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資料3


臨床研修と地域医療に関する調査について

平成15年3月18日
厚生労働省医政局医事課


1 調査の概要

(1)調査対象
   病院団体等の協力を得て、全国7ブロックから一般的な病院8施設を選定
     病床数: 37〜412床(平均 189床)
所在地: 北海道、秋田県、東京都、愛知県、兵庫県、香川県、佐賀県、熊本県

(2)調査方法
   面接又は電話による聞き取り

(3)調査期間
   平成15年3月3日 〜 3月12日


2 調査結果について

(1)地域の病院における医師確保の現状について
 
医師が都市部へ集中する傾向があるため、医師確保の状況は都市部と地方とで全く異なる。
大学は、中小病院よりは大病院、民間よりは公的病院に医師を紹介する傾向があるため、民間の中小病院では特に医師確保が困難である。
公募や医師会の紹介等では、十分な数の医師を確保することは困難である。
地域医療においては医師が不足しており、研修医または若手医師による時間外の応援が不可欠である。
臨床研修を行うために病院群をつくろうとしても、大学病院は国公立病院と連携する傾向にあり、民間病院は新制度においても臨床研修病院の指定を受けにくい。
地方の病院は、医師数が医療法の標準を満たさないため、臨床研修病院の指定を受けにくい。
大学への引き揚げが実際に起こっている。新制度において大学病院内の研修医の数が減ることを理由としている。
大学によって対応に差があるため、引き揚げが見られない地域もあるが、新制度に対する大学の準備が進むにつれて、引き揚げが増える可能性がある。

(2)若手医師の地域への定着について
  地方の医科大学においては、卒業生が大学に残らず、都市部へ行く傾向があるため、大学病院の医師数が減ってきている。
全国規模で医学生の希望に応えるマッチングシステムが、医師の都市部への流出傾向を加速し、地方に定着する医師数が減少するのではないか。
過疎地は医師が不足している。新研修制度において、へき地と都市部など、離れた二次医療圏にある病院が、臨床研修を行う病院群を構成することはできないか。

(3)今後の医師確保の対応について
 
これからは個人の意思が尊重されるだろう。病院も選ばれるようになる必要がある。
将来的には、職業紹介業者等に依頼して医師を確保することが必要になるだろう。
大学病院も生き残りがかかっているため、大学病院が医師を確保することに対して介入することはできないのではないか。
地域医療への影響を抑えるために、段階的に制度を実施できないだろうか。
地域における医師確保の問題に、各都道府県に関わってほしい。

(4)新しい臨床研修制度への期待と不安について
 
地域医療を経験する研修は必要であり、よいことである。特に救急が重要。
6か月位、地域の病院、診療所で研修することは非常によい。
きちんと教えられる診療所がどの程度あるか心配。
指導医の不足や確保困難について心配している。
臨床研修病院の指定を受けたいが、病理医が確保できないため臨床病理検討会(CPC)を開催することができない。


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