法に基づく承認の際に規定するものを除く。
 「ただし、血液によって伝播される病原体が医薬品の製造過程で不活化されるか又は除去されていることが確認されており、薬事法に基づく承認の際に規定するものを除く。」とされているが、既に承認を受けている輸血用血液においても、将来、不活化・除去が行われる可能性を考慮して、平成11年8月30日付医薬発第1047号『血漿分画製剤のウイルスに対する安全性確保に関するガイドライン』に準拠し、「ただし、血液によって伝播される病原体が医薬品の製造過程の操作で不活化されるか又は除去されることが確認されている場合はこの限りでない。」としていただきたい。

3 輸血用血液製剤の原材料は、別に規定する場合を除き、輸血用血液製剤総則2で定められた採血法によって採取した次のいずれかを用いる。
(1)全血採血で採取したヒト血液
(2)血液成分採血で採取した多血小板血漿又は濃厚血小板血漿
(3)血液成分採血で採取した血漿
原材料を保存する場合は、1〜10℃に置く。ただし、血小板製剤を製造する場合又は血液成分を分離する場合は、常温に置くことができる。
・「原材料を保存する場合」の定義を明らかにされたい。
・ 採血直後の血液の温度は30℃以上である。「原材料を保存する場合」の定義については、採血所から製造所までの輸送を指しているのではなく、輸血用血液製剤の製造所において受け入れた原材料(血液)を製造に供するまでの間に保存する場合を対象とされたい。従って、「輸血用血液製剤の製造所において原材料を保存する場合は、1〜10℃に置く。ただし、血小板製剤を製造する場合又は血液成分を分離する場合は、常温に置くことができる。」とされたい。
・ 採血所における採血された血液の管理についての規定は、「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律」に基づき、別途の検討とされたい。なお、採血場所から製造所へ搬入するまでの間はバリデーションにより温度の上昇を避けるよう管理を行うことで担保する。
・生物由来原料基準における本項にあわせ、生物学的製剤基準における医薬品各条の記載を整理していただきたい(「人全血液」の原材料等)。
・生物由来原料基準における本項の規定にあわせ、生物学的製剤基準の医薬品各条「人全血液」の「2.1原材料 2.1.2ヒト血液」の記載を整理していただきたい。 (「人赤血球濃厚液 2.1原材料」、「新鮮凍結人血漿 2.1原材料」、「人血小板濃厚液 2.1原材料」も同理由により記載内容を整理していただきたい。)

4 輸血用血液製剤の原材料として用いる血液は、採血された血液について、少なくとも梅毒トレポネーマ、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV−1及びHIV−2)、ヒトTリンパ球向性ウイルス1型(HTLV−1)の血清学的検査を行わなければならない。これらの試験結果が不適の血液は、医薬品各条で規定するものを除き、輸血用血液製剤の原材料としてはならない。
・生物由来原料基準における本項の規定にあわせ、生物学的製剤基準の医薬品各条「人全血液」の「3.2試験用血液の試験 3.2.2梅毒血清学的試験」を削除していただきたい(「人赤血球濃厚液 3.1試験用血液の試験」、「新鮮凍結人血漿 3.1試験用血液の試験」、「人血小板濃厚液3.1試験用血液の試験」も同理由により削除していただきたい。)
・平成12年12月28日付医薬審第1848号『生物学的製剤基準の一部改正について』により、「特に血清学的検査による肝炎ウイルスの試験結果については、ウイルス学的知見を勘案し、感染の危険性について総合的に判断すること。」とされているので、「ただし、血清学的検査による肝炎ウイルスに係る試験結果については、ウイルス学的知見を勘案し、感染の危険性について総合的に判断する。」を文末に記載し整合していただきたい。

6 輸血用血液製剤の原材料として用いる血液は、採血された血液について、ABO 及びRh血液型判定用抗体を用いて血液型を試験しなければならない。更に、ABO 血液型については、既知のA型及びB型の赤血球を使用して、血清又は血漿も試験して、血液型を判定しなければならない。
ABO 血液型の試験は、血液型判定用抗体基準(平成6 年6 月24 日厚生省告示第204号)に適合する抗A 血液型判定用抗体又は、乾燥抗A 血液型判定用抗体及び抗B 血液型判定用抗体又は乾燥抗B 血液型判定用抗体を用いて行わなければならない。Rh 血液型の試験は、血液型判定用抗体基準に適合する抗D 血液型判定用抗体を用い又は抗D 血液型判定用混合抗体を用い、添付文書に記載された使用法に従っておこない、D(Rho)陽性又は陰性の別を判定する。この試験の結果が陰性の場合には、更に血液型判定用抗体基準に適合する抗ヒトグロブリン抗体(多特異性抗体)を用いて試験を行わなければならない。
・生物由来原料基準における本項の規定にあわせ、生物学的製剤基準の医薬品各条「人全血液」の「3.2試験用血液の試験 3.2.1血液型試験」を削除していただきたい(「人赤血球濃厚液 3.1試験用血液の試験」、「新鮮凍結人血漿 3.1試験用血液の試験」、「人血小板濃厚液3.1試験用血液の試験」も同理由により削除していただきたい。)

(記録)
7 輸血用血液製剤の原材料として用いる血液は、安全性確保上必要な情報が確認できるよう、次に掲げる事項に関する記録が整備され、別に定める期間、保管されなければならない。
(1)採血した採血所名
(2)採血した年月日
(3)献血者の検診にかかる記録(診療録等)及び検査結果(血清学的検査、核酸増幅検査)
(4)当該血液を採取する作業の経過
(5)献血血液の献血者を特定する番号
(6)(1)から(5)に掲げるもののほか、輸血用血液製剤の品質、有効性及び安全性の確保に関し必要な事項。
 同輸血用血液製剤総則の4、5及び6において、各種の検査は輸血用血液の原材料として用いる血液について規定されており、これらとの整合性をとるため、記録における記載は「献血血液の検査結果(血清学的検査、核酸増幅検査)」と別項目にしていただきたい。
 〔改定案〕
7 輸血用血液製剤の原材料として用いる血液についての安全性確保上必要な情報が確認できるよう、次に掲げる事項に関する記録が整備され、別に定める期間、保管されなければならない。
(1)採血した採血所名
(2)採血した年月日
(3)献血者の検診にかかる記録(診療録等)
(4)献血血液の検査結果(血清学的検査、核酸増幅検査)
(5)
当該血液を採取する作業の経過
(6)献血血液の献血者を特定する番号
(7)(1)から(6)に掲げるもののほか、輸血用血液製剤の品質、有効性及び安全性の確保に関し必要な事項。

II.血漿分画製剤総則
・血漿分画製剤総則は、海外製造業者及び輸入販売業者にも適用されることを明らかにされたい。

1 血漿分画製剤(医薬品、医療用具等の製造工程に用いられる成分の場合を含む。以下同じ。)に用いる血液の提供者(以下「供血者」という。)は、問診等の検診により、その血液によって伝播される疾患にかかっている疑いがなく、血漿分画製剤の原材料となる血液を提供する適格性を有するものでなければならない。ただし、血液によって伝播される病原体が医薬品の製造過程で不活化されるか又は除去されていることが確認されており、薬事法に基づく承認の際に規定するものを除く。
 「ただし、血液によって伝播される病原体が医薬品の製造過程で不活化されるか又は除去されていることが確認されており、薬事法に基づく承認の際に規定するものを除く。」とされているが、平成11年8月30日付医薬発第1047号『血漿分画製剤のウイルスに対する安全性確保に関するガイドライン』に準拠し、「ただし、血液によって伝播される病原体が医薬品の製造過程の操作で不活化されるか又は除去されることが確認されている場合はこの限りでない。」としていただきたい。

3 血漿分画製剤の原材料は、別に規定する場合を除き、血漿分画製剤総則2で定められた採血法によって採取した次のいずれかを用いる。
(1)全血採血で採取したヒト血液
(2)血液成分採血で採取した多血小板血漿又は濃厚血小板血漿
(3)血液成分採血で採取した血漿
原材料(1)を保存する場合は、凍結を避けて6℃以下、原材料(2)及び(3)を保存する場合は、6℃以下に置く。
・「原材料を保管する場合」の定義を明らかにされたい。
・輸血用血液製剤総則3と整合性をとるために、「原血漿の製造所において原材料(1)を保存する場合は、凍結を避けて10℃以下、原材料(2)及び(3)を保存する場合は、10℃以下に置く。」とされたい。

4 血漿分画製剤の原材料として用いる血液は、少なくともB型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV−1及びHIV−2)の血清学的検査を行わなければならない。これらの試験結果が不適の血液は、医薬品各条で規定するものを除き、原材料としてはならない。
・国内献血による血漿分画製剤の原材料として用いる血液にも「HTLV-I」の血清学的検査を求めるものでないのであれば、平成11年3月30日付医薬血第33号『HTLV-I抗体陽性献血者に対する結果通知及び相談事業並びにHTLV-I抗体陽性血液の血漿分画製剤製造への使用禁止について』を廃止していただきたい。
 また、同様に、昭和61年9月18日付薬生第105号『献(供)血血液に対するAIDS及びATL抗体検査の実施に伴う血液製剤の取扱いについて』で示されている国内献(供)血血液を原料とする場合にのみ求められている、ATL抗体検査を行い、陰性のもののみを使用する規定について廃止していただきたい。
・平成12年12月28日付医薬審第1848号『生物学的製剤基準の一部改正について』により、「特に血清学的検査による肝炎ウイルスの試験結果については、ウイルス学的知見を勘案し、感染の危険性について総合的に判断すること。」とされているため、「ただし、血清学的検査による肝炎ウイルスに係る試験結果については、ウイルス学的知見を勘案し、感染の危険性について総合的に判断する。」を文末に記載し整合していただきたい。

5 血漿分画製剤の原血漿は、次に定めるものとする。
(1) 原血漿について、少なくとも別に定めるB 型肝炎ウイルスDNA、C 型肝炎ウイルスRNA 及びヒト免疫不全ウイルスRNA に対する核酸増幅検査を行わなければならない。ただし、B 型肝炎ウイルスDNA、C 型肝炎ウイルスRNA 及びヒト免疫不全ウイルスRNA が検出されないことを別に定める核酸増幅検査により確認した血液を原材料として用いる場合は、この限りでない。B 型肝炎ウイルスDNA、C 型肝炎ウイルスRNA 又はヒト免疫不全ウイルスRNA が検出された血漿は原血漿として用いてはならない。
(2) 原血漿を保存する場合は、6℃以下に置く。
 平成11年8月30日付医薬発第1047号『血漿分画製剤のウイルスに対する安全性確保に関するガイドライン』を踏まえ、「当該血漿が既に原血漿として製造に用いられている場合であって、当該ウイルスが製造過程で不活化又は除去されることが別に定める指針に従って確認された場合にはこの限りでない。」を5(1)の文末に記載していただきたい。

6 血漿分画製剤の原材料及び原血漿として用いる血液は、安全性確保上必要な情報が確認できるよう、次に掲げる事項に関する記録が整備され、別に定める期間、保管されなければならない。
(1)原材料を採血した採血所名
(2)原材料を採血した年月日
(3)原材料及び原血漿の検査結果(血清学的検査、核酸増幅検査)
(4)原材料を採血する作業及び原血漿を作製する作業の経過
(5)原材料及び原血漿の製造番号
(6)原血漿に用いた供血血液の供血者を特定する番号
(7)(1)から(6)に掲げるもののほか、血漿分画製剤の品質、有効性及び安全性の確保
に関し必要な事項。
・6(4)の「作製」は「製造」に変更されたい。
・記録における記載として、「供血者の検診にかかる記録」を追加していただきたい。
 〔改定案〕
6 血漿分画製剤の原材料及び原血漿として用いる血液についての安全性確保上必要な情報が確認できるよう、次に掲げる事項に関する記録が整備され、別に定める期間、保管されなければならない。
(1)原材料を採血した採血所名
(2)原材料を採血した年月日
(3)原材料及び原血漿の検査結果(血清学的検査、核酸増幅検査)
(4)原材料を採血する作業及び原血漿を製造する作業の経過
(5)原材料及び原血漿の製造番号
(6)原血漿に用いた供血血液の供血者の検診にかかる記録(診療録等)及び特定する番号
(7)(1)から(6)に掲げるもののほか、輸血用血液製剤の品質、有効性及び安全性の確保に関し必要な事項。

・33〜37ページ(別紙3)
生物由来製品の添付文書記載要領(医薬品)
【特定生物由来製品】
3.「組成・性状」の項
(4) 特定生物由来製品のうち、血液製剤及び、用法、効能又は効果について血液製剤と代替性のある医薬品であって、最終製品としてのリスクが血液製剤と同様な遺伝子組み換え製剤については、採血国、採血の区別(献血又は非献血)(採血国として承認書に記載されているすべての国について記載する。)
なお、具体的な記載表現等は別添1に準じたものとすること。
 「採血の区別」(献血又は非献血)について、別添1(36ページ)では「採血の区別」となっているが、添付文書の記載見本では「採血の区分」となっているので、統一していただきたい。

4.「使用上の注意重要な基本的注意」の項
 重要な基本的注意として、特定生物由来製品の有効性及び安全性、その他特定生物由来製品の適正な使用のために必要な事項について、当該製品使用者に対して説明し、その理解を得るよう努めなければならない旨を記載する。
なお、具体的な記載表現は別添1に準じたものとすること。
その他製剤特有の基本的注意事項は、本項に記載する。
 輸血用血液の添付文書においては、添付文書の冒頭部分及び重要な基本的注意の項に、有効性・安全性、適正な使用のために必要な事項についての当該製品使用者への説明に関することが既に記載してある。従って、現行の記載を別添1(36ページ)の記載例どおりに変更しなくても良いことを確認させていただきたい。

  参考:現行の輸血用血液の添付文書における記載
(冒頭部分)
 本剤は、献血による貴重な血液を原料として製剤化されたものです。問診、感染症関連の検査等の安全対策を講じていますが、血液を原料としていることに由来する感染症の伝播の危険性を完全に排除することはできないことから、疾病の治療上の必要性を十分に検討の上、「血液製剤の使用指針」等を参考に、必要最小限の使用にとどめるようお願いします(「使用上の注意」の項参照)。

(使用上の注意:重要な基本的注意)
 輸血を行う場合は、患者又はその家族等にその必要性、副作用の危険性等について文書にてわかりやすく説明し、同意を得ること。


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