○ | 以上の検討から、市場動向に配慮しながら、国内債券を中心としつつ、内外の株式を一定程度組みこむという考え方は、今後とも維持することが適当と考えられる。なお、委員からは株式運用は行うべきではないとの意見もあった。 |
○ |
一方、基本ポートフォリオの内容については、株式の構成割合のあり方を含め、今後とも検討する必要がある。これについては、平成16年には、財政再計算に基づき年金制度の改革が予定されており、その際には、予定利回り等についても、前述したような厳しい経済状況を踏まえ、より慎重な前提を置いた上で見直しを行うこととなると考えられる。基本ポートフォリオの内容についても、こうした作業と歩調を合わせて、国民の理解が得られるよう、安全性にも十分配慮した見直しを行うことが必要である。その際には、国債満期保有運用のあり方についても、適切な運用を図る観点から検討を進めるべきである。 |
○ |
上記の外、さらに検討すべき事項として、以下の点を指摘したい。 |
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一つは、コーポレートガバナンス(企業統治)への取り組みである。運用対象となる企業が、健全なガバナンスを確立し、効率的な経営により企業収益力を向上させることは、公的年金にとっても運用成果の向上につながる。議決権行使等を通じたコーポレートガバナンスのあり方については、国が民間企業の経営に影響を与えないよう留意しつつ、検討を行うべきである。 |
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次に、パッシブ運用におけるベンチマークの問題である。年金積立金の運用は、運用の基本方針において、パッシブ運用を基本とすると定められており、年金資金運用基金においては、全上場銘柄を含む東証株価指数(TOPIX)をベンチマークとしてパッシブ運用を行っている。パッシブ運用においては、ベンチマークの選択が重要であるが、年金積立金のベンチマークのあり方について再検討するとともに、その他の市場の発展も考慮に入れ、投資対象の拡大についても幅広く検討すべきである。 |
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さらに、財投債引受のあり方や、運用受託機関の選定、委託手数料のあり方についても検討することが望まれる。 |